JP2019218450A - セルロース樹脂複合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、セルロースの分散性が良く、高い弾性率を発現できるセルロース樹脂複合体を得ることが可能なセルロース樹脂複合体の製造方法を提供することである。【解決手段】セルロースと樹脂とを含有するセルロース樹脂複合体の製造方法において、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィンと粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを混練することを特徴とするセルロース樹脂複合体の製造方法であり、ポリビニルアルコールの含有量が、0.5〜5.0質量%であることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、セルロース樹脂複合体の製造方法に関する。
セルロースは、比重が1.5であり、強度が高い。紙やフィルターなどに用いられるパルプに至っては、量産性も確立され、低コストで大量に供給可能である。また、セルロースは天然物由来であり、石油・石炭などの地下資源と異なり、1年から数十年で再生可能である。よって、セルロースの用途を多様化することは、我々人類にとって重要なテーマである。
セルロースの用途の一つとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂に代表される汎用の樹脂とセルロースとを複合化させたセルロース樹脂複合体があり、セルロース樹脂複合体は、プレス成形体、押出成形体、射出成形体等の成形体として用いられる。セルロースは高い弾性率を有しており、例えば、セルロースとポリオレフィンを複合化させると、ガラスやタルクとセルロースとを複合化させたときと同様に、ポリオレフィンの弾性率を高めることができる。しかし、親水性の高いセルロース表面と、疎水性の強いポリオレフィンとでは、親和性が低く、セルロースはポリオレフィン中で良好な分散状態を取ることができず、凝集してしまい、強度の高いセルロース樹脂複合体を得ることは難しかった。
これを改良するための方法には二つの方法がある。第一の方法は、セルロースの表面変性を行って、樹脂との親和性を高める方法であるが、予めセルロースを化学修飾して表面変性するために、コスト高となり、実用的な方法ではない。第二の方法は、セルロースと樹脂との親和性を高める材料を複合体に添加する方法である。しかし、親和性を高める材料としては、ポリオレフィンに無水マレイン酸やイタコン酸などを付加させた、酸変性ポリオレフィンが提案されていて(例えば、特許文献1及び2参照)、強度特性は向上するが、複合体中でセルロース表面が樹脂によって充分に濡れているとは言えず、問題を残していた。この問題を解決するための代表的な技術として、成形体を150℃から160℃で熱処理することにより、その弾性率を向上させるという技術がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、成形体を熱処理することは、処理工程が増えて、製造コストに跳ね返るので、このような熱処理をしなくても、高い弾性率を発現する技術が求められていた。
また、第二の方法において、親和性を高める材料として、酸変性ポリオレフィンと水溶性樹脂とを併用する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4には、セルロースと熱可塑性樹脂と酸変性ポリオレフィンと水溶性樹脂とを溶融混練しているが、セルロースと水溶性樹脂とを混合及び乾燥して混合物を得る工程と、得られた混合物に対して、熱可塑性樹脂及び酸変性ポリオレフィンを加え溶融混練する工程を有する製造方法において、セルロースの分散性が向上したセルロース樹脂複合体が得られることが記載されている。しかしながら、特許文献4の方法では、セルロース樹脂複合体を得るために、二つの工程が必要であり、また、セルロースと水溶性樹脂の混合物は一度乾燥しなければならず、工程数と必要なエネルギーが増えるという課題がある。
本発明の課題は、セルロースの分散性が良く、高い弾性率を発現できるセルロース樹脂複合体を得ることが可能なセルロース樹脂複合体の製造方法を提供することである。
上記課題は、下記に示す本発明によって解決された。
(1)セルロースとポリプロピレン樹脂とを含有するセルロース樹脂複合体の製造方法において、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂と粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを混練することを特徴とするセルロース樹脂複合体の製造方法。
