JP2020020605A - 感圧マットシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の磁界発生部をマトリクス状に配設して制御する構成によって静音で身体の血流促進ができ、身体に違和感の少ない柔軟性を有しつつ、身体に対応したサイズで広範囲の圧力分布に対応した制御が可能な構成の感圧マットシステムを提供する。【解決手段】感圧マットシステム100は、マット90の身体側に、磁界発生部と対応して配設される複数のエアセル81からなるアクチュエータ80と、アクチュエータ80の身体側にマトリクス状に配設される複数の磁界発生部からなる磁界発生シート70と、磁界発生シート70の身体側にマトリクス状に配設される複数の感圧部からなる感圧センサ1と、感圧部の圧力分布に応じて磁界発生部の磁界を発生させる位置及びタイミングを制御するコントローラとを備える。【選択図】図11
Description
本発明は、生体情報を計測する感圧センサを有する感圧マットシステムに関する。
近年、介護や健康促進等の目的で、ベッドでの寝姿の圧力分布や椅子等での着座姿勢の圧力分布を生体情報として計測する用途に感圧センサが使用されている。このように身体に接触させて生体情報を計測する用途では、身体に違和感の少ない柔軟性を有しつつ、身体に対応したサイズで広範囲の圧力分布を計測可能な感圧センサが必要とされている。
従来、シートクッション及びシートバックが連結されたシート座席であって、シートバックに体圧センサ及び空気袋が設けられ、乗員の着座フィーリングを良好に保つために所定の調整パターンで空気圧を調整する構成が提案されている(特許文献1:特開2002−315657号公報参照)。
また、寝具等に適用される流体セル式マットレスであって、使用者の体圧分布に対応すべく、シート状の圧力センサの検出結果に応じて流体セルの圧力を制御する構成が提案されている(特許文献2:特開2017−169911号公報参照)。
本明細書では、マットレス、ベッド、マット、ストレッチャー、枕、ソファ、椅子、座席等の身体のクッション構造体を「マット」であるとして説明する。
着座姿勢や横臥姿勢等の姿勢を長時間続けると、褥瘡、腰痛、肩こり、エコノミークラス症候群を発症し、あるいは疲労が増大する。これらの症状は、身体の一部で血流が阻害されていることが一因となっている。
特許文献1と特許文献2の構成は、マットにおける空気袋や流体セルを可動させて圧力分布を調整する方式であり、流体を送り出すには大型のポンプや大型のバルブが必要となり、流体の出入りによる騒音やバルブの開閉音が耳障りになる場合がある。また、空気袋や流体セルは可動によって摩耗し易いので耐久性に問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、複数の磁界発生部をマトリクス状に配設して制御する構成によって静音で身体の血流促進ができ、身体に違和感の少ない柔軟性を有しつつ、身体に対応したサイズで広範囲の圧力分布に対応した制御が可能な構成の感圧マットシステムを提供することを目的とする。
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
本発明の感圧マットシステムは、マットと、前記マットの身体側にマトリクス状に配設される複数の磁界発生部を有する磁界発生シートと、前記磁界発生シートの身体側に前記磁界発生部と対応するマトリクス状に配設される複数の感圧部を有する感圧センサと、前記感圧部の圧力分布に応じて前記磁界発生部の磁界を発生させる位置及びタイミングを制御するコントローラと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、感圧部の圧力分布に応じて磁界発生部の磁界を発生させる位置及びタイミングが制御できるので、静音で身体の血流促進ができ、身体に違和感の少ない柔軟性を有しつつ、身体に対応したサイズで広範囲の圧力分布に対応した制御が可能となる。
前記磁界発生部は電磁コイルであることが好ましい。この構成によれば、電磁コイルの通電によって磁界を発生させる位置及びタイミングに加えて、磁界強度を制御でき、特に圧力が長時間高い状態となっている領域で磁界を移動させて身体の血流を促進することができる。
前記磁界発生シートは多層配線基板を有し、前記多層配線基板に前記電磁コイルが形成されることが好ましい。この構成によれば、電磁コイルを薄型にして屈曲性を高めることができる。
前記電磁コイルの中央部に磁性体が配設されることが好ましい。この構成によれば、電磁コイルのオンオフと同期して磁性体を磁気勾配に応じて動かすことができる。つまり、感圧マットシステムが身体に接する面のうち、特に圧力が長時間高い状態となっている領域の面の凹凸を変化させて、身体の血流を促進することができる。
前記感圧センサは、導電布と、前記導電布の第1主面に配された第1電極布と、前記導電布の第2主面に配された第2電極布とを備え、前記第1電極布は第1間隔で複数の第1電極が形成されており、前記第2電極布は第2間隔で複数の第2電極が形成されているとともに前記第2電極が前記第1電極と交差するように配されており、前記第1電極と前記第2電極との交差領域が前記感圧部として形成される構成、または、導電布と、前記導電布の第1主面に第1間隔で配された複数の第1電極布と、前記導電布の第2主面に前記第1電極布と交差する方向に第2間隔で配された複数の第2電極布とを備え、前記第1電極布と前記第2電極布との交差領域が前記感圧部として形成される構成であることが好ましい。この構成によれば、布の柔軟性を活かしつつ安定した加圧力の計測が可能となる。尚且つ、広範囲の圧力分布を計測可能なサイズにできる。そして、面接触の状態で安定した加圧力の計測が可能となり、材料費を抑えつつ、生産性が高い構成となる。
前記感圧センサは縫合糸を有し、前記第1電極布が前記縫合糸によって前記導電布に縫い付けられているとともに、前記第2電極布が前記縫合糸によって前記導電布に縫い付けられていることが好ましい。この構成によれば、電極布が導電布に縫い付けられて一体化しているので、測定領域の位置ずれを防止する。尚且つ、縫い付けによって交差領域の境界の位置が安定するので、各交差領域における加圧力の計測精度を高めることができる。
前記導電布、前記第1電極布及び前記第2電極布はいずれも織物である、または、前記導電布、前記第1電極布及び前記第2電極布はいずれも編物であることが好ましい。この構成によれば、伸縮性に優れた感圧マットシステムとなる。
