JP2019510336A - 電気運動的にポンピングされる界面を介したesi−ms - Google Patents

電気運動的にポンピングされる界面を介したesi−ms Download PDF

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Abstract

陰性モードエレクトロスプレー質量分析計に連結されたキャピラリ電気泳動のための電気運動的にポンピングされるシース流ナノスプレーの界面が記載されている。この界面において、電場の印加は、オリフィスを有するガラスエミッタの内部で電気浸透流を生成する。電気浸透流は、液を分離キャピラリの遠位先端付近にポンピングし、検体をエレクトロスプレー電解質内へと覆う。陰イオンモードでは、未処理のエミッタに印加された負の電位はエミッタオリフィスから離れるシース流を駆り立て、スプレーの安定性と効率を低下させる。対照的に、エレクトロスプレーエミッタの内側をアミノアルキルシランでグラフトする場合、アミンは正電荷を有し、それが電気浸透を逆転させて、陰性電位下でエミッタオリフィスへの安定したシース流を発生させる。検出限界は、注入物の約150〜900アトモルであった。陰性モードの動作は、ステージ1のアフリカツメガエルの胚からの代謝産物抽出物を分析することによって実証した。

Description

関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2015年12月31日に提出された米国仮特許出願第62/274,097号に対する優先権を主張するものであり、それは参照により本明細書に組み込まれる。
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所によって付与された助成金番号R01 GM096767の下での政府の支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、質量分析(MS)のためのイオン化技術として導入されて以来、生体分子の分析に不可欠であった。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)やキャピラリ電気泳動(CZE)などの高分解能分離技術を、ESI界面を介して質量分析に連結させることにより、プロテオミクスやメタボロミクスにおいて頻繁に直面する非常に複雑な混合物の分析が可能になる。エレクトロスプレーによりタンデム質量分析に連結されるCZEは、生物学的試料の分析のためのナノLCMSに対する最近開発された強力な代替手段である。エレクトロスプレーの界面はシステムの性能にとって重要である。分離キャピラリの遠位端の電位を制御し、その間にエレクトロスプレーを同時に駆動しなければならないのである。
キャピラリ電気泳動−エレクトロスプレーの界面には、少なくとも3つの種類がある。Agilentによる商用の界面は、従来のHPLCエレクトロスプレーの界面に似ている。それは、機械でポンピングされたシース液および噴霧ガスを使用する。シース液は、エレクトロスプレーを支えながら分離キャピラリに電気的接続をもたらす。この界面は非常に丈夫であるはずだが、比較的高速のシース流速を使用するのに起因して、高希釈で損害を受ける可能性がある。
第2の界面は、キャピラリの壁自体の小さな部分を通して分離キャピラリの内部に電気的に接触することによってシース液を除去するものである。キャピラリの遠位先端をエッチングして、電気泳動を駆動するのに十分な導電性を有する非常に薄い壁を作製する。エッチングされたキャピラリの壁の外面は、エレクトロスプレー電圧で保持された電解質と接触している。システムはまた、シースガスを使用するのでなく、キャピラリを介して検体の電気運動的な移送を補うために圧力駆動の流れを頻繁に採用している。メタノールやアセトニトリルなどの有機溶媒を含む酸性電解質がよく使用されており、時おり電気泳動の間に電解質をキャピラリを通してポンピングするためにキャピラリの近位端に低圧が加えられている。
第3の界面は、安定したナノスプレーを生成するために、電気運動的に駆動されるシース流を使用するものである。界面は電解質で満たされたガラスエミッタを使用し、以前の界面と同様に、噴霧ガスを使用しない。エミッタの内部のシリケート基は、ほとんどの条件下で負の電荷を帯びる。電場の印加は、nL/minレジームにおいて非常に安定したポンプとして作用する電気浸透流を生成する。流れの方向および速度は、エミッタの印加電位および表面の電荷に依存する。質量分析計および未処理のガラスエミッタに関して正の電位の下では、電気浸透がエミッタオリフィスに向けられ、安定したエレクトロスプレーが生成される。負の電位および未処理のガラスエミッタの下では、流れはエミッタオリフィスから遠ざかる方に向けられ、不安定なエレクトロスプレーを生じる。
陰イオンエレクトロスプレーは、多数の検体の分析において価値があり、エミッタに負の電位を印加する必要があるものである。しかし、安定したエレクトロスプレーを生成するためには、エミッタの表面の化学的性質を改変して、陰イオン操作下でエレクトロスプレーのエミッタオリフィスに確実に電気浸透流を向け、それによって適度な感度で安定している流れを作り出すことが必要である。したがって、この問題に対処する技術的解決法によって、質量分析および電気泳動の技術が進歩するであろう。
陰性モードエレクトロスプレーイオン化−質量分析(ESIMS)に連結されたキャピラリ電気泳動(CE)のための第1の電気運動的にポンピングされるシース流の界面を実証する。この界面において、電場の印加は、ガラスエミッタの内部(約10μmの内径オリフィス)で電気浸透流を生成する。この電気浸透流は、シース液を分離キャピラリの遠位先端付近にポンピングし、検体をエレクトロスプレーに引き込む。陽イオンモードでは、接地された質量分析計の入口オリフィスに対して正の電位がエミッタに印加される。この正の電位は、ガラスの表面の負に荷電したシラノール基と相互作用して、エミッタオリフィスに向かう流れを生じる。対照的に、陰イオンモードでは、エミッタに印加された負の電位はエミッタオリフィスから離れるシース流を駆動し、スプレーの安定性と効率を低下させる。本開示では、電気浸透を逆流させ、エミッタオリフィスへのシース流を駆動するのに適切な化学物質で、エレクトロスプレーエミッタの内部の一部を処理した。界面の能力は、Thermo QExactive HF質量分析計のアミノ酸標準の混合物を分析することによって実証している。線形の較正曲線を、330アトモルのわずかな注入量で3桁の大きさにわたって生成した。検出限界(LOD)は、注入された試料の150〜900アトモルの間であった。濃度に関する安定性および線形反応は、処理されたエミッタ界面によりもたらされる能力の改善を示している。
したがって、本開示は、質量分析計用のエレクトロスプレーイオン化界面用の装置であって、
陰性モードのシース液の電気浸透流(EOF)用のガラスエミッタであって、表面が、表面に共有結合された1つ以上の有機化学物質のコーティングを含み、有機化学物質は1つ以上の官能基(例えば、エレクトロスプレー電圧に曝されたときに、部分に正電荷を形成させる)を含むガラスエミッタと、
シース液の注入口と
を含み、
ガラスエミッタに導入されたシース液にエレクトロスプレー電圧が印加されるとき、官能基に形成された正電荷は、陰性モードでEOFの方向を安定させる、エレクトロスプレーイオン化界面用の装置を提供する。
また、エレクトロスプレーイオン化−質量分析計(ESI−MS)用のエミッタは、
遠位端にオリフィスを有する中空シリンダであって、オリフィスの内径はシリンダ本体の内径よりも小さく、エミッタの表面は表面に共有結合した1つ以上の有機化学物質のコーティングを含み、有機化学物質は、1つ以上の官能基を含む中空シリンダ、および
エミッタとシース液の注入口とのユニオン
を含むことができ、
