以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
[サービス提供システム100の概要]
図1は、サービス提供システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、サービス提供システム100は、サービス提供端末110と、通信システム120とを備える。本実施形態において、通信システム120は、コアネットワーク130と、ゲートウェイ132と、バックホール140と、1又は複数の基地局150とを備える。通信システム120は、無線中継装置152を備えてもよい。なお、本願明細書において、「1又は複数」という用語が、「1以上」と記載される場合もある。
本実施形態において、サービス提供端末110及び通信システム120は、通信ネットワーク10を介して、互いに情報を送受することができる。これにより、サービス提供システム100は、サービス提供端末110から、サービス利用端末102又はサービス利用端末104に、各種のサービスを提供することができる。サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、サービス提供システム100の一部を構成してもよい。
サービス利用端末102は、第1通信端末の一例であってよい。サービス利用端末104は、第1通信端末の一例であってよい。サービス提供システム100は、管理装置、及び、移動体通信システムの一例であってよい。サービス提供端末110は、第2通信端末の一例であってよい。通信システム120は、管理装置、及び、移動体通信システムの一例であってよい。コアネットワーク130は、ネットワーク要素、及び、物理リソースの一例であってよい。ゲートウェイ132は、ネットワーク要素、及び、物理リソースの一例であってよい。バックホール140は、ネットワーク要素、及び、物理リソースの一例であってよい。1又は複数の基地局150は、ネットワーク要素、及び、物理リソースの一例であってよい。無線中継装置152は、ネットワーク要素、及び、物理リソースの一例であってよい。
[サービス提供システム100の各部の概要]
本実施形態において、通信ネットワーク10は、サービス提供端末110と、通信システム120との間で情報を伝達する。通信ネットワーク10は、有線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。通信ネットワーク10は、無線パケット通信網、インターネット、P2Pネットワーク、専用回線、VPN、電力線通信回線などを含んでもよい。通信ネットワーク10は、(i)携帯電話回線網などの移動体通信網を含んでもよく、(ii)無線MAN(例えば、WiMAX(登録商標)である。)、無線LAN(例えば、WiFi(登録商標)である。)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの無線通信網を含んでもよい。
本実施形態において、サービス利用端末102及びサービス利用端末104のそれぞれは、サービス提供端末110との間で情報を送受することができる通信端末であればよく、その詳細は特に限定されない。サービス利用端末102及びサービス利用端末104としては、パーソナルコンピュータ、携帯端末などが例示される。携帯端末としては、携帯電話、スマートフォン、PDA、タブレット、ノートブック・コンピュータ又はラップトップ・コンピュータ、ウエアラブル・コンピュータなどが例示される。
本実施形態において、サービス利用端末102及びサービス利用端末104のそれぞれは、移動体通信方式により、通信システム120との間で情報を送受する。なお、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、移動体通信方式以外の通信方式により、他の通信機器との間で情報を送受してもよい。
移動体通信方式としては、GSM(登録商標)方式、3G方式、LTE方式、4G方式、5G方式などが例示される。移動体通信方式以外の通信方式としては、各種の無線MAN方式、各種の無線LAN方式、各種の無線PAN方式などが例示される。無線MAN方式としては、WiMAX(登録商標)が例示される。無線LAN方式としては、WiFi(登録商標)が例示される。無線PAN方式としては、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などが例示される。
一実施形態において、サービス利用端末102及びサービス利用端末104のそれぞれは、サービス提供端末110により提供されるサービスを利用するためのアプリケーションプログラムを備えてもよい。上記のアプリケーションプログラムを実行されると、サービス利用端末102又はサービス利用端末104のコンピュータが、上記のサービスに関連する処理を実行する。これにより、サービス利用端末102又はサービス利用端末104のユーザは、上記のサービスの提供を受けることができる。
他の実施形態において、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、通信システム120に対する各種の要求を、通信システム120に送信してよい。サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、通信システム120に対して要求される各種の要件を、通信システム120に送信してよい。
上記の要件は、サービス利用端末102又はサービス利用端末104のユーザが、通信システム120に対して要求する要件であってよい。上記の要件は、通信システム120の通信品質に関する要件であってよい。例えば、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、自端末の通信に関して通信システム120に対して要求される要件であって、通信システム120の遅延に関する許容範囲を示す遅延要件を、通信システム120に送信する。
ここで、「遅延」とは、特定のデータのパケットが、一の通信端末と、他の通信端末との間のネットワークを往復するのに要した時間を意味してもよく、上り及び下りの何れか一方に要した時間を意味してもよい。
本実施形態において、サービス提供端末110は、各種のサービスを提供する。上記のサービスは、ネットワークの遅延に対する要求が比較的厳しいサービスであってよい。上記のサービスにおける遅延の許容範囲は、20ms以下であってよく、50ms以下であってよく、100ms以下であってよい。上記のサービスとしては、オンラインゲーム、金融取引、テレイグジスタンス、コネクテッドカーなどに関連するサービスが例示される。
サービス提供端末110は、上記のサービスに関連するアプリケーションプログラム、コンテンツなどのデータを格納する。上記のアプリケーションプログラムは、サービス提供端末110において実行されてもよく、通信システム120において実行されてもよい。例えば、サービス提供端末110は、単一のサービスに関する複数のアプリケーションプログラムを格納する。複数のアプリケーションプログラムは、単一のサービスに関する機能を、複数の計算機リソースを用いて分散処理するためのプログラムであってよい。
サービス提供端末110は、通信システム120に対する各種の要求を、通信システム120に送信してよい。サービス提供端末110は、通信システム120に対して要求される各種の要件を、通信システム120に送信してよい。上記の要件は、通信システム120の通信品質に関する要件であってよい。
上記の要件は、特定の通信端末の通信品質に関する要件であってもよい。例えば、サービス提供端末110は、サービス提供端末110が提供するサービスを利用する1以上の通信端末(例えば、サービス利用端末102又はサービス利用端末104である。)に関して、通信システム120に対して要求される要件であって、通信システム120の遅延に関する許容範囲を示す遅延要件を、通信システム120に送信する。サービス提供端末110が提供するサービスを利用する1以上の通信端末は、第1通信端末の一例であってよい。
