JP2019521642A - 免疫レパートリー発掘 - Google Patents

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Abstract

本発明は、単一細胞を小滴内に封入することであって、小滴は、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅し且つ沈めるための試薬を更に含有する、封入することと、封入された単一細胞を溶解することと、封入された自然対合scFvアンプリコンを生成することであって、各scFvアンプリコンは、重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を含む、生成することとにより、封入された自然対合scFvアンプリコンを生成する方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、ドナー由来の細胞のプールからの抗体レパートリーの発掘に関する。特に、本発明は、抗体結合及び機能に関するスクリーニングを可能にする自然対合scFvアンプリコンを生成することに関する。
ヒトドナー由来の抗体レパートリーを発掘するための以前の方法は、治療的に価値のある抗体を特定すること、新規な標的を定義すること、及び疾病に対する免疫応答に関する洞察を提供することに役立ってきた。これらの抗体を単離する方法は、一般に、2つのカテゴリー:B細胞等の細胞から抗体を直接単離すること、又はファージディスプレイ、酵母ディスプレイ若しくは哺乳動物ディスプレイ等のコンビナトリアルライブラリーから抗体を選択することに分けられる。2つの手法は、異なる強度を有する。例えば、B細胞から直接得られる抗体は、通常、効力及び製造特性がより良好であるが、ディスプレイプラットフォームは、後のスクリーニングに関する能力、深い発掘及びクローン安定性を提供する(Burton,D et al.,(2012),12:397−407;これは参照により本明細書に組み込まれる)。現在、両方の手法の利益を組み合わせた高スループット技術は存在しない。
現在、多数の細胞を封入した後、次世代シーケンシング技術によってそれらのV及びV領域を配列決定する技術が利用可能である。可変領域の元の対合は、B細胞と共に封入された粒子上のバーコード化プライマーの使用によって維持される。これらの技術により、レパートリーの抗原特異性又は他の生物学的機能に関する任意の情報を有することなく、配列の系統発生解析が可能となる。これらの技術は、抗体配列の高スループット翻訳及び続くスクリーニングを可能にしない。これは、免疫レパートリーの機能的分析において重大な制限をもたらす(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Biotechnol.(2013),31:166−169;Stern J.Sci Trans.Med.(2014),6:248;Tan Y−C,Arthritis.Rheumatol.(2014),66:2706−2715;Tan Y−C、Clin.Immunol.(2014),151:55−65;Lu,D.R.Clin.Immunol.(2014),152:77−89;Robins,W.H.Curr.Opin.Immunol.(2013),25:646−652;DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。更に、抗体リードの検証は、遺伝子合成、クローニング及び発現を必要とし、これは、機能的に評価され得る多数の候補に厳しい妨げをもたらし得る(Galson,J.D.,et al.,Crit.Rev.Immunol.(2015),35:463−478;参照により本明細書に組み込まれる)。
マイクロタイタープレート内で単一細胞からscFv及びFab等の組換え抗体断片を生成することが記述されているが、この手法は、一度に最大で数千の細胞のみを取り扱うことが可能であり、最大成功率が30〜60%であるという点でスループットにおいて厳しく制限されている(Meijer,P.J.et al.J.Mol.Biol.(2006),358:764−772;Tiller,T.J Immunol.Methods.(2008),329;112−124;これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。
これらの技術の両方は、一般的な採血から得られる約10のB細胞を圧倒的にアンダーサンプルする低いスクリーニングスループットの欠点を有する。
従って、活性に関する迅速スクリーニングを可能とするフォーマットにおいて、ヒトドナーからの自然対合抗体配列を、自然の多様性を十分に包含するように高い十分なスループットで迅速に単離することができる技術又は手法が当技術分野で必要とされている。
本発明は、抗体結合及び機能に関してスクリーニングされ得る自然対合scFvアンプリコンのライブラリーを生成するための方法に関する。これに関連して、本発明は、方法、キット、scFvアンプリコンの組換えライブラリー、及びscFvの組換えライブラリーを提供する。また、これに関連して、本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法にも関する。
本発明は、抗体結合及び機能に関してスクリーニングされ得る自然対合単一鎖T細胞受容体(scTCR)アンプリコンを生成するための方法にも関する。これに関連して、本発明は、方法、キット、scTCRアンプリコンの組換えライブラリー、及びscTCRの組換えライブラリーを提供する。また、これに関連して、本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法にも関する。
本発明は、単一細胞を小滴内に封入するためのマイクロ流体力学の使用にも関する。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に定義されている。
ここで、添付の図面を参照して本発明がより詳細に説明される。
免疫レプリカプラットフォームに関する戦略である。患者(例えば、回復期の患者)から単離された細胞(例えば、B細胞)は、同族V及びV領域が増幅及び連結されるようにRT−PCR試薬と共に油中水小滴内に封入される。得られたアンプリコンは、そのまま発現に使用できるscFvを形成し、そのscFvは、スクリーニング、選択のためのファージ上の表示、又はレパートリー特徴付けのためのディープシーケンシングのためにscFv−Fc又はIgGとして発現され得る。 単一細胞のマイクロ流体封入である。封入前に赤色又は緑色に染色された単一細胞のマイクロ流体封入を(A)明視野、(B)FITC及び(C)Texas Redチャネルにおいて可視化した。小滴境界線の輪郭を参照のためにチャネルB及びC上に重ね合わせた。 1次B細胞から自然対合scFvを回収する戦略である。(A)同族V及びV領域を、IMGT生殖系列配列から設計されたプライマープールを使用して小滴内で増幅する。2つのアンプリコンを、プライマーを使用して相補的なオーバーハング(緑色)と連結し、これは(GlySer)リンカーも生成する。限定量のVH−in−R及びVL−in−Fプライマープールを使用することにより、個々のV及びV領域よりも完全scFvの増幅が優先される。(B)V FR1及びV FR4に特異的なプライマーを使用するネステッドPCRステップは、最終的なscFvを増幅し(C)、パニング又は直接スクリーニングのためにSfi1/Not1を介したベクター内へのクローニングを可能にするオーバーハングを有する。 免疫レプリカプラットフォームは、同族鎖対合を維持する。(A)1次ヒト細胞及びマウスB細胞を混合し、封入されるか又は未封入形態(「開放システム」/「コンビナトリアル」)で処理されるかのいずれかである。定常領域に特異的なプライマーを使用して、連結されたCH1−Cアンプリコンを生成し、ヒト(薄い灰色)又はマウス(濃い灰色)領域に特異的なプライマーを使用して鎖対合を決定した。(B)正確に対合された種(星印で示す)の増幅を示すアガロースゲルは、封入を使用して得ることができる一方、開放システムは、全ての可能性を比較的等しい量で生成する。 1次B細胞からのscFvアンプリコンの生成である。そのまま発現に使用できるscFvアンプリコンを、封入(「小滴」−レーン2及び4)又は未封入(「開放」−レーン3及び5)フォーマットのいずれかにおいて、48時間刺激したヒトB細胞から生成した。 ディープシーケンシングからのV/J生殖系列多様性の分布である。ScFvアンプリコンを、封入を有するか又は有さずに2人の健康な個人から生成し、V、Vκ及びVλ領域の増幅のための鋳型として使用し、これらはバーコード化され、ペアエンドIlluminaシーケンシングによって配列決定された。独特の配列をIMGT生殖系列配列にアラインし、小滴(黒色棒ブラフ)又は開放(白色棒グラフ)ライブラリーから得られた独特の全配列の百分率として示す。 工程の改善は、PCR中の小滴安定性を高めた。(A)PCRサイクリング(45サイクル)前及び後の収集されたエマルションの写真である。(B)に見られるように、最適化されたPCR条件及び賦形剤は、安定性の増大に寄与し、単分散小滴を生成した。 インフルエンザ赤血球凝集素(HA−SD−円形)及びカンジダ・アルビカンス(C.albicans)マンナン(三角形)に対する2人の健康なドナー(642及び432)に関する血清力価である。ドナー642に関する力価は破線/白色記号で示し、ドナー432に関する力価は実線/黒色記号で示す。 小滴マイクロ流体力学を使用した単一細胞の封入である。細胞をCellTracker Red及びGreen染料で染色し、混合し、単一細胞の封入に好ましい密度で小滴内に封入した。各小滴は、独立した反応容器を形成し、それにより細胞の同族V遺伝子が増幅及び対合され得る。スケールバー=400μm。 1次B細胞は、逆転写の条件で効率的に溶解する。(A)培養培地、封入緩衝液(「低張緩衝液」)及びRT−PCR緩衝液のいずれかの中で30分間インキュベートした細胞に関して、ViCell生存率アナライザーを使用して細胞生存率測定を行った。比較のために、1回の凍結解凍サイクル後の生存率も測定した。(B)細胞溶解物の外観検査である。細胞をTrypanBlueで染色し、RT−PCR緩衝液で50℃において30分間インキュベートする前及びインキュベートした後に画像化した。 単一細胞は、RT−PCR試薬によって小滴内で効率的に溶解する。IM9多発性骨髄腫細胞をCellTracker Red又はGreenで染色し、画像化の直前にPBS緩衝液(A)又はRT−PCR緩衝液(B)と共に封入した。(C)単一細胞をRT−PCR試薬及びSYBR−Green染料と共に封入して、細胞溶解による二本鎖核材料の放出を可視化した。 細胞インキュベーションは、死んだ又は死にかけている細胞から生成された遊離RNAをもたらす。 スクリーニング及び次世代シーケンシング(NGS)のための自然対合ライブラリーの生成である。(A)各封入B細胞からのV及びV領域を特異的プライマーセットによって増幅し、相補的なオーバーハングを介してインフレーム(in−frame)対合する。V FR1及びV FR4プライマーによるネステッドPCRは、オーバーハングを有する完全長scFvを生成して、バーコード化対合MiSeqシーケンシングを可能にする。V及びV FR3、CDR3及びFR4は、それぞれR2及びR1プライマーによって配列決定される一方、R3プライマーは、インデックス読み取りを提供してデマルチプレキシングを可能にする。アンプリコンは、Sfi1/Not1制限部位を介してアダプター配列が切断されて、下流選択及びスクリーニングのために発現又はファージミドベクターにサブクローニングされ得る。(B〜C)代表的なデータセットからのNGSデータである。100万の刺激B細胞からのscFvライブラリーがエマルション又はコンビナトリアル様式のいずれかで生成された。(B)エマルションライブラリーは、1:1 V:V比(サンプル中央値)に圧倒的に好都合であったが、コンビナトリアルライブラリーはスクランブルされた。(C)複数の対合が見られた場合、優勢パートナーは、エマルションライブラリーでは配列の99%を占めたが(サンプル中央値)、パートナーは、コンビナトリアルライブラリーではより均一に分布した。 対合V及びV読み取りデータの次世代シーケンシング品質である。(A)V及び(B)V配列の代表的なシーケンシングPhred品質スコアである。フレームワーク(FW)及びCDR領域を示す。 この研究からの小滴内で生成された抗体ライブラリー(レーン1、2)及び参照研究(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;これは参照により本明細書に組み込まれる)(レーン3〜6)を比較するトップペア(top−pair)分析によるV−V対合精度である。細胞数及びシーケンシング深度は、サンプル間で同等である。スチューデントのt検定を使用して、ドナー1又はドナー2と他のライブラリーのいずれかとの間で***p<0.001である。 特異的結合剤に関するファージ−ディスプレイ濃縮である。総B細胞(A)及びメモリー(B)B細胞から得られたエマルションライブラリーを赤血球凝集素H1(A/California/07/2009 H1N1)に対する2ラウンドのファージディスプレイパニングに供し、濃縮をポリクローナルファージELISAによって測定した。 特異的結合剤に関するファージ−ディスプレイ濃縮である。(C)赤血球凝集素H1(A/California/07/2009 H1N1 − 無地)、H5(A/Vietnam/1203/2004 H5N1 − 平行線)又は無関係対照(白色)に対する18のモノクローナルscFv−Fc抗体に関する特異的ELISA結合データである。 特異的結合剤に関するファージ−ディスプレイ濃縮である。(D)インフルエンザAのグループ1(青色)及び2(赤色)サブタイプ、並びにインフルエンザBの両方の系列(緑色)からの赤血球凝集素抗原のパネルに対する1つのモノクローナルscFv−Fc抗体の交差反応性を示すELISA結合データである。負の対照のhisタグタンパク質に対する結合は灰色で示す。エラーバーは、3回行われた測定の標準偏差を表す。 赤血球凝集素H1に対する2ラウンドの選択後の濃縮を示すポリクローナルファージELISAである。非選択ライブラリーは、H1 CA/09、H1 SD/07、H2 MO/06、H5 VN/04、H6 HK/97及びH9 HK/99に関して示される一方、ラウンド2の選択ライブラリーは、H3 PE/09及びH7 NL/03に関して示される。H1(実線)又は無関係タンパク質対照(破線)に対する、希釈ファージの結合を、乳化された総B細胞(A)、乳化されたメモリーB細胞(B)、コンビナトリアル総B細胞(C)又はコンビナトリアルメモリーB細胞(D)から生成されたライブラリーに関して測定した。 赤血球凝集素H1(A/California/07/2009 H1N1)に対する2ラウンドのパニング前及び後のモノクローナルV生殖系列分布である。同じドナーからのライブラリーを封入(A、C)又はコンビナトリアル(B、D)フォーマットのいずれかで生成した。非選択ライブラリー分布(A、B)を、読み取りクラスターを個々のV生殖系列遺伝子にマッピングすることによって次世代シーケンシングから計算した。100を超えるクローンをSangerシーケンシングによって配列決定して、ファージディスプレイ選択後に生殖系列多様性を得た。IGHV1−69、重鎖相互作用のみを介してグループ1赤血球凝集素に接触することが既知の抗体をコードする遺伝子の相対的存在量を各プロット内に示す。 表1:scFv生成に使用されたプライマー配列である。 表2:Illuminaシーケンシングに使用されたプライマーである。 表3:ヒト及びマウスCH1/Cκ連結に使用されたプライマーである。 表4:2つのよく見出される抗原に対する免疫レプリカキャンペーンである。2人の健康なドナー(642及び432)からのB細胞をscFv生成に使用した。約10,000の1次B細胞からのV/V領域を封入(「小滴」)又は非封入(「開放」)フォーマットのいずれかで増幅及び対合して、scFvカセットを生成し、そのカセットをscFv−Fc発現ベクターに直接クローニングした。5,632の細菌発現scFv−Fcクローンを、インフルエンザ赤血球凝集素(HA−SD)及びカンジダ・アルビカンス(C.albicans)マンナンに対する結合に関してELISAによってスクリーニングした。 表5:V/J遺伝子増幅に使用されたプライマーである。標的遺伝子に特異的に結合するプライマーの領域は大文字で示される一方、オーバーハングは小文字で示される。接尾辞「_ldr」で示される各遺伝子に関するリーダー配列を有する標的V/J遺伝子を列挙する。 表6:ファージディスプレイ生成又は次世代シーケンシングプロファイリングのためのライブラリー増幅に使用されるプライマーである。特定のインデックス配列は、下線が引かれている。 表7:次世代シーケンシングデータからの独特の配列の分析である。 表8:スチューデントのt検定を使用したトップペア分析によるV−V対合精度の統計的比較である。小滴内で生成された抗体ライブラリーを、この研究(ドナー1及びドナー2)及び参照研究(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;これは参照により本明細書に組み込まれる)間で比較する(データセットSRR1585248、SRR1585249、SRR1585265及びSRR1585267)。細胞数及びシーケンシング深度は、サンプル間で同等である。 表9:ファージディスプレイライブラリー特徴付けである。
