JP2020012135A - 人工光合成モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】発生した水素と酸素とを効率良く回収できる人工光合成モジュールを提供する。【解決手段】人工光合成モジュールは光により水を分解して酸素を発生させる酸素発生電極と、光により水を分解して水素を発生させる水素発生電極とを有する。酸素発生電極及び水素発生電極は、複数の一方の溝と複数の他方の溝とが交差した交差溝群を有し、酸素発生電極の交差溝群と水素発生電極の交差溝群とは、予め定められた方向におけるピッチが異なる。酸素発生電極及び水素発生電極は並んで配置され、酸素発生電極及び水素発生電極に対向して隔膜が配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光等の光により、水を水素と酸素に分解する人工光合成モジュールに関し、特に、発生した水素の気泡と酸素の気泡を制御する構造及び気泡を分離する構造を備える人工光合成モジュールに関する。
従来から、化石燃料を用いて発電した電気により、水を電気分解して水素を発生させる水素発生装置が提案されている。一方、現在の地球規模による環境破壊、及び恒久的なエネルギー問題等の観点から、化石燃料及び化石資源に頼らないためのクリーンなエネルギーが求められている。
人工光合成は、植物の光合成に学び、化石資源に頼らずに、無尽蔵になる太陽光と水と炭酸ガスによりエネルギー及び資源を得る方法として注目を浴びている。
従来、再生可能なエネルギーである太陽光エネルギーを利用する形態の1つとして、電解水溶液を分解して酸素と水素を製造する装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、光により電解水溶液を分解して酸素を発生させる、酸素発生電極と、光により電解水溶液を分解して水素を発生させる、水素発生電極とを具備し、酸素発生電極は、平板の第1の基板と、第1の基板の上に設けられた第1の導電層と、第1の導電層の上に設けられた第1の光触媒層とを有し、水素発生電極は、平板の第2の基板と、第2の基板の上に設けられた第2の導電層と、第2の導電層の上に設けられた第2の光触媒層とを有する人工光合成モジュールが記載されている。
特許文献1では、酸素発生電極の第1の光触媒層の第1表面、及び水素発生電極の第2の光触媒層の第2表面のうち、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が電解水溶液の流れ方向に対して傾斜しているか、又は少なくとも一方の表面に導電層の導電層表面に対して突出する突出部が少なくとも1つ設けられている。
国際公開第2017/094484号
特許文献1の人工光合成モジュールは、光により電解水溶液を分解して酸素を発生させ、光により電解水溶液を分解して水素を発生させるものである。人工光合成モジュールでは、発生した水素の気泡と酸素の気泡を分離できると、発生した水素と酸素とを効率よく回収できるため好ましいが、特許文献1では発生した水素と酸素との回収について何ら考慮されていない。特許文献1では、発生した水素と酸素とを効率よく回収できないのが現状である。
本発明の目的は、発生した水素と酸素とを効率良く回収できる人工光合成モジュールを提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、光により水を分解して酸素を発生させる、酸素発生電極と、光により水を分解して水素を発生させる、水素発生電極と、を有する、人工光合成モジュールであって、酸素発生電極及び水素発生電極は、複数の一方の溝と複数の他方の溝とが交差した交差溝群を有し、酸素発生電極の交差溝群と、水素発生電極の交差溝群とは、予め定められた方向におけるピッチが異なり、酸素発生電極及び水素発生電極は並んで配置され、酸素発生電極及び水素発生電極に対向して隔膜が配置されている、人工光合成モジュールを提供するものである。
酸素発生電極は、互いに電気的に接続された複数の第1の電極部を有し、第1の電極部は交差溝群を有し、水素発生電極は、互いに電気的に接続された複数の第2の電極部を有し、第2の電極部は交差溝群を有しており、酸素発生電極の複数の各第1の電極部は第1の隙間をあけて並んで配置され、水素発生電極の複数の各第2の電極部は第2の隙間をあけて並んで配置されており、酸素発生電極の複数の第1の電極部が、それぞれ水素発生電極の第2の電極部の第2の隙間に配置され、水素発生電極の複数の第2の電極部が、それぞれ酸素発生電極の第1の電極部の第1の隙間に配置されていることが好ましい。
酸素発生電極の交差溝群のピッチは、水素発生電極の交差溝群のピッチよりも大きいことが好ましい。
酸素発生電極及び水素発生電極のうち、少なくとも一方の電極の交差溝群の一方の溝と他方の溝との交差角度は、80°未満、又は100°超であることが好ましい。
酸素発生電極及び水素発生電極は、設置面に対して傾斜していることが好ましい。
酸素発生電極と、水素発生電極とは、同一面に配置されていることが好ましい。
溝は、幅が0.1〜10.0mmであることが好ましく、溝は、幅が0.5〜2.0mmであることがより好ましい。
酸素発生電極は、交差溝群と第1の陸部とを有し、水素発生電極は、交差溝群と第2の陸部とを有し、第1の陸部及び第2の陸部のうち、少なくとも一方は、親水性の領域と疎水性の領域とを有することが好ましい。
第1の陸部及び第2の陸部は、疎水性の領域の割合が10%以下であることが好ましい。
隔膜は、メッシュ状又は多孔質状であることが好ましい。隔膜の表面は、親水性であることが好ましい。交差溝群の溝は、断面形状が、曲線で構成された形状、円弧と直線で構成された形状、三角形又は矩形であることが好ましい。
本発明によれば、発生した水素と酸素とを効率良く回収できる人工光合成モジュールを得ることができる。
本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例の電極を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の形状の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の形状の他の例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の形状の他の例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの酸素発生電極の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの水素発生電極の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの酸素発生電極の構成の他の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの水素発生電極の構成の他の例を示す模式的断面図である。 隔膜を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第2の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第2の例の電極の配置の一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールを有する人工光合成装置の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の人工光合成モジュールを有する人工光合成装置の第2の例を示す模式図である。 実施例1−1の実験用モジュールを示す模式的断面図である。 実施例1−1の電極の構成を模式図である。 実施例2−1の電極の構成を模式図である。 比較例2の電極の構成を模式的斜視図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の人工光合成モジュールを詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「具体的な数値で表された角度」、「水平」、「平行」、及び「垂直」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、「全部」、「いずれも」又は「全面」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、透明とは、光透過率が、波長380nm〜780nmの領域において、60%以上のことである。上述の光透過率は分光光度計により測定される。分光光度計としては、例えば、紫外可視分光光度計である日本分光製V-770(品名)が用いられる。
なお、透過率をT%とするとき、T=(Σλ(測定物質+基板)/Σλ(基板))×100%で表される。上述の測定物質はガラス基板で、基板リファレンスは空気である。積分の範囲は波長380nm〜780nmの光のうち、光触媒層の受光波長までとする。なお、透過率の測定にはJIS(日本工業規格) R 3106−1998を参考にすることができる。
(人工光合成モジュールの第1の例)
図1は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的断面図であり、図2は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的平面図である。
図1に示す人工光合成モジュール10は、光Lにより水AQを分解して酸素及び水素を発生させるものであり、酸素発生電極12と、水素発生電極14とを有する。酸素発生電極12及び水素発生電極14は並んで配置され、酸素発生電極12及び水素発生電極14に対向して隔膜16が配置されている。
人工光合成モジュール10は、酸素発生電極12と水素発生電極14を有する2電極水分解モジュールであり、例えば、酸素発生電極12と水素発生電極14は水AQに浸漬された状態で水AQの分解に利用される。
人工光合成モジュール10は、酸素発生電極12、水素発生電極14及び隔膜16を収納する容器20を有する。容器20は、例えば、設置面B上に対して予め定められた角度φ傾けて配置されている。酸素発生電極12及び水素発生電極14は、光Lに向けるために、例えば、容器20内に収納された状態で設置面Bに対して予め定められた角度φ、傾斜して配置されている。
酸素発生電極12及び水素発生電極14は、設置面Bに対して傾斜して配置されていれば、容器20内に収納され、容器20と一体に傾斜していることに限定されるものではなく、容器20内で酸素発生電極12及び水素発生電極14が設置面Bに対して傾斜している構成でもよい。
設置面Bは、傾きの基準となる面であり、例えば、水平面である。水平面は、重力の方向に直角な平面である。なお、設置面Bは、水平面に限定されるものではなく、重力に対して垂直な方向と、表面の接線が平行な地面であってもよい。
水素発生電極14と酸素発生電極12の上下位置は、逆でも構わない。また、水素発生電極14と酸素発生電極12とは、容器20の傾きに対して平行に配置されてもよい。
酸素発生電極12は、水AQに浸漬された状態で水AQを分解して酸素を発生させるものであり、例えば、図2に示すように全体が平板状である。
水素発生電極14は、水AQに浸漬された状態で水AQを分解して水素を発生させるものであり、例えば、図2に示すように全体が平板状である。
図1に示すように容器20は、一面が解放された筐体22と、筐体22の解放部分を覆う透明部材24を有する。隔膜16により、容器20内は、透明部材24側の第1の区画23aと、底面22b側の第2の区画23bに区画される。光Lは、例えば、太陽光であり、透明部材24側から入射される。透明部材24についても、上述の透明の規定を満たすことが好ましい。
酸素発生電極12と水素発生電極14とは、例えば、導線18により電気的に接続されている。
例えば、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、第2の区画23b内において、同一面に配置されている。図1では酸素発生電極12と水素発生電極14とは容器20の底面22bに設けられている。例えば、酸素発生電極12及び水素発生電極14と、隔膜16とは、容器20内で光Lの進行方向Diに沿って直列に配置されている。
同一面とは、1つの平面のことであり、具体的には、上述の容器20の底面22bのように1つ面のことである。
なお、酸素発生電極12と水素発生電極14とは同一面に配置されていることに限定されるものではなく、例えば、上述の容器20の底面22bに垂直な方向において、酸素発生電極12と水素発生電極14とを異なる位置に配置してもよい。すなわち、酸素発生電極12と水素発生電極14とを、上述の容器20の底面22bに垂直な方向において離間して設けてもよい。
酸素発生電極12と水素発生電極14とは、例えば、図2に示すように方向Dに沿って並んで配置されている。酸素発生電極12と水素発生電極14との配置は、図2に示すものに限定されるものではなく、例えば、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、容器20の底面22b上に、方向Dと直交する方向に並んで配置してもよい。また、酸素発生電極12と水素発生電極14とは方向Dと直交する方向に並んで配置した場合、容器20の底面22b上に配置されることに限定されるものではない。
第2の区画23bに酸素発生電極12及び水素発生電極14が配置されており、第2の区画23b内で酸素及び水素が発生される。酸素発生電極12と水素発生電極14の上に隔膜16が配置されており、隔膜16により、酸素発生電極12で発生した酸素と、水素発生電極14で発生した水素とが分離される。隔膜16は、後述するように、例えば、複数の貫通孔17(図13参照)を有する構成である。
なお、光Lは容器20に対して透明部材24側から、すなわち、光Lは酸素発生電極12側から入射される。上述の光Lの進行方向Diは透明部材24の表面24aに垂直な方向である。
