JP2019215388A - 光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精細なi線用フォトリソグラフィーレジスト材料に要求される相溶性、高感度、熱安定性、耐塩基性及びレジスト溶液への溶解性を併せ持つナフタルイミド構造を有する非イオン系光酸発生剤の提供。【解決手段】ナフタルイミドの2位の炭素原子が、炭素数3〜12の炭化水素基、炭素数3〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基またはアルキルカーボネート基のいずれかの置換基を有する特定のナフタルイミドスルホネート非イオン系光酸発生剤(A);及び該非イオン系光酸発生剤(A)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)。【選択図】なし

Description

本発明は、光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、紫外線(i線)を作用させて強酸を発生させるのに適する非イオン系光酸発生剤、及びそれを含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。
従前より、半導体の製造に代表される微細加工の分野では、光源として波長365nmのi線を用いたフォトリソグラフィー工程が広く用いられている。
フォトリソグラフィー工程に用いられるレジスト材料としては、例えば、カルボン酸のtert−ブチルエステル、又はフェノールのtert−ブチルカーボネートを有する重合体と光酸発生剤とを含有する樹脂組成物が用いられている。このレジスト材料に光を照射することで光酸発生剤が分解してトリフルオロメタンスルホン酸等の強酸を発生する。さらに露光後加熱(PEB)を行うことで、発生した酸により重合体中のtert−ブチルエステル基、又はtert−ブチルカーボネート基等の酸反応性基が解離し、カルボン酸、又はフェノール性水酸基が形成され、紫外線照射部がアルカリ現像液に易溶性となる。この現象を利用してパターン形成が行われているため高い光分解率を持ち、省エネルギー化や工程時間の短縮が実現できるi線高感度な光酸発生剤が要望されている。
さらなる高精細なフォトリソグラフィー工程を実現するために、高精細化により生じる新たな問題を解決するための手法が提案されている。例えば、光酸発生剤の分解によって生じた強酸の拡散長を制限する必要性が生じるため、これを解決するためのクエンチャー成分として一般に有機アミン類をレジスト材料に添加することが提案されている。他にもアルカリ現像液によりパターンの未露光部が膨潤する影響が大きくなるため、レジスト材料の膨潤を抑制する必要性が生じる。これを解決するためにレジスト材料中の重合体に脂環式骨格、またはフッ素含有骨格等を含有させ疎水性を大きくすることで、レジスト材料の膨潤を抑制する方法が提案されている。
これらのフォトリソグラフィー工程に用いられるレジスト材料中の強酸を発生する光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩(特許文献1)、ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2)等のイオン系光酸発生剤、及びオキシムスルホネート構造(特許文献3)、スルホニルジアゾメタン構造(特許文献4)、フタルイミド構造(特許文献5)、またはナフタルイミド構造(特許文献6、特許文献7)等を有する非イオン系光酸発生剤が知られている。
しかし、トリアリールスルホニウム塩やフェナシルスルホニウム塩等のイオン系光酸発生剤は、高精細を実現するレジスト材料中の脂環式骨格、及びフッ素含有骨格等を含有する疎水性材料に対し相溶性が低く、レジスト材料中で相分離してしまうため十分なレジスト性能を発揮できず、パターン形成できない問題がある。
オキシムスルホネート構造、及びスルホニルジアゾメタン構造を有する非イオン系酸発生剤は十分な相溶性を有するが熱安定性に乏しく、PEBで分解し酸を発生することで未露光部もアルカリ可溶性になるために許容幅が小さい問題がある。
フタルイミド構造、ナフタルイミド構造を有する非イオン系光酸発生剤は相溶性、及び熱安定性に優れるが耐塩基性に乏しく、レジスト材料中のクエンチャーと反応するためにレジスト用樹脂組成物の経時変化が大きく、配合後の時間経過によって望む形状のパターンが得られない問題がある。また、平面性の高い構造のために分子配向しやすくレジスト溶液への溶解性に欠ける問題がある。
特開昭50−151997号公報 特開平9−118663号公報 特開平6−67433号公報 特開平10−213899号公報 特許第5126873号公報 特開2004−217748号公報 特許第5990447号公報
すなわち、本発明の目的は高精細なi線用フォトリソグラフィーレジスト材料に要求される相溶性、高感度、熱安定性、耐塩基性及びレジスト溶液への溶解性を併せ持つナフタルイミド構造を有する非イオン系光酸発生剤の提供にある。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする非イオン系光酸発生剤(A);及び該非イオン系光酸発生剤(A)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)である。
Figure 2019215388
[式(1)中、R1は炭素数3〜12の炭化水素基、炭素数3〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基またはアルキルカーボネート基であり、R2〜R6は水素原子であり、Rfはフッ素原子、または少なくとも一つ以上の水素がフッ素で置換された炭素数1〜18の炭化水素基である。]
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)は、ナフタルイミド構造のイミドカルボニル基に隣接するR1に導入された置換基の立体効果が、塩基による分解の主要因であるカルボニル基への求核攻撃を阻害するために非イオン系光酸発生剤(A)は高い耐塩基性を持つ。さらにこのR1の立体効果は、分子配向を阻害するためにレジスト溶剤への溶解性に優れる。併せて非イオン性のナフタルイミド構造を有するために、i線の照射に対して非イオン系光酸発生剤(A)は高感度に分解し、強酸であるスルホン酸を発生する。また、疎水性レジスト材料との相溶性に優れるとともに、熱安定性に優れるために露光後加熱(PEB)を行うことができる。
このため本発明の非イオン系光酸発生剤(A)を含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、i線に対し高感度でレジスト材料への相溶性及び溶解性が良好であり、耐塩基性、熱安定性が良好なため経時変化が少なく、また露光後加熱(PEB)での許容幅が広いため作業性に優れる。
本発明の非イオン系酸発生剤(A)は下記一般式(1)で表される。
Figure 2019215388
[式(1)中、R1は炭素数3〜12の炭化水素基、炭素数3〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基またはアルキルカーボネート基であり、R2〜R6は水素原子であり、Rfはフッ素原子、または少なくとも一つ以上の水素がフッ素で置換された炭素数1〜18の炭化水素基である。]
R1は炭素数3〜12の炭化水素基、炭素数3〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基またはアルキルカーボネート基である。
炭素数3〜12の炭化水素基としては、直鎖、分枝、又は環状の炭素数3〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のアルキニル基及び炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
炭素数3〜12のアルキル基としては、直鎖、分枝、又は環状のアルキル基(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、デカニル、ドデカニル、デカリニル、メンチル、ノルボルナニル、アダマンチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、1−メトキシエチル、ベンジロキシメチル、トリメチルシロキシメチル、トリエキルシロキシメチル、トリイソプロピルシロキシメチル、tert−ブチルジメチルシロキシメチル及びtert−ブチルジフェニルシロキシメチル等)等が挙げられ、原料の入手性の観点から好ましくは炭素数3〜8の直鎖、分枝、又は環状のアルキル基であり、特に好ましくは、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。