なお、本実施形態においては、サービス利用端末102及びサービス利用端末104が、サービス提供端末110により提供されるサービスを利用する通信端末である場合を例として、サービス利用端末102、サービス利用端末104及びサービス提供端末110の詳細が説明される。しかしながら、サービス利用端末102、サービス利用端末104及びサービス提供端末110は、本実施形態に限定されない。
他の実施形態において、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、通信機能を有するセンサであってもよい。サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、センサを有する通信端末であってもよい。この場合、サービス提供端末110は、例えば、サービス利用端末102又はサービス利用端末104のセンサの出力データを解析する。サービス提供端末110は、サービス利用端末102又はサービス利用端末104のセンサの出力データに基づいて、サービス利用端末102、サービス利用端末104又はその他の機器を制御してもよい。
さらに他の実施形態において、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、通信システム120に対して、通信システム120が仮想環境を構築するための計算機能力又は物理リソースを提供する。この場合、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、テザリング機能又は通信中継機能を有してよい。サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、無線通信により通信システム120と直接繋がっており、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方にアクセスした他の通信端末と、通信システム120との間で通信を中継することができる。これにより、上記の他の通信端末に関する要求に応じた通信サービスが提供される。この場合、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方は、物理リソースの一例であってよい。
また、本実施形態においては、サービス提供端末110が、通信ネットワーク10を介して、通信システム120との間で情報を送受する場合を例として、サービス提供システム100の詳細が説明される。しかしながら、サービス提供システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、サービス提供端末110は、通信システム120の内部に含まれていてもよく、通信システム120と直接繋がっていてもよい。また、サービス提供端末110は、通信システム120に対して、通信システム120が仮想環境を構築するための計算機能力又は物理リソースを提供してもよい。この場合、サービス提供端末110は、物理リソースの一例であってよい。
本実施形態において、通信システム120は、その内部において、移動体通信方式により情報を伝達する。また、通信システム120は、ゲートウェイ132を介して、通信ネットワーク10との間で情報を送受する。さらに、通信システム120は、1以上の基地局150又は1以上の無線中継装置152を介して、サービス利用端末102又はサービス利用端末104を含む1以上の通信端末との間で、情報を送受する。
本実施形態において、通信システム120には、マルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)が導入されている。例えば、通信システム120に導入されたMECシステムが、アプリケーションプログラムを実行したり、コンテンツデータを格納したりする。MECシステムの詳細は、後述される。
本実施形態において、コアネットワーク130は、複数のネットワーク要素を備える。ネットワーク要素としては、ルータ、スイッチ、リピータなどが例示される。コアネットワーク130は、通信システム120における情報処理を制御する1以上の通信制御装置(図示されていない。)を備えてよい。通信制御装置は、通信システム120又はコアネットワーク130を構成する複数のネットワーク要素の少なくとも1つに接続される。通信制御装置としては、MME(Mobility Management Entity)、HSS(Home Subscriber Server)、SGSN(Serving GPRS Support Node)、S−GW(Serving Gateway)、PCRFなどが例示される。これにより、端末のモビリティ管理処理、認証処理、セキュリティ制御処理、ユーザデータの転送経路の設定処理、位置登録処理、課金処理などの処理が実行される。
本実施形態において、ゲートウェイ132は、コアネットワーク130と、外部ネットワーク(例えば、通信ネットワーク10である。)との間を取り次ぐ。本実施形態において、バックホール140は、1以上の基地局150のそれぞれと、コアネットワーク130との間で情報を伝達する。バックホール140は、複数のネットワーク要素を備えてもよい。
本実施形態において、基地局150は、配下の通信端末に対して、無線通信サービスを提供する。例えば、基地局150は、予め定められた地理的範囲を有するマクロセル50の内部に存在する通信端末との間で無線通信を行う。マクロセル50は、例えば、5G、4G又はLTE−A(LTE−Advanced)、LTE、GSM(登録商標)、UMTS、W−CDMA、CDMA2000、WiMAX、WiMAX2又はIEEE802.16などの任意の無線通信方式に従って運用される。また、基地局150は、サービス利用端末102又はサービス利用端末104と、コアネットワーク130との間において、通信を中継する。基地局150は、セルラーシステム又は移動体通信システムの基地局であってよい。
本実施形態において、無線中継装置152は、スモールセル52を運用するマスタデバイスであってよい。スモールセル52は、マクロセル50よりも小さな各種のセルであってよい。スモールセル52としては、フェムトセル、ナノセル、ピコセル、マイクロセルなどが例示される。スモールセル52は、マクロセル50と重複して又は重複せずに配置されてよい。無線中継装置152は、サービス利用端末102との間で、アクセスリンクを確立する。また、無線中継装置152は、基地局150との間で、無線バックホールリンクを確立する。一実施形態において、無線中継装置152は、固定的に設置されるスモールセル基地局であってよい。他の実施形態において、無線中継装置152は、テザリング機能又は通信中継機能を有する携帯端末であってよい。さらに他の実施形態において、無線中継装置152は、リレーノードであってよい。
[サービス提供システム100の各部の具体的な構成]
サービス提供システム100の各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウェア及びソフトウエアにより実現されてもよい。サービス提供システム100の各部は、その少なくとも一部が、単一のサーバによって実現されてもよく、複数のサーバによって実現されてもよい。サービス提供システム100の各部は、その少なくとも一部が、仮想環境上又はクラウドシステム上で実現されてもよい。サービス提供システム100の各部は、その少なくとも一部が、パーソナルコンピュータ又は携帯端末によって実現されてもよい。携帯端末としては、携帯電話、スマートフォン、PDA、タブレット、ノートブック・コンピュータ又はラップトップ・コンピュータ、ウエアラブル・コンピュータなどが例示される。サービス提供システム100の各部は、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術又は分散型ネットワークを利用して、各種の情報を管理したり、格納したりしてよい。
