JP2019531070A - ツイスティッド・ガストルレーション・ポリペプチドおよびその用途 - Google Patents

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Abstract

ある態様においては、本発明は、げっ歯類および霊長類を含む脊椎動物において、特にヒトにおいて赤血球および/またはヘモグロビンレベルを増加させるために鉄代謝を改変するための組成物および方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明はツイスティッド・ガストルレーション(Twisted gastrulation)ポリペプチドおよびその用途に関する。
関連出願
本出願は、2016年9月15日付け出願の米国仮特許出願第62/395,088号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に基づく優先権の利益を主張するものである。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体を参照により本明細書に組み入れることとする。該ASCIIコピーは2017年12月8日付けで作成されたものであり、APH-00125 SL.txtと称され、27,134バイトのサイズを有する。
成熟赤血球(RBC)、すなわち、赤血球は脊椎動物の循環系における酸素輸送をもたらす。赤血球は高濃度のヘモグロビンを含有し、ヘモグロビンは、比較的高い酸素分圧(pO2)で肺内の酸素に結合し、比較的低いpO2を有する身体領域に酸素を運搬するタンパク質である。
成熟赤血球は、赤血球生成と称される過程において多能性造血幹細胞から産生される。出生後赤血球生成は主に骨髄および赤脾髄において生じる。種々のシグナル伝達経路の協調作用が細胞増殖、分化、生存および死のバランスを制御する。通常の条件下では、赤血球は、体内の赤血球量を一定に維持する速度で産生され、その速度は、酸素分圧の増加もしくは減少または組織要求性を含む種々の刺激に応答して増加または減少しうる。赤血球生成の過程は分化系列決定前駆細胞の生成から開始し、一連の異なる前駆細胞型を経て進行する。網状赤血球が血流内に放出され、それらのミトコンドリアおよびリボソームを喪失する一方で成熟赤血球の形態をとると、赤血球生成の最終段階が生じる。血液中の網状赤血球レベルの上昇または網状赤血球:赤血球比の上昇は赤血球産生率の上昇を示す。
エリスロポエチン(EPO)は、脊椎動物における出生後の赤血球生成の最も重要な正の調節因子として広く認識されている。EPOは、組織酸素分圧の低下(低酸素)および低赤血球レベルまたは低ヘモグロビンレベルに対する代償性赤血球生成反応を調節する。ヒトにおいては、EPOレベルの上昇は、骨髄および脾臓における赤血球前駆細胞の生成を刺激することにより赤血球生成を促進する。マウスにおいては、EPOは主に脾臓における赤血球生成を促進する。
EPOの作用は、サイトカイン受容体スーパーファミリーに属する細胞表面受容体によりもたらされる。ヒトEPO受容体遺伝子は483アミノ酸の膜貫通タンパク質をコードしており、一方、活性EPO受容体はリガンドの非存在下でさえも多量体複合体として存在すると考えられている(米国特許第6,319,499号を参照されたい)。哺乳類細胞において発現されるクローン化全長EPO受容体は、赤血球前駆細胞上の天然受容体の場合に類似したアフィニティでEPOに結合する。EPOのその受容体への結合はコンホメーション変化を引き起こして、受容体活性化、ならびに生物学的効果、例えば未熟赤芽球の増殖の増強、未熟赤芽球の分化の増強および赤血球前駆細胞におけるアポトーシスの低減をもたらす(Liboiら, 1993, Proc Natl Acad Sci USA 90:11351-11355; Kouryら, 1990, Science 248:378-381)。
種々の形態の組換えEPOが、種々の臨床現場で、特に貧血の治療のために、赤血球レベルを増加させるために医師により使用されている。貧血は、正常より低い血中ヘモグロビンまたは赤血球レベルにより特徴づけられる広く定義される状態である。幾つかの場合には、貧血は赤血球の産生または生存における原発性障害により引き起こされる。より一般的には、貧血は他の系の疾患に続発する(Weatherall & Provan, 2000, Lancet 355, 1169-1175)。貧血は赤血球の産生速度の低下もしくは破壊速度の上昇または出血による赤血球の喪失により生じうる。貧血は、例えば慢性腎不全、化学療法治療、骨髄異形成症候群、慢性関節リウマチおよび骨髄移植を含む種々の障害から生じうる。
EPOでの治療は、典型的には、健康なヒトにおいては、数週間でヘモグロビンを約1〜3g/dL上昇させる。この治療レジメンは、貧血個体に投与された場合には、しばしば、ヘモグロビンおよび赤血球レベルの大幅な増加をもたらし、生活の質の改善および生存期間の延長をもたらす。EPOは一様に有効ではなく、多数の個人は高用量に対してでさえも不応性である(Horlら, 2000, Nephrol Dial Transplant 15, 43-50)。癌患者の50%以上はEPOに対する不十分な応答を示し、末期腎疾患患者の約10%は低応答性であり(Glaspyら, 1997, J Clin Oncol 15, 1218-1234; Demetriら, 1998, J Clin Oncol 16, 3412-3425)、骨髄異形成症候群患者の10%未満しか好ましく応答しない(Estey, 2003, Curr Opin Hematol 10, 60-67)。炎症、鉄分およびビタミン欠乏、不適切な透析、アルミニウム毒性ならびに副甲状腺機能亢進症を含む幾つかの要因が、不良な治療応答を予測しうる。EPOに対する耐性の分子的メカニズムは未だ明らかでない。最近の証拠は、より高い用量のEPOが幾つかの患者集団における心血管罹患、腫瘍増殖および死亡のリスクの増加に関連しうることを示唆している(Krapfら, 2009, Clin J Am Soc Nephrol 4:470-480; Glaspy, 2009, Annu Rev Med 60:181-192)。したがって、EPOに基づく治療用化合物(エリスロポエチン刺激物質、ESA)は、赤血球輸血の必要性を回避するのに十分な最低用量で投与されることが推奨されている(Jelkmannら, 2008, Crit Rev Oncol. Hematol 67:39-61)。
したがって、炎症性貧血の状況において赤血球生成に利用可能な赤血球数および鉄レベルを増加させるための代替方法が必要とされている。
Liboiら, 1993, Proc Natl Acad Sci USA 90:11351-11355; Kouryら, 1990, Science 248:378-381 Weatherall & Provan, 2000, Lancet 355, 1169-1175 Horlら, 2000, Nephrol Dial Transplant 15, 43-50 Glaspyら, 1997, J Clin Oncol 15, 1218-1234; Demetriら, 1998, J Clin Oncol 16, 3412-3425 Estey, 2003, Curr Opin Hematol 10, 60-67 Krapfら, 2009, Clin J Am Soc Nephrol 4:470-480; Glaspy, 2009, Annu Rev Med 60:181-192 Jelkmannら, 2008, Crit Rev Oncol. Hematol 67:39-61
1つの態様においては、本開示は、例えば、単離されたツイスティッド・ガストルレーション(Twisted gastrulation)(TWSG)ポリペプチド、可溶性TWSGポリペプチドまたは少なくとも部分的に精製されたTWSGポリペプチドを含む新規ツイスティッド・ガストルレーション(Twisted gastrulation)(TWSG)ポリペプチドを提供する。幾つかの実施形態においては、本開示は、単離された、可溶性の、および少なくとも部分的に精製されたTWSGポリペプチドを提供する。
幾つかの実施形態においては、本開示は、TWSGポリペプチドおよび別のポリペプチド、例えば、TWSGポリペプチドに対して異種のポリペプチドを含むポリペプチドを提供する。幾つかの実施形態においては、該異種ポリペプチドはフラグメント結晶化可能領域(Fc)ポリペプチドである。該ポリペプチドは、例えば、TWSGポリペプチドとFcポリペプチドとを含む融合タンパク質でありうる。
幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドはヒトもしくは非ヒト脊椎動物TWSGポリペプチド、またはヒトTWSGポリペプチドの少なくとも一部と非ヒト脊椎動物TWSGポリペプチドの少なくとも一部とを含むキメラTWSGポリペプチドである。代表的な非ヒト脊椎動物には、例えば、非ヒト哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ラクダなど、および非ヒト非哺乳類脊椎動物(例、ニワトリ、ヘビなど)が含まれる。非ヒト霊長類には、例えば、サル、チンパンジー、テナガザル、マカク、ゴリラ、オランウータンなどが含まれる。
ある実施形態においては、本開示のTWSGポリペプチドは、配列番号2の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。
幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号2の核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号2の配列に相補的である核酸にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
ある実施形態においては、本開示のTWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態においては、本開示のTWSGポリペプチドは野生型または天然に存在するTWSGポリペプチドである。他の実施形態においては、TWSGポリペプチドは、野生型または天然に存在する配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。そのようなアミノ酸置換は、例えば、潜在的グリコシル化部位を除去するために、例えば、潜在的グリコシル化部位内に存在しうる。そのようなアミノ酸置換は、例えば、TWSGポリペプチドの生物学的機能および/または相互作用アフィニティに潜在的に影響を及ぼす部位内に存在しうる。
幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドはシグナル配列を含む。そのようなシグナル配列は、例えば、TWSGポリペプチドのN末端に存在しうる。他の実施形態においては、TWSGポリペプチドはシグナル配列を含まない。
幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドはヒトまたは非ヒト脊椎動物Fcポリペプチドである。そのような非ヒト脊椎動物は、例えば非ヒト霊長類を含む非ヒト哺乳動物でありうる。Fcポリペプチドは、IgGタンパク質、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはキメラIgGサブクラス(例えば、IgG2/G4)に由来しうる。幾つかの実施形態においては、FcポリペプチドはIgG1に由来する。
幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号3、4、5、6または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
Fcポリペプチドは、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であるアミノ酸配列を含みうる。幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは配列番号3、4、5、6または7のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態においては、Fcポリペプチドは野生型または天然に存在するFcポリペプチドである。他の実施形態においては、Fcポリペプチドは、野生型または天然に存在する配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。そのようなアミノ酸置換は、例えば、潜在的グリコシル化部位を除去するために、例えば、潜在的グリコシル化部位内に存在しうる。そのようなアミノ酸置換は、例えば、Fcポリペプチドの生物学的機能および/または相互作用アフィニティに潜在的に影響を及ぼす部位内に存在しうる。
本開示のポリペプチドは、TWSGポリペプチドとFcポリペプチドとを含む融合タンパク質でありうる。そのような実施形態においては、TWSGポリペプチドのC末端はFcポリペプチドのN末端に融合していてもよい。他のそのような実施形態においては、FcポリペプチドのC末端はTWSGポリペプチドのN末端に融合していてもよい。そのような融合タンパク質は、これらの要素の順序に無関係に、本明細書においては本開示における「TWSG-Fc」と総称される。
幾つかの実施形態においては、本明細書に開示されている融合タンパク質は、TWSGポリペプチドとFcポリペプチドとの間にリンカー配列を更に含みうる。そのようなリンカー配列は、一般的な融合タンパク質またはTWSG-Fcの融合タンパク質に許容される又は好ましい任意の長さのものでありうる。例えば、リンカー配列はX-(G)n-Y(式中、Xは存在しない、または少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくはTもしくはSであり、nは、少なくとも1の値を有する整数、好ましくは3または4であり、Yは存在しない、または少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくはSである)の構造を含みうる。幾つかの実施形態においては、リンカー配列はTGGG(配列番号16)、SGGG(配列番号17)、TGGGG(配列番号18)、SGGGG(配列番号19)、GGGGS(配列番号20)、GGGG(配列番号21)またはGGG、好ましくはTGGG(配列番号16)を含む。
ある態様においては、本開示は、配列番号14の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうるポリペプチドを含むTWSG-Fc融合タンパク質を提供する。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の配列に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の配列に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の配列に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号14の核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる。
幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号14の配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
本開示は更に、配列番号9の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むTWSG-Fc融合タンパク質を提供する。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号9の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号9の配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号9の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号9の配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号9の配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態においては、本開示において提供するポリペプチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号9のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
本開示は更に、配列番号13の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むTWSG-Fc融合タンパク質を提供する。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号13の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号13の配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号13の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号13の配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号13の配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態においては、本開示において提供するポリペプチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
幾つかの実施形態においては、本開示のTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、TWSG部分およびFc部分の少なくとも1つに関して、野生型または天然に存在するアミノ酸配列を含む。他の実施形態においては、そのようなポリペプチドは、野生型または天然に存在する配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。そのようなアミノ酸置換は、例えば、潜在的グリコシル化部位を除去するために、例えば、潜在的グリコシル化部位内に存在しうる。そのようなアミノ酸置換は、例えば、Fcポリペプチドの生物学的機能および/または相互作用アフィニティに潜在的に影響を及ぼす部位内に存在しうる。幾つかの実施形態においては、そのようなポリペプチドは、配列番号9における少なくとも1つのN結合グリコシル化部位において少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。他の実施形態においては、そのようなポリペプチドは、配列番号13における少なくとも1つのN結合グリコシル化部位において少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
ある態様においては、本開示は、少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)、例えばBMP2、BMP4、BMP6、BMP7およびBMP9から選択されるBMPに結合しうる、好ましくはそれを抑制しうるTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドを提供する。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、4.5nM未満(または好ましくは4.4nM以下)のKDで、少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)に結合しうる、好ましくはそれを抑制しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、ナノモル以下(サブナノモル)のアフィニティ(親和性)で、少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)に結合しうる、好ましくはそれを抑制しうる。例えば、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも1nM、0.5nM、0.33nMまたはそれ未満のKDで、BMPの少なくとも1つに結合しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも1nM、0.5nMまたは0.33nM以下(または好ましくは、多くとも0.33、0.30もしくは0.23nM)のKDで、BMP2、BMP4、BMP6およびBMP7から選択される少なくとも1つのBMPに結合しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも1nM、0.5nMまたは0.33nM(または好ましくは、多くとも0.33、0.30もしくは0.23nM)のKDで、BMP2、BMP4、BMP6およびBMP7から選択される少なくとも2つのBMPに結合しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも1nM、0.5nMまたは0.33nM以下(または好ましくは、多くとも0.33、0.30もしくは0.23nM)のKDで、BMP2、BMP4、BMP6およびBMP7から選択される少なくとも3つのBMPに結合しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも1nM、0.5nMまたは0.33nM(または好ましくは、多くとも0.33、0.30もしくは0.23nM)のKDで、BMP2、BMP4、BMP6およびBMP7に結合しうる。TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドとBMPとの間のそのような結合は、任意の適切な技術、例えば、表面プラズモン共鳴により検出されるインビトロ結合アッセイで検出および/または測定されうる。
幾つかの態様においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、例えばBMP2、BMP4、BMP6およびBMP7のような骨形成タンパク質(BMP)の少なくとも1つを抑制しうる。例えば、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、31nM未満のIC50で、BMPの少なくとも1つを抑制しうる。
幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、ナノモルレベルのIC50で、骨形成タンパク質(BMP)の少なくとも1つを抑制しうる。例えば、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも5nM、4nM、3.7nMまたは3nM(または好ましくは、多くとも3.7、2.2もしくは1.5nM)のIC50で、BMPの少なくとも1つを抑制しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも5nMまたは3.7nM(または好ましくは、多くとも3.7、2.2もしくは1.5nM)のIC50で、BMP4、BMP6およびBMP7から選択されるBMPの少なくとも1つを抑制しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも5nMまたは3.7nM(または好ましくは、多くとも3.7、2.2もしくは1.5nM)のIC50で、BMP4、BMP6およびBMP7から選択される少なくとも2つのBMPを抑制しうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、多くとも5nMまたは3.7nM(または好ましくは、多くとも3.7、2.2もしくは1.5nM)のIC50で、BMP4、BMP6およびBMP7を抑制しうる。そのような抑制は、例えばBMP媒介性細胞シグナル伝達過程のようなBMP活性の少なくとも1つの態様の抑制を含む。そのようなBMP媒介性細胞シグナル伝達過程はBMP基質および/またはBMPの下流シグナル伝達メッセンジャー[少なくとも、Smadタンパク質(例えば、Smad 1、Smad 5など)を含む]の少なくとも1つにより媒介されうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、Smad 1およびSmad 5の少なくとも1つを介するBMP媒介性細胞シグナル伝達過程の少なくとも1つの態様を抑制しうる。そのような抑制は任意の適切な技術、例えば、細胞に基づく(細胞ベース)アッセイ、例えば、インビトロ細胞ベースアッセイで検出および/または測定されうる。そのような細胞ベースアッセイは、例えば、少なくとも1つのBMP応答要素、例えば、pGL3 BREレポータープラスミドを使用しうる。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体を提供する。そのような複合体は、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドと、少なくとも1つの他の同種もしくは異種ポリペプチドまたは同じTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチドの少なくとも1つの別の分子とを含みうる。そのような多量体ポリペプチド複合体は、例えば、少なくとも4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の単量体ポリペプチドを含有する二量体、三量体またはオリゴマーでありうる。該多量体ポリペプチド複合体においては、該単量体ポリペプチドの少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上)は同一アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されているTWSG-ポリペプチドまたはポリペプチド)を有することが可能であり、あるいは、(例えば、少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性の)高い配列相同性を有しうる。幾つかの実施形態においては、該多量体ポリペプチド複合体は(例えば、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドの2分子を含む)ホモ二量体である。他の実施形態においては、該多量体ポリペプチド複合体は(例えば、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドと、もう1つの異種タンパク質またはポリペプチドとを含む)ヘテロ二量体である。該多量体ポリペプチド複合体における単量体ポリペプチドは、当技術分野で公知の少なくとも1つの共有結合または非共有結合相互作用を介して互いに接触しうる。例えば、そのような単量体ポリペプチドにリンカーを付加して相互作用を促進して、該多量体ポリペプチド複合体を形成させることが可能である。もう1つの非限定的な例においては、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドのFc部分が、少なくとも1つの別の単量体ポリペプチドと相互作用するために使用されうる。幾つかの実施形態においては、2つのTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチド(異なる突然変異、置換、化学修飾などを含む異なるFc部分または同じFc部分を有するもの)が二量体を形成する。そのような二量体はホモ二量体(同じTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドの2分子を使用する場合)またはヘテロ二量体(TWSG部分および/またはFc部分に異なる配列を含む異なる融合タンパク質またはポリペプチドを使用する場合)のいずれかでありうる。他の実施形態においては、(ホモ単量体またはヘテロ単量体としての)複数のTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドが多量体ポリペプチド複合体を形成する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物または製剤を提供する。幾つかの実施形態においては、そのような組成物または製剤は医薬組成物または製剤である。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体と薬学的に許容される担体とを含む組成物または製剤を提供する。幾つかの実施形態においては、そのような組成物または製剤は医薬組成物または製剤である。
