本発明の一実施形態(本実施形態)に係る超音波診断装置について、添付の図面に示す好適な実施形態を参照しながら、以下に詳細に説明する。
なお、本実施形態は、本発明の代表的な実施態様であるが、あくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
<<超音波診断装置の概要>>
本実施形態に係る超音波診断装置10について、図1乃至図4を参照しながら、その概要を説明する。図1は、超音波診断装置10の概略構成を示す図である。図2は、超音波内視鏡12の挿入部22の先端部及びその周辺を拡大して示した平面図である。なお、図2では、図示の都合上、後述のバルーン37を破線にて図示している。図3は、超音波内視鏡12の挿入部22の先端部40を図2に図示のI−I断面にて切断したときの断面を示す図である。図4は、本実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示すブロック図である。
超音波診断装置10は、超音波内視鏡システムであり、超音波を用いて、被検体である患者の体内の観察対象部位の状態を観察(以下、超音波診断とも言う。)するために用いられる。ここで、観察対象部位は、患者の体表側(外側)からは検査が困難な部位であり、例えば胆嚢又は膵臓である。超音波診断装置10を用いることにより、患者の体腔である食道、胃、十二指腸、小腸、及び大腸等の消化管を経由して、観察対象部位の状態及び異常の有無を超音波診断することが可能である。
超音波診断装置10は、図1に示すように、超音波内視鏡12と、超音波用プロセッサ装置14と、内視鏡画像取得用装置15と、モニタ20と、操作卓100とを有する。また、図1に示すように、超音波内視鏡12には、送水タンク21a、吸引ポンプ21b及び送気ポンプ21cが接続される。より詳しく説明すると、送水タンク21aは、超音波内視鏡12の端部(具体的には、後述の光源用コネクタ32c)から延出した送気送水路の一部を介して超音波内視鏡12に接続される。吸引ポンプ21bは、一部が超音波内視鏡12内に形成された吸引路(不図示)に繋がれるように超音波内視鏡12に接続される。送気ポンプ21cは、光源装置18に内蔵された機器であり、光源装置18が超音波内視鏡12に接続されると、これに付随する形で、超音波内視鏡12内に形成された送気送水路(不図示)に繋がれるように超音波内視鏡12に接続される。なお、送気ポンプ21cについては、光源装置18に内蔵されているものに限定されず、光源装置18とは別体をなしており光源装置18とは別々に超音波内視鏡12に接続されるものであってもよい。反対に、送水タンク21a及び吸引ポンプ21bの各々が他の機器(例えば、光源装置18)に内蔵され、その機器に超音波内視鏡12が接続されることに連動して、送水タンク21a及び吸引ポンプ21bが超音波内視鏡12に接続されてもよい。
超音波内視鏡12は、医療機器としての内視鏡スコープであり、図1に示すように、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に対して着脱自在に接続される。超音波内視鏡12は、患者の体腔内に挿入されるため、毎回の超音波診断が終わる度に超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15から取り外され、洗浄され、さらに消毒又は滅菌される。このため、各回の超音波診断を開始する際には、清潔な超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に対して接続されることになる。
なお、「接続される」とは、物理的に接続(具体的には、連結又は接合)されること、導通して電気的に接続されること、チューブ又は配管が介在することにより機器間で流体(液体又は気体)が往来可能な状態で接続されること、及び、物理的には接続されていなくともデータ又は信号の送受信が可能な状態(つまり、通信可能な状態)で接続されることを含む概念である。
超音波内視鏡12は、図1に示すように、患者の体腔内(被検体の内部)に挿入される挿入部22と、医師又は技師等の術者(ユーザ)によって操作される操作部24と、を有する。挿入部22の先端部40には、図2及び図3に示すように、超音波振動子ユニット46が取り付けられている。この超音波振動子ユニット46は、図3に示すように複数の超音波振動子48を備えており、超音波を送受信する。
超音波内視鏡12の機能により、術者は、患者の体腔内壁の内視鏡画像と、観察対象部位の超音波画像とを取得する。内視鏡画像は、患者の体腔内壁を光学的手法によって撮像することで得られる画像である。超音波画像は、患者の体腔内から観察対象部位に向かって送信された超音波の反射波(エコー)を受信し、その受信信号を画像化することで得られる画像である。
なお、超音波内視鏡12については、後の項で詳しく説明する。
超音波用プロセッサ装置14は、図1に示すように、ユニバーサルコード26及びその端部に設けられた超音波用コネクタ32aを介して超音波内視鏡12に接続される。超音波用プロセッサ装置14は、超音波振動子ユニット46が備える複数の超音波振動子48のうちの駆動対象振動子を駆動させて超音波振動子ユニット46に超音波を送受信させることで超音波画像を生成する。超音波用プロセッサ装置14は、生成した超音波画像をモニタ20に表示する。
なお、超音波用プロセッサ装置14については、後の項で詳しく説明する。
内視鏡画像取得用装置15は、内視鏡画像の取得のために作動する機器であり、図1に示すように、内視鏡用プロセッサ装置16と光源装置18とを有する。図1に図示の構成において、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18は、互いに別機器をなしており、それぞれが別々に超音波内視鏡12に接続される。内視鏡用プロセッサ装置16は、図1に示すように、ユニバーサルコード26及びその端部に設けられた内視鏡用コネクタ32bを介して超音波内視鏡12に接続される。内視鏡用プロセッサ装置16は、超音波内視鏡12(詳しくは、後述の固体撮像素子86)によって撮像された観察対象隣接部位の内視鏡画像のデータを取得し、取得したデータに対して所定の画像処理を施して内視鏡画像をモニタ20に表示する。観察対象隣接部位とは、患者の体腔内壁のうち、観察対象部位と隣り合う位置にある部分である。
また、内視鏡用プロセッサ装置16は、有線回線又は無線回線にて超音波用プロセッサ装置14と通信することが可能である。これにより、内視鏡用プロセッサ装置16から出力された信号は、超音波用プロセッサ装置14に向けて伝送され、超音波用プロセッサ装置14に受信される。
また、内視鏡用プロセッサ装置16の筐体には、図1に示すように操作ボタン16aが設けられている。操作ボタン16aは、内視鏡用プロセッサ装置16の動作を開始又は終了させるための押しボタンであり、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続された直後に押され、また、超音波内視鏡12を内視鏡用プロセッサ装置16から取り外す際に再度押される。
なお、上記の操作ボタン16aに相当する押しボタンが、超音波用プロセッサ装置14に設けられてもよい。
また、超音波診断装置10には、図4に示すように、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されたことを検知するために、第一信号出力部170及び第二信号出力部175が設けられている。本実施形態において、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続されたことを検知するために、第一信号出力部170が超音波用プロセッサ装置14に設けられている。また、超音波内視鏡12が内視鏡画像取得用装置15(具体的には、内視鏡用プロセッサ装置16)に接続されたことを検知するために、第二信号出力部175が内視鏡用プロセッサ装置16に設けられている。ただし、第一信号出力部170及び第二信号出力部175の各々が設けられる装置については特に限定されない。例えば、上記とは反対の構成であってもよく、つまり、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続されたことを検知するために第二信号出力部175を設け、超音波内視鏡12が内視鏡画像取得用装置15に接続されたことを検知するために第一信号出力部170を設けてもよい。
なお、第一信号出力部170及び第二信号出力部175については、後の項で詳しく説明する。
光源装置18は、図1に示すように、ユニバーサルコード26及びその端部に設けられた光源用コネクタ32cを介して超音波内視鏡12に接続される。光源装置18は、超音波内視鏡12が観察対象隣接部位の内視鏡画像を撮像する際に、赤光、緑光及び青光の三原色光からなる白色光又は特定波長光を照射する。光源装置18が照射した光は、ユニバーサルコード26に内包されたライトガイド(不図示)を通じて超音波内視鏡12内を伝搬し、超音波内視鏡12(詳しくは、後述する照明窓88)から出射される。これにより、観察対象隣接部位が光源装置18からの光によって照らされる。
モニタ20は、図1に示すように、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16に接続されており、超音波用プロセッサ装置14により生成された超音波画像、及び内視鏡用プロセッサ装置16により生成された内視鏡画像を表示する。超音波画像及び内視鏡画像の表示に関して言うと、いずれか一方の画像を切り替えてモニタ20に表示してもよく、両方の画像を同時に表示してもよい。また、これらの表示方式を任意に選択及び変更できる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、一台のモニタ20に超音波画像及び内視鏡画像を表示するが、超音波画像表示用のモニタと、内視鏡画像表示用のモニタとが別々に設けられてもよい。また、モニタ20以外の表示形態、例えば、術者が携帯する個人用端末のディスプレイに超音波画像及び内視鏡画像を表示する形態であってもよい。
