JP2019503986A - 電荷反転n−末端スパイダーシルクタンパク質ドメイン及びその使用 - Google Patents

電荷反転n−末端スパイダーシルクタンパク質ドメイン及びその使用 Download PDF

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Abstract

スパイダーシルク(spider silk)タンパク質のN-末端(NT)断片と少なくとも70%の同一性を有する100〜160アミノ酸残基の部分を含むタンパク質であって、NTの40位に対応するアミノ酸残基が、Lys、Arg及びHisからなる群から選択され;かつ、NTの65位に対応するアミノ酸残基が、Asp及びGluからなる群から選択される、タンパク質であり、融合タンパク質の部分として有用であり、前記融合タンパク質の別の部分である所望のタンパク質又はポリペプチドの溶解性を向上するための、タンパク質。

Description

発明の技術分野
本発明は、タンパク質及びポリペプチドの分野に関し、より具体的には、スパイダーシルクタンパク質(スピドロイン(spidroin))並びに他の非スピドロインタンパク質及びポリペプチドの発現及び産生に関する。本発明は、新規なタンパク質であって、所望のタンパク質及びポリペプチドの発現及び産生のための、それ自体で、及び新規な融合タンパク質における部分として、有用であるタンパク質、並びに、これら新規なタンパク質及び融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。本発明はまた、所望のタンパク質又はポリペプチドの発現及び産生方法を提供する。
発明の背景
DNAからのタンパク質及びポリペプチドの産生は、様々な宿主で達成することができるが、一般的な問題は、不溶性タンパク質/ポリペプチド凝集体の形成である。これは、機能性タンパク質/ポリペプチドの産生を深刻に妨げ、又は防ぐ場合もある。この問題は典型的には、低溶解性タンパク質及びポリペプチド、例えば膜関連タンパク質及びポリペプチドで深刻化する。
膜関連タンパク質は、細胞のプロテオームの20〜30%を占め、多くの現在利用可能な医薬品の標的である。膜内に挿入されるために、タンパク質は、15〜20アミノ酸残基の少なくとも1つのストレッチを必要とし、当該ストレッチは、生物学的疎水性スケールに従って、膜挿入を促進する。同時に、アミノ酸側鎖の疎水性は凝集能の重要な決定因子であり、疎水性アミノ酸残基(Val、Ile、Phe及びCys)は、β-シート形成を促進し、かつ多くの疾患関連タンパク質のコア領域を形成するアミロイドで過剰出現している。従って、膜関連タンパク質は凝集する傾向があり、これは、機能的組み換えタンパク質の産生を深刻に妨げ、又は防ぐ場合もある。
例えば、肺サーファクタントタンパク質C(surfactant protein C)(SP-C)は、その極度に疎水性の性質のために組み換え生産することが難しい膜貫通(transmembrane)(TM)タンパク質である。SP-Cは、肺胞II型細胞によって産生され、呼気終末時の肺胞の潰れを防ぐために必要な表面活性物質の成分である。新生児はしばしば、不十分な量のサーファクタントによる呼吸困難に苦しむ。今日では、この状態は、動物の肺から抽出されたサーファクタント製剤、例えばCurosurf(登録商標)、Infasurf(登録商標)、Alveofact(登録商標)及びSurvanta(登録商標)で治療される。外因性サーファクタントによる治療はまた、呼吸困難の成人患者に潜在的に有益であるが、サーファクタントの供給は非常に限られており、かつ非常に高価である。異種系で産生されたペプチドに基づくサーファクタント製剤は、より低い産生コスト及びより高い産生量のために、今日使用されている天然の抽出物(及び化学合成ペプチド含有製剤)よりも優れているであろう。それはまた、規制の観点から有利であろう。
SP-C33LeuはSP-Cの変異体であって、N-末端部分が2つの残基で切断され、2つのCys残基がSerで置換され、1つのLeu残基がLysで置換され、かつ1つのMet残基がLeuで置換され、そして、膜貫通ヘリックスの安定性を高めるために膜を貫通する残基(通常は主にVal)がLeuに交換されている、変異体である。KL4は、肺サーファクタントタンパク質B(SP-B)の特性を模倣するように設計された別のサーファクタントアナログであり、Lys-Leu-Leu-Leu-Leuの反復繰り返しから成る。SP-C33Leu及びKL4は、膜貫通挿入を含む天然サーファクタントペプチドの機能を再現するが、凝集しにくく、それゆえ、合成サーファクタント製剤の開発のために大量に生産することが可能であり得る。両方のペプチドは化学合成によって生産することができるが、そのプロセスは、除去及び特徴付けが困難であり得る副産物を生じる。
肺サーファクタントタンパク質A(SP-A)及びD(SP-D)は、膜内に挿入されないが、むしろそれらの炭化水素結合ドメインを介して肺免疫応答における役割を果たす。それらは、肺の防御の第一線に関与する大きな水溶性タンパク質複合体であり、かつ、自然免疫細胞(例えばマクロファージ)並びに適応免疫細胞の機能を調節する。当該タンパク質は、N-末端コラーゲン様領域及びC-末端カルシウム依存性炭化水素認識ドメインからなるC-型レクチンのコレクチンファミリーに属する。それらの機能的形態において、当該タンパク質は、それらのN-末端領域を介して三量体ポリペプチド鎖として配置され、さらに異なる形状のより大きなオリゴマーへと組み立てられる。SP-Aは、「花束(bouquet)」のように配置された6つの三量体サブユニットからなり、一方で、SP-Dは4つの三量体サブユニットの十字型として配置する。当該タンパク質は親水性であるが、組み換え生産には消極的であり、不溶性封入体として発現され、変性及びリフォールディングにより精製されている。現在、臨床使用中のサーファクタント製剤はSP-A又はSP-Dを含まず、サーファクタントの天然部分であるこれら成分を添加することによって現在のサーファクタント療法が改善されるかどうかを調査することに興味がある。ヒトSP-A及びSP-Dは、肺胞蛋白症を有する患者から又は羊水から単離することができるが、収率は低く、オリゴマー状態が不均一である。タンパク質の組み換え生産は、治療的使用のためにスケールアップ及び再現可能な製造が可能となるが、これまでの試みは説得力に欠けている。
組み換えDNAから発現された場合に問題を引き起こすタンパク質及びポリペプチドの他の例は、Aβ-ペプチド、IAPP、PrP、α-シヌクレイン、カルシトニン、プロラクチン、シスタチン、ATF及びアクチン;SP-B、α-デフェンシン及びβ-デフェンシン;クラスA-Hアポリポタンパク質;LL-37、hCAP18、SP-C、SP-C33、Brichos、GFP、eGFP、ニカストリン、ニューロセルピン;EPO及びGHを含むホルモン、並びに、IGF-I及びIGF-IIを含む成長因子;アビジン及びストレプトアビジン;プロテアーゼ3C;及び免疫グロブリン及びその断片、である。
この問題に対する一つの解決策は、溶解性向上ペプチド/ドメインを有する融合タンパク質としての所望のタンパク質又はポリペプチド、すなわち必要とされる溶解性を提供するタンパク質又はポリペプチドを発現することである。融合タンパク質は切断され、所望のタンパク質が単離されてもよい。あるいは、所望のタンパク質/ポリペプチドは、可溶性融合タンパク質に統合維持されてもよく、ここでは、その所望のタンパク質/ポリペプチドは、機能的なままであり、かつさらなる特徴付け、例えば活性及び相互作用研究、構造決定及び結晶化に供することができる。チオレドキシン(Trx)は、大腸菌(E.coli)細胞質において高レベルに蓄積する最も広く用いられる溶解性向上融合パートナーの1つであり、多くの異種タンパク質及び小ペプチドの溶解性を劇的に増大させることが証明されている。別の成功した融合パートナーは、連鎖球菌タンパク質G(PGB1)からの免疫グロブリン結合ドメインB1である。高い安定性及び小さなサイズ(56残基)のこのドメインは、小さなドメイン及びペプチドの発現のため、並びに下流の構造特性化のための卓越した品質を与える。
国際公開第2011/115538号は、スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片に由来する溶解性向上部分と、所望のタンパク質又はポリペプチドである部分とを含む、融合タンパク質を開示している。溶解性向上部分の集合を防ぐために、6.4を超えるpHが好ましい。
欧州特許出願公開第2 644 619号明細書はまた、スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片に由来する溶解性向上部分と、所望のタンパク質又はポリペプチドである部分とを含む、融合タンパク質を開示している。溶解性向上部分は、pH6.4未満でも構成単量体であるが、野生型NTフラグメントと比較して得られた融合タンパク質の発現レベルを増加させていない。
当該分野におけるこれらの進歩にも関わらず、融合タンパク質アプローチは生成物の発現、安定性及び溶解性に関して制限を有する。大規模な異種タンパク質産生における融合パートナーの使用は、主に、追加の高価なクロマトグラフィーステップの必要性及び/又は融合パートナーを除去する困難性のために、一般的でない。
発明の概要
本発明の目的は、融合パートナー、すなわち、融合タンパク質の部分であって、前記融合タンパク質の別の部分である所望のタンパク質又はポリペプチドの溶解性を向上するために有用である部分を提供することである。
また、新規なタンパク質、並びに、疎水性タンパク質及びポリペプチド並びに疎水性領域を有するタンパク質及びポリペプチドのための改善された組み換え生産方法のための方法を提供することが、目的である。
本発明のさらなる目的は、広いpH範囲にわたって安定な単量体である融合パートナーを提供することである。
本発明の別の目的は、融合タンパク質での発現を含む所望のタンパク質又はポリペプチドを産生及び単離する簡便方法を提供する。
これら及び以下の明細書から明らかになる他の目的のために、本発明は、第1の態様に従って、添付の特許請求の範囲に記載のタンパク質を提供する。本発明は一般に、この電荷反転(charge-reversed)NT突然変異体が、二量体化することができず、安定化され、超可溶性(hypersoluble)であり、並びに、膜貫通及び凝集傾向のあるタンパク質の効率的な産生を可能にするという発見に基づいている。本発明に係る融合タンパク質は、有利にはミセルを形成し得る。
本発明は、第2の態様に従って、このタンパク質の、融合タンパク質の部分としての使用であって、前記融合タンパク質の別の部分である所望のタンパク質又はポリペプチドの溶解性を向上するための使用を提供する。
本発明は、第3の態様に従って、添付の特許請求の範囲に記載の所望のタンパク質又はポリペプチドの産生方法を提供する。
図1は、スピドロインN-末端ドメインの配列アラインメントである。 図2は、NTD40K/K65D及び野生型NTについてのpHに対する339 nm及び351 nmでの蛍光発光の比を示す。 図3は、2D HSQC NMRを用いるNTwt及びNTD40K/K65Dの比較である。 図4は、安定性の尺度としてのNTwt及びNTD40K/K65Dの尿素誘導性変性を示す。 図5は、CD分光法で測定したNTwt及びNTD40K/K65Dの熱安定性を示す。 図6は、CD分光法で測定したNTwt及びNTD40K/K65Dのリフォールディング能を示す。 図7〜8は、融合タンパク質、並びに得られた精製タンパク質及びペプチドのSDS-PAGEの評価である。 図7〜8は、融合タンパク質、並びに得られた精製タンパク質及びペプチドのSDS-PAGEの評価である。 図9は、本発明の方法で産生したSP-C33LeuのESI-MSスペクトルを示す。 図10は、一回換気量に対するrSP-C33Leuの影響を示す。 図11は、肺気量に対するrSP-C33Leuの影響を示す。 図12は、β17融合タンパク質及び得られた精製ポリペプチドのSDS-PAGE評価である。 図13は、可溶性NTD40K/K65D-β17融合タンパク質のゲル濾過を示す。 図14は、トロンビンでの融合タンパク質のタンパク質分解後のβ17のフィブリル化を示すThT蛍光のグラフである。 図15は、Bri2 BRICHOS融合タンパク質の発現及び溶解性のSDS-PAGE評価である。 図16は、Bri2 BRICHOS精製のSDS-PAGE分析である。 図17は、Bri2113-231融合タンパク質のオリゴマー状態を決定するためのゲル濾過を示す。 図18は、NTwt又はNTD40K/K65Dとの融合で発現したhCAP18のSDS-PAGE分析を示す。 図19は、NTD40K/K65D-SP-C33Leu融合タンパク質のSECクロマトグラムを示す。 図20は、ネガティブ染色したNTD40K/K65Dを含有するタンパク質のTEM顕微鏡写真を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、タンパク質及びポリペプチドの産生及び発現に関する。この産生による目的に応じて、最終産物は異なり得る。例えば、溶液で又は他の生体分子に関連して、脂質膜に挿入された所望のタンパク質又はポリペプチドを得ることが望ましい場合がある。また、融合タンパク質の一部としての所望のタンパク質又はポリペプチドであって、精製及び検出に適したハンドル(handle)を提供し、及び/又は、所望の特性、例えば安定性及び溶解性を提供し得るタンパク質又はポリペプチドを得ることが非常に望ましい場合もあるということが認識されるものとする。可溶性融合タンパク質に機能的に統合された所望のタンパク質又はポリペプチドを維持することは、所望のタンパク質又はポリペプチドを特徴付け及び研究するのに有用である。
本発明は一般に、周囲の水性媒体のpHに関わらず可溶性単量体として存在するその驚くべき能力に起因するスパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片の特定の変異体の有用性、並びに、その並外れた高い溶解性に起因する融合パートナーとしてのその優れた特性の洞察に基づいている。
スパイダーシルクは主に、クモの腹腺で産生される大きな凝集しやすいタンパク質(スピドロイン)からなる。それらは、N-末端(NT)及びC-末端(CT)の端部に球状かつ親水性のドメインに隣接した繰り返しアラニン及びグリシンに富んだセグメントの広範かつ主に疎水性のストレッチから構築される。紡糸中に、スピドロインは狭いダクトを通過して、水和のレベル、せん断力、イオン組成、pH及び二酸化炭素圧力を含む環境条件の正確な制御を伴うプロセスで、可溶性タンパク質から固体繊維に変換する。それらの凝集しやすい性質にもかかわらず、スピドロインは、スパイダーシルク腺内に著しく高い濃度(30〜50% w/w)で貯蔵されている。
NTドメインは、スピドロインの最も保存された部分であり、双極子電荷分布(dipolar charge distribution)を有する可溶性〜130残基5-ヘリックスバンドルに折り畳まれる。さらに、NTは、6.5未満のpHで逆平行二量体を形成するように、繊維形成に重要な役割を有し、これは、紡糸ダクト内でスピドロインミセルを相互接続するための重要なステップであると考えられる。
既知のクモMaSp1及びMaSp2シルクタンパク質種において(例えば図1参照)、NT部分(配列番号9)のD40及びK65は保存されており、負に荷電したD40及び正に荷電したK65の側鎖間の塩橋によってサブユニット間の静電相互作用を媒介し、これは二量体構造を安定化する。同様に、既知の小瓶状腺スパイダーシルク(minor ampullate spider silk)(MiSp)種において対応する反対に荷電したアミノ酸残基がある。40位における正に荷電した(塩基性)アミノ酸残基及び65位における負に荷電した(酸性)アミノ酸残基を提供するためのこれら残基の電荷反転突然変異は、驚くべきことに、これら位置間のサブユニット間塩橋を消失させ、これは次に、NT断片のpH-依存性二量体化能力に重大な影響を及ぼすことが、実施例において現在実現及び実証された。これら電荷反転突然変異の結果として、NT突然変異体は驚くべきことに、広いpH間隔にわたって安定な単量体となり、そして、所望のタンパク質又はポリペプチドと共に得られた融合タンパク質の高発現、高い安定性及びpH非感受性を含む融合パートナーとしての優れた特性を達成する。NT突然変異体は水に高度に可溶性である。本発明に係る電荷反転NT突然変異体を用いて得られた融合タンパク質の高い発現レベルは、別の既知のNT変異体であるNTA72Rが、対応する融合タンパク質のNTwtよりも低い発現レベルを達成することを考慮すると、特に驚くべきことである。特定の科学的理論に拘束されることを望むことなく、本発明に係る電荷反転突然変異体NTの改善された安定性及びリフォールディング能は、不安定電荷クラスターを低減する、より少ない双極子電荷分布によって説明できるということが示唆される。
