以下の実施例の詳細な説明では、添付図面を参照する。異なる図において同一の参照符号は、同一又は同様の要素を示し得る。
ユーザデバイスは、センシング機能を実行するセンサデバイスを含み得る。センサデバイスの光送信器が、物体に向けた光を放出し得る。例えば、物体検出システムにおいて、光送信器は、物体に向けて近赤外光を送信し、近赤外光は、物体からセンサデバイスに向けて反射され得る。センサ素子アレイ等のセンサデバイスの光受信器は、センサデバイスに向けた光を受信し得る。例えば、物体検出システムにおいて、センサ素子アレイは、1つ又は複数の波長の光に関する情報を取得し得る。センサ素子アレイは、1つ又は複数の波長の光に関する情報を取得するセンサ素子(例えば、光センサ、スペクトルセンサ、及び/又はイメージセンサ)セットを含み得る。このように、1つ又は複数の波長の光に関する情報に基づき、センサデバイスは物体を検出することができる。
同様に、センサデバイスの光受信器が取得した情報を用いて、物体の特徴を認識することができる。例えば、センサデバイスは、物体から反射した光の波長に関する情報を利用して、物体までの距離、物体のサイズ、物体の形状、物体の分光シグネチャ、物体のタイプ、物体の速度、等を判定し得る。同様に、センサデバイスは、人物の本人性、人物の特徴(例えば、身長、体重、移動速度、健康特徴、等)等を判定し得る。
携帯電話、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ又はスマートグラス)、等のようないくつかのユーザデバイスは、複数のセンシング機能を実行するために複数のセンサデバイスを含み得る。例えば、ユーザデバイスは、撮像するカメラ、指紋識別機能を提供する指紋リーダ、等を含み得る。同様に、ユーザデバイスは、外部周辺装置に接続されて機能を提供する、例えば外部心拍数モニタに接続されて健康パラメータ監視機能を提供することができる。しかしながら、ユーザデバイスに複数の別個のセンサデバイスが含まれると、過剰な費用、過剰なパッケージサイズ、過剰な電力リソース利用、及び/又は過剰な処理リソース利用が生じ得る。さらに、外部周辺装置への接続により、接続機能を提供するための過剰な費用及び/又はパッケージサイズ、ネットワーク接続を介した過剰なトラフィック、等が生じ得る。
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、マルチセンシングセンサデバイスを組み込んだユーザデバイスを提供し得る。例えば、ユーザデバイスは、マルチスペクトルフィルタと、1つ又は複数の健康監視機能、1つ又は複数のセキュリティ機能、等の実行のような複数の機能に関するセンシングを行うセンサデバイスとを含み得る。このように、ユーザデバイスは、複数の別個の単一機能センサデバイスを組み込むこと及び/又は複数の外部周辺装置に接続することに比べて、パッケージサイズの縮小、費用の削減、電力リソース利用の低減、ネットワークリソース利用の低減、等を伴うことができる。
図1A及び図1Bは、本明細書に記載の実施例100の図である。図1Aに示すように、例100は、センサデバイス及びセンサ窓を含むユーザデバイスを含み得る。実施態様によっては、センサ窓は、可視スペクトル域で不透明であり、且つセンシングスペクトル域(例えば、近赤外スペクトル域、中赤外スペクトル域、等)で透過性があり得る。実施態様によっては、センサ窓は、ユーザデバイスの隣接面に一致してセンサデバイスを隠すように可視スペクトル域の特定の色であるよう構成され得る。実施態様によっては、センサ窓は、外部環境からセンサデバイスを保護することにより、露出したセンサデバイスを設ける場合に比べてセンサデバイスの耐久性を向上させることができる。
図1Aにさらに示すように、センサデバイスは、光を透過させて分光測定を行うことができ、且つ反射光を受光して分光測定を可能にすることができる。実施態様によっては、センサデバイスは、指の組織構造に基づき(例えば、指の毛細管及び/又は静脈で反射した光を受信して指の脈管構造を判定することに基づき)生体認証を判定し得る。例えば、センサデバイスは、センサ窓に近赤外光を透過させて皮下生体認証(例えば、指又は他の身体部分の組織構造の識別)を可能にし得る。この場合、皮下識別技法の使用(例えば、約0.1ミクロン超、約0.5ミクロン超、約1ミクロン超、約3ミクロン超、約5ミクロン超、等の侵入深さまでのセンシング)に基づき、センサデバイスは、指の表面損傷、指についた汚れ、指についた水、等により妨げられる可能性のある表面ベースの指紋識別技法に比べて生体認証の精度を高める。