操作卓100は、術者が超音波診断に際して必要な情報を入力したり、術者が超音波用プロセッサ装置14に対して超音波診断の開始指示を行ったりするために設けられた入力装置である。操作卓100は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド及びタッチパネルによって構成されており、図4に示すように超音波用プロセッサ装置14のCPU152に接続されている。操作卓100が操作されると、その操作内容に応じて超音波用プロセッサ装置14のCPU152が装置各部(例えば、後述の受信回路142及び送信回路144)を制御する。
また、操作卓100には、図4に示すように中断用操作部106が設けられている。中断用操作部106は、後述の分極処理を中断させるために設けられた部分である。分極処理の実施中に中断用操作部106が操作されたときには、その時点で分極処理が中断する。
なお、中断用操作部106は、操作卓100に設けられた物理的な押しボタン又はスイッチであってもよく、あるいは、操作卓100がタッチパッド又はタッチパネルによって構成された場合において操作卓100の表示画面に描画されたボタン画像であってもよい。また、中断用操作部106が設けられている機器は、操作卓100に限定されず、超音波内視鏡12、超音波用プロセッサ装置14又は内視鏡用プロセッサ装置16のいずれかであってもよい。
次に、超音波診断装置10の利用手順について概説する。超音波診断装置10を利用するにあたり、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15(具体的には、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18)に接続され、超音波内視鏡12には付属部品(例えば、後述する操作部24の送気送水ボタン28a及び吸引ボタン28b、並びにバルーン37等)が取り付けられる。
その後、術者は、超音波診断装置10各部の電源を投入し、操作卓100を通じて検査情報を入力する。検査情報は、例えば、年月日及びオーダ番号を含む検査オーダ情報、並びに、患者ID及び患者名を含む患者情報等である。さらに、術者は、操作卓100を通じて超音波診断の制御パラメータを設定する。制御パラメータとしては、例えば、ライブモード及びフリーズモードの選択結果、表示デプス(深度)の設定値、及び、超音波画像生成モードの選択結果等が挙げられる。ここで、「ライブモード」は、所定のフレームレートにて得られる超音波画像(動画像)を逐次表示(リアルタイム表示)するモードである。「フリーズモード」は、過去に取得した1フレーム分の超音波画像(静止画像)を、後述のシネメモリ150から読み出して表示するモードである。
また、本実施形態において選択可能な超音波画像生成モードは、複数存在し、具体的には、B(Brightness)モード、CF(Color Flow)モード及びPW(Pulse Wave)モードである。Bモードは、超音波エコーの振幅を輝度に変換して断層画像を表示するモードである。CFモードは、平均血流速度、フロー変動、フロー信号の強さ又はフローパワー等を様々な色にマッピングしてBモード画像に重ねて表示するモードである。PWモードは、パルス波の送受信に基づいて検出される超音波エコー源の速度(例えば、血流速度)を表示するモードである。
なお、上述した超音波画像生成モードは、あくまでも一例であり、上述した3種類のモード以外のモード、例えば、A(Amplitude)モード及びM(Motion)モード等が更に含まれてもよい。
検査情報等の入力が終了した後、術者は、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられた操作ボタン16aを押す。これにより、内視鏡用プロセッサ装置16が内視鏡画像の生成及びモニタ20への表示を開始する。次いで、術者又はその補助者等が、超音波診断の事前準備として超音波診断装置10各部の状態を確認する。事前準備での確認事項については、後述の「超音波診断装置の動作例について」の項で具体的に説明する。
一方、術者が事前準備を行っている間、超音波診断装置10では分極処理が実施される。分極処理は、超音波内視鏡が有する複数の超音波振動子48の各々に対して分極用電圧を供給することで、各超音波振動子48を分極する処理である。分極処理の実施により、超音波診断の繰り返し実施によって脱分極した超音波振動子48を再分極することができ、これにより、超音波振動子48の超音波に対する受信感度を良好なレベルまで回復させることが可能となる。
事前準備の終了後、術者が操作卓100を通じて超音波診断の開始を指示すると、超音波診断装置10の動作モード(以下、単に動作モードと言う。)が診断モードに移行される。その後、術者は、超音波内視鏡12の挿入部22を患者の体腔内に挿入する。これにより、超音波振動子ユニット46が有する複数の超音波振動子48が患者の体腔内に配置される。動作モードが診断モードである間には、診断ステップが実施される。診断ステップでは、超音波診断装置10によって超音波診断が行われ、超音波画像及び内視鏡画像の各々が検査情報に従って順次取得される。
超音波診断が終了すると、術者は、超音波内視鏡12を超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15から取り外す前に、所定の操作を行う。この操作が行われてから暫くすると、超音波内視鏡12の取り外しを許可する旨の表示情報(以下、取り外し許可情報)がモニタ20に表示される。つまり、上記の操作は、取り外し許可情報を表示させるための操作に相当し、具体的には、超音波診断における一連の処理を終了させることを操作卓100によって指示する操作、又は、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられた操作ボタン16aを押す操作等が挙げられる。
なお、本実施形態では、取り消し許可情報を表示させるための操作が行われてから取り外し許可情報がモニタ20に表示されるまでの間に、分極処理が実施される。
そして、術者は、モニタ20に表示された取り外し許可情報を見て、超音波内視鏡12を超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15から取り外す。その後、術者は、超音波診断装置10各部の電源をオフにして超音波診断装置10の利用を終える。
<<超音波内視鏡の構成>>
次に、超音波内視鏡12の構成の一例について、図1乃至5を参照しながら説明する。図5は、超音波内視鏡12と超音波用プロセッサ装置14との接続構造、及び、第一信号出力部170の構成を示す模式図である。
超音波内視鏡12は、図2及び図3に示すように超音波振動子ユニット46を有し、且つ、内視鏡画像を撮像する。また、超音波内視鏡12は、図1に示すように挿入部22及び操作部24を有する。挿入部22は、図1に示すように先端側(自由端側)から順に、先端部40、湾曲部42及び軟性部43を備える。先端部40には、図2に示すように超音波観察部36及び内視鏡観察部38が設けられている。
また、図2及び図3に示すように、先端部40には処置具導出口44が設けられている。処置具導出口44は、鉗子、穿刺針、若しくは高周波メス等の処置具(不図示)の出口となり、且つ、血液及び体内汚物等の吸引物を吸引する際の吸引口にもなる。つまり、処置具導出口44は、吸引ポンプ21bによって吸引物を吸引するために形成された吸引口に相当する。
また、図2に示すように先端部40には観察窓82及び照明窓88の表面を洗浄するために形成された洗浄ノズル90が設けられている。洗浄ノズル90からは、送気ポンプ21cによって送気される空気、及び、送液タンク21aから送液される洗浄用液体が噴出される。これにより、観察窓82及び照明窓88の各々の表面が空気又は洗浄用液体によって洗浄される。
さらに、先端部40には、図2に示すようにバルーン37が設けられている。バルーン37は、着脱自在であり、超音波診断の開始前に、超音波振動子ユニット46を覆う位置で先端部40に装着される。また、バルーン37は、先端部40の超音波振動子ユニット46付近に形成された送水口47からバルーン37内に水(厳密には、脱気水)が注入されることで膨張する。バルーン37は、超音波振動子ユニット46とともに患者の体腔内に配置された状態で膨張し、体腔内壁(例えば、観察対象隣接部位の周辺)に当接する。この結果、超音波振動子ユニット46と体腔内壁との間から空気が排除されるため、空気中での超音波及びその反射波(エコー)の減衰を防止することが可能となる。
湾曲部42は、図1に示すように、挿入部22において先端部40よりも基端側(超音波振動子ユニット46が設けられている側とは反対側)に設けられた部分であり、湾曲自在である。軟性部43は、図1に示すように、湾曲部42と操作部24との間を連結している部分であり、可撓性を有し、細長く延びた状態で設けられている。
操作部24には、図1に示すように、一対のアングルノブ29及び処置具挿入口30が設けられている。各アングルノブ29を回動すると、湾曲部42が遠隔的に操作されて湾曲変形する。これにより、超音波観察部36及び内視鏡観察部38が設けられた挿入部22の先端部40を所望の方向に向けることができる。処置具挿入口30は、鉗子等の処置具を挿通するために形成された孔であり、処置具チャンネル45(図3参照)を介して処置具導出口44と連絡している。
操作部24には、送水タンク21aから延びた送気送水路(不図示)を開閉する送気送水ボタン28a、及び吸引ポンプ21bから延びた吸引路(不図示)を開閉する吸引ボタン28bが設けられている。送気送水路には、送気ポンプ21cから送られてくる空気等の気体、及び洗浄用液体(具体的には、水)が流れる。送気送水ボタン28aを操作すると、送気送水路のうち、開通する部分が切り替わり、これに対応する形で、気体及び洗浄用液体の噴出口も洗浄ノズル90及び送水口47の間で切り替わる。つまり、送気送水ボタン28aの操作を通じて、内視鏡観察部38の洗浄及びバルーン37の膨張を選択的に実施することができる。なお、洗浄用液体としての水は、厳密には脱気水であり、送水タンク21aに貯留されている。
吸引路は、処置具導出口44から吸引した体腔内の吸引物を吸引したり、送水口47を通じてバルーン37内の水を吸引したりするために設けられている。吸引ポンプ21bが作動した状態で吸引ボタン28bを操作すると、吸引路のうち、開通する部分が切り替わり、これに対応する形で、吸引口も処置具導出口44及び送水口47の間で切り替わる。つまり、吸引ボタン28bの操作を通じて、吸引ポンプ21bによって吸引される対象物を切り替えることができる。