他の態様においては、本開示は、ツイスティッド・ガストルレーション(Twisted gastrulation)ポリヌクレオチド、例えば、単離されたTWSGポリヌクレオチドまたは少なくとも部分的に精製されたTWSGポリヌクレオチドを提供する。幾つかの実施形態においては、本開示は、単離された、および少なくとも部分的に精製されたTWSGポリヌクレオチドを提供する。例えば、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。そのようなポリヌクレオチドはDNA、RNAまたはmRNA分子を含みうる。
ある実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号2の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一である核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号2の配列に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号2の配列に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号2の配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号2の配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は配列番号2の核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号2の配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズする。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は、配列番号8の配列に対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であるアミノ酸配列を含むTWSGポリペプチドをコードする。幾つかの実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドは、配列番号8の配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドのTWSG部分は野生型または天然に存在する核酸配列を含む。他の実施形態においては、TWSG部分は、野生型または天然に存在する核酸配列と比較して少なくとも1つの核酸置換を含む。そのような核酸置換は、例えば、潜在的グリコシル化部位を除去するために、例えば、潜在的グリコシル化部位のようなTWSGポリペプチドにおける少なくとも1つのアミノ酸置換をコードしうる。あるいは、そのような核酸置換は、コード化TWSGポリペプチドの生物学的機能および/または相互作用アフィニティに潜在的に影響を及ぼす部位におけるコード化TWSGポリペプチドにおける少なくとも1つのアミノ酸置換をコードしうる。
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているポリヌクレオチドによりコードされるTWSGポリペプチドは、例えばコード化TWSGポリペプチドのN末端に、シグナル配列を含む。他の実施形態においては、コード化TWSGポリペプチドはシグナル配列を含まない。
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているポリヌクレオチドのFc部分は、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号3、4、5、6または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズする。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
幾つかの実施形態においては、本開示において提供するポリヌクレオチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号14の配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズする。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
幾つかの実施形態においては、本開示において提供するポリヌクレオチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号9のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズする。他の実施形態においては、本開示において提供するポリヌクレオチドは、例えば、高度にストリンジェントな条件下、配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズする。そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃〜約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、約0.2×SSC〜約2.0×SSC中、約50℃〜約65℃での少なくとも1回の洗浄を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような高度にストリンジェントな条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含みうる。
幾つかの実施形態においては、本開示のポリヌクレオチドは、TWSG部分およびFc部分の少なくとも1つに関して、野生型または天然に存在する核酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、該ポリヌクレオチドは、野生型または天然に存在する核酸配列と比較して少なくとも1つの核酸置換を含む。そのような核酸置換は、例えば、コードTWSG-Fc融合ポリペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換をコードしうる。例えば、該核酸置換は、例えば、潜在的グリコシル化部位を除去するために、少なくとも1つの潜在的グリコシル化部位における少なくとも1つのアミノ酸置換をコードしうる。あるいは、そのような核酸置換は、コード可能なTWSGまたはFc部分において、そのような部分の生物学的機能および/または相互作用アフィニティに潜在的に影響を及ぼす少なくとも1つの部位における少なくとも1つのアミノ酸置換をコードしうる。幾つかの実施形態においては、そのようなポリヌクレオチドは配列番号14に対する少なくとも1つの核酸置換を含む。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているポリヌクレオチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物または製剤を提供する。幾つかの実施形態においては、そのような組成物または製剤は医薬組成物または製剤である。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された少なくとも1つの調節配列を含むベクターを提供する。幾つかの実施形態においては、ベクターは発現ベクター(例えば、プラスミド)またはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス(AV)ベクターまたは先進的アデノウイルス(AAV)ベクター)である。幾つかの実施形態においては、発現されたTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、本明細書に記載されている多量体ポリペプチド複合体を形成する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているベクターを含む、好ましくは発現する宿主細胞を提供する。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ベクターを発現させることにより宿主細胞内で産生される。幾つかの実施形態においては、そのような宿主細胞において産生されるTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、本明細書に記載されている多量体ポリペプチド複合体を形成する。そのような宿主細胞は、任意の適切な細胞、例えば真核細胞または細菌細胞でありうる。幾つかの実施形態においては、宿主細胞は哺乳類細胞、脊椎動物細胞、酵母細胞または昆虫細胞である。幾つかの実施形態においては、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチド、そのようなTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび宿主細胞の少なくとも1つを含むキットまたは物品を提供する。場合により、該キットまたは物品は、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)に投与するための投与装置(投与デバイス)(例えば、注入装置、注射装置、吸入装置、ネブライザー装置、移植可能な装置など)をも含みうる。場合により、該キットまたは物品は、そのような投与のための説明をも含みうる。幾つかの実施形態においては、産生され投与されたTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、本明細書に記載されている多量体ポリペプチド複合体を形成する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチドおよび/またはTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現または過剰発現するように操作された非ヒト動物を提供する。幾つかの実施形態においては、そのような非ヒト動物は遺伝子操作されている。幾つかの実施形態においては、発現または過剰発現されたTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、そのような非ヒト動物において、本明細書に記載されている多量体ポリペプチド複合体を形成する。
ある態様においては、本開示は、
i)本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む細胞を準備(用意)すること、および
ii)該ポリヌクレオチドによりコードされるTWSG-Fc融合ポリペプチドの発現に適した条件下、該細胞を培養すること、および場合により、
iii)発現されたTWSG-Fc融合ポリペプチドを回収すること
を含む、TWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドの製造方法を提供する。
幾つかの実施形態においては、そのような方法により産生されたTWSG-Fc融合タンパク質またはポリペプチドは、本明細書に記載されている多量体ポリペプチド複合体を形成する。
この場合、細胞培養におけるタンパク質製造の任意の適切な方法が用いられうる。幾つかの実施形態においては、TWSG-Fcを製造するための細胞は、哺乳類細胞、例えばCHO細胞である。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞と細胞、組織または器官を接触させることを含む、細胞、組織または器官におけるBMPシグナル伝達を抑制する方法を提供する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象に投与することを含む、対象において赤血球および/もしくはヘモグロビンレベルを増加させる、または輸血依存(TD)を低減する方法を提供する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象に投与することを含む、対象において鉄レベルを増加させる方法を提供する。幾つかの実施形態においては、対象における鉄レベルの増加は脾臓において生じる。幾つかの実施形態においては、対象における鉄レベルの増加は脾臓において生じるが、他の組織においては生じない。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象に投与することを含む、対象における鉄過剰症の治療方法を提供する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象に投与することを含む、対象における鉄過剰症の予防方法を提供する。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象に投与することを含む、対象におけるBMPシグナル伝達の調節不全の治療方法を提供する。幾つかの実施形態においては、BMPシグナル伝達の調節不全は対象における貧血、脾腫、赤芽球誘発性骨病理、鉄過剰症およびサラセミア症候群の少なくとも1つをもたらす。幾つかの実施形態においては、BMPシグナル伝達の調節不全は対象における無効赤血球生成をもたらす。幾つかの実施形態においては、BMPシグナル伝達の調節不全の治療は対象における無効赤血球生成の治療をもたらす。幾つかの実施形態においては、BMPシグナル伝達の調節不全の治療は貧血、脾腫、赤芽球誘発性骨病理、鉄過剰症およびサラセミア症候群の少なくとも1つの治療をもたらす。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、多量体ポリペプチド複合体、ポリヌクレオチド、組成物、ベクターおよび/または宿主細胞を対象に投与することを含む、対象における貧血の治療方法を提供する。
ある態様においては、本開示は、ツイスティッド・ガストルレーション(Twisted Gastrulation)(TWSG)ポリペプチドとフラグメント結晶化可能領域(Fc)ポリペプチドとを含む融合タンパク質、またはそのような融合タンパク質を含む多量体ポリペプチド複合体を対象に投与することを含む、対象における貧血の治療方法を提供する。幾つかの実施形態においては、そのような融合タンパク質は配列番号9の配列を含む。他の実施形態においては、そのような融合タンパク質は配列番号13の配列を含む。
ある態様においては、本開示は、ツイスティッド・ガストルレーション(Twisted Gastrulation)(TWSG)ポリペプチドとフラグメント結晶化可能領域(Fc)ポリペプチドとを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを対象に投与することを含む、対象における貧血の治療方法を提供する。例えば、そのようなポリヌクレオチドは配列番号14の配列を含みうる。幾つかの実施形態においては、そのような融合タンパク質は配列番号9の配列を含む。他の実施形態においては、そのような融合タンパク質は配列番号13の配列を含む。非限定的な例においては、そのような融合タンパク質は、本明細書に記載されている多量体ポリペプチド複合体を対象において形成する。
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている貧血は遺伝性貧血、後天性貧血、慢性疾患または炎症の貧血、赤血球異形成貧血(I型およびII型)、鎌状赤血球貧血、遺伝性球状赤血球症、ピルビン酸キナーゼ欠乏関連貧血または巨赤芽球性貧血を含む。貧血は、本開示に記載されている任意の貧血関連疾患または障害でありうる。
本明細書に記載されている治療方法における投与には、任意の適切な方法が用いられうる。例えば、投与は局所経路、経腸経路および非経口経路の少なくとも1つによるものでありうる。幾つかの実施形態においては、投与は経口経路および鼻腔内経路の少なくとも1つによるものである。他の実施形態においては、投与は静脈内経路、皮下経路、動脈内経路、腹腔内経路および筋肉内経路の少なくとも1つによるものである。
ある態様においては、本開示は、本明細書に記載されるように、第2の薬剤または第2の治療行為を共に投与若しくは実施することを更に含む、本明細書に記載されている治療方法を提供する。そのような第2の薬剤は、例えば、EPOまたはそのアゴニストもしくは類似体(アナログ)、あるいは別のBMPアンタゴニストでありうる。そのような第2の治療行為は、例えば輸血でありうる。
ある態様においては、本開示は、対象におけるBMPシグナル伝達の抑制、赤血球および/またはヘモグロビンレベルの増加、輸血依存(TD)の低減、鉄レベルの増加、鉄過剰症の治療または予防、あるいはBMPシグナル伝達の調節不全の治療のための、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのようなポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび/またはそのようなベクターを発現する宿主細胞を提供する。
1つの態様においては、本開示は、対象における貧血の治療のための、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのようなポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび/またはそのようなベクターを発現する宿主細胞を提供する。
ある態様においては、本開示は、対象におけるBMPシグナル伝達の抑制、赤血球および/またはヘモグロビンレベルの増加、輸血依存(TD)の低減、鉄レベルの増加、鉄過剰症の治療または予防、あるいはBMPシグナル伝達の調節不全の治療のための、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのようなポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび/またはそのようなベクターを発現する宿主細胞の使用を提供する。
1つの態様においては、本開示は、対象における貧血の治療のための、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのようなポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび/またはそのようなベクターを発現する宿主細胞の使用を提供する。
ある態様においては、本開示は、対象におけるBMPシグナル伝達の抑制、赤血球および/またはヘモグロビンレベルの増加、輸血依存(TD)の低減、鉄レベルの増加、鉄過剰症の治療または予防、あるいはBMPシグナル伝達の調節不全の治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのようなポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび/またはそのようなベクターを発現する宿主細胞の使用を提供する。
1つの態様においては、本開示は、対象における貧血の治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載されているTWSG-Fc融合タンパク質もしくはポリペプチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのような融合タンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのようなポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび/またはそのようなベクターを発現する宿主細胞の使用を提供する。
本明細書に記載されている種々の方法および使用の対象は、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
図1は、プロセシングされたヒトTWSGのアミノ酸配列(配列番号8)を示す。点線の下線は潜在的なN-グリコシル化部位を示す。 図2は、プロセシングされたヒトTWSG-Fcのアミノ酸配列(配列番号9)を示す。実線の下線はTWSG部分とFc部分との間のリンカーを示す。 図3は、プロセシングされていないヒトTWSG-Fcのアミノ酸配列(配列番号13)を示す。実線の下線はTWSG-FcのN末端のシグナル配列、およびTWSG部分とFc部分との間のリンカーを示す。 図4は、プロセシングされていないヒトTWSG-Fcをコードするヌクレオチド配列(配列番号14)を示す。 図5は、マウスにおける循環鉄濃度に対する、ビヒクル対照と比較した場合のヒトTWSG-Fcの効果を示す。ビヒクルと比較して、TWSG-Fcでの野生型マウスの1週間の処置は血清鉄を12%増加させた。データは平均値±SEM(n = 5/群; ** P <0.01)である。 図6は、ペルルス(Perls)のプルシアンブルー染色を用いた顕微鏡検査により決定された、マウス脾臓における鉄蓄積に対する、ビヒクル対照(左パネル)と比較した場合のヒトTWSG-Fc(「TWSG-G1Fc」と表示: 右パネル)の効果を示す。TWSG-Fcで4週間処置された野生型マウスからの脾臓切片は、赤脾髄として公知の活性赤血球生成の領域にわたって広がる鉄反応産物の多数の沈着物を含有していた(右パネル)。ビヒクル処置マウスからの脾臓切片には染色はほとんどまたは全く存在していなかった(左パネル)。倍率, 200倍。 図7は、マウスにおけるRBC数(図7A)およびヘモグロビン濃度(図7B)に対する、ビヒクル対照と比較した場合のヒトTWSG-Fc(「TWSG-G1Fc」と表示)の効果を示す。ビヒクルと比較して、TWSG-Fcでの野生型マウスの4週間の処置はRBC数を15%増加させ(A)、ヘモグロビン濃度を12%増加させた(B)。データは平均値±SEM(n = 5/群; ** P <0.01, *** P <0.001)である。
発明の詳細な説明
1.概要
部分的には、本開示は、動物における鉄利用能ならびに赤血球および/またはヘモグロビンレベルの増加を促進するための新規のTWSGポリペプチドを提供する。TWSGは、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、増殖分化因子(GDF)およびアクチビン/インヒビンをも含むスーパーファミリーにおけるリガンドの主要群である或る骨形成タンパク質(BMP)によるシグナル伝達を調節する分泌タンパク質である。このスーパーファミリーは、共通の配列要素および構造モチーフを共有する種々の増殖因子を含む。これらのタンパク質は、脊椎動物および無脊椎動物の両方において、胚形成中および生後に多種多様な細胞型に生物学的作用をもたらすことが公知である。該スーパーファミリーのメンバーはパターン形成および組織特異化において胚発生中に重要な機能を果たし、脂肪生成、筋形成、軟骨形成、心臓形成、造血、神経形成および上皮細胞分化を含む種々の分化過程に影響を及ぼしうる。TGF-βファミリーのメンバーの活性を操作することにより、生物における有意な生理的変化を引き起こすことがしばしば可能である。例えば、ピエジモンテセ(Piedimontese)およびベルジアンブルー(Belgian Blue)畜牛種は、ミオスタチン(MSTN; GDF8とも称される)をコードする遺伝子に機能喪失突然変異を含有し、これは筋肉量の顕著な増加を引き起こす。Grobetら, Nat Genet. 1997, 17(1):71-4。更に、ヒトにおいては、MSTNの不活性対立遺伝子は筋肉量の増加に関連しており、並外れた強度に関連していると報告されている。Schuelkeら, N Engl J Med 2004, 350:2682-8。