エミッタに導入されたシース液に陰性モードのエレクトロスプレー電圧が印加されるとき、官能基に形成された正電荷がシース液の電気浸透流(EOF)の方向をオリフィス方向に安定させ、イオン化したエレクトロスプレーが、シース液がオリフィスを出るときに形成される。
本開示はまた、陰性モードエレクトロスプレーイオン化−質量分析計(ESI−MS)用のガラスエミッタを適合させるための方法であって、
ガラスエミッタの表面に官能基を有する有機化学物質を共有結合させることであって、ここでガラスエミッタは遠位端にオリフィスを含む中空シリンダであり、オリフィスの内径はシリンダ本体の内径より小さい、共有結合させること、および
ガラスエミッタと分離キャピラリとを質量分析計に接続することであって、ここで分離バックグラウンド電解質の1つ以上の検体の混合物をキャピラリで分離する、接続すること
を含み、
エミッタに導入されたシース液に陰性モードのエレクトロスプレー電圧が印加されたとき、シース液のオリフィス方向への電気浸透流(EOF)の方向を安定化させるために官能基に正電荷が形成され、キャピラリを出る検体が、キャピラリの遠位先端の周りのEOFによってオリフィスに向けて移送され、シース液と検体がオリフィスを出るときにイオン化されたエレクトロスプレーを形成する方法を提供する。
さらに、本開示は、試料を分析するためのESI−MS分析方法であって、
i)質量分析計を、a)本明細書に記載のエミッタおよびシース液注入口と、b)分離バックグラウンド電解質の1つ以上の検体の混合物がキャピラリで分離されている分離キャピラリとに接続することであって、
ここで陰性モードのエレクトロスプレー電圧が、注入口を介してエミッタに導入されたシース液に印加されると、キャピラリを出る検体はキャピラリの遠位先端の周囲のシース液の安定したEOFによってオリフィスに向かって移送され、それによってシース液と検体がオリフィスを出て、続いて質量分析計に入るときに安定化されたエレクトロスプレーを生じる、接続すること、および
ii)約1フェムトモル未満の検出限界で質量分析によって試料を分析すること
を含む方法を提供する。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の実施形態または様々な態様をさらに示すために含まれている。いくつかの例では、本発明の実施形態は、添付の図面を本明細書に提示される詳細な説明と組み合わせて参照することによって、最もよく理解することができる。説明および添付の図面は、ある特定の例、または本発明の特定の態様を強調することができる。しかし、当業者であれば、実施例または態様の一部を、本発明の他の実施例または態様と組み合わせて使用できることを理解するであろう。
実施形態による、陰性モードESI(上の画像)およびガラスエミッタの概略図(下の画像)に関するCEMS界面の図である。上の画像:(A)分離キャピラリをバックグラウンド電解液(BGE)で満たし、スリーブを通して4方向のPEEKユニオン(B)に通した。(C)アミノコーティングボロシリケートガラスエミッタをスリーブに嵌め込み、4方向のユニオンに取り付け、分離キャピラリをエミッタ先端に通した。(D)エレクトロスプレー電圧をバイアルの噴霧緩衝液に印加した。エレクトロスプレー電圧はまた、エミッタのEOFを、エミッタの開口および質量分析計の入口に向かって駆動する。(E)噴霧緩衝液を含むシリンジを、4方向のユニオンの最終開口部に取り付けて、バイアルの噴霧緩衝液を補充し、気泡を除去した。ガラスエミッタの詳細(下の画像)。エミッタの壁のカチオンの部位は、電気二重層を形成するアニオンを引き付ける。エレクトロスプレー電位は、これらのアニオンをエミッタ先端に駆動し、アニオンはそれらと共に緩衝液を引き出し、電気浸透流を作り出す。この電気浸透流は、試料の流れが分離キャピラリを出るときにそれを覆う。溶液がエミッタを出るとき、エレクトロスプレーが生成された。 逆EOFを最小にするために、酸性の噴霧緩衝液で満たされたコーティングされていないボロシリケートガラスエミッタからの陰性モードのエレクトロスプレーのベースピークエレクトロフェログラムである(上のエレクトロフェログラム)。分離バックグラウンド電解質はメタノールを含み、即時の放電を防いだ。エレクトロスプレーは、スプレー強度の急激な振動が明白に示されており、EOFが最小であっても非常に不安定であった。エレクトロスプレーは、試料分析を行うのに、この構成では十分に安定した状態を維持しない。アミノアルキルシランでコーティングされたボロシリケートガラスエミッタ(上のエレクトロフェログラム)からの陰性モードのエレクトロスプレーにおけるホスホコリン試料のベースピークエレクトロフェログラムは、安定したベースラインと、信号対雑音の明確な分離を示す。 実施形態によるエミッタの概略図である。エミッタの円筒形部分は、引っ張りプロセスの間、コーティングの熱への曝露を最小限にするために、先細の先端に対して長く維持される。これらの寸法を維持することにより、エミッタのEOFに対する有害な影響を最小限に抑えることができる。エミッタ開口の有利な大きさは15〜20μmである。 5つのアミノ酸の標準の較正曲線である。較正は、ほぼ3桁の大きさにわたり2つの標準について直線的であった。最低注入量は300〜500アトモルであった。 5倍希釈から得た5つのアミノ酸の標準の、抽出されたイオンのエレクトロフェログラムである。ピーク幅(FWHM)は2〜5秒であった。理論的なプレート数は15,000〜20,000であった。 ステージ1のアフリカツメガエルの胚から抽出された代謝物から生成している、正規化した抽出されたイオンのエレクトロフェログラムである。エレクトロフェログラムを3点中央値フィルターで処理し、次いでスパン10の1次ローウェスフィルター(Lowess filter)で処理した。
基本的な噴霧電解質とコーティングされていないエミッタとの組み合わせは、エミッタの放電および破壊の迅速な開始をもたらす。陰イオンモードで安定したエレクトロスプレーを生成するためには、負電位を印加すると電気浸透流がオリフィスに向けられるように、エミッタ表面の化学的性質を制御する必要があるように見える。この流れには、付随して負に荷電した二重層を有する正に荷電したエミッタ表面が必要である。本発明者らはまず、ボロシリケートのチューブの内部をアミノプロピルトリメトキシシランで処理した後、加熱したピペットプラーで狭い先端に管を引っ張ることにより、正に荷電したエミッタ表面を生成した。引っ張りプロセスの間、エミッタの内面の大部分は加熱されず、この領域のアミノプロピルトリメトキシシランのコーティングは存続する。エミッタのこのコーティングされた部分は、エミッタオリフィスに向かって電気浸透を生成する。
定義
以下の定義は、明細書および請求項の明確かつ一貫した理解をもたらすために含まれる。本明細書で使用する場合、列挙された用語は以下の意味を有する。当業者が理解するように、本明細書で使用している他のすべての用語および表現は、それらの通常の意味を有する。このような通常の意味は、R.J.Lewis、John Wiley&Sons、によるHawley’s Condensed Chemical Dictionary 14th Edition、New York、N.Y.、2001などの専門辞書を参考にして得ることができる。
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」などの言及は、記載された実施形態が特定の態様、特徴、構造、部分、または特性を含むことができるが、すべての実施形態が必ずしもその態様、特徴、構造、部分、または特性を含むわけではないことを示している。さらに、そのような語句は、必ずしもそうである必要はないが、本明細書の他の部分で言及される同じ実施形態を示してもよい。さらに、特定の態様、特徴、構造、部分、または特性を実施形態に関連して記載している場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、そのような態様、特徴、構造、部分または特性に影響を及ぼすまたはそれらを他の実施形態について繋げることは、当業者の知識の範囲内である。