ユニバーサルコード26の他端部には、図1に示すように、超音波用プロセッサ装置14に接続される超音波用コネクタ32aと、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される内視鏡用コネクタ32bと、光源装置18に接続される光源用コネクタ32cとが設けられている。超音波内視鏡12は、これらの各コネクタ32a、32b、及び32cを介してそれぞれ超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16、及び光源装置18に物理的に接続される。
より詳しく説明すると、超音波用コネクタ32aは、オス型のプラグコネクタであり、超音波用プロセッサ装置14には、図1に示すように、メス型のプラグコネクタである超音波用プロセッサ装置側コネクタ132aが設けられている。そして、コネクタ同士(超音波用コネクタ32a及び超音波用プロセッサ装置側コネクタ132a)が連結することで、超音波内視鏡12がコネクタを介して超音波用プロセッサ装置14に物理的に接続される。
同様に、内視鏡用プロセッサ装置16には、図1に示すように、内視鏡用プロセッサ装置側コネクタ132bが設けられており、これが内視鏡用コネクタ32bと連結することで、超音波内視鏡12がコネクタを介して内視鏡用プロセッサ装置16に物理的に接続される。また、光源装置18には、図1に示すように、光源装置側コネクタ132cが設けられており、これが光源用コネクタ32cと連結することで、超音波内視鏡12がコネクタを介して光源装置18と物理的に接続される。
また、本実施形態の超音波内視鏡12は、図1及び図5に示すように、超音波用コネクタ32aから突出したロックレバー35を有する。ロックレバー35は、中心軸周りに回動可能なピン型のレバーであり、超音波内視鏡12と超音波用プロセッサ装置14との接続状態をロックするために操作される。具体的に説明すると、超音波内視鏡12がコネクタを介して超音波用プロセッサ装置14に物理的に接続されると、図5に示すように、ロックレバー35の先端部が、超音波用プロセッサ装置14に設けられた挿入孔を通じて超音波用プロセッサ装置14内部に挿入される。その後に術者が不図示のレバー操作部を操作すると、超音波用プロセッサ装置14内にあるロックレバー35の先端部が中心軸周りに回動し、その動作に連動して、不図示のロック機構が作動する。ロック機構は、超音波用プロセッサ装置14内に設けられており、作動することでロックレバー35に係止する。そして、ロック機構がロックレバー35に係止することで、超音波内視鏡12と超音波用プロセッサ装置14との接続状態がロックされるようになる。
また、超音波内視鏡12には、図4に示すように2つの記憶機器58a、58bが設けられている。それぞれの記憶機器58a、58bは、ディップスイッチ若しくはチップ等によって構成されている。2つの記憶機器58a、58bのうち、一方の記憶機器58aは、超音波内視鏡12が接続された状態の超音波用プロセッサ装置14からアクセス可能であり、他方の記憶機器58bは、超音波内視鏡12が接続された状態の内視鏡用プロセッサ装置16からアクセス可能である。ただし、これに限定されず、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16のいずれもが2つの記憶機器58a、58bの各々にアクセス可能であってもよい。なお、記憶機器の数については、特に限定されるものではなく、少なくとも1つ以上備えられていればよい。
次に、超音波内視鏡12の構成要素のうち、超音波観察部36、内視鏡観察部38及び記憶機器58a、58bに関して詳しく説明する。
(超音波観察部)
超音波観察部36は、超音波画像を取得するために設けられた部分であり、図2及び図3に示すように、挿入部22の先端部40において先端側に配置されている。超音波観察部36は、図3に示すように超音波振動子ユニット46と、複数の同軸ケーブル56と、FPC(Flexible Printed Circuit)60とを備えている。
超音波振動子ユニット46は、超音波探触子(プローブ)に相当し、患者の体腔内において超音波を送受信する。具体的に説明すると、超音波振動子ユニット46は、患者の体腔内において、複数の超音波振動子48のうちの駆動対象振動子が駆動することで超音波を送受信する。駆動対象振動子とは、超音波診断時に実際に駆動(振動)して超音波を発し、その反射波(エコー)を受信したときに電気信号である受信信号を出力する超音波振動子48である。
本実施形態に係る超音波振動子ユニット46は、図3に示すように複数の超音波振動子48が円弧状に配置されたコンベックス型の探触子であり、放射状(円弧状)に超音波を送信する。ただし、超音波振動子ユニット46の種類(型式)については特に限定されるものではなく、超音波を送受信できるものであれば他の種類でもよく、例えば、セクタ型、リニア型及びラジアル型等であってもよい。
超音波振動子ユニット46は、図3に示すようにバッキング材層54と、超音波振動子アレイ50と、音響整合層76と、音響レンズ78とを積層させることで構成されている。
超音波振動子アレイ50は、図3に示すように、一次元アレイ状に配列された複数の超音波振動子48(超音波トランスデューサ)からなる。より詳しく説明すると、超音波振動子アレイ50は、N個(例えばN=128)の超音波振動子48が先端部40の軸線方向(挿入部22の長手軸方向)に沿って凸湾曲状に等間隔で配列されることで構成されている。なお、超音波振動子アレイ50は、複数の超音波振動子48を二次元アレイ状に配置したものであってもよい。
N個の超音波振動子48の各々は、圧電素子の両面に電極を配置することで構成されている。圧電素子としては、単結晶振動子が利用可能であり、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)、インジウムニオブ酸鉛(PIN)、チタン酸鉛(PT)、タンタル酸リチウム、ランガサイト、酸化亜鉛、マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛(PMN−PT)、及び亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛(PZN−PT)などが用いられる。また、単結晶振動子以外の圧電素子としてセラミック振動子も利用可能であり、例えば、チタン酸バリウム、ジルコンチタン酸バリウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)などが用いられる。
電極は、複数の超音波振動子48の各々に対して個別に設けられた個別電極(不図示)と、複数の超音波振動子48に共通のグランド電極(不図示)とからなる。また、電極は、同軸ケーブル56及びFPC60を介して超音波用プロセッサ装置14と電気的に接続される。
なお、本実施形態に係る超音波振動子48は、患者の体腔内の超音波画像を取得する理由から、7MHz〜8MHzレベルの比較的高周波数で駆動(振動)する必要がある。そのために、超音波振動子48を構成する圧電素子の厚みは、比較的薄く設計されており、例えば、75〜125μmであり、好ましくは90〜125μmである。
各超音波振動子48には、パルス状の駆動電圧が、入力信号として超音波用プロセッサ装置14から同軸ケーブル56を通じて供給される。この駆動電圧が超音波振動子48の電極に印加されると、圧電素子が伸縮して超音波振動子48が駆動(振動)する。この結果、超音波振動子48からパルス状の超音波が出力される。このとき、超音波振動子48から出力される超音波の振幅は、その超音波振動子48が超音波を出力した際の強度(出力強度)に応じた大きさとなっている。ここで、出力強度は、超音波振動子48から出力された超音波の音圧の大きさとして定義される。
また、各超音波振動子48は、超音波の反射波(エコー)を受信すると、これに伴って振動(駆動)し、各超音波振動子48の圧電素子が電気信号を発生する。この電気信号は、超音波の受信信号として各超音波振動子48から超音波用プロセッサ装置14に向けて出力される。このとき、超音波振動子48から出力される電気信号の大きさ(電圧値)は、その超音波振動子48が超音波を受信した際の受信感度に応じた大きさとなっている。ここで、受信感度は、超音波振動子48が送信する超音波の振幅に対する、その超音波振動子48が超音波を受信して出力した電気信号の振幅の比として定義される。
本実施形態の超音波振動子ユニット46は、前述したようにコンベックス型である。つまり、本実施形態では、超音波振動子ユニット46が有するN個の超音波振動子48をマルチプレクサ140などの電子スイッチで順次駆動させることで、超音波振動子アレイ50が配された曲面に沿った走査範囲、例えば曲面の曲率中心から数十mm程度の範囲で超音波が走査される。
より詳しく説明すると、例えば超音波画像としてBモード画像(断層画像)を取得する場合には、マルチプレクサ140のチャンネル選択により、N個の超音波振動子48のうち、連続して並ぶm個(例えば、m=2/N)の駆動対象振動子に駆動電圧が供給される。これにより、m個の駆動対象振動子の各々が駆動し、各駆動対象振動子から超音波が開口から出力される。出力されたm個の超音波は、直後に合成され、その合成波(超音波ビーム)が観察対象部位に向けて送信される。その後、m個の駆動対象振動子の各々は、観察対象部位にて反射された超音波(エコー)を受信し、その時点での受信感度に応じた電気信号(受信信号)を出力する。
上記一連の工程(すなわち、駆動電圧の供給、超音波の送受信、及び電気信号の出力)は、マルチプレクサ140での開口チャンネルを切り替えて駆動対象振動子の位置を1つずつ(1個の超音波振動子48ずつ)ずらしながら繰り返し行われる。例えば、1フレーム分のBモード画像を取得するにあたり、上記一連の工程(以下、便宜的にパスと言う。)は、N個の超音波振動子48のうち、一端側の超音波振動子48から他端側の超音波振動子48に向かって計N回繰り返され、各パスによってBモード画像を構成する各画像片が形成される。ここで、画像片とは、略扇状のBモード画像をその外縁である円弧に沿ってN等分したものである。
