JP2019503439A - セルロース系繊維を備えた基材の作製方法における歩留まり向上剤としてのアクリレートコポリマーの使用 - Google Patents

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Abstract

少なくとも工程(a)及び(b):(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程、を含む紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;並びにR2は、C1-10アルキル基である、方法。

Description

本発明は、アクリレートコポリマーが歩留まり向上剤として用いられる、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関する。本発明はさらに、セルロース系繊維を備えた基材を作製するための前記歩留まり向上剤の使用、並びに前記コポリマー及び/又はそのアルカリ土類金属塩を含むセルロース系繊維を備えた基材にも関する。
紙及び板紙 (paper board)の製造の過程では、セルロース系懸濁液が、移動スクリーン(抄紙機ワイヤー (machine wire)と称される場合が多い)上で濾水されてシートが形成され、次にこれが圧搾され、乾燥される。セルロース系固形分を凝集させ、移動スクリーン上での濾水を促進する目的で、セルロース系懸濁液に水溶性ポリマーを適用することが知られている。紙の生産量を高める目的で、多くの抄紙機は、高速度で運転される。抄紙機の速度が高められる結果として、本技術分野では、紙の形成過程において向上された濾水、並びにセルロース系繊維及び填料などの抄紙成分の向上された歩留まりを提供する濾水向上剤及び歩留まり向上剤が非常に重要視されてきた。
米国特許出願公開第2008/0128102号明細書は、紙又はボール紙 (board)をセルロース系懸濁液から作製するためのプロセスに関し、セルロース系懸濁液は、ケイ酸質物質、及び有機カチオン性若しくはアニオン性の水中水型マイクロポリマー又は塩溶液中分散体マイクロポリマーを含む凝集系を用いて凝集される。前記分散体は、水溶性ポリマーを疎水性ポリマーと重合させることによって作製され得る。水溶性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、及び同種のもの、さらにはアクリル酸、メタクリル酸、及び/若しくは(メタ)アクリルアミド、又はビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、スチレンスルホン酸、N−ビニルイミダゾール、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、及び同種のものなどの水溶性ポリマーを生成することができるエチレン性不飽和モノマーから選択され得る。好ましい疎水性モノマーとしては、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ビニルトルエン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン、イソブテン、2−メチルブテン−1、ヘキセン−1,2−メチルヘキセン−1,2−プロピルヘキセン−1、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、4−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、及び同種のものなどのエチレン性不飽和化合物、又はエチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、若しくは重合性二重結合を有する他の主として(アリール)脂肪族である化合物が挙げられる。
米国特許第8753479号明細書は、紙、厚紙 (card)、及びボール紙を生産するためのプロセスに関し、特定の繊維濃度を有し、少なくとも1つの水溶性両性コポリマーを含有する填料含有紙料を濾水する工程を含む。前記コポリマーは、例えば、(a)アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸、及び同種のものとアミノアルコールとのエステルのモノマーから、(b)アクリルアミドなどのモノマーから、(c)C3からC8カルボン酸から、並びに(d)α,β−エチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸のエステルから作製され得る。
国際公開第98/24973号は、セルロース系繊維及び填料を含有する主水性流が混合される希釈ヘッドボックス(dilution headbox)を有する抄紙機上での紙の生産のためのプロセスに関し、歩留まりを改善する1つ以上の成分が、主水性流中に導入され、非イオン性及びアニオン性有機ポリマーから選択されるものが、希釈水性流に導入される。アニオン性有機ポリマーは、例えば、アクリルアミドをベースとしている。
国際公開第2004/001129号は、少なくとも約50,000ダルトンの分子量及び少なくとも約10,000の分子量電荷指数値(molecular weight charge index value)を有する水溶性アニオン性ポリマー、及びカチオン性紙力増強成分を含む機能促進剤、並びにそのような系で作製される紙製品、並びに機能促進剤によって紙製品に湿潤紙力を付与するための方法に関する。機能促進剤は、アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマーであってよく、複数のアルキルアクリレートのうちの1つ及びアクリル酸を含む、又は複数のアルキルメタクリレートのうちの1つ及びアクリル酸を含むコポリマーなどである。
国際公開第2008/049748号は、紙力が改善された紙又は板紙を作製するためのプロセスに関し、有機ポリマー微粒子を含むセルロース系紙料を提供する工程を含む。より好ましくは、有機ポリマー微粒子は、アクリルモノマーから、最も好ましくは、少なくとも1つのアクリルアニオン性モノマー及び少なくとも1つのアクリル非イオン性モノマーを含むアクリルモノマーから形成される。アクリルアニオン性モノマーの例は、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、及びこれらの塩である。好ましいアクリルアニオン性モノマーは、(メタ)アクリル酸、及びその塩である。より好ましいアニオン性モノマーは、アクリル酸及びその塩である。アクリル非イオン性モノマーの例は、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−C1-4−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジ(C1-4−アルキル)(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレートなどのC1-4−アルキル(メタ)アクリレート、及びアクリロニトリルである。好ましくは、アクリル非イオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミドである。より好ましくは、それは、アクリルアミドである。
米国特許第5543446号明細書は、紙用の乾燥紙力増強添加剤として用いるための、本質的に以下の単位:(a)(メタ)アクリルアミド、(b)エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸又はその塩、及び(c)水溶性ポリビニルモノマーから成る水溶性ターポリマーに関し、(c)は、全モノマーに対して0.07モル%未満の水溶性ポリビニルモノマーを含む。
欧州特許第0549925号明細書は、改善された吸水度と共に紙に湿潤紙力を付与するための方法に関し、セルロース系紙料の水性懸濁液に、中性又はアルカリ性硬化性熱硬化性湿潤紙力増強樹脂、カルボキシル基又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩としてのカルボキシレートイオンを含有する水溶性ポリマー、及び実質的に非熱硬化性である三級アミノポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂を添加することを含む。
