JP2019217640A - ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Mamiko Narita
麻美子 成田
福森 健三
Kenzo Fukumori
健三 福森
泰爾 井川
Yasuji Igawa
泰爾 井川
勝啓 石川
Katsuyoshi Ishikawa
勝啓 石川
一貴 田中
Kazutaka Tanaka
一貴 田中
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Abstract

【課題】優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法を提供する。【解決手段】成形型の下型と減圧口及び注入口を備える上型との間に複数枚のガラス繊維シートを積層したガラス繊維シート積層体を配置し;前記成形型内の圧力を減圧し、前記注入口からラクタムを含有するポリアミドモノマー組成物を注入して前記ガラス繊維シート積層体に含浸させ;前記ラクタムを重合させる工程を含み、前記ガラス繊維シート積層体が、(1)前記複数枚のガラス繊維シートが、6枚以上のエポキシシラン処理ガラス繊維シート及び1枚以上のアミノシラン処理ガラス繊維シートからなる、(2)前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さがそれぞれ独立に0.1〜0.5mmである等の条件を満たすガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法に関する。
ポリアミド樹脂等の樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含有させて成形した繊維強化樹脂成形体は、その優れた衝撃強さや弾性率から、航空機、自動車、鉄道車両、船舶、その他特に高い機械的強度が求められる一般産業用途に広く用いられており、従来から盛んに検討がなされている。
例えば、特開2016−102194号公報(特許文献1)には、ポリアミド10Tと繊維状材料から構成され、ポリアミド10Tが前記繊維状材料に含浸されている複合構造体が記載されており、前記複合構造体の製造方法として、圧縮成形により、ポリアミド10Tを前記繊維状材料の繊維間に含浸させる方法が記載されている。また、特開2015−9420号公報(特許文献2)には、繊維シートの両側に、樹脂及び溶媒を含む組成物の層を配置し、加熱及び加圧して、前記組成物が前記繊維シートに含浸されてなる樹脂含浸シート前駆体を得て、前記溶媒を除去する工程を含む樹脂含浸シートの製造方法が記載されている。しかしながら、繊維強化樹脂成形体は一般にその成形工程が複雑で生産性が低いという問題を有しており、これらの文献に記載の製造方法においても、樹脂を重合してから繊維に含浸させているため、含浸に時間を要したり、高温・高圧の条件や、有機溶媒等の溶媒の使用が必要であるという問題を有していた。
また、例えば、特開2006−77809号公報(特許文献3)には、樹脂製歯車の樹脂部として、マトリックス樹脂とアラミド繊維連続シートとを含むと共に、前記アラミド繊維連続シートを所定の円柱体に所定の複数層で重ねて巻きつけた後マトリックス樹脂組成物液を含浸してから成形した環状形状体が記載されており、前記マトリックス樹脂組成物は前記マトリクス樹脂のモノマーであるε−カプロラクタム等を含有することが記載されている。さらに、例えば、特開2007−45004号公報(特許文献4)には、成形型内に複数の強化繊維基材を積層し、前記成形型内に真空吸引による減圧環境下で樹脂を注入する工程を含む繊維強化樹脂成形品の真空注入成形方法が記載されている。
特開2016−102194号公報 特開2015−9420号公報 特開2006−77809号公報 特開2007−45004号公報
しかしながら、特許文献3に記載されているようなモノマーを含有する組成物を強化繊維に含浸させてから重合する方法や、特許文献4に記載されているような真空注入成形方法によれば、含浸に要する時間をある程度短縮したり、製造方法を簡便にすることが可能となるものの、これらの方法においては、樹脂又はそのモノマーと強化繊維の表面処理との組み合わせによっては、十分な強度、主に、十分に大きい曲げ強さ及び曲げ弾性率が達成されない場合があることを本発明者らは見い出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を容易に得ることができるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂とガラス繊維シートとを組み合わせた繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法において、複数枚の前記ガラス繊維シートを、(1)前記複数枚のガラス繊維シートが、6枚以上のエポキシシラン処理ガラス繊維シート及び1枚以上のアミノシラン処理ガラス繊維シートからなる、(2)前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さがそれぞれ独立に0.1〜0.5mmである、(3)前記上型側の最表面から5枚又は6枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、(4)前記下型側の最表面から1〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、(5)前記アミノシラン処理ガラス繊維シートを2枚以上含む場合には、1枚のアミノシラン処理ガラス繊維シートと他のアミノシラン処理ガラス繊維シートとの間には2〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、の条件をいずれも満たすガラス繊維シート積層体とし、これを下型と減圧口及び注入口を備える上型とを備える成形型内に配置して該成形型内の圧力を減圧し、前記注入口からラクタムを含有するポリアミドモノマー組成物を注入して前記ガラス繊維シートに含浸させ、前記ラクタムを重合させてポリアミド樹脂とすることによって、このように簡便な方法で、優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得ることが可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法は、
ポリアミド樹脂と複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法であり、
成形型の下型の上面に前記複数枚のガラス繊維シートを積層してガラス繊維シート積層体を形成し、前記ガラス繊維シート積層体の上面に減圧口及び注入口を備える前記成形型の上型を積層して前記ガラス繊維シート積層体を前記成形型内に配置する工程と、
前記減圧口から前記成形型内の圧力を減圧し、前記注入口からラクタムを含有するポリアミドモノマー組成物を注入して前記ポリアミドモノマー組成物を前記ガラス繊維シート積層体に含浸させる工程と、
前記ラクタムを重合させてポリアミド樹脂と前記複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得る工程と、
を含み、
前記ガラス繊維シート積層体が、下記(1)〜(5):
(1)前記複数枚のガラス繊維シートが、6枚以上のエポキシシラン処理ガラス繊維シート及び1枚以上のアミノシラン処理ガラス繊維シートからなる、
(2)前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さがそれぞれ独立に0.1〜0.5mmである、
(3)前記上型側の最表面から5枚又は6枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
(4)前記下型側の最表面から1〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
(5)前記アミノシラン処理ガラス繊維シートを2枚以上含む場合には、1枚のアミノシラン処理ガラス繊維シートと他のアミノシラン処理ガラス繊維シートとの間に2〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
の条件をいずれも満たす、
