JP2019510911A - 円筒状回転体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、回転体、ロータ、およびそのような回転体を有するフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットに関し、さらにそのような回転体を製造する方法に関する。
【解決手段】回転体は、繊維強化複合材を使用して少なくとも部分的に巻回されたシリンダジャケット(11)と、さらに回転軸(R)としてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面(12、13)とを備え、それによって、シリンダジャケット(11)は、その内側(11i)が回転軸(R)に面し、その外側(11a)が反対方向に向いた状態で、回転体(1)の外径(AD)の2倍を超える、回転軸(R)に平行な長さ(LM)を有し、外径(AD)の12.5%未満の肉厚(ZD)を有する。それによって、シリンダジャケット(11)の繊維強化複合材は、半径方向(RR)に積層構造を有し、この積層構造は、繊維(FH)の複数の螺旋層(H)と、複数の円周層(U)とを含む。繊維(FH)は回転軸(R)に沿って延在し、回転軸(R)に対して35°より小さい螺旋繊維角度(FWH)に沿った配向を有する。円周層(U)はシリンダジャケット(11)に対して、シリンダジャケット(11)の長さ(LM)にわたって接線方向に配置され、回転軸(R)に対して80°よりも大きい円周繊維角度(FWU)に沿った配向を有する繊維(FU)から構成される。それによって、螺旋層(H)と円周層(U)とが交互に互いに重なって配置され、全ての螺旋層(H)は半径方向(RR)に見てシリンダジャケット(11)の内側3分の1に配置される。

Description

本発明は、回転体、ロータ、およびそのような回転体を有するフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットに関し、さらにそのような回転体を製造する方法に関する。
フライホイールは、エネルギーを回転エネルギーの形態で貯蔵するために使用される。適切な連結手段(モータ・ジェネレータ・ユニット)を使用して、これらのエネルギー貯蔵ユニットに電気エネルギーを回転エネルギーの形態で貯蔵することができ、必要に応じて、このエネルギーを電気エネルギーに戻して消費者に伝達することができる。大部分において、そのようなフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、回転速度および質量に依存して一定量のエネルギーを貯蔵する大規模なロータを有する。このようなエネルギー貯蔵ユニットの貯蔵容量は、その質量および最大回転速度によって制限される。これに関連して、ロータは通常、適切な接続手段によって、ロータを保持する軸受シャフトに接続される。軸受シャフトは、回転できるように適切な軸受に取り付けられる。ここで、軸受要素および駆動要素はロータの回転軸上に配置されることが好ましい。これに関連して接続手段は、外部フライホイール本体(回転体)と走行車軸(シャフト)との間の接続および取付けをもたらす機能を有し、さらに、駆動軸からフライホイール本体(回転体)に、その逆もまた同様に、捩じりモーメントを確実に伝達する機能を有する。信頼性があり問題のないロータの動作を実現するために、回転体は、高品質の製造、ならびに曲げ荷重下における高強度および優れた剛性を示さなければならない。
これまで、回転体を備えたロータは一般に、非常に厚肉のディスク状の構成要素として構成されてきた。回転体の肉厚は直径の大きさと同程度であるが、回転軸に沿った長さは、直径よりも小さいかまたは同様である。これに関連して、回転体の材料として炭素繊維強化プラスチック(いわゆるCFRP材料)が使用される場合、フライホイールディスクは通常、事実上周方向に配向された繊維から構成される。
エネルギー貯蔵容量が質量の回転速度に二次的な依存性を示すことから、この概念はいくつかの欠点を伴う。比較的大きく内側(回転軸の近く)に向かって位置する繊維は、回転速度が大幅に低いため、エネルギーをほとんど貯蔵することができない。さらに、この構造によって、ロータに損傷を与え得る大きな引張応力が半径方向に生じる。これは、複数のサブリングを製造し、それらを一緒にプレス加工して回転体を形成するなどの複雑な設計の手段によってのみ避けることができる。さらに、その壁の厚さが原因で、生産が非常に困難となり手間がかかるため、例えば繊維のねじれ、繊維の体積含有率、うねり、および剥離を伴った問題が常に生じることになる。
今日では、特に従来のエネルギー発生システムよりも環境親和性がより高いという観点から、回生エネルギー源への移行が広がっている。概してこのような回生エネルギー源は、連続的にエネルギーを供給しないため、エネルギー貯蔵ユニットが非常に必要となっている。このため、このようなフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー含量を更に高めることが望ましく、その製造コストを下げることが望ましい。
本発明の目的は、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのための適切で安価で信頼性の高いロータを提供することであり、それによってフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、大きなエネルギー含量を有しながら、その製造および操作を簡単に、安価に、かつ確実に実施することができる。
この目的を達成するために、内部が中空の円筒状回転体は、繊維強化複合材を用いて少なくとも部分的に巻回されたシリンダジャケットを有し、さらにシリンダ軸を回転軸として有し、開口シリンダベース面を有する。それによってシリンダジャケットは、その内側が回転軸に面し外側が反対方向に向いた状態で、回転体の外径の2倍を超える、回転軸に平行な長さを有し、外径の15%未満または50mm未満の肉厚を有する。それによって、シリンダジャケットの繊維強化複合材は半径方向に積層構造を有し、この積層構造は、繊維の複数の螺旋層と複数の円周層とを含む。螺旋層の繊維は回転軸に沿って延在し、螺旋繊維角度に沿った配向は回転軸に対して35°よりも小さく、円周層はシリンダジャケットに対して、シリンダジャケットの長さにわたって接線方向に配置され、円周繊維角度に沿った配向が回転軸に対して80°より大きい繊維によって構成される。それによって、螺旋層と円周層とが交互に互いに重なって配置され、全ての螺旋層は半径方向に見てシリンダジャケットの内側3分の1に配置されている。
これに関連して、回転体のエネルギー含量は、質量および回転速度によって決定される。ここで、速度はエネルギー含量において二次的な値となる。これらのロータでは総質量が事実上同じ半径で回転し(平均半径±肉厚の半分であり、最終的に薄く保たれる)、したがって、全ての繊維がエネルギー貯蔵に等しく寄与するため、肉厚が薄いシリンダジャケットを有する円筒状回転体が有益である。このため、円盤状の厚肉のロータを使用する従来の設計とは対照的に、繊維利用の観点から、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにおける回転体の効率は特に高い。回転体の所与の半径でエネルギー含量を最大にするために、回転体はできるだけ長く(回転軸に平行なシリンダ高さが長く)なるように製造される。本発明に係る回転体は例えば、長さ1300mm、外径350mm、シリンダジャケットの肉厚20mmである。このような回転体の重量は約40kgである。回転体のシリンダジャケットの肉厚が薄いため、巻回部分として一体に製造することができ、これはより厚いシリンダジャケットでは不可能なことである。その結果、回転体の製造がより簡単かつ迅速になる。このような肉厚の薄い回転体を回転可能にするためには、長いロータチューブの第1の曲げ固有振動が、動作中のロータの回転速度に対応する回転数よりも十分に高くなるように、曲げ荷重下での剛性を、従来技術の設計の回転体よりも大幅に増加させなければならない。これは、本発明に係る繊維強化複合材の積層構造によって実現される。
繊維強化複合材は、一般に2つの主成分から構成され、この場合では、繊維の間に強固な結合を形成するマトリックス材に埋め込まれた繊維から構成される。これに関連して繊維強化複合材は、繊維束から、または同じ種類もしくは異なる種類の複数の繊維から巻回することができ、それによって繊維を互いにしっかりと隣り合わせに接触させて巻回することができる。こうすることで、繊維強化複合材が所望の厚さを得るまで繊維が追加の繊維層に巻回された、繊維層が形成される。繊維強化複合材から形成される1つまたは複数の繊維層から構成される束は、繊維積層構造(螺旋層または円周層)と呼ばれる。これに関連して、使用用途に応じて、繊維強化複合材は様々な数の繊維層(螺旋層に加えて円周層)を含むことができ、そのため種々の繊維層は、例えば、それらの付随する繊維角度の点で異なる。「繊維角度」(螺旋繊維角度、円周繊維角度)という用語は、ここでは、回転軸と繊維層における巻回された繊維の配向(繊維方向)との中間(平均)角度を意味し、そのため繊維角度に関しては、巻回方向(前後または左右)は区別されない。したがって、例えば螺旋層を横切る繊維は、同じ繊維角度(同じ数値)を有する。繊維強化複合材は結合することでより高品質の特性を得ることができ、例えばその強度は、関係する2つの個々の成分のそれぞれが供給できる強度よりも高い。炭素繊維、特に応力が高い、すなわち非常に剛性が高い炭素繊維を、繊維として使用することができる。例えば、熱硬化型プラスチックまたは熱可塑性プラスチックをマトリックス材として使用することができる。繊維およびマトリックス材の材料特性は当業者に知られたものであり、そのため当業者は、所与の用途に対して繊維強化複合材を製造するための、繊維およびマトリックス材の適切な組み合わせを選択することができる。これに関連して、繊維結合面積における繊維層は、1つまたは複数の同一または異なる繊維を含むことができる。ここでの回転体は、完全にまたは繊維結合面積のみ、繊維強化複合材で形成することができる。螺旋層の繊維強化複合材および円周層の繊維強化複合材は、同じ繊維および同じマトリックス材を含むことができ、あるいは、付随の繊維および/または付随のマトリックス材の選択に関して異なっていてもよい。「繊維結合面積」という用語は、少なくとも大部分が繊維強化複合材のみから構成される回転体の面積または体積を意味する。一実施形態では、回転体は完全に繊維強化複合材から形成される。このような回転体は軽量で最も高い強度値を示す。繊維強化複合材の積層構造とは、半径方向に見て、螺旋層および円周層が互いに重なって連続して巻回されているもの指す。この場合の半径方向とは、シリンダジャケットの内側から外側への、回転軸に垂直な方向である。螺旋層および円周層を交互に連続させることによって、さらに円周層が全ての螺旋層の上に巻回され、その結果、巻回された螺旋層内の領域から、螺旋層内の交差する繊維間に存在し得る過剰な樹脂および気泡が押し出され、これによって繊維強化複合材の材料結合の強度がさらに増加する。そして、シリンダジャケットの外層(外側に面する)は円周層によって形成される。