本発明によれば、感圧部の圧力分布に応じて磁界発生部の磁界を発生させる位置及びタイミングが制御できるので、静音で身体の血流促進ができ、身体に違和感の少ない柔軟性を有しつつ、身体に対応したサイズで広範囲の圧力分布に対応した制御が可能な構成の感圧マットシステムとなる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は感圧マットシステム100の例を模式的に示す斜視図である。図11は図1を正面側から視た概略の断面図である。説明の都合上、図1ではカバー布や信号配線等は省略している。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
ここで、感圧マットシステム100の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。感圧マットシステム100を実際に使用する際には、これらの向きに限定されず、どのような向きで使用しても支障ない。
感圧マットシステム100は、複数のエアセル81を有する四角形状のマット80と、マット80の身体側(図中のZ方向矢印の側)にマトリクス状に配設される複数の磁界発生部を有する磁界発生シート70と、磁界発生シート70の身体側(図中のZ方向矢印の側)にマトリクス状に配設される複数の感圧部を有する感圧センサ1と、感圧部の圧力分布に応じて磁界発生部の磁界を発生させる位置及びタイミングを制御するコントローラ7とを備える。図1及び図11の例では、磁界発生シート70並びに感圧センサ1の厚みは、いずれもマット80の厚みよりも小さい。これにより、身体に違和感の少ない柔軟性を有する感圧マットシステム100となる。
図11の例では、感圧センサ1はカバー布60で覆われている。カバー布60は、一例として綿、ナイロン、アクリル、その他既知の繊維からなる織物または編物であり、少なくとも身体側に、防水処理又は撥水処理が施されている。これにより、身体に違和感の少ない構成であるとともに、感圧センサ1を水の浸入から保護する。
本実施形態に係る感圧センサ1は、図2、図3A、図3Bに示すように、四角形状の導電布2と、導電布2の第1主面2aに第1間隔2cで配された複数の帯状第1電極布3と、導電布2の第2主面2bに第1電極布3と交差する方向に第2間隔2dで配された複数の帯状第2電極布4と、非導電性の縫合糸5とを備える。ここでは、導電布2の第1主面2aにおいて第1電極布3が略平行に配置されており、また、導電布2の第2主面2bにおいて第2電極布4が略平行に配置されており、そして、第2電極布4が第1電極布3に対して略直交するように配置されている。なお、導電布2、第1電極布3及び第2電極布4は、四角形状に限られず、角丸四角形状や楕円形状とする場合がある。また、感圧センサ1における第1主面2aと第2主面2bとは互いに反対向きの面であって、相対的な位置関係を示しており、物理的な向きは限定していない。第1主面2aは、例えば上面または表面と読み替えることができる。また、第2主面2bは、例えば下面または裏面と読み替えることができる。
ここで、感圧センサ1は、図4に示すように、第1電極布3と第1電極布3との間の第1隙間3aの位置で縫合糸5によって第2電極布4が導電布2に縫い付けられている。また、図5に示すように、第2電極布4と第2電極布4との間の第2隙間4aの位置で縫合糸5によって第1電極布3が導電布2に縫い付けられている。そして、平面視で、第1電極布3と第2電極布4との交差領域V1がマトリクス配置で形成され、感圧部となる。図1と図2では、ハッチングされた四角形状の領域を交差領域V1として例示している。
図2の例では、交差領域V1を囲むように縫合糸5が縫い付けられている。尚且つ、交差領域V1の四隅の外側位置に縫合糸5が縫い付けられている。この構成によれば、縫合糸5の縫い付けによって交差領域V1から他の交差領域V1へのリーク電流が低減されるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。
そして、図4に示すとおり、第1電極布3における縫合糸5が縫い付けられている箇所が縫合糸5の張力によって窪んでいる。また、図5に示すとおり、第2電極布4における縫合糸5が縫い付けられている箇所が縫合糸5の張力によって窪んでいる。この構成によれば、縫合糸5の縫い付けによる上下方向の締付けによって縫い付け部に不感帯が形成され、不感帯が形成されるので交差領域V1以外の箇所の抵抗値の変動が抑えられるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。上記以外の構成として、交差領域V1の四隅の位置に縫合糸5が縫い付けられている場合があり、この場合も図4に示す構成と同様の効果が見込める。
図6A、図6B、図6Cは、ミシンによって第1電極布3と導電布2とを縫製する手順を例示する概略の断面図である。一例として、本縫いの場合、ミシンによって第1電極布3と導電布2とを貫通したループ状の上糸5に下糸5を通して結び目が出来た状態とし(図6A)、結び目を引き上げることで第1電極布3と導電布2との間に結び目が配される状態とし(図6B)、第1電極布3と導電布2とを所定方向に移動させながら結び目を作る作業を繰り返して縫製する(図6C)。ミシンによって第2電極布4と導電布2とを縫製する場合も、図6A、図6B、図6Cに示す縫製手順と同様である。
本実施形態は、第1電極布3の短手方向の幅は第1間隔2cの短手方向の幅よりも大きく、かつ、第2電極布4の短手方向の幅は第2間隔2dの短手方向の幅よりも大きい。この構成によれば、隣接する測定箇所からのリーク電流が低減されるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。第1電極布3の短手方向の幅と第2電極布4の短手方向の幅は、それぞれ一例として10〜100[mm]である。また、第1間隔2cの短手方向の幅と第2間隔2dの短手方向の幅は、それぞれ一例として1〜10[mm]である。
本実施形態は、導電布2の厚みは第1間隔2cの短手方向の幅よりも小さく、かつ、導電布2の厚みは第2間隔2dの短手方向の幅よりも小さい。この構成によれば、隣接する測定箇所からのリーク電流が低減されるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。導電布2の厚みは、一例として0.3〜0.6[mm]である。第1電極布3の厚みと第2電極布4の厚みは、一例として0.2〜0.6[mm]である。