本発明は、患者から単離された単一細胞、例えばB細胞を、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と共に油中水小滴内に封入して、scFvの組換えライブラリーを生成することを可能にする。記載全体において、ファージディスプレイを参照しているが、酵母ディスプレイ及び哺乳動物ディスプレイ技術を同じように適用することができ、本発明者らが、それらの代替的ディスプレイシステムを明らかに想定していることが当業者によって認識されるであろう。
本発明は、封入された単一細胞からの可変領域(V及びV)をクローニングし、それらを連結してscFvを形成することを含む。各細胞を物理的に分離することにより、抗体結合及び機能を回復するのに不可欠な天然V−V対合が保存される。得られたアンプリコンは、そのまま発現に使用できるscFvを形成する。scFvのライブラリーは、ファージ−ディスプレイパニングによって濃縮され、又は次世代シーケンシングを使用してディープシーケンシングされて、結合及び機能に関して直接スクリーニングできる翻訳可能なscFvライブラリーである。
本発明は、そのまま発現に使用できるscFvライブラリーをスクリーニング方法(例えば、相−ディスプレイ)と結合して、抗原特異的クローンに関して濃縮することを更に可能にする。本発明は、特に、天然B細胞多様性を発掘して、ヒト患者からの抗原特異的抗体を迅速に単離することにより、抗原特異的抗体の高スループット特定を可能にする。本発明は、既存の技術によって見出されない抗体の特定を可能にする。
本発明は、封入された自然対合scFvアンプリコンを生成する方法を提供し、この方法は、単一細胞を小滴内に封入することであって、小滴は、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合の増幅及び連結のための試薬を更に含有する、封入することと、封入された単一細胞を溶解し、且つ封入された自然対合scFvアンプリコンを生成することであって、各scFvアンプリコンは、重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を含む、生成することとを含む。
一般に、scFvアンプリコンは、式V1−L−V2を含む。Lは、リンカーである。一実施形態において、V1は、重鎖可変領域であり、V2は、軽鎖可変領域であり、即ち、scFvアンプリコンは、式VH−L−VLを有する。別の実施形態では、V2は、重鎖可変領域であり、V1は、軽鎖可変領域であり、即ち、scFvアンプリコンは、式VL−L−VHを有する。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬は、ヒトIg配列に対して設計されたプライマーを含む。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬は、表1に示されるプライマーを含むプライマープールを含む。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬は、表5に示されるプライマーを含むプライマープールを含む。表1又は表5のプライマーのグループは、必要に応じて更に細分することができ、例えば、プライマーの適切なセットは、細胞がκ若しくはλ発現細胞、又は異なるIg Hアイソタイプを発現する細胞に分離される場合に使用することができる。プライマーは、当技術分野で既知のカスタムソフトウエアを用いて設計することができる。重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンは、最初にscFvアンプリコンの生成において天然重鎖及び軽鎖可変領域配列から形成される。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される封入されたscFvアンプリコンを生成するための生成ステップは、最初に天然重鎖及び軽鎖可変領域配列から重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを形成することを含み、及び試薬は、第1及び第2の重鎖可変領域プライマー、並びに第1及び第2の軽鎖可変領域プライマーを含むプライマープールを含み、第1の重鎖可変領域プライマー及び第1の軽鎖可変領域プライマーは、相互作用して、重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する。一実施形態において、プライマープールは、第2のプライマーよりも低い濃度の第1のプライマーを含む。好ましくは、第1のプライマーの濃度は、第2のプライマーの濃度と比較して2〜8、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10の因数で低下される。好ましくは、濃度は、8の因数で低下される。可変領域内に結合する核酸プライマーの量を制限することにより、個々のV及びV領域よりも完全scFvの増幅に好都合である。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される第1の重鎖可変領域プライマーは、第1のオーバーハング配列に融合され、及び本明細書のいずれかに定義される第1の軽鎖可変領域プライマーは、第2のオーバーハング配列に融合され、オーバーハング配列は、相互作用して、重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する。好ましくは、第1及び第2のオーバーハング配列は、少なくとも部分的に相補的である。より好ましくは、第1及び第2のオーバーハング配列は、完全に相補的である。2領域アンプリコンは、オーバーラップ発現PCRを使用して連結されてscFvアンプリコンを生成することができる。
一実施形態において、RT−PCRは、オーバーラップ伸長PCRと組み合わせて使用される。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される第1の重鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの重鎖可変領域内に(一般に、FR4の3’末端で)結合するリバースプライマーであり、且つ本明細書のいずれかに定義される第2の重鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの重鎖可変領域外に結合するフォワードプライマーであり、及び本明細書のいずれかに定義される第1の軽鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの軽鎖可変領域内に(一般に、FR1の5’末端で)結合するフォワードプライマーであり、且つ本明細書のいずれかに定義される第2の軽鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの軽鎖可変領域外部に結合するリバースプライマーである。
別の実施形態では、本明細書のいずれかに定義される第1の重鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの重鎖可変領域内に(一般に、FR1の5’末端で)結合するフォワードプライマーであり、且つ本明細書のいずれかに定義される第2の重鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの重鎖可変領域外に結合するリバースプライマーであり、及び本明細書のいずれかに定義される第1の軽鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの軽鎖可変領域内に(一般に、FR4の3’末端で)結合するリバースプライマーであり、且つ本明細書のいずれかに定義される第2の軽鎖可変領域プライマーは、天然配列/アンプリコンの軽鎖可変領域外に結合するフォワードプライマーである。
これらの試薬は、小滴内で同族V及びV領域が増幅されることを可能にする。
本発明は、患者から単離された単一細胞、例えばT細胞を、封入された単一細胞からのT細胞受容体(TCR)鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結する試薬と共に油中水小滴内に封入して、単一鎖T細胞受容体(scTCR)の組換えライブラリーを形成することも可能にする。
本発明はまた、封入された単一細胞からのTCR鎖をクローニングし、且つそれらを連結してscTCRを形成することを含む。各細胞を物理的に分離することにより、抗体結合及び機能を回復するのに不可欠な天然TCR対合が保存される。得られたアンプリコンは、そのまま発現に使用できるscTCRを形成する。scTCRのライブラリーは、ファージ−ディスプレイパニングによって濃縮され、又は次世代シーケンシングを使用してディープシーケンシングされて、結合及び機能に関して直接スクリーニングできる翻訳可能なscTCRライブラリーである。
本発明は、封入された自然対合scTCRアンプリコンを製造する方法を提供し、この方法は、単一細胞を小滴内に封入することであって、小滴は、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合の増幅のための試薬を更に含有する、封入することと、封入された単一細胞を溶解することと、封入された自然対合scTCRアンプリコンを生成することであって、各scTCRアンプリコンは、TCR鎖アンプリコンの自然対合を含む、生成することとを含む。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される自然対合TCR鎖アンプリコンは、α及びβ鎖アンプリコンである。別の実施形態では、本明細書のいずれかに定義される自然対合TCR鎖アンプリコンは、γ及びδ鎖アンプリコンである。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される封入のステップは、マイクロ流体力学を使用することを含む。マイクロ流体力学は、ライブラリーへの並行増幅のために、数100万の細胞、潜在的には全レパートリーをピコリットルサイズの小滴内に保存することが可能であり、従って高スループット手法を提供する。一実施形態において、ライブラリーは、scFvライブラリーである(図1)。別の実施形態では、ライブラリーは、scTCRライブラリーである。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるマイクロ流体力学は、圧力ポンプを有するガラスマイクロ流体チップを使用することを含む。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるマイクロ流体チップは、親フッ素性チップである。マイクロ流体チップは、水性流体の2つの流れを合流するように設計され、一方は、細胞の懸濁液を運び、且つ他方は、一段階逆転写(RT)及びオーバーラップ伸長PCRのための試薬を含有する。マイクロ流体力学は、均一サイズの小滴を高速で確実に生成するのに使用される。
いくつかのグループにより、細胞ベースのRT−PCRは、5nL未満の体積で実行できないと報告されているが(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Biotechnol.(2013),31:166−169;DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;White,A.K.et al.,Proc.Natl.Acad.(2011),108:13999−14004;Eastburn,D.J.et al.,PloS ONE(2013),8:e62961;これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)、本発明の方法は、ピコリットルサイズの小滴、例えば体積200pLの小滴内で細胞から直接Ig転写産物を問題なく増幅することができる。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される小滴は、体積が約50pL〜約600pLである。一実施形態において、小滴は、体積が約100pL〜約300pLである。一実施形態において、小滴は、体積が約200pLである。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される封入ステップは、水性懸濁液を油と組み合わせて、水−油小滴内に封入された単一細胞を含むエマルションを形成することを含み、水性懸濁液は、細胞と、アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬とを含む。
一実施形態において、本方法は、封入ステップ前のステップを更に含み、このステップは、細胞と、アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬とを含む水性懸濁液を提供することを含む。一実施形態において、提供するステップは、細胞を含む第1の水性懸濁液中の細胞を刺激し、且つ続いて細胞を、アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と組み合わせて、細胞及びアンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬を含む水性懸濁液を形成することを含む。一般に、細胞は、約48時間、好ましくは少なくとも48時間にわたって刺激され得ることが理解される。
細胞懸濁液の滴定は、10個の小滴の各々に関しておよそ1個の細胞を達成し、これは、ポアソン統計に基づいて単一細胞の封入を>95%の確率でもたらす(図9)。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される細胞の懸濁液は、約100万〜約500万細胞/mlの密度である。好ましい実施形態では、本明細書のいずれかに定義される細胞の懸濁液は、約350万〜約450万細胞/mlの密度である。より好ましい実施形態では、本明細書のいずれかに定義される細胞の懸濁液は、約400万細胞/mlの密度である。これらの密度は、小滴内に封入された単一細胞を得るのに最適である(図2)。これらの密度により、およそ100μmの直径の小滴内に封入された単一細胞も得られる。空の小滴も生成され得るが、これらは鋳型細胞が存在しないため、ライブラリーに寄与しない。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される細胞の懸濁液は、抗凝集剤を含む。別の実施形態では、封入前に、本明細書のいずれかに定義される細胞の懸濁液は、例えば、常磁性撹拌ディスクを用いて撹拌される。抗凝集賦形剤の使用及び/又は撹拌は、封入前に、懸濁した細胞が沈殿することを防止する。刺激された細胞、例えばB細胞又はT細胞は、時間と共に集合する傾向があるため、抗凝集賦形剤の使用及び/又は撹拌は、流速の変化及び複数の細胞が一緒に封入されることを防止する。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される細胞の懸濁液は、安定剤を含む。好ましくは、安定剤は、両親媒性分子である。より好ましくは、安定剤は、アセチル化BSAである。アセチル化BSAは、水−油界面を安定化し、界面張力を低下させることができる両親媒性分子である(Dalgleish,Trends in Food Science&Technology(1997),8(1):1−6;これは参照により本明細書に組み込まれる)。本発明者らは、アセチル化BSAの使用により、PCRサイクリングの過酷な条件において小滴の合体が低下することを見出した。更に、アセチル化BSAの存在は、逆転写酵素等の酵素が界面において変性することを防止し得る。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される封入されたアンプリコンを生成するための生成ステップは、RT−PCRを含む。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される油は、低粘度の油である。好ましい実施形態では、本明細書のいずれかに定義される油は、フッ素化油である。より好ましい実施形態では、本明細書のいずれかに定義される油は、HFE−7500フッ素化油+2%w/v 008−フルオロ界面活性剤(RAN Biotechnologies cat no 008−FLUOROSURFACTANT−HFE7500である。本発明に使用される細胞(例えば、B細胞又はT細胞)の寿命に起因して、本発明の方法のスループットは、細胞の封入に必要な時間によって制限される。本発明者らは、スループットが、細胞の封入のための水−油小滴の形成に使用される油の粘度を低下させることによって改善され得ることを見出した。詳細には、本発明者らは、粘度が低い油が流速を増大させ得ることを見出した。一実施形態において、油に関するマイクロ流体の流速は、90〜125μL/分、好ましくは100μL/分であり、水性流体は、5.6〜7μL/分、好ましくは6.22μL/分である。油の粘度の低下は、単一の小滴内に2つ以上の細胞が封入される危険性を低減するため、細胞密度の増大等の代替案よりも好ましい。