第1の区画23aでは、第1の壁面22cに供給管26aが設けられ、第1の壁面22cと対向する第2の壁面22dに排出管28aが設けられている。第2の区画23bでは、第1の壁面22cに供給管26bが設けられ、第1の壁面22cと対向する第2の壁面22dに排出管28bが設けられている。供給管26aと供給管26bから水AQが容器20内に供給されて容器20内が水AQで満たされる。なお、2つの供給管26aと供給管26bに限定されるものではなく、まとめて1つの供給管としてもよい。
上述のように、酸素発生電極12で発生した酸素と、水素発生電極14で発生した水素とが隔膜16により分離される。排出管28aから水素を多く含む気体が排出され、水素が回収される。排出管28bから酸素を多く含む気体が排出され、酸素が回収される。
排出管28aから酸素を多く含む気体が排出され、酸素が回収される。排出管28bから水素を多く含む気体が排出され、水素が回収される。酸素を多く含む気体は、例えば、気泡の形態であり、水素を多く含む気体は、例えば、気泡の形態であり、気泡の浮力と、容器20を傾斜して配置したことにより、搬送方向Fの搬送流が生じ、気泡が排出管28a、28bに移動する。
また、上述の人工光合成モジュール10の構成において、供給管26a及び供給管26bと、排出管28a及び排出管28bにおいて、供給管26aを使わず供給管26bのみから水AQを供給し、排出管28aから水AQを排出すると、隔膜16を通過した水素気泡と、水AQに溶解した溶存水素及び溶存酸素を含んだ水AQが排出管28aから回収される。排出管28bからは隔膜16を通過できなかった酸素気泡が回収される。これにより、排出管28aからは、水素を更に多く含む気体が回収され、排出管28bからは、酸素を更に多く含む気体が回収される。
搬送方向Fは、方向Dと同じ方向であり、方向Dは第1の壁面22cから第2の壁面22dに向かう方向である。水AQは方向Dと平行な方向に流れ、方向Dは水AQが流れる方向でもある。
水AQが流れる方向とは、水を循環させる場合、循環水が流れる方向である。また、水AQが流れる方向は、気泡で重力上方向に水流が生じる場合、気泡で生じる流れの最大の方向であり、電極表面等で生じる細かい乱流等を含まない。
なお、筐体22は、例えば、酸素発生電極12及び水素発生電極14を使用した際に、短絡等が発生しない程度の電気絶縁性材料で構成される。筐体22は、例えば、アクリル樹脂で構成される。容器20は、上述の透明の規定を満たすことが好ましい。
水AQには、蒸留水、及び冷却塔等で用いられる冷却水が含まれる。また、水AQには電解水溶液及び電解液も含まれる。ここで、電解水溶液とは、HOを主成分とする液体であり、水を溶媒とし溶質を含む水溶液であってもよい。電解水溶液としては、リン酸水素ナトリウムを含有した硫酸ナトリウムとの混合液であることが好ましい。
図1に示すように、容器20を角度φ傾斜して配置した場合、供給管26a及び供給管26bに比して、排出管28a及び排出管28bが高くなり、発生した酸素及び水素を回収しやすくなる。また、発生した酸素を酸素発生電極12から速やかに移動させ、発生した水素を水素発生電極14から速やかに移動させることができる。これにより、発生した酸素の気泡及び水素の気泡の滞留を抑でき、発生した酸素の気泡及び水素の気泡により光Lが遮られることが抑制される。このため、発生した酸素及び水素の反応効率に与える影響を小さくすることができる。
なお、容器20は、設置面B上に配置してもよい。しかしながら、角度φ傾けて配置した方が発生した気泡を移動させることができるため、容器20は角度φ傾けて配置することが好ましい。
以下、人工光合成モジュール10の各部について説明する。
<電極構成>
図3は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例の電極を示す模式的斜視図である。
人工光合成モジュール10は、酸素発生電極12及び水素発生電極14の両方の電極が複数の一方の溝と複数の他方の溝とが交差した交差溝群を有する。交差溝群は、一方の溝と他方の溝との交差角度が80°未満、又は100°超であることが好ましい。
溝部分で発生気泡の大きさをコントロールするに当たり、気泡上昇方向に対して溝が任意の交差角を有することにより、気泡が目標の大きさに成長した時点でスムーズに電極表面から離脱させることができる。より好ましい範囲としては、交差角度が30°以上80°未満、100°以上150°未満である。
交差溝群を構成する溝は、連続した溝に限定されるものではなく、分断されている箇所があるような不連続な溝であってもよい。分断されている箇所は、例えば、後述する陸部で構成される。交差群を構成する溝は連続している方が、人工光合成モジュールにおいて高いエネルギー変換効率が得られるため好ましい。
酸素発生電極12及び水素発生電極14の電極の構成としては、例えば、図3に示すように、四角錐状の突起15が複数配置された構成である。
突起15は、複数の一方の溝と複数の他方の溝とが交差した交差溝群15cにより形成されたものであり、複数の第1の溝15aと複数の第2の溝15bとにより形成される。
酸素発生電極12の交差溝群15cと、水素発生電極14の交差溝群15cとは、それぞれ予め定められた方向、すなわち、方向Dにおいてピッチが規定されている。ピッチは、酸素発生電極12であれば、方向Dにおける2つの第1の陸部12a間の距離である。水素発生電極14であれば、方向Dにおける第2の陸部14a間の距離である。
酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPと、水素発生電極14の交差溝群15cのピッチPとは異なる。酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPは、水素発生電極14の交差溝群15cのピッチPよりも大きいことが好ましい。すなわち、水素発生電極14の交差溝群15cのピッチP<酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPである。この場合、第1の溝15aの方が第2の溝15bよりも大きいことが好ましい。
酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPと、水素発生電極14の交差溝群15cのピッチPとは、異なっていて、好ましくは水素発生電極14の交差溝群15cのピッチP<酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPであれば、特に限定されるものではなく、0.1mm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは0.5mm〜2.0mmである。
気泡の大きさを約0.1mm〜2.0mmの範囲で任意に制御するには、溝の幅を気泡の大きさと同じサイズにする必要があり、その幅の溝のピッチとしては、溝の幅以上、溝の幅の5倍以下の密度で配置することが好ましい。溝のピッチに関し、水素発生電極では、1.0mm以下であることが好ましく、酸素発生電極では、0.5mm以上であることが好ましい。
第1の溝15aの深さht、及び第2の溝15bの深さhtは、例えば、深さ/幅で表されるアスペクト比により適宜決定されるものである。アスペクト比は、例えば、0.2〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。
なお、突起15の大きさにより形成される気泡の大きさが変わるため、気泡の大きさを制御することができる。突起15が大きい場合、すなわち、溝のピッチが長い場合、形成される気泡が大きくなり、逆に溝のピッチが小さい場合、形成される気泡が小さくなる。
このため、気泡の大きさを制御し、気泡を大きくすることによって隔膜を透過する溶存ガス量を下げて、発生する水素と酸素とを容易に分離して取り出すことができ、しかも純度が高い酸素と水素とを得ることができる。発生する水素と酸素との分離には、例えば、気泡が通過できないメッシュサイズのメッシュ状、又は気泡が通過できないサイズの孔を有する多孔質状の隔膜16を用いる。
図3に示す第1の溝15a及び第2の溝15bは、いずれも断面形状が三角形であり、三角形の頂点が溝の底に位置する形態である。このため、第1の溝15a及び第2の溝15bは、いずれも側面が斜面で構成される。
突起15の先端部が溝以外の部分であり、陸部である。電極の陸部は、電極の最表面に該当する部位である。陸部について、酸素発生電極12では第1の陸部12aといい、水素発生電極14では第2の陸部14aという。
なお、陸部、すなわち、第1の陸部12a及び第2の陸部14aは、突起15の形状により規定されるものであり、突起15の先端に限定されるものではなく、平面状であってもよい。また、溝と陸部との比率は特に限定されるものではないが、陸部の比率の方が多くてもよい。
第1の溝15a及び第2の溝15bは、いずれも水AQと接する側の方が幅が広い等、開放された構成であることが好ましい。第1の溝15a及び第2の溝15bは、いずれも断面形状が三角形であり、水AQと接する側の方が幅が広くなっているが、これに限定されるものではない。断面形状は、曲線で構成された形状、円弧と直線で構成された形状、又は矩形であってもよい。上述の三角形は、特に限定されるものではなく、二等辺三角形でも、非対象の三角形でもよい。
なお、溝の断面形状は、気泡がある程度成長した後に離脱させるために逆三角形であることが好ましい。
溝の断面形状が逆三角形の場合、溝の底部の角度が直角より大きいと開放性が増して、気泡が十分に成長する前に離脱してしまい、小さい気泡となる傾向にある。溝の底部の角度が直角より小さいと気泡が離脱せずに溝に詰まってしまう傾向にある。酸素発生電極12と水素発生電極14とで、気泡の大きさの差をつける場合には、例えば、水素発生電極14では、溝の断面形状が逆三角形の場合、溝の底部の角度を直角より大きくして、小さい気泡を得ることができる。
なお、溝の断面形状は以下のようにして得る。まず、SEM(走査型電子顕微鏡)又は3次元レーザースキャニング顕微鏡等を用いて電極の断面を観察して、溝の画像を取得する。次に、コンピュータに得られた溝の画像を取り込み、画像解析により、溝の画像において溝に該当する領域を抽出して、溝に該当する領域から輪郭抽出により外形を抽出して溝の断面形状を得る。
なお、第1の溝15aの側面及び第2の溝15bの側面は、溝の形状によらず、粗面又は微小な凹凸状であることが好ましい。これにより、第1の溝15a及び第2の溝15bに気泡が発生しやすくなる。上述のSEM(走査型電子顕微鏡)又は3次元レーザースキャニング顕微鏡等を用いて第1の溝15aの側面及び第2の溝15bの側面を観察することにより、粗面又は微小な凹凸状を特定することができる。
粗面又は微小な凹凸状は、例えば、ウェットエッチング、又はサンドブラスト等により形成することができる。
また、陸部、すなわち、第1の陸部12a及び第2の陸部14aのうち、少なくとも一方は、親水性の領域を有することが好ましい。このため、親水性の領域は、第1の陸部12a及び第2の陸部14aの両方にあってもよく、第1の陸部12aにだけあってもよく、第2の陸部14aにだけあってもよい。親水性の領域を有する場合、他の領域は、疎水性であってもよく、親水性と疎水性の中間の性質の状態でもよい。
また、第1の陸部12a及び第2の陸部14aのうち、少なくとも一方は、親水性の領域と疎水性の領域とを有することが好ましい。このため、親水性の領域と疎水性の領域とは、第1の陸部12a及び第2の陸部14aの両方にあってもよく、第1の陸部12aにだけあってもよく、第2の陸部14aにだけあってもよい。親水性の領域と疎水性の領域とを有する場合でも、親水性と疎水性の中間の性質の状態の領域を有してもよい。
上述のように陸部を親水性にすることにより気泡が離れやすくなる。上述のように陸部を疎水性にすることにより気泡が離れにくくなる。第1の陸部12a及び第2の陸部14aにおいて親水性の領域がある場合、溝部分は疎水性であることがより好ましい。これにより、発生した気泡が溝から離れにくくなり、気泡が大きく成長し、溝部分から離れる際には、速やかに離れる。
酸素発生電極12及び水素発生電極14では、上述のように第1の陸部12a及び第2の陸部14aのうち、少なくとも一方について、親水性の領域と疎水性の領域とを有し、全体的に親水性であり、部分的に疎水性である構成とすることにより、親水性の領域では、光触媒層からの気体発生を促し変換能率が向上し、かつ気泡が離れやすくなり流動性がよくなる。部分的に疎水性にすることにより、親水性の領域から流動してきた気泡が、疎水性の領域に付着し、合体して成長する。
陸部の親水性の領域は、例えば、電極を親水性の材質で構成することにより実現することができる。
陸部の疎水性の領域は、例えば、シリコーン樹脂、又はフッ素系樹脂を設けることにより実現することができる。陸部の疎水性の領域は、離散して配置されることが好ましいことから、シリコーン樹脂及びフッ素系樹脂は、例えば、インクジェット法、転写法、スプレイ法、又はスクリーン印刷法等に用いて設けることが好ましい。
上述のように第1の陸部12a及び第2の陸部14aは、親水性の領域と疎水性の領域とを有する場合、疎水性の領域の割合が10%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.1%以下である。第1の陸部12a及び第2の陸部14aにおいて、疎水性の領域の割合は小さい程好ましい。
陸部の親水性の領域は、酸素発生電極12及び水素発生電極14について、それぞれ水AQとの接触角を求めることにより特定される。接触角はθ/2法で測定される。接触角が0°〜10°未満であれば親水性である。
陸部の疎水性の領域は、酸素発生電極12及び水素発生電極14について、それぞれ水AQとの接触角を求めることにより特定される。接触角はθ/2法で測定される。接触角が90°以上であれば疎水性である。
疎水性の領域の割合は、インクジェット法で疎水性の領域を形成した場合、打滴の面積から求めることができる。インクジェット法以外の場合、マスク又は版におけるパターンから測定することにより、疎水性の領域の割合を求めることができる。