欧州特許第0462365号明細書は、直径が約1,000nm未満のイオン性有機マイクロビーズが、高分子量有機ポリマー及び/又はポリサッカリドと組み合わせて存在する場合に、改善された濾水及び歩留まりを有する抄紙プロセスに関する。例えば、アニオン性マイクロビーズは、アクリルアミドポリマーマイクロビーズなどを加水分解することによって作製されるもの、(メタ)アクリル酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、スルホエチル(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸若しくは他の二塩基酸又はその塩、又はこれらの混合物などのモノマーなどを重合することによって作製されるものである。上記アニオン性とのコポリマーとしてマイクロビーズを作製するのに適する非イオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;N−メチルアクリルアミドなどのN−アルキルアクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアクリルアミド;メチルアクリレート;メチルメタクリレート;アクリロニトリル;N−ビニルメチルアセタミド;N−ビニルメチルホルムアミド;酢酸ビニル;N−ビニルピロリドン、及び同種のものが挙げられる。
米国特許第4943349号明細書は、抄紙技術を用いてシート材料を作製するためのプロセスに関する。この材料は、繊維に加えて、有機バインダー、非結合性無機填料、及び凝集剤、さらには様々な従来の添加剤を含む。アニオン性歩留まり向上剤は、凝集剤/バインダー/填料が添加される前に、繊維懸濁液に添加される。アニオン性歩留まり向上剤としては、例えば、高分子量修飾ポリアクリルアミド又はポリアクリル酸ナトリウムを用いることが可能である。
国際公開第01/40578(A1)号には、抄紙方法、並びに、疎水性エチレン性不飽和モノマー、並びに非イオン性エチレン性不飽和モノマー、カチオン性エチレン性不飽和モノマー、及びアニオン性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上を含むモノマーから作製されるコポリマーである水溶性で疎水性結合可能であるポリマーを濾水向上剤として用いる組成物が開示されている。
米国特許出願公開第2006/0266488(A1)号明細書には、水混和性疎水性コポリマーを抄紙スラリーに添加することを含む歩留まり及び濾水を改善する方法が開示されており、さらに、水混和性疎水性コポリマーを含む組成物も開示されている。
新規な歩留まり向上剤を提供することが、本産業において継続的に求められている。
本発明の目的
本発明の目的は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製するためのプロセスに適する歩留まり向上剤を提供することである。
発明の概要
この目的は、カルボキシル若しくはカルボキシレート基、及びエステル基を備えたアクリレートコポリマーによって達成された。
より詳細には、第一の態様では、本発明は、セルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関し、この方法は、少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含み、アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のカルボン酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのカルボン酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、C1-10アルキル基である。
1つの実施形態では、工程(b)で用いられるカルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するコポリマーの少なくとも80重量%が、式I及び式IIのモノマーをベースとしており、残りの部分は、式I及び式IIのモノマーとは異なる1つ以上のモノマーをベースとし、ここで、コポリマーの総重量が100重量%である。
1つの実施形態では、工程(a)において、6.0超の、好ましくは、7超のpHを有する水性懸濁液が提供される。
1つの実施形態では、工程(a)で提供される前記水性懸濁液は、アルカリ土類イオン、好ましくは、カルシウムイオンを含む填料を含む。
1つの実施形態では、工程(a)で提供される前記水性懸濁液の、mmol/lのアルカリ土類イオンで表される水硬度は、90又は90超に調節される。
1つの実施形態では、R1=H及びR3=CH3である。
1つの実施形態では、R2は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される。
1つの実施形態では、R2は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、又は2−エチルヘキシルから選択される。
1つの実施形態では、一般式Iのカルボン酸エステルと一般式IIのカルボン酸とのモル比は、2:1から1.1:1の範囲内である。
1つの実施形態では、コポリマーの平均分子量Mwは、350,000から450,000Daなどの300,000から1,000,000Daの範囲内である。
1つの実施形態では、前記コポリマーは、工程(b)において、水性懸濁液の形態で添加される。
1つの実施形態では、前記添加される水性懸濁液のpHは、6未満の値に調節される。
1つの実施形態では、前記コポリマーは、工程(b)において、セルロース系繊維の量に対して0.01から10重量%の量で添加され(それぞれ、乾燥物質として算出され、合計量が100重量%である)、それによって、工程(b)後、得られた混合物のpHは、6.0超、好ましくは、7超であるか;又は、工程(b)後のpHは、6超の、好ましくは、7超のpHに調節される。
1つの実施形態では、方法は、工程(c)及び(d):
(c) 工程(b)で得られた混合物を、セルロース系繊維を備えた基材のシートを形成する目的で、ワイヤーに掛ける工程;及び
(d) 工程(c)で得られたシートを、セルロース系繊維を備えた基材の圧搾されたシートを形成する目的で、プレスで圧搾し、及び/又はシート若しくは圧搾されたシートを乾燥させる工程
をさらに含む。
第二の態様では、本発明はさらに、第一の態様で定めるカルボキシル基及びエステル基を有するコポリマーの、セルロース系繊維を備えた基材を作製するための使用に関する。
第三の態様では、本発明は、第一の態様で定めるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマー、並びに/又は第一の態様で定めるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーのアルカリ土類塩、好ましくは、カルシウム塩を含むセルロース系繊維を備えた基材に関する。
好ましくは、セルロース系繊維を備えた基材は、紙である。
本発明はさらに、以下の項目を包含する:
1.少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1は、Hであり、及びR3は、CH3又はC25であり;
並びにR2は、C1-10アルキル基である、
方法。
2.R3が、CH3である、項目1に記載の方法。
3.R2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される、項目1及び2のうちの少なくとも1つに記載の方法。
4.R2が、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、項目1から3のうちの少なくとも1つに記載の方法。
5.一般式Iのアクリルエステルの一般式IIのアクリル酸に対するモル比が、2:1から1.1:1の範囲内である、項目1から4のうちの少なくとも1つに記載の方法。
6.少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される。
7.R1が、Hであり、及びR3が、CH3又はC25、好ましくは、CH3である、項目6に記載の方法。
8.一般式Iのアクリルエステルの一般式IIのアクリル酸に対するモル比が、2:1から1.1:1の範囲内である、項目1から7のうちの少なくとも1つに記載の方法。
9.少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、C1-10アルキル基であり;並びに
一般式Iのアクリルエステルの一般式IIのアクリル酸に対するモル比は、2:1から1.1:1の範囲内である、
方法。
10.R1が、Hであり、及びR3が、CH3又はC25、好ましくは、CH3である、項目9に記載の方法。
11.R2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される、項目9から10のうちの少なくとも1つに記載の方法。
12.R2が、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、項目9から11のうちの少なくとも1つに記載の方法。