上記に定義した本発明の方法は、数百万の細胞の封入を可能にする。好ましくは、少なくとも100万、少なくとも200万、少なくとも300万、少なくとも400万、少なくとも500万、少なくとも600万、少なくとも700万、少なくとも800万、少なくとも900万又は少なくとも1000万の細胞が封入される。上記に定義した本発明の方法は、100万の細胞を約40分以内に封入することができる。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるアンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬は、標準的なRT−PCR試薬を含む。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される試薬は、Titan(Roche cat no 11855476001)を含む。
水性構成成分及びマイクロ流体の流速の上記の最適化は、サイズの均一性が改善され、またRT−PCR中の完全性が改善された小滴を生成する。これは、アンプリコン生成の確実性の改善を可能にする。
細胞が小滴内に封入される前に、いくつかの細胞は、死んで溶解し、それらの遺伝子材料(例えば、核酸)を周囲培地中に放出する。核酸、例えばVH又はVL領域をコードする核酸は、小滴を汚染し、非自然対合生成物をもたらす可能性がある。小滴内に存在する汚染核酸のレベルを最小限にすることが望ましいことが当業者によって認識されるであろう。特に、死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸は、RNAである。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される方法は、死んだ又は死にかけている細胞からの少なくともいくつかの遊離核酸が小滴内に封入されることを防止することを更に含む。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される方法は、死んだ又は死にかけている細胞からの実質的に全部の遊離核酸が小滴内に封入されることを防止することを更に含む。好ましくは、本明細書のいずれかに定義される方法は、死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸が小滴内に封入されることを防止することを更に含む。これを達成する任意の方法が本発明の範囲内にあることが当業者によって認識されるであろう。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される方法は、小滴内に封入された死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸のレベルを低下させることを更に含む。死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸のレベルは、この方法ステップが行われなかった場合に封入されたであろうレベルと比較して低下されることが理解されるであろう。これを達成する任意の方法が本発明の範囲内にあることが当業者によって認識されるであろう。一実施形態において、死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸のレベルは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%低下される。
一実施形態において、防止することは、封入前に細胞を48時間未満にわたって刺激することを含む。一実施形態において、低下させることは、細胞を含む第1の水性溶液中で細胞を48時間未満にわたって刺激することを含む。
一実施形態において、防止することは、封入前に生細胞を選択することを含む。一実施形態において、低下させることは、水性懸濁液中でアンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と組み合わせるために生細胞を選択することを含む。一実施形態において、選択することは、蛍光活性化細胞選別(FACS)を含む。一実施形態において、選択することは、ビーズベースの細胞選択を含む。封入に選択される所望の細胞は、生細胞であり、死んだ又は死にかけている細胞でないことが当業者によって認識されるであろう。
一実施形態において、防止することは、磁気ビーズを使用して、死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸を隔離することを含む。一実施形態において、低下させることは、磁気ビーズを使用して、死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸を第1の水性溶液から隔離することを含む。一実施形態において、低下させることは、死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸を、細胞及び試薬を含む水性懸濁液から隔離することを含む。死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸の隔離は、小滴内に封入された死んだ又は死にかけている細胞からの遊離核酸のレベルが低下するように遊離核酸が除去されることを可能にする。一実施形態において、磁気ビーズは、オリゴヌクレオチド被覆磁気ビーズである。一実施形態において、磁気ビーズは、ポリ−dTビーズである。核酸結合剤、特にRNA結合剤を有する磁化ビーズが封入前に細胞懸濁液に添加されて、周囲培地中に存在する遊離核酸、特にRNAを「拭い取る」。ビーズは、磁場を使用して封入前に除去され得、それにより汚染核酸が除去される。
上記に定義した方法によって生成される、封入された自然対合アンプリコンは、本発明の範囲内である。上記に定義した方法に従って生成される、封入された自然対合アンプリコンの特徴を有する封入された自然対合アンプリコンも本発明の範囲内である。一実施形態において、封入された自然対合アンプリコンは、scFvアンプリコンである。別の実施形態では、封入された自然対合アンプリコンは、scTCRアンプリコンである。
本発明は、自然対合アンプリコンのライブラリーを製造する方法を更に提供し、この方法は、上記に定義した方法に従って、封入された自然対合アンプリコンを生成することと、小滴を溶解して、自然対合アンプリコンのライブラリーを生成することとを含む。一実施形態において、自然対合アンプリコンは、scFvアンプリコンである。別の実施形態では、自然対合アンプリコンは、scTCRアンプリコンである。小滴を溶解するための市販のキットが利用可能である(例えば、EURxのMicellulaキット)。小滴由来のDNAは、QiagenのPCR精製キットを使用して、又はイソブタノール(Schutze,T.et al.,nal.Biochem.(2011),410:155−157;これは参照により本明細書に組み込まれる)及びジエチルエーテル(Diehl,F.et al.,Nature Methods(2006),3;551−559;これは参照により本明細書に組み込まれる)の使用等の他の方法によって精製することができ、記載されている。上記の方法に従って生成される自然対合アンプリコンのライブラリーは、本発明の範囲内である。この方法に従って生成される自然対合アンプリコンのライブラリーの特徴を有する自然対合アンプリコンのライブラリーも本発明の範囲内である。一実施形態において、自然対合アンプリコンは、scFvアンプリコンである。別の実施形態では、自然対合アンプリコンは、scTCRアンプリコンである。
本発明は、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvアンプリコンのライブラリーを生成する方法を更に提供し、この方法は、上記に定義した方法に従って自然対合scFvアンプリコンのライブラリーを生成することと、自然対合scFvアンプリコンの更なるライブラリーを生成することとを含み、更なるライブラリーの自然対合scFvアンプリコンは、一般式R1−V1−L−V2−R2を有し、ここで、R1及びR2は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ制限酵素部位を含み、V1及びV2は、自然対合重鎖及び軽鎖可変領域であり、V1が軽鎖可変領域である場合、V2は、重鎖可変領域であり、又はV1が重鎖可変領域である場合、V2は、軽鎖可変領域であり、及びLは、直接結合又はリンカーである。一実施形態において、更なるライブラリーの自然対合scFvアンプリコンは、一般式R1−VH−L−VL−R2を有し、即ち、V1は、VHであり、及びV2は、VLである。別の実施形態では、更なるライブラリーの自然対合scFvアンプリコンは、一般式R1−VL−L−VH−R2を有し、即ち、V1は、VLであり、及びV2は、VHである。
本発明は、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成する方法を更に提供し、この方法は、上記に定義した方法に従って自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成することと、自然対合scTCRアンプリコンの更なるライブラリーを生成することとを含み、更なるライブラリーの自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−C1−L−C2−R2を有し、ここで、R1及びR2は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ制限酵素部位を含み、C1及びC2は、自然対合α及びβ TCR鎖であり、C1がα TCR鎖である場合、C2は、β TCR鎖であり、又はC1がβ TCR鎖である場合、C2は、α TCR鎖であり、及びLは、直接結合又はリンカーである。一実施形態において、C1は、α TCR鎖であり、及びC2は、β TCR鎖であり、即ち、更なるライブラリーの自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−Cα−L−Cβ−R2を有し、ここで、Cαは、α TCR鎖であり、及びCβは、β TCR鎖である。別の実施形態では、C1は、β TCR鎖であり、及びC2は、α TCR鎖であり、即ち、更なるライブラリーの自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−Cβ−L−Cα−R2を有し、即ち、ここで、Cαは、α TCR鎖であり、及びCβは、β TCR鎖である。
本発明は、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成する方法を更に提供し、この方法は、上記に定義した方法に従って自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成することと、自然対合scTCRアンプリコンの更なるライブラリーを生成することとを含み、更なるライブラリーの自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−C1−L−C2−R2を有し、ここで、R1及びR2は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ制限酵素部位を含み、C1及びC2は、自然対合γ及びδ TCR鎖であり、C1がγ TCR鎖である場合、C2は、δ TCR鎖であり、又はC1がδ TCR鎖である場合、C2は、γ TCR鎖であり、及びLは、直接結合又はリンカーである。一実施形態において、C1は、γ TCR鎖であり、及びC2は、δ TCR鎖であり、即ち、更なるライブラリーの自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−Cγ−L−Cδ−R2を有し、ここで、Cγは、γ TCR鎖であり、及びCδは、δ TCR鎖である。別の実施形態では、C1は、δ TCR鎖であり、及びC2は、γ TCR鎖であり、即ち、更なるライブラリーの自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−Cδ−L−Cγ−R2を有し、即ち、ここで、Cγは、γ TCR鎖であり、及びCδは、δ TCR鎖である。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるR1及びR2は、異なる。好ましくは、Lは、リンカーである。好ましくは、R1及びR2は、異なり、及びLは、リンカーである。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される自然対合アンプリコンの更なるライブラリーを生成することは、ネステッドPCRを使用することを含む。ネステッドPCRは、アンプリコンの生成に使用されるものと異なるプライマーの第2のセットを使用して完全アンプリコンを増幅する。従って、ネステッドPCRの続く実行は、そのまま発現に使用できる最終的なアンプリコンを増幅し、非特異的プライマー結合に起因して形成された代替的PCR産物の増幅を低減する。一実施形態において、アンプリコンは、scFvアンプリコンである。更なる実施形態において、ネステッドPCRは、V1のFR1及びV2のFR4に結合するプライマーを使用する。従って、完全scFvアンプリコン産物が増幅され得る。別の実施形態では、アンプリコンは、scTCRアンプリコンである。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるネステッドPCRは、制限酵素部位を含むオーバーハング配列に融合されるプライマーを使用する。好ましい制限酵素部位は、Sfi1及びNot1である。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるR1は、Sfi1制限酵素部位を含み、及び本明細書のいずれかに定義されるR2は、Not1制限酵素部位を含む。得られたアンプリコンは、そのまま発現に使用できるアンプリコンを形成し、このアンプリコンは、ファージ−ディスプレイパニング又は直接スクリーニングのための任意の数の発現システムのための発現ベクターに容易にクローン化され得る。
上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvアンプリコンのライブラリーは、本発明の範囲内である。上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvアンプリコンのライブラリーの特徴を有する抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvアンプリコンのライブラリーも本発明の範囲内である。
上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーは、本発明の範囲内である。上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーの特徴を有する抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーも本発明の範囲内である。
本発明は、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvライブラリーを生成する方法を更に提供し、この方法は、本明細書に記載した方法に従って自然対合scFvアンプリコンのライブラリーを生成することと、自然対合scFvを発現させることとを含む。一実施形態において、この方法は、自然対合scFvをscFv−Fcとして発現させることを含む。別の実施形態では、この方法は、自然対合scFvをIgGに再編成(reformat)することを含む。好ましくは、この再編成されたIgGは、ファージ−ディスプレイパニングによって濃縮され、又はレパートリー特徴付けのために次世代シーケンシングを使用してディープシーケンシングされて、結合及び機能に関して直接スクリーニングすることができる。更なる実施形態において、この方法は、自然対合scFvをscFvファージディスプレイライブラリーとして発現させることを含む。
本発明は、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRライブラリーを生成する方法を更に提供し、この方法は、本明細書に記載した方法に従って自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成することと、自然対合scTCRを発現させることとを含む。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義されるscFvライブラリーの各scFvは、リンカーによって互いに連結された単一細胞の自然対合の重鎖及び軽鎖可変領域を含む。リンカーは、重鎖及び軽鎖可変領域の対合を可能にする長さを有する必要がある。別の実施形態では、本明細書のいずれかに定義されるscTCRライブラリーの各scTCRは、リンカーによって互いに連結された単一細胞の自然対合のTCR鎖を含む。リンカーは、TCR鎖間の対合を可能にする長さを有する必要がある。好ましくは、本明細書のいずれかに定義されるリンカーは、グリシン及び/又はセリンに富んでいる。より好ましくは、本明細書のいずれかに定義されるリンカーは、(GlySer)であり、以下の配列によってコードされる:
