JP2020004052A - 地震解析装置、地震解析システム、および、地震解析方法 - Google Patents

地震解析装置、地震解析システム、および、地震解析方法 Download PDF

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浩一 都築
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学 山田
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【課題】構造物の地震解析において地震動負荷以外の構造物に与える負荷も考慮した、高精度な解析を行うこと。【解決手段】地震解析装置1は、解析対象である構造物の設置期間における温度の変化および風雨の変化のうちの少なくとも1つを含む気候変化をもとに、その気候変化が構造物に与える環境負荷量から、構造物の地震耐性の劣化度合いを反映した構造物解析モデルデータ13を構築する解析モデル構築部12と、構造物に作用する解析対象の地震動を示す解析用波形データ33を生成する解析波形生成部32と、構造物解析モデルデータ13に対して解析用波形データ33を作用させることで、地震動の負荷を受けた構造物の応答を計算する地震解析部14とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、地震解析装置、地震解析システム、および、地震解析方法に関わる。
近年、巨大地震が数多く発生し、一度発生すると、その被害は甚大となる。このため、建築構造物の地震時の挙動を詳細にシミュレーション解析し、地震動に対する耐震性を検証することが行われている。これと併せ、耐震性を実規模モデルあるいは縮小モデル、さらに要素モデルを用いて加振実験により損傷過程を検証し健全性を評価する方法も取られている。また、実際の地震動が生じた際に建物の健全性をその挙動を観測することで評価する取り組みがある。
特許文献1には、構造物の耐震性を予測、評価する手法として、共用期間中の地震動の発生確率から最大応答加速度と変位を算出し、その数値を基にした耐震性能指標を設定して判定する手法が記載されている。特許文献1には、対象構造物の構造特性や損傷形態により区分けし、指標の重み付けする係数を用いて評価する内容、さらに、対象構造物の設置位置と想定震源地を加味した地震動の発生確率付き応答スペクトルを用いた地盤特性を考慮する記載もある。
特許文献2には、地図データと地質データとを含む地盤特性データをネットワークから取得してシミュレーションする構成が記載されている。
特許文献3には、地震時の構造物の挙動をモニタリングして耐震性能を評価するシステムが記載されている。特許文献3には、地上の基準点と上層階とに設置した複数のセンサにより絶対加速度や変位などを計測し、その周波数応答波形から周波数帯域ごとの絶対加速度と変位を求め、地上基準点に対する相対値に基づき、限界数値との比較により耐震性能を評価することが記載されている。
特許文献4には、各センサデータの収集に係る方法が記載されている。
特許文献5には、構造物の上層階に衛星測位システムの受信機を設置し、絶対座標を記録して経時変化を含めて構造物の最大層間変位や変形角などを基に安全性の診断を行う方法が記載されている。特許文献5には、衛星通信の時間遅れに伴う誤差要因を補正し精度を高める方法についても記載されている。
特許第5008084号明細書 特許第5016759号明細書 特許第5569900号明細書 特許第6032380号明細書 特開2016-65743号公報
地震解析の対象となる構造物は、季節ごとの温度や風雨などの気候に大きな影響を受ける。例えば、同じ材料を使い、同じ設計図をもとに建設されたビルでも、温度変化が激しいエリアや、風が強く当たるエリアでは、建物の劣化が進行する。よって、詳細で精度の高い地震解析を行うためには、地震発生により地盤が振動することで構造物に与える地震動負荷だけでなく、建設時から地震発生までの経年の気候の環境負荷も併せて考慮する必要がある。
しかし、特許文献1などの従来の地震解析システムでは、特定の地震をターゲットにした地震動負荷だけが考慮されていたため、地震後の現存する構造物の劣化状態を充分に解析できていなかった。
そこで、本発明は、構造物の地震解析において地震動負荷以外の構造物に与える負荷も考慮した、高精度な解析を行うことを、主な課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の地震解析装置は、以下の特徴を有する。