追加として又は代替として、センサデバイスは、近赤外光を伝送して心拍数判定を可能にし得る。例えば、センサデバイスは、近赤外光をユーザの手に向けて送信し、反射光を受信し、且つ反射光の1つ又は複数の波長の測定値に基づきユーザの脈拍を検出し得る。心拍数判定に基づき、センサデバイスは、物体のライブネスを判定することができる。例えば、センサデバイスは、指紋又は組織構造の人工印影(imprint)と実際の生活者の指紋又は組織構造とを区別することにより、生体認証機能のセキュリティを向上させることができる。実施態様によっては、センサデバイスは、反射光の1つ又は複数の波長の測定値に基づき、血液酸素化判定、血糖値判定、等のような別の判定を行うことができる。追加として又は代替として、センサデバイスは、近赤外光の測定値を用いて分光法による分類、定量化、等を行うことができる。このように、表面測定及び表面下測定の使用により、センサデバイスはユーザデバイスのセンシングを改善する。
図1Bに示すように、ユーザデバイスは、ユーザインタフェースを介して、センサデバイスによる測定(例えば、分光測定)に基づき物体情報を提供し得る。例えば、センサデバイスは、指紋に基づくユーザを識別する情報、心拍数を識別する情報、指紋が人工印影からでなくヒトからのものであったことを示す情報、血液酸素化レベルを識別する情報、等を、ユーザインタフェースを介して提供し得る。実施態様によっては、ユーザデバイスは、センサ判定に基づき応答動作を実行し得る。例えば、ユーザデバイスは、生体認証及びライブネス判定に基づきユーザデバイスのユーザインタフェースを自動的にアンロックすることができる。追加として又は代替として、ユーザデバイスは、ユーザが記憶させた嗜好に基づき且つ生体認証及びライブネス判定を用いたユーザの識別に基づき、ユーザデバイスの画面のレイアウト及び/又は1つ又は複数の嗜好を自動的に変更することができる。追加として又は代替として、ユーザデバイスは、ユーザの識別、ユーザの場所の識別、及び生体認証及び1つ又は複数の健康メトリクス(例えば、心拍数判定、血液酸素化判定、血糖値判定、等)に基づく健康状態の指示についての警告を(例えば、緊急応答ディスパッチデバイスに)自動的に送信することができる。
このように、単一のセンサデバイスを用いて例えば生体認証及び心拍数判定を行うことに基づき、ユーザデバイスは、複数の別個の単一機能センサデバイスに比べてサイズの縮小、費用の削減、複雑さの低減、電力リソース利用の低減、ネットワーク利用の低減、等を伴うことができる。
上述のように、図1A及び図1Bは、1つ又は複数の例として提供されているにすぎない。他の例は、図1A及び図1Bに関して記載したものとは異なる場合がある。
図2は、本明細書に記載のシステム及び/又は方法を実施し得る環境例200の図である。図2に示すように、環境200は、センサデバイス220を含むユーザデバイス210と、サーバデバイス230と、ネットワーク240とを含み得る。環境200のデバイスは、有線接続、無線接続、又は有線及び無線接続の組み合わせを介して相互接続され得る。
ユーザデバイス210は、センサ判定に関連する情報の受信、生成、記憶、処理、及び/又は供給が可能な1つ又は複数のデバイスを含む。例えば、ユーザデバイス210は、携帯電話(例えば、スマートフォン、無線電話、等)、コンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、等)、ゲーミングデバイス、ウェアラブル通信デバイス(例えば、スマートウォッチ、スマートグラス、等)、又は同様のタイプのデバイス等の通信及び/又はコンピューティングデバイスを含み得る。実施態様によっては、ユーザデバイス210は、センサデバイス220を収容するハウジングを含み得る。実施態様によっては、ハウジングは、センサデバイス220を外部環境から分離するセンサ窓を含み得る。例えば、センサ窓は、光をフィルタリングするマルチスペクトルフィルタであってもよく、可視光波長で不透明であってもよく、センシング波長(例えば、近赤外波長、中赤外波長等)で透過性であってもよく、且つ/又はそれに類するものであってもよい。実施態様によっては、センサデバイス220は、ユーザデバイス210に(例えば、ユーザデバイス210の裏側、ユーザデバイス210のディスプレイの後ろ、等に)配置され得る。例えば、センサデバイス220がユーザデバイス210のディスプレイの後ろに配置される場合、ユーザデバイス210のディスプレイは、ユーザデバイス210のセンサ窓を形成し得る。実施態様によっては、ユーザデバイス210は、センサデバイス220及び/又はサーバデバイス230等の環境200における別のデバイスに対して情報を受信し且つ/又は情報を送信し得る。
