JP2019516690A - 抗菌剤ならびにそれを作製および使用する方法 - Google Patents

抗菌剤ならびにそれを作製および使用する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は全体として、抗菌化合物の分野、ならびにそれらを作製および使用する方法に関する。これらの化合物は、ヒトおよび動物における微生物感染症を治療するため、予防するため、その危険性を低減させるため、およびその発症を遅らせるために有用である。いくつかの態様において、本開示は、式(I)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月14日出願の米国仮出願第62/485,760号、2017年1月9日出願の米国仮出願62/444,278号、2016年9月9日出願の米国仮出願62/385,771号および2016年5月6日出願の米国仮出願第62/333,049号の優先権を主張するものであり、上述の全てはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
技術分野
本発明は、抗菌化合物に関し、より詳細には、微生物感染症を治療し、予防し、およびその危険性を低減するために有用な、ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オンに関する。
背景
1920年代のペニシリンの発見および1940年代のストレプトマイシンの発見以降、多くの新規化合物が抗生物質としての使用のために発見または具体的に設計された。いったんは、そのような治療薬の使用によって感染症を完全に制御または根絶することができると考えられた。しかし、そのような考えには、現在有効な治療薬に耐性がある細胞株または微生物株が進化し続けていることから異議が唱えられた。臨床用に開発されたほぼすべての抗生物質が、最終的に耐性菌の出現による問題に遭遇した。例えば、メチシリン耐性ブドウ球菌(staphylococci)、ペニシリン耐性連鎖球菌(streptococci)およびバンコマイシン耐性腸球菌(enterococci)などのグラム陽性菌の耐性株が発生した。耐性菌は感染患者において重大な、さらには致死的な結果を引き起こしうる。例えばLowry, F.D. "Antimicrobial Resistance: The Example of Staphylococcus aureus," J. Clin. Invest., vol. 111, no. 9, pp. 1265-1273 (2003)(非特許文献1);およびGold, H.S. and Moellering, R.C., Jr., "Antimicrobial-Drug Resistance," N. Engl. J. Med., vol. 335, pp. 1445-53 (1996)(非特許文献2)を参照。
新規抗細菌薬の発見および開発は、数十年にわたって多くの製薬企業の主要な重点課題であった。にもかかわらず、近年、この研究および薬物開発分野からの撤退が生じており、結果として、市場に出回る新規抗生物質の数が非常に少なくなっている。新規抗生物質のこの欠如は、特に現行の治療法に対する細菌耐性が院内環境および市中環境の両方において増大しているなかで特に憂慮すべきものである。
新規抗菌化合物を開発する1つのアプローチは、細菌リボソーム機能のモジュレーター、例えば阻害剤を設計することである。細菌リボソーム機能を調節または阻害することで、抗菌化合物は、RNA翻訳およびタンパク質合成などの必須過程に干渉し、それにより抗菌効果を示すことがある。実際、エリスロマイシン、クリンダマイシンおよびリネゾリドなどのいくつかの抗生物質化合物はリボソームに結合することが知られている。
Lowry, F.D. "Antimicrobial Resistance: The Example of Staphylococcus aureus," J. Clin. Invest., vol. 111, no. 9, pp. 1265-1273 (2003) Gold, H.S. and Moellering, R.C., Jr., "Antimicrobial-Drug Resistance," N. Engl. J. Med., vol. 335, pp. 1445-53 (1996)
概要
本開示は全体として、抗菌化合物の分野、ならびにそれらを作製および使用する方法に関する。これらの化合物およびその互変異性体は、ヒトおよび動物における微生物感染症を治療する、予防する、その危険性を低減する、またはその発症を遅延させるために有用である。本開示はまた、これらの化合物および互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
いくつかの態様では、下記式(I)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される:
Figure 2019516690
式中、
R1は、Hおよびハロより選択され;
R2は、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4ハロアルキル、およびORa1より選択され;
R3は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Wは、NおよびCR4より選択され;
R4は、H、ハロ、ORa2、SRa2、5〜6員ヘテロシクロアルキル、S(O)2Rb2、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、ハロ、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
R6は、H、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3で置換されていてもよく;
R7は、HおよびC1〜6アルキルより選択されるか;または、
R6およびR7は、それらが結合している炭素原子および該2つの炭素原子に結合している窒素原子と一緒に下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、
R8は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Xは、OおよびNRNより選択され;
RNは、HおよびC1〜4アルキルより選択され;
RA は、Hであり;
RB は、Hであるか;または、
RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、N、OおよびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該5〜6員ヘテロシクロアルキルは、ハロで置換されていてもよく;
R9は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルはORa3およびSRa3より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10は、H、C2〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキルおよびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよく;
R11は、HまたはC1〜3アルキルであり、該C1〜3アルキルは、OHで置換されていてもよく;ならびに、
各Ra1、Ra2、およびRa3は、H、C1〜6アルキルおよびC1〜4ハロアルキルより独立して選択される。
いくつかの態様では、下記式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される:
Figure 2019516690
式中、
R1は、Hおよびハロより選択され;
R2は、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4ハロアルキル、およびORa1より選択され;
R3は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Wは、NおよびCR4より選択され;
R4は、H、ハロ、ORa2、SRa2、5〜6員ヘテロシクロアルキル、S(O)2Rb2、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、ハロ、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
R6は、H、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6 アルキルは、ORa3で置換されていてもよく;
R7は、HおよびC1〜6アルキルより選択されるか;または、
R6およびR7は、それらが結合している炭素原子および該2つの炭素原子に結合している窒素原子と一緒に下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、
R8は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Xは、OおよびNRNより選択され;
RNは、HおよびC1〜4アルキルより選択され;
RA は、Hであり;
RB は、Hであるか;または、
RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、N、OおよびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該5〜6員ヘテロシクロアルキルは、ハロで置換されていてもよく;
R9は、C1〜6アルキル、C3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルはORa3およびSRa3より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10は、H、C1〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキルおよびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに、
各Ra1、Ra2、およびRa3は、H、C1〜6アルキルおよびC1〜4ハロアルキルより独立して選択される。
いくつかの態様では、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のとおりの、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、または薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症を治療する方法が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のとおりの、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、または薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症を予防する方法が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のとおりの、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、または薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症の危険性を低減する方法が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のとおりの、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、または薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症の発症を遅延させる方法が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のとおりの、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、または薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症を治療する方法が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、対象における微生物感染症を治療するか、予防するか、または低減するための医薬の製造における、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用が、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、対象における微生物感染症を治療するか、予防するか、または低減するのに使用するための、式(I)または式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される。
さらに、本開示は、前述の化合物もしくはその互変異性体、および該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を合成する方法を提供する。合成後、有効量の1種または複数種の前記化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を、ヒトまたは動物への投与用に薬学的に許容される担体と共に調剤することで、抗菌薬、特に抗細菌薬として使用することができる。特定の態様では、本開示の化合物は、微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるために有用であるか、あるいは微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための医薬の製造のために有用である。
したがって、前記化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、あるいはそれらの製剤を、例えば、経口、非経口、静脈内、経耳、経眼、経鼻、もしくは局所経路により投与し、有効量の前記化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を、ヒトまたは動物に提供することができる。
本開示の前述のおよび他の局面および態様は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を参照することでより完全に理解することができる。
種ごとに試験した全ての腸内細菌科に対するRX-04A〜DのMIC分布を示す棒グラフを提供する(n=68)。 CPEに対するRX-04AのMIC分布を示す棒グラフを提供する(n=36)。 MCR-1分離株に対するRX-04AのMIC分布を示す棒グラフを提供する(n=14)。 アシネトバクター・バウマンニ(A. baumannii)分離株に対するRX-04A〜DのMIC分布を示す棒グラフを提供する(n=10)。 緑膿菌(P.aeruginosa)に対するRX-04A〜DのMIC分布を示す棒グラフを提供する(n=20)。
詳細な説明
本開示は、新規抗菌薬を発見および開発するために、構造に基づく薬物設計アプローチを利用する。このアプローチは、特定の化学構造、リボソーム結合特性および抗菌活性を有する新規クラスの抗菌化合物を設計するために、リボソームの高分解能X線結晶で出発する。構造に基づくこの薬物発見アプローチは以下の刊行物に記載されている: Franceschi, F. and Duffy, E.M., "Structure-based drug design meets the ribosome", Biochemical Pharmacology, vol. 71, pp. 1016-1025 (2006)。
構造に基づくこの薬物設計アプローチに基づいて、本開示は、ヒトおよび動物において微生物感染症を治療するために有用な新規化学クラスの抗菌化合物を記述する。理論により限定されるものではないが、これらの化合物は、リボソームに結合することで細菌リボソーム機能を阻害すると考えられる。これらのリボソーム結合部位を利用することで、本開示の抗菌化合物は現在利用可能な抗生物質化合物よりも良好な活性、特に細菌の耐性株に対する活性を示すことができる。
したがって、本開示は、新規抗菌薬、特に耐性病原性細菌性生物に対する活性を有する抗菌薬という現在進行中の重要な要求を満たすものである。
本開示は、抗菌薬、より特別には抗細菌薬として使用可能な、化合物またはその互変異性体のファミリーを提供する。
本開示はまた、前記化合物および互変異性体の薬学的に許容される塩を含む。
本明細書に本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、不斉中心を有しうる。不斉置換原子を含有する、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、光学活性体またはラセミ体として単離することができる。光学活性体を例えばラセミ体の分割または光学活性出発原料からの合成によってどのように調製するかは当技術分野において周知である。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に存在することがあり、すべてのそのような安定な異性体が本開示において企図される。本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩のシスおよびトランス幾何異性体は記載の通りであり、異性体混合物または別々の異性体として単離することができる。特定の立体化学配置または異性体が特に示されない限り、ある構造のすべてのキラル体、ジアステレオ異性体、ラセミ体および幾何異性体が意図される。本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を調製するために使用されるすべての方法、および該方法において作製されるすべての中間体は、本開示の一部であるとみなされる。図示または記載される化合物のすべての互変異性体も本開示の一部であるとみなされる。さらに、本開示はまた、本明細書に開示の化合物の代謝産物を含む。
本開示はまた、自然界に最も一般的に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で1個もしくは複数個の原子が置き換えられているという点を除けば本開示の式において列挙されるそれらと同一である、同位体標識化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を包含する。本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に組み入れ可能な同位体の例としては、水素、炭素、窒素、およびフッ素の同位体、例えば3H、11C、14C、および18Fが挙げられる。
上述の同位体および/または他の原子の同位体を含有する、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、本開示の範囲内である。本開示の、同位体標識化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み入れられたそれらは、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム同位体、すなわち3H、および炭素14同位体、すなわち14Cは、調製の容易さおよび検出性が理由で特に好ましい。11Cおよび8F同位体はPET(陽電子放出断層撮影)において特に有用である。PETは脳画像診断において有用である。さらに、重水素、すなわち2Hなどのより重い同位体による置換は、代謝安定性の増大により得られる特定の治療上の利点、すなわちインビボ半減期の増大または投薬量要件の減少を与えることができ、したがっていくつかの状況において好ましいことがある。概して、本明細書に開示の式を有する、同位体標識化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、容易に入手可能な同位体標識試薬で非同位体標識試薬を置換することで本明細書に開示の手順、スキームおよび/または実施例に記載されているように調製することができる。一態様では、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、同位体標識されていない。
本明細書に開示の任意の構成要素または式中で任意の変動要素(例えばR)が2回以上記載されている場合、それぞれの場合のその定義は他のそれぞれの場合のその定義とは無関係である。したがって、例えば、ある基が1個もしくは複数個のR部分で置換されていると示される場合、それぞれの場合のRは独立してRの定義より選択される。また、置換基および/または変動要素の組み合わせが許容されるが、但しそのような組み合わせによって所定の原子の通常の原子価の範囲内の安定な化合物が得られる場合のみである。
化学結合について点線の表示を示す化学構造は、その結合が場合によって存在することを示す。例えば、実線の単結合の隣に描かれる点線は、その結合が単結合または二重結合でありうることを示す。
置換基への結合が環中の2個の原子を接続する結合を横切ると示される場合、そのような置換基は環上のどの原子に結合していてもよい。ある置換基がそれを経由して所与の式の化合物の残りに結合する原子を示すことなく、そのような置換基が列挙される場合、そのような置換基はそのような置換基中のどの原子を経由して結合していてもよい。置換基および/または変動要素の組み合わせが許容されるが、但しそのような組み合わせによって安定な化合物が得られる場合のみである。
本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩が窒素原子を含有する場合、適宜これらを酸化剤(例えば、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)および/または過酸化水素)による処理によってN-オキシドに変換することができる。したがって、図示および特許請求される窒素原子は、図示される窒素およびそのN-オキシド(N→O)誘導体の両方を適宜網羅すると見なされる。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に開示される、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩のN-オキシドに関する。
改善された抗増殖薬および抗感染症薬を開発する1つのアプローチは、リボソーム機能のモジュレーター(例えば阻害剤)を提供することである。
リボソームは、原核生物および真核生物の両方に存在するリボ核タンパク質である。リボソームは、タンパク質合成を担う細胞小器官である。遺伝子発現の間、リボソームは、メッセンジャーRNA内でコードされる遺伝情報をタンパク質に翻訳する(Garrett et al. (2000) "The Ribosome: Structure, Function, Antibiotics and Cellular Interactions," American Society for Microbiology, Washington, D.C.)。
リボソームは2つの不等なリボ核タンパク質サブユニットを含む。より大きなサブユニット(「リボソーム大サブユニット」としても知られる)は、より小さなサブユニット(「リボソーム小サブユニット」としても知られる)のサイズの約2倍である。リボソーム小サブユニットは、メッセンジャーRNA(mRNA)に結合し、mRNAと翻訳の忠実度がそれに依存する転移RNA(tRNA)アンチコドンとの間の相互作用を媒介する。リボソーム大サブユニットは、ペプチド結合形成、すなわち、タンパク質合成のペプチジルトランスフェラーゼ反応を触媒し、アミノアシル部位、ペプチジル部位および出口部位として知られる3つの異なるtRNA結合部位を少なくとも含む。アミノアシル部位またはA部位は入ってくるアミノアシル-tRNAを収容し、tRNAはそのアミノ酸を成長するペプチド鎖に提供する。また、A部位のA空間も重要である。ペプチジル部位またはP部位は、ペプチジル-tRNA複合体、すなわち、成長するペプチド鎖の一部であるアミノ酸を有するtRNAを収容する。出口部位またはE部位は、脱アシル化tRNAがそのアミノ酸を成長するポリペプチド鎖に供与した後でそれを収容する。
1. 定義
「異性」とは、同一の分子式を有するが原子の性質もしくは結合順序または原子の空間配置が異なる化合物を意味する。原子の空間配置が異なる異性体を「立体異性体」と呼ぶ。互いの鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオ異性体」と呼び、重ね合わせ不可能な鏡像である立体異性体を「鏡像異性体」、または時として光学異性体と呼ぶ。4個の同一ではない置換基に結合している炭素原子を「キラル中心」と呼ぶ。
「キラル異性体」とは、少なくとも1個のキラル中心を有する化合物を意味する。1個のキラル中心を有する化合物は、キラリティーが反対である2つの鏡像異性体を有するものであり、個々の鏡像異性体、または鏡像異性体の混合物として存在しうる。キラリティーが反対である等量の個々の鏡像異性体を含有する混合物を「ラセミ混合物」と呼ぶ。2個以上のキラル中心を有する化合物は2n-1個の鏡像異性体の対を有し、ここでnはキラル中心の数である。2個以上のキラル中心を有する化合物は個々のジアステレオマー、または「ジアステレオマー混合物」と呼ばれるジアステレオマーの混合物として存在しうる。1個のキラル中心が存在する場合、立体異性体はそのキラル中心の絶対配置(RまたはS)を特徴としうる。絶対配置とは、キラル中心に結合する置換基の空間配置を意味する。考慮されるキラル中心に結合する置換基はCahn、IngoldおよびPrelogの順位則に従って順位づけられる(Cahn et al, Angew. Chem. Inter. Edit. 1966, 5, 385; errata 511; Cahn et al., Angew. Chem. 1966, 78, 413; Cahn and Ingold, J. Chem. Soc. 1951 (London), 612; Cahn et al., Experientia 1956, 12, 81; Cahn, J., Chem. Educ. 1964, 41, 116)。
「幾何異性体」とは、二重結合の周りの回転障害に起因して存在するジアステレオマーを意味する。これらの配置はシスおよびトランスまたはZおよびEという接頭辞により名称が区別され、これら接頭辞は、Cahn-Ingold-Prelog則に従って複数の基が分子中の二重結合の同一側または反対側に存在することを示す。