炭素数3〜12のアルケニル基としては、直鎖、分枝、又は環状のアルケニル基(1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテン−1−イル、2−ブテン−1−イル、2−メチル−2−プロペニル、1−シクロペンテン−1−イル、1−シクロヘキセン−1−イル、1−デセン−1−イル、1−ドデセン−1−イル及びノルボルネニル等)等が挙げられる。
炭素数3〜12のアルキニル基としては、直鎖、分枝、又は環状のアルキニル基(1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イル、2−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル、1−ペンチン−1−イル、2−ペンチン−1−イル、3−ペンチン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、3−メチル−1−ブチン−1−イル、1−メチル−2−ブチン−1−イル、1−メチル−3−ブチン−1−イル、1,1−ジメチル−2−プロピン−1−イル、1−デシン−1−イル及び1−シクロオクチン−1−イル等)等が挙げられる。
炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アズレニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、2,4,6−メシチル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基及びペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
炭素数3〜12のアルコキシ基としては、直鎖又は分枝アルコキシ基(プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ベンジロキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ナフトキシ、エトキシメトキシ、2−メトキシエトキシ、1−メトキシエトキシ、ベンジロキシメトキシ、トリメチルシロキシ、トリエキルシロキシ、トリイソプロピルシロキシ、tert−ブチルジメチルシロキシ及びtert−ブチルジフェニルシロキシ等)等であり、合成の容易性の観点から好ましくはプロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、ベンジロキシ及びtert-ブチルジメチルシロキシである。
炭素数3〜12のアルキルチオ基としては、直鎖又は分枝アルキルチオ基(プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、フェニルチオ、トリルチオ、ベンジルチオ、オクチルチオ、デシルチオ及びドデシルチオ等)等であり、合成の容易性の観点から好ましくはプロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、ベンジルチオ、オクチルチオ及びドデシルチオである。
アルキルカルボニル基としては、炭素数1〜12(カルボニル上の炭素を含む)のアルキルカルボニル基が挙げられ、直鎖または分枝アルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2−メチルプロピオニル、ペンタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、オクタノイル、2−エチルヘキサノイル、デカノイル及びウンデカノイル等)等であり、合成の容易性の観点から好ましくはアセチル、プロピオニル、ブタノイル、2−メチルブタノイル及び2,2-ジメチルプロパノイルである。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜12(カルボニル上の炭素を含む)のアルコキシカルボニル基が挙げられ、直鎖または分枝アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、tert-アミロキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、2−エチルヘキシロキシカルボニル、メントキシカルボニル及びウンデカノキシカルボニル等)等であり、合成の容易性の観点から好ましくは分枝アルコキシカルボニル基であり、特に好ましくはイソプロポキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、tert−アミロキシカルボニル、2−エチルヘキシロキシカルボニル及びメントキシカルボニルである。
アルキルカルボニロキシ基としては、炭素数2〜12(カルボニル上の炭素を含む)のアルキルカルボニロキシ基が挙げられ、直鎖または分枝アルキルカルボニロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニロキシ、プロピルカルボニロキシ、イソプロピルカルボニロキシ、ブチルカルボニロキシ、イソブチルカルボニロキシ、sec−ブチルカルボニロキシ、tert−ブチルカルボニロキシ、オクチルカルボニロキシ、2-エチルヘキシルカルボニロキシ、ウンデシルカルボニロキシ及びベンジルカルボニロキシ等)等であり、原料の入手性の観点から好ましくはアセトキシ、エチルカルボニロキシ、プロピルカルボニロキシ、イソプロピルカルボニロキシ、ブチルカルボニロキシ、イソブチルカルボニロキシ、sec−ブチルカルボニロキシ、tert−ブチルカルボニロキシ、ペンチルカルボニロキシ、ヘキシルカルボニロキシ及び2-エチルヘキシルカルボニロキシである。
アルキルカーボネート基としては、炭素数2〜12(カルボニル上の炭素を含む)のアルキルカーボネート基が挙げられ、メチルカーボネート、エチルカーボネート、プロピルカーボネート、2−プロピルカーボネート、ブチルカーボネート、2−ブチルカーボネート、イソブチルカーボネート、tert−ブチルカーボネート、tert−アミルカーボネート、ベンジルカーボネート、2−エチルヘキシルカーボネート及びメンチルカーボネート等であり、原料の入手性の観点から好ましくはメチルカーボネート、エチルカーボネート、プロピルカーボネート、イソプロピルカーボネート、ブチルカーボネート、イソブチルカーボネート、tert−ブチルカーボネート、tert−アミルカーボネート、2−エチルヘキシルカーボネート及びメンチルカーボネートである。
これらのうちR1としては、原料の入手性の観点から、炭素数3〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルコキシ基、アルキルカルボニロキシ基及びアルキルカーボネート基が好ましく、炭素数3〜12のアルキル基及び炭素数3〜12のアルコキシ基がさらに好ましい。
Rfは、フッ素原子、または水素の少なくとも一つ以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜18の炭化水素基でありレジスト溶液との相溶性、光分解性、及び発生する酸の強度を制御する効果がある。
炭素数1〜18の炭化水素基は、アルキル基、アリール基及び複素環式炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜18の少なくとも一つ以上の水素がフッ素で置換された炭化水素基としては、水素原子がフッ素原子で置換された直鎖フルオロアルキル基(RF1)、分岐フルオロアルキル基(RF2)、環状フルオロアルキル基(RF3)及びフルオロアリール基(RF4)等が挙げられる。
水素原子がフッ素原子で置換された直鎖フルオロアルキル基(RF1)としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基及びパーフルオロオクチル基等が挙げられる。
