本出願は、本出願の譲受人へ譲渡され、その全体が参照により本出願に明示的に援用されている、2016年8月1日に出願された、発明の名称が「デュアル符号化を用いたロバストな中継再送信」である仮出願第62/369,489号の優先権を主張する。
上述したように、通信システムは、リピータ、中継装置及び自己バックホール基地局を利用して、基地局と基地局によりサービスされるUE装置との間で送信される信号を転送することが多い。信号は、基地局からUE装置に転送されるか、UE装置から基地局に転送されるか、又はそれら両方であってよい。システムによっては、信号転送装置(例えば、リピータ、中継装置など)とUE装置との間の通信チャネルについての通信リソースのスケジューリングは、基地局のスケジューラ、又は基地局に接続された集中スケジューラによって実行される。本明細書で説明する例では、スケジューラは、信号転送装置が信号を転送する/転送される基地局に位置するか、又は接続されるものとする。ただし、スケジューラは、物理的に基地局に位置しなくてもよく、他の適切な位置(例えば、信号転送装置、又は基地局が属する無線アクセスネットワーク内のどこか他の位置)に位置してもよい。
典型的な中継シナリオでは、アンカー基地局は、基地局と中継ノードとの間のチャネル状態に適した符号化パラメータを使用して、宛先装置向けのデータをシングル符号化するだけであると考えられる。中継ノードは、基地局からの送信を受信すると、データを復号し、続いて中継局と宛先装置(例えば、UE装置)との間のチャネル状態に適した符号化パラメータを使用してデータを符号化する。このようなシナリオの1つの欠点は、中継装置がデータを宛先装置に送信する前にデータを符号化している間に中継装置で生じる追加の処理遅延である。典型的な中継シナリオの別の欠点は、宛先装置によって受信に失敗したデータパケットを再送信するのを発信装置が待つときに生じる遅延であると考えられる。しかしながら、本明細書で論じる例では、(1)アンカー基地局は、宛先装置に対してデータの初期送信を送るために、信号転送装置(たとえば中継装置)による符号化を全く必要としないデュアル符号化された信号を送信する、並びに、(2)中継装置は、基地局がデータパケットを再送信するのを待つことなく、中継装置が宛先装置によって受信に失敗したデータパケットを再送信することができるように、デュアル符号化された信号の符号化の「内側」レイヤを復号することができる、様々な方法、装置、及びシステムについて説明する。
信号転送装置は実施例の中心であるので、説明全体を通して使用される用語は、信号転送装置を中心とする。より具体的には、「発信装置」は、信号転送装置に信号を送信する装置であり、発信装置から信号転送装置で受信される信号を「受信信号」と呼ぶ。同様に、「宛先装置」は、信号転送装置が本明細書で「転送信号」と呼ぶ信号を送信する先の装置である。更に、以下の例のほとんどは、基地局を「発信装置」、UE装置を「宛先装置」と呼ぶが、UE装置が「発信装置」であり、基地局が「宛先装置」であるように当該例を変更してもよい。
図1Aは、デュアル符号化発信装置、信号転送装置、及び宛先装置内で利用される、マルチユーザパケットを送信するための回路の一例のブロック図である。例えば、図1Aに示される様々なブロックは、本明細書に記載の様々な機能及びプロセスを実行するように構成された回路を表す。各機能は別々のボックスとして示されているが、各ボックスに対して表記された機能を実際に実行する回路は、複数のボックスに対して機能を実行するように構成されてもよい。例えば、発信装置、信号転送装置、及び/又は宛先装置内の制御部は、図1Aに示される機能のうちの1つ又は複数を実行するように構成された回路であってもよい。
発信装置110及び宛先装置114は、任意の種類の無線通信装置であってよく、固定式又は携帯型であってよい。本明細書で説明する例では、発信装置110は基地局であり、宛先装置114はハンドセットなどのユーザ機器(UE)装置である。ただし、装置110及び114は、他の環境では異なるタイプの装置であってもよい。例えば、両方の装置がUE装置であってもよい。状況によっては、発信装置、信号転送装置、及び宛先装置はすべてUE装置である。更に他の状況では、発信装置110はUE装置であり、宛先装置114は基地局である。
図1Aの例では、発信装置110は、宛先装置114に下り無線通信サービスを提供する。したがって、宛先装置114は、直接、又は信号転送装置138を介して、発信装置110から下りリンク信号を受信する。図1Aの例では、発信装置110は、デュアル符号化されたデータ信号を信号転送装置138に送信し、信号転送装置138は、シングル符号化されたデータ信号を宛先装置114に転送する。
例えば、発信装置110は、第1のユーザデータセット160を生成するか、又は無線アクセスネットワーク内の別のエンティティから第1のユーザデータセット160を受信する。図1Aに示す例では、第1のユーザデータセット160は、1人又は複数のユーザに関連するユーザデータを含む。発信装置110は、第1の巡回冗長検査値(CRC1)162を第1のユーザデータセットに追加するように構成された回路を有する。CRCは、受信側で受信データにエラーがあるかどうかを検出するために使用されるエラー検出コードである。本明細書に示される例はCRCを利用するが、任意の適切な誤り検出技術を使用してもよい。
CRC1を追加した後、第1のユーザデータセットは、エンコーダ1(164)によって符号化される。エンコーダ1は、信号転送装置138と宛先装置114との間の第1の通信リンクに関連するチャネル状態に対応する第1の符号化パラメータセットに従って第1のユーザデータセットを符号化する。第1の符号化パラメータセットは、第1の符号化技術及び/又は第1の符号化率を含む。第1のユーザデータセット160をエンコーダ1で符号化した結果が、シングル符号化された第1のユーザデータセットである。
図1Aに示す例では、第2のCRC値(CRC2)166がシングル符号化された第1のユーザデータセットに追加される。CRCはCRC2に使用されるが、CRC2の代わりに任意の適切な代替の誤り検出技術を使用してもよい。シングル符号化された第1のユーザデータセットは、CRC2と共に、エンコーダ2(168)によって符号化される。図1Aに示す例では、エンコーダ2は、信号転送装置138での待ち時間の少ない処理を確実にするために、非反復型符号化/復号(例えば、リードソロモン符号)を利用する。エンコーダ2は、発信装置110と信号転送装置138との間の第2の通信リンクに関連するチャネル状態に対応する第2の符号化パラメータセットに従って、シングル符号化された第1のユーザデータセットを符号化する。第2の符号化パラメータセットは、第2の符号化技術及び/又は第2の符号化率を含む。シングル符号化された第1のユーザデータセットをエンコーダ2で符号化した結果が、デュアル符号化された第1のユーザデータセットである。