なお、第1の陸部12a及び第2の陸部14aは、親水性と疎水性との中間状態があってもよい。中間状態とは、接触角はθ/2法で測定される接触角が10°以上90°未満である。
例えば、図3に示す構成の酸素発生電極12及び水素発生電極14について、第1の溝15aを、配置方向Dg1を方向Dと平行にして配置した場合、第1の溝15aが縦溝になり、第2の溝15bが横溝になる。
図3に示す構成の酸素発生電極12及び水素発生電極14は、例えば、第1の溝15aが、水が流れる方向Dと平行な方向に配置されている。すなわち、第1の溝15aの配置方向Dg1が水が流れる方向Dと平行である。第2の溝15bが、水が流れる方向Dと直交して、すなわち、90°傾斜している。すなわち、第2の溝15bの配置方向Dg2が、水が流れる方向Dに対して90°傾斜している。
酸素発生電極12及び水素発生電極14で光Lによる水AQの分解が開始されると突起15で気泡が発生し成長する。ある程度の大きさに気泡が成長すると、突起から離脱して溝の斜面に沿うように移動する。気泡が移動する時に他に気泡と合体することが多い。第1の溝15aに移動したものは浮力によって、第1の溝15aに沿って移動する。第1の溝15aを移動する気泡が多くなると、気泡の搬送流が発生し、水AQ自体の流れとなり加速して気泡と水AQの高速移動バイパスとなる。
一方、第2の溝15bに移動したものは、第2の溝15bの隙間に留まり、気泡が合体して更に大きくなる。第2の溝15bは第1の溝15aの搬送流に対して淀みとなるので、気泡は安定して成長する。溝の幅より大きくなると第1の溝15aの流れに触れて、気泡は第2の溝15bから離脱して浮力、又は第1の溝15aの搬送流により流れる。すなわち、第2の溝15bで成長する気泡は、略第2の溝15bの幅の大きさで離脱していく。このことから、第2の溝15bの幅を調整することにより、気泡の大きさを変えることができる。
また、突起15を親水化することにより、突起15で発生した気泡は突起15に留まれずに速やかに離脱して、溝を移動することにより、上述の気泡の成長と気泡の移動の一連のプロセスを加速する効果が生じる。
なお、第1の溝15aの幅d1、及び第2の溝15bの幅d2は、0.1〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0mmである。
上述の第1の溝15aの幅d1、及び第2の溝15bの幅d2は、例えば、図3に示すように、溝の断面形状が三角形の場合、底辺部分の幅であり、すなわち、第1の陸部12aの先端の中心位置と、第1の陸部12aの先端の中心位置との距離のことである。
なお、上述の気泡の成長と移動の一連のプロセスは、電極が傾いているとき、すなわち、電極に沿って気泡が位置するときに効果がある。このため、容器20が設置面B上に置かれている等の、電極が傾いていない場合には、気泡が離脱する効果が少ない。逆に、容器20が角度φ傾いているときは、すなわち、電極が傾いているときには、溝に沿うように気泡が移動するので気泡が離脱する効果が高い。
このようにして、発生した酸素の気泡50又は水素の気泡52を速やかに排出することができ、発生した酸素の気泡及び水素の気泡により光Lが遮られることにより生じる光電解効率の低下を抑制することができる。また、発生した酸素の気泡又は水素の気泡の排出に、水AQを循環させる等の強制力が必ずしも必要ではなく、人工光合成モジュール10全体を動作させるに要するエネルギーを減らすことができ、人工光合成モジュール10のランニングコストを下げることができる。気泡を移動させるために水AQを循環させる場合でも、気泡が離脱する効果が高く、気泡による流れが生じるため、消費するエネルギーを少なくできる。
<電極構成>
図4は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の第1の例を示す模式図であり、図5は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の第2の例を示す模式図である。図6は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の形状の一例を示す模式的斜視図であり、図7は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の形状の他の例を示す模式的斜視図であり、図8は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの電極の形状の他の例を示す模式的斜視図である。
酸素発生電極12の交差溝群15c及び水素発生電極14の交差溝群15cは、交差角度が80°未満、又は100°超で配置されることが好ましく、上述の図3に示す四角錐状の突起15の構成に限定されるものではなく、例えば、図4及び図5に示す菱形の突起15でもよい。例えば、菱形の突起15は、図6に示す四角柱で構成される。
また、突起15の形状は四角錐以外に、図7に示すように四角錐台でもよく、図8に示すように半球状でもよい。図7に示す四角錐台の場合、第1の陸部12a及び第2の陸部14aは、いずれも平面になる。図6に示す四角柱の場合、第1の陸部12a及び第2の陸部14aは、いずれも平面になる。また、図8に示す半球状の場合、第1の陸部12a及び第2の陸部14aは、いずれも曲面になる。
図4に示す構成の酸素発生電極12及び水素発生電極14は、例えば、交差角度が76°である。第1の溝15aが、水が流れる方向に対して52°傾斜している。すなわち、第1の溝15aの配置方向Dg1が、水が流れる方向Dに対して52°傾斜している。第2の溝15bが、水が流れる方向に対して52°傾斜している。すなわち、第2の溝15bの配置方向Dg2が、水が流れる方向Dに対して52°傾斜している。
図5に示す構成の場合、酸素発生電極12及び水素発生電極14は、例えば、交差角度が104°である。
第1の溝15aが、水が流れる方向に対して38°傾斜している。すなわち、第1の溝15aの配置方向Dg1が、水が流れる方向Dに対して38°傾斜している。第2の溝15bが、水が流れる方向に対して38°傾斜している。すなわち、第2の溝15bの配置方向Dg2が、水が流れる方向Dに対して38°傾斜している。
第1の溝15aの配置方向Dg1は、突起15の縁に沿った方向である。第2の溝15bの配置方向Dg2は、突起15の縁に沿った方向である。水が流れる方向に対して溝が傾斜する構成では、気泡が溝幅のサイズに成長した後に、気泡が離脱するため好ましく、気泡の成長と気泡の離脱の両立を図ることができ、これにより、エネルギー変換効率を高くすることができる。
酸素発生電極12及び水素発生電極14は、例えば、シェービング加工又は切削加工により形成することができる。
より具体的には、例えば、溝断面形状に成形したバイトを用い、基板にシェービング加工を施し第1の溝15aを形成する。そして、交差溝の交差角に応じて基板を回転させて、基板にシェービング加工を施し第2の溝15bを形成する。また、先端を溝断面形状に成形したダイヤモンドディスクカッターを用いて切削加工を施して、第1の溝15a及び第2の溝15bを形成することができる。
<電極構造>
図9は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの酸素発生電極の構成の一例を示す模式的断面図であり、図10は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの水素発生電極の構成の一例を示す模式的断面図である。
図11は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの酸素発生電極の構成の他の例を示す模式的断面図であり、図12は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの水素発生電極の構成の他の例を示す模式的断面図である。
酸素発生電極12は、図9に示すように第1の基材31の表面全面に第1の光触媒層31aが設けられている。第1の光触媒層31aは、酸素生成用の光触媒で構成されている。第1の基材31の先端が第1の陸部12aになる。なお、第1の光触媒層31aの表面に、酸素生成用の助触媒(図示せず)を設けてもよい。酸素発生電極12は、第1の光触媒層31aが、第1の基材31のうち、溝に設けられることなく第1の陸部12aに相当する領域にだけ設けられた構成でもよい。
水素発生電極14は、図10に示すように第2の基材33の表面全面に第2の光触媒層33aが設けられている。第2の光触媒層33aは、水素生成用の光触媒で構成されている。第2の基材33の先端が第2の陸部14aになる。なお、第2の光触媒層33aの表面に、水素生成用の助触媒(図示せず)を設けてもよい。水素発生電極14は、第2の光触媒層33aが、第2の基材33のうち、溝に設けられることなく第2の陸部14aに相当する領域にだけ設けられた構成でもよい。
なお、酸素発生電極12及び水素発生電極14は並んで配置されるため、酸素発生電極12の第1の基材31及び水素発生電極14の第2の基材33は透明である必要がない。
酸素発生電極12は、図9に示す構成に限定されるものではなく、図11に示す構成でもよい。なお、図11は酸素発生電極12の層構成を示すものであるため、電極の形状は省略している。
図11に示す酸素発生電極12は、第1の基板30と、第1の基板30上、すなわち、表面30aに設けられた第1の導電層32と、第1の導電層32上、すなわち、表面32aに設けられた第1の光触媒層34と、第1の光触媒層34の少なくとも一部に担持された第1の助触媒36とを有する。
第1の助触媒36は、例えば、複数の助触媒粒子37で構成されている。これにより、第1の光触媒層34の表面34aへの光Lの入射光量の低下が抑制される。酸素発生電極12では、第1の助触媒36は第1の光触媒層34に接しているか、又は正孔が移動できる層を介在して存在し、水AQと接していることが必要である。
第1の光触媒層34の吸収端は、例えば、400nm〜800nm程度である。
ここで、吸収端とは、連続吸収スペクトルにおいて波長がこれ以上長くなると吸収率が急激に減少するようになる部分又はその端のことであり、吸収端の単位はnmである。酸素発生電極12は、全体の厚みが2mm程度であることが好ましい。
水素発生電極14は、図10に示す構成に限定されるものではなく、図12に示す構成でもよい。なお、図12は水素発生電極14の層構成を示すものであるため、電極の形状は省略している。
図12に示す水素発生電極14は、第2の基板40と、第2の基板40上、すなわち、表面40aに設けられた第2の導電層42と、第2の導電層42上、すなわち、表面42aに設けられた第2の光触媒層44と、第2の光触媒層44の少なくとも一部に担持された第2の助触媒46とを有する。水素発生電極14の第2の光触媒層44の吸収端は、例えば、600nm〜1300nm程度である。
第2の助触媒46は第2の光触媒層44の表面44aに設けられている。第2の助触媒46は、例えば、複数の助触媒粒子47で構成されている。これにより、第2の光触媒層44の表面44aへの光Lの入射光量の低下が抑制される。
水素発生電極14では、光Lを吸収した際に生成するキャリアが発生し、水AQを分解して水素が発生する。水素発生電極14では、第2の光触媒層44の表面44aにn型伝導性を持つ材料を積層させpn接合を形成することも好ましい。水素発生電極14の各構成については後に詳細に説明する。
なお、酸素発生電極12及び水素発生電極14は並んで配置されるため、酸素発生電極12の第1の基板30及び水素発生電極14の第2の基板40は透明である必要がない。
<隔膜の構成>
隔膜16は、特に限定されるものではないが、酸素及び水素が気泡の形態で発生するものを分けるためにメッシュ状又は多孔質状であることが好ましい。隔膜16には、例えば、図13に示す構成の隔膜16を用いることができる。図13は隔膜を示す模式的斜視図である。
隔膜16は、貫通孔17を有する膜で構成され、かつ、温度10℃〜80℃の水に浸漬された状態において、波長250nm〜800nmの波長域の光透過率が60%以上である。
図13に示すように隔膜16は、複数の貫通孔17がある。各貫通孔17は、例えば、表面16aから裏面16bに貫通するものである。貫通孔17は、表面16aから裏面16bを貫通していれば、表面16aに対して垂直に貫通するものに、特に限定されるものではない。隔膜16が2次元メッシュ構造の場合、例えば、メッシュの開口部が貫通孔17である。隔膜16が3次元網目構造の場合、網目が貫通孔17である。隔膜16が繊維で構成されている場合、繊維同士の隙間により形成される穴も貫通孔17に含まれる。
隔膜16が水AQに浸漬された状態とは、隔膜16の全体が水の内部にあり、隔膜16の表面16a上と裏面16b上に水が存在している状態のことである。
上述のように酸素発生電極12では酸素が発生し、水素発生電極14では水素が発生する。発生した酸素及び発生した水素は、いずれも水AQ内に溶存するが、発生した酸素及び発生した水素が多く、水AQに溶存しきれない場合には、酸素及び水素が水AQ内で気体の状態で存在することがある。水AQ内に溶存しない酸素が水AQ内で集合体となったものを酸素の気泡という。水AQ内に溶存しない水素が水AQ内で集合体となったものを水素の気泡という。
酸素の気泡及び水素の気泡は、いずれも径が10μm以上1mm以下程度である。酸素の気泡及び水素の気泡のことを、まとめて、単に気泡ともいう。気泡の径は、気泡が球であれば直径であり、球でなければ球の直径に相当する相当径である。
酸素の気泡及び水素の気泡は、いずれも一定の大きさになるまでは、酸素発生電極12の第1の光触媒層34の表面及び水素発生電極14の第2の光触媒層44の表面に留まる。
また、径が大きい気泡、すなわち、大きいサイズの気泡は、浮力により酸素発生電極12の表面及び水素発生電極14の表面から脱離するが、隔膜16が親水性の場合、隔膜16には付着せず、浮力等により容器20内から外部に運ばれる。このため、気泡の付着を抑制する場合には、隔膜16の表面16a及び裏面16bは、親水性であることが好ましい。