TGF-βスーパーファミリーシグナル伝達はI型およびII型セリン/トレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体により媒介され、これはリガンド刺激時に下流Smadタンパク質をリン酸化し、活性化する(Massague, 2000, Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 1:169-178)。これらのI型およびII型受容体は、システインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび推定セリン/スレオニン特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。リガンド結合はI型およびII型受容体のヘテロマー複合体の形成、II型受容体によるI型受容体のリン酸化を誘発し、ついでSmad 1/5/8またはSmad 2/3転写因子の活性化を誘発し、ついでこれは、遺伝子発現を調節するように核内で作用する。
ツイスティッド・ガストルレーション(Twisted gastrulation)(哺乳類ではTWSGまたはTWSと、そして非哺乳類ではTsgと略称され、本開示においては「TWSG」と総称される)は、特にショウジョウバエ(Drosophila)およびカエル(Xenopus)の研究(Masonら, 1994, Genes Dev 8:1489-1501; Grafら, 2001, Mamm Genome 12:554-560; Zakinら, 2010, Curr Biol 20:R89-92)に基づけば、胚形成中のBMPシグナル伝達の重要な調節因子として関与する高度に保存された分泌タンパク質である。TWSGは、しばしば、BMPシグナル伝達に拮抗する能力を共有する多様な細胞外タンパク質群に分類される(Avsian-Kretchmerら, 2004, Mol Endocrinol 18:1-12; Gazzerroら, 2006, Rev Endocr Metab Disord 7:51-65; Walshら, 2010, Trends Cell Biol 20:244-256)。しかし、胚形成研究は、直接的BMP結合およびコーディンのような他のタンパク質との相互作用が関わる状況依存的様態でTWSG/TsgがBMPシグナル伝達を促進(Oelgeschlagerら, 2000, Nature 405:757-763; Littleら, 2004, Development 131:5825-5835; Xieら, 2004, Development 132:383-391)または抑制(Scottら, 2001, Nature 410:475-478; Rossら, 2001, Nature 410:479-483; Changら, 2001, Nature 410:483-487)しうることを示している(Larrainら, 2001, Development 128:4439-4447)。コーディンのレベルが低い場合、BMPとのTWSG/Tsgの二成分複合体は、リガンド溶解度を維持することにより、BMPシグナル伝達を許容すると考えられている(De Robertisら, 2000, Nat Rev Genet 1:171-181; Zakinら, 2010, Curr Biol
20:R89-92; Riderら, 2010, Biochem J 429:1-12)。現在のところ、TWSG/Tsgに結合することが示されている特異的リガンドはBMP2、BMP4およびBMP7である(Oelgeschlagerら, 2000, Nature 405:757-763; Changら, 2001, Nature 410:483-487; Zakinら, 2005, Development 132:2489-2499)。
TGFβスーパーファミリー内の他のリガンドと同様に、BMPは特徴的なシステインノットモチーフを含有し、より大きなN末端プロドメインを含有する前駆体分子として分泌され、該N末端プロドメインはタンパク質切断により除去されて、成熟二量体リガンドが生じる(Harrisonら, Growth Factors 29:174, 2011; Shiら, Nature 474:343, 2011)。BMPは、当初は、骨形成を誘発するそれらの一般的に共有されている能力にちなんで命名されていたが(Chengら, 2003, J Bone Joint Surg Am 85-A:1544-1552)、現在は、初期の胚形成において決定的に重要な役割を果たし、後の発生段階において広範な生物活性を示すと認識されている(Hoganら, 1996, Genes Dev 10:1580-1594; Gazzerroら, 2006, Rev Endocr Metab Disord 7:51-65)。
マウスにおける遺伝子ノックアウト研究は、他のBMPが有効に代替し得ない、哺乳動物における個々のBMPの発生的および/または生理的役割を特定するのに重要となっている(Changら, 2002, Endocr Rev 23:787-823)。BMP2およびBMP4は密接に関連しており、いずれかの遺伝子の全体的な機能喪失はマウスにおいて初期の胚致死を引き起こす(Winnierら, 1995, Genes Dev 9:2105-2116; Zhangら, 1996, Development 122:2977-2986)。BMP2/BMP4複合突然変異マウスでの研究は、骨格、心臓、眼、腹側体壁および胎盤を含む複数の器官系の発生におけるBMP2の機能を明らかにしている(Goldmanら, 2009, Mech Develop 126:117-127)。BMP2、BMP4、BMP7および密接に関連しているBMP6は全て、骨形成を刺激しうるが(Chengら, 2003, J Bone Joint Surg Am 85-A:1544-1552)、これらの個々の遺伝子の条件付き除去は、顕著に異なる結果をもたらす。胚肢芽におけるBMP2およびBMP4の条件付きノックアウトの組合せは骨形成の重度障害を引き起こす(Bandyopadhyayら, 2006, PLOS Genet 2:e216)。四肢骨におけるBMP2の条件付きノックアウトはマウスにおける特発骨折を引き起こし、骨折治癒におけるBMP2の必須の役割を示し(Tsujiら, 2006, Nat Genet 38:1424-1429)、一方、BMP7の条件付きノックアウトは出生後の肢成長にも骨量の維持にも影響を及ぼさず、したがって、このことは、成人の骨に存在する他の要因がその欠如を補いうることを示している(Tsujiら, 2010, J Orthop Res 28:384-389)。内因性TWSGはマウスにおける骨破壊促進性BMP2シグナル伝達の負の調節因子として関連づけられている(Phamら, 2011, J Cell Biochem 112:793-803)。BMP2は骨発生中の軟骨形成においても決定的に重要な役割を果たしているが、BMP4はそうではない(Shuら, 2011, J Cell Sci 124:3428-3440)。最後に、マウスにおけるBMP6の除去は重大な骨格欠損を引き起こさないが(Sollowayら, 1998, Dev Genet 22:321-339)、骨膜骨形成におけるBMP6の非重複的役割と合致して、骨形態計測を変化させる(Perryら, 2008, Bone 42:216-225)。
重要なことに、BMP4およびBMP6は出生後の赤血球生成および/または鉄恒常性に関与している。体は、鉄レベルを調節するための洗練されたメカニズムを進化させている。なぜなら、食事性鉄は信頼できるものではなく、低い血漿鉄レベルは赤血球前駆体によるヘモグロビン合成および鉄吸収を制限して貧血を引き起こすからである。一方、鉄の過剰蓄積(鉄過剰)は、部分的には活性酸素種の生成により、細胞および組織への損傷を引き起こす(Fibachら, 2008, Curr Mol Med 8:609-619)。肝臓ペプチドホルモンであるヘプシジンは、現在、鉄恒常性の主要調節因子であると広くみなされている。なぜなら、それは、鉄吸収性腸細胞、鉄リサイクル性マクロファージおよび鉄貯蔵性肝細胞の表面上に存在する鉄輸送タンパク質フェロポーチンの分解を促進しうるからである(Ganzら, 2012, Biochim Biophys Acta 1823:1434-1443)。マウスにおいては、BMP6およびその共受容体ヘモジュベリン[ヘモクロマトーシス2型遺伝子(HFE2)によりコードされ、リパルシブ・ガイダンス(repulsive guidance)分子C(RGMc)としても公知である]は正常な鉄恒常性に不可欠である。なぜなら、それらの喪失は鉄負荷に対するヘプシジン応答を妨げるからである(Niederkoflerら, 2005, J Clin Invest 115:2180-2186; Babittら, 2006, Nat Genet 38:531-539; Camaschella, 2009, Nat Genet 41:386-388; Meynardら, 2009, Nat Genet 41:478-481; Andriopoulosら, 2009, Nat Genet 41:482-487)。BMP2、BMP4、BMP7およびBMP9を含む他のBMPはインビトロでヘプシジン発現を刺激しうるが(Xiaら, 2008, Blood 111:5195-5204)、それらの生理学的関連性は確立されていない(Ganzら, 2012, Biochim Biophys Acta 1823:1434-1443)。
鉄恒常性におけるBMP6の関与に加えて、BMP4はマウスにおけるストレス-赤血球生成経路における重要なリガンドとして関与しており、それは急性および慢性貧血に応答して代償性赤血球生成の誘導をもたらす(Paulsonら, 2011, Curr Opin Hematol 18:139-145)。このストレス-赤血球生成経路は定常状態の赤血球生成とは異なり、マウスの胎児肝臓、成体肝臓および成体脾臓において生じる。この経路においては、BMP4は急性貧血刺激に応答して特殊なストレス-赤血球前駆体の集団の拡大を促進すると考えられており、したがって、BMP4シグナル伝達の抑制自体がストレス-赤血球生成応答を遮断し、貧血治療において逆効果となると予想される。
TWSGに結合することが示されている特定のBMPは、それらが受容体へテロ二量体のどの組合せを用いるかにおいて制限される。BMP2およびBMP4はI型受容体アクチビン受容体様キナーゼ-3(ALK3またはBMPRIA)およびALK6(BMPRIB)を介して、そしてII型受容体BMP受容体II型(BMPRII)、アクチビン受容体IIA型(ActRIIAまたはACVR2A)およびアクチビン受容体IIB型(ActRIIBまたはACVR2B)を介してシグナルを伝達する(Muellerら, 2012, FEBS Lett 586:1846-1859)。これらの受容体を含有するヘテロマー複合体に加えて、BMP6およびBMP7は、ALK2(ActRIAまたはACVR1)を含む組合せを介してシグナルを伝達しうる。ヘテロマー受容体複合体のリガンド誘発形成に際して、ALK2、ALK3およびALK6は典型的には細胞内エフェクターのSmad 1/5/8サブファミリーを活性化して、遺伝子発現を調節する(Miyazonoら, 2010, J Biochem 147:35-51)。
本明細書に示されているとおり、TWSGポリペプチドは、あるBMPによるシグナル伝達を選択的に抑制し、意外にも、インビボでマウスにおける赤血球レベルを増加させ、インビボでの全身鉄利用能に有益な効果をもたらし、これは赤血球生成のその促進を支持する。TWSGポリペプチドの効果は、炎症性貧血(慢性疾患貧血としても公知である)を治療するのに特に有用である可能性があり、それは、炎症過程がヘプシジン発現を増強し、それにより、赤血球生成のための鉄利用能を制限する場合に生じる。赤血球生成は、EPO、G-CSFおよび鉄恒常性を含む種々の要因により調節される複雑な過程であることに注目すべきである。「赤血球レベルを増加させる」および「赤血球生成を促進する」なる語は、ヘマトクリット値、赤血球数およびヘモグロビン測定値のような臨床的に観察可能な測定基準を意味し、そのような変化が生じるメカニズムに関しては中立的であると意図される。
本明細書中で用いる用語は一般に、本発明の文脈内および各用語が用いられる具体的な文脈内で、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。本発明の組成物および方法ならびにそれらの製造および使用方法における追加的な指針を実施者に提供するために、後記および本明細書中の他の箇所において、ある用語を説明する。用語のいずれかの使用の範囲または意味は、該用語が使用される具体的な文脈から明らかであろう。
「相同性」は、全てのその文法的形態および綴りの変形において、同じ生物種におけるスーパーファミリーからのタンパク質および異なる生物種からの相同タンパク質を含む、「共通の進化起源」を有する2つのタンパク質の間の関係を意味する。そのようなタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、同一性の割合(%)に関するものを含む配列類似性により、または特定の残基もしくはモチーフおよび保存位置の存在により表される配列相同性を有する。「配列類似性」なる語は、全てのその文法的形態において、共通の進化起源を共有していても共有していなくてもよい複数の核酸またはアミノ酸配列の間の同一性または対応の度合を意味する。しかし、一般的な用法および本出願においては、「高度に」のような副詞で修飾された場合の「相同」なる語は配列類似性を指すことがあり、一般的な進化的起源に関連してもしなくてもよい。
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に関する「配列同一性(%)」は、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列内のアミノ酸配列(または核酸)と同一である、候補配列内のアミノ酸残基(または核酸)の百分率として定義され、この場合、それらの配列をアライメントさせ、最大配列同一性(%)が得られるように必要に応じてギャップを導入した後で同一性が決定され、配列同一性の一部としていずれの保存的置換をも考慮しない。アミノ酸配列同一性(%)を決定するためのアライメントは当技術分野の技量の範囲内の種々の方法で達成可能であり、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成可能である。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントさせるための適切なパラメータを決定することが可能である。しかし、本発明の目的においては、アミノ酸(核酸)配列同一性(%)は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムはGenentech, Inc.により作成され、そのソースコードは米国著作権局(U.S. Copyright Office, Washington D.C., 20559)にユーザー文書と共に提出されており、それは米国著作権局において米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムはGenentech, Inc., South San Francisco, Calif.から公的に入手可能であり、あるいは該ソースコードからコンパイルされうる。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX (登録商標) V4.0Dを含むUNIX (登録商標) オペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータはALIGN-2プログラムにより設定され、変動しない。
本明細書および特許請求の範囲の全体において数値に関して用いられる「約」および「およそ」なる語は、当業者によく知られ許容される精度区間(interval of accuracy)を意味する。一般に、そのような精度区間は±10%である。あるいは、特に生物学的系においては、「約」および「およそ」なる語は、与えられた値の一桁(10倍)以内、好ましくは5倍以下、より好ましくは2倍以下である値を意味しうる。
本明細書に開示されている数値範囲は、その範囲を定める数を含む。
単数形の語は、その語が用いられている文脈に明らかに矛盾しない限り、複数対象物を含む。単数形ならびに「1以上」および「少なくとも1つ」なる語は本明細書においては互換的に用いられうる。更に、本明細書中で用いられる場合の「および/または」は、2以上の特定されている特徴または成分のそれぞれの、その他のものを伴う又は伴わない具体的な開示とみなされるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」のような句において用いる「および/または」なる語は「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むと意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」のような句において用いる「および/または」なる語は以下の態様のそれぞれを含むと意図される:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
本明細書の全体において、「含む」、または「含み」もしくは「含んで」のような変形は、示されている整数または整数群の包含を意味するが、いずれかの他の整数または整数群の除外を意味しないと理解される。
2.TWSGポリペプチド
ある態様においては、本発明は、例えば、野生型TWSGポリペプチドの断片、機能的変異体および修飾型を含むTWSGポリペプチド、例えば可溶性TWSGポリペプチドに関する。ある実施形態においては、TWSGポリペプチドは、対応野生型TWSGポリペプチドと同じ又は少なくとも1つの類似した生物学的活性を有する。例えば、本発明のTWSGポリペプチドはBMPリガンド(例えば、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7またはBMP9)に結合し、その機能を抑制しうる。場合によっては、TWSGポリペプチドは鉄利用性、赤血球数および/または循環ヘモグロビン濃度を増加させる。TWSGポリペプチドの例には、1以上の配列変異を有するヒトTWSG前駆体ポリペプチド(配列番号1)、および1以上の配列変異を有する可溶性ヒトTWSGポリペプチド(例えば、配列番号8、9および13)が含まれる。
本明細書中で用いる「TWSG」なる語は、任意の種からのツイスティッド・ガストルレーション(twisted gastrulation)タンパク質、および突然変異誘発または他の修飾によりそのようなTWSGタンパク質から誘導された変異体を意味する。本明細書におけるTWSGに対する言及は、現在特定されている形態のいずれかに対する言及であると理解される。TWSGファミリーのメンバーは、BMP結合に必須のN末端ドメインと、コーディンおよび他のタンパク質と相互作用するC末端ドメインとから構成される分泌タンパク質である。成熟天然ヒトTWSGのアミノ酸配列(配列番号8)を図1に示す。
「TWSGポリペプチド」なる語は、TWSGファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドおよび有用な活性を保有するその任意の変異体(突然変異体、断片、融合体およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。例えば、TWSGポリペプチドには、TWSGポリペプチドの配列に対して少なくとも約80%同一である、場合により少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を有する任意の公知TWSGの配列に由来するポリペプチドが含まれる。例えば、TWSGポリペプチドは、BMPおよび/またはTGFβスーパーファミリー内の他のリガンドに結合し、その機能を抑制しうる。TWSGポリペプチドは、インビボで赤血球形成を促進する活性に関して選択されうる。TWSGポリペプチドの例には、ヒトTWSG前駆体ポリペプチド(配列番号1)および可溶性ヒトTWSGポリペプチド(例えば、配列番号8、9および13)が含まれる。本明細書中に記載されている全てのTWSGポリペプチドに関するアミノ酸の番号付けは、特に示されていない限り、配列番号1に関する番号付けに基づく。
ヒトTWSG前駆体配列(NCBI参照配列NP 065699.1)は以下のとおりである。
リーダー(シグナル)配列および3つの潜在的N結合型グリコシル化部位が下線で示されている。
ヒトTWSG前駆体をコードするヌクレオチド配列(NCBI参照配列NM 020648.5のヌクレオチド192〜860)は以下のとおりである。
幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、TWSGタンパク質に加えて、シグナル配列を含む。シグナル配列はTWSGタンパク質の天然シグナル配列、または組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)シグナル配列もしくはミツバチメリチン(HBM)シグナル配列のような他のタンパク質からのシグナル配列でありうる。
TWSGは、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、イヌ、ウシ、マウス、ラット、ニワトリ、ゼブラフィッシュおよびカエルを含む脊椎動物にわたってアミノ酸配列が高度に保存されている。例えば、をOelgeschlagerら, 2000, Nature 405:757-763参照されたい。TWSGに結合するリガンドも高度に保存されている。したがって、種々の脊椎動物からのTWSG配列の比較は改変可能な残基に対する洞察をもたらす。したがって、活性変異体ヒトTWSGポリペプチドは別の脊椎動物TWSGポリペプチドの配列からの1以上のアミノ酸を対応位置に含むことが可能であり、あるいは、ヒトまたは他の脊椎動物配列におけるものに類似した残基を含むことが可能である。
ある実施形態においては、TWSGポリペプチドの単離された断片は、TWSGポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号2および14)の対応断片から組換え的に産生されたポリペプチドをスクリーニングすることにより得られうる。また、断片は、当技術分野において公知の技術、例えば、通常のメリフィールド(Merrifield)固相f-Mocまたはt-Boc化学法を用いて化学合成されうる。断片を(組換え的に、または化学合成により)製造し、試験して、例えば、TWSGポリペプチドまたはTWSGポリペプチドリガンドのアンタゴニスト(インヒビター)またはアゴニスト(アクチベーター)として機能しうるペプチジル断片を特定することが可能である。
ある実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号1、8、9または13から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を有する変異体である。ある場合においては、TWSGポリペプチドは、配列番号1、8、9または13から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を有する。ある実施形態においては、TWSGポリペプチドは、配列番号1、8、9または13から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる。
ある実施形態においては、本発明は、治療効力または安定性(例えば、エクスビボ有効期間およびインビボでのタンパク質分解に対する耐性)を増強するなどの目的で、TWSGポリペプチドの構造を改変することにより、機能的変異体を製造することを想定している。TWSGポリペプチドはアミノ酸置換、欠失または付加によっても製造されうる。例えば、ロイシンからイソロイシンもしくはバリンへの、またはアスパラギン酸によるグルタミン酸への、またはトレオニンからセリンへの単独の置換、あるいは、構造的に関連したアミノ酸によるアミノ酸の類似置換(例えば、保存的突然変異)は、生じる分子の生物活性に大きな影響を及ぼさないであろう。保存的置換は、側鎖において関連しているアミノ酸のファミリー内で生じるものである。TWSGポリペプチドのアミノ酸配列における変化が機能的変異体を与えるかどうかは、野生型TWSGポリペプチドと比較してTWSGポリペプチドが細胞内で応答を起こす能力、または野生型TWSGポリペプチドと比較してTWSGポリペプチドが1以上のリガンド、例えばBMP2、BMP4、BMP6、BMP7またはBMP9に結合する能力を評価することによって容易に決定されうる。