繊維特性および繊維角度によって、螺旋層は、曲げ荷重下での回転体に高い剛性を付与する。螺旋層が少数の場合であっても、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットに使用するのに十分な曲げ強度が実現される。繊維角度が35°よりも小さい螺旋層には、非常に剛性の高い炭素繊維、多くの場合はピッチ繊維が使用される。繊維角度が回転軸に対して80°より大きい円周層の場合には、例えば、強度または高強度の炭素繊維が使用される。円周層は、回転体に半径方向の強度を付与し、回転中の回転体に起こり得る最小限の膨張を保証し、それ自体だけでは支持することができない螺旋層を支持する役割を果たす。回転負荷によって、円周層内に半径方向の引張応力が生じる。これらの応力は繊維方向に対して垂直に作用するため、容易に材料を損傷する可能性がある。螺旋層が円周層によって支持されていないと、螺旋層は所与の回転負荷の下ではるかに強く変形することになる。したがって、螺旋層は後続の外側の円周層によって支持され、そこで半径方向の圧縮応力を発生させる。このようにして、適切な構成では、半径方向の引張応力を完全にまたは少なくとも部分的に補償することができる。螺旋層と円周層とを交互に配置することは、この引張応力の補償のために特に有利である。しかし、そのような支持は、円周層における接線応力を増加させることにもなる。このため、曲げ荷重下で必要な剛性のために絶対的に必要な数だけの螺旋層を正確に使用することが有利である。
螺旋層内、および螺旋層と円周層との間においては、回転負荷中に材料に損傷を与え得る剪断応力も生じる。これらの引張応力は、より外側に向かう螺旋層でより大きくなることから、この態様に関して、螺旋層がより内側に向かうことが有利となる。これに対し、より外側に向かう螺旋層は、曲げ荷重下での剛性における所望の増加への寄与が大きくなる。その結果、より外側の螺旋層が有利になる。適切な積層構造の構築は、場合によっては、相反する態様においてこれらの全てを考慮に入れなければならない。適切で最適な積層構造は、例えば、有限要素プログラムおよび最適化アルゴリズムによって計算することができる。
全ての螺旋層は半径方向に見てシリンダジャケットの内側3分の1に配置されているため、シリンダジャケットのこの構造(積層構造)によって、種々の層の間の移行箇所における螺旋層と円周層との間に生じる剪断応力が最小となるため、引張応力は同様に、より内側に向かう螺旋層の影響を好適に受ける。
したがって、特許請求の範囲に記載の積層構造により、肉厚が薄く非常に長い、それでいて曲げ荷重下で十分な剛性を示す回転体を製造できるため、安定して確実に回転体が動作できる速度である50,000rpmでの適用が可能になる。これに関連して、シリンダジャケットの内側は好ましくは螺旋層によって形成される。薄肉の設計において繊維への荷重を均一にすることで、繊維強化複合材の消費を大幅に削減できるため、本発明に係る回転体は、従来の設計よりも大幅に安価に構築することができ、それによって、エネルギー貯蔵の観点から、その構造的長さによって本発明に係る回転体の費用対効果を得ることができる。本発明に係る回転体では、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット用のロータのための適切で安価で信頼性の高い構成要素が提案されており、それによって、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー含量を高くしながら、容易に、安価に、かつ確実に貯蔵および動作を行うことができる。
一実施形態では、螺旋繊維角度は15°〜30°である。この範囲内の繊維角度では、螺旋層は回転体に曲げ荷重下で最大の剛性値を付与する。別の実施形態では、種々の螺旋層の螺旋繊維角度が異なってもよい。
一実施形態では、回転軸からの距離が増加するに伴って、螺旋繊維角度が1つの螺旋層から次の螺旋層の間で半径方向に増加する。その結果、半径方向の引張応力の補償が最大化される。これに関連して、この目的のために、螺旋繊維角度は、好ましくは、最も内側の螺旋層の23°から最も外側の螺旋層の30°まで半径方向に増加する。
一実施形態では、非常に安定したシリンダジャケットを提供するために、繊維強化複合材の積層構造は少なくとも5つの螺旋層を含む。一定数の円周層が、これら螺旋層の上に巻回されている。一実施形態では、全ての螺旋層の総厚はシリンダジャケットの肉厚の12.5%を超えない。ここで、全ての螺旋層は、シリンダジャケットの肉厚または壁部分の内側3分の1に位置する。それぞれ対応する円周層が巻回された複数の螺旋層によって、例えば円周層が巻回された螺旋層から構成される束、または例えば全半径にわたって均等に分布した螺旋層と比較して、相応のより大きな層架橋を有する複数の層移行が得られるため、シリンダジャケットのこの構造(積層構造)によって、種々の層の間の移行箇所における螺旋層と円周層との間に生じる剪断応力が最小となる。
別の実施形態では、個々の螺旋層の半径方向の螺旋層厚さは、シリンダジャケットの肉厚の4%未満である。例えば、螺旋層厚さは0.5mm未満である。
そのような薄い螺旋層は既に、曲げ荷重下での剛性を改善するのに十分である。螺旋層を薄くすることで、必要な材料の量がさらに削減されるため、必要な生産作業が減少する。このため、好ましい実施形態では、螺旋層厚さは、互いに交差するように重なって配置された2つの螺旋状繊維層の厚さにしかならない。このような螺旋層は、回転体において可能な限り薄い繊維層である。
好ましい実施形態では、シリンダジャケットは完全に繊維強化複合材で形成される。このようにして、回転体は簡単な巻回工程によって完全に一体に製造でき、それでいて本発明に係る積層構造のおかげで、曲げ荷重下での有利な剛性および強度値を示し、さらにシリンダジャケットにおける半径方向の引張応力が低くなる。このような回転体では、螺旋層および円周層は、実質的に回転体の全体にわたって回転軸に沿って延在しているが、「実質的に」という用語は、回転体の端部に存在し得る面取りされた任意の切断縁を意味するものであり、これは回転体およびその上に延在する積層構造体の全長に関して無視できる程度である。
本発明はまた、本発明に係る内部が中空の円筒状回転体を備えたロータに関する。ここで、このロータは、シリンダジャケットに捩じりモーメントを伝達するために、回転体のシリンダジャケットの内側に適切に接合された1つまたは複数のハブを備えることができ、それによって、各ハブはシャフトまたはジャーナルを介して軸受に適切に取り付けられ、シャフトまたはジャーナルの少なくとも1つはモータによって適切に駆動することができる。
概して、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットの回転体は、2つ以上のハブを介してフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットの軸受要素と駆動要素とに接続される。これに関連して、ハブは、一方では回転体と軸受要素および駆動要素との接続および取付けを達成しなければならず、一方では駆動軸から回転体への、また同様にその逆への、捩じりモーメントの伝達を保証しなければならない。この目的のために、ハブは同様に繊維強化複合材から形成され、その特徴として、機械的に十分な応力への耐性を有することによって、回転体に作用する遠心力に起因する50,000rpmを超える非常に速い速度での半径方向および接線方向の荷重に確実に耐えることができ、さらに回転体によって作用する重量負荷を支持することができ、これらの回転速度で、回転体とハブとの間、またはハブとジャーナルとの間の接続箇所に作用する押圧力に耐えることができる。それにもかかわらず、ハブは接線方向の寸法安定性によって、駆動ユニットと回転体との間のトルクの効果的な伝達を保証することができる。その材料およびその幾何学的形状のために、ハブは半径方向の歪み性をも有しており、この歪み性は、特に非常に高い回転速度における回転体の歪みに追従するように適切に調整され得る。このようにして、非常に高い回転速度において、ハブの損傷、または回転体の湾曲もしくはハブからの離脱の原因となる可能性がある、回転体とハブとの間の臨界引張応力が回避される。炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber−Reinforced Plastic:CFRP)ラミネートを使用することにより、ハブはさらに、ロータがフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにおいてクラッシュする場合の好ましいクラッシュ挙動をもたらすことにもなる。さらに、従来のハブおよび対応するロータと比較して、ハブの重量、ひいてはロータの重量を低減することができ、これによって、ロータを軸受に簡単に取り付けることができる。ハブは、例えば繊維材料をマトリクスシステムと組み合わせて一体に形成することができる。ここで、マトリックス材が繊維の編組を完全に取り囲むことによって、この編組の繊維は2つの異なる配向で互いに交差する。これに関連して、この編組は、異なるレベルの締まり具合で製造することができる。ハブの製造には、高い繊維体積分率が望ましい。
本発明に係るロータは、例えば1300mmの長さ、350mmの外径、および20mmの(シリンダジャケットの)肉厚を有する。このようなロータの重量は約40kgである。ハブは、回転体の内径に適合する外径を有する。
