JP2019508032A - がん性疾患をステージング、タイピングおよび処置するための手段および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数の播種性がん細胞(DCC)のDNAの体細胞変化を検出するステップ;および
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ
を含み、DCCの体細胞進化が、がん性疾患のステージ/タイプを示す、前記方法に関する。
(a)1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数の播種性がん細胞(DCC)のDNAの体細胞変化を検出するステップ;および
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ
を含み、DCCの体細胞進化が、がん性疾患のステージ/タイプを示し、がん性疾患がメラノーマである、前記方法に関する。
(a)1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数のDCCのDNAの体細胞変化を検出するステップ;および
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの転移性シグネチャー(すなわち、体細胞進化)を決定するステップ
を含む、前記方法に関する。
(a)対象の1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数のDCCのDNAの体細胞変化を検出するステップ;
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ;および
(c)ステップ(b)で決定されたDCCの体細胞進化に基づいて、がん性疾患のステージ/タイプを決定するステップ
を含み、がん性疾患のステージ/タイプが、前記がん性疾患の療法を開始する、継続する、または中止するために使用される、前記方法に関する。
(a)対象の1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数のDCCのDNAの体細胞変化を検出するステップ;
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ;および
(c)ステップ(b)で決定されたDCCの体細胞進化に基づいて、がん性疾患のステージ/タイプを決定するステップ
によって決定される、医薬組成物にも関する。
細胞が播種し、コロニーを形成する時の腫瘍の厚さ
触診および超音波によって評価された臨床的に節陰性の疾患を有する患者において、どの腫瘍厚さのメラノーマがセンチネルリンパ節(SLN)に播種するかを調査した。センチネルリンパ節中の単一のメラノーマ細胞のための高感度かつ定量的なgp100に基づく検出方法(Ulmer et al. (2005), Clin Cancer Res. 11, 5425-5432)を、1027人のメラノーマ患者上での前向き研究に適用した(Ulmer et al. (2014) PLoS Med. 11:e1001604)。これらのうち、51%がgp100陽性細胞を有していた(Ulmer et al. (2014) PLoS Med. 11:e1001604)が、70の対照試料のうち単一のgp100陽性細胞ではなかった(患者あたりのスクリーニングされた細胞の平均数は2.3x106個)。比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)分析の際に、リンパ節に由来する無作為に選択されたgp100陽性細胞の98%が、コピー数変化を有することが見出された(Ulmer et al. (2014) PLoS Med. 11:e1001604)。対照のために、30の単一の白血球を単離し、いかなる異常も示さない対照細胞を用いてCGH分析を実施した(p<0.0001;Fisherの直接確率検定;図8)。
播種および生存
薄いT1腫瘍と厚いT4腫瘍との間の播種率のわずかな差異(13.6%)が生存とどのように関連しているかを探査するために、5年以上のフォローアップを有する370人(36%)の患者について、どれぐらい多くの患者が、49ヶ月の中央フォローアップ期間(3〜123ヶ月)中に死亡したかを決定した。T1ステージのメラノーマの38/83(46%)がセンチネルリンパ節中にDCCを有していたが、ただ1人の患者が死亡し、以前の研究と一致していた(Balch et al. (2009), JCO 27, 6199-6206);Leiter et al., (2004) JCO 22, 3660-3667)。対照的に、T4メラノーマを有する47/133(35%)人の患者が死亡した(図1E;9年生存率は、T1については88.9%であり、T4については45.9%であった;p<0.0001、ログランク検定)。このようにして、播種と死亡に関してT1メラノーマとT4メラノーマの間に相違がある。
