JP2019507939A - 自由電子レーザ用電子源 - Google Patents

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Abstract

EUVリソグラフィに用いられる、例えば自由電子レーザ用の電子源であって、負電位(100,101)に接続されるように構成されたカソード(203)と、カソードに電子のバンチを放出させるために放射のパルスをカソードに向けるように構成されたレーザ(110)と、RF源に接続され、電子のバンチを加速するように構成されたRFブースタ(180)と、RF源によって提供されるRF電圧に対して、RFブースタにおける電子のバンチの到着の時刻を補正するように構成されたタイミング補正器(303,313,400,401)と、を備える。タイミング補正器は、カソードからRFブースタへの電子のバンチのパスを包囲する補正電極(303,313)と、補正電極に補正電圧を印加するように構成された補正電圧源(400,401)とを備えていてもよい。【選択図】 図5

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本願は2016年3月7日に提出された欧州出願第16158928.8号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[0002] 本発明は、特に自由電子レーザ(FEL)用の電子源に係る。本発明はとりわけリソグラフィシステムの放射源における使用に適したFELに関するが、これに限られるものではない。
[0003] リソグラフィ装置とは、基板上に所望のパターンを適用するように構成された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)から基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)層にパターンを投影してもよい。
[0004] パターンを基板上に投影するためにリソグラフィ装置によって使用される放射の波長は、その基板上に形成されることのできるフィーチャの最小寸法を決定する。(例えば193nmの波長を有する電磁放射を使用し得る)従来のリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するためには、5〜20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置が用いられ得る。
[0005] EUVリソグラフィのスループットを向上させるためには、所望の波長の電力が増大されたEUV放射源を製造するのが望ましい。
[0006] 第1の態様によれば、
負電位に接続されるように構成されたカソードと、
カソードに電子のバンチを放出させるために放射のパルスをカソードに向けるように構成されたレーザと、
RF源に接続され、電子のバンチを加速するように構成されたRFブースタと、
RF源によって提供されるRF電圧に対して、RFブースタにおける電子のバンチの到着の時刻を補正するように構成されたタイミング補正器と、
を備える電子源が提供される。
[0007] さらなる一態様によれば、上述のような電子源を備えた自由電子レーザが提供される。
[0008] さらなる一態様によれば、
上述のような自由電子レーザと、
1つ以上のリソグラフィ装置と、
を備えるリソグラフィシステムが提供される。
[0009] さらなる一態様によれば、
カソードに電子のバンチを放出させるために放射のパルスをカソードに向けることと、
RF源に接続されたRFブースタを用いて電子のバンチを加速することと、
RF電圧の位相に対して、RFブースタにおける電子のバンチの到着の時刻を補正することと、
を備える、放射ビームを生成する方法が提供される。
[0010] このようにすれば、自由電子レーザの出力放射の所望の波長帯の範囲内である割合が増大され得る。
[0011] 次に本発明の実施形態を、単なる例として、添付の概略的な図面を参照して説明する。
[0012] 本発明の一実施形態による自由電子レーザを備えるリソグラフィシステムを図示する。 [0013] 図1のリソグラフィシステムの一部を形成するリソグラフィ装置を図示する。 [0014] 図1のリソグラフィシステムの一部を形成し得る自由電子レーザの概略図である。 [0015] 自由電子レーザの従来のインジェクタサブシステムを図示する。 [0016] 一実施形態による自由電子レーザのインジェクタサブシステムを図示する。 [0017] 一実施形態による自由電子レーザのインジェクタサブシステムを図示する。 [0018] 平均バンチエネルギ対距離のグラフである。 [0019] バンチャにおけるエネルギ利得対到着の時刻のグラフである。 [0020] 一実施形態による自由電子レーザのインジェクタサブシステムを図示する。
[0021] 図1は、放射源SOと、ビーム分割装置20と、8つのリソグラフィ装置LA1〜LA8とを備えるリソグラフィシステムLSを示す。放射源SOは自由電子レーザを備えており、極端紫外線(EUV)放射ビームBFEL(主ビームと称され得る)を生成するように構成されている。主放射ビームBFELは複数の放射ビームB〜B(分岐ビームと称され得る)に分割され、その各々が、ビーム分割装置20によって、リソグラフィ装置LA1〜LA8のうちの異なる1つに向けられる。分岐放射ビームB〜Bは連続して主放射ビームから分かれてもよく、各分岐放射ビームは前の分岐放射ビームの下流で主放射ビームから分かれる。その場合、分岐放射ビームは、例えば互いに略平行に伝搬し得る。
[0022] 放射線源SO、ビーム分割装置20、及びリソグラフィ装置LA1〜LA8はすべて、外部環境から隔離され得るように構築及び配置されていてもよい。放射源SO、ビーム分割装置20、及びリソグラフィ装置LA1〜LA8のうち少なくとも一部には、EUV放射の吸収を最小化するように、真空が提供されてもよい。リソグラフィシステムLSの異なる部分は、異なる圧力の真空を備えていてもよい(すなわち、大気圧を下回る異なる圧力に保たれてもよい)。