一実施形態では、ハブは、開口シリンダベース面からハブが突出しないように円筒状回転体内に配置される。その結果、軸受はシリンダジャケットの内側に位置し、ロータがクラッシュした場合に直接影響を受けることはない。
本発明はまた、機械ハウジングによってそれぞれ囲まれた1つまたは複数の本発明に係るロータを有するフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにも関し、それによって、電気エネルギーを貯蔵するためにフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのモータ・ジェネレータ・ユニットによりロータを加速することができ、電気エネルギーを放出するために制動することができる。本発明に係る回転体を有する本発明に係るロータのおかげで、このようなフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、上述の理由により特に高いエネルギー貯蔵容量を示す。これまで、現在の運動エネルギー貯蔵ユニットは、高価な繊維強化複合材を多量に使用しなければならないために、製造コストが非常に高かった。より内側にある材料は、より外側にある材料よりも大幅に低い速度で回転するため、大規模なディスク形状のその厚さが原因で、繊維強化複合材はエネルギー貯蔵のために効率的に使用されなかった。本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、薄壁構造とすることで大幅な材料資源の必要性を回避し、それによって、必要な回転質量を提供するためにこのロータを非常に長く設計できるので、ロータを効率的に作動させることができる。
本発明はまた、本発明に係る内部が中空の円筒状回転体1を製造する方法にも関し、この回転体1は、シリンダジャケットと、回転軸としてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面とを有し、回転軸に平行な長さが回転体の所与の外径の2倍を超える。この方法は、
(a)回転体を製造するために適切な付随の巻芯を設け、それによって、繊維強化複合材を用いてシリンダジャケットを少なくとも部分的に巻回するステップと、
(b)適切な巻回方法を使用して、シリンダジャケットの外径の15%未満または50mm未満に達するシリンダジャケットの所望の厚さが達成されるまで、回転軸に対して35°よりも小さい螺旋繊維角度に沿った配向の繊維から構成される螺旋層と、回転軸に対して80°よりも大きい円周繊維角度に沿った配向の繊維から構成される円周層とを巻芯の周りに交互に巻回することで、全ての螺旋層を半径方向に見てシリンダジャケットの内側3分の1に配置するステップと、
(c)回転体の繊維強化複合材を架橋させ、巻回および架橋された回転体から巻芯を除去するステップと、を含む。
これに関連して、まず螺旋層を巻芯に巻回することができ、続いて、この螺旋層に円周層を巻回することができ、次に、この円周層に別の螺旋層を巻回することができ、続いて別の円周層をこの次の螺旋層に巻回することができるなど、シリンダジャケットの所望の厚さに達するまでこれらの層を交互にする。
一方、第2の繊維強化複合材を架橋することとは、第2の繊維強化複合材内で架橋することと、第2の繊維強化複合材を第1の本体の繊維強化複合材の最上層と架橋することとを意味するものである。これに関連して巻芯は、その上に巻回される回転体の形状を規定する基板を構成する。したがって、巻芯の形状によって、その上に巻回される回転体の内側の、後の形状が決定する。繊維および繊維層の架橋は、例えば、熱硬化性プラスチックなどの反応系の場合は硬化させることによって、熱可塑性系の場合は冷却することによって行われる。この方法によって、低い半径方向の引張応力しか示さず、ピッチに基づいて安価で非常に剛性の高い繊維に使用できる、高比エネルギー貯蔵容量を有するロータのための回転体を一体に製造することができる。
この方法の一実施形態では、螺旋層および円周層を巻芯の周囲に交互に巻回するステップは、螺旋層および/または1つの円周層が巻回された後に、好ましくは、1つの螺旋層および/または1つの円周層が巻回されるたびに、1つまたは複数の追加の予備架橋ステップを含む。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の図面に詳細に示される。
本発明に係る回転体の一実施形態を示し、(a)は開口シリンダベース面の上面図、(b)は回転軸に沿った横断面図である。 螺旋層および円周層が半径方向に交互に重なって配置された、シリンダジャケットの積層構造の一実施形態を示す。 回転軸に垂直な上面図であって、(a)円周層および(b)螺旋層における繊維レイアウトの一実施形態を示す。 本発明に係るロータの一実施形態を示す横断面図である。 本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットの一実施形態の概略図である。 本発明に係る回転体の製造のための、本発明に係る方法の一実施形態を示す。
図1は本発明に係る回転体1の一実施形態を示し、(a)は開口シリンダベース面12の上面図、(b)は回転軸Rに沿った横断面図である。この実施形態では、回転体1は、繊維強化複合材を使用して完全に巻回され、回転軸Rとしてのシリンダ軸と開口シリンダベース面12および13(破線で示す)とを有するシリンダジャケット11を備える。シリンダジャケット11は、回転軸Rに面する内側11iと、反対方向に向けられた外側11aとを備え、回転軸Rに平行な長さLMは、回転体1の外径ADの2倍を超えている。これに関連して、シリンダジャケット11の肉厚ZDは、外径ADの12.5%未満である。さらに、シリンダジャケット11の繊維強化複合材は、半径方向にRRに積層構造を有し、この積層構造は複数の螺旋層Hと複数の円周層FUとを有する。螺旋層Hは、回転軸Rに沿って延在する、回転軸Rに対して35°よりも小さい螺旋繊維角度FWHに沿った繊維配向を有する繊維FHから構成され、円周層FUはシリンダジャケットに対して、シリンダジャケット11の長さLMにわたって接線方向に配置される、回転軸Rに対して80°より大きい円周繊維角度FWUに沿った繊維配向を有する繊維Uから構成される。それによって螺旋層Hと円周層Uとが交互に重なって配置され、それによって全ての螺旋層Hが半径方向RRに見てシリンダジャケット11の内側3分の1に配置される(これに関連して、図2および図3も参照)。ここに示す回転体1は、例えば、長さLMが1300mm、外径ADが350mm、シリンダジャケット11の肉厚ZDが20mmである。したがって、このシリンダジャケット11の螺旋層Hは、シリンダジャケット11の内側11iから始まり、1/3×20mmの肉厚範囲内に配置される。回転体1のシリンダジャケット11の肉厚ZDが薄いため、後者は巻回構成要素として一体に製造することができ、これはより厚いシリンダジャケットでは不可能なことである。その結果、回転体1の製造がより簡単かつ迅速になる。
図2はシリンダジャケット11の積層構造の一実施形態を示し、螺旋層および円周層H1、U1、H2、U2、H3、U3、...、Hn、Unが互いに交互に重なって配置されている。ここで、シリンダジャケット11は完全に繊維強化複合材で形成される。図示された層の連続H1〜Unは概略的に示したものであるため、ここでは層の厚さは実際には縮尺通りには示されていない。個々の層(螺旋層または円周層)は、異なる層厚を有することができ、特に、円周層U1、U2、U3、...、Unは、螺旋層H1、H2、H3、...、Hnよりも大きな層厚を有することができる。個々の螺旋層H1、...、Hnにおいて、螺旋繊維角度FWH1、...、FWHnは15°〜30°の間である。これに関連して、種々の螺旋層H1、H2、H3、...、Hnにおける螺旋繊維角度FWH1、FWH2、FWH3、...、FWHnは異なっていてもよい。一実施形態では、付随する螺旋層H1,H2,H3,...Hnの回転軸Rからの距離が増加するのに伴って、螺旋繊維角度FWH1、FWH2、FWH3、...、FWHnは、1つの螺旋層から次の螺旋層の間で半径方向RRに増加することができる。これに関連して、好ましい一実施形態では、螺旋繊維角度FWH1、FWH2、FWH3、...、FWHnは半径方向RRにおいて23°から30°まで増加する。ここでは、全ての螺旋層H1、H2、H3、...、Hnが半径方向RRに見てシリンダジャケット11の内側3分の1に配置されている。このようにして、最上円周層Unは、肉厚ZDの66%以上を構成する層厚を有する。一実施形態では、示される積層構造は少なくとも5つの螺旋層H1...Hnを含む。ここで、全ての螺旋層厚さの和(全螺旋層厚さの合計)は、シリンダジャケット11の肉厚ZDの12.5%を超えないことが好ましい。好ましくは、半径方向RRにおいて、個々の螺旋層H1...Hnはシリンダジャケットの肉厚の4%未満である螺旋層厚さHDを有し、螺旋層厚さHDは0.5mm未満であることが好ましい。螺旋層および円周層の交互の連続H1、U1、H2、U2、H3、U3、...、Hn、Unによって、さらに、円周層U1、U2、U3、...、Unが全ての螺旋層H1、H2、H3、...、Hn上に巻回され、その結果、付随する巻回された螺旋層H1〜Hn内の領域から、螺旋層内の互いに交差する繊維間に存在し得る過剰な樹脂および気泡が、押し出され、これによって繊維強化複合材の材料結合の強度がさらに増加する。シリンダジャケット11の外層(外側11aに面する)は、円周層Unによって形成される。