ggaggcggcggtagcggcggaggtggctcaggcggtggcggaagt(配列番号168)。
一実施形態において、リンカーは、5〜30アミノ酸長を有する。好ましくは、本明細書のいずれかに定義されるリンカーは、10〜20アミノ酸長を有する。より好ましくは、本明細書のいずれかに定義されるリンカーは、13〜18アミノ酸長を有する。なおより好ましくは、本明細書のいずれかに定義されるリンカーは、15アミノ酸長を有する。好適なリンカーは、当業者に周知であろう。
上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvライブラリーは、本発明の範囲内である。上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvライブラリーの特徴を有する抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvライブラリーも本発明の範囲内である。有利には、scFvライブラリーは、そのまま発現に使用できる。
上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRライブラリーは、本発明の範囲内である。上記に定義した方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRライブラリーの特徴を有する抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRライブラリーも本発明の範囲内である。有利には、scTCRライブラリーは、そのまま発現に使用できる。
本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法を更に提供し、この方法は、本明細書に記載した方法に従って自然対合scFvライブラリーを生成することと、抗原サンプルを用いて自然対合scFvライブラリーを調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。
本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法を更に提供し、この方法は、本明細書に記載した方法に従って自然対合scTCRライブラリーを生成することと、抗原サンプルを用いて自然対合scTCRライブラリーを調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。
本明細書に記載したこの技術は、B細胞によって例示され、プラットフォームがB細胞レパートリー保存のために確立される。T細胞受容体もscFvフォーマットに変換され、活性を維持するため(Gregoire et al.,European Journal of Immunology(1996),26(10):2410−16;これは参照により本明細書に組み込まれる)、この技術は、同じようにT細胞受容体レパートリーの保存に適用することができる。
本発明はまた、単一細胞を小滴内に封入するためのマイクロ流体力学の使用を提供し、小滴は、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬を更に含有する。本発明はまた、単一細胞を小滴内に封入するためのマイクロ流体力学の使用を提供し、小滴は、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬を更に含有する。本発明の方法に関連して前述した全実施形態は、上記のマイクロ流体力学の使用に同じように適用される。使用の実施形態は、特許請求の範囲に更に定義されている。
本発明はまた、本明細書に定義した方法のいずれかを実施するためのキットを提供する。本発明は、特に、単一細胞を、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と共に小滴内に封入するためのマイクロ流体チップと、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結して、scFvアンプリコンを生成するための試薬とを含むキットを提供する。本発明は、特に、単一細胞を、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と共に小滴内に封入するためのマイクロ流体チップと、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結して、scTCRアンプリコンを生成するための試薬とを含むキットを提供する。使用説明書もキットに含まれ得る。キットはまた、チューブ(tubing)、チューブインターフェース及びポンプを更に含み得る。キットはまた、小滴を可視化するための装置、例えば顕微鏡を更に含み得る。キットは、本明細書に定義した方法のいずれかに従って単一細胞を封入するためのマイクロ流体プラットフォームを含み得る。本発明の方法に関連して本明細書に前述した実施形態は、キットの構成要素に関する情報を更に提供し得る。キットの実施形態は、特許請求の範囲に更に定義されている。
本発明は、抗体結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合組換えscFvを含むscFvライブラリーを更に提供し、各scFvは、互いに連結された単一細胞の自然対合の重鎖及び軽鎖可変領域を含む。本発明はまた、T細胞受容体結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合組換えscTCRを含むscTCRライブラリーを提供し、各scTCRは、互いに連結された単一細胞の自然対合のTCR鎖を含む。本発明の方法に関連して本明細書に前述した実施形態は、ライブラリーの特徴に関する更なる情報を提供し得る。有利には、ライブラリーは、翻訳可能であり得る。本ライブラリーは、高スループット翻訳及び続く配列のスクリーニングを可能にする。
ライブラリーの実施形態は、特許請求の範囲に更に定義されている。
本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法を更に提供し、この方法は、本明細書のいずれかに定義される自然対合scFvを、抗原サンプルを用いて調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法を更に提供し、この方法は、本明細書のいずれかに定義されるscFvライブラリーを、抗原サンプルを用いて調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。
本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法を更に提供し、この方法は、本明細書のいずれかに定義される自然対合scTCRを、抗原サンプルを用いて調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。本発明は、抗原特異的分子を特定するための方法を更に提供し、この方法は、本明細書のいずれかに定義されるscTCRライブラリーを、抗原サンプルを用いて調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される自然対合ライブラリー又は本明細書のいずれかに定義されるライブラリーは、scFvライブラリーであり、及び抗原特異的分子は、抗体である。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される抗体は、モノクローナル抗体である。
一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される抗原サンプルは、腫瘍組織である。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される抗原サンプルは、細菌全体である。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される抗原サンプルは、ウィルス粒子である。一実施形態において、本明細書のいずれかに定義される抗原サンプルは、赤血球凝集素(HA)タンパク質を含む。
交差反応性抗原特異的分子の特定を可能にするために、好ましくは異なる抗原サンプルを用いてライブラリーを複数のラウンドにわたり調べ得ることが当業者によって認識されるであろう。一実施形態において、抗原特異的分子は、交差反応性である。
本発明はまた、抗原特異的分子を特定するための、本明細書のいずれかに定義される自然対合scFvライブラリーの使用を提供する。本発明はまた、抗原特異的分子を特定するための、本明細書のいずれかに定義されるscFvライブラリーの使用を提供する。本発明はまた、抗原特異的分子を特定するための、本明細書のいずれかに定義される自然対合scTCRライブラリーの使用を提供する。本発明はまた、抗原特異的分子を特定するための、本明細書のいずれかに定義されるscTCRライブラリーの使用を提供する。
一実施形態において、上記に定義した使用は、抗原サンプルを用いてscFv又はscTCRライブラリーを調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む。本発明の方法に関連して前述した全実施形態は、上記に定義した使用に同じように適用される。使用の実施形態は、特許請求の範囲に更に定義されている。
本明細書に定義した方法は、ヒトB細胞からの抗体の単離を可能にするが、この方法は、V遺伝子配列情報が利用可能な任意の種からの抗体の単離に容易に拡大することができる。これは、特に低い融合効率(0.02%未満(Yu,X.,et al.,J.Immunol.Methods(2008),336;142−151;参照により本明細書に組み込まれる))がレパートリーの有意な損失をもたらすハイブリドーマ技術の幅及び深さを拡大するのに有用であり得る。本明細書に定義した方法は、骨髄腫融合パートナーが利用可能でない生物体からのモノクローナル抗体の生成にも適用することができる。T細胞受容体(TCR)レパートリー(対合α/β又はδ/γ鎖からなる)も類似した組換えフォーマットで補足することができ、単一鎖TCRは、ファージ及び酵母ディスプレイによる選択を受け入れることが示されている(Li,Y.et al.Nat.Biotechnol.(2005),23:349−354;Smith、S.N.et al.Methods Mol.Biol.Clifton NJ(2015),1319:95−141;両方とも参照により本明細書に組み込まれる)。
本発明の方法は、数百万の1次ヒトB細胞から天然レパートリーを強力且つ高感度のスクリーニングプラットフォームに迅速に保存することが可能であり、治療的抗体開発、免疫レパートリー特徴付け及び合理的なワクチン設計のための潜在的重要性を有する。例えば、可変領域を連結して翻訳可能なscFvフォーマットとすることにより、複数の技術の強みを組み合わせることが可能となる。ディスプレイプラットフォームの膨大なスクリーニング能力を使用して、自然に進化した抗体応答の完全な豊かさを発掘する。
本発明は、天然のレパートリーからのリード抗体生成の迅速方法を提供する − 一人の研究者が、数百万の1次B細胞から、4週間以内に特異的なモノクローナル抗体に急速に前進させることができる。これは、特に新興感染症、例えばEbola大流行に対抗する際に特に有益であり得る。
本発明のライブラリーは、新たなドナーが加えられた際に拡張することができ、複数の標的(細菌又は腫瘍組織の全部を含む)に対して繰り返しパニングすることができ、又は未来の使用のために無限に保管することができる更新可能な資源を構成する。
例えば、最近発足したHuman Immunome Program(Crowe,J.E.&Koff,W.C.Expert Rev.Vaccines(2015),14:1421−1425)等、抗体機能を予測するための次世代シーケンシングを使用する大規模な活動は、特に利益を得る可能性がある。このプロジェクトは、1000人の個人からの発現された抗体レパートリーをシーケンシングし、シーケンシング情報のみに基づいてワクチン反応性を推測することを目的としている。このプロジェクトに対して追加される刺激的なことは、本明細書に概略した方法を使用してこれらの個人からのプールされたディスプレイライブラリーを構築し、それにより、任意の数のワクチン候補に対するヒトレパートリーの反応性を直接測定できることであり得る。
実施例1:プライマー設計
全ヒトIg配列の最大適用範囲のためにPerlで記述されたカスタムソフトウエアを使用してプライマーを設計した(表1及び表5)。リーダー、可変及び定常領域に関するヌクレオチド配列を、ヒト重鎖、λ及びκ遺伝子(偽遺伝子及び切断型転写産物を除く)に関してIMGT(Lefranc et al.,Nucleic Acids Research(2009),37)からダウンロードし、プライマーの4セットを各遺伝子ファミリーに関して設計した。外部プライマー(プライマー名における「out」添字)を、Primer3を呼び出すことによって設計し、プライマーをリーダー配列のスプライスジャンクションにまたがるように設計し(「out_5」プライマー)、又は定常領域の第1の50塩基内に結合するように設計した(「out_3」プライマー)。VK_out_3の場合、手作業で設計したプライマーを可変領域−定常領域スプライスジャンクションにまたがるように形成した。全プライマーは、最小融解温度60℃でアニールするように設計された。内部プライマー(プライマー名における「in」添字)を、プライマーの5’末端をVコーディング配列のstart(「in_5」)又はend(「in_3」)に固定することによって設計し、Primer3からのOligo Tmモジュールを使用してTmが60℃に達するまで伸長した。FR4特異的プライマーも特異性の増大のために手作業で設計した。可能な場合、各セット内のプライマーを、最大で4つの縮重塩基を有するように統一した。可能な場合、各セット内のプライマーをオーバーハングに融合して、リンカー形成(VH_in_3及びVK/L_in_5)を可能にした。可能な場合、各セット内のプライマーをオーバーハングに融合して、NotI又はSfiIによる制限消化を可能にした。可能な場合、各セット内のプライマーをMiSeqディープシーケンシングのためにバーコード化した(表1)。
実施例2:免疫レプリカ技術を用いた細胞からの自然対合scFvの回収
実施例2.1:1次ヒトB細胞の封入
以下に記載するこの方法は、1次B細胞のプールから抗体レパートリーを、同族重鎖及び軽鎖対合を維持しながら、スクリーニング可能なフォーマットに保存するプラットフォームを提供する(図1)。これを達成するために、各B細胞を、試薬を含有する油中水小滴内に封入し、この試薬は、重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子転写産物のRT−PCR増幅、並びにscFvアンプリコンを生成するためのオーバーラップ伸長PCRによるそれらの対合用である。
RoboSepヒトB細胞濃縮キット(Stem Cell Technologies、19054RF)を使用して、健康なヒト血液サンプルからB細胞を単離した。この細胞を500xgで10分間遠心分離し、インスリン−トランスフェリン−セレン(Invitrogen、41400−045)、10%ウシ胎児血清(Invitrogen、10082−147)、0.5μg/ml megaCD40L(Enzo、LX−522−110−C010)、33ng/ml IL−21(内部で製造)及びペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン(Invitrogen、10378−016)で補充したRPMI1640(Invitrogen、10491−01)中に再懸濁し、37℃及び5%COで48時間増殖させた。封入前に細胞をPBS(700xgで3分間)中で洗浄し、その後、抗凝集剤(Invitrogen、0010057DG)の1:1,000希釈及び0.4mg/mlアセチル化BSA(EURx、E4020−01)を含有する低浸透圧電気融合緩衝液(Eppendorf、940002150)中に再懸濁した。
刺激されたB細胞は、時間と共に凝集する傾向を有し、これは、流速の変化及び複数の細胞が一緒に封入される原因となり得る。抗凝集賦形剤及び常磁性撹拌ディスクの使用により、封入前に細胞の沈殿が回避されることが見出された。
アセチル化BSAは、水−油界面を安定化し、界面張力を低下させることができる両親媒性分子である(Dalgleish,Trends in Food Science&Technology(1997),8(1):1−6;これは参照により本明細書に組み込まれる)。PCRサイクリングの過酷な条件における小滴の合体が最適化された。低い変性温度とアセチル化BSAの使用との組み合わせは、小滴の合体を減少させ、小滴安定性を改善した(図7)。好ましくは、変性温度は、約85℃〜約95℃の範囲内である。より好ましくは、変性温度は、約86℃〜約90℃の範囲内である。例えば、変性温度は、約88℃であり得る。更に、アセチル化BSAの存在は、逆転写酵素等の酵素を界面での変性から保護し得る。