[0023] 図2を参照すると、リソグラフィ装置LA1は、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、リソグラフィ装置LA1によって受光された分岐放射ビームBを、パターニングデバイスMAに入射する前に調整するように構成されている。投影システムは、放射ビームB’(今やマスクMAによってパターン付与されている)を基板W上に投影するように構成されている。基板Wは先に形成されたパターンを含んでいてもよい。その場合、リソグラフィ装置LA1は、パターン付与された放射ビームB’を、先に基板W上に形成されたパターンと整列させる。
[0024] 図2にはリソグラフィ装置のみが示されているが、リソグラフィシステムLSはマスク検査装置など他のツールを備え得ることが理解されるべきである。
[0025] リソグラフィ装置LA1によって受光された分岐放射ビームBは、照明システムILの内包構造体の開口8を通って、ビーム分割装置20から照明システムIL内に進入する。任意選択的には、分岐放射ビームBは、開口8又はその付近に合焦されて中間焦点を形成してもよい。
[0026] 照明システムILは、ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含んでいてもよい。ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は、所望の断面形状及び所望の角度分布を有する放射ビームBを、併せて提供する。ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11はそれぞれ、独立して移動可能なミラーのアレイを備えていてもよい。ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は、異なる数の独立して移動可能なミラーを備えていてもよい。例えば、ファセット瞳ミラーデバイス11は、ファセット視野ミラーデバイス10の2倍の数のミラーを備えていてもよい。ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11のミラーは任意の適当な形状であってもよく、例えば概ねバナナ形状であってもよい。放射ビームBは照明システムILを通過し、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビームを反射及びパターニングして、パターン付与されたビームB’を形成する。照明システムILは、ファセット視野ミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又は代えて、他のミラー又はデバイスを含んでいてもよい。照明システムILは、例えば、独立して移動可能なミラーのアレイを含んでいてもよい。独立して移動可能なミラーは、例えば幅1mm未満の寸法をとり得る。独立して移動可能なミラーは、例えばMEMSデバイスであってもよい。
[0027] パターニングデバイスMAからの反射に続き、パターン付与された放射ビームB’は投影システムPSに入る。投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持される基板Wに放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13,14を備える。投影システムPSはある縮小率を放射ビームに適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを有する画像を形成する。例えば、4という縮小率が適用されてもよい。図2の投影システムPSは2つのミラーを有しているが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含んでいてもよい。
[0028] 放射源SOは本発明の一実施形態による自由電子レーザFELを備えており、これはEUV放射のビームを生成するように動作可能である。任意選択的には、放射源SOは、本発明の一実施形態による自由電子レーザFELを1つよりも多く備えていてもよい。
[0029] 放射源SOは、自由電子レーザから受光した放射ビームの横断面の寸法及び/又は形状を変更するように配置された光学部品をさらに備えていてもよい。
[0030] 光学部品は、その自由電子レーザによって出力された放射ビームの横断面積を増大するように配置されたビーム拡張光学部品を備えていてもよい。有利なことには、これは、ビーム拡張光学部品の下流のミラーにかかる熱負荷を低減する。これにより、ビーム拡張光学部品の下流のミラーは、低スペックで、より少ない冷却で、したがってより安価となることができる。追加的又は代替的には、下流のミラーは法線入射に近付けることができる。ビーム分割装置20は、主ビームBFELからの放射を複数の分岐放射ビームB〜Bに沿って誘導する、ビームBFELのパス内に配置された複数の静的抽出ミラーを備えていてもよい。主ビームBFELの寸法を増大させると、ビームBFELのパス内にミラーが配置されなければならない精度が緩和される。したがって、これにより、分割装置20による出力ビームBFELのより精確な分割が可能となる。
[0031] 放射源SOは、自由電子レーザから受光した放射ビームの横断面の形状を変更するように配置された形状変更光学部品をさらに備えていてもよい。形状変更光学部品は、1つ以上の非点収差又は非球面光学素子を備えていてもよい。形状変更光学部品及びビーム拡張光学部品は、共通の光学素子を共有してもよい。
[0032] 自由電子レーザは電子源を備えており、この電子源はバンチ化された相対論的電子ビームと、相対論的電子のバンチを方向づける周期磁場とを生成するように動作可能である。周期磁場はアンジュレータによって生成され、電子に中心軸周りの揺動パス(oscillating path)を辿らせる。磁場によって引き起こされた加速の結果、電子は、概ね中心軸の方向で、電磁放射を自発的に放射する。相対論的電子はアンジュレータ内で放射と相互作用する。ある条件の下では、この相互作用は電子をバンチ化してマイクロバンチにさせ、アンジュレータ内の放射の波長で変調させて、中心軸に沿った放射のコヒーレントな放出が誘発される。