データをデュアル符号化することの利点の1つは、符号化の各段階に対して選択された符号化パラメータが特定の通信リンクに対するチャネル状態に基づいて選択され得ることである。例えば、エンコーダ1は、信号転送装置と宛先装置(例えば、モバイルUE装置)との間の伝送により適している符号化技術に従って第1のユーザデータセットを符号化してもよい。エンコーダ2は、発信装置(例えば、基地局)と信号転送装置との間の伝送により適している第2の符号化技術に従って、シングル符号化された第1のユーザデータセットを符号化してもよい。例えば、第1の符号化技術は、信号転送装置と宛先装置との間の伝送により適している畳み込み符号化を利用してもよく、第2の符号化技術は、発信装置と信号転送装置間の伝送により適している低密度パリティ符号(LDPC)を使用するターボ符号化又はレートレスチャネル符号化であってもよい。ただし、チャネル符号化技術のうちの任意のものを、発信装置と信号転送装置との間のチャネル又は信号転送装置と宛先装置との間のチャネルに使用してもよい。
同様に、エンコーダ1は、信号転送装置と宛先装置(例えば、モバイルUE装置)との間の伝送により適した符号化率で、第1のユーザデータセットを符号化してもよく、エンコーダ2は、発信装置(例えば、基地局)と信号転送装置との間の伝送により適した異なる符号化率で、シングル符号化された第1のユーザデータセットを符号化してもよい。より具体的には、例えば、第1のユーザデータセットを1/3の符号化率で符号化して、シングル符号化された第1のユーザデータセットを得てもよく、シングル符号化された第1のユーザデータセットを2/3の符号化率で符号化して、デュアル符号化された第1のユーザデータセットを得てもよい。
使用される特定の符号化パラメータとは無関係に、デュアル符号化された第1のユーザデータセットは、発信装置110の変調部170によって変調される。図1Aに示す例では、直交振幅変調(QAM)が使用されている。しかしながら、他の任意の適切な変調方式を使用してもよい。更に、変調部170によって利用される変調方式はまた、発信装置110と信号転送装置138との間のチャネル状態に基づいて選択されてもよい。デュアル符号化された第1のユーザデータセットの変調は、デュアル符号化された受信信号136を生成する。
発信装置110は、送信部122を利用して、デュアル符号化された受信信号136を信号転送装置138に送信し、信号転送装置138は、受信部142を介してその送信を受信する。信号転送装置138の復調部172は、変調部170によって利用される変調方式に対応する復調方式を使用して、デュアル符号化された受信信号136を復調する。デュアル符号化された受信信号136の復調は、デュアル符号化された第1のユーザデータセットを生成する。
デコーダ2(174)は、シングル符号化された第1のユーザデータセットを符号化するために発信装置110のエンコーダ2(168)によって使用された第2の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、デュアル符号化された第1のユーザデータセットを復号する。デコーダ2を用いてデュアル符号化された第1のユーザデータセットを復号した結果が、第1の符号化パラメータセットに従って符号化されたシングル符号化された第1のユーザデータセットである。
復号した後、発信装置110によってシングル符号化された第1のユーザデータセットに追加された第2のCRC値(CRC2)は、CRC2チェック176によってチェックされる。このCRC2チェック176は、復号後のシングル符号化された第1のユーザデータセットにエラーが存在するかどうかを検出する。CRC2チェック176がエラーを検出した場合、信号転送装置138は、否定応答(NACK)を発信装置110に送信することができ、これは、デュアル符号化された受信信号136が受信に失敗したことを示す。CRC2チェック176がエラーを検出しない場合、信号転送装置138は、肯定応答(ACK)を発信装置110に送信することができ、これは、デュアル符号化された受信信号136が受信に成功したことを示す。また、エラーがない場合、信号転送装置138は、以下により十分に説明されるように、シングル符号化された第1のユーザデータセットを変調部178に転送し、更に、シングル符号化された第1のユーザデータセットのコピーをメモリ188に格納して、後になって使用されうるようにする。
信号転送装置138の変調部178は、シングル符号化された第1のユーザデータセットを変調する。図1Aに示す例では、直交振幅変調(QAM)が変調部178によって使用される。しかしながら、他の任意の適切な変調方式を使用してもよい。更に、変調部178によって利用される変調方式はまた、信号転送装置138と発信装置114との間のチャネル状態に基づいて選択されてもよい。シングル符号化された第1のユーザデータセットの変調は、シングル符号化転送信号148を生成する。
信号転送装置138は、送信部146を利用して、第1のシングル符号化された転送信号148を宛先装置114に送信し、宛先装置114は、受信部130を介してその送信を受信する。宛先装置114の復調部180は、変調部178によって利用される変調方式に対応する復調方式を使用して、第1のシングル符号化された転送信号148を復調する。第1のシングル符号化された転送信号148の復調は、第1のシングル符号化された転送信号148に含まれるシングル符号化された第1のユーザデータセットを生成する。
宛先装置114のデコーダ1(182)は、第1のユーザデータセットを符号化するために発信装置110のエンコーダ1(164)によって使用された第1の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、シングル符号化された第1のユーザデータセットを復号する。シングル符号化された第1のユーザデータセットをデコーダ1で復号した結果が、第1のユーザデータセットである。復号した後、発信装置110によって第1のユーザデータセットに追加された第1のCRC値(CRC1)は、CRC1チェック184によってチェックされる。このCRC1チェック184は、復号後の第1のユーザデータセットにエラーが存在するかどうかを検出する。
CRC1チェック184がエラーを検出しない場合、宛先装置114は、肯定応答応答(ACK)を信号転送装置138及び/又は発信装置110に送信することができ、これは、第1のシングル符号化された転送信号148の受信に成功したことを示す。宛先装置114がACKを発信装置110に送信する場合、ACKは、発信装置110に直接送信することも、信号転送装置138を介して発信装置110に送信することもできる。CRC1チェック184によってエラーが検出されない場合、宛先装置114は、第1のユーザデータセット(例えば、受信されたユーザデータ186)の受信及び復号に成功する。
これにより、(1)信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクと、び(2)それぞれ発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクとにそれぞれ関連するチャネル状態に基づいて選択された第1及び第2の符号化パラメータセットを用いて発信装置110における第1のユーザデータセットをデュアル符号化することによって、よりロバストなデータ配信システムが構築される。