本発明は、解析対象である構造物の設置期間における温度の変化および風雨の変化のうちの少なくとも1つを含む気候変化をもとに、その気候変化が構造物に与える環境負荷量から、構造物の地震耐性の劣化度合いを反映した構造物解析モデルデータを構築する解析モデル構築部と、
構造物に作用する解析対象の地震動を示す解析用波形データを生成する解析波形生成部と、
前記構造物解析モデルデータに対して前記解析用波形データを作用させることで、地震動の負荷を受けた構造物の応答を計算する地震解析部とを備えることを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
本発明によれば、構造物の地震解析において地震動負荷以外の構造物に与える負荷も考慮した、高精度な解析を行うことができる。
本発明の一実施形態に関する地震解析システムの構成図である。 本発明の一実施形態に関する構造物データが示す構造物および観測器の説明図である。 本発明の一実施形態に関する図2の衛星測位システムが観測した観測データの時系列グラフである。 本発明の一実施形態に関する地震発生前における構造物の側面図である。 本発明の一実施形態に関する地震発生中における構造物の側面図である。 本発明の一実施形態に関する地震解析システムに用いられるデータの説明図である。 本発明の一実施形態に関する地震解析システムの処理を示すシーケンス図である。 本発明の一実施形態に関する地震解析システムの地震解析処理の詳細を示す説明図である。 本発明の一実施形態に関する温度データ反映された剛性データの一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態に関する温度データ反映された免震性能データの一例を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、地震解析システムの構成図である。
地震解析システムは、地震解析装置1と、モニタリング装置4と、観測器5と、データ入力装置8とがネットワークで接続されて構成される。地震解析装置1は、主に地震発生前に数値シミュレーションを行うことで、構造物の挙動を予測する一方で、モニタリング装置4は、主に地震発生時に構造物の挙動をモニタリングすることで、構造物の健全性を評価する。
なお、地震解析システムの各装置(地震解析装置1と、モニタリング装置4と、データ入力装置8)は、それぞれCPU(Central Processing Unit)と、メモリと、ハードディスクなどの記憶手段(記憶部)と、ネットワークインタフェースとを有するコンピュータとして構成される。
このコンピュータは、CPUが、メモリ上に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部により構成される制御部(制御手段)を動作させる。
データ入力装置8は、地震解析装置1に対して地震解析の各処理に用いられるデータを入力させる。ここで、入力させるデータは、管理者が手入力したデータでもよいし、オープンDB9などのインターネット上の外部サイトから取得したデータでもよい。オープンDB9は、例えば、以下に列挙するようなオープンデータの入手源である。
・3D形状などの地図データ
・地質図データ
・火山土地条件図データ
・超高密度気象データ
・強震観測網のデータ
・地震動観測データ
・災害時自然現象データ
モニタリング装置4は、観測データ41の記憶部と、健全性評価部42とを有する。
モニタリング装置4は、地震解析の対象となる各構造物(詳細は図4)に装着された各観測器5(詳細は図2)から受信した観測データ41を記憶部に記録する。
健全性評価部42は、観測データ41の時間変化を参照して、各構造物に与えられた負荷をもとに、各構造物の健全性を評価する。
地震解析装置1は、処理部として、解析モデル構築部12と、地震解析部14と、解析波形生成部32とを有する。
地震解析装置1は、記憶部に、構造物データ11(詳細は図6)と、構造物解析モデルデータ13(詳細は図6)と、構造物解析応答データ15と、環境特性データ21(詳細は図6)と、解析条件データ22と、地盤データ31と、解析用波形データ33とを格納する。
地震解析装置1は、構造物データ11と、環境特性データ21と、解析条件データ22と、地盤データ31とをデータ入力装置8から受け付け、それらの受け付けたデータを記憶部に格納する。
解析モデル構築部12は、構造物データ11から構造物解析モデルデータ13を構築する。ここで、解析モデル構築部12は、構造物解析モデルデータ13に環境特性データ21を反映させる。環境特性データ21とは、例えば、解析対象である構造物の設置期間における温度の変化および風雨の変化のうちの少なくとも1つを含む気候変化である。
