JP2020001403A - エネルギー効率の良いプリントヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】熱的な及び/又は機械的なストレス、並びに化学物質の相互作用は、時間の経過と共にプリントヘッドに腐食及び/又は摩耗を引き起こしうる。したがって、それらの作用からある程度保護するためのパッシベーション層を有する画像形成装置を提供する。【解決手段】エネルギー効率の良いプリントヘッド104が開示されている。例示的なプリントヘッドは、プリントヘッドの複数のノズル106に向けてインクを導くためのチャンネル207を有する基板202を備えている。該例示的なプリントヘッドはさらに、該基板上にパッシベーション層210を備えている。該パッシベーション層は、原子層堆積を用いて形成された第1の誘電材料からなる第1の薄膜214を備えている。【選択図】図2
Description
インクベースの画像形成装置は、媒体に画像を印刷するためにインクを用いる。典型的には、インクジェット印刷装置は、印刷媒体へと流体(たとえばインク)を導いて画像を形成するための複数のノズルを有する1以上のプリントヘッドを備えている。サーマルインクジェット印刷装置は、典型的には、特定のノズルからインクを噴射させる気泡を形成するために、該ノズルにおいて該インクを加熱する電気パルスを使用する。インクが冷めて気泡が崩壊すると、別のインク滴の噴射に備えて、追加のインクが該ノズルへと引き込まれる。圧電(ピエゾ式)インクジェット印刷装置は、典型的には、圧電素子を曲げて、対応するノズルからインクを送り出すために電気パルスを用いる。そのような印刷処理中に生じる熱的な及び/又は機械的なストレス、並びに化学物質の相互作用は、時間の経過と共にプリントヘッドに腐食及び/又は摩耗を引き起こしうる。したがって、プリントヘッドは、典型的には、それらの作用からある程度保護するためにパッシベーション層を有して製作され、これによって、該プリントヘッドの信頼性を高め、及び該プリントヘッドの耐用年数を延ばしている。
これらの図面は正確な縮尺で描かれてはおらず、それらの図面では、複数の層及び領域を明瞭にするために、それらの層の厚さが(実際の場合よりも相対的に)厚く示されている場合がある。同じもしくは同様の部分(ないし要素)を参照するために、(1以上の)図面及び関連する記述を通じて、可能な限り同じ参照番号が使用されている。本明細書及び図面で使用されている、任意の部分(ないし要素。たとえば、層、膜、領域、またはプレート(平板))が別の部分(ないし要素)に(態様ないし形態はどうあれ)配置されている(たとえば、配置されている、位置決めされている、置かれている、または形成されているなど)という記述は、参照されている部分が、該別の部分と接触しているか、または、該参照されている部分が、該参照されている部分と該別の部分の間に1以上の部分が配置されている状態で該別の部分の上にあることを意味する。任意の部分が別の部分と接触しているという記述は、それら2つの部分の間に(介在する)部分がないことを意味する。
典型的には、プリンタ用のプリントヘッド(プリントヘッドダイまたは単にダイと呼ばれる場合もある)は、印刷処理に伴う化学物質への暴露から保護し、及び印刷処理に伴う熱的な及び/又は機械的なストレス(すなわち熱ストレス及び/又は機械ストレス)の影響を低減するために、化学的に堅牢(ないし頑強)な材料を有する薄膜スタックを備えるパッシベーション層で覆われている(コーティングされている)。さらに、パッシベーション層は、典型的には、プリントヘッドのエネルギー効率を高めるための誘電材料を備えている。従来、プリントヘッド上のパッシベーション層は、一窒化ケイ素(silicon mononitride:SiN)の膜を形成した後に炭化{たんか}ケイ素(SiC){たんか}の膜を形成するために、プラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて製造されている。かかる既知のパッシベーション層ではSiNの膜が使用されるが、これは、それが、印加された電圧に耐えるための強い誘電特性を有するからであり、一方、SiCが使用されるのは、それが、ダイ製造プロセスの残りの期間中及び印刷処理中の化学物質(たとえばインク中の化学物質)への暴露からプリントヘッドを保護するための化学的堅牢性を有するからである。
プリントヘッドにおけるパッシベーション層は、周囲の環境から保護するという重要な目的を果たすが、保護のレベルは、パッシベーション層の厚さにある程度依存する。しかしながら、パッシベーション層の厚さが厚くなるにつれて、プリントヘッドのエネルギー効率は低下しうる。たとえば、サーマルインクジェット印刷用途では、パッシベーション層は、典型的には、プリントヘッドの対応するノズルを通してインクを噴射するために電気的に作動する発熱抵抗体の上に加えられる。パッシベーション層の厚さが厚いほど、発熱抵抗体からインクへの熱伝達は小さくなり、このため、エネルギー効率が低下する。さらに、強い誘電特性を有していないパッシベーション層材料からの漏電によってエネルギー損失が生じうる。したがって、プリントヘッドの効率を改善するためのより薄いパッシベーション層であって、他の既知のプリントヘッドの保護レベルと同じ(またはそれより高い)保護レベルを提供するために堅牢でもあるパッシベーション層を提供することが望まれている。