さらに、本出願において論じる化合物はすべてのそのアトロプ異性体を含む。「アトロプ異性体」とは、2つの異性体の原子が異なって空間配置される立体異性体の一種のことである。アトロプ異性体は、中心結合の周りの大きな基の回転障害により引き起こされる回転制限に起因して存在する。そのようなアトロプ異性体は通常、混合物として存在するが、クロマトグラフィー技術の最近の進展の結果として、限定的な場合に2つのアトロプ異性体の混合物を分離することが可能になった。
本開示のいくつかの化合物は互変異性体として存在しうるものであり、互変異性体はやはり本開示の範囲内に包含されるように意図される。「互変異性体」とは、その構造が原子の配置において著しく異なるが、容易かつ速やかに平衡状態で存在する、化合物を意味する。本開示の化合物を異なる互変異性体として示すことができると理解すべきである。また、化合物が互変異性体を有する場合、すべての互変異性体が本開示の範囲内であるように意図され、化合物の命名が任意の互変異性体を排除するものではないと理解すべきである。
本開示の化合物および薬学的に許容される塩は、エノールおよびイミン型、ならびにケトおよびエナミン型を含む1つまたは複数の互変異性体、ならびに幾何異性体、ならびにそれらの混合物として存在しうる。すべてのそのような互変異性体は本開示の範囲内に含まれる。互変異性体は溶液中の一組の互変異性体の混合物として存在する。固体形態では、通常は1つの互変異性体が優勢である。1つの互変異性体が記述されることがあるが、本開示は本明細書に開示の化合物のすべての互変異性体を含む。
互変異性体は、平衡状態で存在しかつ1つの異性体から別の異性体に容易に変換される、2つ以上の構造異性体のうちの1つである。この反応により、水素原子の幾何学的移動と、それに伴う隣接する共役二重結合の位置の移動とが生じる。互変異性化が可能な溶液中で、互変異性体の化学平衡に到達することができる。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒およびpHを含むいくつかの要因に依存する。互変異性化により相互変換可能な互変異性体の概念を互変異性と呼ぶ。
ありうる様々な種類の互変異性のうち2つが一般的に観察される。ケト-エノール互変異性では電子および水素原子の同時移動が生じる。グルコースおよび他の糖が示す環鎖互変異性は、糖鎖分子中のアルデヒド基(-CHO)が同一分子中の1個のヒドロキシ基(-OH)と反応することで該分子が環状(環形)形態になる結果として生じる。
互変異性化は以下により触媒される: 塩基: 1. 脱プロトン化;2. 非局在化アニオン(例えばエノラート)の形成;3. 該アニオンとは異なる位置でのプロトン化;酸: 1. プロトン化;2. 非局在化カチオンの形成;3. 該カチオンに隣接する異なる位置での脱プロトン化。
一般的な互変異性体の対には以下が含まれる: 複素環中(例えば核酸塩基グアニン、チミンおよびシトシン中)のケトン-エノール、アミド-ニトリル、ラクタム-ラクチム、アミド-イミド酸互変異性、アミン-エナミンならびにエナミン-エナミン。以下の一例は例示目的で含まれるものであり、本開示はこの例に限定されない。
Figure 2019516690
本明細書において使用される「置換される」という用語は、所定の原子、通常は炭素原子、酸素原子または窒素原子上の任意の1個もしくは複数個の水素が、所定の原子が通常の原子価を超過せず、また置換により安定な化合物が得られるという条件で、指示された群からの選択により置き換えられることを意味する。置換基がケトまたはオキソ(すなわち、=O)である場合、原子上の2個の水素が置き換えられる。本明細書において使用される環二重結合とは、2個の隣接する環原子(例えばC=C、C=N、N=Nなど)の間に形成される二重結合のことである。
本明細書において使用される「アルキル」は、指定される数の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むように意図される。例えば、C1〜4はC1、C2、C3およびC4を含むように意図され、C1〜6アルキルはC1、C2、C3、C4、C5およびC6アルキル基を含むように意図され、C1〜8はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7およびC8を含むように意図される。アルキルのいくつかの例としてはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルおよびn-オクチルが挙げられるがそれに限定されない。
本明細書において使用される「アルケニル」は、直鎖配置または分岐配置と鎖に沿った任意の安定な地点において出現しうる1個もしくは複数個の不飽和炭素-炭素結合とを有する炭化水素鎖、例えばエテニルおよびプロペニルを含むように意図される。例えば、C2〜6アルケニルはC2、C3、C4、C5およびC6アルケニル基を含むように意図され、C2〜8アルケニルはC2、C3、C4、C5、C6、C7およびC8を含むように意図される。
本明細書において使用される「アルキレン」は、ジラジカルである、すなわち2個の結合点を有する部分を含むように意図される。ジラジカルであるそのようなアルキレン部分の非限定的な一例は-CH2CH2-、すなわち、各末端炭素原子を介して分子の残りに共有結合しているC2アルキル基である。アルキレンジラジカルは「アルキレニル」ラジカルとしても知られる。アルキレン基は、一つまたは複数の位置で、飽和または不飽和(例えば、-CH=CH-または-C≡C-サブユニットを含む)であり得る。いくつかの態様では、アルキレン基は、1〜9個の炭素原子(例えば、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1〜2個の炭素原子)を含む。アルキレン基のいくつかの例としては、メチレン、エチレン、n-プロピレン、iso-プロピレン、n-ブチレン、iso-ブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、iso-ペンチレン、sec-ペンチレンおよびneo-ペンチレンが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「シクロアルキル」は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルなどの、飽和または不飽和の非芳香族環の基を含むように意図される。C3-8シクロアルキルは、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8シクロアルキル基を含むように意図される。シクロアルキルは、複数のスピロ環または縮合環を含んでもよい。
本明細書において使用される「ヘテロシクロアルキル」という用語は、特に断りがなければ、1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、O、N、S、またはSe)を有する、飽和または不飽和の非芳香族3〜8員単環式環、7〜12員二環式環(縮合、架橋またはスピロ環)、または11〜14員三環式環(縮合、架橋またはスピロ環)を意味する。縮合芳香族環を含むヘテロシクロアルキル基は、縮合芳香族環の環形成原子を含む、任意の環形成原子を介して結合し得る。いくつかの態様で、ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素、または硫黄より独立に選択される1または2個のヘテロ原子を有し、1つまたは複数の酸化された環員を有する、単環4〜6員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの態様で、ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素、または硫黄より独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有し、1つまたは複数の酸化された環員を有する、単環式または二環式4〜10員ヘテロシクロアルキルである。ヘテロシクロアルキルの例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、イソインドリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、トリアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、ピラニル、モルホリニル、1,4-ジアゼパニル、1,4-オキサゼパニル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタニル、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカニルなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「アミン」または「アミノ」は、特に断りがなければ、非置換の-NH2を意味する。
本明細書において使用される「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード置換基を意味する。
本明細書において使用される「ハロアルキル」は、指定される数の炭素原子を有し、1つまたは複数のハロゲンで置換された、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基(例えば-CvFwH2v〜w+1、ここでv=1〜3、およびw=1〜(2v+1))を含むように意図される。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、およびペンタクロロエチルが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「ハロアルコキシ」という用語は、1つまたは複数のハロゲンで置換された、本明細書において定義されるアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの例としては、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、トリクロロメトキシなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「アルコキシル」または「アルコキシ」とは、指示される数の炭素原子を有し、酸素橋を通じて結合している、上記定義のアルキル基を意味する。C1〜6アルコキシはC1、C2、C3、C4、C5、およびC6アルコキシ基を含むように意図される。C1〜8アルコキシはC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8アルコキシ基を含むように意図される。アルコキシの例としてはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、n-ヘプトキシおよびn-オクトキシが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「アリール」は、「共役」を含む芳香族性を有する基、または少なくとも一つの芳香族環を有する多環系を含み、環構造中にヘテロ原子を含まない。アリールは、単環または多環(例えば、2、3または4つの縮合環)であってもよい。「Cn〜mアリール」という用語は、n〜m個の環炭素原子を有するアリール基を意味する。いくつかの態様で、アリール基は、6〜10個の炭素原子を有する。いくつかの態様で、アリール基は、フェニルまたはナフチルである。
本明細書において使用される「芳香族複素環」、「芳香族複素」環または「ヘテロアリール」環という用語は、安定な5、6、7、8、9、10、11、もしくは12員単環式芳香環または二環式芳香環であって、炭素原子と、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される1個もしくは複数個のヘテロ原子、例えば1個または1〜2個または1〜3個または1〜4個または1〜5個または1〜6個のヘテロ原子とからなる環を意味するように意図される。二環式の芳香族複素環またはヘテロアリール環の場合、2つの環のうち一方しか芳香族である必要はないが(例えば2,3-ジヒドロインドール)、両方が芳香族であってもよい(例えばキノリン)。第2の環は、複素環について上記定義のように縮合または架橋していてもよい。窒素原子は置換されていても置換されていなくてもよい(すなわちNまたはNRであり、ここでRはHまたは定義される別の置換基である)。窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)p、ここでp=1または2)。特定の化合物では、芳香族複素環中のSおよびO原子の総数は1を超えない。
芳香族複素環またはヘテロアリールの例としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、ベンゾオキサジアゾリル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラザニル、イミダゾリル、イミダゾロニル、1H-インダゾリル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチルベンゾトリアゾリル、メチルフラニル、メチルイミダゾリル、メチルチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル(phenoxathinyl)、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、ピリジル、ピリミジニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、トリアゾロピリミジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、および1,3,4-トリアゾリルが挙げられるがそれらに限定されない。
「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基が1つまたは複数のOH基で置換された、上記定義のアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基の例としては、HO-CH2-、HO-CH2-CH2-およびCH3-CH(OH)-が挙げられる。
本明細書において使用される「シアノ」という用語は、三重結合で窒素原子と結合した炭素原子を有する置換基を意味する(すなわち、C≡N)。
本明細書において使用される「オキソ」は、「=O」基を意味する。
本明細書において使用される「薬学的に許容される」という語句は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用する上で好適であり、妥当な損益比に相応している、化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの塩、材料、組成物、および/あるいは剤形を意味する。
本明細書において使用される「薬学的に許容される塩」とは、本開示の化合物またはその互変異性体の誘導体であって、親化合物またはその互変異性体が、その酸性塩または塩基性塩を作製することで修飾された誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩;などが挙げられるがそれに限定されない。薬学的に許容される塩としては、無毒の無機酸または有機酸から例えば形成される親化合物またはその互変異性体の従来の無毒の塩または四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の無毒の塩としては、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸(hydrabamic)、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸(napsylic)、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、塩基性酢酸(subacetic)、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸およびトルエンスルホン酸より選択される無機酸および有機酸に由来する塩が挙げられるがそれに限定されない。
本開示の薬学的に許容される塩は、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物またはその互変異性体から従来の化学的方法により合成することができる。概して、そのような薬学的に許容される塩は、これらの化合物またはその互変異性体の遊離酸形態または遊離塩基形態と化学量論的量の適切な塩基または酸とを水もしくは有機溶媒または両者の混合物中で反応させることで調製することができ、概して、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストはRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, USA, p. 1445 (1990)に見られる。
本明細書において使用される「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度での単離、および有効な治療薬への調剤に耐えるほど十分に頑強である化合物を示すように意図される。
本明細書において使用される「治療する」という用語は、感染症を治癒するまたは寛解させる治療介入を提供することを意味する。いくつかの態様で、「治療」は、本明細書に記載されている化合物または薬学的組成物を治療目的で投与することを意味する。「治療的処置」という用語は、既に疾患を患っている患者に処置を施すことを意味し、それ故、当該処置によって治療的に有益な効果(例えば、現存する症状の改善、症状の根底にある代謝原因の改善、疾患の更なる進行の遅延もしくは予防、および/または進行するであろうもしくは進行すると予測される症状の重症度の軽減)がもたらされる。
本明細書において使用される「予防する」という用語は、例えば患者または対象が感染症に罹患しやすいかまたは感染症に罹患する危険性がある場合に感染症の発生を完全にまたはほぼ完全に停止させることを意味する。予防することは、感染症を阻害すること、すなわちその発生を停止させることも含みうる。
本明細書において使用される「危険性を低減させる」という用語は、例えば患者または対象が感染症に罹患しやすいかまたは感染症に罹患する危険性がある場合に感染症が発生する可能性または確率を低下させることを意味する。
本明細書において使用される「不飽和」は、少なくとも1つの不飽和度(例えば少なくとも1つの多重結合)を有する化合物を意味し、部分不飽和および完全不飽和化合物を含む。
本明細書において使用される「有効量」という用語は、抗菌薬として単独または組み合わせで投与される際に有効な、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩(当該化合物および/もしくはその互変異性体、ならびに/または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の組み合わせを含む)の量を意味する。例えば、有効量とは、生物活性、例えば抗感染症活性、例えば抗菌活性、抗細菌活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性または抗寄生虫活性を誘発するために十分な、レシピエントの患者または対象に与えられる組成物中、製剤中または医療デバイス上に存在する、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の量を意味する。
「予防有効量」という用語は、抗菌薬として単独または組み合わせで投与される際に予防的に有効な、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩(当該化合物および/もしくはその互変異性体、ならびに/または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の組み合わせを含む)の量を意味する。例えば、予防有効量とは、外科的手順または侵襲的医療手順による感染症を予防しまたはその危険性を低減させるために十分な、レシピエントの患者または対象に与えられる組成物中、製剤中または医療デバイス上に存在する、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の量を意味する。
本明細書において使用されるESBLという用語は基質特異性拡張型β-ラクタマーゼのことである。KPCという用語は肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼのことである。
本明細書において使用される急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)という用語は複雑性皮膚・皮膚組織感染症(cSSSI)ならびに複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSTI)を包含し、これらは互換的に使用されている。非複雑性皮膚・皮膚組織感染症(uCSSSI)ならびに非複雑性皮膚・軟部組織感染症(uCSSTI)という用語は互換的に使用されている。
本明細書において使用される「spp.」という用語は種(species)の略語である。
本明細書において使用される「本開示の式」または「本明細書に開示の式」という用語は、式(I)、(A)、(Ia)、(Ia-1)、(Ia-2)、(Ib)、(Ic)、(I-A)、(Ib-2)、(Ic-2)、(Id-2)、および(Id)のうちの1つまたは複数を含む。
本明細書において使用される「本開示の化合物」または「本明細書に開示の化合物」という用語は、1種もしくは複数種の本開示の式の化合物、または本明細書に明確に開示されている化合物を含む。
本明細書において使用されるすべての百分率および比率は、別途指示されない限り重量比である。
本明細書を通じて、組成物が特定の成分を有する、包含するまたは含むものとして記載される場合、あるいは、方法が特定の工程を有する、包含するまたは含むものとして記載される場合、本開示の組成物が列挙される成分から本質的になるかまたはそれからなることもあり、本開示の方法が列挙される工程から本質的になるかまたはそれからなることもあると想定される。さらに、本発明が実行可能であり続ける限り、工程の順序または特定の行為を行うための順序は重要でないと理解すべきである。さらに、2つ以上の工程または行為を同時に行ってもよい。
2.本開示の化合物
いくつかの態様では、本明細書は、下記式(I)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、
R1は、Hおよびハロより選択され;
R2は、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4ハロアルキル、およびORa1より選択され;
R3は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Wは、NおよびCR4より選択され;
R4は、H、ハロ、ORa2、SRa2、5〜6員ヘテロシクロアルキル、S(O)2Rb2、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、ハロ、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
R6は、H、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3で置換されていてもよく;
R7は、HおよびC1〜6アルキルより選択されるか;または、
R6およびR7は、それらが結合している炭素原子および該2つの炭素原子に結合している窒素原子と一緒に下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、
R8は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Xは、OおよびNRNより選択され;
RNは、HおよびC1〜4アルキルより選択され;
RAは、Hであり;
RBは、Hであるか;または、
RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、N、OおよびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該5〜6員ヘテロシクロアルキルは、ハロで置換されていてもよく;
R9は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3およびSRa3より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10は、H、C2〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキルおよびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよく;
R11は、HまたはC1〜3アルキルであり、該C1〜3アルキルは、OHで置換されていてもよく;ならびに、
各Ra1、Ra2、およびRa3は、H、C1〜6アルキルおよびC1〜4ハロアルキルより独立して選択される。
いくつかの態様では、本明細書は、下記式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、
R1は、Hおよびハロより選択され;
R2は、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4ハロアルキル、およびORa1より選択され;
R3は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Wは、NおよびCR4より選択され;
R4は、H、ハロ、C1〜6アルキル、ORa2、SRa2、5〜6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2Rb2より選択され;
R5は、Hおよびハロより選択され;
R6は、H、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3で置換されていてもよく;
R7は、HおよびC1〜6アルキルより選択されるか;または、
R6およびR7は、それらが結合している炭素原子および該2つの炭素原子に結合している窒素原子と一緒に下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、
R8は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
Xは、OおよびNRNより選択され;
RNは、HおよびC1〜4アルキルより選択され;
RAは、Hであり;
RBは、Hであるか;または、
RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、N、OおよびSより独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該5〜6員ヘテロシクロアルキルは、ハロで置換されていてもよく;