ある特定の実施形態においては、本発明は、改変したリガンド結合活性(例えば、結合アフィニティまたは結合特異性)をTWSGポリペプチドが有するようにTWSGポリペプチドにおいて突然変異を生じさせることを想定している。ある場合においては、そのようなTWSGポリペプチドは、特異的リガンドに対する、改変(上昇または低下)した結合アフィニティを有する。他の場合において、TWSGポリペプチドは、TWSGリガンドに対する、改変した結合特異性を有する。
ある実施形態においては、本発明は、TWSGポリペプチドのグリコシル化を改変するために、TWSGにおいて特定の突然変異を有するTWSGポリペプチドを想定している。TWSGポリペプチドにおける例示的なグリコシル化部位を図1に示す(例えば、下線付きのNX(S/T)部位)。そのような突然変異は、1以上のグリコシル化部位、例えばO結合またはN結合グリコシル化部位が導入または除去されるように選択されうる。アスパラギン結合グリコシル化認識部位は一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列であるアスパラギン-X-トレオニン(ここで、「X」は任意のアミノ酸である)を含む。該改変は(O結合グリコシル化部位に関しては)野生型TWSGポリペプチドの配列に対する1以上のセリンまたはスレオニン残基の付加または該残基での置換によっても行われうる。グリコシル化認識部位の第1または第3アミノ酸位置の一方または両方における種々のアミノ酸置換または欠失(および/または第2の位置におけるアミノ酸欠失)は修飾トリペプチド配列における非グリコシル化をもたらす。TWSGポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させるもう1つの手段はTWSGポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによるものである。用いるカップリング方法に応じて、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えばシステインのもの、(d)遊離ヒドロキシル基、例えばセリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンのもの、(e)芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのもの、あるいは(f)グルタミンのアミド基に糖が結合しうる。これらの方法はWO 87/05330ならびにAplinおよびWriston (1981) CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306(これらを参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。TWSGポリペプチド上に存在する1以上の炭水化物部分の除去は化学的および/または酵素的に達成されうる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等化合物へのTWSGポリペプチドの曝露を含みうる。この処理は、アミノ酸配列を無傷なままで、結合糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)以外のほとんど又は全ての糖の切断をもたらす。化学的脱グリコシル化は更に、Hakimuddinら (1987) Arch. Biochem. Biophys. 259:52およびEdgeら (1981) Anal. Biochem. 118:131に記載されている。TWSGポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら (1987) Meth. Enzymol. 138:350に記載されているとおり、種々のエンド-およびエキソ-グリコシダーゼの使用により達成されうる。TWSGポリペプチドの配列は、使用される発現系のタイプに応じて適宜調節されうる。なぜなら、哺乳動物、酵母、昆虫および植物細胞は全て、ペプチドのアミノ酸配列によって影響されうる異なるグリコシル化パターンを導入しうるからである。一般に、ヒトにおいて使用されるTWSGポリペプチドは、適切なグリコシル化をもたらす哺乳類細胞株、例えばHEK293またはCHO細胞株において発現されるが、他の哺乳類発現細胞株も有用であると予想される。
本開示は更に、TWSGポリペプチドの変異体、特に組合せ変異体(場合により、トランケート化変異体を含む)のセットの製造方法を想定しており、組合せ突然変異体のプールは、TWSGポリペプチド配列を特定するのに特に有用である。そのような組合せ(コンビナトリアル)ライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、改変した特性、例えば、改変した薬物動態または改変したリガンド結合を有するTWSGポリペプチド変異体を製造することでありうる。種々のスクリーニングアッセイを後記において提供し、そのようなアッセイは、変異体を評価するために使用されうる。例えば、TWSGポリペプチド変異体は、TWSGポリペプチドに結合する能力、TWSGポリペプチドへのTWSGリガンドの結合を妨げる能力、またはTWSGリガンドにより引き起こされるシグナル伝達を妨げる能力に関してスクリーニングされうる。
TWSGポリペプチドまたはその変異体の活性は、細胞に基づくアッセイまたはインビボアッセイにおいても試験されうる。例えば、造血に関与する遺伝子の発現に対するTWSGポリペプチド変異体の効果が評価されうる。これは、必要に応じて、1以上の組換えTWSGリガンドタンパク質(例えば、BMP6)の存在下で行われることが可能であり、細胞は、TWSGポリペプチドおよび/またはその変異体、そして場合によりTWSGリガンドが産生されるようにトランスフェクトされうる。同様に、TWSGポリペプチドはマウスまたは他の動物に投与されることが可能であり、1以上の血液測定値、例えばRBC数、ヘモグロビンレベル、ヘマトクリットレベル、鉄貯蔵または網状赤血球数が、当技術分野で認められた方法を用いて評価されうる。
参照TWSGポリペプチドに対する選択的効力を有する組合せ(コンビナトリアル)由来の変異体が作製されうる。そのような変異体タンパク質は、組換えDNA構築物から発現されると、遺伝子治療法において使用されうる。同様に、突然変異誘発は、対応未修飾TWSGポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する変異体を与えうる。例えば、改変タンパク質は、タンパク質分解、または未修飾TWSGポリペプチドの破壊もしくは不活性化をもたらす他の過程に対して、より安定またはより不安定にされうる。そのような変異体およびそれらをコードする遺伝子は、TWSGポリペプチドの半減期を調節することによりTWSGポリペプチドレベルを改変するために利用されうる。例えば、短い半減期はより一過性の生物学的効果をもたらすことが可能であり、誘導性発現系の一部の場合には、細胞内の組換えTWSGポリペプチドレベルのより厳密な制御を可能にしうる。Fc融合タンパク質においては、タンパク質の半減期を改変するために、リンカー(存在する場合)および/またはFc部分において突然変異が施されうる。
ある実施形態においては、本発明のTWSGポリペプチドは、TWSGポリペプチドに天然に存在するものに加えて、翻訳後修飾を更に含みうる。そのような修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。結果として、TWSGポリペプチドは、非アミノ酸要素、例えばポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖およびホスファートを含みうる。TWSGポリペプチドの機能に対するそのような非アミノ酸要素の効果は、他のTWSGポリペプチド変異体に関して本明細書に記載されているとおりに試験されうる。TWSGポリペプチドが、TWSGポリペプチドの新生形態を切断することにより細胞内で産生された場合、該タンパク質の適切なフォールディングおよび/または機能のためには翻訳後プロセシングも重要でありうる。種々の細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3またはHEK293)はそのような翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的メカニズムを有し、TWSGポリペプチドの適切な修飾およびプロセシングが保証されるように選択されうる。
ある態様においては、TWSGポリペプチドには、TWSGポリペプチドの少なくとも一部と1以上の融合ドメインとを有する融合タンパク質が含まれる。そのような融合ドメインのよく知られた例には、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(例えば、Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)またはヒト血清アルブミンが含まれるが、これらに限定されるものではない。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択されうる。例えば、幾つかの融合ドメインはアフィニティクロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティ精製の目的には、アフィニティクロマトグラフィーのための適切なマトリックス、例えばグルタチオン-、アミラーゼ-、およびニッケル-またはコバルト-共役樹脂が使用される。そのようなマトリックスの多くは、(HIS6)(配列番号22)融合パートナーを使用した場合に有用であるファルマシア(Pharmacia)GST精製系およびQIAexpress(商標)系(Qiagen)のように、「キット」の形態の入手可能である。もう1つの例としては、融合ドメインは、TWSGポリペプチドの検出が容易になるように選択されうる。そのような検出ドメインの例には、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)および「エピトープタグ」(これは、通常、特異的抗体が利用可能な短いペプチド配列である)が含まれる。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能であるよく知られたエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)およびc-mycタグが含まれる。幾つかの場合においては、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンのような関連プロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化して、そこから組換えタンパク質を遊離させることを可能にするプロテアーゼ切断部位を有する。ついで、遊離タンパク質は後のクロマトグラフィー分離により融合ドメインから単離されうる。
ある好ましい実施形態においては、TWSGポリペプチドは、インビボでTWSGポリペプチドを安定化させるドメイン(「安定化」ドメイン)に融合される。「安定化」は、血清半減期を増加させるあらゆるものを意味し、これが破壊の低減によるものなのか、または腎臓によるクリアランスの減少によるものなのか、または他の薬物動態学的効果によるものなのかには無関係である。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範なタンパク質に所望の薬物動態特性を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は所望の特性をもたらしうる。選択されうる他のタイプの融合ドメインには、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能的ドメイン(追加的な生物学的機能、例えば赤血球レベルの更なる増加をもたらすもの)が含まれる。
具体例として、本開示は、免疫グロブリンの定常ドメイン、例えば免疫グロブリンのCH1、CH2もしくはCH3ドメインまたはFcドメインを含むポリペプチドに融合したTWSGポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に由来するFcドメインがここで提供される。CDCまたはADCC活性のいずれかを低下させる他の突然変異が公知であり、一括して、これらの変異体の全てが本開示に含まれ、本開示のヘテロ多量体複合体の有利な成分として使用されうる。場合により、配列番号3のIgG1 FcドメインはAsp-265、Lys-322およびAsn-434(対応する全長IgG1に基づいて番号付けされている)のような残基に1以上の突然変異を有する。ある場合においては、これらの突然変異の1以上を有する突然変異Fcドメイン(例えば、Asp-265突然変異)は、野生型Fcドメインと比較して低下した、Fcγ受容体への結合能を有する。他の場合においては、これらの突然変異の1以上(例えば、Asn-434突然変異)を有する突然変異Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して増強した、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)への結合能を有する。
ヒトIgG1のFc部分(G1Fc)に使用されうる天然アミノ酸配列の一例を以下に示す(配列番号3)。点線の下線はヒンジ領域を示し、実線の下線は、天然に存在する変異体を伴う位置を示す。部分的には、本開示は、配列番号3に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。G1Fcにおける天然に存在する変異体は、配列番号3において用いられている番号付けに基づけば、E134DおよびM136Lを含むであろう(Uniprot P01857を参照されたい)。
ヒトIgG2のFc部分(G2Fc)に使用されうる天然アミノ酸配列の一例を以下に示す(配列番号4)。点線の下線はヒンジ領域を示し、二重下線は、配列においてデータベースの矛盾が存在する位置を示す(UniProt P01859に基づく)。部分的には、本開示は、配列番号4に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
ヒトIgG3のFc部分(G3Fc)に使用されうるアミノ酸配列の2つの例を以下に示す。G3Fcにおけるヒンジ領域は、他のFc鎖におけるものの4倍までの長さを有することが可能であり、3つの同一の15残基の部分を含有し、これらには、類似した17残基の部分が先行している。以下に示す第1のG3Fc配列(配列番号5)は、単一の15残基の部分からなる短いヒンジ領域を含有し、一方、第2のG3Fc配列(配列番号6)は全長ヒンジ領域を含有する。各場合において、点線の下線はヒンジ領域を示し、実線の下線は、UniProt P01859に基づく、天然に存在する変異体を伴う位置を示す。部分的には、本開示は、配列番号5および6に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
G3Fcにおける天然に存在する変異体(例えば、Uniprot P01860を参照されたい)には、配列番号5において用いられている番号付けに変換された場合、E68Q、P76L、E79Q、Y81F、D97N、N100D、T124A、S169N、S169del、F221Yが含まれ、本開示は、これらの変異の1以上を含むG3Fcドメインを含む融合タンパク質を提供する。また、ヒト免疫グロブリンIgG3遺伝子(IGHG3)は、種々のヒンジ長により特徴づけられる構造多型を示す[Uniprot P01860を参照されたい]。具体的には、変異型WISは、V領域のほとんど、およびCH1領域の全てを欠いている。それは、ヒンジ領域に通常存在する11のものに加えて、7位に追加的な鎖間ジスルフィド結合を有する。変異体ZUCはV領域のほとんど、CH1領域の全て、およびヒンジの一部を欠いている。変異体OMMは対立遺伝子形態またはもう1つのガンマ鎖サブクラスを表しうる。本開示は、これらの変異体の1以上を含むG3Fcドメインを含む追加的な融合タンパク質を提供する。
ヒトIgG4のFc部分(G4Fc)に使用されうる天然アミノ酸配列の一例を以下に示す(配列番号7)。例えば、Uniprot P01861を参照されたい。点線の下線はヒンジ領域を示す。部分的には、本開示は、配列番号7に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
融合タンパク質の種々の要素は、所望の機能に合致した様態で配置されうると理解される。例えば、TWSGポリペプチドは異種ドメインに対してC末端側に配置されることが可能であり、あるいは、異種ドメインはTWSGポリペプチドに対してC末端側に配置されることが可能である。TWSGポリペプチドドメインおよび異種ドメインは融合タンパク質において隣接している必要はなく、追加的なドメインまたはアミノ酸配列がいずれかのドメインに対するC末端側もしくはN末端側またはそれらのドメインの間に含まれうる。
ある実施形態においては、TWSG融合タンパク質は、式A-B-Cで示されるアミノ酸配列を含む。B部分は、配列番号1のアミノ酸26〜223に対応するアミノ酸配列を含むTWSGポリペプチドである。AおよびC部分は、独立して、0個または1個以上のアミノ酸であることが可能であり、AおよびC部分の両方は、存在する場合には、Bに対して異種である。Aおよび/またはC部分はリンカー配列を介してB部分に結合されうる。例示的なリンカーには、短いポリペプチドリンカー、例えば、2〜10個、2〜5個、2〜4個、2〜3個のグリシン残基、例えば、Gly-Gly-Glyリンカーが含まれる。他の適切なリンカーは本明細書中に前記に記載されている。ある実施形態においては、TWSG融合タンパク質は、式A-B-Cで示されるアミノ酸配列を含み、式中、Aはリーダー配列であり、Bは配列番号1のアミノ酸26〜223からなり、Cは、インビボ安定性、インビボ半減期、取り込み/投与、組織局在化もしくは分布、タンパク質複合体の形成および/または精製の1以上を向上させるポリペプチド部分である。ある実施形態においては、TWSG融合タンパク質は、式A-B-Cで示されるアミノ酸配列を含み、ここで、AはTPAリーダー配列であり、Bは配列番号1のアミノ酸26〜223からなり、Cは免疫グロブリンFcドメインである。好ましいTWSG融合タンパク質は、配列番号13に示されているアミノ酸配列を含む。
ある実施形態においては、本発明のTWSGポリペプチドは、TWSGポリペプチドを安定化させうる1以上の修飾を含有する。例えば、そのような修飾は、TWSGポリペプチドのインビトロ半減期を増加させ、TWSGポリペプチドの循環半減期を増加させ、またはTWSGポリペプチドのタンパク質分解を低減する。そのような安定化修飾には、融合タンパク質(例えば、TWSGポリペプチドと安定化ドメインとを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、TWSGポリペプチドへのグリコシル化部位の付加を含む)、および炭水化物部分の修飾(例えば、TWSGポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)が含まれるが、これらに限定されるものではない。融合タンパク質の場合、TWSGポリペプチドは、安定化ドメイン、例えば、IgG分子(例えば、Fcドメイン)に融合される。本明細書中で用いる「安定化ドメイン」なる語は、融合タンパク質の場合のような融合ドメイン(例えば、Fc)を意味するだけでなく、非タンパク質性修飾、例えば炭水化物部分、または非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコールをも含む。
ある実施形態においては、本発明は、他のタンパク質から単離された、または他のタンパク質を実質的に含有しない、TWSGポリペプチドの単離および/または精製形態を入手可能にする。
ある実施形態においては、本発明のTWSGポリペプチド(未修飾または修飾)は、当技術分野で公知の種々の技術により製造されうる。例えば、そのようなTWSGポリペプチドは、標準的なタンパク質化学技術、例えば、Bodansky, M. Principles of Peptide Synthesis, Springer Verlag, Berlin (1993) およびGrant G. A. (編), Synthetic Peptides: A User's Guide, W. H. Freeman and Company, New York (1992)を用いて合成されうる。また、自動ペプチド合成装置が商業的に入手可能である(例えば、Advanced ChemTech Model 396; Milligen/Biosearch 9600)。あるいは、TWSGポリペプチドまたはその断片もしくは変異体は、当技術分野でよく知られているとおりに、種々の発現系(例えば、大腸菌(E. coli)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、バキュロウイルス)を使用して組換え的に製造されうる。更なる実施形態においては、修飾または未修飾TWSGポリペプチドは、例えば、プロテアーゼ、例えば、トリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシンまたはペアード(paired)塩基性アミノ酸変換酵素(PACE)を使用して、組換え製造全長TWSGポリペプチドの消化により製造されうる。コンピュータ分析(商業的に入手可能なソフトウェア、例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation, Inc.を使用するもの)を用いて、タンパク質分解性切断部位を特定することが可能である。あるいは、そのようなTWSGポリペプチドは、例えば、当技術分野において公知の標準的な技術、例えば、化学的切断(例えば、臭化シアン、ヒドロキシルアミン)により、組換え製造全長TWSGポリペプチドから製造されうる。
3.TWSGポリペプチドをコードする核酸
ある態様においては、本発明は、本明細書に開示されているTWSGポリペプチドのいずれかをコードする単離および/または組換え核酸を提供する。配列番号2は、天然に存在するTWSG前駆体ポリペプチドをコードし、一方、配列番号14は可溶性TWSG融合タンパク質をコードする。本核酸は一本鎖または二本鎖でありうる。そのような核酸はDNAまたはRNA分子でありうる。これらの核酸は、例えば、TWSGポリペプチドの製造方法において、または直接的な治療剤として(例えば、遺伝子治療法において)使用されうる。
ある態様においては、TWSGポリペプチドをコードする本核酸は更に、配列番号2および14の変異体である核酸を含むと理解される。変異体ヌクレオチド配列は1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失、例えば対立遺伝子変異体の点で異なる配列を含み、したがって、配列番号2および14に示されているコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列を含む。
ある実施形態においては、本発明は、配列番号2および14に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である単離または組換え核酸配列を提供する。配列番号2および14に相補的な核酸配列ならびに配列番号2および14の変異体も本発明の範囲内であると当業者は理解するであろう。更なる実施形態においては、本発明の核酸配列は単離されており、組換え体であり、および/または異種ヌクレオチド配列に融合しており、あるいはDNAライブラリー内に存在することが可能である。
他の実施形態においては、本発明の核酸は、高度にストリンジェントな条件下、配列番号2および14に示されているヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列、配列番号2および14の相補配列またはそれらの断片をも含む。前記のとおり、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件は変動しうる、と当業者は容易に理解するであろう。例えば、約45℃、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、50℃、2.0×SSCでの洗浄を行うことが可能であろう。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃、約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから、50℃、約0.2×SSCの高いストリンジェンシーまでから選択されうる。また、洗浄工程における温度は、室温、約22℃の低いストリンジェンシーの条件から約65℃の高いストリンジェンシーの条件まで上昇されうる。温度および塩の両方が変動可能であり、あるいは温度または塩濃度を一定に維持する一方で、その他の変数が変化されうる。幾つかの実施形態においては、本発明は、室温、6×SSCの低いストリンジェンシーの条件およびそれに続く室温、2×SSCでの洗浄の条件下でハイブリダイズする核酸を提供する。
遺伝暗号の縮重ゆえに配列番号2および14に記載の核酸とは異なる単離された核酸もまた本発明の範囲内である。例えば、幾つかのアミノ酸は2以上のトリプレットにより指定される。同じアミノ酸を指定するコドンまたは同義体(たとえば、CAUおよびCACはヒスチジンの同義体である)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」突然変異をもたらしうる。ある実施形態においては、TWSGポリペプチドは代替ヌクレオチド配列によりコードされるであろう。代替ヌクレオチド配列は天然TWSG核酸配列に関して縮重しているが、それでも同じ融合タンパク質をコードしている。しかし、対象タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が哺乳類細胞において存在することが予想される。個々のタンパク質をコードする核酸のヌクレオチドの1以上(ヌクレオチドの約3〜5%まで)におけるこれらの変異が、自然対立遺伝子変異ゆえに、与えられた種の個体間に存在しうる、と当業者は理解するであろう。ありとあらゆるそのようなヌクレオチド変異および生じるアミノ酸多型が本発明の範囲内である。