単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」には、文脈上他に明確に指示されていない限り、複数形の言及が含まれる。したがって、例えば、「化合物」への言及は複数のこのような化合物を含み、化合物Xは複数の化合物Xを含む。さらに、いずれかの任意の要素を排除するように請求項を記載することができることに留意されたい。したがって、この記述は、本明細書に記載される任意の要素および/または請求項の要素の記載または「否定的な」制限の使用に関連して、「単独で」「のみ」などの排他的な用語を使用するための前提として役立つことを意図している。
「および/または」という用語は、項目のいずれか1つ、項目の任意の組み合わせ、またはその用語が関連しているすべての項目を意味する。「1つ以上」および「少なくとも1つ」という語句は、特にその使用法の文脈で読んでいるとき、当業者によって容易に理解される。例えば、この語句は、1、2、3、4、5、6、10、100、または列挙された下限より約10、100、または1000倍高いいずれかの上限を意味することがある。
「約」および「およそ」という用語は交換可能で使用されている。両方の用語は、指定された値の±5%、±10%、±20%、または±25%の変動を示すことがある。例えば、「約50パーセント」は、いくつかの実施形態では、さもなければ特定の請求項によって別途定義されるものとして、45〜55パーセントの変動を有することが可能である。整数範囲の場合、「約」という用語は、範囲の両端に、列挙された整数より大きいおよび/または小さい1つまたは2つの整数を含むことができる。本明細書で他に示されない限り、「約」および「およそ」という用語は、個々の成分、組成物または実施形態の機能性に関して等価である、列挙された範囲に近接する値、例えば重量パーセントを含むことが意図されている。「約」および「およそ」という用語は、この段落で上述したように、列挙された範囲の終点を変えることもできる。
当業者が理解するように、成分の量、分子量、反応条件などの性質を表すものを含むすべての数字は近似値であり、すべての場合において任意に「約」という用語で修飾しているものとして、理解される。これらの値は、本明細書に記載の教示を利用する当業者が得ることを求める所望の特性に依存して変えてもよい。このような値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる変動性を本質的に含むことも理解される。値が接頭辞「約」を使用して近似値として表されているとき、修飾語「約」を伴わない特定の値もさらなる態様を形成していることが理解される。
当業者に理解されるように、任意の目的およびすべての目的のために、特に書面による説明を提供する観点から、本明細書に列挙されたすべての範囲はまた、任意のおよびすべての可能な下位範囲およびその下位範囲の組み合わせ、ならびにその範囲を構成する個々の値、特に整数値を包含する。したがって、2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されることが理解される。例えば、10〜15が開示されている場合、11、12、13、および14も個別に、および範囲の一部として開示されている。列挙された範囲(例えば、重量パーセントまたは炭素基)は、範囲内の各々の特定の値、整数、10進数、または同一性を含む。列挙された範囲は、十分に記述され、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、または10分の1に分割し得ることを容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で説明する各範囲は、下3分の1、中間の3分の1、および上3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者には理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」、「より多い」、「またはより多い」などのすべての語は、列挙された数字を含み、そのような用語は、上で論じたように、後で部分範囲に分解され得る範囲を示す。同じように、本明細書に列挙されたすべての比率は、より広い比率に含まれるすべての部分的な比率も含む。したがって、ラジカル、置換基、および範囲について記載された特定の値は、例示のみのためのものであり、他の定義した値またはラジカルおよび置換基のために定義した範囲内の他の値を排除するものではない。さらに、各範囲の終点は、他方の終点に関連し、かつ他方の終点と独立していることがさらに理解されるであろう。
当業者であれば、メンバーがマーカッシュグループのような一般的な様式で一緒に群化されている場合、本発明は全体として列挙された群全体を包含するだけでなく、群の各メンバーを個々に、また主要な群のあらゆる可能な下位群をも包含することもたやすく認識されよう。さらに、すべての目的のために、本発明は、主要な群だけでなく、1つ以上の群のメンバーが存在していない主要な群も包含する。したがって、本発明は、列挙された群のメンバーのいずれか1つ以上の明示的な除外を想定している。したがって、条件が、開示されたカテゴリまたは実施形態のいずれかに適用でき、それによって、記載した要素、種、または実施形態のいずれか1つ以上が、例えば、明示的な否定的制限で使用するために、そのようなカテゴリまたは実施形態から除外され得る。
「接触させる」という用語は、例えば溶液中、反応混合物中で、インビトロで、またはインビボで、例えば、生理学的反応、化学反応、または物理的変化を引き起こすために、細胞レベルや分子レベルなどで、接触する(touch、make contact)、または直接的にまたは近接させる行為を示す。
「有効量」とは、反応混合物中に生成物を形成するのに必要な量などの、列挙された効果をもたらすのに有効な量を示す。有効量の決定は、典型的には、特に本明細書で提供される詳細な開示を考慮して、当業者の能力の範囲内である。「有効量」という用語は、本明細書に記載の化合物または試薬の量、または例えば反応混合物中に生成物を形成するのに有効な、本明細書に記載の化合物または試薬の組み合わせの量を含むことが意図される。したがって、「有効量」は、一般に、所望の効果をもたらす量を意味する。
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、広義の用語であり、限定するものではないが、特定されている大部分であるが必ずしも全体ではないということを含む、その通常の意味で使用されている。
「有機化学物質」という用語は、炭素および水素を含有する類の化学物質を意味し、他の原子、例えば窒素、酸素、硫黄、ケイ素、およびハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素)を含み得るが、それらに限定されない。本開示における有機化学物質はまた、炭素ベースの(有機化学物質)フレームワークの置換基である官能基を含む。例えば、有機化学物質は、分岐していてもよい炭素原子の実質的に直鎖であり得る炭素原子数1〜約20のアルキル炭化水素であり得るか、前述のアルキル炭化水素は、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンなどの環式であり得る。官能基の例は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミドおよびエステルであり得るが、これらに限定されない。官能基は、他の官能基によってさらに官能基化することができる。本開示における官能基は、陰性エレクトロスプレーモードでエミッタオリフィスに向かって電気浸透流を安定させるため電荷を伝える目的を果たし、例えば、アミン官能基はプロトン化されて正電荷を有することができる。官能基はまた、有機化学物質を表面に結合するためのケイ素を含むことができる。表面は、有機化学物質のシリコン部分に共有結合することができるシラノール部分を有するガラスであってもよい。シラノール部分と反応する有機化学物質は、ハロゲンまたはアルコキシ(例えば、メトキシ)などの反応性官能基を有することができる。例えば、試薬3−アミノプロピルトリメトキシシラン中のメトキシ部分は、当業者に公知の適切な反応条件下でガラスの表面上のシラノールと反応する。炭素骨格に2つ以上の官能基を有する、大きな数だが限られた数の小有機化学物質(例えば、約1000ダルトン未満の分子量を有する)があり、それにおいて、その官能基の1つが電荷を伝えることができ、有機化学物質の他の官能基は、例えばガラス表面に共有結合させることができる。