R9は、C1〜6アルキルおよびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3およびSRa3より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10は、H、C1〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキルおよびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに、
各Ra1、Ra2、およびRa3は、H、C1〜6アルキルおよびC1〜4ハロアルキルより独立して選択される。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R1はHである。いくつかの態様では、R1はハロである。いくつかの態様では、R1は、Hおよびフルオロより選択される。いくつかの態様では、R1はフルオロである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R2は、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択される。いくつかの態様では、R2はハロである。いくつかの態様では、R2はC1〜4ハロアルキルである。いくつかの態様では、R2はC1〜4ハロアルコキシである。いくつかの態様では、R2は、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択される。例えば、R2は、Hおよびクロロより選択され得る。いくつかの態様では、R2は、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択される。いくつかの態様では、R2は、Hおよびトリフルオロメチルより選択される。いくつかの態様では、R2はクロロである。いくつかの態様では、R2はHである。いくつかの態様では、R2はトリフルオロメチルである。いくつかの態様では、R2はトリフルオロメトキシである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R1はハロであり、かつR2はハロである。いくつかの態様では、R1はハロであり、かつR2はC1〜4ハロアルコキシである。いくつかの態様では、R1はHであり、かつR2はC1〜4ハロアルキルである。いくつかの態様では、R1はHであり、かつR2はHである。いくつかの態様では、R1はフルオロであり、かつR2はクロロである。いくつかの態様では、R1はフルオロであり、かつR2はトリフルオロメトキシである。いくつかの態様では、R1はHであり、かつR2はトリフルオロメチルである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R3は、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択される。いくつかの態様では、R3はC1〜4ハロアルキルである。いくつかの態様では、R3は、H、およびトリフルオロメチルより選択される。いくつかの態様では、R3はトリフルオロメチルである。いくつかの態様では、R3はHである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R1はHであり、かつR2はHであり、R3はC1〜4ハロアルキルである。例えば、R1はHであり得、R2はHであり得、R3はトリフルオロメチルであり得る。いくつかの態様では、R1はハロであり、R2はハロであり、かつR3はHである。例えば、R1はフルオロであり得、R2はクロロであり得、R3はHであり得る。いくつかの態様では、R1はHであり、R2はC1〜4ハロアルキルであり、かつR3はHである。例えば、R1はHであり得、R2はトリフルオロメチルであり得、R3はHであり得る。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、WはNである。いくつかの態様では、WはCR4である。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R4は、H、ハロ、およびS(C1〜4アルキル)より選択される。いくつかの態様では、R4は、ハロおよびS(C1〜4アルキル)より選択される。いくつかの態様では、R4はHである。いくつかの態様では、R4はハロである。いくつかの態様では、R4はS(C1〜4アルキル)である。いくつかの態様では、R4は、H、フルオロ、およびメチルチオより選択される。いくつかの態様では、R4は、フルオロおよびメチルチオより選択される。いくつかの態様では、R4はフルオロである。いくつかの態様では、R4はメチルチオである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R5は、Hおよびハロより選択される。例えば、R5は、Hおよびフルオロより選択され得る。いくつかの態様では、R5はハロである。例えば、R5はフルオロであり得る。いくつかの態様では、R5はHである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R6は、H、C2〜6アルケニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択される。いくつかの態様では、R6はC2〜6アルケニルである。いくつかの態様では、R6はC1〜6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R6は、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択される。いくつかの態様では、R6はエテニルである。いくつかの態様では、R6はヒドロキシメチルである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R7は、Hおよびメチルより選択される。いくつかの態様では、R7はメチルである。いくつかの態様では、R7はHである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R6はC2〜6アルケニルであり、かつR7はHである。例えば、R6はエテニルであり得、R7はHであり得る。いくつかの態様では、R6はC1〜6ヒドロキシアルキルであり、かつR7はHである。例えば、R6はヒドロキシメチルであり得、R7はHであり得る。いくつかの態様では、R6はHであり、かつR7はC1〜6アルキルである。例えば、R6はHであり得、R7はメチルであり得る。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R6に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(S)配置である。いくつかの態様では、R6に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(R)配置である。いくつかの態様では、R6に結合している炭素原子の立体化学は以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
いくつかの態様では、R6に結合している炭素原子の立体化学は以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
いくつかの態様では、R7に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(S)配置である。いくつかの態様では、R7に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(R)配置である。
いくつかの態様では、R7に結合している炭素原子の立体化学は以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R7に結合している炭素原子の立体化学は以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
いくつかの態様では、R6およびR7は、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成する。
いくつかの態様では、R6およびR7は、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成する。
いくつかの態様では、R6およびR7は、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示す。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R6およびR7は、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示す。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R8は、Hおよび3-フルオロプロピルより選択される。いくつかの態様では、R8はHである。いくつかの態様では、R8はC1〜4ハロアルキルである。例えば、R8は3-フルオロプロピルであり得る。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、XはOである。いくつかの態様では、XはNRNである。いくつかの態様では、Xは、O、NH、およびN-(メチル)より選択される。いくつかの態様では、Xは、OおよびNHより選択される。いくつかの態様では、XはNHである。いくつかの態様では、XはN-(メチル)である。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、RNは、Hおよびメチルより選択される。式(I)または式(II)のいくつかの態様では、RNはHである。いくつかの態様では、RNはメチルである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、RAはHであり、かつRBはHである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、ハロで置換されていてもよい5員ヘテロシクロアルキルを形成する。いくつかの態様では、RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、ハロで置換されていてもよい6員ヘテロシクロアルキルを形成する。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、式中、Yは、O、SおよびNHより選択される。いくつかの態様では、YはOである。いくつかの態様では、YはSである。いくつかの態様では、RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよい。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成する。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R9は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよい。いくつかの態様では、R9は、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよい。いくつかの態様では、R9はC1〜6アルキルである。いくつかの態様では、R9はC2〜6アルケニルである。いくつかの態様では、R9はC1〜6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様では、R9はC3〜5シクロアルキルである。いくつかの態様では、R9は、C1〜6アルコキシまたはS(C1〜6アルキル)で置換されたC1〜6アルキルである。いくつかの態様では、R9は、C1〜6アルコキシで置換されたC1〜6アルキルである。いくつかの態様では、R9は、S(C1〜6アルキル)で置換されたC1〜6アルキルである。いくつかの態様では、R9は、S(C1〜6アルキル)で置換されていてもよいC1〜6アルキルである。いくつかの態様では、R9は、メチル、エテニル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択される。いくつかの態様では、R9は、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択される。いくつかの態様では、R9は、メチル、およびヒドロキシメチルより選択される。いくつかの態様では、R9は、メチル、およびメトキシメチルより選択される。いくつかの態様では、R9は、メチル、およびメチルチオメチルより選択される。いくつかの態様では、R9は、メチル、エテニル、およびシクロプロピルより選択される。いくつかの態様では、R9は、メチル、およびシクロプロピルより選択される。いくつかの態様では、R9はメチルである。いくつかの態様では、R9はエテニルである。いくつかの態様では、R9はC1〜6ヒドロキシメチルである。いくつかの態様では、R9はメトキシメチルである。いくつかの態様では、R9はメチルチオメチルである。いくつかの態様では、R9はシクロプロピルである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R10は、H、C1〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキル、C3〜5シクロアルキル、およびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよい。いくつかの態様では、R10は、H、アリル、フルオロメチル、シクロプロピル、メトキシメチル、アミノメチル、(N-アゼチジニル)メチル、オキセタニルメチル、シクロプロピルメチル、ビニル、プロピルおよびイソプロピルより選択される。いくつかの態様では、R10はHである。いくつかの態様では、R10はC1〜4アルキルである。いくつかの態様では、R10はメチルである。いくつかの態様では、R10はエチルである。いくつかの態様では、R10はn-プロピルである。いくつかの態様では、R10はi-プロピルである。
式(I)のいくつかの態様では、R11は、HまたはC1〜3アルキルであり、該C1〜3アルキルは、OHで置換されていてもよい。いくつかの態様では、R11はHである。いくつかの態様では、R11はC1〜3アルキルであり、該C1〜3アルキルはOHで置換されていてもよい。例えば、R11は-CH2OHであり得る。いくつかの態様では、R11はCH3である。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R9に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(S)配置である。いくつかの態様では、R9に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(R)配置である。いくつかの態様では、R9に結合している炭素原子の立体化学は以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
いくつかの態様では、R9に結合している炭素原子の立体化学は以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、R10に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(S)配置である。いくつかの態様では、R10に結合している炭素原子は、カーン・インゴルド・プレローグ命名法による(R)配置である。いくつかの態様では、R10に結合している炭素原子の立体化学は、以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
いくつかの態様では、R10に結合している炭素原子の立体化学は、以下に示されているとおりである。
Figure 2019516690
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
WがCR4であり、かつR4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHであり、かつRBがHであり;
R9が、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHであり、かつRBがHであり;
R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、エテニル、およびシクロプロピルより選択され;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択され;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択され;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(I)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、クロロおよびトリフルオロメチルより選択され;
R3がHであり;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5がHであり;
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
XがNHであり;
RAがHであり、かつRBがHであり;
R9が、メチルおよびメチルチオメチルより選択され;
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
R11がHである。
式(II)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、
R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに、
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される。
式(II)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し、
R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに、
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される。
式(II)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択され;ならびに、
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される。
式(II)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5が、Hおよびフルオロより選択され;
R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
RNが、Hおよびメチルより選択され;
RAがHでありかつRBがHであるか;または、
RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択され;ならびに、
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される。
式(II)のいくつかの態様では、
R1が、Hおよびフルオロより選択され;
R2が、クロロおよびトリフルオロメチルより選択され;
R3がHであり;
WがCR4であり、R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
R5がHであり;
R6およびR7が、下記式:
Figure 2019516690
の環を形成し;
XがNHであり;
RAがHであり、かつRBがHであり;
R9が、メチルおよびメチルチオメチルより選択され;ならびに
R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される。
本明細書において開示される式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、下記断片:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つより選択される。
本明細書において開示される式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、下記断片:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つより選択される。
本明細書において開示される式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、
Figure 2019516690
である。
本明細書において開示される式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、
Figure 2019516690
である。
本明細書において開示される式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、下記断片:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つより選択される。
本明細書に記載されている式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、下記断片:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つより選択される。
本明細書に記載されている式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片:
Figure 2019516690
は、下記断片:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つより選択される。
本明細書に記載されている式のうちのいずれか一つのいくつかの態様では、断片は下記断片:
Figure 2019516690
のうちのいずれか一つより選択される。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(I-A)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、X、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、RAおよびRBは、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(A)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、X、R1、R2、R3、R4、R5、R8、およびR9は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ia)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、X、R1、R2、R3、R4、R5、R8、およびR9は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ia-1)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R1、R2、R3、R4、R5、およびR9は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ia-2)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6およびR7は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ib)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6、R7、およびR8は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ic)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6、R7、およびR8は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Id)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6、R7、およびR8は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ib-2)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6、R7、およびR8は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Ic-2)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6、R7、およびR8は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、式(Id-2)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する:
Figure 2019516690
式中、R6、R7、およびR8は、本明細書に記載されているとおりである。
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、表1に列挙された化合物のうちのいずれか一つ、もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
(表1)
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、表1aに列挙された化合物のうちのいずれか一つ、もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
(表1a)
Figure 2019516690
Figure 2019516690
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、表1bに列挙された化合物のうちのいずれか一つ、もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
(表1b)
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
式(I)または式(II)のいくつかの態様では、本開示は、表1cに列挙された化合物のうちのいずれか一つ、もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