ある実施形態においては、本発明の組換え核酸は発現構築物における1以上の調節ヌクレオチド配列に機能的に連結されうる。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現に使用される宿主細胞に適したものである。多数のタイプの適切な発現ベクターおよび適切な調節配列が種々の宿主細胞に関して当技術分野で公知である。典型的には、前記の1以上の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列が含まれうるが、これらに限定されるものではない。当技術分野で公知の構成的または誘導性プロモーターが本発明において想定される。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、または複数のプロモーターの要素を組合せたハイブリッドプロモーターのいずれかでありうる。発現構築物は細胞においてエピソーム、例えばプラスミド上に存在することが可能であり、あるいは、発現構築物は染色体内に挿入されうる。ある好ましい実施形態においては、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含有する。選択マーカー遺伝子は当技術分野でよく知られており、使用される宿主細胞によって異なる。
本発明の或る態様においては、本核酸は、TWSGポリペプチドをコードし少なくとも1つの調節配列に機能的に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクターにおいて提供される。調節配列は当技術分野において認識されており、TWSGポリペプチドの発現を指令するように選択される。したがって、調節配列なる語はプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素を含む。例示的な調節配列はGoeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。例えば、DNA配列に機能的に連結された場合に該DNA配列の発現を制御する多種多様な発現制御配列のいずれかが、TWSGポリペプチドをコードするDNA配列を発現させるために、これらのベクターにおいて使用されうる。そのような有用な発現制御配列には、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、T7 RNAポリメラーゼにより発現が指令されるT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えばPho5、酵母α接合因子、バキュロウイルス系の多面体プロモーター、ならびに原核もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知である他の配列、ならびにそれらの種々の組合せが含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが望まれるタンパク質の種類のような要因に左右されうると理解されるべきである。更に、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびベクターによりコードされるいずれかの他のタンパク質、例えば抗生物質マーカーの発現も考慮されるべきである。
本発明の組換え核酸は、クローン化遺伝子またはその一部を原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳類)またはその両方における発現に適したベクター内に連結することにより製造されうる。組換えTWSGポリペプチドの製造のための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには以下のタイプのプラスミドが含まれる:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよびpUC由来プラスミド(原核細胞、例えば大腸菌における発現のためのもの)。
幾つかの哺乳類発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を促進する原核生物配列と、真核細胞において発現される1以上の真核生物転写単位との両方を含有する。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳類発現ベクターの例である。これらのベクターの幾つかは、原核細胞および真核細胞の両方における複製および薬剤耐性選択を促進するために、pBR322のような細菌プラスミド由来の配列で修飾される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)またはエプスタインバーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの誘導体が真核細胞におけるタンパク質の一過性発現に使用されうる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は後記の遺伝子治療運搬系の説明において見出されうる。プラスミドの製造および宿主生物の形質転換において使用される種々の方法が当技術分野においてよく知られている。原核細胞および真核細胞の両方のための他の適切な発現系ならびに一般的な組換え手順に関しては、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., Sambrook, FritschおよびManiatis編 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) 第16および17章を参照されたい。幾つかの場合においては、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現させることが望ましいかもしれない。そのようなバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来のベクター(例えば、pVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来のベクター(例えば、pAcUW1)およびpBlueBac由来のベクター(例えば、pBlueBac IIIを含有するβ-gal)が含まれる。
ある好ましい実施形態においては、ベクターは、例えばPcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif)およびpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wisc.)のように、CHO細胞における本TWSGポリペプチドの産生のために設計される。本遺伝子構築物は、培養内で増殖する細胞において本TWSGポリペプチドを発現を引き起こさせるために、例えば、精製のための融合タンパク質または変異体タンパク質を含むタンパク質を産生させるために使用されうることが明らかであろう。
本発明はまた、本TWSGポリペプチドの1以上のコード配列(例えば、配列番号2または14)を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞に関する。該宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞でありうる。例えば、本発明のTWSGポリペプチドは細菌細胞、例えば大腸菌(E. coli)、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用するもの)、酵母または哺乳類細胞において発現されうる。他の適切な宿主細胞は当業者に公知である。
したがって、本発明は更に、本TWSGポリペプチドの製造方法に関する。例えば、TWSGポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、TWSGポリペプチドの発現が生じることを可能にする適切な条件下で培養されうる。TWSGポリペプチドは、TWSGポリペプチドを含有する細胞と培地の混合物から分泌され単離されうる。あるいは、TWSGポリペプチドを細胞質内または膜画分内に保持させ、細胞を採取し、細胞溶解させ、タンパク質を単離することが可能である。細胞培養物は宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適した培地は当技術分野でよく知られている。本TWSGポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動およびTWSGポリペプチドの個々のエピトープ特異的な抗体による免疫アフィニティ精製を含む、タンパク質を精製するための当該分野で公知の技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞またはその両方から単離されうる。ある好ましい実施形態においては、TWSGポリペプチドは、その精製を促進するドメインを含有する融合タンパク質である。
他の実施形態においては、組換えTWSGポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列のような精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用するアフィニティクロマトグラフィーによる発現融合タンパク質の精製を可能にしうる。ついで精製リーダー配列をエンテロキナーゼでの処理により除去して、精製TWSGポリペプチドを得ることが可能である(例えば、Hochuliら, (1987) J. Chromatography 411:177;およびJanknechtら, PNAS USA 88:8972を参照されたい)。
融合遺伝子を作製するための技術はよく知られている。本質的には、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片の連結は、連結のための平滑末端または付着(stagger)末端、適切な末端を与える制限酵素消化、必要に応じて付着末端のフィルイン(埋め合わせ)、望ましくない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理および酵素的連結を用い、通常の技術に従い行われる。他の実施形態においては、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術により合成されうる。あるいは、後にアニールしてキメラ遺伝子配列を生成しうる2つの連続した遺伝子断片間に相補的オーバーハングを与えるアンカープライマーを使用して、遺伝子断片のPCR増幅が行われうる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編, John Wiley & Sons: 1992を参照されたい)。
4.スクリーニングアッセイ
ある態様においては、本発明は、TWSGポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(物質)を特定するための本TWSGポリペプチド(例えば、可溶性変異体TWSGポリペプチド)の使用に関する。このスクリーニングにより特定された化合物は、インビボまたはインビトロで赤血球、ヘモグロビンおよび/または網状赤血球レベルを調節するそれらの能力を評価するために試験されうる。これらの化合物は、例えば動物モデルにおいて試験されうる。
TWSG生物活性を標的化することにより赤血球またはヘモグロビンレベルを増加させる治療用物質に関してスクリーニングするための多数のアプローチが存在する。ある実施形態においては、化合物のハイスループットスクリーニングを行って、選択された細胞株に対するTWSG媒介性効果を妨げる物質を特定することが可能である。ある実施形態においては、TWSGポリペプチドのその結合パートナー[例えば、本明細書に開示されているTWSGリガンド(例えば、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7またはBMP9)]への結合を特異的に抑制または低減する化合物をスクリーニングおよび特定するために、該アッセイを行う。あるいは、TWSGポリペプチドのその結合パートナー(例えば、TWSGリガンド)への結合を増強する化合物を特定するために、該アッセイを使用することが可能である。更なる実施形態においては、該化合物は、TWSGポリペプチドと相互作用するそれらの能力により特定されうる。
種々のアッセイ形態は十分なものであり、本開示を考慮すれば、本明細書に明示的に記載されていないものも当業者に理解されるであろう。本明細書中に記載されているとおり、本発明の試験化合物(物質)は任意の組合せ(コンビナトリアル)化学法により作製されうる。あるいは、本化合物は、インビボまたはインビトロで合成される天然に存在する生体分子でありうる。組織成長のモジュレーターとして作用する能力について試験される化合物(物質)は、例えば細菌、酵母、植物または他の生物(例えば、天然物)により産生され、化学的に産生され(例えば、ペプチド模倣体を含む小分子)、あるいは組換え的に産生されうる。本発明において想定される試験化合物には、非ペプチド有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、糖、ホルモンおよび核酸分子が含まれる。特定の実施形態においては、試験物質は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する小有機分子である。
本発明の試験化合物は単一の分離した実体として提供されることが可能であり、あるいは、より複雑なライブラリー(例えば、コンビナトリアルケミストリーにより作製されたもの)において提供されうる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他のクラスの有機化合物を含みうる。試験系への試験化合物の提示は、特に初期スクリーニング工程においては、単離された形態において、または化合物の混合物としてであることが可能である。場合により、化合物は他の化合物で誘導体化されることが可能であり、化合物の単離を促進する誘導体化基を有しうる。誘導体化基の非限定的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光で活性化されうる架橋剤またはそれらの任意の組合せが含まれる。
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多数の薬物スクリーニングプログラムにおいては、与えられた期間内に調べられる化合物の数を最大にするためにハイスループットアッセイが望ましい。無細胞系(例えば、精製または半精製タンパク質に由来しうるもの)において行われるアッセイは、しばしば、「一次」スクリーニングとして好ましい。なぜなら、それは、試験化合物によりもたらされる分子標的における変化の比較的容易な検出および迅速な開発を可能にするように作製されうるからである。更に、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の影響はインビトロ系では一般に無視されることが可能であり、その代わりに、該アッセイは、TWSGポリペプチドとその結合パートナー(例えば、TWSGリガンド)との間の結合アフィニティの変化において現れうる、分子標的に対する薬物の効果に主に焦点が合わせられる。
単なる例示ではあるが、本発明の典型的なスクリーニングアッセイにおいては、関心のある化合物を、アッセイの目的に応じて、TWSG結合パートナーに通常は結合しうる単離および精製されたTWSGポリペプチドと接触させる。ついで、該化合物とTWSGポリペプチドとの混合物に、TWSG結合パートナーを含有する組成物を加える。TWSGポリペプチドとその結合パートナーと複合体の検出および定量は、TWSGポリペプチドとその結合パートナーとの間の複合体形成の抑制(または増強)における該化合物の有効性を決定するための手段となる。化合物の有効性は、種々の濃度の試験化合物を使用して得られたデータから用量応答曲線を作成することにより評価されうる。更に、比較のためのベースラインを得るために、対照アッセイも行われうる。例えば、対照アッセイにおいては、単離および精製されたTWSGリガンドを、TWSGポリペプチドを含有する組成物に加え、TWSGポリペプチドとその結合パートナーとの複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。一般に、反応物が混合されうる順序は変動可能であり、同時に混合されうると理解されるであろう。更に、精製タンパク質の代わりに、細胞抽出物およびライセートを使用して、適切な無細胞アッセイ系を得ることが可能である。
TWSGポリペプチドとその結合パートナーとの間の複合体形成は種々の技術により検出されうる。例えば、複合体形成のモジュレーション(調節)は、例えば、検出可能な様態で標識されたタンパク質、例えば、放射性標識(例えば、32P、35S、14Cまたは3H)、蛍光標識(例えば、FITC)または酵素標識されたTWSGポリペプチドまたはその結合パートナーを使用して、イムノアッセイまたはクロマトグラフィーによる検出により定量されうる。
ある実施形態においては、本発明は、TWSGポリペプチドとその結合パートナーとの相互作用の度合を直接的または間接的に測定する際の蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用を想定している。更に、他の検出方法、例えば、光導波路(PCT公開WO 96/26432および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサおよび表面力センサに基づくものは本発明の多数の実施形態に適合しうる。
更に、本発明は、TWSGポリペプチドとその結合パートナーとの相互作用を阻害または増強する物質を特定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用トラップアッセイの使用を想定している。例えば、米国特許第5,972,948号; Zervosら (1993) Cell 72:223-232; Maduraら (1993) J Biol Chem 268:12046-12054; Bartelら (1993) Biotechniques 14:920-924; およびIwabuchiら (1993) Oncogene 8:1693-1696)を参照されたい。特定の実施形態においては、本発明は、TWSGポリペプチドとその結合パートナーとの相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を特定するためのリバース・ツーハイブリッド系の使用を想定している。例えば、VidalおよびLegrain, (1999) Nucleic Acids Res 27:919-29; VidalおよびLegrain, (1999) Trends Biotechnol 17:374-81; ならびに米国特許第5,525,490号、第5,955,280号および第5,965,368号を参照されたい。
ある実施形態においては、本化合物は、TWSGポリペプチドと相互作用するそれらの能力により特定される。該化合物とTWSGポリペプチドとの相互作用は共有結合または非共有結合でありうる。例えば、そのような相互作用は、光架橋、放射能標識リガンド結合およびアフィニティクロマトグラフィーを含むインビトロ生化学的方法を用いてタンパク質レベルで特定されうる(Jakoby WBら, 1974, Methods in Enzymology 46: 1)。ある場合においては、該化合物は、メカニズムに基づくアッセイ、例えば、TWSGポリペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイにおいてスクリーニングされうる。これは固相または液相結合事象を含みうる。あるいは、TWSGポリペプチドをコードする遺伝子をレポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質)と共に細胞内にトランスフェクトし、好ましくはハイスループットスクリーニングにより又はライブラリーの個々のメンバーを使用して、ライブラリーに対してスクリーニングすることが可能である。メカニズムに基づく他の結合アッセイ、例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイが用いられうる。結合アッセイは、標的をウェル、ビーズもしくはチップに固定し、または固定化抗体により捕捉し、またはキャピラリー電気泳動により分離して行われうる。結合化合物は、通常は比色または蛍光または表面プラズモン共鳴を用いて検出されうる。
例示的な治療用途
ある実施形態においては、本発明のTWSGポリペプチドは、哺乳動物、例えば、げっ歯類および霊長類、特にヒト患者において赤血球レベルを増加させるために使用されうる。場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、無効赤血球生成の治療に有用でありうる。無効赤血球生成は、鉄動力学研究(Rickettsら, 1978, Clin Nucl Med 3:159-164)に基づいて当初は再生不良性貧血、出血または末梢溶血から区別されていたが、無効赤血球生成は、骨髄に存在する赤血球前駆体(赤芽球)の数を考慮した場合に予想されるものより成熟RBCの産生が低い貧血の多様な群を示す(Tannoら, 2010, Adv Hematol 2010:358283)。そのような貧血においては、成熟RBCの無効生成ゆえに、エリスロポエチンレベルの上昇にもかかわらず組織低酸素が持続する。エリスロポエチンレベルの上昇が赤芽球の大量増殖を引き起こして、治療用RBC輸血の非存在下でさえも髄外赤血球生成による脾腫(脾臓肥大)(Aizawaら, 2003, Am J Hematol 74:68-72)、赤芽球誘発性骨病理(Di Matteoら, 2008, J Biol Regul Homeost Agents 22:211-216)および組織鉄過剰を潜在的に招く悪循環が最終的に生じる(Pippardら, 1979, Lancet 2:819-821)。したがって、赤血球生成の有効性を高めることにより、TWSGポリペプチドは前記循環を破ることが可能であり、根底にある貧血だけでなく、エリスロポエチンレベルの関連合併症、脾腫、骨病理および組織鉄過剰を軽減しうる。TWSGポリペプチドは、貧血およびEPOレベルの上昇を含む無効赤血球生成、ならびに合併症、例えば脾腫、赤芽球誘発性骨病理および鉄過剰、ならびにそれらの付随病状を治療しうる。脾腫の場合、そのような病状には胸部または腹部疼痛ならびに細網内皮過形成が含まれる。髄外造血は脾臓だけでなく、髄外造血性偽腫瘍の形態で他の組織でも発生する可能性がある(Musallamら, 2012, Cold Spring Harb Perspect Med 2:a013482)。赤芽球誘発性骨病理の場合、付随病状には低骨密度、骨粗鬆症および骨痛が含まれる(Haidarら, 2011, Bone 48:425-432)。鉄過剰の場合、付随病状にはヘプシジン抑制および食事性鉄の過剰吸収(Musallamら, 2012, Blood Rev 26(Suppl 1):S16-S19)、多発性内分泌障害および肝線維症/肝硬変(Galanelloら, 2010, Orphanet J Rare Dis 5:11)ならびに鉄過剰心筋症(Lekawanvijitら, 2009, Can J Cardiol 25:213-218)が含まれる。
無効赤血球生成の最も一般的な原因はサラセミア症候群であり、これは、無傷α-およびβ-ヘモグロビン鎖の産生の不均衡が赤芽球成熟中のアポトーシスの増強をもたらす遺伝性ヘモグロビン症である(Schrier, 2002, Curr Opin Hematol 9:123-126)。サラセミアは、全体として、世界的に最も頻繁に見られる遺伝的障害の1つであり、米国および全世界の両方における増大しつつある公衆衛生問題に関与すると予想される疫学的パターンの変化を伴う(Vichinsky, 2005, Ann NY Acad Sci 1054:18-24)。サラセミア症候群はその重症度に従って命名されている。したがって、α-サラセミアには、α-軽症型サラセミア(α-サラセミア形質としても公知; 2つの罹患α-グロビン遺伝子)、ヘモグロビンH病(3つの罹患α-グロビン遺伝子)およびα-重症型サラセミア(胎児水腫としても公知; 4つの罹患α-グロビン遺伝子)が含まれる。β-サラセミアには、β-軽症型サラセミア(β-サラセミア形質としても公知; 1つの罹患β-グロビン遺伝子)、β-中間型サラセミア(2つの罹患β-グロビン遺伝子)、ヘモグロビンEサラセミア(2つの罹患β-グロビン遺伝子)およびβ-重症型サラセミア(クーリー貧血としても公知; β-グロビンタンパク質の完全な欠如を引き起こす2つの罹患β-グロビン遺伝子)が含まれる。β-サラセミアは複数の器官に影響を及ぼし、相当な罹患率および死亡率に関連しており、現在、生涯にわたる介護を要する。β-サラセミア患者の平均余命は、鉄キレート化と組合された定期的な輸血の利用により、近年延長してきているが、輸血および鉄の過剰消化管吸収の両方から生じる鉄過剰は心疾患、血栓症、性腺機能低下症、甲状腺機能低下症、糖尿病、骨粗鬆症および骨減少症のような重篤な合併症を引き起こしうる(Rundら, 2005, N Engl J Med 353:1135-1146)。