これにより、各構造物に与えられた温度や風などの環境負荷量による実際の構造物の劣化度合いが反映された、高精度な構造物解析モデルデータ13を構築することができる。
さらに、解析モデル構築部12は、構造物解析モデルデータ13を構築するときに、環境負荷量に加えて、構造物の設置期間において発生した地震の負荷量(構造物への地震動発生回数と大きさなどの地震統計データ)から、構造物の免震性能の劣化度合いを計算してもよい。
ここで、本明細書では、地震解析システムが解析する構造物の地震耐性として、例えば図6の免震性能データ132で示されるように、「免震性能」を一例として用いる。一方で、地震解析システムは、「免震性能」だけに限定されず、「耐震性能」などの他の地震耐性を示す指標も解析対象とすることができる。
解析波形生成部32は、構造物を支える地盤の地盤データ31およびモニタリング装置4から受信した観測データ41をもとに、解析用波形データ33を生成する。ここでも、解析モデル構築部12の場合と同様に、解析波形生成部32は、環境特性データ21の気候変化をもとに地盤データ31(地盤の強度)を計算し、計算した地盤の強度を解析用波形データ33に反映させることで、解析用波形データ33の精度を高めることができる。
地震解析部14は、構造物解析モデルデータ13に対して解析条件データ22に従って、解析用波形データ33の地震を作用させる解析処理を実行することで、構造物の地震動に対する応答加速度や変位などの物理的な挙動を求める。
地震解析部14は、求めた構造物の物理的な挙動により構造物に生じる発生応力やひずみ、亀裂の進展度合いを検証することにより、構造物の耐震性能(耐震裕度など)と免震性能(損傷有無など)とをシミュレーションする。そのシミュレーション結果は、構造物解析応答データ15として記憶部に格納される。
図1では、解析結果である構造物解析応答データ15を地震解析装置1の内部に保存することとした。一方、地震解析装置1の外部に設けられたデータベース装置に構造物解析応答データ15を格納して、ネットワークから構造物解析応答データ15を提供してもよい。
なお、解析処理は時間経過とともに複数回繰り返して行われることが一般的であるので(詳細は図8)、地震解析部14は、前回の構造物解析応答データ15を次回の構造物解析モデルデータ13に反映させる。
さらに、健全性評価部42により評価された各構造物の健全性データを、構造物解析モデルデータ13に反映させることで、実際に各構造物に装着された観測器5による地震発生による各構造物への影響(柱の変形など)が、解析モデルに活用される。
図2は、構造物データ11が示す構造物70,71および観測器5の説明図である。
観測器5は、例えば、送信衛星81と受信機82との組み合わせである衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)や、ジャイロセンサ83として実装される。
建築物70に設置するジャイロセンサ83は、地震による建築物の固有振動数(横揺れ、縦揺れなど)を観測する。モニタリング装置4は、ジャイロセンサ83から受信した地震の固有振動数を、観測データ41として保存する。
受信機82は、建築物70,71の最上端部に加え、地盤動の地域基準点(地面)に設置されている。各受信機82は、送信衛星81から受信した電波の到達時間をもとに、各時刻の自身の三次元位置座標データを求める。モニタリング装置4は、各受信機82から受信した三次元位置座標データの気候変化に伴う変位履歴データを、観測データ41として保存する。
図3は、図2の衛星測位システムが観測した観測データ41の時系列グラフである。グラフの横軸は時間軸であり、縦軸は各受信機82の三次元位置座標データの変位(水平方向または鉛直方向)を示す。
ここで、保存される変位履歴データは、各建築物70,71自身の三次元位置座標データの差分である絶対変位差の履歴データでもよいし、地域基準点の三次元位置座標データから各建築物70,71の三次元位置座標データまでの位置データの差分である相対変位差の履歴データでもよい。
なお、風荷重や温度変化、地盤変化などの環境負荷の影響により、同じ建物であっても、三次元位置座標データが時々刻々と変化するため、変位差が発生する。よって、解析モデル構築部12は、構造物解析モデルデータ13を構築するときに、モニタリング装置4から通知された変位履歴データから気候変化が構造物に与える環境負荷量を計算することで、実測値をもとにした高精度な構造物解析モデルデータ13を構築できる。