設計仕様を満たすために、上記の既知のSiN/SiCパッシベーション層の全厚は、しばしば、約2500オングストローム(0.25マイクロメートル)である。パッシベーション層の全厚と個々の薄膜層の厚さは、使用される材料及びそれらの膜を配置(ないし堆積)する方法に応じた制約を受ける。たとえば、SiCは、堅牢な化学的保護を提供するが、SiCの誘電特性が比較的弱いために、SiN層の厚さを、SiCがより強い誘電特性を有していたならば必要とされたであろう厚さよりも厚くする必要がある。さらに、PECVDプロセスでは、ステップカバレッジ(段差被覆性(step coverage))が比較的限定され、及び、ピンホール欠陥を含む場合があり、このため、膜がすぐには形成されない脆弱な箇所を考慮するために比較的厚い膜の必要性が生じる。これらの要因は、全体の厚さを厚くし、それに応じてプリントヘッドの効率を低下させる原因となる。
本開示の教示にしたがって製造された例示的なプリントヘッドは、プリントヘッド用の他の既知のパッシベーション層よりもずっと薄いが、腐食及び/又は摩耗に対する同様のレベルの保護を提供するパッシベーション層を備えている。さらに、本願(本願明細書及び図面。以下同じ)において開示されているいくつかの例示的なプリントヘッドは、既存のプリントヘッドで使用されている他の既知のパッシベーション層の材料よりも強い誘電特性を有する(パッシベーション層の)材料を使用する。その結果、本願において開示されているパッシベーション層を有する例示的なプリントヘッドは、現在の既知のプリントヘッドよりも高いエネルギー効率を呈する。さらに、本願において開示されているより薄いパッシベーション層は、従来可能であったものよりも、小さなフットプリント及び/又は高いノズル密度を有するプリントヘッドの作製を可能にする。さらに、本願において開示されている例は、ターンオンエネルギーを大幅に小さくして、プリントヘッドのノズルからインクを噴射する速度を速くすることができ、これによって、印刷速度を速くすることができる。
図1は、本願において開示されている教示を実施することができる例示的なインクジェットプリンタ100を示すブロック図である。より具体的には、例示的なインクジェットプリンタ100は、新規なハイブリッド堆積技術を用いて作製されたパッシベーション層を含む例示的なプリントヘッド104を有するプリントヘッドアセンブリ102を備えており、ここで、該ハイブリッド堆積技術は、第1の薄膜層のPECVDと第2の薄膜の原子層堆積(ALD)を組み合わせたものである。図示の例に示されているように、プリントヘッド104は、所望の印刷イメージに対応するパターンで印刷媒体(たとえば紙)108に向けてインク滴を噴射するノズル106のアレイ(配列)を有している。例示的なプリンタ100はまた、インク供給源110、印刷媒体搬送機構112、及びコントローラ114を備えている。図示の例では、コントローラ114は、プリンタ100の作動要素を制御するのに必要なプログラミング、(1以上の)プロセッサ、関連するメモリ(記憶装置)、電子回路及び構成要素を一般的に表している。いくつかの例では、プリントヘッドアセンブリ102とインク供給源110は、単一のユニットとして収容される。他の例では、プリントヘッドアセンブリ102とインク供給源110は別個の構成要素である。いくつかの例では、プリントヘッドアセンブリ102は、印刷媒体108の幅全体にわたる固定された(すなわち動かない)(インク供給源110を備えている場合もあれば備えていない場合もある)より大きなユニット(たとえばページ幅プリントバー)である。代替的には、いくつかの例では、プリントヘッドアセンブリ102は、可動キャリッジにおいて、印刷媒体108の幅方向に往復して走査させられるより小さなユニット(たとえば走査型インクカートリッジ)である。
図2は、図1の例示的なプリントヘッド104の一部の断面図である。図2に示されている例では、プリントヘッド104は、シリコン基板202、バイア構造層(ビア構造層ともいう)204、及びノズルアレイ層206を備えている。図示の例に示されているように、シリコン基板202は、インク供給源110(図1)から、バイア構造層204によって画定された導管またはバイア208内へと、そして、ノズルアレイ層206内に形成されたノズル106に向けてインクを導く(送る)インク流路(インクチャンネル)207を備えている。バイア構造層204は、シリコン基板202とは別個の層として示されているが、いくつかの例では、バイア構造層204を、シリコン基板202と一体的に形成する(すなわち一体形成する)ことができる。いくつかの例では、バイア構造層204は、ノズルアレイ層206と一体的に形成される。いくつかの例では、シリコン基板202及び/又はバイア構造層204及び/又はノズルアレイ層206のいずれかの間に他の材料からなる1以上の層が存在しうる。
図示の例に示されているように、ノズルアレイ層206内のノズル106は、対応するノズル106を介するインクの噴射を作動させるためにシリコン基板202上に配置されたインク噴射アクチュエータ209に位置合わせされている(整列している)。図示の例では、インク噴射アクチュエータ209は、コントローラ114(図1)によって生成された電気パルスに応答して、ノズル106を通してインクを送り出すためにノズル106の領域内のインクを加熱する発熱抵抗体である。
プリントヘッドの加熱と冷却の繰り返しによって課される熱的なストレス、及び、そのような印刷処理の化学的及び機械的な衝撃は、時間の経過と共にプリントヘッドに悪影響を与えることができ、これによって、プリントヘッドの信頼性が低下する。プリントヘッド104に対する熱的なストレス、化学的なストレス、及び/又は機械的なストレスの影響を低減するために、シリコン基板202、バイア構造層204、及び/又はノズルアレイ層206の表面に、パッシベーション処理を施して、プリントヘッド104の表面の堅牢性を高めるために薄膜のスタック(薄膜の積層構造)を備える保護コーティング(保護皮膜)を付加する。本開示の目的に照らして、本明細書では、該保護コーティングをパッシベーション層と呼ぶ。