バッキング材層54は、図3に示すように、超音波振動子アレイ50を裏側(音響整合層76とは反対側)から支持する。また、バッキング材層54は、超音波振動子48から発せられた超音波、若しくは観察対象部位にて反射された超音波(エコー)のうち、超音波振動子アレイ50の裏側に伝播した超音波を減衰させる機能を有する。なお、バッキング材は、硬質ゴム等の剛性を有する材料からなり、超音波減衰材(フェライト及びセラミックス等)が適量添加されている。
音響整合層76は、患者の人体と駆動対象振動子との間の音響インピーダンス整合をとるために設けられたものである。音響整合層76は、超音波振動子アレイ50(つまり、複数の超音波振動子48)の外側に配置され、厳密には、図3に示すように超音波振動子アレイ50の上に重ねられている。音響整合層76が設けられていることにより、超音波の透過率を高めることが可能となる。音響整合層76の材料としては、音響インピーダンスの値が超音波振動子48の圧電素子に比して、より患者の人体のものの値に近い様々な有機材料を用いることができる。音響整合層76の材料としては、具体的にはエポキシ系樹脂、シリコンゴム、ポリイミド及びポリエチレン等が挙げられる。
音響レンズ78は、駆動対象振動子から発せられる超音波を観察対象部位に向けて収束させるためのものであり、図3に示すように音響整合層76上に重ねられている。音響レンズ78は、例えば、シリコン系樹脂(ミラブル型シリコンゴム(HTVゴム)、液状シリコンゴム(RTVゴム)等)、ブタジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等からなり、必要に応じて酸化チタン、アルミナ若しくはシリカ等の粉末が混合される。
FPC60は、各超音波振動子48が備える電極と電気的に接続される。複数の同軸ケーブル56の各々は、図3に示すように、その一端にてFPC60に配線されている。超音波内視鏡12が超音波用コネクタ32aを介して超音波用プロセッサ装置14に接続されると、各同軸ケーブル56は、その他端(FPC60側とは反対側)にて超音波用プロセッサ装置14と電気的に接続される。
(内視鏡観察部)
内視鏡観察部38は、内視鏡画像を撮像するために設けられた部分であり、図2及び図3に示すように、挿入部22の先端部40において超音波観察部36よりも基端側に配置されている。内視鏡観察部38は、図2及び図3に示すように観察窓82、対物レンズ84、固体撮像素子86、照明窓88、洗浄ノズル90及び配線ケーブル92等によって構成されている。
観察窓82は、図3に示すように、挿入部22の先端部40において軸線方向(挿入部22の長手軸方向)に対して斜めに傾けられた状態で取り付けられている。観察窓82から入射されて観察対象隣接部位にて反射された光は、対物レンズ84で固体撮像素子86の撮像面に結像される。
固体撮像素子86は、観察窓82及び対物レンズ84を透過して撮像面に結像された観察対象隣接部位の反射光を光電変換して、撮像画像(すなわち、内視鏡画像)のデータを出力する。固体撮像素子86としては、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、及びCMOS(Complementary MetalOxide Semiconductor:相補形金属酸化膜半導体)等が利用可能である。固体撮像素子86で出力された内視鏡画像のデータは、挿入部22から操作部24まで延設された配線ケーブル92を経由して、ユニバーサルコード26により内視鏡用プロセッサ装置16に伝送される。
照明窓88は、図2に示すように観察窓82の両脇位置に設けられている。照明窓88には、ライトガイド(不図示)の出射端が接続されている。ライトガイドは、挿入部22から操作部24まで延設され、その入射端は、ユニバーサルコード26を介して接続された光源装置18に接続されている。光源装置18で発せられた照明光は、ライトガイドを伝わり、照明窓88から観察対象隣接部位に向けて照射される。
(記憶機器)
2つの記憶機器58a、58bは、超音波内視鏡12に関する情報を記憶している。2つの記憶機器58a、58bのうち、内視鏡用プロセッサ装置16がアクセス可能な記憶機器58bは、超音波内視鏡12の識別情報を記憶しており、超音波内視鏡12の一部分、例えば内視鏡用コネクタ32bに設置されている。超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続された状態にあるとき、内視鏡用プロセッサ装置16(厳密には、第二信号出力部175)が記憶機器58bにアクセスし、記憶機器58bから識別情報を読み取る。
記憶機器58bが記憶している識別情報は、超音波内視鏡12の種別に関する情報であり、具体的には、超音波振動子ユニット46が備える超音波振動子48を構成する圧電素子の種別、より詳しくは、圧電素子が単結晶振動子であるか否かを示す情報である。なお、識別情報は、「0」及び「1」の二値によって表わされた情報、符号化された情報、及び文字情報のいずれかであってもよく、若しくはこれらを組み合わせた情報であってもよい。また、記憶機器58bには、上記の識別情報の他に、超音波内視鏡12の製造会社及び製造年月日に関する情報、並びに、超音波内視鏡12の使用履歴及び使用頻度に関する情報(例えば、超音波振動子48の累積駆動時間等)が更に記憶されてもよい。なお、上述した識別情報等と同様の情報は、超音波用プロセッサ装置14がアクセス可能な記憶機器58aにも記憶されている。
<<第一信号出力部及び第二信号出力部の構成>>
次に、第一信号出力部170及び第二信号出力部175の構成の一例について、図4乃至図6を参照しながら説明する。図6は、第一信号出力部170の動作例を示すタイミングチャートであり、図6中の上段の図は、第一信号出力部170の第一入力端子170aへの入力電圧の変化を示し、中段の図は、第一信号出力部170の第二入力端子170bへの入力電圧の変化を示し、下段の図は、第一信号出力部170からの出力信号の変化を示している。
第一信号出力部170は、図4に示すように超音波用プロセッサ装置14に設けられており、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続されると、CPU152に向けて信号を出力する。より詳しく説明すると、第一信号出力部170は、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続された状態でロックレバー35が操作されたとき(つまり、接続状態がロックされたとき)、CPU152に向けて信号を出力する。
本実施形態に係る第一信号出力部170の構成例について詳述すると、第一信号出力部170は、図5に示すように、論理回路であるANDゲートによって構成されており、2つの入力端子と1つの出力端子とを有する。第一信号出力部170の出力端子は、CPU152に電気的に接続されている。第一信号出力部170が有する2つの入力端子のうちの一方(以下、第一入力端子170a)は、図5に示すように、超音波用プロセッサ装置側コネクタ132aが有する端子の一つ(以下、第一装置側端子133)と結線されている。第一装置側端子133と第一入力端子170aとの間には、図5に示すように、5V又は3.3Vの電源回路172がクランプ抵抗171aを介して接続されている。このため、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続していないとき、第一入力端子170aへの入力電圧の電位は、図6に示すように電源回路172の供給電圧に相当する電位(図中、記号H1にて表記される電位)となる。
また、第一装置側端子133は、図5に示すように、超音波用プロセッサ装置側コネクタ132aが有する他の端子(以下、第二装置側端子134)と対をなしている。第二装置側端子134は、図5に示すようにグランドに接地している。また、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続すると、第一装置側端子133は、超音波用コネクタ32aが有する端子の一つ(以下、第一コネクタ端子33)と接し、第二装置側端子134は、超音波用コネクタ32aが有する他の端子(以下、第二コネクタ端子34)と接する。この状態では、第一装置側端子133が第一コネクタ端子33及び第二コネクタ端子34を介して第二装置側端子134と導通するようになる。この結果、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続すると、第一入力端子170aへの入力電圧の電位が、図6に示すようにグランド電位(すなわち、零(ゼロ))となる。
第一信号出力部170が有する2つの入力端子のうちのもう一方(以下、第二入力端子170b)は、図5に示すように、超音波用プロセッサ装置14の内部に設けられたc接点式の切り替えスイッチ173の共通端子に結線されている。この切り替えスイッチ173の常閉端子には、図5に示すように、5V又は3.3Vの電源回路172がクランプ抵抗171bを介して接続されている。このため、通常時(具体的には、ロックレバー35が操作されていないとき)には、第二入力端子170bへの入力電圧の電位が、図6に示すように電源回路172の供給電圧に相当する電位(図中、記号H2にて表記される電位)となる。
一方、切り替えスイッチ173の常開端子は、図5に示すように、グランドに接地している。そして、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続された状態でロックレバー35が操作されると(厳密には、ロック用の操作がなされたとき)、その操作に連動し、切り替えスイッチ173において共通端子と導通する端子が、常閉端子から常開端子に切り替わる。これにより、第二入力端子170bへの入力電圧の電位が、図6に示すようにグランド電位(すなわち、零(ゼロ))となる。
そして、第一入力端子170aへの入力電圧の電位及び第二入力端子170bへの入力電圧の電位がともにグランド電位になると、論理演算の結果が「真」となり、第一信号出力部170は、その結果に対応する信号(具体的には、図6中、記号Htにて示す電位の電気信号)をCPU152に向けて出力する。