このように、モニタリング装置4は、観測器5から得た観測データ41をもとに、地震前(定常時)の環境負荷による各建築物70,71の劣化度合いと、地震時の振動負荷による各建築物70,71の位置変位との双方を把握することができる。
よって、地震解析部14は、環境負荷による劣化度合いが反映された構造物解析モデルデータ13に対して、振動負荷が反映された構造物解析応答データ15を作用させることで、環境負荷を考慮しない(例えば新築の建築物の)構造物解析モデルデータ13に対して地震解析を行うよりも、高精度な解析結果を得ることができる。
さらに、モニタリング装置4は、現存する建築物がどの程度の地震動まで耐えうるかなどの健全性評価についても、高精度な評価結果を得ることができる。
図4は、地震発生前における構造物の側面図である。建築物70aと、その建築物70aを支える基礎73との間には、免震装置72が配備されている。
図5は、地震発生中における構造物の側面図である。地盤の揺れに伴って基礎73の位置が変動しても、免震装置72がその揺れを吸収して建築物70bに伝えないことにより、建築物70bの耐震性能が高まる。
図6は、地震解析システムに用いられるデータの説明図である。
構造物データ11は、図4で示したように、建築物70aと、免震装置72と、基礎73とでそれぞれ用意される(建造物データ11a、免震装置データ11b、建造基礎データ11c)。
構造物データ11は、構造物位置データ111と、構造物特性データ112とを含む。構造物特性データ112は、例えば、以下のデータを含む。
・構造物の構造データ
・構造物の形状データ
・構造物の工法データ
・構造物の構成部材の材質データ
・構造物の設置時刻データ(設置時刻からの経過年数データ)
・構造物が免震装置であるときの機構モデルデータ
環境特性データ21は、季節ごとまたは日ごとの温度データ21aと、季節ごとまたは日ごとの風データ21b(風速や風向などの風荷重データ)とを含む。なお、温度データ21aや風データ21bは、環境特性データ21に含まれる季節ごとまたは日ごとの気象データ(日射量、降雨量など)の一例である。
なお、オープンDB9などから提供される環境特性データ21は、日本全国などの広範囲なデータや、過去30年分などの長期間なデータである。そこで、地震解析装置1は、時間情報(構造物特性データ112の設置時刻データ)や、空間情報(構造物位置データ111)を用いて、地震解析部14の解析に用いる環境特性データ21を絞り込む。
構造物解析モデルデータ13は、建造物データ11aから構築される建造物モデル13aと、免震装置データ11bから構築される免震装置モデル13bと、建造基礎データ11cから構築される建造基礎モデル13cとを含む。
構造物解析モデルデータ13の剛性データ131は、主に建造物モデル13aや建造基礎データ11cで定義され、例えば、構成部材の材質データから計算される(詳細は図9)。構造物解析モデルデータ13の免震性能データ132は、主に免震装置モデル13bで定義される(詳細は図10)。なお、免震装置72の有無も、建築物70aからみたときの免震性能データ132の一例である。
図7は、地震解析システムの処理を示すシーケンス図である。
モニタリング装置4は、観測器5から収集した観測データ41を、地震解析装置1に通知する(S21)。
地震解析装置1の解析波形生成部32は、これまでに観測されている地震動データから、構造物位置データ111が示す位置(想定地)の地盤データ31(地域地盤特性)についての解析用波形データ33(振動数成分データと加速度データ)を生成する(S11)。
なお、S11に用いる地震動データは、例えば、S21で通知された観測データ41だけでなく、オープンDB9から入手した地震動データを用いてもよい。また、S11に用いる地震動データは、環境特性データ21が反映されたデータを用いてもよい。
地震解析装置1の解析モデル構築部12は、図6で説明した構造物データ11から、環境特性データ21が反映された構造物解析モデルデータ13を構築する(S12)。
地震解析装置1は、各建築物70,71と、その免震装置72と、その基礎73とについての境界条件をデータ入力装置8から受け付け、地震解析部14の解析処理に用いる解析条件データ22として設定する(S13)。
地震解析装置1の地震解析部14は、S11〜S13で用意された各種データをもとに、地震解析を行う(S14,詳細は図8)。例えば、地震解析部14は、構造物に加わった地震力に対する応答を解析することで、各建築物70,71や免震装置72の構成部材の劣化状態に伴う物理特性の変化を求め、その時点での建築構造物に加わった力と構造体の変形量から構造物の損傷状態を計算できる。