第1電極布3における電極は、導電布2の第1主面2aと対向する面にのみ形成されている場合があり、この場合、電極材料のコスト及び製造コストを抑えられる。または、第1電極布3における電極は、第1電極布3の上面と下面とに形成されている場合があり、第1電極布3の全周に亘って形成されている場合がある。この場合、第1電極布3の上面と下面とのどちらを導電布2に重ねてもよいので製造し易くなる。または、第1電極布3における電極は、第1電極布3の厚み方向に導通するように形成されている場合があり、この場合、電極の導通の信頼性を高められる。
第2電極布4における電極は、導電布2の第2主面2bと対向する面にのみ形成されている場合があり、この場合、電極材料のコスト及び製造コストを抑えられる。または、第2電極布4における電極は、第2電極布4の上面と下面とに形成されている場合があり、第2電極布4の全周に亘って形成されている場合がある。この場合、第2電極布4の上面と下面とのどちらを導電布2に重ねてもよいので製造し易くなる。または、第2電極布4における電極は、第2電極布4の厚み方向に導通するように形成されている場合があり、この場合、電極の導通の信頼性を高められる。
図7A、図7B、図7Cは、図3Aにおける破線で囲んだ部分P1を拡大した図であり、第1電極布3と導電布2との接触状態の例を模式的に示す概略の断面図である。ここでは、第1導電性粒子11は導電性カーボンブラックであり、また、第2導電性粒子12は導電性金属粒子12aと導電性カーボンブラック12bである。そして、導電性カーボンブラック11がバインダー樹脂13aによって導電布2に接着しており、また、導電性金属粒子12aと導電性カーボンブラック12bとがバインダー樹脂13bによって第1電極布3に接着している。第2電極布4と導電布2との接触状態についても図7A、図7B、図7Cに示す接触状態と同様である。つまり、第1電極布3と第2電極布4とに、第1導電性粒子11よりも電気伝導率が高い第2導電性粒子12が塗工されている。
本実施形態は、第1導電性粒子11のストラクチャーによって、導電布2は厚み方向、長手方向及び短手方向に導通している(不図示)。また、導電性金属粒子12aと導電性カーボンブラック12bとのストラクチャーによって、第1電極布3は厚み方向、長手方向及び短手方向に導通している(不図示)。第2電極布4についても、第1電極布3と同様である。
本実施形態は、導電性カーボンブラック11(12b)は平均一次粒子径が100nm以下のケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックまたはファーネスブラックのいずれか1種以上である。この構成によれば、少量の添加量で必要な抵抗値が得られるので、耐擦過性および柔軟性に優れた導電布となる。
ファーネスブラックは、油やガスを高温ガス中で不完全燃焼させて導電性カーボンブラックを得るファーネス法によって製造される。ファーネスブラックは、製造上、大量生産に向き、粒子径やストラクチャーをコントロールし易い。
チャンネルブラックは、天然ガスを燃焼させ、チャンネル鋼に析出させたものを掻き集めて得るチャンネル法によって製造される。チャンネルブラックは、表面官能基が多いので、塗工に向いている。
アセチレンブラックは、アセチレンガスを熱分解して得るアセチレン法よって製造される。アセチレンブラックは、導電性が高く、不純物が少ない。
ケッチェンブラックは、大まかには不純物の少ない油を高温ガス中で不完全燃焼させて導電性カーボンブラックを得るオイルファーネス法によって製造され、副生するガスを分離後、前駆体を造粒・乾燥して製造される。ケッチェンブラックは他の導電性カーボンブラックと異なり、中空シェル状の構造を持っているため、アセチレンブラックよりも高い導電性を発現する。
一例として、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のケッチェンブラックEC300JはBET比表面積のカタログ値が800[m2/g]であり、ケッチェンブラックEC600JDはBET比表面積のカタログ値が1270[m2/g]以上であり、いずれも標準的なアセチレンブラックのBET比表面積の10倍以上である。これにより、少量の添加量で高い導電性が得られるので、耐擦過性および柔軟性に優れた導電布となる。
図7Aに示すように、第1導電性粒子11の外径サイズと、第2導電性粒子12の外径サイズとが略同一サイズとなっている状態は、第1電極布3と導電布2との接触抵抗が最小となるベストモードである。図7Aの例では、第1電極布3と導電布2との接触面積が、最大となって必要な接触面積を十分に確保する、且つ、第1電極布3の抵抗値が導電布2の抵抗値よりも適度に小さい値となるので、測定位置による抵抗値のばらつきやクロストークを低減できる。第2電極布4についても、第1電極布3と同様である。
図7Bに示すように、第1導電性粒子11の外径サイズが、第2導電性粒子12の外径サイズの0.5倍以上で2.0倍以下のサイズとなっている状態は、第1電極布3と導電布2との接触抵抗が適度に小さい値となるベターモードである。図7Bの例では、第1電極布3の第2導電性粒子12の大半と、導電布2の第1導電性粒子11の大半とが接触し、必要な接触面積を確保するので、測定位置による抵抗値のばらつきやクロストークを低減できる。第2電極布4についても、第1電極布3と同様である。
図7Cに示すように、第1導電性粒子11の外径サイズが、第2導電性粒子12の外径サイズの2.0倍以下で0.5倍以上のサイズとなっている状態は、第1電極布3と導電布2との接触抵抗が適度に小さい値となるベターモードである。図7Cの例では、第1電極布3の第2導電性粒子12の大半と、導電布2の第1導電性粒子11の大半とが接触し、必要な接触面積を確保するので、測定位置による抵抗値のばらつきやクロストークを低減できる。第2電極布4についても、第1電極布3と同様である。
図7A、図7B、図7Cに示すように、本実施形態は、第1導電性粒子11の平均一次粒子径を基準として、第2導電性粒子12の平均一次粒子径が0.5倍以上2.0倍以下の範囲内である。この構成によれば、第1電極布3と導電布2、並びに第2電極布4と導電布2との接触面積を大きくして接触状態を安定にすることができる。
本実施形態は、導電布2の重量を基準として、第1導電性粒子11の重量が5%以下である。この構成によれば、耐擦過性および柔軟性に優れた導電布2となり、且つ、材料費が低減できる。