大腸菌での発現後の可溶性融合タンパク質の収率は典型的には、従来のタグ様チオレドキシン及びPGB1と比較して少なくとも2倍高く、融合タンパク質は、例えば塩沈殿及び/又は有機溶媒中での沈殿によって、均一になるまで精製することができる。切断された所望のタンパク質又はペプチドは、例えば疾患の動物モデルにおいて、活性である。電荷反転NT突然変異体は、二量体化することができず、安定化され、超可溶性であり、融合タンパク質の収量がより高く、並びに、以前は組み換え生産が無効であった凝集しやすいタンパク質の産生を可能にする。
特定の理論に限定されることを望むことなく、本明細書に開示された実験結果は、所望のペプチド又はタンパク質の組み換え生産が、融合タグとしての本発明に係る電荷反転NT突然変異体を用いて増強することができ、当該融合タグは溶解性を媒介し、かつミセル様粒子内の周辺水溶液から所望のタンパク質の疎水性領域を遮蔽することを支持している。突然変異体NTD40K/K65Dは、低減された双極子電荷分布に起因して低いpHで二量体化することができず、それゆえ、より広いpH範囲で溶解性を媒介することができる。興味深いことに、NTD40K/K65D-SP-C33Leuのサイズ排除クロマトグラフィー(図19)は、精製した両親媒性融合タンパク質が510 kDaのアセンブリに配置することを示しており、そして約10〜15 nmのサイズのミセル様粒子がTEMによって観察される(図20)。
それゆえ、本発明に係る電荷反転NT突然変異体を含む融合タンパク質を含むか又はそれらからなるミセル又はミセル様粒子の形成は、望ましいタンパク質及びポリペプチドの、特に疎水性タンパク質及びポリペプチド並びに疎水性領域を有するタンパク質及びポリペプチド、例えば膜タンパク質及びポリペプチド並びに膜関連タンパク質及びポリペプチドの、組み換え生産に有用な中間体構造であると考えられる。ミセルは典型的には、5〜100 nm、例えば5〜30 nm、及び好ましくは5〜20又は10〜15 nmの範囲のサイズを有する。
膜関連タンパク質及び多数の他の商業的に関連するタンパク質は、その疎水性及び凝集しやすい特性のために、その天然の形態で生産及び精製することが難しい。持続可能かつ一般的な生産体制の欠如は、例えば医薬品としてのこれらタンパク質の製造及び評価を困難にする。二量体化する能力を有さない本発明に係る電荷反転NT突然変異体は、改善された安定性及びリフォールディング能を実証し、かつ、サーファクタントペプチドアナログSP-C33Leu、KL4、サーファクタントタンパク質SP-A及びSP-D、並びにその切断された変異体、アミロイド形成ポリペプチドβ17、Aβ及びIAPP、hCAP18、ニカストリン、eGFP並びにBri2-BRICHOSタンパク質ドメインの産生のための、高度に可溶性の融合パートナーとして使用された。得られた融合タンパク質の量は、PGB1融合タンパク質と比較して最大で8倍高く、全てのペプチド/タンパク質は、NTドメインの除去後に可溶性及び機能性タンパク質として生産することができた。
大規模な異種タンパク質生産における融合パートナーの使用は、主として追加の高価なクロマトグラフィーステップの必要性及び/又は融合パートナーの除去の困難性のために、一般的でない。しかしながら、NT及び電荷反転NTは、クロマトグラフィーの必要性を回避する単純なNaCl沈殿及びエタノール抽出ステップを用いて、疎水性標的ペプチドの効率的な精製を可能にする。本明細書に記載された手順は、安価で、効率的かつ、規制の観点から有利なタンパク質の生産方法、例えば合成肺サーファクタントにおける臨床使用のための非動物由来のSP-C33Leuの生産方法を表す。呼吸困難の動物モデルの機能の点において、組み換えSP-C33Leuは合成ペプチドと同一であり、そして組み換えSP-C33Leuと合成リン脂質との混合物は、ブタ由来のサーファクタントCurosurf(登録商標)と同一であることが、本明細書に示されている。
サーファクタントタンパク質SP-A及びSP-Dは膜内に挿入されないが、むしろ炭化水素結合ドメインを介して肺免疫応答における役割を果たす。当該タンパク質は親水性であるが、それらは組み換え生産には消極的である。融合パートナーとして電荷反転NTを使用することは、SP-A及びSP-Dの可溶性誘導体の高発現及びその後の精製を可能にする。これは、電荷反転NTが生物工学的用途のための一般的な溶解性向上融合パートナーとして機能して、TMペプチド並びにその疎水性又は凝集傾向に起因して今日生産が困難であるタンパク質の異種生産を可能にすることを示している。
したがって、本発明は、第1の態様に従って、配列番号1又は配列番号96と少なくとも70%の同一性を有する100〜160アミノ酸残基の部分を含むタンパク質であって、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基が、Lys、Arg及びHisから成る群から選択される塩基性アミノ酸残基であり;かつ、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基が、Asp及びGluから成る群から選択される酸性アミノ酸残基である、タンパク質を提供する。野生型NTは高水溶性であり、例えば所望のタンパク質又はポリペプチドの発現のための融合タンパク質における溶解性増大部分として有用であるが、それはまた、融合タンパク質の望ましくない凝集のリスクを増大させる5.5〜7.2のpH間隔で二量体を形成する。これは、特定の望ましいタンパク質及びポリペプチドの機能性及び安定性に有用なpH間隔である。それはまた、特定の精製プロトコルに、例えばイオン交換、例えば陽イオン又は陰イオン交換、あるいは固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を精製原理として使用する場合に、有用なpH間隔である。それはまた、特定の発現宿主、例えば酵母に有用なpH間隔である。現在、本発明に係る電荷反転二重突然変異体NTは、融合タンパク質中で連結されている場合に所望のタンパク質又はポリペプチドのその溶解性又は溶解性を増大する能力に悪影響を与えることなく、二量体を形成するタンパク質の能力を減少させるということが、実現された。それゆえ、本発明に係る突然変異体NTタンパク質はそれ自体が、生理学的に関連するNT単量体それ自体を研究するために有用である。本発明に係る突然変異体NTタンパク質は、融合タンパク質の望ましくない凝集のリスクを減少させるので、融合タンパク質における溶解性増大部分としても有用であり、それによって、新たなpHウインドウ(pH window)(5.5〜7.2)を開き、ここでは、スパイダーシルクタンパク質からの電荷反転二重突然変異体NTを、水溶液中でのタンパク質/ポリペプチド単量体溶解性が望ましい場合の生化学的用途に、例えば望ましいタンパク質又はポリペプチドの産生又は特徴付けに、使用することができる。驚くべきことに、40位及び65位におけるこれらの変化は、得られるタンパク質の正味の電荷を変化させないが、融合される望ましいタンパク質/ポリペプチド部分に安定性及び溶解性を提供するその能力は改善されることが、実験データから決定されている。
好ましい実施形態では、本発明に係る融合タンパク質は、ミセル又はミセル様粒子として存在する。ミセルは典型的には、5〜100 nm、例えば5〜30 nm、5〜20 nm、又は10〜15 nmの範囲のサイズを有する。この中間体ミセル構造は、融合タンパク質の、特に疎水性タンパク質及びポリペプチド並びに疎水性領域を有するタンパク質及びポリペプチドを含む融合タンパク質の、高い安定性及び溶解性、並びに最終的に高収率を支持し、したがって水性溶媒中での発現及び精製の間に水不溶性ペプチドを保護すると考えられる。ミセルは典型的には5〜100 nm、例えば5〜30 nm、及び好ましくは5〜20 nm又は10〜15 nmの範囲のサイズを有する。
好ましい実施形態では、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基は、Lys又はArg、及び好ましくはLysである。好ましい一実施形態では、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基は、Aspである。これら2つの位置に関する6つの可能な好ましい変異体は、配列番号2〜7として提示される。特に好ましい変異体は配列番号2であり、ここでは、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基がLysであり;かつ、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基がAspである。誤解を避けるために、配列番号2〜7における対応する突然変異位置は、より短いN-末端のために、36位及び61位である。
好ましい実施形態では、配列番号1の72位に対応するアミノ酸残基は、Argではない。それは好ましくは非荷電残基であり、すなわちLys、Arg、His、Glu又はAspではない。特定の好ましい実施形態では、配列番号1の72位に対応するアミノ酸残基が、Ala、Val、Phe、Pro、Leu、Ile、Trp、Met、Cys及びGly;並びに好ましくはAla、Val、Leu、Ile及びGlyからなる群から選択される。好ましい実施形態では、配列番号1の72位に対応するアミノ酸残基が、Ala又はGly、好ましくはAlaである。
上述したように、本発明の部分は、スパイダーシルクタンパク質、又はスピドロインのNT断片に由来する。実施例は必然的に特定のNT断片、この場合、ユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)からの主要スピドロイン1(major spidroin 1)(MaSp1)に由来するタンパク質に関するが、本明細書に開示された方法は任意の類似のタンパク質部分に適用可能であると考えられる。用語「スピドロイン」及び「スパイダーシルクタンパク質」は、明細書を通じて互換的に使用され、かつ、次のものを含む全ての既知のスパイダーシルクタンパク質を包含する:大瓶状腺スパイダーシルクタンパク質(major ampullate spider silk proteins)、典型的には「MaSp」又はニワオニグモ(Araneus diadematus)の場合は「ADF」と略記される、並びに小瓶状腺スパイダーシルクタンパク質(minor ampullate spider silk proteins)、典型的には「MiSp」と略記される。大瓶状腺スパイダーシルクタンパク質は一般に2つのタイプ、1及び2がある。これら用語はさらに、添付の特許請求の範囲及び項目別の実施形態に定義された本発明に係る新しいNTタンパク質断片、並びに、既知のスパイダーシルクNTタンパク質断片との高度の同一性及び/又は類似性を有する他の非天然タンパク質を含む。
本発明の部分は、スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)アミノ酸配列と高度の類似性を有する。図1に示されるように、これらアミノ酸配列は、様々な種、並びにMaSp1、MaSp2及びMiSpを含むスパイダーシルクタンパク質の間でよく保存されている。それゆえ当業者は、どのようにして、そしてどの程度、アミノ酸配列が、N-末端スパイダーシルクタンパク質断片の特性及び機能から逸脱することなく、変化してもよいかをよく知っている。表1は、GenBank受託エントリにより示された図1にアラインされているスピドロインNT断片及び他の本発明のNT部分を列挙する。
N-末端ドメインに対応する部分のみが各配列について示され、シグナルペプチドは省略されている。Nc flag及びNlm flagは、Rising A.ら、Biomacromolecules 7、3120〜3124(2006))に従って変換及び編集されている。
どの特定のNT部分が本発明に係るタンパク質に存在するかは、NT部分が完全に欠落していない限り重要ではない。したがって、本発明に係るNT部分は、図1に示されたMaSp1又はMaSp2アミノ酸配列、あるいは高度の類似性を有する配列又はMiSpアミノ酸配列、例えば配列番号96〜99のいずれか一つから選択され得る。多様な配列が本発明に係る融合タンパク質に使用され得る。図1の相同配列に基づいて、以下の配列がコンセンサスMaSp NTアミノ酸配列を構成する: QANTPWSSPNLADAFINSF(M/L)SA(A/I)SSSGAFSADQLDDMSTIG(D/N/Q)TLMSAMD(N/S/K)MGRSG(K/R)STKSKLQALNMAFASSMAEIAAAESGG(G/Q)SVGVKTNAISDALSSAFYQTTGSVNPQFV(N/S)EIRSLI(G/N)M(F/L)(A/S)QASANEV(配列番号10)。
本発明に係る本発明の部分の配列は、図1の野生型NTアミノ酸配列に基づいているコンセンサスアミノ酸配列の配列番号10と、好ましくは少なくとも50%の同一性、好ましくは少なくとも60%の同一性を有する。好ましい実施形態では、本発明に係る本発明の部分の配列は、コンセンサスアミノ酸配列の配列番号10と、少なくとも65%の同一性、好ましくは少なくとも70%の同一性を有する。好ましい実施形態では、本発明に係る溶解性向上部分はさらに、コンセンサスアミノ酸配列の配列番号10と70%、好ましくは80%の類似性を有する。
本発明に係る代表的な本発明の部分は、配列番号2(配列番号8によってコードされた)であり、これは、上記明細書中及び配列番号1に記載されたように、40位におけるアスパラギン酸の、リシン又は任意の他の塩基性残基による置換、及び65位におけるリシンの、アスパラギン酸又は任意の他の酸性残基による置換を有する、ユープロステノプス・オーストラリス(Euprosthenops australis)NT部分(配列番号9)に由来する。本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の部分はさらに、配列番号1、又は配列番号96〜99のいずれか、又は図1における任意の個々のアミノ酸配列と、少なくとも70%の同一性、例えば少なくとも75%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性を有する。本発明の好ましい実施形態では、本発明の部分は、配列番号1、又は配列番号96〜99のいずれか、又は図1における任意の個々のアミノ酸配列と、少なくとも85%、例えば少なくとも90%又はさらに95%の同一性を有する。本発明の好ましい実施形態では、40位における酸性残基及び65位における塩基性残基(あるいはあり得る対応する位置)が、本明細書に上記されたように置換されていることを条件として、溶解性向上部分は、配列番号9、又は配列番号96〜99のいずれか、又は図1における任意の個々のアミノ酸配列と同一である。
用語「%の同一性」は、明細書及び添付の特許請求の範囲を通して使用される場合、以下のように計算される。クエリー配列は、CLUSTAL Wアルゴリズム(Thompson、J.D.、Higgins、D.G.及びGibson、T.J.、Nucleic Acids Research、22: 4673〜4680(1994))を用いて標的配列にアラインされる。アラインされた配列の最短に対応するウインドウにわたって比較が成されている。各位置におけるアミノ酸残基が比較され、標的配列中に同一の対応を有するクエリー配列の位置のパーセンテージが、%の同一性として報告される。