「代謝化合物」という用語は、代謝過程を経て生体内で化学的に変化した化学物質を意味する。
本発明の実施形態
本開示の第1の実施形態では、質量分析計用のエレクトロスプレーイオン化界面であって、陰性モードのシース液の電気浸透流(EOF)用のガラスエミッタであって、表面が、表面に共有結合された1つ以上の有機化学物質のコーティングを含み、有機化学物質は1つ以上の官能基を含むガラスエミッタと、シース液の注入口とを含み、ガラスエミッタに導入されたシース液にエレクトロスプレー電圧が印加されるとき、官能基に形成された正電荷は、陰性モードでEOFの方向を安定させる。
様々な実施形態で、ガラスエミッタは、遠位端にオリフィスを備えた中空シリンダであり、オリフィスの内径はシリンダ本体の内径よりも小さく、シース液のEOFはオリフィスに向かう方向に横切り、シース液がオリフィスを出るときに、イオン化されたエレクトロスプレーが形成される。
他の実施形態では、ガラスエミッタの全部よりも少ない部分が官能基を含む。さらなる実施形態では、エミッタは、1つ以上の官能基によって完全に、実質的に、または部分的にコーティングされたボロシリケートガラスを含む。さらに他の実施形態では、表面エミッタの約10%〜約90%、20%〜約80%、または30%〜約70%が、1つ以上の官能基によりコーティングされる。様々な他の実施形態では、エミッタの表面に共有結合している有機化学物質は、アミノアルキル部分などの有機アミンを含む。
様々な実施形態において、界面は分離キャピラリを含み、キャピラリは分離バックグラウンド電解質を含み、分離バックグラウンド電解質の混合物中の1つ以上の検体がキャピラリで分離され、キャピラリを出る検体は分離キャピラリの遠位先端の周りのシース液のEOFにより、オリフィスに向かって送られる。
別の実施形態では、ガラスエミッタオリフィスの内径は、約5μm〜約50μm、約5μm〜約30μm、約15μm〜約35μm、約15μm〜約20μm、または約10μm〜約25μmである。ガラスエミッタの様々な他の実施形態では、官能基はエミッタオリフィスと反対方向のEOFを実質的に防止し、それによってエレクトロスプレーの強度の変動を最小にする。
本開示の実施形態は、ガラスエミッタを出るイオン化されたエレクトロスプレーのエレクトロスプレー強度の最小限の変動を含み、約1フェムトモル未満、または約900アトモル未満の検体という検出限界をもたらす。さらなる実施形態において、検体の検出限界は、約150〜約900アトモルであり得る。
エミッタオリフィスを出るイオン化されたエレクトロスプレーバックグラウンド信号の強度は、約±2×10強度ユニット未満、約±1×10強度ユニット未満、または約±0.1×10強度ユニット未満に、コーティングされたエミッタによって安定化される。したがって、コーティングされたエミッタを使用する場合のエレクトロフェログラムにおけるベースラインの変動性は、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも30倍低減することができる(図2参照)。さらに、コーティングされたエミッタにより、検体のベースピークが、エレクトロフェログラムのバックグラウンドノイズ(ベースライン)と比較して、強度ユニットの点で少なくとも30倍、少なくとも50倍または少なくとも70倍大きい、エレクトロフェログラムにおけるシグナルの生成が可能になる。
本開示は、エレクトロスプレーイオン化−質量分析計(ESI−MS)用のエミッタの第2の実施形態を包含し、遠位端にオリフィスを有する中空シリンダであって、オリフィスの内径はシリンダ本体の内径よりも小さく、エミッタの表面は表面に共有結合した1つ以上の有機化学物質のコーティングを含み、有機化学物質は、1つ以上の官能基を含む中空シリンダ、およびエミッタとシース液の注入口とのユニオンを含み、エミッタに導入されたシース液に陰性モードのエレクトロスプレー電圧が印加されるとき、官能基に形成された正電荷がシース液の電気浸透流(EOF)の方向をオリフィス方向に安定させ、イオン化したエレクトロスプレーが、シース液がオリフィスを出るときに形成される。
第3の実施形態は、陰性モードエレクトロスプレーイオン化−質量分析計(ESI−MS)用のガラスエミッタを適合させるための方法であって、
ガラスエミッタの表面に官能基を有する有機化学物質を共有結合させることであって、ここでガラスエミッタは遠位端にオリフィスを含む中空シリンダであり、オリフィスの内径はシリンダ本体の内径より小さい、共有結合させること、および
ガラスエミッタと分離キャピラリとを質量分析計に接続することであって、ここで分離バックグラウンド電解質の1つ以上の検体の混合物はキャピラリで分離される、接続すること
を含み、
エミッタに導入されたシース液に陰性モードのエレクトロスプレー電圧が印加されたとき、シース液のオリフィス方向への電気浸透流(EOF)の方向を安定化させるために官能基に正電荷が形成され、キャピラリを出る検体が、キャピラリの遠位先端の周りのEOFによってオリフィスに向けて移送され、シース液と検体がオリフィスを出るときにイオン化されたエレクトロスプレーを形成する方法を包含する。
様々な実施形態において、アミノアルキルシランはガラスエミッタの表面に共有結合し、アミノアルキルシランのアミノ部分は正に荷電している。別の実施形態では、ガラスエミッタオリフィスの内径は、約10μm〜約25μm、または約15μm〜約20μmとすることができる。他の実施形態では、安定させたEOFは安定したエレクトロスプレーを生成する。さらに、様々な実施形態において、検出限界は、約2フェムトモル、1フェムトモル、0.5フェムトモル、または約0.25フェムトモル未満である。
第4の実施形態は、試料を分析するためのESI−MS分析方法であって、
i)質量分析計を、a)本明細書に記載のエミッタおよびシース液注入口と、b)分離バックグラウンド電解質の1つ以上の検体の混合物がキャピラリで分離されている分離キャピラリとに接続することであって、
ここで陰性モードのエレクトロスプレー電圧が、注入口を介してエミッタに導入されたシース液に印加されると、キャピラリを出る検体はキャピラリの遠位先端の周囲のシース液の安定したEOFによってオリフィスに向かって移送され、それによってシース液と検体がオリフィスを出て、続いて質量分析計に入るときに安定化されたエレクトロスプレーを生じる、接続すること、および
ii)約2フェムトモル、約1フェムトモル、または約0.5フェムトモル未満の検出レベルで質量分析によって試料を分析すること
を含む方法を包含する。
様々な実施形態において、試料中の検体は、キャピラリゾーン電気泳動(CZE)により分離される。試料は、1つ以上のタンパク質、1つ以上の炭水化物、1つ以上の代謝化合物、アミン部分を含む1つ以上の化合物、陰イオン化官能基を含む1つ以上の化合物(例えば、カルボン酸が陰性モードでカルボン酸塩イオンを形成する)、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、試料は、1つ以上の脂質、1つ以上の炭水化物、1つ以上の代謝化合物、またはそれらの組み合わせを含む。様々な実施形態において、分析される試料は、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはグリカンを含み得る。グリカンは、抗体のペプチドグリカンまたはグリカン、例えば、シアル酸含有抗体を含む組換え抗体であり得る。上述の検体の任意の組み合わせは、本明細書に記載の方法によって検出することができる。
