JP2019502705A - 抗体ナイーブライブラリーを生成する方法、前記ライブラリー及びその用途 - Google Patents

抗体ナイーブライブラリーを生成する方法、前記ライブラリー及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2019502705A
JP2019502705A JP2018533202A JP2018533202A JP2019502705A JP 2019502705 A JP2019502705 A JP 2019502705A JP 2018533202 A JP2018533202 A JP 2018533202A JP 2018533202 A JP2018533202 A JP 2018533202A JP 2019502705 A JP2019502705 A JP 2019502705A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
library
yeast
phage
naive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018533202A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6918399B2 (ja
Inventor
ソハング・チャタルジー
カヴィサ・アイヤル・ロドリゲス
マロイ・ゴーシュ
スニート・マイティ
ディヴィア・ウニクリシュナン
ヨゲンドラ・マンジュナート・バンガロール・ムニラジュ
サスヤバラン・ムルゲサン
パヴィスラ・ムクンダ
バルガヴ・プラサード
ヴィレッシャ・カマナゴウダ
サンガミトラ・バッタチャルジー
プラヴィン・クマール・ダクシナムルシー
ヴィヴェック・ハラン
サンカラナラヤナン・スリニバサン
アヌラーダ・ホラ
バイラヴァバラクマール・ナタラジャン
カルティカ・ナイル
アスウィニ・サニガイヴェル
アモル・マリワラヴェ
バラス・ラヴィンドラ・シェノイ
サハナ・ビーマ・ラオ
サブラ・プラカシュ・チャクラバーティ
アシュヴィニ・クマール・デュベイ
アミール・カーン
アヌラーグ・ティワリ
サントッシュ・クマール
シヴァニ・パテル
ニキサ・エム
Original Assignee
ズムトール バイオロジクス、インコーポレイテッド
ズムトール バイオロジクス、インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ズムトール バイオロジクス、インコーポレイテッド, ズムトール バイオロジクス、インコーポレイテッド filed Critical ズムトール バイオロジクス、インコーポレイテッド
Publication of JP2019502705A publication Critical patent/JP2019502705A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6918399B2 publication Critical patent/JP6918399B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1037Screening libraries presented on the surface of microorganisms, e.g. phage display, E. coli display
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/02Drugs for skeletal disorders for joint disorders, e.g. arthritis, arthrosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/005Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies constructed by phage libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/686Polymerase chain reaction [PCR]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C40COMBINATORIAL TECHNOLOGY
    • C40BCOMBINATORIAL CHEMISTRY; LIBRARIES, e.g. CHEMICAL LIBRARIES
    • C40B50/00Methods of creating libraries, e.g. combinatorial synthesis
    • C40B50/06Biochemical methods, e.g. using enzymes or whole viable microorganisms

Abstract

本開示は、健常及び遺伝的に多様なヒト集団からの液性免疫を含む天然抗体レパートリーに由来する核酸配列のプールを包含するヒトナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーに限定されない、抗体ライブラリーを生成する方法に関する。より詳細には、方法は、大きい抗体ライブラリーサイズのスクリーニングを可能にし、抗体構造のより良好なフォールディングを促進させる、ファージ及び/又は酵母抗体表面ディスプレイ概念の組合せを利用する。本開示は、本開示の方法を利用することによって生成されるヒトナイーブ抗体ライブラリー、方法に利用されるプライマーのセット及び前記抗体ライブラリーの用途にも関する。