[0033] 図3を参照すると、自由電子レーザ(FEL)の主な構成要素は、インジェクタ21a,21b、第1及び第2の線形アクセラレータ22a,22b、アンジュレータ24、及びビームダンプ100である。インジェクタ21a,21b及び線形アクセラレータ22a,22bは、相対論的電子を生成するように併せて動作可能である。
[0034] インジェクタ21a,21b(インジェクタサブシステムとも称され得る)は、第1のエネルギEを持った電子のバンチを有する初期電子ビームEBを生成するように配置されている。冗長性のために2つのインジェクタが提供されているので、一方の使用時に他方が保守点検でき、そのため所望であれば片方を省略することが可能である。インジェクタ21a,21bは、例えば熱カソード又はフォトカソードのような電子源と、加速電場とを備える。好適には、初期電子ビームEBは、例えば1mm×mRadを下回る、又は0.5mm×mRadを下回る、比較的低い正規化エミッタンスを有する。第1のエネルギEは、例えば約5〜20MeVであってもよい。第1のエネルギEは、約10〜15MeVであってもよく、これは、初期電子ビームEBのエミッタンスが1mm×mRadを下回ったままであることを可能にし得るので、好適であろう。電子ビームカプラ25、例えば双極磁石システムは、初期電子ビームEBを第1の線形アクセラレータ22a内に結合する。
[0035] 初期電子ビームEBは、加速電子ビームEBを形成するべく、第1の線形アクセラレータ22aによって加速される。一例においては、第1の線形アクセラレータ22aは、共通の軸に沿って軸方向に離間した複数の共振空洞と、1つ以上の無線周波数電源であってその間を電子のバンチが通過する際に各電子バンチを加速するように共通の軸に沿って電磁場を制御するように動作可能な無線周波数電源とを備えていてもよい。共振空洞は、超伝導無線周波数空洞であってもよい。有利なことには、これによって、比較的大きな電磁場を高デューティサイクルで印加すること、ビーム開口をより大きくしてウェイク場による損失をより少なくすること、及び、無線周波数エネルギのうち(空洞壁を通じて放散されるのではなく)ビームに伝達される部分を増加させることが可能になる。代替的には、共振空洞は、従来の電導(すなわち超電導ではない)無線周波数空洞であってもよく、例えば銅から形成されていてもよい。他の種類の線形アクセラレータもまた用いられ得る。
[0036] 加速電子ビームEBはその後、機能を後述するビーム誘導デバイス26と、ビーム誘導デバイス26の影響を補償する第1のシケイン27aとを通過する。次いで、加速電子ビームEBは、ビーム方向を約180度変化させて加速電子ビームEBを第2の線形アクセラレータ22bに届ける第1のアーク28aを通過する。第2の線形アクセラレータ22bは第1の線形アクセラレータ22aと同様の構造を有していてもよく、加速電子ビームEBを第2のより高いエネルギEまでさらに加速する。自由電子レーザは、その全体的なレイアウトをより小型にするために、2つの線形アクセラレータを備えている。所望の場合には、第1及び第2の線形アクセラレータ22a,22bに代えて、単一のより長い線形アクセラレータが用いられてもよい。
[0037] 加速電子ビームEBはその後、この加速電子ビームをアンジュレータ24に届ける第2のアーク28bを通過する。アンジュレータ24は複数の磁石を備えており、これらの磁石は、周期磁場を生成するように動作可能であるとともに、インジェクタ21及び線形アクセラレータ22によって生成される相対論的電子を周期パスに沿ってガイドするように配置されている。その結果、電子は、概ねアンジュレータ24の中心軸の方向で、電磁放射を放射する。電子が辿るパスは、電子が中心軸を周期的に横断する正弦曲線状で且つ平らなものであってもよいし、あるいは、電子が中心軸周りを回転する螺旋状のものであってもよい。揺動パスの種類は、自由電子レーザによって放出される放射の偏光に影響を及ぼし得る。例えば、電子を螺旋状のパスに沿って伝搬させる自由電子レーザは楕円形に偏光した放射を生成し得る。これは、リソグラフィ装置LA1〜LA8による基板Wの露光に好適であろう。
[0038] アンジュレータ24は複数の部分を備えており、各部分は周期的な磁石構造を備える。アンジュレータ24はさらに、1対以上の隣接する部分の間に、例えば四極磁石など、加速電子ビームEBを再合焦させるための機構を備えていてもよい。加速電子ビームEBを再合焦させるための機構は、電子バンチの寸法を縮小してもよく、これは、アンジュレータ24内での電子と放射との結合を向上させて、放射の放出の誘発を高め得る。
[0039] 電子は、アンジュレータ24を通って移動するにつれ、放射の電場と相互作用し、放射とエネルギを交換する。概して、電子と放射との間で交換されるエネルギの量は、条件が共振条件に近くなければ、急速に増減する(oscillate)であろう。これは次の方程式によって求められる。

ただし、λemは放射の波長、λはアンジュレータ周期、γは電子のローレンツ因子、Kはアンジュレータパラメータである。Aはアンジュレータ24のジオメトリに依存する。螺旋状のアンジュレータであればA=1だが、平らなアンジュレータであればA=2である。実用では、各電子バンチはエネルギの広がりを有するであろうが、この広がりは(エミッタンスの低い加速電子ビームEBを生成することによって)可能な限り最小化され得る。アンジュレータパラメータKは、典型的にはおよそ1であり、次の方程式によって求められる。

ただし、q及びmはそれぞれ電荷及び電子の質量であり、Bは周期磁場の振幅であり、cは光の速度である。