図2に示されている例は、シリコン基板202の表面に形成された例示的なパッシベーション層210を示す詳細図(クローズアップ図)を含んでいる。より具体的には、図示の例に示されているように、パッシベーション層210が付加される前にシリコン基板202上に形成された複数の層がある。いくつかの例では、シリコン基板202は、発熱抵抗材料(または耐熱部材)212及び導電体213をシリコン基板202から電気的に分離(すなわち絶縁)するための(たとえば二酸化ケイ素(SiO2)から形成された)別個のパッシベーション層211を支持する。図示の例では、発熱抵抗材料212は、インクを加熱して関連するノズル106を通して該インクを噴射するためのインク噴射アクチュエータ209(たとえば発熱抵抗体)を形成するために使用される。図示の例では、(たとえばアルミニウム銅(AlCu)から形成された)導電体213が、噴射アクチュエータ209(たとえば、発熱抵抗材料212から形成された発熱抵抗体)に電流を供給する。発熱抵抗材料212を含むプリントヘッド104を、噴射アクチュエータ209への通電の繰り返しによって生じるストレスから及びインク中の化学物質との相互作用から保護するために、例示的なパッシベーション層210は、図示の例に示されているように、シリコン基板202の表面上において、発熱抵抗材料212及び他の層の上に配置される。
図2では、例示的なパッシベーション層210は、誘電材料から形成された複数の薄膜のスタック(薄膜の積層構造)を備えている。より具体的には、いくつかの例では、パッシベーション層210は、シリコン基板202の一番近くにある一窒化ケイ素(silicon mononitride:SiN)薄膜214、及び、該SiN薄膜214上に配置された酸化ハフニウム(hafnium oxide:HfO2)薄膜216を備えている。上記したように、SiNは、それが強い誘電特性(または絶縁耐力)を有するために、既知のプリントヘッドのパッシベーション層に一般的に使用されている。しかしながら、他の既知のパッシベーション層とは異なり、図2の例示的なパッシベーション層210は、SiCの代わりにHfO2の薄膜を備えている。HfO2は、SiCと同様に化学的に堅牢であり、それゆえ、SiCの良好な代替物として機能する。さらに、HfO2は、SiCよりも強い誘電特性を有しているため、より詳細に後述するように、SiCを用いる既知のプリントヘッドで可能なエネルギー効率よりも高いエネルギー効率をもたらすことができる。図示の例は、HfO2に関して説明されているが、該外側の層に、たとえば、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、または酸化タンタル(Ta2O5)などの他の材料を代わりに使用することができる。さらに、図2には、2つの薄膜214、216だけが示されているが、他の例では、パッシベーション層210は、シリコン基板202上において、SiN薄膜214の前(たとえば下)に、及び/又はHfO2薄膜216の後(たとえば上)に、及び/又はSiN薄膜214とHfO2薄膜216の間に配置された他の薄膜層を備えることができる。たとえば、タンタル(Ta)、白金(Pt)、白金イリジウム(PtIr)、または白金ルテニウム(PtRu)の1以上の薄膜層を、HfO2薄膜216の上に配置する(ないし堆積させる)ことができる。
いくつかの例では、薄膜214、216は、ハイブリッドパッシベーション技術を用いてシリコン基板202の表面に付加される。より具体的には、いくつかの例では、SiN薄膜214は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて基板202上に配置(ないし堆積)され、HfO2薄膜216は、原子層堆積(ALD)を用いて配置(ないし堆積)される。このハイブリッド堆積アプローチは、プリントヘッドにパッシベーション層を形成するためにPECVDだけを実施する従来のアプローチとは明確に異なる。すなわち、上記したように、プリントヘッド用の既知のパッシベーション層は、典型的には、図2の例示的なパッシベーション層210と同様にPECVDを用いて配置(ないし堆積)されたSiNの薄膜を備えている。しかしながら、プリントヘッド用の既知のパッシベーション層は、典型的には、例示的なパッシベーション層210とは異なり、同じくPECVDを用いて配置(ないし堆積)された炭化ケイ素(SiC)の第2の薄膜を有して形成される。
したがって、例示的なパッシベーション層210は、少なくとも2つの点で、既知のパッシベーション層とは異なる。第1に、異なる誘電材料が使用される。具体的には、例示的なパッシベーション層210は、SiC層の薄膜なしで形成されるが、その代わりにHfO2を使用する。第2に、それらの材料を付加するために使用される堆積技術が異なる。具体的には、既知のパッシベーション層におけるSiCに対して実施されるようにPECVDを用いてHfO2を付加するのではなく、例示的なパッシベーション層210のHfO2薄膜216は、ALDを用いて形成される。プリントヘッドの既知のパッシベーション層とのこれら2つの違いは、いくつかの重要な利点をもたらす。たとえば、これらの違いは、より薄い膜スタック(膜の積層構造)でもってより強い誘電特性をもたらすが、これは、向上したエネルギー効率及び/又は熱効率、サイズがより小さいプリントヘッド、及び/又は、より高いノズル密度、より低いコスト、及びより速い印刷速度をもたらしうる。