本実施形態は、第1導電性粒子11と破断伸度が100%以上のバインダー樹脂13aとの混合物が導電布2に塗工されている。また、第2導電性粒子12と破断伸度が100%以上のバインダー樹脂13bとの混合物が第1電極布3に塗工されている。尚且つ、第2導電性粒子12と破断伸度が100%以上のバインダー樹脂13bとの混合物が第2電極布4に塗工されている。この構成によれば、導電布2、第1電極布3及び第2電極布4の柔軟性を活かしつつ安定した加圧力の計測ができる。
本実施形態は、導電布2、第1電極布3及び第2電極布4はいずれも織物である、または、導電布2、第1電極布3及び第2電極布4はいずれも編物である。この構成によれば、伸縮性に優れた感圧センサ1となり、身体に違和感の少ない柔軟性を有しつつ、身体に対応した大きなサイズで広範囲の圧力分布を計測可能な感圧センサ1となる。
第1導電性粒子11はバインダー樹脂13aによって導電布2における基材布の表面及び繊維中に接着されている。また、第2導電性粒子12はバインダー樹脂13bによって第1電極布3における基材布の表面及び繊維中に接着されている。そして、第2導電性粒子12はバインダー樹脂13bによって第2電極布4における基材布の表面及び繊維中に接着されている。
一例として、導電布2は、繊維からなる基布に導電性カーボンブラック(第1導電粒子11)及びバインダー樹脂13aが塗工されている。一例として、第1電極布3および第2電極布4は、繊維からなる基布に導電性金属粒子(第2導電粒子12)及びバインダー樹脂13bが塗工されている。一例として、第1電極布3と第2電極布4とは、同一の材料からなる。
本実施形態は、第1電極布3と前記第2電極布4とに導電性金属粒子が塗工されており、かつ、導電布2に導電性カーボンブラックが塗工されているので、第1電極布3と第2電極布4との表面抵抗率が、いずれも導電布2の表面抵抗率よりも2桁以上小さくなる。これによれば、第1電極布3および第2電極布4の長さ方向の抵抗の影響が低減されるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。つまり、感圧部である交差領域V1における測定抵抗の影響をほとんど無視できる。尚且つ、導電性金属粒子と比較して安価な導電性カーボンブラックによって分散安定性に優れた導電布2を構成できる。また、測定位置による抵抗値のばらつきを低減できるとともに、交差領域V1と交差領域V1とのクロストークを低減できる。
前記基布は、一例としてナイロン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリアミドなどの合成繊維や、綿、リンネルなどの天然繊維からなる。医療現場では、オートクレーブ滅菌処理を行うことが想定されることから、オートクレーブ滅菌処理の耐性が高いこれらの繊維が好ましい。
前記基布は、一例として織物、編物、不織布である。前記基布を構成する糸または繊維の太さは、一例として50〜200デニールである。前記基布が編物または不織布の場合、身体との接触面積を増大させるとともに、接触抵抗を下げることができる。前記基布が編物の場合、織物や不織布よりも伸縮性が大きくなり、優れたものとなる。
第1導電粒子11は、一例として導電性カーボンブラックからなり、例えばケッチェンブラックである。導電性カーボンブラックは、枝状のストラクチャー構造を有し、トンネル効果によって抵抗値を低くし、また、貴金属や導電性高分子化合物と比較して安価に入手できる。特にケッチェンブラックは、少量の添加量で必要な抵抗値が得られるので、耐擦過性および柔軟性に優れた導電布となる。
第2導電粒子12は、一例として導電性金属粉末、導電性金属繊維、導電性高分子化合物、導電性カーボンブラック、またはこれらの混合物からなる。前記導電性金属は一例として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、その他既知の導電性金属である。前記導電性高分子化合物は一例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン(PT)、または既知の導電性高分子化合物である。
バインダー樹脂13aとバインダー樹脂13bとは、一例として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂からなる。バインダー樹脂13aとバインダー樹脂13bとは、一例としてポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PEs)、または既知の合成樹脂である。
塗工は、浸漬法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、電着法、または他既知の塗布方法、若しくはこれら塗布方法の組み合わせが適用できる。
縫合糸5は、一例としてナイロン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリアミドなどの合成繊維や、綿、リンネルなどの天然繊維からなる。縫合糸5の太さは、一例として20〜200デニールである。
縫製は、一例としてミシン、若しくは手縫いである。前記縫製は、一例として本縫い、環縫い、かがり縫い、偏平縫い、その他既知の縫い方が適用される。縫製が本縫いの場合、第1主面2a(表)と第2主面2b(裏)の両方において、縫合糸5が縫い付けられた箇所が伸縮性のない縫い目となり、不感帯が形成されて交差領域V1以外の箇所の抵抗値の変動が抑えられるので、交差領域V1をマトリクス配置で形成するとともに、個々に電気信号を取り出すための独立した圧力セルとして機能させ易くなる。
図8は第1の実施形態の感圧センサ1の例を示す概略の平面図であり、コントローラ7を接続した状態の図である。コントローラ7は、信号配線の切替え回路、信号検出器、A/D変換器、半導体メモリ、演算回路、これらを制御するCPUを有する。
感圧センサ1は、複数の第1電極布3bと複数の第2電極布4bとの、それぞれの長手方向の端部に信号線が接続され、コントローラ7に内蔵された切替え回路によって周波数が一例として10〜100[Hz]でスキャンされ、マトリクス配置で形成された交差領域V1の抵抗値を個々にミリ秒オーダーで信号検出器によって検出され、A/D変換器によってA−D変換され、半導体メモリによってデータ蓄積され、演算回路によって演算され、最終的に圧力値または圧力分布、若しくは圧力値及び圧力分布として外部のディスプレイ装置に表示される。一例としてコントローラ7とディスプレイ装置とは、感圧センサ1との信号接続用のインターフェース基板が内蔵されたパーソナルコンピュータが適用できる。