場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されてもよいTWSGポリペプチドは、サラセミア症候群に加えて、無効赤血球生成の障害を治療するために使用されうる。そのような障害には、鉄芽球性貧血(遺伝性または後天性);赤血球異形成貧血(I型およびII型);鎌状赤血球貧血;遺伝性球状赤血球症;ピルビン酸キナーゼ欠乏症;葉酸欠乏症(先天性疾患、摂取量減少または必要量の増加によるもの)、コバラミン欠乏症(先天性疾患、悪性貧血、吸収障害、膵臓機能不全または摂取量減少によるもの)、ある薬物または原因不明の病態(先天性赤血球異形成貧血、難治性巨赤芽球性貧血または赤白血病)のような状態により引き起こされうる巨赤芽球性貧血;骨髄線維症(骨髄様化生)および骨髄ろうを含む骨髄ろう性貧血;先天性赤血球生成性ポルフィリン症;および鉛中毒が含まれる。
本明細書中で用いる、障害または状態を「予防」する治療用物質は、統計的サンプルにおいて、未処置対照サンプルと比較して処置サンプルにおける障害もしくは状態の発生を減少させる、あるいは未処置対照サンプルと比較して障害もしくは状態の症状の1以上の発生を遅らせる、またはその重症度を低減する化合物を意味する。本明細書中で用いる「治療(する)」なる語は、確立された状態の改善または排除を含む。いずれの場合も、予防または治療は、医師または他の医療提供者によりもたらされる診断、および治療用物質の投与の意図される結果において識別されうる。
ある実施形態においては、本発明の物質は単独で使用されることが可能であり、あるいは、別のタイプの治療用物質と共に投与されうる。本明細書中で用いる「共投与」なる語は2以上の異なる治療用物質の任意の投与形態を意味し、ここで、既に投与された治療用物質が体内で尚も有効である間に第2の治療用物質投与される(例えば、それらの2以上の物質は対象において同時に有効であり、それは、それらの2つの物質の相乗効果を含みうる)。例えば、異なる治療用物質は同一製剤において、または別々の製剤において、同時または連続的に投与されうる。ある実施形態においては、異なる治療用物質は、互いに約1時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間または約1週間以内に投与されうる。したがって、そのような治療を受ける対象は、異なる治療用物質の併用効果から利益を得ることが可能である。
本明細書に示されているとおり、場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、健常個体において赤血球、ヘモグロビンまたは網状赤血球レベルを増加させるために使用されることが可能であり、そのようなTWSGポリペプチドは、選択された患者集団において使用されうる。適切な患者集団の例には、望ましくないほどに低い赤血球またはヘモグロビンレベルを有するもの、例えば、貧血を有する患者、および望ましくないほどに低い赤血球またはヘモグロビンレベルとなるリスクを有するもの、例えば、相当な失血を招きうる大手術または他の手技を受けようとしている患者が含まれる。幾つかの実施形態においては、適切な赤血球レベルを有する患者を、赤血球レベルを増加させるためにTWSGポリペプチドで治療し、ついで、血液を採取し、輸血における後の使用のために貯蔵する。
本明細書に開示されている、場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、貧血を有する患者における赤血球レベルを増加させるために使用されうる。ヒトにおけるヘモグロビンレベルを観察する場合、個々の変動を考慮に入れた、適切な年齢および性別の範疇に関する正常未満のレベルは貧血を示しうる。例えば、12g/dLのヘモグロビンレベルは一般的な成人集団における正常の下限であると一般にみなされる。考えられる原因には、失血、栄養欠乏、投薬反応、骨髄に関する種々の問題および多数の疾患が含まれる。より詳細には、貧血は、例えば、慢性腎不全、骨髄異形成症候群、慢性関節リウマチ、骨髄移植を含む種々の障害に関連づけられている。貧血は以下の状態にも関連しうる:固形腫瘍(例えば、乳癌、肺癌、結腸癌);リンパ系の腫瘍(例えば、慢性リンパ球性白血病、非ホジキンリッパ腫およびホジキンリンパ腫);造血系の腫瘍(例えば、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫);放射線療法;化学療法(例えば、白金含有レジメン);炎症性および自己免疫性疾患、限定的なものではないが例えば、慢性関節リウマチ、他の炎症性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性または慢性皮膚疾患(例えば、乾癬)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎);急性または慢性腎疾患または不全、例えば、特発性または先天性病態;急性または慢性肝疾患;急性または慢性出血;患者の同種抗体もしくは自己抗体ゆえに、および/または宗教上の理由により、赤血球の輸血が可能でない状況(例えば、エホバの証人);感染症(例えば、マラリア、骨髄炎);ヘモグロビン症、例えば、鎌状赤血球症、サラセミア;薬物の使用または乱用、例えば、アルコールの乱用;輸血を避ける何らかの原因による貧血を有する小児患者;ならびに循環過負荷に関する懸念ゆえに輸血を受けることができない、貧血を有する高齢患者または基礎心肺疾患患者。
骨髄異形成症候群(MDS)は、骨髄性血球の無効産生および急性骨髄性白血病への転換のリスクにより特徴づけられる血液学的状態の多様な集合体である。MDS患者においては、血液幹細胞は健常赤血球、白血球または血小板へと成熟しない。MDS障害には、例えば、難治性貧血、環状鉄芽球を伴う難治性貧血、過剰芽球を伴う難治性貧血、トランスフォーメーションにおける過剰芽球を伴う難治性貧血、多系統異形成を伴う難治性血球減少症、および孤立5q染色体異常に関連する骨髄異形成症候群が含まれる。これらの疾患は造血細胞の量および質の両方において不可逆的な欠損として現れるため、ほとんどのMDS患者は慢性貧血に苦しめられる。したがって、MDS患者は、赤血球レベルを増加させるために、輸血および/または増殖因子(例えば、エリスロポエチンまたはG-CSF)での治療を最終的に必要とする。しかし、多数のMDS患者は、そのような治療の頻度ゆえに、副作用を示す。例えば、頻繁な赤血球輸血を受けている患者は、余分な鉄分の蓄積により、組織および器官の損傷を有しうる。本明細書に開示されているTWSGポリペプチドは、MDSを有する患者を治療するために使用されうる。ある実施形態においては、MDSに罹患している患者は、EPO受容体アクチベーターと組合されたTWSGポリペプチドの組合せを使用して治療されうる。他の実施形態においては、MDSに罹患している患者は、TWSGポリペプチドと、MDSを治療するための1以上の追加的治療用物質(例えば、サリドマイド、レナリドミド、アザシタジン、デシタビン、エリスロポエチン、デフェロキサミン、抗胸腺細胞グロブリン、フィルグラストリム(G-CSF)およびエリスロポエチンシグナル伝達経路アゴニストを含む)との組合せを使用して治療されうる。
場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、典型的には赤血球(RBC)形態の変化とはほとんど関連していない低増殖性骨髄貧血の治療に適切であろう。低増殖性貧血には、1)慢性疾患の貧血、2)腎疾患の貧血、および3)代謝低下状態に関連する貧血が含まれる。これらのタイプのそれぞれにおいては、内因性エリスロポエチンレベルが、観察される貧血の度合に対して不適切に低い。他の低増殖性貧血には、4)初期鉄欠乏性貧血、および5)骨髄に対する損傷により引き起こされる貧血が含まれる。これらのタイプにおいては、内因性エリスロポエチンレベルが、観察される貧血の度合に対して適切に高い。
最も一般的なタイプは、炎症、感染、組織損傷および癌のような状態を含む慢性疾患の貧血であり、骨髄におけるエリスロポエチンに対する不適切な応答および低いエリスロポエチンレベルの両方により区別される(Adamson, 2008, Harrison's Principles of Internal Medicine, 17th ed.; McGraw Hill, New York, pp 628-634)。多数の要因が癌関連貧血の一因となりうる。幾つかは疾患過程自体、およびインターロイキン-1、インターフェロン-ガンマおよび腫瘍壊死因子のような炎症性サイトカインの生成に関連している(Bronら, 2001, Semin Oncol 28(Suppl 8):1-6)。その効果のうち、炎症は、重要な鉄調節性ペプチドであるヘプシジンを誘導し、それにより、マクロファージからの鉄の排出を抑制し、一般に、赤血球生成のための鉄の利用能を制限する(Ganz, 2007, J Am Soc Nephrol 18:394-400)。種々の経路による失血も癌関連貧血の一因となりうる。癌の進行による貧血の罹患率は癌の種類によって異なり、前立腺癌における5%から多発性骨髄腫における90%までの範囲である。癌関連貧血は、疲労および生活の質の低下、治療効果の低下ならびに死亡率の増加を含む、患者に対する深刻な影響を及ぼす。
慢性腎疾患は、腎機能障害の度合によって重症度が異なる低増殖性貧血に関連している。そのような貧血は、主に、エリスロポエチンの不適切な産生および赤血球の生存の低下によるものである。慢性腎疾患は通常、数年または数十年の期間にわたって末期(ステージ5)疾患まで徐々に進行し、その時点で透析または腎臓移植が患者の生存に必要とされる。貧血は、しばしば、この過程の初期に発生し、疾患が進行するにつれて悪化する。腎疾患の貧血の臨床結果は詳細に記載されており、左心室肥大の発生、認識機能障害、生活の質の低下および免疫機能の変化を含む(Levinら, 1999, Am J Kidney Dis 27:347-354; Nissenson, 1992, Am J Kidney Dis 20(Suppl 1):21-24; Revickiら, 1995, Am J Kidney Dis 25:548-554; Gafterら, 1994, Kidney Int 45:224-231)。場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、腎疾患の貧血を治療するために使用されうる。
低代謝速度をもたらす多数の症状は軽度から中等度の低増殖性貧血を引き起こしうる。そのような状態には内分泌欠損状態が含まれる。例えば、アジソン病、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、または去勢されている若しくはエストロゲンで治療されている男性において、貧血が生じうる。軽度から中等度の貧血は、特に高齢者においてよく見られる状態であるタンパク質の食事摂取量の減少によっても生じうる。最後に、貧血は、ほぼすべての原因から生じる慢性肝疾患の患者において発生しうる(Adamson, 2008, Harrison's Principles of Internal Medicine, 17th ed.; McGraw Hill, New York, pp 628-634)。
外傷または分娩後出血のような大量の急性失血から生じる貧血は急性出血後貧血として公知である。急性失血は最初は貧血を伴わずに血液量減少を引き起こす。なぜなら、他の血液成分と共にRBCの比例的な喪失が生じるからである。しかし、血液量減少は、体液を血管外から血管区画に移動させる生理学的メカニズムを迅速に誘発し、これは血液希釈および貧血をもたらす。慢性の場合、失血は体内の鉄貯蔵を徐々に喪失させ、最終的には鉄欠乏症を招く。マウスモデルにおいて本出願人により実証されているとおり(後記実施例を参照されたい)、場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、急性失血の貧血からの回復を早めるために使用されうる。
鉄欠乏性貧血は、負の鉄バランスおよび鉄欠乏性赤血球生成を中間段階として含む鉄欠乏症の段階的進行における最終段階である。妊娠、不適切な食事、腸の吸収不良、急性または慢性炎症および急性または慢性失血のような状態において例示されるとおり、鉄欠乏症は鉄需要の増加、鉄摂取量の減少または鉄喪失の増加から生じうる。このタイプの軽度から中等度の貧血では、骨髄は低増殖性のままであり、RBCの形態はほぼ正常である。しかし、軽度の貧血でさえも幾つかの小球性低色素性RBCを生成することがあり、重度の鉄欠乏性貧血への移行は骨髄の過剰増殖および益々増加する小球性および低色素性赤血球を伴う(Adamson, 2008, Harrison's Principles of Internal Medicine, 17th ed.; McGraw Hill, New York, pp 628-634)。鉄欠乏性貧血に対する適切な療法はその原因および重症度に左右され、経口鉄剤、非経口鉄剤およびRBC輸血が通常の主要選択肢である。場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されてもよいTWSGポリペプチドは、慢性鉄欠乏性貧血を治療するために、単独で、または通常の治療アプローチと組合せて、特に多要因貧血を治療するために使用されうる。
低増殖性貧血は、炎症、感染または癌の進行に続発する機能障害ではなく骨髄の原発性機能障害または不全から生じうる。顕著な例としては、癌化学療法薬または癌放射線療法により引き起こされる骨髄抑制が挙げられるであろう。化学療法後の患者の100%において軽度の貧血が生じることがあり、そのような患者の80%までにおいて、より重度の貧血が生じうることが、臨床試験の広範な精査により見出された(Groopmanら, 1999, J Natl Cancer Inst 91:1616-1634)。骨髄抑制薬には以下のものが含まれる:1)アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メルファラン)およびニトロソ尿素(例えば、ストレプトゾシン);2)代謝拮抗物質、例えば、葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート)、プリン類似体(例えば、チオグアニン)およびピリミジン類似体(例えば、ゲムシタビン);3)細胞毒性抗生物質、例えば、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン);4)キナーゼインヒビター(例えば、ゲフィチニブ);5)有糸分裂インヒビター、例えば、タキサン(例えば、パクリタキセル)およびビンカアルカロイド(例えば、ビノレルビン);6)モノクローナル抗体(例えば、リツキシマブ);ならびに7)トポイソメラーゼインヒビター(例えば、トポテカンおよびエトポシド)。場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されてもよいTWSGポリペプチドは、化学療法剤および/または放射線療法により引き起こされる貧血を治療するために使用されうる。
全血または赤血球の頻繁な輸血を受けている患者においては、鉄恒常性の正常メカニズムが損なわれて、最終的に、心臓、肝臓および内分泌腺のような重要な組織において、有毒で潜在的に致命的な鉄蓄積が生じうる。定期的な赤血球輸血は血液の種々のドナー単位に対する曝露を要し、したがって、より高いリスクの同種免疫を要する。血管アクセスの難しさ、鉄キレート化の利用可能性およびコンプライアンス、ならびに高いコストが、赤血球輸血の回数を制限することが有益でありうる理由の幾つかである。幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドは、1回以上の血球輸血(全血または赤血球輸血)が投与された患者に投与されうる。幾つかの実施形態においては、本開示は、血球輸血に依存している患者における貧血または貧血関連障害を治療し、予防し、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減するための、TWSGポリペプチドの使用方法に関する。ある態様においては、貧血または貧血関連障害を有する患者において、血球輸血負荷を減少させる(低減する)ために、TWSGポリペプチドが使用されうる。例えば、貧血または貧血関連障害を有する患者において、TWSGポリペプチド治療の開始前の同等期間と比較して、4〜8週間で約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%以上、血球輸血を減少させるために、TWSGポリペプチドが使用されうる。幾つかの実施形態においては、貧血または貧血関連障害を有する患者において、TWSGポリペプチド治療の開始前の同等期間と比較して、4〜8週間で約50%以上、血球輸血を減少させるために、TWSGポリペプチドが使用されうる。ある態様においては、貧血または貧血関連障害を有する患者において、鉄過剰を低減するために、TWSGポリペプチドが使用されうる。例えば、貧血または貧血関連障害を有する患者において、器官および/または組織における鉄過剰を低減するために、TWSGポリペプチドが使用されうる。幾つかの実施形態においては、貧血または貧血関連障害を有する患者の脾臓における鉄過剰を低減するために、TWSGポリペプチドが使用されうる。幾つかの実施形態においては、貧血または貧血関連障害を有する患者の肝臓における鉄過剰を低減するために、TWSGポリペプチドが使用されうる。幾つかの実施形態においては、貧血または貧血関連障害を有する患者の心臓における鉄過剰を低減するために、TWSGポリペプチドが使用されうる。
場合によりEPO受容体アクチベーターと組合されていてもよいTWSGポリペプチドは、部分的には過小サイズ(小球)、過大サイズ(大球)、奇形または異常着色(低色素性)RBCにより特徴づけられるRBC成熟障害の貧血の治療にも適しているであろう。
ある実施形態においては、TWSGポリペプチドは、無効赤血球生成のための支持療法と組合せて使用されうる(例えば、同時に又は異なる時点で投与されうるが、一般に、重複薬理学的効果を達成するように投与されうる)。そのような療法には、貧血を治療するための赤血球または全血のいずれかでの輸血が含まれる。慢性または遺伝性貧血においては、鉄恒常性のための正常メカニズムは輸血の反復によって損なわれて、最終的に、心臓、肝臓および内分泌腺のような重要な組織において、有毒で潜在的に致命的な鉄蓄積が生じうる。したがって、無効赤血球生成に慢性的に罹患している患者のための支持療法は、尿および/または便における鉄排泄を促進することにより組織鉄過剰を予防し又は逆転させるための1以上の鉄キレート分子での治療をも含む(Hershko, 2006, Haematologica 91:1307-1312; Caoら, 2011, Pediatr Rep 3(2):e17)。有効な鉄キレート剤は、ヒドロキシルラジカルおよび酸化生成物の触媒生成によりほとんどの鉄毒性の原因となりうる酸化型非トランスフェリン結合鉄である第二鉄に選択的に結合し、それを中和しうることを要する(Espositoら, 2003, Blood 102:2670-2677)。これらの物質は構造的に多様であるが、全ては、1:1(六座剤)、2:1(三座)、または3:1(二座)の化学量論比で個々の鉄原子と中和性八面体配位錯体を形成しうる酸素または窒素供与原子を有する(Kalinowskiら, 2005, Pharmacol Rev 57:547-583)。有効な鉄キレート剤はまた、比較的低い分子量(700ダルトン未満)であり、患部組織への接近を可能にする、水および脂質の両方における溶解性を有する。鉄キレート分子の具体例としては、毎日の非経口投与を要する細菌由来の六座剤であるデフェロキサミン、ならびに経口活性合成剤であるデフェリプロン(二座)およびデフェラシロクス(三座)が挙げられる。2つの鉄キレート剤の同日投与からなる併用療法は、キレート単剤療法に応答しない患者において、そしてまた、デレロキサミン単独の場合の患者のコンプライアンスの不良の問題を克服することにおいて、有望さを示している(Caoら, 2011, Pediatr Rep 3(2):e17; Galanelloら, 2010, Ann NY Acad Sci 1202:79-86)。
ある実施形態においては、TWSGポリペプチドは、無効赤血球生成に対して、ヘプシジンアゴニストと組合せて使用されうる。肝臓で主に産生される循環ポリペプチドであるヘプシジンは、吸収性腸細胞、肝細胞およびマクロファージに局在する鉄輸出タンパク質であるフェロポーチンの分解を誘導するその能力ゆえに、鉄代謝の主要調節因子であるとみなされている。大まかに言って、ヘプシジンは細胞外鉄の利用能を低減し、したがって、ヘプシジンアゴニストは無効赤血球生成の治療に有益でありうる(Nemeth, 2010, Adv Hematol 2010:750643)。この見解は、β-サラセマのマウスモデルにおけるヘプシジン発現の増強の有益な効果により裏づけられている(Gardenghiら, 2010, J Clin Invest 120:4466-4477)。
また、TWSGポリペプチドは、より低い用量範囲で赤血球の増加を達成するために、EPO受容体アクチベーターと組合せて使用されうる。これは、公知のオフターゲット(off-target)効果およびEPO受容体アクチベーターの高用量に関連したリスクを低減するのに有益でありうる。ある実施形態においては、本発明は、治療有効量のTWSGポリペプチドまたはTWSGポリペプチドとEPO受容体アクチベーターとの組合せ(または併用療法)を個体に投与することによる、貧血の治療または予防を要する個体における貧血の治療または予防方法を提供する。これらの方法は、哺乳動物、特にヒトの治療的および予防的処置に使用されうる。
TWSGポリペプチドをEPO受容体アクチベーターと組合せて使用して、EPOの有害作用を受けやすい患者において、これらのアクチベーターの必要量を減少させることが可能である。EPOの主な有害作用はヘマトクリットまたはヘモグロビンレベルの過剰増加および赤血球増加症である。ヘマトクリットレベルの上昇は高血圧(より具体的には高血圧の悪化)および血管血栓症を引き起こしうる。報告されているEPOの他の有害作用は、高血圧に関連するものを含み、頭痛、インフルエンザ様症候群、シャントの閉塞、心筋梗塞および血栓症による脳痙攣、高血圧性脳症、および赤血球血症である(Singibarti, (1994) J. Clin Investig 72(suppl 6), S36-S43; Horlら (2000) Nephrol Dial Transplant 15(suppl 4), 51-56; Delantyら (1997) Neurology 49, 686-689; Bunn (2002) N Engl J Med 346(7), 522-523)。
目標ヘモグロビンレベル、通常は約10g/dl〜約12.5g/dl、典型的には約11.0g/dlに患者を回復させることを意図した投与レジメンで、患者は治療されうる(Jacobsら (2000) Nephrol Dial Transplant 15, 15-19も参照されたい)。尤も、より低い目標レベルはより少数の心血管副作用を引き起こしうる。あるいは、ヘマトクリットレベル(細胞によって占められる血液サンプルの体積の比率)は赤血球の状態に関する尺度として用いられうる。健常個体のヘマトクリットレベルは成人男性で41〜51%、成人女性で35〜45%の範囲である。目標ヘマトクリットレベルは通常約30〜33%である。更に、ヘモグロビン/ヘマトクリットレベルは人によって異なる。したがって、最適には、目標ヘモグロビン/ヘマトクリットレベルは各患者に関して個別化されうる。
ある実施形態においては、本発明は、TWSGポリペプチドで治療されている又は治療される候補である患者を管理するための方法であって、患者における1以上の血液学的パラメータを測定することによる方法を提供する。血液学的パラメータは、TWSGポリペプチドで治療される候補である患者に対する適切な投与量を評価するため、TWSGポリペプチドで治療中の血液学的パラメータをモニターするため、TWSGポリペプチドで治療中に投薬量を調節すべきかどうかを評価するため、および/またはTWSGポリペプチドの適切な維持量を評価するために用いられうる。血液学的パラメータの1以上が正常レベルの範囲外である場合、TWSGポリペプチドの投与は低減、遅延または中止されうる。
本発明で提供する方法に従い測定されうる血液学的パラメータには、例えば、当技術分野で認められている方法を用いて測定される赤血球レベル、血圧、鉄貯蔵、および赤血球レベルの増加と相関する、体液中で見出される他の物質が含まれる。そのようなパラメータは、患者からの血液サンプルを使用して決定されうる。赤血球レベル、ヘモグロビンレベルおよび/またはヘマトクリットレベルの増加は血圧の上昇を引き起こしうる。
幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドで治療される候補である患者において、1以上の血液学的パラメータが正常範囲外である、または正常より高い側にある場合、血液学的パラメータが自然に又は治療的介入により正常または許容レベルに戻るまで、TWSGポリペプチドの投与の開始は遅らされうる(遅らせてもよい)。例えば、候補患者が高血圧または高血圧前症である場合、患者の血圧を低下させるために、患者は血圧降下剤で治療されうる。例えば、利尿薬、アドレナリンインヒビター(アルファブロッカーおよびベータブロッカーを含む)、血管拡張薬、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターまたはアンジオテンシンII受容体ブロッカーを含む、個々の患者の状態に適した任意の血圧降下薬が使用されうる。あるいは、食事療法および運動療法を用いて、血圧が治療されうる。同様に、候補患者が、正常より低い又は正常値より低い側の鉄貯蔵を示す場合、患者の鉄貯蔵が正常または許容レベルに戻るまで、患者は適切な食事療法および/または鉄補給剤で治療されうる。正常より高い赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルを有する患者に関しては、該レベルが正常または許容レベルに戻るまで、TWSGポリペプチドの投与が遅らされうる。