様々な実施形態において、CZE用の分離バックグラウンド電解質およびシース液は、有機添加剤を含まない。さらなる実施形態では、シース液の高い流速またはエレクトロ噴霧緩衝液の高流速により、検出限界が実質的に低下しない。
ステージ1のアフリカツメガエルの胚から抽出した代謝産物の分析により、界面の評価を行った。100を超える特徴を、データ内で、手動で識別した。中央値のピーク幅は1.3秒であり、理論的プレートの平均数は15,000であり、おそらく実験で使用された比較的大きな注入量によって制限された。図6は、10個の特徴に対する選択されたイオンエレクトロフェログラムを示す。
要約すると、本発明者らのエミッタは、電気運動的にポンピングされるシースフローのナノスプレー界面において使用されるガラスエミッタの内部に、共有結合でグラフトしているアミンを有している。これらのアミンは、陰性モードの動作中にエミッタオリフィスに向かって移動する負に荷電した二重層を生成する。この系は、ステージ1のアフリカツメガエルの胚から単離された代謝産物についてキャピラリゾーン電気泳動を行うことによって評価した。陰性モードで100を超える特徴が検出された。
電気運動的にポンピングされた界面で陰性モードESI−MSに結合させるキャピラリ電気泳動
本発明者らは、ナノフロー法で動作するCZE−MS用のシースフローの界面を開発した。界面(図1)は、電解質で満たされたガラスエミッタを使用している。エミッタの内側のシリケート基は電荷を帯び、印加電場の下では、電気浸透はnL/minレジームで非常に安定したポンプとして作動する。シリケート基の等電点pIは2未満であり、大部分の条件下でシリケート基は脱プロトン化され、ガラス面にアニオン性基を、またガラス壁付近で溶液においてカチオンの雲を生成する。電場の印加により、低いnL/分の速度で、陽極から陰極へカチオンが進む。このフロー方式では、キャピラリの遠位端を出るとき、検体の希釈度は無視できる。シース液へのメタノールまたはアセトニトリルのような有機物の添加は、分離電解質を変更する必要なくエレクトロスプレーを安定化させる便利な手段である。
現代のプロテオミクスのワークフローは、一般に、陽イオン化モードでエレクトロスプレーを行っており、本発明者らの界面は、陽イオン化モードで使用する際の迅速な最適化を確認している。しかし、多くの検体のクラスは、陰イオン化モードでより良好にイオン化し、より多くの公開された断片化データを有している。例えば、分析前に誘導体化または脱シアリル化する必要なくグリカンの完全な特徴付けを可能にする陰性モードESIを使用するCEMS実験がある。キャピラリ電気泳動はまた、メタボロームの頻繁な成分である小さな極性分子を分離するのに理想的である。陰性モードでの安定した動作を可能にするために本発明者らのCEMS界面を採用することにより、この技術の有用性が広がり、広範な化合物の高感度の分析が可能になる。
エレクトロスプレーエミッタに負の電圧を印加すると、陽性モードよりも低い大きさでコロナ放電が生じる。これを補うために、有機物を、陽性モードより高い濃度で、噴霧する溶液に添加する。それにより、表面張力およびコロナ放電開始電位が低下する。本発明者らの界面では、エミッタ溶液は電気浸透流により補充した。陰イオン化モードで界面を操作すると、噴霧溶液がエミッタ開口部から離れるように駆動される。毛管作用はシース緩衝液を補充するように作用するが、このポンピング機構は弱い不安定な流れを生じる。安定した陰性モードのエレクトロスプレーは、前方の電気浸透流を減少させ、噴霧緩衝液の希釈を減少させるために分離キャピラリをコーティングした場合にのみ実証された。コーティングされていないキャピラリで界面を操作すると、シース緩衝液の組成にかかわらず、シース緩衝液の希釈に起因して、放電開始およびエレクトロスプレーエミッタの破壊が迅速に生じる。メタノールを分離バックグラウンド電解質に添加して放電を防ぐことができるが、図2の上のチャートに示すように、それが不安定なエレクトロスプレーが発生させる。さらに、電気泳動添加剤としてのメタノールは、分離バックグラウンド電解質の分離特性および導電性を劇的に変化させる。
非コーティングのボロシリケートガラスエミッタは、電気浸透流がシース電解質を噴霧先端開口部から離れるように駆動するため、負の極性での不良なエレクトロスプレー性能に至る。図2(3分後に終了した不安定なエレクトロフェログラムを示す上のチャート)は、3:1のメタノール:水に0.1%のギ酸を含む噴霧電解質、およびThermo LTQ質量分析計を用いた非コーティングエミッタの陰イオンモードのバックグラウンド電解質のベースピークエレクトロフェログラムを示している。この酸性噴霧電解質でさえ、エレクトロスプレーは非常に不安定で、大きな振動を生じていた。これらの振動は、毛管作用、電気浸透流、およびエレクトロスプレーの組み合わせによる可能性が高い。負電位を電解質補充エミッタに印加すると、エレクトロスプレーが形成される。エレクトロスプレーの間、エレクトロスプレー電解質は、エレクトロスプレーと電気浸透の組み合わせによってエミッタから消耗される。最終的に、エミッタは、過度に枯渇してエレクトロスプレーを維持できなくなり、エレクトロスプレーが停止する。エレクトロスプレーが停止すると、毛管作用がエミッタ先端を補充し、エレクトロスプレーが再確立され、サイクルが繰り返される。
本発明者らは上記の回避策の代替案を提示している。エミッタの化学的性質を変えることにより、エミッタ内の電気浸透流を操作し、分離バックグラウンド電解質または分離キャピラリを変更することなく安定した陰性モードエレクトロスプレーを生成することができる。既に知られている分離バックグラウンド電解質および比較的安価なコーティングされていないキャピラリを利用する陰イオン化モードでの鋭敏な分析は、変更されたエミッタを使用している場合に可能である。
緩衝液の組成およびエレクトロスプレーエミッタの開口サイズは、陰性モードエレクトロスプレーイオン化を行う際の重要なパラメータである。陰イオン化モードでの放電開始電位は、同じエミッタオリフィスサイズに対して陽イオン化モードでの放電開始電位よりもずっと低い。適当な改変がなければ、コロナ放電は、先端を融解することによって、ボロシリケートエミッタを急速に破壊する。メタノール含有量の増加は、シース液の表面張力を減少させ、エレクトロスプレー開始電位を低下させることによって、安定したエレクトロスプレーを作り出すよう促す。シース緩衝液が50容量%未満のメタノールを含有する場合、安定したエレクトロスプレーが任意の電圧で達成し得る前に、コロナ放電が観察された。25ミクロン超の開口を有するエレクトロスプレーエミッタも容易に放電し、安定したエレクトロスプレー開始電位はコロナ放電開始電位に非常に近かった。
シース緩衝液のpHはエミッタのEOFを決定する。15〜20ミクロンの開口を有するコーティングされたボロシリケートエミッタの3:1メタノール:水混合物の10mMの酢酸アンモニウムからなるシース緩衝液は、−1.0kV〜−1.75kVの印加電位で、安定した陰性モードエレクトロスプレーおよび−1.75kV超の放電を生成する。酢酸アンモニウム溶液は、新しく製造されたとき、通常約6.2のpHを有する。噴霧溶液のpHが約6であるのを確実にすることは、陰性モードイオン化のための電荷利用可能性を最大化するために重要であり、塩基性のpHへ曝露することでエミッタコーティングに損傷を与えない。