(2)樹脂複合体中のポリビニルアルコールの含有量が、0.5〜5.0質量%であることを特徴とする上記(1)記載のセルロース樹脂複合体の製造方法。
本発明では、セルロースの分散性が良く、高い弾性率を発現できるセルロース樹脂複合体を得ることが可能なセルロース樹脂複合体の製造方法を提供することができる。
本発明のセルロース樹脂複合体の製造方法は、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂と粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを混練することを特徴とする。
本発明において、ポリプロピレン樹脂は、いわゆる、未変性のポリプロピレン樹脂であり、プロピレンの単独重合体又はプロピレンとα−オレフィン、共役ジエン及び非共役ジエンなどから選ばれる少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィンが挙げられる。共役ジエン又は非共役ジエンとしては、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。これらその他の単量体は、1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
ポリプロピレン樹脂の骨格構造としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと前記その他の単量体の1種類又は2種類以上を含むランダム共重合体あるいはブロック共重合体等を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが好適なものとして挙げられる。また、ポリプロピレン樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外の共重合成分を含んでも良い。
本発明において、セルロースは、針葉樹、広葉樹等から得られる木材系パルプ;これらの再生品である古紙パルプ;綿から得られるコットンやリンター、イネから得られるワラ、バンブーから得られるタケ、マニラ麻から得られるアバカ、インド麻から得られるジュート、麻から得られるヘンプなどの非木材系パルプ;さらに食品加工時に廃棄されるシリアル繊維を用いたパルプ、レーヨン繊維、リヨセル等の再生セルロース繊維などが挙げられる。
パルプとは、植物の成形体に含まれるセルロース、リグニン、ヘミセルロース、油分などの内、リグニンや油分を除いたもの、又はヘミセルロースの含有量を最小化したものである。用途によっては、漂白されて白色化されている。パルプの繊維径は15〜500μmであることが好ましく、繊維長は1mm〜20mmであることが好ましい。これらのパルプを、化学的又は機械的に粉砕して、1mm以下に微粒子化したものや、一部ナノセルロース化した微細なミクロフィブリル化セルロースも利用できる。
このようなパルプは、繊維長や結晶化度を保存するために、水中で解繊され、脱水されて、パルプ解繊品として用いることができる。ヘミセルロース含有量が少ないリンターやコットン、溶解パルプ(DP)、溶解クラフトパルプ(DKP)などのパルプの場合、パルプ解繊品の含水量は40質量%から80質量%であることが好ましく、ヘミセルロースの含有量が高いクラフトパルプの場合では含水量は60質量%から90質量%であることが好ましい。さらに、ミクロフィブリル化セルロースの場合では、含水量がさらに高い方が好ましく、70質量%から95質量%であることが好ましい。このような、水中で解繊された状態のパルプ解繊品を作製する方法としては、まずパルパーなどの攪拌機で原料パルプシートを水中で解繊し、メッシュなどでプレス脱水して、その後、繊維を解しながら乾燥させる方法、遠心分離機で所定の含水状態とする方法などがある。
一方、原料パルプシートを機械的に粉砕して、これをフラッフとする方法も知られている。この方法では、粉砕時の衝撃により、繊維長の低下や結晶化度の低下の問題があるが、水を含ませずに処理ができるので、コスト的には有利となる。この場合は、混錬工程において、セルロースやポリビニルアルコールの混錬機内での流動性を助けるために、所定量の水を含有させることが有効である。