さらには、隔膜16が親水性の場合、水AQが容易に透過できる。かつ、気泡界面の表面エネルギーの関係で、気泡が弾かれるため、隔膜16の貫通孔17の孔径より大きい気泡は絶対に通過できず、貫通孔17の孔径より小さい気泡は、隔膜16に引っかからずに通過できる。
酸素の気泡の径及び水素の気泡の径は、以下のようにして測定することができる。
容器20内を、酸素発生電極12の表面及び水素発生電極14の表面を含めて、デジタルマイクロスコープを用いて撮像し、拡大して撮像された、容器20内の撮像画像を得る。撮像画像内で気泡を確認する。
例えば、デジタルマイクロスコープには、キーエンス社製VHX−5000を用い、気泡の確認には、VHX−5000ユーザー用 画像解析ソフト(キーエンス社製)を用いることができる。
平均気泡径を求めるための気泡の数を予め設定しておくことにより、酸素の気泡の気泡径及び水素の気泡の気泡径を求めることで、平均気泡径を得ることができる。
隔膜16は、水AQを通過させるが、酸素の気泡と水素の気泡を通過させるものではない。このため、隔膜16は、酸素の気泡50の平均気泡径及び水素の気泡52の平均気泡径よりも小さい孔径の貫通孔17を有することが好ましい。
具体的には、図13に示すように、酸素の気泡50及び水素の気泡52の平均気泡径をDbとし、貫通孔17の孔径をDhとするとき、Dh<Dbである。この場合、隔膜16の貫通孔17を水AQは通過するので、水AQに溶存した酸素及び水素は貫通孔17を通過することになるが、酸素の気泡50及び水素の気泡52が貫通孔17を通過することは抑制される。
隔膜16の貫通孔17の平均孔径は0.1μm〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは0.1μm〜10μmである。貫通孔17の平均孔径が0.1μm〜100μmであれば、水AQは貫通孔17を通過し、結果として水AQに溶存した酸素及び水素が隔膜16を通過するが、酸素の気泡50及び水素の気泡52の通過は抑制される。なお、水AQに溶存した酸素と水素が移動しても、水AQ内の酸素及び水素の溶存量は少ないため、酸素と水素が混合する量は、発生する酸素と水素に比して少ない。これにより、第1の区画23aから酸素が回収され、第2の区画23bから水素が回収される。
通過が必要なプロトン及びイオンのサイズは孔径に比較して遥かに小さいものであり、隔膜16では、イオン透過膜の一種であるナフィオン(登録商標)とは異なり、プロトン及びイオンの通過により抵抗は生じない。このため、隔膜16については、孔径が大きい方が膜厚を厚くできるため、耐久性に優れ好ましい。
また、ナフィオン(登録商標)のような高分子電解質では、電解に必要なプロトン及びイオンのみを、その高分子間に含有する水分子によって伝導する。
一方、隔膜16では、一定サイズの気泡は通さないが、水AQ自体は自由に行き来できる大きな孔を有するので、ナフィオン(登録商標)に比較して膜内に多くの水分子を含有し、プロトン及びイオンの伝導度は高く、電解電圧を低く抑えることができる。
また、従来は発生する水素は、純度が高純度であることが求められていたため、水AQ自体が自由に行き来することで、水素の純度が下がる虞がある隔膜16自体、着想することができない。
隔膜16の貫通孔17の平均孔径は、以下に示す顕微鏡観察法を用いて求める。
顕微鏡観察法は、隔膜16の表面16aについて、電子顕微鏡を用いて倍率100倍〜10000倍程度で観察する。観察の結果、大きいと思われる、最低20個の貫通孔17について撮像し、撮像して得られた画像に現れる不定形の貫通孔17に対して、その貫通孔17に内接する様な円を描き、内接する円の直径をその貫通孔17の孔径とする。
最低20個の貫通孔17の孔径分布の標準偏差σを計算し、3σをカバーする大きさを求める。3σをカバーする大きさを、隔膜16の貫通孔17の平均孔径とする。
隔膜16の貫通孔17の平均孔径の測定には、解析ソフトとして、日鉄住金テクノロジー社製の「粒子解析 Ver.3.5」を用いることができる。「粒子解析 Ver.3.5」の最小径が、上述の内接する円の直径に相当する。
隔膜16の光透過率は、隔膜16の厚み依存性がある。このため、隔膜16は、波長250nm〜800nmの波長域の光透過率が60%以上となる厚みdとすることが好ましい。厚みdは、0.01mm〜0.5mmであることが好ましい。
隔膜16の厚みdは、隔膜16の表面16aと裏面16bとの距離のことである。
隔膜16は親水性を有することが好ましい。隔膜16の表面16a及び裏面16bが親水性であることが好ましい。隔膜16の表面16aと裏面16bは、それぞれ酸素の気泡50又は水素の気泡52と接する面である。
例えば、隔膜16の表面16aと裏面16bに親水性処理を施した親水性面とすることができる。なお、隔膜16自体の性質が親水性であってもよい。
隔膜16には、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が用いられる。PTFEは、通常、撥水性を有するが、例えば、アルコールに浸す等の親水性処理を施すことにより、水に対する接触角が小さくなり、親水性を示すものとなる。隔膜16には、例えば、親水性PTFEメンブレンフィルターが用いられる。
また、隔膜16への親水性処理としては、PVA(ポリビニルアルコール)樹脂を含浸させて架橋させる方法があり、この方法では、親水化処理の耐久性を向上させることができる。
親水性とは、水に対する接触角で規定されるものである。接触角は、酸素の気泡50又は水素の気泡52を弾く角度であることが好ましい。
少なくとも表面16a及び裏面16bが親水性を有する隔膜16とすることで、隔膜16に水AQが浸み込みやすくなり、酸素の気泡50又は水素の気泡52により貫通孔17が塞がれなくなる。これにより、隔膜16の貫通孔17を水AQが通過しやすくなり、結果として水AQ中のプロトン及びイオンが通過しやすくなり、エネルギー変換効率が上がる。また、親水性を有する隔膜16とすることで、酸素の気泡50又は水素の気泡52が隔膜16の表面16a及び裏面16bで弾かれ、酸素の気泡50及び水素の気泡52が貫通孔17を通過しにくくなる。これにより、酸素と水素の混合が抑制され、酸素及び水素を回収することができる。
酸素の気泡50及び水素の気泡52が貫通孔17を通過しにくくなると同時に、隔膜16の表面16a及び裏面16bに酸素の気泡50及び水素の気泡52が付着しにくくなるので、酸素の気泡50及び水素の気泡52が速やかに水AQの流れと共に排出される。更には酸素の気泡50及び水素の気泡52が隔膜16に付着しないことにより、隔膜16の有効面積が確保されるため、エネルギー変換効率が上がる。また、隔膜16に酸素の気泡50及び水素の気泡52が付着した場合、光Lの利用効率を下げる虞があるが、このことも抑制され、エネルギー変換効率が上がる。
また、人工光合成モジュール10では、隔膜16を用いて、水素を多く含む気体と、酸素を多く含む気体とを容易に分離して取り出すことができ、後工程の水素ガス精製工程及び酸素ガス精製工程の消費エネルギー及び設備の負荷を軽減でき、しかも純度が高い酸素と水素とを得ることができる。
上述のように、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、突起15の大きさ及び配置が異なっており、酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPと、水素発生電極の交差溝群15cのピッチPとが異なる。例えば、図3に示すように、酸素発生電極12の突起15の方が、水素発生電極14の突起15よりも大きい。すなわち、酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPは、水素発生電極14の交差溝群15cのピッチPよりも大きい構成であることが好ましい。交差溝群15cでは、突起15は第1の溝15aと第2の溝15bとにより形成されるが、第1の溝15a及び第2の溝15bのうち、少なくとも一方の配置ピッチを大きくすることにより、突起15が大きくなる。すなわち、交差溝群15cのピッチが大きくなる。突起15が大きい場合、すなわち、配置ピッチが大きい場合、形成される気泡が大きくなり、逆にピッチが小さい場合、形成される気泡が小さくなる。このため、突起15の大きさ、すなわち、溝のピッチを変えることにより、気泡の大きさを変えることができる。このため、例えば、水素の気泡を小さくし、酸素の気泡を大きくすることにより、図13に示す構成の隔膜16を用いて、水素を多く含む気体と、酸素を多く含む気体とを容易に分離して取り出すことができ、後工程の水素ガス精製工程及び酸素ガス精製工程の消費エネルギー及び設備の負荷を軽減し、しかも純度が高い酸素と水素とを得ることができる。
このことから、隔膜16の機能としては、水素の気泡は通過して、酸素の気泡は通過しないことが好ましく、貫通孔17の平均孔径は10μm〜2000μmであることが好ましく、更に好ましくは10μm〜500μmである。
さらに、隔膜16において、水素の気泡は通過して酸素の気泡は通過しないようにするために、酸素発生電極上に酸素の気泡を大きく成長させるための膜を配置してもよい。この場合、膜により、酸素の気泡が隔膜16の孔径以上に成長が助長されて、水素と酸素とをさらに効率よく分離できる。膜は、例えば、疎水性のメッシュ状のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜で構成される。
(人工光合成モジュールの第2の例)
次に、人工光合成モジュールの第2の例について説明する。
図14は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第2の例を示す模式的断面図であり、図15は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第2の例の電極の配置の一例を示す模式的平面図である。
なお、図14及び図15において、図1〜図3に示す人工光合成モジュール10、並びに酸素発生電極12及び水素発生電極14と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図14に示す第3の例の人工光合成モジュール10bは、図1に示す人工光合成モジュール10に比して、酸素発生電極12と水素発生電極14との構成、及び酸素発生電極12と水素発生電極14との配置構成が異なり、それ以外の構成は図1に示す人工光合成モジュール10と同じである。
人工光合成モジュール10bは、酸素発生電極12と水素発生電極14とが同一面に配置されている。図14では酸素発生電極12と水素発生電極14とは容器20の底面22bに設けられており、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、例えば、図2に示すように方向Dに沿って並んで配置されている。
また、図14に示すように酸素発生電極12と水素発生電極14の上に、間隔をあけて隔膜16が配置されている。図14に示す人工光合成モジュール10bでは、隔膜16により、酸素発生電極12で発生した酸素と、水素発生電極14で発生した水素とが分離される。排出管28aから水素を多く含む気体が排出され、水素が回収される。排出管28bから酸素を多く含む気体が排出され、酸素が回収される。
隔膜16に対して酸素発生電極12側から見た場合、水素発生電極14の複数の各第2の電極部61aがそれぞれ酸素発生電極12の後述の第1の電極部60aの第1の隙間60bに配置されている。また、酸素発生電極12の第1の電極部60aと水素発生電極14の第2の電極部61aとは、隙間63を設けて配置されている。
図15に示すように、酸素発生電極12は、例えば、平板で構成されており、長方形状の第1の電極部60aと長方形状の第1の隙間60bと、複数の第1の電極部60aが接続される基部60cを有する。第1の電極部60aと第1の隙間60bとが方向Dに交互に配置されており、複数の各第1の電極部60aは第1の隙間60bをあけて並んで配置されている。
複数の第1の電極部60aは基部60cと一体であり、複数の第1の電極部60aはそれぞれ互いに電気的に接続されている。第1の電極部60aは交差溝群を有し、さらに第1の陸部(図示せず)を有する。
水素発生電極14は、例えば、平板で構成されており、長方形状の第2の電極部61aと長方形状の第2の隙間61bと、複数の第2の電極部61aが接続される基部61cとを有する。第2の電極部61aと第2の隙間61bとが方向Dに交互に配置されており、複数の各第2の電極部61aは第1の隙間60bをあけて並んで配置されている。
複数の第2の電極部61aは基部61cと一体であり、複数の第2の電極部61aはそれぞれ互いに電気的に接続されている。第2の電極部61aは交差溝群を有し、さらに第2の陸部(図示せず)を有する。
第1の電極部60aの配置方向と第2の電極部61aの配置方向とは、例えば、方向Dに一致されている。
酸素発生電極12と水素発生電極14とは並べて配置されており、酸素発生電極12の複数の第2の電極部61aが、それぞれ水素発生電極14の第1の隙間60bに配置されており、水素発生電極14の第2の電極部61aが、それぞれ酸素発生電極12の第1の隙間60bに配置されている。
酸素発生電極12と水素発生電極14とは、図15に示すようにいずれも櫛歯状の電極であり、第1の電極部60aと第2の電極部61aが櫛歯電極の櫛歯に相当する。酸素発生電極12と水素発生電極14は、いずれも櫛形電極と呼ばれるものである。
第1の隙間60bと第1の電極部60aとの間には、方向Dと直交する方向Mにおいて第1の電極部60aの両側に隙間63が生じるが、隙間63は両側とも同じであってもよく、異なっていてもよい。また、第1の隙間60bと第2の電極部61aとの間には方向Mにおいて第2の電極部61aの両側に隙間63が生じるが、この場合でも、隙間63は両側とも同じであってもよく、異なっていてもよい。