ことを特徴とするものである。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法においては、前記ラクタムがε−カプロラクタムであることが好ましい。さらに、前記ポリアミドモノマー組成物がアニオン触媒及び重合開始剤をさらに含有することも好ましい。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法においては、前記ガラス繊維シート積層体が、下記(6):
(6)前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数が1〜9枚である、
の条件をさらに満たすことが好ましい。
さらに、前記ガラス繊維シート積層体において、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数と前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数との比(エポキシシラン処理ガラス繊維シート:アミノシラン処理ガラス繊維シート)が11:1〜4:1であることが好ましく、また、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数と前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数との合計が7〜33枚であることが好ましい。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法においては、前記ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体における前記ガラス繊維シートの含有量が、前記ポリアミド樹脂及び前記ガラス繊維シートの合計100質量%に対して59〜65質量%であることが好ましい。
なお、本発明の構成によって前記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、エポキシシラン処理ガラス繊維シートは、高い強度(曲げ強さ及び曲げ弾性率)を発揮することができるが、成形型内に複数の繊維シートからなる積層体を配置し、前記成形型内に減圧環境下でポリアミドモノマー(特に、ラクタム)を注入して前記積層体に含浸させてから重合せしめる方法(減圧注入方法)においては、前記積層体がエポキシシラン処理ガラス繊維シートのみからなるものであると、前記ポリアミドモノマーの流動性が低下して含浸が不十分となるため、得られるポリアミド樹脂に十分な強度を付与することが困難となると推察される。他方、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法においては、上記減圧注入方法において、特定の条件(条件(1)〜(5))を満たす、すなわち、複数枚のガラス繊維シートを、前記ポリアミドモノマー組成物の注入口との位置関係に応じて、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート2〜6枚あたりに1枚の割合でアミノシラン処理ガラス繊維シートが配置されるように組み合わせて積層体としているため、該積層体内における前記ポリアミドモノマー(ラクタム)の流動性が向上するものと本発明者らは推察する。そのため、前記ポリアミドモノマーが前記積層体に十分に含浸されると共に、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートによる強度の向上効果が十分に発揮されて、優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得ることが可能になるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を容易に得ることができるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法を提供することが可能となる。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法におけるガラス繊維シート積層体が配置された成形型の好適な一実施形態を示す概略縦断面図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法は、
ポリアミド樹脂と複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法であり、
成形型の下型の上面に前記複数枚のガラス繊維シートを積層してガラス繊維シート積層体を形成し、前記ガラス繊維シート積層体の上面に減圧口及び注入口を備える前記成形型の上型を積層して前記ガラス繊維シート積層体を前記成形型内に配置する工程(以下、場合により「工程1」という)と、
前記減圧口から前記成形型内の圧力を減圧し、前記注入口からラクタムを含有するポリアミドモノマー組成物を注入して前記ポリアミドモノマー組成物を前記ガラス繊維シート積層体に含浸させる工程(以下、場合により「工程2」という)と、
前記ラクタムを重合させてポリアミド樹脂と前記複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得る工程(以下、場合により「工程3」という)と、
を含み、
前記ガラス繊維シート積層体が、下記(1)〜(5):
(1)前記複数枚のガラス繊維シートが、6枚以上のエポキシシラン処理ガラス繊維シート及び1枚以上のアミノシラン処理ガラス繊維シートからなる、
(2)前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さがそれぞれ独立に0.1〜0.5mmである、
(3)前記上型側の最表面から5枚又は6枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
(4)前記下型側の最表面から1〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
(5)前記アミノシラン処理ガラス繊維シートを2枚以上含む場合には、1枚のアミノシラン処理ガラス繊維シートと他のアミノシラン処理ガラス繊維シートとの間に2〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
の条件をいずれも満たす。
(ポリアミド樹脂、ポリアミドモノマー)
本発明において、ポリアミド樹脂とは、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体が単独重合又は共重合されてなる鎖状骨格を有する重合体(ポリアミド)及びこれらの混合物を示す。また、本発明において、ポリアミドモノマーとは、前記重合体を構成する単量体(モノーマー)を示す。
本発明においては、ラクタムが前記ポリアミドモノマーであることが必要であり、前記ラクタムとしては、5以上の環員を有するラクタムであることがより好ましく、アニオン開環重合でポリアミドが得られるラクタムであることがさらに好ましい。このようなラクタムとしては、例えば、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、C−置換カプロラクタム、カプリルラクタム、ウンデカノラクタム、ラウリノラクタムが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の組み合わせであってもよいが、中でも、ε−カプロラクタムであることが特に好ましい。
前記ポリアミドモノマー(ラクタム)の重合体であるポリアミドとしては、例えば、前記ポリアミドモノマーとして炭素原子数が11であるモノマー(ウンデカノラクタム等)を用いて得られるポリアミド11(PA11);炭素原子数が6であるモノマー(ε−カプロラクタム等)を用いて得られるポリアミド6(PA6);炭素原子数が12であるモノマー(ラウリノラクタム等)を用いて得られるポリアミド12(PA12)が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。これらの中でも、本発明に係るポリアミド樹脂としては、ポリアミド6を含有することが好ましく、ポリアミド6を、前記ポリアミド樹脂の全質量に対して80質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが好ましい。
(ガラス繊維シート)
本発明に係るガラス繊維シートは複数枚であり、エポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シートからなる。