本発明において、酸変性ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンとのブロック共重合体、ポリエチレンとα−オレフィンとのブロック共重合体、ポリプロピレンとα−オレフィンとの共重合体等を、溶液中に溶解するか、又は固溶体化させて、ラジカル発生剤と無水マレイン酸を添加し、ポリオレフィン主鎖をラジカル化して、無水マレイン酸を主鎖に付加させて合成されるポリオレフィンである。反応中に主鎖が開断する可能性があるので、無水マレイン酸の付加量は、全体の0.1質量%から5質量%であることが好ましい。このような材料としては、三菱ケミカル製のモディック(登録商標)、三井化学製のアドマー(登録商標)、三洋化成工業製のユーメックス(登録商標)、東洋紡製のハードレン(登録商標)などが知られている。
酸変性ポリオレフィン樹脂として、無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体も用いることができる。無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体とは、炭素数が5以上で、好ましくは10から100であり、単独又は複数種の、エチレンの低重合体として得られる不飽和α−オレフィン混合物と、無水マレイン酸とを、過酸化物を使ってラジカル重合させた共重合体である。無水マレイン酸の含有量は、無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体に対して、好ましくは1質量%から15質量%であり、より好ましくは8質量%から12質量%である。無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体は、無水マレイン酸の含有量が、他の酸変性ポリオレフィンに比べて高いのが特徴である。酸変性ポリオレフィンは、無水マレイン酸が重合成分として含まれていることによって、親水性の高いセルロース表面に偏在することができ、また、(α−)オレフィンのアルキル基が疎水性官能基として働き、ポリプロピレン樹脂への親和性を高めている。
酸変性ポリオレフィン樹脂が無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体以外の酸変性ポリオレフィンである場合、その添加量は、セルロース樹脂複合体の総量に対して、好ましくは0.5質量%から5.0質量%であり、より好ましくは0.7質量%から3.0質量%である。また、酸変性ポリオレフィンが無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体である場合には、好ましくは0.1質量%から1.0質量%であり、より好ましくは0.2質量%から0.7質量%である。
本発明において、ポリビニルアルコールは、粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを用いる。粘度係数は、単位濃度あたりのポリビニルアルコールの粘度上昇度合いを示しており、粘度係数が小さいことは、濃度上昇に伴う粘度上昇が小さいことを意味する。本発明のポリビニルアルコールの粘度係数は、以下の手順によって求めることができる。
(手順1)異なる濃度d(質量%)のポリビニルアルコール水溶液を調成する。
(手順2)各濃度のポリビニルアルコール水溶液の20℃下での粘度η(mPa・s)を、B型粘度計で測定する。
(手順3)横軸にポリビニルアルコール水溶液の濃度d、縦軸にポリビニルアルコール水溶液の20℃下での粘度ηの常用対数値log(η)をプロットする。
(手順4)ポリビニルアルコール水溶液の濃度d、20℃下での粘度の常用対数値log(η)のプロットから線形近似式を求め、線形近似式の傾き(log(η))/dを、粘度係数とした。
(手順2)各濃度のポリビニルアルコール水溶液の20℃下での粘度η(mPa・s)を、B型粘度計で測定する。
(手順3)横軸にポリビニルアルコール水溶液の濃度d、縦軸にポリビニルアルコール水溶液の20℃下での粘度ηの常用対数値log(η)をプロットする。
(手順4)ポリビニルアルコール水溶液の濃度d、20℃下での粘度の常用対数値log(η)のプロットから線形近似式を求め、線形近似式の傾き(log(η))/dを、粘度係数とした。
含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールを混練する工程において、混錬と同時に脱水も進む。脱水が進むにつれて、セルロース、ポリビニルアルコールの流動性が無くなっていくが、粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを添加することで、セルロース、ポリビニルアルコールの樹脂複合体内での分散性が良好となる。併せて、セルロースとポリビニルアルコールの混錬が円滑に進み、複合化することで、セルロースが補強され、セルロース樹脂複合体の強度を向上させる。