[0040] 共振波長λemは、アンジュレータ24を通って移動する電子によって自発的に放射された第1の調和波長に等しい。自由電子レーザFELは自己増幅誘導放出(SASE:self-amplified stimulated emission)モードで動作し得る。SASEモードでの動作は、アンジュレータ24に進入する前の加速電子ビームEBにおいて低エネルギ拡散の電子バンチを必要とし得る。代替的には、自由電子レーザFELは、アンジュレータ24内で誘導放出によって増幅され得るシード放射源を備えていてもよい。
[0041] アンジュレータ24を通って移動する電子は放射の振幅を増大させ得る。すなわち、自由電子レーザFELは非ゼロ利得を有していてもよい。方程式(1)の共振条件が満足されると、自由電子レーザFELの利得はゼロになり得る。
最大利得は、条件が共振に近いがわずかに外れているときに実現され得る。
[0042] アンジュレータ24内での電子と放射との間の相互作用は、加速電子ビームEBにおける電子バンチ内でのエネルギの拡散を生み出す。アンジュレータ24を出ていく電子ビームEBは、エネルギの拡散を有する異なる電子ビームであるものと考えられてもよく、使用済み電子ビームと称され得る。使用済み電子ビームEBにおけるエネルギ拡散は、アンジュレータ24の変換効率に依存する。量的には、使用済み電子ビームEBにおけるエネルギ拡散の幅は、アンジュレータ24の変換効率と第2のエネルギEとの積によって求められ得る。
[0043] アンジュレータ24に進入する際に共振条件を満たす電子は、放射を放出(又は吸収)するにつれてエネルギを失う(又は得る)ので、共振条件はもはや満足されなくなる。よって、いくつかの実施形態においては、アンジュレータ24はテーパ状になっていてもよい。すなわち、周期磁場及び/又はアンジュレータ周期λは、電子のバンチがアンジュレータ24を通って導かれる際に共振又はその付近に維持されるように、アンジュレータの長さに沿って変化してもよい。なお、アンジュレータ24内での電子と放射との間の相互作用は、電子バンチ内でのエネルギの拡散を生み出す。アンジュレータ24のテーパリングは、共振又はその付近での電子の数を最大化するように構成されていてもよい。例えば、電子バンチはピークエネルギでピークに達するエネルギ分布を有していてもよく、テーパリングは、このピークエネルギを有する電子がアンジュレータ24を通って誘導される際に共振又はその付近で維持されるように構成され得る。有利なことには、アンジュレータのテーパリングは、変換効率を有意に高める能力を有する。テーパ状のアンジュレータの使用は、変換効率(すなわち、加速電子ビームEBのエネルギのうち放射ビームBFELの放射に変換される部分)を2倍よりも多く増加させ得る。アンジュレータのテーパリングは、アンジュレータパラメータKをその長さに沿って減少させることによって実現され得る。これは、アンジュレータ周期λ及び/又はアンジュレータの軸に沿った磁場強度を電子バンチエネルギと一致させ、これらが共振条件又はその付近にあることを保証することによって実現され得る。このようにして共振条件を満たすことで、放出される放射の帯域幅が増大する。
[0044] 放射ビームBFELはアンジュレータ24から伝搬する。放射ビームBFELはEUV放射を含む。自由電子レーザFELによって出力されるEUV放射のビームBFELは、略円形の横断面と、ガウス型強度プロファイルとを有し得る。EUV自由電子レーザによって生成された放射ビームは、典型的には比較的小さなエタンデュを有する。特に、自由電子レーザFELによって生成されたEUV放射ビームBFELは、レーザ生成プラズマ(LPP)源又は放電生成プラズマ(DPP)源(いずれも従来技術において既知のものである)によって生成されるであろうEUV放射ビームよりも有意に小さいエタンデュを有する。例えば、自由電子レーザFELによって生成された放射ビームBFELは、500μrad未満、例えば100μrad未満の発散度を有していてもよく、アンジュレータ24を離れる際には例えば約50μmの直径を有し得る。
[0045] 8つのEUVリソグラフィ装置LA1〜LA8の高いスループットを支援するためには、自由電子レーザFELの出力電力は、数十キロワット程度であり得る。こうした電力では、自由電子レーザFELによって生成された放射ビームBFELの初期直径が非常に小さいので、放射ビームBa〜hの電力密度が重要になるであろう。
[0046] 自由電子レーザFELの出力電力が複数のEUVリソグラフィ装置LA1〜LA8の高いスループットを支援するのに十分になるように、自由電子レーザFELはある特性を有し得る。例えば、第2の線形アクセラレータ22bから出力される加速電子ビームEBの第2のエネルギEは、約500から1000MeVであり得る。加速電子ビームEBの電力は1から100MW程度であり得る。加速電子ビームEBの電力は、EUV放射の出力ビームBFELの所望の電力とアンジュレータ24の変換効率とによって規定されてもよい。自由電子レーザFELの所与の出力電力については、アンジュレータ24の変換効率が高いほど、インジェクタ21の電流は低くなるであろう。より高いアンジュレータの変換効率及びより低いインジェクタの電流が非常に望ましいであろう。
[0047] アンジュレータ24を離れる使用済み電子ビームEBは、ダンプ100によって吸収されなければならない。ダンプ100は、使用済み電子ビームEBを吸収するのに十分な量の材料を備え得る。この材料は、放射能の誘導の閾値エネルギを有し得る。この閾値エネルギを下回るエネルギをもってダンプ100に進入する電子は、ガンマ線シャワーを生じるのみで、有意なレベルの放射能を誘導しない。この材料は、電子衝撃による放射能の誘導に関して高い閾値エネルギを有していてもよい。例えば、ビームダンプはアルミニウム(Al)を備えていてもよく、これは約17MeVの閾値エネルギを有する。ダンプ100に進入する前に、使用済み電子ビームEBの電子のエネルギを低減させるのが望ましい。これにより、ダンプ100から放射性廃棄物を除去して捨てる必要が無くなるか又は少なくとも低減される。放射性廃棄物の除去には自由電子レーザFELが周期的にシャットダウンされることが必要であるし、放射性廃棄物の処分は費用が高くつくとともに深刻な環境への影響を有し得るから、これは有利である。