Description

本開示は、一般に、バイオテクノロジー、遺伝子工学及び免疫学の分野に関する。特に、本開示は、健常及び遺伝的に多様なヒト集団からの液性免疫を含む天然抗体レパートリーに由来する核酸配列のプールを包含するヒトナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーに限定されない、抗体ライブラリーを生成する方法に関する。より詳細には、方法は、大きい抗体ライブラリーサイズのスクリーニングを可能にし、抗体構造のより良好なフォールディングを促進させる、ファージ及び/又は酵母抗体表面ディスプレイ概念の組合せを利用する。本開示は、本開示の方法を利用することによって生成されるヒトナイーブ抗体ライブラリー、方法に利用されるプライマーのセット及び前記抗体ライブラリーの用途にも関する。
ヒトモノクローナル抗体(mAb)及びそれらの誘導体は、バイオ医薬品業界の最大及び最速で成長しているセグメントのうちの1つである。抗体を生成させる及び発現させるための組換えDNA技術の最近の適用は、産業界及び学界の科学者の間でかなりの関心を獲得している。
キメラ、ヒト化及びヒトmAb、治療mAbの一般的な形式は、ヒト定常ドメインを共有するが、それらの可変ドメインの起源によって見分けられる。ヒトmAbは、ヒト抗体レパートリーから全体的に由来する可変ドメインのセットを有する。キメラ抗体はヒトのコドン使用頻度を使用して人工的に開発され、これにより抗抗体応答がもたらされうる。これは、早期のモノクローナル抗体治療の最も重要な治療制限のうちの1つである。そのうえ、この免疫応答の発生は、その有効性及び安全性、例えば、減少した標的結合性、変更されたクリアランス及び薬物動態に影響しうる。更にまた、抗体のヒト化プロセス又はCDR配列の移植術から産出されたヒト化抗体は、親抗体とは異なって抗原に結合する。従って、ヒトモノクローナル抗体は、非ヒト抗体レパートリーからのモノクローナル抗体と比べた場合に、より良好な薬物動態及び薬力学の特徴を有すると一般的に見られている。ヒト化mAbの免疫原性は、非ヒト及びキメラモノクローナル抗体と比較して実質的に低い。
免疫化及びマウスハイブリドーマ技術等のアプローチは、抗体の生成に伝統的に従う。しかしながら、免疫化の制限には、安全性及び薬物動態特性をともなっており、薬物分子開発の有用性及び有効性に直接的に影響を及ぼす。ハイブリドーマ技術の制限には、マウスにおける抗原毒性又は非免疫原性をともなっている。ヒトとそれぞれのマウスの抗原の間の高い配列相同性を考慮すると、自己抗原に対する抗体の生成は、難題となる可能性がある。
より詳細には、ハイブリドーマ技術に関連する制限は、多因子性である。抗体が形成されるエピトープに対してコントロールは存在しない。抗体は、それらが研究者に対して望ましい特性をともなって作出されているものであるとの希望のもと作出された後、広範にスクリーニングされなければならない。そのうえ、感受性抗原(例えば、膜タンパク質及び核酸)は、動物中で破壊されうると同時に毒性抗原が動物を殺傷しうる。ヒトとマウスの間の高い配列相同性を考慮すると、それぞれのマウス抗原は、マウスにおいて非免疫原性を生じる可能性があり、自己抗原に対する抗体の生成が難題となる可能性がある。より高い親和性を示す特徴を合理的に導入するとの観点で、抗体を更に開発する範囲は、極度に限定され、実現することは難しい。
ヒト重鎖及び軽鎖をコードするヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子のコレクションであるヒト抗体レパートリーは、ヒトゲノム中の、染色体14における重鎖遺伝子座のVH、D、JH及びCH遺伝子セグメント;染色体2におけるカッパ軽鎖遺伝子座のVk、Jk及びCk遺伝子セグメント;並びに染色体22におけるラムダ軽鎖遺伝子座のVλ、Jλ及びCλ遺伝子セグメントを含む。インビボでの自然免疫応答は、VHDJH、VkJk及びVλJλ連結プロセス等の抗原非依存性組換えプロセスを介して、抗原に向け低度から中等度の親和性を有する、種々の抗体分子を生成する。VH-D、D-JH、Vk-Jk及びVλ-Jλ等の全てのV、D及びJ遺伝子連結プロセスは、インフェーズ又はアウトフェーズジョイントのいずれかを生じる、1ターン及び2ターン認識配列のいずれかのそれらの認識配列の構造に関する、破ることのできない1つの規則に従い、免疫レパートリーにおいて多様性を生じる。V(D)J組換えのプロセスは、複数形態で存在する、VDJリコンビナーゼによって開始される。そのプロセスを媒介する重大な酵素は、組換え活性化遺伝子(Recombination Activating Genes)1及び2(RAG)、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)、並びにアルテミスヌクレアーゼである。アルテミスヌクレアーゼは、遍在性の非相同末端結合(NHEJ)パスウェイのメンバーであり、DNA修復において機能する。全てのこれらの連結遺伝子のセグメントは、保存された七量体及び九量体エレメントから構成されると同時に12又は23塩基対のいずれかのスペーサーによって分離される、組換えシグナル配列(RSS)によってフランキングされる。組換えプロセスは、似ていないRSSの対をシナプス複合体に組み立てることによって(12/23規則)、RAG1及びRAG2タンパク質並びに高度モビリティーグループタンパク質(high mobility group proteins)によって開始され、RSSとコードセグメントの間に二本鎖DNA切断を生成する。V(D)J組換え機構の生理的な基質は、3つの別個の免疫グロブリン(Ig)遺伝子座、Igh、Igk及びIgl、並びに3つの別個のT細胞受容体(TCR)遺伝子座、Tcrb、Tcra/Tcrd及びTcrgから構成される。この厳格に制御される組換えプロセスは、B及びT細胞系統における類似している発生プログラムの状況で進行する。組立は、最初にDからJのリアレンジメント、続いてVからDJのリアレンジメントで進行する。インフレームリアレンジメントにより、プレ受容体の組立が導かれ、これにより、RAG発現のダウンレギュレーションがシグナル伝達され、増殖のバースト及びRAG発現の第2段階に向けての発生上の移行がもたらされる。この段階では、プレB細胞は、VkからJk及びVλからJλのリアレンジメントを受ける。B及びT細胞系統の両方では、V(D)J組換えは、RAG発現の停止によって終了される。
遺伝子のリアレンジメントを介した多様性は、秩序だった様式でBリンパ球成熟の間に発生する。体細胞超変異(Somatic hyper mutation)又はSHMは、哺乳動物Bリンパ球における抗体多様性の生成に寄与するDNAトランスアクションのうちの1つである。多様性の付加に関与する別の重大なプロセスは、クラススイッチ組換え(CSR)である。CSRでは、Cμ領域がCγ、Cε、又はCαセグメントによって置き換えられて、それぞれIgG、IgE、及びIgA抗体が生成される。このプロセスは、Cμ領域(Sμ)のスイッチ(S)領域と下流のS領域のうちの1つとの間の染色体内組換えイベントによって促進される。これらのS領域は、C領域(δを除く)の各々のすぐ上流に位置し、組換えプロセスに対するドナー及びレシピエントとして機能する、不完全なG-Cリッチな五量体リピートを含有する。興味深いことに、CSRは、領域特異的であり、配列特異的ではない。SHMは、V領域に特異的であり、一塩基置換を有し、時々は挿入及び欠失をともなう、変化をともなう。位置について優先性は存在しないが、変異について潜在的なホットスポットが存在し、他の局所配列又は高次構造が、変異のターゲティングに影響しうることを示唆している。SHMの割合は、一世代当たり一塩基対当たり約10-5から10-3変異であり、これはトランジション変異がトランスバージョンよりも頻繁に起こる、たいていの他の遺伝子における変異の自然発生割合よりも約106倍高い。抗体レパートリーは、感染から自己免疫性障害からがんの多くの疾患に対して偏っていることが見出されている。抗体レパートリーの組成における遺伝性のバリエーションの可能性が存在し、これにより特定の疾患に対する固有のリスクが変更される可能性がある。しかしながら、抗体レパートリーの多様性における遺伝性の影響の特徴付けは、解明されていないままである。
また、多様な遺伝的背景からドナーを慎重に選択することによる新しく進歩したナイーブ又は非免疫ライブラリーは、未だ利用可能ではない。大きく多様なヒト抗体ライブラリーは、使用することができる幾つかの利点と関連し、幾つかの抗原に対して探究され、改善され、それによって動物免疫がバイパスできることをもたらす。抗体は、免疫化に際し、毒性又は低い免疫原性の抗原に対して生成されうる。更にまた、マウスモノクローナル抗体と対照的に、アレルギー応答のリスクは、ヒト抗体の使用で減退させることができる。ライブラリーの多様性により、所与の抗原について高親和性及び有効性を有する抗体が単離される確率が決定される。従って、当技術分野における幾つかの研究は進行中であり、また手法は存在しており、これらは大きく多様なヒト抗体ライブラリーを生成することを対象としている。
抗体は、糖タンパク質であり、細菌又はウイルス等の特定の抗原に対して特異的に認識し、結合すること及び効率的な破壊を援助することによって免疫応答の重要な部分として作用する。抗体には、様々なアイソタイプがあり、それらの構造、生物学的特徴、標的特異性及び分布において異なっている。それ故、抗体アイソタイプ及び多様性の評価により、複雑な液性免疫応答への有用な洞察が提供されうる。ライブラリーのクローン化した重鎖遺伝子の相補性決定領域3(CDR3)を変更させることによって並びにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの変異を導入することによって、重鎖及び軽鎖遺伝子のランダムな混合等の抗体多様性を増加させる幾つかの様式が存在する。免疫グロブリンは、2つの異なる形態であるi)溶解性;ii)膜結合のカテゴリーに分けられる。B細胞によって発現される第1の抗原受容体は、IgM及びIgDであり、B細胞が産生するため調整する抗体の原型である。B細胞受容体(BCR)は、抗原のみに結合することができる。B細胞受容体は、細胞がシグナルを伝達し、細胞表面において抗原の存在に対して反応することを可能にする、Igアルファ及びIgベータのヘテロ二量体である。シグナルにより、B細胞の成長及び増殖並びに細胞の内側での抗体産生が引き起こされる。プラズマ細胞によって産生される様々な抗体は、主に構造の変動性により、機能及び抗原応答において異なるアイソタイプに分類される。胎盤哺乳類では、IgA、IgD、IgG、IgE及びIgMと同定されている5つの主要なアイソタイプが存在する。抗体アイソタイプは、抗体重鎖の定常領域(Fc)におけるそれらのアミノ酸配列における差に従ってカテゴリーに分けられる。免疫グロブリンIgG及びIgAは、アミノ酸配列における追加の小さい差に基づいて、サブクラス(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)に更にグループ分けされる。軽鎖の定常領域におけるアミノ酸配列における差に基づいて、免疫グロブリンはまたカッパ軽鎖又はラムダ軽鎖の2つに下位分類することができる。適応免疫の一部として、B細胞は、特異的な抗体分泌によって液性応答を主に供給して侵入してくる生物体及びそれらの毒性産物に対処する。B細胞は、新しい抗体アイソタイプの発現が引き起こされる「クラススイッチ」を受けることがで
きる。例示されるように、抗体アイソタイプは、IgMから全ての可能なクラス(例えば、IgG1、IgG4、IgE)の抗体にスイッチできた。このスイッチの間に、重鎖の定常領域は、変化するが、重鎖の可変領域は不変のまま残される。このスイッチは、その抗原に対する抗体の特異性に影響しないが、各クラスの抗体が実行することができるエフェクター機能を変更する。病的状態は、1つのアイソタイプクラス又はサブクラスの非存在から免疫グロブリンクラスの全体的な欠乏の範囲にわたりうる。自己免疫疾患及び胃腸状態は、特異的なアイソタイプ欠乏又は様々な濃度の1つ又は複数のアイソタイプにより特徴付けられる。ライブラリー骨格の開発及びFab形式の生成の状況では、IgG1アイソタイプが好ましい。IgG抗体は、最も一般的で、循環中に大量にあり、血清抗体の75%に相当しており、まさに治療抗体が定常ドメインに採用する重大な理由である。血清中のその存在量に基づいて、IgGは4つの下位カテゴリーであるIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4に更に分類されている。4つの下位グループの間で、IgG1は、最も大量のIgGであり、66%ある。加えて、容易に胎盤を横断する能力、有意な補体活性化能、食細胞におけるFc受容体との極度な高親和性及び最高の半減期等の特性は、IgG1を治療モノクローナル抗体を開発するための好ましい骨格にしている。
ナイーブライブラリーは、複数のドナーにおいて抗体遺伝子の本来備わった多様性(inbuilt diversity)を用いることを介して作製される。重複伸長PCRを使用して、末梢血B細胞から調製されたcDNAライブラリーを調製し、これをDP-47生殖系列遺伝子(VH3ファミリー)の選択されたフレームワーク内で組み合わせた。このプロセスで産み出される抗体多様性は、一個体における免疫系において天然で創出されるものとは完全に異なっており、このアプローチがより高い治療ポテンシャルを有する新しいタイプの抗体分子を生じるであろうことを意味している。様々な形式の間で、単鎖抗体(ScFv)又はFabをコードする遺伝子を、PCRを使用して重鎖及び軽鎖V遺伝子をランダムに組み合わせることによって作製し、コンビナトリアルライブラリーを、ファージ又は酵母の表面にディスプレイするためファージミド又は酵母ベクターにクローン化することができた。
特定の抗原分子に対してより高い親和性及び改善された機能性を有する治療抗体の急速な選択及び産生を可能にする多様性が増加した抗体ライブラリー生成に対する、当技術分野において一般的な必要性が依然としてある。
ヒト抗体レパートリーをマイニングするための主要な戦略は:a)非コンビナトリアル及びb)コンビナトリアル戦略である。非コンビナトリアル戦略は、当初の重鎖及び軽鎖対を有する単一のB細胞からヒトmAbを回収するが、コンビナトリアル戦略はランダムに組み合わせた重鎖及び軽鎖でのヒト抗体ライブラリーをともなう。両方のアプローチにより、食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)によって承認されたヒトmAbが導かれた。非コンビナトリアルアプローチの中で、ハイブリドーマ技術をヒトmAbの生成に適応させることは、長年にわたって真摯に努力されてきたが、目的の抗原で刺激された限定数のB細胞に起因する並びにその遺伝的な安定性の欠如に起因する緩徐及び困難なプロセスであった。従って、生存(viable)するハイブリドーマを生成することは、実用化に関する典型的な難題であり、ヒト抗体レパートリーをマイニングするための一般的な選択とはなっていなかった。対照的に、ヒト抗体レパートリーのコンビナトリアルマイニングは、B細胞よりもむしろB細胞mRNAと結び付いており(intertwined)、表現型(タンパク質)及びゲノタイプ(cDNA)のコンパートメントでの又は物理的な連結を提示する(showcasing)。ディスプレイ選択の成功は、機能的なタンパク質に則して遺伝情報を回収する能力に依存している。幾つかの考案及び検証されたディスプレイ方法が、利用可能であり、例えば、細胞ベース及び無細胞である。抗体-抗原相互作用についての選択方法として確立されている、幾つかのディスプレイ及びタンパク質相互作用システムの間で最も好ましいものは、ファージ、酵母又はインビトロ転写後のリボソームのいずれかの表面における抗体のディスプレイを介するものである。しかしながら、これらのディスプレイ及びタンパク質相互作用システムの各々は、それぞれの利点及び欠点に関連する。
ファージディスプレイは、Smith及び共同研究者らによって最初に確立され、ペプチドの異種性発現が繊維状ファージ上に達成された。様々な抗体形式を、大腸菌(E.coli)の細胞膜周辺腔に効率的に発現させることができる。2種類のファージディスプレイシステムが存在し、1つはファージベクターであり、他はファージミドベースディスプレイシステムである。ファージベクターシステムは、ファージ表面タンパク質に対して融合体として挿入される抗体遺伝子を有する全ファージゲノムからなる。他方、ファージミドシステムは:ファージ表面タンパク質-抗体融合体を保持するファージミド、及びファージの組立を援助する、ヘルパーファージの2つの成分からなる。ファージミドシステムは、ファージシステムと比較した場合に、より小さいベクターサイズ及びクローニングの容易さのような、主要な利点を有し、大きいライブラリーサイズとの適合性が許容される。双方のシステムの間の主な差は、抗体のディスプレイレベルにある。ファージミドシステムにおけるディスプレイは、表面に保持される抗体と一価性のものであるが、ファージベクターシステムによって産生される全てのファージは、その表面に3〜5コピーの抗体を保持する(多価ディスプレイ)。そのうえ、ファージベクターシステムの多価ディスプレイは抗原に対する選択の間のアビディティ効果のため使用されるが、ファージミドシステムの一価ディスプレイは厳密性又は親和性関連選択とより一層リンクする。ファージにディスプレイされる抗体の形式に関しては、大部分はScFv又はFabである;しかしながら、何らかの翻訳後修飾の欠如に起因して、完全長Ig発現は困難である。ファージディスプレイは、クローニングの容易さに起因して最も容認された方法であり、大きいライブラリーサイズ、一価ディスプレイを可能にし、様々な安定性パラメータの決定が容易である。しかしながら、ファージディスプレイでは、それが原核生物発現系であること及びそれによりディスプレイされた抗体断片の翻訳後修飾が欠如することに起因して、適切なタンパク質フォールディングに関連する制限が存在する。従って、ファージディスプレイはロバスト性等の少数の利点と同様に、特定の制限も有するが、コンビナトリアル抗体ライブラリーに関して最も頻繁に使用されるディスプレイ方法のうちの1つとなっている。
他方、ScFv抗体の酵母表面ディスプレイはBoder及びWittrupによって1997年に最初に始められたが、その大きいライブラリーからの抗原に対する選択についての応用はFeldhaus及び共同研究者によって示された。ファージディスプレイとは対照的に、完全長IgGを酵母細胞に成功裏にディスプレイすることができる。酵母ディスプレイプラットホームの主な利点は、そのFACSとの適合性であり、天然状態を模倣する抗原に対する抗体の選択が許容され、またパラメータ、例えば抗体発現レベル、結合抗原の数、又は交差反応性を並行して決定することができる。しかしながら、酵母及び同様に全ての他の真核細胞表面システムは、達成することができるライブラリーサイズにおける限定的な形質転換効率設定限界によって制限される。
更にまた、無細胞法には、インビトロ転写に続いてリボソームにおいてディスプレイすることが含まれる。リボソームディスプレイの概念はMattheakis及び共同研究者によって提起されたが、抗体ScFv断片についての選択方法としてはHanes及びPluckthunによって確立及び検証された。リボソームディスプレイ法は、RNA及びリボソーム複合体の相対的な不安定性に起因して技術的により難題である。従って、リボソームディスプレイの重要な特徴は、新生のタンパク質及びmRNAが会合したままとなるような、リボソームスターリング(ribosome stalling)を介する安定なタンパク質-リボソーム-mRNA(PRM)複合体の生成である。複合体を安定化するため使用されるi)翻訳を中止させる抗生物質の使用;ii)リボソームをストールする終止コドンの枯渇化(これによって終結因子が誘引され、続いて新生タンパク質が脱離し、それにより複合体が不安定化されるため)の2つの異なる戦略が存在する。このシステムの主要な利点のうちの1つは、形質転換の制限なくライブラリーのサイズを適合させることである。しかしながら、この手法の制限は、単鎖タンパク質、例えばScFvをディスプレイすることである。
従って、これらのディスプレイ及びタンパク質相互作用システムの各々は、それぞれメリット及びデメリットに関連する。
1990年代中盤以降、抗体は、重要な新薬クラスとして出現している。これまで、18種類の抗体が、様々な領域、例えば慢性炎症性疾患、腫瘍、移植、心血管医療及び感染性疾患を含む、多様な臨床設定にわたって米国において治療目的のために現在承認されている。少なくとも>150の追加の治療抗体薬が、臨床開発の様々な段階にある。治療抗体は、小分子薬に関して約11%の成功率と比較して、キメラ抗体に関して29%及びヒト化抗体に関して25%との高い成功率をともなう十分に確立された薬物クラスに属する。一般に、抗体の耐性は、ヒトに対して妥当性があり、初回用量の輸液反応は一般的であるが、管理できる。
治療剤としての抗体の重要な強みは、それらの臨床ポテンシャルを、それらの現存の特性を改善することによって容易に増加させることができることである。抗体は、それらの臨床ポテンシャル、例えば免疫原性、抗原結合特異性及び親和性、エフェクター機能及び他の生物学的活性、薬物動態、分子構築、細胞結合後のインターナリゼーション、及び生物物理学的な特性を調整して、改善することができる多数の互いに依存する特性を有する。タンパク質薬を含む全ての抗体は、潜在的に免疫原性である。一般に、患者が、マウス抗体を投与される場合、マウス抗体特異的な抗体応答、例えばクリアランスの加速、直接的な中和、血清病の誘発及び更なる投薬の妨げを一般に発生することが認められている。抗体の免疫原性は、一次のアミノ酸構造、凝集性又はミスフォールディングしている抗体又は混入物、抗体プールにおける不均一性及びT細胞エピトープの存在にしばしば依存する。抗体の免疫原性は、用量、投与の経路及び頻度及び患者特異的な因子、例えば疾患及び免疫状態、MHCハプロタイプ及び併用薬を含む、多数の臨床パラメータによっても影響される。
標的治療に関する必要条件は、抗体が、高度に特異的な選択性で、それらの標的抗原を典型的に結合すべきことを要求する。そのような種交差反応性抗体の生成の成功は、異なる種における抗原の配列関連性(標的エピトープの保存を含む)及び抗体生成の方法に依存する。
抗体ディスプレイ技術は、免疫寛容の誘導を回避し、スクリーニング又は好ましくは種交差反応性について直接的な選択を可能にする。治療における抗体の適用の成功には、重要な属性として高親和性が含まれる。多くの抗体の機能的な態様は、標的タンパク質の化学量論的遮断(stoichiometric blockade)によって決定づけられ、そのため、より高い親和性は、薬物の所与の用量に対してより長い効果の持続時間を可能にする。高親和性抗原相互作用に最も適切であるCDRセグメントにおけるアミノ酸組成上のバイアスを理解することが必須である。変異による抗体親和性を改善するため、生成し、試験することができる変異体配列の数において実用上の制限が存在する。
多くのライブラリー構築戦略は、幾つかのディスプレイ技術と併用して、ファージディスプレイライブラリーをスクリーニングして、ナノモルからピコモルの範囲でHIV-1糖タンパク質120(gpl20)特異的なモノクローナル抗体断片及びERBB2(HER2)特異的なモノクローナル抗体断片の親和性を増加させる等の抗体の親和性成熟に成功裏に使用されている。ファージディスプレイライブラリーを使用することで及び酵母及びリボソームディスプレイライブラリーを使用することで類似の成功が観察された。結合親和性を増加させる別個の変異が、常法通り組み合わされ、相加的又は相乗的な様式で親和性をしばしば更に増加させる。
抗体の可変ドメインの少数の他の重要な属性は、生物物理学的な特性、例えば安定性、溶解性及びフォールディング動態において大きく異なる。最適化された結合活性を有する抗体断片の選択について抗体ディスプレイライブラリーを使用することにより、有利な特性、例えば頑強な発現、高い安定性及び溶解性が、しばしば一緒に選択される。有利な生物物理学的な特性についての直接的な選択は、化学的な変性剤、高温及び還元剤又はプロテアーゼを使用することによって達成することができる。
本開示は、異なるディスプレイプラットホームに関連する制限を克服することを目的としている。非コンビナトリアルアプローチと比較して、コンビナトリアルライブラリーは、幾つかの可能な組合せが、新しく形成される組合せを生じうる及び適度に強い抗原特異的な結合活性を示しうる、多数のVH遺伝子及びVL遺伝子に由来する。これらのライブラリーの成功は、最終的なライブラリーサイズのみに依存しており、これは十分に大きいものであるべきである。従って、本開示は、大きいライブラリーサイズに適合する能力があり、それによって抗原性標的に対するリード分子を生成する潜在能力を改善することができる、高度に多様な抗体遺伝子ライブラリーを作出することを目的としている。
開示の記載事項
従って、本開示は、生物学的試料を処理して、核酸を単離し、続いて増幅する工程、増幅された産物をプールする工程及び抗体遺伝子をファージにクローニングしてファージ抗体ライブラリーを得る工程、続いて、ディスプレイされた、抗原に対する遺伝子をスクリーニングしてパンニングされたファージ抗体ライブラリーを得る工程又は増幅された産物をプールする工程及び抗体遺伝子を直接的に酵母にクローニングして、酵母の表面に抗体遺伝子をディスプレイする酵母抗体ライブラリーを得る工程;続いて、ディスプレイされた、抗原に対する遺伝子をスクリーニングしてスクリーニングされた酵母抗体ライブラリーを得る工程、酵母の表面に前記抗体遺伝子をディスプレイするため、ファージライブラリーのパンニングされたファージ抗体ライブラリーを酵母に移行させる工程、続いて、酵母にディスプレイされた、抗原に対する抗体遺伝子をスクリーニングして酵母スクリーニングされた抗体ライブラリーを得る工程、及びナイーブ抗体ライブラリーを形成する所望の機能的な特性を有するファージ又は酵母ディスプレイされた抗体/遺伝子を選択する工程又はファージ抗体ライブラリー又は酵母抗体ライブラリーから所望の機能的な特性を有する選択された抗体を単離してスクリーニングされた抗体ナイーブライブラリーを生成する工程を含む抗体ナイーブライブラリーを生成する方法に関する;本開示は、上記のような方法によって得られたナイーブ抗体ライブラリーにも関する;本開示は、配列番号1から68のいずれかに記載されるプライマー配列にも関し、ここで、プライマー配列は、上記のようなナイーブ抗体ライブラリーを得る工程又はナイーブ抗体ライブラリーを生成する工程/得る工程のための上記のような方法を行うため利用される;及び本開示は、がん、関節リウマチ、神経学的な障害、感染性疾患及び代謝性障害又は任意のその組合せを含む群から選択される疾患の処置のための治療における使用のため;診断として;予後として;研究目的;標的発見;機能的なゲノム科学における検証又は抗体又は抗体の誘導体が利用される任意の適用のための、上記のような又は上記のような方法によって得られるようなナイーブ抗体ライブラリーにも関する。