なお、上述した第一信号出力部170と同様の構成を第二信号出力部175に採用してもよい。すなわち、ロックレバー35が内視鏡用コネクタ32b側に設けられており、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続されると、ロックレバー35の先端部が内視鏡用プロセッサ装置16内部に挿入され、かかる状態でロックレバー35が操作されると、超音波内視鏡12と内視鏡用プロセッサ装置16との接続状態がロックされることとする。このような構成において、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続された状態でロックレバー35が操作されたときに、第二信号出力部175がCPU152に向けて信号を出力してもよい。
第二信号出力部175は、図4に示すように、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられており、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続されると、超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて信号を出力する。より詳しく説明すると、第二信号出力部175は、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続されると、超音波内視鏡12の記憶機器58bから識別情報を読み取り、その識別情報を示す信号(以下、識別情報信号と言う。)を超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて出力する。
本実施形態に係る第二信号出力部175の構成例について詳述すると、第二信号出力部175は、例えば、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられたリーダ(不図示)によって構成されている。そして、超音波内視鏡12がコネクタを介して内視鏡用プロセッサ装置16に物理的に接続されると、第二信号出力部175は、記憶機器58bにアクセスして識別情報を読み取り、識別情報信号を生成して超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて出力する。
なお、上述した第二信号出力部175と同様の構成を第一信号出力部170に採用してもよい。すなわち、第一信号出力部170が、超音波用プロセッサ装置14に設けられたリーダによって構成されていることとする。このような構成において、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続されたときに、第一信号出力部170が超音波内視鏡12の記憶機器58aから識別情報を読み取り、識別情報信号を生成して超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて出力してもよい。
<<超音波用プロセッサ装置の構成>>
次に、超音波用プロセッサ装置の構成の一例について、図4を参照しながら説明する。
超音波用プロセッサ装置14は、超音波振動子ユニット46が有する複数の超音波振動子48のうちの駆動対象振動子を駆動させて超音波振動子ユニット46に超音波を送受信させることで超音波画像を生成する。また、超音波用プロセッサ装置14は、生成した超音波画像をモニタ20に表示する。さらに、本実施形態の超音波用プロセッサ装置14(厳密には、CPU152)は、超音波画像が生成されない間、具体的には超音波診断前の事前準備の実施期間、及び、診断終了後の超音波内視鏡12の取り外し時に分極処理を実施する。
超音波用プロセッサ装置14は、図4に示すように、マルチプレクサ140、受信回路142、送信回路144、A/Dコンバータ146、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)148、シネメモリ150、メモリコントローラ151、CPU(Central Processing Unit)152、DSC(Digital Scan Converter)154、及び前述の第一信号出力部170を有する。
受信回路142及び送信回路144は、図4に示すように、マルチプレクサ140を介して超音波内視鏡12の超音波振動子アレイ50と電気的に接続する。マルチプレクサ140は、N個の超音波振動子48の中から最大m個の駆動対象振動子を選択し、そのチャンネルを開口させる。
送信回路144は、超音波画像の生成のために駆動対象振動子に対して超音波送信用の駆動電圧を供給する回路である。本実施形態において、送信回路144には、図4に示すようにパルス発生回路144aが備えられている。送信回路144は、パルス発生回路144aをTX(送信用)−FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路によって作動させることで、マルチプレクサ140を介して駆動対象振動子に対して駆動電圧を供給する。駆動電圧は、超音波診断時に超音波振動子ユニット46から超音波ビームが送信されるように各駆動対象振動子を駆動させるための電圧であり、CPU152から送られてくる制御信号に従って生成されるパルス状の電圧信号(送信信号)である。パルス状の駆動電圧は、パルス発生回路144aによって生成され、ユニバーサルコード26及び同軸ケーブル56を介して駆動対象振動子の電極に印加される。
また、本実施形態に係る送信回路144は、分極処理の実施時(換言すると、超音波画像が生成されない間)に複数の超音波振動子48を分極(再分極)するために複数の超音波振動子48に対して分極用電圧を供給する。分極用電圧は、駆動電圧と同様にパルス状の電圧信号であり、CPU152から送られてくる制度信号に従ってパルス発生回路144aによって生成される。生成された分極用電圧は、マルチプレクサ140を通じて各超音波振動子48の電極に印加される。
ここで、分極用電圧について説明すると、パルス状電圧である点では駆動電圧と分極用電圧は共通するものの、電圧の波形、電位及び周波数等の点において両電圧は相違する。つまり、分極用電圧は、駆動電圧とは異なる条件にて生成される電圧である。具体的に説明すると、例えば、駆動電圧の波形は、単一のパルス波の形状であるのに対し、分極用電圧の波形は、図7に示すようにユニポーラ状のパルス波を複数並べた波形である。図7は、分極用電圧の波形の一例を示す図である。
なお、分極用電圧の波形については、図7に示すように、パルス波間の間隔が、送信回路144に入力されるクロック信号の1個又は複数個分に相当する間隔(図7中のw)になっていると好ましい。間隔wについては、連続する複数のパルス波からなる分極用電圧波形が直流電圧の波形に擬制できる程度の間隔となっているのが好ましく、直流電圧の波形に極力近づける観点から、最小クロック数に相当する間隔に設定されているのが、より好ましい。
ちなみに、図7に図示の波形は、あくまでも分極用電圧の波形の一例にすぎず、これに限定されるものではなく、例えば、分極用電圧のパルス波形がバイポーラ状の波形であってもよい。また、分極用電圧の波形は、複数のパルス波を並べた波形に限定されず、単一のパルス波からなる波形であってもよい。
以上のように、本実施形態では、送信回路144が、超音波画像生成のために駆動対象振動子に対して駆動電圧を供給する機能と、分極処理実施時に各超音波振動子48に対して分極用電圧を供給する機能と、を兼ね備えている。すなわち、本実施形態では、分極専用の回路を用いなくとも、既存の送信回路144を利用して各超音波振動子48を分極することが可能であり、分極専用の回路を用いない分、超音波用プロセッサ装置14の構成がより簡略化したものとなっている。
受信回路142は、超音波(エコー)を受信した駆動対象振動子から出力される電気信号、すなわち受信信号を受信する回路である。また、受信回路142は、CPU152から送られてくる制御信号に従って、超音波振動子48から受信した受信信号を増幅し、増幅後の信号をA/Dコンバータ146に引き渡す。A/Dコンバータ146は、図4に示すように、受信回路142と接続しており、受信回路142から受け取った受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をASIC148に出力する。
ASIC148は、A/Dコンバータ146と接続しており、図4に示すように、位相整合部160、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164、及びCFモード画像生成部166を構成している。
なお、本実施形態では、ASIC148等のようなハードウェア回路によって上述の機能(具体的には、位相整合部160、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164、及びCFモード画像生成部166)を実現しているが、これに限定されるものではない。中央演算装置(CPU)と各種データ処理を実行させるためのソフトウェア(コンピュータプログラム)とを協働させることで上記の機能を実現させてもよい。
位相整合部160は、A/Dコンバータ146によりデジタル信号化された受信信号(受信データ)に対して遅延時間を与えて整相加算する(受信データの位相を合わせてから加算する)処理を実行する。整相加算処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。
Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164及びCFモード画像生成部166は、超音波振動子ユニット46が超音波を受信した際に複数の超音波振動子48のうちの駆動対象振動子が出力する電気信号(厳密には、位相整合部160によって生成された音声信号)に基づいて、超音波画像を生成する。
Bモード画像生成部162は、患者の体腔内の断層画像であるBモード画像を生成する。Bモード画像生成部162は、順次生成される音線信号に対し、STC(Sensitivity Time gain Control)によって、超音波の反射位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施す。また、Bモード画像生成部162は、補正後の音線信号に対して包絡線検波処理及びLog(対数)圧縮処理を施して、Bモード画像(画像信号)を生成する。