13.少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、C1-10アルキル基であり;
但し、アクリレートコポリマーは、モノマーのモル比50:50でのアクリル酸ブチルエステルとアクリル酸との重合生成物ではない、
方法。
14.R1が、Hであり、及びR3が、CH3である、項目13に記載の方法。
15.R2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される、項目13から14のうちの少なくとも1つに記載の方法。
16.R2が、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、項目13から15のうちの少なくとも1つに記載の方法。
17.一般式Iのアクリルエステルと一般式IIのアクリル酸とのモル比が、2:1から1.1:1の範囲内である、項目13から17のうちの少なくとも1つに記載の方法。
18.工程(b)で用いられるカルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するコポリマーの少なくとも50又は60又は70又は80重量%が、式I及び式IIのモノマーをベースとしており、残りの部分が、式I及び式IIのモノマーとは異なる1つ以上のモノマーをベースとし、ここで、コポリマーの総重量が100重量%である、項目1から17のうちの少なくとも1つに記載の方法。
19.アクリレートコポリマーの平均分子量Mwが、300,000Daから1,000,000Da、好ましくは、350,000から450,000Daの範囲内である、項目1から18のうちの少なくとも1つに記載の方法。
20.工程(a)において、6超の、好ましくは、7超のpHを有する水性懸濁液が提供される、項目1から19のうちの少なくとも1つに記載の方法。
21.工程(a)で提供される前記水性懸濁液が、アルカリ土類イオン、好ましくは、カルシウムイオンを含む填料を含む、項目1から20のうちの少なくとも1つに記載の方法。
22.工程(a)で提供される前記水性懸濁液の、mmol/lのアルカリ土類イオンで表される水硬度が、90又は90超に調節される、項目1から21のうちの少なくとも1つに記載の方法。
23.工程(b)で添加される前記アクリレートコポリマーが、水性懸濁液の形態で添加され;又は
工程(b)で添加される前記アクリレートコポリマーが、水性懸濁液の形態で添加され、懸濁液のpHは、6未満の値に調節される、項目1から22のうちの少なくとも1つに記載の方法。
24.前記アクリレートコポリマーが、工程(b)において、セルロース系繊維の量に対して0.01から10重量%の量で添加され(それぞれ、乾燥物質として算出され、合計量が100重量%である)、それによって、工程(b)後、得られた混合物のpHは、6.0超、好ましくは、7超であるか;又は、工程(b)後のpHは、6超の、好ましくは、7超のpHに調節される、項目1から23のうちの少なくとも1つに記載の方法。
25.さらに、工程(c)及び(d):
(c) 工程(b)で又は工程(b)後に得られた混合物を、セルロース系繊維を備えた基材のシートを形成する目的で、ワイヤーに掛ける工程;及び
(d) 工程(c)で得られたシートを、セルロース系繊維を備えた基材の圧搾されたシートを形成する目的で、プレスで圧搾し、及び/又はシート若しくは圧搾されたシートを乾燥させる工程
を含む、項目1から24のうちの少なくとも1つに記載の方法。
26.項目1から24のうちの少なくとも1つにおいて定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーの、セルロース系繊維を備えた基材を作製するための使用。
27.項目1から19のうちの少なくとも1つにおいて定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを含むか;又は項目1から19のうちの少なくとも1つにおいて定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーのアルカリ土類塩、好ましくは、カルシウム塩を含むか;又は項目1から19のうちの少なくとも1つにおいて定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを含み、並びに項目1から19のうちの少なくとも1つにおいて定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーのアルカリ土類塩、好ましくは、カルシウム塩を含む、セルロース系繊維を備えた基材であり、好ましくは、基材は、紙である。
発明の詳細な説明
引用符内の以下の用語は、本発明の意味で用いられる。
第一の態様では、本発明は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関し、少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含み、アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のカルボン酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのカルボン酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され、並びにR2は、C1-10アルキル基である。
別の態様では、本発明は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関し、少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含み、アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1は、Hであり、及びR3は、CH3又はC25、好ましくは、CH3であり;
並びにR2は、C1-10アルキル基である。
別の態様では、本発明は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関し、少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含み、アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される。
別の態様では、本発明は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関し、少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含み、アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、C1-10アルキル基であり;並びに、
一般式Iのアクリルエステルと一般式IIのアクリル酸とのモル比は、2:1から1.1:1の範囲内である。
別の態様では、本発明は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法に関し、少なくとも工程(a)及び(b):
(a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
(b) 工程(a)で提供された懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
を含み、アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
並びにR2は、C1-10アルキル基であり;
但し、アクリレートコポリマーは、モノマーのモル比50:50でのアクリル酸ブチルエステルとアクリル酸との重合生成物ではない。
本発明に従う方法は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材の製造に用いられる。
「基材 (substrate)」の用語は、紙及びその生産のみを包含するものではなく、例えば、ボール紙及び板紙などの他のウェブ状の製品、並びにそれらの生産も包含する。「基材」の用語に含まれるさらなる例は、例えば、セルロース系繊維を備えたペーパータオル、又は他のいずれかのティッシュペーパーである。
工程(b)で用いられるアクリレートコポリマーは、歩留まり向上剤と称され得る。「歩留まり向上剤 (retention aid)」又は「歩留まり剤 (retention agent)」の用語は、基材を作製するためのプロセスの過程で基材中における化学薬品の歩留まりを改善する化合物を意味し、例えば、前記化学薬品を、それが基材によって吸着されるように、凝集することによる。その結果、廃棄される化学薬品の量が減少し、したがって、歩留まり向上剤を用いないプロセスと比較して、必要となる化学薬品の量も減少する。