センサデバイス220は、センサ判定に関連する情報の記憶、処理、及び/又は転送が可能な光学デバイス及び/又は物体のセンサ測定を行うことが可能な1つ又は複数のデバイスを含み得る。例えば、センサデバイス220は、分光法(例えば、近赤外(NIR)分光計、中赤外分光法(中IR)、ラマン分光法、等のような振動分光法)を行う分光デバイスを含み得る。実施態様によっては、センサデバイス220は、ユーザデバイス210のために物体の複数の特徴に関する複数の特徴判定を行うことにより、ユーザデバイス210が複数のセンサデバイスを含む必要をなくすことができる。本明細書に記載するように、例えば、センサデバイス220は、健康パラメータ監視判定、生体認証判定、ライブネス検出判定、血圧判定、血液酸素化判定、等をユーザデバイス210に提供し得る。この場合、センサデバイス220は、複数の特徴判定で同じ波長、異なる波長、同じ波長及び異なる波長の組み合わせ、等を利用し得る。
実施態様によっては、センサデバイス220は、ウェアラブル分光計等のようなユーザデバイス210に組み込まれ得る。実施形態によっては、センサデバイス220は、トレーニングセットの一連の測定値に基づき分類モデルを生成し、バリデーションセットの一連の測定値に基づき分類モデルを検証し、且つ/又は分類モデルを利用して未知のセット(例えば、センサ測定の対象となる物体)の一連の測定値に基づき分光法による分類又は定量化を行うことができる。実施態様によっては、センサデバイス220は、複数のセンシング機能に関して複数の波長の光の測定を行うセンサ素子アレイを含み得る。実施態様によっては、センサデバイス220は、ユーザデバイス210及び/又はサーバデバイス230等の環境200における別のデバイスに対して情報を受信し且つ/又は情報を送信し得る。
サーバデバイス230は、センサ判定に関連する情報の記憶、処理、及び/又は転送が可能な1つ又は複数のデバイスを含む。例えば、サーバデバイス230は、ユーザデバイス210からの分光測定値を識別する情報を受信し、分光測定値に関する判定を行い(例えば、分光測定値に基づく心拍数の判定、分光測定値に基づくユーザの識別、等)、且つ判定を識別する情報をユーザデバイス210に供給するサーバを含み得る。実施態様によっては、サーバデバイス230は、サーバデバイス230が環境200における他のデバイスに対して情報を受信及び/又は情報を送信できるようにする通信インタフェースを含み得る。
ネットワーク240は、1つ又は複数の有線及び/又は無線ネットワークを含む。例えば、ネットワーク240は、セルラーネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、3Gネットワーク、4Gネットワーク、5Gネットワーク、別のタイプの次世代ネットワーク等)、公衆陸上移動体ネットワーク(PLMN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、電話網(例えば、公衆交換電話網(PSTN))、プライベートネットワーク、アドホックネットワーク、イントラネット、インターネット、光ファイバネットワーク(fiber optic-based network)、クラウドコンピューティングネットワーク、等、及び/又はこれら若しくは他のタイプのネットワークの組み合わせを含み得る。
図2に示すデバイス及びネットワークの数及び配置は、一例として挙げたものである。実際には、図2に示すものに比べて追加のデバイス及び/又はネットワーク、より少ないデバイス及び/又はネットワーク、異なるデバイス及び/又はネットワーク、又は異なる配置のデバイス及び/又はネットワークがあってもよい。さらに、図に示す2つ以上のデバイスを単一のデバイス内で実施してもよく、又は図2に示す単一のデバイスを複数の分散した装置として実施してもよい。例えば、センサデバイス220及びユーザデバイス210は別個のデバイスとして記載されているが、センサデバイス220及びユーザデバイス210を単一のデバイスとして実施してもよい。追加として又は代替として、環境200のデバイスセット(例えば、1つ又は複数のデバイス)が、環境200の別のデバイスセットにより実行されると記載されている1つ又は複数の機能を実行してもよい。