コーティングされたエミッタの製造において、チューブはまずアミノプロピルトリメトキシシランで処理した。次にこのプレコートされたチューブを約20μmの内径のオリフィスに引っ張った。図3にエミッタの概略図を示す。エミッタの円錐状の引っ張られた部分は、およそ2mmの長さであった。エミッタのこの部分は、引っ張り中に加熱した。このことは、アミノプロピルトリメトキシシランコーティングを破壊する。エミッタのこの部分は、先端から遠ざかる方向に向けられた電気浸透を生成する。しかし、エミッタの内面の>90%が引っ張りプロセス中に加熱されず、そのため加熱されていないアミノプロピルトリメトキシシランコーティングは、引っ張りプロセスに耐え、エミッタオリフィスに対して十分な電気浸透を生成する。
エミッタがコーティングされていない場合、メタノールを含まないCZEバックグラウンド電解質は、エレクトロスプレー界面のメタノール含有を希釈し、陰性モードで放電させるが、コーティングを適用する場合、これは必要ではない。したがって、1Mの酢酸を、その後の全実験用のCZEバックグラウンド電解質として選択した。コーティングはエミッタの開口部に向かってEOFを生成するので、噴霧緩衝液はコーティングされていないエミッタと同じ程度まで希釈されず、分離バックグラウンド電解質を変更することなく安定したエレクトロスプレーを維持することができる。分離バックグラウンド電解質がメタノールを含有しない場合であっても安定したエレクトロスプレーを作り出したことは、エミッタ先端において噴霧緩衝液を補充するのに十分なEOFが生成されたという証拠である。
5つのアミノ酸標準の較正曲線を図4に示す。アミノ酸の感受性はセリンを除いて等電点に基づいて変化した。標準混合物の中で最も酸性のアミノ酸であるアスパラギン酸は、同等の量の注入に対して最高の強度を生じたが、アルギニンはセリンの他に、最も産生が少なかった。ロイシンおよびアルギニンの強度は、3桁の大きさにわたって線形であったが、他の3つのアミノ酸については250倍の希釈で非直線性が観察され、これらの点は較正から除外された。アルギニンおよびセリンの較正は、それぞれ、注入された330および590アトモルに直線的に低下したままであった。他の較正は、3〜7フェムトモルに注入され、直線的なままであった。表1は、各アミノ酸の検出限界を列挙する。検出限界(LOD)は、キャピラリに注入されたものの150〜900アトモルである。HPLCおよびThermo Q−Exactiveの機器を用いて以前に分離および検出したアミノ酸は、3分の分離で注入された1フェムトモル〜2.5ピコモルの同じアミノ酸の検出限界を生じた。本発明者らのCE−MSベースの方法は、同様の分離時間において1〜3桁の大きさだけ良好なLODで、このUPLCベースの方法を改善する。本発明者らのCE−MS法は、比較的安価なコーティングされていないキャピラリを使用するというさらなる利点がある。
表1 分析される5つのアミノ酸の検出限界。値は、キャピラリ上に注入されたアトモルとして報告されている。LODは、較正曲線を構築するために行った各注入についてのシグナル対ノイズ比を測定することによって計算した。LODは、すべての注入および濃度にわたって平均された。誤差の値は、標準偏差によって算出された95%信頼区間を表す。
5つの標準のそれぞれについて抽出されたイオンエレクトロフェログラムを図5に提示している。すべての基準の分離は5分で完了した。各エレクトロフェログラムは、テーリングがほとんどまたはまったくない良好なピーク形状を示す。ピーク幅(FWHM)は2〜5秒であり、プレート数は15,000〜20,000である。陽性モードで動作するエレクトロスプレー界面も同様の結果をもたらした。分析が良好なピーク形状および再現性であることは、コーティングされたエミッタが使用されたときの界面の安定性を実証している。
以下の実施例は、上記の本発明を説明するためのものであって、その範囲を狭めるものとして限定するものではない。当業者は、実施例が本発明を実施することができる他の多くの方法を示唆していることを容易に認識するであろう。本発明の範囲内にとどまりながら、多くの変形および修正を行うことができることを理解されたい。
[実施例1]
材料
酢酸、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび酢酸アンモニウムは、Sigma−Aldrich(セントルイス、米国)から購入した。ギ酸(FA)およびアセトニトリル(ACN)は、Fisher Scientific(ピッツバーグ、米国)から購入した。メタノールはHoneywell Burdick&Jackson(Wicklow、アイルランド)から購入した。Thermo Scientific(ウォルサム、マサチューセッツ州)のNano Pureシステムを用いて脱イオン水を生成した。コーティングされていない溶融シリカキャピラリはPolymicro Technologies(Phoenix、米国)から購入した。Sutter Instrument Company(Novato、米国)からのボロシリケートガラスキャピラリ(外径1.0mm、内径0.75mm、および長さ10cm)からエミッタを調製した。分析に使用した溶媒はすべてHPLCおよびMSグレードであった。ボロシリケートガラスキャピラリ(1000OD/750ID)はSutter Instrument Company(Novato、米国)から入手した。分離キャピラリはPolymicro(Phoenix、米国)から入手した。PEEKスリーブおよび継手は、IDEX Corporation(Lake Forest、イリノイ州、米国)から購入した。
キャピラリゾーンの電気泳動−質量分析
実験は、電気運動的にポンピングされた図1のナノエレクトロスプレー界面に連結させた局所的に構築されたCZE機器を用いて実施した(Sun,L.,et al.J.Proteome Res.14(2015)2312−2321)。この界面については、他の箇所で詳細に説明している。分離キャピラリを、プラスチックのクロスを介してガラスエミッタに通した。クロスの片側の腕部を、エレクトロスプレーシース電解質を含むリザーバに接続した。クロスのもう一方の側方の腕部は、キャピラリの設置後に界面を洗い流すために使用された注射器に接続させた。
このシステムは、LabVIEWプログラム(National Instruments、Austin、米国)によってコンピュータによって制御される2つのSpellman CZE−1000Rの電源(Spellman High Voltage Electronics Corporation、Hauppauge、米国)を使用する。1つの電源を注入端リザーバに接続した。第2の電源をエレクトロスプレー界面に接続した。電気泳動は、電源間の電位差によって駆動される。エレクトロスプレーは、第2の電源と接地された質量分析計の入口との間の電位差によって駆動される。
バックグラウンド電解質(BGE)は水に1Mの酢酸を入れたものであり、エレクトロスプレー溶液は75%メタノールに10mMの酢酸アンモニウムを入れたものであった。噴霧溶液のpHは典型的には6.2である。試料は、Q−Exactive HF質量分析計(Thermo Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)で、三つ組で実行する。解像度は30,000(m/z=200)、AGCの標的は3E6、m/zスキャンウィンドウは90〜500に設定した。
試料を10psiで1秒間の圧力注入によってキャピラリ上に導入し、約1nLの注入体積が得られた。分離は、26.5kV(750V/cm)の電位を使用して、35cmの長さのコーティングされていない外径150μm、内径20μmの溶融シリカキャピラリで行った。エレクトロスプレーは−1.5kVで行った。
コーティングされたエミッタの調製