PWモード画像生成部164は、所定方向における血流速度を表示する画像を生成する。PWモード画像生成部164は、位相整合部160によって順次生成される音線信号のうち、同一方向における複数の音線信号に対して高速フーリエ変換を施すことで周波数成分を抽出する。その後、PWモード画像生成部164は、抽出した周波数成分から血流速度を算出し、算出した血流速度を表示するPWモード画像(画像信号)を生成する。
CFモード画像生成部166は、所定方向における血流の情報を表示する画像を生成する。CFモード画像生成部166は、位相整合部160によって順次生成される音線信号のうち、同一方向における複数の音線信号の自己相関を求めることで、血流に関する情報を示す画像信号を生成する。その後、CFモード画像生成部166は、上記の画像信号をBモード画像信号に組み込むことにより、血流に関する情報を重畳させたカラー画像としてのCFモード画像(画像信号)を生成する。
DSC154は、ASIC148に接続されており、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164又はCFモード画像生成部166が生成した画像の信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後にモニタ20に出力する。
メモリコントローラ151は、ASIC148に接続されており、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164又はCFモード画像生成部166が生成した画像信号をシネメモリ150に格納する。シネメモリ150は、1フレーム分又は数フレーム分の画像信号を蓄積するための容量を有する。ASIC148が生成した画像信号は、DSC154に出力される一方で、メモリコントローラ151によってシネメモリ150にも格納される。フリーズモード時には、メモリコントローラ151がシネメモリ150に格納された画像信号を読み出し、DSC154に出力する。これにより、フリーズモード時には、シネメモリ150から読み出された画像信号に基づく超音波画像(静止画像)がモニタ20に表示されるようになる。
CPU152は、超音波用プロセッサ装置14の各部を制御する制御部として機能し、図4に示すように、受信回路142、送信回路144、A/Dコンバータ146及びASIC148と接続しており、これらの機器を制御する。
具体的に説明すると、CPU152は、図4に示すように、操作卓100と接続しており、超音波診断時には、操作卓100にて入力された検査情報及び制御パラメータに従って超音波用プロセッサ装置14各部を制御する。このとき、CPU152は、超音波画像の生成のために複数の超音波振動子48のうちの駆動対象振動子に対して駆動電圧が供給されるように送信回路144を制御する。この結果、術者によって指定された超音波画像生成モードに応じた超音波画像が取得されるようになり、特にライブモード時には一定のフレームレートにて超音波画像が随時取得される。
また、CPU152は、超音波画像が生成されない間、具体的には超音波診断前の事前準備中、及び超音波内視鏡12の取り外し直前に、送信回路144を用いて分極処理を実施する。分極処理において、制御部であるCPU152は、複数の超音波振動子48に対して、駆動電圧とは異なる波形の分極用電圧が供給されるように送信回路144を制御する。これにより、送信回路144は、CPU152による制御の下、図7に図示した連続パルス状波形の分極用電圧をパルス発生回路144aによって生成する。
ちなみに、分極用電圧の電位及び供給時間等については、分極対象となる超音波振動子48の仕様(詳しくは、圧電素子の厚み及び材質等)に応じて、CPU152が適当な値に設定することになっている。CPU152は、上記の設定値に従って分極処理を実施する。具体的に説明すると、CPU152は、分極処理の実施に際して、超音波用プロセッサ装置16側に記憶された条件テーブル(不図示)を参照する。条件テーブルには、超音波内視鏡12別に設定された分極処理の実施条件(例えば、分極用電圧の電位等)が予め規定されている。そして、CPU152は、条件テーブルに記載された分極処理の実施条件のうち、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されている超音波内視鏡12と対応する条件に則って分極処理を実施する。
本実施形態において、CPU152は、第一信号出力部170及び第二信号出力部175の双方から信号を受信すると、分極処理を実施する。また、本実施形態において、CPU152は、分極処理の実施中に中断用操作部106が操作されると、その時点で分極処理を中断する(すなわち、送信回路144を制御して分極用電圧の供給を中止させる)。
<<超音波診断装置の動作例について>>
次に、超音波診断装置10の動作例として、超音波診断に関する一連の処理(以下、診断処理とも言う。)の流れを、図8A、図8B及び図9を参照しながら説明する。図8A及び図8Bは、超音波診断装置10を用いた診断処理の流れを示す図である。図9は、診断処理中の診断ステップの手順を示す図である。
診断処理の開始に際して、術者は、超音波内視鏡12を超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18の各々に接続し、超音波内視鏡12に付属機器(例えば、送気送水ボタン28a、吸引ボタン28b及びバルーン37等)を取り付ける。
その後、術者は、超音波診断装置10各部の電源を投入する。この時点で診断処理が開始される。また、術者は、超音波内視鏡12を内視鏡用プロセッサ装置16に接続してから電源を投入した後に、内視鏡用プロセッサ装置16の操作ボタン16aを押す。これにより、内視鏡用プロセッサ装置16が内視鏡画像の生成及びモニタ20への表示を開始する。さらに、術者は、ロックレバー35を操作して超音波内視鏡12と超音波用プロセッサ装置14との接続状態をロックする。
また、術者(あるいは、その補助者等)は、超音波診断の開始前に事前準備を実施する。事前準備は、超音波内視鏡12が患者の体の外に置かれている間に実施される。事前準備において、術者は、操作卓100を通じて検査情報及び制御パラメータ等を入力し、また、下記(J1)〜(J5)の項目を順次確認する。
(J1)超音波内視鏡12の外観における異常の有無
(J2)光源装置18からの光照射が正常に行われているか
(J3)内視鏡画像が正常に表示されているか
(J4)超音波内視鏡12で送気、送水及び吸引が正常になされているか
(J5)湾曲部42及び軟性部43における異常の有無
上記の確認事項は、術者(あるいは、その補助者等)が目視にて確認し、項目(J4)に関しては、必要に応じて内視鏡画像を通じて確認する。なお、事前準備の内容については、上記の項目に限定されず、上記の項目以外の項目が含まれていてもよい。
一方、診断処理が開始されると、超音波診断装置10側では、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16に接続されたことに伴い、第一信号出力部170及び第二信号出力部175が作動する。具体的に説明すると、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続された状態でロックレバー35が操作(ロック操作)されると、図8Aに示すように、第一信号出力部170が超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて出力する(S001でYes)。
また、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続された後、第二信号出力部175が超音波内視鏡12の記憶機器58bにアクセスし、記憶機器58bから識別情報を読み取る。そして、第二信号出力部175は、図8Aに示すように、読み取った識別情報を示す信号(すなわち、識別情報信号)を超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて出力する(S002でYes)。
CPU152は、第一信号出力部170及び第二信号出力部175の各々が出力した信号を受信すると、第二信号出力部175から受信した識別情報信号に基づいて判定処理を実施する(S003)。判定処理では、分極処理の実施の要否を、第二信号出力部175から出力された信号(すなわち、識別情報信号)に基づいて判定する。
具体的に説明すると、判定処理において、CPU152は、超音波用プロセッサ装置14に記憶された判定用テーブル(不図示)を参照する。判定用テーブルには、超音波内視鏡12の識別情報毎に分極処理の要否が設定されている。なお、判定用テーブルは、超音波用プロセッサ装置14以外の機器、例えば、内視鏡用プロセッサ装置16又は超音波内視鏡12の記憶機器58a、58bに記憶されてもよい。
そして、CPU152は、識別情報によって識別される超音波内視鏡12に対して分極処理を実施すべきか否かを判定用テーブルから判定し、分極処理の実施を要すると判定した場合には(S003でYes)、分極処理を実施する(S004)。なお、本実施形態において、CPU152は、超音波内視鏡12が有する超音波振動子48を構成している圧電素子が単結晶振動子である場合に分極処理を実施する。つまり、判定用テーブルにおいて、単結晶振動子からなる超音波振動子48を備える超音波内視鏡12の識別情報に対しては、分極処理の実施が必要であることを示す情報(フラグ)が紐づけられている。
反対に、超音波振動子48を構成している圧電素子が単結晶振動子以外の圧電素子(例えば、セラミック振動子)である場合、CPU152は、分極処理の実施を要しないと判定し(S003でNo)、分極処理の実施を見送る。