本開示の特徴は、添付される図面と共に解釈される以下の説明から完全に明らかとなる。図面が開示に従う幾つかの実施形態のみを示し、その範囲の限定とは考慮されることはないとの理解のもと、開示は添付される図面を更に使用することにより記載される:
試料収集の領域を示す図である:地理的な位置及び話される言語が示される。 フローサイトメーターを使用するPBMCの分析を示す図である。 PBMC cDNAからの抗体遺伝子ファミリーの一次PCR増幅を示す図である。 抗体遺伝子ファミリーの二次PCR増幅を示す図である。 抗体遺伝子からのPCRプールの分析を示す図である。(A)重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子、(B)ラムダ軽鎖遺伝子。 ベクター及び挿入物の制限酵素消化を示す図である。A.クローンのカッパプールの消化、B.カッパベクターの消化、C.クローンのラムダプールの消化、D.ラムダベクターの消化。 HindIII-HF及びAscI酵素並びに1%アガロースゲルでの実験を使用するカッパライブラリー及びラムダライブラリーからの独立したクローンの分析を示す図である。 (A)カッパライブラリー及び(B)ラムダライブラリーにおけるクローン重鎖プールに対するNcoI及びXbaIでの制限酵素消化並びに1%アガロースゲルでの実験を示す図である。 独立したクローンの制限酵素消化分析を示す図である、A.軽鎖カッパ挿入を確認するためのHindIII及びAscIでの消化、B.重鎖挿入を確認するためのNcoI及びXbaIでの消化。 独立したクローンの制限酵素消化分析を示す図である、A.軽鎖ラムダ挿入を確認するためのHindIII及びAscIでの消化、B.重鎖挿入を確認するためのNcoI及びXbaIでの消化。 抗体遺伝子ライブラリーの配列正確度を示す図である。(A)重鎖ライブラリー、(B)カッパ及びラムダ鎖ライブラリー。 抗体遺伝子ライブラリーのプラークアッセイを示す図である。 フローサイトメトリーによる磁気ビーズコンジュゲーション効率の推定を示す図である。 1ラウンドのパニング後の抗体遺伝子ライブラリーのプラークアッセイを示す図である。 ファージDNAからの抗体重鎖、抗体カッパ鎖及び抗体ラムダ軽鎖のPCR増幅を示す図である。 酵母発現系に対するクローニング後の抗体重鎖断片の制限酵素消化を示す図である。 酵母発現系に対するクローニング後の抗体軽鎖断片の制限酵素消化を示す図である。 抗体Fab発現を確認するためのフローサイトメトリー分析を示す図である。 抗Her2 Fabを発現する酵母細胞の酵母表面ディスプレイ-フローソーティングを示す図である。(A)Fab発現を示さない未誘導の酵母細胞、(B)抗Her2 Fabを示す24時間誘導された酵母細胞、(C)酵母細胞は、初期ソーティング後に収集され、更に成長させられ、フローソーティングが誘導の24時間後に反復された。 フローサイトメトリーのソーティング後の二倍体酵母細胞からの重鎖及び軽鎖のPCR増幅を示す図である。 TEVプロテアーゼ切断を使用して単離され、Her2抗原でのELISAにおいて使用された、酵母表面ディスプレイ抗体を示す図である。左パネルは未誘導の酵母細胞を示し、右パネルは誘導された酵母細胞を示す。TEVプロテアーゼは、1mL、2mL及び4mLの対応する培養容量中で1Uから10U濃度で使用された。TEV消化後、抗体含有混合物は希釈され、ELISAを行った。データは、未希釈試料から1000倍希釈試料を表す。 TEVプロテアーゼ切断を使用して単離され、Her2抗原でのBIACORE親和性研究において使用された、酵母表面ディスプレイ抗体を示す図である。TEVプロテアーゼは、1mL及び5mLの対応する培養容量中で1Uから10U濃度で使用された。
本明細書中に別段の規定がない限り、本開示に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当技術分野における通常の当業者が一般に理解する意味を有する。更に、文脈によって別段に要求されない限り、文脈及び/又は適用に対して適切であると考慮されるよう、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含む。様々な単数形/複数形の交換は、明確性のため、本明細書中に明示的に記載されうる。一般に、関連して使用される命名法、及び本明細書中に記載されるバイオテクノロジー、免疫学、分子及び細胞生物学、組換えDNA技術の手法は、当技術分野において周知される及び一般に使用されるものである。特定の参照及び本明細書中に引用される他の文書は、明示的に本明細書中に参照によって組み込まれる。抵触する場合、定義を含めて、本明細書が優先される。材料、方法、図面及び例は、例示的なものであるに過ぎず、限定的であることを意図するものではない。
更にまた、開示される抗体ナイーブライブラリーの方法、調製及び使用は、別段の指示がない限り、分子生物学、生化学、計算化学、細胞培養、組換えDNA技術、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)及び関連する分野における従来の手法を利用する。これらの手法、それらの原理、及び要件は、文献中に説明される及び当業者に知られている。
抗体ナイーブライブラリー及び抗体ナイーブライブラリーを構成する核酸を生成させる方法並びに本開示の他の実施形態が開示される及び記載される前に、本明細書中に使用される用語法は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、限定されることが意図されないことを理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに別段の規定をしない限り、複数の指示物を含むことが注記されなければならない。
本明細書で使用される、用語「ライブラリー(library)」及び「ライブラリー(libraries)」は、本開示内で互換的に使用され、開示の産物に関連する。更にまた、その用語は、核酸配列のコレクション又はプールを指す。
本明細書で使用される、本開示の文脈における用語「プールする(pooling)」、「プールされた(pooled)」、「プール(pool)」、「プール(pools)」は、複数のドナー、すなわち1を超えるドナーから本開示の方法を利用することによって得られる試料/核酸配列/核酸断片/遺伝子クローン/増幅された産物/抗体を組み合わせることを意味する。
本明細書で使用される、用語「PBMC」は、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単球、赤血球、血小板、及び顆粒球(好中球、好塩基球、及び好酸球)からなる球形核を有する任意の末梢血細胞を指す。
本明細書で使用される、用語「遺伝的多様性」は、対立遺伝子のバリエーションを有する集団に関する遺伝的な特性の総数を意味する。
本明細書で使用される、用語「民族性」は、人間が生活する社会に認められる類似性に基づく集団に関して遺伝した状態を意味する。
本明細書で使用される、用語「抗原」は、身体中で免疫応答を誘導する、任意の生体異物を指す。
本明細書で使用される、用語「抗体」は、全体的又は部分的に、天然供給源に由来してもよい又は合成により産生されてもよい、免疫グロブリンを指す。用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、別段の指示がない限り、明細書の全体にわたって同義的に使用される。
本明細書で使用される、用語「抗体」は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体調製物の両方を含み、以下も含む:キメラ抗体分子、F(ab')2及びF(ab)断片、Fv分子、単鎖Fv分子(ScFv)、二量体及び三量体抗体断片、ミニボディ、ヒト化モノクローナル抗体分子、ヒト抗体、抗体のFc領域を含む融合タンパク質及びこれらの分子から生じる任意の機能的な断片、ここで、誘導体分子は、親抗体分子の免疫学的な機能性を保持する。
本明細書で使用される、本開示中の用語「モノクローナル抗体」は、均質な抗体集団を有する抗体組成物を指す。抗体は、抗体の種若しくは供給源に又はそれが作製される様式によって限定されない。その用語は、免疫グロブリン全体並びに断片、例えばFab、F(ab')2、Fv、及び他の断片並びに親モノクローナル抗体分子の免疫学的な結合特性を示す、キメラ及びヒト化された均質な抗体集団を包含する。
本明細書で使用される、「抗体断片」は、抗原結合活性を示す能力を保持する抗体全体の一部である。用語Fab又はScFvは、特定的に言及される抗体断片として使用される。
本明細書で使用される、「抗体ディスプレイライブラリー」は、標的抗原に対するスクリーニング法に適した細胞の表面に抗体を発現する又は無細胞のプラットホームを指す。本明細書中、ファージディスプレイライブラリー及び酵母ディスプレイライブラリーは、別段の指示がない限り、正確な明確化をともなって使用される。
本明細書で使用される、用語「ナイーブライブラリー」は、非免疫化供給源からの天然に生じるVHレパートリーをコードする核酸配列のコレクションを指す。
本明細書で使用される、用語「VH」は、軽鎖又はその一部を天然で欠く、哺乳動物において見出すことができるタイプの抗体の単一の重鎖可変ドメインを指す;ナイーブVHは、それに応じて理解することができる。
本明細書で使用される、用語「VL」は、抗体の単一の軽鎖可変ドメインを指す;それらは定常ドメイン配列に基づいて2つのタイプに見出される。Vk(カッパ定常領域を有する)及びVl(ラムダ定常領域)は、それに応じて理解される。
本明細書で使用される、用語「CDR」は、抗体構造の相補性決定領域を指す。
本明細書で使用される、用語「レパートリー」は、遺伝的多様性を示すコレクションを意味する。
本明細書で使用される、用語「フレームワーク領域」は、分子の構造要素をコードする抗体分子の核酸配列領域を指すため本明細書中で使用される。
本明細書で使用される、用語「Aga2p」は、酵母表面に目的の抗体をディスプレイするアンカータンパク質として使用される酵母タンパク質を指す。
本明細書で使用される、「B細胞」は、抗体を分泌することによって適応免疫系の液性免疫成分において機能する、リンパ球サブタイプの白血球のタイプを指す。
本明細書で使用される、「ナイーブB細胞」は、抗原に曝露されていないB細胞の特定のサブタイプに対して言及する。
本明細書で使用される、用語「DNA」は、生命に関する遺伝的な指令を保持するデオキシリボ核酸を意味する。
本明細書で使用される、「RNA」は、遺伝子のコード化、解読、制御、及び発現等の様々な生物学的役割に関わるリボ核酸を指す。
本明細書で使用される、用語「mRNA」は、翻訳のためDNAからリボソームに遺伝情報を伝達するRNA分子のファミリーを意味する。
本明細書で使用される、用語「cDNA」は、酵素リバーストランスクリプターゼによって触媒される反応において一本鎖RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)又はマイクロRNA(microRNA))鋳型から合成される二本鎖DNAを指す。
本明細書で使用される、略語「GAPDH」は、解糖に関与し、ハウスキーピング遺伝子(これが実験における内部対照としてしばしば使用される理由である)として知られる、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼを意味する。
本明細書で使用される、用語「リバーストランスクリプターゼ」は、レトロウイルスにリンクし、逆転写と称されるプロセスである、RNA鋳型から相補DNA(cDNA)を生成させるため使用される酵素を指す。
本明細書で使用される、用語「免疫グロブリン」は、特定の抗原に対して特異的に認識し、結合することによって免疫応答の重要な部分として作用する、糖タンパク質分子を指す。
本明細書で使用される、用語「PCR」は、適切なプライマーを使用してDNAのセグメントを増幅するため使用される分子生物学手法である、ポリメラーゼ連鎖反応法を指す。
本明細書で使用される、用語「プライマー」は、DNA合成を開始させるためのDNA又はRNAの短い断片を指す。
本明細書で使用される、「縮重プライマー」は、幾つかの位置で幾つかの可能な塩基が含有され、所与のタンパク質/抗体配列に関する全ての可能なヌクレオチド組合せを網羅する類似の配列を有するプライマーの集団を付与する、オリゴヌクレオチド配列の混合物を指す。より詳細には、本開示において利用されるプライマーはTable 4(表4)及びTable 5(表5)に記載され、合成により生成されるユニークプライマー配列は配列番号1から配列番号68の別個の配列番号として示される配列表セクションにおいて表現される。前記配列には、その中にユニークなトリヌクレオチド配列が組み込まれる。前記プライマー配列は合成により生成され、天然で生じるネイティブな遺伝子配列に対して相補的ではないので、それらは人工配列とも称される。
本明細書で使用される、「ベクター」は、特定の指定される制限部位において抗体遺伝子に適合するクローニング又は発現系に関連するDNAを指す。ファージミドベクター(ファージディスプレイシステムに対して適用可能)又は酵母ベクター(酵母ディスプレイシステムに対して適用可能)は、それに応じて理解される。
本明細書で使用される、「ファージミド」は、プラスミドとして複製することができ、ウイルス粒子中に一本鎖DNAとしてパッケージもされうる、DNA発現系を指す。ファージミドは、抗体遺伝子の全レパートリーに適合させるため使用され、ここで、ファージミドは、細菌に対する感染後に、ヘルパーファージによって提供される追加のタンパク質を要求し、組換えタンパク質をディスプレイするファージ粒子を創出する。
本明細書で使用される、用語「ファージ」は、細菌に感染し、増幅する、ウイルス粒子を意味する。
本明細書で使用される、「ヘルパーファージ」は、全ての要求されるタンパク質/材料を供給して、機能的なファージ粒子を産生する、特定のファージ粒子を指す。
本明細書で使用される、用語「プラーク」は、細胞の破壊に起因する細菌の繁殖部(lawn)に形成される、可視構造を指す。
本明細書で使用される、「ファージ増幅」は、ファージ粒子の成長を指す。
本明細書で使用される、用語「パニング」は、特異的な標的/抗原に対する結合体(binder)に関して選択する、親和性選択の手法を指す。
本明細書で使用される、「サケ精子DNA」は、サケ精子から単離され、ファージDNA沈殿を援助する、低分子量デオキシリボ核酸を指す。
本明細書で使用される、「ssDNA」は、一本鎖DNAを指す。
本開示は、
生物学的試料を処理して、核酸を単離し、続いて増幅する工程、
増幅された産物をプールする工程及び抗体遺伝子をファージにクローニングしてファージ抗体ライブラリーを得る工程、続いて、ディスプレイされた、抗原に対する遺伝子をスクリーニングしてパンニングされたファージ抗体ライブラリーを得る工程又は増幅された産物をプールする工程及び抗体遺伝子を直接的に酵母にクローニングして、酵母の表面に抗体遺伝子をディスプレイする酵母抗体ライブラリーを得る工程;続いて、ディスプレイされた、抗原に対する遺伝子をスクリーニングしてスクリーニングされた酵母抗体ライブラリーを得る工程、
酵母の表面に前記抗体遺伝子をディスプレイするため、ファージライブラリーのパンニングされたファージ抗体ライブラリーを酵母に移行させる工程、続いて抗原に対して酵母ディスプレイされた抗体遺伝子をスクリーニングして酵母スクリーニングされた抗体ライブラリーを得る工程、及び
ナイーブ抗体ライブラリーを形成する所望の機能的な特性を有するファージ又は酵母にディスプレイされた抗体/遺伝子を選択すること又はファージ抗体ライブラリー又は酵母抗体ライブラリーから所望の機能的な特性を有する選択された抗体を単離してスクリーニングされた抗体ナイーブライブラリーを生成する工程を含む抗体ナイーブライブラリーを生成する方法に関する。
実施形態において、生物学的試料は、血液又は抗体遺伝子を発現する任意の試料を含む群から選択される。
別の実施形態において、生物学的試料は、選択された健常ドナー又は対象から得られ、ここで、選択判定基準は、前記ドナー又は対象の話す言語、民族性又は地理的な位置における多様性に基づき;ここで、対象はヒトである。
更なる別の実施形態において、生物学的試料の処理は、血液試料からのリンパ球、単球、血小板及び顆粒球又は任意のその組合せを含む群から選択される末梢血単核球を単離する工程、続いてその中のナイーブB細胞集団をフローサイトメトリーによって推定する工程を含む。
なお別の実施形態において、ナイーブB細胞集団の推定は、IgD、CD20、CD19、CD27、CD24及びCD38又は任意のその組合せを含む群から選択される細胞表面又は細胞内マーカーの差次的発現を識別する工程によって行われ;ここで、全PBMCの約10%から約15%のナイーブB細胞集団が得られる。
なお別の実施形態において、核酸の単離は、m-RNAの単離、続いてc-DNA生成を含む。
なお別の実施形態において、増幅は、配列番号1から68として記載される任意の縮重プライマー又はその組合せを利用することによる、一次PCR増幅、続いて二次PCR増幅を含む。
なお別の実施形態において、PCR増幅は、約18サイクルから約25サイクル行われ、各サイクルは、変性工程を約94℃で約1分間から約2分間、続いてアニーリング工程を約50℃で約1分間から約2分間及び伸長工程を約72℃で約50秒間から約90秒間であり;ここで、増幅後に得られるPCR産物は任意選択で精製される。
なお別の実施形態において、ファージに又は直接的に酵母にクローニングする工程は、抗体軽鎖クローニング、続いて抗体重鎖クローニングを含み、双方の形質転換効率が約108から1010、好ましくは108であり;ここで、ファージへのクローニングが、1010から約1011pfu/mLの範囲においてライブラリー中のファージ粒子の推定数を産出する。
なお別の実施形態において、ファージライブラリーを得るためのスクリーニングは、対象の抗体を単離するための磁気ビーズに被覆された抗原でのパニングを含み;ここで、前記ファージディスプレイスクリーニング/パニングは、非結合体抗体を除去するため利用される。
なお別の実施形態において、抗体形式は、Fab又はScFvを含む群から選択される。
なお別の実施形態において、表面ディスプレイによって酵母ライブラリーを得るためのスクリーニングは、タバコエッチウイルス(TEV)、エンテロキナーゼ、トロンビン、Xa因子、HRV 3Cプロテアーゼ及び類似のプロテアーゼ切断タンパク質又は任意のその組合せを含む群から選択されるプロテアーゼ切断部位を使用して、Fab又はScFv分子を単離するために、競合する抗原性エピトープ、抗体パラトープコンホメーション、配列及び配列モチーフ又は任意のその組合せを利用することによって行われる。
なお別の実施形態において、酵母の表面における抗体ライブラリーのディスプレイは、ファージライブラリーからのプラスミドDNAの単離、続いて制限酵素消化、クローニング及び半数体酵母細胞に又は2つの半数体酵母細胞の接合を介した二倍体酵母細胞に形質転換する工程を含む。
なお別の実施形態において、移行させる工程は、スクリーニングされた遺伝子を酵母に形質転換効率約108から約1010で形質転換する工程による。
なお別の実施形態において、酵母ディスプレイスクリーニングを利用して、親和性に基づく選択、抗体結合体のソーティングが実行される。
なお別の実施形態において、抗体/遺伝子は、フローサイトメトリー、ELISA、ビーズベース検出プラットホーム、イメージング及びSPR又は任意のその組合せを含む群から選択される手法/技術を利用することによって抗原とのその結合に基づいて選択される。
なお別の実施形態において、ナイーブ抗体ライブラリーは、ファージ又は酵母の表面に発現される抗体/遺伝子のコレクションであり、又はファージ又は酵母又はその組合せから単離された抗体/遺伝子のコレクションであり;ここで、ナイーブ抗体ライブラリーは約107から約109クローンを含む。
本開示は、上記のような方法によって得られたナイーブ抗体ライブラリーにも関する。
本開示は、配列番号1から68のいずれかに記載されるプライマー配列にも関し、ここで、プライマー配列は、上記のようなナイーブ抗体ライブラリーを得る工程又はナイーブ抗体ライブラリーを生成する工程/得る工程のための上記のような方法を行うため利用される。
本開示の実施形態において、配列は、抗体遺伝子を当初の抗体遺伝子プールに遡ることを可能にする、それぞれの地理的な位置からの抗体遺伝子を分類するためのトリヌクレオチド配列タグを包含する。
本開示は、がん、関節リウマチ、神経学的な障害、感染性疾患及び代謝性障害又は任意のその組合せを含む群から選択される疾患の処置のための治療における使用のため;診断として;予後として;研究目的;標的発見;機能的なゲノム科学における検証又は抗体又は抗体の誘導体が利用される任意の適用のための、上記のような又は上記のような方法によって得られるようなナイーブ抗体ライブラリーにも関する。
本開示は、ヒトナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーに限定されない、抗体ライブラリーを生成する方法に関する。前記ヒトナイーブ抗体ライブラリーは、健常及び遺伝的に多様なヒト集団からの液性免疫を含む天然抗体レパートリーに由来する核酸配列のプールを含む。
例示的な実施形態において、ファージディスプレイ技術及び酵母ディスプレイ技術を含むコンビナトリアルツールは、抗体ライブラリーを生成するための本方法に利用される。別の実施形態において、方法は、ファージディスプレイ技術、連続的に続いて酵母ディスプレイ技術を利用して、ヒトナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーを作出する。
本開示の非限定的な実施形態において、ヒトナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーは、特異的な治療標的、すなわち抗原、に関して所望の機能的な特性を有するユニークな抗体分子の単離を可能にする。本開示におけるヒトナイーブ抗体ライブラリーは、開示によって詳述されるような方法を利用することによって調製される、プールされた抗体核酸配列のコレクションに関する。
本開示の非限定的な実施形態において、抗体の所望の機能的な特性は、親和性、特異性、製造性(manufacturability)、新しいエピトープの生成、熱安定性、抗原性、溶解性、凝集性及び触媒活性、又は任意のその組合せを含む群から選択されるが、これらに限定されない。前記機能的な特性は、本開示の方法を利用することによって生成されるナイーブ抗体ライブラリーの自然な拡張(natural extensions)又は固有の特性である。前記特性を更に強化する余地が、存在する。
本開示の非限定的な実施形態において、ナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーを生成する方法には、言語、民族的背景、地理的な位置等に限定されない、遺伝的に多様なプロファイル又は算入/除外基準に基づいてカテゴリーに分けられる複数の健常ドナーを識別する工程が含まれる。
本開示の別の非限定的な実施形態において、ヒトナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーを生成する方法には、生物学的試料、例えば各々個々のドナーの血液試料からの抗体発現遺伝子を単離して、多様な遺伝的な構成からの遺伝子のライブラリーを作出する工程が含まれる。生物学的試料はまた、脾臓、骨髄又は抗体遺伝子を発現する任意の試料を含んでいてもよい。
本開示の例示的な実施形態において、血液試料は、一般的な倫理的及び規則的規範に従う算入/除外基準に基づいて識別される健常血液ドナーから収集される。
本開示の別の非限定的な実施形態において、ナイーブ抗体遺伝子発現ライブラリーを生成する方法には、2つの別個の選別ツールである1)ファージディスプレイ技術及び2)酵母ディスプレイ技術を用いる工程によって遺伝子クローンのプールの発現プロファイルを連続的に探究する工程が含まれる。これらの技術の連続的な使用により、ファージベースライブラリーの性質である、より大きなセットの抗体遺伝子多様性を収容することが許容される。抗体クローンは、その後、酵母ディスプレイシステムによってスクリーニングされる。抗体遺伝子発現に対する酵母系の使用は、真核生物のタンパク質翻訳、プロセシング及び細胞表面における抗体産物の適切なフォールディングのため有利である。更に、酵母発現により、抗原性標的との高い特異性での適切な相互作用が許容される。これらの2つの相補的なシステムを使用して得られる情報により、商業化される潜在能力の観点において成功率がより高い「リード分子」(すなわち、抗原に対して特異的な抗体)が生成される。
本開示において採用される発現プロファイリング及びスクリーニング戦略により、ファージと酵母ディスプレイプラットホームの間の円滑な移行を可能にする。ファージディスプレイは一次スクリーニングのためのライブラリーサイズ(約1011)に適合し、これはハイスループット形式での抗体-抗原相互作用の厳密性及び特異性に焦点を絞っており、そしてスクリーニングされた分子は、酵母プラットホームを介してネイティブなディスプレイを模倣するランダム化プロセスを再び経る。従って、各プラットホームは、機能上特異的であるが、構造的には変動する抗体部分を開発するパイプラインに対してコンビナトリアルに寄与する。2つの異なるディスプレイシステムを介して、抗原における又は抗原発現細胞における複数ラウンドの選択のプロセスは、親和性、特異性、製造性、新しいエピトープ、熱安定性、抗原性、溶解性、抗体の凝集性、触媒活性等に限定されない、ある範囲の所望の抗体特性を正に又は負に選択するため極めて価値がある。本方法は、変動する抗原性標的に対してユニークな分子を同定する能力のあるライブラリーにおいて多様性を保つことを可能にする。高い多様性を有するヒト抗体のナイーブライブラリーの生成は、新しい抗体同定及び更に商業上の開発のための大きな資源として機能する。