本実施形態は、導電布2の第1主面2aに第1間隔2cで配された[m]数の第1電極布3と、導電布2の第2主面2bに第1電極布3と交差する方向に第2間隔2dで配された[n]数の第2電極布4とを備え、第1電極布3と第2電極布4との交差領域V1がマトリクス配置で形成される。ここで、[m]と[n]とはそれぞれ2以上の自然数であり、図8の例では、m=5であり、n=6である。
本実施形態は、第1電極布3と第2電極布4とが互いに近づく圧縮方向に50[mmHg]の外力を加えた状態における、交差領域V1の厚み方向の抵抗の平均値である抵抗値Rc[Ω]に対して、長手方向で隣接する2つの交差領域V1,V1の長手方向の抵抗の平均値である抵抗値Re[Ω]が次の式(1)を満たす。
[数1]
1<Re<(Rc/(m+n))・・・(1)
1<Re<(Rc/(m+n))・・・(1)
図8のように、行方向の各第1電極布3の電極ピッチ3cと、列方向の各第2電極布4の電極ピッチ4cとが等しい場合、上述の式(1)のとおりとなる。
一方、各第1電極布3の電極ピッチ3cと、各第2電極布4の電極ピッチ4cとが異なる場合、行方向の各第1電極布3の電極ピッチ3cでの電極抵抗値R1[Ω]と、列方向の各第2電極布4の電極ピッチ4cでの電極抵抗値R2[Ω]との加重平均で抵抗値Re[Ω]を、次の式(2)によって算出する。
[数2]
Re=(m×R1+n×R2)/(m+n)・・・(2)
Re=(m×R1+n×R2)/(m+n)・・・(2)
図15A、図15B、図16A、図16Bは、感圧センサの交差領域における圧力と抵抗との関係を例示する抵抗特性グラフ図である。
例えば、第1導電性粒子が貴金属微粒子である場合、抵抗値Re[Ω]は1[Ω]よりもかなり小さい値となる(Re[Ω]<<1[Ω])。この場合、図15Aに示すとおり、(m ,n)のマトリクス配置で形成される交差領域における、(1 1)の抵抗特性グラフと、(m ,n)の抵抗特性グラフとは、一致する。しかしながら、布に導電性貴金属粒子をめっきしなければならず、材料費が大幅なコストアップとなり、大きなサイズの感圧シートを製造することが困難である。
本実施形態の一例として、第1導電性粒子11が導電性カーボンブラックであって、抵抗値Re[Ω]を1[Ω]よりも大きい値として(1[Ω]<Re[Ω])、尚且つ、第2導電性粒子12が導電性金属粒子12aと、導電性カーボンブラック12bとの混合物であって、抵抗値Re[Ω]を、抵抗値Rc[Ω]を(m+n)で除した値よりもかなり小さい値とする(Re[Ω]<<(Rc[Ω]/(m+n)))。この場合、図15Bに示すとおり、(m ,n)のマトリクス配置で形成される交差領域における、(1 ,1)の抵抗特性グラフと、(m ,n)の抵抗特性グラフとは、図15Aのグラフと同様に、ほぼ一致する。そして、加圧力が50[mmHg]近傍または加圧力が50[mmHg]以上の範囲ではマトリクス配置で形成される交差領域のどの位置においても抵抗特性グラフがほぼ一致する。
この構成によれば、布の柔軟性を活かしつつ安定した加圧力の計測が可能となり、かつ、広範囲の圧力分布を計測可能なサイズにできるとともに、材料費を抑えつつ生産性が高い構成となる。尚且つ、導電布2の上下に配された帯状電極(第1電極布3と第2電極布4)の表面抵抗が、導電布2の表面抵抗より2桁以上小さい構成となるので、各交差領域V1における加圧力の計測精度を高めることができる。
本実施形態の一例として、第1導電性粒子11が導電性カーボンブラックであって、抵抗値Re[Ω]を1[Ω]よりもかなり大きい値として(1[Ω]<<Re[Ω])、尚且つ、第2導電性粒子12が導電性金属粒子12aと、導電性カーボンブラック12bとの混合物であって、抵抗値Re[Ω]を、抵抗値Rc[Ω]を(m+n)で除した値よりも小さい値とする(Re[Ω]<(Rc[Ω]/(m+n)))。この場合、図16Aに示すとおり、(m ,n)のマトリクス配置で形成される交差領域における、(1 ,1)の抵抗特性グラフと、(m ,n)の抵抗特性グラフとは、図15Aや図15Bのグラフに比べて、抵抗値にばらつきが生じる。この場合、各抵抗値のばらつきは2倍以内に収まっているので、各交差領域においてキャリブレーションすることで感圧センサとして支障なく使うことができる。
例えば、抵抗値Re[Ω]を、抵抗値Rc[Ω]を(m+n)で除した値よりも大きい値とする(Re[Ω]>(Rc[Ω]/(m+n)))。この場合、図16Bに示すとおり、(m ,n)のマトリクス配置で形成される交差領域における、(1 ,1)の抵抗特性グラフと、(m ,n)の抵抗特性グラフとは、図15Bや図16Aのグラフに比べて、抵抗値のばらつきが大きい。この場合、各抵抗値のばらつきは2倍を超えているので、各交差領域においてキャリブレーションしても感圧センサとして使いこなすのは困難である。
続いて、本実施形態に係る磁界発生シート70について、以下に説明する。
図9は磁界発生シート70の例を示す概略の平面図であり、コントローラ7を接続した状態の図である。図10は図9におけるX−X線断面図である。磁界発生シート70は、
一例として、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂基板に銅箔パターンが形成された基材が積層され一体となった多層配線基板を有し、多層配線基板の積層方向に銅箔パターンが連結され電気接続されて電磁コイル71が形成されている。なお、上記以外の構成として、例えば、絶縁皮膜銅線を巻装した扁平コイルやボイスコイルを電磁コイル71として、感圧センサ1と同様に上下の電極に電気的に接続して構成する場合がある。この場合、磁界発生シート70を既存の設備で安価に製造できる。
一例として、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂基板に銅箔パターンが形成された基材が積層され一体となった多層配線基板を有し、多層配線基板の積層方向に銅箔パターンが連結され電気接続されて電磁コイル71が形成されている。なお、上記以外の構成として、例えば、絶縁皮膜銅線を巻装した扁平コイルやボイスコイルを電磁コイル71として、感圧センサ1と同様に上下の電極に電気的に接続して構成する場合がある。この場合、磁界発生シート70を既存の設備で安価に製造できる。