式Iのカルボン酸エステルは、アクリル酸エステルであり、式IIのカルボン酸は、アクリル酸である。
「アクリル酸エステル」の用語は、アクリル酸のエステルCH2=CH−CO22、さらには式Iに含まれるいかなる種類のアクリル酸エステルをも包含する。
「アクリル酸」の用語は、アクリル酸CH2=CH−CO2H、さらには式IIに含まれるいかなる種類のアクリル酸をも包含する。
「アクリル酸エステル」又は「アクリル酸」の用語は、それぞれ式I、式IIに定められるCH2=CR1−、CH2=CR3−部分をそれぞれ包含する。したがって、「アクリル」の用語は、例えば、「メタクリル」の用語も包含する。
「アクリル酸エステル」及び「アクリル酸」などの用語と合わせて用いられる「アクリレート」の用語は、それぞれ式I、式IIに定められるCH2=CR1−、CH2=CR3−部分をそれぞれ包含する。したがって、「アクリレート」の用語は、例えば、「メタクリレート」の用語も包含する。
したがって、「アクリレートコポリマー」の用語は、式I及び式IIのモノマー由来の部分を備えたバックボーンを包含する。
さらに、本発明の方法で用いられるコポリマー、アクリレートコポリマーはそれぞれ、以下に記載される、式I、式IIのそれぞれのモノマー由来の部分とは異なるさらなる部分を備えていてよい。
工程(a)
本発明に従う方法の工程(a)では、セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供することが必要である。
「セルロース系繊維を含む水性懸濁液 (aqueous suspension comprising cellulosic fibres)」の用語は、「抄紙紙料 (paper making stock)」、又は「紙料 (stock)」、又は「パルプ (pulp)」、又は「パルプスラリー (pulp slurry)」、又は同種のものなどの用語と同義に用いられる。
セルロース系繊維の異なる種類の水性懸濁液が工程(a)で提供されてもよい。
1つの実施形態では、新しい及び/又は回収された繊維が提供されてよい。製紙産業において一般的に用いられるいかなる軟材又は硬材繊維が用いられてもよく、例えば、機械パルプ、さらし及び未さらし化学パルプ、並びにさらには、いずれかの1年生植物からの繊維系材料である。
機械パルプとしては、例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケモサーモメカニカルパルプ(CTMP)、加圧砕木パルプ、セミケミカルパルプ、高収率パルプ、及びリファイナー機械パルプ(RMP)が挙げられる。サルフェート、サルファイト、及びソーダ化学パルプが、例えば用いられてよい。未さらしクラフトパルプとしても知られる未さらし化学パルプを用いることが好ましい。
繊維系材料の作製に適する一年生植物としては、例えば、コメ、コムギ、サトウキビ、及びケナフ、エレファントグラス、バガス、アマ、及びワラが挙げられる。
パルプは、古紙を、単独で、又は他の繊維系材料との混合物として用いて作製されてもよい。古紙は、例えば、脱インクプロセスを経たものであってよい。しかし、用いられる古紙をそのようなプロセスに掛けることは必要ではない。さらにまた、主紙料及び回収コート損紙から形成された繊維混合物から実施することも可能である。
1つの実施形態では、工程(a)で提供される懸濁液は、適切には、乾燥物質ベースで、少なくとも25重量%、好ましくは、少なくとも50重量%のそのようなセルロース系繊維を含有するべきである。しかし、別の実施形態では、工程(a)で提供される懸濁液は、乾燥物質ベースで、25%未満のそのような繊維を含有していてもよい。
本発明に従う方法は、填料内添紙などのセルロース系繊維を備えた填料内添基材の製造にも用いられ得る。工程(a)で提供される懸濁液は、したがって、適切ないかなる量の填料を含んでいてもよい。ある実施形態では、セルロース系懸濁液は、セルロース系懸濁液の乾燥重量に対して50重量パーセントまでの填料を、一般的には、5から50重量パーセントの填料を、特には、10から40重量パーセントの填料を含む。
好ましい填料としては、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、チョーク、タルク、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、及び同種のもの、並びに上述の填料のうちの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。したがって、本実施形態によると、填料内添紙又は填料内添板紙を作製するためのプロセスが提供され、この場合、工程(a)で提供されるセルロース系懸濁液は、填料を含み、及びセルロース系懸濁液は、工程(b)に従って処理される。好ましい填料は、カルシウムをベースとするものである。填料は、古紙由来であってよく、及び/又はセルロース系繊維を含む水性懸濁液に添加されてもよい。他の実施形態では、セルロース系懸濁液は、填料を含まない。
工程(a)で提供される水性懸濁液は、製紙産業において一般的に用いられるさらなる添加剤を含有していてもよい。さらなる添加剤は、例えば、カチオン性凝結剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、請求されるアクリレートコポリマーとは異なるさらなる歩留まり向上剤、サイズ剤、蛍光増白剤、顔料、及び染料、さらには染料固着剤から選択され得る。
有機ポリマーであるカチオン性凝結剤は、紙料の電荷を中和する目的で添加され得るものであり、例えば、比較的高分子量のアニオン性歩留まり向上剤が紙料に添加される場合に必要とされ得る。
乾燥紙力増強剤の例は、比較的低分子量(通常、100万g/モル未満)のアクリルアミドの水溶性アニオン性コポリマー、及び比較的高分子量のポリサッカリドである。アクリルアミドのアニオン性コポリマーの例は、アクリルアミド、及びアクリル酸などのアニオン性モノマーから誘導されるコポリマーである。ポリサッカリドの例は、カルボキシメチルセルロース、グアーガム誘導体、及びデンプンである。
湿潤紙力増強剤は、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及びポリアミド−エピクロロヒドリンをベースとする樹脂である。
本発明において、本発明に従う歩留まり向上剤に加えて、実際に必要である場合、微細繊維、填料、及び繊維のウェブ上での歩留まりを改善又は最適化する目的で、さらなる歩留まり向上剤が添加されてもよい。さらなる歩留まり向上剤の例は、水溶性ポリマー、アニオン性無機微粒子、ポリマー有機微粒子、及びこれらの組み合わせである。さらなる歩留まり向上剤として用いられる水溶性ポリマーは、非イオン性、カチオン性、又はアニオン性であってよい。非イオン性ポリマーの例は、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドである。カチオン性ポリマーの例は、アクリルアミド、及びN,N−ジメチル−アミノエチルアクリレートメチルクロリドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのハロゲン化アルキルアダクトなどのカチオン性モノマーから誘導されるコポリマーである。アニオン性ポリマーの例は、アクリルアミド、及びアクリル酸又は2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸などのアニオン性モノマーから誘導されるコポリマーである。好ましくは、歩留まり向上剤として用いられるアニオン性ポリマーは、比較的高分子量(通常、100万g/モル超)のポリマーである。
アニオン性無機微粒子の例は、コロイド状シリカ、及びベントナイトなどの膨潤性粘土である。
2つ以上の歩留まり向上剤が組み合わされて、歩留まり系が形成されてもよい。
歩留まり系の例は、本発明の方法で用いられる歩留まり向上剤の、さらなるアニオン性水溶性ポリマー及び/又はアニオン性無機微粒子との組み合わせ、並びにカチオン性水溶性ポリマー、アニオン性水溶性ポリマー、及びアニオン性無機微粒子との組み合わせである。歩留まり系が、カチオン性水溶性ポリマーも含む場合、このカチオン性ポリマーは、通常、アニオン性水溶性ポリマー及びアニオン性無機微粒子を添加する前に、紙料に添加される。
歩留まり系のさらなる例は、カチオン性水溶性ポリマー及びポリマー有機微粒子との組み合わせ、並びにカチオン性水溶性ポリマー、アニオン性水溶性ポリマー、及びポリマー有機微粒子との組み合わせである。
1つの実施形態では、さらに添加される歩留まり向上剤は、カチオン性水溶性ポリマー、又はカチオン性水溶性ポリマーを含む歩留まり系である。しかし、工程(b)で定められる歩留まり向上剤は、カチオン性水溶性ポリマーと組み合わせて良好に作用するが、1つの実施形態では、工程(b)で用いられる歩留まり向上剤は、その高い効率のために、本発明に従う方法では、カチオン性水溶性又は水分散性ポリマーの非存在下で用いられる。