なお、ステップS001において、第一信号出力部170が、第二信号出力部175と同じように、超音波内視鏡12の記憶機器58aにアクセスし、記憶機器58aから識別情報を読み取り、読み取った識別情報を示す信号(すなわち、識別情報信号)をCPU152に向けて出力してもよい。このように超音波用プロセッサ装置14に設けられた第一信号出力部170、及び、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられた第二信号出力部175の双方が超音波内視鏡12の識別情報を読み取り、それぞれのプロセッサ装置が読み取った識別情報に基づいて、分極処理の実施の要否を判定するのが好ましい。これにより、例えば、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16のうちの一方が配線の断線等により正しく識別情報を読み取れなかった場合に、誤った識別情報に基づいて分極処理を実施する(又は実施しない)ような事態を回避することが可能となる。この結果、分極処理が安全に且つ確実に実施されるようになる。ここで、超音波用プロセッサ装置14側で第一信号出力部170が出力した信号が示す識別情報と、内視鏡用プロセッサ装置16側で第二信号出力部175が出力した信号が示す識別情報とが相違している場合には、CPU152は、分極処理を実施せず、その旨を示すエラー警告をモニタ20等に表示するのが好ましい。このような構成であれば、より安全な超音波内視鏡12の運用を図ることが可能となる。
ステップS004において、分極処理は、術者が事前準備を行っている間に実施される。これは、事前準備には比較的長い時間を要する一方で、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されると、これを契機として分極処理が開始される。この結果、分極処理が事前準備の最中に実施されることになる。このように超音波診断前の事前準備期間を利用して分極処理を実施することで、分極処理を実施するための時間を別途確保する必要がない。この結果、超音波診断の所要時間が分極処理の実施によって長くなってしまうのを回避することができる。
また、分極処理では、各超音波振動子48に対して図6に図示した連続パルス状波形の分極用電圧が供給されるように、CPU152が送信回路144を制御する。なお、本実施形態では、分極用電圧がマルチプレクサ140を経由して各超音波振動子48に供給されるため、一度に分極することができる超音波振動子48の数が、マルチプレクサ140の最大開口チャンネル数(m個)となる。このため、分極処理の前半に、N個の超音波振動子48のうちの半分(すなわち、m個)の超音波振動子48を分極し、後半に残り半分の超音波振動子48を分極することとしている。この結果、分極処理の終了時点では、N個の超音波振動子48の全てが再分極されるようになる。
分極処理の実施中、術者が操作卓100の中断用操作部106の操作(中断用走査)を行うと(S005でYes)、図8Aに示すように、CPU152がその時点で分極処理を中断し、送信回路144からの分極用電圧の供給を中止する(S006)。この場合、分極処理が未完了のまま終了する。他方、中断用操作がない場合(S005でNo)、CPU152は、分極処理を継続して実施する。そして、図8Aに示すように、分極処理の開始時点からの経過時間が予め設定された時点に達した時点(S007でYes)で分極処理が終了する。
なお、分極処理が終了した時点で、分極処理終了の旨をモニタ20等に表示して術者に報知するのが好ましい。
術者は、事前準備を終えると、操作卓100を通じて超音波診断の開始を指示する。その後、術者は、超音波内視鏡12の挿入部22を患者の体腔内に挿入する。一方、超音波診断装置10では超音波診断の開始指示があると、動作モードが診断モードに移行し、CPU152は、図8Aに示すように、超音波用プロセッサ装置14各部を制御して診断ステップを実施する(S008)。
診断ステップは、図9に図示の流れに沿って進行する。詳しく説明すると、CPU152は、術者によって指定された超音波画像生成モードがBモードである場合には(S031でYes)、Bモード画像を生成するように超音波用プロセッサ装置14各部を制御し(S032)、指定された超音波画像生成モードがCFモードである場合には(S033でYes)、CFモード画像を生成するように超音波用プロセッサ装置14各部を制御し(S034)、指定された超音波画像生成モードがPWモードである場合には(S035でYes)、PWモード画像を生成するように超音波用プロセッサ装置14各部を制御する(S036)。
各モードによる超音波画像の生成は、診断終了条件が成立するまで繰り返し実施される(S037)。診断終了条件としては、例えば、術者が操作卓100を通じて診断終了を指示することが挙げられる。そして、診断終了条件が成立した時点で(S037でYes)、診断ステップが終了する。
診断ステップ終了、術者は、診断処理を終えるために、超音波内視鏡12を超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16から取り外す。超音波内視鏡12の取り外しに際して、術者は、取り外し許可情報をモニタ20に表示させるための操作を行う。より具体的に説明すると、術者は、超音波診断開始前に押した内視鏡用プロセッサ装置16の操作ボタン16aを再び押す操作、あるいは、診断処理の終了を操作卓100によって指示する操作(例えば、操作卓100に設けられた終了ボタンを押す操作)を行う。上記の操作が行われると(S009でYes)、図8Bに示すように、これをトリガーとして超音波用プロセッサ装置14のCPU152が、ステップS003と同様の判定処理を実施する(S010)。すなわち、CPU152は、分極処理の実施の要否を判定する。なお、本ステップS010では、ステップS003の判定結果を援用してもよく、その場合には、本ステップS010における判定処理実施を省略することができる。
そして、CPU152は、分極処理の実施を要すると判定した場合(S010でYes)、分極処理を実施する(S011)。他方、CPU152は、分極処理の実施を要しないと判定した場合(S010でNo)、分極処理の実施を見送る。
ステップS011において、分極処理は、超音波内視鏡12の取り外し直前、より詳しくは、取り外し許可情報を表示させるための操作が行われてから取り外し許可情報が表示されるまでの間に実施される。分極処理の実施手順については、ステップ004と同様である。このように、超音波内視鏡12の取り外し直前に分極処理が再度実施されるため、取り外した超音波内視鏡12を次回の超音波診断に用いるときには良好な受信感度にて超音波診断を実施することができるようになる。
また、分極処理の実施中に術者が中断用操作部106を操作すると(S012でYes)、CPU152は、その時点で分極処理を中断する(S013)。この場合、分極処理は未完了のまま終了する。他方、中断用操作部106の操作(中断用操作)がない場合、CPU152は、分極処理を継続して実施し、分極処理の開始時点からの経過時間が予め設定された時間に達した時点(S014でYes)で分極処理を終了する。
分極処理の終了後、取り外し許可情報がモニタ20に表示される(S015)。術者は、表示された取り外し許可情報を確認した上で、超音波内視鏡12を超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15から取り外す。超音波内視鏡12の取り外し後、術者は、超音波診断装置10各部の電源をオフにする。超音波診断装置10各部の電源がオフとなると(S016でYes)、その時点で診断処理が終了する。
<<本発明の超音波診断装置の有効性について>>
本発明の超音波診断装置の特徴は、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されると、分極処理が実施されることにある。つまり、本発明の超音波診断装置では、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続された直後に行われる事前準備の期間を利用して、超音波内視鏡12内の超音波振動子48を再分極する。したがって、本発明の超音波診断装置によれば、分極処理の実施時間を別途確保する必要がなく、特許文献1及び2に記載の装置のように超音波診断の所要時間が余計に長くなってしまう事態を回避することが可能である。
本発明の超音波診断装置のもう一つの特徴は、分極処理において、既存の送信回路144を用いて各超音波振動子48に対して分極用電圧を供給することにある。つまり、本発明の超音波診断装置には、特許文献1、3及び4に記載の装置のように分極用電圧を供給するための専用の回路及び機器が設けられておらず、その分、機器構成(ハードウェア構成)を簡略化することができ、また、既存の機器構成を変更することも要さない。
また、本発明の超音波診断装置について、上述した実施形態では、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続された状態でロックレバー35が操作され、ロックレバー35が操作されると、第一信号出力部170が信号を出力することになっている。そして、本発明の超音波診断装置では、上記の信号出力を分極処理実施のトリガーの一つとして利用している。これにより、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に確実に接続された状態で分極処理を実施することが可能となる。
また、上述の実施形態では、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続されると、超音波内視鏡12の記憶機器58bから識別情報が読み取られ、その識別情報を示す信号(識別情報信号)が第二信号出力部175によって出力されることになっている。そして、本発明の超音波診断装置では、上記の信号出力(識別情報信号の出力)を分極処理実施のトリガーの一つとして利用している。これにより、内視鏡用プロセッサ装置16に接続された超音波内視鏡12を識別した上で分極処理を実施することが可能となる。特に、本発明の超音波診断装置では、超音波内視鏡12の識別情報に基づいて分極処理の実施の要否を判定し、分極処理を実施することが必要であると判定した場合に分極処理を実施する。この結果、不要な分極処理の実施を省略することが可能となる。
なお、上述の実施形態では、圧電素子が単結晶振動子である場合に分極処理を実施することになっている。単結晶振動子は、前述したように駆動時間の経過に伴って脱分極する傾向にある。このことを踏まえて、圧電素子が単結晶振動子であるか否かに応じて分極処理の実施の要否を判定することとし、これにより、分極処理を実施すべきか否かを的確に判断することが可能となる。