サービス提供システム100の構成要素の少なくとも一部がソフトウエアにより実現される場合、当該ソフトウエアにより実現される構成要素は、一般的な構成の情報処理装置において、当該構成要素に関する動作を規定したプログラムを起動することにより実現されてよい。プログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、メモリ、ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体又はネットワークに接続された記憶装置から、サービス提供システム100の少なくとも一部を構成するコンピュータにインストールされてよい。プログラムが実行されることにより、コンピュータが、サービス提供システム100の各部の少なくとも一部として機能してもよい。
コンピュータをサービス提供システム100の各部の少なくとも一部として機能させるプログラムは、サービス提供システム100の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、データ処理装置、入力装置、出力装置、記憶装置等に働きかけて、コンピュータをサービス提供システム100の各部として機能させたり、コンピュータにサービス提供システム100の各部における情報処理方法を実行させたりする。
プログラムに記述された情報処理は、当該プログラムがコンピュータに読込まれることにより、当該プログラムに関連するソフトウエアと、サービス提供システム100の各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段として機能する。そして、上記の具体的手段が、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、当該使用目的に応じたサービス提供システム100が構築される。
サービス提供システム100の各部における情報処理方法は、移動体通信システムを構成する複数のネットワーク要素の少なくとも1つと物理的に近い位置に配され、少なくとも1つのネットワーク要素に接続された1以上の物理リソースの少なくとも1つを利用して構築される仮想環境を管理する管理方法であってよい。上記の管理方法は、例えば、第1通信端末の通信に関して移動体通信システムに対して要求される要件であって、移動体通信システムの遅延に関する許容範囲を示す遅延要件を取得する遅延要件取得段階を有する。上記の管理方法は、例えば、第1通信端末から移動体通信システムへのアクセスが検出された場合に、移動体通信システムに含まれる複数の基地局のうち、第1通信端末がアクセスした基地局を特定する基地局特定段階を有する。上記の管理方法は、例えば、基地局特定段階において特定された基地局、及び、1以上の物理リソースのそれぞれの間の遅延を示す遅延情報に基づいて、第1通信端末に対して提供される仮想環境の構築に利用される物理リソースを決定する物理リソース決定段階を有する。
図2は、MECシステム200のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、MECシステム200は、MECサーバ群210と、MECサーバ管理部260とを備える。本実施形態において、MECサーバ群210は、MECサーバ230と、MECサーバ240と、MECサーバ250と、MECサーバ252とを備える。MECシステム200は、1以上のMECサーバ管理部260を備えてもよい。MECシステム200は、上述された通信システム120における情報処理を制御する1以上の通信制御装置の少なくとも1つを備えてもよい。本実施形態において、MECシステム200は、上記の通信制御装置の一例として、位置登録部272及び課金部274の少なくとも一方を備える。
MECサーバ群210は、仮想環境の一例であってよい。MECサーバ230は、仮想環境の一例であってよい。MECサーバ240は、仮想環境の一例であってよい。MECサーバ250は、仮想環境の一例であってよい。MECサーバ252は、仮想環境の一例であってよい。MECサーバ管理部260は、管理装置の一例であってよい。
本実施形態において、MECサーバ群210は、複数のMECサーバにより構成される階層構造を有してよい。一実施形態によれば、第1階層が最上層であり、下層に向かうにつれて、MECサーバの地理的位置が、サービス利用端末102又はサービス利用端末104の地理的位置に近づく。他の実施形態によれば、第1階層が最上層であり、下層に向かうにつれて、MECサーバと、サービス利用端末102又はサービス利用端末104との間の通信の遅延が小さくなる。
MECサーバ群210を構成するMECサーバのそれぞれは、論理的な機能要素として実現されてもよく、通信システム120を構成する任意の通信ノード、ネットワーク要素、通信制御装置などと一体的に形成されてもよい。通信ノード及び通信制御装置は、複数のネットワーク要素の少なくとも1つに接続される。複数のMECサーバのそれぞれは、1以上の物理リソースの少なくとも1つを利用して構築される仮想環境上で動作してよい。複数のMECサーバのそれぞれは、ハイパーバイザ型の仮想環境上に構築されてもよく、コンテナ型の仮想環境上に構築されてもよい。
1以上の物理リソースのそれぞれは、通信システム120を構成する1以上の通信ノード、1以上のネットワーク要素及び1以上の通信制御装置の少なくとも1つに接続される。例えば、1以上の物理リソースのそれぞれは、通信システム120に含まれない通信ネットワークを介することなく、通信システム120を構成する1以上の通信ノード、1以上のネットワーク要素及び1以上の通信制御装置の少なくとも1つと、有線又は無線により、直接繋がれる。また、1以上の物理リソースのそれぞれは、通信ノード、ネットワーク要素又は通信制御装置と、物理的に近い位置に配されてよい。
例えば、第1階層には、コアネットワーク130の内部に配される1以上のMECサーバ230が含まれる。MECサーバ230は、例えば、コアネットワーク130を制御する通信制御装置の内部又は近傍に配される。一実施形態において、MECサーバ230は、上記の通信制御装置として機能する物理リソース上に構築される。他の実施形態において、MECサーバ230は、上記の通信制御装置の近傍に配され、当該通信制御装置に直接繋がれた物理リソース上に構築される。物理リソース上に構築される。通信システム120の通信方式がLTE方式である場合、上記の通信制御装置としては、MME(Mobility Management Entity)、HSS(Home Subscriber Server)、PCRF(Policy and Charging Rule Function)、S−GW(Serving Gateway)、P−GW(Packet data network Gateway)などが例示される。
MECサーバ230は、コアネットワーク130を構成する1以上の中継装置の少なくとも1つの内部又は近傍に配されてもよい。中継装置は、通信ノード又はネットワーク要素の一例であってよい。一実施形態において、MECサーバ230は、上記の中継装置として機能する物理リソース上に構築される。他の実施形態において、MECサーバ230は、上記の中継装置の近傍に配され、当該中継装置に直接繋がれた物理リソース上に構築される。
第2階層には、バックホール140の内部に配される1以上のMECサーバ240が含まれてよい。MECサーバ240は、例えば、バックホール140を構成する1以上の中継装置の少なくとも1つの内部又は近傍に配される。中継装置は、通信ノード又はネットワーク要素の一例であってよい。一実施形態において、MECサーバ240は、上記の中継装置として機能する物理リソース上に構築される。他の実施形態において、MECサーバ240は、上記の中継装置の近傍に配され、当該中継装置に直接繋がれた物理リソース上に構築される。