[0048] ダンプ100に進入する前に、使用済み電子ビームEBからはエネルギが抽出される。すなわち、電子は減速される。電子のエネルギは10MeVを下回るまで、好適には5MeVを下回るまで減少され得る。有利なことには、このエネルギを下回る電子は、ビームダンプ100において有意なレベルの放射能を誘導しない。自由電子レーザFELの動作時にはガンマ放射が存在するであろうが、電子ビームEがオフにされると、ビームダンプ100は安全に取り扱うことができる。
[0049] アンジュレータ24を離れる電子は、第1及び第2の線形アクセラレータ22a,22bを用いて減速される。すなわち、インジェクタ21から出力された電子を加速するために用いられる第1及び第2の線形アクセラレータ22a,22bは、減速にも用いられ得る。このような構成は、エネルギ回収型LINAC(ERL)として知られている。
[0050] アンジュレータ24を離れる電子バンチは、第2の線形アクセラレータ22bの無線周波数(RF)場に対して約180度の位相差をもって電子バンチを第2の線形アクセラレータ22bにもたらす第3のアーク28cを通過する。コンバイナ29が使用済み電子ビームEBを加速電子ビームEBと結合する。使用済み電子ビームEBは第2の線形アクセラレータ22bにおいて減速され、減速電子ビームEBを形成する。
[0051] 第2の線形アクセラレータ22bの出口では、加速電子ビームEBを減速電子ビームEBから分離することが必要である。加速電子ビームEBと減速電子ビームEBとは、同じパスに沿って第2の線形アクセラレータ22bを通って伝搬する。スプレッダ30が加速電子ビームEBと減速電子ビームEBとを分離する。加速電子ビームEBは第2のアーク28bに進み、その一方で減速電子ビームEBは第4のアーク28dを通過してコンバイナ25(上記で言及した)に至る。コンバイナ25は減速電子ビームEBをバンチ化電子ビームEBと結合し、これらを第1の線形アクセラレータ22aに進入させる。減速電子ビームEBは第1の線形アクセラレータ22aの無線周波数(RF)場に対して約180度の位相差を有している。したがって、第1の線形アクセラレータ22aは、第2の線形アクセラレータと同じ機構によって、減速電子ビームEBをさらに減速する。
[0052] 第1の線形アクセラレータ22aの出口で、減速電子ビームEBは双極セパレータ26を用いて加速電子ビームEBから分離されるので、減速電子ビームはダンプ100に送られることが可能であり、加速ビームEBは第1のアーク28aを介して第2の線形アクセラレータに伝わる。双極セパレータは単純にビームパス全体に均一な磁場を印加して、加速及び減速電子ビームを屈曲させる。双極セパレータ26によって引き起こされる電子ビームの偏向の度合いは、各ビームにおける電子のエネルギに依存する。したがって、加速電子ビームEBは少量だけ偏向されるが、その一方で減速電子ビームはそれよりも大きい角度偏向され、したがって加速電子ビームEBからすぐに物理的に分離されるとともに、さらに加速電子ビームEBに影響を及ぼすことなくダンプ100へと導かれ得る。代替的には、色消しビームセパレータ(achromatic beam separator)(エンゲ(Enge)又はプレッツェル磁石(Pretzel magnet)としても知られる)を用いて減速電子ビームEBを加速電子ビームEBから分離してもよい。
[0053] よって、電子バンチの「生涯」は、次のように要約されるであろう。インジェクタ21a,21bのうち一方において創出される、第1の線形アクセラレータ22aによって加速され第2の線形アクセラレータ22bによって再び加速される、アンジュレータ24において放射を生成する、第2の線形アクセラレータ22bによって減速され、第1の線形アクセラレータ22aによって再び減速される、最終的にダンプ100において吸収される。上記において、ビームパスの部分を接続するために用いられるシケイン及び階段などのアイテムの説明は、簡潔にするために省略されている。FELを通って伝搬する電子ビームは、本明細書においては、アンジュレータを含めアンジュレータまでが上流の電子ビーム、及びその後が下流の電子ビームと称される。
[0054] 自由電子レーザは、特にパルスのタイミング、パルスエネルギ及び波長に関する安定性の厳しい要求を満たす放射をリソグラフィ装置LA1〜LA8に提供するのが非常に望ましい。出力ビームのこれらの特性は自由電子レーザの多くの異なる部分によって影響されるので、所望の仕様を実現するのは困難である。本発明の発明者たちは、出力ビームの中心又は平均波長及び縦方向位相空間(エネルギ拡散)に影響を及ぼす1つの要因は、インジェクタサブシステムのブースタの第1の空洞における電位のバンチの到着のタイミングであることを特定した。従来のインジェクタサブシステム21が添付の図面の図4に図示されている。
[0055] インジェクタサブシステム21は、カソード、例えばフォトカソード203を取り囲む真空チャンバ202を有するカソードモジュール200を備えている。フォトカソード203は、真空チャンバ202の絶縁フィードスルー(dielectric feed-through)201を通る高圧送出線101を介して高圧電源100に接続されている。真空チャンバ202はアノードとしても機能し、接地線102を介して高圧電源100に接続されている。レーザ110が、パルスレーザビーム111を、真空チャンバ202の窓204を通してカソード203へと向ける。パルスレーザビーム111の放射のパルスは、フォトカソード203に、光電効果によって電子のバンチを放出させる。フォトカソード203の材料及びレーザビーム111の波長は、適宜選択される。フォトカソード203は、真空チャンバ202に対して、負電位、例えば100から500kVの範囲内、おそらくは300kVまで高められるので、レーザビーム111のパルスによってフォトカソードから放出された電子のバンチは、フォトカソードから加速されて遠ざかる。