しかしながら、CRC1チェック184がエラーを検出した場合、宛先装置114は、否定応答(NACK)を信号転送装置138及び/又は発信装置110に送信し、これは、第1のシングル符号化された転送信号148の受信及び/又は復号に失敗したことを示す。この例では、NACKは、信号転送装置138によって送信されるシングル符号化された転送信号の再送信の要求であると見なされる。例えば、信号転送装置138は、NACKを受信すると、メモリ188からシングル符号化された第1のユーザデータセットの格納されたコピーを取得する。信号転送装置138のデコーダ1(190)は、第1の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、取得したシングル符号化された第1のユーザデータセットを復号する。シングル符号化された第1のユーザデータセットをデコーダ1(190)で復号した結果が、第1のユーザデータセットである。
図1Aの例では、デコーダ1(190)はデコーダ2(174)とは別に示されているが、デコーダ1(190)の機能を実行する回路を、デコーダ2(174)の機能を実行するのに利用されるのと同じ回路としてもよい。例えば、図1Bの制御部144を、デコーダ2(174)及びデコーダ1(190)が必要とする機能を実行するように構成してもよい。他の例では、デコーダ2(174)及びデコーダ1(190)がそれぞれ必要とする機能を実行するように、異なる回路を利用してもよい。
デコーダ1(190)を用いて復号した後、発信装置110によって第1のユーザデータセットに追加された第1のCRC値(CRC1)は、CRC1チェック192によってチェックされる。このCRC1チェック192は、復号後の第1のユーザデータセットにエラーが存在するかどうかを検出する。CRC1チェック192がエラーを検出しない場合、信号転送装置138は、肯定応答応答(ACK)を発信装置110に送信することができ、これは、信号転送装置138が第1のユーザデータセット(例えば、受信したユーザデータ186)の受信及び復号に成功したことを示す。しかしながら、CRC1チェック192がエラーを検出した場合、信号転送装置138は、否定応答(NACK)を発信装置110に送信し、これは、第1のデュアル符号化された受信信号136の受信に失敗したことを示す。この例では、NACKは、発信装置110によって送信されることになるデュアル符号化された受信信号136の再送信の要求であると見なされる。
信号転送装置138は、第3の巡回冗長検査値(CRC3)196を第1のユーザデータセットに追加するように構成された回路を有する。CRCは、受信側で受信パケットにエラーがあるかどうかを検出するために使用されるエラー検出コードである。本明細書に示される例はCRCを利用するが、任意の適切な誤り検出技術を使用してもよい。CRC3を追加した後、第1のユーザデータセットは、エンコーダ3(198)によって符号化される。エンコーダ3は、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関連するチャネル状態に対応する第3の符号化パラメータセットに従って第1のユーザデータセットを符号化する。第3の符号化パラメータセットは、第3の符号化技術及び/又は第3の符号化率を含む。
図1Aに示す例において、第3の符号化パラメータセットは、第1のユーザデータセットを符号化するために発信装置110のエンコーダ1(164)によって最初に使用された第1の符号化パラメータセットと異なってもよい。より具体的には、第3の符号化パラメータセットの符号化技術及び/又は符号化率は、第1の符号化パラメータセットとは異なってもよい。第1のユーザデータセットをエンコーダ3で符号化した結果が、第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットである。
信号転送装置138の変調部178は、第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットを変調する。図1Aに示す例では、直交振幅変調(QAM)が変調部178によって使用される。しかしながら、他の任意の適切な変調方式を使用してもよい。例えば、変調部178によって利用される変調方式は、信号転送装置138と宛先装置114との間のチャネル状態に基づいて選択されてもよい。更に、第2のシングル符号化された第1のユーザデータのセットを変調するために変調部178によって使用される変調方式及び/又は変調次数は、第1のシングル符号化された転送信号148を変調するために利用される変調方式及び/又は変調次数とは異なってもよい。第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットの変調は、第2のシングル符号化転送信号148を生成する。
信号転送装置138は、送信部146を利用して第2のシングル符号化された転送信号148を宛先装置114に送信する。図1Aに示す例において、第2のシングル符号化された転送信号148を送信するために使用される送信電力は、第1のシングル符号化された転送信号148を宛先装置114に送信するために使用される送信電力とは異なってもよい。宛先装置114は、受信部130を介して第2のシングル符号化された転送信号148を受信する。第2のシングル符号化された転送信号148を受信すると、宛先装置114の復調部180は、変調部178によって利用される変調方式に対応する復調方式を使用して、第2のシングル符号化された転送信号148を復調する。第2のシングル符号化された転送信号148の復調は、第2のシングル符号化された転送信号148に含まれるシングル符号化された第1のユーザデータセットを生成する。
宛先装置114のデコーダ1(182)は、第1のユーザデータセットを符号化するために信号転送装置138のエンコーダ3(198)によって使用された第3の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、シングル符号化された第1のユーザデータセットを復号する。シングル符号化された第1のユーザデータセットをデコーダ1(182)で復号した結果が、第1のユーザデータセットである。復号後、信号転送装置138によって第1のユーザデータセットに追加された第3のCRC値(CRC3)は、CRC3チェック(図1Aに示さず)によってチェックされる。このCRC3チェックは、復号後の第1のユーザデータセットにエラーが存在するかどうかを検出する。
CRC1チェック184の機能を実行するのと同じ回路が、CRC3チェックの機能を実行するように更に構成されていると仮定しているので、CRC3チェックは、図1Aには示されていない。例えば、図1Bの制御部128を、CRC1チェック184及びCRC3チェックが必要とする機能を実行するように構成してもよい。他の例では、CRC1チェック184及びCRC3チェックがそれぞれ必要とする機能を実行するように、異なる回路を利用してもよい。同様に、図1Aの例では、CRC2チェック176は、CRC1チェック192とは別に示されているが、CRC1チェック192の機能を実行する回路を、CRC2チェック176の機能を実行するのに利用されるのと同じ回路としてもよい。例えば、図1Bの制御部144を、CRC1チェック192及びCRC2チェック176が必要とする機能を実行するように構成してもよい。他の例では、CRC1チェック192及びCRC2チェック176がそれぞれ必要とする機能を実行するように、異なる回路を利用してもよい。
CRC3チェックがエラーを検出しない場合、宛先装置114は、肯定応答応答(ACK)を信号転送装置138及び/又は発信装置110に送信することができ、これは、第2のシングル符号化された転送信号148の受信に成功したことを示す。宛先装置114がACKを発信装置110に送信する場合、ACKは、発信装置110に直接送信することも、信号転送装置138を介して発信装置110に送信することもできる。CRC3チェックによってエラーが検出されない場合、宛先装置114は、第1のユーザデータセット(例えば、受信されたユーザデータ186)の受信及び復号に成功する。