原発腫瘍およびDCCの遺伝子系列
T1メラノーマとT4メラノーマとの転帰と関連する差異に対処するための標準的な手法は、原発腫瘍組織を使用する。原発腫瘍およびDCCは大まかには同一であると考えられるため、転移を開始するDCCの分子的特徴を原発腫瘍内で同定することができると仮定する。この仮定を試験するために、原発腫瘍およびその一致したDCCのゲノムプロファイルを調査した。
早期リンパ系到達時のDCCの分子的特徴
厚いメラノーマに由来するDCCは、薄いメラノーマに由来するDCC中には存在しない、高いTステージの予後関連性の原因となる特徴的変化を有することができた。したがって、到達時間を表すものとしての明らかなリンパ節定着およびそのゲノムプロファイルを調査する前に、焦点をDCCに設定した。
定着するDCCの分子的特徴
これらのデータは、播種が後に起こり、高い腫瘍厚さで獲得された遺伝子異常がDCCをより転移性にするモデルと一致させるのが難しい。したがって、SLNに早期に播種するDCCは遺伝的に「未熟」であり、転移性コロニー形成中にさらなる遺伝子変化を獲得する可能性を考慮した。このようにして、センチネルリンパ節中で未熟なDCCからコロニー形成性DCCへの移行を示す遺伝子変化を調査した。DCCD DCCをその遺伝子変化に従って2つの群に分類することができることが分析された。最も高い有意性(p<0.001、Fisherの直接確率検定)は、77≦DCCD≦95(図5A)について達成され、100のDCCDに近く、定着は組織病理学的分析において明らかとなった(図1B)。DCCは、メラノーマ抑制遺伝子p16(図5B)を含む、BRAF変異、染色体9p11−13の喪失および染色体9p21−24の喪失を含む3つの遺伝子変化を獲得した。顕著には、BRAF変異はDCCD<95を有する細胞の1/43(2%)およびDCCD≧95の場合の細胞の20/47(42%)において観察された(図5C;p<0.0001)。2つのさらなる有意な分割が観察された:DCCD=3で、染色体Xq25−28を含み、DCCD=19で、7q21−36を含む。Xq25−28は、DCCD<3を有する患者に由来するDCC中で、非指向的様式で、すなわち、獲得または喪失で頻繁に変化した(図5C)が、DCCD≧19を有する試料は、METがん遺伝子を有する7q21−36の増幅(獲得)(図5B、C)を富化した。
定着関連変化、異種移植および患者生存
リンパ節コロニーを形成するがん細胞は、変化の特徴的シグネチャーを示した。DCCが腫瘍を発生させる能力を有するかどうかを試験するために、それらをNSGマウスに移植した。希少なメラノーマ細胞の異種移植のための第1の条件を評価した(Quintana (2008) Nature 456, 593-598)。細胞株の細胞および患者のDCCについては、2つの手法を比較した:メラノスフィア条件下での簡単な培養後のDCC群の直接移植およびDCC−スフィアの移植。メラノスフィアは、単一細胞群よりも頻繁に、免疫欠損NSGマウスにおいて腫瘍を形成した(p<0.0001、ログランク検定;図6A、Bおよび図14)。適用された条件は、わずか1個の移植されたスフィア(図6B)または7の群サイズのDCC(図6C)からの増殖を支援した。したがって、SLNからのDCCの腫瘍を発生させる能力を、DCCD≦100からDCCD>100を有するものまでと比較した場合、DCCD≦100を有する試料に由来するスフィアまたはDCCD>100を有する試料に由来する単一のDCCのスフィアまたは群を移植した。注入部位あたりのスフィアの数は、DCCD≦100と>100の両方について類似していた(p=0.27、マン−ホイットニーU検定;図6C)。顕著には、DCCD>100は異種移植の成功を予測する(9/36の移植が4/7の患者において腫瘍を生じた;図6C)が、DCCD≦100を有する試料は腫瘍を決して確立しない(0/5の患者において0/14の注射部位)ことが見出された。遺伝子フィンガープリントにより、全事例において患者起源が確認された(図14)。さらに、全ての患者由来異種移植片において、BRAF変異、9p11−13もしくは9p21−24の喪失、または7q21−36の獲得が存在していた(図6D)。1つの事例において、増殖の成功はNRAS変異の存在と関連していた。