本開示の更なる別の非限定的な実施形態において、多様性が、2つのプラットホームの間で翻訳され、キメラ抗体分子、Fab、断片、F(ab')2断片、Fv分子、ScFv、ScFab、二量体及び三量体抗体断片、ミニボディ、ヒト化モノクローナル抗体分子、ヒト抗体、抗体のFc領域を含む融合タンパク質、これらの分子から生じる任意の機能的な断片(ここで、誘導体分子は、親抗体分子及び全ての他の抗体形式の免疫学的な機能性を保持する)等の限定されない様々な操作された抗体形式として探究される、戦略も方法論に関与する。
例示的な実施形態において、本開示中の用語「モノクローナル抗体」は、均質な抗体集団を有する抗体組成物を指す。抗体は、抗体の種若しくは供給源に又はそれが作製される様式によって限定されない。その用語は、免疫グロブリン全体並びに断片、例えばFab、F(ab')2、Fv、及び他の断片並びに親モノクローナル抗体分子の免疫学的な結合特性を示す、キメラ及びヒト化された均質な抗体集団を包含する。
なお別の非限定的な実施形態において、本方法によって得られる候補抗体分子は、抗体-抗原相互作用の構造-機能研究によって導かれる合理的な設計によって更に最適化される。薬、特に抗体ベース薬の開発のプロセスは、難題であり、時間がかかり、高価である。幾つかの集学的なアプローチがこれらの難題にこたえるため必要とされ、これにより合理的な薬物設計の基礎が集合的に形成される。モノクローナル抗体薬の製造性が成功する必要条件は、溶解性、凝集性、抗原性、安定性等の種々の生物学的な及び/又は相関する特性に依存的である。これらの特性の多くは、抗体の異なる構造モチーフに依存的である;これはインシリコアプローチによって予測されうる。例示されるように、合理的で証拠に基づく、より迅速な構造ベースの薬物設計は、数例を挙げると、がん化学療法、薬剤抵抗性の感染、神経疾患の分野において大きく寄与している。これらの方法のもたらされた成果が、本開示に利用されて、抗体ライブラリー構築及び選択された分子の製造性が改善される。
なお別の非限定的な実施形態において、本開示の方法には、酵母の半数体/二倍体ライフサイクルの特徴である、酵母の接合型ベースの戦略を組み込む工程も含み、これにより、2つの別個の酵母ベクターから酵母におけるより大きなライブラリー(ScFv又はFab又は完全抗体)の生成が許容され、また親和性の改善のための鎖ランダム化に対しても受け入れられる。
総合すると、本開示の方法は、抗体レパートリーのより効率的な生成/利用を目的とするコンビナトリアルライブラリー技法に集中する。ナイーブ抗体ライブラリーにより、実質的に任意の特異性及び親和性のヒトmAbのインビトロ選択が許容される。この手法は、その設計のため、選択されたmAbの遺伝的及び機能的な分析の両方を可能にし、従って、ヒト免疫系の機構における研究が促進される。そのようなライブラリーを採用するトランスレーショナル研究アプローチは、新しい将来の治療において収束しうる。
本開示の非限定的な実施形態において、ドナーの遺伝的な構成におけるより大きなライブラリーサイズ及び多様性等の特徴が、改善された抗体の特異性及び親和性の達成に直接的にリンクすることが疑われる。
本開示の非限定的な実施形態において、ナイーブ抗体ライブラリー等の抗体ライブラリーは、特異的な治療標的、すなわち、抗原、に関して所望の機能的な特性を有するユニークな抗体分子の単離を可能にする。ライブラリーの前記カテゴリーのユニーク性により、寛容機構により免疫系から欠失させられない、任意の可能な抗原を網羅すると考えられる、多種多様な抗体を有することになる。
ヒトナイーブ抗体ライブラリーを生成させる又は発生させる本方法は、以下のフローチャートに記載される。
液性免疫応答は、潜在的な結合パートナー、すなわち、抗原、の膨大なレパートリーに対する曝露によって新規の分子表面を認識する。1989年に、最初の機能的な抗体を、免疫化マウスに由来するコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離した。抗体パラトープは、液性分子認識の主体であるが、分子間で劇的に変動するタンパク質-抗原界面を通した特異的な結合を媒介する。そのようなライブラリーは、新規抗原に直面した場合に、低親和性を示す。従って、抗体レパートリーの多様性は、特異的な相補的パラトープが回収されるか否かを決定する。そのような選択的な状況下で、抗体レパートリーの認識ポテンシャルを最大にする幾つかの機構は、その正当なパートナーを選択することにおいて重大な役割を担う。抗体パラトープは軽鎖及び重鎖ヘテロ二量体の超可変領域に見出され、ここで、各鎖は相補性決定領域(CDR)の空間的に分布するクラスターに3つのループを寄与する。B細胞内の天然の一次(抗原に対して選択されていない)抗体レパートリーは、種々の抗原を潜在的に認識することができる抗体の大きなアレイを含有する;このアレイは、末梢血リンパ球から単離された、未免疫化ヒトドナーのB細胞のIgM mRNAからV遺伝子を採取することにより、再構成された遺伝子の「ナイーブ」又は非免疫レパートリーとして開拓することができる。そのうえ、排他的に設計された発現系、すなわちコンビナトリアルアプローチに則したディスプレイプラットホーム、の利点により、抗原にまだ遭遇していないが、それらの「生殖系列」抗体の頻度がB細胞の供給源に大きく依存する、大きな抗体多様性に対するアクセスが提供される。
ヒトナイーブ抗体ライブラリーを生成する及び抗原に対してスクリーニングする本方法は、以下の行為/工程を含む:
a)複数のドナーの血液からPBMCを単離する工程;
b)PBMCを処理してRNA(mRNA)を得て続いて増幅する工程;
c)増幅された産物(抗体遺伝子)をプールする工程及びファージ及び/又は酵母ベクターにクローニングしてナイーブファージ又は酵母ライブラリーを生成する工程、続いて発現させ、抗原に対して前記産物をスクリーニングする工程;
d)工程c)のスクリーニングされた産物を酵母ベクターに移行し/クローニングする工程、続いて抗原に対して前記産物をスクリーニングする工程;及び
e)ファージ及び/又は酵母ライブラリーから所望の機能的な特性で抗体を選択する工程。
本開示の好ましい実施形態において、ヒトナイーブ抗体ライブラリーを生成する本方法は、以下の工程を含み、ここで、複数の健常ドナー集団が、遺伝的に多様なプロファイルに基づいてカテゴリーに分けられ、続いて収集されたドナー血液試料からPBMCが単離される。その後、PBMCは、RNA(mRNA)単離、続いてcDNA生成のため処理され、縮重プライマーを利用することによって抗体鎖のIgMプールを増幅する。増幅された核酸断片は、プールされ、ファージ及び/又は酵母ベクターにクローン化され、続いて特異的な抗原標的に対する約2から約5ラウンドのライブラリースクリーニングを行う。その後、分子のスクリーニングされたプールは、酵母ベクターにクローン化され、特異的な抗原標的に対する約1から約3ラウンドのスクリーニングが行われる。標的抗原に対するより高い親和性又は他の所望の抗体特性を示す特定の集団が単離され、個々のクローンが分離され、そこから得られたクローン集団が、更なる抗体開発のため特定の分子を選択するため使用される。
本開示の例示的な実施形態において、ヒトナイーブ抗体ライブラリーを生成する方法は、以下の工程を含む。
工程1:言語、地理的な位置、及び民族的背景を含むが、これに限定されない、遺伝的に多様なプロファイル又は算入/除外基準に基づいてカテゴリーに分けられる複数の健常ドナーを識別する工程及びドナーから血液試料を収集する工程続いてFicoll-paque,hisPaqueとして知られるプロセスを利用する工程によって試料からPBMCを単離する工程。試料は、特異的なマーカーに関して試験することによってナイーブB細胞の存在に関して識別される/試験される。ナイーブライブラリーについての核酸プール、すなわち、IgM RNA、の供給源は、血液試料の末梢血単核球(PBMC)画分に存在するナイーブB細胞に由来する。工程2:単離されたPBMCは、mRNA単離のため処理され、インビトロでcDNAに更に変換される。工程3:縮重プライマーのユニークなセットを使用して、抗体鎖のナイーブIgMプールが増幅される。プライマーのユニークな設計には、ドナーの各群に対して特異的である、特異的なトリヌクレオチドマーカーも含まれる。後に、これらのマーカーを使用し、必要に応じて、ライブラリーを追跡してスクリーニングされた分子をその当初の集団に戻す。工程4:異なる群からの核酸断片の増幅されたナイーブプール(一次及び二次PCRを介する)は、プールされ、一緒に精製され、機能的な多様性について確認され、膨大なサイズ及び多様性のライブラリー分子を捕獲するとの考えで、特定のセットのファージミド(好ましくは、社内のファージミド)及び/又は酵母ベクターにクローン化される。工程5:分子のライブラリーのスクリーニングは、特定の抗原に対する複数ラウンドの選択を介するバイオパニングによって行われる。各ラウンドの間、特異的な結合体は、非結合体を洗い落とすことによってライブラリーから選択除去される。工程6:ファージディスプレイプラットホームにおいてスクリーニングされた分子の選択されたプールは、任意のPCRベースの方法を避けて、真核生物システム、すなわち、酵母ディスプレイプラットホーム、に、選択された多様性のランダム化の有り無しで、移行され、それによって分子の選択されたプールを保つ工程。この移行は特異的に行われることで、ファージディスプレイプラットホームにおける重鎖及び軽鎖のフォールディング及び対形成にともなう問題が克服される。酵母ディスプレイ
プラットホームは、異なる形式において様々な抗体部分を発現する様々な設定から構成される。工程7:ディスプレイされた断片は特定の抗原性標的に対してスクリーニングされ、標的抗原に対してより高い親和性を示す特定の集団が分離される。工程8:これらの選択されたプールは、必要に応じて、抗原特異性に関して更に試験される。工程9:最終的に、選択されたプールからの個々のクローンが分離され、クローン集団が「リード分子」をコードする核酸配列を単離するため使用される。幾つかのバイオインフォマティクスツールを使用する抗体-抗原相互作用研究の慎重な分析及び理解により、リード分子の核酸配列における変化の更なる組込みが許容される。スクリーニングシステムには、親和性、新しいエピトープ、熱安定性、凝集性、溶解性、抗原性及び商業化に成功した抗体産物に関連する他の特性等の、限定されない、抗体特性が組み込まれる。
コンビナトリアルアプローチを介して開発される、ヒトナイーブ抗体レパートリーを発現するファージ及び酵母ディスプレイプラットホームの連続的な使用により、広範囲の治療標的のスクリーニングを可能にし、ユニークな親和性を有するユニークな抗体分子の同定が導かれる。コンビナトリアル酵母ディスプレイシステム/プラットホーム及びファージディスプレイシステムの融通性は、様々な出力形式、例えばFab、ScFv分子又は任意の抗体形式に関してのみならず、半数体細胞発現及び二倍体細胞発現に関しても好都合な選択である。複数の選択肢が利用可能であることにより、このコンビナトリアル酵母ディスプレイ及びファージディスプレイ形式を、ユニークで、融通性があり、且つ不可欠なプラットホームとし、インビボで免疫グロブリン構造を模倣するリガンドを選択することを成功させる。これらの標的分子の詳細な理解は、これらを、抗原-抗体の構造-機能研究の知識及び増加した親和性、安定性、発現、有効性等を有するリード分子を生成する範囲を組み込み、核酸のレベルで改変させる出発点となるであろう。それ故、本開示は、がん、関節リウマチ、神経学的な障害、感染性疾患及び代謝性障害に限定されない様々な疾患の標的に対してユニークなモノクローナル抗体を同定するのみならず;標的発見及び機能的なゲノム科学の領域における検証において極めて重要な役割も担うことを記録している。
本開示は、本開示の方法を利用することによって広範囲及び遺伝的に多様な集団から調製されるナイーブ核酸配列のレパートリーを含む抗体遺伝子発現ライブラリーにも関する。
本開示は、本開示の方法を利用することによって得られる抗体ライブラリーにも関し、ここで、前記ライブラリーは、抗体の合理的な設計を利用することによって、健常血液ドナー、様々な群の抗体遺伝子配列及び/又は個体等の追加のセットを加えることによって更に開発及び改善することができる。そのような反復性アプローチにより、ライブラリーにおける排他的な抗体分子のプールに富化する/加える可能性が増加される。
本開示は、抗原標的に対してスクリーニングするための、本開示の方法によって調製されるナイーブ核酸配列のレパートリーを含む抗体遺伝子発現ライブラリーの使用にも関する。
非限定的な実施形態において、本開示の抗体遺伝子発現ライブラリーは、治療、診断、予後、研究目的及び抗体又は抗体の誘導体が利用される実質的に任意の適用を含むが、これらに限定されない、幾つかの分野において適用が見出される。
抗体ディスプレイライブラリーは、他の細胞タンパク質にリンクして細胞表面に発現される部分的な又は完全な抗体のライブラリーを表す。ファージディスプレイは、クローニングの容易さに起因して最も容認された方法であり、大きいライブラリーサイズ、一価ディスプレイを可能にし、様々な安定性パラメータの決定が容易である。しかしながら、ファージディスプレイでは、原核生物発現系及びそれによりディスプレイされた抗体断片の翻訳後修飾の欠如に起因する、適切なタンパク質フォールディングに関連する制限が存在する。これらの制限を克服するため、酵母ディスプレイプラットホーム(抗体断片を単離する及び操作するための頑強な、多用途の、定量的な方法論)が利用される。酵母、すなわち、真核生物ディスプレイシステムは、蛍光活性化細胞分取器(FACS)ソーティング手法を利用する定量的な及びリアルタイムの評価と適合するので最適である。
他のインビトロディスプレイ技術と比較して、凝集素接着受容体複合体Aga1及びAga2を使用するナイーブ/非免疫抗体ライブラリーの酵母ディスプレイは、かなりの数の利点を有する。例えば、フローサイトメトリー分析の使用により、KD決定、koff測定及び相互に排他的なクローンの酵母の表面における直接的なエピトープ結合を含む、急速なクローンの特徴付けを可能にする。これにより、これらの特徴付けを実施するタンパク質の精製についての必要性が排除される。酵母におけるFab抗体断片のディスプレイの成功により、大きいライブラリー構築に対してより簡単なアプローチが提案される。Fab断片は重鎖及び軽鎖から構成されるので、異なる酵母株中の異なるベクターで2つのポリペプチドをコードさせるすることは可能であり、2つの鎖は効率の高いプロセスである接合によって単一の二倍体酵母に一緒にすることができる。しかしながら、酵母ディスプレイのケースの主な難題は、酵母におけるより低い形質転換効率に起因する、相対的に小さいライブラリーサイズであり、これはファージ及び/又は酵母ディスプレイ概念の組合せを利用する本開示によって提供される態様によって克服される。
本開示は、性質上例示的なものであるに過ぎず、本開示の範囲にいずれの様式においても限定されるものと解釈すべきではない、以下の実施例を参照して更に記載される、
利用された材料;SepMate(商標)チューブ(Stem cell technologies、Canada);Histopaque(SIGMA、St. Louis、USA);DPBS(GIBCO、USA);FBS(Moregate Biotech、Australia);FITCマウス抗ヒトIgD(BD Biosciences、USA);PEマウス抗ヒトCD20(BD Biosciences、USA);perCP-Cy5.5マウス抗ヒトCD19(BD Biosciences、USA);APCマウス抗ヒトCD27(BD Biosciences、USA);PEマウス抗ヒトCD24(BD Biosciences、USA);APCマウス抗ヒトCD38(BD Biosciences、USA);Qiagen RNeasy Miniキット(Qiagen、USA);dNTPs(Ambion、USA);Superscript IV;ランダム六量体、オリゴd(T)16プライマー(Invitrogen、USA);dNTPS(Ambion、USA);1Kbラダー(Invitrogen、USA);Phusion酵素(NEB、USA);アガロース(SIGMA、USA);PCR精製キット(Qiagen、USA);アガロース(SIGMA、USA);ゲル溶出キット(Qiagen、USA);pTZ-57R/T(Thermo Scientific、USA);Mini prepキット(Qiagen、USA);Taqポリメラーゼ(NEB、USA);dATP(NEB、USA);T4 DNAリガーゼ(NEB、USA);LB-寒天(Himedia、India)、Neb5alpha(NEB、USA);アンピシリン(MP Biomedicals、USA);NcoI-HF、(NEB、USA);XbaI、(NEB、USA);HindIII-HF、(NEB、USA);AscI(NEB、USA);HindIII-HF、(NEB、USA);AscI(NEB、USA);NotI(NEB、USA),TG1細胞(Lucigen、USA);T4 DNAリガーゼ(NEB、USA);PCR精製キット(Qiagen、USA);LB-寒天(Himedia、India);Mini prepキット(Qiagen、USA);LB-ブロス(Himedia、India);アンピシリン(MP Biomedicals、USA);カナマイシン(MP biomedicals、USA);M13KO7ヘルパーファージ(Thermo Scientific、USA);グリセロール(Fischer Scientific、USA);PEG 8000、(SIGMA、USA);塩化ナトリウム、(SIGMA、USA);TEV酵素(Invitrogen、USA);PBS(SIGMA、USA);BSA(Biovision、USA);抗FLAg、(Sigma、USA);HRPヤギ抗マウス(Biolegend、USA);TMB基質(Sunmodics、USA);Herclon(登録商標)(Roche、USA);ヤギ抗ヒト__IgGFc-HRPコンジュゲート(Bethyl、USA);Tween 20(Fisher Scientific、USA);Her2(Acrobiosystems、China);
(実施例1)
ナイーブ抗体ライブラリー生成についての一般化手順。
ナイーブライブラリーの成功は、十分に大きいものであるべきである最終的なライブラリーサイズのみに依存している。ナイーブ抗体ライブラリーのサイズ及び多様性並びに抗体の特異性及び親和性は、直接的にリンクしている。健常血液ドナー選択プロセスは、いずれかの性別の個体を選択するとの観点でランダム化された。全ての個体は、輸液目的の献血のため行われている通り規則的な血液試験についてスクリーニングされた。個々のドナーは、地理的な位置、言語(母国語)及び民族的背景に限定されない因子に基づきカテゴリーに分けられる。この情報に基づいて、収集された試料は、複数の群に分類される。
血液試料は、多様な言語及び民族的背景の複数の健常ドナーから収集された。末梢血単核球(PMBC)が、単離され、Ig-m-RNA単離のため処理され、次にこれがcDNA(インビトロ)に変換された。前記cDNAプールが、ナイーブ抗体遺伝子レパートリーを捕獲するため更に使用された。縮重プライマーを含有する特異的なトリヌクレオチドマーカーを使用して、IgMプールが増幅され、増幅された断片が、プールされ、社内で開発したユニークなファージミドにクローン化された。PBMC試料の広い分類は、特定の集団に対する抗体クローンに遡るための特異的なトリヌクレオチド配列でタグ付けされた。ナイーブライブラリーのファージミドプールは、厳密性に基づいて特異的な抗原単独に対して複数ラウンドでパンニングされ、続いてELISAベースの方法を使用して確認された。分子の選択されたプールは、任意のPCRベースの技術を避けて、特異的な酵母ディスプレイベクターに移行させて、多様性を保たせた。しかしながら、重鎖及び軽鎖のランダム化により、2つのディスプレイシステムの差の補償が可能にされた。ディスプレイされた断片は特定の抗原性標的に対してスクリーニングされ、標的抗原に対してより高い親和性を示す集団が分離された。選択されたプールは抗原特異性に関して任意選択で試験され、そのプールから個々のクローンが分離され、クローン集団がリード分子をコードする核酸配列を単離するため使用された。
(実施例2)
PBMC中の十分な数のナイーブB細胞を得るため、血液試料が複数の健常ドナーから収集された。ドナーは、特定の言語を話すインドの様々な地理的な位置から戦略的に選ばれた。ナイーブB細胞集団の確認は、PBMCにおける表面マーカーの確認の観点のみならず、数の観点においても必要であり、これはナイーブB細胞集団中に存在する全ての可能な理論的な多様性を開拓するため十分に大きいものであるべきである。ナイーブB細胞の数は、107以上である。あらゆる種類の不安定性及び単離されたRNAに関連する問題を回避するため、PBMC試料がRNA単離及びcDNA生成のため同日に処理された。cDNAを生成させるため使用される単離されたRNAの量は、各領域から約10〜25μgであり、十分に大きく、理論的な抗体多様性数を網羅する。約100の様々な縮重プライマーでの限定数10〜18サイクルでのPCR反応を設定することにより、レパートリーの完全な開拓を保証するため実施されるが、変異のPCR媒介性の組込みの確率は低い。同じことは、二次PCRについても同様に保持される。そのうえ、一次PCRアンプリコン量は、1反応当たり50〜150ngを維持して、アンプリコン分子の数が制限されないことを確実にする。トリヌクレオチドマーカーは、後に領域特異的なライブラリーをスクリーニングするため戦略的に配置される。軽鎖及び重鎖レパートリーのクローニングは、>108の規定形質転換効率(mandatory transformation efficiency)でFab形式で行われ、ここで、挿入の存在の確認は制限酵素消化分析によって行われ、90〜95%以上である。任意選択で、ピアグループシーケンシングを更に実行して、機能的な多様性を推定したところ、>80%であることが予想された。ファージライブラリー生成は、ファージ粒子の正確な数で慎重に行われ、その数は1010〜1011である。抗原に対するパニング実験に関して、磁気ベースのアプローチが、結合体に良好な制御を有するため採用された。磁気ダイナビーズに被覆された抗原の調製に関して、ビーズコンジュゲーション効率が>90%にセットされた。そのうえ、パニングは、107以下の数のファージ粒子での非結合体のみを除去するため、1ラウンドに固定された。この工程は、次の工程の酵母ディスプレイライブラリースクリーニングと良好に調整させた。いずれの偏った増幅又は標的とは無関係の集団の富化を回避するため、固定された90分間のファージ増幅期間が利用された。パンニングされたナイーブライブラリーを移行させるため、ssDNAがサケ精子DNAの存在下で単離され、続いて挿入物、すなわち、重鎖及び軽鎖レパートリーを増幅させた。精製されたレパートリーが、消化され、双方向性、単一方向性又は接合型のベクターであるfab形式又はScFvベクターであるScFv形式のいずれかにおける酵母発現ベクターにライゲーションされた。全てのケースにおいて、酵母における形質転換効率は、>107である。形質転換された酵母細胞は、重鎖、軽鎖及びFab分子発現(これは全体の集団の15〜50%以上である)について確認された。接合型に関して、接合効率は30〜50%の範囲である。発現分析は、それぞれ重鎖及び軽鎖に関して、複数のタグ、例えばFLAG、c-Myc及びHis-タグ並びにV5-タグで行われる。抗原結合に関してフローベースソーティングは、両方の抗原及び重鎖又は軽鎖のいずれかに対して、二重陽性と分析された。ソーティングされた分子は、少なくとももう一度、再度ソーティングされた後に、それらは個々に成長させられ、結合研究のため試験された。ELISA及びSPRベースの研究の両方が行われ、Fab/ScFv分子との結合が確認され、再確認された。
フローチャートに従い、本開示の重要なプロセス工程が記載される。
段階1:ファージにおける抗体ライブラリーの作出に対する血液試料コレクションで開始されるプロセス工程。
段階2:独立結合体のフローソーティングを使用する酵母クローン開発に対するファージライブラリースクリーニングを含むプロセス工程
(実施例3)
PBMCドナーの選択:
研究参加者は、インドにおける様々な領域からのいずれかの性別の独立した健常血液ドナーから選択された(図1)。全ての個体は、輸液目的の献血のため行われている通り規則的な血液試験についてスクリーニングされた。個々のドナーは、話されるユニークな言語(母国語)、民族性及び特定の地理的な位置を含む、少数の重要な判定基準に基づきカテゴリーに分けられる。全ての志願したドナーは、情報を受け取り、規制プロセスに従ってインフォームドコンセントを提供された。
試料のコレクション:
生物学的試料、例えば血液試料は、容量200〜250mLの範囲で成功裏に収集された。血液試料は、インドにおける5つ以上のユニーク且つ別個の領域からの遺伝的に多様な志願者から収集された。試料は、提供元で適切にコード化され、匿名性が維持された。現存のガイドライン、例えば食事再開、収集される血液の容量は、志願者毎に厳密に追随させた。血液収集は、各志願者から、医学的に承認された手順に従って行われた。血液報告は、何らかの更なる処理の前に、医師によって慎重に検討された。
PBMCの単離:
全ての試料についてPBMCの分離及び単離するため採用される方法は、Ficoll-paque,histoPaque(SIGMA)として知られるプロセスである。この密度勾配媒体は、その手順の遠心分離段階の間に媒体を通して血液細胞が差をつけて移動するとの原理に基づいて、SepMate(商標)チューブを使用して行われた。血液試料は、2%FBSを含有する150mL DPBSバッファーと混合された。更に、15mLのhistopaqueがSepMateチューブに加えられ、続いて30mLのPBMCバッファー混合物がそれに加えられた。全混合物が、1200gで10分間スピンダウンされた。PBMC層が、収集され、2%FBSを含有する50mLのDPBSバッファーで希釈され、続いて300xgで10分間遠心分離された。上清が廃棄され、純粋なPBMCを含有するペレットが2%FBSを含有する2mLのDPBSバッファーに再懸濁された。抗凝固因子又は脱線維素血標本が、Ficoll溶液の上部に慎重に層状化され、続いて遠心分離され、異なるタイプの細胞を含有する異なる層が形成された。底部層は赤血球(赤血球)及び顆粒球からなり、これらは収集又はFicoll媒体によって凝集された。PBMCからなる上部層は、典型的には血漿とFicoll溶液の間の界面にある。PBMCを回収するため、この層が慎重に回収され、2%FBS含有バッファーで遠心分離によって洗浄された。抗体ディスプレイライブラリーを発生させる抗体遺伝子断片を増幅するための、血液試料からの単離されたPBMCの使用は、倫理委員会によって承認された。
ナイーブB細胞集団の識別/ナイーブB細胞推定:
細胞表面及び細胞内のマーカーの差次的発現、並びに、それらの別個の免疫グロブリン及びサイトカイン分泌プロファイルにより、異なるB細胞サブセットの多様な性質及び機能に対する価値ある手掛かりが提供される。様々なユニークなマーカー(例えば、IgD、CD20、CD19、CD27、CD24、CD38)の存在又は非存在を活用して、B細胞集団の特異的なサブセットを識別する。各志願者からの単離されたPBMC試料は、RBC混入の顕微鏡検証について試験され、RBCフリーであることが見出された。更に、その中の全PBMCの数及びナイーブB細胞の数の見積を得るため、フローサイトメトリーベースの実験が行われ、ここで、PBMC中でCD19+/CD27+/IgD-細胞集団である抗体の包括的な選択の使用が、ナイーブB細胞集団として考慮される(図2)。1x106細胞が取得され、1%BSAを含有する1X PBSに再懸濁され、続いて25分間氷上で抗体とインキュベーションされた(Table 1(表1)を参照)。インキュベーション後、試料は、5分間、1500rpmで遠心分離され、続いて1%BSAを含有する1X PBSに再懸濁された。懸濁液は、2500rpmで5分間遠心分離され、続いて1% BSAを有する1X PBSを加えられた。試料は、フローサイトメトリー分析によって実験された。他のセットのマーカーもトラップされて、非Bリンパ球及び他のB細胞サブセット、例えば移行性B細胞(transitional B-cell)、メモリーB細胞等から区別された。約4000万から5000万個のPBMC細胞が、各試料から単離された。推定されたナイーブB細胞集団は、1試料当たり400万から500万の範囲である。5つの領域を一緒に考慮し、約107細胞の総数を使用して、ナイーブ抗体レパートリーが開拓された。重鎖及び軽鎖レパートリーに関する理論的な多様性の数を考慮すると、ナイーブB細胞の利用可能な数は、全ての可能な多様性を開拓するため十分大きい。
全RNA単離:
RNA収量又は品質に干渉しうる任意の貯蔵に関連する問題を予防するため、全RNA単離は、最大限注意して、試料単離と同日に完了させた。約107個の数の細胞が650μLのRLTバッファーに再懸濁され、続いて任意の沈殿物を含む懸濁液は、2ml収集管に配置されたRNeasy Miniスピンカラムに移行させ、≧8000gで15秒間遠心分離された。フロースルーは廃棄され、カラムは700μLのRWTバッファーで≧8000gで20秒間洗浄された。カラムは、500μLのRPEバッファーで2回、それぞれ≧8000g、15秒間及び2分間で洗浄及び遠心分離された。RNAは、≧8000gで1分間遠心分離することによって、30μLのヌクレアーゼフリー水に溶出された。各領域からの試料は、15〜20μgの範囲の全RNAを産出した。RNA試料の更なる分析により、cDNA生成に直接的に使用される各RNA試料が高純度であることが示された。
cDNA生成:
全抗体遺伝子レパートリーを完全に回復するため、cDNAは、プライマーとしてランダム六量体及びオリゴdTの両方で調製された;Superscript(商標)IVで各プライマーに対して約0.6〜1μgの全RNAが、第一鎖cDNA合成に使用された。RNAプライマー(ランダムプライマー又はオリゴdT)及び1μLの10mM dNTPミックス混合物は、65℃で5分間インキュベートされ、続いて氷上で少なくとも5分間インキュベーションされた。ランダム六量体を含有する反応に関して、組み合わせた反応混合物は23℃で10分間更にインキュベートされるが、オリゴdTを含有する反応に関して、この工程は含まれない。引き続いて1μLのジチオスレイトール(100mM)、RNaseOUT(40単位/μl)、及びSuperscript IV(200単位/μl)が、20μlの総容量中の反応に加えられ、50〜55℃で10分間続けた。反応は、それを80℃で10分間インキュベーションすることによって不活化された。生成されたcDNAの完全性は、GAPDH増幅によって検証された。反応条件は、以下の表(Table 2(表2)及びTable 3(表3))に記載される。各領域からの単離された全RNAが別々に使用されて、更なるPCR増幅のためcDNAが生成された。少なくとも約1012分子のRNA(0.6から1μgのRNA)が、理論的な多様性を網羅するため、各領域から使用された。RNA収量又は品質に干渉しうる任意の貯蔵に関連する問題を予防するため、全RNA単離は、最大限注意して、試料単離と同日に完了させた。生成されたcDNAの完全性は、GAPDH増幅によって検証された。生成された全cDNAのcDNA完全性検証後に、一次PCR増幅に使用された。第一鎖cDNA反応においてプライマーの非存在下ではバンドは得られず、産物がDNAではなくRNAの増幅からもたらされることを示す。
縮重プライマーの設計:
再構成されたV遺伝子に対するPCRプライマーの設計の最適化は、PCR産物の多様性を最大にするため行われた。プライマーは、成熟V領域の5'及び3'端(それぞれフォワード及びリバースプライマー)に位置させたが、鋳型とミスマッチし、増幅をバイアスする、内部制限部位は組み込まなかった。一次のフォワードプライマーはヒトVH(9プライマー)又はVk(6プライマー)又はVl(11プライマー)遺伝子のファミリーの各々にマッチさせるため及びリバースプライマーはヒトIgM又はCk又はClセグメントの各々にマッチさせるため設計された。二次のプライマーの更なるセットは、ランダムにVH及びVk、又はVl遺伝子の連結を最適化し、連結された遺伝子に対する制限部位を付け加えるため設計された。二次PCRのためのリバースプライマーは、Jh又はJk又はJlセグメントの端を開拓するため設計された。抗体レパートリーの組成に存在する遺伝性バリエーションとして、4つのユニークなトリヌクレオチドマーカーは、ドナーが選ばれ、試料が収集される、インドにおける話される言語及び地理的な位置に基づいて領域を特定する、設計された二次プライマーに組み込まれる(図1)。GCC、GCG、GCA及びGCTトリプレットとしてリストされるトリヌクレオチドマーカーは、それぞれ領域1、2、3及び4に関する重鎖サブファミリー中に特異的にタグ付けされた。重鎖サブファミリーは、その最高の理論的な多様性により選ばれた。全てのトリヌクレオチドマーカーは、同一のアミノ酸、すなわち、アラニンをコードし、抗体コンホメーション又は抗原結合に干渉しない。トリプレットは制限部位後に戦略的に配置され、マーカーはファージクローンを酵母に移行させた後でさえも保持することができる。リバースプライマーのセットは、設計されて、バリンをコードする、5つのユニークなトリヌクレオチドマーカー、すなわち、CACを含有する。アミノ酸バリンは、重鎖のフレームワーク4領域における保存されたアミノ酸である。これは、特異的な抗原に対して得られる分子の供給源を追跡するため特異的に行われる(Table 4(表4)及びTable 5(表5))。
IgMプールを増幅する一次PCR
一次PCR設定は、ナイーブレパートリーを表すIgMプールを開拓するため各サブファミリーに関して行われた。重鎖に関して、PCR設定は、150μLの総容量で以下に3連で表(Table 4(表4))に記載されるように50μL容量で行われた。この設定は、全てのプライマー組合せについて行われた。軽鎖カッパ及びラムダファミリーに関して、PCR反応は、様々なフォワード縮重プライマーと定常性Ck又はCλリバースプライマーで行われた。Cλリバースプライマー設計において軽度の配列差が存在し、従って双方のプライマーはPCR反応設定に個々に含まれる。PCR反応は、増幅に関して18〜25サイクルの94℃で1〜2分間、50℃で1〜2分間、及び72℃で50秒間〜90秒間で行われた。低数のPCR増幅サイクルが、PCR導入変異の確率を減少されるという考えで固定された。Vh、Vk及びVlの個々のサブファミリーに関する一次PCRアンプリコンは、約680bpサイズであることが見出された。重鎖及び軽鎖の全てのサブファミリーが、予想された増幅を示す(図3)。
一次PCRの精製:
個々のファミリーからの一次アンプリコンは、プールされ、PCRクリーンアップキットを使用してクリーンアップされた。5容量のバッファーPB、すなわち、750μlのバッファーPB、が、150μlのプールされたPCR産物である1容量のPCR試料に加えられた。準備された2ml収集管にQIAquickスピンカラムが配置され、続いて遠心分離法によってDNAが結合された。750μLのバッファーPEを通過させ、続いて空スピンして残りのPEバッファーが除去された。洗浄されたDNAは、40μLのヌクレアーゼフリー水に溶出された。各サブファミリーに対する濃度推定は、2〜4μgと測定された。
二次PCRでナイーブ集団を富化して、社内のベクターと適合させた:
二次PCR設定は、50〜100ngの一次アンプリコンを鋳型として行われた。PCR条件は、一次のものと類似させて維持された。しかしながら、プライマーは、後にファージミドへのクローニングのため制限部位がタグ付けされた。重鎖ファミリーに関して、PCR反応は、様々のフォワード縮重プライマーと制限部位、すなわち、NcoIで行われた。重鎖に関するリバースプライマーは、可変性部分からJhセグメントの開始部にまたがる領域を増幅するためであり、制限部位はXbaIである。重鎖に関して、PCR設定は、150μLの総容量で以下に3連で表(Table 7(表7)及びTable 8(表8))に記載されるように50μL容量で行われた。この設定は、全てのプライマー組合せについて行われた。軽鎖カッパ及びラムダファミリーに関して、PCR反応は、様々なフォワード縮重プライマーと制限部位(すなわち、HindIIIであり、一方でAscIはリバースプライマーに関する制限部位である)で行われた。PCR反応は、増幅に関して18サイクルの94℃で1分間、50℃で1分間、及び72℃で50秒間で行われた。約350〜400bpの予想されたアンプリコンサイズが認められ、可変領域のみが増幅されることを示す(図4)。
二次PCR産物の推定:
全てのそれぞれのサブファミリーは、カラムがクリーンにされ、続いてバイオフォトメーターにより濃度推定された。これは各プール中のDNAの量の見積をとるため必須であり、ライブラリー生成を前進させる分子の数に反映される。Vh、Vk及びVlの全収率は約30μgであり、それらは等モル比にプールされた。
PCR産物の多様性推定:
二次PCR産物は、それぞれのサブファミリー(Vh、Vk及びVl)に応じてプールされた。1ugの各サブファミリーは、2単位TaqDNAポリメラーゼ及び0.2mM dATPの混合物と別々に混合された。PCR伸長反応は、72℃で20分間行われた。伸長された産物は、PCR精製キットを使用することによって精製された。750μLのバッファーPBが、150μLのプールされたPCR産物である1容量のPCR試料に加えられた。準備された2ml収集管にQIAquickスピンカラムが配置され、続いて遠心分離法によってDNAが結合された。750μLのバッファーPEを通過させ、続いて空スピンして残りのPEバッファーが除去された。洗浄されたDNAは、40μLのヌクレアーゼフリー水に溶出された。DNA量推定は、バイオスペクトロフォトメータを使用して行われた。各サブファミリーは、4℃で一晩リガーゼ酵素でインキュベーションすることによって個々にクローニングベクターにライゲーションされた。
実際のライブラリーを生成する前に、ヌクレオチドプールの機能的な多様性を理解/推定することが必須である。そうするために、各Vファミリーから一部のアンプリコンは、クローニングベクターにクローン化された。制限酵素消化によって確認された選択されたクローン(図5)は、ピアグループシーケンシングに送られた。シーケンシング結果により、全てのクローン化された分子が、異なるCDR配列、長さを有し、生産的であることが示された。同様に認められる少数の非生産的な配列が存在するが、これは有意に十分ではない。配列は、重鎖及び軽鎖のコンセンサス配列を使用するインシリコアプローチを介して異なるファミリーにカテゴリー分けされる。代表的なファミリーメンバーは、シーケンシングされたプール中に認められる。そのうえ、試料は、PCR増幅され、機能的な多様性の完全な深さを理解するため、大規模シーケンシング(deep sequencing)に送られた。
軽鎖クローニング
社内のファージミドに則した二次PCRプールからの5μgのカッパ及びラムダ軽鎖は、総容量100μLにおいて、37℃で一晩HindIII及びAscIで消化された。消化された試料は、ゲル溶出され、続いて4℃で一晩のライゲーションが設定された(図6)。25〜50ngのライゲーション混合物は、1.0mmキュベットが、1800ボルト、600オーム及び10μFの最適な設定で使用されるエレクトロポレーションによって25μLのTG1細胞に形質転換された。回収培地中に回収後に、200μLの形質転換された細胞は、144mmプレートに広げられ、37℃で一晩インキュベートされた。全体で6〜8プレートが存在し、そこから次の日にコロニーが擦り取られ、ストックが20%グリセロールで作製された。形質転換効率は、希釈プレーティングによって計算され、108から約1010、好ましくは約108の範囲にあることが見出された。
細胞の総数は、希釈プレーティングによってグリセロールストックの1バイアル当たり決定され、1012であることが見出された。コロニーは、5mL LB-Ampに播種され、プラスミドが単離された。単離されたプラスミドは、制限酵素消化分析について確認された。約300bpの挿入物放出により、プール中のカッパ及びラムダ両方の軽鎖の存在が確認された。
軽鎖プール(カッパ及びラムダ両方)の1つのバイアルは、100mLのLB-Ampに播種され、37℃振盪インキュベーターで2〜3時間成長させ、続いて製造者のプロトコール通りqiagen midi prepキットによって単離された。midi prepしたDNAは、制限酵素消化分析で確認された後に、それへの重鎖の組込みを進行させた。社内のファージミドに則した二次PCRプールからのカッパ及びラムダ軽鎖は、HindIII及びAscIで消化され、続いてライゲーションされ、高度にコンピテントな細胞であるTG1に個々に形質転換された。抗体形式の選択としてFabが好ましく、その理由は、これが粗製の抗体調製物に関する急速なハイスループット親和性スクリーニングアッセイの開発を促すからである。
約108の形質転換効率は、多様性を開拓するプール中に存在する多数の独立クローンを示す。コロニーが、擦り取られ、将来使用するためのグリセロールストックとして保管された。1バイアル当たりの細胞の推定数は1010であり、過剰な完全な多様性を表す。少数の代表的なクローンが、プラスミド単離に使用され、制限酵素消化によって確認され(図7)、軽鎖挿入が約100%存在することが示された。別個のMidi prepが行われて、プールからカッパ及びラムダ両方の軽鎖ライブラリーDNAが単離された。Midi prep DNAが、制限酵素消化によって再び確認された後に、重鎖プールの更なる挿入に使用された。Table 9(表9)及びTable 10(表10)は、軽鎖クローニングに適用可能な成分を提供する。
重鎖クローニング:
重鎖の二次PCRプールに則した5μgのカッパ及びラムダ軽鎖ライブラリーDNAは、総容量100μLにおいて、37℃で一晩NcoI及びXbaIで消化された。消化された試料は、ゲル溶出され、続いて4℃で一晩のライゲーションが設定された(図8)。25〜50ngのライゲーション混合物は、1.0mmキュベットが、1800ボルト、600オーム及び10μFの最適な設定で使用される、エレクトロポレーションによって25μLのTG1細胞に形質転換された。回収培地中に回収後に、200μLの形質転換された細胞は、144mmプレートに広げられ、37℃で一晩インキュベートされた。全体で6〜8プレートが存在し、そこから次の日にコロニーが擦り取られ、ストックが20%グリセロールで作製され、-80℃フリーザーに保管された。形質転換効率は、希釈プレーティングによって計算され、108から約1010、好ましくは約108の範囲にあることが見出された。
細胞の総数は、希釈プレーティングによってグリセロールストックの1バイアル当たり決定され、1012であることが見出された。コロニーは、5mL LB-Ampに播種され、プラスミドが単離された。単離されたプラスミドは、重鎖に関してNcoI及びXbaI並びにカッパ及びラムダ軽鎖に関してHindIII及びAscIでの制限酵素消化分析について確認された。約400bpの挿入物放出により、カッパ(図9)及びラムダプール(図10)中の重鎖の存在が確認された。
DNAライブラリーを含有するカッパ及びラムダ軽鎖二次PCRプールに則した重鎖は、NcoI及びXbaIで個々に消化され、続いてライゲーションされ、高度にコンピテントな大腸菌(E.coli)細胞であるTG1に個々に形質転換された。Table 11(表11)及びTable 12(表12)は、重鎖クローニングに適用可能な成分を提供する。
軽鎖ライブラリーへの重鎖のクローニング、クローンのスクリーニング、効率推定、細胞の擦り取り、グリセロールストック調製。細胞/バイアルの推定:
約108から約1010、好ましくは約109の形質転換効率は、多様性を開拓するプール中に存在する多数の独立クローンを示す。コロニーが、擦り取られ、将来使用するためのグリセロールストックとして保管された。1バイアル当たりの細胞の推定数は1012であり、完全な多様性を表す。少数の代表的なクローンが、プラスミド単離に使用され、制限酵素消化によって確認され、重鎖及び軽鎖挿入物の両方が約90%存在することが示され、Fab形式の存在が確認された。選択されたクローンは、ピアグループシーケンシングに任意選択で送られた。シーケンシング結果により、クローン化された分子の>80%が、機能的であること(図11)並びに異なるCDR配列及び4から22アミノ酸の範囲の長さを有することが示された。少数の非生産的な配列が同様に認められるが、これは有意に十分ではない。これは、PCRプールによる細菌性ライブラリーへのナイーブB細胞レパートリーからの多様性の完全な移行を示している。
ファージライブラリー生成:
1mlのカッパ及びラムダ細菌グリセロールストックは、ODが600nmで0.8に到達するまで37℃で、200ml LB-AMP培地中で成長させた。更に、細菌に対して10の感染効率(MOI)でM13KO7ヘルパーファージが、加えられ、37℃で更に30分間インキュベートされた。感染後に、感染させた細菌は遠心分離され、ペレットは、100μg/mlアンピシリン及び25μg/mlカナマイシンを有する200mlのLBに再懸濁され、続いて250rpmで30℃で一晩成長させた。懸濁液は8000rpmで4℃で15分間スピンダウンされ、続いてペレットが廃棄された。分離された上清は上清の1/4容量中でPEG NaCl溶液と混合され、混合物は氷上で1時間インキュベートされた。混合物は10000gで15分間遠心分離され、ファージペレットは20mlのPBSに再懸濁された。グリセロールは、全ファージ懸濁液に対して終濃度50%まで加えられ、ファージライブラリーストックとして-80℃で1mlのアリコートに凍結された。
カッパ及びラムダ細菌性ライブラリーの両方のグリセロールストックは、混合され、播種され、ファージライブラリー生成のため使用された。ヘルパーファージを加えて、多様性をディスプレイするファージ粒子は、沈殿され、精製され、将来使用するためのグリセロールストックとして保管された。プラーク形成アッセイに由来するファージライブラリーの推定数は、約1010から約1011、好ましくは約1011 pfu/mLであることが見出された(図12)。
ライブラリーのスクリーニング/パニングのための戦略:
ナイーブライブラリーのスクリーニングは最も重要な工程であり、その理由は、これが特異的な標的抗原に対する潜在的な結合体のストリーム(stream)を産生するからである。パニングの目的は、結合体の生成及び開発の全プロセスを念頭に置いて、ナイーブレパートリーのプールから非特異的な結合体を除去することである。従って、結合、増幅及び制限酵素消化並びに配列確認工程からなるファージスクリーニング戦略は、慎重に決定することが必要とされる。効率的な結合を有することに加えて、抗原とファージ分子との比も、それに応じて決定されて、結合の間のあらゆる種類のバイアスが回避される。
ファージディスプレイされた抗体のライブラリーは、他のクローンよりも良好に標的に対して結合するクローン及び他のクローンよりも速く増幅するクローンを含有する。これらの特性は、たいていは独立している。これはまた、より長い期間の増幅が、結合体の多様性の欠損に向けて駆動する可能性を示している。そのうえ、標的無関係の抗体が富化される可能性が存在する。
上記に言及される判定基準を実践し続けて、抗原分子のファージ分子に対する比は、少なくとも10〜100倍高く維持された。非特異的な結合体の富化の任意の選別を回避するため、増幅は90分間以下に維持された。
ファージ数の推定:
TG1細菌プレートからの単一コロニーは、3ml LB培地中で細菌に播種され、37℃でOD600≒0.9まで成長させた。0.7%のアガロースはMQ水中に調製され、15mlのファルコンチューブ中に各々3mlのアリコートに50℃で保管された。ファージ上清及びペレットは、それぞれの工程で10-1から10-4で希釈された。100ulの希釈されたファージ及び100μl TG1細胞は、各々のアガロースアリコートに加えられ、混合され、続いて直ちにLB寒天プレートに広げられた。プレートは、37℃インキュベーターで一晩インキュベートされた。プラーク形成が、観察され、翌日カウントされた。パンニングされた分子の数は、観察されたプラークの数に基づき計算された。
ビーズコンジュゲーション:
Dynaビーズは、約108ビーズに対応する0.5mgの量で秤量され、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4に溶解させた。この懸濁液は、30秒間ボルテックスされ、続いて連続的に回転させて室温で10分間インキュベーションされた。懸濁液は、0.1Mリン酸ナトリウムバッファーで2回洗浄され、100μLの0.1Mリン酸ナトリウムバッファーに再び再懸濁させた。Her2、リガンド溶液、(約100μL)は、10μgのビーズ懸濁液に加えられた。更に、懸濁液は、よく混合された後に、100μLの硫酸アンモニウム溶液(3M硫酸アンモニウム)が加えられた。混合物は、緩徐に、傾斜させ、連続的に回転させて37℃で20時間インキュベートされた。インキュベーション後に、チューブは、磁気分離のため、磁石ホルダーに1分間配置された。磁石ホルダー(配置されたチューブとともに)は、2回慎重に転倒させてキャップ中にビーズが残らないことを保証された。上清は除去され、ビーズはBSA(0.05%)を含有する1mLの1X PBSで4回洗浄された。最終的に、ビーズは、BSA(0.05%)を有する100μLの1X PBSに再懸濁され、パニングに使用された。
FACSによるビーズコンジュゲーション効率:
パニングのため磁気分離ベースアプローチを行うため、抗原被覆磁気ビーズの生成が行われた。コンジュゲーション効率は、フローサイトメーターを使用して決定された(図13)。精製されたHer2は、抗原として使用された。実験は、抗体の様々な組合せを有する約105ビーズのインキュベーションで開始された。ここで、リガンドと結合する抗体は、ビオチンで標識させた。N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル活性化ビオチンは、ビオチン標識試薬の最も一般的タイプである。NHSエステルは、pH7〜9バッファー中で、第一級アミノ基(-NH)と効率的に反応して安定なアミド結合を形成する。抗体及び他のタンパク質は、各ポリペプチドのN末端に加えて、複数のリジン(K)残基を一般に含有するので、それらは、NHS活性化試薬との標識化のための標的として利用可能な複数の第一級アミンを有する。ビオチン標識化の程度は、タンパク質におけるアミノ基のサイズ及び分布並びに使用される試薬の量に依存する。10mMビオチン溶液は、2.2mgのスルホ-NHS-ビオチンを500μLの水と混合することによって作製された。1X PBS中の抗Her2抗体であるトラスツズマブ溶液は、濃度2mg/mLで作製された。27μLのビオチン溶液が、1mLのトラスツズマブに加えられ、続いて氷上で2時間インキュベーションされた。Thermo Scientific ZebaSpin脱塩カラムを使用して、過剰及び非結合性のビオチン分子が溶液から脱塩された。タンパク質濃度は分光光度計を使用して推定され、濃度はわずかな変化をともなうことが見出された。非特異的な抗体であるリツキシマブもビオチン化され、ビオチン標識後に対する濃度推定は2mg/mLとされた。Alexa 633フルオロフォアを有するストレプトアビジンは、ビオチン標識の程度を開拓するため二次抗体として使用された。1μLのビーズ単独及びHer2リガンド被覆されたビーズは、抗体なし、ビオチン化されたトラスツズマブ、ビオチン化されたリツキシマブと濃度0.05mg/mLで混合され、続いて0.5%BSAを含有する1X PBSで容量を100μLとされた。混合物は、氷上で2時間インキュベートされ、続いて0.5%BSAを含有する1X PBSで洗浄された。最終的に、ビーズは、0.5%BSAを含有する1X PBS中の25μLのストレプトアビジン-alexa633溶液に再懸濁され、容量が500uLに増加された後に、読み取られた。全てのフロー実験は、Accuri C6フローサイトメーターを使用して行われ、分析はBD Accuri C6ソフトウェアを使用して行われた。第1に、フォワード及びサイドスキャッターデータは、ゲートを固定してみられ、続いて蛍光がFLH4フィルターを通して読まれた。少なくとも10000データポイントが、各試料から収集された。