[0056] 電子のバンチは、ビームパイプ220,220を進み、バンチャ空洞171を備えたバンチ圧縮機170を通って、RFブースタ180に至る。バンチャ空洞171には伝送線121を介してバンチャRF源120が接続されている。バンチャ空洞171及びこのバンチャ空洞へのRF供給は、電子のバンチがバンチ圧縮機170を通過する際に圧縮されるように構成されている。電子のバンチの後ろの電子のエネルギは、バンチの後ろの電子が追いつくように、バンチの前の電子に対して増大される。RFブースタ180は、伝送線131,132を介してブースタRF源130に接続されたブースタ空洞181,182を備えている。RFブースタ180は、電子のバンチを、例えば約10から15MeVの第1のエネルギEまで加速するように構成されている。ブースタバンチ検出器161及び圧縮機バンチ検出器162は、それぞれバンチ圧縮機170及びRFブースタ180への入口における電子のバンチの到着時刻を測定する。ブースタバンチ検出器161及び圧縮機バンチ検出器162は、電極のバンチの電荷の中心のxy位置も測定することができ、容量的に動作してもよい。ブースタバンチ検出器161及び圧縮機バンチ検出器162はタイミングコントローラ160に接続されている。このタイミングコントローラは低レベルRFシステム141,142と協働して、バンチ圧縮機170及びRFブースタ180の空洞の内部の様々なRF場の位相及び振幅を同期及び安定化させるとともに、RF場をレーザ110によって放出されるパルスと同期させる。
[0057] なお、図4では、明瞭性のため、合焦用の電子光学部品など、様々な他の構成要素が省略されている。
[0058] 上述したように、第1の線形アクセラレータ22a及び第2の線形アクセラレータ22b、ならびにやはり線形アクセラレータの一形態であるRFブースタ180における電子バンチの均一な加速を実現するには、電子のバンチが加速RF場との正しい位相関係で到着することが必要である。電極のバンチの到着時刻の変動は、ジッタとも称され得るもので、バンチ内の電子に付与されるエネルギの量に影響を及ぼし、ひいてはFELによって生成されるEUV放射の波長に影響を及ぼす。加速RF場の周波数は非常に高いので、電子のバンチの到着時刻の非常に小さな変動であっても、出力EUV放射の波長に許容できない変動を引き起こし得る。
[0059] 本発明の発明者たちは、RFブースタ180への入口における電子バンチの到着の時刻の変動の有意な原因は、高圧電源100によってフォトカソード203に印加される電圧の変動であると判断した。フォトカソード203とRFブースタ180への入口との間の距離は、1m程度であり得る。フォトカソード203と真空チャンバ202との間の電位差は100から500kV程度であり得るため、電子のバンチは相対論的速度まで加速されない。したがって、フォトカソード203と真空チャンバ202との間の電位差が変動すると、電子バンチの速度の変動と、ひいてはRFブースタ180への入口における到着の時刻の変動とを引き起こす。
[0060] よって、高圧供給100がフォトカソード203と真空チャンバ202との間に高安定の電位差を提供するのが望ましい。しかしながら、技術水準の高圧供給は、10−3程度のピークツーピーク変動(すなわち100kVにつき約100ボルトの変動)しか実現できない。電圧の変動は、ビームの動作が規則的でない場合には、増加しやすい。したがって、他の理由により必要とされ得るビームの周期的な中断は、RFブースタ180における電子バンチの到着の時刻に、フォトカソード203と真空チャンバ202との間の時間依存的な電位差をもたらすであろう。そのため、本発明の発明者たちは、RFブースタ180への入口における電子バンチの到着の時刻の補正が望ましいと判断した。
[0061] 図5は、本発明の一実施形態によるインジェクタサブシステム21’を図示する。インジェクタサブシステム21’のうち、図4のインジェクタサブシステム21’におけるのと同一の部分は同じ符号によって示されており、簡潔のためこれ以上は説明されない。
[0062] インジェクタサブシステム21’においては、フォトカソード203からRFブースタ180への電子のバンチのパスの周囲に、補正電極303が設けられている。補正電極303は、電極のバンチのタイミングを補正するタイミング補正器の一例である。補正電極303は絶縁フィードスルー302を介して補正電圧源300に接続されており、この絶縁フィードスルーは真空チャンバ202から補正電圧源を隔離する。補正電極303は、望ましくはビームパスについて軸方向に対称である。補正電圧源300はコントローラ301(例えばフィードバック及び/又はフィードフォワード制御システム)を介して低レベルRF回路141に接続されており、この低レベルRF回路は、レーザ110とブースタRF源120とを同期させるほか、ブースタバンチ検出器161及び圧縮機バンチ検出器162によって到着時刻を測定するとともに、低レベルRFシステム160とインターフェイスする。
[0063] 補正電極303は、印加される補正電圧に従って、フォトカソード203からRFブースタ180への電極のバンチの移動時間を増加又は減少させる影響を有し得る。例えば、補正電極303が相対的に正である場合には、電子は補正電極に向かって加速され、速度を増す。補正電極303の内部には電場はないので、電子のバンチは一定の速度で補正電極303を通って伝搬する。補正電極303が相対的に正である場合には、出口において、電子はその元々の速度に減速されるであろう。逆に、補正電極303が相対的に負である場合には、電子は補正電極に接近すると減速され、一定の速度で補正電極を通過し、補正電極を離れると加速される。このように、補正電極303の正味の影響は、電子のエネルギ又は速度を変化させず、電子のバンチの移動時間のみを変化させることである。電子のバンチの移動時間に対する影響の大きさは、補正電極303に印加される電位差の大きさ及び補正電極の長さに依存する。補正電極303が長いほど、電子のバンチは増加又は減少された速度で長い移動時間を費やし、移動時間の変化は大きくなる。一実施形態においては、補正電極303は、50mmから300mm、例えば100mmの長さを有し得る。