第3階層には、基地局150の内部又は近傍に配される1以上のMECサーバ250が含まれる。一実施形態において、MECサーバ250は、基地局150として機能する物理リソース上に構築される。他の実施形態において、MECサーバ250は、基地局150の近傍に配され、基地局150に直接繋がれた物理リソース上に構築される。
第4階層には、無線中継装置152の内部又は近傍に配される1以上のMECサーバ252が含まれる。一実施形態において、MECサーバ252は、無線中継装置152として機能する物理リソース上に構築される。他の実施形態において、MECサーバ252は、無線中継装置152の近傍に配され、無線中継装置152に直接繋がれた物理リソース上に構築される。
MECサーバ群210を構成するMECサーバのそれぞれは、当該MECサーバが配される物理マシンの地理的位置に基づいて、複数のグループに区分されてよい。例えば、MECサーバ群210は、上記の階層の区分に関わらず、(i)所定の地理的範囲を有するローカルエリア42に配された1以上の物理マシン上に構築された1以上のMECサーバにより構成されるグループと、(ii)ローカルエリア42とは異なる地理的範囲を有するローカルエリア44に配された1以上の物理マシン上に構築された1以上のMECサーバにより構成されるグループとに区分される。なお、MECサーバ群210は、3以上のグループに区分されてもよい。
本実施形態において、MECサーバ管理部260は、MECサーバ群210を管理する。具体的には、MECサーバ管理部260は、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバの少なくとも1つに関する、仮想環境の構築、再構築及び削除を管理する。MECサーバ管理部260は、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバの少なくとも1つに関する、アプリケーションの変更、ユーザの変更などを管理してもよい。
MECサーバ管理部260は、例えば、通信システム120を制御する通信制御装置の内部又は近傍に配される。通信システム120の通信方式がLTE方式である場合、上記の通信制御装置としては、MME(Mobility Management Entity)、HSS(Home Subscriber Server)、PCRF(Policy and Charging Rule Function)、S−GW(Serving Gateway)、P−GW(Packet data network Gateway)などが例示される。
MECサーバ管理部260は、コアネットワーク130を構成する1以上の中継装置の少なくとも1つの内部又は近傍に配されてもよい。MECサーバ管理部260は、基地局150の内部又は近傍に配されてもよく、無線中継装置152の内部又は近傍に配されてもよい。MECサーバ管理部260は、1以上の物理リソースを利用して構築された仮想環境により実現されてもよい。
MECシステム200は、複数のMECサーバ管理部260を備えてもよい。MECシステム200が複数のMECサーバ管理部260を備える場合、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバのそれぞれは、例えば、当該MECサーバが配される物理マシンの地理的位置に基づいて、複数のMECサーバ管理部260のそれぞれの管理下に割り振られる。MECサーバ管理部260の詳細は後述される。
本実施形態において、位置登録部272は、例えば、端末の位置登録処理及びハンドオーバ処理を実行する。位置登録部272は、MMEの機能の少なくとも一部を有してよい。位置登録部272は、HSSの機能の少なくとも一部を有してもよい。本実施形態において、課金部274は、通信システム120が提供する通信サービスの加入者に対する課金に関する情報を管理する。課金部274は、QoS、課金方法などに関するポリシーを決定してもよい。課金部274は、HSSの機能の少なくとも一部を有してもよい。課金部274は、PCRFの機能の少なくとも一部を有してもよい。
図3は、MECサーバ群310の階層構造の一例を概略的に示す。MECサーバ群310は、第1階層に含まれる複数のMECサーバ230により構成される。本実施形態においては、MECサーバ群310が階層構造を有する場合を例として、MECサーバ群310の詳細が説明される。しかしながら、MECサーバ群310は、階層構造を有しなくてもよいことに留意されたい。
本実施形態によれば、MECサーバ群310を構成する複数のMECサーバのそれぞれが、当該MECサーバが配される物理マシンの地理的位置に基づいて、複数の階層に区分される。例えば、グループ312は、アジア地域に配された1以上の物理マシンを利用して構築されたMECサーバのためのグループである。同様に、グループ314は、北米地域に配された1以上の物理マシンを利用して構築されたMECサーバのためのグループである。
MECサーバ322は、各地域の全体に関連する処理を取り扱う。MECサーバ332は、各地域に含まれる複数の国のそれぞれに対応して設けられ、各国の全体に関連する処理を取り扱う。MECサーバ342は、各国に含まれる複数の広域エリア(例えば、複数の行政区画を含む地理的範囲である。)のそれぞれに対応して設けられ、各広域エリアに関連する処理を取り扱う。MECサーバ324、MECサーバ334及びMECサーバ344のそれぞれは、MECサーバ322、MECサーバ324及びMECサーバ344のそれぞれと同様の構成を有してよい。
図4は、MECサーバ230の内部構成の一例を概略的に示す。なお、MECサーバ240、MECサーバ250及びMECサーバ252は、MECサーバ230と同様の構成を有してよい。
本実施形態において、MECサーバ230は、ホスティング基盤410と、アプリケーションプラットフォーム420と、1以上の仮想マシン430と、1以上のMECアプリケーション440とを備える。本実施形態において、ホスティング基盤410は、ハードウェア資源412と、仮想化層414とを有する。本実施形態において、アプリケーションプラットフォーム420は、仮想化マネジャ422と、アプリケーションプラットフォームサービス424とを有する。ハードウェア資源412は、1以上の物理リソースの一例であってよい。
本実施形態において、ハードウェア資源412としては、演算処理装置、ROM、RAM、通信インタフェース、記憶装置などのサーバ機材が例示される。本実施形態において、仮想化層414は、ハードウェア資源412を仮想化するソフトウエアによって形成される。これにより、仮想サーバが構築される。アプリケーションプラットフォーム420は、上記の仮想サーバ上で動作する。
本実施形態において、仮想化マネジャ422は、仮想マシン430の構築、削除などを管理する。仮想化マネジャ422は、例えば、MECサーバ管理部260からの制御情報に基づいて、仮想マシン430の構築、削除などを管理してもよい。本実施形態において、アプリケーションプラットフォームサービス424は、MECに特徴的な機能又はサービスを提供する。上記の機能又はサービスとしては、トラフィックオフロード機能、無線ネットワーク情報サービス、サービスレジストリ機能などが例示される。仮想マシン430は、MECアプリケーション440を実行する実行環境として機能する。MECアプリケーション440は、MECサーバにおいて実行されるアプリケーションプログラムであってよい。