用語「%の類似性」は、明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて使用される場合、以下、疎水性残基Ala、Val、Phe、Pro、Leu、Ile、Trp、Met及びCysが類似であり;塩基性残基Lys、Arg及びHisが類似であり;酸性残基Glu及びAspが類似であり;かつ、親水性非荷電残基Gln、Asn、Ser、Thr及びTyrが類似であることを例外として、「%の同一性」について記載されたように計算される。残りの天然アミノ酸Glyは本文脈において任意の他のアミノ酸と類似していない。
この説明を通じて、本発明に係る代替実施形態は、同一性の指定されたパーセンテージに代えて、対応する類似のパーセンテージを満たす。他の代替実施形態は同一性の指定されたパーセンテージ、並びに、各配列についての同一性の好ましいパーセンテージの群から選択される、別のより高い類似性のパーセンテージを満たす。例えば、配列は、別の配列と70%類似であってもよく;又は配列は別の配列と70%同一であってもよく;又は配列は別の配列と70%同一かつ90%類似であってもよい。
本発明の部分は100〜160アミノ酸残基を含む。本発明の部分は、少なくとも100、又は110超、好ましくは120超のアミノ酸残基を含むことが好ましい。また、本発明の部分は、最大で160、又は140未満のアミノ酸残基を含むことが望ましい。典型的な本発明の部分は、約130〜140アミノ酸残基を含む。
国際公開第2011/115538号(その全体が本明細書に組み込まれる)に詳述されているように、スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片は、組み換えDNAから産生される融合タンパク質における溶解性向上部分として特に有用である。さらなる態様によれば、本発明はさらに、周囲の水性媒体のpHに関わらず可溶性単量体として存在するその能力に起因する、そのような融合タンパク質における本発明に係る電荷反転二重突然変異体NTの有用性の洞察に基づいている。得られる融合タンパク質は驚くほど安定であり、かつ高収率で生産することができる。
本態様によれば、本発明は、融合タンパク質であって、以下、(i)配列番号1又は配列番号96と少なくとも70%の同一性を有する100〜160アミノ酸残基の少なくとも1つの溶解性向上部分であって、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基が、Lys、Arg及びHisからなる群から選択され;かつ、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基が、Asp及びGluからなる群から選択される、溶解性向上部分;並びに(ii)所望のタンパク質又はポリペプチドである少なくとも1つの部分、を含む、融合タンパク質を提供する。溶解性向上部分の好ましい特徴は、本明細書の上記に示されている。驚くべきことに、溶解性向上部分の40位及び65位におけるこれらの変化は、得られる融合タンパク質の正味の電荷を変化させないが、融合される望ましいタンパク質/ポリペプチド部分に安定性及び溶解性を提供するその能力が改善され、驚くべきことに、反対に荷電した残基40及び65を含む静電相互作用が形成されないので、融合タンパク質の溶解性向上部分は二量体化が防止されることが、実験データから決定された。
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、以下、(i)配列番号1又は配列番号96と少なくとも70%の同一性を有する100〜160アミノ酸残基の少なくとも1つの溶解性向上部分であって、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基が、Lys、Arg及びHisからなる群から選択され;かつ、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基が、Asp及びGluからなる群から選択される、溶解性向上部分;並びに(ii)所望のタンパク質又はポリペプチドである少なくとも1つの部分、からなり、場合により本明細書に開示された他の好ましい特徴、例えば、溶解性向上部分と所望のタンパク質又はポリペプチドとの間のリンカーペプチド及び/又は切断部位を含む。実験では、異なる融合タンパク質の高い収率を大腸菌で達成した。融合タンパク質はそれ自体が、単離形態で、例えば可溶性形態で他の方法で凝集した又は可溶性の低いタンパク質の研究のために、あるいはX線結晶構造解析に関連した結晶化で、有用であり得る。融合タンパク質はまた、切断されて、所望のタンパク質又はポリペプチドを放出し得る。
用語「融合タンパク質」は、本明細書において、組み換え核酸、すなわちDNA又はRNAからの発現によって作製されるタンパク質を意味し、当該組み換え核酸は、通常は一緒に生じることのない2つ以上の核酸配列を組み合わせること(遺伝子工学)によって人工的に作り出される。本発明に係る融合タンパク質は組み換えタンパク質であり、それゆえ、それらは天然に存在するタンパク質とは同一でない。組み合わされた核酸配列は、特定の機能的特性を有する異なるタンパク質、部分的タンパク質又はポリペプチドをコードする。得られる融合タンパク質、又は組み換え融合タンパク質は、元のタンパク質、部分的タンパク質又はポリペプチドの各々に由来する機能的特性を有する単一のタンパク質である。
特定の実施形態では、本発明に係る融合タンパク質及び対応する遺伝子はキメラであり、すなわちタンパク質/遺伝子断片は、少なくとも2つの異なる種に由来する。溶解性向上部分は、スパイダーシルクタンパク質のN-末端断片に由来する。本態様によれば、所望のタンパク質又はポリペプチドは非スピドロインタンパク質であることが好ましい。これは、所望のタンパク質又はポリペプチドが、スパイダーシルクタンパク質のC-末端、反復又はN-末端断片に由来しないことを意味する。別の態様によれば、所望のタンパク質又はポリペプチドは、スピドロインタンパク質であることが好ましい。これは、所望のタンパク質又はポリペプチドが、スパイダーシルクタンパク質のC-末端、反復又はN-末端断片に由来することを意味する。所望のタンパク質又はポリペプチドはまた、順にスピドロインタンパク質部分と非スピドロインポリペプチド又はタンパク質部分との間の融合体であってもよい。典型的には、スピドロインタンパク質部分は、規則性ポリマーを形成する能力を提供し、一方で非スピドロインポリペプチド又はタンパク質部分は、望ましい親和性特性を提供し得る、例えば細胞結合ペプチド、免疫グロブリン及びその機能的断片である。
本発明に係る融合タンパク質はまた、1つ又は複数のリンカーペプチドを含んでもよい。リンカーペプチド(複数)は、溶解性向上部分と所望のタンパク質又はポリペプチド部分との間に配置されてもよく、あるいは溶解性向上部分及び所望のタンパク質又はポリペプチド部分のいずれかの端部に配置されてもよい。融合タンパク質が2つ以上の溶解性向上部分を含む場合、リンカーペプチド(複数)はまた、2つの溶解性向上部分の間に配置されてもよい。リンカー(複数)は、融合タンパク質の機能的ユニットの間にスペーサーを提供してもよいが、融合タンパク質の同定及び精製のためのハンドル、例えばHis及び/又はTrxタグを構成してもよい。融合タンパク質が、融合タンパク質の同定及び精製のための2つ以上のリンカーペプチドを含む場合、それらはスペーサー配列、例えばHis6-スペーサー-His6-によって分離されていることが好ましい。リンカーはまた、シグナルペプチド、例えばシグナル認識粒子基質を構成してもよく、当該シグナルペプチドは融合タンパク質を膜に誘導し、及び/又は、宿主細胞から周囲媒体中への融合タンパク質の分泌を引き起こす。融合タンパク質はまた、そのアミノ酸配列中に切断部位を含んでもよく、当該切断部位は、リンカー(複数)及び/又は溶解性向上部分若しくは部分(複数)の切断及び除去を可能にする。様々な切断部位が当業者に知られており、例えば化学薬剤のための切断部位、例えばMet残基の後のCNBr、及びAsn-Gly残基間のヒドロキシルアミン、プロテアーゼのための切断部位、例えばトロンビン又はプロテアーゼ3C、並びに自己スプライシング配列、例えばインテイン(intein)自己スプライシング配列である。好ましい切断部位はMet残基の後である。
各溶解性向上部分は、所望のタンパク質又はポリペプチド部分に、直接的又は間接的に連結される。直接的連結は、リンカーなどの配列を介在しない2つの部分間の直接共有結合を意味する。間接的連結はまた、2つの部分が共有結合によって連結されているが、介在配列、例えばリンカー及び/又は1つ又は複数のさらなる溶解性向上部分が存在することを意味する。
少なくとも1つの溶解性向上部分は、所望のタンパク質又はポリペプチドのいずれかの端部に配置されてもよく、すなわちC-末端に配置されるか、又はN-末端に配置されてもよい。少なくとも1つの溶解性向上部分が、所望のタンパク質又はポリペプチドのN-末端に配置されることが好ましい。融合タンパク質が、融合タンパク質の同定及び精製のための1つ又は複数のリンカーペプチド(複数)、例えばHis又はTrxタグ(複数)を含む場合、それは融合タンパク質のN-末端に配置されることが好ましい。少なくとも1つの溶解性向上部分はまた、例えば所望のタンパク質のドメイン又は部分の間で、所望のタンパク質又はポリペプチド内で統合されてもよい。好ましい実施形態では、少なくとも1つの溶解性向上部分は、融合タンパク質のN-末端及び/又はC-末端を構成し、すなわちリンカーペプチド又は他の配列は溶解性向上部分の末端に存在しない。本発明に係る典型的な融合タンパク質は、1〜6、例えば1〜4、例えば1〜2つの溶解性向上部分を含んでもよい。
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも2つの溶解性向上部分を含んでおり、それぞれが、本明細書に上述されたスパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片に由来する。溶解性向上部分、好ましくは2つの溶解性向上部分は、連続して、所望のタンパク質又はポリペプチドのいずれかの端部に配置されてもよく、すなわちC-末端に配置されるか、又はN-末端に配置されてもよい。連続して配置された溶解性向上部分はまた、例えば所望のタンパク質のドメイン又は部分の間で、所望のタンパク質又はポリペプチド内で統合されてもよい。溶解性向上部分はまた、所望のタンパク質又はポリペプチドのいずれかの各端部に非連続的に配置され、すなわちC-末端及びN-末端に配置されてもよく、あるいは、所望のタンパク質又はポリペプチドの一方の端部に配置され、そして所望のタンパク質又はポリペプチド内に統合されてもよい。本発明に係る典型的な好ましい融合タンパク質は、2〜6、例えば2〜4つの溶解性向上部分を含み得る。
好ましい実施形態では、本発明に係る融合タンパク質は、少なくとも1つの所望のタンパク質又はポリペプチド部分と、少なくとも1つの溶解性向上部分との間に配置された、少なくとも1つの切断部位を有する。これは、融合タンパク質の切断、及び所望のタンパク質の精製を可能にする。しかしながら、融合タンパク質の一部として所望のタンパク質又はポリペプチドを得ることが望ましく、当該タンパク質又はポリペプチドは、精製及び検出のための好適なハンドルを提供し、及び/又は、望ましい特性、例えば安定性及び溶解性を提供し得ることに留意されたい。この場合、切断部位は省略され得るか、あるいは、切断部位は含まれるが、切断ステップは省略され得る。
好ましい融合タンパク質は、1〜30アミノ酸残基、例えば1〜10アミノ酸残基のリンカーペプチドによって、C-末端に配置された所望のタンパク質又はポリペプチドにカップリングされた、N-末端に配置された溶解性向上部分の形態を有する。リンカーペプチドは、切断部位を含んでもよい。場合により、融合タンパク質は、N-末端又はC-末端リンカーペプチドを有し、当該リンカーペプチドは精製タグ、例えばHisタグ、及び切断部位を含み得る。
別の好ましい融合タンパク質は、C-末端に配置された所望のタンパク質又はポリペプチドに直接カップリングした、N-末端に配置された溶解性向上部分の形態を有する。場合により、融合タンパク質は、N-末端又はC-末端リンカーペプチドを有し、当該リンカーペプチドは精製タグ、例えばHisタグ、及び切断部位を含み得る。
1つの好ましい融合タンパク質は、1〜30アミノ酸残基、例えば1〜10アミノ酸残基のリンカーペプチドによって、C-末端に配置された所望のタンパク質又はポリペプチドにカップリングした、2つの連続したN-末端に配置された溶解性向上部分の形態を有する。リンカーペプチドは、切断部位を含んでもよい。場合により、融合タンパク質は、N-末端又はC-末端リンカーペプチドを有し、当該リンカーペプチドは精製タグ、例えばHisタグ、及び切断部位を含み得る。
別の好ましい融合タンパク質は、C-末端に配置された所望のタンパク質又はポリペプチドに直接カップリングした、2つの連続したN-末端に配置された溶解性向上部分の形態を有する。場合により、融合タンパク質は、N-末端又はC-末端リンカーペプチドを有し、当該リンカーペプチドは精製タグ、例えばHisタグ、及び切断部位を含み得る。
本発明の文脈において、所望のポリペプチドとは、5〜50アミノ酸残基、好ましくは10〜50、20〜50又は40〜50アミノ酸残基のポリペプチドを意味することが理解される。さらに、本発明の文脈において、所望のタンパク質とは、50超のアミノ酸残基、例えば80超のアミノ酸残基のタンパク質を意味することが理解される。所望のタンパク質は、500未満のアミノ酸残基、例えば300未満又は200未満のアミノ酸残基を含むことが好ましい。所望のポリペプチド又はタンパク質の好ましいサイズは、4〜50 kDa、例えば5〜50 kDa、4〜45 kDa及び5〜45 kDa、好ましくは8〜30 kDa、より好ましくは4〜20、5〜20又は8〜30 kDaの範囲である。
本発明の好ましい実施形態では、所望のポリペプチド又はタンパク質は疎水性であり、Protparamによって決定された65以上、好ましくは70以上の脂肪族指数を有する(http://web.expasy.org/protparam/;Gasteiger E.ら;ExPASyサーバー上のタンパク質同定及び分析ツール;(in)John M. Walker(ed): The Proteomics Protocols Handbook、Humana Press(2005). pp. 571〜607)。好ましくは、疎水性(GRAVY)インデックス(Hydropathy(GRAVY)index)のグランドアベレージから定義されたポリペプチド内の疎水性残基の割合は(Kyte、J. and Doolittle、R.F.(1982)A simple method for displaying the hydropathic character of a protein.J. Mol. Biol. 157、105〜132.)、−1から2の間、好ましくは1から2の間であるべきである。
好ましい一実施形態では、所望のタンパク質又はポリペプチドは、アミロイド形成タンパク質及びポリペプチド、ジスルフィド含有タンパク質及びポリペプチド、アポリポタンパク質、膜タンパク質及びポリペプチド、タンパク質及びポリペプチド薬及び薬物標的、凝集しやすいタンパク質及びポリペプチド、プロテアーゼ、及び免疫グロブリン及びその断片からなる群から選択される。好ましい実施形態では、所望のタンパク質又はポリペプチドは、アミロイド形成タンパク質及びポリペプチド、ジスルフィド含有タンパク質及びポリペプチド、アポリポタンパク質、膜タンパク質及びポリペプチド、タンパク質及びポリペプチド薬及び薬物標的、凝集しやすいタンパク質及びポリペプチド、及びプロテアーゼからなる群から選択される。