図3は、デバイス300のコンポーネント例の図である。デバイス300は、ユーザデバイス210、センサデバイス220、及び/又はサーバデバイス230に対応し得る。実施態様によっては、ユーザデバイス210、センサデバイス220、及び/又はサーバデバイス230が、1つ又は複数のデバイス300及び/又はデバイス300の1つ又は複数のコンポーネントを含み得る。図3に示すように、デバイス300は、バス310、プロセッサ320、メモリ330、ストレージコンポーネント340、入力コンポーネント350、出力コンポーネント360、及び通信インタフェース370を含み得る。
バス310は、デバイス300の複数のコンポーネント間の通信を可能にするコンポーネントを含む。プロセッサ320は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実装される。プロセッサ320は、セントラルプロセッシングユニット(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、アクセラレーテッドプロセッシングユニット(APU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は別のタイプの処理コンポーネントである。実施態様によっては、プロセッサ320は、機能を実行するようプログラム可能な1つ又は複数のプロセッサを含む。メモリ330は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、及び/又はプロセッサ320が使用するための情報及び/又は命令を記憶する別のタイプのダイナミック又はスタティックストレージデバイス(例えば、フラッシュメモリ、磁気メモリ、及び/又は光メモリ)を含む。
ストレージコンポーネント340は、デバイス300の動作及び使用に関する情報及び/又はソフトウェアを記憶する。例えば、ストレージコンポーネント340は、ハードディスク(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び/又は固体ディスク)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、カートリッジ、磁気テープ、及び/又は別のタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を、対応するドライブと共に含み得る。
入力コンポーネント350は、デバイス300がユーザ入力(例えば、タッチスクリーンディスプレイ、キーボード、キーパッド、マウス、ボタン、スイッチ、及び/又はマイクロフォン)等を介して情報を受信することを可能にするコンポーネントを含む。追加として又は代替として、入力コンポーネント350は、情報を感知するセンサ(例えば、マルチスペクトルフィルタに結合されたマルチスペクトルセンサ、センサ素子アレイ、全地球測位システム(GPS)コンポーネント、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又はアクチュエータ)を含み得る。出力コンポーネント360は、デバイス300からの出力情報を提供するコンポーネント(例えば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、近赤外信号を送信する光送信器)を含む。
通信インタフェース370は、デバイス300が有線接続、無線接続、又は有線及び無線接続の組み合わせ等を介して他のデバイスと通信することを可能にする送受信機のようなコンポーネント(例えば、送受信機及び/又は別個の受信器及び送信器)を含む。通信インタフェース370は、デバイス300が別のデバイスから情報を受信し且つ/又は別のデバイスに情報を提供することを可能にし得る。例えば、通信インタフェース370は、イーサネットインタフェース、光インタフェース、同軸インタフェース、赤外線インタフェース、無線周波数(RF)インタフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェース、Wi−Fiインタフェース、セルラーネットワークインタフェース、等を含み得る。
デバイス300は、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを実行し得る。デバイス300は、プロセッサ320がメモリ330及び/又はストレージコンポーネント340等の非一時的なコンピュータ可読媒体により記憶されたソフトウェア命令を実行することに基づき、これらのプロセスを実行し得る。コンピュータ可読媒体は、本明細書では非一時的なメモリデバイスとして定義される。メモリデバイスは、単一の物理ストレージデバイス内のメモリ空間又は複数の物理ストレージデバイスに広がるメモリ空間を含む。