パニング:
新たにストリークしたTG1細菌プレートからの単一コロニーは、3ml LB培地に播種され、続いて37℃でOD600≒0.9までインキュベーションされ、これが後にファージ感染のため使用された。100μl 0.5%MPBSは、抗原コンジュゲート磁気ビーズの100μl懸濁液に加えられ、室温で2時間インキュベートされた。ファージライブラリーアリコートは解凍され、ファージ粒子は250μl(ファージ懸濁液容量の1/4)PEG/NaCl溶液(20%PEG8000及び2.5M NaCl)で沈殿され、氷上で30分間インキュベートされ、続いて沈殿されたファージは10,000xgで10分間遠心分離された。上清は廃棄され、ファージペレットは200μl PBS溶液に再懸濁された。ファージ懸濁液(200μl)は、抗原を有するコンジュゲートビーズに加えられ、回転装置で室温で2時間インキュベートされた。ビーズは、1ml 0.05%PBST(PBS中に0.05% Tween-20)で少なくとも2回洗浄された。最終的に、ファージ粒子結合体を結合させた磁気ビーズは、100μl PBSに再懸濁された。10μLのビーズ懸濁液は、後にプラークアッセイのため別にして取っておかれた。残りの90μlの懸濁液は早期に調製された2mlの成長させたTG1細胞に加えられ、混合物は37℃で1時間インキュベートされた。それは、インキュベーション後、終濃度25μg/mlでアンピシリンを含有する10ml LB培地に希釈された。250rpmで振盪させて37℃で追加の二時間のインキュベーション後、アンピシリンの濃度は終濃度100μg/mlに増加された。ヘルパーファージであるM13KO7は、10のMOIで増幅させたTG1細胞に混合され、37℃で更に30分間インキュベートされた。ヘルパーファージ感染させた細菌はスピンダウンされ、ペレットは100μg/mlアンピシリン及び25μg/mlカナマイシンを補充した10mlのLB培地に再懸濁され、続いてファージ増幅のため30℃で90分間インキュベーションされた。細菌培養物は、10,000gで10分間遠心分離によってペレットにされた。ペレットは廃棄され、上清は、上清に対してPEG/NaCL溶液(上清のl/4容量)を加えることによって増幅させたファージ分子の沈殿のため使用された。混合物は氷上で30分間インキュベートされ、続いて沈殿させたファージは10,000gで10分間スピンされた。上清は廃棄され、ペレットは1mlのPBSに再懸濁された。プラークアッセイが10μLの増幅させたファージ懸濁液で行われて増幅されたファージ数が見積られ、沈殿させたファージの残りは長期貯蔵のため-80℃フリーザーで50%グリセロールで保管された。
プラークアッセイが全ての工程で行われて、ファージ粒子の数が保証された。TG1細菌プレートからの単一コロニーは、3ml LB培地中で細菌に播種され、37℃でOD600≒0.9まで成長させた。0.7%のアガロースはMQ水中に調製され、15mlのファルコンチューブ中に各々3mlのアリコートに50℃で保管された。ファージ上清及びペレットは、それぞれの工程で10-1から10-4で希釈された。100ulの希釈されたファージ及び100μl TG1細胞は、各々のアガロースアリコートに加えられ、混合され、続いて直ちにLB寒天プレートに広げられた。プレートは、インキュベーターにおいて37℃で一晩インキュベートされた。プラーク形成が、観察され、翌日カウントされた。パンニングされた分子の数は、観察されたプラークの数に基づき計算された(図14)。
ファージssDNAの単離並びにPCRによる重鎖及び軽鎖多様性の増幅:
1バイアルの増幅されたファージは解凍され、200μlの20%PEG/2.5M NaClと一緒に5μgのサケ精子DNAが、混合物を数回反転させることによって、そこに加えられ、続いてそれを4℃で2時間置かれた。(更なる選択及びソーティングのため、パンニングされたプールを酵母ディスプレイシステムに移行させるため、結合体のssDNAは、それがパンニングされた多様性を表すように、十分な量で単離されなければならない。剪断され、煮沸されたサケ精子DNAの使用により、パンニングされたssDNAの収率が特異的に改善された。)サケ精子DNAは、使用前に剪断され、煮沸された。サケDNAは、秤量され、濃度5mg/mLまでヌクレアーゼフリー水と混合させた。DNAは、22ゲージ針で3回穏やかに混合することによって剪断され、続いて5分間煮沸された。更に、断片化されたDNAは、将来使用するため-20℃でアリコートに保管された。ファージ、PEG/NaCl及びサケ精子DNAを含有する混合物は、14,000X rpm、4℃で10分間遠心分離され、上清は廃棄された。ここで注記される点は、ファージペレットが認められないケースでは、混合物は、同じ速度で短時間再スピンされることである。上清は、慎重にピペットで移され、ペレットのみが残された。ペレットは、チューブをボルテックスすることによって、100μlのヨウ化物バッファー(10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA、4Mヨウ化ナトリウム(NaI))に完全に再懸濁された。250μlの100%エタノールが、加えられ、-80℃で一晩インキュベートされた。調製物は14,000rpm、4℃で30分間遠心分離され、上清は廃棄された。ペレットは、0.5mlの70%エタノールで2回洗浄され、続いてペレットは風乾された。ペレット含有SSDNAは、20μLのヌクレアーゼフリー水に再懸濁された。
PCR増幅は、特異的なセットのVh、Vl及びVkプライマーで行われ、Vhに関して約500bpであるが、Vk及びVlに関して450bpである正確なサイズに増幅された(図15)。PCRサイクルの使用は、限定数に維持されて、PCR媒介性の変異の組込みの機会を避けた。アンプリコンは、ゲル溶出され、Vhに関してはNcoI及びNotIで消化されたが、Vk又はVlに関してはHindIII及びAscIが使用された。詳細なPCT設定は、Table 13(表13)に提供される。
酵母シャトルベクターにおける重鎖及び軽鎖ライブラリーの構築:
全体的な戦略の計画は、酵母システムにおいてスクリーニング及びソーティングを行うため、ファージからの特異的な結合体を酵母発現ベクターに移行させることである。親和性に基づく方法が、適合する方法、すなわち、FACS、を使用して利用されて、最良の結合体が更に選択され、ランク付けされた。
抗体形式の選択としてFabが好ましく、その理由は、これが粗製の抗体調製物に関する急速なハイスループット親和性スクリーニングアッセイを開発することを促すからである。Fabライブラリーは、軽鎖ライブラリー及び重鎖ライブラリーが、異なる酵母発現ベクターにクローン化される接合システムを活用することによって開発された。しかしながら、軽鎖に関して排他的に設計され、生成された、社内の酵母発現ベクターに則したパンニングされた分子のカッパ及びラムダ軽鎖PCRプールは、HindIII及びAscIで消化され、続いてライゲーションされ、高度にコンピテントな細胞であるTG1に個々に形質転換された。
同様に、HC鎖プール及びそれぞれのベクターは、NcoI及びNotIで消化され、続いてライゲーションされ、高度にコンピテントな細胞であるTG1に形質転換された。重鎖及び軽鎖パンニングライブラリーの両方に関して得られた形質転換効率は、>107 cfuである。これらのベクターに加えて、全てのベクターに対して共通の排他的な特徴をともない生成される、幾つかの発現ベクターが存在する;これに反して、酵母表面にディスプレイされた抗体断片の形式は、変動する可能性があるが、移行させた可変性プールは全体にわたって定常性を残される。
重鎖及び軽鎖ライブラリーの両方に関して得られた形質転換されたコロニーは、重鎖に関してNcoI/NotI及び軽鎖に関してHindIII/AscIを使用して挿入物放出について確認された後に、それらは、グリセロールストック調製のため擦り取られた。鎖の両方についての挿入物放出により、パンニングされた分子の存在が確認された。グリセロールストックは、将来使用するため-80℃で保管された。Table 12(表12)、Table 13(表13)及びTable 14(表14)は、酵母ベクターにおけるライブラリーの構築に適用可能な成分を提供する。
重鎖及び軽鎖ライブラリーの形質転換:
大量のプラスミドDNA単離は、両方のライブラリーについて行われ、続いて確認のため、それぞれの酵素で制限酵素消化された(図16及び図17)。検証に際し、1μgの各DNAが、取得され、エレクトロポレーション法によって約5x106〜2x107細胞/mlで酵母細胞に形質転換された。形質転換のための株に関して、EBY100が、重鎖ライブラリーの細胞表面ディスプレイのための宿主として使用されたが、YVH10は軽鎖ライブラリーを発現させるため使用された。
より具体的には、5ml YPDブロス中の酵母細胞は、振盪して30℃で一晩成長させた。一夜培養物は、10ml中にOD600が約0.2〜0.3まで希釈され、中間対数期(約5x106〜2x107細胞/ml又は0.8〜1.0のOD600)まで成長させた。中間対数期細胞は500g、4分間でペレットにされ、上清は廃棄された。1mlのEZ1溶液が、ペレットを洗浄するため加えられた。細胞は再ペレット化され、上清は廃棄された。500μl EZ2溶液が、ペレットを再懸濁するため加えられた。400μlのコンピテント細胞は、1μg DNA(5μl容量未満)と混合性された;500μl EZ3溶液が、加えられ、完全に混合された。前記は、30℃で1〜1.30時間インキュベートされた。このインキュベーションの間、手で叩くことによって激しく混合すること又は15〜20分間毎にボルテックスすることが、行われた。100μlの上記形質転換混合物は、適切なドロップアウト合成グルコースプレートに蒔かれた。プレートを30℃で2〜4日インキュベートして、形質転換体を成長させた。重鎖及び軽鎖パンニングライブラリーの両方は、>106の効率で酵母株(EBY100-ura3Δ及びYVH10)に成功裏に形質転換された。
酵母接合による酵母二倍体ライブラリーの構築:
表面にライブラリーのFab形式をディスプレイするため、重鎖及び軽鎖ライブラリーを表す2つの成長させた半数体細胞の接合は、等数の半数体細胞を混合することによって行われた。接合効率は、単一選択プレート中の全コロニーの数で割った二重選択プレート中の二倍体コロニーの数として計算され、ここで、計算された接合パーセンテージは約40%である。更に、二倍体細胞は、任意の成長及び発現分析の前に、二重ドロップアウト培地(ura-、Trp-)において富化された。
より具体的には、p414GAL1にHCパンニングライブラリーを含有するEBY100-ura3Δ(MATa)形質転換体及びp416GAL1にLCパンニングライブラリーを含有するYVH10(MATα)形質転換体は、それぞれ5mlのTrpドロップアウトグルコース及びUraドロップアウトグルコース培地中で30℃及び220rpmで一晩成長させた。次に、半数体細胞は、新たに調製した上記の選択的な培地に初期細胞OD600≒0.3で再播種され、それらが光学濃度約1.2〜1.8に達するまで成長させた。2つの成長させた半数体細胞の接合は、ボルテックスすることによって等数の細胞(1.0 OD)を混合すること、それらをYPD寒天プレートに広げること及び30℃で一晩インキュベーションすることによって行われた。細胞は、1mlの二重選択的なUra Trp二重ドロップアウトグルコース培地で穏やかに擦り取ることによって収集され、遠心分離(2,500gで3分間)によってペレットにされた。細胞は、1mlの滅菌された冷脱イオン水との再懸濁によって洗浄され、遠心分離され、残りの培地成分が除去された。接合効率を見積るため、洗浄された細胞は、総容量1mlのUra Trp二重ドロップアウトグルコース培地に再懸濁され、連続的に希釈され、二重選択的なTrp Ura二重ドロップアウトグルコース寒天、Trpドロップアウトグルコース寒天及びUraドロップアウトグルコース寒天プレートに広げられた。プレートは、30℃で2〜3日間インキュベートされ、コロニーの数がカウントされた。接合効率パーセンテージは、単一選択プレート中の全コロニーの数で割った二重選択プレート中の二倍体コロニーの数として計算された。二倍体を富化するため、必要とされるときはいつも、細胞は、次に、非常に低い細胞密度OD600=0.1でTrp Ura二重ドロップアウトグルコース培地に播種され、30℃で24時間成長させた。
酵母細胞の抗体遺伝子発現及びフローソーティング分析:
重鎖プール及び軽鎖プールを発現するプラスミドを有する出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)2Nライブラリーは、10mlのUra TrpSDCAA二重ドロップアウト培地に播種され、30℃で一晩(16〜20時間)成長させた。一晩成長させた培養のOD600nmが測定され、それに応じて、最終的なOD600nmが0.2から0.3になるように、10ml SDCAAUra Trp二重ドロップアウトグルコース培地(未誘導培養)及び10ml 2XSGCAA培地(誘導培養)に播種された。未誘導及び誘導細胞は、20℃で24から約48時間の範囲の異なる時点で成長させられた。
ソーティング研究に関して、抗原結合は、ビオチン化された抗原(Her2)を使用してモニターされ、重鎖及びビオチン化された抗原の二重染色に関する陽性イベントに基づき、選択され、ソーティングされた。10mMビオチン溶液は、2.2mgのスルホ-NHS-ビオチンを500μLの水と混合することによって作製された。1X PBS中の抗原、すなわちHer2溶液は、濃度1mg/mLで作製された。0.28mMビオチン溶液と計量される20倍モル過剰が、1mLのHer2溶液に加えられ、反応が開始され、続いて氷上で2時間インキュベーションされた。Thermo Scientific ZebaSpin脱塩カラムを使用して、過剰及び非結合性のビオチン分子が溶液から脱塩された。ビオチン化されたHer2の濃度は、0.56mg/mLであることが見出された。500nMのビオチン化された抗原の濃度を使用して結合実験が行われた。重鎖プール及び軽鎖プールを発現するプラスミドを有する酵母二倍体ライブラリーは、10mlのUra Trp二重ドロップアウトグルコース培地に播種され、30℃で一晩(16〜20時間)成長させた。一晩成長させた培養のOD600nmが測定され、それに応じて、最終的なOD600nmが0.2から0.3になるように、10ml Ura Trp二重ドロップアウトグルコース培地(未誘導培養)及び10ml Ura Trp二重ドロップアウトガラクトース培地(誘導培養)に播種された。未誘導及び誘導酵母細胞は、20℃で24から48時間の範囲の異なる時点で成長させられた。再ソーティングに関して、酵母細胞が、収集され、YPD培地に成長させられ、Ura-Trp-二重ドロップアウトグルコースプレートに更に蒔かれ、30℃で2〜3日インキュベートされた。Ura-Trp-グルコースプレートに成長させた二倍体酵母細胞は、上記に言及される類似する手順でのフローサイトメトリーによって再ソーティングされ、20℃での誘導の24時間後に反復された。
全てのフロー分析に関して、0.5%BSAを含有する1X PBSである、標識化バッファーが調製され、続いて4x105細胞(誘導/未誘導)を100μl LBに移行させた。細胞は、10000rpm、4℃で2分間スピンダウンされた。上清は、細胞をかき乱すことなく慎重に除去された。25μlの一次抗体(軽鎖に対して抗-His、重鎖に対して抗-c-Myc抗体及びビオチン化Her2に対してSTREP-Alexa 633)を、試料に対して加え、4℃で30分間インキュベートした(標識化バッファー中で行われる抗体希釈の全ての調製物)。更に100μlの標識化バッファーは、試料チューブに加えられ、続いて細胞が標識化バッファーで2回洗浄された。25μlのフルオロフォアでコンジュゲートされた二次抗体は、試料チューブに混合された。試料は、4℃で20分間インキュベートされた。細胞は上記に言及されるように100μl標識化バッファーで2回洗浄され、細胞は350μlの1x PBSに再懸濁され、続いて試料はフローサイトメーターで分析された(図18)。
軽鎖及び重鎖の発現は、有意なパーセンテージで観察された。軽鎖発現は、抗-His抗体によりプローブされ、>7%であることが見出されたが(図18)、抗-c-Myc抗体でプローブされた重鎖は7.2のパーセンテージでビオチン化Her2での二重陽性クアドラントに現われることが見出された(図18)。この結果は、Fab形成及び同じものが標的抗原との結合が成功したことを示している。加えて、軽鎖マーカー抗-His及びV5タグのソーティングも探究され、Her2抗原染色に対して陽性であることが見出されたが、パーセンテージは約4%とされた(図19)。これは、見出された結果と一致し、他の研究者によって共有された。この結果はまた、二重栄養要求性マーカー選択二倍体が、重鎖に関連する軽鎖を発現することを示している。
二倍体からの重鎖及び軽鎖の増幅:
Ura-Trp-グルコースプレートで成長させた酵母二倍体コロニーを使用して、重鎖及び軽鎖を増幅させた。コロニーPCRに関して、細胞は0.1%SDSで95℃で5分間処理された。細胞は次にスピンダウンされ、上清は鋳型として使用された。PCR増幅された試料は、精製され、次にゲル溶出され、シーケンシングに送られた。それぞれのサイズを有するアンプリコンの出現により、細胞が、真に二倍体であり、重鎖及び軽鎖の両方を含有することが示された(図20)。確証的な試験として、重鎖及び軽鎖が、特異的な対のプライマーで増幅されるPCRベースの実験が行われた。VH及びVLに対する2セットのプライマーが、使用された(Table 17(表17))。配列結果が分析され、結果は抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域のものとマッチさせた。
Her2抗原でのソーティングされたライブラリープールのインビトロ結合研究:
酵母コンビナトリアルライブラリーは、半数体細胞の接合によって作出され、標的抗原であるHer2に対する更なる選択に関して使用された。Her2結合及びc-Mycに対する二重陽性細胞が、YPD培地にソーティングされ、Ura-Trp-二重ドロップアウトグルコースプレートに更に蒔かれ、30℃で2〜3日間インキュベートされた。更に、細胞は、Trp-グルコース培地(未誘導)及びTrp-ガラクトース培地(誘導)に播種された。誘導の48時間後、培養のODが測定された。異なる細胞数(1.2X107、2.4X107、4.8X107)がTEVプロテアーゼ切断に使用され、各々は1単位、5単位及び10単位の酵素で処理された。反応混合物は、以下のように、調製された。
反応混合物は、30℃、220rpmで4.5〜5時間インキュベートされた。インキュベーション後、試料は4000rpmで10分間遠心分離され、上清は2〜8℃で保管された。
ELISA実験に関して、プレートは、2〜8℃で50uLの1ug/mL Her2で一晩被覆された。被覆プレートは200μLのPBSTで2回洗浄され、続いて振とう器上で300μLのブロッキングバッファーで2時間インキュベーションされた。これは、続いて200uL PBSTで2回洗浄された。プレートは、乾燥され、2〜8℃で保管された。
プレートは、200ul PBSTで再び2回洗浄された。試料(TEV切断後に収集された上清)の異なる希釈物が、プレートに加えられ、1時間振とうして室温でインキュベートされ、続いて200μLのPBSTで2回洗浄された。試料は、振とう条件において一次抗体で室温で1時間インキュベートされ、続いてPBSTで洗浄された。更に、試料は、二次抗体で室温でインキュベートされた。プレートは次に200μL PBSTで洗浄され、反応は100μLのTMB基質を使用して発色された。発色後、反応は、50μLの1N H2SO4で停止させた。Herclon(登録商標)は、ELISAに対する標準として使用され、上記に言及されるように処理された。
酵母構築物は、それらがTEVプロテアーゼ切断によってアンカータンパク質、すなわち、Aga2p、から放出できるような様式で生成された。放出された抗体断片は、インビトロでの結合研究に関して使用された。この特徴は、クローンの親和性に基づく選択を援助する戦略に導入された。
抗体の断片を放出させるため、1.2X107から4.8X107の範囲の様々な数の酵母細胞は、1単位、5単位及び1O単位のTEVプロテアーゼ酵素で処理され、放出された抗体はELISA及びSPR実験によって更に確認された。
ELISA実験は、重鎖をプローブする抗-FLAG及びHer2抗原をプローブするHerclon(登録商標)が、直接的に二次抗体として使用されるHer2抗原被覆プレートに対して行われた。結合反応に関して、TEVプロテアーゼ処理された上清の漸増する容量が使用された。
同一の調製が、Biacoreを使用するHer2結合実験に関して使用された。適切な対照も、任意のミスリーディング応答を除外するため実験された。増加する結合応答が、ELISA及びBiacore実験の両方の結果(図21及び図22)について観察された。
本開示により利用されるアプローチの利点:
1.本開示の方法によって得られるナイーブライブラリーは、より高い抗体多様性を保有し、試料が、遺伝的に多様な集団、好ましくはインド集団から収集されることが考慮される。この研究における試料の多様性は、集団特異的な抗体レパートリーに関する探索を可能にする。これは、現在、抗体ライブラリースペースにおける未開拓の資源である。
2.本開示は、大きいライブラリーサイズ(109クローンを超える)のスクリーニングを可能にし、酵母翻訳後修飾のために、抗体構造のより良好なフォールディングを促進させる、ファージ及び酵母抗体表面ディスプレイのユニークな組合せを利用する。
3.ライブラリーは、高い抗体安定性、より少ない抗体凝集、より小さい免疫原性、より良好な溶解性及び前記抗体の製造性を改善するための他の抗体特性に関する抗体合理的な設計を組み込む。
4.本開示は、ファージディスプレイスクリーニングが、非結合体のみを除去するため利用されるが、引き続く酵母スクリーニングが、結合体の親和性に基づく選択を実行するため利用される、排他的なスクリーニング法を採用する。
5.本開示はまた、必要な場合、更なるヒットについてスクリーニングするため、後に供給源集団に遡ることを可能にする、集団の特異的な供給源の指標となる特異的なトリヌクレオチドマーカーを組み込む。
6.ファージ及び酵母表面発現のために使用されるベクターは、ユニークである。
7.ファージライブラリーから選択されるクローンは、何らかのPCR増幅をすることなく、ScFv又はFabを含む、異なる抗体形式における酵母ライブラリーに移行され、それによってスクリーニングプロセスの改善をともなって当初の多様性が保持される。
8.本開示はまた、各ディスプレイプラットホームでのFab配列中の複数の変化の適合性における柔軟性並びにFab形式におけるパンニングされた分子を、コンビナトリアル及び非コンビナトリアルアプローチを介して、酵母発現系に移行させる柔軟性を提供する。
開示及び例示が、明確性及び理解の目的のため例証及び例の様式で提供されてきたが、様々な変化及び修飾が、開示の精神又は範囲から逸脱することなく、実施できることは当業者には明らかである。従って、前述の説明及び例は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
本開示の実施形態の説明は、現行の知識を適用することによる、様々な適用に対する修飾及び/又は適応に容易に適切である実施形態の一般的な性質を示す。そのような開示の特定の実施形態は、類概念から逸脱することなく、従って、そのような適応及び修飾は、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内と包含及び考慮されるべき及びされることが意図される。
本明細書中に用いられる語句又は用語が、説明の目的のためであり、何らかの限定であることは意図されないことも理解される。本開示を通して、「含む(comprise)」という語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等のバリエーションは、どこで使用されても、指定された要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を包含することが意味されるが、しかし、他のいかなる要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を排除することを意味しないことが理解される。
本明細書中に指定された数的な限定又は範囲には、終点(endpoints)が含まれる。数的な限定又は範囲内の値及び部分範囲も、明示的に記述されているかのように特異的に含まれる。
本開示における任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は適用に対して適切であると考慮されるように、複数から単数及び/又は単数から複数へと翻訳することができる。様々な単数形/複数形の交換は、明確性のため、本明細書中に明示的に記載されうる。
本明細書に含まれる文書、法律、材料、装置、物品等の考察はいずれも、本開示に文脈を提供することのみを目的とする。これらの事項のいずれか又は全てが、本出願の優先日より前にどこかに存在していたとしても、先行技術基準の一部を構成していること、又は、本開示に関連する分野における共通一般知識であることの承認と解釈されない。
本出願の全体にわたって引用される、全ての文献、特許、及び公開された特許出願の内容は、全ての目的のため、本明細書中に参照によって組み込まれる。