試験によって、本願において開示されているハイブリッドパッシベーションアプローチを用いて形成された例示的なパッシベーション層210を、要求された電気的特性(または電気的仕様)を依然として満たしつつ、他の既知のパッシベーション層よりもはるかに薄くできることが示された。たとえば、上記したように、多くの既存のプリントヘッドに対して実施されるのと同様に、PECVDだけを用いてSiN及びSiCの薄膜を配置(ないし堆積)した場合には、パッシベーション層は、典型的には、約2500オングストローム(SiNに対応する約1670オングストローム(Å)及びSiCに対応する約830オングストローム(Å))の厚さを有する。これとは対照的に、SiN及びHfO2のPECVD/ALDハイブリッドパッシベーションに基づくパッシベーション層210の全体の厚さを1500オングストロームよりも薄くすることができ、いくつかの用途では、これよりもかなり薄い厚さで成功裏に製造することができる。すなわち、いくつかの例では、パッシベーション層210の全体の厚さは、約1000オングストロームかまたはそれより小さい。いくつかの例では、パッシベーション層210の全体の厚さは、約500オングストロームかまたはそれより小さい。典型的な印刷用途の設計仕様を依然として満たしつつ、300オングストローム程度の薄さのパッシベーション層を成功裏に製造できることが見込まれる。
本開示の教示を実施することによって可能になるパッシベーション層210の例示的な厚さから明らかなように、SiN薄膜214及びHfO2薄膜216の両方の厚さを、既知のパッシベーション層の対応するSiN/SiC薄膜層よりも大幅に薄くすることができる。たとえば、いくつかの例では、HfO2薄膜216は約200オングストローム(Å)の厚さを有する。いくつかの例では、HfO2薄膜216は約50オングストローム(Å)の厚さを有するが、これは、SiCの830オングストローム(Å)という厚さよりも大幅に小さい。ALD手順は、既知のプリントヘッドにおける(相当する)パッシベーション層のSiCの膜よりもずっと薄いHfO2の保護膜を可能にするが、ALDを用いて配置(ないし堆積)されたHfO2の使用もまた、SiN薄膜の要求される厚さを小さくするのを可能にする。たとえば、プリントヘッドの既知のパッシベーション層のSiN薄膜層(の厚さ)は、典型的には1600オングストローム(Å)を超えるが、本願で開示されているようにHfO2薄膜216が使用される場合には、パッシベーション層210の保護レベル及び電気的性質を(いずれも)同様のものに維持しつつ、SiN薄膜214の厚さを約250オングストローム(Å)と約1200オングストローム(Å)の間の範囲まで小さくすることができる。
図示の例の例示的なパッシベーション層210が、プリントヘッド用の他の既知のパッシベーション層よりもはるかに薄いことの理由の少なくとも1つは、ALDの実施が、PECVDよりも良好なステップカバレッジをもたらすことにある。シャドーイングとしても知られているステップカバレッジは、非平面または3次元の(たとえば、段状部またはその他のでこぼこを含む)表面上に配置(ないし堆積)された薄膜の厚さの均一性のレベルを意味する。たとえば、図2の詳細図(クローズアップ図)は、2つの平坦な部分220、222の間の導体層213のエッジ(縁)に沿った傾斜部218を示している。図示の例に示されているように、平坦部220上のSiN薄膜214の厚さ224は、傾斜部218上のSiN薄膜214の厚さ226よりも厚いが、これは、(SiN薄膜214を配置(ないし堆積)するために使用されたPECVDプロセスに起因して)比較的悪いステップカバレッジを示している。これとは対照的に、図2に示されているように、平坦部220上のHfO2薄膜216の厚さ228は、傾斜部218上のHfO2薄膜216の厚さ230とほぼ等しく、これは、(HfO2薄膜216を配置(ないし堆積)するために使用されたALDプロセスに起因して)比較的良好なステップカバレッジを示している。
より一般的には、ステップカバレッジを、垂直な壁もしくは段状部の底部側にある薄膜の厚さと該段状部の上にある薄膜の厚さとの比とすることができる。いくつかの例示的なプリントヘッドでは、PECVDの(百分率で表される)ステップカバレッジは約50%であり、一方、ALDのステップカバレッジは約100%である。いくつかの例では、ALDのステップカバレッジは95%よりも大きい。いくつかの例では、ALDのステップカバレッジは80%〜100%の範囲内にある。PECVDの場合のように、ステップカバレッジが100%よりも小さい場合には、(傾斜部218などの)傾斜部及び/又はその他の不規則な形状の表面(たとえばでこぼこの表面)は、パッシベーション層の脆弱性を有する可能性がある箇所となり、このため、他の領域にあるパッシベーション層の全体の厚さを、そうでない場合(すなわちステップカバレッジが100%である場合)に必要とされる厚さよりも厚くしなければならない。したがって、PECVDだけを用いて製造されたプリントヘッド用の(ステップカバレッジが比較的悪い)既存のパッシベーション層は、プリントヘッドの表面の不規則な形状の部分の保護を補償して該保護を十分なものにするために全体的により厚くされる必要がある。これとは対照的に、図2の例示的なパッシベーション層210は、基板202の表面に沿った全ての箇所にわたって一定レベルの保護を与えるために、ALDを用いて配置(ないし堆積)された(ほぼ完全なステップカバレッジを有する)HfO2薄膜216を備えており、これによって、全体的により薄い膜を可能にする。