本発明において、エポキシシラン処理ガラス繊維シートとは、エポキシシランカップリング剤により表面処理を施したガラス繊維からなるシートを示す。前記エポキシシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。これらの中でも、本発明に係るエポキシシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートにおいて、前記エポキシシランカップリング剤の付着量としては、熱重量・示差熱同時測定(TG−DTA)において、室温から500℃まで加熱したときに測定される質量変化が0.2%以内となる量であることが好ましい。前記エポキシシランカップリング剤の付着量が前記上限を超えると(前記質量変化が0.2%を超えると)、エポキシ基によるポリアミドの重合阻害が起きて得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートは、ガラス繊維からなるシートに前記エポキシシランカップリング剤を含有する処理液を含浸させることにより作製することができる。前記処理液の溶媒としては、特に制限されないが、水、メタノール、エタノール、及びこれらのうちの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。また、前記処理液における前記エポキシシランカップリング剤の含有量としては、前記処理液の全質量(100質量%)に対して0.001〜3質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがより好ましい。前記処理液を含浸させる時間としては、例えば、1〜180分間であることが好ましく、含浸させる温度としては、例えば、10〜50℃であることが好ましく、前記処理液のpHとしては、例えば、3〜7であることが好ましい。また、前記含浸後に、温度80〜200℃において30〜120分間乾燥させることが好ましい。
このようなエポキシシラン処理ガラス繊維シートとしては、「WLA 209 105 BZ N(日東紡績株式会社製)」等の市販のものを適宜用いてもよい。
また、本発明において、アミノシラン処理ガラス繊維シートとは、アミノシランカップリング剤により表面処理を施したガラス繊維からなるシートを示す。前記アミノシランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。これらの中でも、前記アミノシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及びN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記アミノシラン処理ガラス繊維シートにおいて、前記アミノシランカップリング剤の付着量としては、熱重量・示差熱同時測定(TG−DTA)において、室温から500℃まで加熱したときに測定される質量変化が0.2%以内となる量であることが好ましい。前記アミノシランカップリング剤の付着量が前記上限を超えると(前記質量変化が0.2%を超えると)、アミノ基によるポリアミドの重合阻害が起きて得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
前記アミノシラン処理ガラス繊維シートは、ガラス繊維からなるシートに前記アミノシランカップリング剤を含有する処理液を含浸させることにより作製することができる。前記処理液の溶媒としては、特に制限されないが、水、メタノール、エタノール、及びこれらのうちの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。また、前記処理液における前記アミノシランカップリング剤の含有量としては、前記処理液の全質量(100質量%)に対して0.001〜3質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがより好ましい。前記処理液を含浸させる時間としては、例えば、1〜180分間であることが好ましく、含浸させる温度としては、例えば、10〜50℃であることが好ましく、前記処理液のpHとしては、例えば、7〜12であることが好ましい。また、前記含浸後に、温度80〜200℃において30〜120分間乾燥させることが好ましい。
このようなアミノシラン処理ガラス繊維シートとしては、「WLA 209 105 BX N(日東紡績株式会社製)」等の市販のものを適宜用いてもよい。
本発明に係るエポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さとしては、それぞれ独立に、0.1〜0.5mmであることが必要である(条件(2))。また、前記厚さとしては、それぞれ独立に、0.13〜0.33mmであることが好ましく、0.15〜0.33mmであることがより好ましい。前記厚さが前記下限未満であると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が著しく低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、繊維束の屈曲が大きくなるために得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
また、本発明に係るエポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シートの坪量(1mあたりの重量)としては、特に制限されないが、それぞれ独立に、90〜400g/mであることが好ましく、95〜330g/mであることがより好ましい。前記坪量が前記下限未満であると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が著しく低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、繊維束の屈曲が大きくなるために得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
本発明に係るエポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シートを構成するガラス繊維シートとしては、複数のガラス繊維から構成されるストランドからなるものであることが好ましい。前記ガラス繊維としては、特に制限されないが、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラス、及び石英ガラスからなるガラス繊維が挙げられる。また、前記ガラス繊維としては、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の強度がより向上する観点から、円柱状のものが好ましく、その平均径が5〜20μmであることが好ましく、8〜17μmであることがより好ましい。
本発明に係るエポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シートを構成するガラス繊維シートのストランド構造としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の織り構造が挙げられ、入手のし易さや取り扱いの容易性の観点から、平織り構造が特に好ましい。また、このようなガラス繊維シートとしては、市販のものを適宜用いてもよい。
本発明に係るエポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シートの形状としては、特に制限されず、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の用途に応じた成形型の形状に合わせて適宜設計することができる。
(工程1)
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法においては、先ず、工程1において、成形型の下型の上面に前記複数枚のガラス繊維シートを積層してガラス繊維シート積層体を形成し、前記ガラス繊維シート積層体の上面に減圧口及び注入口を備える前記成形型の上型を積層して前記ガラス繊維シート積層体を前記成形型内に配置する。本発明に係る成形型の構造は、本発明に係るガラス繊維シート積層体が配置された成形型の構造を含めて、その好適な実施形態に即して図1を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