ソフトウェア命令は、別のコンピュータ可読媒体又は他のデバイスから通信インタフェース370を介して入力メモリ330及び/ストレージコンポーネント340に読み込むことができる。実行されると、メモリ330及び/又はストレージコンポーネント340に記憶されたソフトウェア命令は、プロセッサ320に本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを実行させることができる。追加として又は代替として、ハードウェア回路をソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせて用いて、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを実行してもよい。したがって、本明細書に記載の実施態様は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも限定されない。
図3に示すコンポーネントの数及び配置は、一例として挙げたものである。実際には、デバイス300は、図3に示すものに比べて追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、異なるコンポーネント、又は異なる配置のコンポーネントを含んでいてもよい。追加として又は代替として、デバイス300のコンポーネントのセット(例えば、1つ又は複数のコンポーネント)が、デバイス300の別のコンポーネントのセットにより実行されると記載されている1つ又は複数の機能を実行してもよい。
図4は、本明細書に記載の実施例400の図である。図4に示すように、実施例400は、ユーザデバイス210に組み込まれたセンサデバイス220を含む。ユーザデバイス210は、基板420上に配置されたセンサ窓410と、センサデバイス220のセンサ素子アレイ430とを含む。実施態様によっては、センサ窓410は、フィルタリング機能を実行する光学フィルタを含み得る。例えば、センサ窓410は、交互の高屈折率材料層及び低屈折率材料層を含むことで、色選択性を与え、且つ複数の波長チャネルに関連するセンサ素子アレイ430の複数のセンサ素子へ光を指向させることができる。
図4に参照符号440でさらに示すように、入力光信号がセンサ窓410に向けて送り出される。入力光信号は、特定のスペクトル域(例えば、近赤外スペクトル域、中赤外スペクトル域、可視スペクトル域、等)に関連する光を含み得るが、これに限定されない。例えば、(例えば、センサデバイス220及び/又はユーザデバイス210の)光送信器が光をセンサ素子アレイ430へ指向させ、センサ素子アレイ430に光の測定を行わせることができる(例えば、光送信器が光を物体へ指向させ、光をセンサ素子アレイ430に向けて反射させてもよい)。実施態様によっては、入力光信号は、(例えば、信号を物体に向けて送信して光をセンサ素子アレイ430に向けて反射させるのではなく)センサ素子アレイ430に向けられた反射周辺光であり得る。
図4に参照符号450でさらに示すように、第1スペクトル域を有する入力光信号の第1部分は、センサ窓410を通過しない。例えば、センサ窓410の高屈折率材料層及び低屈折率材料層を含み得る誘電体薄膜層の誘電体フィルタスタックが、入力光信号の第1部分の第1方向への反射、入力光信号の第1部分の吸収、等を引き起こすことができる。実施態様によっては、入力光信号の第1部分は、反射してセンサ窓410を不透明及び/又は特定の色に見えるようにする第1光と、吸収される第2光とを含み得る。実施態様によっては、入力光信号の第1部分は、可視スペクトル域で光の95%超、光の99%超、等のような、センサ窓410のバンドパスに含まれないセンサ窓410に入射する光の閾値部分であり得る。追加として又は代替として、センサ窓410を可視スペクトル域の少なくとも一部で透過性として、例えばセンサ素子アレイ430による可視光イメージングを可能にすることにより、ユーザデバイス210の別個のカメラの必要をなくすことができる。