[0064] 図5の実施形態においては、補正電極303はフォト電極203とバンチ圧縮機170との間に位置している。したがって、バンチ圧縮機170における電子のバンチの到着の時刻を補正することが可能である。その場合、電子のバンチは、正確な時刻でRFブースタ180へと移動するであろう。
[0065] 図6は、本発明の一実施形態によるインジェクタサブシステム21’’の代替的な一構成を図示する。ここでは、補正電極313がバンチ圧縮機170とRFブースタ180との間に位置している。補正電極313は、電極のバンチのタイミングを補正するタイミング補正器の一例である。したがって、補正電極313は、RFブースタ180への入口における電子のバンチの到着の時刻に直接影響し得る。よって、補正電極313はさらに、異なる平均エネルギを有する電子のバンチに作用するバンチ圧縮機170によって引き起こされ得るバンチ時刻の変動を補償するために用いられることができる。本発明の一実施形態においては、圧縮機170の前に1つ、バンチ圧縮機170の後且つブースタの前に1つという、2つの補正電極が設けられる。インジェクタサブシステムの他の構成においては、1つ以上の補正電極は、どこでも適当な箇所に位置していてよい。
[0066] 図7A及び図7Bは、本発明の一実施形態の機能を説明するのに役立つものである。図7Aは、電子バンチの電子の平均エネルギU対フォトカソード203からの距離zを示すグラフである。符号A1はフォトカソードの出力の位置を示し、A2は補正電極210の入口を示し、A3は補正電極210の出口を示し、A4はバンチ圧縮機170への入口を示し、A5はバンチ圧縮機170の出力を示し、A6はRFブースタ180への入力を示す。
[0067] 図7Bは、名目到着時刻tに対して、バンチャにおけるバンチのエネルギ利得VRFを示す。エネルギ利得VRFは到着の時刻に正弦的に関係しているので、正しい位相で到着する電子のバンチはエネルギを得ない。早く到着する電子のバンチがエネルギを失う一方で、遅く到着する電子のバンチはエネルギを得る。Bは名目上の到着時刻で到着するバンチを表し、これはエネルギを得ない。Bは、遅く到着しエネルギΔEを得るバンチを表す。Bl+cは、低い初期エネルギを有するが補正電極の影響によって正しいタイミングでバンチャに到着するバンチを表す。バンチBl+cのエネルギ利得ΔEl+cはゼロである。
[0068] 図7Aにおいて、実線は、フォトカソード電位によって引き起こされた初期加速の後、一定のエネルギでバンチ圧縮機170及びRFブースタ180を通って進む名目バンチを示す。破線は、フォトカソードにおける電圧によって低い初期加速を与えられるバンチを示し、補正されることなく遅れてバンチャに到着する。したがって、バンチャはこのバンチのエネルギを増大させ、より高エネルギをもって且つ正しくないタイミングでブースタに到着させる。バンチャにおけるエネルギ利得は、初期に発生する遅延を埋め合わせない。バンチは、正しくないタイミングでブースタに到着するので、場の位相に応じ、多すぎるか又は少なすぎるエネルギを得て、エラーをもたらすであろう。このエラーは線形アクセラレータを通じて持続し、その結果、誤った波長のEUV放射が生成される。
[0069] 図7Aの一点鎖線は、フォトカソード電位の変動により低エネルギを有するバンチを示すが、補正電極を介して補正が適用されている。見てわかるように、補正電極はその入口で電子のバンチを加速するので、電子はより高速で補正電極を通って移動し、初期の低いフォトカソード電位による時間の遅延を埋め合わせる。電子は補正電極の出口で減速され、正しいタイミングでバンチャに到着する。したがって、補正された電子のバンチは、バンチャにおいてはエネルギを得ない。バンチャからブースタへの移動時間の遅延が望ましくないほど大きい(すなわち、電子のバンチが、バンチャへの到着タイミングが正しいにもかかわらず、バンチャの後で名目より低いエネルギで移動する)場合には、第2の電極が設けられてもよい。この段階では、補正された電子のバンチは、名目よりも低いエネルギを有するかもしれないが、ブースタによって適用される加速は、入力側ではバンチのエネルギに弱くしか依存しないので、初期エネルギの誤差は、ブースタにおけるバンチの加速後には、無視できる程度である。
[0070] 図8は、本発明の別の一実施形態によるインジェクタサブシステム21’’’を図示する。
[0071] 図8の実施形態においては、タイミング補正器が、非接地変圧器401と補正電圧源400とを備えている。補正電圧源400は、レーザ110とRF供給120とを同期させる低レベルRFシステム141に接続されており、ブースタバンチ検出器161及び圧縮機バンチ検出器162からの信号を提供される。これらの入力に基づいたフィードフォワード及び/又はフィードバック制御構成が、非接地変圧器401を介して高圧供給線101に印加されるべき補正電圧を決定する。このようにすれば、フォトカソードの電位が補正され得るので、電子のバンチ501が正しいエネルギをもって放出される。バンチ圧縮機170に到着するバンチ502は、RFブースタ180に到着するバンチ503と同様に、正しいタイミングを有する。
[0072] 説明したリソグラフィシステムLSの実施形態は8つのリソグラフィ装置LA1〜LA8を備えているが、本発明の一実施形態によるリソグラフィシステムは任意の数のリソグラフィ装置を備え得る。