コーティングプロセスは3つのステップからなっていた。最初に、ボロシリケートエミッタキャピラリを、30分間0.1MのNaOHで、流出液がpH7.0に達するまで水で、60分間0.1MのHClで、pHが7.0に達するまで再度水で、最後にメタノールで連続して洗い流すことで、前処理した。エミッタキャピラリを、コーティング前に室温で、窒素流の下で乾燥させた。コーティングプロセスの第2のステップは、その時にエミッタキャピラリに3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)の50%(v/v)溶液を充填することであった。エミッタキャピラリの両端をシールし、キャピラリを45℃の水浴で12時間置いた。最後のステップは、エミッタキャピラリをメタノールで完全にすすぎ、次に室温の窒素流の下で乾燥させることであった。
エミッタキャピラリを、次に、Sutter P−1000マイクロピペットプラーにより、熱の設定を475、引っ張りの設定を0、速度の設定を20、ディレイを250、圧力を550、ディレイモードを使用、安全な加熱を使用、ランプを490というパラメータを用いて、2つの先細りしている先端エミッタに引っ張った。ランプのパラメータは、ランプテストの特徴を使用する各引っ張りセッションの前に、調整されている。これらの設定では、出口オリフィスの直径が15〜20μmの先端を引っ張った。エミッタ開口の大きさは光学顕微鏡で測定した。先端のプラーがエミッタキャピラリの遠位端を加熱し、コーティングのその部分を破壊することに留意されたい。しかし、エミッタのコーティングの大部分は加熱によって損傷を受けず、陰イオンモードで安定したエレクトロスプレーを生じるのに十分なEOFを支える。
エミッタの先端を、4方向のPEEKユニオンにねじ込まれたナットおよびフェルールを備えた適切なサイズのPEEKスリーブに挿入した。エミッタの反対側で、分離キャピラリ(外径150μm、内径20μm、長さ35cm)をナットとフェルールで別のPEEKスリーブに挿入し、ユニオンにねじ込んだ。その後、分離キャピラリを、ユニオンを経てエミッタ内に通すことができる。ユニオンの他の2つの開口は、洗い流すためのシリンジアタッチメントを取り付けるため、および高電圧電源に接続されたシースリザーバに通じるチューブを接続するために使用する。エミッタ装置を図1に示す。
図2の下のチャートは、コーティングされたエミッタを用いて分析されたホスホコリン試料のベースピークのエレクトロフェログラムを提示している。1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンおよび1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを凍結乾燥粉末として購入し、メタノール(Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州、米国)で再構成した。次いで、CEMSによる分析のために、それらを1Mの酢酸において100μMに希釈した。10psiで4秒間の圧力注入により、試料を長さ60cm、外径150μm、および内径20μmのキャピラリに挿入した。28kV(467V/cm)の分離電圧を印加した。−1.4kVをエレクトロスプレー界面に印加した。分離バックグラウンド電解質は75:20:5の水:メタノール:酢酸であった。ESIのために、20ミクロンの開口を有する先細の先端に引っ張った3−APSコーティングエミッタを使用した。陰性モードのESI用の噴霧緩衝液は、3:1のメタノール:水の混合物に10mMの重炭酸アンモニウムを入れたものであった。質量分析の検出は、400〜2000m/zの範囲で陰イオンモードで操作するLTQ XL質量分析計(Thermo Scientific、米国マサチューセッツ州、ウォルサム)で行った。
アミノ酸較正曲線
5つのアミノ酸を選択して、界面の安定性および感度を実証する較正曲線を作成した。5つのアミノ酸は、すべてのアミノ酸を代表する等電点および疎水性などの特性に基づいて選択された。ストックは、MSグレードの水に各アミノ酸を入れたものから作製され、次いで分離バックグラウンド電解質で連続する濃度に希釈された。標準の初期の混合物の濃度を表2で挙げている。
表2 全連続希釈液を作成した初期の標準混合物の濃度。1倍、5倍、25倍および250倍の希釈で混合を実行して、較正曲線を構築した。
分離バックグラウンド電解質は1Mの酢酸であり、エレクトロスプレーの緩衝液は75%メタノールに10mMの酢酸アンモニウムを入れたものであった。噴霧緩衝液のpHは6.2であった。標準混合物の連続希釈を5倍、25倍および250倍で行い、較正曲線を作成した。試料は、Q−Exactive HF質量分析計(Thermo Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)で、三つ組で測定した。解像度は30,000に設定し、AGCの標的は3E6であり、m/zスキャンウィンドウは90〜500に設定した。試料を10psiで1秒間の圧力注入によってキャピラリ上に導入し、1nLの注入体積となった。分離は26.5kV(750V/cm)で行い、エレクトロスプレーは−1.5kVで行った。Thermo RAWファイルは、MSconvertによってmzXMLに変換した。データは、MATLAB(Mathworks Inc.、Natick、マサチューセッツ州、米国)で分析した。エレクトロフェログラムを、標的質量の5ppmの耐性で抽出した。その後、ローウェスフィルタリング(Lowess filtering)、ガウシアンの畳み込みおよびベースラインの調整を施した。各標準に対応するピークの最大強度を用いて較正曲線を構築した。
胚の採取と代謝産物の抽出
すべての動物の処置は、ノートルダム大学動物実験委員会(University of Notre Dame Institutional Animal Care and Use)によって承認されたプロトコルに従って行った。アフリカツメガエルの胚を受精させ、採取し、公表されているプロトコル(Peuchenら、Anal.Bioanal.Chem.408(2016)4743−4749)を用いて処理した。胚は発育段階1で採取した。胚につき、55μLの2:2:1のアセトニトリル:水:メタノールにて、胚をエッペンドルフチューブに入れた。混合物をまずピペッターを用いて粉砕し、次いでボルテックスして低分子代謝産物を遊離させた。チューブを遠心分離し、上清を除去し、清澄化し、液体窒素で急速凍結した。抽出物は、CZE−MSにより直接分析するまで−80℃で保存した(図6)。
データの分
Thermo RAWファイルは、MSconvertによってmzXMLに変換した。さらなる分析のために、データをMATLAB(MathWorks、Natick、マサチューセッツ州、米国)に移入した。
概要
アミノプロピルトリメトキシシランによるESIエミッタのコーティングは、エミッタのEOFの方向を逆転させ、CZE−MS用の電気運動的に駆動されるシース流の陰極性ESI界面の構築を可能にする。この界面は、アミノ酸標準の分析に成功裏に適用されている。陰性モードESI用の電気運動的に駆動される界面の安定性および感度を、3桁の大きさにわたって実証し、検出限界は、5分の分離に対して注入されて150〜900アトモルであり、比較可能なHPLC法よりも著しく改善していた。有機添加剤を含まない分離バックグラウンド電解質の使用を可能にするエレクトロスプレーエミッタにおいて、前方EOFを維持する。陰性モードのESIに連結されたCZEの電気運動的に駆動されるシース流の界面は、従来の機械的にポンピングされたシース流の界面において高い流速でエレクトロスプレー緩衝液をポンピングすることによって生じる感度の低下なしに、分離バックグラウンド電解質およびエレクトロスプレーの緩衝液の独立した最適化を可能にする。
開示された実施形態および実施例を参照して特定の実施形態を上で説明してきたが、そのような実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明から逸脱することなく、以下の特許請求の範囲に定義されているより広範な態様において、当業者に変更および修正を加えることができる。