ALDによって克服されるPECVDの他の制約は、配置(ないし堆積)された薄膜におけるピンホール欠陥の存在である。PECVD薄膜におけるピンホール欠陥の特定の密度は、プロセスの条件及びパラメータに依存して変わりうるが、典型的には、ささいではない量の欠陥が存在する。その結果、たとえば、該薄膜中のストレスがかかっている箇所(ストレスポイント)や腐食経路などのピンホール欠陥の悪影響を低減するために、PECVDを用いて作製される薄膜層の厚さを増すことが必要とされうる。これとは対照的に、ALDの手順は、ピンホール欠陥のない(たとえば、欠陥密度がゼロであるかまたは少なくとも無視できるほど小さい)薄膜の配置(ないし堆積)を可能にし、これによって、該薄膜の厚さを、PECVDが適用される膜に必要とされる厚さよりもはるかに小さくして、配置(ないし堆積)された膜の下の表面に対して同じ性質及び保護レベルを達成することができる。欠陥に対する心配がないためにHfO2薄膜216の厚さをより薄くできることに加えて、例示的なパッシベーション層210のHfO2薄膜216のピンホールのない性質はまた、外部環境に露出するSiN薄膜214の欠陥についての心配を軽減し、これによって、SiN薄膜214(の厚さ)を、それが依然としてPECVDを用いて付加されるとしても、同様にはるかに薄くすることができる。
(厚さが約2500オングストローム(Å)である)既知のパッシベーション層と比べて、(厚さが約300オングストローム(Å)と1500オングストローム(Å)の間の範囲内にある)より薄いパッシベーション層210で達成されるいくつかの利点または利益がある。たとえば、より薄いパッシベーション層は、インクが通るバイア208及び他のチャンネル(流路)に対しては同じ寸法を維持しつつ、プリントヘッドの全体の大きさをより小さくすることを可能にする。さらに、より詳細に後述するように、より薄いパッシベーション層は、ターンオンエネルギー(たとえば、安定したインク滴噴射のために必要なエネルギー)を低減するのを可能にし、これによって、必要な電力を供給するプリントヘッド内の電源デバイスをより小さくするのを可能にする。その結果、単一のシリコンウェーハ上により多くの数(たとえば、約8%だけ多い数)のプリントヘッドを作製することができ、これによって、製造コストを下げることができる。
さらに、パッシベーション層210は、既知のプリントヘッドに比べてプリントヘッドのエネルギー効率及び熱効率を高める。なぜなら、厚さがより小さくなったことによって、噴射アクチュエータ209(たとえば発熱抵抗体)からインクへの熱伝達が向上するからである。さらに、厚さがより薄いパッシベーション層210は、ノズル106を通してインクを噴射するために必要な最高温度を下げるのを可能にする。たとえば、2500オングストロームの厚さのSiN/SiCからなるパッシベーション層を有する既知のプリントヘッドの熱的モデルは、安定したインク滴噴射のための膜スタックの温度が約473℃に達することを示している。これとは対照的に、1000オングストロームの厚さのパッシベーション層(たとえば、800オングストローム(Å)の厚さのSiNと200オングストローム(Å)の厚さのHfO2)を有する図2の例示的なプリントヘッド104は、400℃未満(たとえば370℃未満)の最高温度で安定したインク滴噴射を達成することができる。いくつかの例では、より薄いパッシベーション層210に起因するこのより低い温度及び改善された熱伝達は、ターンオン電圧(たとえばインク滴を噴射するために必要な電圧)の(7パーセント程度の)低下をもたらす。さらに、または代替的に、いくつかの例では、より薄いパッシベーション層210に起因するこのより低い温度及び改善された熱伝達は、噴射アクチュエータ209に加えられる電流の(9パーセント程度の)低下をもたらす。さらに、プリントヘッド104で使用されるこの低下した電圧及び/又は電流は、プリントヘッド104に電力を供給するプリンタ100内の他の構成要素のコストを下げることができ、及び/又は該構成要素の効率を高めることができる。
さらに、例示的なパッシベーション層210の薄くされた厚さは、プリントヘッド104の噴射周波数を高めることができ、これによって、印刷速度を速くできる可能性をもたらす。具体的には、噴射周波数は、ノズル106からインクを噴射するために必要な最高温度によって制限されるが、これは、噴射パルスを生成した後は、別の噴射パルスを生成できるようになる前に、インクを冷やさなければならないからである。インクを噴射するため使用される温度が低いと、インクを冷やすために必要な時間がより短くなり、このため、噴射周波数を高くすることができる。また、インクの最高温度がより低いときにはインクを冷やすのに要する時間がより短いのと同じように、より短い時間で、安定したインク噴射を行うのに必要な温度までインクを加熱することができ、これによって、噴射周波数をさらに高くすることができる。
さらに、インクを加熱するための時間が短いことは、噴射アクチュエータ209(たとえば発熱抵抗体)に電力を加えなければならない時間が短く、これによって、プリントヘッド104のエネルギー効率が高まることを意味する。ノズルを通してインクを噴射するために使用されるエネルギーの量は、ターンオンエネルギーと呼ばれ、噴射パルスの持続時間(たとえば、噴射アクチュエータ209に最初にエネルギー(電力)が与えられた後にインクを噴射するのに要する時間)に比例する。図3は、異なるパッシベーション層を有するプリントヘッドの噴射パルスの測定値に最も良く適合する線を示すグラフである。図3に示されているように、横軸は、噴射パルス、すなわちノズル106からインクが噴射される前に噴射アクチュエータ209にエネルギー(電力)が加えられる(マイクロ秒(μs)の単位で測定された)時間を表している。図3のグラフの縦軸は、噴射パルス(の生成)後にノズルから噴射されるインク滴の重量を表している。図3に示されているように、より小さなインク滴(すなわち重量がより軽いインク滴)は、典型的には、より大きなインク滴よりも早く噴射される。