免疫細胞微小環境の定着関連変化
リンパ節懸濁液のフローサイトメトリー分析により、抗原を受けたCD8リンパ球のパーセンテージと、DCCDとの相関(Spearmanのρ=0.58、p<0.002)が示され、これは、腫瘍細胞と関連するCD8 T細胞応答の存在を示している(図15A)。しかしながら、対応するリンパ節のDCCDに関するCD8 T細胞の表現型の詳細分析により、DCCD≧2000でPD−1高発現CD8 T細胞のパーセンテージの有意な増加が示された(図15B;p<0.0004、Fisherの直接確率検定、n=50、メラノーマ患者由来リンパ節、n=6、健康な対照に由来する対照リンパ節)。PD−1は、T細胞活性化に応答してT細胞上で誘導されるが、一度、免疫応答が抗原を排除したら、下方調節される。抗原が消滅しない場合、慢性ウイルス感染と同様、PD−1は下方調節されず、T細胞は段階的様式でエフェクター機能を失う:IL−2産生、高い増殖能力および細胞溶解活性が最初に失われ、次いで、サイトカイン産生が減じられる。これに関して、高レベルのPD−1を発現するCD8 T細胞は、最終的に消耗したT細胞と考えられる。これらの細胞は、消耗したT細胞の別のマーカーであるTim−3(図15B)を同時に発現し、サイトカイン産生の能力が減じられている。さらに、IFNgおよびTNFを産生することができる細胞のパーセンテージは、PD−1を中間に発現する集団と比較してPD−1高発現集団において低下していたが、これは、PD−1高発現細胞が消耗したCD8 T細胞であることを示している(図15C)。26人のメラノーマ患者に由来する50のリンパ節および6人の非腫瘍患者に由来する6のリンパ節の分析により、IFNgおよびTNFに関するスコアがDCCD≧2000で有意に減少することが示された(図5D;両方ともp<0.0001、Fisherの直接確率検定)。IFNgまたはTNFスコアは、PD−1中間CD8 T細胞に対するサイトカイン産生PD−1高CD8 T細胞のパーセンテージの比を掛けた、PD−1高CD8 T細胞に対するPD−1中間および陰性CD8 T細胞のパーセンテージの比と、PD−1中間発現細胞の中央蛍光強度に対するサイトカイン発現PD−1高CD8 T細胞の中央サイトカイン蛍光強度の比とを組み合わせたものである。スコアの低下は、消耗したCD8 T細胞数の増加および結果として、CD8 T細胞機能の喪失を示す。DCCD<2000を有する同じ患者のいくつかのリンパ節は消耗したCD8 T細胞のこの増加を示さなかったため、PD−1高CD8 T細胞の存在は、リンパ節中のDCCの局所数と直接関連していた(図15E)。CD8 T細胞機能の喪失に加えて、抗腫瘍免疫応答の局所機能損傷は、動員レベルで、免疫抑制性未熟MDSC(図16A)および細胞溶解性NK細胞機能の喪失(図16B)を反映していた。具体的には、DCCD≧2000を有するリンパ節において、有意に増加したパーセンテージの未熟MDSCが観察された(図16A;p<0.007、Fisherの直接確率検定、n=39、メラノーマ患者由来リンパ節、n=2、健康な対照に由来する対照リンパ節)。CD8 T細胞機能の喪失に関しては、非細胞溶解性CD56brightの細胞溶解性CD56dim細胞に対する比の低下によって明らかな細胞溶解性NK細胞機能の喪失は、1人の患者のいくつかのリンパ節の対照比較によって示されたように、対応するリンパ節における局所DCCDと直接関連していた。まとめると、これらのデータは、CD8 T細胞およびNK細胞機能の観察された変化ならびにMDSCの動員が局所腫瘍細胞量に対する局所反応と似ていることを示している。
患者
本発明者らは、厚さとメラノーマ拡散との関係を説明するために、センチネルリンパ節生検を受けた臨床的に節陰性の(触診および超音波によって評価される)メラノーマを有するTubingen出身の1027人のメラノーマ患者からのデータを使用した(Ulmer (2014) PLoS Med 11, e1001604)。分子試験およびBRAF/NRAS変異生存分析は、TubingenおよびRegensburgで募集された患者を含んでいた。書面によるインフォームドコンセントを、全患者から取得した。試験は、Universities Tubingen(倫理投票番号5/99)およびRegensburg(07−079)の倫理委員会によって認可された。