図3は、回転軸Rに垂直な上面図であって、(a)円周層Uおよび(b)螺旋層Hにおける基本的な繊維レイアウトの一実施形態を示す。繊維強化複合材から形成される1つまたは複数の繊維層から構成される束は、ここでは繊維層(螺旋層Hまたは円周層U)と呼ばれる。この図は、所与の層の繊維FUおよびFHから構成される最上層を示すものであり、交差する螺旋繊維FHを示すために螺旋層Hの最上繊維層を不完全な繊維層として示している。回転軸Rと繊維層における巻回された繊維の配向(繊維方向)との中間(平均)繊維角度FWHおよびFWUは、螺旋繊維角度FWHおよび円周繊維角度FWUと呼ばれ、そのため繊維角度FWHおよびFWUに関しては、巻回方向(前後または左右)は区別されない。したがって、例えばここに示す螺旋層Hを横断する繊維は、同じ繊維角度FWH(同じ数値)を有する。これに関連して、本発明に係る回転体1の螺旋繊維角度FWHは35°より小さく、円周繊維角度FWUは80°より大きい。実施形態に応じて、螺旋繊維角度FWHは15°〜30°の間とすることができ、種々の螺旋層Hにおける螺旋繊維角度FWHは異なってもよい。これに関連して、回転軸Rからの距離が増加するのに伴って、螺旋繊維角度FWHは、1つの螺旋層から次の螺旋層の間で半径方向RRに増加することができる。ここで螺旋繊維角度FWHは、半径方向RRにおいて、例えば23°から30°まで増加することができる。ここで、個々の螺旋層厚さHDは、少なくとも、互いに交差するように配置された2つの螺旋繊維層の厚さに相当する(図3(b)を参照)。
図4は、本発明に係る内部が中空の回転体1を備えた、本発明に係るロータ2の一実施形態を示す横断面図である。このロータ2は、シリンダジャケット11に捩じりモーメントを伝達するために、回転体1のシリンダジャケット11の内側11iに適切に接合された2つのハブ21および22を備え、それによって、ハブ21および22はそれぞれシャフト23(ここでは破線で示す)またはジャーナル24を介して軸受25に適切に取り付けられ、ジャーナル24またはシャフト23の少なくとも1つは、モータ26によって適切に駆動することができる。ハブ21および22は同様に繊維強化複合材から形成することができ、その特徴として、機械的に十分な応力への耐性を有することによって、回転体1に作用する遠心力に起因する50,000rpmを超える非常に速い速度での半径方向および接線方向の荷重に確実に耐えることができ、さらに回転体1によって作用する重量負荷を支持することができ、これらの回転速度で、回転体1とハブ21および22との間、またはハブ21および22とジャーナル24(またはシャフト23)との間の接続箇所に作用する押圧力に耐えることができる。それにもかかわらず、ハブは接線方向の寸法安定性によって、駆動ユニット(ここではモータ26)と回転体1との間のトルクの効果的な伝達を保証することができる。その材料およびその幾何学的形状のために、ハブ21および22は半径方向の歪み性をも有しており、この歪み性は、特に非常に高い回転速度における回転体1の歪みに追従できるように適切に調整され得る。このようにして、非常に高い回転速度において、ハブ21および22の損傷、ならびに回転体1の湾曲またはハブ21および22からの離脱の原因となる可能性がある、回転体1とハブ21および22との間の臨界引張応力が回避される。炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber−Reinforced Plastic:CFRP)ラミネートを使用することにより、ハブ21および22はさらに、ロータ2がフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにおいてクラッシュする場合の好ましいクラッシュ挙動をもたらすことにもなる。さらに、従来のハブおよび対応するロータと比較して、ハブ21および22の重量、ひいてはロータ1の重量を低減することができ、これによって、ロータ1を軸受に簡単に取り付けることができる。ハブ21および22は、例えば繊維材料をマトリクスシステムと組み合わせて一体に形成することができる。ここで、マトリックス材が繊維の編組を完全に取り囲むことによって、この編組の繊維は2つの異なる配向で互いに交差する。これに関連して、この編組は、異なるレベルの締まり具合で製造することができる。ハブ21および22の製造には、高い繊維体積分率が望ましい。 本発明に係るロータは、例えば1300mmの長さ、350mmの外径、および20mmの(シリンダジャケットの)肉厚を有する。このようなロータ1の重量は約40kgである。ここでハブ21および22は、回転体1の内径に適合する外径を有する。一実施形態では、ハブ21および22は、開口シリンダベース面12および13からハブ21および22が突出しないように円筒状回転体1内に配置される。その結果、軸受24はシリンダジャケット11の内側に位置し、ロータ1がクラッシュした場合に直接影響を受けることはない。
図5は、本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵ユニット3の一実施形態の概略図を示し、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット3は、機械ハウジング31(例えば、図4参照)によってそれぞれ囲まれた、本発明に係る複数(この実施形態では4つ)のロータ2を有し、それによって、電気エネルギーを貯蔵SAするためにフライホイール式エネルギー貯蔵ユニット3の(図4のモータユニット26の代わりに)モータ・ジェネレータ・ユニット32によってロータ2を加速することができ、電気エネルギーを放出SAするために制動することができる。
図6は、本発明に係る回転体1の製造のための、本発明に係る方法の一実施形態を示し、この回転体1は、シリンダジャケット11と、回転軸Rとしてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面12および13と、(図1に示すような)回転体1の所与の外径ADの2倍を超える、回転軸に平行な長さLWとを有する。この方法は、回転体1を製造するために、少なくとも部分的に繊維強化複合材を使用して適切な付随の巻芯4を設けるステップと、適切な巻回方法を使用して、シリンダジャケット11の外径ADの12.5%未満に達するシリンダジャケット11の所望の厚さZDが達成されるまで、回転軸Rに対して35°よりも小さい螺旋繊維角度FWHに沿った繊維配向の繊維FHから構成される螺旋層Hと、回転軸Rに対して80°よりも大きい円周方向繊維角度FWUに沿った繊維配向の繊維FUから構成される円周層Uとを巻芯4の周りに交互に巻回UWすることで、全ての螺旋層Hを半径方向RRに見てシリンダジャケット11の内側1/3に配置するステップと、回転体1の繊維強化複合材を架橋Vさせ、巻回および架橋された回転体1から巻芯4を除去Eするステップと、を含む。さらに一実施形態では、螺旋層Hおよび円周層Uが巻芯4の周りに交互に巻回されているが、この方法はまた、巻芯4が1つの螺旋層Hおよび/または1つの円周層Uによって巻回Uされた後に、予備架橋ステップVVを含む。
本明細書に示された実施形態は、本発明の単なる例を構成するものであり、したがって、限定的なものであると解釈されるべきではない。当業者によって考慮された代替の実施形態も同様に本発明の保護範囲に包含される。
1 回転体
11 シリンダジャケット
11i シリンダジャケットの内側
11a シリンダジャケットの外側
12,13 開口シリンダベース面
2 ロータ
21,22 ハブ
23 シャフト
24 ジャーナル
25 軸受
26 モータユニット
3 フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット
31 機械ハウジング
32 モータ・ジェネレータ・ユニット
4 巻芯
AD シリンダジャケットの外径
E 巻芯の除去
FH 螺旋層の繊維
FU 円周層の繊維
FS1,2 螺旋層または円周層の繊維層
FWH 螺旋層における繊維の繊維角度(螺旋繊維角度)
FWH1 第1の螺旋層の第1の螺旋繊維角度
FWH2 第2の螺旋層の第2の螺旋繊維角度
FWH3 第3の螺旋層の第3の螺旋繊維角度
FWHn 第nの螺旋層の第nの螺旋繊維角度
FWU 円周層における繊維の繊維角度(円周繊維角度)
H 螺旋層
H1 第1の螺旋層
H2 第2の螺旋層
H3 第3の螺旋層
Hn 第nの螺旋層
HD 螺旋層厚さ
LM 回転軸(シリンダ軸)に平行なシリンダジャケットの長さ
LW 巻芯の長さ
R 回転軸
RR 回転体の半径方向(回転軸に垂直)
SA エネルギーの貯蔵または放出
U 円周層
U1 第1の円周層
U2 第2の円周層
U3 第3の円周層
Un 第nの円周層
UW 巻芯の周り、またはそこに存在する螺旋層または円周層周りの巻回
V 繊維強化複合材の架橋
VV 各螺旋層および円周層の製造後の予備架橋ステップ
ZD シリンダジャケットの肉厚(回転軸に垂直)
本発明は、回転体、ロータ、およびそのような回転体を有するフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットに関し、さらにそのような回転体を製造する方法に関する。
フライホイールは、エネルギーを回転エネルギーの形態で貯蔵するために使用される。適切な連結手段(モータ・ジェネレータ・ユニット)を使用して、これらのエネルギー貯蔵ユニットに電気エネルギーを回転エネルギーの形態で貯蔵することができ、必要に応じて、このエネルギーを電気エネルギーに戻して消費者に伝達することができる。大部分において、そのようなフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、回転速度および質量に依存して一定量のエネルギーを貯蔵する大規模なロータを有する。このようなエネルギー貯蔵ユニットの貯蔵容量は、その質量および最大回転速度によって制限される。これに関連して、ロータは通常、適切な接続手段によって、ロータを保持する軸受シャフトに接続される。軸受シャフトは、回転できるように適切な軸受に取り付けられる。ここで、軸受要素および駆動要素はロータの回転軸上に配置されることが好ましい。これに関連して接続手段は、外部フライホイール本体(回転体)と走行車軸(シャフト)との間の接続および取付けをもたらす機能を有し、さらに、駆動軸からフライホイール本体(回転体)に、その逆もまた同様に、捩じりモーメントを確実に伝達する機能を有する。信頼性があり問題のないロータの動作を実現するために、回転体は、高品質の製造、ならびに曲げ荷重下における高強度および優れた剛性を示さなければならない。
これまで、回転体を備えたロータは一般に、非常に厚肉のディスク状の構成要素として構成されてきた。回転体の肉厚は直径の大きさと同程度であるが、回転軸に沿った長さは、直径よりも小さいかまたは同様である。これに関連して、回転体の材料として炭素繊維強化プラスチック(いわゆるCFRP材料)が使用される場合、フライホイールディスクは通常、事実上周方向に配向された繊維から構成される。