サイズ剤の例は、ロジンなどの天然サイズ剤、及びアルケニルコハク酸無水物及びアルキルケテン二量体などの合成サイズ剤である。
蛍光増白剤の例は、スチルベン誘導体である。適切な製品は、本技術分野において公知である。
工程(a)で提供されるセルロース系繊維を含む水性懸濁液は、生産されるべき紙を染色する目的で、顔料又は染料も含有していてよい。
工程(a)で提供されるセルロース系繊維を含む水性懸濁液は、湿潤紙力特性を改善する目的で、架橋剤も含有していてよい。
当業者であれば、紙生産のどの時点で前記添加剤が添加されるかは認識される。
本発明の発明者らは、予想外なことに、工程(a)で提供される水性懸濁液のpH、さらには工程(b)でアクリレートコポリマーを添加した後の懸濁液のpHが、本発明に従う方法の有益性に大きく影響し得ることを見出した。
1つの実施形態では、水性懸濁液のpH、工程(b)でコポリマーを添加した後のpHはそれぞれ、本発明に従う方法の有益性を可能な限り高く得る目的で、少なくとも6又はそれ以上であるべきである。
したがって、1つの実施形態では、工程(a)で提供される前記水性懸濁液のpHは、6超の値に設定される。
さらなる好ましい実施形態では、工程(a)で提供されるセルロース系繊維を含む前記水性懸濁液は、ヒドロキシルイオンを含み、すなわち、工程(a)で提供される前記水性懸濁液のpHは、7よりも大きい。必要に応じて、前記pHは、それぞれ、水性アルカリ又はアルカリ土類などの対応する塩基を添加することによって調節されてもよい。
特に7超のpH値は、その場合に、工程(b)で用いられるアクリレートコポリマーの前記カルボキシル基の少なくとも一部が、工程(a)で提供されるセルロース系繊維の懸濁液に添加される際に、そのアニオン性の形態に、すなわち、カルボキシレート基に変換されることから、有益であると考えられる。本発明で用いられる歩留まり向上剤の親水性部分、すなわち、アクリル酸部分が、負電荷を有して、水溶性を支援し、一方疎水性セクション(エステルセクション)は、そうではなく、工程(a)で提供されるセルロース系繊維を含む水性懸濁液中の非水性成分との整列を優先的に行うものと考えられる。このメカニズムは、紙料中の固体成分上の表面電荷と関係しているゼータ電位(ZP)を測定することによって実証され得る。ZP値は、本発明で用いられる歩留まり向上剤、すなわち、工程(b)で定められるカルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーの添加後、より負の値となり、それによって、ポリマーの吸着が確認され、さらなる必要性が作り出される。したがって、理論に束縛されるものではないが、このことは、前記アニオン性の形態が、プロトン化された形態よりもセルロース系繊維に対して強い吸着性を有することの証拠である。
7超が好ましいpHという前記選択されたpH条件下において、工程(a)で用いられるコポリマーが、前記pH条件下においてやはり負の電荷を有するセルロース系繊維によって強く引き寄せられ得ることは、驚くべきことである。予測されるのは、引き寄せではなく、むしろ反発である。
したがって、1つの実施形態では、必要に応じて、工程(b)でコポリマーを添加した後の懸濁液のpHは、6超のpHに、好ましくは、7超のpHに調節される。調節のためには、水性アルカリ又はアルカリ土類などの適切な塩基が用いられ得る。
また、アルカリ土類化合物をベースとする、好ましくは、カルシウム化合物をベースとする填料も、本発明の方法で用いられる歩留まり向上剤の特性を促進することが示された。理論に束縛されるものではないが、アルカリ土類イオンが、前記アクリレートコポリマーの前記アニオン性基、及びさらにはヒドロキシル基を例とするセルロース系繊維の適切な基と複合体形成、又は塩形成することによって、比較的強い複合体、集合体がそれぞれ形成され得るものと考えられる。
この効果はまた、工程(a)で提供される繊維の水性懸濁液が、例えば、水性懸濁液の作製に用いられる水が既に比較的高い水硬度を有することによって、カルシウムイオンなどのアルカリ土類イオンに関する比較的高い水硬度を有する場合は、アルカリ土類含有填料がなくても存在し得る。
1つの実施形態では、工程(a)において、mmol/lのアルカリ土類イオンで表される水硬度が90又は90超である繊維水性懸濁液が提供される。
1つの実施形態では、水硬度は、水性懸濁液の作製に、対応する水硬度を既に有している水を用いることによって調節される。
別の実施形態では、水硬度は、アルカリ土類イオン、好ましくは、カルシウムイオンを添加することによって調節される。例えば、カルシルムをベースとする填料が、前記水性懸濁液に添加されてもよい。
工程(b)
工程(b)では、工程(a)で提供される水性懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するコポリマー、すなわち、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加することが必要である。「含有する(containing)」の用語は、「含む(comprising)」の用語と同義に用いられる。
「カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するコポリマー」の用語は、式I、式IIでそれぞれ定められるアクリル酸エステル、及びアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であるコポリマーを包含する。「カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマー」の用語は、式I、式IIでそれぞれ定められるアクリル酸エステル、及びアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であるアクリレートコポリマーを包含する。
1つの実施形態では、「カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマー」の用語は、式I、式IIでそれぞれ定められるアクリル酸エステル、及びアクリル酸又はその塩から選択されるモノマーの重合生成物であるアクリレートコポリマーを包含する。
この用語はまた、アクリル酸エステル、及びアクリル酸又はその塩から誘導される部分、又は少なくとも1つのアクリル酸エステル、及び少なくとも1つのアクリル酸又はその塩から選択される部分を備えるアクリレートコポリマーも包含する。
1つの実施形態では、この用語はまた、アクリル酸エステル、及びアクリル酸又はその塩から誘導される部分、又は少なくとも1つのアクリル酸エステル、及び少なくとも1つのアクリル酸又はその塩から選択される部分から成るアクリレートコポリマーも包含する。
本発明によると、前記コポリマー、すなわち、工程(b)で用いられる前記アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、C25から選択され、並びにR2は、C1-10アルキル基である。
1つの実施形態では、前記アクリレートコポリマーは、一般式Iの少なくとも2つの異なるアクリルエステル、及び/又は一般式IIの少なくとも2つの異なるアクリル酸から作製され、すなわち、一般式Iの1つのアクリルエステル、又は一般式Iの複数の異なるアクリルエステルが、一般式IIの1つのアクリル酸、又は式IIの複数の異なるアクリル酸と反応されてよい。
適切な塩は、例えば、ナトリウム及びカリウム塩、若しくはアンモニウム塩、又はその2つ以上の混合物である。
したがって、前記アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から誘導される部分を備えるか、又はそれらの部分から成っており、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、C25から選択され、並びにR2は、C1-10アルキル基である。
前記C1-10アルキル基は、分岐鎖状又は非分岐鎖状アルキル基であってよい。
1つの実施形態では、「アルキル基」の用語は、シクロアルキル基を包含する。
非分岐鎖状又は分岐鎖状アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体である。
シクロアルキル基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルである。
1つの実施形態では、式Iの前記アクリレートエステルにおいて、R1=Hであり、式IIの前記アクリル酸において、R3=CH3である。したがって、少なくとも、アクリル酸のエステル、及びメタクリル酸又はその塩が、前記重合反応に用いられ、それぞれ、前記アクリレートコポリマーは、アクリル酸のエステル、及びメタクリル酸又はその塩から誘導される部分を備えるか、又はそれらの部分から成る。