〔成形型〕
本発明に係る成形型100は、下型21及び上型22からなり、上型22は、開閉可能な減圧口31及び注入口32を備える。成形型100の内部には、ガラス繊維シート積層体11を配置可能、かつ、下記のポリアミドモノマー組成物を注入可能な空間が設けられており、成形型100は、該空間(成形型100の内部)を減圧可能に密封できる構造を有している。減圧口31は、成形型100の内部を減圧するため、すなわち、成形型100の内部の気体を矢印41の方向に吸気するためのセンサ、バルブ、ポンプ等の圧力制御手段(図示せず)と、吸気管(図示せず)を介して又は介さずに、接続されていることが好ましい。また、注入口32は、成形型100の内部に前記ポリアミドモノマー組成物を矢印42の方向に注入するためのセンサ、バルブ、タンク等の供給手段(図示せず)と、注入管(図示せず)を介して又は介さずに、接続されていることが好ましい。なお、成形型100の構造はこれに限定されず、例えば、減圧口31及び注入口32は上型22のいずれの位置に配置されていてもよく(注入口32は好ましくは中央の位置)、上型22はそれぞれ複数の減圧口31及び注入口32を備えていてもよい。
また、本発明に係る成形型100の材質は特に制限されず、繊維強化樹脂、合成樹脂、金属等のいずれの材質であってもよいが、金属が好ましい。また、本発明に係る成形体100の形状も特に制限されず、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の用途に応じて適宜設計することができる。
工程1では、図1に示すように、成形型の下型21の上面に前記複数枚のガラス繊維シートを積層してガラス繊維シート積層体11を形成する。さらに、ガラス繊維シート積層体11の上面に減圧口31及び注入口32を備える成形型の上型22を積層してガラス繊維シート積層体11を成形型100内に配置する。これにより、成形型100は、ガラス繊維シート積層体11が配置された内部を減圧可能に密封する。なお、成形型100内には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、他の構成が配置されてもよく、例えば、下型21の上面とガラス繊維シート積層体11の下面との間に離型シート等がさらに配置されていてもよく、上型22の下面とガラス繊維シート積層体11の上面との間に樹脂拡散ネット等がさらに配置されていてもよい。
〔ガラス繊維シート積層体〕
本発明において、前記複数枚のガラス繊維シートを積層してなる積層体であるガラス繊維シート積層体11は、上記の条件(2):前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さがそれぞれ独立に0.1〜0.5mmである。という条件に加えて、下記の条件(1)、(3)〜(5)をいずれも満たす必要がある。本発明においては、前記ポリアミドモノマー組成物が注入される注入口32との位置関係に応じて前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート2〜6枚あたりに1枚の割合で前記アミノシラン処理ガラス繊維シートが配置されることにより、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体において優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率が発揮される。
条件(1):
本発明に係るガラス繊維シート積層体においては、前記複数枚のガラス繊維シートが、6枚以上の前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び1枚以上の前記アミノシラン処理ガラス繊維シートからなる必要がある。
前記ガラス繊維シート積層体に含まれる前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数としては、6〜29枚であることが特に好ましい。前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数が前記下限未満であると、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
前記ガラス繊維シート積層体に含まれる前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数としては、1〜9枚であることが特に好ましく(条件(6))、1〜6枚であることがより好ましい。前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数が前記上限を超えると、ガラス繊維シート積層体に含まれるガラスシートの全枚数が多くなって厚くなり、ポリアミドモノマー組成物を十分に含浸させることが困難となったり、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下したりする傾向にある。
条件(3):
本発明に係るガラス繊維シート積層体においては、前記上型側の最表面から5枚又は6枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている必要があり、前記上型側の最表面から5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されていることが特に好ましい。したがって、本発明に係るガラス繊維シート積層体においては、注入口を備える上型側の最表面に前記アミノシラン処理ガラス繊維シートが配置されないことが必要である。前記上型側の最表面から連続して配置されるエポキシシラン処理ガラス繊維シートの枚数が前記下限未満であると、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
条件(4):
本発明に係るガラス繊維シート積層体においては、前記下型側の最表面から1〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されていることが必要である。したがって、本発明に係るガラス繊維シート積層体においては、注入口を備える上型側と反対側(下型側)の最表面にも、前記アミノシラン処理ガラス繊維シートが配置されないことが必要である。前記下型側の最表面から連続して配置されるエポキシシラン処理ガラス繊維シートの枚数が前記下限未満であると(前記下型側の最表面に前記アミノシラン処理ガラス繊維シートが配置されると)、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
条件(5):
本発明に係るガラス繊維シート積層体が、前記アミノシラン処理ガラス繊維シートを2枚以上含む場合には、1枚のアミノシラン処理ガラス繊維シートと他のアミノシラン処理ガラス繊維シートとの間に2〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されていることが必要である。すなわち、本発明に係るガラス繊維シート積層体においては、2枚以上連続で前記アミノシラン処理ガラス繊維シートが配置されないことが必要である。2枚のアミノシラン処理ガラス繊維シートの間に挟まれるエポキシシラン処理ガラス繊維シートの枚数が前記下限未満であると、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体において成形不良が生じる傾向にある。
また、本発明に係るガラス繊維シート積層体において、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数と前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数との比(エポキシシラン処理ガラス繊維シート:アミノシラン処理ガラス繊維シート)としては、11:1〜4:1であることが好ましく、10:1〜9:2であることがより好ましく、10:1〜11:2であることがさらに好ましい。前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの枚数に対する前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの枚数が前記下限未満であると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体において成形不良が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