なお、本実施形態においては、MECサーバ230が、ハイパーバイザ型の仮想化方式により実現された仮想環境上で動作する場合を例として、MECサーバ230の詳細が説明された。しかしながら、MECサーバ230は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、MECサーバ230が、コンテナ型の仮想化方式により実現された仮想環境上で動作してもよく、ホストOS型の仮想化方式により実現された仮想環境上で動作してもよい。
図5は、MECサーバ管理部260の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、MECサーバ管理部260は、要件情報取得部520と、遅延情報取得部530と、アクセス情報取得部540と、課金情報取得部550と、格納部560と、仮想環境管理部570とを備える。本実施形態において、格納部560は、要件情報格納部562と、遅延情報格納部564と、課金情報格納部566とを有する。本実施形態において、仮想環境管理部570は、仮想環境構築部572と、仮想環境運用部574と、制御情報送信部576とを有する。
要件情報取得部520は、遅延要件取得部の一例であってよい。遅延情報取得部530は、遅延情報生成部の一例であってよい。
本実施形態において、要件情報取得部520は、通信システム120に対して要求される各種の要件を示す要件情報を取得する。上記の条件は、特定の通信端末の通信品質に関する要件であってよい。要件情報取得部520は、取得された情報を、例えば、要件情報格納部562に格納する。
一実施形態において、要件情報取得部520は、サービス利用端末102及びサービス利用端末104の少なくとも一方から、特定の通信端末(例えば、自端末である。)の通信に関して通信システム120に対して要求される要件を示す情報を取得する。上記の要件は、通信ネットワークの遅延に関する要件であってよい。上記の要件は、通信システム120の遅延に関する許容範囲を示す要件であってよい。
他の実施形態において、要件情報取得部520は、サービス提供端末110から、サービス提供端末110が提供するサービスを利用する1以上の通信端末の通信に関して、通信システム120に対して要求される要件を示す情報を取得する。上記の要件は、通信ネットワークの遅延に関する要件であってよい。上記の要件は、通信システム120の遅延に関する許容範囲を示す要件であってよい。
本実施形態において、遅延情報取得部530は、MECサーバ管理部260と、通信システム120を構成する複数のネットワーク要素のそれぞれとの通信における遅延を示す情報を取得する。なお、遅延情報取得部530は、単一のMECサーバ管理部260に対して、通信システム120を構成する全てのネットワーク要素との通信における遅延を示す情報を取得しなくてもよい。
本実施形態において、遅延情報取得部530は、MECサーバ管理部260と、通信システム120を構成する複数のネットワーク要素のそれぞれの近傍に配された1以上の物理リソース(対応する物理リソースと称される場合がある。)のそれぞれとの通信における遅延を示す情報を取得する。上記の1以上の物理リソースは、MECサーバ群210が実現される仮想環境を構築するために利用される。遅延情報取得部530は、取得された情報を、例えば、遅延情報格納部564に格納する。
本実施形態において、遅延情報取得部530は、上記の1以上の物理リソースのそれぞれの間の遅延を測定する測定試験の結果に基づいて、遅延情報を生成する。具体的には、まず、遅延情報取得部530は、遅延測定試験を実施して、上記の1以上の物理リソースのそれぞれの間の遅延を測定する。次に、遅延情報取得部530は、例えば、サービス利用端末102又はサービス利用端末104が通信システム120にアクセスしたときに、遅延測定試験を実施して、上記の1以上の物理リソースのうち最も近いものと、サービス利用端末102又はサービス利用端末104との間の遅延を測定する。
次に、遅延情報取得部530は、(i)サービス利用端末102又はサービス利用端末104と、これらの端末に最も近いMECサーバとの間の遅延の測定結果、及び、(ii)上記の1以上の物理リソースのそれぞれの間の遅延の測定結果に基づいて、サービス利用端末102又はサービス利用端末104と、上記の1以上の物理リソースのそれぞれとの間の遅延を示す情報を生成する。遅延情報取得部530は、生成された情報を、例えば、遅延情報格納部564に格納する。
本実施形態において、アクセス情報取得部540は、通信システム120に対するアクセスに関する情報を取得する。アクセスに関する情報としては、アクセスが検出されたことを示す情報、当該アクセスに関するアクセス元の通信端末の識別情報、当該アクセスに関するアクセス先の通信端末の識別情報などが例示される。アクセスが検出されたことを示す情報としては、通信端末の位置登録に関する情報であってよい。
例えば、サービス利用端末102が無線中継装置152を介して、サービス提供端末110にアクセスする場合、アクセス情報取得部540は、サービス利用端末102が無線中継装置152にアクセスしたことを示す情報と、サービス利用端末102のアクセス先がサービス提供端末110であることを示す情報とを取得する。アクセス情報取得部540は、アクセスに関する情報を、例えば、仮想環境管理部570に送信する。
本実施形態において、課金情報取得部550は、MECシステム200により提供されるサービスの1以上の契約者のそれぞれについて、当該契約者の利用料金に関する情報を取得する。例えば、課金情報取得部550は、各契約者が利用した物理リソースの量を示す情報を取得する。課金情報取得部550は、各契約者が利用した仮想リソースの量を示す情報を取得してもよい。課金情報取得部550は、各契約者に対応する課金ポリシー(例えば、料金体系である。)を示す情報を取得してもよい。課金情報取得部550は、取得された情報を、例えば、課金情報格納部566に格納する。
本実施形態において、格納部560は、各種の情報を格納し、当該情報の入出力を管理する。一実施形態において。格納部560は、メモリ、ハードディスクなどの記憶装置であってよい。他の実施形態において、格納部560は、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術又は分散型ネットワークを利用して、情報を格納してもよい。上記のブロックチェーンは、パブリックチェーンであってもよく、プライベートチェーンであってもよい。
本実施形態において、要件情報格納部562は、要件情報取得部520が取得した要件情報を格納する。本実施形態において、遅延情報格納部564は、遅延情報取得部530が取得した遅延情報を格納する。本実施形態において、課金情報格納部566は、課金情報取得部550が取得した課金情報を格納する。
本実施形態において、仮想環境管理部570は、MECサーバ群210が実現される仮想環境を管理する。本実施形態において、仮想環境構築部572は、仮想環境を構築する。仮想環境構築部572の詳細は後述される。本実施形態において、仮想環境運用部574は、仮想環境構築部572が構築した仮想環境を運用する。仮想環境運用部574の詳細は後述される。
本実施形態において、制御情報送信部576は、仮想化又は仮想環境に関する制御情報を生成し、当該制御情報を、ホスティング基盤410及びアプリケーションプラットフォーム420の少なくとも一方に送信する。制御情報送信部576は、1以上の仮想マシン430のそれぞれを制御するための制御情報を生成し、当該制御情報を仮想マシン430に送信してよい。
図6は、仮想環境構築部572の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、仮想環境構築部572は、エッジ特定部622と、仮想リソース決定部632と、アプリケーション決定部634と、物理リソース決定部636と、アドレス情報生成部642と、仮想化情報生成部652とを備える。エッジ特定部622は、基地局特定部の一例であってよい。仮想リソース決定部632は、仕様決定部の一例であってよい。
本実施形態において、エッジ特定部622は、アクセス情報取得部540から、通信システム120へのアクセスが検出されたことを示す情報を取得する。エッジ特定部622は、アクセス情報取得部540から、通信システム120へのアクセスのアクセス元の通信端末を示す情報と、当該アクセスのアクセス先の通信端末を示す情報とを取得する。例えば、エッジ特定部622は、アクセス元の通信端末がサービス利用端末102であり、アクセス先の通信端末がサービス提供端末110であることを示す情報を取得する。
本実施形態において、通信システム120に含まれる1以上の基地局150及び1以上の無線中継装置152のうち、サービス利用端末102又はサービス利用端末104がアクセスした基地局を特定する。これにより、通信システム120へのアクセスが検出された場合に、通信システム120により実現される通信ネットワークのエッジが特定される。例えば、サービス利用端末102が、特定の無線中継装置152を介して通信システム120にアクセスした場合、エッジ特定部622は、当該特定の無線中継装置152を、ネットワーク・エッジとして特定する。エッジ特定部622は、特定された基地局を示す情報を、例えば、物理リソース決定部636に送信する。
本実施形態において、仮想リソース決定部632は、MECサーバの仕様を決定する。MECサーバの仕様としては、演算処理能力、メモリ容量、ストレージ容量、通信インタフェースの種類、OSの種類、仮想化の種類などが例示される。仮想化の種類としては、ホストOS型仮想化、ハイパーバイザ型仮想化、コンテナ型仮想化などが例示される。例えば、仮想リソース決定部632は、アクセス情報取得部540から、通信システム120へのアクセスのアクセス先を示す情報を取得する。仮想リソース決定部632は、上記のアクセス先を示す情報に基づいて、上記アクセスのアクセス元に対して提供されるMECサーバの仕様を決定する。
例えば、仮想リソース決定部632は、サービス提供端末110により提供されるサービスを実現するためのアプリケーションプログラムがコンピュータに要求する仕様条件に基づいて、サービス利用端末102に対して提供されるMECサーバの仕様を決定する。仮想リソース決定部632は、通信端末の識別情報と、MECサーバに要求される仕様を示す情報とが対応付けられた性能要件を示す情報に基づいて、MECサーバの仕様を決定してもよい。仮想リソース決定部632は、例えば、サービス提供端末110から、性能要件を示す情報を予め受信しておいてもよい。これにより、仮想環境構築部572は、実行される処理に応じて、適切な仕様の仮想環境を構築することができる。
本実施形態において、アプリケーション決定部634は、MECサーバ上で動作するアプリケーションを決定する。サービス提供端末110において実行される処理の一部が、複数のMECサーバ上で分散処理される場合、アプリケーション決定部634は、複数のMECのそれぞれにおいて実行されるアプリケーションプログラムを決定してよい。
サービス提供端末110がオンラインゲームサービスを提供する場合、当該サービスが提供されるにあたって、複数のプレイヤーの間の同期又は連携が必要な処理と、各プレイヤーからの情報だけで対応できる処理とが存在する。この場合、複数のプレイヤーの間の同期又は連携が必要な処理を実行するためのMECサーバと、各プレイヤーからの情報だけで対応できる処理を実行するためのMECサーバとが準備されることが好ましい。
各プレイヤーからの情報だけで対応できる処理を実行するためのMECサーバは、例えば、各プレイヤーの通信端末がアクセスする基地局の近くに配される。一方、複数のプレイヤーの間の同期又は連携が必要な処理を実行するためのMECサーバは、例えば、全プレイヤーの通信端末とサービス提供端末110との遅延を考慮して、適切な場所に配される。そして、複数のMECサーバのそれぞれには、それぞれに適したアプリケーションプログラムが割り当てられる。アプリケーション決定部634は、MECにおいて実行されるアプリケーションプログラムを示す情報を、物理リソース決定部636に送信する。
本実施形態において、物理リソース決定部636は、アクセス情報取得部540から、通信システム120へのアクセスが検出されたことを示す情報を取得する。物理リソース決定部636は、要件情報格納部562から、通信システム120の遅延に関する許容範囲を示す遅延要件を示す情報を取得する。
物理リソース決定部636は、エッジ特定部622から、ネットワーク・エッジとして特定された基地局を示す情報を取得する。物理リソース決定部636は、仮想リソース決定部632から、上記のアクセスに応じて構築されるべきMECサーバの仕様を示す情報を取得する。物理リソース決定部636は、アプリケーション決定部634から、上記のMECサーバにおいて実行されるべきアプリケーションプログラムを示す情報を取得する。
本実施形態において、物理リソース決定部636は、通信システム120にアクセスした通信端末に対して、MECサーバの構築に利用される1以上の物理リソースを決定する。物理リソース決定部636は、MECサーバの仕様を示す情報に基づいて、上記の物理リソースを決定してもよい。物理リソース決定部636は、ネットワーク・エッジとして特定された基地局の地理的な位置情報に基づいて、上記の物理リソースを決定してもよい。例えば、ネットワーク・エッジからの距離が近い物理リソースが優先的に選択される。
一実施形態において、通信システム120へのアクセスが検出された場合、物理リソース決定部636は、まず、遅延情報格納部564を参照して、ネットワーク・エッジとして特定された基地局と、利用可能な1以上の物理リソースのそれぞれとの間の遅延を決定する。次に、物理リソース決定部636は、上記の遅延を考慮して、要件情報取得部520の取得した遅延要件が充足されるように、MECサーバの構築に利用される物理リソースを決定する。
他の実施形態において、物理リソース決定部636は、通信システム120へのアクセスのアクセス元の通信端末のハンドオーバに関連するイベントが検出された場合、必要に応じて、MECサーバの再構築処理を実行する。ハンドオーバに関するイベントとしては、ハンドオーバが実行される可能性のあることが検出されたこと、ハンドオーバが実行されたこと、ハンドオーバに伴う上記MECサーバと基地局との間の遅延量の変化が検出されたことなどが例示される。
例えば、物理リソース決定部636は、ハンドオーバ先の基地局を示す情報を取得する。次に、物理リソース決定部636は、ハンドオーバ先の基地局と、1以上の物理リソースのそれぞれの間の遅延を示す情報を取得する。次に、物理リソース決定部636は、上記の遅延を考慮して、要件情報取得部520の取得した遅延要件が充足されるように、MECサーバの再構築に利用される物理リソースを決定する。
本実施形態において、アドレス情報生成部642は、新たに構築されるMECサーバのアドレスを決定する。アドレス情報生成部642は、決定されたアドレスを示す情報を、制御情報送信部576に送信する。制御情報送信部576は、上記のアドレスの情報を含む制御情報を、通信システム120のアクセス元の通信端末に送信する。これにより、上記の通信端末が、MECサーバとの間で情報を送受できるようになる。
なお、制御情報送信部576は、パケットの送信元を示す情報と、当該パケットを上記のMECサーバに転送することを示す制御情報を生成してよい。制御情報送信部576は、上記制御情報を、通信システム120の通信経路上の任意のスイッチ又はゲートウェイに送信してもよい。