(表1c)
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
Figure 2019516690
いくつかの態様では、本開示は、リボソームに結合する、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に関する。いくつかの態様では、リボソームは細菌リボソームである。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、および送達手段に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における疾患状態を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、それを必要とする該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための医薬の製造における、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。他の局面では、本開示は、対象における微生物感染症を治療するための医薬の製造における使用のための化合物に関し、該化合物は、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、対象における微生物感染症を予防するための医薬の製造における使用のための化合物に関し、該化合物は、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、対象における微生物感染症の危険性を低減するための医薬の製造における使用のための化合物に関し、該化合物は、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、対象における微生物感染症の発症を遅延させるための医薬の製造における使用のための化合物に関し、該化合物は、本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるのに使用するための、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するのに使用するための、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症を予防するのに使用するための、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症の危険性を低減するのに使用するための、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に関する。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症の発症を遅延させるのに使用するための、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩に関する。
いくつかの態様では、本明細書において記載される微生物感染症は、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター属の種(Enterobacter species)、および大腸菌(Escherichia coli)からなる群より選択される1種または複数種の微生物によって引き起こされる。この微生物群は一般に、ESKAPE病原菌と呼ばれ得る。いくつかの態様では、微生物感染症は、少なくとも一種の抗細菌薬に対して耐性がある微生物により引き起こされる。例えば、微生物は、多剤耐性または極度薬剤耐性に分類され得る。
いくつかの態様では、本開示は、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の有効量を、ヒトまたは動物に投与する段階を含む、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させる方法であって、該微生物感染症は、一種または複数種の以下の微生物によって引き起こされる、該方法に関する:アシネトバクター属の種(Acinetobacter spp.)(アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumanni))、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、シトロバクター・フロインディイ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koser)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・ペコルム(Chlamydia pecorum)、クラミジア・スイス(Chlamydia suis)、クラミジア・ムリダルム(Chlaymdia muridarum)、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、クラミドフィラ・ニューモニアエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・ペコルム(Chlamydophila pecorum)、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ(Clostridium clostridioforme)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、フェカリス菌(Enterococcus faecalis)、腸球菌属の種(Enterococcus spp.)(バンコマイシン感受性および耐性分離株)、大腸菌(ESBLおよびKPC産生分離株を含む)、ユーバクテリウム・レンタム(Eubacterium lentum)、フソバクテリウム属の種(Fusobacterium spp.)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(β-ラクタマーゼ陽性分離株を含む)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、肺炎桿菌(ESBLおよびKPC産生分離株を含む)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)(ESBLおよびKPC産生分離株を含む)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、モルガネラ・モーガニイ(Morganella morganii)、マイコプラズマ属の種(Mycoplasma spp.)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(淋菌ATCC49266、淋菌255123、淋菌255124、淋菌255125、淋菌255126、淋菌255127、淋菌J9104300210、淋菌J9107400107、淋菌J9109510210、淋菌J9108110210を含む)、ペプトストレプトコッカス属の種(Peptostreptococcus spp.)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・スチュアルティイ(Providencia stuartii)、緑膿菌、霊菌(Serratia marcescens)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性および耐性分離株)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(メチシリン感受性および耐性分離株)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(ペニシリン感受性および耐性分離株)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)または化膿性連鎖球菌。
いくつかの態様では、本開示は、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の有効量を、ヒトまたは動物に投与する段階を含む、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させる方法であって、該感染症は、以下より選択される一種または複数種の微生物によって引き起こされるかまたはそれを包含する、該方法に関する:アシネトバクター属の種(アシネトバクター・バウマンニ)、バクテロイデス・ディスタソニス、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・オバタス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・ユニフォルミス、バクテロイデス・ブルガタス、シトロバクター・フロインディイ、シトロバクター・コセリ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、肺炎クラミジア、クラミジア・ペコルム、クラミジア・スイス、クラミジア・ムリダルム、クラミドフィラ・シタッシ、クラミドフィラ・ニューモニアエ、クラミドフィラ・ペコルム、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、エンテロバクター・エロゲネス、エンテロバクター・クロアカ、フェカリス菌、腸球菌属の種、大腸菌、ユーバクテリウム・レンタム、フソバクテリウム属の種、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、肺炎桿菌、クレブシエラ・オキシトカ、レジオネラ・ニューモフィラ、モラクセラ・カタラーリス、モルガネラ・モーガニイ、マイコプラズマ属の種、淋菌、ペプトストレプトコッカス属の種、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、プレボテラ・ビビア、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・スチュアルティイ、緑膿菌、霊菌、ストレプトコッカス・アンギノサス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、ステノトロホモナス・マルトフィリア、ストレプトコッカス・アガラクチア、ストレプトコッカス・コンステラータス、肺炎連鎖球菌、化膿性連鎖球菌および化膿性連鎖球菌。
いくつかの態様では、本開示は、前記感染症が、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、腸球菌属の種、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿性連鎖球菌および表皮ブドウ球菌より選択される1種または複数種の好気性および通性のグラム陽性微生物により引き起こされるかまたはそれを包含する、前記方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、前記感染症が、大腸菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、シトロバクター・フロインディイ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、肺炎クラミジア、クラミジア・ペコルム、クラミジア・スイス、クラミジア・ムリダルム、クラミドフィラ・シタッシ、クラミドフィラ・ニューモニアエ、クラミドフィラ・ペコルム、エンテロバクター・エロゲネス、エンテロバクター・クロアカ、モルガネラ・モーガニイ、淋菌、霊菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、モラクセラ・カタラーリス、プロテウス・ミラビリス、シトロバクター・コセリ、パラインフルエンザ菌、クレブシエラ・オキシトカ、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリおよびプロビデンシア・スチュアルティイより選択される1種または複数種の好気性および通性のグラム陰性微生物により引き起こされるかまたはそれを包含する、前記方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、感染症が、1種または複数種の嫌気性微生物バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・ディスタソニス、バクテロイデス・オバタス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・ユニフォルミス、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ、ユーバクテリウム・レンタム、ペプトストレプトコッカス属の種、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、プレボテラ・ビビア、バクテロイデス・ブルガタス、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよびフソバクテリウム属の種により引き起こされるかまたはそれを包含する、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物腸球菌属の種がバンコマイシン感受性分離株およびバンコマイシン耐性分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物大腸菌が基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生分離株および肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物インフルエンザ菌がβ-ラクタマーゼ陽性分離株である、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物肺炎桿菌が基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生分離株および肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物クレブシエラ・オキシトカが基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生分離株および肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物黄色ブドウ球菌がメチシリン感受性分離株およびメチシリン耐性分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物表皮ブドウ球菌がメチシリン感受性分離株およびメチシリン耐性分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物肺炎連鎖球菌がペニシリン感受性分離株およびペニシリン耐性分離株より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、微生物淋菌(Neisseria gonorrhoeae)が感受性分離株および耐性分離株(例えば、セフトリアキソン耐性分離株、シプロフロキサシン耐性分離株およびアジスロマイシン耐性分離株を含む)より選択される、方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の有効量を、ヒトまたは動物に投与する段階を含む、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させる方法であって、該微生物感染症は、生物兵器として使用され得る一種または複数種の微生物によって引き起こされるかまたはそれを包含し、例えば、該一種または複数種の微生物は、炭疽菌(Bacillus anthracis)および多剤耐性(MDR)炭疽菌(Multi Drug Resistant (MDR) anthracis)、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)ならびに類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)より選択される、該方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の有効量を、ヒトまたは動物に投与する段階を含む、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させる方法であって、該微生物感染症は、一種または複数種の以下の微生物:炭疽菌および多剤耐性(MDR)炭疽菌、野兎病菌、ペスト菌、鼻疽菌ならびに類鼻疽菌によって引き起こされる、該方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の有効量を、ヒトまたは動物に投与する段階を含む、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させる方法、あるいは、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための医薬の製造における、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関し、前記微生物感染症は、下記からなる群より選択される:皮膚感染症、グラム陽性感染症、グラム陰性感染症、院内肺炎(nosocomial pneumonia)、市中肺炎、ポストウイルス性肺炎、院内肺炎(hospital acquired pneumonia)/人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia)、慢性気道感染症(CRTI)などの気道感染症、急性骨盤内感染症、複雑性皮膚および皮膚組織感染症(a complicated skin and skin structure infection)、単純性皮膚及び軟部組織感染症(uSSTI)(uncomplicated skin and soft tissue infections (uSSTI)s)ならびに複雑性皮膚・軟部組織感染症(complicated skin and soft tissue infections)を含む皮膚及び軟部組織感染症(SSTI)(a skin and soft tissue infection (SSTI))、腹部感染症、複雑性腹腔内感染症、尿路感染症、菌血症、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染症(an atrio-ventricular shunt infection)、血管アクセス感染症(a vascular access infection)、髄膜炎、外科的予防(surgical prophylaxis)、腹膜感染症、骨感染症、関節感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、リネゾリド耐性微生物感染症、淋病、クラミジア感染症、および結核。
本開示の化合物は、示された微生物の感受性分離株により引き起こされうる中程度〜重度の感染症を有する患者の治療に例えば使用することができる。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における複雑性腹腔内感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、ヒトまたは動物における複雑性腹腔内感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、複雑性腹腔内感染症は、大腸菌、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ、ユーバクテリウム・レンタム、ペプトストレプトコッカス属の種、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・ディスタソニス、バクテロイデス・オバタス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・ユニフォルミス、ストレプトコッカス・アンギノサス、ストレプトコッカス・コンステラータス、フェカリス菌、プロテウス・ミラビリスまたはクロストリジウム・パーフリンジェンスによる膿瘍などの複数微生物感染症より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における複雑性皮膚・皮膚組織感染症(cSSSI、急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症またはABSSSIとしても知られる)を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、複雑性皮膚・皮膚組織感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、複雑性皮膚・皮膚組織感染症は、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性および耐性分離株)、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿性連鎖球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、バクテロイデス・フラジリス、ペプトストレプトコッカス属の種、ポルフィロモナス・アサッカロリティカまたはプレボテラ・ビビアによる骨髄炎なしの糖尿病性足感染症より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における市中肺炎(CAP)を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、市中肺炎を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、市中肺炎は、同時菌血症を伴う場合を含む肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性および耐性分離株)、インフルエンザ菌(β-ラクタマーゼ陽性分離株を含む)、モラクセラ・カタラーリス、またはマイコプラズマ属の種のような非定型菌による。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における複雑性尿路感染症(cUTI)を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、複雑性尿路感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、複雑性尿路感染症は、大腸菌、同時菌血症または肺炎桿菌による腎盂腎炎より選択される。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における急性骨盤内感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、急性骨盤内感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、急性骨盤内感染症は分娩後子宮内膜筋層炎、敗血性流産および術後婦人科感染症より選択され、該感染症は、ストレプトコッカス・アガラクチア、大腸菌、バクテロイデス・フラジリス、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、ペプトストレプトコッカス属の種およびプレボテラ・ビビアより選択される微生物による。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における院内肺炎(HAP)/人工呼吸器関連肺炎(VAP)を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、院内肺炎/人工呼吸器関連肺炎を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、院内肺炎/人工呼吸器関連肺炎は、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性および耐性分離株)、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性および耐性分離株)、肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター属の種、ステノトロホモナス・マルトフィリア、インフルエンザ菌(β-ラクタマーゼ陽性分離株を含む)、ならびにレジオネラ・ニューモフィラより選択される微生物による。
本開示の化合物もしくは互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、手術部位感染症の予防(prevention)、予防(prophylaxis)または低減にも有用でありうる。いくつかの態様では、本開示の化合物もしくは互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、待機的結腸直腸手術後に有用である。
原因生物を単離および同定するために、かつ本開示の化合物に対するそれらの感受性を決定するために、細菌学的検査に適した試料が得られるはずである。本開示の化合物もしくは互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩による治療は、これらの試験の結果が判明する前に経験的に開始することがあり、結果が入手可能になった時点でそれに合わせて抗菌治療を調整すべきである。
薬物耐性菌の発生を減少させ、かつ本開示の化合物もしくは互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、および他の抗細菌薬の有効性を維持するには、該化合物もしくは互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を、感受性菌により引き起こされることが証明されるまたは強く疑われる感染症を治療または予防するためにのみ使用すべきである。培養情報および感受性情報が入手可能である場合、抗細菌治療を選択または修正する上で考慮すべきである。そのようなデータの非存在下では、局在的な疫学および感受性のパターンが治療法の経験的選択に寄与することがある。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における好気性もしくは通性のグラム陽性微生物による微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、好気性もしくは通性のグラム陽性微生物による微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、好気性もしくは通性のグラム陽性微生物は以下より選択される:
黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性および耐性分離株)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性および耐性分離株)、腸球菌属の種(バンコマイシン感受性および耐性分離株)、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿性連鎖球菌ならびに表皮ブドウ球菌(メチシリン感受性および耐性分離株)。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における好気性および通性のグラム陰性微生物による微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、好気性もしくは通性のグラム陽性微生物による微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、好気性および通性のグラム陰性微生物は以下より選択される: 大腸菌[基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)および肺炎桿菌(KPC)産生分離株を含む)、インフルエンザ菌(β-ラクタマーゼ陽性分離株を含む)、肺炎桿菌(ESBLおよびKPC産生分離株を含む)、シトロバクター・フロインディイ、エンテロバクター・エロゲネス、エンテロバクター・クロアカ、モルガネラ・モーガニイ、霊菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、モラクセラ・カタラーリス、プロテウス・ミラビリス、シトロバクター・コセリ、パラインフルエンザ菌、クレブシエラ・オキシトカ(ESBLおよびKPC産生分離株を含む)、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、ならびにプロビデンシア・スチュアルティイ。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における嫌気性微生物による微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、嫌気性微生物による微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、嫌気性微生物は以下より選択される: バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・ディスタソニス、バクテロイデス・オバタス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・ユニフォルミス、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ、ユーバクテリウム・レンタム、ペプトストレプトコッカス属の種、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ、プレボテラ・ビビア、バクテロイデス・ブルガタス、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよびフソバクテリウム属の種。
いくつかの態様では、本開示は、ヒトまたは動物における微生物感染症を治療しまたはその危険性を低減させる方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法、あるいは、微生物感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用に関する。
いくつかの態様では、微生物はレジオネラ・ニューモフィラである。
いくつかの態様では、微生物腸球菌属の種はバンコマイシン感受性分離株およびバンコマイシン耐性分離株より選択される。いくつかの態様では、微生物大腸菌は基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生分離株および肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生分離株より選択される。いくつかの態様では、微生物インフルエンザ菌はβ-ラクタマーゼ陽性分離株である。いくつかの態様では、微生物肺炎桿菌は基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生分離株および肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生分離株より選択される。いくつかの態様では、微生物クレブシエラ・オキシトカは基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生分離株および肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生分離株より選択される。いくつかの態様では、微生物黄色ブドウ球菌はメチシリン感受性分離株およびメチシリン耐性分離株より選択される。いくつかの態様では、微生物表皮ブドウ球菌はメチシリン感受性分離株およびメチシリン耐性分離株より選択される。いくつかの態様では、微生物肺炎連鎖球菌はペニシリン感受性分離株およびペニシリン耐性分離株より選択される。
いくつかの態様では、本明細書において開示される方法または使用は、外科的または侵襲的医療手順に供される対象を治療するための方法または使用である。そのような対象は、外科的手順または侵襲的医療手順による感染症を治療する、その危険性を低減する、またはそれを予防する方法を必要とすると見なされることがある。そのような対象は手術前後の予防を必要とすると見なされることもある。
いくつかの態様では、本開示は、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の量が0.1mg〜1500mgを含む、本明細書において開示される方法、使用または化合物に関する。
いくつかの態様では、本開示は、化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩が経耳、経眼、経鼻、経口、非経口、局所または静脈内投与される、本明細書において開示される方法、使用または化合物に関する。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を合成する方法に関する。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書において開示される化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩を含む医療デバイスに関する。いくつかの態様では、デバイスはステントである。
3. 本開示の化合物の合成
本開示の化合物は、例えばUS2012-0220566、WO2012/173689、またはPCT/US2014/054869に記載された技術など、本技術分野で認識されている技術を用いることにより合成し得、前記の各内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。このようにして得られた化合物は、例えば、フラッシュカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、または任意の公知の精製方法によって、さらに精製し得る。
一態様では、下記の合成スキーム1〜3にしたがって本開示の化合物を合成することができる。
スキーム1
Figure 2019516690
Figure 2019516690
スキーム1を参照すると、(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(1)およびアルデヒド(2)を反応させて3を生成する。3を、臭化アリルで処理して、4を得る。4をヨードアクリレート5で処理して6を生成し、例えば炭酸セシウムなどの塩基で処理して7を与える。7を、例えばDIBALなどの還元剤と反応させて8に還元する。8を例えばジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などのアジドと反応させて、中間体9を与える。9を例えば塩酸などの酸で処理し、得られた混合物をCbz-Clで処理して10を生成する。10をトリフェニルホスフィンで処理し、次にBoc無水物で処理し、11を与える。11を、ビスピナコラトジボロンおよび例えばPdCl2(dppf).CH2Cl2などのPd(II)試薬で処理することによって12に変換する。12を、5-ヨードシトシンおよび例えば酢酸銅一水和物などのCu(II)試薬で処理し、次いで、無水安息香酸で処理して、13を与える。例えば、DMF中、N-N-ジイソプロピルエチルアミン、Pd(PPh3)4およびCuIの存在下で、13およびアルキン14(本明細書のスキーム4に開示のとおり調製)を薗頭カップリングし、次いで、メタノールで処理して、化合物15を生成する。中間体15を例えばHClなどの酸で処理し、単塩16を形成する。16に18を加え、式Iの化合物を生成する。WがNである式Iの化合物を得るために、2の代わりに、以下に示す2’を出発物質とする類似スキームを用いることができる。
Figure 2019516690
スキーム2
Figure 2019516690
スキーム2を参照すると、無水エタノール中でクロロアセトニトリル(1)をHClで処理して、2を与える。2を3(本明細書のスキーム3に示されるとおり合成)に加え、4を生成する。4を5で処理して6を与え、次のステップにそのまま供する。例えばHBr/AcOHなどの酸で6を脱保護し、式Iの化合物を与える。
スキーム2の中間体3は、例えば、スキーム3に示されるようにして調製することができる。
スキーム3
Figure 2019516690
市販のD-アスパラギン水和物を、p-ブロモベンゾイルクロライドで処理して、23を与える。中間体23を、例えばBH3.THF複合体などの還元剤で還元し、および生成物をboc無水物で処理して24を与える。24を、DMSO中、例えばピリジン.SO3複合体などの酸化剤で酸化して、25を生成する。メチルトリフェニルホスホニウムブロマイドを、例えばカリウムターシャリーブトキシドなどの塩基で処理し、生成した混合物に25を加えて26を生成する。前記スキーム1で開示した11から16への変換と類似の方法で、26を中間体3に変換する。
スキーム1の中間体14は、例えば、スキーム4に示されるようにして調製することができる。
スキーム4
Figure 2019516690
中間体14は、PCT/US2014/054869に記載されたものと類似の方法で調製することができる。
上記スキームに示される特定のアプローチおよび化合物は、限定することを意図するものではない。本明細書におけるスキーム中の化学構造は、同じ変動要素名(すなわち、R1、R2、R3等)により特定されるか否かで、本明細書における化合物式における対応する位置の化学基の定義(部分、原子等)に応じてこれにより定義される変動要素を示す。他の化合物の合成で使用するための化合物構造中の化学基の適合性は、当業者の知見の範囲内である。
本明細書におけるスキームにおいて明示的に示されていない経路の範囲内の経路を含む、本明細書における式の化合物およびその合成前駆体の追加の合成方法は、当業者である化学者の手段の範囲内である。適用可能な化合物の合成に有用な合成化学変換および保護基方法論(保護および脱保護)は、当技術分野において公知であり、例えば、Larock R, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); Fieser L et al., Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびPaquette L, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)、およびこれらの後続版に記載されたものを含む。
4. 本開示の化合物の特性決定
生成された時点で上記方法によって設計、選択および/または最適化された化合物を、当業者に公知である種々のアッセイを使用して特定決定することで、該化合物が生物活性を有するか否かを決定することができる。例えば、以下に記載のアッセイを含むがそれに限定されない従来のアッセイによって分子を特性決定することで、それらが予測された活性、結合活性および/または結合特異性を有するか否かを決定することができる。
さらに、ハイスループットスクリーニングを使用することで、そのようなアッセイを使用する分析の速度を上げることができる。結果として、本明細書に開示の分子を例えば抗がん薬、抗細菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬または抗ウイルス薬としての活性について速やかにスクリーニングすることが可能になりうる。また、該化合物がどのようにしてリボソームもしくはリボソームサブユニットと相互作用するか、および/またはタンパク質合成のモジュレーター(例えば阻害剤)として有効であるかを、当技術分野において公知の技術を使用してアッセイすることも可能になりうる。ハイスループットスクリーニングを行うための一般的方法論は例えばDevlin (1998) High Throughput Screening, Marcel Dekker; および米国特許第5,763,263号に記載されている。ハイスループットアッセイでは、以下に記載の技術を含むがそれに限定されない1種または複数種の異なるアッセイ技術を使用することができる。
(1) 表面結合試験。 新規分子をそれらの結合活性についてスクリーニングする上で、種々の結合アッセイが有用でありうる。1つのアプローチは、関心対象の分子のリボソーム、リボソームサブユニットまたはその断片に対する結合特性を評価するために使用可能な表面プラズモン共鳴法(SPR)を含む。
SPR方法論では、2個以上の巨大分子間の相互作用を量子力学的表面プラズモンの発生を通じてリアルタイムで測定する。1つの装置(ニュージャージー州ピスカタウェイPharmacia BiosensorのBIAcoreバイオセンサ(登録商標))は、金膜(使い捨てバイオセンサ「チップ」として設けられる)とユーザーが調節可能な緩衝区画との間の界面に多色光の集束ビームを与える。関心対象の分析物の共有結合性固定化用のマトリックスを与える、カルボキシル化デキストランで構成される100nm厚の「ヒドロゲル」を、金膜に取り付ける。集束光が金膜の自由電子雲と相互作用する際にプラズモン共鳴が強化される。得られる反射光は、共鳴を最適に発生させた波長においてスペクトル的に枯渇する。反射多色光をその成分波長に分離すること(プリズムによって)、および枯渇した周波数を決定することで、BIAcoreは、発生した表面プラズモン共鳴の挙動を正確に報告する光学界面を確立する。上記のように設計される場合、プラズモン共鳴(したがって枯渇スペクトル)はエバネッセント場における質量(ヒドロゲルの厚さにほぼ対応する)に対して感受性を示す。相互作用対の一方の成分がヒドロゲルに固定化されて、相互作用パートナーが緩衝区画を通じて設けられる場合、エバネッセント場における質量の蓄積、およびそれに対応する、枯渇スペクトルにより測定されるプラズモン共鳴の効果に基づいて、2つの成分間の相互作用をリアルタイムで測定することができる。このシステムは、いずれかの成分を標識する必要性なしに分子相互作用の速やかで感受性のあるリアルタイム測定を可能にする。
(2) 蛍光偏光法。 蛍光偏光法(FP)は、2つの分子間の会合反応のIC50およびKdを導出するためにタンパク質-タンパク質、タンパク質-リガンドまたはRNA-リガンド相互作用に容易に適用可能な測定技術である。この技術では、関心対象の分子の一方をフルオロフォアに抱合させる。これは概して系中の比較的小さな分子(この場合は関心対象の化合物)である。リガンド-プローブ抱合体とリボソーム、リボソームサブユニットまたはその断片との両方を含有する試料混合物を垂直偏光で励起させる。光をプローブフルオロフォアに吸収させ、その後すぐに再発光させる。発光した光の偏光度を測定する。発光した光の偏光はいくつかの要因に依存するが、最も重要な要因として、溶液の粘度、およびフルオロフォアの見かけの分子量に依存する。適切な制御によって、発光した光の偏光度の変化はフルオロフォアの見かけの分子量の変化にのみ依存し、この分子量の変化はプローブ-リガンド抱合体が溶液中で遊離しているかまたは受容体に結合しているかに依存する。FPに基づく結合アッセイは、真の均一な平衡条件下でのIC50およびKdの測定、分析の速度および自動化の適性、ならびに混濁懸濁液および着色溶液中でスクリーニングする能力を含むいくつかの重要な利点を有する。
(3) タンパク質合成。 前述の生化学アッセイによる特性決定に加えて、関心対象の化合物をリボソームまたはリボソームサブユニットの機能活性のモジュレーター(例えばタンパク質合成の阻害剤)として特性決定することもできると想定される。
さらに、化合物を生物全体、組織、器官、小器官、細胞、細胞抽出物もしくは細胞内抽出物、または精製リボソーム調製物に投与すること、ならびに例えばタンパク質合成を阻害するためのその阻害定数(IC50)の決定によりその薬理特性および阻害特性を観察することによって、より特異的なタンパク質合成阻害アッセイを行うことができる。3Hロイシンもしくは35Sメチオニンの取り込みまたは同様の実験を行うことでタンパク質合成活性を調査することができる。関心対象の分子の存在下での細胞中のタンパク質合成の量または速度の変化は、該分子がタンパク質合成のモジュレーターであることを示す。タンパク質合成の速度または量の減少は、該分子がタンパク質合成の阻害剤であることを示す。
(4) 抗菌アッセイおよび他の評価。 さらに、化合物を細胞レベルでの抗増殖または抗感染症特性についてアッセイすることができる。例えば、標的生物が微生物である場合、関心対象の化合物の活性を、該化合物を含有するかまたは欠く培地中で関心対象の微生物を成長させることでアッセイすることができる。成長の阻害は、分子がタンパク質合成阻害剤として作用することができることを示しうる。より具体的には、病原菌に対する関心対象の化合物の活性を、規定のヒト病原株の成長を阻害する該化合物の能力によって示すことができる。この目的で、種々の標的病原種を含む菌株のパネルを集めることができ、該病原種の一部は特性決定済みの耐性機構を含有する。そのような生物パネルの使用は、効力およびスペクトルに関する構造-活性関係の決定だけでなく、耐性機構を除去することを目指す構造-活性関係の決定をも可能にする。
(5) リボソームタンパク質生成のための翻訳のみのアッセイでは、精製70Sリボソーム、タンパク質翻訳をサポートするのに必要な生体分子を含む対応するS100抽出物、およびホタルルシフェラーゼまたは他のタンパク質レポーターをコードするmRNAを用いる。得られる発光シグナルは、タンパク質翻訳と比例し、発光アッセイプレートリーダー(すなわち、Victor2V Multilabel Reader)により決定される。このアッセイは、様々な濃度の翻訳阻害剤候補をアッセイに用いて実施される。得られるデータは、適切なソフトウエア(すなわち、一部位競合結合モデル(one-site competition model of binding)によるMDLアッセイエクスプローラー)を用いて化合物の阻害のIC50値を計算するのに使用される。
本開示の化合物のインビトロ活性を決定することができる。通常、抗菌試験を行うことで最小発育阻止濃度(MIC)を決定する。最小発育阻止濃度(MIC)は、The Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)が概説するプロトコールに従って最終容量100μlの微量希釈法によって決定する。参考株の性能標準を同一実験設計内で評価することで品質管理を維持する。例えば、Clinical Laboratory Standards Institute: Methods for dilution antimicrobial susceptibility tests for bacteria that grow aerobically M7-A8. Approved Standard-Eighth Edition. Wayne, PA: CLSI; December 2008; およびClinical Laboratory Standards Institute: Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing M100-S20; Approved Standard-Twentieth Edition. Wayne, PA: CLSI; June 2010を参照。
例えば、寒天希釈MICアッセイは、以下のプロトコールを用いて実施し得る。試験する分離株の純粋培養物を、16〜18時間、CO2富化(5%)雰囲気、35℃〜36.5℃で、チョコレート寒天培地で培養する。綿棒またはバクテリアループ(bacteriologic loop)を用い、分離したコロニー(またはプレート上の低密度の成長領域からの細胞)を5mLの生理食塩水中に懸濁させる。懸濁液の密度は、その後、0.5マクファーランドBaSO4濁度標準液と比較して、108コロニー形成単位(CFU)/mlを含むように調整する。この懸濁液は、その後MHブロスにて1:10に希釈して、107CFU/mlとする。マルチチャンネルピペットを用い、細菌懸濁液0.002mLのスポットを、培地の表面上に分注する、すなわち、104CFU。一組の抗生物質含有培地およびチョコレート寒天培地またはGCS培地(全ての分離株が成長したことを判定するためのコントロールとして)の各プレートに植菌する。植菌したプレートを、おおよそ15分間室温で空気乾燥する。その後、プレートを裏返しにし、24時間、CO2富化(5%)雰囲気で35℃〜36.5℃でインキュベートする。その後、プレートにおける成長を調べる。
実施し得る他のインビトロアッセイは、時間-殺菌速度論アッセイ(time-kill kinetic assay)である。このアッセイを用いて、Clinical Laboratory Standards Instituteにより記載されるとおりの時間-殺菌方法により、殺菌活性を決定し得る。例えば、試験すべき化合物を、MIC(例えば、本明細書において記載されるアッセイを用いて決定される)の2倍〜32倍の濃度で、試験フラスコに加える。溶解したら、化合物をGiolitti Cantoni(GC)ブロスで希釈して、所望の最終濃度の25倍で1mLの量とする;化合物を含まない1mLのGCブロスを含むフラスコを、増殖コントロールとして調製する。0.5マクファーランド相当の試験微生物を調製し、予熱したGCブロスで1:200に希釈し、試験化合物に暴露する前に35℃、5% CO2富化雰囲気で30分間インキュベートする。30分間のプレインキュベーションの後、24mLを取り出し、最終的な量が25mLになるように各試験フラスコに加える。増殖コントロールフラスコから試料を取り出し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、チョコレート寒天培地(CA)上にプレーティングし、おおよそ5×105 CFU/mLの接種材料を確認する。その後、試料を、1、2、4、6、8および24時間の時点で全てのフラスコから取り出し、PBSで希釈し、CA上にプレーティングし、各フラスコにおける生存細胞の数を決定する。生菌数(plate counts)は、5% CO2富化雰囲気、35℃で48時間インキュベートして、コロニーをカウントする。その後、生菌数をグラフ化する。
本化合物の抗菌特性および他の薬物特性をマウスもしくはラット腹膜炎感染モデル、皮膚・軟部組織モデル(しばしば大腿モデルと呼ばれる)、またはマウス肺炎モデルなどの様々なインビボ哺乳動物アッセイにおいてさらに評価することができる。敗血症モデルまたは器官感染症モデルが当業者に公知である。これらの有効性モデルは評価過程の一部として使用することができ、ヒトにおける潜在的有効性の指針として使用することができる。エンドポイントは細菌負荷の減少から致死まで多様でありうる。後者のエンドポイントでは、結果はPD50値、または動物の50%を死亡から保護する薬物の用量としてしばしば表される。
化合物の薬物様特性をさらに評価するために、チトクロムP450酵素および第II相代謝酵素の活性の阻害を組換えヒト酵素系、またはヒト肝ミクロソームのようなより複雑な系を使用して測定することもできる。さらに、化合物をこれらの代謝酵素活性の基質として同様に評価することができる。これらの活性は、薬物-薬物相互作用を引き起こす化合物の潜在能力、または有用な抗菌活性を保持もしくは保有しない代謝産物を発生させる化合物の潜在能力を決定する上で有用である。
経口バイオアベイラビリティを有する本化合物の潜在能力の推定値を得るために、溶解度およびCaco-2のアッセイを行うこともできる。後者は、ヒト上皮由来の細胞株であり、Caco-2細胞単層を通じた薬物の取り込みおよび通過の測定が可能であり、1ミクロン膜を備えた24ウェルマイクロタイタープレートのウェル内で成長することが多い。遊離薬物濃度を単層の基底外側で測定することで、腸単層を通過可能な薬物の量を評価することができる。単層の完全性およびギャップ結合の堅固さを確実にするための適切な制御が必要である。この同一の系を使用してP-糖タンパク質媒介性排出の推定値を得ることができる。P-糖タンパク質は、細胞の頂端膜に局在化されることで分極単層を形成する、ポンプである。このポンプは、Caco-2細胞膜を介する能動的もしくは受動的な取り込みを抑制することで、腸上皮層を通過する薬物を少なくすることができる。これらの結果は溶解度測定との関連でしばしば得られ、これらの因子は両方とも哺乳動物における経口バイオアベイラビリティに寄与することが知られている。伝統的な薬物動態実験を使用する動物、最終的にはヒトにおける経口バイオアベイラビリティの測定により、絶対経口バイオアベイラビリティが決定される。
実験結果は、薬物様特性に寄与する物理化学的パラメータを予測することに役立つモデルを構築するために使用することもできる。そのようなモデルが立証された場合、モデルの予測可能性に対する信頼性の増大によって実験の方法手順を減少させることができる。
(5) 動物薬理学および毒性学。 本開示の化合物を周知の動物モデルにおける有効性について評価することができる。以下の表は、様々な感染症徴候の代表的な動物モデルを示す。
Figure 2019516690
複雑性皮膚・皮膚組織感染症(cSSSI)の動物モデル:
好中球減少性雌CD-1マウスの大腿中の肺炎桿菌1705966のマウス皮膚・軟部組織感染症モデル
このモデルは、雌ICR(CD-1)マウスを使用して肺炎桿菌1705966好中球減少性マウス大腿感染症モデルにおける本開示の化合物の有効性を評価するために有用である。
試験設計:
種: 雌ICR(CD-1)マウス、8〜9週齢、体重25〜29g