また、本発明に係るガラス繊維シート積層体において、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数と前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数との合計としては、7〜50枚であることが好ましく、7〜33枚であることがより好ましく、7〜11枚であることがさらに好ましい。前記合計枚数が前記下限未満であると、ガラス繊維シート量の不足により得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドモノマー組成物の含浸性が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
(工程2)
工程2では、工程1により成形型100内にガラス繊維シート積層体11が配置され、密封された後、減圧口31から成形型100内の圧力を減圧(矢印41の方向に吸気)し、注入口32から上記のラクタムを含有するポリアミドモノマー組成物を注入して前記ポリアミドモノマー組成物をガラス繊維シート積層体11に含浸させる。
〔ポリアミドモノマー組成物〕
本発明に係るポリアミドモノマー組成物は、前記ラクタムを含有する。前記ポリアミドモノマー組成物における前記ラクタムの含有量としては、前記ポリアミドモノマー組成物の全質量(100質量%)に対して95〜99.9質量%であることが好ましく、97〜99.5質量%であることがより好ましい。前記ラクタムの含有量が前記下限未満であると、ポリアミドの重合度が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、重合時間が長くなる傾向にある。
本発明に係るポリアミドモノマー組成物の粘度としては、温度100℃において、1〜10Pa・sであることが好ましく、2〜5Pa・sであることがより好ましい。前記粘度が前記下限未満であると、注入時に気泡を巻き込んで得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体内部に欠陥が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、流動性が低下してガラス繊維シート積層体に十分に含浸させることが困難となる傾向にある。
本発明に係るポリアミドモノマー組成物としては、さらに、アニオン触媒及び重合開始剤を含有することが好ましい。
前記アニオン触媒としては、ナトリウムラクタメート、リチウムラクタメート、カリウムラクタメート等のアルカリ金属ラクタメート;マグネシウムビスラクタメート、ラクタムマグネシウムハロゲニド等のアルカリ土類金属ビスラクタメート等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、前記アニオン触媒としては、重合時間を短縮できる傾向にある観点から、ナトリウムラクタメート、リチウムラクタメート、及びカリウムラクタメートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ε−カプロラクタム・ナトリウム塩であることがより好ましい。
本発明に係るポリアミドモノマー組成物が前記アニオン触媒をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ラクタムの含有量100モルに対して0.1〜2.0モルであることが好ましく、0.4〜1.2モルであることがより好ましい。前記アニオン触媒の含有量が前記下限未満であると、重合時間が長くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドの重合度が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。なお、本発明において、前記アニオン触媒がラクタムの塩である場合、前記ポリアミドモノマー組成物における前記ラクタムの含有量には、前記アニオン触媒由来のラクタムの量は含まない。
前記重合開始剤としては、ε−カプロラクタムブロックイソシアナート類(ε−カプロラクタムブロックヘキシルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックブチルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックへプチルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックドデシルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックオクタデシルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックシクロヘキシルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックシクロペンチルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックベンジルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックフェネチルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックo−トリルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックm−トリルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックp−トリルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック2,6−ジメチルフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック3,5−ジメチルフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4−エトキシフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4−エチルフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック2−メトキシフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック3−メトキシフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4−メトキシフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック1−ナフチルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック2−ビフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック2−ブロモフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック3−ブロモフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4−ブロモフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック2−クロロフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック3−クロロフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4−クロロフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4−ブチルフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック3−クロロ−4−メチルフェニルイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックヘキサメチレンジイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルビフェニル、ε−カプロラクタムブロック4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ε−カプロラクタムブロック1,3−フェニレンジイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック1,4−フェニレンジイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックトリレン−2,4−ジイソシアナート、ε−カプロラクタムブロックトリレン−2,6−ジイソシアナート、ε−カプロフクタムブロックm−キシリレンジイソシアナート、ε−カプロラクタムブロック1,5−ジイソシアナートナフタレン)、N−アシル−ε−カプロラクタム類(C1〜20のカルボン酸類とε−カプロラクタムとの反応から得られるN−アシル−ε−カプロラクタム、C2〜20のジカルボン酸類と2等量のε−カプロラクタムとの反応から得られるN,N’−ジアシル−ビス−ε−カプロラクタム)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、前記重合開始剤としては、ε−カプロラクタムブロックイソシアナート類からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ε−カプロラクタムブロックヘキサメチレンジイソシアナート、及びε−カプロラクタムブロックジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナートからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明に係るポリアミドモノマー組成物が前記重合開始剤をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ラクタムの含有量100モルに対して、官能基換算で、0.1〜2.0モルであることが好ましく、0.3〜1.8モルであることがより好ましい。前記重合開始剤の含有量が前記下限未満であると、重合時間が長くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミドの重合度が低下して得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。なお、本発明において、前記ポリアミドモノマー組成物における前記ラクタムの含有量には、前記重合開始剤由来のラクタムの量は含まない。
本発明に係るポリアミドモノマー組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、さらに、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、抗酸化剤、抗紫外線剤、熱安定化剤、抗菌剤、帯電防止剤等の添加剤のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
前記熱安定剤としては、銅系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤、アミン系熱安定剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル等)、窒素系難燃剤(グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤(金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃助剤としては、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記着色剤としては顔料及び染料等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポリアミドモノマー組成物が前記添加剤をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミドモノマー組成物の全質量に対して1.0質量%以下であることが好ましい。
工程2においては、例えば、先ず、注入口32を閉じた状態で、成形型100の内部の気体を前記圧力制御手段により矢印41の方向に減圧口31から吸気して減圧し、減圧口31を閉じる。減圧後の成形型100内の圧力としては、温度25℃において、−90〜−100kPaであることが好ましく、−95〜−100kPaであることがより好ましい。成形型100内を減圧し(好ましくは減圧した後)、前記供給手段に通じる注入口32を開けることにより、成形型100内と大気との圧力差によって、矢印42の方向に前記ポリアミドモノマー組成物を効率よく注入できる。このときのポリアミドモノマー組成物の温度としては、注入中に低い粘度を維持でき(より好ましくはラクタムの融点以上に保持され)、かつ、成形型100の温度よりも低い温度であることが好ましく、具体的には、20℃又はラクタムの融点+10℃〜110℃であることが好ましく、25℃又はラクタムの融点+15℃〜110℃であることがさらに好ましい。また、注入時の成形型100の温度としては、重合時間を短縮できる傾向にある観点から、140〜165℃であることが好ましく、145〜160℃であることがより好ましい。
また、工程2においては、成形型100の内部の気体を前記圧力制御手段により矢印41の方向に減圧口31から吸気して減圧しながら、注入口32を開けた状態で前記ポリアミドモノマー組成物を注入してもよいが、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の均一性等の観点からは、成形型100内を減圧してから前記ポリアミドモノマー組成物を注入することが好ましい。
工程2において、前記ポリアミドモノマー組成物の注入量としては、前記ガラス繊維シート(エポキシシラン処理ガラス繊維シート及びアミノシラン処理ガラス繊維シート)の全量100質量部に対して、55〜75質量部となる量であることが好ましく、58〜70質量部となる量であることがより好ましい。前記注入量が前記下限未満であると、ポリアミド樹脂のガラス繊維シートに対する含浸量が少なくなって得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミド樹脂のガラス繊維シートに対する含浸量が多くなり過ぎて得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の物性が低下する傾向にある。
本発明においては、ガラス繊維シート積層体11が前記条件を満たすように積層されているため、工程2によって前記ポリアミドモノマー組成物を成形型100内に減圧注入することにより、前記ポリアミドモノマー組成物を十分にかつ短時間でガラス繊維シート積層体11に含浸させることができる。
(工程3)
工程3では、前記ポリアミドモノマー組成物に含有される前記ラクタムを重合させて前記ポリアミド樹脂と前記複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得る。前記重合のための温度としては、重合時間を短縮できる傾向にある観点から、140〜165℃であることが好ましく、145〜160℃であることがより好ましい。また、前記重合のための時間としては2〜60分間であることが好ましく、3〜30分間であることがより好ましい。なお、工程2において、前記ポリアミドモノマー組成物に前記アニオン触媒及び前記重合開始剤を含有させ、前記注入時のポリアミドモノマー組成物及び成形型100を加熱した場合には、含浸と並行して前記ラクタムの重合も起こるため、工程2における含浸と工程3における重合とは同時であってもよい。
前記ラクタムが重合して前記ポリアミド樹脂を形成することにより、前記ポリアミド樹脂中に前記複数枚のガラス繊維シートが取り込まれる。工程3では、重合完了後に成形型100をポリアミド樹脂の融点以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、ポリアミド樹脂と複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得ることができる。
(ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体)