また、モニタリング装置4の健全性評価部42は、地震時における構造物の健全性評価処理として、観測データ41の変位差の履歴(絶対位置や相対位置の変位履歴の最大値など)から、剛性データ131および免震性能データ132の変化(劣化)を推定する(S22)。
S22の健全性評価処理は、例えば、S14で地震解析部14が解析した構造物への発生応力データ、構造物の損傷状態に関係する応答加速度データ、および、構造物の変位数値データとについて、それぞれの許容閾値と、観測データ41の変位差の履歴と比較することで、健全性を評価する処理である。なお、発生応力データは、地震時や地震後の終局状態におけるデータである。構造物の損傷状態は、例えば、構造物のひずみや亀裂の進展度合いである。
S22の健全性評価処理の結果や、S22の健全性評価処理に用いられた観測データ41は、モニタリング装置4から地震解析装置1に通知される。そして、解析モデル構築部12は、モニタリング装置4から通知されたデータをもとに、次回以降のS12で使用される構造物解析モデルデータ13を補正する(S23)。つまり、地震解析装置1とモニタリング装置4とで、相互のデータを連携させ、双方の解析あるいは評価をより精度を高めることができる。
なお、S23の補正処理は、例えば、定常時と地震時でそれぞれ地震解析装置1の解析値とモニタリング装置4の実測値とを比較することで、健全性評価部42が評価した構造物の損傷状態を、剛性データ131および免震性能データ132それぞれに反映する処理である。この補正処理により、補正後の地震解析処理(S14)および健全性評価処理(S22)の精度を高めることができる。
そして、地震解析装置1は、地震解析処理(S14)の結果である構造物の地震応答と、健全性評価処理(S22)の結果とを出力する(S15)。各ユーザは、以下に例示するように地震対策の計画にS15の出力内容を役立てることができる。
・短期間、狭い範囲における活用例として、被災エリアの初動計画に役立てる。例えば、地域防災センタ、消防署、警察署などの行政機関による各種の減災活動(被災状況の把握活動、救急活動、消火活動)の立案に貢献する。
・長期間、広い範囲における活用例として、地域全体の防災計画に役立てる。例えば、広範な建築構造物の耐震性データを構築することで、頑強な都市や減災に繋がる都市計画(人口分布、防災拠点、交通網、産業拠点など)の立案に貢献する。
図8は、地震解析システムの地震解析処理(S14)の詳細を示す説明図である。
地震解析部14は、有限要素法構造解析部141と、大変形機構解析部142と、流体解析部143とを含めて構成され、これらの異種の解析部を組み合わせて、繰り返し解析する連成解析(時刻歴応答解析)を実行する。各解析部の解析結果である構造物解析応答データ15は、応答加速度変位データ151と、最大発生応力データ152と、塑性変形データ153bと、大変形データ153aと、剛性低下度合いデータ154とを含めて構成される。
有限要素法構造解析部141は、解析用波形データ33から抽出した地震波の加速度をもとに、構造物解析モデルデータ13の解析処理を行い、解析結果である構造物の変形状態や損傷状態に関係する応答加速度などを応答加速度変位データ151として出力する(S41)。また、有限要素法構造解析部141は、解析結果である構造物内の主要部材の発生応力などを最大発生応力データ152として出力する(S42)。
大変形機構解析部142は、S41の応答加速度変位データ151を取得して(S43)解析し(大変形解が可能な非線形解析や機構解析)、その結果を塑性変形データ153b、大変形データ153aに出力する(S44)。
ここで、剛性データ131の劣化を示す剛性低下度合いデータ154(免震性能データ132の劣化データでもよい)は、最大発生応力データ152と(S45)、塑性変形データ153bと大変形データ153aと(S46)から求まる。
流体解析部143は、剛性低下度合いデータ154を取得して(S47)風データ21bの影響を解析し(風速・風向に伴う風荷重の流体解析)、その解析結果を有限要素法構造解析部141に出力する(S48)。有限要素法構造解析部141は、初回のS31の入力データの代わりに、S48の入力データをもとに、2回目以降の解析を行う。
なお、地震解析部14による連成解析の対象となる構造物(構造物データ11)は、1つの構造物(建築物70aと、免震装置72と、基礎73とのセット)だけでもよいし、定常時の解析対象エリアや地震時の被災エリアの内部に位置する建築構造物群をまとめて解析対象としてもよい。このようにエリア単位で解析を行うことで、効果的な減災活動に活用できる。