本実施形態において、仮想化情報生成部652は、MECサーバの構築に必要な情報を含む仮想化情報を生成する。MECサーバの構築に必要な情報としては、MECサーバの仕様、MECサーバ上で実行されるアプリケーションプログラムの種類、MECサーバが構築される物理リソースの識別情報などが例示される。制御情報送信部576は、選択された物理リソースの仮想化を管理する機器に、仮想化情報生成部652が生成した情報を、制御情報として送信する。
図7は、仮想環境運用部574の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、仮想環境運用部574は、稼働状況管理部722と、ハンドオーバ検出部724と、変更決定部726と、変更情報生成部728とを備える。
本実施形態において、稼働状況管理部722は、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバのそれぞれの稼働状況を管理する。稼働状況管理部722は、特定のMECサーバの稼働状況が予め定められた条件を充足する場合、当該条件が充足されたことを示す情報を、変更決定部726に送信する。予め定められた条件としては、稼働率が第1閾値に満たない期間の長さが、第2閾値よりも長いという条件などが例示される。
例えば、サービス利用端末102が、特定のMECサーバを利用して、サービス提供端末110により提供されるサービスを利用していた場合において、サービス利用端末102が当該サービスの利用を停止又は中断すると、上記のMECサーバの稼働率も低下する。MECサーバの稼働率が低下した状態が比較的長期間にわたって続くことが予想される場合、当該MECサーバの計算能力を他の通信端末又は他のユーザに提供することができれば、ユーザ全体の満足度がさらに向上する。本実施形態によれば、稼働状況管理部722が、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバのそれぞれの稼働状況を管理する。これにより、稼働率の低下したMECサーバの計算能力を他の通信端末又は他のユーザに提供することが可能になる。
本実施形態において、ハンドオーバ検出部724は、通信システム120へのアクセスのアクセス元の通信端末のハンドオーバに関連するイベントを検出する。ハンドオーバ検出部724は、上記のハンドオーバに関連するイベントが検出された場合、その旨を示す情報を、変更決定部726に送信する。ハンドオーバに関するイベントとしては、ハンドオーバが実行される可能性のあることが検出されたこと、ハンドオーバが実行されたこと、ハンドオーバに伴う上記MECサーバと基地局との間の遅延量の変化が検出されたことなどが例示される。
本実施形態において、変更決定部726は、MECサーバの運用を変更するか否かを決定する。例えば、変更決定部726は、第1条件を充足するMECサーバについて、当該MECサーバを再構築することを決定する。第1条件としては、ハンドオーバ検出部724がハンドオーバに関連するイベントが抽出されたという条件などが例示される。
この場合、変更決定部726は、例えば、変更内容を示す情報を変更情報生成部728に送信する。仮想環境構築部572は、変更内容を示す情報を受信すると、仮想環境を再構築するための処理を実行する。
変更決定部726は、第2条件を充足するMECサーバについて、当該MECサーバを削除することを決定する。第2条件としては、特定のMECサーバの稼働状況が予め定められた削除条件を充足したという条件などが例示される。変更決定部726は、例えば、変更内容を示す情報を変更情報生成部728に送信する。
変更決定部726は、第3条件を充足するMECサーバについて、当該MECサーバの利用者を変更し、当該MECサーバ上で動作するアプリケーションプログラムを変更することを決定する。第3条件としては、特定のMECサーバの稼働状況が予め定められた転用条件を充足したという条件などが例示される。変更決定部726は、例えば、変更内容を示す情報を変更情報生成部728に送信する。
本実施形態において、変更情報生成部728は、MECサーバの識別情報と、当該MECサーバの運用の変更内容を示す情報とを含む変更情報を生成する。制御情報送信部576は、上記のMECサーバを構築する物理リソースの仮想化を管理する機器に、変更情報生成部728が生成した情報を、制御情報として送信する。
図8は、データテーブル800の一例を概略的に示す。データテーブル800は、例えば、5666に格納される課金情報のデータ構造の一例であってよい。本実施形態において、データテーブル800は、仮想マシンID812と、仮想マシン利用者ID814と、仮想マシンの利用期間を示す情報816と、物理リソースID822と、物理リソース提供者ID824と、物理リソース利用量を示す情報826と、単価を示す情報828とを、対応付けて格納する。
本実施形態において、仮想マシンID812は、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバのそれぞれの識別情報である。仮想マシン利用者ID814は、各MECサーバを利用して、サービス提供端末110のサービスの提供を受ける通信端末の識別情報、又は、当該通信端末のユーザの識別情報であってよい。仮想マシンの利用期間を示す情報816は、各MECサーバが利用された期間を示す。利用期間は、例えば、当該期間の始期及び終期により示される。
本実施形態において、物理リソースID822は、各MECサーバの構築に利用される物理リソースの識別情報である。物理リソース提供者ID824は、各物理リソースの提供者の識別情報であってよい。物理リソースの提供者は、(i)通信システム120の運営者又は管理者であってもよく、(ii)通信システム120の運営者又は管理者に対して、一時的に自己の物理リソースの使用を許可した一般ユーザであってもよい。この場合、一般ユーザは、例えば、通信システム120の運営者又は管理者から、物理リソースの使用を許可した期間の長さ、及び、物理リソースの利用量の少なくとも一方に応じた金額を受け取ってもよい。物理リソース利用量を示す情報826は、物理リソースが利用された程度を示す。物理リソースの利用量としては、電力使用量、演算装置又は記憶装置の稼働率、利用帯域などが例示される。単価を示す情報828は、物理リソースの単位量あたり利用対価を示す。
図9は、サービス提供システム100における情報処理の一例を概略的に示す。本実施形態によれば、まず、S910において、サービス提供端末110が、サービス提供端末110により提供されるサービスを利用する通信端末の通信に関する遅延要件を示す情報を、MECサーバ管理部260に送信しておく。このとき、サービス提供端末110は、MECサーバ上で実行されるアプリケーションプログラムに関する情報を、MECサーバ管理部260に送信してもよい。サービス提供端末110は、複数のMECサーバ上で、互いに異なるアプリケーションプログラムが実行されることを示す情報を、MECサーバ管理部260に送信してもよい。
その後、S920において、基地局150のマクロセル50の内部に位置するサービス利用端末104が、通信システム120を利用して、サービス提供端末110にアクセスすることを要求する。基地局150は、サービス利用端末104からの要求を受けつけると、S922において、通信システム120へのアクセスが検出されたことを示すアクセス情報を、MECサーバ管理部260に送信する。アクセス情報は、ネットワーク・エッジが基地局150であり、アクセス元がサービス利用端末104であり、アクセス先がサービス提供端末110であることを示す情報を含んでもよい。また、基地局150は、サービス利用端末104からの要求を受けつけると、S924において、サービス利用端末104からの要求を、サービス提供端末110に転送する。