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法により得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、前記ポリアミド樹脂と前記複数枚のガラス繊維シートとを含有する。また、前記複数枚のガラス繊維シートは、少なくとも前記条件(1)〜(5)を満たすように積層されており、そのより好ましい条件としては上記のとおりである。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体において、前記ポリアミド樹脂の含有量としては、前記ポリアミド樹脂及び前記ガラス繊維シートの合計100質量%に対して、35〜41質量%であることが好ましく、36〜40質量%であることがより好ましい。前記ポリアミド樹脂の含有量が前記下限未満であると、ポリアミド樹脂の含浸不足により物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ガラス繊維シート量の不足により物性が低下する傾向にある。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体において、前記ガラス繊維シートの含有量としては、前記ポリアミド樹脂及び前記ガラス繊維シートの合計100質量%に対して、59〜65質量%であることが好ましく、60〜64質量%であることがより好ましい。前記ガラス繊維シートの含有量が前記下限未満であると、ガラス繊維シート量の不足により物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミド樹脂の含浸不足により物性が低下する傾向にある。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記添加剤のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含有していてもよい。本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体が前記添加剤をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂の全質量(100質量%)に対して1.0質量%以下であることが好ましい。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体としては、その密度が、1.740〜1.790g/cmであることが好ましく、1.745〜1.780g/cmであることがより好ましい。前記密度が前記下限未満であると、ガラス繊維シート量の不足により物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアミド樹脂の含浸不足により物性が低下する傾向にある。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体としては、その形状、大きさ、及び厚さ等は特に制限されず、その用途も特に制限されない。例えば、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等の外装材、内装材及び構造材等として用いることができる。前記自動車の外装材、内装材及び構造材としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、自動車用衝撃エネルギー吸収材、自動車用歩行者保護材、自動車用乗員保護材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。さらに、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、建築物、家具等の内装材、外装材及び構造材、具体的には、例えば、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材等としても用いることができ、その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体としても用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例で得られた成形体の曲げ弾性率・曲げ強度測定、密度測定及び外観評価は、それぞれ以下の方法により実施した。
〔曲げ弾性率・曲げ強度測定〕
各実施例及び比較例で得られた成形体について、万能試験機(インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド製)を用い、支点間距離:32mm、変位速度:1mm/min、温度:23℃の条件で曲げ試験を実施した。得られた応力[GPa]−ひずみ曲線の、ひずみ0.05%〜0.25%の間の傾きを曲げ弾性率[GPa]とし、最大応力を曲げ強さ[MPa]とした。
〔密度測定〕
各実施例及び比較例で得られた成形体の重さを測定し、その大きさ(長さ:170mm×幅:120mm×厚さ:2mm)から、密度[g/cm]を算出した。
〔外観評価〕
各実施例及び比較例で得られた成形体の両面(長さ:170mm×幅:120mm×2面)の外観を肉眼で観察し、次の基準:
A:樹脂が含浸していない部分(未含浸部)の表面積が全表面積の5%未満である
B:樹脂が含浸していない部分(未含浸部)の表面積が全表面積の5%以上である
に基づいて評価した。
(実施例1)
先ず、ε−カプロラクタム(ラクタム)を60g、ε−カプロラクタム・ナトリウム塩(アニオン触媒)をε−カプロラクタム100モルに対して0.85モルの割合、及びε−カプロラクタムブロックジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナートをε−カプロラクタム100モルに対して0.85モルの割合となるようにこれらを混合してポリアミドモノマー組成物を得た。
次いで、金属製の成形型の下型の上面に、エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)(商品名:WLA 209 105 BZ N、日東紡績株式会社製、長さ:170mm×幅:120mm×厚さ:0.18mm、209g/m、平織り)及びアミノシラン処理ガラス繊維シート(B)(商品名:WLA 209 105 BX N、日東紡績株式会社製、長さ:170mm×幅:120mm×厚さ:0.18mm、209g/m、平織り)を、下から順に、AAAAABAAAAA(エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)5枚−アミノシラン処理ガラス繊維シート(B)1枚−エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)5枚を示す。以下同様)の順になるように積層してガラス繊維シート積層体を得た。前記ガラス繊維シート積層体の上面に減圧口及び注入口(いずれも閉じた状態)を備える前記成形型の上型を積層して、前記ガラス繊維シート積層体を前記成形型内に密封した。次いで、前記減圧口を開けて真空ポンプに接続し、前記成形型内を減圧(成形型内圧力:−100kPa程度(25℃))した後、前記成形型全体を155℃に加熱した。減圧、加熱した前記成形型の前記減圧口を閉じた後、成形型の温度を155℃に保ったまま、前記注入口を開け、100℃に加熱した前記ポリアミドモノマー組成物を30秒間かけて45cm注入し、ラクタムを重合させた。注入完了から10分後に、前記成形型(155℃)から、成形体(ポリアミド樹脂とガラス繊維シートとを含有する成形体:長さ:170mm×幅:120mm×厚さ:2mm)を取り出して得た。
(実施例2)
前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を、下から順に、AABAABAAAAAの順になるように積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例1)
前記アミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を用いず、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)を11枚連続で積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例2)