本発明における、ポリビニルアルコールとは、酢酸ビニルの加水分解(けん化)物として得られる水溶性ポリマーである。ポリビニルアルコールとしては、低けん化体、部分けん化体、完全けん化体など各種のポリビニルアルコールが知られている。また、カルボン酸、スルホン酸、四級アンモニウム塩、ポリエチレンオキサイド基、アセトアセチル基などの官能基を有するポリビニルアルコール、エチレン、ブテン、ブテンジオールなどとの共重合体ポリビニルアルコールなど、各種のポリビニルアルコールが知られている。
本発明において、ポリビニルアルコールの含有量は、セルロース樹脂複合体の全固形量に対して、0.5〜5.0質量%であることが好ましく、3.0〜5.0質量%であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールの含有量が0.5質量%未満である場合、曲げ弾性率の向上効果が充分でない場合がある。該含有量が5.0質量%を超える場合、セルロース分散性が悪化する場合がある。
本発明のセルロース樹脂複合体の製造方法では、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィンとポリビニルアルコールを混練する。本発明の含水状態とは、混練開始時における水/ポリビニルアルコールの比率が、質量基準で、3倍以上である状態のことを言う。混練開始時における水/ポリビニルアルコールの比率は、4倍から100倍であることが好ましく、より好ましくは4倍から40倍である。この条件で樹脂が溶融する状態の温度域に到達できれば、ポリビニルアルコールは融解状態となり、混練系内の水の消滅とともに、親水性の高いセルロース表面でポリビニルアルコールが被膜を形成する。
本発明のセルロース樹脂複合体の製造方法では、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィンとポリビニルアルコールを混練するが、混練には、二軸混練機、ヘンシェルミキサー等を使用することができる。本発明では、含水状態で混練するため、混練場から発生する水蒸気を逃す必要があるので、ベント付きの二軸混練機などを使用することが好ましい。混練温度は、樹脂の融点近傍かそれ以上が好ましく、190℃から230℃であることがより好ましい。ただし、ベント付きの二軸混練機では、樹脂の溶融後にセルロースと樹脂が混練されるため、水の除去が混練時初期に起こり、場合によってはポリビニルアルコールが溶融できない場合がある。このような場合には、予め90℃から100℃の温度域で予備混合を行う誘導ゾーンがあると好ましく、さらに混練場から水蒸気を逃し難く、密閉性の高い耐圧性の仕様になっている混練装置を使用することが好ましい。このような耐圧性の仕様を満たす混練機としては、例えば、国際公開2004/076044号パンフレット記載のバッチ式密閉型混練装置が知られている。この装置はセルロースが分散する直前、ポリプロピレンの溶融した過程に入る前段まで、混練場に水及び水蒸気を保存することが可能であり、ポリビニルアルコールを溶解させることができる。混練によって得られたセルロース樹脂複合体は、プレス成形機、押出成形機、射出成形機等の成形機によって、プレス成形体、押出成形体、射出成形体等の成形体とすることができる。
本発明のセルロース樹脂複合体のセルロースの含有量としては、少なすぎると効果が発揮せず、多すぎると成形性の低下を招くので、セルロース樹脂複合体の全固形量に対して、好ましくは5質量%から60質量%であり、より好ましくは10質量%から55質量%である。
本発明のセルロース樹脂複合体は、この他に、添加剤として、ポリオレフィンの結晶化を促進する造核剤、酸素酸化や紫外線による劣化を抑制して経時安定性を付与するための、酸化防止剤、紫外線防止剤などを併用することができる。
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(パルプ解繊品1の調成)
リンターパルプシートを、水中に浸し、3質量%の濃度でミキシングし、さらに遠心分離機で脱水して、セルロース含有量45質量%(=水含有量55質量%)のパルプ解繊品1を作製した。平均繊維長は1.2mmであった。パルプ解繊品1は、水中に解繊された状態のセルロース(パルプ)である。
リンターパルプシートを、水中に浸し、3質量%の濃度でミキシングし、さらに遠心分離機で脱水して、セルロース含有量45質量%(=水含有量55質量%)のパルプ解繊品1を作製した。平均繊維長は1.2mmであった。パルプ解繊品1は、水中に解繊された状態のセルロース(パルプ)である。
(パルプ解繊品2の調成)