このように、信号転送装置138は、エンコーダ1(164)によって適用された符号化を復号し、第1のユーザデータセットを宛先装置114に再送信する。いくつかの例では、信号転送装置138は、第1のユーザデータセットを宛先装置114に最初に送信するために使用されたものとは異なる1つ又は複数の送信、変調、及び/又は符号化パラメータを利用して第1のユーザデータセットを再送信する。信号転送装置138は、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関連するチャネル状態に基づいて1つ又は複数の異なる送信、変調、及び/又は符号化パラメータを選択してもよい。このように、この改良された方法及びシステムは、NACKを送信した宛先装置に信号転送装置がデータを再送信することができる前に、信号転送装置がNACKを発信装置に送信して発信装置からの再送信を待つことを要求する典型的な中継シナリオにおける、追加の待ち時間の発生を効率的に回避する。
CRC3チェックがエラーを検出した場合、宛先装置114は、否定応答(NACK)を信号転送装置138に送信し、これは、第2のシングル符号化された転送信号148の受信及び/又は復号に失敗したことを示す。これに応答して、図1Aの例に示す信号転送装置138は、送信、変調、及び/又は符号化パラメータのうちの1つ又は複数を更に修正し、ユーザデータを宛先装置114に再送信する。他の例では、信号転送装置138は、発信装置110が第1のユーザデータセットを再送信できるように、NACKを発信装置110に転送する。
図1Aに示す例についての先の説明は、宛先装置114からNACKが受信されるまで、信号転送装置138が、デコーダ1(190)を使用せずにシングル符号化された第1のユーザデータセットを復号することを示す。しかしながら、他の例では、デコーダ1(190)は、宛先装置114からNACKを受信するのを待つことなく、シングル符号化された第1のユーザデータセットを復号するために使用されてもよい。例えば、信号転送装置138は、デコーダ1(190)を使用して、シングル符号化された第1のユーザデータセットを自動的に復号して、第1のユーザデータセットのコピーを格納し、その後NACKが宛先装置114から受信された場合に、信号転送装置138は、シングル符号化された第1のユーザデータセットを取得して復号する必要なく、第1のユーザデータセットを効率的に再送信することができる。
図1Bは、発信装置と、信号転送装置と、宛先装置とを含む無線通信システム100の一例のブロック図である。システム100は、1つの信号転送装置と1つの宛先装置のみを示しているが、システム100は、それぞれが1つ又は複数の宛先装置にサービスを提供する複数の信号転送装置を含んでもよい。発信装置110及び宛先装置114は、任意の種類の無線通信装置であってよく、固定式又は携帯型であってよい。本明細書で説明する例では、発信装置110は基地局であり、宛先装置114はハンドセットなどのユーザ機器(UE)装置である。ただし、装置110及び114は、他の環境では異なるタイプの装置であってもよい。例えば、両方の装置がUE装置であってもよい。状況によっては、発信装置、信号転送装置、及び宛先装置はすべてUE装置である。更に他の状況では、発信装置110はUE装置であり、宛先装置114は基地局である。
図1Bの例では、発信装置110は、宛先装置114に下り無線通信サービスを提供する。したがって、宛先装置114は、直接、又は信号転送装置138を介して、発信装置110から下りリンク信号(図示せず)を受信する。下りリンク信号は、アンテナ124及び受信部130を介して宛先装置114で受信される。宛先装置114は、制御部128及び送信部126を更に備える。発信装置110は、アンテナ116及び送信部122を介して宛先装置114及び信号転送装置138に下りリンク信号を送信する。
発信装置110は、制御部120及び送信部122、並びに他の電子機器、ハードウェア、及びコードを更に備える。発信装置110は、本明細書で説明する機能を実行する任意の固定式、移動式、又は携帯型の機器である。発信装置110を参照して説明されるブロックの種々の機能及び動作は、任意の数の装置、回路、又は素子において実施されてもよい。機能ブロックのうちの2つ以上は単一の装置に統合されてよく、任意の単一の装置において実行されるように説明される機能は、複数の装置にわたって実施されてよい。
図1Bに示す例では、発信装置110は、固定された装置、又はシステム展開時に特定の位置に設置される装置であってよい。このような機器の例には、固定基地局又は固定トランシーバ局が含まれる。状況によっては、発信装置110は、特定の位置に一時的に設置される移動機器であってもよい。このような機器の例には、発電機、太陽光パネル、及び/又はバッテリなどの発電装置を含み得る移動トランシーバ局が含まれる。大型及び大重量型のこのような装置は、トレーラーによって輸送されてもよい。更に他の状況では、発信装置110は、任意の特定の位置に固定されない携帯型装置であってもよい。したがって、発信装置110は、環境によっては、UE装置などの携帯型ユーザ装置であってもよい。
制御部120は、本明細書で説明される機能を実行し、かつ発信装置110の機能全体を促進する、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウエアの任意の組み合わせを含む。適切な制御部120の一例は、メモリに接続されたマイクロプロセッサ又はプロセッサ装置上で動作するコードを含む。送信部122は、無線信号を送信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、送信部122は、複数の送信部を含んでもよい。受信部118は、無線信号を受信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、受信部118は、複数の受信部を含んでもよい。受信部118及び送信部122は、それぞれ、アンテナ116を介して信号を受信及び送信する。アンテナ116は、別個の送信アンテナ及び受信アンテナを含んでもよい。環境によっては、アンテナ116は、複数の送信アンテナ及び受信アンテナを含んでもよい。
図1Bの例の送信部122及び受信部118は、変調及び復調を含む無線周波(RF)処理を実行する。したがって、受信部118は、低雑音増幅器(LNA)及びフィルタなどの構成要素を含んでもよい。送信部122は、フィルタ及び増幅器を含んでもよい。他の構成要素として、アイソレータ、整合回路、及びその他のRFコンポーネントが含まれてもよい。これらの構成要素は、他の構成要素と組み合わされて、又は協働して、発信装置機能を実行する。必要な構成要素は、発信装置によって必要とされる特定の機能に依存し得る。
送信部122は変調部170(図1Aに示す)を含み、受信部118は復調部(図示せず)を含む。変調部170は、デュアル符号化された受信信号136の一部として送信される信号を変調し、複数の変調次数のうちの任意の1つを適用することができる。復調部は、複数の変調次数のうちの1つに従って発信装置110で受信された任意の信号を復調する。