1つの実施形態では、R3は、Hであり、R2は、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される。
1つの実施形態では、R3は、Hであり、R2は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、2−エチルヘキシルから選択される。
別の実施形態では、R3は、Hであり、R2は、エチルである。
工程(b)で用いられる具体的なアクリレートコポリマーを、以下の表に挙げる:
Figure 2019503439
本発明者らは、さらに、モノマーI及びIIの重合に用いられるアクリルエステルのアクリル酸又はその塩に対するモル比が、本発明に従う方法の有益性に大きな影響を与え得ることも見出した。1つの実施形態では、モノマーI及びIIの重合に用いられるアクリルエステルとアクリル酸又はその塩とのモル比は、1.6:1から1.2:1などの2:1から1.1:1の範囲内である。前記選択された範囲外のモル比が用いられてもよいが、1.6:1から1.2:1などの2:1から1.1:1の範囲は、水性媒体中での溶解性(親水性)及び疎水性という点でバランスの良い特性が得られることから、有益である。
したがって、1つの実施形態では、コポリマー中のカルボキシル基又はカルボキシレート基の数は、エステル基の数よりも少ない。上記で既に開示したように、工程(b)で用いられるアクリレートコポリマーの前記カルボキシル基が、工程(a)で提供されるセルロース系繊維の懸濁液に添加された場合に、そのアニオン性の形態、すなわち、カルボキシレート基に変換されると、前記基は、水溶性を支援し、一方疎水性セクション(エステルセクション)は、そうではなく、工程(a)で提供されるセルロース系繊維を含む水性懸濁液中の非水性成分との整列を優先的に行うものと考えられる。
1つの実施形態では、アクリレートコポリマーの平均分子量Mwは、300,000から1,000,000Da、好ましくは、350,000から450,000Daの範囲内であり、分子量は、例えば、公知の静的光散乱法によって測定される。そのような分子量は、有益であることが示された。
さらなる実施形態では、一般式I及び一般式IIのモノマーに加えて、工程(b)で用いられるコポリマーを作製する際に、さらなるモノマーが用いられてもよい。適切なさらなるモノマーは、例えば、背景技術のセクションに例えば言及されるように、現行技術から公知である。適切なモノマーは、例えば、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、スチレンスルホン酸、N−ビニルイミダゾール、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ビニルトルエン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン、イソブテン、2−メチルブテン−1、ヘキセン−1,2−メチルヘキセン−1,2−プロピルヘキセン−1、フェニル(メタ)アクリレート、4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、4−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、塩化ビニル;アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸、及び同種のもののアミノアルコールとのエステルのモノマー、(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−C1-4−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジ(C1-4−アルキル)(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレートなどのC1-4−アルキル(メタ)アクリレート、及びアクリロニトリルなどのモノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、スルホエチル−(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸若しくは他の二塩基酸又はその塩、又はこれらの混合物;N,N−ジメチルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアクリルアミド;アクリロニトリル;N−ビニルメチルアセタミド;N−ビニルメチルホルムアミド;酢酸ビニル;N−ビニルピロリドン、及び同種のもの;ヒドロキシアルキルアクリレートである。
1つの実施形態では、さらなるモノマーは、スチレン、メチルスチレン、及び酢酸ビニル、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される。
別の実施形態では、架橋剤の機能を有するさらなるモノマーが、式I及び式IIのモノマーに追加されてもよい。1つの実施形態では、そのようなモノマーは、ジアクリレート及びジビニル化合物から選択される。例えば、そのようなモノマーは、ジメタクリレートモノマー、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート、及びこれらの2つ以上の混合物から選択されてよい。
典型的には、架橋特性を有するモノマーは、工程(b)で用いられるコポリマーを作製する際に、少量で用いられ、例えば、用いられるすべてのモノマーの合計量に対して0.1から1重量%の量である。
工程(b)で用いられるカルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するポリマーの少なくとも80重量%が、式I及び式IIのモノマーをベースとしており、残りの部分は、上記のさらなるモノマーを例とする式I及び式IIのモノマーとは異なる1つ以上のモノマーをベースとし、ここで、コポリマーの総重量が100重量%である。
1つの実施形態では、本発明の方法で用いられる歩留まり向上剤は、セルロース系繊維の量に対して0.01から10重量%、又は0.1から5重量%、又は0.01から1重量%の量で用いられる(それぞれ、乾燥物質として算出)。
1つの実施形態では、前記アクリレートコポリマーは、工程(b)において、上記で概説した有益な理由のために、得られる混合物のpHが、6.0超、好ましくは、7超となる量で添加される。
カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーは、溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、又は乳化重合によって得ることができる。
好ましい実施形態では、コポリマーは、水中での乳化重合又は懸濁重合によって作製されてよい。「乳化」及び「懸濁」の用語は、同義に用いられる。
有用な水性媒体としては、水、及び水と、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールを例とする少なくとも1つの水混和性溶媒との混合物が挙げられる。
重合温度は、好ましくは、約30から200℃、より好ましくは、40から110℃の範囲内である。重合は、大気圧下、又はそうでなければ、減圧若しくは加圧下で行われてよい。適切な圧力範囲は、0.1から5バール(104から5×105Pa)である。
共重合のためのpHは、好ましくは、3から6の範囲内の値に調節される。pHは、従来の緩衝剤を用いることによって、又はpHを測定して、適切な量の酸若しくは塩基を添加することによって、重合の過程で一定に維持されてよい。
コポリマーを作製するためには、フリーラジカルを形成することができる開始剤を用いて、モノマーが重合され得る。フリーラジカル重合のための有用な開始剤としては、この目的のための従来のペルオキソ及び/又はアゾ化合物が挙げられ、例えば、アルカリ金属又はアンモニウムペルオキシジサルフェート、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルマレエート、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルバメート、ビス(o−トルオイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペルアセテート、ジ−tert−アミルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−アミドノプロパン (amidonopropoane))ジヒドロクロリド、又は2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。さらに、適切な開始剤は、開始剤混合物又はレドックス開始剤系であり、例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ナトリウムペルオキソジサルフェート、tert−ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、tert−ブチルヒドロペルオキシド/ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、H22/CuI、及びさらには、ナトリウム又はアンモニウムペルオキソジサルフェート/二亜硫酸ナトリウムである。