なお、MECサーバ管理部260は、基地局150からアクセス情報を受信すると、アクセス元のサービス利用端末104に対して、遅延を測定するためのテスト信号を送信してもよい。MECサーバ管理部260は、MECサーバ管理部260から出力されたテスト信号が、基地局150を介してサービス利用端末104に到達し、再度、MECサーバ管理部260に戻ってくるまでの時間を測定する。これにより、MECサーバ管理部260と、サービス利用端末104との間の遅延を示す情報を取得することができる。
ここで、MECサーバ管理部260は、任意のタイミングにおいて、予め、MECサーバ管理部260と、基地局150との間の遅延を示す情報を取得している。そのため、MECサーバ管理部260は、MECサーバ管理部260と、サービス利用端末104との間の遅延の値から、MECサーバ管理部260と、基地局150との間の遅延の値を引くことで、サービス利用端末104と、基地局150との間の遅延の値を算出することができる。
次に、S930において、MECサーバ管理部260は、アクセス情報に基づいて、サービス利用端末104がサービス提供端末110のサービスを利用する通信端末であり、遅延要件が適用されることを判定する。そこで、仮想環境構築部572は、物理リソース930及び物理リソース950を、サービス利用端末104のためのMECサーバの構築に利用することを決定する。また、上記のMECサーバ上で動作するアプリケーションプログラムを決定する。その後、制御情報送信部576は、MECサーバを構築するための命令を、物理リソース930及び物理リソース950の仮想化を管理する機器に送信する。これにより、S932において、MECサーバが構築される。また、制御情報送信部576は、MECサーバのアドレスを示す情報を、サービス利用端末104に送信する。その後、S940において、サービス提供端末110と、サービス利用端末104との間で情報が送受され、サービスの提供が開始される。
図10は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ3000の一例を示す。例えば、MECサーバ群210を構成する複数のMECサーバは、コンピュータ3000により実現される。MECサーバ管理部260は、コンピュータ3000により実現されてよい。コンピュータ3000は、1以上の物理リソースの一例であってよい。
コンピュータ3000にインストールされたプログラムは、コンピュータ3000に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ3000に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ3000に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU3012によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ3000は、CPU3012、RAM3014、GPU3016、及びディスプレイデバイス3018を含み、それらはホストコントローラ3010によって相互に接続されている。コンピュータ3000はまた、通信インタフェース3022、ハードディスクドライブ3024、DVD−ROMドライブ3026、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ3020を介してホストコントローラ3010に接続されている。コンピュータはまた、ROM3030及びキーボード3042のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ3040を介して入出力コントローラ3020に接続されている。
CPU3012は、ROM3030及びRAM3014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。GPU3016は、RAM3014内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU3012によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス3018上に表示されるようにする。
通信インタフェース3022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ3024は、コンピュータ3000内のCPU3012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD−ROMドライブ3026は、プログラム又はデータをDVD−ROM3001から読み取り、ハードディスクドライブ3024にRAM3014を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
ROM3030はその中に、アクティブ化時にコンピュータ3000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ3000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ3040はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ3020に接続してよい。
プログラムが、DVD−ROM3001又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ3024、RAM3014、又はROM3030にインストールされ、CPU3012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ3000に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ3000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ3000及び外部デバイス間で実行される場合、CPU3012は、RAM3014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース3022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース3022は、CPU3012の制御の下、RAM3014、ハードディスクドライブ3024、DVD−ROM3001、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
また、CPU3012は、ハードディスクドライブ3024、DVD−ROMドライブ3026(DVD−ROM3001)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM3014に読み取られるようにし、RAM3014上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU3012は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU3012は、RAM3014から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM3014に対しライトバックする。また、CPU3012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU3012は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ3000上又はコンピュータ3000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それにより、上記のプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ3000に提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。