特定の実施形態においては、TWSGポリペプチドで治療される候補である患者において、1以上の血液学的パラメータが正常範囲外である、または正常より高い側にある場合、投与の開始は遅らされないかもしれない(遅らせずともよい)。しかし、TWSGポリペプチドの投与量または投与頻度は、TWSGポリペプチドの投与により生じる血液学的パラメータの許容できない増加のリスクを低減する量に設定されうる。あるいは、望ましくないレベルの血液学的パラメータに対処する治療用物質とTWSGポリペプチドを組合せる治療レジメンが患者用に開発されうる。例えば、患者が血圧の上昇を示している場合、TWSGポリペプチドと血圧降下剤との投与を含む治療レジメンが設計されうる。望ましいレベルより低い鉄貯蔵を示す患者の場合、TWSGポリペプチドおよび鉄補給の治療レジメンが開発されうる。
幾つかの実施形態においては、TWSGポリペプチドで治療される候補である患者に関して1以上の血液学的パラメータについてのベースラインパラメータを確立し、そのベースライン値に基づいてその患者に関して適切な投与レジメンを確立することが可能である。あるいは、患者の病歴に基づいて確立されたベースラインパラメータを使用して、患者に対する適切なTWSGポリペプチド投与レジメンを得ることが可能であろう。例えば、健康な患者が、所定正常範囲を超える確立されたベースライン血圧測定値を有する場合、TWSGポリペプチドでの治療の前に、患者の血圧を、一般集団に関して正常とみなされる範囲にする必要はないかもしれない。TWSGポリペプチドでの治療の前の1以上の血液学的パラメータに関する患者のベースライン値は、TWSGポリペプチドでの治療中の血液学的パラメータに対するいずれかの変化をモニターするための関連比較値としても使用されうる。
ある実施形態においては、TWSGポリペプチドで治療されている患者において1以上の血液学的パラメータが測定される。治療中に患者をモニターし、TWSGポリペプチドの投与の調節もしくは終了または別の治療用物質の追加的投与を可能にするために、血液学的パラメータが使用されうる。例えば、TWSGポリペプチドの投与が血圧、赤血球レベルもしくはヘモグロビンレベルの増加または鉄貯蔵の減少をもたらす場合、1以上の血液学的パラメータに対するTWSGポリペプチドの効果を低減するために、TWSGポリペプチドの用量は量または頻度において低減されうる。TWSGポリペプチドの投与が、患者に有害な1以上の血液学的パラメータの変化をもたらす場合、TWSGポリペプチドの投与は、一時的に、または血液学的パラメータが許容可能なレベルに戻るまで、または永久に中止されうる。同様に、TWSGポリペプチドの投与の用量または頻度を低減した後で1以上の血液学的パラメータが許容範囲内にならない場合には、投与は中止されうる。TWSGポリペプチドの投与の低減または中止の代わりに、またはそれに加えて、血液学的パラメータの望ましくないレベルに対処する追加的な治療用物質、例えば血圧降下剤または鉄補給剤が患者に投与されうる。例えば、TWSGポリペプチドで治療されている患者が血圧の上昇を示している場合、TWSGポリペプチドの投与は同じレベルで継続されることが可能であり、血圧降下剤が治療レジメンに加えられ、あるいは、TWSGポリペプチドの投与は(例えば、量および/または頻度において)低減されることが可能であり、血圧降下剤が治療レジメンに加えられ、あるいは、TWSGポリペプチドの投与が中止されることが可能であり、患者は血圧降下剤で治療されうる。
6.医薬組成物
ある実施形態においては、本発明の化合物(例えば、TWSGポリペプチド)は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。例えば、TWSGポリペプチドは、単独で、または医薬製剤(治療用組成物)の成分として投与されうる。本化合物は、ヒトまたは獣医学における使用のための任意の簡便な方法で投与されるように製剤化されうる。
ある実施形態においては、本発明の治療方法は、組成物を全身的または局所的に、例えばインプラントまたは装置を使用して投与することを含む。投与される場合、本発明における使用のための治療用組成物は、例えば発熱物質非含有組成物の場合のように、生理的に許容される任意の形態でありうる。前記のとおりに場合により組成物中に含まれてもよい、TWSGポリペプチド以外の治療上有用な物質は、本発明の方法において、本化合物(例えば、TWSGポリペプチド)と同時に、または連続的に投与されうる。
典型的には、化合物は非経口投与される。非経口投与に適した医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される無菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、または使用直前に無菌注射溶液または分散液へと再構成(還元)されうる無菌粉末と共に、1以上のTWSGポリペプチドを含むことが可能であり、これは、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、意図される被投与者の血液と製剤を等張にする溶質、または懸濁もしくは増粘剤を含有しうる。本発明の医薬組成物において使用されうる適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材の使用、分散液の場合には必要粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持されうる。
更に、組成物は標的組織部位(例えば、骨髄)への送達のための形態でカプセル化または注射されうる。ある実施形態においては、本発明の組成物は、1以上の治療用化合物(例えば、TWSGポリペプチド)を標的組織部位(例えば、骨髄)に送達しうるマトリックスであって、発生中の組織のための構造を提供し、最適に体内に再吸収されるマトリックスを含みうる。例えば、マトリックスはTWSGポリペプチドの徐放をもたらしうる。そのようなマトリックスは、他の移植医学用途に適した材料から構成されうる。
マトリックス材の選択は生体適合性、生分解性、機械的特性、美容的外観および界面特性に基づく。本組成物の個々の用途が、適切な製剤を定める。組成物のための有望なマトリックスは生分解性であり化学的に定められる硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ無水物でありうる。他の有望な材料は生分解性であり生物学的に十分に定められるもの、例えば、骨または皮膚コラーゲンである。更なるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリックス成分から構成される。他の有望なマトリックスは非生分解性であり、化学的に定められるもの、例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミナートまたは他のセラミックである。マトリックスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムのような前記タイプの材料のいずれかの組合せから構成されうる。カルシウム−アルミナート−ホスファートの場合のように、バイオセラミックを組成および加工において改変して、孔径、粒径、粒子形状および生分解性を改変することが可能である。
ある実施形態においては、本発明の方法は、経口的に、例えばカプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味付けされた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ(不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを使用する)として、および/または洗口剤などとして投与されることが可能であり、それぞれは、所定量の物質を有効成分として含有する。物質はボーラス、舐剤またはペーストとしても投与されうる。
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、散剤、顆粒剤など)においては、本発明の1以上の治療化合物は、1以上の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/または以下のいずれかと混合されうる:(1)充填剤(フィラー)または増量剤(エクステンダー)、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア;(3)保水剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリカートおよび炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアラート;(8)吸収剤、例えば、カオリン、ベントナイトクレー;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤をも含みうる。また、同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟および硬ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用されうる。
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン(乳剤)、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。有効成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物を含有しうる。経口組成物は、不活性希釈剤のほかに、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤ならびに保存剤をも含みうる。
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカントならびにそれらの混合物を含有しうる。
本発明の組成物は、補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤をも含有しうる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの配合により確保されうる。等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることも望ましいかもしれない。また、吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの配合により、注射可能な医薬形態の持続的吸収がもたらされうる。
投与レジメンは、本発明の化合物(例えば、TWSGポリペプチド)の作用を変化させる種々の要因を考慮して、主治医により決定されると理解される。種々の要因には、限定的なものではないが、患者の赤血球数、ヘモグロビンレベルまたは他の診断評価、所望の目標赤血球数、患者の年齢、性別および食事、赤血球レベルの低下に寄与しうる任意の疾患の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的要因が含まれる。最終組成物への他の公知増殖因子の添加も投与に影響を及ぼしうる。進行は、赤血球およびヘモグロビンレベルの定期的評価、ならびに網状赤血球レベルおよび造血過程の他の指標の評価によりモニターされうる。
ある実施形態においては、本発明はまた、TWSGポリペプチドのインビボ産生のための遺伝子治療を提供する。そのような治療は、前記のような障害を有する細胞または組織内へのTWSGポリヌクレオチド配列の導入により、その治療効果を達成するであろう。TWSGポリヌクレオチド配列の送達は、組換え発現ベクター、例えばキメラウイルスまたはコロイド分散系を用いて達成されうる。TWSGポリヌクレオチド配列の治療的送達に好ましいのは標的化リポソームの使用である。
本明細書中に教示されている遺伝子治療に利用されうる種々のウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、またはRNAウイルス、例えばレトロウイルスが含まれる。レトロウイルスベクターはマウスまたは鳥類レトロウイルスの誘導体でありうる。単一の外来遺伝子が挿入されうるレトロウイルスベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの追加的なレトロウイルスベクターは複数の遺伝子を含みうる。これらのベクターの全ては、形質導入細胞が特定され生成されうるように、選択マーカー用の遺伝子を導入し、または組込みうる。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合させることにより、標的特異的にされうる。好ましい標的化は、抗体を使用することにより達成される。TWSGポリヌクレオチドを含有するレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするために、特定のポリヌクレオチド配列がレトロウイルスゲノム内に挿入され、またはウイルスエンベロープに結合されうる、と当業者は認識するであろう。
あるいは、通常のリン酸カルシウムトランスフェクションにより、レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドで組織培養細胞を直接的にトランスフェクトすることが可能である。ついで、これらの細胞を、関心のある遺伝子を含有するベクタープラスミドでトランスフェクトする。得られた細胞はレトロウイルスベクターを培地内に放出する。
TWSGポリヌクレオチドのためのもう1つの標的化送達系はコロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質に基づく系、例えば、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームが含まれる。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。RNA、DNAおよび無傷ビリオンが水性内部に封入され、生物学的に活性な形態で細胞に送達されうる(例えば、Fraleyら, Trends Biochem. Sci., 6:77, 1981を参照されたい)。リポソームビヒクルを使用する効率的な遺伝子導入のための方法は当技術分野において公知であり、例えば、Manninoら, Biotechniques, 6:682, 1988を参照されたい。リポソームの組成は、通常はリン脂質の組合せ、通常はステロイド、特にコレステロールとの組合せである。他のリン脂質または他の脂質も使用されうる。リポソームの物理的特性はpH、イオン強度および二価カチオンの存在に左右される。
リポソームの製造に有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物、例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドが含まれる。例示的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。リポソームの標的化は、例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づくことによっても可能であり、当技術分野において公知である。
(実施例)
前記においては本発明が一般的に記載されているが、以下の実施例を参照することにより、本発明はより容易に理解されるであろう。これらの実施例は本発明の或る実施形態の単なる例示目的で記載されており、本発明を限定するものではない。
実施例1.ヒトTWSG-Fc融合タンパク質の作製
出願人らは、全長ヒトTWSG(図1、配列番号8)がそのC末端において最小リンカーでヒトIgG1 Fcドメイン(配列番号3)に結合されている可溶性TWSG融合タンパク質(TWSG-Fc)を構築した。TWSG-Fc(図2、配列番号9)は最初は、TWSG-FcのN-グリコシル化変異体と同様に、COS細胞における一過性トランスフェクションにより発現された(後記を参照されたい)。簡潔に説明すると、FuGENE(登録商標)6トランスフェクション試薬(Promega)を使用して、COS細胞(ATCC(登録商標))を、TWSG-Fcをコードするプラスミドで一晩トランスフェクトした。翌日、細胞をリン酸緩衝食塩水で洗浄し、無血清培地を加えた。72時間のインキュベーションの後、COS馴化培地を回収し、濾過し、MabSelect SuReカラム(GE Healthcare, UK)上にローディングした。融合タンパク質を0.1M グリシン(pH3.0)で溶出し、1Mトリス(pH8.0)を1:10の比で添加することにより、溶出画分を直ちに中和した。NanoDrop(商標)分光光度計(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を使用して、タンパク質を定量した。
タンパク質発現を促進するための遍在性クロマチン開口エレメント(UCOE)を含有し、TWSG-Fcをコードするプラスミドで、CHO細胞を標準的な方法によりトランスフェクトした。例えば、Cytotechnology(2002)38:43-46を参照されたい。メトトレキサート(MTX)中、10nM、20nMおよび50nMの濃度でプールを選択した。50nMのMTXプールが最高発現レベルを示した。したがって、このプールから希釈クローンを得、無血清懸濁増殖に適応させて、精製用の馴化培地を得た。
以下の3つの異なるリーダー配列が使用されうる:
(i)ミツバチメリチン(HBML)のリーダー配列:MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号10);
(ii)組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)のリーダー配列:MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号11);
(iii)天然ヒトTWSGのリーダー配列:MKLHYVAVLTLAILMFLTWLPESLS(配列番号12)。
TWSG-Fcの選択された形態はTPAリーダーを使用し、図3(配列番号13)に示されているプロセシングされていないアミノ酸配列を有し、図4(配列番号14)に示されているヌクレオチド配列によりコードされる。本出願人は、最小リンカーによりヒトTWSGのC末端およびN末端の少なくとも1つの末端に結合した異なるhFcドメイン(例えば、配列番号4、5、6もしくは7、または異なるIgG由来のキメラFcドメイン、例えば、キメラG2/G4定常領域)を含む、TPAリーダーを含有する又は含有しない代替的なTWSG-hFc配列をも想定している。
CHO細胞由来の融合タンパク質の精製
表面プラズモン共鳴およびレポーター遺伝子アッセイによる後続の特徴づけのために、CHO細胞において発現されたヒトTWSG-Fcを以下のとおりに精製した。hTWSG-hFcを含有する馴化培地を濃縮し、濾過し、予めPBSで平衡化されたMAb SelectSuReカラムにローディングした。ついで樹脂をPBSで洗浄し、タンパク質を0.1M グリシン(pH3.5)で溶出した。タンパク質を含有する画分を5%(v/v)1Mトリス(pH8.0)で中和した。バッファーA(50mM Tris pH 8.0)およびB(50mM Tris、1M NaCl pH 8.0)で予め平衡化されたQ Sepharose FF 10mLカラム(GE Healthcare)上に溶出プールをローディングした。10% B(100mM NaCl)で洗浄し、ついで20% B(200mM NaCl)で溶出した。50mMアルギニン(pH7.22)を含有するPBSで平衡化されたHiLoad(商標)26/60 Superdex(GE Healthcare)でタンパク質を更に処理した。画分を分析用サイズ排除クロマトグラフィーにより評価し、そして90%を超える単量体を含有する画分をプールし、濃縮し、特徴づけした。サンプルの純度を分析用サイズ排除クロマトグラフィー、およびクーマシー染色を用いるSDS-PAGEにより評価した。分析は、該成熟タンパク質がCNKAL(配列番号15)のN末端配列を有することを示した。
実施例2.マウスTWSGおよびヒトTWSG-Fcへのリガンド結合
過去の研究は、TWSGまたはその非哺乳類ホモログTsgがBMP2、BMP4およびBMP7に高いアフィニティで結合することを決定している(Oelgeschlagerら, 2000, Nature 405:757-763; Scottら, 2001, Nature 410:475-478; Changら, 2001, Nature 410:483-487)。これらの研究は、他のTGFβスーパーファミリーリガンドへのTWSG(またはTsg)の結合を系統的には評価していないため、本出願人らは表面プラズモン共鳴を用いて、そのような結合を調べ、特徴づけした。初期定性スクリーニングにおいて、組換えマウスTWSG(mTWSG; R&D Systems, Minneapolis, MN)をBIACORE(商標)CM5チップ上に共有結合により固定化し、社内で作製した又はR&D Systemsから入手した30個を超えるリガンドを捕捉mTWSG上に個々に注入して、室温でのそれらの結合の度合を特徴づけした。このスクリーニングの結果に基づいて、本出願人らは、選択されたリガンドを生理的温度でのヒトTWSG融合タンパク質への結合の定量的特徴づけに付した。この分析のために、TWSG-FcをCHO細胞において発現させ、実施例1に記載されているとおりに精製し、BIACORE(商標)チップ上で抗Fc抗体で捕捉し、37℃で以下のリガンドを使用する表面プラズモン共鳴により試験した。
上記の表に示されているとおり、ヒトTWSG-Fcはサブナノモルのアフィニティで4つのTGFβスーパーファミリーリガンド(BMP2、BMP4、BMP6、BMP7)に結合しうる。TWSG-Fcは平衡状態でBMP9に対して低いナノモルのアフィニティを示したが、BMP9に対する解離速度(kd)は、示されているその他のリガンドのいずれの場合よりも少なくとも一桁速く、これは約1分のリガンド-受容体複合体に関する平均滞留時間に対応している。この比較的短い滞留時間は、おそらく、細胞に基づくアッセイにおいてTWSG-Fc融合タンパク質がBMP9シグナル伝達を抑制し得ないことを説明するものであろう(実施例3を参照されたい)。表面プラズモン共鳴により測定されたとおり、TWSG-Fcは、CHO細胞において安定に発現された場合でさえも、密接に関連したリガンドであるBMP10への結合を示さなかった。
BMP2およびBMP4に対するマウスTWSGのアフィニティはそのグリコシル化状態によって変動することが報告されている(Billington Jr.ら, 2011, Front Physiol 2:59)。したがって、本出願人らは、hTWSG配列におけるN結合グリコシル化の既存部位(図3)を個別および組合せの両方の様態で突然変異させ、該構築物をCOS細胞において一過性に発現させることにより、hTWSG-hFcの幾つかのグリコシル化変異体を作製した。マウス変異体の報告とは異なり、表面プラズモン共鳴およびレポーター遺伝子アッセイにより決定されたこれらのヒトグリコシル化変異体のリガンド結合特性は、野生型ヒトTWSG-Fcのそれに類似していることが判明した。
実施例3.細胞に基づくアッセイにおけるTWSG-Fcによるリガンドシグナル伝達の抑制
レポーター遺伝子アッセイを用いて、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、BMP9およびBMP10によるシグナル伝達を抑制するヒトTWSG-Fcの能力を測定した。これらのアッセイは、pGL3 BRE(BMP応答要素)レポータープラスミド(Korchynskyiら, 2002, J Biol Chem 277:4883-4891)およびトランスフェクション効率を制御するためのウミシイタケ(Renilla)レポータープラスミド(pRLCMV)でトランスフェクトされたヒト神経膠芽腫(T98G)または肝細胞癌(HepG2)細胞株に基づく。Id1プロモーターからのBMP応答要素はpGL3 BREレポータープラスミドのプロモーター内に存在し、したがって、このベクターは、Smad1およびSmad5を介してシグナル伝達する因子に一般的に有用である。
該アッセイの初日に、T98G細胞(ATCC(登録商標):CRL-1690(商標))またはHepG2細胞(ATCC(登録商標):HB-8065(商標))を、それぞれ、8.5×104細胞/ウェルまたは12.5×104細胞/ウェルで48ウェルプレート内で分配した。第2日に、10μgのpGL3 BRE、100ngのpRLCMV、30μlのFugene HD(Roche Applied Science, DE)および970μlのOptiMEM(商標)(Invitrogen)を含有する溶液を30分間プレインキュベートし、ついで、イーグル最小必須培地, ATCC(登録商標)(T98G)またはマッコイ5A培地, Life Technologies(登録商標)(HepG2)(0.1% BSAで補足されたもの)のいずれかからなるアッセイバッファーに加えた。該混合液をプレート化細胞(500μl/ウェル)に適用し、37℃で一晩インキュベートした。