小滴内の試薬は、小滴が形成されると加える又は減じることができないため、反応混合物は、単一の反応ミックスにおいて全ステップを行うように最適化された。細胞を2xRT−PCRマスターミックスと1:1比で封入した。ストックプライマーを100μMで等量で混合してプールを形成し、これをRT−PCRミックスに加えた。
300μlの典型的なマスターミックスは、4.86μl VH−out−F−T7、4.86μl VL−out−R−T3、2μl VH−in−R及び2μl VL−in−F(表2)、120ul 5x OneStep RT−PCR緩衝液、24μl OneStep RT−PCR酵素ミックス、54.1μl Q溶液(Qiagen、210212)、12μl 10mM dNTP(Invitrogen、18109−017)及び30μl RNaseOUT(Invitrogen、10777−019)から構成されていた。試薬を氷上でインキュベートしたままにし、その後、0.22μmスピンフィルター(Corning、8169)を通して遠心分離した。
MicellulaエマルションPCRキット(EURx、3600−02)を使用し、60%構成成分1、20%構成成分2及び20%構成成分3を使用してエマルションの有機相を作製した。試薬を最大速度で60秒間混合及びボルテックスし、室温で少なくとも30分間インキュベートした。封入前に有機相を0.22μmフィルターでろ過した。
OB1流量制御器(Elvesys)を使用して揚送された流体を用いて、2−試薬小滴生成チップ(Dolomite、3200242)上で封入を行った。細胞及びRT−PCRミックスの水性流体をそれぞれ57mbarで揚送すると共に油液体を101mbarで揚送した。得られたエマルションを6分画分(約40μlエマルション/画分)でPCRストリップチューブ内に収集した。対照として、等量の細胞及びRT−PCRミックスを組み合わせ、40μlアリコートでPCRストリップチューブ内に分割して開放PCR反応を行った。
「外部」プライマーに対する「内部」の相対的な量を、8の因数で低下させることにより(図3)、早期PCRサイクル中の内部プライマーの選択的枯渇が可能となり、個々の可変領域アンプリコンよりも完全連結産物の生成に有利に作用することが見出された(データは示さず)。
実施例2.2:自然対合可変領域遺伝子を含有するscFvの生成
55℃で30分間の逆転写ステップ、次いでRTの熱失活/88℃で2分間のTaqポリメラーゼの賦活化により、封入及び開放逆転写PCR反応を行った。続いて、45サイクルのPCR(88℃で30秒間、62℃で30秒間、72℃で1分間)、最終的な72℃で10分間の伸長ステップを行った。小滴上の過剰の油は、手作業で取り除き、QiaQuick PCR精製キット(Qiagen、28106)の5x過剰の緩衝液PBを加えることによって小滴を溶解し、PCR産物を製造業者の指示書に従って精製した。産物を、QiaQuickゲル抽出キット(Qiagen、28706)を使用して1%アガロース上で600〜1200bpにサイズ選択し、40μl EB緩衝液中に溶出した。
実施例2.3:自然対合可変領域遺伝子を含有するscFvの増幅
VH−in−FとVK−in−R又はVL−in−Rのいずれかとの混合物(1:50希釈、表2)を使用して、1μlの鋳型としての精製RT−PCR産物、3μlの希釈プライマーミックス、1.5μlの10xHifi Platinum PCR緩衝液、0.3μlの10mM dNTP、0.6μlの50mM MgSO及び0.06μlのHifi Platinum Taq(Invitrogen、11304−011)からなる15μl反応物におけるネステッドPCR増幅を行った。サイクリング条件は、94℃で2分間の初期変性ステップ、次いで45サイクルのPCR(94℃で15秒間、61℃で30秒間、68℃で60秒間)、及び68℃で10分間の最終的な伸長ステップからなっていた。産物を、QiaQuickPCR精製キットを使用して精製し、40μl EB緩衝液中に溶出した。
実施例3:単一のハイブリドーマ細胞の封入
単一細胞の封入を証明するために、100万のマウスハイブリドーマ細胞の2つのアリコートを、CellTracker染料(Invitrogen、C34552及びC7025)を使用して製造業者の指示書に従って赤色又は緑色蛍光で染色した。染色細胞をPBS中に再懸濁し、上述した条件を用いて、RT−PCRミックスをPBSに置き換えて封入した。小滴を6ウェル皿内に収集し、Evos FL自動細胞画像化システム(Invitrogen)を使用して倍率200xで画像化した。
400万細胞/mlの密度は、およそ100μmの直径の小滴内への殆どの単一細胞の封入に最適であることが見出された(図2)。この工程中、多数の空の小滴が生成したが、鋳型細胞が存在しないため、これらはscFvライブラリーに寄与しなかった。
実施例4:注射器及び圧力ポンプを使用した小滴安定性の比較
小滴安定性の改善を測定するために、2つの方法を使用して、マウスハイブリドーマ細胞及びRT−PCR緩衝液を用いて小滴を生成した。第1の方法は、2つの注射器ポンプ(Razel R−99)を使用して、それぞれ水性及び油流体をマイクロ流体チップに供給した。水性流体は、1mL注射器内に装填され、単一のポンプから0.5μl/分で同時に分配された一方、油:界面活性剤溶液は、3mL注射器内に装填され、別個のポンプから1.5μl/分で分配された。第2の方法は、パルスレス圧力ポンプを使用する上述されたものであった。0.5μlエマルションを96ウェルマイクロタイタープレートに移し、倍率25xで画像化して合体及び小滴均一性に関して調べた。次いで、エマルションを45サイクルのRT−PCR(上述したような)に供し、再度画像化した。
最適化PCR条件及び賦形剤は、単分散小滴を生成すると共に安定性の増大に寄与した(図7)。
実施例5:免疫レプリカ技術によるscFvの自然鎖対合の検証
RT−PCR中の単一細胞の封入及び小滴安定性の達成における最適化を試験するために、1次ヒト細胞とマウスB細胞との混合物を使用し、プライマーセットをCH1及びCκ領域を増幅及び連結するように設計した。
より詳細には、健康なドナー由来の1次ヒトB細胞を、上述したように処理及び刺激した。マウスB細胞単離キット(StemCell Technologies、19854)を使用して、製造業者の指示書に従って1次マウスB細胞を脾細胞から単離した。これらの細胞を、ヒトB細胞と同一の条件で、megaCD40LをマウスCD40L(Enzo、LX−522−120−C010)及びマウスIL21(内部で製造)に置き換えて刺激した。48時間刺激細胞を1:1比で組み合わせ、10,000の細胞を上述したように封入した。10,000の細胞を封入なしで直接RT−PCRミックス中に組み合わせることにより、並行「開放」反応を行った。上述したように、RT−PCR及びネステッドPCRを使用してScFv−様アンプリコンを生成し、プライマーセットは、CH1及びCκ領域を増幅及び対合するように設計された。
可変領域の代わりに定常領域を使用することにより、予想されるアウトプットの複雑性を高く低減し、4つの可能性:対合断片(hCH1−hCκ及びmCH1−mCκ)を有する2つのアンプリコン、及びスクランブル断片(hCH1−mCκ及びmCH1−hCκ)を有する2つのアンプリコンのみとし、これらは、特異的プライマーを用いネステッドPCRによって容易に検出することができ、Sangerシーケンシングによって確認された。予想通り、開放反応を用いて全ての可能な産物が特定されたが、印象的なことに、免疫レプリカ技術は、正確に対合したアンプリコンのみを生成した(図4)。これは、鎖対合が小滴内で維持される証拠を提供する。
実施例6:1次ヒトB細胞からの抗原特異的scFvの単離
実施例6.1:共通抗原に対する血清力価の決定
2人の健康なドナー(642及び432)由来の血清を500xgで10分間の全血の遠心分離によって単離した後、ELISAブロッキング緩衝液(PBS中、3%無脂肪ミルク−Bio−Rad、106404XTU+0.1% Tween−20−BDH、BDH4210)中で希釈した。カンジダ・アルビカンス(C.albicans)マンナン及びインフルエンザ赤血球凝集素(South Dakota)抗原を社内で生成し、96ウェル高結合プレート(Corning、3690)上に4μg/mlで被覆し、4℃で一晩インキュベートした。プレートをELISAブロッキング緩衝液で2時間ブロックした後、ELISA洗浄緩衝液(PBS+0.05% Tween−20)で3回洗浄し、段階希釈の血清と共に1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、結合IgGを1:10,000希釈の抗ヒトFc−γ−HRP(Jackson labs、109−035−098)で5分間にわたるTMB展開(KPL、52−00−04)によって検出した。等量の1M塩酸を加えて反応を停止させた後、450nmでの吸光度を測定することによって比色分析を行った。
両方のドナーは、2つの共通治療的標的:インフルエンザ赤血球凝集素(H1、South−Dakota変異体)及びカンジダ・アルビカンス(C.albicans)マンナンに対する中程度の血清力価を有した(図8)。
実施例6.2:抗原特異的scFvの単離
免疫レプリカ技術を検証するために、単一細胞の封入を有する及び有さない1次ヒトB細胞から生成されたライブラリーの直接比較を行った。
2人の健康なドナー(642及び432)の各々に関して、およそ10,000の1次B細胞を、上述したようなヒト可変遺伝子増幅及び鎖対合のための完全セットのプライマーと共に封入した(「em」)。並行して、可変遺伝子対合がスクランブルされることが予測される、封入されていない(開放(「op」)反応)10,000の1次B細胞を使用して各ドナーに関する参照ライブラリーも生成した。
RT−PCR及びネステッドPCR増幅後、ELISAによる高スループットスクリーニングのために、scFvアンプリコンバンドを、NotI/SfiI(New England Biolabs cat no R0189S及びR0123S)を用いてscFv−Fc発現ベクター内にサブクローニングした(図5)。
4つのライブラリー(642−em、642−op、432−em及び432−op)からの形質転換体を、2xYT寒天+100μg/mlカルベニシリン+2%ブドウ糖(Teknova、Y6260)を含有するQtrays上に蒔き、各々について1,408のコロニーを、60ul LB+100μg/mlカルベニシリン(Invitrogen、10177−012)+2%ブドウ糖(Teknova、G0535)を含む384ウェルプレート内に採集し、37℃で一晩増殖させた。5μlの一晩培養物を使用して、250μl再構成MagicMedia(Invitrogen、K6803)+100μg/mlカルベニシリンを含む384深ウェルプレートに接種し、25℃で3日間にわたり増殖させた。3日後、培養物を1:10希釈のPopCulture試薬(Novagen、71092)+1:10,000希釈のDNAse I(Invitrogen、18047−019)で処理し、デブリを4000xgで15分間の遠心分離によって排除した。ブロッキングステップがPBS中の3% BSA(Sigma、7030)+0.05% Tween−20(BDH、BDH4210)を使用した以外、上述したようにELISAによって抗原結合を行った。抗体は抗原特異的と思われ、シグナルは平均背景シグナル+背景標準偏差の20倍よりも大きかった。ヒットは、抗体をグリセロールストックから再発現させ、ELISAを繰り返すことによって検証された。
固定化抗原に対する結合に関してスクリーニングした5,632のコロニーのうち、赤血球凝集素に対する5つの結合剤、及びマンナンに対する1つの結合剤が特定された(表3)。大部分のヒット(5/6)が小滴ライブラリーに由来し、自然鎖対合を保存することにより、コンビナトリアルライブラリーの構成中に損失され得るクローンの特定が容易になることが示唆された。
実施例6.3:V/J生殖系列多様性のディープシーケンシング分析
並行して、封入及び開放ライブラリーのレパートリーをペアエンドIllumina MiSeqディープシーケンシングによって特徴付けた。
scFvアンプリコンはMiSeqディープシーケンシングには大き過ぎるため、別個のV及びVK/L断片を、特異的プライマーセットを使用して増幅した(表1)。iVH−in−F/iVH−in−R、iVK−in−F/iVK−in−R及びiVL−in−F/iVL−in−R(1:50希釈、表2)の混合物を使用して、1μl鋳型、3μl 1:50希釈のプライマーミックス(VH−in−F+VL−in−R)、1.5μl 10x Hifi Platinum PCR緩衝液、0.3μl 10mM dNTP、0.6μl 50mM MgSO及び0.06μl Hifi Platinum Taq(Invitrogen、11304−011)からなる15μl反応物におけるネステッドPCR増幅を行った。サイクリング条件は、94℃で2分間の初期変性ステップ、その後の45サイクルのPCR(94℃で15秒間、61℃で30秒間、68℃で60秒間)、及び68℃で10分間の最終的な伸長ステップからなっていた。産物をMiSeq 2x250bpペアエンドシーケンシング(SeqMatic)のために提出した。生の読み取りデータを、FASTQファイルの報告された品質スコアに基づいて品質フィルタリングした。独特の読み取りデータをIMGT V及びJ遺伝子生殖系列配列にマッピングして、小滴内での増幅の結果として導入された可能性がある任意のバイアスを決定した。
開放ライブラリーにおいて検出された全遺伝子ファミリーは、封入ライブラリーの範囲内でも非常に類似した割合で特定され、小滴増幅はレパートリーを偏らせないことが示唆された(図6)。
実施例7:免疫レプリカライブラリーのスループットを増大させるための工程最適化
免疫レプリカ技術のスループットを10細胞に増大させるために、粘度がより低い油担体(フッ素化油)を使用してより高い流速の使用を可能にした。ViCellで計数された10細胞は、30〜40分間で問題なく封入された。
RT−PCR構成成分、細胞封入緩衝液及びマイクロ流体の流速を更に最適化して、10 B細胞から小滴を生成し、この小滴は、RT−PCR中の安定性が改善され、サイズが均一であった。
実施例8:組換えヒトB細胞レパートリーは、稀な特異的且つ自然対合抗体に関するスクリーニングを可能にする
以下に記載する方法は、200万の1次B細胞を、次世代シーケンシングによる対合レパートリーのプロファイリングの能力をなお維持しながら、直接濃縮され及び機能に関してスクリーニングされ得る自然対合の発現可能なライブラリーに保存することを示す(図1)。これは、B細胞をピコリットルサイズの小滴(およそ200pLの体積)内に封入することによって達成され、それらの同族V遺伝子は、インフレームで融合されてscFvカセットを形成する。100万のB細胞が40分以内に封入され得るように、ガラスマイクロ流体チップを圧力ポンプと共に使用して均一サイズの小滴を高速で確実に生成した。
この手法の能力は、2人の健康なドナーの末梢血細胞から自然対合ファージ−ディスプレイライブラリーを構成することによって証明され、これは、選択が複数のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)サブタイプに対する抗体交差反応性へ推進されることを可能にした。
全血単離から18の独特の抗HAモノクローナル抗体への前進は、4週間以内に達成された。これらの抗体の6つは、インフルエンザA(グループ1及び2)及びB系列からの10個の異なるサブタイプに対して交差反応性を示した1つを含み、複数のHAサブタイプに対して交差反応性であった。これらの抗体配列の圧倒的多数は、対合レパートリーの次世代シーケンシングによって検出されず、この方法が、既存の技術によって見出される可能性が低い非常に稀なリードをどのように単離できるかを示している。
実施例8.1:スループットを増大させるための最適化工程を使用した、1次ヒトB細胞の対合免疫グロブリンレパートリーの、発現可能なフォーマットへの保存
対合免疫グロブリンレパートリーを発現可能なフォーマットに保存するために、全ての既知のヒトV及びJ遺伝子のマルチプレックス増幅のためのプライマーセットを、実施例1に記載したようにIMGTコンセンサス配列から計算的に設計した。合計で92プライマーを設計して、scFv生成のために適切なオーバーハングを有する542の機能的ヒトV及びJアレルを増幅した(表5)。
健康なドナーからの総B細胞を単離し、上記の実施例に記載したように刺激した。メモリーB細胞単離のために、ヒトスイッチ(Switched)メモリーB細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を更に使用する。
200万のB細胞を2人の健康なドナーの血液から別々に単離した:ドナー1からの総B細胞、及びドナー2からのIgG/IgAスイッチメモリーB細胞。
各ドナーに関して細胞をPBS中で洗浄し(700gで3分間)、半分に分割した。