エネルギー貯蔵容量が質量の回転速度に二次的な依存性を示すことから、この概念はいくつかの欠点を伴う。比較的大きく内側(回転軸の近く)に向かって位置する繊維は、回転速度が大幅に低いため、エネルギーをほとんど貯蔵することができない。さらに、この構造によって、ロータに損傷を与え得る大きな引張応力が半径方向に生じる。これは、複数のサブリングを製造し、それらを一緒にプレス加工して回転体を形成するなどの複雑な設計の手段によってのみ避けることができる。さらに、その壁の厚さが原因で、生産が非常に困難となり手間がかかるため、例えば繊維のねじれ、繊維の体積含有率、うねり、および剥離を伴った問題が常に生じることになる。
今日では、特に従来のエネルギー発生システムよりも環境親和性がより高いという観点から、回生エネルギー源への移行が広がっている。概してこのような回生エネルギー源は、連続的にエネルギーを供給しないため、エネルギー貯蔵ユニットが非常に必要となっている。このため、このようなフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー含量を更に高めることが望ましく、その製造コストを下げることが望ましい。
本発明の目的は、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのための適切で安価で信頼性の高いロータを提供することであり、それによってフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、大きなエネルギー含量を有しながら、その製造および操作を簡単に、安価に、かつ確実に実施することができる。
この目的を達成するために、内部が中空の円筒状回転体は、繊維強化複合材を用いて少なくとも部分的に巻回されたシリンダジャケットを有し、さらにシリンダ軸を回転軸として有し、開口シリンダベース面を有する。それによってシリンダジャケットは、その内側が回転軸に面し外側が反対方向に向いた状態で、回転体の外径の2倍を超える、回転軸に平行な長さを有し、外径の15%未満または50mm未満の肉厚を有する。それによって、シリンダジャケットの繊維強化複合材は半径方向に積層構造を有し、この積層構造は、繊維の複数の螺旋層と複数の円周層とを含む。螺旋層の繊維は回転軸に沿って延在し、螺旋繊維角度に沿った配向は回転軸に対して35°よりも小さく、円周層はシリンダジャケットに対して、シリンダジャケットの長さにわたって接線方向に配置され、円周繊維角度に沿った配向が回転軸に対して80°より大きい繊維によって構成される。それによって、螺旋層と円周層とが交互に互いに重なって配置され、全ての螺旋層は半径方向に見てシリンダジャケットの内側3分の1に配置されている。
これに関連して、回転体のエネルギー含量は、質量および回転速度によって決定される。ここで、速度はエネルギー含量において二次的な値となる。これらのロータでは総質量が事実上同じ半径で回転し(平均半径±肉厚の半分であり、最終的に薄く保たれる)、したがって、全ての繊維がエネルギー貯蔵に等しく寄与するため、肉厚が薄いシリンダジャケットを有する円筒状回転体が有益である。このため、円盤状の厚肉のロータを使用する従来の設計とは対照的に、繊維利用の観点から、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにおける回転体の効率は特に高い。回転体の所与の半径でエネルギー含量を最大にするために、回転体はできるだけ長く(回転軸に平行なシリンダ高さが長く)なるように製造される。本発明に係る回転体は例えば、長さ1300mm、外径350mm、シリンダジャケットの肉厚20mmである。このような回転体の重量は約40kgである。回転体のシリンダジャケットの肉厚が薄いため、巻回部分として一体に製造することができ、これはより厚いシリンダジャケットでは不可能なことである。その結果、回転体の製造がより簡単かつ迅速になる。このような肉厚の薄い回転体を回転可能にするためには、長いロータチューブの第1の曲げ固有振動が、動作中のロータの回転速度に対応する回転数よりも十分に高くなるように、曲げ荷重下での剛性を、従来技術の設計の回転体よりも大幅に増加させなければならない。これは、本発明に係る繊維強化複合材の積層構造によって実現される。
繊維強化複合材は、一般に2つの主成分から構成され、この場合では、繊維の間に強固な結合を形成するマトリックス材に埋め込まれた繊維から構成される。これに関連して繊維強化複合材は、繊維束から、または同じ種類もしくは異なる種類の複数の繊維から巻回することができ、それによって繊維を互いにしっかりと隣り合わせに接触させて巻回することができる。こうすることで、繊維強化複合材が所望の厚さを得るまで繊維が追加の繊維層に巻回された、繊維層が形成される。繊維強化複合材から形成される1つまたは複数の繊維層から構成される束は、繊維積層構造(螺旋層または円周層)と呼ばれる。これに関連して、使用用途に応じて、繊維強化複合材は様々な数の繊維層(螺旋層に加えて円周層)を含むことができ、そのため種々の繊維層は、例えば、それらの付随する繊維角度の点で異なる。「繊維角度」(螺旋繊維角度、円周繊維角度)という用語は、ここでは、回転軸と繊維層における巻回された繊維の配向(繊維方向)との中間(平均)角度を意味し、そのため繊維角度に関しては、巻回方向(前後または左右)は区別されない。したがって、例えば螺旋層を横切る繊維は、同じ繊維角度(同じ数値)を有する。繊維強化複合材は結合することでより高品質の特性を得ることができ、例えばその強度は、関係する2つの個々の成分のそれぞれが供給できる強度よりも高い。炭素繊維、特に応力が高い、すなわち非常に剛性が高い炭素繊維を、繊維として使用することができる。例えば、熱硬化型プラスチックまたは熱可塑性プラスチックをマトリックス材として使用することができる。繊維およびマトリックス材の材料特性は当業者に知られたものであり、そのため当業者は、所与の用途に対して繊維強化複合材を製造するための、繊維およびマトリックス材の適切な組み合わせを選択することができる。これに関連して、繊維結合面積における繊維層は、1つまたは複数の同一または異なる繊維を含むことができる。ここでの回転体は、完全にまたは繊維結合面積のみ、繊維強化複合材で形成することができる。螺旋層の繊維強化複合材および円周層の繊維強化複合材は、同じ繊維および同じマトリックス材を含むことができ、あるいは、付随の繊維および/または付随のマトリックス材の選択に関して異なっていてもよい。「繊維結合面積」という用語は、少なくとも大部分が繊維強化複合材のみから構成される回転体の面積または体積を意味する。一実施形態では、回転体は完全に繊維強化複合材から形成される。このような回転体は軽量で最も高い強度値を示す。繊維強化複合材の積層構造とは、半径方向に見て、螺旋層および円周層が互いに重なって連続して巻回されているもの指す。この場合の半径方向とは、シリンダジャケットの内側から外側への、回転軸に垂直な方向である。螺旋層および円周層を交互に連続させることによって、さらに円周層が全ての螺旋層の上に巻回され、その結果、巻回された螺旋層内の領域から、螺旋層内の交差する繊維間に存在し得る過剰な樹脂および気泡が押し出され、これによって繊維強化複合材の材料結合の強度がさらに増加する。そして、シリンダジャケットの外層(外側に面する)は円周層によって形成される。
繊維特性および繊維角度によって、螺旋層は、曲げ荷重下での回転体に高い剛性を付与する。螺旋層が少数の場合であっても、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットに使用するのに十分な曲げ強度が実現される。繊維角度が35°よりも小さい螺旋層には、非常に剛性の高い炭素繊維、多くの場合はピッチ繊維が使用される。繊維角度が回転軸に対して80°より大きい円周層の場合には、例えば、強度または高強度の炭素繊維が使用される。円周層は、回転体に半径方向の強度を付与し、回転中の回転体に起こり得る最小限の膨張を保証し、それ自体だけでは支持することができない螺旋層を支持する役割を果たす。回転負荷によって、円周層内に半径方向の引張応力が生じる。これらの応力は繊維方向に対して垂直に作用するため、容易に材料を損傷する可能性がある。螺旋層が円周層によって支持されていないと、螺旋層は所与の回転負荷の下ではるかに強く変形することになる。したがって、螺旋層は後続の外側の円周層によって支持され、そこで半径方向の圧縮応力を発生させる。このようにして、適切な構成では、半径方向の引張応力を完全にまたは少なくとも部分的に補償することができる。螺旋層と円周層とを交互に配置することは、この引張応力の補償のために特に有利である。しかし、そのような支持は、円周層における接線応力を増加させることにもなる。このため、曲げ荷重下で必要な剛性のために絶対的に必要な数だけの螺旋層を正確に使用することが有利である。
螺旋層内、および螺旋層と円周層との間においては、回転負荷中に材料に損傷を与え得る剪断応力も生じる。これらの引張応力は、より外側に向かう螺旋層でより大きくなることから、この態様に関して、螺旋層がより内側に向かうことが有利となる。これに対し、より外側に向かう螺旋層は、曲げ荷重下での剛性における所望の増加への寄与が大きくなる。その結果、より外側の螺旋層が有利になる。適切な積層構造の構築は、場合によっては、相反する態様においてこれらの全てを考慮に入れなければならない。適切で最適な積層構造は、例えば、有限要素プログラムおよび最適化アルゴリズムによって計算することができる。
全ての螺旋層は半径方向に見てシリンダジャケットの内側3分の1に配置されているため、シリンダジャケットのこの構造(積層構造)によって、種々の層の間の移行箇所における螺旋層と円周層との間に生じる剪断応力が最小となるため、引張応力は同様に、より内側に向かう螺旋層の影響を好適に受ける。