所望のタンパク質又はポリペプチドの1つの好ましい群は、Aβ-ペプチド、IAPP、PrP、α-シヌクレイン、カルシトニン、プロラクチン、シスタチン、ATF、アクチン及びβ17;SP-B、mini-BLeu、α-デフェンシン及びβ-デフェンシン;クラスA-H アポリポタンパク質;LL-37、hCAP18、SP-C、SP-C33、SP-C33Leu、KL4、Brichos、GFP、eGFP、ニカストリン、ニューロセルピン;EPO及びGHを含むホルモン、並びに、IGF-I及びIGF-IIを含む成長因子;SP-A、SP-D及びそのアナログ;Bri2-BRICHOS及びBri2113-231を含むその変異体;アビジン及びストレプトアビジン;プロテアーゼ3C;及び免疫グロブリン及びその断片からなる。所望のタンパク質又はポリペプチドの好ましい群は、Aβ-ペプチド、IAPP、PrP、α-シヌクレイン、カルシトニン、プロラクチン、シスタチン、ATF、アクチン及びβ17;SP-B、mini-BLeu、α-デフェンシン及びβ-デフェンシン;クラスA-H アポリポタンパク質;LL-37、hCAP18、SP-C、SP-C33、SP-C33Leu、KL4、Brichos、GFP、eGFP、ニカストリン、ニューロセルピン;EPO及びGHを含むホルモン、並びに、IGF-I及びIGF-IIを含む成長因子;SP-A、SP-D及びそのアナログ;Bri2-BRICHOS及びBri2113-231を含むその変異体;アビジン及びストレプトアビジン;及びプロテアーゼ 3Cからなる。
本発明に係るアミロイド形成タンパク質及びポリペプチドは、疾患及び機能的アミロイドに関連しているタンパク質及びポリペプチドを含む。アミロイド形成タンパク質及びポリペプチドの例としては、アミロイドベータペプチド(Aβ-ペプチド)、膵島アミロイドポリペプチド(アミリン又はIAPP)、プリオンタンパク質(PrP)、α-シヌクレイン、カルシトニン、プロラクチン、シスタチン、心房性ナトリウム利尿因子(ATF)及びアクチン、が挙げられる。さらなる例は設計ポリペプチドβ17。本発明に係るアミロイド形成タンパク質及びポリペプチドの例を、表2に列挙する。
ジスルフィド含有タンパク質及びポリペプチドの例としては、サーファクタントタンパク質B(SP-B)及びその変異体、例えばMini-B、Mini-B27、Mini-BLeu、α-デフェンシン及びβ-デフェンシンが挙げられる。特定の理論に限定されるものではないが、溶解性向上部分は、デフェンシン及び他のジスルフィド含有タンパク質及びポリペプチドにおいて、鎖間ジスルフィド結合よりも所望の鎖内ジスルフィド結合の形成を促進することが企図される。
本発明に係るジスルフィド含有タンパク質及びポリペプチドの例を、表3に列挙する。
アポリポタンパク質の例としては、クラスA-Hアポリポタンパク質が挙げられる。本発明に係るアポリポタンパク質の例を、表4に列挙する。
膜タンパク質及びポリペプチドの例としては膜関連受容体が挙げられ、膜関連受容体は、サイトカイン受容体、KL4、LL-37、hCAP18、サーファクタントタンパク質C(SP-C)及びその変異体、例えばSP-C(Leu)、SP-C33、SP-C30及びSP-C33Leuを含む。他の具体的な例としては、Mini-B、Mini-BLeu、1a AA、1b AA、0 AAAA、1a LL、1b LL、0 LLLL又はSP-Bタンパク質に、場合によりリンカー、例えばGlyn、Leun、Gly-Alanなどを介して、融合した、SP-C33Leuが挙げられる。SP-C33Leuは、Mini-B、Mini-BLeu、1a AA、1b AA、0 AAAA、1a LL、1b LL、0 LLLL又はSP-Bタンパク質に対して、N-末端に又は、好ましくはC-末端に配置され得る。
本発明に係る膜タンパク質及びポリペプチドの例を、表5に列挙する。
タンパク質及びポリペプチド薬及び薬物標的の例としては、組み換えにより産生されるホルモンが挙げられ、当該ホルモンは、ペプチド及びタンパク質ホルモン、例えばエリスロポエチン(EPO)及び成長ホルモン(GH)、サイトカイン、成長因子、例えばインスリン様成長因子(IGF-I及びIGF-II)、KL4、LL-37、hCAP18、サーファクタントタンパク質C(SP-C)及びその変異体、例えばSP-C(Leu)、SP-C33、SP-C30、SP-C33Leuを含む。他の具体的な例としては、Mini-B、Mini-BLeu、1a AA、1b AA、0 AAAA、1a LL、1b LL、0 LLLL又はSP-Bタンパク質に、場合によりリンカー、例えばGlyn、Leun、Gly-Alanなどを介して融合した、SP-C33Leuが挙げられる。SP-C33Leuは、Mini-B、Mini-BLeu、1a AA、1b AA、0 AAAA、1a LL、1b LL、0 LLLL又はSP-Bタンパク質に対して、N-末端に又は、好ましくはC-末端に配置され得る。さらに好ましい例としては、サーファクタントタンパク質A(SP-A)及びD(SP-D)、並びにそのアナログが挙げられる。さらに好ましい例はBri2-BRICHOS及びBri2113-231を含むその変異体、並びにニカストリンである。
本発明に係るタンパク質及びポリペプチド薬及び薬物標的の例を、表6に列挙する。
凝集しやすいタンパク質及びポリペプチドの例としては、アビジン、ストレプトアビジン及びサイトカイン受容体の細胞外リガンド結合部が挙げられる。
本発明に係る凝集しやすいタンパク質及びポリペプチドの例を、表7に列挙する。
プロテアーゼの例としては、コクサッキーウイルス又はヒトライノウイルスからのプロテアーゼ3Cが挙げられる。本発明に係るプロテアーゼのさらなる例を、表8に列挙する。
本発明の好ましい実施形態では、所望のタンパク質又はポリペプチドは、サーファクタントタンパク質B(SP-B)及びその変異体、例えばMini-B、Mini-B27、Mini-BLeu及びKL4;Aβ、IAPP、β17;LL-37、hCAP18;サーファクタントタンパク質C(SP-C)及びその変異体、例えばSP-C(Leu)、SP-C33、SP-C30及びSP-C33Leu;サーファクタントタンパク質A(SP-A)及びその変異体;及びサーファクタントタンパク質D(SP-D)及びその変異体;並びにBri2-BRICHOS及びBri2113-231を含むその変異体、から選択される。本発明に係る他の好ましいタンパク質は、ニカストリン、ニューロセルピン、GFP、eGFP、及び1a AA、1b AA、0 AAAA、1a LL、1b LL及び0 LLLLタンパク質である。
本発明の特定の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、配列番号56、60、64、66、70〜75、82、84、87、90及び93;並びに、これらタンパク質のいずれかと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するタンパク質、からなる群から選択される。
一態様によれば、本発明は、本発明に係るタンパク質の水溶液を含有する組成物を提供する。好ましい実施形態では、組成物は本発明に係るタンパク質の水溶液からなる。当該タンパク質は本発明に係る融合タンパク質であることが好ましい。組成物のpHは、7.2以下、例えば5.5〜7.2であることが好ましい。
別の態様によれば、本発明は、本発明に係るタンパク質をコードする単離された核酸、好ましくはcDNAを提供する。好ましい実施形態では、単離された核酸は、配列番号58、62、65、68、76〜81、83、85、89、91及び95からなる群から選択される。
一態様によれば、本発明は、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有する100〜160アミノ酸残基の少なくとも1つの部分であって、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基が、Lys、Arg及びHisからなる群から選択され;かつ、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基が、Asp及びGluからなる群から選択される部分の、融合タンパク質の部分としての使用であって、前記融合タンパク質の別の部分である本明細書に記載した所望のタンパク質又はポリペプチドの溶解性を向上するための、新規な使用を提供する。本発明の溶解性向上部分の好ましい特徴は、本明細書の上記に提示されている。
好ましい一実施形態では、溶解性向上部分は、所望のタンパク質又はポリペプチドの産生のために使用される。別の好ましい実施形態では、溶解性向上部分は、所望のタンパク質又はポリペプチドを研究又は特徴付けするために使用される。
本発明の部分の有利な使用は、7.2以下のpH、例えば5.5〜7.2のpHに供される、融合タンパク質における溶解性向上部分としての使用である。スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片のこの特定の変異体は、周囲の水性媒体のpHに関わらず可溶性単量体として存在する。野生型NTは、融合タンパク質の望ましくない凝集のリスクを増大させる5.5〜7.2のpH間隔で、二量体を形成する。これは、特定の望ましいタンパク質及びポリペプチドの機能性及び安定性に有用なpH間隔である。それはまた、特定の精製プロトコルに、例えばイオン交換、例えば陽イオン又は陰イオン交換、又は固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を精製原理として使用する場合に、有用なpH間隔である。それはまた、特定の発現宿主、例えば酵母に有用なpH間隔である。
別の態様によれば、本発明は、所望のタンパク質又はポリペプチドの産生方法を提供する。第1のステップは、好適な宿主において、所望のタンパク質又はポリペプチドを含む本発明に係る融合タンパク質を発現することを含む。溶解性向上部分は、配列番号1〜7又は配列番号96の電荷反転変異体、好ましくは配列番号1〜2又は配列番号96の電荷反転変異体に記載された電荷反転NTタンパク質のいずれか1つと、少なくとも70%の同一性、例えば75%、80%、85%、90%、95%又はさらに100%の同一性を有する。本明細書に記載されたように、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基は、Lys、Arg及びHisからなる群から選択され;配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基は、Asp及びGluからなる群から選択される。代替実施形態では、溶解性向上部分は、配列番号9又は96に記載された野生型NTタンパク質と、少なくとも70%の同一性、例えば75%、80%、85%、90%、95%又はさらに100%の同一性を有する。誤解を避けるために、これは、電荷反転NTタンパク質ではない、例えば配列番号1〜7に記載されたものではない、溶解性向上部分にも、当該方法が適用可能であることを意味する。
好適な発現宿主は当業者によく知られており、例えば、細菌及び真核細胞、例えば酵母、昆虫細胞株及び哺乳動物細胞株が挙げられる。典型的には、このステップは、大腸菌における融合タンパク質をコードする核酸分子の発現を含む。
第2の方法ステップは、融合タンパク質を含有する混合物を得ること、そして場合により、融合タンパク質を単離することを含む。混合物は、例えば宿主細胞を溶解し又は機械的破壊することによって得られてもよい。混合物はまた、融合タンパク質が宿主から分泌される場合、細胞培養培地を回収することによって得られてもよい。結果として得られたタンパク質は、標準的な手順を用いて単離することができる。望ましい場合には、この混合物は遠心分離に供することができ、適切な画分(沈殿物又は上清)が回収される。融合タンパク質を含有する混合物は、分離を引き起こすための、ゲル濾過、クロマトグラフィー、例えばイオン交換クロマトグラフィー、例えば陽イオン又は陰イオン交換クロマトグラフィー、透析、相分離又は濾過に供することもできる。
好ましい実施形態では、得られた混合物は、液体媒体、典型的には塩緩衝液又は細胞培養培地に溶解した融合タンパク質を含む。スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片のこの特定の変異体は、周囲の水性媒体のpHに関わらず可溶性単量体として存在する。野生型NTは、融合タンパク質の望ましくない凝集のリスクを増大させる5.5〜7.2 のpH間隔で二量体を形成する。これは、特定の望ましいタンパク質及びポリペプチド、例えばアミロイド形成又は凝集しやすいタンパク質/ポリペプチドの機能性及び安定性に有用なpH間隔である。それはまた、特定の発現宿主、例えば酵母に有用なpH間隔である。それはまた、特定の精製プロトコル、例えばイオン交換、例えば陽イオン又は陰イオン交換、又は固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を精製原理として使用する場合に、有用なpH間隔である。好ましい実施形態では、このステップはさらに、イオン交換媒体、例えば陽イオン又は陰イオン交換媒体上での融合タンパク質の精製を含む。好ましい一実施形態では、このステップはさらに、IMAC媒体上で、好ましくは低pH(HisのpKa未満、典型的には約6のpH)を用いた溶出による、融合タンパク質の精製を含む。
したがって、融合タンパク質は典型的には、液体媒体の溶液として得られる。用語「可溶性」及び「溶液中」とは、融合タンパク質が目に見えて凝集しておらず、かつ60000×gで溶媒から沈殿しないことを意味する。液体媒体は、任意の好適な媒体、例えば水性媒体、好ましくは生理学的媒体、典型的には緩衝水性媒体、例えば10〜50 mMのTris-HCl緩衝液又はリン酸緩衝液であり得る。
本発明に係る溶解性向上部分の存在が、所望のタンパク質/ポリペプチドの安定性を改善し、かつ、これら条件下での部分二量体化を防ぐということが有利に見出された。これは、例えばタンパク質精製中又は大型バッチの調製において、即時重合が望ましくない場合に、有利であり得る。特に、これは本発明に係る方法に有利であり、当該方法は、融合タンパク質を7.2以下のpH、例えば5.5〜7.2のpHに供することを含む、少なくとも1つのステップを含んでいる。上述したように、スパイダーシルクタンパク質のN-末端(NT)断片のこの特定の変異体は、周囲の水性媒体のpHに関わらず、可溶性単量体として存在する。野生型NTは、融合タンパク質の望ましくない凝集のリスクを増大させる5.5〜7.2のpH間隔で二量体を形成する。これは、特定の望ましいタンパク質及びポリペプチド、例えばアミロイド形成又は凝集しやすいタンパク質/ポリペプチドの機能性及び安定性に有用なpH間隔である。それはまた、特定の発現宿主、例えば酵母に有用なpH間隔である。
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、ゲル濾過、クロマトグラフィー又は任意の他の固相吸着に基づく分離を含む分離ステップ無しに、混合物から単離される。好ましい一実施形態では、融合タンパク質は、融合タンパク質の沈殿、次いで沈殿した融合タンパク質を水性溶媒中に懸濁することによって混合物から単離され、ここで、融合タンパク質は水性溶媒に可溶性である。
融合タンパク質の沈殿は、溶媒中での融合タンパク質の溶解度を低下させる任意の好適な技術によって行われてもよく、当該技術は、イオン強度の変化及び混和性有機溶媒の添加を含む。融合タンパク質の沈殿は、高塩濃度での塩析、すなわち融合タンパク質を十分に高い塩濃度に供して、融合タンパク質を不溶性にすることによって達成されることが好ましい。例としては、0.5 M以上、例えば1 M以上のNaCl濃度が、典型的には、融合タンパク質を沈殿させるのに十分である。融合タンパク質を含有する沈殿物は、例えば濾過又は遠心分離によって回収され、そして濾液又は上清は廃棄される。場合により、リポ多糖及び他の発熱物質(pyrogen)が、この段階で積極的に除去される。望ましい場合には、単離された沈殿融合タンパク質は、好適な溶媒中に懸濁及び溶解され得る。好ましくは、沈殿融合タンパク質は、融合タンパク質が可溶性である水性溶媒中に懸濁される。
特定の実施形態では、当該方法はさらに、融合タンパク質を切断して、切断産物として残留溶解性向上部分又はその断片から所望のタンパク質又はポリペプチドを切り離し;そして場合により、所望のタンパク質又はポリペプチドを単離するステップを含んでいる。望ましい場合には、リンカーペプチドは、このステップにおける切断によって除去され得る。これら実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも1つの所望のタンパク質又はポリペプチド部分と、少なくとも1つの溶解性向上部分との間に配置された、少なくとも1つの切断部位を含んでいる。典型的な融合タンパク質において、これは、溶解性向上部分又は部分(複数)と、所望のタンパク質又はポリペプチドとの間の、単一の切断部位の存在を意味する。切断は、標準的な手順、例えば、Met残基の後の臭化シアン(CNBr)による切断、AsnとGly残基との間でのヒドロキシルアミンによる切断、GlnとGly残基との間の-XLETLFQGX-部位でのプロテアーゼ3Cによる切断、及び当業者によく知られている様々な他のプロテアーゼ部位、を用いて達成することができる。