メラノーマ細胞株A375およびMelHoを使用した(Leibniz Institute DSMZ−German Collection of Microorganisms and Cell culturesから取得した)。MelHoは、患者の起源が不明なため、誤って同定された細胞株に関するICLACデータベースに列挙されているが、この細胞株はエクソン15の変異c1799T>A(BRAF)について異種であるため、これを使用した。細胞株の起源を、ショートタンデムリピート(STR)分析(Cell−ID(商標)、Promega)によって検証した。細胞株70−61および102−4は、DCC由来異種移植片から開発され、それぞれ、Sangerの配列決定(Sequiserve、Vaterstetten、Germany)により決定された場合、エクソン15変異c1799T>A(BRAF)およびエクソン3変異c181C>A(NRAS)が変異している。その患者起源を、ショートタンデムリピート(STR)分析(Cell−ID(商標)、Promega)により検証し、そのメラノーマ起源をヒト病理医によって検証し、その異常遺伝子型をCGHによって検証した。A375およびMelHoを、DMEM、10%FCS、0.5xPen/Strep中で維持し、102−4および70−61をRPMI、10%FCS、0.5xPen/Strep中で維持した。全細胞株を、マイコプラズマについて日常的に試験し、陰性であることがわかった。
対照リンパ節(n=70)を、60人の非メラノーマ患者から取得し(非悪性状態に由来する47の皮膚−流入領域リンパ節、非メラノーマ皮膚がん患者に由来する6のセンチネルリンパ節、および非小細胞肺がん患者に由来する17のリンパ節)、分離し、染色し、メラノーマ由来リンパ節と同一に評価した。2x106個のリンパ球をスクリーニングした後、対照リンパ節状態を観察者に示し、メラノーマ患者試料と違って、完了まで試料のスクリーニングを継続した。
非固定リンパ節組織を使用してセンチネルリンパ節生検後に定量的免疫細胞学的分析を記載のように実施した(Ulmer (2014) PLoS Med 11, e1001604 and Ulmer (2005) Clinical cancer research : an official journal of the American Association for Cancer Research 11, 5425-5432)。簡単に述べると、リンパ系組織を1mmの小片に切断し、回転ナイフ(DAKO Medimachine、DAKO)により単一細胞懸濁液に機械的に分離し、HBSS(Life Technologies、Heidelberg、Germany)を用いて洗浄し、60%Percoll溶液(Amersham、Uppsala、Sweden)から構成される密度勾配上で遠心分離した。細胞を、Neubauer計測チャンバを使用して計数した。次いで、スライドあたり、中間期に由来する106個の細胞を、1mLのPBSの容量中、接着スライド(Menzel、Braunschweig、Germany)上に与えた。1時間沈降させた後、スライドを一晩乾燥させた。一次抗体としてのgp100に対する一次抗体(HMB45、DAKO)および基質としての5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/NBT(DAKO)を使用するアルカリホスファターゼ/抗アルカリホスファターゼ法を用いて免疫細胞学的染色を実行したところ、青色の反応生成物が得られた。リンパ節が少なくとも1個のgp100陽性細胞を含有していた場合、それをgp100陽性と定義した。リンパ球100万個あたりの陽性細胞の数を記録した。全ゲノム増幅のための細胞単離まで、PBS中、4℃で最大4日間、陽性試料を保存した。生きているDCCの単離のために、単一細胞を、製造業者の推奨に従って抗ヒトMCSP(メラノーマ硫酸コンドロイチンプロテオグリカン、クローン9.2.27、BD Pharmingen)で染色し、間接免疫蛍光(ヤギ抗マウス−Cy3、Jackson)によって検出した。洗浄後、MCSP+細胞を、マイクロマニピュレーター(Eppendorf PatchMan NP2)を使用して単離し、移植した。