リンターパルプシートを、槇野産業製ハンマークラッシャーで粗粉砕した後、槇野産業製DD−2型粉砕機で乾式解繊を行い、これをパルプ解繊品2とした。平均繊維長は1.0mmであった。なお、本解繊品は、混錬工程で他の樹脂と混錬する前に、105℃で3時間以上乾燥処理した。
リンターパルプシートを、槇野産業製ハンマークラッシャーで粗粉砕した後、槇野産業製DD−2型粉砕機で乾式解繊を行い、これをパルプ解繊品2とした。平均繊維長は1.0mmであった。なお、本解繊品は、混錬工程で他の樹脂と混錬する前に、105℃で3時間以上乾燥処理した。
パルプ解繊品1及びパルプ解繊品2の「平均繊維長」とは、レーザー光を当てて得られる偏光特性を利用して求める市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。本発明では、「KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)」を使用した。KajaaniFiberLabV3.5では、検出部を通過する個々の繊維について、屈曲した繊維の全体の真の長さ(L)と屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)を測定することができる。屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)を測定した投影繊維長から計算した「長さ加重平均繊維長」を「平均繊維長」とした。
(ポリビニルアルコール)
下記に記載の4種類のポリビニルアルコールから選択して、実施例及び比較例の樹脂複合体を作製した。
PVA1:日本酢ビ・ポバール社製「JF−02」、粘度係数0.11
PVA2:日本酢ビ・ポバール社製「JF−04」、粘度係数0.15
PVA3:日本酢ビ・ポバール社製「JF−05」、粘度係数0.19
PVA4:クラレ社製「クラレポバール(登録商標)PVA117」、粘度係数0.23
下記に記載の4種類のポリビニルアルコールから選択して、実施例及び比較例の樹脂複合体を作製した。
PVA1:日本酢ビ・ポバール社製「JF−02」、粘度係数0.11
PVA2:日本酢ビ・ポバール社製「JF−04」、粘度係数0.15
PVA3:日本酢ビ・ポバール社製「JF−05」、粘度係数0.19
PVA4:クラレ社製「クラレポバール(登録商標)PVA117」、粘度係数0.23
ポリプロピレン樹脂:日本ポリプロ製、商品名:BC06C
酸変性ポリオレフィン樹脂:東洋紡製、商品名:ハードレン(登録商標)H1000P
添加剤:
酸化防止剤:BASF製、商品名:イルガノックス(登録商標)1010 0.4部
造核剤:ADEKA製、商品名:アデカスタブ(登録商標)NA−27 0.1部
酸変性ポリオレフィン樹脂:東洋紡製、商品名:ハードレン(登録商標)H1000P
添加剤:
酸化防止剤:BASF製、商品名:イルガノックス(登録商標)1010 0.4部
造核剤:ADEKA製、商品名:アデカスタブ(登録商標)NA−27 0.1部
表1において、含水率とは、セルロース樹脂複合体の全原料の固形量に対する、水分の質量比率を表す。また、セルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、添加剤の配合率は、原料の全固形量に対する各成分の固形分の質量比率である。
実施例1〜7及び比較例1〜2
セルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、添加剤を、表1記載の配合率で、バッチ式密閉型混練装置を用いて混練し、セルロース樹脂複合体を作製した。
セルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、添加剤を、表1記載の配合率で、バッチ式密閉型混練装置を用いて混練し、セルロース樹脂複合体を作製した。
実施例8
セルロースとしては、パルプ解繊品2を使用し、セルロース、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、添加剤を混錬する前に、全固形原料に対する水分量が18.3質量%になるように水を加え、ゆっくり混ぜてから、バッチ式密閉型混練装置を用いて混練し、セルロース樹脂複合体を作製した。
セルロースとしては、パルプ解繊品2を使用し、セルロース、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、添加剤を混錬する前に、全固形原料に対する水分量が18.3質量%になるように水を加え、ゆっくり混ぜてから、バッチ式密閉型混練装置を用いて混練し、セルロース樹脂複合体を作製した。
(曲げ弾性率 評価)