第3日に、培地を除去し、リガンドとインヒビターとの混合物(後記のとおり)と共に37℃で一晩インキュベートした。48ウェルプレートを使用して、TWSG-Fcを200μlの体積のアッセイバッファー中で系列希釈した。試験リガンドを含有する等しい体積のアッセイバッファーを加えて、予め決定されたEC50に等しい最終リガンド濃度を得た。ヒトBMP2、BMP4、BMP6、BMP7、BMP9およびBMP10はR&D Systemsから入手した。試験溶液を37℃で30分間インキュベートし、ついで、250μlの混合物を全ウェルに加えた。試験品の各濃度を二重に重複して決定した。試験溶液の存在下の一晩のインキュベーションの後、細胞をリン酸緩衝食塩水で洗浄し、ついで受動細胞溶解バッファー(Promega E1941)で溶解し、-70℃で一晩保存した。第4日および最終日に、プレートを穏やかに振盪しながら室温に加温した。細胞ライセートを化学発光プレート(96ウェル)に二重重複で移し、二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ(Dual-Luciferase Reporter Assay)系(Promega E1980)からの試薬を使用してルミノメーターにおいて分析して、正規化ルシフェラーゼ活性を決定した。
本出願人らが高アフィニティ結合体として表面プラズモン共鳴により特定したBMPにより媒介される細胞シグナル伝達を抑制するTWSG-Fcの能力を評価するために、これらのアッセイを用いた。これらのアッセイで使用したTWSG-FcをCHO細胞において発現させ、前記のとおりに精製した。
TWSG-hFcはBMP4、BMP6およびBMP7のインヒビターとしてほぼ同等の効力を示し、IC50値は低いナノモル範囲であったが、それはBMP2の抑制においては1桁低い効力を示した。表面プラズモン共鳴分析から予想されるとおり、TWSG-FcはBMP9またはBMP10によるシグナル伝達を明白には抑制しなかった。
実施例4.マウスにおける鉄および赤血球レベルに対するTWSG-Fcの刺激効果
慢性疾患、自己免疫疾患および感染に関連する炎症は貧血を促進する可能性があり、それに対しては、限られた治療選択肢しか存在しない(Roy, 2010, Hematology Am Soc Hematol Educ Program, 2010:276-80; Kwaan, 2011, Infect Disord Drug Targets 11:40-44)。トランスジェニックマウスモデルにより示されているとおり(Royら, 2007, Blood 109:4038-4044)、現在ではヘプシジン産生の上昇が炎症性貧血の主要原因とみなされている(Roy, 2010, Hematology Am Soc Hematol Educ Program, 2010:276-80; Ganzら, 2012, Biochim Biophys Acta 1823:1434-1443)。そしてBMP6はヘプシジン発現の重要な内因性調節因子であることが確認されている(Camaschella, 2009, Nat Genet 41:386-388; Meynardら, 2009, Nat Genet 41:478-481; Andriopoulosら, 2009, Nat Genet 41:482-487)。
ヒトTWSG-Fcが、特にBMP6により媒介されるシグナル伝達を抑制しうることを考慮して、本出願人らは、野生型マウスにおける鉄レベルおよび赤血球指標に対するヒトTWSG-Fcの効果を調べた。8週齢のC57BL/6マウス(n = 5/群)をTWSG-Fc(10mg/kg)またはビヒクル(50mMアルギニンを含有するリン酸緩衝食塩水)で毎日1週間または週3回4週間のいずれかで腹腔内処置した。ビヒクルと比較して、TWSG-Fcで1週間の処置は血清鉄を12%、有意に増加させた(n = 5/群)(図5)。TWSG-Fcでの4週間の処置は脾臓における鉄レベルを著しく増加させたが(図6)、他の組織においては増加させず、これは脾臓における赤血球生成のアップレギュレーションを示している。図6に示されているとおり、TWSG-Fcで4週間処置された野生型マウスからの脾臓切片は、赤脾髄としての公知の活発な赤血球生成の領域にわたって広がる鉄反応生成物の多数の沈着物を含有していた(右パネル、顕微鏡下でプルシアンブルー染色を示す)。ビヒクル処置マウスからの脾臓切片においては、染色はほとんど又は全く存在しなかった(図6、左パネル)。この知見と一致して、TWSG-Fcでの4週間の処置は赤血球数およびヘモグロビン濃度を有意に増加させた(図7)。図7に示されているとおり、ビヒクルと比較して、TWSG-Fcでの4週間の野生型マウスの処置はRBC数を15%増加させ(図7A)、ヘモグロビン濃度を12%増加させた(図7B)。これらの同じマウスにおいて、二重エネルギーX線吸光光度法により測定されたとおり、骨密度に対するTWSG-Fc処置の効果は観察されず、あるいは、核磁気共鳴により測定されたとおり、体液量、体脂肪量または除脂肪体重に対するTWSG-Fc処置の効果は観察されなかった。この効果プロファイルはALK3-Fc融合タンパク質の場合(これはBMP2およびBMP4に最高アフィニティで結合し、骨成長をインビボで著しく刺激する)とは対照的である(米国特許第8,338,377号)。
総合すると、これらの結果は、TWSG-Fcがインビボで鉄レベルおよびRBC指標に対して刺激効果をもたらすことを示しており、これは、細胞に基づくアッセイにおいてそれがBMP6を抑制しうることと合致している。本出願人らは、TWSG-Fcのこれらの効果がヘプシジンのBMP6依存性肝発現の低減および循環ヘプシジン濃度の減少によりもたらされると仮定している。したがって、TWSG-FcのようなTWSG融合タンパク質は、炎症性貧血の治療を要する患者における炎症性貧血の治療に有用でありうる。
文献の援用(組み入れ)
本明細書中で挙げられている全ての刊行物および特許を、各個の刊行物または特許が参照により本明細書中に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書中に組み入れることとする。
本発明内容の特定の実施形態を前記において説明したが、前記の明細書は例示的なものであり、限定的なものではない。本明細書および以下の特許請求の範囲を精査すれば、多数の変形形態が当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を均等物のその全範囲と共に参照することにより、そして本明細書をそのような変形形態と共に参照することにより決定されるべきである。

Claims (100)

  1. ツイスティッド・ガストルレーション(TWSG)ポリペプチドおよびフラグメント結晶化可能領域(Fc)ポリペプチドを含むポリペプチド。
  2. TWSGポリペプチドがヒトまたは非ヒト脊椎動物TWSGポリペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. TWSGポリペプチドが、配列番号2の核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. TWSGポリペプチドが、高度にストリンジェントな条件下、配列番号2の配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. 高度にストリンジェントな条件が、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含む、請求項4に記載のポリペプチド。
  6. TWSGポリペプチドが、配列番号8の配列に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  7. TWSGポリペプチドが、配列番号8の配列に対して少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  8. TWSGポリペプチドが、配列番号8の配列に対して少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  9. TWSGポリペプチドが、配列番号8の配列に対して少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  10. TWSGポリペプチドが配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  11. TWSGポリペプチドが、野生型TWSGポリペプチドと比較してアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  12. TWSGポリペプチドがシグナル配列を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  13. FcポリペプチドがIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはキメラIgGサブクラスに由来する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  14. Fcポリペプチドが、高度にストリンジェントな条件下、配列番号3、4、5、6または7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  15. 高度にストリンジェントな条件が、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含む、請求項14に記載のポリペプチド。
  16. Fcポリペプチドが、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  17. Fcポリペプチドが、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  18. Fcポリペプチドが、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  19. Fcポリペプチドが、配列番号3、4、5、6または7の配列に対して少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  20. Fcポリペプチドが配列番号3、4、5、6または7のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  21. Fcポリペプチドが、野生型Fcポリペプチドと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  22. ポリペプチドがTWSGポリペプチドとFcポリペプチドとの融合ポリペプチドである、請求項1〜21のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  23. TWSGポリペプチドとFcポリペプチドとの間にリンカー配列を更に含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  24. リンカー配列がX-(G)n-Y(式中、Xは存在しない、または少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくはTもしくはSであり、nは、少なくとも1の値を有する整数、好ましくは3または4であり、Yは存在しない、または少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくはSである)の構造を含む、請求項23に記載のポリペプチド。
  25. リンカー配列がTGGG(配列番号16)、SGGG(配列番号17)、TGGGG(配列番号18)、SGGGG(配列番号19)、GGGGS(配列番号20)、GGGG(配列番号21)またはGGGを含む、請求項24に記載のポリペプチド。
  26. リンカー配列がTGGG(配列番号16)を含む、請求項25に記載のポリペプチド。
  27. ポリペプチドが、配列番号14の配列に対して少なくとも約80%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項22に記載のポリペプチド。
  28. ポリペプチドが、配列番号14の配列に対して少なくとも約90%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項22に記載のポリペプチド。
  29. ポリペプチドが、配列番号14の配列に対して少なくとも約95%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項22に記載のポリペプチド。
  30. ポリペプチドが、配列番号14の配列に対して少なくとも約99%同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項22に記載のポリペプチド。
  31. ポリペプチドが配列番号14の核酸配列によりコードされうる、請求項22に記載のポリペプチド。
  32. ポリペプチドが、高度にストリンジェントな条件下、配列番号14の配列に相補的である核酸配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされうる、請求項22に記載のポリペプチド。
  33. 高度にストリンジェントな条件が、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約65℃でのハイブリダイゼーション、およびそれに続く、0.2×SSC中、約65℃での洗浄を含む、請求項32に記載のポリペプチド。
  34. 配列番号9または13の配列に対して少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  35. 配列番号9または13の配列に対して少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  36. 配列番号9または13の配列に対して少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  37. 配列番号9または13の配列に対して少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  38. 配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  39. 配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
  40. アミノ酸配列が配列番号9における少なくとも1つのN結合グリコシル化部位において少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項22〜37のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  41. ポリペプチドが少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)に結合しうる、請求項1〜40のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  42. ポリペプチドが、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7およびBMP9から選択される少なくとも1つのBMPに結合しうる、請求項41に記載のポリペプチド。
  43. BMP2、BMP4、BMP6およびBMP7から選択されるBMPの少なくとも1つに多くとも1nM、0.5nMまたは0.33nMのKDで結合しうる、請求項41に記載のポリペプチド。
  44. BMP2、BMP4、BMP6およびBMP7に多くとも1nM、0.5nMまたは0.33nMのKDで結合しうる、請求項43に記載のポリペプチド。
  45. 結合が表面プラズモン共鳴により検出される、請求項41〜44のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  46. 少なくとも1つのBMPを抑制しうる、請求項1〜45のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  47. 少なくとも1つのBMPがBMP2、BMP4、BMP6およびBMP7から選択される、請求項46に記載のポリペプチド。
  48. ポリペプチドが、BMP4、BMP6およびBMP7から選択される少なくとも1つのBMPを多くとも5nMまたは3.7nMのIC50で抑制しうる、請求項46に記載のポリペプチド。
  49. ポリペプチドがBMP4、BMP6およびBMP7を多くとも5nMまたは3.7nMのIC50で抑制しうる、請求項48に記載のポリペプチド。
  50. ポリペプチドが、Smad 1および/またはSmad 5を介する細胞シグナル伝達の少なくとも1つの態様を抑制しうる、請求項46〜49のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  51. 細胞シグナル伝達の少なくとも1つの態様の抑制が、細胞に基づくアッセイにより測定される、請求項50に記載のポリペプチド。
  52. 細胞に基づくアッセイが、pGL3 BREレポータープラスミドにおけるBMP応答要素を使用するインビトロアッセイである、請求項51に記載のポリペプチド。
  53. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド複合体。
  54. Fcポリペプチドが該多量体ポリペプチド複合体における少なくとも1つのポリペプチドと相互作用する、請求項53に記載の多量体ポリペプチド複合体。
  55. 多量体ポリペプチド複合体が二量体である、請求項53または54に記載の多量体ポリペプチド複合体。
  56. 多量体ポリペプチド複合体がホモ二量体である、請求項55に記載の多量体ポリペプチド複合体。
  57. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物。
  58. 請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体と薬学的に許容される担体とを含む組成物。
  59. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体をコードするポリヌクレオチド。
  60. ポリヌクレオチドがmRNA分子である、請求項59に記載のポリヌクレオチド。
  61. 請求項59または60に記載のポリヌクレオチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物。
  62. 請求項59または60に記載のポリヌクレオチドに機能的に連結された少なくとも1つの調節配列を含むベクター。
  63. 請求項62に記載のベクターを発現する宿主細胞。
  64. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクター、および/または請求項63に記載の宿主細胞、および場合により投与装置を含むキット。
  65. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、および/または請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチドを発現または過剰発現するように操作された非ヒト動物。
  66. i)請求項59または60に記載のポリヌクレオチドを含む細胞を準備すること、および
    ii)該ポリヌクレオチドによりコードされるTWSG-Fc融合ポリペプチドの発現に適した条件下、該細胞を培養すること
    を含む、TWSG-Fc融合ポリペプチドの製造方法。
  67. iii)発現されたTWSG-Fc融合ポリペプチドを回収することを更に含む、請求項66に記載の製造方法。
  68. 細胞が哺乳類細胞である、請求項66または67に記載の製造方法。
  69. 哺乳類細胞がCHO細胞である、請求項68に記載の製造方法。
  70. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を投与することを含む、細胞、組織または器官におけるBMPシグナル伝達を抑制する方法。
  71. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を対象に投与することを含む、対象において赤血球および/もしくはヘモグロビンレベルを増加させる、または輸血依存(TD)を低減する方法。
  72. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を対象に投与することを含む、対象において鉄レベルを増加させる方法。
  73. 対象における鉄レベルの増加が脾臓においては生じるが、他の組織においては生じない、請求項72に記載の方法。
  74. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を対象に投与することを含む、対象における鉄過剰症の治療方法。
  75. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を対象に投与することを含む、対象における鉄過剰症の予防方法。
  76. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を対象に投与することを含む、対象におけるBMPシグナル伝達の調節不全の治療方法。
  77. 該調節不全の治療が対象における無効赤血球生成の治療を含む、請求項76に記載の方法。
  78. 該調節不全の治療が貧血、脾腫、赤芽球誘発性骨病理、鉄過剰症およびサラセミア症候群の治療を含む、請求項76に記載の方法。
  79. 請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターおよび/または請求項63に記載の宿主細胞を対象に投与することを含む、対象における貧血の治療方法。
  80. ツイスティッド・ガストルレーション(TWSG)ポリペプチドとフラグメント結晶化可能領域(Fc)ポリペプチドとを含む融合タンパク質を対象に投与することを含む、対象における貧血の治療方法。
  81. ツイスティッド・ガストルレーション(TWSG)ポリペプチドとフラグメント結晶化可能領域(Fc)ポリペプチドとを含む融合タンパク質を含む多量体ポリペプチド複合体を対象に投与することを含む、対象における貧血の治療方法。
  82. 多量体ポリペプチド複合体が二量体である、請求項81に記載の方法。
  83. 多量体ポリペプチド複合体がホモ二量体である、請求項82に記載の方法。
  84. 多量体ポリペプチド複合体がヘテロ二量体である、請求項82に記載の方法。
  85. 融合タンパク質が配列番号9の配列を含む、請求項80〜84のいずれか1項に記載の方法。
  86. 融合タンパク質が配列番号13の配列を含む、請求項80〜84のいずれか1項に記載の方法。
  87. 貧血が、遺伝性貧血、後天性貧血、慢性疾患または炎症の貧血、赤血球異形成貧血(I型およびII型)、鎌状赤血球貧血、遺伝性球状赤血球症、ピルビン酸キナーゼ欠乏関連貧血または巨赤芽球性貧血から選択される少なくとも1つである、請求項79〜86のいずれか1項に記載の方法。
  88. 投与が局所、経腸または非経口である、請求項70〜87のいずれか1項に記載の方法。
  89. 投与が経口または鼻腔内である、請求項70〜87のいずれか1項に記載の方法。
  90. 投与が静脈内、皮下、動脈内、腹腔内または筋肉内である、請求項70〜87のいずれか1項に記載の方法。
  91. 第2の薬剤または第2の治療行為を共に投与若しくは実施することを更に含む、請求項70〜87のいずれか1項に記載の方法。
  92. 第2の薬剤がEPOまたはそのアゴニストもしくは類似体である、請求項91に記載の方法。
  93. 第2の治療行為が輸血である、請求項91に記載の方法。
  94. 対象がヒトである、請求項71〜93のいずれか1項に記載の方法。
  95. 対象におけるBMPシグナル伝達の抑制、赤血球および/またはヘモグロビンレベルの増加、輸血依存(TD)の低減、鉄レベルの増加、鉄過剰症の治療または予防、あるいはBMPシグナル伝達の調節不全の治療のための、請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターまたは請求項63に記載の宿主細胞。
  96. 対象におけるBMPシグナル伝達の抑制、赤血球および/またはヘモグロビンレベルの増加、輸血依存(TD)の低減、鉄レベルの増加、鉄過剰症の治療または予防、あるいはBMPシグナル伝達の調節不全の治療のための、請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターまたは請求項63に記載の宿主細胞の使用。
  97. 対象におけるBMPシグナル伝達の調節不全に関連した疾患または障害の治療のための医薬の製造のための、請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターまたは請求項63に記載の宿主細胞の使用。
  98. 対象における貧血の治療のための、請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターまたは請求項63に記載の宿主細胞。
  99. 対象における貧血の治療のための、請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターまたは請求項63に記載の宿主細胞の使用。
  100. 対象における貧血の治療のための医薬の製造のための、請求項1〜52のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項53〜56のいずれか1項に記載の多量体ポリペプチド複合体、請求項59もしくは60に記載のポリヌクレオチド、請求項57、58もしくは61に記載の組成物、請求項62に記載のベクターまたは請求項63に記載の宿主細胞の使用。
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