水素原子がフッ素原子で置換された分岐アルキル基(RF2)としては、ヘキサフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基及びパーフルオロ−2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
水素原子がフッ素原子で置換された環状アルキル基(RF3)としては、ヘプタフルオロシクロブチル基、ノナフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基及びパーフルオロ(1−シクロヘキシル)メチル基等が挙げられる。
水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基(RF4)としては、ペンタフルオロフェニル基、3−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル基及び3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。
Rfのうち、光分解性、フォトレジストの脱保護能、および原料の入手のしやすさの観点から、水素原子がフッ素原子で置換された直鎖アルキル基(RF1)、分岐アルキル基(RF2)、及びアリール基(RF4)が好ましく、直鎖アルキル基(RF1)、及びアリール基(RF4)がさらに好ましく、トリフルオロメチル基(CF)、ペンタフルオロエチル基(C)、ヘプタフルオロプロピル基(C)、ノナフルオロブチル基(C)及びペンタフルオロフェニル基(C)が特に好ましい。
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)の合成方法は目的物を合成できれば特に限定はされないが、例えば、以下に述べる製造方法で製造できる。
Figure 2019215388
上記の反応式中、R1〜R6及びRfは式(1)における定義に同じである。
第1段目の反応は、前駆体(P1)と過酸化物とを有機溶剤(アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム等)中、で6〜48時間還流し反応させる。反応完了後、反応液を水に投入し、析出する固体をろ過し適当な有機溶媒で洗浄することで、前駆体(P2)が得られる。
過酸化物としてはBayer−Villiger酸化反応に一般に利用されるものであれば特に限定されないが、公知の有機過酸化物(過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等)及び無機過酸化物(過酸化水素、ぺルオキシ一硫酸カリウム、ぺルオキシ一硫酸カリウム・硫酸水素カリウム・硫酸カリウムトリプル塩等)を用いることができ、必要に応じて酸(酢酸、リン酸、塩酸等)やアルカリ(水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等)を併用することができる。
第2段目の反応は、前駆体(P2)と有機溶剤(アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等)とを混合・攪拌し、この混合物をヒドロキシルアミンと反応させる。反応時間は、10分から48時間、反応温度は、0〜50℃である。反応完了後、反応液を希酸によって中和する。析出する固体を濾過するか、分離する油状物を有機溶剤で抽出後、揮発分を留去することにより前駆体(P3)が得られる。この前駆体(P3)は必要に応じて適当な有機溶剤で洗浄するか、再結晶法にて精製することができる。
第3段目の反応は、前駆体(P3)、塩基(イミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、メチルモルホリン等)、RfSOXで表されるスルホン酸ハロゲン化物等を有機溶剤(アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF、酢酸エチル等)中にて混合する。反応温度は−20〜30℃、反応時間は1〜6時間である。反応完了後、希酸で中和し、析出する固体を濾過するか、分離する油状物を有機溶剤で抽出後、揮発分を留去することにより、一般式(1)で表される本発明の非イオン系光酸発生剤(A)が固体として得られる。得られた固体は、必要に応じて適当な有機溶剤で洗浄するか、再結晶することで精製することができる。
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)は、レジスト材料への溶解を容易にするため、あらかじめ反応を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
溶剤としては、カーボネート(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、エステル(酢酸エチル、乳酸エチル、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等)、エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等)、及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられる。
溶剤を使用する場合、溶剤の使用割合は、本発明の光酸発生剤100重量部に対して、15〜1000重量部が好ましく、30〜500重量部がさらに好ましい。
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、非イオン系光酸発生剤(A)を必須成分として含むため、紫外線照射及び露光後加熱(PEB)を行うことで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性に差がつく。非イオン系光酸発生剤(A)は1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)としては、ネガ型化学増幅樹脂(QN)と非イオン系光酸発生剤(A)との混合物;及びポジ型化学増幅樹脂(QP)と非イオン系光酸発生剤(A)との混合物が挙げられる。
ネガ型化学増幅樹脂(QN)としては、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)と架橋剤(QN2)から構成される。
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)としてはフェノール性水酸基を含有している樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−性水酸基を含有するポリイミド、フェノール性水酸基を含有するポリアミック酸、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂が用いられる。これらのなかでも、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂が好ましい。尚、これらのフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、1−ナフトール、2−ナフトールが挙げられる。
また、上記アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
具体的なノボラック樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂が挙げられる。
また、上記フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)には、成分の一部としてフェノール性低分子化合物が含有されていてもよい。
上記フェノール性低分子化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−{1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノールが挙げられる。これらのフェノール性低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
このフェノール性低分子化合物のフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中における含有割合は、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を100重量%とした場合、40重量%以下であることが好ましく、1〜30重量%がさらに好ましい。