スケジューラ132は、図1Bに示す例では発信装置110に配置されている。ただし、システム100は、スケジューラ132が任意の他の適切な位置に配置されるように変更されてもよい。スケジューラ132の位置にかかわらず、システム100は、無線アクセスネットワーク内の複数のエンティティ(例えば、異なる発信装置、異なる信号転送装置、及び異なる宛先装置)がスケジューラ132にアクセスできるように構成されてもよい。例えば、アドホックトポロジでは、第1の発信装置は、スケジューラ132にアクセスしてデュアル符号化された受信信号を所与の時間に信号転送装置に送信することができるが、第2の発信装置は、スケジューラ132にアクセスしてデュアル符号化された受信信号を第2の異なる時間に信号符号化装置に送信することができる。
スケジューラは、発信装置110に直接接続されるか、又はバックホール又は他の通信リンクを介して接続された機器上で動作するアプリケーションであってよい。スケジューラ132の位置にかかわらず、システム100内の様々な通信リンクに関するチャネル品質情報(CQI)134は、システム100内の様々なエンティティによって使用される通信リソースをCQI134の使用によってスケジューリングするスケジューラ132に提供される。例えば図1Bに示すように、スケジューラ132は、発信装置110と宛先装置114との間の通信リンクに関するCQIと、発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクに関するCQIと、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関するCQIとを利用する。スケジューラ132は、これら3つの通信リンクのうちの少なくとも1つについてのチャネル品質に基づいて、通信リソースをスケジューリングする。
上記のように、図1Bの発信装置110は、デュアル符号化された受信信号136(例えば、下りリンク信号)を信号転送装置138に送信し、信号転送装置138はアンテナ140及び受信部142を介してデュアル符号化された受信信号136を受信する。信号転送装置138は、制御部144及び送信部146、並びに他の電子機器、ハードウェア、及びコードを更に備える。信号転送装置138は、本明細書で説明する機能を実行する任意の固定式、移動式、又は携帯型の機器である。信号転送装置138を参照して説明されるブロックの種々の機能及び動作は、任意の数の装置、回路、又は素子において実施されてもよい。機能ブロックのうちの2つ以上は単一の装置に統合されてよく、任意の単一の装置において実行されるように説明される機能は、複数の装置にわたって実施されてよい。
図1Bに示す例では、信号転送装置138は、固定された装置、又はシステム展開時に特定の位置に設置される装置であってよい。このような機器の例には、固定基地局又は固定トランシーバ局が含まれる。状況によっては、信号転送装置138は、特定の位置に一時的に設置される移動機器であってもよい。このような機器の例には、発電機、太陽光パネル、及び/又はバッテリなどの発電装置を含み得る移動トランシーバ局が含まれる。大型及び大重量型のこのような装置は、トレーラーによって輸送されてもよい。
更に他の状況では、信号転送装置138は、任意の特定の位置に固定されない携帯型装置であってよい。したがって、信号転送装置138は、環境によっては、UE装置などの携帯型ユーザ装置であってもよい。実施態様によっては、信号転送装置138は、UE装置にサービスすることに加えて信号転送機能を実行する基地局、eNB、又はアクセスポイントであってよい。例えば、アンカーeNBに接続された自己バックホールeNBは、いくつかのUE装置に対しては、発信装置110(例えば、アンカーeNB)への無線バックホールを利用して他のUE装置に直接サービスすることに加えて信号転送機能を実行するように構成されてよい。他の実施形態では、信号転送装置138は、セルラー機能を備えた無人機であってもよい。そのような無人機は、固定基地局からの既存の受信可能範囲を欠いている場所に向かって容易に動き回ることができる。
制御部144は、本明細書で説明される機能を実行し、かつ信号転送装置138の機能全体を促進する、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウエアの任意の組み合わせを含む。適切な制御部144の一例は、メモリに接続されたマイクロプロセッサ又はプロセッサ装置上で動作するコードを含む。送信部146は、無線信号を送信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、送信部146は、複数の送信部を含んでもよい。受信部142は、無線信号を受信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、受信部142は、複数の受信部を含んでもよい。受信部142及び送信部146は、それぞれ、アンテナ140を介して信号を受信及び送信する。アンテナ140は、別個の送信アンテナ及び受信アンテナを含んでもよい。環境によっては、アンテナ140は、複数の送信アンテナ及び受信アンテナを含んでもよい。
図1Bの例の送信部146及び受信部142は、変調及び復調を含む無線周波(RF)処理を実行する。したがって、受信部142は、低雑音増幅器(LNA)及びフィルタなどの構成要素を含んでもよい。送信部146は、フィルタ及び増幅器を含んでもよい。他の構成要素として、アイソレータ、整合回路、及びその他のRFコンポーネントが含まれてもよい。これらの構成要素は、他の構成要素と組み合わせて、又は協働して、信号転送機能を実行する。必要な構成要素は、利用される特定の信号転送方式に依存してもよい。
送信部146は変調部178(図1Aに示す)を含み、受信部142は復調部172(図1Aに示す)を含む。変調部は、シングル符号化された転送信号148の一部として送信される信号を変調し、複数の変調次数のうちの任意の1つを適用することができる。復調部は、複数の変調次数のうちの1つに従って、デュアル符号化された受信信号136を復調する。ただし、宛先装置114への送信に対する変調次数は、スケジューラ132によって確立される。
知られているように、変調次数は、変調シンボルを生成するために使用されるビット数を決定する。変調次数と、必要なエネルギーと、ビットエラーレート(BER)との間にはトレードオフが存在する。変調次数が増加するにつれて、同じBERを維持するためには、ビット当たりの平均エネルギーも増加させなければならない。図1Aに示す例では、信号転送装置138は、シングル符号化された転送信号148を送信する前に、低次変調シンボルを利用して、シングル符号化された第1のユーザデータセットを変調する。このシナリオは、信号転送装置138と宛先装置114との間の典型的なリンクが、発信装置110と信号転送装置138との間のリンクと比較して比較的低い信号対雑音比(SNR)を有するために生じる。状況によっては、例えば発信装置110と信号転送装置138との間の発信装置信号転送装置間(OD−SFD)チャネルは、通常、両方の装置が固定されているために静的であるが、信号転送装置138と宛先装置114との間の信号転送装置宛先装置間(SFD−DD)チャネルは、宛先装置114が移動可能であるため、一般に動的である。したがって、発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクが静的である場合、発信装置110は、高次変調次数を利用してもよく、これにより、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクと比較して比較的高いSNRが得られる。