接種材料: 肺炎桿菌17059663を凍結ストックから血液寒天(トリプシン大豆寒天+5%ヒツジ血、BD、#221261)上に画線し、35℃で終夜インキュベートした。終夜のインキュベーション後、OD625=0.990を測定するために十分な細菌(約1完全ループ)をプレートから移し、10mlの予熱したMueller-Hinton培地中に希釈した。この培養液を、予熱したMH培地中に1:1000にさらに希釈し、35℃で約2時間振盪しながら成長させた。各マウスの両尾大腿筋に1:1000希釈培養液0.1mLをイソフルラン吸入麻酔下で注射した。
Figure 2019516690
好中球減少症を-4日目(150mg/kg)および-1日目(100mg/kg)のシクロホスファミド一水和物の腹腔内(I.P.)投与によって誘発させた。
媒体: 0.9%塩化ナトリウム
投薬: 細菌接種の2時間後および8時間後に、処置群の各マウスに容量0.2ml中の適切な用量の試験すべき化合物を与えた。
時点:
コントロール: 0、2、6および24時間
処置: 24時間
試料採取: マウス2匹または3匹/時点をCO2経由で安楽死させ、尾大腿筋を切除および均質化した。大腿筋をStomacherフィルターバッグ中の滅菌PBS 5mlに入れ、MicroBiomaster80 (Brinkmann)によって通常設定で60秒間均質化し、96ウェルプレート中で標準プロトコールに従って1:10希釈液を作製した。各希釈液25ulのアリコート、およびホモジネートを血液寒天プレート上にプレーティングし、35℃でインキュベートすることで、時間経過にわたるCFU/mLを決定した。終夜のインキュベーション後、コロニーを計数した。
敗血症の動物モデル:
マウス腹膜炎モデル(大腸菌、肺炎桿菌、フェカリス菌、MRSA)
このモデルは、雌スイスウェブスターマウスを使用してマウス腹膜炎モデルにおける大腸菌ATCC 25922の成長に対する本開示の化合物による皮下(SC)処置の効果を評価するために使用される。
コントロール:
陰性: 接種材料のみ
接種材料は腹腔内媒体
陽性: シプロフロキサシン
試験設計:
種: 雌スイスウェブスターマウス
接種: (4/6/07)ストック1mlを0.25%ビール酵母9mlに加えて(1:10)にし、次に(1:10)1mlを0.25%ビール酵母9mlに加えて(1:100)にし、次に(1:100)1mlを0.25%ビール酵母9mlに加えて(1:1000)にし、次に(1:1000)2.5mlを0.25%ビール酵母122.5mlに加えて(1:50,000)にし、1ml/マウスを腹腔内(IP)接種することで、大腸菌ATCC 25922を作出する。
投与経路: 皮下
投薬: 本開示の化合物用の媒体: 水中10% Captisol中の食塩水または50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH=7.2
用量投与: 3時間毎x3、細菌接種の30分後に開始
試験期間: 24時間
0.25%ビール酵母抽出液(BYE): 11/12/09に調製した希釈2%(ロット2158K、MP Biomedicals)25ml + 1xPBS 175ml
結果尺度: コロニー形成単位は腹膜洗浄液および脾ホモジネートから、薬物レベルは洗浄液、脾ホモジネートおよび血漿から
マウスをCO2ナルコーシス下に置きながら心臓穿刺を経由して血液を採取した。全血試料をヘパリン含有エッペンドルフ管に入れ、湿潤氷上で保持した後、遠心分離した(14,000rpmで4分)。血漿をドライアイス上の96ディープウェルブロックに移し、-20℃で保管した。採血直後に滅菌PBS(リン酸緩衝食塩水)2mlを25Gニードルで腹膜腔に注射した。腹部を優しくマッサージし、腹膜腔への到達が可能になるように小さな切り込みを設けた。腹膜洗浄液を滅菌技術によって採取し、1:10段階希釈し、血液寒天プレート上にプレーティングし、35℃で終夜インキュベートした。
脾臓を収集し、Stomacherバッグ中の滅菌PBS 1mlに入れ、MicroBiomaster80 (Brinkmann)によって通常設定で60秒間均質化し、1:10希釈液を作製した。各希釈液25ul、およびホモジネートを血液寒天プレート上にプレーティングし、35℃でインキュベートすることで、時間経過にわたるCFU/mLを決定した。終夜のインキュベーション後、コロニーを計数した。
他の動物モデル
同様に、他の動物感染症モデルを院内肺炎(HAP)/人工呼吸器関連肺炎(VAP)、複雑性尿路感染症(cUTI)および発熱性好中球減少症に使用することができる。
5. 調剤および投与
本開示の組成物および方法は、送達手段、例えば任意の好適な担体を使用して本開示の化合物を送達することで実施することができる。活性化合物の用量、投与様式、および好適な担体の使用は、所期の患者または対象および標的微生物、例えば標的細菌性生物に依存する。通常、本開示の化合物のヒト医療用製剤および獣医学用製剤はいずれも、そのような化合物と薬学的に許容される担体との結合を含む。
担体は、本開示の化合物に適合性があってレシピエントに有害でないという意味で「許容される」ものであるべきである。この点で、薬学的に許容される担体は、薬学的投与に適合するあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、吸収遅延剤などを含むように意図される。補足の活性化合物(本開示に従って同定もしくは設計され、かつ/または当技術分野において公知である)を組成物に組み入れてもよい。いくつかの態様において、製剤は、化合物と液体担体もしくは微粉化固体担体またはその両方とを結合させた後、必要であれば生成物を所望の製剤に形状化することで調製される。
本開示の薬学的組成物は、その所期の投与経路に適合するように調剤すべきである。溶液剤または懸濁液剤は以下の成分を含みうる: 水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧の調整のための薬剤。pHは塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整可能である。
非経口投与用製剤は、頬側投与用グリココレート、直腸内投与用メトキシサリチレート、または経膣投与用クエン酸を含んでもよい。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多用量バイアルに封入することができる。また、直腸内投与用坐薬は、薬物と、室温では固体であり体温では液体であるカカオバター、他のグリセリドまたは他の組成物などの非刺激性賦形剤とを混合することで調製することができる。製剤はポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源の油、および硬化ナフタレンを例えば含んでもよい。直接投与用製剤はグリセリンおよび他の高粘度組成物を含みうる。これらの薬物に潜在的に有用な他の非経口担体としてはエチレン-酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み式注入システム、およびリポソームが挙げられる。吸入投与用製剤は、賦形剤としてラクトースを例えば含有してもよく、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココレートおよびデオキシコレートを例えば含有する水溶液剤、または点鼻液剤の形態での投与もしくは鼻腔内に適用されるゲル剤としての投与用の油性溶液剤であってもよい。留置浣腸を直腸内送達に使用してもよい。
経口投与に好適な本開示の製剤は、それぞれ所定量の薬物を含有するカプセル剤、ゼラチンカプセル剤、サシェ剤、錠剤、トローチ剤もしくは舐剤などの分離単位;粉末もしくは顆粒組成物;水性液体もしくは非水性液体中の溶液剤もしくは懸濁液剤;または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤の形態でありうる。薬物はボーラス剤、練薬またはペースト剤の形態で投与してもよい。錠剤は、薬物を場合によって1種または複数種の副成分と共に圧縮または成形することで作製することができる。圧縮錠剤は、場合によって結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合した散剤または顆粒剤などの易流動性形態の薬物を好適な機械中で圧縮することで調製することができる。成形錠剤は、粉末化薬物と不活性液体希釈剤で湿らせた好適な担体との混合物を好適な機械中で成形することで作製することができる。
経口組成物は、不活性希釈剤または食用担体を一般に含む。治療用経口投与の目的で、活性化合物を賦形剤と共に組み入れることができる。洗口液として使用される流体担体を使用して調製される経口組成物は、化合物を流体担体中に含むものであり、経口適用され、すすがれて、吐き出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性のある結合剤および/または補助材料を組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含有しうる: 結晶セルロース、トラガントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、Primogelもしくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤;コロイダル二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味料などの香味料。
注射用に好適な薬学的組成物としては、滅菌水溶液剤(水溶性の場合)または水性分散液剤、および滅菌注射用溶液剤または分散液剤の即時調製用の滅菌散剤が挙げられる。静脈内投与では、好適な担体としては生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、ニュージャージー州Parsippany)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。それは製造条件および貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、ならびにその好適な混合物を例えば含有する溶媒または分散媒でありうる。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液剤の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用により、適当な流動性を維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、および塩化ナトリウムを本組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の長期吸収を、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことでもたらすことができる。
所要量の活性化合物を適切な溶媒中に、上記で列挙した成分の1つまたは組み合わせを必要に応じて組み入れた後、濾過滅菌を行うことで、滅菌注射用溶液剤を調製することができる。概して、塩基性分散媒および上記で列挙した必要な他の成分を含有する滅菌媒体に活性化合物を組み入れることで、分散液剤は調製される。滅菌注射用溶液剤の調製用の滅菌散剤の場合、調製方法としては、有効成分と任意のさらなる所望の成分との粉末を、既に滅菌濾過したその溶液から得る、真空乾燥および凍結乾燥が挙げられる。
関節内投与に好適な製剤は、微結晶形態でありうる薬物の滅菌水性調製物の形態、例えば、水性微結晶懸濁液剤の形態でありうる。また、リポソーム製剤または生分解性ポリマーシステムを使用して、関節内投与および眼内投与の両方のための薬物を提示することができる。
点眼処置を含む局所投与に好適な製剤としては、リニメント剤、ローション剤、ゲル剤、塗布剤;クリーム剤、軟膏剤もしくはペースト剤などの水中油型もしくは油中水型乳剤;または液滴剤などの溶液剤もしくは懸濁液剤などの、液体または半液体調製物が挙げられる。ローション剤、クリーム剤、軟膏剤または石鹸剤などの皮膚表面への局所投与用の製剤は、薬物を皮膚科学的に許容される担体で分散させることで調製することができる。適用を局在化しかつ除去を阻害するように皮膚の上に膜または層を形成することが可能な担体が有用である。内部組織表面への局所投与では、組織表面への吸着を強化することが知られる、組織付着性の液体または他の物質に薬剤を分散させることができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースまたはフィブリノーゲン/トロンビン溶液を有利に使用することができる。あるいは、ペクチン含有製剤などの組織コーティング溶液を使用することができる。
吸入処置では、スプレー缶、ネブライザーまたは噴霧器によって分配される散剤(自己推進製剤またはスプレー製剤)の吸入を使用することができる。そのような製剤は、散剤吸入装置からの肺内投与用の微細な散剤、または自己推進散剤分配製剤の形態でありうる。自己推進溶液およびスプレー製剤の場合、所望のスプレー特性(すなわち、所望の粒径を有するスプレーを生成可能であること)を有する弁の選択によって、または制御された粒径で懸濁散剤として有効成分を組み入れることによって、効果を実現することができる。吸入による投与では、好適な噴霧剤、例えば二酸化炭素などのガスを収容する加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾルスプレー剤の形態で化合物を送達してもよい。
全身投与は経粘膜的または経皮的手段によるものでもよい。経粘膜または経皮投与では、透過すべき障壁に適した浸透剤が製剤中で使用される。そのような浸透剤としては、例えば経粘膜投与では界面活性剤および胆汁酸塩が挙げられる。経粘膜投与は経鼻スプレー剤または坐薬の使用を通じて達成することができる。経皮投与では、活性化合物は、軟膏剤、塗擦剤、ゲル剤またはクリーム剤に調剤される。
移植片およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの活性化合物は、身体からの急速な排除に対して該化合物を保護する担体によって調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。リポソーム懸濁液を薬学的に許容される担体として使用してもよい。
経口または非経口組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、単位剤形で調剤することができる。単位剤形とは、処置される対象用の単位剤形として適した物理的に分離された単位を意味し、各単位は、所望の治療効果を生成するように計算される所定量の活性化合物と所要の薬学的担体との結合を含有する。本開示の単位剤形の規格は、活性化合物の独自の特性、および実現すべき治療効果、ならびに個人の処置用にそのような活性化合物を調合する分野に内在的な限界により決定づけられかつそれに直接依存する。さらに、投与は、ボーラス剤の周期的注射によるものであってもよく、外部リザーバ(例えば静脈内バッグ)からの静脈内、筋肉内または腹腔内投与によってより連続的なものにしてもよい。
組織表面への付着が望まれる場合、組成物は、フィブリノーゲン-トロンビン組成物または他の生体付着剤に分散した薬物を含みうる。次に化合物を所望の組織表面に塗布、噴霧、または他のやり方で適用することができる。あるいは、薬物をヒトまたは他の哺乳動物への非経口または経口投与用に、例えば有効量で、例えば所望の効果を誘導するために十分な時間にわたって適切な濃度の薬物を標的組織に与える量で調剤することができる。
活性化合物を移植手順の一部として使用する予定の場合、ドナーからの組織または器官の除去前に移植されるようにそれを生組織または器官に与えることができる。化合物をドナー宿主に与えることができる。あるいはまたさらに、ドナーから除去された時点で、器官または生組織を、活性化合物を含有する保存液に入れることができる。いずれの場合でも、活性化合物は、所望の組織に直接、例えば組織への注射によって投与してもよく、本明細書に開示の方法および製剤のいずれかを使用して経口投与または非経口投与によって全身的に与えてもよい。薬物が組織または器官保存液の一部を構成する場合、任意の市販の保存液を有利に使用することができる。例えば、当技術分野において公知の有用な溶液としてはコリンズ液、ウィスコンシン液、ベルツァー液、ユーロコリンズ液および乳酸化リンゲル液が挙げられる。
概して、活性化合物の有効な投薬量は約0.1〜約100mg/kg体重/日、より好ましくは約1.0〜約50mg/kg体重/日の範囲である。また、投与される量は、手術または侵襲的医療手順の種類、患者の全体的健康状態、送達される化合物の相対的生物学的有効性、薬物の調剤、製剤中の賦形剤の存在および種類、ならびに投与経路などの変動要素に依存する可能性が高い。また、投与される初期投薬量を、所望の血中レベルまたは組織中レベルを速やかに実現するために上記の上限レベルを超えて増大させることができること、あるいは、初期投薬量が最適量よりも少ない場合があることを理解すべきである。
活性化合物の非限定的な用量は1用量当たり約0.1〜約1500mgを構成する。
当業者が理解するように、一般に、投薬量が薬学的有効成分について記載される場合、投薬量は親部分または活性部分に基づいて示される。したがって、親部分または活性部分の塩、水和物または別の形態を使用する場合、化合物の重量の調整を対応して行うが、用量は依然として、送達される親部分または活性部分に基づいて言及される。非限定的な一例として、関心対象の親部分または活性部分が分子量250を有するモノカルボン酸である場合、および該酸の一ナトリウム塩を同一投薬量で送達することが望まれる場合、調整を行うことで、一ナトリウム塩が分子量約272を有することを認識する(すなわち、マイナス1Hまたは1.008原子質量単位、およびプラス1Naまたは22.99原子質量単位)。したがって、親化合物または活性化合物の投薬量250mgは一ナトリウム塩約272mgに相当し、これによりやはり親化合物または活性化合物250mgが送達される。言い換えれば、一ナトリウム塩約272mgは親化合物または活性化合物の投薬量250mgと等価である。
製剤例
IA.静脈内投与用製剤
Figure 2019516690
この静脈内投与用製剤は、注射用水を約60℃に加熱することで調剤する。次にクエン酸ナトリウム、クエン酸およびデキストロースを加え、溶解するまで攪拌する。前述の混合物に抗菌化合物の溶液または水性スラリーを加え、溶解するまで攪拌する。混合物を攪拌下で25℃に冷却する。pHを測定し、必要に応じて調整する。最後に、混合物を必要に応じて注射用水で所望の容量にする。混合物を濾過し、所望の容器(バイアル、シリンジ、注入容器など)に充填し、包装し、端部を湿熱滅菌する。
この製剤は、感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための患者へのボーラスまたは注入による静脈内投与に有用である。
IB.静脈内投与用製剤
この静脈内投与用製剤は、5%デキストロースの6.5nM酒石酸緩衝剤を利用するものであり、pH4.4を有する。この製剤は、感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための患者へのボーラスまたは注入による静脈内投与に有用である。
II.再構成用凍結乾燥製剤
あるいは、抗菌化合物を凍結乾燥製剤として与えることができ、凍結乾燥製剤を静脈内投与または筋肉内投与前に再構成することができる。
Figure 2019516690

投与される容量50mlの再構成溶液(注入): 5%グルコース水溶液
投与される容量15mlの再構成溶液(ボーラス): 3.3%グルコース水溶液
上述の凍結乾燥製剤は、再構成、および感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための患者へのボーラスまたは注入による静脈内投与に有用である。
III.再構成用凍結乾燥製剤
Figure 2019516690

投与容量50mlの再構成溶液(注入): 4%グルコース水溶液
投与容量15mlの再構成溶液(ボーラス): 2%グルコース水溶液
上述の凍結乾燥製剤は、再構成、および感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための患者へのボーラスまたは注入による静脈内投与に有用である。
IV.再構成用凍結乾燥製剤
Figure 2019516690

投与容量15mlの再構成溶液(ボーラス): 3.3%グルコース水溶液
上述の凍結乾燥製剤は、再構成、および感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減するか、またはその発症を遅延させるための患者へのボーラスまたは注入による静脈内投与に有用である。
V.経口投与用錠剤
Figure 2019516690
抗菌化合物(所望の送達強度、例えば錠剤1個当たり50〜1500mgに相当する化合物のいずれか)を結晶セルロースNFの1/3および無水ラクトースNFの1/2とリボンブレンダー中にて20RPMで5分間予備混合する。プレミックスに結晶セルロースNFの残り2/3および無水ラクトースNFの残り1/2を加える。これを20RPMで10分間ブレンドする。ブレンド粉末にクロスカルメロースナトリウムを加え、20RPMで5分間混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを90メッシュスクリーンに通すことで混合物に加え、20RPMでさらに5分間ブレンドする。潤滑混合物を圧縮して有効成分500mgの錠剤を得る。
これらの錠剤は、感染症を治療するか、予防するか、その危険性を低減させるか、またはその発症を遅らせるための患者への経口投与に有用である。
6. 実施例
核磁気共鳴(NMR)スペクトルをBruker Avance 300もしくはAvance 500分光計、またはいくつかの場合ではGE-Nicolet 300分光計上で得た。別途記述がない限り、通常の反応溶媒は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードまたは米国化学会(ACS)グレードであり、製造者から得られる無水溶媒であった。別途記述がない限り、「クロマトグラフィー」または「シリカゲルにより精製」とは、シリカゲル(EM Merck、シリカゲル60、230〜400メッシュ)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーを意味する。
本開示の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩は、手近な特定の状況に適応した公知の化学的変換を使用して調製することができる。
実施例の合成の以下の実験的詳細において使用されるいくつかの略語を以下に定義する: hまたはhr = 時間;min = 分;mol = モル;mmol = ミリモル;M = モル;μM = マイクロモル;g = グラム;μg = マイクログラム;rt = 室温;L = リットル;mL = ミリリットル;Et2O = ジエチルエーテル;THF = テトラヒドロフラン;DMSO = ジメチルスルホキシド;EtOAc = 酢酸エチル;Et3N = トリエチルアミン;i-Pr2NEtまたはDIPEA = ジイソプロピルエチルアミン;CH2Cl2 = 塩化メチレン;CHCl3 = クロロホルム;CDCl3 = 重水素化クロロホルム;CCl4 = 四塩化炭素;MeOH = メタノール;CD3OD = 重水素化メタノール;EtOH = エタノール;DMF = ジメチルホルムアミド;BOC = t-ブトキシカルボニル;CBZ = ベンジルオキシカルボニル;TBS = t-ブチルジメチルシリル;TBSCl = t-ブチルジメチルシリルクロリド;TFA = トリフルオロ酢酸;DBU = ジアザビシクロウンデセン;TBDPSCl = t-ブチルジフェニルクロロシラン;ヒューニッヒ塩基 = N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMAP = 4-ジメチルアミノピリジン;CuI = ヨウ化銅(I);MsCl = 塩化メタンスルホニル;NaN3 = アジ化ナトリウム;Na2SO4 = 硫酸ナトリウム;NaHCO3 = 炭酸水素ナトリウム;NaOH = 水酸化ナトリウム;MgSO4 = 硫酸マグネシウム;K2CO3 = 炭酸カリウム;KOH = 水酸化カリウム;NH4OH = 水酸化アンモニウム;NH4Cl = 塩化アンモニウム;SiO2 = シリカ;Pd-C = パラジウム炭素;Pd(dppf)Cl2 = ジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)。
本開示に従って合成される例示的化合物を表1a、1b、および1cに列挙する。太線または破線の結合はキラル中心における特定の立体化学配置を示すために図示され、一方、波線の結合は、置換基がいずれの配向であってもよいこと、または化合物がその混合物であることを示す。
本開示の化合物は塩として調製、調剤および送達することができる。便宜上、本化合物は概して、特定の塩の形態を示すことなく図示される。
本開示の化合物は、当業者に周知の合成化学技術を使用して作製することができる。
実施例1:化合物1〜23の合成
スキーム1-4-3に記載された方法および手順ならびに化合物17に対して記載された方法および手順と同様の方法および手順にしたがった化合物1〜23。化合物17を下記に記載の合成手順にしたがって合成した。
化合物17の合成
Figure 2019516690
Figure 2019516690
実験手順:4-ブロモベンズアルデヒド2(100.0g、540.5mmol)を、(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド1(65.51g、540.5mmol)のCH2Cl2(495mL)の溶液に、室温で、数回に分けて加える。全ての固体が溶解するまで、アルゴン下で混合物を攪拌し、その後、Cs2CO3(176.1g、540.5mmol)を数回に分けて加える。混合物を攪拌し、加熱して穏やかに還流させる(42〜43℃)。16時間後、0〜5℃に冷却し、水(500mL)を15℃でゆっくり加える。混合物を10分間15〜20℃で攪拌し、相を分離させ、有機相を水(250mL)で洗浄する。その後、有機層を真空で濃縮して、約250gにし、さらに無水CH2Cl2(300mL)を加え、混合物を恒量に濃縮し、室温で乾燥させて、スルフィニルイミン3を淡黄色油状物として得る(156.4g、99%)。