Claims (21)

  1. 抗体ナイーブライブラリーを生成する方法であって、
    生物学的試料を処理して、核酸を単離し、続いて増幅する工程、
    増幅された産物をプールする工程及び抗体遺伝子をファージにクローニングしてファージ抗体ライブラリーを得る工程、続いて、ディスプレイされた、抗原に対する遺伝子をスクリーニングしてパンニングされたファージ抗体ライブラリーを得る工程又は増幅された産物をプールする工程及び抗体遺伝子を直接的に酵母にクローニングして、酵母の表面に抗体遺伝子をディスプレイする酵母抗体ライブラリーを得る工程;続いて、ディスプレイされた、抗原に対する遺伝子をスクリーニングしてスクリーニングされた酵母抗体ライブラリーを得る工程、
    酵母の表面に前記抗体遺伝子をディスプレイするため、ファージライブラリーのパンニングされたファージ抗体ライブラリーを酵母に移行させる工程、続いて酵母にディスプレイされた、抗原に対する抗体遺伝子をスクリーニングして酵母スクリーニングされた抗体ライブラリーを得る工程、並びに
    ナイーブ抗体ライブラリーを形成する所望の機能的な特性を有するファージ若しくは酵母にディスプレイされた抗体/遺伝子を選択する工程又はファージ抗体ライブラリー若しくは酵母抗体ライブラリーから所望の機能的な特性を有する選択された抗体を単離して、スクリーニングされた抗体ナイーブライブラリーを生成する工程を含む方法。
  2. 生物学的試料は、血液又は抗体遺伝子を発現する任意の試料を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 生物学的試料は、選択された健常ドナー又は対象から得られ、選択判定基準は、前記ドナー又は対象の話す言語、民族性又は地理的な位置における多様性に基づき;対象はヒトである、請求項1に記載の方法。
  4. 生物学的試料の処理は、血液試料からのリンパ球、単球、血小板及び顆粒球又は任意のその組合せを含む群から選択される末梢血単核球を単離する工程、続いてその中のナイーブB細胞集団をフローサイトメトリーによって推定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  5. ナイーブB細胞集団の推定は、IgD、CD20、CD19、CD27、CD24及びCD38又は任意のその組合せを含む群から選択される細胞表面又は細胞内マーカーの差次的発現を識別する工程によって行われ、全PBMCの約10%から約15%のナイーブB細胞集団が得られる、請求項4に記載の方法。
  6. 核酸の単離は、m-RNAの単離、続いてc-DNA生成を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 増幅は、配列番号1から68として記載される任意の縮重プライマー又はその組合せを利用することによる、一次PCR増幅、続いて二次PCR増幅を含む、請求項1に記載の方法。
  8. PCR増幅は、約18サイクルから約25サイクル行われ、各サイクルは、変性工程を約94℃で約1分間から約2分間、続いてアニーリング工程を約50℃で約1分間から約2分間及び伸長工程を約72℃で約50秒間から約90秒間であり;増幅後に得られるPCR産物は任意選択で精製される、請求項7に記載の方法。
  9. ファージに又は直接的に酵母にクローニングする工程は、抗体軽鎖クローニング、続いて抗体重鎖クローニングを含み、双方の形質転換効率が約108から1010、好ましくは108であり;ファージへのクローニングが1010から約1011pfu/mLの範囲においてライブラリー中のファージ粒子の推定数を産出する、請求項1に記載の方法。
  10. ファージライブラリーを得るためのスクリーニングは、対象の抗体を単離するための磁気ビーズに被覆された抗原でのパニングを含み;前記ファージディスプレイスクリーニング/パニングは、非結合体抗体を除去するため利用される、請求項1に記載の方法。
  11. 抗体形式は、Fab又はScFvを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 表面ディスプレイによって酵母ライブラリーを得るためのスクリーニングは、タバコエッチウイルス(TEV)、エンテロキナーゼ、トロンビン、Xa因子、HRV 3Cプロテアーゼ及び類似のプロテアーゼ切断タンパク質又は任意のその組合せを含む群から選択されるプロテアーゼ切断部位を使用して、Fab又はScFv分子を単離するための、競合する抗原性エピトープ、抗体パラトープコンホメーション、配列及び配列モチーフ又は任意のその組合せを利用することによって行われる、請求項1に記載の方法。
  13. 酵母の表面における抗体ライブラリーのディスプレイは、ファージライブラリーからのプラスミドDNAの単離、続いて制限酵素消化、クローニング及び半数体酵母細胞に又は2つの半数体酵母細胞の接合を介した二倍体酵母細胞に形質転換する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  14. 移行させる工程は、スクリーニングされた遺伝子を酵母に形質転換効率約108から約1010で形質転換する工程による、請求項1に記載の方法。
  15. 酵母ディスプレイスクリーニングを利用して、親和性に基づく選択、抗体結合体のソーティングが実行される、請求項1に記載の方法。
  16. 抗体/遺伝子は、フローサイトメトリー、ELISA、ビーズベース検出プラットホーム、イメージング及びSPR又は任意のその組合せを含む群から選択される手法/技術を利用することによって抗原とのその結合に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
  17. ナイーブ抗体ライブラリーは、ファージ又は酵母の表面に発現される抗体/遺伝子のコレクションであり、又はファージ又は酵母又はその組合せから単離された抗体/遺伝子のコレクションであり;ナイーブ抗体ライブラリーは約107から約109クローンを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 請求項1に記載の方法によって得られたナイーブ抗体ライブラリー。
  19. 配列番号1から68のいずれかに記載されるプライマー配列であって、請求項18に記載のナイーブ抗体ライブラリーを得るため、又はナイーブ抗体ライブラリーを生成する工程/得る工程のための請求項1に記載の方法を行うため利用される、プライマー配列。
  20. 配列は、抗体遺伝子を当初の抗体遺伝子プールに遡ることを可能にする、それぞれの地理的な位置からの抗体遺伝子を分類するための3つのヌクレオチド配列タグを包含する、請求項19に記載のプライマー配列。
  21. がん、関節リウマチ、神経学的な障害、感染性疾患及び代謝性障害又は任意のその組合せを含む群から選択される疾患の処置のための治療における使用のため;診断として;予後として;研究目的;標的発見;機能的なゲノム科学における検証又は抗体若しくは抗体の誘導体が利用される任意の適用のための、請求項18に記載のナイーブ抗体ライブラリー又は請求項1に記載の方法によって得られるナイーブ抗体ライブラリー。
JP2018533202A 2015-12-21 2016-12-21 抗体ナイーブライブラリーを生成する方法、前記ライブラリー及びその用途 Active JP6918399B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IN6808/CHE/2015 2015-12-21
IN6808CH2015 2015-12-21
PCT/IB2016/057872 WO2017109721A1 (en) 2015-12-21 2016-12-21 A method of generating an antibody naïve library, said library and application(s) thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019502705A true JP2019502705A (ja) 2019-01-31
JP6918399B2 JP6918399B2 (ja) 2021-08-11