図4に参照符号460でさらに示すように、入力光信号の第2部分は、センサ窓410を通過する。例えば、センサ窓410は、第2スペクトル域を有する入力光信号の第2部分をセンサ素子アレイ430に向けて第2方向に通過させることができる。この場合、入力光信号の第2部分は、近赤外スペクトル域の入射光の50%超、光の90%超、光の95%超、光の99%超、等のような、センサ窓410のバンドパス内のセンサ窓410に入射する光の閾値部分であり得る。実施態様によっては、センサ窓410は、複数のスペクトル域に関連する多成分フィルタを伴い得る。例えば、センサ窓410の厚さ及び/又はその層サブセットの厚さの変更に基づき、センサ窓410の部分毎に異なる光波長をセンサ素子アレイ430の異なるセンサ素子に向けて通過させることにより、マルチスペクトルセンシングを可能にすることができる。
図4に参照符号470でさらに示すように、入力光信号の第2部分がセンサ素子アレイ430に送られることに基づき、センサ素子アレイ430は、例えば指紋の識別、心拍数の判定、イメージング、周辺光感知、物体の存在の検出、人物の識別、測定の実施、通信の簡易化、等での使用のために、センサデバイス220用の出力電気信号を供給し得る。実施態様によっては、センサ窓410及びセンサ素子アレイ430の別の配置を利用してもよい。例えば、入力光信号の第2部分を入力光信号と同一線上で通すのではなく、センサ窓410は、入力光信号の第2部分を異なる場所のセンサ素子アレイ430に向けて別の方向に指向させることができる。
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、センサ素子アレイに関して記載されているが、別個のセンサ素子のセット又は別のタイプの光センサ等、他のタイプのセンサデバイス220構成が可能であり得る。
上述のように、図4は一例として挙げたものである。他の例は、図4に関して記載したものと異なっていてもよい。
図5は、光学フィルタ500の例の図である。図5は、本明細書に記載の光学フィルタの積層例を示す。図5にさらに示すように、光学フィルタ500は、光学フィルタコーティング部分510と基板520とを含む。実施態様によっては、光学フィルタ500は、図4のセンサ窓410等のセンサ窓を形成し得る。
光学フィルタコーティング部分510は、光学フィルタ層セットを含む。例えば、光学フィルタコーティング部分510は、第1層セット530−1〜530−(N+1)(N≧1)と第2層セット540−1〜540−Nとを含む。別の例では、光学フィルタコーティング部分510は、1つのタイプの層(例えば、1つ又は複数の層530)、3つ以上のタイプの層(例えば、1つ又は複数の層530、1つ又は複数の層540、及び1つ又は複数の他のタイプの層の1つ又は複数)、等であり得る。実施態様によっては、光学フィルタコーティング部分510は、基板520の片面、基板520の複数面、等に配置され得る。
実施態様によっては、層530は、ケイ素層、水素化ケイ素層、シリコンゲルマニウム(SiGe)層、水素化ゲルマニウム層、水素化シリコンゲルマニウム層、等のような高屈折率材料層(H層)セットを含み得る。実施態様によっては、層530は、約3.0超、約3.5超、約3.6超、約3.8超、約4.0超、等の屈折率を伴い得る。SiGe等の特定の材料として記載される層があり得るが、(少量の)燐光体、ホウ素、窒化物、水素、希ガス、等を含む層もあり得る。
実施態様によっては、層540は、二酸化ケイ素等のような低屈折率材料層(L層)セットを含み得る。追加として又は代替として、L層は、五酸化タンタル(Ta2O5)層、五酸化ニオブ(Nb2O5)層、二酸化チタン(TiO2)層、酸化アルミニウム(Al2O3)層、酸化ジルコニウム(ZrO2)層、酸化イットリウム(Y2O3)層、窒化ケイ素(Si3N4)層、フッ化マグネシウム(MgF2)層、ニオブチタンフッ化物(niobium titanium fluoride)(NbTiF)層、ニオブチタン酸化物(NbTiO)層、アニオン/カチオン混合層、それらの組み合わせ、等を含み得る。実施態様によっては、層540は、約2.5未満、約2.0未満、約1.5未満、等を伴い得る。