図9と図10の例では、電磁コイル71の中央部は中空となっており、磁性体75が配設される。磁性体75はネオジム磁石、フェライト磁石、その他既知の永久磁石、または鉄、コバルト、ニッケルないしはそれらの合金等の軟磁性体からなる。磁性体75が永久磁石の場合、軸方向に磁極が揃っている。電磁コイル71及び磁性体75はマトリクス状に配設されて複数の磁界発生部を構成する。一例として、電磁コイル71及び磁性体75のマトリクス配置と、感圧センサ1の交差領域V1のマトリクス配置とは一対一で対応する。なお、上記以外の構成として、例えば、磁性体75のない構成とする場合がある。この場合、厚みが薄く屈曲性に優れた磁界発生シート70が容易に製造できる。
コントローラ7は、感圧センサ1の交差領域V1(感圧部)の圧力分布に応じて、電磁コイル71(磁界発生部)の磁界を発生させる位置及びタイミングを制御する構成である。
本実施形態によれば、圧力分布を計測する感圧センサ1に対して、交差領域V1と同じ位置に磁界を発生させる電磁コイル71を配設し、感圧センサ1が示す圧力値の高い部位に準じコントローラ7が電磁コイル71に通電することでマット80上に移動磁界を発生させる。感圧マットシステム100に移動磁界を発生させることにより、ヘモグロビンを含む身体内の血液の血流促進が可能となる。
身体内の血流速度は、一般に、毛細血管で0.3[mm/秒]、大動脈で400[mm/秒]とされているが、感圧マットシステム100の表面に近い皮膚の部分には毛細血管が多く存在する。そのため、移動磁界の移動速度は、0.3[mm/秒]以上で30[mm/秒]以下に制御することが好ましい。
一例として、感圧センサ1の交差領域V1のピッチが30[mm]であり、電磁コイル71のピッチが30[mm]である場合、周波数0.1[Hz]±0.05[Hz]で電磁コイル71の通電を切り替えるのが好ましい。このとき、電磁コイル71を1個ずつ順次通電しても良いし、隣接する複数の電磁コイル71を同時に通電しても良い。一例として、使用者の好みに応じて、コントローラ7の設定を調節できる構成とする。
電磁コイル71の中央部に磁性体75が配設される場合、感圧マットシステム100が身体に接する面に移動可能な凹凸を設けることができ、血流のさらなる促進が可能となる。
そして、既知のエアセルマット80を付設することで、姿勢変更を促すこともでき、長時間の同一姿勢(同一体位)により圧力が高くなる頭部、肩部、腰部、踵部等の血流の停滞を低減することが可能となる。
続いて、本実施形態に係る感圧センサ1の他の例について、以下に説明する。
図12は感圧センサ1の他の例を示す概略の平面図である。図13Aは図12の概略の正面図であり、図13Bは図12の概略の側面図である。説明の都合上、図12等ではカバー布や信号配線等は省略している。
図12、図13A、図13Bの例は、導電布2の第1主面2aに配された1つの第1電極布3と、導電布2の第2主面2bに配された1つの第2電極布とを備え、第1電極布3は第1間隔2cで複数の第1電極3bが形成されており、第2電極布4は第2間隔2dで複数の第2電極4bが形成されているとともに、第2電極4bが第1電極3bと交差するように配されており、第1電極3bと第2電極4bとの交差領域V1がマトリクス配置で形成される。
ここでは、第1電極3bの短手方向の幅は第1間隔2cの短手方向の幅よりも大きく、かつ、第2電極4bの短手方向の幅は第2間隔2dの短手方向の幅よりも大きい。この構成によれば、隣接する測定箇所からのリーク電流が低減されるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。第1電極3bの短手方向の幅と第2電極4bの短手方向の幅は、それぞれ一例として10〜100[mm]である。また、第1間隔2cの短手方向の幅と第2間隔2dの短手方向の幅は、それぞれ一例として1〜10[mm]である。
ここでは、導電布2の厚みは第1間隔2cの短手方向の幅よりも小さく、かつ、導電布2の厚みは第2間隔2dの短手方向の幅よりも小さい。この構成によれば、隣接する測定箇所からのリーク電流が低減されるので、加圧力に対応して出力される検出信号のS/N比を改善できる。導電布2の厚みは、一例として0.3〜0.6[mm]である。第1電極布3の厚みと第2電極布4の厚みは、一例として0.2〜0.6[mm]である。
第1電極3bは、第1電極布3における、導電布2の第1主面2aと対向する面にのみ形成されている場合があり、この場合、電極材料のコスト及び製造コストを抑えられる。または、第1電極3bは、第1電極布3の上面と下面とに形成されている場合があり、この場合、第1電極布3の上面と下面とのどちらを導電布2に重ねてもよいので製造し易くなる。または、第1電極3bは、第1電極布3の厚み方向に導通するように形成されている場合があり、この場合、電極の導通の信頼性を高められる。
第2電極4bは、第2電極布4における、導電布2の第2主面2bと対向する面にのみ形成されている場合があり、この場合、電極材料のコスト及び製造コストを抑えられる。または、第2電極4bは、第2電極布4の上面と下面とに形成されている場合があり、この場合、第2電極布4の上面と下面とのどちらを導電布2に重ねてもよいので製造し易くなる。または、第2電極4bは、第2電極布4の厚み方向に導通するように形成されている場合があり、この場合、電極の導通の信頼性を高められる。
上記以外の例として、例えば織物にて第1電極布3と第2電極布4とを構成する。経糸を、例えばナイロンをコアとして銀メッキでシェルを構成した導電糸と、例えばナイロン製の絶縁糸とを複数交互に並べる。また、緯糸を、例えばナイロン製の複数の絶縁糸を順に織って、所定間隔で複数のストライプ状電極が形成された一枚の第1電極布3を構成する。そして、第1電極布3と同一の第2電極布4を水平方向に90°回転させて、導電布2の上下でマトリックス電極を構成する。そして、縫合糸5によって、交差領域V1を含まない部分で第1電極布3と導電布2と第2電極布4とを縫製する。この構成によれば、布の柔軟性を最大限に活かしたサイズの自由度が高い感圧センサ1ができる。
図14は感圧センサ1の他の例を示す概略の平面図であり、コントローラ7を接続した状態の図である。コントローラ7は、信号配線の切替え回路、信号検出器、A/D変換器、半導体メモリ、演算回路、これらを制御するCPUを有する。