上述のように、信号転送装置138は、アンテナ140及び受信部142を用いて、デュアル符号化された受信信号136を受信する。信号転送装置138は、図1Aの復調部172を用いて、デュアル符号化された受信信号136を復調し、これにより、デュアル符号化された第1のユーザデータセットが得られる。デュアル符号化された第1のユーザデータセットは、図1Aのデコーダ2(174)を用いて復号され、これにより、シングル符号化された第1のユーザデータセットが得られる。
デコーダ2による復号が成功すると、信号転送装置138は、図1Aの変調部178を用いて、シングル符号化された第1のユーザデータセットを変調し、これにより、第1のシングル符号化された転送信号148が得られる。信号転送装置138は、第1のシングル符号化された転送信号148を送信部146及びアンテナ140を介して宛先装置114に送信する。本明細書で説明する例では、シングル符号化された転送信号148は、SFD−DDチャネルの単一の周波数帯域内で送信される。着信した、デュアル符号化された受信信号136は、単一の周波数帯域をも含む発信装置信号転送装置間チャネル(OD−SFDチャネル)内で送信される。ただし、OD−SFDチャネル及びSFD−DDチャネルには、周波数帯域と周波数サブ帯域との任意の組合せを用いてもよい。
いくつかの例では、信号転送装置138の制御部144は、デュアル符号化された受信信号136の受信に応答して、デュアル符号化された受信信号136を測定して宛先装置110と信号転送装置138との間のOD−SFDチャネルに関連するチャネル測定値を取得するように構成されている。デュアル符号化された受信信号136を測定した後、信号転送装置138の送信部146は、OD?SFDチャネル測定値を発信装置110に送信する。OD−SFDチャネル測定値は、図1Bの破線の信号線154によって示されるように、発信装置110に送信される。このようにして、発信装置110は、受信部118を使用して、発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクに関連するチャネル状態に関するチャネルフィードバックを受信する。もちろん、他の例では、発信装置110は、信号転送装置138からの着信信号を測定することによって、発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクに関連するチャネル状態に関する自身のチャネル測定も取得できる。OD?SFDチャネルフィードバックを受信した後、発信装置110は、発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクに関連するチャネル状態に関する受信したチャネルフィードバックに基づいて、送信部122、変調部170、及びエンコーダ2(168)によってそれぞれ使用される送信、変調、及び/又は符号化パラメータのうちの1つ又は複数を修正することができる。
宛先装置114は、アンテナ124及び受信部130を介して第1のシングル符号化された転送信号148を受信する。宛先装置114は、制御部128及び送信部126、並びに他の電子機器、ハードウェア、及びコードを更に備える。宛先装置114は、本明細書で説明する機能を実行する任意の固定式、移動式、又は携帯型の機器である。宛先装置114を参照して説明されるブロックの種々の機能及び動作は、任意の数の装置、回路、又は素子において実施されてもよい。機能ブロックのうちの2つ以上は単一の装置に統合されてよく、任意の単一の装置において実行されるように説明される機能は、複数の装置にわたって実施されてよい。
制御部128は、本明細書で説明される機能を実行し、かつ宛先装置114の機能全体を促進する、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウエアの任意の組み合わせを含む。適切な制御部128の一例は、メモリに接続されたマイクロプロセッサ又はプロセッサ装置上で動作するコードを含む。送信部126は、無線信号を送信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、送信部126は、複数の送信部を含んでもよい。受信部130は、無線信号を受信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、受信部130は、複数の受信部を含んでもよい。受信部130及び送信部126は、それぞれ、アンテナ124を介して信号を受信及び送信する。アンテナ124は、別個の送信アンテナ及び受信アンテナを含んでもよい。環境によっては、アンテナ124は、複数の送信アンテナ及び受信アンテナを含んでもよい。
図1Bの例の送信部126及び受信部130は、変調及び復調を含む無線周波(RF)処理を実行する。したがって、受信部130は、低雑音増幅器(LNA)及びフィルタなどの構成要素を含んでもよい。送信部126は、フィルタ及び増幅器を含んでもよい。他の構成要素として、アイソレータ、整合回路、及びその他のRFコンポーネントが含まれてもよい。これらの構成要素は、他の構成要素と組み合わされて、又は協働して、宛先装置機能を実行する。必要な構成要素は、宛先装置によって必要とされる特定の機能に依存し得る。
送信部126は変調部(図示せず)を含み、受信部130は復調部180(図1Aに示す)を含む。変調部は、チャネル測定信号150及び152の一部として送信される信号を変調し、複数の変調次数のうちの任意の1つを適用することができる。復調部は、複数の変調次数のうちの1つに従って、シングル符号化された転送信号148を復調する。
上述したように、宛先装置114は、アンテナ124及び受信部130を用いてシングル符号化された転送信号148を受信する。宛先装置114は、図1Aの復調部180を用いて第1のシングル符号化された転送信号148を復調し、これにより、シングル符号化された第1のユーザデータセットが得られる。シングル符号化された第1のユーザデータセットは、図1Aのデコーダ1(182)で復号され、デコーダ1(182)は、エンコーダ1(164)によって利用される第1の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用する。デコーダ1(182)を用いた復号は、第1のユーザデータセット(例えば、受信されたユーザデータ186)生成する。第1のユーザデータセットの取得に成功すると、宛先装置114はACKを信号転送装置138及び/又は発信装置110に送信する。
しかしながら、デコーダ1(182)がシングル符号化された第1のユーザデータセットの復号に失敗すると、宛先装置114は信号転送装置138及び/又は発信装置110にNACKを送信し、これは、第1のシングル符号化された転送信号148の受信及び復号に失敗したことを示す。信号転送装置138は、NACKを受信すると、メモリ188からシングル符号化された第1のユーザデータセットの格納されたコピーを取得する。信号転送装置138のデコーダ1(190)は、第1の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、取得したシングル符号化された第1のユーザデータセットを復号する。シングル符号化された第1のユーザデータセットをデコーダ1(190)で復号した結果が、第1のユーザデータセットである。