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の重量平均分子量は、得られる絶縁膜の解像性、熱衝撃性、熱安定性、残膜率等の観点から、2000以上であることが好ましく、2000〜20000がさらに好ましい。
また、ネガ型化学増幅樹脂(QN)中におけるフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合は、溶剤を除いた組成物の全体を100重量%とした場合に、30〜90重量%であることが好ましく、40〜80重量%がさらに好ましい。このフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合が30〜90重量%である場合には、感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有しているため好ましい。
架橋剤(QN2)としては、非イオン系光酸発生剤(A)から発生した強酸によりフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を架橋し得る化合物であれば特に限定されない。
架橋剤(QN2)としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物及びカルボキシメチル基含有フェノール化合物が挙げられる。
これら架橋剤(QN2)のうち、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有ウレア化合物及びアセトキシメチル基含有フェノール化合物が好ましく、メトキシメチル基含有メラミン化合物(例えばヘキサメトキシメチルメラミン)、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物及びメトキシメチル基含有ウレア化合物等がさらに好ましい。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物はCYMEL1174(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、またメトキシメチル基含有ウレア化合物は、MX290(三和ケミカル(株)製)等の商品名で市販されている。
架橋剤(QN2)の含有量は、残膜率の低下、パターンの蛇行や膨潤及び現像性の観点から、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中の全酸性官能基に対して、通常、5〜60モル%であり、10〜50モル%が好ましく、15〜40モル%がさらに好ましい。
ポジ型化学増幅樹脂(QP)としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はスルホニル基等の1種以上の酸性官能基を含有するアルカリ可溶性樹脂(QP1)中の酸性官能基の水素原子の一部あるいは全部を、酸解離性基で置換した保護基導入樹脂(QP2)が挙げられる。
なお、酸解離性基は非イオン系光酸発生剤(A)から発生した強酸の存在下で解離することができる基である。
保護基導入樹脂(QP2)は、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性である。
アルカリ可溶性樹脂(QP1)としては、例えば、フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)、カルボキシル基含有樹脂(QP12)、及びスルホン酸基含有樹脂(QP13)等が挙げられる。
フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)としては、上記水酸基含有樹脂(QN1)と同じものが使用できる。
カルボキシル基含有樹脂(QP12)としては、カルボキシル基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸等]、不飽和多価(2〜4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸等]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1〜10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびシトラコン酸モノアルキルエステル等]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩およびアンモニウム塩等]が挙げられる。
これらのうち重合性、及び入手のしやすさの観点から不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)、及び芳香族炭化水素モノマー(Bb2)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)としては、アルキル基の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等]および脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
芳香族炭化水素モノマー(Bb2)としては、例えば、スチレン骨格を有する炭化水素モノマー[スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレンおよびベンジルスチレン等]およびビニルナフタレンが挙げられる。
カルボキシル基含有樹脂(QP12)における、(Ba)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10〜100/0〜90であり、現像性の観点から10〜80/20〜90が好ましく、25〜85/15〜75がさらに好ましい。
スルホン酸基含有樹脂(QP13)としては、スルホン酸基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、上記と同じものが使用できる。
スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)塩、第1〜3級アミン塩、アンモニウム塩および第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
スルホン酸基含有樹脂(QP13)における、(Bc)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10〜100/0〜90であり、現像性の観点から10〜80/20〜90が好ましく、25〜85/15〜75がさらに好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(QP1)のHLB値は、アルカリ可溶性樹脂(QP1)の樹脂骨格によって好ましい範囲が異なるが、4〜19が好ましく、5〜18がさらに好ましく、6〜17が特に好ましい。
HLB値が4以上であれば現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
なお、本発明におけるHLB値は、小田法によるHLB値であり、親水性−疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
<HLBの評価方法>
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
保護基導入樹脂(QP2)中の酸解離性基としては、置換メチル基、1−置換エチル基、1−分枝アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基及び環式酸解離性基等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基が挙げられる。
1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−tert−ブトキシカルボニルエチル基が挙げられる。
1−分枝アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基が挙げられる。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジ−tert−ブチルメチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリカルビルシリル基が挙げられる。
ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジイソプロピルゲルミル基、トリイソプロピルゲルミル基、tert−ブチルジメチルゲルミル基、ジ−tert−ブチルメチルゲルミル基、トリ−tert−ブチルゲルミル基、ジメチルフェニルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等のトリカルビルゲルミル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基が挙げられる。
環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基が挙げられる。
これらの酸解離性基のうち、tert−ブチル基、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、トリメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基及びテトラヒドロチオフラニル基が好ましい。
保護基導入樹脂(QP2)における酸解離性基の導入率{保護基導入樹脂(QP2)中の保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合}は、酸解離性基や該基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが10〜100%が好ましく、15〜100%がさらに好ましい。
保護基導入樹脂(QP2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は1,000〜150,000が好ましく、3,000〜100,000がさらに好ましい。
また、保護基導入樹脂(QP2)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常1〜10であり、1〜5が好ましい。
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく非イオン系光酸発生剤(A)の含有量は、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜15重量%がさらに好ましく、0.05〜7重量%が特に好ましい。
0.001重量%以上であれば紫外線に対する感度がさらに良好に発揮でき、20重量%以下であればアルカリ現像液に対し不溶部分の物性がさらに良好に発揮できる。
本発明のフォトグラフィー用樹脂組成物(Q)を用いたレジストは、例えば、所定の有機溶剤に溶解(無機微粒子を含んだ場合は溶解と分散)した樹脂溶液を、スピンコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等公知の方法を用いて基板に塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させることで形成することができる。
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)を溶解させる有機溶剤としては、樹脂組成物を溶解させることができ、樹脂溶液をスピンコート等に適用できる物性(粘度等)に調整できるものであれば特に限定されない。例えば、N−メチルピロリドン、DMF、ジメチルスルホキシド、トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン等の公知の溶媒が使用できる。
これらの溶剤のうち、乾燥温度等の観点から、沸点が200℃以下のもの(トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン)が好ましく、単独又は2種類以上組み合わせで使用することもできる。
有機溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常30〜1,000重量%が好ましく、40〜900重量%がさらに好ましく、50〜800重量%が特に好ましい。
塗布後の樹脂溶液の乾燥条件は、使用する溶剤により異なるが好ましくは50〜200℃で2〜30分の範囲で実施され、乾燥後のフォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の残留溶剤量(重量%)等で適宜決定する。
基板にレジストを形成した後、配線パターン形状の光照射を行う。その後、露光後加熱(PEB)を行った後に、アルカリ現像を行い、配線パターンを形成する。
光照射する方法として、配線パターンを有するフォトマスクを介して活性光線により、レジストの露光を行う方法が挙げられる。光照射に用いる活性光線としては、本発明の
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)中の非イオン系光酸発生剤(A)を分解させることができれば特に制限はない。
活性光線としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハロゲンランプ、電子線照射装置、X線照射装置、レーザー(アルゴンレーザー、色素レーザー、窒素レーザー、LED、ヘリウムカドミウムレーザー等)等がある。これらのうち、好ましくは高圧水銀灯及び超高圧水銀灯である。
露光後加熱(PEB)の温度としては、通常40〜200℃であって、50〜190℃が好ましく、60〜180℃がさらに好ましい。40℃未満では脱保護反応、又は架橋反応が十分にできないため、紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差が不足しパターンが形成できず、200℃より高いと生産性が低下する問題がある。
加熱時間としては、通常0.5〜120分であり、0.5分未満では時間と温度の制御が困難で、120分より大きいと生産性が低下する問題がある。
アルカリ現像する方法としては、アルカリ現像液を用いて配線パターン形状に溶解除去する方法が挙げられる。アルカリ現像液としては、フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差ができる条件であれば特に制限はない。
アルカリ現像液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。
これらアルカリ現像液は水溶性の有機溶剤を加えてもよい。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、THF、N−メチルピロリドン等がある。
現像方法としては、アルカリ現像液を用いたディップ方式、シャワー方式、及びスプレー方式があるが、スプレー方式が好ましい。
現像液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。現像時間は、レジストの厚さに応じて適宜決定される。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<製造例1>
<2−プロポキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]の合成>
2−ナフチルプロピルエーテル(Aldrich製)を原料として、文献(Synlett,2011,1,79.)に記載の方法に従って合成した3-プロポキシアセナフテンキノン1.8部のメタノール29部分散液に窒素雰囲気下、ペルオキシ一硫酸カリウム(複塩)10部を一度に加えた。この分散液を強く撹拌しながら、一日還流した。反応終了後、室温まで冷却し多量の水に投入した。得られた固体をろ過し、減圧乾燥することで前駆体(P2−1)1.5部を得た。
<製造例2>
<N−ヒドロキシ−2−プロポキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]の合成>
製造例1で得られた前駆体(P2−1)1.3部をアセトニトリル13部に溶解させ、ヒドロキシルアミン水溶液(東京化成工業株式会社製、50%水溶液)2.0部を加えて室温で2時間攪拌した。反応液を希塩酸水溶液に投入し析出物を濾別して水洗、乾燥することで前駆体(P3−1)1.3部を得た。
<製造例3>