分離したリンパ節の単一細胞を、生きた/死んだ細胞の識別のために生存染料eFluor 780(ebioscience)で染色した。非特異的結合を減少させるために、単一細胞懸濁液をPBS/10%AB−血清(Bio−Rad)と共に4℃で10分インキュベートした後、4℃で30分、蛍光標識された抗体で染色し、PBS/2%FCS/0.01%NaN3で2回洗浄し、Fluoro−Fixバッファー(Biolegend)で固定した。細胞を、FACS DIVA 5.03ソフトウェアを装備したLSR II装置(BD Bioscience)上で分析し、データを、FloJo 8.8.6(Treestar)を用いて分析した。細胞を、以下の抗体(Biolegend)を使用して染色した。MDSCの同定のため:CD45(HI30)、CD3(HIT3a)、CD19(HIB19)、CD56(HDC56)、HLA−DR(L243)、CD33(WM53)、CD11b(ICRF44)。NK細胞の同定のため:CD45(HI30)、CD3(Sk7)、CD56(HDC56)、CD161(HP−3610)。CD8 T細胞の同定のため:CD45(HI30)、CD3(Sk7)、CD8(HIT8a)、CD45RA(HI100)、CCR7(G043H7)、PD−1(EH12.2H7)、Tim−3(F38−2E3)、TNF(Mab11)、IFNg(4S.B3)。
分離したセンチネルリンパ節の単一細胞を、6cmのポリ−HEMA(12mg/mL、Sigma−Aldrich)被覆細胞培養プレート(Sigma−Aldrich)中に、200,000個の生細胞/mLの密度で播種した。細胞を、0.5xPen/Strep(PAN Biotech GmbH)、0.5%BSA(VWR−Biochemical)、10μg/mLインスリン(Sigma−Aldrich)、10nM HEPES(Sigma−Aldrich)、1xB27(Life Technology GmbH)、10ng/mL EGF(Sigma−Aldrich)および10ng/mL bFGF(Sigma−Aldrich)、4μg/mLヘパリン(Sigma−Aldrich)、5ng/mL GRO−α(R&D Systems)、20ng/mL HIL−6(S.Rose−Johnにより進呈された)および0.2%メチルセルロース(Sigma−Aldrich)を添加した、無血清DMEM/Ham’s F12基本培地(PAN Biotech GmbH)中で増殖させた。培養物を37℃および5%CO2および7%O2でインキュベートした。スフィアの増殖を、毎週モニタリングした。メラノーマ細胞株(DMEM、10%FCS、0.5xPen/Strep中で維持したMelHo、A375)からスフィアを生成するために、単一細胞を、ポリ−HEMA被覆細胞培養プレート上、センチネルリンパ節細胞と同じであるが、HIL−6およびGRO−αを含まない培地中に、10,000個の生細胞/mLの密度で播種した。スフィアを手動で単離した。
分離したセンチネルリンパ節に由来するスフィアまたはMCSP+細胞を、マイクロピペッターまたはマイクロマニピュレーターを使用して収集し、マイウロウェル(容量10〜15μl、Terasaki)中にプールした。マイクロウェルを、RTで一晩、12mg/mLのポリ−HEMA(Sigma−Aldrich)で予備コーティングした。単一細胞を、以前に公開されたように(Quintana (2008) Nature 456, 593-598)、30μlの最終容量および25%高濃度マトリゲル(BD Biosciences)中で移植した。細胞を、NOD.Cg−PrkdcscidIL2rγτmWjl/Sz(NSG、6〜8週齢、オスおよびメス)中に、インスリン注射筒(Microfine、29G、U−50、BD Biosciences)を用いて皮下注射した。マウスを、Jackson Laboratoryから購入し、特定の病原体を含まない条件下で、酸性水および食餌を自由裁量で、University of Regensburg、Germanyの研究動物施設で維持した。全ての認可された実験動物手順を、ドイツ連邦および州の規則に従って行った。マウスを、注射部位で毎週触診した。異種移植のメラノーマ起源を、ヒト病理医によって検証し、患者起源をショートタンデムリピート(STR)分析(Cell−ID(商標)、Promega)を使用して認証した。試料の全ゲノム増殖(Klein et. al. 1999)のため、Mse Iによる制限消化を含むSTR分析の前に、STR遺伝子座TH01、D21S11、D5S818、D13S317、D16S538およびvWAのみを、検出のために使用することができる。増幅された断片を、3100−Avant Genetic Analyzer(Applied Biosystems)を使用して検出した。断片サイズを、Promegaにより提供されるCell(商標)ID Allelic LadderおよびCell(商標)ID Bins 1.0を使用して手動で決定した。