したがって、特許請求の範囲に記載の積層構造により、肉厚が薄く非常に長い、それでいて曲げ荷重下で十分な剛性を示す回転体を製造できるため、安定して確実に回転体が動作できる速度である50,000rpmでの適用が可能になる。これに関連して、シリンダジャケットの内側は好ましくは螺旋層によって形成される。薄肉の設計において繊維への荷重を均一にすることで、繊維強化複合材の消費を大幅に削減できるため、本発明に係る回転体は、従来の設計よりも大幅に安価に構築することができ、それによって、エネルギー貯蔵の観点から、その構造的長さによって本発明に係る回転体の費用対効果を得ることができる。本発明に係る回転体では、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット用のロータのための適切で安価で信頼性の高い構成要素が提案されており、それによって、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー含量を高くしながら、容易に、安価に、かつ確実に貯蔵および動作を行うことができる。
一実施形態では、螺旋繊維角度は15°〜30°である。この範囲内の繊維角度では、螺旋層は回転体に曲げ荷重下で最大の剛性値を付与する。別の実施形態では、種々の螺旋層の螺旋繊維角度が異なってもよい。
一実施形態では、回転軸からの距離が増加するに伴って、螺旋繊維角度が1つの螺旋層から次の螺旋層の間で半径方向に増加する。その結果、半径方向の引張応力の補償が最大化される。これに関連して、この目的のために、螺旋繊維角度は、好ましくは、最も内側の螺旋層の23°から最も外側の螺旋層の30°まで半径方向に増加する。
一実施形態では、非常に安定したシリンダジャケットを提供するために、繊維強化複合材の積層構造は少なくとも5つの螺旋層を含む。一定数の円周層が、これら螺旋層の上に巻回されている。一実施形態では、全ての螺旋層の総厚はシリンダジャケットの肉厚の12.5%を超えない。ここで、全ての螺旋層は、シリンダジャケットの肉厚または壁部分の内側3分の1に位置する。それぞれ対応する円周層が巻回された複数の螺旋層によって、例えば円周層が巻回された螺旋層から構成される束、または例えば全半径にわたって均等に分布した螺旋層と比較して、相応のより大きな層架橋を有する複数の層移行が得られるため、シリンダジャケットのこの構造(積層構造)によって、種々の層の間の移行箇所における螺旋層と円周層との間に生じる剪断応力が最小となる。
別の実施形態では、個々の螺旋層の半径方向の螺旋層厚さは、シリンダジャケットの肉厚の4%未満である。例えば、螺旋層厚さは0.5mm未満である。
そのような薄い螺旋層は既に、曲げ荷重下での剛性を改善するのに十分である。螺旋層を薄くすることで、必要な材料の量がさらに削減されるため、必要な生産作業が減少する。このため、好ましい実施形態では、螺旋層厚さは、互いに交差するように重なって配置された2つの螺旋状繊維層の厚さにしかならない。このような螺旋層は、回転体において可能な限り薄い繊維層である。
好ましい実施形態では、シリンダジャケットは完全に繊維強化複合材で形成される。このようにして、回転体は簡単な巻回工程によって完全に一体に製造でき、それでいて本発明に係る積層構造のおかげで、曲げ荷重下での有利な剛性および強度値を示し、さらにシリンダジャケットにおける半径方向の引張応力が低くなる。このような回転体では、螺旋層および円周層は、実質的に回転体の全体にわたって回転軸に沿って延在しているが、「実質的に」という用語は、回転体の端部に存在し得る面取りされた任意の切断縁を意味するものであり、これは回転体およびその上に延在する積層構造体の全長に関して無視できる程度である。
本発明はまた、本発明に係る内部が中空の円筒状回転体を備えたロータに関する。ここで、このロータは、シリンダジャケットに捩じりモーメントを伝達するために、回転体のシリンダジャケットの内側に適切に接合された1つまたは複数のハブを備えることができ、それによって、各ハブはシャフトまたはジャーナルを介して軸受に適切に取り付けられ、シャフトまたはジャーナルの少なくとも1つはモータによって適切に駆動することができる。
概して、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニットの回転体は、2つ以上のハブを介してフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットの軸受要素と駆動要素とに接続される。これに関連して、ハブは、一方では回転体と軸受要素および駆動要素との接続および取付けを達成しなければならず、一方では駆動軸から回転体への、また同様にその逆への、捩じりモーメントの伝達を保証しなければならない。この目的のために、ハブは同様に繊維強化複合材から形成され、その特徴として、機械的に十分な応力への耐性を有することによって、回転体に作用する遠心力に起因する50,000rpmを超える非常に速い速度での半径方向および接線方向の荷重に確実に耐えることができ、さらに回転体によって作用する重量負荷を支持することができ、これらの回転速度で、回転体とハブとの間、またはハブとジャーナルとの間の接続箇所に作用する押圧力に耐えることができる。それにもかかわらず、ハブは接線方向の寸法安定性によって、駆動ユニットと回転体との間のトルクの効果的な伝達を保証することができる。その材料およびその幾何学的形状のために、ハブは半径方向の歪み性をも有しており、この歪み性は、特に非常に高い回転速度における回転体の歪みに追従するように適切に調整され得る。このようにして、非常に高い回転速度において、ハブの損傷、または回転体の湾曲もしくはハブからの離脱の原因となる可能性がある、回転体とハブとの間の臨界引張応力が回避される。炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber−Reinforced Plastic:CFRP)ラミネートを使用することにより、ハブはさらに、ロータがフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにおいてクラッシュする場合の好ましいクラッシュ挙動をもたらすことにもなる。さらに、従来のハブおよび対応するロータと比較して、ハブの重量、ひいてはロータの重量を低減することができ、これによって、ロータを軸受に簡単に取り付けることができる。ハブは、例えば繊維材料をマトリクスシステムと組み合わせて一体に形成することができる。ここで、マトリックス材が繊維の編組を完全に取り囲むことによって、この編組の繊維は2つの異なる配向で互いに交差する。これに関連して、この編組は、異なるレベルの締まり具合で製造することができる。ハブの製造には、高い繊維体積分率が望ましい。
本発明に係るロータは、例えば1300mmの長さ、350mmの外径、および20mmの(シリンダジャケットの)肉厚を有する。このようなロータの重量は約40kgである。ハブは、回転体の内径に適合する外径を有する。
一実施形態では、ハブは、開口シリンダベース面からハブが突出しないように円筒状回転体内に配置される。その結果、軸受はシリンダジャケットの内側に位置し、ロータがクラッシュした場合に直接影響を受けることはない。
本発明はまた、機械ハウジングによってそれぞれ囲まれた1つまたは複数の本発明に係るロータを有するフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにも関し、それによって、電気エネルギーを貯蔵するためにフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットのモータ・ジェネレータ・ユニットによりロータを加速することができ、電気エネルギーを放出するために制動することができる。本発明に係る回転体を有する本発明に係るロータのおかげで、このようなフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、上述の理由により特に高いエネルギー貯蔵容量を示す。これまで、現在の運動エネルギー貯蔵ユニットは、高価な繊維強化複合材を多量に使用しなければならないために、製造コストが非常に高かった。より内側にある材料は、より外側にある材料よりも大幅に低い速度で回転するため、大規模なディスク形状のその厚さが原因で、繊維強化複合材はエネルギー貯蔵のために効率的に使用されなかった。本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットは、薄壁構造とすることで大幅な材料資源の必要性を回避し、それによって、必要な回転質量を提供するためにこのロータを非常に長く設計できるので、ロータを効率的に作動させることができる。
本発明はまた、本発明に係る内部が中空の円筒状回転体1を製造する方法にも関し、この回転体1は、シリンダジャケットと、回転軸としてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面とを有し、回転軸に平行な長さが回転体の所与の外径の2倍を超える。この方法は、
(a)回転体を製造するために適切な付随の巻芯を設け、それによって、繊維強化複合材を用いてシリンダジャケットを少なくとも部分的に巻回するステップと、
(b)適切な巻回方法を使用して、シリンダジャケットの外径の15%未満または50mm未満に達するシリンダジャケットの所望の厚さが達成されるまで、回転軸に対して35°よりも小さい螺旋繊維角度に沿った配向の繊維から構成される螺旋層と、回転軸に対して80°よりも大きい円周繊維角度に沿った配向の繊維から構成される円周層とを巻芯の周りに交互に巻回することで、全ての螺旋層を半径方向に見てシリンダジャケットの内側3分の1に配置するステップと、
(c)回転体の繊維強化複合材を架橋させ、巻回および架橋された回転体から巻芯を除去するステップと、を含む。
これに関連して、まず螺旋層を巻芯に巻回することができ、続いて、この螺旋層に円周層を巻回することができ、次に、この円周層に別の螺旋層を巻回することができ、続いて別の円周層をこの次の螺旋層に巻回することができるなど、シリンダジャケットの所望の厚さに達するまでこれらの層を交互にする。
一方、第2の繊維強化複合材を架橋することとは、第2の繊維強化複合材内で架橋することと、第2の繊維強化複合材を第1の本体の繊維強化複合材の最上層と架橋することとを意味するものである。これに関連して巻芯は、その上に巻回される回転体の形状を規定する基板を構成する。したがって、巻芯の形状によって、その上に巻回される回転体の内側の、後の形状が決定する。繊維および繊維層の架橋は、例えば、熱硬化性プラスチックなどの反応系の場合は硬化させることによって、熱可塑性系の場合は冷却することによって行われる。この方法によって、低い半径方向の引張応力しか示さず、ピッチに基づいて安価で非常に剛性の高い繊維に使用できる、高比エネルギー貯蔵容量を有するロータのための回転体を一体に製造することができる。