スルフィニルイミン3(85.87g、297.9mmol)のDMF(450mL)の溶液に、塩化リチウム(25.3g、595.8mmol)を35℃で2分間にわたって加えた。その後、混合物を25℃に冷却し、H2O(4.56g、0.85mol当量)を加える。混合物を5分間20〜25℃で攪拌し、その後、新たに活性化した亜鉛粉末(38.95g; 595.8mmol)を加える。その後直ちに、臭化アリル(72.1g; 595.8mmol)の滴下を開始し、55℃で10分間で完了する。次の20分間、冷却調節によって、温度を45〜60℃の範囲に維持する。続いて、冷却槽を取り除き、混合物を40〜60分間、30〜45℃で攪拌する。反応の終了後、混合物を10〜15℃に冷却し、IPAC(560mL)を加え、その後に、H2O(400mL)を25℃で滴下する。これを15〜20℃に冷却し、1N HCl/H2O(550mL、6.4Vol、0.92当量/亜鉛)を25℃で滴下する。その後、IPAC(200mL)を加え、混合物を20分間攪拌する(pH=6)。相を分離させ、有機相を5% EDTA溶液(pH=7.5; 400mL)で洗浄し、その後、水(2x500mL)で洗浄する。有機相を真空で濃縮して恒量にし、化合物4を得る(98.02g、1H-NMRにより2.8wt%のIPACを含む; 95.27g、収率97%)。
化合物4(85.0g、257.4mmol)をTHF(210mL)に溶解する。溶液を、3Lの反応容器にアルゴン下で投入し、攪拌しおよび15〜17℃で冷却(水浴)する。9-BBNのTHFの溶液(0.5M; 927mL、463.3mmol)を20分間で17〜20℃で滴下する。混合物を50分間、20〜22℃で攪拌する。続いて、K3PO4/H2Oの溶液(水中で2.0M; 258mL)を22℃で10分間にわたって滴下する。混合物を5分間攪拌し、t-ブチル(Z)-3-ヨードアクリレート5(合成はスキーム2をチェック)(75.2g、296.0mmol)のTHF(50mL、無水)溶液を、5分間にわたって加える。Pd(PPh3)4(7.4g、6.43mmol)を加え、混合物を3時間50〜55℃で攪拌する。混合物を室温に冷却し;アルゴン下、水(250mL)を滴下する。相を分離し、有機相を濃縮し、残渣をIPAC(600mL)とH2O(400mL)に分割する。有機層を水(2x400mL)で洗浄し、真空で濃縮して、濃厚油状物にする(208g)。この物質をSi-ゲル(230〜400メッシュ、1.5kg)のプラグ上で精製し、30%〜55% EtOAc/ヘプタン(20L)勾配で溶出し、画分をHPLC分析に基づいて検定する。これによりアクリレート6(103.0g、82.6%)を薄茶の濃厚油状物として得る。
化合物6(101.0g、220.3mmol)をジメチルアセトアミド(605mL)に溶解する。溶液を、3Lの反応容器にアルゴン下で投入し、Cs2CO3(358.4g、1.10mol)を加える。混合物を、10分間、室温で攪拌し、その後、8時間、50〜52℃で加熱し、その後、14時間室温で攪拌する。続いて、混合物を5〜10℃に冷却し、IPAC(600mL)を加え、その後、30℃でH2O(600mL)を加え、その後飽和NH4Cl/H2O(600mL)を5分間にわたって加え、pH8.5の溶液を得る。混合物を室温で10分間攪拌し、相を分離する。有機相を水(2x500mL、2x5 Vol)で洗浄し、真空で濃縮して、粗生成物7を黄褐色の固体として得る(111.0g)。この試料をIPAC(200mL)に60℃で溶解し、ヘプタン(250mL)を加え、混合物を室温に冷却し、化合物7(0.2g)のシードを生じさせ、14時間室温で攪拌する。生成物をろ過し、ヘプタンで洗浄し、40℃で乾燥し、化合物7を得る(40.94g、白色針状物)。
ピペリジン7(71.7g、156.4mmol)のTHF(360mL)溶液を、3L反応容器中にアルゴン下で入れる。DIBALH/THF(1.0M; 469mL、469mmol)を40分間にわたって23〜28℃で滴下する。その後、混合物を3時間22〜27℃で攪拌し、その後0〜5℃に冷却し、IPAC(940mL)を15℃でゆっくり加える。混合物を10分間攪拌し、その後、混合物を、始めに5〜10℃に予備冷却された、酒石酸カリウムナトリウム4水和物(460g; 1.63mol)の水(1.0L)の溶液を含む5L反応容器に、20℃でゆっくり加える。添加後、冷却槽を取り除き、混合物を3時間室温で攪拌する。相を分離し、有機相を真空で濃縮して320gにし、この操作の間、大量の析出が生じる。混合物を14時間室温でそのままにし(攪拌しないで)、固体をろ過し、IPAC(50mL)で洗浄し、50℃で乾燥して、アルコール8(53.5g、88%)を得る。
アルコール8(108.1g、278.35mmol)を、3L反応容器中にアルゴン下で入れ、トルエン(540mL)を加え、懸濁液を10分間30〜32℃で攪拌する。その後、DPPA(72.2mL、334.0mmol)を30〜32℃で10分間滴下する。混合物をこの温度範囲で5分間攪拌し、その後DBU(49.95mL、334.0mmol)を32〜42℃で10分間にわたって滴下する。混合物を攪拌し、30分間50〜60℃で穏やかに加熱し、その後、温度を80℃に上昇し、3時間このレベルで維持する。混合物を室温に冷却し、IPAC(500mL)および水(500mL)を加え、混合物を5分間攪拌し、その後、相を分離する(水相のpH=約11)。有機相を、1M クエン酸/H2O(600mL)、2M K2CO3/H2O(500mL)、およびH2O(500mL)で連続して洗浄する。相を分離し、有機相のpHが約7.0と分析する。有機相を真空で濃縮して160gにする;理論収量115.1gである;粗化合物9のHPLC分析により純度96.5%(領域%)であることが示され、試料はまた、約45gのトルエンを含み;この物質は、次のステップに直接使用される。
粗化合物9(160g、クルード; これは、約115g、278.2mmolに相当)をMeOH(920mL)中でアルゴン下で懸濁し、混合物を22〜23℃で攪拌する(水浴)。37% HCl/H2O(76.6mL、918.1mmol)を30℃で10分間滴下する。混合物を1時間24〜30℃で攪拌し、その後、水(100mL)を加え、混合物を真空で濃縮して350gとする(アミンのHCl塩、白色固体)。テトラヒドロフラン(500mL)を加え、混合物を真空で濃縮して370gとし(濃厚スラリー)、THF(500mL)を加え、混合物を真空で濃縮して605gとする(スラリー)。このスラリーを3L反応容器中に入れ、テトラヒドロフラン(500mL)で希釈し、混合物を0〜5℃に冷却し、2.0M K2CO3/H2O溶液(417mL、834.6mmol)を20分にわたって12℃で加える。混合物を0〜5℃でさらに冷却し、クロロギ酸ベンジル(51.6mL、361.7mmol)のTHF(50mL)溶液を、10分にわたって5℃で滴下する。混合物を2時間5℃で攪拌し、その後、3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミン(14.0mL、111.3mmol)を加え、混合物を40分間5℃で攪拌する。続いて、IPAC(800mL)を加え、相を分離し、有機相を5% NaCl/H2O(600mL)、1.5M クエン酸/H2O(2x 600mL)、および水(800mL)で洗浄する。有機相を真空で濃縮して恒量にし、粗アジドエチルベンジルカルバメート10を淡黄色濃厚油状物として得る(138.4g; HPLC領域%純度=83%; この試料は約11mol%のメチルt-ブチルスルフィネートを含む。)。
アジドエチルベンジルカルバメート10(138.3g、クルード; これは約123.3g; 278.2mmolに相当)をTHF(830mL)にアルゴン下で溶解し、水(138mL)を加え、その後、Ph3P(106.2g、404.9mmol)を加える。混合物を30分間22〜26℃で攪拌し、その後、4の間55〜60℃で加熱する。反応混合物を真空で濃縮して460gとし、2-me-THF(500mL)を加え、溶液を3Lの三ツ口バッフル付き反応容器に移す。水(200mL)を加え、混合物を0〜5℃に冷却し、1.0N HCl/H2O(300mL)を5℃でゆっくり加え、pH約1.0にする。さらに水(100mL)およびヘプタン(300mL)を加え、相を分離する。有機相を廃棄し、水相をIPAC(700mL)およびヘプタン(100mL)の混合物で2〜3回洗浄する。得られた水相(約800mL)を5Lの三ツ口反応容器にアルゴン下で入れ、THF(650mL)を加え、混合物を0〜5℃に冷却し、10N NaOH/H2O(10.5mL)で塩基性化してpH約9にする。その後、2M K2CO3/H2O(270mL、540mmol、約2当量)を加え、混合物を0〜5℃に冷却し、固体Boc2O(62.2g、285mmol、1.05当量)を加える。混合物を1.5時間0〜5℃で攪拌し、その後、3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミン(11.9mL、94.5mmol)を加え、混合物を40分間5℃で攪拌する。トルエン(1.0L)を加え、相を分離する。有機相を1.5M クエン酸/H2O(2x 800mL)および水(800mL)で洗浄し、その後、濃縮して恒量とする(140.8g; 淡黄色油状物)。この試料を20〜23% EtOAc/ヘプタンの勾配を用いて、Si-gelプラグ(1.5kg)上で精製し、Boc-アミノエチルCbz-ピペリジン11を無色のガラス状固体として得る(116.0g)。
臭化物11(116.0g、224.2mmol)をDMSO(465ml)にアルゴン下で溶解し、溶液を、ビス(ピナコラト)ジボロン(66.6g、262.3mmol)の入った3L三ツ口反応容器にアルゴン下で入れる。混合物を固体が完全に溶解するまで攪拌し、酢酸カリウム(88.0g、897mmol)を加え、混合物を10分間攪拌する。その後、Pd-dppf-CH2Cl2(5.50g、6.73mmol、3%)を導入し、混合物を5時間85〜89℃で加熱する。混合物を室温に冷却し、IPAC(1.0L)およびH2O(1.0L)を加え、混合物を20〜25℃に冷却し戻し、ブライン(800mL)および5% EDTA溶液(pH=7.5; 800mL)を加え、混合物を5分攪拌し、相を分離する。有機相を5% EDTA溶液(pH=7.5; 400mL)、水(500mL)で洗浄し、その後、真空で濃縮して茶色油状物とする(171g)。この物質を、20%〜25% EtOAc/ヘプタンの勾配を用いてSi-ゲル(230〜400メッシュ、1.5kg)上で精製し、ボロネートエステル12を無色半固体として得る(108.3g、85.6%)。
化合物12(5.64g、10mmol)をメタノール-水(145:37ml)混合物に溶解し、これに、5-ヨードシトシン(3.35g、14mmol)を加え、その後、酢酸銅一水和物(1.99g、10mmol)およびテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2.32g、20mmol)をそれぞれ加えた。混合物を14時間、開放空気下で、室温で攪拌し、この段階で、LCMSにより、12が完全に消費されたことを確認した。揮発性物質を蒸発させた。水100mlを混合物に加え、残留物を酢酸エチル(70mlx2)で抽出した。一体化した有機相を水(25ml)、14% 水酸化アンモニウム(25ml)、水(25ml)およびブライン(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、帯黄白色固体を得た。この固体を50mlの酢酸エチルに溶解し、これに安息香酸無水物(3.20g、14mmol)を加え、4時間80℃で攪拌しながら反応を行った。LCMSにより、中間体アミンのベンゾイル化が完了したことを確認した。溶媒を蒸発させ、残留物を、0%〜100%のヘプタン中の酢酸エチルの勾配溶媒システムを用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を濃縮し、6.17g(収率79%)の13を、白色固体として得た。
13(2.14g、2.75mmol)およびアルキン14(1.02g、2.75mmol)の無水DMF(27.5ml)溶液を脱気し、2回アルゴンでパージした。この溶液に、N-N-ジイソプロピルエチルアミン(1.07g、8.25mmol)を加え、その後、Pd(PPh3)4(0.160g、0.137mmol)およびCuI(0.053g、0.275mmol)を加えた。混合物を12時間70℃で攪拌し、この段階で、LCMSにより、出発原料が完全に消費されたことを確認した。反応混合物を室温に冷却し、その後、メタノール(27.5ml)を加え、80℃で3時間加熱した。LCMSにより、脱ベンゾイル化が完了し15が形成されたことを確認した。反応混合物を室温に冷却し、揮発性物質を蒸発させた。反応混合物に、水(50ml)を加え、反応を酢酸エチル(50mlx2)で抽出した。一体化した有機相を水(25ml)、14% 水酸化アンモニウム(25ml)、水(25ml)およびブライン(25ml)で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、16CVにおいて0%〜10%のジクロロメタン中のメタノール(0.2%の飽和水酸化アンモニウムを含有)の勾配溶媒システムを用いてフラッシュクロマトグラフィーで精製した。所望の生成物画分を濃縮し、2.10g(収率83%)の15を黄色固体として得た。
15(0.30g、0.366mmol)のDCM(10ml)溶液に、4N HCl(10ml)を1,4-ジオキサンの溶液として、滴下した。反応を、室温で1.5時間攪拌したままにして行い、その時点で、LCMSにより、反応が完了したことを確認した。揮発性物質を蒸発させ、残留物6を次のステップにそのまま供した。残留物16をMeOH(10ml)に溶解し、反応を脱気し、アルゴンでフラッシュし、0℃に冷却した。反応混合物に、TEA(0.510ml、3.66mmol)を加え、その後、2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-アセトイミド酸エチルエステル18(0.296mg、1.50mmol)のMeOH(2ml)溶液として滴下した。1時間後、LCMSにより、反応が完了したことを確認した。揮発性物質を蒸発させおよびMeOH(5ml)に溶解させ、その後、33wt% HBr/AcOH(10ml)で処理した。1時間後反応が完了した。揮発性物質を蒸発させた。この試料を、分取HPLC:Dynamax 41.4mm、C-18 prep HPLC Unit(ガード+カラム)で、45分にわたって、20%〜80%(MeOH/H2O+0.15% TFA)の溶媒の勾配で溶出して、精製した。純粋な画分を合わせ、EtOHで濃縮し、乾燥させた。この試料を、1N HCl/H2O(5mL)およびEtOH(70mL)で処理し、濃縮した。この操作を繰り返し;このようにして得られた固体を、H2O-MeCN(4:1)から凍結乾燥し、化合物17を黄色粉末として得た(105mg、収率40%)。HPLC領域%=99.72%。分析データ: H2O(KF): 3.78%、C 46.67%; H 5.56%; N 12.92%; F 2.67%; Cl; 26.94%; Br<0.01%;). MS(ESI)m/z[M+H]+607.4
中間体5の合成
スキーム2
Figure 2019516690
57% HI(60mL)の水(90mL)の溶液に、プロピン酸20(20g)を加えた。得られた混合物を24時間50℃で加熱した。混合物を室温に冷却し、MTBE(100mL)を加えた。2つの層を分離した。水層をMTBE(100mL)で抽出した。一体化した有機相を、2M NaS2O3(2×50mL)、5% NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶液をろ過し、濃縮し、乾燥して、ベージュ色の固体生成物21を得た(49g、87%)。(Z)-3-ヨード-アクリル酸21(48g)およびt-BuOAc(140g)のCH2Cl2(144mL、3vol.)の溶液に、TfOH(1.8g)を加えた。溶液を1時間室温で攪拌した。反応が完了したように判断された(酸: HPLC領域%20.27%)。溶液を2M K2CO3(242mL)で中和した。ヘプタン(144mL)を加えた。2つの層を分離した。水層をヘプタン(144mL)で抽出した。一体化した有機相を水(144mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶液をろ過し、濃縮し、乾燥して、油状生成物5を得た(49g、80%、HPLC領域%:98.22%)。
実施例2-抗菌活性
本開示の化合物を抗菌活性について試験した。これらのデータを表2に提示する。化合物1〜23の最小発育阻止濃度(MIC)を、大腸菌(E.coli)ATCC25922株および黄色ブドウ球菌(S.aureus)11540株に対して標準的な微量希釈法を使用して決定した。データは、「+」が、当該化合物が16マイクログラム/mL以下のMIC値を有することを示し、「-」が、当該化合物が16マイクログラム/mLを超えるMIC値を有することを示すように提示されている。当業者は、当該化合物を他の細菌性生物に対して評価することができること、および、大腸菌および黄色ブドウ球菌に対する活性に関するデータの提示が例示的なものであって、決して本開示の範囲を限定するようには意図されていないことを認識するであろう。収集することが望まれる性能活性に応じて、本開示の化合物をある範囲の他の微生物に対してアッセイすることができる。さらに、「+」および「-」という表示、ならびに16マイクログラム/mLというカットオフ値の選択も例示的なものであって、決して本開示の範囲を限定するようには意図されていない。例えば、「-」は、当該化合物が必然的に活性または有用性を欠くことを示すようには意図されておらず、そうではなくて、明記された微生物に対するそのMIC値が16マイクログラム/mLを超えることを示すように意図されている。
(表2)
Figure 2019516690
Figure 2019516690
実施例3 - CHO細胞株に対する細胞毒性
本開示の化合物のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に対する細胞毒性を試験した。これらのデータ(適用可能な場合は標準偏差を含む)を表3に示す。
アッセイプレートのセットアップ
13.33%のウシ胎仔血清(FBS)を含むF12K培地にCHO-K1を播種することによってアッセイを実施した。ネガティブ(細胞なし)コントロールの列を除いて、384ウェル黒クリアボトムアッセイプレートの各列に9,500細胞/ウェルの濃度の細胞懸濁液37.5μlをプレーティングし、2時間接着させた。その後、175cm2フラスコから培地を取り除き、細胞単層を10mLのリン酸緩衝生理食塩水PBSで洗浄した。その後、3mLのセルストリッパー(Cellstripper)(商標)を加え、フラスコを、37℃でおおよそ5分間インキュベートした。アジテーションにより細胞を分離し、10% FBSを含む7mLのF12K培地をフラスコに加えた。フラスコ内でトリチュレーションを行って均一な細胞懸濁液を得た。PBS中の細胞懸濁液の一定分量を0.4% トリパンブルーで希釈することにより、血球計算器で細胞の数を数えた。典型的には、1800μlのPBS、100μlのトリパンブルーに対して100μlの細胞懸濁液の割合で用いた。
プレートに播種するのに必要な細胞数を含む細胞懸濁液の量(3.8×106個の細胞を含む15.2mL)を計算し、適切な分量の培地を50mL遠心分離管に移した。ネガティブ(細胞なし)コントロールの列を除いて、384ウェルプレートの各ウェルに37.5μlの細胞を加えた。その後、空の低容量希釈用プレートの2つの列に18μlの100% DMSOを手動でピペットで移すことによって、細胞毒性100倍希釈用プレートを調製した。100倍希釈用プレートの対応する列に、移動プレートから化合物1〜23の50mM溶液2μlを手動でピペットで移した。100倍プレートの残りの列の全てに、10μlの100% DMSOを手動でピペットで移した。
マトリックス384ウェルプレートの各ウェルに、48μlのF12K培地(DMSOなし、かつFBSなし)を手動でピペットで移すことにより、4倍細胞毒性プレートを事前に調製した。100倍希釈用プレートの試験試料を混合して希釈した。各化合物について2ウェルずつ10段階の2倍希釈を行った。その後、384カニューレアレイで2μlを細胞毒性4倍希釈用プレートの48μl培地に移した。その後、アレイを混合し、細胞毒性4倍希釈用プレートからの12.5μlの試料を37.5μlの細胞および培地に移した。当該手順におけるこの時点での試料の最終濃度は、最も高いもので50μMであり、後続の1:2希釈を10回行ったものは0.05nmであった。最終的なDMSO濃度は1%であり、FBSの最終濃度は10%であった。
コントロールとしてシクロヘキシミドを用いた。すなわち、シクロヘキシミドを、100mMストックから0.1mMに希釈し(1:100)、細胞毒性100倍プレートに加えた。細胞プレートに加えた際には、1μM〜1nMの範囲のシクロヘキシミドを用いた。
ネガティブコントロールとして用いたもの(前記)とは別の列を、培地だけを加えた細胞コントロールウェル用に用いた。
その後、プレートを、37℃および5% CO2で24時間インキュベートした。試料をプレーティングした後直ちに、細胞毒性4倍プレートでの化合物の溶解性を観察した。18μlの100% DMSOをピペットで移して100倍希釈用プレートを調製するため始めに使用した2つの列は、200μMの試験試料を含んでいた。24時間のインキュベーション期間の後、4μlのCell Titer blueを、マルチチャンネル・マトリックス・ピペッター(Multichannel Matrix pipettor)を用いて各ウェルに加えた。プレートをインキュベーターに戻し、さらに5時間インキュベートした。蛍光(励起波長530nm/発光波長590nm)を、ワラック・ビクター・マイクロプレート・リーダー(Wallac Victor microplate reader)で測定した。
生存細胞により蛍光レゾルフィンに還元されるレサズリン(Cell Titer BlueTM)と共に5時間インキュベートした後、細胞生存を蛍光定量的に評価した。
データの統計的取扱いおよび解釈
平均ブランク蛍光値を得るために、ネガティブコントロールの平均蛍光値を決定した。平均ブランク蛍光値を、全ての試験試薬に対して得られた蛍光値から減じた。得られた値が補正された蛍光値である。試験試薬に対して補正された蛍光値を、平均補正された対照コントロール(試験試薬0μM)で割り算し、生存率として表した。各ウェルの細胞死滅率を、100%から生存率を引き算して計算した。平均細胞死滅率を、各濃度の試験試薬について2ウェルずつの値を平均して決定した。IC50を、平均細胞死滅率と試験試薬濃度とのプロットから決定した。IC50値の大部分は、50マイクロモルより大きいことが判明した。
(表3)
Figure 2019516690
Figure 2019516690
実施例4-多剤耐性グラム陰性菌に対するピロロシトシンタンパク質合成阻害剤の活性
本出願の化合物No.8(RX-04D)を含む4つの化合物を、(i)カルバペネマーゼを有する多剤耐性腸内細菌科(Enterobacteriaceae)およびアシネトバクター属(Acinetobacter);(ii)MCR-1を有する腸内細菌科;ならびに(iii)排出能が変化した緑膿菌に対して試験した(表4および5を参照)。このケースでは、MCR-1が関係しており、その理由は、その活性が、リポ多糖類の負電荷を減少させ、ポリミキシン、および例えば本明細書において試験した化合物などの多塩基分子の結合に潜在的に影響を与えるからである。
(表4)試験した化合物
Figure 2019516690
(表5)試験パネル
Figure 2019516690
大腸菌ATCC25922および緑膿菌ATCC27853は、全体にわたってコントロールであった。
*表中の数字は、特定の抵抗性/遺伝子型を示すそれぞれの種の数を意味する。
4つの試験化合物および比較化合物(アミカシン、セフェピム、コリスチン、メロペネムおよびチゲサイクリン)のMICを、事前準備済みプレート(Trek Diagnostic Systems)(CLSI承認標準M7-A10)を用いてCLSIブロス微量希釈法により決定した。カルバペネマーゼおよびmcr-1遺伝子は、PCRまたは配列決定により検出した。緑膿菌分離株における排出レベルは、アンチバイオグラムデータの解釈的読み取りによって推測した。
68種の腸内細菌科に対するMICは単峰であり、類縁体RX-04AおよびRX-04Bでは1mg/Lがピークであり、RX-04CおよびRX-04Dでは2mg/Lがピークであった(図1)。試験した類縁体のうち最も活性があったRX-04Aに関し、67/68(>98%)のMICが0.25〜2mg/Lであった。全ての試験化合物において、MICは、大腸菌の場合に最小であり、霊菌の場合に最大であった(1種の霊菌に対して、8mg/L〜16mg/L超のMICが見られた)。
35/36(97%)のCPEに対するRX-04AのMICは、大腸菌ATCC25922に対するMICの4倍以内であった(図2)。類縁体RX-04B〜DのMICの相違は、同様に小さかった。全てのMCR-1分離株(n=14)に対するRX-04AのMICは、大腸菌ATCC25922に対するMICの2倍以内であった(図3)。類縁体RX-04B〜DのMICの相違は、同様に小さかった。mcr-1の獲得は、大腸菌DH10Bに対するRX-04のMICを上昇させなかった(表6)。
(表6)大腸菌DH10Bおよびそのmcr-1形質転換体に対するRX04-A〜DおよびコリスチンのMIC
Figure 2019516690
RX-04類縁体A〜CのMIC分布は、10種のアシネトバクター・バウマンニに対して1〜8mg/Lにわたっていた。RX-04Aは、7/10が1〜2mg/Lの値で、最も低いMICを有し、Dは、最小活性の類縁体であった(図4)。OXA-23型カルバペネマーゼを有するアシネトバクター・バウマンニに対するMICは、大部分がカルバペネム感受性分離株よりも高かったが、数は小さく、3/5のOXA-23型分離株は、同じ系列に属していた(国際クローンII;他の2つは特有のパルソタイプ(pulsotypes)であった)。さらにRX-04Aは、緑膿菌分離株に対して最も活性な類縁体であり、19/20(95%)の分離株に対するMICが1〜4mg/Lであった。類縁体CおよびDのMICのほぼ半分(48%)が≧16mg/Lであった(図5)。全ての類縁体のMICは、排出能が低い緑膿菌と比べて排出能が「標準的な」緑膿菌についてより高い傾向を示したが、排出能が高い緑膿菌の場合はさらに高いということはなかった。
4つの類縁体は、腸内細菌科および非発酵菌に対して、広い活性を有していた。RX-04Aは、MICのほとんどが、腸内細菌科およびアシネトバクター・バウマンニに対して1〜2mg/Lであり、緑膿菌に対して1〜4mg/Lであり、最も活性のある類縁体であった。腸内細菌科の間で、大腸菌は最も感受性の高い種であり、霊菌は最も感受性が低かった。カルバペネマーゼ産生菌およびMCR-1分離株に対するMICは、高感受性コントロールの2〜4倍高いだけであった。MCR-1の獲得は、影響のある表面電荷にもかかわらず、これら基本的分子に対する感受性に影響を与えなかった。RX-04AのMICは、排出能が高い緑膿菌分離株において高くなってはいなかった。多剤耐性アシネトバクター・バウマンニに対してMICは若干高くなっていた。多剤耐性グラム陰性菌のこの困難な集団に対して、ピロロシトシンは期待できる活性を示した。