<2−プロピルチオナフタレンの合成>
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(60%流動パラフィン分散、東京化成工業株式会社製)2.0部のTHF124部分散液を氷浴し、2−ナフタレンチオール(東京化成工業株式会社製)6.7部を3回に分けて加えた。20分攪拌後、ヨードプロパン(東京化成工業株式会社製)8.5部を滴下し、室温まで昇温して8時間反応させた。反応液を水に加え酢酸エチルで3回抽出した後、濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで2−プロピルチオナフタレン8.0部を得た。
<製造例4>
<2−プロピルチオ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−2)]の合成>
2−ナフチルプロピルエーテルを製造例3で合成した2−プロピルチオナフタレンに変更し、3-プロポキシアセナフテンキノン1.8部を3−プロピルチオアセナフテンキノン1.9部に変更した以外は、製造例1と同様にして前駆体(P2−2)1.6部を得た。
<製造例5>
<N−ヒドロキシ−2−プロピルチオ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−2)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−2)1.4部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−2)1.4部を得た。
<製造例6>
<2−ヒドロキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−3)]の合成>
製造例1で合成した前駆体(P2−1)9.9部をジクロロメタン220部に攪拌分散し、−78℃に冷却した後、三臭化ホウ素(東京化成工業株式会社製)31部のジクロロメタン55部溶液を滴下し一時間攪拌した。室温まで昇温し24時間攪拌した後、多量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に投入し、得られた固体を濾別した。得られた固体を希塩酸に分散し、一時間攪拌した後、再度ろ過して十分に水洗した。得られた黄色固体を乾燥し前駆体(P2−3)6.6部を得た。
<製造例7>
<2−tert−ブトキシカルボニロキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−4)]の合成>
製造例6で合成した前駆体(P2−3)11部をアセトニトリル200部に分散し、ピリジン0.8部、次いで二炭酸ジ−tert−ブチル(東京化成工業株式会社製)12部を滴下した。40度まで昇温し反応を完結させた後、水を加えて固体を析出させた。これを濾別し乾燥することで前駆体(P2−4)16部を得た。
<製造例8>
<N−ヒドロキシ−2−tert−ブトキシカルボニロキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−3)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−4)1.6部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−3)1.6部を得た。
<製造例9>
<2−イソプロピルカルボニロキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−5)]の合成>
製造例6で合成した前駆体(P2−3)11部をアセトニトリル200部に分散し、ピリジン4.4部、次いでイソブチリルクロリド(東京化成工業株式会社製)6.0部を滴下した。反応終了後水を加えて固体を析出させた。これを濾別し乾燥することで前駆体(P2−5)14部を得た。
<製造例10>
<N−ヒドロキシ−2−イソプロピルカルボニロキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−4)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−5)1.4部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−4)1.2部を得た。
<製造例11>
<2−ブチル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−6)]の合成>
2−ナフチルプロピルエーテルを2−ブチルナフタレン(和光純薬製)に変更し、3-プロポキシアセナフテンキノン1.8部を3−ブチルアセナフテンキノン1.8部に変更した以外は、製造例1と同様にして前駆体(P2−6)1.5部を得た。
<製造例12>
<N−ヒドロキシ−2−ブチル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−5)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−6)1.3部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−5)1.3部を得た。
<製造例13>
<3−ブロモ−アセナフテンの合成>
3−アミノアセナフテン塩酸塩(Aldrich製)30部を臭化水素酸(47%、東京化成工業株式会社製)62部に加え、氷浴にて冷却した。次に亜硝酸ナトリウム(和光純薬製)10部の水30部溶液を滴下し、アセナフテンジアゾニウム溶液を調製した。別の容器に臭化銅(I)(和光純薬製)11部を入れ、臭化水素酸15部を加えた。還流したこの臭化銅溶液に、アセナフテンジアゾニウム溶液が冷たいうちに素早く滴下した。反応終了後、生成物を酸性白土パッドで濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、3-ブロモアセナフテン30部を得た。
<製造例14>
<1−(3−アセナフチル)−2−メチルブタン−1−オンの合成>
オーブンで乾燥したフラスコにマグネシウム(粉末、関東化学株式会社製)0.2部を入れ窒素置換し、スターラーで1時間攪拌した。THF3.4部を加え50℃に加熱し、ジブロモエタン0.03部を滴下した。続いて製造例13で合成した3-ブロモアセナフテン1.8部のTHF3.4部溶液をゆっくりと滴下した。一時間攪拌した後、室温に戻してグリニャール試薬を調製した。別の容器に2-メチルブチリルクロリド(Aldrich製)1.0部のTHF6.8部溶液を氷浴しておき、ここに先程のグリニャール試薬を滴下した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて有機層を酢酸エチルで3回抽出した。これを濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで1−(3−アセナフチル)−2−メチルブタン−1−オン1.6部を得た。
<製造例15>
<2−sec−ブチルカルボニル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−7)]の合成>
ニクロム酸ナトリウム7.0部を酢酸70部に溶解し、氷浴で冷却した。製造例14で得られた1−(3−アセナフチル)−2−メチルブタン−1−オン2.4部を加え、室温に昇温し一日攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで3回抽出した。これを濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、前駆体(P2−7)1.7部を得た。
<製造例16>
<N−ヒドロキシ−2−sec−ブチルカルボニル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−6)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−6)1.4部、ヒドロキシルアミン水溶液を0.8部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−6)1.2部を得た。
<製造例17>
<2−ナフチルトリメチルシリルアセチレンの合成>