復号後、第1のユーザデータセットは、エンコーダ3(198)によって符号化される。エンコーダ3は、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関連するチャネル状態に対応する第3の符号化パラメータセットに従って第1のユーザデータセットを符号化する。第3の符号化パラメータセットは、第3の符号化技術及び/又は第3の符号化率を含む。
前述のように、第3の符号化パラメータセットは、第1のユーザデータセットを符号化するために発信装置110によって最初に使用された第1の符号化パラメータセットとは異なってもよい。より具体的には、第3の符号化パラメータセットの符号化技術及び/又は符号化率は、第1の符号化パラメータセットの符号化技術及び/又は符号化率とは異なってもよい。第1のユーザデータセットをエンコーダ3で符号化した結果が、第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットである。信号転送装置138の変調部178は、第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットを変調する。第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットを変調するために変調部178によって利用される変調方式は、第1のシングル符号化された第1のユーザデータセットを変調するために利用される変調方式と同じでも異なってもよい。第2のシングル符号化された第1のユーザデータセットの変調は、第2のシングル符号化転送信号148を生成する。
信号転送装置138は、送信部146を利用して第2のシングル符号化された転送信号148を宛先装置114に送信する。図1Bに示す例では、第2のシングル符号化された転送信号148を送信するために使用される送信電力は、第1のシングル符号化された転送信号148を宛先装置114に送信するために使用される送信電力とは異なってもよい。宛先装置は、受信部130を介して第2のシングル符号化された転送信号148を受信する。
第2のシングル符号化された転送信号148を受信すると、宛先装置114の復調部180は、変調部178によって利用される変調方式に対応する復調方式を使用して、第2のシングル符号化された転送信号148を復調する。第2のシングル符号化された転送信号148の復調は、第2のシングル符号化された転送信号148に含まれるシングル符号化された第1のユーザデータセットを生成する。宛先装置114のデコーダ1(182)は、第1のユーザデータセットを符号化するために信号転送装置138のエンコーダ3(198)によって使用された第3の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、シングル符号化された第1のユーザデータセットを復号する。シングル符号化された第1のユーザデータセットをデコーダ1(182)で復号した結果が、第1のユーザデータセットである。
いくつかの例において、宛先装置114の制御部128は、シングル符号化された転送信号148の受信に応答して、シングル符号化された転送信号148を測定して信号転送装置138と宛先装置114との間の信号転送装置宛先装置間(SFD−DD)チャネルに関連するチャネル測定値を取得するように構成されている。シングル符号化された転送信号148の測定後に、宛先装置114の送信部126は、SFD−DDチャネル測定値を発信装置110に送信する。SFD−DDチャネル測定値は、図1Bの破線の信号線150によって示されるように、発信装置110に直接送信されることができる。或いは、SFD−DDチャネル測定値は、破線の信号線152によって示されるように、最初に信号転送装置138に送信されることができ、次いで、破線の信号線154によって示されるように、信号転送装置138がSFD−DDチャネル測定値を発信装置110に送信することができる。
もちろん、他の例では、信号転送装置138は、宛先装置114からの着信信号を測定することによって、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関連するチャネル状態に関する自身のチャネル測定も取得できる。それから、信号転送装置138は、自身のチャネル測定値を発信装置110に送信してもよい。このように、発信装置110が受信部118を使用して、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関連するチャネル状態に関するチャネルフィードバックを受信することができる複数の方法がある。
宛先装置114及び/又は信号転送装置138からSFD?DDチャネルフィードバックを受信した後、発信装置110の制御部120は、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関連するチャネル状態に関する受信したチャネルフィードバックに基づいて、エンコーダ1(164)によって使用される符号化パラメータを修正することができる。同様に、信号転送装置138は、測定値が宛先装置114から受信されるのか、それとも信号転送装置138自身によって取得されるのかにかかわらず、SFD?DDチャネル測定値を利用してもよい。例えば、信号転送装置138は、SFD?DDチャネル測定値を利用して、信号を符号化、変調、及び/又は宛先装置114に送信するために利用される符号化、変調、及び/又は送信パラメータを修正してもよい。
いくつかの例では、宛先装置114は、フィードバック信号の一部として信号転送装置138を介して直接的又は間接的に発信装置110にSFD−DDチャネル測定値を送信することもできる。或いは、SFD−DDチャネル測定値をフィードバック信号とは別個に送信することができる。例えば、フィードバック信号は、宛先装置114によって受信された1つ又は複数の下りリンク信号に関連付けられた下りチャネル測定値を含む下りチャネルフィードバックレポートを含むことができる。例えば、下りチャネルフィードバックレポートは、発信装置110から受信した下りリンク信号の下りチャネル測定値、及び/又は発信装置110以外の1つ又は複数の基地局から受信した1つ又は複数の下りリンク信号の下りチャネル測定値を含んでもよい。下りチャネルフィードバックレポートは更に、下りチャネル測定が行われたリソース(例えば、タイムスロット、サブキャリア、参照信号など)の位置を含むことができる。
下りチャネルフィードバックレポートは、下りチャネル測定が行われたキャリア、下りリンク信号を送信した発信装置110に関連付けられたセル識別子、及び/又はビーム形成された下りリンク信号に関連付けられた空間ベクトルを識別してもよい。いくつかの例では、下りチャネルフィードバックレポートは、下りリンク信号を送信した発信装置110以外の基地局に関連付けられたセル識別子を識別してもよい。このシナリオは、下りリンク信号が発信装置110以外の基地局から受信されるが、宛先装置114が発信装置110に配置されたスケジューラ132に下りチャネルフィードバックレポートを提出する必要がある場合に発生し得る。