酸素発生電極12の第1の電極部60aの幅tは、酸素発生電極12を方向Dに垂直な方向から見た場合における第1の電極部60aの辺の長さである。水素発生電極14の第2の電極部61aの幅tは、水素発生電極14を方向Dに垂直な方向から見た場合における第2の電極部61aの辺の長さである。第1の電極部60aの幅t及び第2の電極部61aの幅tは、それぞれ10μm〜10mmであることが好ましい。
第1の電極部60aの厚さ(図示せず)及び第2の電極部61aの厚さ(図示せず)は、いずれも1mm以下であることが好ましい。
第1の電極部60aの幅t及び第2の電極部61aの幅t、並びに第1の電極部60aの厚さ及び第2の電極部61aの厚さについては、以下のようにして得ることができる。
第1の電極部60aの幅t及び第2の電極部61aの幅tについては、酸素発生電極12側から、方向Dに垂直な方向の酸素発生電極12と水素発生電極14とのデジタル画像を取得し、デジタル画像をパーソナルコンピュータに取り見込み、モニタに表示し、モニタ上で第1の電極部60aの幅t及び第2の電極部61aの幅tに相当する部分に線をひく。この線の長さを求めることで、第2の電極部61aの幅tを得る。
第1の電極部60aの厚さ及び第2の電極部61aの厚さについては、酸素発生電極12と水素発生電極14のデジタル画像を取得し、デジタル画像をパーソナルコンピュータに取り見込み、モニタに表示し、モニタ上で第1の電極部60aの厚さ及び第2の電極部61aの厚さに相当する部分に線をひく。この線の長さを求めることで、第1の電極部60aの厚さ及び第2の電極部61aの厚さを得る。
なお、水素発生効率と酸素発生効率とは同じではないため、酸素発生電極12と水素発生電極14との面積は同じとは限らない。得ようとする水素及び酸素の量に応じて、酸素発生電極12と水素発生電極14の面積を変えることが好ましい。酸素発生電極12の第1の電極部60aの幅tは、水素発生電極14の第2の電極部61aの幅tよりも広いことが好ましい。これにより、発生する水素と酸素の量を略等量にすることができる。
なお、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、例えば、図14に示すように方向Dに沿って並んで配置されることに限定されるものではなく、例えば、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、容器20の底面22b上に、方向Dと直交する方向に並んで配置してもよい。また、酸素発生電極12と水素発生電極14とは方向Dと直交する方向に並んで配置した場合、容器20の底面22b上に配置されることに限定されるものではない。
人工光合成モジュール10bは、図1に示す人工光合成モジュール10と同じく、発生した酸素の気泡50(図3参照)又は水素の気泡52(図3参照)を速やかに排出することができ、発生した酸素の気泡50(図3参照)及び水素の気泡52(図3参照)により光Lが遮られることにより生じる光電解効率の低下を抑制することができる。また、発生した酸素の気泡50(図3参照)又は水素の気泡52(図3参照)の排出に、水AQを循環させる等の強制力が必ずしも必要ではなく、人工光合成モジュール10b全体を動作させるに要するエネルギーを減らすことができ、人工光合成モジュール10bのランニングコストを下げることができる。気泡を移動させるために水AQを循環させる場合でも、消費するエネルギーを少なくできる。
人工光合成モジュール10bは、上述の人工光合成モジュール10と同じく隔膜16を酸素発生電極12と水素発生電極14の上方に設けている。この場合、上述の人工光合成モジュール10と同じく、酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPと、水素発生電極14の交差溝群15cのピッチPとが異なるものとし、好ましくは水素発生電極14の交差溝群15cのピッチP<酸素発生電極12の交差溝群15cのピッチPとすることにより、水素の気泡を小さくし、酸素の気泡を大きくして、図13に示す構成の隔膜16を用いて、水素を多く含む気体と、酸素を多く含む気体とを容易に分離して取り出すことができ、後工程の水素ガス精製工程及び酸素ガス精製工程の消費エネルギー及び設備の負荷を軽減し、しかも純度が高い酸素と水素とを得ることができる。
なお、人工光合成モジュール10bでも酸素発生電極12及び水素発生電極14は複数の一方の溝と複数の他方の溝とが交差した交差溝群を有し、一方の溝と他方の溝との交差角度が80°未満、又は100°超で配置されることが好ましい。
なお、酸素発生電極12及び水素発生電極14は、図15に示す構成に限定されるものではなく、水が流れる方向Dに対して90°回転させて配置してもよい。
なお、水分解反応は、電解液中のイオンが水素発生電極14と酸素発生電極12の間を移動することにより進行するため、電極全面に渡り平均したイオン移動距離が短くなる人工光合成モジュール10bの電極構成の方が、人工光合成モジュール10aの電極構成よりも水分解反応が促進され、水分解効率がアップするという優位性がある。
(人工光合成装置)
人工光合成モジュール10、10bでは、水AQを供給するための供給部(図示せず)と、人工光合成モジュール10、10bから排出される水AQを回収する回収部(図示せず)とを設けてもよく、人工光合成装置としてもよい。
供給部には、ポンプ等の公知の水の供給装置が利用可能であり、回収部にはタンク等の公知の水の回収装置が利用可能である。
供給部は供給管26a、26bを介して人工光合成モジュール10、10a、10bに接続し、回収部は排出管28a、28bを介して人工光合成モジュール10、10a、10bに接続して、回収部で回収された水AQを供給部に循環させて、水AQを再利用することもできる。
また、水AQを隔膜16の表面16a(図13参照)及び裏面16b(図13参照)に対して平行に流す。この場合、更にハニカム整流板を設けてもよい。以下、人工光合成装置についてより具体的に説明する。
図16は本発明の実施形態の人工光合成モジュールを有する人工光合成装置の第1の例を示す模式図であり、図17は本発明の実施形態の人工光合成モジュールを有する人工光合成装置の第2の例を示す模式図である。
なお、図16及び図17において、図1〜図3に示す人工光合成モジュール10、並びに酸素発生電極12及び水素発生電極14と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図16に示す人工光合成装置100aは、人工光合成モジュール10を有するものであり、第1の区画23aに水素用管109が設けられ、水素用管109に水素回収部108が接続されている。第2の区画23bに酸素用管107が設けられ、酸素用管107に酸素回収部106が接続されている。排出管28aが第1のタンク102aに接続され、排出管28bが第2のタンク102bに接続されている。
第1のタンク102aと第1の区画23aとが供給管26aにより接続されている。供給管26aには、ポンプ104が設けられている。ポンプ104により、第1のタンク102aに貯蔵された水AQが第1の区画23aに供給される。
第2のタンク102bと第2の区画23bとが供給管26bにより接続されている。供給管26bには、ポンプ104が設けられている。ポンプ104により、第2のタンク102bに貯蔵された水AQが第2の区画23bに供給される。人工光合成モジュール10では水AQは、方向Dに供給される。また、人工光合成モジュール10は、容器20内は酸素用管107及び水素用管109側では、隔膜16ではなく隔壁19が設けられている。隔壁19は気体を透過させない構成であり、容器20内で発生し分離された水素と酸素との混合が抑制される。なお、人工光合成装置100aでは人工光合成モジュール10は、設置面Bに対して45°傾けて配置されている。
人工光合成装置100aでは、ポテンショスタットを用いて、人工光合成モジュール10の酸素発生電極12と水素発生電極14に一定の電流を供給すると、酸素発生電極12から酸素が、水素発生電極から水素が発生する。発生した酸素及び水素は隔膜16により分離される。また、人工光合成モジュール10の上部に酸素と水素が気体として溜まり、隔壁19で水素と酸素との混合が抑制され、酸素が酸素回収部106に回収され、水素が水素回収部108に回収される。
図17に示す人工光合成装置100bは、人工光合成モジュール10を有するものであり、第1の区画23aに水素用管109が設けられ、水素用管109に水素回収部108が接続されている。第2の区画23bに酸素用管107が設けられ、酸素用管107に酸素回収部106が接続されている。排出管28aと排出管28bとはタンク102に接続されている。図17に示す人工光合成装置100bはタンク102が1つである。
タンク102と第1の区画23aとが供給管26aにより接続されている。供給管26aには、ポンプ104が設けられている。ポンプ104により、タンク102に貯蔵された水AQが第1の区画23aに供給される。
タンク102と第2の区画23bとが供給管26bにより接続されている。供給管26bには、ポンプ104が設けられている。ポンプ104により、タンク102に貯蔵された水AQが第2の区画23bに供給される。タンク102が1つであり、タンク102には第1の区画23aからの水AQと、第2の区画23bからの水AQとが混合されて貯蔵される。これにより、ポンプ104で供給する水AQのpHが、最初に供給される水AQのpHに近くなる。第1の区画23aと第2の区画23bでの水AQのpHの差が時間が経るにあたり偏りが発生し、水AQのpHの偏りが電解電圧の上昇、すなわち、変換効率低下が必然的に発生するが、タンク102を1つすることにより、水AQのpHの偏りが抑制され、更に電解電圧の経時上昇を抑制する効果を得ることができる。
人工光合成モジュール10では水AQは、方向Dに供給される。また、人工光合成モジュール10は、容器20内は水素用管109及び酸素用管107側では、隔膜16ではなく隔壁19が設けられている。隔壁19は気体を透過させない構成であり、容器20内で発生し分離した水素と酸素との混合が抑制される。なお、人工光合成装置100bでは人工光合成モジュール10は、設置面Bに対して45°傾けて配置されている。
人工光合成装置100bでは、ポテンショスタットを用いて、人工光合成モジュール10の酸素発生電極12と水素発生電極14に一定の電流を供給すると、酸素発生電極12から酸素が、水素発生電極から水素が発生する。発生した酸素及び水素は隔膜16により分離される。また、人工光合成モジュール10の上部に酸素と水素が気体として溜まり、隔壁19で水素と酸素との混合が抑制され、水素が水素回収部108に回収され、酸素が酸素回収部106に回収される。
なお、人工光合成装置では、図1に示す人工光合成モジュール10に限定されるものではなく、人工光合成モジュールとしては、図14に示す人工光合成モジュール10bでもよい。
上述の図16及び図17に示す酸素発生電極12と水素発生電極14とは、例えば、方向Dに沿って並んで配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、方向Dと直交する方向に並んで配置してもよい。この場合、酸素発生電極12と水素発生電極14とは、同一面(図示せず)上に配置してもよいが、同一面上に配置されることに限定されるものではない。
(酸素発生電極、水素発生電極)
以下、酸素発生電極12及び水素発生電極14の構成についてより具体的に説明する。
まず、酸素発生電極12に適した光触媒層及び助触媒について説明する。
<酸素発生電極の光触媒層>
光触媒層を構成する光半導体としては、公知の光触媒を使用でき、少なくとも1種の金属元素を含む光半導体である。
なかでも、オンセットポテンシャルがより良好、光電流密度がより高い、又は連続照射による耐久性がより優れる点で、金属元素としては、Ti、V、Nb、Ta、W、Mo、Zr、Ga、In、Zn,Cu、Ag、Cd,Cr、又はSnが好ましく、Ti、V、Nb、Ta、又はWがより好ましい。
また、光半導体としては、上述の金属元素を含む酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、及びセレン化物等が挙げられる。
また、光触媒層中には、通常、光半導体が主成分として含まれる。主成分とは、第2の光触媒層全質量に対して、光半導体が80質量%以上であることを意図し、90質量%以上が好ましい。上限は特に限定されるものではないが、100質量%である。
光半導体の具体例としては、例えば、BiWO,BiVO,BiYWO,In(ZnO),InTaO,InTaO:Ni(「光半導体:M」は、光半導体にMをドープしていることを示す。以下同様。),TiO:Ni,TiO:Ru,TiORh,TiO:Ni/Ta(「光半導体:M1/M2」は、光半導体にM1とM2を共ドープしていることを示す。以下同様。),TiO:Ni/Nb,TiO:Cr/Sb,TiO:Ni/Sb,TiO:Sb/Cu,TiO:Rh/Sb,TiO:Rh/Ta,TiO:Rh/Nb,SrTiO:Ni/Ta,SrTiO:Ni/Nb,SrTiO:Cr,SrTiO:Cr/Sb,SrTiO:Cr/Ta,SrTiO:Cr/Nb,SrTiO:Cr/W,SrTiO:Mn,SrTiO:Ru,SrTiO:Rh,SrTiO:Rh/Sb,SrTiO:Ir,CaTiO:Rh,LaTi:Cr,LaTi:Cr/Sb,LaTi:Fe,PbMoO:Cr,RbPbNb10,HPbNb10,PbBiNb,BiVO,BiCuVO,BiSnVO,SnNb,AgNbO,AgVO,AgLi1/3Ti2/3,AgLi1/3Sn2/3,WO、BaBi1−xInxO、BaZr1−xSn、BaZr1−xGe、及びBaZr1−xSi等の酸化物、LaTiON,Ca0.25La0.75TiO2.250.75,TaON,CaNbON,BaNbON,CaTaON,SrTaON,BaTaON,LaTaON,YTa,(Ga1−xZn)(N1−x),(Zn1+xGe)(N)(xは、0−1の数値を表す),及びTiN等の酸窒化物、NbN,及びTa等の窒化物、CdS等の硫化物、CdSe等のセレン化物、LnTi(Ln:Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,及びEr)、並びにLa,Inを含むオキシサルファイド化合物(Chemistry Letters、2007,36,854−855)を含むことができるが、ここに例示した材料に限定されるものではない。