参照による組み入れ
本明細書において言及される各特許文献および科学論文の開示全体があらゆる目的で参照により組み入れられる。
等価物
本開示の真意または本質的特性を逸脱することなく、本開示を他の特定の形態で具現化することができる。したがって、前述の態様は、すべての点において、本明細書に記載の本開示に関して限定的というよりもむしろ例示的であると見なすべきである。したがって、本開示の範囲は前述の記載よりもむしろ添付の特許請求の範囲により示されるものであり、特許請求の範囲と等価の意味および範囲内にあるすべての変化は特許請求の範囲に包含されるように意図される。

Claims (64)

  1. 下記式(I)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩:
    Figure 2019516690
    式中、
    R1は、Hおよびハロより選択され;
    R2は、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4ハロアルキル、およびORa1より選択され;
    R3は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    Wは、NおよびCR4より選択され;
    R4は、H、ハロ、ORa2、SRa2、5〜6員ヘテロシクロアルキル、S(O)2Rb2、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R5は、H、ハロ、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R6は、H、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3で置換されていてもよく;
    R7は、HおよびC1〜6アルキルより選択されるか;または、
    R6およびR7は、それらが結合している炭素原子および該2つの炭素原子に結合している窒素原子と一緒に下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、
    R8は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    Xは、OおよびNRNより選択され;
    RNは、HおよびC1〜4アルキルより選択され;
    RAは、Hであり;
    RBは、Hであるか;または、
    RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、N、OおよびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該5〜6員ヘテロシクロアルキルは、ハロで置換されていてもよく;
    R9は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3およびSRa3より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R10は、H、C2〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキルおよびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよく;
    R11は、HもしくはC1〜3アルキルであり、該C1〜3アルキルは、OHで置換されていてもよく;
    各Ra1、Ra2、およびRa3は、H、C1〜6アルキルおよびC1〜4ハロアルキルより独立して選択される。
  2. 下記式(II)の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩:
    Figure 2019516690
    式中、
    R1は、Hおよびハロより選択され;
    R2は、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4ハロアルキル、およびORa1より選択され;
    R3は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    Wは、NおよびCR4より選択され;
    R4は、H、ハロ、ORa2、SRa2、5〜6員ヘテロシクロアルキル、S(O)2Rb2、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R5は、H、ハロ、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa2より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R6は、H、C1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3で置換されていてもよく;
    R7は、HおよびC1〜6アルキルより選択されるか;または、
    R6およびR7は、それらが結合している炭素原子および該2つの炭素原子に結合している窒素原子と一緒に下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、
    R8は、H、C1〜6アルキル、およびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    Xは、OおよびNRNより選択され;
    RNは、HおよびC1〜4アルキルより選択され;
    RAは、Hであり;
    RBは、Hであるか;または、
    RAおよびRBは、それらが結合している窒素原子と一緒に、N、OおよびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該5〜6員ヘテロシクロアルキルは、ハロで置換されていてもよく;
    R9は、C1〜6アルキル、C3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、ORa3およびSRa3より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R10は、H、C2〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキルおよびC1〜4アルキルより選択され、それらは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに、
    各Ra1、Ra2、およびRa3は、H、C1〜6アルキルおよびC1〜4ハロアルキルより独立して選択される。
  3. R1が、Hおよびフルオロより選択される、請求項1または2に記載の化合物。
  4. R1がフルオロである、請求項1または2に記載の化合物。
  5. R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  7. R2がクロロである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  8. R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  10. R3がHである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  11. WがNである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. WがCR4である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  13. R4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. R4が、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  15. R4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  16. R4が、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  17. R4がHである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  18. WがCR4であり、かつR4が、H、ハロ、およびS(C1〜6アルキル)より選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  19. WがCR4であり、かつR4が、H、フルオロ、およびメチルチオより選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  20. R5が、Hおよびフルオロより選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
  21. R5がHである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
  22. R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
  23. R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
  24. R7が、Hおよびメチルより選択される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  25. R7がHである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  26. R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  27. R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示す、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  28. R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択される、請求項1〜25または27のいずれか一項に記載の化合物。
  29. R8がHである、請求項1〜25または27のいずれか一項に記載の化合物。
  30. R8がC1〜4ハロアルキルである、請求項1〜25または27のいずれか一項に記載の化合物。
  31. XがOである、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物。
  32. XがNRNである、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物。
  33. RNがHである、請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
  34. RNがメチルである、請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
  35. RAがHであり、かつRBがHである、請求項1〜34のいずれか一項に記載の化合物。
  36. RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
    Figure 2019516690
    のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよい、請求項1〜34のいずれか一項に記載の化合物。
  37. RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成する、請求項1〜34のいずれか一項に記載の化合物。
  38. R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよい、請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物。
  39. R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択される、請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物。
  40. R9がC2〜6アルケニルである、請求項1に記載の化合物。
  41. R9がエテニルである、請求項40に記載の化合物。
  42. R10がHである、請求項1〜41のいずれか一項に記載の化合物。
  43. R10がC1〜4アルキルであり、該C1〜4アルキルは、アミノ、C1〜4アルコキシ、C3〜5シクロアルキル、および3〜6員ヘテロシクロアルキルより選択される置換基で置換されていてもよい、請求項1〜41のいずれか一項に記載の化合物。
  44. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
    R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    WがCR4であり、かつR4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
    R5が、Hおよびフルオロより選択され;
    R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
    R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し;
    R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    RNが、Hおよびメチルより選択され;
    RAがHであり、かつRBがHであり;
    R9が、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
    R11がHである、請求項1に記載の化合物。
  45. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
    R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    WがCR4であり、かつR4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
    R5が、Hおよびフルオロより選択され;
    R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
    R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し;
    R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    RNが、Hおよびメチルより選択され;
    RAがHでありかつRBがHであるか;または、
    RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
    Figure 2019516690
    のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
    R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
    R11がHである、請求項1に記載の化合物。
  46. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
    R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    WがCR4であり、かつR4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
    R5が、Hおよびフルオロより選択され;
    R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
    R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し;
    R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    RNが、Hおよびメチルより選択され;
    RAがHであり、かつRBがHであり;
    R9が、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される、請求項2に記載の化合物。
  47. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、H、ハロ、C1〜4ハロアルキル、およびC1〜4ハロアルコキシより選択され;
    R3が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    WがCR4であり、かつR4が、H、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、S(C1〜4アルキル)、6員ヘテロシクロアルキル、およびS(O)2C1〜4アルキルより選択され;
    R5が、Hおよびフルオロより選択され;
    R6が、H、エテニル、およびC1〜6ヒドロキシアルキルより選択され;
    R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、
    R8が、HおよびC1〜4ハロアルキルより選択され;
    RNが、Hおよびメチルより選択され;
    RAがHでありかつRBがHであるか;または、
    RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
    Figure 2019516690
    のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
    R9が、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、およびC3〜5シクロアルキルより選択され、該C1〜6アルキルは、C1〜6アルコキシおよびS(C1〜6アルキル)より選択される置換基で置換されていてもよく;ならびに、
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される、請求項2に記載の化合物。
  48. R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示す、請求項44〜47のいずれか一項に記載の化合物。
  49. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
    R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
    WがCR4であり、かつR4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
    R5が、Hおよびフルオロより選択され;
    R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
    R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し;
    R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
    RNが、Hおよびメチルより選択され;
    RAがHであり、かつRBがHであり;
    R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、エテニル、およびシクロプロピルより選択され;
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
    R11がHである、請求項1に記載の化合物。
  50. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、H、クロロ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより選択され;
    R3が、Hおよびトリフルオロメチルより選択され;
    WがCR4であり、かつR4が、H、フルオロ、クロロ、メチルチオ、メトキシ、メチル、S(=O)2(メチル)、トリフルオロメトキシ、およびN-モルホリノより選択され;
    R5が、Hおよびフルオロより選択され;
    R6が、H、エテニル、およびヒドロキシメチルより選択され;
    R7が、Hおよびメチルより選択されるか;または、
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し;
    R8が、Hおよび3-フルオロプロピルより選択され;
    RNが、Hおよびメチルより選択され;
    RAがHでありかつRBがHであるか;または、
    RAおよびRBが、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記式:
    Figure 2019516690
    のうちのいずれか一つの環を形成し、該式(i)〜(iii)のうちのいずれか一つは、ハロで置換されていてもよく;
    R9が、メチル、C1〜6ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびシクロプロピルより選択され;ならびに、
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される、請求項2に記載の化合物。
  51. R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示す、請求項50または51に記載の化合物。
  52. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、クロロおよびトリフルオロメチルより選択され;
    R3がHであり;
    WがCR4であり、かつR4が、Hおよびフルオロより選択され;
    R5がHであり;
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示し;
    XがNHであり;
    RAがHであり、かつRBがHであり;
    R9が、メチルおよびメチルチオメチルより選択され;
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択され;ならびに、
    R11がHである、請求項1に記載の化合物。
  53. R1が、Hおよびフルオロより選択され;
    R2が、クロロおよびトリフルオロメチルより選択され;
    R3がHであり;
    WがCR4であり、かつR4が、Hおよびフルオロより選択され;
    R5がHであり;
    R6およびR7が、下記式:
    Figure 2019516690
    の環を形成し、式中、#は、Wを含む環に結合する、環の炭素を示し;
    XがNHであり;
    RAがHであり、かつRBがHであり;
    R9が、メチルおよびメチルチオメチルより選択され;
    R10が、H、メチル、エチル、n-プロピルおよびi-プロピルより選択される、請求項2に記載の化合物。
  54. 下記式(A):
    Figure 2019516690
    を有する化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の化合物。
  55. 下記式(Ia):
    Figure 2019516690
    を有する化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の化合物。
  56. 下記式(Ib)〜(Id):
    Figure 2019516690
    を有する化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の化合物。
  57. 表1、表1a、表1b、もしくは表1cに列挙された化合物のうちのいずれか一つより選択される式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその互変異性体、あるいは該化合物または互変異性体の薬学的に許容される塩。
  58. 請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  59. 請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、あるいは請求項58に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症を治療する方法。
  60. 請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、あるいは請求項58に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症を予防する方法。
  61. 請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、あるいは請求項58に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症の危険性を低減する方法。
  62. 請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩、あるいは請求項58に記載の薬学的に許容される組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、微生物感染症の発症を遅延させる方法。
  63. 対象における微生物感染症を治療するか、予防するか、または低減するための医薬の製造における、請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩の使用。
  64. 対象における微生物感染症を治療するか、予防するか、または低減するのに使用するための、請求項1〜57のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体、または該化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容される塩。
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