更に別のシナリオでは、宛先装置114は、第1の装置(例えば、発信装置110)からの下りリンク信号を下りリンク信号の主キャリアとして受信することができ、また第2の装置(例えば、信号転送装置138、又は発信装置110以外の基地局)からの下りリンク信号を下りリンク信号の副キャリアとして受信することができる。このようなシナリオでは、下りチャネルフィードバックレポートは、(1)下りチャネル測定が行われた主キャリア及び/又は副キャリアを特定してもよいし、(2)主キャリアを送信した第1の装置に関連付けられたセル識別子及び/又は副キャリアを送信した第2の装置に関連付けられたセル識別子を含んでもよいし、及び/又は(3)1つ又は複数のビーム形成された下りリンク信号のそれぞれに個別に関連付けられた空間ベクトルを含んでもよい。
或いは、フィードバック信号は、肯定応答(ACK)又は否定応答(NACK)のいずれかになり得る確認応答を含むことができる。ACKメッセージは、宛先装置114による下りリンク信号の受信に成功したことを示す。NACKメッセージは、宛先装置114による下りリンク信号の受信に失敗したことを示す。状況によっては、ACK/NACKメッセージは、信号転送装置138によって発信装置110に転送されるメッセージである。他の状況では、ACK/NACKメッセージは、信号転送装置138用を意図したメッセージである。更に他の状況では、ACKメッセージは、信号転送装置138と発信装置110との両方への通知とすることができる。フィードバック信号が確認応答を含むシナリオでは、フィードバック信号は更に、下りリンク信号が受信されたキャリア、下りリンク信号を送信した発信装置110に関連付けられたセル識別子、下りリンク信号を送信した発信装置110以外の基地局に関連付けられたセル識別子、及び/又はビーム形成された下りリンク信号に関連付けられた空間ベクトルを特定してもよい。フィードバック信号の内容にかかわらず、SFD−DDチャネル測定値は、直接、又は信号転送装置138を介して、発信装置110へのフィードバック信号とともに、又はフィードバック信号から分離して送信されることができる。
この点に関して、図1Bのシステム100が誤り訂正及び誤り制御のためにハイブリッド自動再送信要求(HARQ)プロセスを利用する場合には、信号転送装置138及び宛先装置114から送信される各ACK/NACKは、最初にACK/NACKを送信した装置を識別するための識別子を含んでもよい。場合によっては、HARQプロセスIDも使用してもよい。HARQメカニズムを使用する場合、受信部及び送信部は、各HARQプロセスのプロセスIDについての何らかの情報を知っていなければならないので、受信部は、それらを混乱させることなく各HARQプロセスデータをうまく追跡することができる。この場合、HARQプロセスIDは、装置の識別のための識別子と共に含まれ得る。
図2は、図1Bの無線通信システムを利用して、デュアル符号化されたデータを送信するための方法の一例のフローチャートである。方法は、ステップ202において、信号転送装置138が発信装置110からデュアル符号化された受信信号136を受信することで始まる。デュアル符号化された受信信号136はデュアル符号化された第1のデータセットを含む。デュアル符号化された第1のデータセットを生成するために、第1のデータセットは、第1の符号化パラメータセットに従って符号化されて、符号化された第1のデータセットが生成され、符号化された第1のデータセットは、第2の符号化パラメータに従って更に符号化される。図2に示す例では、第1の符号化パラメータセットは、信号転送装置138と宛先装置114との間の第1の通信リンクに関連するチャネル状態に対応し、第2の符号化パラメータセットは、発信装置110と信号転送装置138との間の第2の通信リンクに関連するチャネル状態に対応する。
ステップ204において、信号転送装置138は、第2の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、デュアル符号化された第1のデータセットを復号して、第1の符号化パラメータセットに従って符号化されたシングル符号化された第1のデータセットを生成する。ステップ206において、信号転送装置138は、シングル符号化された第1のデータセットを宛先装置114に送信する。宛先装置114は、シングル符号化された第1のデータセットを受信し、第1の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用してシングル符号化された第1のデータセットを復号しようと試みる。復号手順が成功した場合、宛先装置114はユーザデータの受信に成功したことになり、ACKを信号転送装置138及び/又は発信装置110に送信することになる。
復号手順が失敗した場合、宛先装置114は再送信要求(例えば、NACK)を信号転送装置138及び/又は発信装置110に送信することになる。ステップ208において、信号転送装置138は宛先装置114から再送信要求(例えばNACK)を受信する。再送信要求は、宛先装置114から直接又は発信装置110を介して受信することができる。ステップ210において、信号転送装置138は、第1の符号化パラメータセットに対応する復号パラメータを使用して、メモリ188に格納されたシングル符号化された第1のデータセットを復号して、第1のデータセットを得る。
ステップ212において、信号転送装置138は、第1のデータセットを宛先装置114に再送信する。場合によっては、再送信のための送信電力は、シングル符号化された第1のデータセットを宛先装置114に送信するために以前に使用された送信電力とは異なる。例えば、再送信のための送信電力は、信号転送装置138と宛先装置114との間の第1の通信リンクに関連するチャネル状態に少なくとも部分的に基づいてもよい。
他の例では、第1のデータセットの再送信は、シングル符号化された第1のデータセットを宛先装置114に送信するために以前に使用された変調次数及び/又は技術とは異なる変調次数及び/又は技術を使用して第1のデータセットを送信することを含む。更に他の例では、第1のデータセットの再送信は、シングル符号化された第1のデータセットを宛先装置114に送信するために以前に使用された符号化率及び/又は技術とは異なる符号化率及び/又は技術を使用して第1のデータセットを送信することを含む。また更なる例では、送信電力、変調次数及び/又は技術、符号化率及び/又は技術のうちの1つ又は複数が修正される。これらの場合、信号転送装置138は、第1のデータセットを再送信するために利用された新たなパラメータを示す1つ又は複数の制御信号を宛先装置114に送信してもよく、このようにして宛先装置114は修正を認識し、再送信を正常に検出して復号するために、受信部130、復調部180、及び/又はデコーダ1(182)を再構成することができる。
本発明の他の実施形態及び変更例は、これらの教示を参酌して、明らかに、当業者に容易に創作されるだろう。上述の記載は、例示的であり限定的なものではない。本発明は、上記の明細書及び添付の図面に基づく実施形態及び変更例の全てを含む、以下の請求項によってのみ限定される。したがって、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定されるのではなく、均等物の全範囲と共に添付される請求項を参照して決定されるべきである。