免疫蛍光染色のために、細胞を、4℃で一晩、Melan A/MART−1(Epitomicsのウサギモノクローナル抗体、希釈率1:100)およびKi−67(DAKOのMIB−1マウスモノクローナル抗体、1:50)に対する一次抗体と共にインキュベートした。二次抗体として、本発明者らは、Alexa Fluor 555(Invitrogen、ロバ抗ウサギ抗体)およびAlexa Fluor 488(Invitrogen、ロバ抗マウス抗体)を使用した。核をDAPI(青色)で、Melan AをAlexa Fluor 555(赤色)で、Ki−67をAlexa Fluor 488(緑色)で染色した。対抗染色を、封入剤(Vector、Vectashield)中の4’d−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で実施した。
病理医(P.R.)による腫瘍領域の強調後、パラフィン包埋された腫瘍ブロックからDNAを抽出した。PALM Microbeamシステム(Bernried)を、顕微解剖および捕捉のために使用した。DNAを、以前に記載されたように(Klein (2002) Lancet 360, 683-689;Klein (2002) J Exp Med 196, 359-368)、プロセッシングした。
全ゲノム増幅(WGA)を、Klein (2002) Lancet 360, 683-689;Klein (2002) J Exp Med 196, 359-368およびKlein (1999) PNAS 96, 4494-4499によって以前に記載されたように実施した。この方法は、キット(Amplil、Silicon Biosystems)として現在商業的に入手可能である。
単一細胞CGHを、Czyz (2014) PloS one 9, e85907;Klein (2002) Lancet 360, 683-689;Klein (2002) J Exp Med 196, 359-368によって以前に記載されたように実施した。ほとんどの試料について、本発明者らは、染色体CGHが単一細胞について確立された非常にロバストな方法であるため、それを使用した。本発明者らは、両方の方法を慎重に比較した。本発明者らは、同じ試料に適用した場合、アレイCGHと染色体CGHとの間に良好な一致を見出した(Czyz et al., 2014を参照されたい)。aCGHはより多くの変化(主に<10Mbの異常について)を検出することができるが、aCGHおよびcCGHに関する全体的な写真は非常に類似している。本発明者らがaCGHを使用した事例については、解像度をcCGHのものに調整した。
NRASおよびBRAF遺伝子中の変異を、WGA試料からの遺伝子特異的増幅の後にSangerの配列決定(Sequiserve、Vaterstetten、Germany)を使用して検出した。BRAFエクソン15分析のためのプライマーは以下の通りであった:コドン600の変異(V600E、以前はV599Eと呼ばれていた;V600K、V600R)を包含する、フォワード5’−TCCAGACAACTGTTCAAACTGおよびリバース5’−CTCTTCATAATGCTTGCTCTG。サイクリング温度は、94℃(2分)、60℃(30秒)および72℃(2分)で1サイクル;94℃(15秒)、60℃(30秒)および72℃(20秒)で14サイクル;94℃(15秒)、60℃(30秒)および72℃(30秒)で24サイクルならびに72℃(2分)で追加の最終伸長ステップに設定した。NRASエクソン3コドン61分析のためのPCRプライマーは、コドン61の共通変異:Q61KおよびQ61Rを包含する、フォワード5’−GGCAAATACACAGAGGAAGCおよびリバース5’−ACCCCCAGGATTCTTACAGAであった。PCRサイクラーを、94℃(2分)、63℃(30秒)および72℃(2分)で1サイクル;94℃(15秒)、63℃(30秒)および72℃(20秒)で14サイクル;94℃(15秒)、63℃(30秒)および72℃(30秒)で24サイクルならびに72℃(2分)で追加の最終伸長ステップに設定した。PCR産物を、配列決定のためにSequiserve、Vatterstettenに送った。変異アッセイを、既知のエクソン15変異c1799T>A(BRAF)およびエクソン3変異c181C>A(NRAS)を含む細胞株の単一細胞またはゲノムDNAを使用して確立した。変異体BRAF対立遺伝子は、全ての分析された単一細胞にわたって検出された配列の62%(70−61)、84%(MelHo)において検出され、バルクゲノムDNA中では61%(70−61)および86%(MelHo)において検出された。変異NRAS対立遺伝子は、全ての単一細胞の59%およびバルクゲノムDNAの46%に存在していた。原発腫瘍のいくつかの領域を顕微解剖するか、またはいくつかのDCCを単離した場合、領域またはDCCの1つがBRAFまたはNRAS変異を有していた場合、原発腫瘍またはDCCを陽性と呼んだ。