図9は、温度データ21aが反映された建造物モデル13aの剛性データ131の一例を示すグラフである。グラフの横軸は温度データ21aの温度を示し、グラフの縦軸は剛性データ131の縦弾性係数または強度を示す。グラフが示すように、剛性データ131は、温度データ21aにより変化する。建築構造物を構成する材料について、木材の強度101、木材の縦弾性係数102、コンクリートの強度103、コンクリートの縦弾性係数104、鋼材の強度105、および、鋼材の縦弾性係数106を例示する。例えば鋼材の縦弾性係数106は、温度が上昇に伴って低下する傾向にある。また、解析モデル構築部12は、各材料を複合した剛性データ131を反映した構造物解析モデルデータ13を構築してもよい。
解析モデル構築部12は、解析期間における温度データ21aに対応する剛性データ131をもとに構造物解析モデルデータ13を構築することで、各構造物に与えられた温度負荷による劣化度合いが反映された、高精度な構造物解析モデルデータ13を構築することができる。
または、図9ではグラフの横軸は温度データ21aとしたが、その代わりにグラフの横軸を風データ21bとした剛性データ131を用意しておいてもよい。そして、解析モデル構築部12は、解析期間における風データ21bに対応する剛性データ131をもとに、風負荷による劣化度合いが反映された構造物解析モデルデータ13を構築してもよい。
さらに、解析モデル構築部12は、解析期間における日射量に対応する剛性データ131をもとに、日射負荷による劣化度合いが反映された構造物解析モデルデータ13を構築してもよい。
さらに、解析モデル構築部12は、解析期間における地震動に対応する剛性データ131をもとに、地震動による劣化度合いが反映された構造物解析モデルデータ13を構築してもよい。
図10は、温度データ21aが反映された免震装置モデル13bの免震性能データ132の一例を示すグラフである。グラフの横軸は温度データ21aの温度を示し、グラフの縦軸は免震性能データ132としての免震装置の復元機構のばね定数(ばね剛性変化割合)、または、免震装置の減衰機構の減衰率(減衰定数)を示す。免震装置を構成する材料について、コイルばねのばね剛性変化割合201、積層ゴムのばね剛性変化割合202、粘性せん断型ダンパの減衰定数203、および、オイルダンパのばね剛性変化割合204を例示する。
なお、どのグラフ線201〜204についても、温度が上昇するにつれ、ばね剛性変化割合および減衰定数は低下する傾向にある。また、免震周期が長周期化して長周期地震動に近い固有周期になると、ばね剛性変化割合の応答が大きくなる。一方、減衰定数が低下すると、地震応答振幅が大きくなる。このように温度変化に伴い免震装置の性能に差が生じることから、温度変化による性能をあらかじめ解析に反映しておくことで、応答値を高い精度で解析することが可能となる。
解析モデル構築部12は、解析期間における温度データ21aに対応する剛性データ131をもとに、温度による劣化度合いが反映された構造物解析モデルデータ13を構築してもよい。
以上説明した本実施形態の地震解析システムでは、特に想定を超える巨大地震に対し、地震災害に対する減災を目的として、建築構造物の地震時の挙動を推定するための地震解析装置1の解析処理およびモニタリング装置4の健全性評価処理を説明した。
まず、地震解析装置1は、建造物データ11aだけでなく、免震装置データ11bや建造基礎データ11cという周辺設備も併せて解析対象の構造物データ11とすることで、建造物の総合的な免震性能や耐震性能を解析し、地震時の構造物の挙動を高精度で推定することができる。
さらに、地震解析装置1は、観測器5の観測データ41を管理するモニタリング装置4と連携することで、地震時の被害状況を迅速により詳細に把握させるとともに、減災のための初動計画の策定に活用することができる。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
また、前記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
さらに、各装置を繋ぐ通信手段は、無線LANに限定せず、有線LANやその他の通信手段に変更してもよい。
1 地震解析装置
4 モニタリング装置
5 観測器
8 データ入力装置
9 オープンDB
11 構造物データ
11a 建造物データ
11b 免震装置データ
11c 建造基礎データ
12 解析モデル構築部