この方法の一実施形態では、螺旋層および円周層を巻芯の周囲に交互に巻回するステップは、螺旋層および/または1つの円周層が巻回された後に、好ましくは、1つの螺旋層および/または1つの円周層が巻回されるたびに、1つまたは複数の追加の予備架橋ステップを含む。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の図面に詳細に示される。
本発明に係る回転体の一実施形態を示し、(a)は開口シリンダベース面の 上面図、(b)は回転軸に沿った横断面図である。 螺旋層および円周層が半径方向に交互に重なって配置された、シリンダジャ ケットの積層構造の一実施形態を示す。 回転軸に垂直な上面図であって、(a)円周層および(b)螺旋層における 繊維レイアウトの一実施形態を示す。 本発明に係るロータの一実施形態を示す横断面図である。 本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットの一実施形態の概略 図である。 本発明に係る回転体の製造のための、本発明に係る方法の一実施形態を示す 。
図1は本発明に係る回転体1の一実施形態を示し、(a)は開口シリンダベース面12の上面図、(b)は回転軸Rに沿った横断面図である。この実施形態では、回転体1は、繊維強化複合材を使用して完全に巻回され、回転軸Rとしてのシリンダ軸と開口シリンダベース面12および13(破線で示す)とを有するシリンダジャケット11を備える。シリンダジャケット11は、回転軸Rに面する内側11iと、反対方向に向けられた外側11aとを備え、回転軸Rに平行な長さLMは、回転体1の外径ADの2倍を超えている。これに関連して、シリンダジャケット11の肉厚ZDは、外径ADの12.5%未満である。さらに、シリンダジャケット11の繊維強化複合材は、半径方向にRRに積層構造を有し、この積層構造は複数の螺旋層Hと複数の円周層とを有する。螺旋層Hは、回転軸Rに沿って延在する、回転軸Rに対して35°よりも小さい螺旋繊維角度FWHに沿った繊維配向を有する繊維FHから構成され、円周層はシリンダジャケットに対して、シリンダジャケット11の長さLMにわたって接線方向に配置される、回転軸Rに対して80°より大きい円周繊維角度FWUに沿った繊維配向を有する繊維FUから構成される。それによって螺旋層Hと円周層Uとが交互に重なって配置され、それによって全ての螺旋層Hが半径方向RRに見てシリンダジャケット11の内側3分の1に配置される(これに関連して、図2および図3も参照)。ここに示す回転体1は、例えば、長さLMが1300mm、外径ADが350mm、シリンダジャケット11の肉厚ZDが20mmである。したがって、このシリンダジャケット11の螺旋層Hは、シリンダジャケット11の内側11iから始まり、1/3×20mmの肉厚範囲内に配置される。回転体1のシリンダジャケット11の肉厚ZDが薄いため、後者は巻回構成要素として一体に製造することができ、これはより厚いシリンダジャケットでは不可能なことである。その結果、回転体1の製造がより簡単かつ迅速になる。
図2はシリンダジャケット11の積層構造の一実施形態を示し、螺旋層および円周層H1、U1、H2、U2、H3、U3、...、Hn、Unが互いに交互に重なって配置されている。ここで、シリンダジャケット11は完全に繊維強化複合材で形成される。図示された層の連続H1〜Unは概略的に示したものであるため、ここでは層の厚さは実際には縮尺通りには示されていない。個々の層(螺旋層または円周層)は、異なる層厚を有することができ、特に、円周層U1、U2、U3、...、Unは、螺旋層H1、H2、H3、...、Hnよりも大きな層厚を有することができる。個々の螺旋層H1、...、Hnにおいて、螺旋繊維角度FWH1、...、FWHnは15°〜30°の間である。これに関連して、種々の螺旋層H1、H2、H3、...、Hnにおける螺旋繊維角度FWH1、FWH2、FWH3、...、FWHnは異なっていてもよい。一実施形態では、付随する螺旋層H1,H2,H3,...Hnの回転軸Rからの距離が増加するのに伴って、螺旋繊維角度FWH1、FWH2、FWH3、...、FWHnは、1つの螺旋層から次の螺旋層の間で半径方向RRに増加することができる。これに関連して、好ましい一実施形態では、螺旋繊維角度FWH1、FWH2、FWH3、...、FWHnは半径方向RRにおいて23°から30°まで増加する。ここでは、全ての螺旋層H1、H2、H3、...、Hnが半径方向RRに見てシリンダジャケット11の内側3分の1に配置されている。このようにして、最上円周層Unは、肉厚ZDの66%以上を構成する層厚を有する。一実施形態では、示される積層構造は少なくとも5つの螺旋層H1...Hnを含む。ここで、全ての螺旋層厚さの和(全螺旋層厚さの合計)は、シリンダジャケット11の肉厚ZDの12.5%を超えないことが好ましい。好ましくは、半径方向RRにおいて、個々の螺旋層H1...Hnはシリンダジャケットの肉厚の4%未満である螺旋層厚さHDを有し、螺旋層厚さHDは0.5mm未満であることが好ましい。螺旋層および円周層の交互の連続H1、U1、H2、U2、H3、U3、...、Hn、Unによって、さらに、円周層U1、U2、U3、...、Unが全ての螺旋層H1、H2、H3、...、Hn上に巻回され、その結果、付随する巻回された螺旋層H1〜Hn内の領域から、螺旋層内の互いに交差する繊維間に存在し得る過剰な樹脂および気泡が、押し出され、これによって繊維強化複合材の材料結合の強度がさらに増加する。シリンダジャケット11の外層(外側11aに面する)は、円周層Unによって形成される。
図3は、回転軸Rに垂直な上面図であって、(a)円周層Uおよび(b)螺旋層Hにおける基本的な繊維レイアウトの一実施形態を示す。繊維強化複合材から形成される1つまたは複数の繊維層から構成される束は、ここでは繊維層(螺旋層Hまたは円周層U)と呼ばれる。この図は、所与の層の繊維FUおよびFHから構成される最上層を示すものであり、交差する螺旋繊維FHを示すために螺旋層Hの最上繊維層を不完全な繊維層として示している。回転軸Rと繊維層における巻回された繊維の配向(繊維方向)との中間(平均)繊維角度FWHおよびFWUは、螺旋繊維角度FWHおよび円周繊維角度FWUと呼ばれ、そのため繊維角度FWHおよびFWUに関しては、巻回方向(前後または左右)は区別されない。したがって、例えばここに示す螺旋層Hを横断する繊維は、同じ繊維角度FWH(同じ数値)を有する。これに関連して、本発明に係る回転体1の螺旋繊維角度FWHは35°より小さく、円周繊維角度FWUは80°より大きい。実施形態に応じて、螺旋繊維角度FWHは15°〜30°の間とすることができ、種々の螺旋層Hにおける螺旋繊維角度FWHは異なってもよい。これに関連して、回転軸Rからの距離が増加するのに伴って、螺旋繊維角度FWHは、1つの螺旋層から次の螺旋層の間で半径方向RRに増加することができる。ここで螺旋繊維角度FWHは、半径方向RRにおいて、例えば23°から30°まで増加することができる。ここで、個々の螺旋層厚さHDは、少なくとも、互いに交差するように配置された2つの螺旋繊維層の厚さに相当する(図3(b)を参照)。
図4は、本発明に係る内部が中空の回転体1を備えた、本発明に係るロータ2の一実施形態を示す横断面図である。このロータ2は、シリンダジャケット11に捩じりモーメントを伝達するために、回転体1のシリンダジャケット11の内側11iに適切に接合された2つのハブ21および22を備え、それによって、ハブ21および22はそれぞれシャフト23(ここでは破線で示す)またはジャーナル24を介して軸受25に適切に取り付けられ、ジャーナル24またはシャフト23の少なくとも1つは、モータ26によって適切に駆動することができる。ハブ21および22は同様に繊維強化複合材から形成することができ、その特徴として、機械的に十分な応力への耐性を有することによって、回転体1に作用する遠心力に起因する50,000rpmを超える非常に速い速度での半径方向および接線方向の荷重に確実に耐えることができ、さらに回転体1によって作用する重量負荷を支持することができ、これらの回転速度で、回転体1とハブ21および22との間、またはハブ21および22とジャーナル24(またはシャフト23)との間の接続箇所に作用する押圧力に耐えることができる。それにもかかわらず、ハブは接線方向の寸法安定性によって、駆動ユニット(ここではモータ26)と回転体1との間のトルクの効果的な伝達を保証することができる。その材料およびその幾何学的形状のために、ハブ21および22は半径方向の歪み性をも有しており、この歪み性は、特に非常に高い回転速度における回転体1の歪みに追従できるように適切に調整され得る。このようにして、非常に高い回転速度において、ハブ21および22の損傷、ならびに回転体1の湾曲またはハブ21および22からの離脱の原因となる可能性がある、回転体1とハブ21および22との間の臨界引張応力が回避される。炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber−Reinforced Plastic:CFRP)ラミネートを使用することにより、ハブ21および22はさらに、ロータ2がフライホイール式エネルギー貯蔵ユニットにおいてクラッシュする場合の好ましいクラッシュ挙動をもたらすことにもなる。さらに、従来のハブおよび対応するロータと比較して、ハブ21および22の重量、ひいてはロータの重量を低減することができ、これによって、ロータを軸受に簡単に取り付けることができる。ハブ21および22は、例えば繊維材料をマトリクスシステムと組み合わせて一体に形成することができる。ここで、マトリックス材が繊維の編組を完全に取り囲むことによって、この編組の繊維は2つの異なる配向で互いに交差する。これに関連して、この編組は、異なるレベルの締まり具合で製造することができる。ハブ21および22の製造には、高い繊維体積分率が望ましい。 本発明に係るロータは、例えば1300mmの長さ、350mmの外径、および20mmの(シリンダジャケットの)肉厚を有する。このようなロータの重量は約40kgである。ここでハブ21および22は、回転体1の内径に適合する外径を有する。一実施形態では、ハブ21および22は、開口シリンダベース面12および13からハブ21および22が突出しないように円筒状回転体1内に配置される。その結果、軸受25はシリンダジャケット11の内側に位置し、ロータがクラッシュした場合に直接影響を受けることはない。