フラスコに塩化ビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(II)(関東化学株式会社製)0.12部、ヨウ化銅(I)(関東化学株式会社製)0.02部を量り取り窒素置換した。この混合物にトリメチルシリルアセチレン(東京化成工業株式会社製)1.0部、2−ブロモナフタレン1.8部とジエチルアミン24部を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、揮発物を留去した残渣を酢酸エチルと水で分液し、有機層を3回抽出した。これを濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで2−ナフチルトリメチルシリルアセチレン1.8部を得た。
<製造例18>
<2−トリメチルシリルエチニル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−8)]の合成>
2−ナフチルプロピルエーテルを製造例17で合成した2−ナフチルトリメチルシリルアセチレンに変更し、3-プロポキシアセナフテンキノン1.8部を3−トリメチルシリルエチニルアセナフテンキノン2.1部に変更した以外は、製造例1と同様にして前駆体(P2−8)1.7部を得た。
<製造例19>
<N−ヒドロキシ−2−トリメチルシリルエチニル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−7)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−8)1.5部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−7)1.4部を得た。
<製造例20>
<2−sec−ブチルナフタレンの合成>
窒素雰囲気下、塩化[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(和光純薬製)0.04部及び2−ブロモナフタレン(東京化成工業株式会社製)1.0部をフラスコに入れ氷浴した。sec−ブチルマグネシウムブロミド(約16%THF溶液、東京化成工業株式会社製)10部を滴下したのち、室温まで昇温し3時間反応させた。飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした後、有機層を酢酸エチルで3回抽出し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで2−sec−ブチルナフタレン0.7部を得た。
<製造例21>
<2−sec−ブチル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−9)]の合成>」
2−ナフチルプロピルエーテルを製造例20で合成した2−sec−ブチルナフタレンに変更し、3-プロポキシアセナフテンキノン1.8部を3−sec−ブチルアセナフテンキノン1.8部に変更した以外は、製造例1と同様にして前駆体(P2−9)1.5部を得た。
<製造例22>
<N−ヒドロキシ−2−sec−ブチル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−8)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−9)1.3部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−8)1.2部を得た。
<製造例23>
<2−シクロヘキシルナフタレンの合成>
sec−ブチルマグネシウムブロミド10部をシクロヘキシルマグネシウムブロミド(約18%THF溶液、東京化成工業株式会社製)10部に変更した以外は製造例20と同様にして、2−シクロヘキシルナフタレン0.8部を得た。
<製造例24>
<2−シクロヘキシル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−10)]の合成>」
2−ナフチルプロピルエーテルを製造例23で合成した2−シクロヘキシルナフタレンに変更し、3-プロポキシアセナフテンキノン1.8部を3−シクロヘキシルアセナフテンキノン2.0部に変更した以外は、製造例1と同様にして前駆体(P2−10)1.7部を得た。
<製造例25>
<N−ヒドロキシ−2−シクロヘキシル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−9)]の合成>
前駆体(P2−1)1.3部を前駆体(P2−10)1.4部に変更した以外は、製造例2と同様にして前駆体(P3−9)1.3部を得た。
<実施例1>
<2−プロポキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−1)]の合成>
製造例2で合成した前駆体(P3−1)2.9部及びピリジン1.0部のジクロロメタン47部分散液を氷浴し、トリフルオロメタンスルホン酸塩化物(東京化成工業株式会社製)2.0部を滴下した。一時間反応させた後、氷冷した希塩酸に投入し、水で3回洗浄後、抽出液を濃縮し淡褐色の固体を得た。この固体をイソプロパノールで洗浄し、乾燥することで非イオン系光酸発生剤(A−1)3.8部を得た。
<実施例2>
<2−プロピルチオ−1,8−ナフタル酸イミドノナフルオロブタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−2)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−2)3.0部、トリフルオロメタンスルホン酸塩化物2.0部をノナフルオロブタンスルホン酸塩化物(Aldrich製)3.7部とし、反応時間を3時間に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−2)5.1部を得た。
<実施例3>
<2−tert−ブトキシカルボニロキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−3)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−3)3.5部とした以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−3)4.4部を得た。
<実施例4>
<2−イソプロピルカルボニロキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−4)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−4)3.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−4)4.1部を得た。
<実施例5>
<2−ブチル−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−5)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−5)2.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−5)3.8部を得た。
<実施例6>
<2−sec−ブチルカルボニル−1,8−ナフタル酸イミドペンタフルオロベンゼンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−6)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−6)3.1部及びトリフルオロメタンスルホン酸塩化物2.0部をペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩化物(Aldrich製)3.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−6)4.7部を得た。
<実施例7>
<2−トリメチルシリルエチニル−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−7)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−7)3.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−7)4.2部を得た。
<実施例8>