結果として得られた所望のタンパク質又はポリペプチドは標準的な手順を用いて単離することができる。望ましい場合には、この混合物はまた、遠心分離に供することができ、適切な画分(沈殿物又は上清)が回収される。所望のタンパク質又はポリペプチドを含有する混合物はまた、分離を引き起こすための、ゲル濾過、クロマトグラフィー、透析、相分離又は濾過に供することができる。場合により、リポ多糖及び他の発熱物質が、この段階で積極的に除去される。望ましい場合には、リンカーペプチドは、このステップにおいて切断により除去され得る。
好ましい実施形態では、所望のタンパク質又はポリペプチドは、ゲル濾過、クロマトグラフィー又は任意の他の固相吸着に基づく分離を含む分離ステップ無しに、混合物から単離される。好ましい一実施形態では、所望のタンパク質又はポリペプチドは、有機溶媒中での抽出によって、すなわち、所望のタンパク質又はポリペプチドが可溶性であり、かつ本発明に係る残留溶解性向上部分又はその断片が可溶性でない有機溶媒中で、切断産物を懸濁することにより、所望のタンパク質又はポリペプチドを抽出することによって、混合物から単離される。
本発明に従って使用される有機溶媒は炭素含有溶媒であり、かつ様々な程度の極性を示し得る。「溶媒」と称されるが、これら有機溶媒は、製造方法中の融合タンパク質及び/又は所望のタンパク質若しくはポリペプチド及び/又は残留溶解性向上部分若しくはその断片の溶解性を、平衡及び変化させるために利用されることを理解されたい。タンパク質又はポリペプチドは、特定の有機溶媒濃度間隔で有機溶媒に非常によく溶解することができるが、有機溶媒濃度が上昇又は低下すると、降下し、沈殿物を形成する。例えば、残留溶解性向上部分又はその断片は、有機溶媒の50/50(vol/vol)混合物、例えば低級アルキルアルコール及び水に溶解することができるが、90/10又は10/90(vol/vol)混合物で降下して沈殿物を形成する。非沈殿条件、例えば50/50又は0/100混合物に供された時に、タンパク質又はポリペプチドは、非沈殿の溶解状態に戻る。他の要因、例えば温度、pH、イオン強度及び有機溶媒(複数)の種類が、タンパク質又はポリペプチドの沈殿のための限界有機溶媒(複数)濃度に影響を与え得ることを、当業者はよく知っている。所与の条件下でのタンパク質又はポリペプチドの沈殿のための限界濃度は、よく知られているか、あるいは当業者によって容易に決定され得る。
これらに限定されるものではないが、本発明に係る有機溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、クロロホルム、酢酸エチル、アセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、アセトン、低級アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、又は記載された溶媒の任意の混合物、から成る群から選択され得る。本発明に係る有機溶媒は、水溶性であることが好ましい。有機溶媒の好ましい群は低級アルキルアルコールである。低級アルキルアルコールという用語は、1〜6個の炭素原子を有する一級、二級及び第三級アルキルアルコール、すなわちC1-6アルキルアルコールを含む。低級アルキルアルコールの具体的な例としては、メタノール、エタノール、変性スピリット(denatured spirit)、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、及びt-ブタノールが挙げられる。好ましい低級アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びイソブタノールであり、特に、価格、入手可能性及び容易な取り扱いのために、エタノールである。
好ましい一実施形態では、当該方法はさらに、抽出ステップの前に、切断産物の沈殿のステップを含んでいる。切断産物の沈殿は、溶媒中での所望のタンパク質又はポリペプチドの溶解度を低下させる任意の好適な技術によって行われてもよく、当該技術は、イオン強度の変化及び混和性有機溶媒の添加を含む。切断産物の沈殿は、高塩濃度での塩析、すなわち十分に高い塩濃度に切断産物を供して、所望のタンパク質又はポリペプチドを不溶性にすることによって達成されることが好ましい。例としては、0.5 M以上、例えば1 M以上の濃度のNaClが、典型的には、所望のタンパク質又はポリペプチドを沈殿させるのに十分である。所望のタンパク質又はポリペプチドを含有する沈殿物は、例えば濾過又は遠心分離によって回収され、そして濾液又は上清は廃棄される。場合により、リポ多糖及び他の発熱物質が、この段階で積極的に除去される。望ましい場合には、単離された沈殿所望のタンパク質又はポリペプチドは、好適な溶媒中に懸濁及び溶解され得る。
したがって、所望のタンパク質又はポリペプチドの好ましい産生方法は、以下のステップ:
a)好適な宿主において、所望のタンパク質又はポリペプチドを含む本発明に係る融合タンパク質を発現し;並びに
b)融合タンパク質を含有する混合物を得て、そして
b1)融合タンパク質を単離し、ここで、本ステップは以下のステップを含み:
b1a)融合タンパク質の沈殿、好ましくは高塩濃度での塩析による沈殿;並びに
b1b)沈殿した融合タンパク質を水性溶媒中に懸濁すること、ここで、融合タンパク質は水性溶媒に可溶性である;
c)融合タンパク質を切断して、切断産物として残留溶解性向上部分又はその断片から所望のタンパク質又はポリペプチドを切り離し;そして
c1)所望のタンパク質又はポリペプチドを単離し、ここで、本ステップは以下のステップを含み:
c1a)切断産物の沈殿;好ましくは高塩濃度での塩析による沈殿;
c1b)好ましくは低級アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノールを含む沈殿有機溶媒中に、切断産物を懸濁することによって所望のタンパク質又はポリペプチドを抽出すること;ここで、所望のタンパク質又はポリペプチドは有機溶媒に可溶性であり;かつ、残留溶解性向上部分又はその断片は有機溶媒に可溶性でない、
を含んでいる。
本発明は次に以下の比限定的な例によってさらに例示されることになる。
実施例
実施例1-NT及び電荷反転NT突然変異体の発現
NTwt(配列番号11をコードする配列番号12)及びNTD40K/K65D(配列番号2をコードする配列番号8)を有するコンストラクトを、pT7発現ベクターにクローニングし、コンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に化学的に形質転換した。プラスミド含有細胞を、70 mg/Lカナマイシンを含む10 mLのルリア-ベルターニ(Luria-Bertani)(LB)培地に接種し、37℃及び180 rpmで一晩増殖させた。5 mLの一晩培養物をカナマイシンを含む500 mLのLB培地(1/100)に接種し、細胞をさらに30℃で〜1のOD600まで増殖させた。細胞を、0.5 mMの最終濃度までのイソプロピル β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘導し、発現を20℃で一晩行った。翌日、細胞を遠心分離によって採取し、20 mMのTris-HCl、pH 8、30 mLまでに再懸濁し、−20℃で少なくとも24時間保存した。
実施例2-NT wt と比較したNT D40K/K65D の生物物理学的特性
NT二量体化プロセスは、単量体の初期会合に重要な役割を果たす残基D40とK65との間の分子間静電相互作用に大いに依存している。本研究では、本発明者らは、ドメインの正味の電荷を維持しながら、野生型NT(NTwt;配列番号11)と比較してこれら残基が入れ替わっている、二重突然変異体(NTD40K/K65D;配列番号2)を設計し、評価した。重要な生物物理学的特性を評価して、溶解性向上融合パートナーとしての突然変異体の適用性を決定した。
(A)トリプトファン蛍光測定
NTD40K/K65D(配列番号2)及びNTwt(配列番号11)それぞれについての蛍光発光スペクトルを、分光蛍光光度計(Tecan Safire 2)で、96個の平底ウェルを有するCostar(登録商標)黒色ポリスチレンアッセイプレートを用いて測定した。タンパク質を、0.4 pH単位のステップでpH 5.6〜8.0に調整した20 mM HEPES/20 mM MESで5 μMの濃度に希釈した。試料を280 nm(5 nmのバンド幅)で励起後に、発光スペクトルを1 nmステップで300〜400 nm(10 nmのバンド幅)の間、記録した。トリプトファン蛍光比を339 nm及び351 nmでの強度から計算し、pHの関数としてプロットした。NTwtについて得られたデータを、単量体-二量体平衡のシグモイド挙動による2状態結合モデルにフィットさせた。
NTのpH依存性単量体-二量体平衡は、二量体でより露出する単一のトリプトファン(Trp)残基の蛍光シフトを介してモニターすることができる。図2は、Trp蛍光で測定された単量体-二量体平衡を示すグラフである。300と400 nmとの間の蛍光スペクトルを、20 mM HEPES/20 mM MESの緩衝液中で測定し、そして339/351 nm(それぞれ単量体及び二量体の立体配座に対応する波長)での比を計算し、NTwt(点線)及びNTD40K/K65D(黒線(filled line))についてのpHの関数としてプロットした。pHの関数としての339及び351 nmでの蛍光の比は、pH 6.5での二量体化のpKaを有するNTwtについてのシグモイドプロットを与える。この蛍光シフトは、突然変異体NTD40K/K65Dについては観察されず、単量体に対応する比が全pH範囲にわたって測定された(図2)。
(B)[15N, 1H]-HSQC NMR測定
NT変異体NTD40K/K65D(配列番号2)及びNTwt(配列番号11)を発現する細胞を、一晩培養し、さらに、15N標識塩化アンモニウム及び70 mg/Lのカナマイシンを含有する1/100〜500 mLの最小培地M9に接種した。細胞を一晩22℃で、1.4のOD600まで増殖させた。タンパク質を、前述のように発現及び精製した。
[15N, 1H]-HSQC NMRスペクトルを、HCNコールドプローブを備えたVarian Unity Inova 600-MHz NMR分光計で、25℃で取得した。15N標識タンパク質のNMR試料を、20 mMのリン酸ナトリウム、20 mMのNaCl、pH 5.5、又は20 mMのリン酸ナトリウム、300 mMのNaCl、pH 7.2の緩衝液のいずれかで調製し、そして2D [15N, 1H]- HSQC NMRスペクトルを記録した。スペクトルを処理し、Bruker Topspin 3.1ソフトウェアを用いて分析した。
HSQC NMRを、NTwtがそれぞれ単量体又は二量体であるpH 7.2及び5.5で測定し、大きな化学シフト差を示した。NTwt及びNTD40K/K65D15N-1H HSQC NMRスペクトルのオーバーレイを、pH 5.5で及びpH 7.2で生成した(図示せず)。図3は、pH 5.5(下部パネル)及びpH 7.2(上部パネル)でのNTwtとNTD40K/K65Dとの間の平均した骨格アミド1H及び15N化学シフト差である。
NTD40K/K65Dから得られたスペクトルは、両方のpH値で類似であり、pH 7.2での単量体NTwtについてのスペクトルに対応している。
(C)安定性の尺度としての尿素誘導性変性
NTwt(配列番号11)及びNTD40K/K65D(配列番号2)タンパク質を、0.5 Mステップでの0〜7 Mの尿素で補充した20 mM HEPES/20 mM MESで5 μMに希釈した。尿素の各濃度でのタンパク質の安定性を、0.5単位ステップで5.0〜7.5の範囲の一定pH値でのTrp蛍光によりモニターした。それぞれの測定されたpHについて、蛍光比を尿素濃度に対してプロットし、遷移点を決定するために、2状態アンフォールディングモデルにフィットした。NTwt(点線)及びNTD40K/K65D(黒線)についてのデータを、図4におけるpHの関数として、天然状態と変性状態との間の遷移点として示している([den]50%)。
図4を参照すると、NTwtは、低pHでの二量体立体配座において有意により安定である。対照的に、NTD40K/K65Dは、NTwt二量体と同様に、かつpHの変化とは独立して、全pH間隔において増加した全体的な安定性を示している。
(D)安定性の尺度としての温度スキャン
温度スキャンを行い、円二色性(CD)を用いて分析した。実験を、1 mmの経路長を有する300 μL キュベットを用いて410-モデルの円形CD分光計(Aviv biomedical Inc.、Lakewood、NJ、USA)で行った。全ての測定について、NTwt(配列番号11)及びNTD40K/K65D(配列番号2)タンパク質を、pH 5.5又はpH 8.0での5 mMのリン酸緩衝液で10 μMに希釈した。CDスペクトルを260から185 nmまで、25℃で、95℃に加熱した後、再度試料を冷却した後に25℃で記録した。各温度について、データは4回のスキャンの平均として示されている。温度スキャンを、25〜95℃の温度間隔での1℃ステップを記録することによって222 nmで測定し、データを2状態アンフォールディングモデルにフィットした。
図5は、CD分光法で測定されたNTwt及びNTD40K/K65Dの熱安定性を示している。pH 5.5及びpH 8.0における222 nmのCDシグナルを、m degを単位として測定し、温度(℃)の関数としてプロットし、2状態アンフォールディングモデルにフィットして、平衡点での融解温度(Tm)を得た。最高融解温度を、それぞれpH 8.0及びpH 5.5でNTD40K/K65Dについて決定した。相当に低い融解温度が、pH 8.0でのNTwt単量体、及びpH 5.5でのNTwt二量体について決定された。
図6は、CD分光法で測定されたNTwt及びNTD40K/K65Dのリフォールディング能を示す。モル楕円率を、NTwtについて(A)pH 8.0及び(B)pH 5.5で、並びにNTD40K/K65Dについて(C)pH 8.0及び(D)pH 5.5で、185 nmと260 nmとの間で、25℃、95℃、及び冷却後に再度25℃で、スキャンした。データは、4回の測定の平滑化平均として提示されている。熱変性前後でモニターされたCDスペクトルは、NTwtがアルファ-ヘリックス構造にリフォールディングするが、pH 8でのリフォールディング後に楕円率が減少し(図6A)、これはpH 5.5でさらにより明らかである(図6B)ことを示している。増大したリフォールディング能がNTD40K/K65Dについて観察され、pH 8(図6C)及びpH 5.5(図6D)において、温度誘導アンフォールディング前とリフォールディング後で同一のアルファ-ヘリックススペクトルに近いことを示している。
実施例3-融合タンパク質の発現
それぞれNTD40K/K65D及びNTwtとの融合で、標的ペプチドSP-C33Leu(配列番号56〜57をコードする配列番号58〜59)及びKL4(配列番号60〜61をコードする配列番号62〜63)を有する融合タンパク質コンストラクトを、pT7発現ベクターにクローニングし、コンピテントな大腸菌 BL21(DE3)細胞に化学的に形質転換した。PGB1又はTrxとの融合で同じ標的ペプチド及びタンパク質を有する融合タンパク質コンストラクトを、同じ手順に供した。
プラスミド含有細胞を、70 mg/Lのカナマイシンを含む10 mLのLB培地に接種し、37℃及び180 rpmで一晩増殖させた。5 mLの一晩培養物を、カナマイシンを含む500 mLのLB培地(1/100)に接種し、細胞をさらに30℃で〜1のOD600まで増殖させた。細胞を、0.5 mMの最終濃度までのIPTGの添加によって誘導し、発現を20℃で一晩行った。翌日、細胞を遠心分離によって採取し、20 mMのTris-HCl、pH 8、30 mLまでに再懸濁し、−20℃で少なくとも24時間保存した。
実施例4-収量の比較のための融合タンパク質の精製