図5は、本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵ユニット3の一実施形態の概略図を示し、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット3は、機械ハウジング31(例えば、図4参照)によってそれぞれ囲まれた、本発明に係る複数(この実施形態では4つ)のロータ2を有し、それによって、電気エネルギーを貯蔵SAするためにフライホイール式エネルギー貯蔵ユニット3の(図4のモータユニット26の代わりに)モータ・ジェネレータ・ユニット32によってロータ2を加速することができ、電気エネルギーを放出SAするために制動することができる。
図6は、本発明に係る回転体1の製造のための、本発明に係る方法の一実施形態を示し、この回転体1は、シリンダジャケット11と、回転軸Rとしてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面12および13と、(図1に示すような)回転体1の所与の外径ADの2倍を超える、回転軸に平行な長さLWとを有する。この方法は、回転体1を製造するために、少なくとも部分的に繊維強化複合材を使用して適切な付随の巻芯4を設けるステップと、適切な巻回方法を使用して、シリンダジャケット11の外径ADの12.5%未満に達するシリンダジャケット11の所望の厚さZDが達成されるまで、回転軸Rに対して35°よりも小さい螺旋繊維角度FWHに沿った繊維配向の繊維FHから構成される螺旋層Hと、回転軸Rに対して80°よりも大きい円周方向繊維角度FWUに沿った繊維配向の繊維FUから構成される円周層Uとを巻芯4の周りに交互に巻回UWすることで、全ての螺旋層Hを半径方向RRに見てシリンダジャケット11の内側1/3に配置するステップと、回転体1の繊維強化複合材を架橋Vさせ、巻回および架橋された回転体1から巻芯4を除去Eするステップと、を含む。さらに一実施形態では、螺旋層Hおよび円周層Uが巻芯4の周りに交互に巻回されているが、この方法はまた、巻芯4が1つの螺旋層Hおよび/または1つの円周層Uによって巻回UWされた後に、予備架橋ステップVVを含む。
本明細書に示された実施形態は、本発明の単なる例を構成するものであり、したがって、限定的なものであると解釈されるべきではない。当業者によって考慮された代替の実施形態も同様に本発明の保護範囲に包含される。
1 回転体
11 シリンダジャケット
11i シリンダジャケットの内側
11a シリンダジャケットの外側
12,13 開口シリンダベース面
2 ロータ
21,22 ハブ
23 シャフト
24 ジャーナル
25 軸受
26 モータユニット
3 フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット
31 機械ハウジング
32 モータ・ジェネレータ・ユニット
4 巻芯
AD シリンダジャケットの外径
E 巻芯の除去
FH 螺旋層の繊維
FU 円周層の繊維
FS1,2 螺旋層または円周層の繊維層
FWH 螺旋層における繊維の繊維角度(螺旋繊維角度)
FWH1 第1の螺旋層の第1の螺旋繊維角度
FWH2 第2の螺旋層の第2の螺旋繊維角度
FWH3 第3の螺旋層の第3の螺旋繊維角度
FWHn 第nの螺旋層の第nの螺旋繊維角度
FWU 円周層における繊維の繊維角度(円周繊維角度)
H 螺旋層
H1 第1の螺旋層
H2 第2の螺旋層
H3 第3の螺旋層
Hn 第nの螺旋層
HD 螺旋層厚さ
LM 回転軸(シリンダ軸)に平行なシリンダジャケットの長さ
LW 巻芯の長さ
R 回転軸
RR 回転体の半径方向(回転軸に垂直)
SA エネルギーの貯蔵または放出
U 円周層
U1 第1の円周層
U2 第2の円周層
U3 第3の円周層
Un 第nの円周層
UW 巻芯の周り、またはそこに存在する螺旋層または円周層周りの巻回
V 繊維強化複合材の架橋
VV 各螺旋層および円周層の製造後の予備架橋ステップ
ZD シリンダジャケットの肉厚(回転軸に垂直)

Claims (14)

  1. 内部が中空の円筒状回転体(1)であって、繊維強化複合材を使用して少なくとも部分的に巻回されたシリンダジャケット(11)と、さらに回転軸(R)としてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面(12、13)とを備え、それによって、前記シリンダジャケット(11)は、その内側(11i)が前記回転軸(R)に面し、その外側(11a)が反対方向に向いた状態で、前記回転体(1)の外径(AD)の2倍を超える、前記回転軸(R)に平行な長さ(LM)を有し、前記外径(AD)の15%未満の肉厚(ZD)を有し、それによって前記シリンダジャケット(11)の前記繊維強化複合材は、繊維(FH)の複数の螺旋層(H)と複数の円周層(U)とを有する積層構造を半径方向(RR)に備え、前記繊維(FH)は前記回転軸(R)に沿って延在し、螺旋繊維角度(FWH)に沿った配向は前記回転軸(R)に対して35°よりも小さく、前記円周層(U)は前記シリンダジャケット(11)に対して、前記シリンダジャケット(11)の前記長さ(LM)にわたって接線方向に配置され、円周繊維角度(FWU)に沿った配向が前記回転軸(R)に対して80°よりも大きい繊維(FU)によって構成され、それによって、前記螺旋層(H)と前記円周層(U)とが交互に互いに重なって配置され、全ての前記螺旋層(H)は前記半径方向(RR)に見て前記シリンダジャケット(11)の内側3分の1に配置されている、回転体(1)。
  2. 前記螺旋繊維角度(FWH)は15°〜30°の間であることを特徴とする、請求項1に記載の回転体(1)。
  3. 種々の前記螺旋層(H、H1、H2、H3)の前記螺旋繊維角度(FWH、FWH1、FWH2、FWH3)が異なることを特徴とする、請求項2に記載の回転体(1)。
  4. 前記回転軸(R)からの距離が増加するのに伴って、螺旋層(H、H1、H2、H3)の1つから次の螺旋層(H、H1、H2、H3)の間で、前記螺旋繊維角度(FWH、FWH1、FWH2、FWH3)が前記半径方向(RR)に増加することを特徴とする、請求項3に記載の回転体(1)。
  5. 前記螺旋繊維角度(FWH、FWH1、FWH2、FWH3)は前記半径方向(RR)において23°から30°まで増加することを特徴とする、請求項4に記載の回転体(1)。
  6. 前記シリンダジャケット(11)の前記繊維強化複合材の前記積層構造は少なくとも5つの螺旋層(H)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の回転体(1)。
  7. 全ての前記螺旋層の総厚は前記シリンダジャケットの前記肉厚の12.5%を超えない
    ことを特徴とする、請求項6に記載の回転体(1)。
  8. 個々の前記螺旋層(H)は、前記シリンダジャケットの前記肉厚の4%未満である前記半径方向(RR)の螺旋層厚さ(HD)を有し、好ましくは、前記螺旋層厚さは0.5mm未満であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の回転体(1)。
  9. 前記螺旋層厚さ(HD)は、互いに交差するように重なって配置された2つの螺旋繊維層(FS1、FS2)の厚さにしかならないことを特徴とする、請求項8に記載の回転体(1)。
  10. 前記シリンダジャケット(11)は、完全に繊維強化複合材で形成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の回転体(1)。
  11. 請求項1に記載の、内部が中空の円筒状回転体(1)を備えるロータ(2)。
  12. フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット(3)であって、機械ハウジング(31)によってそれぞれ囲まれた1つまたは複数のロータ(2)を備え、それによって、電気エネルギーを貯蔵するために前記フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット(3)のモータ・ジェネレータ・ユニット(32)によって前記ロータ(2)を加速することができ、電気エネルギーを放出するために制動することができる、フライホイール式エネルギー貯蔵ユニット(3)。
  13. 請求項1に記載の内部が中空の円筒状回転体(1)を製造する方法であって、前記回転体(1)は、シリンダジャケット(11)と、回転軸(R)としてのシリンダ軸と、開口シリンダベース面(12,13)と、前記回転体(1)の所与の外径(AD)の2倍を超える、前記回転軸(R)に平行な長さ(LW)とを有し、前記方法は、
    (a)前記回転体(1)を製造するために適切な付随の巻芯(4)を設け、それによって、前記シリンダジャケット(11)を繊維強化複合材を用いて少なくとも部分的に巻回するステップと、
    (b)適切な巻回方法を使用して、前記シリンダジャケット(11)の外径(AD)の15%未満に達する前記シリンダジャケット(11)の所望の厚さ(ZD)が達成されるまで、前記回転軸(R)に対して35°よりも小さい螺旋繊維角度(FWH)に沿った配向の繊維(FH)から構成される螺旋層(H)と、前記回転軸(R)に対して80°よりも大きい円周方向繊維角度(FWU)に沿った配向の繊維(FU)から構成される円周層(U)とを前記巻芯(4)の周りに交互に巻回することで、全ての前記螺旋層(H)を半径方向(RR)に見て前記シリンダジャケット(11)の内側1/3に配置するステップと、
    (c)前記回転体(1)の前記繊維強化複合材を架橋(V)させ、巻回および架橋された前記回転体(1)から前記巻芯(4)を除去(E)するステップと、を含む方法。
  14. 螺旋層(H)および円周層(U)を前記巻芯(4)の周囲に巻回(UW)する前記ステップは、1つの螺旋層(H)および/または1つの円周層(U)が(UW)が巻回された後に毎回、追加の予備架橋ステップ(VV)を含む、請求項13に記載の方法。
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