また、上述の実施形態では、操作卓100に中断用操作部106が設けられており、分極処理の実施中に中断用操作部106が操作されると、その時点で分極処理が中断される。これにより、術者にとっての使い勝手が向上し、例えば、超音波内視鏡12を超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続してから早々に超音波診断を開始しようとする場合に、術者が中断用操作部106を操作すれば、超音波診断の開始を優先して分極処理を中断させることが可能となる。
<<本発明の超音波診断装置の変形例>>
上記の実施形態では、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続された状態で、ロックレバー35が操作されたり、記憶機器58a、58bから識別情報が読み取られたりすることとした。これらは、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されたことを検知するための構成である。ただし、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されたことを検知するための構成は、上述の構成以外にも考えられる。
具体的な一例(以下、第二実施形態)を挙げて説明すると、図10に図示の構成では、第二信号出力部175が内視鏡用プロセッサ装置16の操作ボタン16aに接続されている。図10は、第二実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す図であり、図10中、上述の実施形態(図4に図示の実施形態)と共通する要素には、図4での符号と同じ符号を付けており、その説明については省略することとする。
第二実施形態では、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続された状態で内視鏡用プロセッサ装置16の操作ボタン16aが押されると、第二信号出力部175が超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて信号を出力する。このように第二実施形態では、操作ボタン16aの押し操作を以て、超音波内視鏡12が内視鏡画像取得用装置15の内視鏡用プロセッサ装置16に接続されたことを検知する。
なお、図10に示す構成は、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続されたことを検知する構成として用いてもよい。すなわち、上記の操作ボタン16aに相当する押しボタン(以下、便宜的に操作ボタン16aと言う。)が超音波用プロセッサ装置14に設けられていることとする。このような構成において、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続された状態で操作ボタン16aが操作されたときに、第一信号出力部170が超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて信号を出力してもよい。
変形例の別例(以下、第三実施形態)について説明すると、図11に図示の構成では、接触型又は非接触型の接続検知センサからなる第一信号出力部170が超音波用プロセッサ装置側コネクタ132aに設けられている。同様に、接触型又は非接触型の接続検知センサからなる第二信号出力部175が内視鏡用プロセッサ装置側コネクタ132bに設けられている。
なお、図11は、第三実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す図であり、図11中、上述の実施形態(図4に図示の実施形態)と共通する要素には、図4での符号と同じ符号を付けており、その説明については省略することとする。
第三実施形態では、超音波用プロセッサ装置側コネクタ132aに超音波用コネクタ32aが連結して超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14に接続されると、これを契機として第一信号出力部170が作動して超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて信号を出力する。また、内視鏡用プロセッサ装置側コネクタ132bに内視鏡用コネクタ32bが連結して超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続されると、これを契機として第二信号出力部175が作動して超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて信号を出力する。このように第三実施形態では、第一信号出力部170及び第二信号出力部175がコネクタに設けられたセンサによって構成される。このため、第三実施形態では、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15(厳密には、内視鏡用プロセッサ装置16)に接続されたことを直接検知することになる。
なお、第二実施形態及び第三実施形態は、超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡画像取得用装置15に接続されたことを検知する構成において上述の実施形態と相違するものの、それ以外の点では上述の実施形態と共通しており、上述の実施形態と同様の効果を発揮するものである。
また、上記の実施形態では、内視鏡画像取得用装置15を構成する内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18が互いに別機器であり、それぞれが個別に超音波内視鏡12に接続されることとした。ただし、これに限定されるものではなく、図12に図示の構成(以下、第四実施形態)、及び図13に図示の構成(以下、第五実施形態)も考えられる。
第四実施形態について説明すると、図12に示すように、内視鏡用プロセッサ装置16の内部に光源装置18が搭載されている。つまり、第四実施形態に係る内視鏡画像取得用装置15は、内視鏡用プロセッサ装置16と光源装置18とが一体化した構成となっている。そして、超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16にコネクタを介して物理的に接続されると、これに連動する形で、内視鏡用プロセッサ装置16に内蔵された光源装置18も超音波内視鏡12に接続される。超音波内視鏡12が内視鏡用プロセッサ装置16に接続された状態で光学装置18が光を照射すると、その照射光は、内視鏡用プロセッサ装置16内の光学経路(不図示)を通じて内視鏡用プロセッサ装置側コネクタ132bに至る。その後、照射光は、ユニバーサルコード26及び超音波内視鏡12内のライトガイドを伝播し、最終的に超音波内視鏡12の先端部40に設けられた照光窓88から出射される。
なお、図12は、第四実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す図であり、図12中、上述の実施形態(図1に図示の実施形態)と共通する要素には、図1での符号と同じ符号を付けており、その説明については省略することとする。
第五実施形態について説明すると、図13に示すように、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18が互いに別体ではあるが、両装置は、連結ケーブル19によって連結している。また、第五実施形態では、光源装置18が超音波内視鏡12と直接接続される一方で、内視鏡用プロセッサ装置16は、超音波内視鏡12と直接接続されることはなく、光源装置18に接続されることで間接的に超音波内視鏡12に接続される。つまり、第五実施形態に係る内視鏡画像取得用装置15は、互いに連結ケーブル19によって連結された内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18のうち、光源装置18のみを超音波内視鏡12に接続することで、内視鏡用プロセッサ装置16をも超音波内視鏡12に接続することが可能な構成となっている。また、第五実施形態では、第二信号出力部175が光源装置18に設けられている。そして、光源装置18が超音波内視鏡12に接続されると、第二信号出力部175が超音波内視鏡12の記憶機器58bから識別情報を読み取り、読み取った識別情報を示す信号(識別情報信号)を出力する。識別情報信号は、第二信号出力部175から出力された後、連結ケーブル19を通じて内視鏡用プロセッサ装置16へ伝送される。その後、内視鏡用プロセッサ装置16及び超音波用プロセッサ装置14が通信することで、上記の識別情報信号が内視鏡用プロセッサ装置16から超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて送信される。すなわち、第五実施形態では、超音波内視鏡12が内視鏡画像取得用装置15に接続されたことを検知するために、第二信号出力部175が光源装置18に設けられている。
なお、図13は、第五実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す図であり、図13中、上述の実施形態(図1に図示の実施形態)と共通する要素には、図1での符号と同じ符号を付けており、その説明については省略することとする。
第五実施形態において、第二信号出力部175は、光源装置18に設けられる場合に限定されず、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられていてもよい。この場合、光源装置18が超音波内視鏡12に接続されると、光源装置18が内視鏡用プロセッサ装置16に向けて接続情報を送信する。ここで、接続情報とは、超音波内視鏡12が光源装置18に接続されると、これをトリガーとして光源装置18が送信する情報であり、例えば、超音波内視鏡12の記憶機器58bから読み取った識別情報であってもよい。そして、内視鏡用プロセッサ装置16に設けられた第二信号出力部175は、光源装置18から送信される接続情報を、連結ケーブル19を通じて受信すると、超音波用プロセッサ装置14のCPU152に向けて信号を出力する。
以上までに説明してきた第四実施形態及び第五実施形態は、内視鏡画像取得用装置15の具体的構成において上述の実施形態と相違するものの、それ以外の点では上述の実施形態と共通しており、上述の実施形態と同様の効果を発揮するものである。