図14の例は、導電布2の第1主面2aに配された1つの第1電極布3と、導電布2の第2主面2bに配された1つの第2電極布4とを備え、第1電極布3は第1間隔2cで[m]数の第1電極3bが形成されており、第2電極布4は第2間隔2dで[n]数の第2電極4bが形成されているとともに、第2電極4bが第1電極3bと交差するように配されており、第1電極3bと第2電極4bとの交差領域V1がマトリクス配置で形成される。ここで、[m]と[n]とはそれぞれ2以上の自然数であり、図14の例では、m=5であり、n=6である。
ここでは、第1電極布3と第2電極布4とが互いに近づく圧縮方向に50[mmHg]の外力を加えた状態における、交差領域V1の厚み方向の抵抗の平均値である抵抗値Rc[Ω]に対して、長手方向で隣接する2つの交差領域V1,V1の長手方向の抵抗の平均値である抵抗値Re[Ω]が上述の式(1)を満たす。
図14のように、行方向の各第1電極布3の電極ピッチ3cと、列方向の各第2電極布4の電極ピッチ4cとが等しい場合、上述の式(1)のとおりとなる。
一方、各第1電極布3の電極ピッチ3cと、各第2電極布4の電極ピッチ4cとが異なる場合、行方向の各第1電極布3の電極ピッチ3cでの電極抵抗値R1[Ω]と、列方向の各第2電極布4の電極ピッチ4cでの電極抵抗値R2[Ω]との加重平均で抵抗値Re[Ω]を、上述の式(2)によって算出する。感圧センサの抵抗特性は、上述の図15A、図15B、図16A、図16Bにおけるグラフと同様である。
続いて、本発明に係る感圧センサ1の製造方法について、以下に説明する。
感圧センサ1の製造手順は、一例として、導電性カーボンブラックからなる第1導電性粒子11の分散液を第1基布に塗工して導電布2を形成する導電布形成ステップ、並びに、第1導電性粒子11よりも電気伝導率が高い第2導電性粒子12の分散液を第2基布に塗工して第1電極布3と第2電極布4とを形成する電極布形成ステップを有する。一例として、第1導電性粒子11はケッチェンブラックであり、第2導電性粒子12は導電性金属粒子12aと導電性カーボンブラック12bとの混合物であり、前記電極布形成ステップは、破断伸度が100%以上のバインダー樹脂13aと第1導電性粒11子とを混合して塗工し、かつ、前記導電布形成ステップは、破断伸度が100%以上のバインダー樹脂13bと第2導電性粒子12とを混合して塗工する。
この構成によれば、めっき設備のような設備サイズの制約を受けることなく、簡便な塗工作業によって感圧センサを製造することができる。そして、導電性カーボンブラックは、貴金属や導電性高分子化合物と比較して安価に入手できるので、材料費を抑えつつ、高い生産性が得られる。
前記導電布形成ステップと前記電極布形成ステップとの後、第1電極布3と第1電極布3との間の第1隙間3aの位置で非導電性の縫合糸5によって第2電極布4を導電布2に縫い付けるとともに、第2電極布4と第2電極布4との間の第2隙間4aの位置で縫合糸5によって第1電極布3を導電布2に縫い付けて、第1電極布3と第2電極布4との交差領域V1をマトリクス配置で形成する縫製ステップを有する。そして、前記縫製ステップは、ミシンによって縫合糸5を縫い付ける。
この構成によれば、設備サイズの制約を受けることなく、簡便な縫製作業によって感圧センサ1を製造することができる。そして、縫い付けられる電極布の面積は導電布の面積よりも小さいから、材料費を抑えつつ、高い生産性が得られる。尚且つ、縫い付けによって加圧力を検出する交差領域V1の境界が形成されて各交差領域がマトリクス配置で形成されるので、各交差領域V1における加圧力の計測精度を高めることができる。
感圧マットシステム100は、一例としてベッド、ベッド用マット、クッション、椅子用マット、健康マット、カーペットに適用できる。
例えば、感圧マットシステム100を組み込んだベッドやベッド用マットにおける感圧センサ1によって、人の就寝時の寝姿を計測し、磁界発生シート70によって移動磁界を発生させて移動磁界の位置を制御し、エアセルマット80の空気圧調整等によって寝返りを促して褥瘡を防止できる。また、感圧センサ1によって得られた所定部位の圧力波形を分析演算することにより心拍センサや呼吸センサとして、心拍や呼吸等を計測することも可能である。
例えば、感圧マットシステム100を組み込んだクッションまたは椅子用マットにおける感圧センサ1によって、人の着座姿勢の計測や、離席を検知して人の動作の把握を行い、磁界発生シート70によって移動磁界を発生させて移動磁界の位置を制御し、エアセルマット80の空気圧調整等によって姿勢を矯正して肩こりや腰痛を防止できる。
例えば、感圧マットシステム100を組み込んだ健康マットまたはカーペットにおける感圧センサ1によって、人の歩行姿勢の計測や、立位での足圧計測によって被検者に対応する靴のカスタマイズができる。そして、身体との接触抵抗から人の体重を計測することも可能であり、また、人の部屋内移動など生活習慣の計測にも応用可能であり、磁界発生シート70によって感圧マットシステム100に移動磁界を発生させて足裏の血流促進を図ることも可能である。
一般に、椅子やベッドでの圧力分布計測では、感圧センサ1による計測範囲は加圧力が10〜200[mmHg]で十分に計測できる。感圧センサ1による計測頻度が高いのは加圧力が50[mmHg]前後である。
[実施例]
第1導電性粒子11としてケッチェンブラックの微粒子を、バインダーであるウレタン樹脂と水とを混合した混合液を、第1基布であるナイロン編物に塗工して導電布2を形成した。第2導電性粒子12として銀の微粒子12aと導電性カーボンブラック12bとの混合物を、バインダーであるウレタン樹脂と水とを混合した混合液を、第2基布であるナイロン編物に塗工して第1電極布3と第2電極布4とを形成した。そして、ミシンの本縫いによって、ナイロンの縫合糸5で第2電極布4を導電布2に縫い付けるとともに、ナイロンの縫合糸5で第1電極布3を導電布2に縫い付けて、第1電極布3と第2電極布4との交差領域V1をマトリクス配置で形成し、感圧センサ1を試作した。
第1導電性粒子11としてケッチェンブラックの微粒子を、バインダーであるウレタン樹脂と水とを混合した混合液を、第1基布であるナイロン編物に塗工して導電布2を形成した。第2導電性粒子12として銀の微粒子12aと導電性カーボンブラック12bとの混合物を、バインダーであるウレタン樹脂と水とを混合した混合液を、第2基布であるナイロン編物に塗工して第1電極布3と第2電極布4とを形成した。そして、ミシンの本縫いによって、ナイロンの縫合糸5で第2電極布4を導電布2に縫い付けるとともに、ナイロンの縫合糸5で第1電極布3を導電布2に縫い付けて、第1電極布3と第2電極布4との交差領域V1をマトリクス配置で形成し、感圧センサ1を試作した。