高度に可溶性のPGB1ドメインとの比較における、凝集しやすい融合パートナーに対して溶解性を媒介するNT変異体NTwt及びNTD40K/K65Dの能力を試験した。TrxもSP-C33Leuとの融合で評価したが、その乏しい性能のために後に除外した。
実施例3で得られた融合タンパク質を、ローディングバッファー(loading buffer)(20 mMのTris-HCl、pH 8)中で80%の振幅で、1秒オン及び1秒オフで、合計3分間の超音波処理によって可溶化した。可溶性及び不溶性画分を、27000×g4℃で30分間、遠心分離によって分離した。透明な溶解物を、Ni-Sepharose(GE Healthcare)を予め充填してローディングバッファーで平衡化したIMACカラムにロードした。結合したタンパク質を、20 mMのTris-HCl、5 mMのイミダゾール、pH 8で洗浄し、1 mLの画分において20 mMのTris-HCl、300 mMのイミダゾール、pH 8で溶出した。280 nmでの吸光度を各画分について測定し、タンパク質に富んだ画分をプールした。6〜8 kDaの分子量カットオフを有するSpectra/Por(登録商標)透析膜を用いて、4℃で及び5 Lのローディングバッファーで、一晩透析することによって、イミダゾールを除去した。各ステップにおけるタンパク質の純度を、クーマシーブリリアントブルーで染色した15 %のアクリルアミドゲルを用いてSDS-PAGEによって決定した。
(A)SP-C33Leu融合タンパク質
図7は、SP-C33Leu融合タンパク質のSDS-PAGE評価を示す。ペプチドは、NTwt(レーン1)、NTD40K/K65D(レーン2)、Trx(レーン3)又はPGB1(レーン4)のC-末端に融合させた。レーンMはサイズマーカーを示し、分子量が左に示されている。パネルAは、誘導前、及びBl21大腸菌細胞における20℃での一晩発現後の、発現分析を示す。パネルBは、20 mMのTris-HCl、pH 8中での3分の超音波処理、次いで可溶性(S)及び不溶性(P)画分の分離後の、溶解性分析を示す。パネルCは、比較Ni-Sepharose精製後の融合タンパク質を示す。
(B)KL4融合タンパク質
図8は、KL4融合タンパク質のSDS-PAGE評価を示す。ペプチドは、NTwt(レーン1)、NTD40K/K65D(レーン2)又はPGB1(レーン3)のC-末端に融合された。レーンMはサイズマーカーを示し、分子量が左に示されている。パネルAは、誘導前、及びBl21大腸菌細胞における20℃での一晩発現後の、発現分析を示す。パネルBは、20 mMのTris-HCl、pH 8中での3分の超音波処理、次いで可溶性(S)及び不溶性(P)画分の分離後の、溶解性分析を示す。パネルCは、比較Ni-Sepharose精製後の融合タンパク質を示す。
要約すると、NT変異体NTwt、及びNTD40K/K65Dは、SP-C33Leu(図7A)及びKL4(図8A)との融合において同様のレベルで、かつPGB1及びTrxと比較してより高いレベルで、豊富に発現された。全てのタンパク質及びペプチドは、NT変異体NTwt、及びNTD40K/K65Dとの融合において安定であるとわかったが、Trx-SP-C33Leuは発現中に分解の兆候を示した。
NTD40K/K65D及びPGB1はいずれも、それらの標的タンパク質/ペプチドに対して高い溶解性を媒介することができ、いくつかの小さな違いと共に、大部分は可溶性画分中に見られた(図7〜8B)。NTwtは、KL4との融合において〜50%可溶性タンパク質を示した(図8B)。NT変異体間での最も顕著な違いは、SP-C33Leuとの融合で観察され、NTwtについては主に不溶性のタンパク質を生じ、そしてNTD40K/K65Dについては完全に可溶性のタンパク質を生じた(図7B)。
Ni-sepharoseでのNTD40K/K65D融合タンパク質の精製により、SP-C33Leu及びKL4についてそれぞれ、284及び428 mg/L培養物を得た(図7〜8C)。これは、PGB1との融合におけるタンパク質と比較して2〜8倍高い量に相当し、主により高い発現レベルに起因する(表9)。NTwtについての収量は中間であり、PGB1融合タンパク質と比較して約1.3〜4倍高かった。SP-C33Leuとの融合におけるTrxは、最も低い収量を与え、融合タンパク質は精製中に分解し続けた(図7C)。
実施例5 -SP-C33Leu及びKL4ペプチドの精製
実施例3で得られた融合タンパク質を発現する細胞を、80%の振幅で1.5分間、1秒オン及び1秒オフ、3分の合計時間、超音波処理によって溶解した。沈殿によるフルスケール精製中にのみ、超音波処理手順を、5分間氷上に立てた後に繰り返し、試料を50000×gで30分間遠心分離した。塩化ナトリウムを1.2 Mの最終濃度まで上清に添加し、遠心分離を繰り返した。遠心分離からのペレットを、20 mMのTris-HCl、pH 8に溶解させ、そして、融合タンパク質を完全に再溶解させるために、60%の振幅で1.5分間、1秒オン及び1秒オフ、3分、短く超音波処理した。30 mLの溶解溶液に1.7 mLの2 M HCl、次いで1.7 mLの1 M CNBrを添加することによって、CNBr切断を行った。切断反応を一晩室温で行った。翌日、800 mMの塩化ナトリウムを、第2の沈殿ステップにおいて切断反応物に添加し、次いで20000×gで30分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットを37℃で乾燥させ、99.9%のエタノールで懸濁した。不溶性物質を、20000×g で30分間の遠心分離により除去した。
(A)SP-C33Leuペプチド(配列番号44)
SP-C33LeuをNTD40K/K65D融合タンパク質として発現し、クロマトグラフィーステップから独立したプロセスで生成した。図7Dは、融合タグの除去のためにNaCl沈殿/エタノール抽出プロトコル及びCNBr臭化物切断を用いた、NTD40K/K65D-SP-C33LeuからのSP-C33Leuペプチドの精製のSDS-PAGE評価を示す。P1、S1、P2、S2及びTはそれぞれ、不溶性画分、可溶性画分、第1の沈殿後のペレット、第1の沈殿後の上清、及び精製された標的ペプチドを示す。
初めに、超音波処理した細胞溶解物を、1.2 Mの塩化ナトリウムを用いて融合タンパク質の大部分を沈殿させて、ほとんどの夾雑物を除去する、1つの単純なステップで精製した(図7D)。融合タンパク質を、ペプチドのちょうどN-末端に位置するメチオニン残基を有するように設計し、臭化シアン(CNBr)での切断を可能にした。
酸性条件下でのCNBr切断に続いて、第2の沈殿を、0.8 Mの塩化ナトリウムを用いて行った。SP-C33Leu及びKL4はいずれも、有機溶媒、例えば エタノール、メタノール又はイソプロパノールに可溶性であり、驚くべきことに、CNBrによって生成された全てのNT-断片はこれら溶媒に不溶性のままである。従って、沈殿ペレットは、99.9%エタノールでの懸濁、次いで遠心分離によってさらに精製されて、可溶性エタノール画分中の高純度のSP-C33Leuペプチドの20〜30 mg/L培養物を単離した(図7D)。
(B)KL4ペプチド(配列番号46)
NTD40K/K65D-SP-C33LeuからのSP-C33Leuペプチドの精製について上述した手順は、NTD40K/K65D-KL4からのKL4ペプチドの精製にも再現可能であった。図8Dは、NaCl沈殿/エタノール抽出プロトコル、及び融合タグの除去のためのCNBr臭化物切断を用いた、NTD40K/K65D-KL4からのKL4ペプチドの精製のSDS-PAGE評価を示す。P1、S1、P2、S2及びTはそれぞれ、不溶性画分、可溶性画分、第1の沈殿後のペレット、第1の沈殿後の上清、及び精製された標的ペプチドを示す。
エタノール抽出により、純粋KL4ペプチドの10〜15 mg/L培養物を得た(図8D)。
実施例6-SP-C33LeuのESI-MS特徴付け
ESI-MSによる実施例5で得られた精製されたSP-C33Leu(配列番号44)のさらなる特徴付けは、エタノールに溶解した組み換え産生されたペプチドが、正しい共有構造を有することを示した。
実施例5で得られたSP-C33LeuのESI-MSスペクトルを図9に示す。パネルAに示されたスペクトルは、主には3又は4つの電荷及び1又は2つのナトリウム付加体を有する単量体のSP-C33Leu、並びに、7 つの電荷を有する少ない二量体の画分を示す。少量の夾雑物(1079 m/zでのピークに対応する約4314.8 Da)を観察することもできた。パネルBは、パネルAにおけるm/z 1199.2ピークのMS/MSスペクトルを示す。
実施例7-一回換気量及び肺気量(lung gas volumes)に対するrSP-C33Leuの影響
一回換気量及び肺気量に対するSP-C及びその誘導体の影響は、呼気終末陽圧(positive end-expiratory pressure)(PEEP)を有する動物モデルを用いて評価することができる(Almlen, Aら、Neonatology 92、194〜200(2007))。
未熟新生ウサギ(在胎齢27日)を、出生時に、80 mg/mlの濃度でのジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/パルミトイルオレオイル-ホスファチジルグリセロール(POPG)68:31(w/w)中の2% rSP-C33Leu(配列番号44)の200 mg/kgで処理した。Curosurf(登録商標)の同じ用量を受けた動物は陽性対照として、及び非処理同腹子は陰性対照としての役割を果たした。動物を、標準圧シーケンス(standard pressure sequence)で、35/0(ピーク通気圧(peak-insufflation pressure) [cm H2O] / 呼気終末陽圧(PEEP)[cm H2O])で1分間、23/3で15分間、18/3で5分間、13/3で5分間及び23/3で5分間、換気した。最後に、肺を、23/3 cmH2Oで窒素でさらに5分間換気し、次いでガス体積測定のために摘出した。一回換気量及び肺気量のいずれも、中央値として与えられる。
図10は、一回換気量に対するrSP-C33Leuの影響を示す。30分の換気中の一回換気量は、80 mg/mLの濃度でのDPPC:POPG(68:31 w/w)中の2% rSP-C33Leuの200 mg/kgで処理した未熟新生ウサギについて示され、そして、Curosurfの同じ用量を受けた動物、DPPC:POPGのみ(陰性対照)、及び非処理動物と比較された。一回換気量は、非処理陰性対照及びDPPC:POPG(68:31)で処理した対照と比較して、DPPC:POPG(68:31)中の2% rSP-C33Leuで処理した動物について著しく増加し、Curosurf(登録商標)で処理後に得られたものに近づく。
図11は、肺気量に対するrSP-C33Leuの影響を示す。肺ガス体積を、出生時に、80 mg/mLの濃度でのDPPC:POPG(68:31 w/w)中の2% rSP-C33Leuの200 mg/kgで処理した未熟新生ウサギについて示し、Curosurf(登録商標)の同じ用量を受けた動物、DPPC:POPGのみ(陰性対照)及び非処理動物と比較した。DPPC:POPG(68:31)中の2% rSP-C33Leu及びCurosurfで処理された動物の肺気量は等しく、DPPC:POPG(68:31)で処理された動物についての肺気量よりも有意に高い。同様の結果が、同じ動物モデルにおいて合成SP-C33Leuペプチドを用いて得られた(データは示さず)。
実施例8-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いたβ17ポリペプチドの発現
アミロイド凝集メカニズムを広く調査するために、研究者らは、非常に凝集しやすく、かつイン・ビトロでアミロイド様線維を形成することができるポリペプチドである、β17(配列番号27)を設計した。β17は、5つの短いターンによって分離された、7個のアミノ酸をそれぞれ含む6つのβ鎖からなる。残基は、極性、非極性パターンで配置されている。β17は、これまでに、免疫検出のためのmyc-タグとともに発現されており、その結果、ペプチドは可溶性でなく、かつ封入体から精製しなければならなかった。そのような精製プロセスは、変性条件(8 Mの尿素)の使用を必要とし、時間がかかり、かつ不安定なタンパク質を生じる。また、レポーターとしてのThioflavin T(ThT)を用いるβ17繊維形成の研究は、早期凝集に悩まされている。
NTD40K/K65D(配列番号64をコードする配列番号65)及びPGB1(対照)との融合におけるβ17ポリペプチドを有するコンストラクトを、実施例3に従ってクローニングし、発現した。図12は、β17融合タンパク質及び得られた精製ポリペプチドのSDS-PAGE評価である。β17ポリペプチドは、NTD40K/K65D(レーン1)又はPGB1(レーン2)のC-末端に融合された。レーンMはサイズマーカーを示し、分子量が左に示されている。パネルAは、誘導前、及びBl21大腸菌細胞における20℃での一晩発現後の、発現分析を示す。NTD40K/K65D-β17融合タンパク質を大腸菌で、PGB1との融合でのβ17について観察されたレベルを超える豊富なレベルで、発現した。パネルBは、20 mMのTris-HCl、pH 8中での2分の超音波処理、次いで可溶性(S)及び不溶性(P)画分の分離後の、溶解性分析を示す。採取した細胞の2分間の超音波処理、次いで遠心分離後に、両方の融合タンパク質は主に可溶性画分に見出された。
パネルCは、比較Ni-Sepharose精製後の融合タンパク質を示す。Ni-Sepharoseでの精製により、それぞれNTD40K/K65D及びPGB1との融合におけるβ17について228及び92 mg/L培養物を得て、この量はSDS-PAGEで分析した際のバンドの強度に相関した。NTD40K/K65D溶解性タグは、β17のN-末端に位置するトロンビン認識配列のタンパク質分解、次いで第2のNi-Sepharose精製ステップによって除去されて、標的タンパク質からタグを分離した。パネルDは、Ni-sepharoseクロマトグラフィー及び切断のためのトロンビン、並びに融合タグの除去を用いた、NTD40K/K65D-β17からのβ17(配列番号27)の精製を示す。レーンは、超音波処理後の上清(S)、フロースルー(FT)、精製融合タンパク質(F)、トロンビンでの切断(CL)、及び精製β17標的タンパク質(T)を表す。精製直後に測定した際の可溶性タンパク質の収量は7.8 mg/L培養物であった。
結論として、β17のための溶解性向上融合タグとしてのNTD40K/K65Dは、非変性条件下で効率的な精製プロセスを可能にする。
実施例9-β17ポリペプチドの特徴付け
(A)ゲル濾過
実施例8で得られたβ17ポリペプチド(配列番号27)の流体力学的サイズを、ゲル濾過を用いて特徴づけた。ゲル濾過を、0.3 mL/分で流れる24 mL Superdex-200カラムで行った。試料を、ランニング緩衝液としての150 mMのNaCl有り又は無しで、200 μLのloop及びTBS、5 mM EDTA、pH 8を用いて注入した。カラムを、それぞれ10.25、12.54、13.65及び16.18 mLで溶出した、アポフェリチン(443 kDa)、アルコールデヒドロゲナーゼ(150 kDa)、BSA(66 kDa)及び炭酸脱水酵素(29 kDa)で較正した。
図13は、塩を含まないランニング緩衝液(図13A)で、及び150 mMのNaClを補充したランニング緩衝液(図13B)での、可溶性NTD40K/K65D-β17融合タンパク質のゲル濾過を示す。分析を、−20℃で1週間(黒線)又は4℃で数日間(点線)のタンパク質の保存後に行った。
NTD40K/K65D融合タンパク質は、塩の非存在下でのゲル濾過により分析した場合に、−20℃で一週間又は4℃で数日間保存した後も、高度な可溶性を維持しており、安定な八量体として遊走していた(図13A)。154 mMのNaCl及び1 mMのEDTAの存在下で同様の結果が得られたが、これら条件下では、タンパク質は安定な二量体として遊走していた(図13B)。
(B)ThTアッセイ