図3の例示的なグラフでは、実線は、PECVDだけを用いてSiN及びSiCから形成された既知のPECVDパッシベーション層302を有するサンプルのプリントヘッドから噴射されたインクについて測定された典型的な噴射パルスを表している。図3のグラフ中の3つの破線は、例示的なALDハイブリッドパッシベーション層304、306、308を有するサンプルのプリントヘッドから噴射されたインクについて測定された典型的な噴射パルスを表している。ここで、それらのハイブリッドパッシベーション層は、PECVDを用いて形成されたSiN薄膜214及びALDを用いて形成されたHfO2薄膜216を有する図2のパッシベーション層210と同じように作製されたものである。図3に示されているように、ALDハイブリッドパッシベーション層304、306、308の各々のHfO2薄膜216は同じ厚さ(200オングストローム(Å))であるが、SiN薄膜214は、3つのALDハイブリッドパッシベーション層304、306、308の各々について、それぞれ、800オングストローム(Å)、1000オングストローム(Å)、1200オングストローム(Å)と互いに異なっている。
図3のグラフに示されているように、ALDハイブリッドパッシベーション層304、306、308の各々の噴射パルス(の持続時間)を、(0ナノグラム(ng)に近いインク滴重量の場合には)約0.6マイクロ秒とし、(膝部分310から始まる)安定したインク滴噴射のためには約0.82マイクロ秒とすることができる。これとは対照的に、既知のPECVDパッシベーション層302を有するプリントヘッドからの低重量のインク滴に対する噴射パルスは約0.72マイクロ秒であり、安定したインク滴噴射は約0.96マイクロ秒から始まる。ターンオンエネルギーは噴射パルス(の持続時間)に比例するので、これらの測定された噴射パルスを比較すると、ALDハイブリッドパッシベーション層304、306、308は、試験された特定の印刷用途の場合に約15%だけターンオンエネルギーを小さくすることがわかる。図3のグラフを生成するために試験された特定のサンプルでは、パッシベーション層は、SiN薄膜214及びHfO2薄膜216に加えて、タンタル(Ta)の薄膜をさらに含んでいた。より薄いTa層を有することによって、ターンオンエネルギーがさらに大きくなりうることが予期される。
他の既知のプリントヘッドに対する図2の例示的なプリントヘッド104の上記の利点及び改善は、一つには、パッシベーション層210の薄くされた厚さによって達成されるが、パッシベーション層210に使用される材料も、例示的なプリントヘッド104のエネルギー効率を高める役割を果たす。具体的には、パッシベーション層210のHfO2薄膜216は、例示的なプリントヘッド104の効率を高める。なぜなら、HfO2は、他の既知のパッシベーション層で使用されているSiCよりも強い誘電特性を有するからである。すなわち、図2のパッシベーション層210を通じて生じるエネルギー損失は、既存のプリントヘッドのパッシベーション層を通じて生じるエネルギー損失よりも小さい。さらに、この性質は、SiN薄膜214の厚さを低減する役割を果たすことができる。なぜなら、パッシベーション層210によって支持される電気的負荷を、SiN薄膜層に主に依存するのではなく、SiN薄膜とHfO2薄膜とで分担できるからである。図2の例示的なパッシベーション層210の誘電特性の改善が、図4及び図5のグラフに示されている。
図4は、0ボルト(V)と100ボルト(V)の間で動作する異なるパッシベーション層を有するプリントヘッドについて測定された漏電を表すグラフである。より具体的には、図4のグラフは、PECVDだけを用いてSiN及びSiCから形成された既知のPECVDパッシベーション層402を有するサンプルのプリントヘッドからの漏電の測定値を表している。さらに、図4は、PECVDを用いて形成されたSiN薄膜214及びALDを用いて形成されたHfO2薄膜216を有する図2のパッシベーション層210と同じように作製された例示的なALDハイブリッドパッシベーション層404、406、408を有するサンプルのプリントヘッドからの漏電の測定値を表している。図4に示されているように、ALDハイブリッドパッシベーション層404、406、408の各々のHfO2薄膜216は同じ厚さ(200オングストローム(Å))であるが、SiN薄膜214は、3つのALDハイブリッドパッシベーション層404、406、408の各々について、それぞれ、600オングストローム(Å)、800オングストローム(Å)、1000オングストローム(Å)と互いに異なっている。
図4に示されているように、約40ボルト(V)未満の電圧において、ALDハイブリッドパッシベーション層404、406、408の各々の漏電(量)は、既知のPECVDパッシベーション層402の漏電(量)以下である。多くのプリントヘッドの動作範囲は、約28ボルト(V)と約33ボルト(V)の間である。したがって、本開示の教示にしたがって製造された例示的なプリントヘッドは、ほとんどのプリンタの予想される動作範囲にわたって、既知のプリントヘッドと比べてエネルギー損失が少ない。