図17は試作品の感圧センサ1の交差領域V1(第2行目、第2列目)における、エアバッグによる圧力とコンダクタンスとの関係を例示する感圧特性グラフ図である。グラフの縦軸はコンダクタンス[μS]であり、グラフの横軸は圧力[mmHg]である。
図17に示すとおり、加圧によってコンダクタンスは増加(抵抗値は減少)し、減圧によってコンダクタンスは減少(抵抗値は増加)する。繊維の復元力の性質上、グラフはヒステリシスカーブになる。なお、同一圧力を連続して加えた場合、経過時間に応じてコンダクタンスは緩やかに増加(抵抗値は減少)する(不図示)。
図17に示すとおり、加圧時と減圧時とでは、コンダクタンスは同様の傾斜となり、このことから、再現性の高い計測ができることが判る。
本発明は、上述の実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。上述の実施例は、感圧センサ1はシート部が導電布2であるとして説明したが、これに限定されない。例えば、シート部を誘電体で構成し、第1電極布3と第2電極布4との静電容量を計測する静電容量型の感圧センサとすることができる。静電容量型の感圧センサの場合、シート部は、一例として、厚み方向で容易に弾性変形可能な弾性材料であるゴムや樹脂などの電気絶縁性エラストマで形成される。
また、感圧マットシステム100の形状及びサイズは、既知のベッド、ベッド用マット、クッション、椅子用マット、健康マット、カーペットの仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。
1 感圧センサ
2 導電布、2a 第1主面、2b 第2主面、2c 第1間隔、2d 第2間隔
3 第1電極布、3a 第1隙間、3b 第1電極
4 第2電極布、4a 第2隙間、4b 第2電極
5 縫合糸
7 コントローラ
11 第1導電性粒子(導電性カーボンブラック)
12 第2導電性粒子(導電性金属粒子と導電性カーボンブラックの混合物)
12a 導電性金属粒子、12b 導電性カーボンブラック
13a、13b バインダー樹脂
60 カバー布
70 磁界発生シート
71 磁界発生部(電磁コイル)
72 基板
73 第3電極
74 第4電極
75 磁性体
80 マット
81 エアセル
100 感圧マットシステム
V1 交差領域(感圧部)
2 導電布、2a 第1主面、2b 第2主面、2c 第1間隔、2d 第2間隔
3 第1電極布、3a 第1隙間、3b 第1電極
4 第2電極布、4a 第2隙間、4b 第2電極
5 縫合糸
7 コントローラ
11 第1導電性粒子(導電性カーボンブラック)
12 第2導電性粒子(導電性金属粒子と導電性カーボンブラックの混合物)
12a 導電性金属粒子、12b 導電性カーボンブラック
13a、13b バインダー樹脂
60 カバー布
70 磁界発生シート
71 磁界発生部(電磁コイル)
72 基板
73 第3電極
74 第4電極
75 磁性体
80 マット
81 エアセル
100 感圧マットシステム
V1 交差領域(感圧部)
Claims (7)
- マットと、
前記マットの身体側にマトリクス状に配設される複数の磁界発生部を有する磁界発生シートと、
前記磁界発生シートの身体側に前記磁界発生部と対応するマトリクス状に配設される複数の感圧部を有する感圧センサと、
前記感圧部の圧力分布に応じて前記磁界発生部の磁界を発生させる位置及びタイミングを制御するコントローラと、を備えること
を特徴とする感圧マットシステム。 - 前記磁界発生部は電磁コイルであること
を特徴とする請求項1記載の感圧マットシステム。 - 前記磁界発生シートは多層配線基板を有し、前記多層配線基板に前記電磁コイルが形成されること
を特徴とする請求項2記載の感圧マットシステム。 - 前記電磁コイルの中央部に磁性体が配設されること
を特徴とする請求項2または3記載の感圧マットシステム。 - 前記感圧センサは、導電布と、前記導電布の第1主面に配された第1電極布と、前記導電布の第2主面に配された第2電極布とを備え、前記第1電極布は第1間隔で複数の第1電極が形成されており、前記第2電極布は第2間隔で複数の第2電極が形成されているとともに前記第2電極が前記第1電極と交差するように配されており、前記第1電極と前記第2電極との交差領域が前記感圧部として形成される構成、または、導電布と、前記導電布の第1主面に第1間隔で配された複数の第1電極布と、前記導電布の第2主面に前記第1電極布と交差する方向に第2間隔で配された複数の第2電極布とを備え、前記第1電極布と前記第2電極布との交差領域が前記感圧部として形成される構成であること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の感圧マットシステム。 - 前記感圧センサは縫合糸を有し、前記第1電極布が前記縫合糸によって前記導電布に縫い付けられているとともに、前記第2電極布が前記縫合糸によって前記導電布に縫い付けられていること
を特徴とする請求項5記載の感圧マットシステム。 - 前記導電布、前記第1電極布及び前記第2電極布はいずれも織物である、または、前記導電布、前記第1電極布及び前記第2電極布はいずれも編物であること
を特徴とする請求項5または6記載の感圧マットシステム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20220125516A (ko) * | 2021-03-05 | 2022-09-14 | 하이비스 주식회사 | 도전층간 전류의 독립적 흐름이 보장되는 압력감지재 |
KR20220125515A (ko) * | 2021-03-05 | 2022-09-14 | 하이비스 주식회사 | 도전층간 전류의 독립적 흐름이 보장되는 압력감지재 |
KR102589746B1 (ko) * | 2021-03-05 | 2023-10-17 | 하이비스 주식회사 | 도전층간 전류의 독립적 흐름이 보장되는 압력감지재 |
KR102589753B1 (ko) * | 2021-03-05 | 2023-10-17 | 하이비스 주식회사 | 도전층간 전류의 독립적 흐름이 보장되는 압력감지재 |
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