重合は、分子量を制御するための少なくとも1つの連鎖移動剤の存在下で行われてもよい。有用な連鎖移動剤としては、当業者に公知の従来の化合物が挙げられ、例えば、硫黄化合物、例えば、メルカプトエタノール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、チオグリコール酸、次亜リン酸ナトリウム、ギ酸、又はドデシルメルカプタン、及びさらには、トリブロモクロロメタン、又は得られるポリマーの分子量に対する制御効果を有する他の化合物である。
1つの実施形態では、前記アクリレートコポリマーは、前記水性懸濁液から単離されない。したがって、1つの実施形態では、前記アクリレートコポリマーは、工程(b)において、水性懸濁液の形態で添加される。
1つの実施形態では、懸濁液のpHは、6未満である。1つの実施形態では、懸濁液のpHは、2から4の範囲内である。酸性範囲のpHが好ましく、それは、前記酸性範囲では、水性懸濁液の得られる粘度が、塩基性範囲の場合よりも低いからである。これは、技術的な処理の観点から有利である。
1つの実施形態では、懸濁液の固形分は、懸濁液の総重量に対して、20から40%の範囲内である。
好ましくは、DIN 53 787に従って測定されるそのような懸濁液の最小膜形成温度は、20から35℃の範囲内である。
好ましくは、DIN EN ISO 11357−2:2014−07に従って測定される工程(b)で用いられるコポリマーのガラス転移温度は、80から120℃の範囲内である。
さらなる工程
1つの実施形態では、方法は
(c) 工程(b)で、又は工程(b)後に得られた混合物を、セルロース系繊維を備えた基材のシートを形成する目的で、ワイヤーに掛けること;及び
(d) シートを、セルロース系繊維を備えた基材の圧搾されたシートを形成する目的で、プレスで圧搾し、及び/又はシート若しくは圧搾されたシートを乾燥させること
をさらに含む。
工程(b)で用いられるアクリレートコポリマーは、非常に優れた歩留まり特性を有する。それによって、例えば、染色されたペーパータオルを作製する場合の染料の使用量の低減、シートの引張強度を維持した状態での湿潤紙力増強樹脂のレベルの低減、シートの強度を維持した状態での精製エネルギーの低減、及び化学薬品の消費量の低減が可能となり、すなわち、抄紙機効率を向上することができる。これらの利点により、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製する費用対効果の高い方法が可能となる。
第二の態様によると、本発明は、紙などのセルロース系繊維を備えた基材を作製するための、第一の態様で定めるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーの使用に関する。
第三の態様によると、本発明は、セルロース系繊維を備え、第一の態様で定めるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを含む、紙などの基材に関する。
さらに、本発明は、セルロース系繊維を備え、さらに、第一の態様で定めるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーのアルカリ土類塩、好ましくはカルシウム塩を含む、紙などの基材に関する。
本発明について、特に断りのない限りはすべての部及びパーセントが重量基準である以下の説明のための例でさらに記載する。
本発明に従う方法で用いられる歩留まり向上剤を作製するための一般的方法
スターラーを備えた反応器に、水、乳化重合に適する市販の乳化剤及び市販の界面活性剤、過硫酸アンモニウム、並びに過酸化水素の混合物を投入した。この混合物を80℃に加熱した。次に、一般式I CH2=CHR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CHR3−COOHのアクリル酸をゆっくり添加した。この混合物を、5から10時間撹拌した。重合を停止した後、メタ重亜硫酸ナトリウム及びアスコルビン酸を添加した。周囲温度まで冷却した得られた懸濁液は、乳白色であった。
以下の表の歩留まり向上剤を、一般的方法に従って作製した。
Figure 2019503439
例5:青色ペーパータオル作製のための抄紙機試験
本発明のプロセスを、2.8t/時間の生産率で淡青色タオルペーパーを生産する抄紙機で評価した。この試験では、セルロース系繊維懸濁液1トンあたり、250gのセルロース酵素、0.5から2.0kg/tの例1からの懸濁液、1.6kg/tの粘着異物不活性化のための化合物(Cartaspers(登録商標)SCS)、23kg/tの湿潤紙力増強のための化合物、及び5.3kg/tの青色染料(Cartasol(登録商標)Blue K−CPN)を添加した。
得られた青色ペーパータオルは、良好な湿潤及び乾燥紙力を示した。最終シートの灰含有量は、4%超であった。戻り水中に残留歩留まり向上剤が見られなかったことから、ほとんどすべての歩留まり向上剤が、固体成分上に吸着された。歩留まり値は、例1で作製した歩留まり向上剤の使用を省略したプロセスと比較して、62%から70%超に増加した。
例6:例2、5、6、及び7のアクリレートの歩留まり値
固形分4.73%のパルプを水で希釈して、固形分2%の紙料を得た。500gの紙料を撹拌し、例2、又は例5、又は例6の0.5kgを添加した。処理した紙料の100gを400gの水と混合して、0.4%の固形分を得た。500gの紙料を、900rpmでドレネージジャー(狭い出口バルブ)に添加した。およそ200gのろ液を回収した。ろ液を、予め秤量したWhatman GF/フィルターパッドに通し、それを続いて、105℃のオーブンで乾燥した。続いて、パッドをオーブンから取り出し、デシケーター中で冷却した。続いて、パッドを再度秤量した。ろ液中の固形分が少ないほど、歩留まりが高い。結果を以下の表にまとめる(ブランクはレファレンスであり、歩留まり向上剤をまったく含有していない;ブランクに対する少しの改善が既に、発明性があるものと見なされる)。
Figure 2019503439

Claims (27)

  1. 少なくとも工程(a)及び(b):
    (a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
    (b) 工程(a)で提供された前記懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
    を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
    前記アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、
    式中、R1はHであり、及びR3はCH3又はC25であり;
    並びにR2は、C1-10アルキル基である、
    方法。
  2. 3がCH3である、請求項1に記載の方法。
  3. 2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される、請求項1から2のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  4. 2が、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、請求項1から3のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  5. 一般式Iのアクリルエステルと一般式IIのアクリル酸とのモル比が、2:1から1.1:1の範囲内である、請求項1から4のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  6. 少なくとも工程(a)及び(b):
    (a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
    (b) 工程(a)で提供された前記懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
    を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