図5は、図4と類似のグラフであるが、厚さが600オングストローム(Å)と1670オングストローム(Å)の間で異なるSiN薄膜層を有する既知のPECVDパッシベーション層502、504、506、508を備えるサンプルのプリントヘッドからの漏電の測定値を表している。図5はまた、本開示の教示にしたがって製造された例示的なALDハイブリッドパッシベーション層510を有するサンプルのプリントヘッドからの漏電の測定値を表している。図5の例示的なグラフでは、全体の厚さが2500オングストローム(Å)である既知のPECVDパッシベーション層508を有するサンプルのプリントヘッドは、図4のグラフに示されているPECVDパッシベーション層402を有するサンプルのプリントヘッドに対応する。同様に、図5のALDハイブリッドパッシベーション層510を有するサンプルのプリントヘッドは、図4のALDハイブリッドパッシベーション層406を有するサンプルのプリンヘッドに対応する。図5に示されているように、厚さが異なる既知のPECVDパッシベーション層502、504、506、508は全て、40ボルト(V)未満のプリントヘッドの予想される動作範囲において、該ALDハイブリッドの漏電よりも漏電が大きい。さらに、ALDハイブリッドパッシベーション層510は、既知のPECVDパッシベーション層506と同じ厚さのSiNを有する。(同じ厚さのSiN薄膜を有する)これら2つのパッシベーション層を比べると、ALDハイブリッドパッシベーション層510の漏電(量)は、最大で約65ボルト(V)まで、PECVDパッシベーション層506の漏電(量)以下のままであることがわかる。
図6は、図1及び/又は図2の例示的なプリントヘッドを製造する例示的な方法を示すフローチャートである。該例示的なプロセスは、プリントヘッド(たとえばプリントヘッド104)用のシリコン基板(たとえば図2のシリコン基板202)を作製(ないし提供)するステップを含むブロック602から開始する。該例示的なプロセスは、ブロック604において、PECVDを用いてシリコン基板202上に第1の誘電材料の(すなわち第1の誘電材料からなる)第1の薄膜を形成するステップを含む。いくつかの例では、該第1の誘電材料はSiNである。該例示的なプロセスは、ブロック606において、ALDを用いて、該第1の薄膜上に第2の誘電材料の(すなわち第2の誘電材料からなる)第2の薄膜を形成するステップを含む。いくつかの例では、該第2の誘電材料はHfO2である。該例示的なプロセスは、ブロック608において、プリントヘッド104の製造を完了するステップを含み、その結果、図6の例示的なプロセスは終了する。
本願に開示されているPECVD技術とALD技術のハイブリッドを用いてSiNとHfO2の薄膜スタックから形成された図2のパッシベーション層210を含む例示的なプリントヘッド(及び関連する方法)は、誘電特性と、化学的堅牢性と、所望の仕様を満たす、費用効果が良く、エネルギー効率が良く、かつ信頼性のあるプリントヘッドを実現することに関与する材料の配置(ないし堆積)方法との間のトレードオフに基づく。そのため、薄膜層の特定の厚さ、使用される材料、及び/又は、それらの材料を配置(ないし堆積)する方法は、用途及び関連する要件の変化に応じて変わりうる。たとえば、上記の例は、インクの加熱と冷却が繰り返されるサーマルインクジェットプリンタに関して説明されている。しかしながら、圧電プリントヘッドはそれとは異なるストレスを受けるので、例示的な圧電プリントヘッドの薄膜層の厚さ、材料、及び/又は配列を適切に適合させることができる。
いくつかの例では、上記のハイブリッドパッシベーションアプローチを用いるのではなく、ALDを用いて、パッシベーション層210のSiN薄膜214とHfO2薄膜216の両方を付加することができる。現在のところ、ALDを用いるSiNの付加は、コストが非常に高く、かつ、成功裏に達成するのが難しいために現実的なオプションではない。これが、説明した例においてPECVDが使用される理由である。しかしながら、さらなる研究が行われてALD技術は発展するので、(たとえば、SiNとHfO2の両方に対して)ALD手順だけを用いて、同じレベルの堅牢性及び電気的性質を維持しつつ、厚さがさらに薄いパッシベーション層を可能にできることが予想される。同様に、技術は進歩するので、ALDを用いてSiCの薄膜層を付加することによって、HfO2を使用することなく現在知られているパッシベーション層よりもステップカバレッジを良好にしかつピンホール欠陥をなくす(もしくは少なくする)ことができることが予想される。しかしながら、このアプローチは、現在のところ現実的なオプションではなく、HfO2によってもたらされる誘電特性よりも弱い誘電特性をもたらすこととのトレードオフを含んでいる。
さらに他の例では、パッシベーシ層を、SiNの薄膜層なしで、HfO2の薄膜だけから形成することができる。これは、HfO2が、強い誘電特性と化学的堅牢性の両方を提供するからである。しかしながら、そのような例は、現在のALD手順がPECVDよりもずっと遅く、このため、コストが高くなるという点でトレードオフを含んでいる。さらに、SiN薄膜がないHfO2の単一層は、より大きな機械的ストレスを引き起こす可能性がある。
上記から、開示された方法、装置、及び製造品は、既存の方法を用いて現在可能であるプリントヘッドよりもエネルギー効率が高いプリントヘッドの製造を可能にすることが理解されよう。より具体的には、シリコン基板に薄膜を付加するためにPECVDの代わりにALDを用いることによって、ステップカバレッジが改善され、かつピンホールのない膜がもたらされる。これらの特性は、他の既知のパッシベーション層と同様に所望の堅牢性を維持するより薄いパッシベーション層を可能にする。このより薄いパッシベーション層は、該パッシベーション層を横断する熱伝達を改善し、これによって、より低い温度、低減された電圧及び/又は電流、及びより高い周波数でのインク噴射を可能にする。さらに、SiCの代わりにHfO2を使用することによって、パッシベーション層の誘電特性が向上し、これによってさらに、エネルギー効率が改善される。