Family

ID=57868285

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018533202A Active JP6918399B2 (ja) 2015-12-21 2016-12-21 抗体ナイーブライブラリーを生成する方法、前記ライブラリー及びその用途

Country Status (9)

Country Link
US (1) US11384354B2 (ja)
EP (1) EP3394256B1 (ja)
JP (1) JP6918399B2 (ja)
KR (1) KR102194203B1 (ja)
CA (1) CA3009457C (ja)
DK (1) DK3394256T3 (ja)
ES (1) ES2822159T3 (ja)
PT (1) PT3394256T (ja)
WO (1) WO2017109721A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11725306B2 (en) 2017-11-30 2023-08-15 University Of Delhi South Campus Antibody fragment library, and uses thereof
KR102390002B1 (ko) 2018-08-31 2022-04-22 주식회사 엘지에너지솔루션 불량 모드 감지를 통한 퓨즈 제어 시스템 및 방법
WO2021228135A1 (zh) * 2020-05-13 2021-11-18 北京大学 制备抗原结合单元的方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005504541A (ja) * 2001-10-01 2005-02-17 ダイアックス コーポレーション 多重鎖真核ディスプレイベクターとその使用
US20130085072A1 (en) * 2011-10-03 2013-04-04 Los Alamos National Security, Llc Recombinant renewable polyclonal antibodies

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6300065B1 (en) 1996-05-31 2001-10-09 Board Of Trustees Of The University Of Illinois Yeast cell surface display of proteins and uses thereof
EP1943332A4 (en) 2005-10-14 2011-04-13 Medimmune Inc CELLULAR DISPLAY OF ANTIBODY LIBRARIES
AU2008216418A1 (en) 2007-02-09 2008-08-21 Medimmune, Llc Antibody libray display by yeast cell plasma membrane
US9783593B2 (en) * 2013-05-02 2017-10-10 Kymab Limited Antibodies, variable domains and chains tailored for human use
EP3498842A1 (en) * 2013-12-04 2019-06-19 AxioMx, Inc. Methods of utilizing recombination for the identification of binding moieties
WO2015089080A2 (en) 2013-12-09 2015-06-18 Adimab, Llc Polyclonal mixtures of antibodies, and methods of making and using them

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005504541A (ja) * 2001-10-01 2005-02-17 ダイアックス コーポレーション 多重鎖真核ディスプレイベクターとその使用
US20130085072A1 (en) * 2011-10-03 2013-04-04 Los Alamos National Security, Llc Recombinant renewable polyclonal antibodies

Also Published As

Publication number Publication date
EP3394256A1 (en) 2018-10-31
EP3394256B1 (en) 2020-05-13
PT3394256T (pt) 2020-08-26
WO2017109721A1 (en) 2017-06-29
KR102194203B1 (ko) 2020-12-22
US11384354B2 (en) 2022-07-12
US20200283757A1 (en) 2020-09-10
JP6918399B2 (ja) 2021-08-11
CA3009457A1 (en) 2017-06-29
ES2822159T3 (es) 2021-04-29
DK3394256T3 (da) 2020-08-17
KR20180103915A (ko) 2018-09-19
CA3009457C (en) 2021-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kennedy et al. Monoclonal antibodies: technologies for early discovery and engineering
US11629434B2 (en) Antibody screening methods
Zhai et al. Synthetic antibodies designed on natural sequence landscapes
JP2012527881A (ja) コレクション及びその使用方法
Azriel-Rosenfeld et al. A human synthetic combinatorial library of arrayable single-chain antibodies based on shuffling in vivo formed CDRs into general framework regions
McCafferty et al. Identification of optimal protein binders through the use of large genetically encoded display libraries
Teixeira et al. Drug-like antibodies with high affinity, diversity and developability directly from next-generation antibody libraries
US20190376979A1 (en) Protein combination-based fv library, and preparation method therefor
Groves et al. Applications of ribosome display to antibody drug discovery
JP6918399B2 (ja) 抗体ナイーブライブラリーを生成する方法、前記ライブラリー及びその用途
JP7337850B2 (ja) 抗体ライブラリー及びこれを用いた抗体スクリーニング方法
JP6959260B2 (ja) 合成抗体ライブラリーを作製する方法、前記ライブラリー、及びその適用
US20170306039A1 (en) Human vh domain scaffolds
Robinson et al. Isolation of full-length IgG antibodies from combinatorial libraries expressed in the cytoplasm of Escherichia coli
Marano Optimization of a pipeline for the development of recombinant monoclonal antibodies for diagnostics
Economopoulos The Generation of Affinity Reagents Using High-throughput Phage Display and Building the Foundations of a Novel High-throughput Intrabody Pipeline
Tiller Synthetic Antibodies

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180821

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190902

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200420

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200923

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210524

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6918399

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150