なかでも、光半導体としては、BaBi1−xIn、BaZr1−xSn、BaZr1−xGe、BaZr1−xSi、NbN、TiO、WO、TaON、BiVO4、Ta35、ペロブスカイト構造を持つAB(O,N)3{A=Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,La,Y、B=Ta,Nb,Sc,Y,La,Ti}、又は、上述のペロブスカイト構造を持つAB(O,N)3を主成分として含む固溶体、又はTaON、BiVO4、Ta35、又はペロブスカイト構造を持つAB(O,N)3を主成分として含むドープ体を用いることができる。
光触媒層に含まれる光半導体の形状は特に限定されるものではなく、膜状、柱状、及び粒子状等が挙げられる。
光半導体が粒子状の場合、その一次粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、通常、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上であり、通常、10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
上述の粒径は平均粒径であり、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡にて観察された任意の100個の光半導体の粒径(直径)を測定し、それらを算術平均したものである。なお、粒子形状が真円状でない場合は、長径を測定する。
光半導体が柱状である場合、導電層表面の法線方向に沿って延びる柱状の光半導体であることが好ましい。柱状の光半導体の直径は、特に限定されるものではないが、通常、0.025μm以上が好ましく、より好ましくは0.05μm以上であり、通常、10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
上述の直径は平均直径であり、透過型電子顕微鏡(装置名:株式会社 日立ハイテクノロジーズ H−8100)又は走査型電子顕微鏡(装置名:株式会社 日立ハイテクノロジーズ SU−8020型SEM)にて観察された任意の100個の柱状光半導体の直径を測定し、それらを算術平均したものである。
光触媒層の厚みは特に限定されるものではないが、酸化物又は窒化物の場合には、300nm以上2μm以下であることが好ましい。なお、光触媒層の最適な厚みについては光Lの浸入長又は励起されたキャリアの拡散長によって決まる。
ここで、光触媒層の材料として良く用いられるBiVOをはじめとして、多くの光触媒層の材料は吸収できる波長の光を全て活用できるほどの厚みでは反応効率が最大ではない。厚みが厚い場合にはキャリア寿命及び移動度の問題により膜面から遠い場所で発生したキャリアを膜面まで失活させることなく輸送することが難しい。そのため膜厚を厚くしても、期待されるほどの電流を取り出すことができない。
また、粒子系でよく用いられる粒子転写電極では粒子径が大きいほど電極膜は租になり、厚み、すなわち、粒径が増すほど膜密度は下がることになり、期待されるほどの電流を取り出すことができない。光触媒層の厚みが300nm以上2μm以下であれば、電流を取り出すことができる。
光触媒層の厚みは、光触媒電極の断面状態の走査型電子顕微鏡像を取得して、取得した画像から求めることができる。
上述の光触媒層の形成方法は特に限定されるものではないが、公知の方法(例えば、粒子状の光半導体を基板上に堆積させる方法)を採用できる。形成方法として、具体的には、電子ビーム蒸着法、スパッタ法及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相成膜法、Chem. Sci., 2013, 4, 1120−1124に記載の転写法、Adv.Mater.,2013,25,125−131に記載の方法が挙げられる。
なお、基板と光触媒層との間には、必要に応じて他の層、例えば、接着剤層が含まれていてもよい。
<酸素発生電極の助触媒>
助触媒としては、貴金属及び遷移金属酸化物が用いられる。助触媒は、真空蒸着法、スパッタ法、及び電着法等を用いて担持される。助触媒が、例えば、1nm〜5nm程度の設定膜厚で形成されると、膜として形成されず島状になる。
第1の助触媒36としては、例えば、Pt、Pd、Ni、Au、Ag、Ru、Cu、Co、Rh、Ir、Mn、又はFe等により構成される単体、及びそれらを組み合わせた合金、並びにその酸化物、例えば、FeOx、CoO等のCoOx、NiOx及びRuOを用いることができる。
次に、水素発生電極14の第2の導電層42、第2の光触媒層44及び第2の助触媒46について説明する。
図12に示す水素発生電極14の第2の基板40は、第2の光触媒層44を支持するものであり、電気絶縁性を有するもので構成される。第2の基板40は、特に限定されるものではないが、例えば、ソーダライムガラス基板又はセラミックス基板を用いることができる。また、第2の基板40には、金属基板上に絶縁層が形成されたものを用いることができる。ここで、金属基板としては、Al基板又はSUS(Steel Use Stainless)基板等の金属基板、又はAlと、例えば、SUS等の他の金属との複合材料からなる複合Al基板等の複合金属基板が利用可能である。なお、複合金属基板も金属基板の一種であり、金属基板及び複合金属基板をまとめて、単に金属基板ともいう。更には、第2の基板40としては、Al基板等の表面を陽極酸化して形成された絶縁層を有する絶縁膜付金属基板を用いることもできる。第2の基板40は、フレキシブルなものであっても、そうでなくてもよい。なお、上述のもの以外に、第2の基板40として、例えば、高歪点ガラス及び無アルカリガラス等のガラス板、又はポリイミド材を用いることもできる。
第2の基板40の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、20μm〜2000μm程度あればよく、100μm〜1000μmが好ましく、100μm〜500μmがより好ましい。なお、第2の光触媒層44に、CIGS(Copper indium gallium (di)selenide)化合物半導体を含むものを用いる場合には、第2の基板40側に、アルカリイオン(例えば、ナトリウム(Na)イオン:Na)を供給するものがあると、光電変換効率が向上するので、第2の基板40の表面40aにアルカリイオンを供給するアルカリ供給層を設けておくことが好ましい。なお、第2の基板40の構成元素にアルカリ金属を含む場合には、アルカリ供給層は不要である。
<水素発生電極の導電層>
第2の導電層42は、第2の光触媒層44で発生したキャリアを捕集し輸送するものである。第2の導電層42は、導電性を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、Mo、Cr及びW等の金属、又はこれらを組み合わせたものにより構成される。この第2の導電層42は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。この中で、第2の導電層42は、Moで構成することが好ましい。第2の導電層42は厚みが200nm〜1000nmであることが好ましい。
<水素発生電極の光触媒層>
第2の光触媒層44は、光吸収によりキャリアを生成するものであり、その導電帯下端が水を分解し水素を生成する電位(H/H)よりも碑側にあるものである。第2の光触媒層44は正孔を生成し、第2の導電層42に輸送するp型伝導性を持つものであるが、第2の光触媒層44の表面44aにn型伝導性を持つ材料を積層させpn接合を形成することも好ましい。第2の光触媒層44の厚みは、好ましくは500nm〜3000nmである。
p型伝導性を持つものを構成する光半導体は少なくとも1種の金属元素を含む光半導体である。なかでも、オンセットポテンシャルがより良好、光電流密度がより高い、又は連続照射による耐久性がより優れる点で、金属元素としては、Ti、V、Nb、Ta、W、Mo、Zr、Ga、In、Zn,Cu、Ag、Cd,Cr又はSnが好ましく、Ga、In、Zn,Cu、Zr、又はSnがより好ましい。
また、光半導体としては、上述の金属元素を含む酸化物、窒化物、酸窒化物、(オキシ)カルコゲナイド等が挙げられ、GaAs、GaInP、AlGaInP、CdTe、CuInGaSe、カルコパイライト結晶構造を有するCIGS化合物半導体、又はCuZnSnS等のCZTS化合物半導体で構成されるのが好ましい。
カルコパイライト結晶構造を有するCIGS化合物半導体、又はCuZnSnS等のCZTS化合物半導体で構成されるのが特に好ましい。
CIGS化合物半導体層は、Cu(In,Ga)Se(CIGS)のみならず、CuInSe(CIS)、又はCuGaSe(CGS)等で構成してもよい。更にCIGS化合物半導体層は、Seの全部又は一部をSで置換したもので構成してもよい。
なお、CIGS化合物半導体層の形成方法としては、1)多源蒸着法、2)セレン化法、3)スパッタ法、4)ハイブリッドスパッタ法、及び5)メカノケミカルプロセス法等が知られている。
その他のCIGS化合物半導体層の形成方法としては、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、及びスプレイ法(ウェット成膜法)等が挙げられる。例えば、スクリーン印刷法(ウェット成膜法)又はスプレイ法(ウェット成膜法)等で、11族元素、13族元素、及び16族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理(この際、16族元素雰囲気での熱分解処理でもよい)を実施する等により、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9−74065号公報、特開平9−74213号公報等)。以下、CIGS化合物半導体層のことを単にCIGS層ともいう。
上述のようにn型伝導性を持つ材料を第2の光触媒層44の表面44aに積層した場合、pn接合が形成される。
n型伝導性を持つ材料は、例えば、CdS、ZnS,Zn(S,O)、及び/又はZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)、及び/又はSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)、及び/又はIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,及びInからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むもので形成される。n型伝導性を持つ材料の層の膜厚は、20nm〜100nmが好ましい。n型伝導性を持つ材料の層は、例えば、CBD(Chemical Bath Deposition)法により形成される。
第2の光触媒層44については、無機半導体からなり、水の光分解反応を生じさせ、水素を発生させることができれば、その構成は特に限定されるものではない。
例えば、太陽電池を構成する太陽電池セルに用いられる光電変換素子が好ましく用いられる。このような光電変換素子としては、上述のCIGS化合物半導体、又はCuZnSnS等のCZTS化合物半導体を用いたもの以外に、薄膜シリコン系薄膜型光電変換素子、CdTe系薄膜型光電変換素子、色素増感系薄膜型光電変換素子、又は有機系薄膜型光電変換素子を用いることができる。
<水素発生電極の助触媒>
第2の助触媒46としては、例えば、Pt、Pd、Ni、Ag、Ru、Cu、Co、Rh、Ir、Mn及びRuOを用いることが好ましい。
第2の光触媒層44と第2の助触媒46との間に透明導電層(図示せず)を設けてもよい。透明導電層は、第2の光触媒層44と第2の助触媒46とを電気的に接続する機能が必要であり、透明導電層には、透明性、耐水性、及び遮水性も要求され、透明導電層により水素発生電極14の耐久性が向上する。
透明導電層は、例えば、金属又は導電性酸化物(過電圧が0.5V以下)もしくはその複合物であることが好ましい。透明導電層は、第2の光触媒層44の吸収波長に合わせて適宜選択されるものである。透明導電層には、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、Al、B、Ga、又はIn等がドープされたZnO、又はIMO(MoがドープされたIn)等の透明導電膜を用いることができる。透明導電層は単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。また、透明導電層の厚さは、特に限定されるものではなく、好ましくは、30nm〜500nmである。
なお、透明導電層の形成方法は、特に限定されるものではないが、真空成膜法が好ましく、電子ビーム蒸着法、スパッタ法及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相成膜法により形成することができる。
また、透明導電層にかえて第2の助触媒46の表面に、第2の助触媒46を保護する保護膜を設けるようにしてもよい。
保護膜は、第2の助触媒46の吸収波長に合わせたもので構成される。保護膜には、例えば、TiO、ZrO及びGa等の酸化物が用いられる。保護膜は絶縁体の場合、例えば、厚みが5nm〜50nmであり、ALD(Atomic Layer Deposition)法等の成膜法が選択される。保護膜が導電性の場合には、例えば、厚みが5nm〜500nmであり、ALD(Atomic Layer Deposition)法及びCVD(Chemical Vapor Deposition)に加えスパッタ法等で形成することもできる。保護膜は、導電体の場合の方が、絶縁性の場合に比して厚くすることができる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の人工光合成モジュールについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