    前記アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
    並びにR2は、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、
    方法。
  7. 1がHであり、及びR3がCH3又はC25であり、好ましくはCH3である、請求項6に記載の方法。
  8. 一般式Iのアクリルエステルと一般式IIのアクリル酸とのモル比が、2:1から1.1:1の範囲内である、請求項1から7のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  9. 少なくとも工程(a)及び(b):
    (a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
    (b) 工程(a)で提供された前記懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
    を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
    前記アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
    並びにR2はC1-10アルキル基であり;並びに
    一般式Iのアクリルエステルと一般式IIのアクリル酸とのモル比は、2:1から1.1:1の範囲内である、
    方法。
  10. 1がHであり、及びR3がCH3又はC25であり、好ましくは、CH3である、請求項9に記載の方法。
  11. 2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される、請求項9から10のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  12. 2が、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、請求項9から11のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  13. 少なくとも工程(a)及び(b):
    (a) セルロース系繊維を含む水性懸濁液を提供する工程;
    (b) 工程(a)で提供された前記懸濁液に、カルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを添加する工程
    を含むセルロース系繊維を備えた基材を作製する方法であって;
    前記アクリレートコポリマーは、一般式I CH2=CR1−CO22のアクリル酸エステル、及び一般式II CH2=CR3−COOHのアクリル酸又はその塩から少なくとも選択されるモノマーの重合生成物であり、式中、R1及びR3は、独立して、H、CH3、又はC25から選択され;
    並びにR2は、C1-10アルキル基であり;
    但し、前記アクリレートコポリマーは、モノマーのモル比が50:50である、アクリル酸ブチルエステルとアクリル酸との重合生成物ではない、
    方法。
  14. 1がHであり、及びR3がCH3である、請求項13に記載の方法。
  15. 2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、2−エチルヘキシルなどのn−オクチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、並びにn−デシル及びその異性体、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルから選択される、請求項13から14のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  16. 2が、メチル、エチル、n−プロピル、又はイソプロピルから選択される、請求項13から15のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  17. 一般式Iのアクリルエステルと一般式IIのアクリル酸とのモル比が、2:1から1.1:1の範囲内である、請求項13から16のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  18. 工程(b)で用いられるカルボキシル基又はその塩、及びエステル基を有する前記コポリマーの少なくとも50又は60又は70又は80重量%が、式I及び式IIのモノマーをベースとしており、残りの部分が、式I及び式IIのモノマーとは異なる1つ以上のモノマーをベースとし、前記コポリマーの総重量が100重量%である、請求項1から17のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  19. 前記アクリレートコポリマーの平均分子量Mwが、300,000Daから1,000,000Daであり、好ましくは、350,000から450,000Daの範囲内である、請求項1から18のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  20. 工程(a)において、6超の、好ましくは、7超のpHを有する水性懸濁液が提供される、請求項1から19のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  21. 工程(a)で提供される前記水性懸濁液が、アルカリ土類イオン、好ましくは、カルシウムイオンを含む填料を含む、請求項1から20のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  22. 工程(a)で提供される前記水性懸濁液の、mmol/lのアルカリ土類イオンで表される水硬度が、90又は90超に調節される、請求項1から21のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  23. 工程(b)で添加される前記アクリレートコポリマーが、水性懸濁液の形態で添加され;又は
    工程(b)で添加される前記アクリレートコポリマーが、水性懸濁液の形態で添加され、前記懸濁液のpHは、6未満の値に調節される、
    請求項1から22のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  24. 前記アクリレートコポリマーが、工程(b)において、セルロース系繊維の量に対して0.01から10重量%の量で添加され(それぞれ、乾燥物質として算出され、合計量が100重量%である)、それによって、工程(b)の後、得られた混合物のpHは、6.0超、好ましくは、7超であるか;又は、工程(b)の後の前記pHは、6超の、好ましくは、7超のpHに調節される、請求項1から23のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  25. 工程(c)及び(d):
    (c) 工程(b)で得られた前記混合物又は工程(b)の後に得られた前記混合物を、セルロース系繊維を備えた基材のシートを形成する目的で、ワイヤーに掛ける工程;及び
    (d) 工程(c)で得られた前記シートを、セルロース系繊維を備えた基材の圧搾されたシートを形成する目的で、プレスで圧搾し、及び/又は前記シート若しくは前記圧搾されたシートを乾燥させる工程
    をさらに含む、請求項1から24のうちの少なくとも一項に記載の方法。
  26. 請求項1から24のうちの少なくとも一項において定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーの、セルロース系繊維を備えた基材を作製するための使用。
  27. 請求項1から19のうちの少なくとも一項において定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを含むか;又は
    請求項1から19のうちの少なくとも一項において定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーのアルカリ土類塩、好ましくは、カルシウム塩を含むか;又は請求項1から19のうちの少なくとも一項において定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーを含み、並びに請求項1から19のうちの少なくとも一項において定められるカルボキシル基及びエステル基を有するアクリレートコポリマーのアルカリ土類塩、好ましくは、カルシウム塩を含む、好ましくは紙である、セルロース系繊維を備えた基材。
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