本願において、いくつかの例示的な方法、装置、及び製造品を開示したが、本願発明の範囲はそれらには限定されない。むしろ、本願発明は、本願の特許請求の範囲に公正に入る全ての方法、装置、及び製造品をカバーする。
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1. プリントヘッドであって、
前記プリントヘッドの複数のノズルに向けてインクを導くためのチャンネルを有する基板と、
前記基板上のパッシベーション層であって、原子層堆積を用いて形成された第1の誘電材料の第1の薄膜を含むパッシベーション層
を備えるプリントヘッド。
2. 前記パッシベーション層の厚さは、1500オングストローム以下である、上記1のプリントヘッド。
3. 前記第1の薄膜の厚さは、200オングストローム以下である。上記1のプリントヘッド。
4. 前記パッシベーション層が、プラズマ化学気相成長法を用いて前記基板上に形成された第2の誘電材料の第2の薄膜を含み、該第2の薄膜は、前記基板と前記第1の薄膜の間に配置される、上記1のプリントヘッド。
5. 前記第2の誘電材料は一窒化ケイ素(silicon mononitride)である、上記4のプリントヘッド。
6. 前記第1の誘電材料は酸化ハフニウムである、上記5のプリントヘッド。
7. 前記パッシベーション層は、炭化ケイ素を用いることなく形成される、上記1のプリントヘッド。
8. プリントヘッドのパッシベーション層であって、
プラズマ化学気相成長法を用いて前記プリントヘッドの基板の上に配置された第1の誘電材料と、
原子層堆積を用いて前記第1の誘電材料の上に配置された第2の誘電材料
を備えるパッシベーション層。
9. 前記第2の誘電材料が酸化ハフニウムである、上記8のパッシベーション層。
10. 前記第1の誘電材料の厚さと前記第2の誘電材料の厚さを合わせた厚さが、約300オングストロームと約1000オングストロームの間の範囲内にある、上記8のパッシベーション層。
11. 前記第2の誘電材料の厚さが、約50オングストロームと約200オングストロームの間の範囲内にある、上記8のパッシベーション層。
12. プリントヘッドであって、
インクを噴射するために該インクを前記プリントヘッド内のノズルに導くための基板と、
前記基板を保護するためのパッシベーション層であって、80%より大きなステップカバレッジで配置された薄膜を含むパッシベーション層
を備えるプリントヘッド。
13. 前記薄膜にはピンホール欠陥がない、上記12のプリントヘッド。
14. 前記パッシベーション層の厚さは、500オングストローム以下である、上記12のプリントヘッド。
15. 前記薄膜は、原子層堆積を用いて前記基板上に形成された酸化ハフニウムに対応する、上記12のプリントヘッド。
1. プリントヘッドであって、
前記プリントヘッドの複数のノズルに向けてインクを導くためのチャンネルを有する基板と、
前記基板上のパッシベーション層であって、原子層堆積を用いて形成された第1の誘電材料の第1の薄膜を含むパッシベーション層
を備えるプリントヘッド。
2. 前記パッシベーション層の厚さは、1500オングストローム以下である、上記1のプリントヘッド。
3. 前記第1の薄膜の厚さは、200オングストローム以下である。上記1のプリントヘッド。
4. 前記パッシベーション層が、プラズマ化学気相成長法を用いて前記基板上に形成された第2の誘電材料の第2の薄膜を含み、該第2の薄膜は、前記基板と前記第1の薄膜の間に配置される、上記1のプリントヘッド。
5. 前記第2の誘電材料は一窒化ケイ素(silicon mononitride)である、上記4のプリントヘッド。
6. 前記第1の誘電材料は酸化ハフニウムである、上記5のプリントヘッド。
7. 前記パッシベーション層は、炭化ケイ素を用いることなく形成される、上記1のプリントヘッド。
8. プリントヘッドのパッシベーション層であって、
プラズマ化学気相成長法を用いて前記プリントヘッドの基板の上に配置された第1の誘電材料と、
原子層堆積を用いて前記第1の誘電材料の上に配置された第2の誘電材料
を備えるパッシベーション層。
9. 前記第2の誘電材料が酸化ハフニウムである、上記8のパッシベーション層。
10. 前記第1の誘電材料の厚さと前記第2の誘電材料の厚さを合わせた厚さが、約300オングストロームと約1000オングストロームの間の範囲内にある、上記8のパッシベーション層。
11. 前記第2の誘電材料の厚さが、約50オングストロームと約200オングストロームの間の範囲内にある、上記8のパッシベーション層。
12. プリントヘッドであって、
インクを噴射するために該インクを前記プリントヘッド内のノズルに導くための基板と、
前記基板を保護するためのパッシベーション層であって、80%より大きなステップカバレッジで配置された薄膜を含むパッシベーション層
を備えるプリントヘッド。
13. 前記薄膜にはピンホール欠陥がない、上記12のプリントヘッド。
14. 前記パッシベーション層の厚さは、500オングストローム以下である、上記12のプリントヘッド。
15. 前記薄膜は、原子層堆積を用いて前記基板上に形成された酸化ハフニウムに対応する、上記12のプリントヘッド。
Claims (1)
- プリントヘッドであって、
前記プリントヘッドの複数のノズルに向けてインクを導くためのチャンネルを有する基板と、
前記基板上のパッシベーション層であって、原子層堆積を用いて形成された第1の誘電材料の第1の薄膜を含むパッシベーション層
を備えるプリントヘッド。
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