100万の細胞を最適化RT−PCRミックスと共に封入して、自然対合アンプリコンライブラリー(「エマルションライブラリー」)を生成した。詳細には、100万の細胞を封入緩衝液:1:1,000希釈の抗凝集剤(Invitrogen、01−0057AE)及び16% OptiPrep密度勾配培地(Sigma、D1556)を含有する低浸透圧電気融合緩衝液(Eppendorf、940002001)中に再懸濁した。
細胞を2xRT−PCRマスターミックスと共に1:1比で封入した。各セット内のプライマーを等量で混合し、最適化された濃度の各セットをRT−PCRミックスに加えた。典型的な2xマスターミックスは、139nM VH−out−F、416nM VL−out−R、39nM VH−in−R及び13nM VL−in−F(表3)、2x One Tube RT−PCR反応緩衝液(Roche cat no 11855476001)、4% Titan One Tube RT−PCR酵素ミックス(Roche、11855476001)、18.2% Q溶液(Qiagen、210212)、0.4mM dNTP(Invitrogen、18427013)、10mM DTT(Roche、11855476001)及び120単位RNaseOUT(Invitrogen、10777019)から構成されていた。
OB1流量制御器(Elveflow、MKII)を使用して流体を揚送して、2−試薬小滴生成親フッ素性チップ(Dolomite、3200510)上で封入を行った。細胞及びRT−PCRミックスの水性液体をそれぞれ30mbarで揚送した一方、HFE−7500フッ素化油+2%w/v 008−フルオロ−界面活性剤(RAN Biotechnologies、008−FLUOROSURFACTANT−HFE7500)を67mbarで揚送し、圧力を水性流体の1:1ミックスが得られるように微調整した。得られたエマルションをPCRストリップチューブ内に画分で収集し(約40μlエマルション/画分)、鉱物油で覆った。過剰のフッ素化油を取り除いて、全体の体積を100μLに維持した。
この方法を用いて、100万のB細胞を40分以内で封入できることが見出された。この方法により、均一サイズの小滴を高速で確実に生成することが可能となる。
残りの100万の細胞を使用して、コンビナトリアルscFvライブラリー(「コンビナトリアルライブラリー」)を構築した。詳細には、100万の細胞を、RNEasy RNA 単離キット(Qiagen)を使用して製造業者の指示書に従って全RNAに関して処理した。V及びV配列が別々に増幅された後、オーバーラップ伸長PCR(同じプライマーセットを使用して)によって対合したことを除いて、エマルションの場合と同じマスターミックスを使用して、250ngの総RNAをRT−PCRに使用した。
実施例8.2:自然対合V遺伝子を含有するscFvの増幅
50℃で30分間の逆転写、次いでRTの熱失活/88℃で2分間のTaqポリメラーゼの賦活化により、封入及びコンビナトリアルライブラリーを形成した。続いて、45(エマルション)又は35(コンビナトリアル)サイクルのPCR(88℃で10秒間、62℃で30秒間、68℃で45秒間)及び最終的な68℃で7分間の伸長ステップを行った。小滴の下方の過剰の油は、手作業で取り除き、等量のPico−Break 1(Dolomite)を使用して小滴を化学的に合体させた。増幅したDNAを、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を使用して2%アガロース上でサイズ選択した。
いくつかのグループにより、細胞ベースのRT−PCRは、5nL未満の体積で実行できないと報告されているが(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Biotechnol.(2013),31:166−169;DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;White,.K.et al.,Proc.Natl.Acad.(2011),108:13999−14004;Eastburn,D.J.et al.,PloS ONE(2013),8:e62961;これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)、この方法は、およそ200pLの体積の小滴内で細胞からIg転写産物を直接増幅できることが見出された。
両方のケースは、(5’から3’へ)Vリーダー配列、V、(Gly−Ser)リンカー、V、CのN末端の部分からなる連結産物をもたらした。次いで、この産物を、V FR1及びV FR4特異的プライマーセットを用いたネステッドPCRの鋳型として使用して、完全長scFvアンプリコンライブラリーを生成した(図13A)。
保存されたレパートリーの深度評価を得るために、ネステッドPCRプライマーは、Illumina MiSeq上での次世代シーケンシングを可能にするバーコード化オーバーハングを含有した(図13A)。
ネステッドPCR増幅は、25%精製RT−PCR産物、100nM VH−in−F及びVL−in−Rプライマープール(表5)、1x Hifi Platinum PCR緩衝液、0.15mM dNTP、1.5mM MgSO及び0.6単位Hifi Platinum Taq(Invitrogen)からなっていた。サイクリング条件は、94℃で2分間の初期変性ステップ、その後の50サイクルのPCR(94℃で30秒間、55℃で30秒間、68℃で60秒間)、及び68℃で10分間の最終的な伸長ステップからなっていた。産物を再度上記のようにサイズ選択した。
共通のフォワード(Illu_scaleup_F)及びバーコード化リバースプライマー(Illu_R_N50X)を使用して最終的な規模拡大PCRを行って、ライブラリー構成及びIlluminaシーケンシングを可能にした(表6)。本発明者らは、Q5ポリメラーゼ(NEB)を製造業者の指示書に従って使用し、以下のサーモサイクリングプログラムを使用した:98℃で2分間、98℃で10秒間及び72℃で30秒間の12〜20サイクル、72℃で2分間。
実施例8.3:次世代シーケンシング及びバイオインフォマティクス分析
各バーコード化ライブラリーを850bpにサイズ選択し、等量で組み合わせ、カスタムプライミング手法(SeqMatic)を使用した2×300bp MiSeqシーケンシングに供した。カスタムプライミング戦略は、FR4、CDR3及びFR3からなるV及びVの3’末端の対合300bp読み取りデータを得るように設計された(図14)。R1及びR2プライマー(表6)を、それぞれV及びV配列を生成するために使用した一方、標準的なIllumina P5プライマーをインデックス読み取りのために使用した。V読み取りは、コンストラクトの3’末端に導入したプライミング部位を使用して得られたが、V読み取りは、(GS)リンカー配列にアニーリングされた内部プライマーを必要とした(表6)。
デマルチプレキシング後、生のFastq読み取りデータを、FastQCを使用して品質フィルタリングし、Illumina Fastq IDによって対合し、IMGT V及びJ遺伝子にアラインし、Kabat定義に従って注釈をつけて(Lloyd,C.et al.Protein Eng.Des.Sel.PEDS(2009)22:159−168;これは参照により本明細書に組み込まれる)、CDR3配列を抽出した。続いて、CDRH3及びCDRL3配列を連結し、アミノ酸アイデンティティが92%を超える場合、クラスタリングした。
独特のCDRH3及びCDRL3配列を計数し、各々の独特のVと対合した独特のV配列の数を対合効率の目安として計算した。複数のCDRL3と対合したCDRH3配列の場合、トップペア重量は、最も豊富なCDRL3と全CDRL3配列との数の比として決定した(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;これは参照により本明細書に組み込まれる)。全部で266,344及び2,666,926の独特のCDRH3:CDRL3クラスターがそれぞれ2つのエマルション及びコンビナトリアルライブラリーに関して回収された(表7)。
エラー訂正漸近Chao豊かさ推定器(Chiu,C.−H.&Chao,.PeerJ(2016),4:e1634;これは参照により本明細書に組み込まれる)を使用してクラスタリングパラメーターを検証し、シーケンシングアーチファクトに関して調整したアンプリコンライブラリーの算出された多様性は、観察されたクラスター数に非常に近いことが見出された。これは、クラスタリングパラメーターが真に独特の配列の損失を最小限にする一方、シーケンシングエラーに関して確実に訂正した証拠を提供する。
実施例8.4:抗体の自然鎖対合の検証
実施例8.4.1:マウス及びヒトB細胞混合物を使用した検証
単一細胞の封入及び同族鎖対合の達成に対するこの手法を検証するために、1次ヒト及びマウスB細胞を単離し、実施例5に記載したように刺激した。等量の1次刺激マウス及びヒトB細胞を混合し、この混合物からの10,000の細胞を実施例8.1に記載したように封入した。
10,000の細胞を封入なしで直接RT−PCRミックス中に組み合わせることによって並行「コンビナトリアル」反応を行った。RT−PCR及びネステッドPCR条件は、実施例8.2に記載した通りであり、プライマーセットをCH1及びCκ領域を増幅及び対合するように設計した(表3)。
予想通り、コンビナトリアルフォーマットは、全ての可能な産物を生成したが、際立ったことに、封入によって自然対合アンプリコンのみが生成された(図4b)。
実施例8.4.2:スパイクイン実験によるscFvの自然鎖対合の検証
健康なドナーの血液から単離された100万の総B細胞を10,000のIM−9細胞(1%)と混合した後、最適化されたRT−PCRミックスと共に封入して、(5’から3’へ)Vリーダー配列、V、(Gly−Ser)リンカー、V、CのN末端の部分からなる自然対合アンプリコンライブラリーを生成した。次いで、この産物を、V FR1及びV FR4特異的なプライマーセットを用いたネステッドPCRの鋳型として使用して、完全長scFvアンプリコンライブラリーを生成した(図13A)。
正確な鎖対合の更なる検証として、IM−9 CDRH3配列(RRGVTDIDPFDI;IM9−CDRH3−Fwd)に特異的なプライマーを一般的なリバースプライマー(R1、表6)と共に使用して、IM−9重鎖と対合する全V配列を増幅した。得られたアンプリコンをクローン化し、Sangerシーケンシングによって分析し、この分析は正確な対合を示し、97/101コロニーにおいて既知のIM−9 V(QHYNRPWT)を有した(96%対合精度)。これにより、競合B細胞の圧倒的存在量を用いても、本方法は、正確な鎖対合を維持することが確認された。
実施例8.4.3:各CDRH3配列と対合する独特のCDRL3配列の数の決定
免疫レプリカシステムが鎖対合を保存することのなお更なる検証として、各CDRH3配列と対合した独特のCDRL3配列の数を決定した。
予想通り、コンビナトリアルライブラリーは、各CDRH3配列が中央値5〜9の独特のCDRL3配列と対合された雑多な対合を示した(図13B、表7)。シーケンシング深度(10)は、コンビナトリアルライブラリー(1012)の理論的な配列多様性を大きくアンダーサンプルすることを仮定すれば、コンビナトリアル対合の真の率は、相当より高い可能性があるであろう。これは、中央値1:1 CDRH3/CDRL3対合であり、狭い分布が観察されたエマルションライブラリーに対する著しい対照であった。複数の対合が検出された場合、トップペア分析は、V−V対合における95%〜98%精度を決定した(図13C)。トップペア方法は、シーケンシングのみに好適であり、スクリーニングに好適でないアンプリコンを生成する以前公表された方法において、同族鎖対合を検証するのに使用されている(DeKosky,B.J.et al.,Nat.Med.(2015),21:86−91;これは参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、同様のシーケンシング深度及び出発細胞数を使用して、対合効率は、本方法を用いると有意により良好であることが見出された(p<0.007、図15及び表8)。
実施例8.5:封入された単一B細胞の画像化
B細胞をCellTracker Red CMTPX又はCellTracker Green CMFDA染料(Life Technologies)を使用して、製造業者の指示書に従って染色した。染色細胞をPBSに再懸濁し、上述した条件を用いて、RT−PCRミックスをPBSに置き換えて封入した。細胞溶解物を2つの方法で画像化した:(1)染色細胞を封入緩衝液に再懸濁し、RT−PCRミックスと共に封入し、50℃で5分間加熱した;(2)未染色細胞を2x SYBR−Green(Invitrogen)を含有するRT−PCRミックスと共に封入し、5分間で50℃に加熱した。小滴をμ−’Slide0.1’チャネルスライド(Ibidi)内に収集し、Evos FL自動細胞画像化システム(Invitrogen)を使用して倍率200xで画像化した。
RT−PCR緩衝液の添加と50℃でのインキュベーションによって生じた堅牢な細胞溶解物を、Trypan Blue染色(図10)並びにSYBR−Greenによる細胞質染色及び核材料の放出の検出(図11)によって観察した。
実施例8.6:ファージディスプレイライブラリー構成及び抗赤血球凝集素抗体の濃縮
原理の証明として、scFvライブラリーを使用して、インフルエンザ赤血球凝集素、ヒトが通常暴露される抗原に対する抗体を単離した。
実施例8.6.1:scFvライブラリーを使用した抗体の単離
エマルション及びコンビナトリアルライブラリーをファージミドベクターにバルクサブクローニングして(Vaughan,T.J.et al.,Nat.Biotechnol.(1996),14:309−314;これは参照により本明細書に組み込まれる)、1x10の形質転換体にわたるファージ−ディスプレイライブラリーを構成した。
詳細には、エマルション及びコンビナトリアルアンプリコンライブラリーを、Not1/Sfi1制限酵素(NEB)を使用してファージミドベクター(pCANTAB6)にサブクローニングし、ファージディスプレイライブラリーをVaughan,T.J.et al.,Nat.Biotechnol.(1996),14:309−314(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように生成した。4つのライブラリーの各々からの96のコロニーを対数期中期(mid−log)まで培養し、M13−K07(Invitrogen)で感染させて一晩モノクローナルファージ生成を開始した。抗体ディスプレイをELISAによって決定した。1μg/ml抗myc抗体(Invitrogen)を96ウェルMAXISORPプレート(Nunc)上に一晩固定化し、3% BSA(Sigma)及び0.05% Tween−20(BDH)で2時間ブロックした。PBST(PBS pH7.2(Invitrogen)+0.05% Tween−20)で洗浄した後、希釈ファージ上清を結合させ、抗M13−HRP抗体(1:5000、GE Healthcare)を使用して検出し、TMB(KPL)によって可視化した。scFvに融合されたmyc tagに対するモノクローナルファージELISAは、ライブラリーがほぼscFvを良好に表示し、ポジティブディスプレイがクローンの90〜99%に関して見られたことを示した(表9)。
組換え赤血球凝集素タンパク質をBenjamin,E.et al.,J.Virol.(2014),88:6743−6750(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように発現させ且つ精製した。使用したHAタンパク質は、以下の通りである:H1 CA/09、/California/07/2009 H1N1;H1 SD/07、A/South Dakota/06/2007 H1N1;H2 MO/06、A/Swine/Missouri/2006 H2N3;H5 VN/04、/Vietnam/1194/2004 H5N1;H6 HK/97、A/teal/Hong Kong/W312/97 H6N1;H9 HK/97、A/chicken/Hong Kong/G9/97 H9N2;H3 PE/09、A/Perth/16/2009 H3N2;H7 NL/03、A/Netherlands/219/2003 H7N7;B FL/06、B/Florida/04/2006 Yamagata lineage;B BR/08、B/Brisbane/60/2008 Victoria lineage)。
4つのライブラリーを、使用済みの75nMビオチン化赤血球凝集素H1(A/California/07/2009 H1N1)を使用して、Vaughan,T.J.et al.,Nat.Biotechnol.(1996),14:309−314(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように2ラウンドの濃縮に供した。