別途記述しない限り、統計的有意性を、p<0.05について仮定し、全ての検定を両側で実施した。
Turnbullの方法を使用して、本発明者らは、全メラノーマの42.3%が0.4mmの厚さに達する前に播種していたと決定した(図1B)。腫瘍の厚さに関係なく、播種はメラノーマの63.5%に限定されていた。100%未満の上限を有する改変Weibullモデル(図1B)は、63.5%(95%CIは53.5〜73.4%)の漸近線を予測し、播種する腫瘍の50%が0.4mm(95%CIは0.04〜0.75mm)の前に拡散していたことを示した。
525人のDCC陽性患者のうち、DCCD>100を有する試料数は、8.9mmの中央値(95%CIは6.8〜14.3mm)を有する、すなわち、播種時の厚さ中央値よりも22倍高い中央値を有するWeibullの累積分布関数として、腫瘍の厚さと共に増加した(図1C)。定着について、得られた推定値を、Weibull分布によって適合させる。Weibull分布に関する明示式を使用して、ハザード比を算出した。ハザード関数は、事象がまだ起こっていない腫瘍に関する、事象(播種、定着)に関する単位厚さあたりの瞬間リスクを記載するものである。例えば、mmあたり1のハザード比(mmあたり0.2)は、腫瘍が、事象が起こるためには平均で1mm(それぞれ、5mm)増殖する必要があることを示している。
原発腫瘍とDCCとの間の獲得および喪失の頻度統計値を、マン−ホイットニーU検定を用いて決定した。原発腫瘍とDCCの対におけるBRAF/NRAS変異に関する統計的有意性を、Fisherの直接確率検定を用いて決定した。
原発腫瘍とDCCとの間、薄いメラノーマと厚いメラノーマおよび低いDCCDと高いDCCDを有する患者に由来するDCC、ならびにBRAF/NRAS変異を有する、および有さない患者に由来するDCCを識別する変異パターンを、Fisherの直接確率検定によって同定した。十分なクラス識別を可能にする十分に高い交差サンプル標準偏差(>0.25)を有する遺伝子座のみを考慮した。図2Aにおいて、原発腫瘍/DCCクラス標識を担わない試料間の最大分散に関して10の最も可変的な遺伝子座のみを含有させた。複数試験補正を、BenjaminiおよびHochberg(FDR)に従って誘導した。
重要な変化が原発腫瘍内で獲得された可能性がある厚さを同定するために、本発明者らは、DCCD≦100を有する試料のDCCを、観察された異なる厚さ値に従って2つの群に分割し、これらの群にわたって非無作為な分布を明確に示す、すなわち、低いFisherの検定のp値をもたらすゲノム変化を同定した。低いp値と関連するDCCD閾値および厚さ閾値は、原発腫瘍サイズおよびリンパ節への直接播種を容易にするゲノム変化を示し得る。
異種移植片の全生存統計値および無腫瘍時間を、ログランク検定(JMP、Windows用IBM SPSS Statistics 20またはOSX用GraphPad Prism 6.0ソフトウェア)を使用して算出した。
本研究は、早期全身がんの拡散における異所性進化を説明する説得力のある分子モデルを提供する。ヒトのがんの転移性播種が起こる腫瘍の程度が初めて報告される;それは、腫瘍の増殖速度から推察されるよりもむしろ、DCCの高感度の直接検出に基づくものである(Engel (2003) European journal of cancer 39, 1794-1806;Friberg (1997) Journal of surgical oncology 65, 284-297;およびYachida (2010) Nature 467, 1114-1117)。播種性メラノーマの厚さ中央値は、0.4mm(95%CIは0.04〜0.75mm)であり、以前に考えられていたものよりもはるかに早かった。しかしながら、T1メラノーマの9年死亡率は11%であり、これは、このステージでの播種率(46%)よりもはるかに低かったが、T4メラノーマにおける播種率および死亡率は類似していた(59%対54%)。この観察は、播種は早期に起こり得るが、致死性の転移性疾患を生成するにはさらなる因子が必要であることを示している。
Claims (13)
- がん性疾患のステージングおよび/またはタイピングのための方法であって、以下のステップ:
(a)1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数の播種性がん細胞(DCC)のDNAの体細胞変化を検出するステップ;および
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ
を含み、DCCの体細胞進化が、がん性疾患のステージ/タイプを示し、がん性疾患がメラノーマである、前記方法。 - がん性疾患を処置するための方法であって、以下のステップ:
(a)対象の1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数のDCCのDNAの体細胞変化を検出するステップ;
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ;および
(c)ステップ(b)で決定されたDCCの体細胞進化に基づいて、がん性疾患のステージ/タイプを決定するステップ
を含み、前記がん性疾患のステージ/タイプが、前記がん性疾患の療法を開始する、継続する、または中止するために使用され、前記がん性疾患がメラノーマである、前記方法。 - 対象におけるがん性疾患を処置するのに使用するための医薬組成物であって、処置が、前記がん性疾患のステージ/タイプに基づいて開始され、継続され、または中止され、前記がん性疾患の前記ステージ/タイプが、
(a)対象の1つまたは複数のリンパ節から得られた1つまたは複数のDCCのDNAの体細胞変化を検出するステップ;
(b)ステップ(a)で検出された体細胞変化に基づいて、DCCの体細胞進化を決定するステップ;および
(c)ステップ(b)で決定されたDCCの体細胞進化に基づいて、がん性疾患のステージ/タイプを決定するステップ
によって決定され、前記がん性疾患がメラノーマである、医薬組成物。 - 前記DCCがセンチネルリンパ節から得られる、請求項1もしくは2に記載の方法または請求項3に記載の医薬組成物。
- DCC密度(DCCD)の決定をさらに含み、前記DCCDが、前記DCCを得るために使用される前記リンパ節中の細胞100万個あたりのDCCの数であり、前記DCCDが、前記がん性疾患のステージ/タイプを示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法、または請求項3もしくは4に記載の医薬組成物。
- 約50個より多く約100個までのDCCDが、転移の発生を示す、請求項5に記載の方法、または請求項5に記載の医薬組成物。
- 前記体細胞変化が、BRAF変異、染色体9p11−13の喪失、染色体9p21−24の喪失、染色体7q21−36の獲得、およびNRAS変異からなる群から選択される少なくとも1つの体細胞変化を含む、請求項1、2および4〜6のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- BRAF変異、染色体9p11−13の喪失、染色体9p21−24の喪失、染色体7q21−36の獲得、および/またはNRAS変異が、DCCが転移に発達すると予想されることを示す、請求項1、2および4〜7のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- ステップ(a)が、前記DCCの増殖を評価するステップをさらに含み、前記DCCの増殖の増加が、前記DCCが転移に発達すると予想されることを示す、請求項1、2および4〜8のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記DCCがBRAF変異を有することがわかっている場合、前記変異を有する細胞に対する処置は、開始または継続されるべきであり、前記DCCがBRAF変異を有さないことがわかった場合、前記変異を有する細胞に対する処置は、中止されるべきである、請求項2および4〜9のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- BRAF変異を有する細胞に対する処置が、BRAF阻害剤の投与を含む、請求項10に記載の方法、または請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記BRAF阻害剤が、ソラフェニブまたはベムラフェニブである、請求項11に記載の方法、または請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記DCCがNRAS変異を有することがわかった場合、前記変異を有する細胞に対する処置は、開始または継続されるべきであり、前記DCCがNRAS変異を有さないことがわかった場合、前記変異を有する細胞に対する処置は、中止されるべきである、請求項2および4〜10のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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