実施態様によっては、光学フィルタコーティング部分510は、特定の数量m個の層を伴い得る。例えば、センサ窓として用いられる光学フィルタは、2層〜200層の範囲等の数量の交互の高屈折率層及び低屈折率層を含み得る。実施態様によっては、光学フィルタコーティング部分510は、スパッタリング法を用いて作製され得る。例えば、光学フィルタコーティング部分510は、パルスマグネトロンスパッタリング法を用いて交互層530及び540をガラス基板、シリカ基板、又は別のタイプの基板にスパッタリングすることで作製することができる。実施態様によっては、ケイ素のスパッタに第1カソード、ゲルマニウムのスパッタに第2カソード等、複数のカソードをスパッタリング法に用いることにより、シリコンゲルマニウム層を形成することができる。実施態様によっては、光学フィルタコーティング部分510は、疎水層、疎油層、保護層(例えば、光学フィルタコーティング部分510の上に配置されたコーティング)、反射防止層、帯域外ブロッカー層(例えば、特定のスペクトル域の遮断用)、等のような、1つ又は複数の他の機能を提供する1つ又は複数の他のタイプの層を含み得る。実施態様によっては、基板520を化学強化ガラスとして、基板520に覆われた1つ又は複数のセンサ素子の保護をもたらすことができる。
実施態様によっては、光学フィルタコーティング部分510が、約280℃又は約200℃〜約400℃の温度での第1焼鈍手順、約320℃又は約250℃〜約350℃の温度での第2焼鈍手順、等のような、1つ又は複数の焼鈍手順を用いて焼鈍され得る。
実施態様によっては、光学フィルタコーティング部分510の各層が特定の厚さを伴い得る。例えば、層530及び540は、それぞれが1nm〜150nm、10nm〜500nm、等の厚さを伴い得る。追加として又は代替として、光学フィルタ500は、100μm〜5ミリメートル(mm)、約3mm未満、約1mm未満、等の厚さを伴い得る。実施態様によっては、層530及び540の少なくとも一方が、それぞれ1000nm未満、100nm未満、又は5nm未満、等の厚さを伴い得る。追加として又は代替として、光学フィルタコーティング部分510は、100μm未満、50μm未満、10μm未満、等の厚さを伴い得る。
実施態様によっては、層が複数の異なる厚さを伴い得る。例えば、チャネルのセットを形成するために、特定の層(例えば、層530及び層540により形成された四分の一波長スタックリフレクタ間に配置されたスペーサ層)の厚さを変えて、異なる光波長を異なるチャネルを介してセンサ素子アレイの異なるセンサ素子に向けるようにしてもよい。このように、センサ窓が、複数の波長の光に関する情報を判定し且つ複数のセンシング機能を実行するためのマルチスペクトルセンサの使用を可能にし得る。実施態様によっては、光学フィルタ500は、少なくとも32個のチャネル、少なくとも64個のチャネル、少なくとも128個のチャネル、等を形成して、閾値波長量(threshold quantity of wavelengths)の感知を可能にし得る。実施態様によっては、複数のチャネルが、複数のチャネルに位置合わせされた少なくとも1つのセンサ素子による感知用の共通波長(例えば、1つの共通波長、少なくとも1つの共通波長等、等)に関連し得る。
実施形態によっては、光学フィルタ500は、近赤外スペクトル域、中赤外スペクトル域、等のような特定のスペクトル域に関連し得る。例えば、光学フィルタ500は、約600nm〜約2500nmの、約600nm〜約1100nmの、約700nm〜約2000nmの、約900nm〜約1500nmの、等のスペクトル域に関連し得る。実施態様によっては、光学フィルタ600は、約500nm未満の、約20nm未満の、約10nm未満の、約5nm未満の、約1nm未満の、等のチャネル分離のような特定のチャネル分離を伴い得る。
実施態様によっては、光学フィルタ500は、特定のスペクトル域(例えば、センシングスペクトル域)に関して約50%を超える透過率、約80%を超える透過率、約90%を超える透過率、約95%を超える透過率、約99%を超える透過率、等のような閾値透過率を伴い得る。実施態様によっては、光学フィルタ500は、閾値不透明度(例えば、反射率、吸収、等に基づく)を伴い得る。例えば、光学フィルタ500は、特定のスペクトル域(例えば、可視スペクトル域)に関して約50%を超える透過率、約80%を超える透過率、約90%を超える透過率、約95%を超える透過率、約99%を超える透過率、等の不透明度を伴い得る。このように、光学フィルタ500は、センサ窓の色選択性を可能にし、且つセンサ窓の光路に配置されたセンサ素子によるセンシングを可能にする。
上記のように、図5は一例として挙げたものである。他の例は、図5に関して記載したものと異なっていてもよい。