<2−sec−ブチル−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−8)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−8)2.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−8)3.8部を得た。
<実施例9>
<2−シクロヘキシル−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−9)]の合成>
前駆体(P3−1)2.9部を前駆体(P3−9)3.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして非イオン系光酸発生剤(A−9)4.1部を得た。
実施例1〜9で得られた非イオン系光酸発生剤(A−1)〜(A−9)の構造を以下に記載した。
Figure 2019215388
<製造例26>
<4−ブチルチオ−1,8-ナフタル酸無水物[前駆体(P2’−1)]の合成>
4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物(東京化成工業株式会社製)2.8部をジメチルアセトアミド9.5部に分散し、1−ブタンチオール1.0部を加えた。容器を水浴し、この分散液にジアザビシクロウンデセン1.7部を滴下した。滴下完了後、分散液を70℃で一日攪拌した。室温に冷却後、反応液を多量の水に投入し、析出した固体をろ過し、十分に水洗した。得られた固体を乾燥し前駆体(P2’−1)2.3部を得た。
<比較例1>
<非イオン系光酸発生剤(A’−1)の合成>
前駆体(P2’−1)を原料とすることで化合物(A−1)と同様にして比較例の非イオン系光酸発生剤(A’−1)を得た。
<比較例2>
2-エトキシナフタレン(東京化成工業株式会社製)を原料とすることで化合物(A−1)と同様にして比較例の非イオン系光酸発生剤(A’−2)を得た。
<比較例3>
<非イオン系光酸発生剤(A’−3)の合成>
1,8−ナフタル酸イミドパラトルエンスルホネート(A’−3)(Aldrich社製)をそのまま使用した。
比較例1〜3で得られた非イオン系光酸発生剤(A’−1)〜(A’−3)の構造を以下に記載した。
Figure 2019215388
<実施例1〜9、比較例1〜3>
光酸発生剤の性能評価として、実施例1〜9で得られた非イオン系光酸発生剤(A−1)〜(A−9)、比較のための非イオン系光酸発生剤(A’−1)〜(A’−3)のi線感度、耐塩基性及び溶剤溶解性について以下の方法で評価し、その結果を表1に記載した。
<i線感度の評価方法>
<露光部硬化性>
フェノール樹脂(DIC社製、「フェノライトTD431」)75部、メラミン硬化剤(三井サイアナミッド株式会社製、「サイメル300」)25部、合成した光酸発生剤1部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記する。)100部の樹脂溶液を、10cm角のガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで10秒の条件で塗布した。次いで25℃で5分間真空乾燥した後、100℃のホットプレート上で5分間乾燥させることで、膜厚約40μmのレジストを形成した。このレジストに紫外線照射装置(株式会社オーク製作所社製、HMW−661F−01)を用いて、L−34(株式会社ケンコー光学製、340nm未満の光をカットするフィルター)フィルターによって波長を限定した紫外光を所定量全面に露光した。なお積算露光量は365nmの波長を測定した。次いで、150℃の順風乾燥機で10分間露光後加熱(PEB)を行った後、0.5%水酸化カリウム溶液を用いて60秒間浸漬することで現像し、直ちに水洗、乾燥を行った。このレジストの膜厚を形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡UK−8550、株式会社キーエンス製)を用いて測定した。ここで現像前後のレジストの膜厚変化が10%以内となる最低露光量を露光部硬化性とした。少ない露光量で十分な露光部硬化性を示すほどi線感度は良好であるので光酸発生剤のi線感度を以下の基準により評価した。
○: 最低露光量が500mJ/cm以下
×: 最低露光量が500mJ/cm
<耐塩基性の評価方法>
キャップ付きスクリュー管にトリエチルアミン2部を秤量し、重クロロホルム200部を加えて混合した。続いて合成した非イオン系光酸発生剤3部を加え、素早く撹拌し均一な光酸発生剤溶液を得た。この溶液を室温にて24時間静置した後、フッ素19NMRにて分解率D[%]を測定した。分解率Dは以下のように求めた。
分解率D[%]: D=分解物の積分比/(光酸発生剤の積分比+分解物の積分比)×100
ここで分解率D[%]から、光酸発生剤の耐塩基性を以下のように評価した。
○: 分解率D[%]が20%以下
×: 分解率D[%]が20%超
<溶剤溶解性の評価方法>
合成した光酸発生剤を1部試験管にとり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を3部加え、酸発生剤濃度が25%で完全に溶解するか確認した。溶解しない場合、以後酸発生剤濃度が5%ずつ減少するようにPGMEAを加え完全に溶解した濃度を確認した。
溶剤溶解性は、以下の基準により評価した。
○: 完全に溶解した濃度が10%以上
×: 完全に溶解した濃度が10%未満
Figure 2019215388
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜9のナフタルイミド構造を持つ非イオン系光酸発生剤(A)は、R1に置換基を有するために耐塩基性に優れ、クエンチャーと反応しないのでレジスト用樹脂組成物の経時変化が少なく、望む形状のパターンを得ることができる。加えて、平面性の高い光酸発生剤の配向を阻害するので溶剤溶解性に優れる。また、Rfの炭化水素上の水素の一つ以上がフッ素に置換されているために、i線高感度に分解し強酸を発生させることができる。さらに、ナフタルイミド構造を持ち熱安定性に優れるために、PEBで分解することがなく許容幅に優れる。一方、ナフタルイミド構造を持ちR1に置換基を有さない非イオン系光酸発生剤である比較例1では、容易に塩基成分と反応して分解するとわかる。これによりレジスト材料中のクエンチャーと反応するためにレジスト用樹脂組成物の経時変化が大きく、配合後の時間経過によって望む形状のパターンが得られない。比較例2では、R1に有するエトキシ基では平面性の高い光酸発生剤の配向を阻害するには不十分であり、レジスト溶剤への溶解性に劣るとわかる。また、Rfにフッ素置換されていない炭化水素基を持つ光酸発生剤である比較例3では、i線感度に劣るためにパターン形成できないとわかる。
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)はi線に対する高感度と、必要な耐塩基性及び熱安定性を有しているため、半導体の製造に代表される微細加工用のフォトリソグラフィー材料として有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする非イオン系光酸発生剤(A)。
    Figure 2019215388
    [式(1)中、R1は炭素数3〜12の炭化水素基、炭素数3〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基またはアルキルカーボネート基であり、R2〜R6は水素原子であり、Rfはフッ素原子、または少なくとも一つ以上の水素がフッ素で置換された炭素数1〜18の炭化水素基である。]
  2. 一般式(1)中、R1が、炭素数3〜12のアルキル基または炭素数3〜12のアルコキシ基である請求項1に記載の非イオン系光酸発生剤(A)。
  3. 一般式(1)において、RfがCF,C、C、C、またはCである請求項1〜2のいずれかに記載の非イオン系光酸発生剤(A)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の非イオン系光酸発生剤(A)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)。
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