13 構造物解析モデルデータ
13a 建造物モデル
13b 免震装置モデル
13c 建造基礎モデル
14 地震解析部
15 構造物解析応答データ
21 環境特性データ
21a 温度データ
21b 風データ
22 解析条件データ
31 地盤データ
32 解析波形生成部
33 解析用波形データ
41 観測データ
42 健全性評価部
111 構造物位置データ
112 構造物特性データ
131 剛性データ
132 免震性能データ
141 有限要素法構造解析部
142 大変形機構解析部
143 流体解析部
151 応答加速度変位データ
152 最大発生応力データ
153a 大変形データ
153b 塑性変形データ
154 剛性低下度合いデータ

Claims (7)

  1. 解析対象である構造物の設置期間における温度の変化および風雨の変化のうちの少なくとも1つを含む気候変化をもとに、その気候変化が構造物に与える環境負荷量から、構造物の地震耐性の劣化度合いを反映した構造物解析モデルデータを構築する解析モデル構築部と、
    構造物に作用する解析対象の地震動を示す解析用波形データを生成する解析波形生成部と、
    前記構造物解析モデルデータに対して前記解析用波形データを作用させることで、地震動の負荷を受けた構造物の応答を計算する地震解析部とを備えることを特徴とする
    地震解析装置。
  2. 前記解析モデル構築部は、解析対象である建造物に加えて、その建造物を支える基礎、および、地盤の揺れを吸収して建造物へ伝達しないようにする免震装置のうちの少なくとも1つの構造物を、解析対象である構造物とすることを特徴とする
    請求項1に記載の地震解析装置。
  3. 前記解析モデル構築部は、前記構造物解析モデルデータを構築するときに、前記環境負荷量に加えて、構造物の設置期間において発生した地震の負荷量から、前記構造物の地震耐性の劣化度合いを計算することを特徴とする
    請求項1に記載の地震解析装置。
  4. 前記解析波形生成部は、前記解析用波形データを生成するときに、前記気候変化をもとに構造物を支える地盤の強度を計算し、計算した前記地盤の強度を前記解析用波形データに反映させることを特徴とする
    請求項1に記載の地震解析装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の地震解析装置と、モニタリング装置とを含めて構成される地震解析システムであって、
    前記モニタリング装置は、構造物に設置されている観測器から収集した観測データの前記気候変化に伴う変位履歴データを前記地震解析装置に通知し、
    前記解析モデル構築部は、前記構造物解析モデルデータを構築するときに、通知された前記変位履歴データから前記気候変化が構造物に与える前記環境負荷量を計算することを特徴とする
    地震解析システム。
  6. 前記モニタリング装置は、構造物に設置されている前記観測器に加えて、基準点に設置されている前記観測器からも各前記観測器の位置情報を前記観測データとして収集し、収集した構造物の位置情報と収集した基準点の位置情報との差分である相対変位差を、前記気候変化に伴う前記変位履歴データとして前記地震解析装置に通知することを特徴とする
    請求項5に記載の地震解析システム。
  7. 地震解析装置は、解析モデル構築部と、解析波形生成部と、地震解析部とを備えており、
    前記解析モデル構築部は、解析対象である構造物の設置期間における温度の変化および風雨の変化のうちの少なくとも1つを含む気候変化をもとに、その気候変化が構造物に与える環境負荷量から、構造物の地震耐性の劣化度合いを反映した構造物解析モデルデータを構築し、
    前記解析波形生成部は、構造物に作用する解析対象の地震動を示す解析用波形データを生成し、
    前記地震解析部は、前記構造物解析モデルデータに対して前記解析用波形データを作用させることで、地震動の負荷を受けた構造物の応答を計算することを特徴とする
    地震解析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019230801A1 (ja) * 2018-05-30 2019-12-05 Kikuchi Hiroyuki ホイール
CN115689293A (zh) * 2022-11-15 2023-02-03 中国科学院地理科学与资源研究所 一种基于压力-状态-响应框架的城市内涝韧性评估方法

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