このように、ユーザデバイスは、マルチスペクトルフィルタに位置合わせされて生体認証センシング、健康パラメータ監視センシング、等のような複数のセンシング機能を提供する単一のマルチスペクトルセンサデバイスを含み得る。単一のマルチスペクトルセンサデバイスを用いた複数のセンシング機能の提供に基づき、ユーザデバイスは、費用の削減、サイズの縮小、複雑さの低減、電力リソース利用の低減、ネットワーク利用の低減、等を伴うことができる。さらに、皮下分光測定を用いた生体認証の実行に基づき、センサデバイスは、指の表面損傷、指についた汚れ、指についた水、等の効果をなくすことにより、且つライブネス検出を用いて指の人工印影が指の代わりに用いられるのを防止することにより、生体認証の精度を高める。
上記開示により図解及び説明を行ったが、これは、網羅的であることも実施態様を開示された形態そのものに限定することも意図されない。変更及び変形は、上記開示に照らして可能であるか、又は実施態様の実施から得ることができる。
本明細書では、「コンポーネント」という用語は、ハードウェア、ファームウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせと広義に解釈されることを意図したものである。
いくつかの実施態様は、本明細書では閾値に関連して記載されている。本明細書では、閾値を満たすことは、文脈に応じて、値が閾値を超えること、閾値より大きいこと、閾値より高いこと、閾値以上であること、閾値未満であること、閾値より少ないこと、閾値より低いこと、閾値以下であること、閾値と等しいこと、等を指す。
特定のユーザインタフェースが本明細書に記載且つ/又は図示されている。ユーザインタフェースは、グラフィカルユーザインタフェース、非グラフィカルユーザインタフェース、テキストユーザインタフェース、等を含み得る。ユーザインタフェースは、表示用の情報を提供し得る。実施態様によっては、表示用のユーザインタフェースを提供するデバイスの入力コンポーネントを介した入力等により、ユーザが情報と対話することができる。実施態様によっては、ユーザインタフェースは、デバイス及び/又はユーザにより構成可能であり得る(例えば、ユーザが、ユーザインタフェースのサイズ、ユーザインタフェースを介して提供される情報、ユーザインタフェースを介して提供される情報の位置、等を変えることができる)。追加として又は代替として、ユーザインタフェースは、標準構成、ユーザインタフェースを表示するデバイスのタイプに基づく特定の構成、及び/又はユーザインタフェースを表示するデバイスに関連する能力及び/又は仕様に基づく構成セットに事前構成され得る。
本明細書に記載のシステム及び/又は方法が、異なる形態のハードウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実施され得ることが明らかであろう。これらのシステム及び/又は方法の実施に用いられる実際の特殊制御ハードウェア又はソフトウェアコードは、実施態様を制限するものではない。したがって、システム及び/又は方法の動作及び挙動は、本明細書の記載では特定のソフトウェアコードに関係なく、ソフトウェアハードウェアを用いて本明細書の記載に基づくシステム及び/又は方法を実施できることが理解される。
特定の特徴の組み合わせが特許請求の範囲に記載され且つ/又は本明細書に開示されているが、これらの組み合わせが可能な実施態様の開示を限定することは意図されない。実際には、これらの特徴の多くを、具体的に特許請求の範囲に記載且つ/又は本明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。添付の各従属請求項は、1つの請求項のみに直接従属している場合があるが、可能な実施態様の開示には、各従属請求項をその請求項セットの他の全ての請求項と組み合わせたものが含まれる。
本明細書で使用される要素、行為、又は指示はいずれも、そのように明記されない限りは重要であるとも必須であるとも解釈されないものとする。また、本明細書では、不定冠詞「a」及び「an」は1つ又は複数の事項を含むことが意図され、「1つ又は複数の」と交換可能に用いることができる。さらに、本明細書では、「セット」という用語は、1つ又は複数の事項(例えば、関連事項、非関連事項、関連事項及び非関連事項の組み合わせ等)を含むことが意図され、「1つ又は複数の」と交換可能に用いることができる。1つの事項のみを意図する場合、「1つのみ」という用語又は同様の文言が用いられる。また、本明細書では、「有する」("has," "have," "having")等という用語はオープンエンドな用語であることが意図される。さらに、「基づく」という語句は、別段に明記されない限り「少なくとも一部基づく」を意味することが意図される。