JIS規格K7171に従い、幅10mm、厚み4mmのダンベル片(成形体)を作製した。24℃で3日間保管したダンベル片の曲げ弾性率を、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)を用いて、試験速度2mm/min、支点間距離64mmの条件で測定し、結果を表2に示した。
JIS規格K7171に従い、幅10mm、厚み4mmのダンベル片(成形体)を作製した。24℃で3日間保管したダンベル片の曲げ弾性率を、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)を用いて、試験速度2mm/min、支点間距離64mmの条件で測定し、結果を表2に示した。
(分散性 評価)
「曲げ弾性率」を測定する際に作製したダンベル片(成型体)を、以下の手順でプレス成型加工した後、目視でセルロースの分散状態を評価した。
「曲げ弾性率」を測定する際に作製したダンベル片(成型体)を、以下の手順でプレス成型加工した後、目視でセルロースの分散状態を評価した。
<プレス成型>
厚さが1cmである2枚のSUS板の間に、セルロース樹脂複合体のダンベル片を挟む。
220℃の温度下で、まず、0.3mmまでつぶし、その後、0.1mm厚さまでに
ダンベル片をつぶす。
厚さが1cmである2枚のSUS板の間に、セルロース樹脂複合体のダンベル片を挟む。
220℃の温度下で、まず、0.3mmまでつぶし、その後、0.1mm厚さまでに
ダンベル片をつぶす。
<目視評価>
平板にプレス成型加工された板の中におけるセルロースの分散状態を目視によって、下記の基準で評価を行った。実用上、使用可能なのは、「3」以上と判断した。結果を表2に示した。
平板にプレス成型加工された板の中におけるセルロースの分散状態を目視によって、下記の基準で評価を行った。実用上、使用可能なのは、「3」以上と判断した。結果を表2に示した。
「5」:セルロースが、非常に均一に分散している。
「4」:セルロースの塊は、ほとんど見られない。
「3」:セルロースの小さな塊が見られる。
「2」:セルロースの塊が見られる。外観が悪い。
「1」:セルロースの大きな塊が多く見られ、外観が著しく悪い。
「4」:セルロースの塊は、ほとんど見られない。
「3」:セルロースの小さな塊が見られる。
「2」:セルロースの塊が見られる。外観が悪い。
「1」:セルロースの大きな塊が多く見られ、外観が著しく悪い。
実施例3、6、7と比較例1とを比較することで、セルロースとポリプロピレン樹脂とを含有するセルロース樹脂複合体の製造方法において、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂と粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを混練することによって、セルロースとポリビニルアルコールの混錬工程での流動性が良くなる結果、セルロースの分散性が良く、高い弾性率を発現できるセルロース樹脂複合体を得ることができることがわかる。
実施例3、8と比較例2とを比較することで、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂と粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを混練することによって、セルロース、ポリビニルアルコールの混錬が進み、セルロースの分散性が良く、高い弾性率を発現できるセルロース樹脂複合体を得ることができ、混錬工程において、水分の存在が必須であることわかる。
実施例1、5と実施例2〜4とを比較することで、ポリビニルアルコールの含有量が、セルロース樹脂複合体の全固形量に対して、0.5〜5.0質量%であることによって、セルロースの分散性が特に良好であり、強度にも優れることがわかる。
本発明のセルロース樹脂複合体は、電気・電子、機械、自動車、建材等の分野に広く用いることができる。
Claims (2)
- セルロースとポリプロピレン樹脂とを含有するセルロース樹脂複合体の製造方法において、含水状態でセルロース、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂と粘度係数0.20以下のポリビニルアルコールを混練することを特徴とするセルロース樹脂複合体の製造方法。
- 樹脂複合体中のポリビニルアルコールの含有量が、0.5〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1記載のセルロース樹脂複合体の製造方法。
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