ファージとのインキュベーション前に、固定化ニュートラアビジン(Thermo Fisher Scientific)を使用して特定のビオチン化抗原を捕捉して、増幅されたファージアウトプットをポリクローナルELISAによってプロファイリングした。ポリクローナルファージELISAは、B細胞源に関わらず、特異的赤血球凝集素H1結合剤に関する堅牢な濃縮を確認した(図16A及び16B、図17)。注目すべきことに、コンビナトリアルライブラリーが全体的により強力な特異的濃縮を示した一方、濃縮されたクローンのモノクローナルシーケンシングは、対応するエマルションライブラリー(2.9%、図18)と比較してIGHV1−69生殖系列配列に関する強いバイアス(90%)を示した。
抗体を含有するIGHV1−69は、重鎖相互作用のみを介してグループ1赤血球凝集素サブタイプに接触できることが以前に示されているため(Pappas,L.et al.,Nature(2014),516:418−422;これは参照により本明細書に組み込まれる)、コンビナトリアルライブラリーの濃縮は、細菌内で良好に発現されるか又は折り畳まれるIGHV1−69に対するVパートナーの選択によって推進されたことが示唆される。これは、コンビナトリアルライブラリーを用いた際の重要なバイアスを強調するものである。
実施例8.6.2:交差反応性抗体に関する特異的濃縮
交差反応性抗体を特異的に濃縮するために、第1ラウンドのアウトプットを非循環性グループ1サブタイプ、インフルエンザA赤血球凝集素H5(75nM、/Vietnam/1203/2004)に関してエマルションライブラリーからパニングした。
濃縮されたライブラリーを、Not1/Sfi1制限酵素(NEB)を使用してscFv−Fc発現ベクター(Xiao,X.et al.PLoS ONE(2015),10:e0140691;これは参照により本明細書に組み込まれる)にバルクサブクローニングし、化学的にコンピテントなトップ10細胞(Invitrogen)に形質転換した。単一のクローンを、100μg/mlカルベニシリン(Invitrogen)及び2%ブドウ糖(TekNova)を含有するLB中で一晩増殖させた後、100μg/mlカルベニシリン(Invitrogen)を含有する再構成MagicMedia(Invitrogen)中で1:500に希釈した。細胞を25℃で72時間誘導し、遠心分離によってペレット化した。希釈した上清を使用し、抗Fc−γ−HRP2次抗体(Jackson ImmunoResearch)を使用して、上述したようにELISAによって抗原反応性を決定した。シーケンシング後、独特のクローンをHEK−293 Freestyle細胞内で6日間発現させ、上清を使用してELISAによる結合を確認した。
スクリーニングした5,632のクローンのうちの320のクローンが、18の独特の配列からなるH1に対する特異的結合を示した。これは、6つの独特の抗体を含み、この抗体は、パニングに使用した両方の抗原に対する交差反応性を示した(図16C)。驚くべきことに、これらの抗体(IGHV1−18/IGLV1−44)の1つは、A(グループ1及び2)及びインフルエンザBの両方の系列(Yamagata及びVictoria)からのサブタイプを含む、試験した10のHAサブタイプの全部に対する特異的結合を示し、16nM〜51nMの範囲の比較的類似したEC50値を有した(図16D)。このような普遍的な抗インフルエンザ抗体は、極めて稀であると考えられ、長い間探し求められてきたが、コンビナトリアルファージ−ディスプレイによって1度特定されたのみである(Dreyfus,C.et al.Science(2012),337:1343−1348;これは参照により本明細書に組み込まれる)。使用した健康なドナーサンプル中のそのような抗体の存在は予想外であったが、レパートリーの深い発掘によってこの抗体を単離する能力は、本方法の能力を示すものである。
実施例8.6.3:CDRH3:CDRL3対合によって確認されたヒットの相対的頻度
保存されたB細胞レパートリーにおけるヒットの相対的頻度を確認するために、そのCDRH3:CDRL3対の各々を次世代シーケンシングデータセット内で探し、最大で4つのアミノ酸ミスマッチが、可能なシーケンシング誘導による突然変異を構成することを許容した。18の抗原特異的配列の1つのみが266,344の独特の対合配列クラスターの中で認められ、これは、残りのヒットが次世代シーケンシングではあまりにも稀であるために検出できないことを示唆する。この配列(0089EA−C02)は、4,956,249のマッピングされた読み取りデータの2つを占めた(表7)。選択後、このクローンは、スクリーニングされた5,632クローンのうちの32で繰り返され、濃縮は14,000倍であることが見出された。
自然ヒト抗体を表示する他のプラットフォームが同様に適用でき、本発明者らがそのような代替的ディスプレイシステムを明確に想定していることが当業者によって認識されるであろう。例えば、酵母ディスプレイシステムは、レパートリー内に存在する可能性があるが、細菌内のヒト抗体の発現及び折り畳みの相違によって選択されなかった更なる抗原特異的配列の特定を可能にし得る。
このプラットフォームは、遺伝子特異的プライマーからのPCRの成功に依存するため、プライマー結合部位内の抗体遺伝子変異型を、得られたライブラリーから排除することが可能である。等しい活性を有するが、より少ない突然変異を有する祖先抗体(Macagno,.et al.J.Virol.(2010),84:1005−1013;これは参照により本明細書に組み込まれる)が依然として捕捉される可能性がある。
それにも関わらず、このリードの特定のセットは、シーケンシング情報のみでは予測されなかった可能性がある。次世代シーケンシングによって決定されたこれらのリードの希少性が元のB細胞プール内で表す範囲では、これは、これらのリードが個々のB細胞の培養及びスクリーニングの標準的な方法を介して見出され得なかったことを示唆する。
実施例9:封入前の細胞溶解物は、小滴をRNAで汚染し得る
小滴内に取り込む前の死んだ又は死にかけている細胞からの遊離RNAの封入は、自然対合ライブラリーの単離を妨害し得ると考えられた。特に、VH又はVL領域をコードするRNAは、小滴を汚染し、非自然対合産物をもたらす可能性がある。封入前の細胞溶解物が小滴をRNAで汚染するか否かを決定するために、48時間刺激細胞を一般的な封入と同じ時間(30分間)インキュベートし、次いで上清又は細胞ペレット(正の対照)のいずれかからVH領域のバルクRT−PCRを行った。水対照は、負の対照として含まれていた。
結果は、有意な量のRNAが細胞から放出されることを示す(図12)。
この問題を緩和する方法には、刺激時間の短縮、生細胞のより厳格な選択(例えば、FACS、ビーズベースの)、及びオリゴ被覆磁気ビーズを使用したRNAの隔離が含まれる。
実施例10:理論的な単一細胞の封入百分率
理論的には、単一の小滴内に封入される細胞の数は、細胞と小滴の比が1:10と仮定すると、λ=0.1のポアソン分布に従う。
式中、λ=0.1である。
単一細胞の封入百分率は、単一細胞を有する小滴を、≧1の細胞を有する小滴で除算する百分率として定義され、従って、確率は、以下のように計算することができる。
細胞懸濁液の滴定は、10個の小滴の各々に関しておよそ1個の細胞を達成し、これは、ポアソン統計に基づいて単一細胞の封入を>95%の確率でもたらす(図9)。

Claims (106)

  1. 封入された自然対合scFvアンプリコンを生成する方法であって、
    a.単一細胞を小滴内に封入するステップであって、前記小滴は、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬を更に含有する、ステップと、
    b.前記封入された単一細胞を溶解するステップと、
    c.前記封入された自然対合scFvアンプリコンを生成するステップであって、各scFvアンプリコンは、重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を含む、ステップと
    を含む方法。
  2. 前記細胞は、B細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記試薬は、ヒトIg配列に対して設計されたプライマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記試薬は、表1又は表5に示されるプライマーを含むプライマープールを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記封入されたアンプリコンを生成するステップは、最初に天然重鎖及び軽鎖可変領域配列から重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを形成することを含み、及び前記試薬は、
    a.第1及び第2の重鎖可変領域プライマーと、
    b.第1及び第2の軽鎖可変領域プライマーと
    を含むプライマープールを含み、前記第1の重鎖可変領域プライマー及び前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、相互作用して、前記重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記プライマープールは、前記第2のプライマーよりも低い濃度の前記第1のプライマーを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1の重鎖可変領域プライマーは、第1のオーバーハング配列に融合され、前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、第2のオーバーハング配列に融合され、前記オーバーハング配列は、相互作用して、前記重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記第1及び第2のオーバーハング配列は、少なくとも部分的に相補的である、請求項7に記載の方法。
  9. a.前記第1の重鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの重鎖可変領域内に結合するリバースプライマーであり、且つ前記第2の重鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの前記重鎖可変領域外に結合するフォワードプライマーであり、及び
    b.前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの軽鎖可変領域内に結合するフォワードプライマーであり、且つ前記第2の軽鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの前記軽鎖可変領域外に結合するリバースプライマーである、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 封入された自然対合scTCRアンプリコンを生成する方法であって、
    a.単一細胞を小滴内に封入するステップであって、前記小滴は、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅するための試薬を更に含有する、ステップと、
    b.前記封入された単一細胞を溶解するステップと、
    c.前記封入された自然対合scTCRアンプリコンを生成するステップであって、各scTCRアンプリコンは、TCR鎖アンプリコンの自然対合を含む、ステップと
    を含む方法。
  11. 前記自然対合TCR鎖アンプリコンは、α及びβ鎖アンプリコンである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記自然対合TCR鎖アンプリコンは、γ及びδ鎖アンプリコンである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記細胞は、T細胞である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記試薬は、Titan(Roche cat no 11855476001)を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記封入するステップは、マイクロ流体力学を使用することを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記封入するステップは、水性懸濁液を油と組み合わせて、小滴内の前記封入された単一細胞を含むエマルションを形成することを含み、前記水性懸濁液は、前記細胞と、アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための前記試薬とを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記油は、フッ素化油である、請求項16に記載の方法。
  18. 細胞の前記懸濁液は、約100万〜約500万細胞/ml、好ましくは約350万〜約450万細胞/ml、より好ましくは約400万細胞/mlの密度である、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 細胞の前記懸濁液は、安定剤を含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記封入されたアンプリコンを生成するステップは、RT−PCRを使用することを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 死んだ又は死にかけている細胞からの少なくともいくつかの遊離核酸が小滴内に封入されることを防止するステップを更に含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記防止するステップは、封入前に細胞を48時間未満にわたって刺激することを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記防止するステップは、封入前に生細胞を選択することを含む、請求項21又は22に記載の方法。
  24. 前記防止するステップは、オリゴヌクレオチド被覆磁気ビーズを使用して前記核酸を隔離することを含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法によって生成される、封入された自然対合アンプリコン。
  26. 自然対合アンプリコンのライブラリーを生成する方法であって、
    a.請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法により、封入された自然対合アンプリコンを生成するステップと、
    b.前記小滴を溶解して、自然対合アンプリコンのライブラリーを生成するステップと
    を含む方法。
  27. 請求項26に記載の方法によって生成される自然対合アンプリコンのライブラリー。
  28. 抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFvアンプリコンのライブラリーを生成する方法であって、
    a.請求項27に記載の方法による自然対合scFvアンプリコンのライブラリーを生成するステップと、
    b.自然対合scFvアンプリコンの更なるライブラリーを生成するステップであって、前記更なるライブラリーの前記自然対合scFvアンプリコンは、一般式R1−V1−L−V2−R2を有し、ここで、
    i.R1及びR2は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ制限酵素部位を含み、
    ii.V1及びV2は、自然対合重鎖及び軽鎖可変領域であり、V1が前記軽鎖可変領域である場合、V2は、前記重鎖可変領域であり、又はV1が前記重鎖可変領域である場合、V2は、前記軽鎖可変領域であり、及び
    iii.Lは、直接結合又はリンカーである、ステップと
    を含む方法。
  29. 前記自然対合scFvアンプリコンの更なるライブラリーを生成するステップは、ネステッドPCRを使用することを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記ネステッドPCRは、V1のFR1及びV2のFR4に結合するプライマーを使用する、請求項29に記載の方法。
  31. 抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成する方法であって、
    a.請求項27に記載の方法による自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成するステップと、
    b.自然対合scTCRアンプリコンの更なるライブラリーを生成するステップであって、前記更なるライブラリーの前記自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−C1−L−C2−R2を有し、ここで、
    i.R1及びR2は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ制限酵素部位を含み、
    ii.C1及びC2は、自然対合α及びβ TCR鎖であり、C1が前記α TCR鎖である場合、C2は、前記β TCR鎖であり、又はC1が前記β TCR鎖である場合、C2は、前記α TCR鎖であり、及び
    iii.Lは、直接結合又はリンカーである、ステップと
    を含む方法。