凝集動態を、アミロイド線維に結合する際のThT蛍光についての増強された量子収量に基づいてThT蛍光を用いてモニターした。マイクロプレートウェル(Microplate Corning 3881、96ウェル、低結合、半分の領域、Corning Incorporated Life Sciences、Acton、MA)で、10 μM ThTを含む20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH 8.0、0.2 mMのEDTA中で、80 μM NTD40K/K65D-β17を用いて、実験を行った。440 nmの励起フィルター及び480 nmの発光フィルターで、Fluostar Omega又はOptimaプレートリーダー(BMG Labtech、Offenburg、Germany)を用いて、37℃で静止条件下で、ThT蛍光を記録した。
図14は、トロンビンによる融合タンパク質のタンパク質分解後のβ17フィブリル化を示す。トロンビン(1000:1)の存在下での融合タンパク質のThT蛍光は、経時的に増大したThT蛍光によって示されたβ17のフィブリル化を示す(実線)。トロンビンの非存在下では、フィブリル化は融合タンパク質について観察されなかった(点線)。融合タグの非存在下で精製された場合、β17は、ThTアッセイによりフィブリル化を研究するのに十分長く溶液中にとどまらなかった(データは示さず)。ここで本発明者らは、NTD40K/K65Dと融合された場合にタンパク質を溶液中に維持し、次いで実験の開始時にβ17を放出するためのタンパク質分解によって、これが実現可能であることを示した。
実施例10-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いたBri2 BRICHOSドメインの発現
Bri2は、N-末端領域、次いでTMドメイン、リンカー領域、BRICHOSドメイン及びC-末端領域からなるTM糖タンパク質である。機能は比較的不明であるが、当該タンパク質は、アルツハイマー病、Aβ前駆体タンパク質プロセシング、Aβ恒常性、アポトーシス、腫瘍抑制及び男性生殖に関連付けられている。Bri2遺伝子における突然変異は、脳におけるアミロイド線維の蓄積によって引き起こされる家族性イギリス型認知症及び家族性デンマーク型認知症と関連している。状況はアルツハイマー病(AD)と類似しており、アルツハイマー病はアミロイドベータペプチド(Aβ)の蓄積を特徴とし、最終的に脳のプラークを形成する。Bri2 BRICHOSドメインは、抗アミロイドシャペロンとして作用し、アミロイド形成を防ぐと考えられ、従って有望な治療標的として興味深い。
切断されたBRICHOSドメインBri2113-231を、NTD40K/K65D又はNTwt(配列番号66〜67をコードする配列番号68〜69)との融合で発現した。タンパク質をクローニングし、本質的に実施例3に従って、Bl21又はOrigami大腸菌細胞で、20℃で一晩又は30℃で4時間、発現した。
図15は、Bri2 BRICHOS融合タンパク質の発現及び溶解性のSDS-PAGE評価である。Bri2113-231ドメインを、NTwt(レーン1)又はNTD40K/K65D(レーン2)のC-末端に融合した。レーンMはサイズマーカーを示し、分子量が左に示されている。パネルAは、大腸菌細胞における、誘導前(レーンB)及び発現後(レーンA)20℃で一晩(左ゲル)又は30℃で4時間(右ゲル)の発現分析を示す。両方の融合タンパク質変異体が、両方の細菌株において高い発現レベルを示したが、NTwtはOrigami細胞においてわずかにより効率的であった。パネルBは、リゾチーム処理、次いで可溶性(レーンS)及び不溶性(レーンP)画分の分離後の溶解性分析を示す。採取した細胞のリゾチーム処理は非効率的であったが、NTD40K/K65D融合タンパク質はわずかにより可溶性であった。パネルCは、20 mMのTris-HCl、pH 8中での2分の超音波処理、次いで可溶性(レーンS)及び不溶性(レーンP)画分の分離後の溶解性分析を示す。超音波処理後に、両方の融合タンパク質は主に可溶性画分中に見出された。以前に20℃で一晩(左ゲル)又は30℃で4時間(右ゲル)発現された細胞に対して分析を行った。
融合タンパク質を、Ni-sepharose、次いでトロンビン切断及び第2の精製ステップで精製して、タグを除去した。Bri2113-231タンパク質(配列番号50)の最終収量は、任意のNT変異体を用いて、Origamiにおいて55 mg/L培養物、及びBl21において12 mg/L培養物であった。
実施例11-Bri2-BRICHOSの特徴付け
(A)精製Bri2-BRICHOSのSDS-PAGE分析
図16は、実施例10で得られたBri2-BRICHOS タンパク質(配列番号50)の精製のSDS-PAGE分析である。精製ステップからの試料を、還元(パネルA)及び非還元(パネルB)条件下で、NTwt(レーン1)又はNTD40K/K65D(レーン2)との融合でのBri2113-231について分析した。分子量を左に示している。上清をNi-Sepharoseにロードし、フロースルーを回収し(FT)、10 mLのランニング緩衝液での4回の洗浄ステップに続く(W1-W4)。純粋な融合タンパク質を、イミダゾールで溶出し(F)、トロンビンで切断した(CL)。
還元条件下でのSDS-PAGE(図16A)は、両方の融合タンパク質変異体について3つのバンド(15、12及び10 kDa)を示し、それらは、Bri2-BRICHOSの予想されたサイズ(14 kDa)及びNT(12 kDa及びより小さなタンパク質として遊走する)とよく相関した。12 kDaのバンドはほぼ確実に、トロンビンによって得非特異的に切断された切断Bri2-BRICHOSである。非還元条件下で流した同じ試料(図16B)は、15 kDa及び12 kDaバンドが、Bri2-BRICHOSから予想されたオリゴマーを形成することができたことを示した。
(B)ゲル濾過
実施例10で得られたBri2-BRICHOS タンパク質(配列番号50)の立体配座を、本質的に実施例9に記載されたゲル濾過を用いて特徴づけた。それらの単量体立体配座における融合タンパク質の割合を推定するために、ゲル濾過を行った。図17は、Bri2113-231融合タンパク質のオリゴマー状態を決定するためのゲル濾過を示す。
図17Aは、NTwt(点線)又はNTD40K/K65D(黒線)との融合におけるBri2113-231についての20 mMのTris、pH 8中で行ったゲル濾過分析を示す。NTwt-Bri2-BRICHOSを分析すると、4つのピークが区別された。25 kDaにおけるピークは、単量体融合タンパク質(29,7 kDa)の予想されたサイズに近かったが、他のピークと比べて小さかった。二量体(50 kDaピーク)及び三量体(76 kDaピーク)状態は、両方の融合タンパク質について観察され、また、NTwt融合タンパク質は非常に大きなオリゴマー/凝集体を形成した(125 kDaピーク)。興味深いことに、単量体立体配座(25 kDaピーク)を有するタンパク質の量は、NTwt融合タンパク質と比較して、NTD40K/K65D融合タンパク質で有意により高かった。結果は、NT突然変異体がBri2-BRICHOSの適切なフォールディングを増加させ、可溶性単量体Bri2-BRICHOSのより大きな画分につながることを示している。
図17Bは、NTを有さないBri2113-231の精製が、主に大きなオリゴマー形態をもたらすことを示している。ゲル濾過分析を行って、S-タグとの融合で産生されたBri2-BRICHOS、又は単独で産生されたBri2-BRICHOSと比較した、NTD40K/K65D-Bri2-BRICHOS融合タンパク質のオリゴマー状態を決定した。NT突然変異体との融合なしに、タンパク質は遊走して空隙容量に近づき、凝集したか又は非常に大きなオリゴマーの状態かのいずれかであった。
上記データは、NTD40K/K65Dが、溶解性及びBri2-BRICHOSへの正確なフォールディングを媒介し、また、望ましくないタンパク質オリゴマー形成を防ぐことができることを示している。
実施例12-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いたSP-A及びSP-Dの発現
SP-A及びSP-Dは、肺の本質的な可溶性自然免疫タンパク質であり、肺を調査し、病原体に結合して、それらの中和、凝集及びクリアランスをもたらす。それらはまた、様々な免疫細胞の及び炎症性免疫応答の機能の重要な調節因子である。SP-A又はSP-Dのいずれかを欠損したマウスは、RSVを含む病原体感染症に対する増加した感受性、並びに感染性細菌の接種後の過剰炎症応答を示す。ヒト呼吸器疾患のモデルにおける肺内でのそれら分子作用を理解するために、SP-A及びSP-Dの組み換え型を開発するための多大な努力が成されてきた。組み換えSP-A及びSP-Dはまた、様々なヒト肺疾患の治療のための治療可能性を有し得る(Salgado, D.ら、Front Immunol 5、623(2014))。
三量体のオリゴマー形成は、病原体の表面上の炭水化物に対するSP-A及びSP-Dの親和性を増大させる。三量体を形成する能力を有するより小さな断片も活性を示すが、天然形態と比較して効率的ではない。全長SP-A及びSP-Dの異種発現は、これまでのところ、哺乳動物系でのみ成功しているが、切断形態が細菌及び酵母系で発現されている。
全長hSP-A1(UniProt ID: Q8IWL2)、hSP-A2(UniProt ID: Q8IWL1)及びhSP-D(UniProt ID: P35247)並びにその切断された断片: hSP-A181-228及びhSP-A281-228(Silveyra, P. & Floros, J.、Gene 531: 126〜132(2013);配列番号47〜48)、及びhSP-D204-355(Hakansson, K. ら、構造7: 255〜264(1999);配列番号49)を、NTD40K/K65Dとの融合で発現した(配列番号76〜81によってコードされた配列番号70〜75)。融合タンパク質をクローニングし、本質的に実施例3に従ってBl21又はOrigami大腸菌細胞で、20℃で一晩又は30℃で4時間、発現した。
実施例13-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いたアミロイドベータ(Aβ)ペプチドの発現
Aβペプチドは、アルツハイマー病に関するアミロイドプラークの形成に関与している。当該ペプチドは、ベータ及びガンマセクレターゼでのタンパク質分解切断によってアミロイド前駆体タンパク質(APP)から放出され、及び凝集して、オリゴマー又はアミロイドプラークを構成するより大きな線維を形成し得る。Aβミスフォールディング及びフィブリル化の機構、並びに、線維及び中間体オリゴマー状態のイン・ビトロ及びイン・ビボ毒性は、合成ペプチドを用いて広範に研究されてきた。細菌発現系を用いたAβ1-40及びAβ1-42ペプチドの成功した組み換え生産は、変性条件下での封入体からの抽出によって実証された。しかしながらこの方法は、ペプチドのオリゴマー状態に対する制御を可能にせず、分析前に単量体画分を得るためのその後のサイズ排除クロマトグラフィーを必要とする。
この制限を克服するために、Aβ1-42(Uniprot ID P05067)を、NTD40K/K65Dとの融合で発現する(配列番号83によってコードされた配列番号82)。融合タンパク質をクローニングし、本質的に実施例3に従って、Bl21又はOrigami大腸菌細胞で、20℃で一晩又は30℃で4時間で、発現する。
実施例14-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いた膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)の発現
膵島アミロイドポリペプチド(アミリン又はIAPP;Uniprot ID P10997)は、ペプチドホルモンであり、膵臓β-細胞からインスリンと共分泌され、かつ血糖値の調節に重要な役割を果たす。IAPPにより形成された膵臓アミロイドが、II型糖尿病の発症に関連していることを研究は示唆している。IAPPは、ProIAPPと呼ばれるプロペプチドとして発現され、当該プロペプチドは刺激によりIAPPにプロセシングされる。ヒトproIAPPはこれまでに、Trx溶解性タグとの融合で組み換え発現され、変性条件下での封入体からの抽出によって精製されてきた。組み換えヒトIAPP(hIAPP)ペプチドは、多数の商業的供給源から入手可能であり、かつ、ペプチドを可溶性に保つために、溶解性タグ、例えばGSTとの融合で、あるいはBSA又はOVAへのコンジュゲーションで、送達される。
ヒトIAPPを、NTD40K/K65Dとの融合で発現する(配列番号85によってコードされた配列番号84)。融合タンパク質をクローニングし、実施例3に従って、Bl21又はOrigami大腸菌細胞で、20℃で一晩又は30℃で4時間、発現する。
実施例15-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いたhCAP18の発現
カテリシジンは、脊椎動物の好中球の顆粒に見られる抗菌及びエンドトキシン結合タンパク質のファミリーである。このファミリーのメンバーは、カテリン様ドメインとして知られている高度に保存された12 kDaのN-末端を共有する。生物学的に機能的なドメインはC-末端に存在し、セリンプロテアーゼによりプロタンパク質から切断された際に活性化する。唯一のヒト型のカテリシジン、hCAP18は、抗菌ペプチドLL-37に対するプロタンパク質であり、LL-37はプロテアーゼ3による細胞外切断によって放出される。hCAP18は、成熟ペプチドLL-37に匹敵する効率でグラム陰性細菌の増殖を阻害する。しかしながら、hCAP18の組み換え生産は、低収量及び不明な溶解性に関連付けられており、それゆえ、組み換え生産のために新たな戦略が必要とされている。
シグナルペプチドを有さないhCAP18を、それぞれNTwt又はNTD40K/K65Dとの融合でクローニングした(配列番号88〜89によってコードされた配列番号86〜87)。両方の融合タンパク質を、Origami大腸菌細胞で、20℃で一晩発現した。図18は、誘導前(B)及び20℃での一晩発現後(A)のNTwt又はNTD40K/K65Dとの融合において発現されたhCAP18のSDS-PAGE分析を示す。矢印は、目的のタンパク質に対応する予想されたバンドを示す。
80%の振幅、1秒パルスのオン/オフで、合計2分間、非変性量の尿素(2 M)、0,7% Tween又は10%グリセロールを緩衝添加剤として用いての超音波処理後に、融合タンパク質は、緩衝添加剤とは独立して、遠心分離後の可溶性画分中に見出された。融合タンパク質を、約50 mg/L培養物の最終収量でNi-sepharose上で精製した。
実施例16-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いたニカストリンの発現
γ-セクレターゼタンパク質複合体は、四構成要素プロテアーゼであり、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシング及びアルツハイマー病関連ペプチドのアミロイドベータ(Aβ)の生成に関与する。γ-セクレターゼの活性及び特異性の調節は、アルツハイマー病の治療のための潜在的な治療戦略を表す。構成要素の1つである、ニカストリン又はNCTは、大きな細胞外ドメイン(ECD)を有するI型膜貫通糖タンパク質であり、これは、γ-セクレターゼ基質の動員に重要な役割を果たしていると考えられている。全長ニカストリンECDの異種大腸菌産生はこれまでに報告されていない。
ヒトニカストリンのECD(UniProt ID: Q92542)を、NTD40K/K65Dとの融合で発現する(配列番号91によってコードされた配列番号90)。融合タンパク質をクローニングし、実施例3に従って、Bl21又はOrigami大腸菌細胞で、20℃で一晩又は30℃で4時間で発現する。
実施例17-NT D40K/K65D 融合タンパク質を用いた緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現