前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)を用いず、前記アミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を11枚連続で積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例3)
エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)及びアミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を、下から順に、AAABAAAAAAAの順になるように積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例4)
エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)及びアミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を、下から順に、AAAABBAAAAAの順になるように積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例5)
エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)及びアミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を、下から順に、AAABABAAAAAの順になるように積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例6)
エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)及びアミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を、下から順に、BAAAABAAAAAの順になるように積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例7)
エポキシシラン処理ガラス繊維シート(A)及びアミノシラン処理ガラス繊維シート(B)を、下から順に、AABAABAABAAの順になるように積層したガラス繊維シート積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
各実施例及び比較例で得られた成形体について、曲げ弾性率・曲げ強度測定、密度測定、及び外観評価を実施した。得られた結果を、各実施例及び比較例におけるガラス繊維シート積層体の積層順と併せて下記の表1に示す。なお、比較例3で得られた成形体は、ガラス繊維シート積層体にポリアミド樹脂が含浸されていない部分が多かったために曲げ弾性率・曲げ強度測定を実施することができず、また、密度測定は実施しなかった。
表1に示した結果から明らかなように、本発明に係る条件(1)〜(5)をいずれも満たす本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体(実施例1〜2)においては、外観評価に優れ、ポリアミド樹脂がガラス繊維シートに十分含浸されており、曲げ強さ及び曲げ弾性率が十分に高くなることが確認された。他方、条件(1)、(3)、(4)を満たさない場合(比較例1〜2)、条件(3)を満たさない場合(比較例7)、条件(5)を満たさない場合(比較例4〜5)、条件(4)を満たさない場合(比較例6)にはいずれも、曲げ強さ及び曲げ弾性率が低くなることが確認された。また、比較例2、3、7においては、ポリアミド樹脂がガラス繊維シートに十分に含浸されないことも確認された。
以上説明したように、本発明によれば、優れた曲げ強さ及び曲げ弾性率を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を容易に得ることができるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法を提供することが可能となる。
100…成形型、11…ガラス繊維シート積層体、21…下型、22…上型、31…減圧口、32…注入口、41…吸気方向、42…注入方向。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂と複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法であり、
    成形型の下型の上面に前記複数枚のガラス繊維シートを積層してガラス繊維シート積層体を形成し、前記ガラス繊維シート積層体の上面に減圧口及び注入口を備える前記成形型の上型を積層して前記ガラス繊維シート積層体を前記成形型内に配置する工程と、
    前記減圧口から前記成形型内の圧力を減圧し、前記注入口からラクタムを含有するポリアミドモノマー組成物を注入して前記ポリアミドモノマー組成物を前記ガラス繊維シート積層体に含浸させる工程と、
    前記ラクタムを重合させてポリアミド樹脂と前記複数枚のガラス繊維シートとを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得る工程と、
    を含み、
    前記ガラス繊維シート積層体が、下記(1)〜(5):
    (1)前記複数枚のガラス繊維シートが、6枚以上のエポキシシラン処理ガラス繊維シート及び1枚以上のアミノシラン処理ガラス繊維シートからなる、
    (2)前記エポキシシラン処理ガラス繊維シート及び前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの厚さがそれぞれ独立に0.1〜0.5mmである、
    (3)前記上型側の最表面から5枚又は6枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
    (4)前記下型側の最表面から1〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
    (5)前記アミノシラン処理ガラス繊維シートを2枚以上含む場合には、1枚のアミノシラン処理ガラス繊維シートと他のアミノシラン処理ガラス繊維シートとの間に2〜5枚連続で前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートが積層されている、
    の条件をいずれも満たす、
    ことを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記ラクタムがε−カプロラクタムであることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記ポリアミドモノマー組成物がアニオン触媒及び重合開始剤をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記ガラス繊維シート積層体が、下記(6):
    (6)前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数が1〜9枚である、
    の条件をさらに満たすことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記ガラス繊維シート積層体において、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数と前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数との比(エポキシシラン処理ガラス繊維シート:アミノシラン処理ガラス繊維シート)が11:1〜4:1であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記ガラス繊維シート積層体において、前記エポキシシラン処理ガラス繊維シートの全枚数と前記アミノシラン処理ガラス繊維シートの全枚数との合計が7〜33枚であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体における前記ガラス繊維シートの含有量が、前記ポリアミド樹脂及び前記ガラス繊維シートの合計100質量%に対して59〜65質量%であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
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