  32. 抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成する方法であって、
    a.請求項27に記載の方法による自然対合scTCRアンプリコンのライブラリーを生成するステップと、
    b.自然対合scTCRアンプリコンの更なるライブラリーを生成するステップであって、前記更なるライブラリーの前記自然対合scTCRアンプリコンは、一般式R1−C1−L−C2−R2を有し、ここで、
    i.R1及びR2は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ制限酵素部位を含み、
    ii.C1及びC2は、自然対合γ及びδ TCR鎖であり、C1が前記γ TCR鎖である場合、C2は、前記δ TCR鎖であり、又はC1が前記δ TCR鎖である場合、C2は、前記γ TCR鎖であり、及び
    iii.Lは、直接結合又はリンカーである、ステップと
    を含む方法。
  33. 前記自然対合scTCRアンプリコンの更なるライブラリーを生成するステップは、ネステッドPCRを使用することを含む、請求項31又は32に記載の方法。
  34. 前記ネステッドPCRは、制限酵素部位を含むオーバーハング配列に融合されるプライマーを使用する、請求項29、30又は33のいずれか一項に記載の方法。
  35. R1は、Sfi1制限酵素部位を含み、及びR2は、Not1制限酵素部位を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 請求項28〜35のいずれか一項に記載の方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFv又はscTCRアンプリコンのライブラリー。
  37. 抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFv又はscTCRライブラリーを生成する方法であって、
    a.請求項28〜35のいずれか一項に記載の方法により、自然対合アンプリコンのライブラリーを生成するステップと、
    b.前記自然対合scFv又はscTCRライブラリーを発現させるステップと
    を含む方法。
  38. 自然対合scFvライブラリーを生成するためのものであり、自然対合scFvをscFv−Fcとして発現させることを含む、請求項37に記載の方法。
  39. 自然対合scFvライブラリーを生成するためのものであり、自然対合scFvをscFvファージディスプレイライブラリーとして発現させることを含む、請求項37に記載の方法。
  40. 請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法によって生成される、抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合scFv又はscTCRライブラリー。
  41. 抗原特異的分子を特定する方法であって、
    a.請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法により、自然対合scFv又はscTCRライブラリーを生成するステップと、
    b.抗原サンプルを用いて前記自然対合scFv又はscTCRライブラリーを調べるステップと、
    c.抗原特異的分子を特定するステップと
    を含む方法。
  42. 前記自然対合ライブラリーは、scFvライブラリーであり、及び前記抗原特異的分子は、抗体である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記抗原サンプルは、腫瘍組織、細菌全体又はウィルス粒子である、請求項41又は42に記載の方法。
  44. 請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法によって生成される抗原特異的分子。
  45. 単一細胞を小滴内に封入するためのマイクロ流体力学の使用であって、前記小滴は、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬を更に含有する、使用。
  46. 前記細胞は、B細胞である、請求項45に記載の使用。
  47. 前記試薬は、ヒトIg配列に対して設計されたプライマーを含む、請求項45又は46に記載の使用。
  48. 前記試薬は、表1又は表5に示されるプライマーを含むプライマープールを含む、請求項47に記載の使用。
  49. 前記試薬は、
    a.第1及び第2の重鎖可変領域プライマーと、
    b.第1及び第2の軽鎖可変領域プライマーと
    を含むプライマープールを含み、前記第1の重鎖可変領域プライマー及び前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、相互作用して、前記重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する、請求項45〜48のいずれか一項に記載の使用。
  50. 前記プライマープールは、前記第2のプライマーよりも低い濃度の前記第1のプライマーを含む、請求項49に記載の使用。
  51. 前記第1の重鎖可変領域プライマーは、第1のオーバーハング配列に融合され、前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、第2のオーバーハング配列に融合され、前記オーバーハング配列は、相互作用して、前記重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する、請求項49又は50に記載の使用。
  52. 前記第1及び第2のオーバーハング配列は、少なくとも部分的に相補的である、請求項51に記載の使用。
  53. a.前記第1の重鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの重鎖可変領域内に結合するリバースプライマーであり、且つ前記第2の重鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの前記重鎖可変領域外に結合するフォワードプライマーであり、及び
    b.前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの軽鎖可変領域内に結合するフォワードプライマーであり、且つ前記第2の軽鎖可変領域プライマーは、前記天然配列/アンプリコンの前記軽鎖可変領域外に結合するリバースプライマーである、請求項49〜52のいずれか一項に記載の使用。
  54. 単一細胞を小滴内に封入するためのマイクロ流体力学の使用であって、前記小滴は、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬を更に含有する、使用。
  55. 前記TCR鎖アンプリコンは、α及びβ鎖アンプリコンである、請求項54に記載の使用。
  56. 前記TCR鎖アンプリコンは、γ及びδ鎖アンプリコンである、請求項54に記載の使用。
  57. 前記細胞は、T細胞である、請求項54〜56のいずれか一項に記載の使用。
  58. 前記試薬は、Titan(Roche cat no 11855476001)を含む、請求項45〜57のいずれか一項に記載の使用。
  59. 前記封入は、水性懸濁液を油と組み合わせて、小滴内の前記封入された単一細胞を含むエマルションを形成することを含み、前記水性懸濁液は、前記細胞と、アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための前記試薬とを含む、請求項45〜58のいずれか一項に記載の使用。
  60. 前記油は、フッ素化油である、請求項59に記載の使用。
  61. 細胞の前記懸濁液は、約100万〜約500万細胞/ml、好ましくは約350万〜約450万細胞/ml、より好ましくは約400万細胞/mlの密度である、請求項59又は60に記載の使用。
  62. 細胞の前記懸濁液は、安定剤を含む、請求項59〜61のいずれか一項に記載の使用。
  63. 前記試薬は、RT−PCRのための試薬である、請求項45〜62のいずれか一項に記載の使用。
  64. 抗原結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合組換えscFvを含むscFvライブラリーであって、各scFvは、互いに連結された、単一細胞の自然対合の重鎖及び軽鎖可変領域を含む、scFvライブラリー。
  65. 前記scFvは、scFv−Fcである、請求項64に記載のscFvライブラリー。
  66. scFvファージディスプレイライブラリーである、請求項64に記載のscFvライブラリー。
  67. 前記細胞は、B細胞である、請求項64〜66のいずれか一項に記載のscFvライブラリー。
  68. 各scFvの前記重鎖及び軽鎖可変領域は、リンカーによって連結され、前記リンカーは、グリシン及び/又はセリンに富んでいる、請求項64〜67のいずれか一項に記載のscFvライブラリー。
  69. 各scFvの前記重鎖及び軽鎖可変領域は、5〜30アミノ酸長、好ましくは10〜20アミノ酸長、好ましくは13〜18アミノ酸長、より好ましくは15アミノ酸長のリンカーによって連結されている、請求項64〜68のいずれか一項に記載のscFvライブラリー。
  70. T細胞受容体結合及び/又は機能に関するスクリーニングのための自然対合組換えscTCRを含むscTCRライブラリーであって、各scTCRは、互いに連結された、単一細胞の自然対合のTCR鎖を含む、scTCRライブラリー。
  71. 前記自然対合TCR鎖は、α及びβ鎖である、請求項70に記載のscTCRライブラリー。
  72. 前記自然対合TCR鎖は、γ及びδ鎖である、請求項70に記載のscTCRライブラリー。
  73. 前記細胞は、T細胞である、請求項70〜72のいずれか一項に記載のscFvライブラリー。
  74. 各scTCRの前記TCR鎖は、リンカーによって連結され、前記リンカーは、グリシン及び/又はセリンに富んでいる、請求項70〜73のいずれか一項に記載のscTCRライブラリー。
  75. 各scTCRの前記TCR鎖は、5〜30アミノ酸長、好ましくは10〜20アミノ酸長、好ましくは13〜18アミノ酸長、より好ましくは15アミノ酸長のリンカーによって連結されている、請求項70〜74のいずれか一項に記載のscTCRライブラリー。
  76. 前記リンカーは、(GlySer)である、請求項67、69、74又は75のいずれか一項に記載のライブラリー。
  77. 抗原特異的分子を特定する方法であって、
    a.抗原サンプルを用いて、
    i.請求項40に記載の自然対合scFv若しくはscTCRライブラリー、又は
    ii.請求項64〜76のいずれか一項に記載のscFv若しくはscTCRライブラリー
    を調べるステップと、
    b.抗原特異的分子を特定するステップと
    を含む方法。
  78. 前記自然対合ライブラリーは、scFvライブラリーであり、前記抗原特異的分子は、抗体である、請求項77に記載の方法。
  79. 前記抗原サンプルは、腫瘍組織、細菌全体又はウィルス粒子である、請求項77又は78に記載の方法。
  80. 請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法によって生成される抗原特異的分子。
  81. 抗原特異的分子を特定するための、
    a.請求項40に記載の自然対合scFv若しくはscTCRライブラリー、又は
    b.請求項64〜76のいずれか一項に記載のscFv若しくはscTCRライブラリー
    の使用であって、抗原サンプルを用いて前記scFv又はscTCRライブラリーを調べることと、抗原特異的分子を特定することとを含む、使用。
  82. 前記ライブラリーは、scFvライブラリーであり、前記抗原特異的分子は、抗体である、請求項81に記載の使用。
  83. 前記抗原サンプルは、腫瘍組織、細菌全体又はウィルス粒子である、請求項81又は82に記載の使用。
  84. a.単一細胞を、封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と共に小滴内に封入するためのマイクロ流体チップと、
    b.封入された単一細胞からの重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンの自然対合を増幅及び連結して、scFvアンプリコンを生成するための試薬と
    を含むキット。
  85. 前記細胞は、B細胞である、請求項84に記載のキット。
  86. 前記試薬は、RT−PCRのための試薬を含む、請求項84又は85に記載のキット。
  87. 前記試薬は、ヒトIg配列に対して設計されたプライマーを含む、請求項84〜86のいずれか一項に記載のキット。
  88. 前記試薬は、表1又は表5に示されるプライマーを含むプライマープールを含む、請求項87に記載のキット。
  89. 前記試薬は、
    a.第1及び第2の重鎖可変領域プライマーと、
    b.第1及び第2の軽鎖可変領域プライマーと
    を含むプライマープールを含み、前記第1の重鎖可変領域プライマー及び前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、相互作用して、前記重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する、請求項84〜88のいずれか一項に記載のキット。
  90. 前記プライマープールは、前記第2のプライマーよりも低い濃度の前記第1のプライマーを含む、請求項89に記載のキット。
  91. 前記第1の重鎖可変領域プライマーは、第1のオーバーハング配列に融合され、前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、第2のオーバーハング配列に融合され、前記オーバーハング配列は、相互作用して、前記重鎖及び軽鎖可変領域アンプリコンを連結する、請求項89又は90に記載のキット。
  92. 前記第1及び第2のオーバーハング配列は、少なくとも部分的に相補的である、請求項91に記載のキット。
  93. a.前記第1の重鎖可変領域プライマーは、重鎖可変領域内に結合するように設計されるリバースプライマーであり、且つ前記第2の重鎖可変領域プライマーは、重鎖可変領域外に結合するように設計されるフォワードプライマーであり、及び
    b.前記第1の軽鎖可変領域プライマーは、軽鎖可変領域内に結合するように設計されるフォワードプライマーであり、且つ前記第2の軽鎖可変領域プライマーは、軽鎖可変領域外に結合するように設計されるリバースプライマーである、請求項89〜92のいずれか一項に記載のキット。
  94. 前記scFvアンプリコンをscFv−Fcとして発現させるための発現ベクターを更に含む、請求項84〜93のいずれか一項に記載のキット。
  95. 前記scFvアンプリコンをscFvファージディスプレイライブラリーの一部として発現させるための発現ベクターを更に含む、請求項84〜93のいずれか一項に記載のキット。
  96. ネステッドPCRを使用して前記scFvアンプリコンを増幅するためのプライマーを更に含む、請求項84〜95のいずれか一項に記載のキット。
  97. 前記ネステッドPCRプライマーは、重鎖可変領域のFR1及び軽鎖可変領域のFR4に結合するように設計されている、請求項96に記載のキット。
  98. a.単一細胞を、封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結するための試薬と共に小滴内に封入するためのマイクロ流体チップと、
    b.封入された単一細胞からのTCR鎖アンプリコンの自然対合を増幅及び連結して、scTCRアンプリコンを生成するための試薬と
    を含むキット。
  99. 前記TCR鎖アンプリコンは、α及びβ鎖アンプリコンである、請求項98に記載のキット。
  100. 前記TCR鎖アンプリコンは、γ及びδ鎖アンプリコンである、請求項98に記載のキット。
  101. 前記細胞は、T細胞である、請求項98〜100のいずれか一項に記載のキット。
  102. ネステッドPCRを使用して前記scTCRアンプリコンを増幅するためのプライマーを更に含む、請求項98〜101のいずれか一項に記載のキット。
  103. 前記ネステッドPCRプライマーは、制限酵素部位を含むオーバーハング配列に融合される、請求項96、97又は102のいずれか一項に記載のキット。
  104. 前記ネステッドPCRプライマーは、プライマー対を含み、一方のプライマーは、Sfi1制限酵素部位をコードするオーバーハング配列に融合され、及び他方のプライマーは、Not1制限酵素部位をコードするオーバーハング配列に融合される、請求項103に記載のキット。
  105. 前記マイクロ流体チップは、親フッ素性チップである、請求項84〜104のいずれか一項に記載のキット。
  106. フッ素化油を更に含む、請求項84〜105のいずれか一項に記載のキット。
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