第1実施例では、本発明の効果を確認するために、電極表面形状のみを変えた条件で、回収されたガスの水素濃度及び酸素濃度の比率を調べた。また、エネルギー変換効率相当の一定電流を流して、その電解電圧を比較した。
具体的には、以下に示す実施例1−1〜実施例1−5、実施例2−1〜2−5、及び比較例1〜3の人工光合成モジュールを用い、水素発生電極と酸素発生電極との間にエネルギー変換効率10%相当の電流密度8.13mA・cm−2の電流を印加し、水素及び酸素を発生させ、上方から回収されたガスの水素濃度及び酸素濃度の比率を表2に示す。
また、エネルギー変換効率10%相当の電流密度8.13mA・cm−2の電流を流して電解電圧を測定した。
以下、水素濃度及び酸素濃度の比率の測定方法について説明する。
まず、モジュール内の空気(酸素、窒素)をアルゴンガスでパージした後に、電極間に変換効率10%相当の定電流を流して、水素及び酸素を発生させて、水素用管109から出てきた、残アルゴン、水素及び酸素の混合ガスを、マイクロガスクロマトグラフィー(Agilent製、490MicroGC)を用いて測定し、混合ガス中の水素及び酸素の体積濃度を求めた。水素の体積濃度及び酸素の体積濃度の比率を、上述の水素濃度及び酸素濃度の比率とした。
以下、実施例1−1〜実施例1−5、実施例2−1〜2−5、及び比較例1〜3について説明する。
(実施例1−1)
図18は実施例1−1の実験用モジュールを示す模式的断面図である。図18に示す実験用モジュール110において、図16に示す人工光合成モジュールを有する人工光合成装置の第1の例と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
実験用モジュール110の内部には、酸素発生電極12と水素発生電極14とが同一面に配置され、酸素発生電極12と水素発生電極14との上に隔膜16が配置されており、電解液112が満たされている。電解液112には、硫酸ナトリウム+リン酸水素ナトリウム、pH6.8調整したものを使用した。隔膜16には、親水性メッシュを用い、孔径435μmのステンレス製平織メッシュを使用した。実験用モジュール110を太陽光Lsに向けるため、実験用モジュール110を水平面である設置面Bに対して45°傾斜させて配置した。
実施例1−1では、酸素発生電極12及び水素発生電極14は、図19に示すように水素発生電極14が右に配置され、酸素発生電極12が左に配置されている。それぞれの電極の大きさは50mm×50mm×2.0mm(厚み)であり、両極間のスペースは1.0mmとした。酸素発生電極12では、電極の基材にはチタンを使用し、電解液112との接触面に、光触媒を想定した、厚さ1.0μmの白金を焼結メッキ(日本カーリット(株)製、エクセロードEA)処理により形成した。
水素発生電極14では、電極の基材にはチタンを使用し、電解液112との接触面に、光触媒を想定した、厚さ1.0μmの白金を焼結メッキ(日本カーリット(株)製、エクセロードEA)処理により形成した。
酸素発生電極12の酸素発生表面には2.0mmピッチの直交溝を加工し、水素発生電極14の水素発生表面には0.5mmピッチの直交溝を加工した。実施例1−1では、酸素発生電極の交差溝群のピッチを2.0mmとし、水素発生電極の交差溝群のピッチを0.5mmとした。
酸素発生電極12と水素発生電極14の両電極の上方4.0mmの位置に、隔膜16を配置した。なお、図19では、酸素発生電極12及び水素発生電極14上の隔膜16の図示を省略しているが、隔膜16は酸素発生電極12及び水素発生電極14上にも配置されている。
酸素発生電極12と水素発生電極14では、溝の先端角度を90°とした。
酸素発生電極12及び水素発生電極14は、加工溝断面形状に成形した超硬切削バイトを用いてフライス盤にて、チタン板表面をピッチ分ずらしながらシェービング加工して溝を加工し、一方向溝加工後、任意の角度分チタン板を回転させて直交溝及び交差溝の加工を行った。
平面上に配置された両電極から発生する気泡は0.5mmピッチ直交溝が形成されている水素発生電極14から発生する水素気泡は細かく、メッシュ状の隔膜16を通過して上方の電解液層を通り上方から水素を含む気体が回収される。2.0mmピッチ直交溝が形成されている酸素発生電極12から発生する酸素気泡は大きく成長するため、メッシュを通過することができず、下層の電解液層を通り下方から酸素ガスが回収される。
水素発生電極と酸素発生電極との間に変換効率10%相当の電流密度8.13mA・cm−2の電流を印加し、水素及び酸素を発生させ、気泡の大きさで選択透過するメッシュの孔径を変えた時の、上方から回収されたガスの水素濃度及び酸素濃度の比率を表1に示す。
さらに、本実施例では、酸素発生電極12と水素発生電極14の間にポテンショスタット(北斗電機(株)製、HZ−5000)を用いて、シミュレーション的に、任意の変換効率時に流れるファラデー電流を設定し、その時の電圧を測定するクロノポテンショメトリー(CP)測定で、水素及び酸素を発生させた時の電解電圧で評価した。
ポテンショスタットで、CP測定を開始すると、その電流に応じた水素及び酸素が発生し気泡となって、隔膜により分離され、混じることなく上方に移動し、実験用モジュール110の上方部に一時溜まり、そこから、それぞれ水素を含む気体、及び酸素を含む気体を回収する。
実験用モジュール110は、エネルギーの消費を抑えるため電解液112の循環を行わず、気泡の上昇搬送流のみで電解液112を混合置換させるため、電解液112の循環装置を設けていない。
(実施例1−2)
実施例1−2は、実施例1−1に比して、酸素発生電極の交差溝群のピッチが異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。実施例1−2は、酸素発生電極の交差溝群のピッチを1.5mmとした。
(実施例1−3)
実施例1−3は、実施例1−1に比して、酸素発生電極の交差溝群のピッチが異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。実施例1−3は、酸素発生電極の交差溝群のピッチを1.0mmとした。
(実施例1−4)
実施例1−4は、実施例1−1に比して、酸素発生電極を疎水化した点が異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。実施例1−4は、酸素発生電極の全面に、TFEコーティング(ファインケミカルジャパン株式会社製、耐熱TFEコートFC−103(品番))を、厚さ約0.1μmでスプレーコーティングして、温度200℃で20分、乾燥させて疎水化した。
TFEコーティングは、スプレーコーティングのため、電極表面には膜状でなく粒子状に付着している。
(実施例1−5)
実施例1−5は、実施例1−1に比して、酸素発生電極の丘部を疎水化した点が異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。実施例1−5は、酸素発生電極の陸部に、シリコンシーラント(信越化学工業株式会社製、信越シリコーンKE−348)をコーティングして室温で一晩乾燥させて酸素発生電極の陸部を疎水化した。
なお、上述のようにシリコンシーラントは、電極表面には膜状でなくドット状に付着している。
(実施例2−1)
実施例2−1は、実施例1−1に比して、図20に示すように水素発生電極と酸素発生電極とが、櫛歯状に配置された点が異なり、それ以外は、実施例1−1と同じとした。
実施例2−1では、酸素発生電極12と水素発生電極14は、それぞれの電極の櫛歯の幅は4mm、長さは40mmであり、根本で電気的に接続されている。両極間のスペースは1.0mmである。水素発生電極は白金(日本カーリット(株)製、エクセロードEA、膜厚1.0μm)処理が施され、酸素発生電極は二酸化イリジウム(日本カーリット(株)製、エクセロードB、膜厚1.0μm)処理が施されている。
水素発生電極14の水素発生表面には0.5mmピッチの直交溝を加工し、酸素発生電極12の酸素発生表面には2.0mmピッチの直交溝を加工した。酸素発生電極12と水素発生電極14では、溝の先端角度を90°とした。実施例2−1では、酸素発生電極の交差溝群のピッチを2.0mmとし、水素発生電極の交差溝群のピッチを0.5mmとした。
水素発生電極と酸素発生電極の両電極の上方4.0mmの位置に、隔膜16として親水性メッシュを配置した。親水性メッシュには、実施例1−1と同じく、孔径435μmのステンレス製平織メッシュを使用した。
(実施例2−2)
実施例2−2は、実施例2−1に比して、酸素発生電極の交差溝群のピッチが異なり、それ以外の構成は、実施例1と同じとした。実施例2−2は、酸素発生電極の交差溝群のピッチを1.5mmとした。
(実施例2−3)
実施例2−3は、実施例2−1に比して、酸素発生電極の交差溝群のピッチが異なり、それ以外の構成は、実施例1と同じとした。実施例2−3は、酸素発生電極の交差溝群のピッチを1.0mmとした。
(実施例2−4)
実施例2−4は、実施例2−1に比して、酸素発生電極を疎水化した点が異なり、それ以外の構成は、実施例2−1と同じとした。実施例2−4は、酸素発生電極の全面に、TFEコーティング(ファインケミカルジャパン株式会社製、耐熱TFEコートFC−103(品番))を、厚さ約0.1μmでスプレーコーティングして、温度200℃で20分、乾燥させて疎水化した。
TFEコーティングは、スプレーコーティングのため、電極表面には膜状でなく粒子状に付着している。
(実施例2−5)
実施例2−5は、実施例2−1に比して、酸素発生電極の丘部を疎水化した点が異なり、それ以外の構成は、実施例2−1と同じとした。実施例2−5は、酸素発生電極の陸部に、シリコンシーラント(信越化学工業株式会社製、信越シリコーンKE−348)をコーティングして室温で一晩乾燥させて酸素発生電極の陸部を疎水化した。
なお、上述のようにシリコンシーラントは、電極表面には膜状でなくドット状に付着している。
(比較例1)
比較例1は、実施例1−1に比して、電極表面形状のみが異なり、それ以外は実施例1−1と同じとした。比較例1は、溝がない表面が平面状のフラット電極を用いた。
(比較例2)
比較例2は、実施例1−1に比して、電極形状のみが異なり、それ以外は実施例1と同じとした。比較例2は、図21に示す電極を用いた。比較例2でも実施例1−1と同じくエネルギー変換効率相当の一定電流を流して、その電解電圧の変化を測定した。
図21は比較例2の電極の構成を示す模式的斜視図である。比較例2の電極120は一方向溝電極である。溝断面は二等辺三角形であり、高さを1mm、底辺を2mm、先端角度を90°とし、ピッチを2mmとした。比較例2では、一方向溝が伸びる方向を方向Dと平行にして配置した。なお、図21に示す数値は各部の寸法であり、単位はmmである。
(比較例3)
比較例3は、実施例2−1に比して、電極表面形状のみが異なり、それ以外は実施例2−1と同じとした。比較例3は、溝がない表面が平面状の櫛歯電極を用いた。
比較例1〜比較例3では、実施例1−1と同じく、水素発生電極と酸素発生電極との間にエネルギー変換効率10%相当の電流密度8.13mA・cm−2の電流を印加し、水素及び酸素を発生させ、回収されたガスの水素濃度及び酸素濃度の比率を求めた。さらに、エネルギー変換効率10%相当の一定電流を流して、その電解電圧の変化を測定した。
表1に示すように、酸素発生電極と水素発生電極とでは、溝のピッチが異なる方が、酸素と水素とを、より効率よく分離できた。
また、実施例1−1〜実施例1−5、及び実施例2−1〜2−5は、比較例1〜3に比して電解電圧が高く、変換効率も優れていた。
第2実施例では、交差角度の効果を実施例3−1〜実施例3−5、及び実施例4−1〜実施例4−5を用いて確認した。なお、水素濃度及び酸素濃度の比率の測定方法は、第1実施例と同じとした。
以下、実施例3−1〜実施例3−5、及び実施例4−1〜実施例4−5について説明する。
(実施例3−1)
実施例3−1は、第1実施例の実施例1−1に比して、酸素発生電極の交差角度が30°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。
(実施例3−2)
実施例3−2は、第1実施例の実施例1−1に比して、酸素発生電極の交差角度が60°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。
(実施例3−3)
実施例3−3は、第1実施例の実施例1−1と同じである。
(実施例3−4)
実施例3−4は、第1実施例の実施例1−1に比して、酸素発生電極の交差角度が120°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。
(実施例3−5)
実施例3−5は、第1実施例の実施例1−1に比して、酸素発生電極の交差角度が150°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例1−1と同じとした。
(実施例4−1)
実施例4−1は、第1実施例の実施例2−1に比して、酸素発生電極の交差角度が30°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例2−1と同じとした。
(実施例4−2)
実施例4−2は、第1実施例の実施例2−1に比して、酸素発生電極の交差角度が60°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例2−1と同じとした。
(実施例4−3)
実施例4−3は、第1実施例の実施例2−1と同じである。
(実施例4−4)