すべての刊行物、特許、および特許文書は、参照により個々に組み込まれているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本開示と矛盾していない制限を、本開示から理解するべきではない。本発明を、様々な具体的かつ好ましい実施形態および技術を参照しながら説明した。しかし、本発明の精神および範囲内にとどまりながら、多くの変形および修正を行うことができることを理解されたい。

Claims (24)

  1. 質量分析計用のエレクトロスプレーイオン化界面であって、
    陰性モードのシース液の電気浸透流(EOF)用のガラスエミッタであって、表面が、前記表面に共有結合された1つ以上の有機化学物質のコーティングを含み、前記有機化学物質は1つ以上の官能基を含むガラスエミッタと、
    シース液の注入口と
    を含み、
    前記ガラスエミッタに導入されたシース液にエレクトロスプレー電圧が印加されるとき、前記官能基に形成された正電荷は、陰性モードで前記EOFの方向を安定させる、エレクトロスプレーイオン化界面。
  2. 前記ガラスエミッタは、遠位端にオリフィスを備えた中空シリンダであり、前記オリフィスの内径は、前記シリンダ本体の内径よりも小さく、前記シース液の前記EOFは、前記オリフィスに向かう方向に横切り、前記シース液が前記オリフィスを出るときに、イオン化されたエレクトロスプレーが形成される、請求項1に記載の界面。
  3. 前記ガラスエミッタの全部より少ない部分が前記官能基を含む、請求項1に記載の界面。
  4. 分離キャピラリをさらに含む界面であって、前記キャピラリが分離バックグラウンド電解質を含み、前記分離バックグラウンド電解質の混合物中の1つ以上の分析物が前記キャピラリで分離され、前記キャピラリを出る前記検体は前記分離キャピラリの前記遠位先端の周りの前記シース液の前記EOFにより、前記オリフィスに向かって送られる、請求項1に記載の界面。
  5. 前記ガラスエミッタオリフィスの前記内径が約10μm〜約25μmである、請求項2に記載の界面。
  6. 前記官能基が、エミッタオリフィスと反対の方向にEOFを実質的に防止し、それによってエレクトロスプレー強度の変動を最小化する、請求項2に記載の界面。
  7. 前記ガラスエミッタを出る前記イオン化されたエレクトロスプレーのエレクトロスプレー強度の最小限の変動が、1フェムトモル未満の検体の検出限界をもたらす、請求項6に記載の界面。
  8. 検体の前記検出限界が約150〜約900アトモルである、請求項7に記載の界面。
  9. エレクトロスプレーイオン化−質量分析計(ESI−MS)用のエミッタであって、
    遠位端にオリフィスを有する中空シリンダであって、前記オリフィスの内径は前記シリンダ本体の内径よりも小さく、前記エミッタの表面は前記表面に共有結合した1つ以上の有機化学物質のコーティングを含み、前記有機化学物質は、1つ以上の官能基を含む中空シリンダ、および
    前記エミッタとシース液の注入口とのユニオン
    を含み、
    前記エミッタに導入された前記シース液に陰性モードのエレクトロスプレー電圧が印加されるとき、前記官能基に形成された正電荷が前記シース液の電気浸透流(EOF)の方向を前記オリフィス方向に安定させ、イオン化したエレクトロスプレーが、前記シース液が前記オリフィスを出るときに形成される、エミッタ。
  10. 前記エミッタが、1つ以上の前記官能基によって完全に、実質的に、または部分的にコーティングされたボロシリケートガラスを含む、請求項9に記載のエミッタ。
  11. 前記表面エミッタの約10%〜約90%が1つ以上の前記官能基によってコーティングされている、請求項9に記載のエミッタ。
  12. 前記エミッタの前記表面に共有結合した前記有機化学物質は、有機アミンを含む、請求項9に記載のエミッタ。
  13. 前記エミッタオリフィスの前記内径が約5μm〜約30μmである、請求項9に記載のエミッタ。
  14. 使用中に前記エミッタオリフィスを出るイオン化されたエレクトロスプレーバックグラウンド信号の強度が、約±2×10強度ユニット未満に安定化され、対応するエレクトロフェログラムベースラインの変動性が少なくとも10倍減少する、請求項9に記載のエミッタ。
  15. 陰性モードエレクトロスプレーイオン化−質量分析計(ESI−MS)用のガラスエミッタを適合させるための方法であって、
    ガラスエミッタの表面に官能基を有する有機化学物質を共有結合させることであって、ここで前記ガラスエミッタは遠位端にオリフィスを含む中空シリンダであり、前記オリフィスの内径は前記シリンダ本体の内径より小さい、共有結合させること、および
    前記ガラスエミッタと分離キャピラリとを質量分析計に接続することであって、ここで分離バックグラウンド電解質の1つ以上の検体の混合物は前記キャピラリで分離される、接続すること
    を含み、
    前記エミッタに導入されたシース液に陰性モードのエレクトロスプレー電圧が印加されたとき、前記シース液の前記オリフィス方向への電気浸透流(EOF)の方向を安定化させるために前記官能基に正電荷が形成され、前記キャピラリを出る前記検体が、前記キャピラリの前記遠位先端の周りの前記EOFによって前記オリフィスに向けて移送され、前記シース液と前記検体が前記オリフィスを出るときにイオン化されたエレクトロスプレーを形成する方法。
  16. アミノアルキルシランがガラスエミッタの表面に共有結合し、アミノアルキルシランのアミノ部分は正に荷電している、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ガラスエミッタオリフィスの前記内径が約10μm〜約25μmである、請求項15に記載の方法。
  18. 前記安定させたEOFが安定したエレクトロスプレーを生成する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記検出限界が約1フェムトモル未満である、請求項17に記載の方法。
  20. 試料を分析するためのESI−MS分析方法であって、
    i)質量分析計を、a)請求項1の前記エミッタおよび前記シース液注入口と、b)分離バックグラウンド電解質の1つ以上の検体の混合物が前記キャピラリで分離されている分離キャピラリとに接続することであって、
    ここで陰性モードのエレクトロスプレー電圧が、前記注入口を介して前記エミッタに導入されたシース液に印加されると、前記キャピラリを出る前記検体は前記キャピラリの前記遠位先端の周囲の前記シース液の前記安定したEOFによって前記オリフィスに向かって移送され、それによって前記シース液と前記検体が前記オリフィスを出て、続いて前記質量分析計に入るときに安定化されたエレクトロスプレーを生じる、接続すること、および
    ii)約1フェムトモル未満の検出レベルで質量分析によって前記試料を分析し、それにより前記試料の検体の存在および相対量を判定すること
    を含む方法。
  21. 前記試料の検体がキャピラリゾーン電気泳動(CZE)によって分離される、請求項20に記載の分析方法。
  22. 前記試料が、1つ以上の脂質、1つ以上の炭水化物、1つ以上の代謝化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の分析方法。
  23. CZE用の分離バックグラウンド電解質および前記シース液が有機添加物を含まない、請求項21に記載の分析方法。
  24. 前記シース液の高い流速またはエレクトロスプレーバックグラウンド電解質の高速流により検出限界が実質的に減少しない、請求項23に記載の分析方法。
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