GFPは、青から紫外線の範囲の光にさらされると、明るい緑色蛍光を示す。GFPは、生物学的プロセスと干渉することなく細胞全体への拡散を可能にする比較的小さなサイズのために、発現のリポーターとして頻繁に使用される。GFPの多くの異なる突然変異体が操作されており、最も重要には、S65T突然変異が蛍光及び光安定性を劇的に増加させた。増強されたGFP(eGFP)は、S65T突然変異に加えてF64L点突然変異の結果であり、これは、37℃で増加したフォールディング効率を示し、かつ哺乳動物細胞におけるGFPの実用的な使用を可能にした。
eGFPをNTwt及びNTD40K/K65Dとの融合でクローニングし(配列番号94〜95によりコードされた配列番号92〜93)、及びBl21大腸菌細胞で20℃で一晩発現した。細胞を、超音波処理の代わりにリゾチーム処理で破砕した。この方法は、タンパク質を可溶化するのにあまり効果的ではないが、別の方法では超音波処理処理中に部分的に失われるGFP蛍光を維持するために必要であった。依然として、融合タンパク質の約30〜40%が遠心分離後に可溶性画分に見出され、大部分のタンパク質はNi-sepharose精製中に回収された。
実施例18-rSP-C33Leuとの融合におけるNT D40K/K65D をミセル様粒子に配置する
精製された可溶性NTD40K/K65D-SP-C33Leu融合タンパク質(配列番号 56)を、実施例3〜4に記載のように得て、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び透過型電子顕微鏡(TEM)に供した。TEMのために、精製された可溶性NTD40K/K65Dタンパク質(配列番号2)を対照として使用した。
サイズ排除クロマトグラフィー
精製融合タンパク質を、ランニング緩衝液(20 mMのTris、150 mMのNaCl、1 mMのEDTA、pH 8.0)で2 mg/mLに希釈した。Superdex 200カラムをランニング緩衝液で平衡化し、試料の200 μLを0.5 mL/分の速度でカラムに通した。タンパク質の溶出を、280 nmでの吸光度を測定することによって検出した。分子量標準フェリチン(440 kDa)、アルドラーゼ(158 kDa)、コンアルブミン(75 kDa)、オボアルブミン(43 kDa)、炭酸脱水酵素(29 kDa)及びリボヌクレアーゼA(13.7 kDa)(GE Healthcare)を流し、それぞれ8.56 mL、10.65 mL、12.06 mL、12.96 mL、14.26 mL及び15.64 mLで溶出させた。
透過電子顕微鏡法
試料を20 mMのTris、pH 8で希釈した。ネガティブ染色のために、3μlの試料を、グロー放電した炭素被覆銅グリッドに適用し、2 %(w/v)酢酸ウラニルで染色し、風乾した。グリッドを、200 kVで操作したJEOL JEM-2100f透過型電子顕微鏡を用いてチェックした。TVIPS TemCam-F415 4k x 4k CCD-カメラ(Tietz Video and Image Processing Systems GmbH、Gauting、ドイツ)で、60000の通常倍率を用いて、画像を収集した。
NTD40K/K65D-SP-C33Leu単量体は19 kDaの計算分子量を有するが、図19に示されたSEC分析は、約10 nmの流体力学半径を有する粒子に対応する510 kDaの推定サイズを有する明確なオリゴマー集団を示した。10〜15 nmのサイズを有するそのようなミセル様粒子の存在を、ネガティブ染色透過電子顕微鏡法(TEM)を用いて確認した。図20において、パネル(a)ネガティブ染色されたNTD40K/K65D-SP-C33Leu融合タンパク質のTEMは、10〜15 nmサイズの粒子を示している。パネル(b)において、同じ濃度でのネガティブ染色されたNTD40K/K65Dタンパク質のTEMは、陰性対照としての役割を果たした。NTD40K/K65Dタンパク質単独では、粒子は観察されなかった。
実施例19(比較)-NT wt 及びNT A72R を含む融合タンパク質のタンパク質発現
欧州特許出願公開第2 644 619号明細書は、溶解性向上部分NTA72R及び当該部分を含む融合タンパク質を開示している。NTA72Rは、6.4のpH未満であっても構成単量体である。融合タンパク質NTA72R-SP-C33Leu(配列番号100)及びNTwt-SP-C33Leu(配列番号57)を大腸菌BL21(DE3)細胞で発現し、実施例3〜4に従って精製した。
得られたタンパク質をSDS-PAGEによって分離し、クーマシーで染色した。異なる融合タンパク質を調査し、細菌あたりの発現(産生)レベルが以下の順であることを見出した
NTwt-SP-C33Leu > NTA72R-SP-C33Leu。
結論として、NTA72Rは、NTwtと比較して融合タンパク質発現レベルを改善していない。
実施例20-修飾されたスピドロインタンパク質の発現及び精製
修飾されたフィブロネクチン由来RGDループ、FNcc、反復部分及び小瓶状腺スピドロイン(MiSp)からのCT部分を有するスピドロインタンパク質を、それぞれNTD40K/K65D及びZとの融合でクローニングした(配列番号101〜102)。同一の融合タンパク質ではあるが、大瓶状腺スピドロイン(MaSp)からのCT部分を有する融合タンパク質もクローニングした(配列番号103〜104)。修飾されたスピドロインタンパク質の発現レベルを試験するために、融合タンパク質をpT7発現ベクターにクローニングし、コンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に化学的に形質転換した。
プラスミド含有細胞を、50 mg/Lのカナマイシンを含む150 mLのLB培地に接種し、30℃及び220 rpmで一晩増殖させた。5 mLの一晩培養物を、カナマイシンを含む500 mLのLB 培地(1/100)に接種し、細胞を30℃でOD ~1にさらに増殖させた。細胞を、0.3 mMの最終濃度までのIPTGの添加により誘導し、発現を15℃で一晩行った。発現の19時間後、細胞を遠心分離によって採取し、20 mMのTris-HCl、pH 8、40 mLまでに再懸濁し、−20℃で少なくとも24時間保存した。細胞をリゾチームの添加によって可溶化した。可溶性及び不溶性画分を、21612×g、4℃で30分間の遠心分離によって分離した。
OD600 =1に等しい二連の培養試料を、発現中に誘導の4時間及び19時間後に採取した。試料を13000×g、4℃で10分間の遠心分離によりペレット化し、上清を捨て、ペレットを−20℃で少なくとも24時間保存した。ペレット化された材料を、リゾチームの添加と共にCelLytic B(商標)を用いて溶解させた。時点ごとに1つの試料を、13000×g、RTで10分間の遠心分離により分離した可溶性及び不溶性画分の分析のために使用した。他の試料を、可溶性及び不溶性画分を分離することなく全細胞分析のために使用した。試料に、等量の還元SDS-PAGEローディングバッファーを添加し、5分間95℃で煮沸し、続いて12 %アクリルアミドゲル上に等量でロードした。タンパク質を、iBlot 2(登録商標) Dry Blotting Systemを用いて膜に転写した。iBind(商標)Western Deviceは、IRDYE800CW(登録商標)蛍光色素分子標識ニワトリ抗his抗体を用いてブロッティングするために使用される。Liquor Odyssey fc(登録商標)イメージングシステムを用いて検出を行う。
培養物からの透明な溶解物に、NaCl及びイミダゾールをそれぞれ500 mM及び20 mMの最終濃度まで添加し、前もってZn-Sepharose(GE Healthcare)で充填し、かつローディングバッファー(20 mMのTris、20 mMのイミダゾール及び500 mMのNaCl、pH 8)で平衡化したIMACカラムに、ロードした。結合したタンパク質を、20 mMのTris-HCl、49 mMのイミダゾール、500 mMのNaCl、pH 8で洗浄し、1 mLの画分において20 mMのTris-HCl、220 mMのイミダゾール、500 mMのNaCl、pH 8で溶出した。280 nmでの吸光度を 各画分について測定し、タンパク質に富んだ画分をプールした。6〜8 kDaの分子量カットオフを有するSpectra/Por(登録商標)透析膜を用いて、4℃で及び5 Lのローディングバッファーで、一晩透析することによって、イミダゾールを除去した。各ステップにおけるタンパク質の純度を、クーマシーブリリアントブルーで染色した12 %のアクリルアミドゲルを用いてSDS-PAGEによって決定した。
−20℃での保存後に、融合タンパク質を4℃で解凍し、4570×gで10分間遠心分離し、濃縮した。試料を4℃で保存した。安定性を、Nano Dro(商標)を用いて3日のスパンにわたって濃度を測定することによって数値的に評価し、並びに、InstantBlue(商標)タンパク質染色で染色した12 %のアクリルアミドゲルを用いてSDS-PAGEによって視覚的に評価した。溶液中で高度に凝集しやすい精製スピドロインタンパク質を維持する際にNTD40/K65DはZ-タグよりも効果的であることが結論付けられる。
実施例21-スピドロイン融合タンパク質の発現
スピドロイン融合タンパク質の発現レベルを試験するために、4RepCTに共有結合したIgG断片sCD40を、それぞれNTD40K/K65D及びZとの融合でpT7発現ベクターにクローニングし(配列番号105〜106)、コンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に化学的に形質転換した。
プラスミド含有細胞を、50 mg/Lのカナマイシンを含む150 mLのLB培地に接種し、30℃及び220 rpmで一晩増殖させた。5 mLの一晩培養物を、カナマイシンを含む500 mLのLB培地(1/100)に接種し、細胞を30℃でOD ~1までさらに増殖させた。細胞を、0.3 mMの最終濃度までのIPTGの添加によって誘導し、発現を15℃で一晩行った。発現の19時間後、細胞を遠心分離によって採取し、20 mMのTris-HCl、pH 8、40 mLまでに再懸濁し、−20℃で少なくとも24時間保存した。
可溶性及び不溶性画分それぞれに発現したタンパク質の量を分析するために、実施例20に記載したように、培養試料を採取し、ウェスタンブロットを用いて分析した。
実施例22-IgG断片の発現
それぞれNTD40K/K65D及びZとの融合でソルターゼ認識配列に共有結合したIgG断片sCD40を(配列番号107〜108)、pT7発現ベクターにクローニングし、コンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に化学的に形質転換した。
プラスミド含有細胞を、50mg/Lのカナマイシンを含む20 mLのLB培地に接種し、30℃及び220 rpmで一晩増殖させた。5 mLの一晩培養物を、カナマイシンを含む500 mLのLB培地(1/100)に接種し、細胞を30℃でOD ~1までさらに増殖させた。細胞を、0.3 mMの最終濃度までのIPTGの添加によって誘導し、発現を15℃で一晩行った。発現の19時間後、細胞を遠心分離によって採取し、20 mMのTris-HCl、pH 8、40 mLまでに再懸濁し、−20℃で少なくとも24時間保存した。
可溶性及び不溶性画分それぞれに発現したタンパク質の量を分析するために、実施例20に記載したように、培養試料を採取し、ウェスタンブロットを用いて分析した。

Claims (17)

  1. 配列番号1と少なくとも70%の同一性を有する100〜160アミノ酸残基の部分を含むタンパク質であって、配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基が、Lys、Arg及びHisからなる群から選択され;かつ、配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基が、Asp及びGluからなる群から選択される、タンパク質。
  2. 前記配列番号1の40位に対応するアミノ酸残基が、Lys又はArg、好ましくはLysである、請求項1に記載のタンパク質。
  3. 前記配列番号1の65位に対応するアミノ酸残基が、Aspである、請求項1又は2に記載のタンパク質。
  4. 以下、
    (i)溶解性向上(solubility-enhancing)部分である、請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの部分;並びに
    (ii)所望のタンパク質又はポリペプチドである、少なくとも1つの部分、
    を含む融合タンパク質である、請求項1から3のいずれか一項に記載のタンパク質。
  5. 以下、
    (iii)少なくとも1つの所望のタンパク質又はポリペプチド部分と、少なくとも1つの溶解性向上部分との間に配置された、少なくとも1つの切断部位、
    をさらに含む、請求項4に記載のタンパク質。
  6. 請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの部分の、融合タンパク質の部分としての使用であって、前記融合タンパク質の別の部分である所望のタンパク質又はポリペプチドの溶解性を向上するための使用。
  7. 所望のタンパク質又はポリペプチドの産生方法であって、以下のステップ:
    a)好適な宿主において、所望のタンパク質又はポリペプチドを含む請求項4から5のいずれか一項に記載の融合タンパク質を発現し;並びに
    b)融合タンパク質を含有する混合物を得て、そして場合により、
    b1)融合タンパク質を単離すること、
    を含む、方法。
  8. 以下:
    c)融合タンパク質を切断して、切断産物として残留溶解性向上部分又はその断片から所望のタンパク質又はポリペプチドを切り離し;そして場合により、
    c1)所望のタンパク質又はポリペプチドを単離すること、
    をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 融合タンパク質を単離する、ステップb1)を含み;かつ、所望のタンパク質又はポリペプチドを単離する、ステップc1)を含む、請求項7から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記方法が、ゲル濾過、クロマトグラフィー又は任意の他の固相吸着に基づく分離を含む分離ステップを含まないことを条件とする、請求項9に記載の方法。
  11. 融合タンパク質を単離する、ステップb1)が、以下のステップ:
    b1a)融合タンパク質の沈殿;並びに
    b1b)沈殿した融合タンパク質を水性溶媒中に懸濁すること、ここで、融合タンパク質は水性溶媒に可溶性である、
    を含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 所望のタンパク質又はポリペプチドを単離する、ステップc1)が、以下:
    c1b)有機溶媒中に切断産物を懸濁することによって、所望のタンパク質又はポリペプチドを抽出すること;ここで、所望のタンパク質又はポリペプチドは有機溶媒に可溶性であり;かつ、残留溶解性向上部分又はその断片は有機溶媒に可溶性でない、
    を含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ステップc1b)の有機溶媒が、低級アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノールを含んでいる、請求項12に記載の方法。
  14. 所望のタンパク質又はポリペプチドを単離する、ステップc1)が、抽出ステップc1b)の前に、以下のステップ:
    c1a)切断産物の沈殿、
    をさらに含む、請求項12から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 少なくとも1つの沈殿ステップが、高塩濃度での塩析を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. ステップb)で得られた混合物が、融合タンパク質のミセルを含んでいる、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 請求項1から5のいずれか一項に記載の融合タンパク質のミセル。
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