実施例4−4は、第1実施例の実施例2−1に比して、酸素発生電極の交差角度が120°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例2−1と同じとした。
(実施例4−5)
実施例4−5は、第1実施例の実施例2−1に比して、酸素発生電極の交差角度が150°である点が異なり、それ以外の構成は、実施例2−1と同じとした。
表2に示すように、交差角度は90°以上であることが好ましい。
第3実施例では、隔膜の効果を実施例5−1〜実施例5−4、実施例6−1〜実施例6−4、実施例7−1及び実施例7−2並びに比較例4及び比較例5を用いて確認した。
以下、実施例5−1〜実施例5−4、実施例6−1〜実施例6−4、実施例7−1及び実施例7−2並びに比較例4及び比較例5について説明する。
実施例5−1〜実施例5−3、実施例6−1〜実施例6−4、並びに実施例7−1及び実施例7−2では、図18に示す実験用モジュールを用いる。実施例5−1〜実施例5−4の電極の構成は、図19に示す構成である。図19では、酸素発生電極12及び水素発生電極14上の隔膜16の図示を省略しているが、隔膜16は酸素発生電極12及び水素発生電極14上にも配置されている。
図19に示すように水素発生電極14が右に配置され、酸素発生電極12が左に配置されている。それぞれの電極の大きさは50mm×50mm×2.0mm(厚み)であり、両極間のスペースは1.0mmとした。水素発生電極14の水素発生表面には0.5mmピッチの直交溝を加工し、酸素発生電極12の酸素発生表面には2.0mmピッチの直交溝を加工した。
酸素発生電極12と水素発生電極14の両電極の上方4.0mmの位置に、隔膜16として親水性メッシュを配置した。隔膜16には、ステンレス製平織メッシュを使用した。
平面上に配置された両電極から発生する気泡は0.5mmピッチ直交溝が形成されている水素発生電極14から発生する水素気泡は細かく、メッシュ状の隔膜16を通過して上方の電解液層を通り上方から水素を含む気体が回収される。2.0mmピッチ直交溝が形成されている酸素発生電極12から発生する酸素気泡は大きく成長するため、メッシュを通過することができず、下層の電解液層を通り下方から酸素ガスが回収される。
さらに、水素発生電極と酸素発生電極との間に変換効率10%相当の電流密度8.13mA・cm−2の電流を印加し、水素及び酸素を発生させ、気泡の大きさで選択透過するメッシュの孔径を変えた時の、上方から回収されたガスの水素濃度及び酸素濃度の比率を表3に示す。水素濃度及び酸素濃度の比率の測定方法は、第1実施例と同じとした。
(実施例5−1)
実施例5−1は、隔膜16のメッシュ孔径を1070μmとした。
(実施例5−2)
実施例5−2は、隔膜16のメッシュ孔径を435μmとした。
(実施例5−3)
実施例5−3は、隔膜16のメッシュ孔径を25μmとした。
(実施例5−4)
実施例5−4は、隔膜16のメッシュ孔径を2140μmとした。また、隔膜16に親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を使用した。
なお、実施例5−1〜実施例5−4のメッシュ孔径はカタログ仕様値である。
実施例5−1のカタログ仕様値は、#20で線径0.2mm、開口が1.07mmである。実施例5−2のカタログ仕様値は、#40で線径0.2mm、開口が0.435mmである。実施例5−3のカタログ仕様値は、#500で線径0.025mm、開口が0.0258mmである。実施例5−4のカタログ仕様値は、#10で線径0.2mm、開口が2.14mmである。
また、上述の#10は10本/インチで2.54mmピッチのことである。#20は20本/インチで1.27mmピッチのことである。#40は40本/インチで0.635mmピッチのことである。#500は500本/インチで0.0508mmピッチのことである。
(実施例6−1)
実施例6−1は、実施例5−1に比して、図20に示す構成の水素発生電極と酸素発生電極を用いた点が異なり、それ以外は、実施例5−1と同じとした。
実施例6−1は、図20に示すように水素発生電極と酸素発生電極とが櫛歯状に配置されている。
酸素発生電極と水素発生電極は、それぞれの電極の櫛歯の幅は4mm、長さは40mmであり、根本で電気的に接続されている。両極間のスペースは1.0mmである。水素発生電極は白金(日本カーリット(株)製、エクセロードEA、膜厚1.0μm)処理が施され、酸素発生電極は二酸化イリジウム(日本カーリット(株)製、エクセロードB、膜厚1.0μm)処理が施されている。水素発生電極と酸素発生電極の両電極の上方4.0mmの位置に、隔膜16として親水性メッシュを配置した。
実施例6−1は、隔膜のメッシュ孔径を1070μmとした。
なお、上述のように図20では酸素発生電極12及び水素発生電極14上の隔膜16の図示を省略しているが、隔膜16は酸素発生電極12及び水素発生電極14上にも配置されている。
(実施例6−2)
実施例6−2は、実施例6−1に比して、隔膜16のメッシュ孔径を435μmとしたものである。
(実施例6−3)
実施例6−3は、実施例6−1に比して、隔膜16のメッシュ孔径を25μmとしたものである。
(実施例6−4)
実施例6−4は、実施例6−1に比して、隔膜16のメッシュ孔径を2140μmとした。また、隔膜16に親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を使用した。
なお、実施例6−1〜実施例6−4のメッシュ孔径はカタログ仕様値であり、上述の実施例5−1〜実施例5−4と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
(実施例7−1)
実施例7−1は、実施例6−2に比して、隔膜16に加えて、さらに、隔膜16と電極との間に孔径2500μmの疎水性のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜を配置した。
(実施例7−2)
実施例7−2は、第2実施例の実施例3−5に比して、隔膜16に加えて、さらに、隔膜16と酸素電極との間に孔径2500μmの疎水性のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜を配置した。
(比較例4)
比較例4は、第1実施例の比較例1と同じである。
(比較例5)
比較例5は、第1実施例の比較例3と電極構成は同じであるが、酸素発生電極は二酸化イリジウム(日本カーリット(株)製、エクセロードB、膜厚1.0μm)処理が施されたものとした。隔膜16には、メッシュ孔径が1μmの親水性のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜を使用した。
表3に示すように、実施例5−1〜5−4、実施例6−1〜6−4並びに実施例7−1及び実施例7−2は、比較例4及び比較例5に比して、酸素と水素とを効率よく分離できる。
また、隔膜のメッシュの孔径が大き過ぎると酸素の気泡まで通過してしまい、隔膜のメッシュの孔径が小さすぎると両方の気泡を通さないことが分かる。隔膜のメッシュの孔径が435μm(実施例5−2及び実施例6−2)の時に水素を多く含む気体が回収されており、隔膜のメッシュの孔径と気泡の大きさを最適化することにより、更に比率を上げた水素の回収が可能である。すなわち、水素発生電極の表面凹凸を細かくして気泡サイズを小さくする、又は溶存水素濃度を上げる。酸素発生電極の表面溝ピッチを0.5mmから2.0mmで最適化することにより大きく揃ったサイズの気泡を発生させて、隔膜のメッシュを通過しないようにすることができる。
また、疎水性メッシュを用いた実施例5−4及び実施例6−4では、酸素発生電極表面で発生した酸素は、直上にある疎水性メッシュの隔膜の疎水性表面で気泡としてトラップされて成長するため、酸素気泡は大きな気泡となる。大きくなった酸素気泡は隔膜を通り抜けることができず、酸素と水素とを効率よく分離できる。実施例5−4及び実施例6−4のように隔膜が疎水性であれば、隔膜のメッシュの孔径を大きくできる。
また、実施例7−1及び実施例7−2は、酸素気泡が疎水性のPTFE膜の表面でトラップされて、その場で気泡径が分離メッシュ孔径以上に成長を助長されることにより、水素/酸素比が向上したものである。
比較例5は、隔膜に親水性のPTFE膜を用いており。孔径が1μmと小さ過ぎるため、水素気泡及び酸素気泡は、全て隔膜にトラップされて通過できない。一方、溶存水素、溶存酸素は隔膜を通過できることから、溶存水素と溶存酸素では、酸素の方が溶存状態で通過しやすく酸素比率が高くなる、すなわち、水素/酸素比が小さくなったと考えられる。
10、10b 人工光合成モジュール
12 酸素発生電極
12a 第1の陸部
14 水素発生電極
14a 第2の陸部
15 突起
15a 第1の溝
15b 第2の溝
15c 交差溝群
16 隔膜
16a 表面
16b 裏面
17 貫通孔
18 導線
19 隔壁
20 容器
22 筐体
22b 底面
22c 第1の壁面
22d 第2の壁面
23a 第1の区画
23b 第2の区画
24 透明部材
24a 表面
26a、26b 供給管
28a、28b 排出管
30 第1の基板
30a、32a、34a 表面
31 第1の基材
31a 第1の光触媒層
32 第1の導電層
33 第2の基材
33a 第2の光触媒層
34 第1の光触媒層
36 第1の助触媒
37 助触媒粒子
40 第2の基板
40a、42a、44a 表面
42 第2の導電層
44 第2の光触媒層
46 第2の助触媒
47 助触媒粒子
50、52 気泡
60a 第1の電極部
60b 第1の隙間
60c、61c 基部
61a 第2の電極部
61b 第2の隙間
63 隙間
100a、100b 人工光合成装置
102 タンク
102a 第1のタンク
102b 第2のタンク
104 ポンプ
106 酸素回収部
107 酸素用管
108 水素回収部
109 水素用管
110 実験用モジュール
112 電解液
120 電極
AQ 水
B 設置面
D 方向
Dg1、Dg2 配置方向
進行方向
d1、d2 幅
搬送方向
L 光
Ls 太陽光
M 方向
、P ピッチ
d 厚み
φ 角度

Claims (13)

  1. 光により水を分解して酸素を発生させる、酸素発生電極と、前記光により前記水を分解して水素を発生させる、水素発生電極と、を有する、人工光合成モジュールであって、
    前記酸素発生電極及び前記水素発生電極は、複数の一方の溝と複数の他方の溝とが交差した交差溝群を有し、
    前記酸素発生電極の前記交差溝群と、前記水素発生電極の前記交差溝群とは、予め定められた方向におけるピッチが異なり、
    前記酸素発生電極及び前記水素発生電極は並んで配置され、前記酸素発生電極及び前記水素発生電極に対向して隔膜が配置されている、人工光合成モジュール。
  2. 前記酸素発生電極は、互いに電気的に接続された複数の第1の電極部を有し、前記第1の電極部は前記交差溝群を有し、
    前記水素発生電極は、互いに電気的に接続された複数の第2の電極部を有し、前記第2の電極部は前記交差溝群を有しており、
    前記酸素発生電極の複数の前記各第1の電極部は第1の隙間をあけて並んで配置され、前記水素発生電極の複数の前記各第2の電極部は第2の隙間をあけて並んで配置されており、
    前記酸素発生電極の複数の前記第1の電極部が、それぞれ前記水素発生電極の前記第2の電極部の前記第2の隙間に配置され、前記水素発生電極の複数の前記第2の電極部が、それぞれ前記酸素発生電極の前記第1の電極部の前記第1の隙間に配置されている、請求項1に記載の人工光合成モジュール。
  3. 前記酸素発生電極の前記交差溝群の前記ピッチは、前記水素発生電極の前記交差溝群の前記ピッチよりも大きい、請求項1又は2に記載の人工光合成モジュール。
  4. 前記酸素発生電極及び前記水素発生電極のうち、少なくとも一方の電極の前記交差溝群の前記一方の溝と前記他方の溝との交差角度は、80°未満、又は100°超である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  5. 前記酸素発生電極及び前記水素発生電極は、設置面に対して傾斜している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  6. 前記酸素発生電極と、前記水素発生電極とは、同一面に配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  7. 前記溝は、幅が0.1〜10.0mmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  8. 前記溝は、幅が0.5〜2.0mmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  9. 前記酸素発生電極は、前記交差溝群と第1の陸部とを有し、
    前記水素発生電極は、前記交差溝群と第2の陸部とを有し、
    前記第1の陸部及び前記第2の陸部のうち、少なくとも一方は、親水性の領域と疎水性の領域とを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  10. 前記第1の陸部及び前記第2の陸部は、前記疎水性の領域の割合が10%以下である、請求項9に記載の人工光合成モジュール。
  11. 前記隔膜は、メッシュ状又は多孔質状である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  12. 前記隔膜の表面は、親水性である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
  13. 前記交差溝群の前記溝は、断面形状が、曲線で構成された形状、円弧と直線で構成された形状、三角形又は矩形である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の人工光合成モジュール。
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