[0073] 本発明の一実施形態によるリソグラフィシステムはさらに、1つ以上のマスク検査装置を備えていてもよい。ビーム分割装置20は、主放射ビームBFELの一部をマスク検査装置に向けてもよい。マスク検査装置は、この放射を用いてマスクを照明してもよく、撮像センサを用いてマスクMAから反射された放射を監視する。マスク検査装置は、ビーム分割装置20から分岐放射ビームを受けてその放射ビームをマスクに向けるように構成された光学部品(例えばミラー)を含んでいてもよい。マスク検査装置はさらに、マスクから反射された放射を収集して撮像センサにおいてマスクの画像を形成するように構成された光学部品(例えばミラー)を含んでいてもよい。マスク検査装置は、図2に示されるリソグラフィ装置LA1に類似のものであってもよく、基板テーブルWTが撮像センサに置換されている。いくつかの実施形態においては、リソグラフィシステムはいくらかの冗長性を見込んで、2つのマスク検査装置を備えていてもよい。これにより、一方のマスク検査装置が修理中又は保守作業中のときには、他方のマスク検査装置が用いられることが可能になり得る。よって、片方のマスク検査装置が常に使えるようになっている。マスク検査装置は、リソグラフィ装置よりも低電力の放射ビームを使用し得る。
[0074] 「EUV放射」という用語は、5乃至20nmの範囲内、例えば13乃至14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含するものと考えられてもよい。EUV放射は、10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなど、5〜10nmの範囲内の波長を有していてもよい。本発明は、EUV波長範囲外の放射を生成するために用いられる自由電子レーザにも適用可能である。
[0075] リソグラフィ装置LA1〜LA8は、ICの製造において用いられてもよい。代替的には、本明細書に記載のリソグラフィ装置LA1〜LA8には、他の用途があってもよい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネル表示器、液晶表示器(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
[0076] 上記では本発明の具体的な実施形態を記載したが、本発明は記載されたものとは異なって実施され得ることが察知されるであろう。上記の説明は例示的なものであり、限定するものではない。したがって、当業者には、記載された本発明の変更が、下記の特許請求の範囲を逸脱することなく行われ得ることがわかるであろう。

Claims (19)

  1. 負電位に接続されるように構成されたカソードと、
    前記カソードに電子のバンチを放出させるために放射のパルスを前記カソードに向けるように構成されたレーザと、
    RF源に接続され、前記電子のバンチを加速するように構成されたRFブースタと、
    前記RF源によって提供されるRF電圧に対して、前記RFブースタにおける前記電子のバンチの到着の時刻を補正するように構成されたタイミング補正器と、
    を備える電子源。
  2. 前記RFブースタにおける前記電極のバンチの到着を検出するブースタバンチ検出器をさらに備え、前記タイミング補正器は前記ブースタバンチ検出器に応答する、請求項1の電子源。
  3. 前記カソードと前記RFブースタとの間で前記電子のバンチを縦方向で圧縮するバンチ圧縮機と、前記バンチ圧縮機における前記電極のバンチの到着を検出する圧縮機バンチ検出器とをさらに備え、前記タイミング補正器は前記圧縮機バンチ検出器に応答する、請求項1又は2の電子源。
  4. 前記タイミング補正器は、前記カソードから前記RFブースタへの前記電子のバンチのパスを包囲する補正電極と、前記補正電極に補正電圧を印加するように構成された補正電圧源とを備える、請求項1,2又は3の電子源。
  5. 前記補正電極は前記カソードと前記バンチ圧縮機との間にある、請求項3に従属するときの請求項4の電子源。
  6. 前記補正電極は前記バンチ圧縮機と前記RFブースタとの間にある、請求項3に従属するときの請求項4の電子源。
  7. 2つの補正電極があり、1つは前記カソードと前記バンチ圧縮機との間、1つは前記バンチ圧縮機と前記RFブースタとの間にある、請求項3に従属するときの請求項4の電子源。
  8. 前記又は各補正電極は前記パスについて回転対称である、請求項4から7のいずれか一項の電子源。
  9. 前記又は各補正電極は円筒形である、請求項8の電子源。
  10. 前記又は各電極の長さは、前記カソードと前記RFブースタとの間の距離の5から20パーセントの範囲内である、請求項8又は9の電子源。
  11. 前記ブースタバンチ検出器及び/又は前記圧縮機バンチ検出器と前記補正電極の至近端との間の距離が前記補正電極の直径の2倍よりも大きい、請求項2又は3に従属するときの請求項8,9又は10の電子源。
  12. 前記タイミング補正器はさらに、前記RF電圧の位相と前記放射のパルスのタイミングとに基づいて前記バンチ圧縮機における前記電子のバンチの到着の時刻を補正するように構成されたコントローラを備える、請求項9の電子源。
  13. 前記タイミング補正器は非接地変圧器を介して前記カソードに接続された補正電圧源を備える、請求項1から12のいずれか一項の電子源。
  14. 前記タイミング補正器はさらに、前記RF電圧の位相と前記放射のパルスのタイミングとに基づいて前記RFブースタにおける前記電子のバンチの到着の時刻を補正するように構成されたコントローラを備える、請求項1から13のいずれか一項の電子源。
  15. 前記コントローラはフィードバック制御システムである、請求項11の電子源。
  16. 前記コントローラはフィードフォワード制御システムである、請求項11又は12の電子源。
  17. 請求項1から16のいずれか一項の電子源を備える自由電子レーザ。
  18. 請求項17の自由電子レーザと、
    1つ以上のリソグラフィ装置と、
    を備えるリソグラフィシステム。
  19. 放射ビームの生成方法であって、
    カソードに電子のバンチを放出させるために放射のパルスを前記カソードに向けることと、
    RF源に接続されたRFブースタを用いて前記電子のバンチを加速することと、
    RF電圧の位相に対して、前記RFブースタにおける前記電子のバンチの到着の時刻を補正することと、
    を備える方法。
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