JP2019210841A - タービン翼およびガスタービン - Google Patents
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Abstract
【課題】翼スロート面積を調整可能な可動構造を有するタービン翼において、圧力損失の少ない高性能なタービン翼を提供する。【解決手段】前縁と後縁と圧力面と負圧面とを有する翼部と、前記翼部の両端に連結されたエンドウォールを備えるタービン翼であって、前記翼部は、前縁と圧力面と負圧面とを有する翼形部と、前記翼形部に嵌合され、前記翼形部との嵌合面に沿って移動可能な翼後縁部と、を有し、前記タービン翼が周方向に複数配置されたタービンにおける前記翼部間の最小流路面積を前記翼後縁部の移動量に応じて調整することを特徴とする。【選択図】 図5
Description
本発明は、タービン翼の構造に係り、特に、ガスタービン発電設備における部分負荷運転の高効率化に有効な技術に関する。
ガスタービン発電設備は想定される最大需要を賄える定格負荷で計画されるが、変動する電力需要に対応して発電負荷を追従させる場合も多く、実際の運転では発電容量に対して低い負荷(部分負荷)での運転時間が占める割合も多い。ガスタービンは他の内燃機関と同様に、部分負荷で運転すると効率が落ちるため、このような低負荷域での運転が多くなると当初の計画と比べ実際の発電効率が低下してしまう。
高負荷から低負荷の広負荷域を高効率で運用できる発電設備として、可変タービン翼を備えたガスタービン発電設備がある。可変タービン翼の「可変」とは、例えば翼のスロート面積を縮小および拡大させる可変構造を指し、2軸式ガスタービンでは、運用範囲拡大および安定した運用を補う目的で使用されている。
また、ガスタービンは部分負荷運転或いは外気温度の変化による空気量の増減に伴って運転条件が変わるため、定格負荷条件で最適設計された翼では、最適設計範囲から外れた運転条件において性能低下の懸念がある。このような条件において、可変タービン翼は、翼のスロート面積を調整することで最適な空気量および高圧段と低圧段のエネルギ配分を調整できるため、広い負荷範囲での性能向上を可能としている。
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、可変翼を搭載した可変サイクルガスタービンが開示されている。
また、翼のスロート面積を調整する構造として、特許文献2から特許文献5のような構造も知られている。
ところで、可変タービン翼には、可変翼構造(翼の回動)に起因する課題がある。翼が回動する構造は、回動時に他の構成部品との干渉を避けるために、内周側端面および外周側端面を単一平面形状、若しくは、基準とする角度での滑動平面形状に形成する必要がある。これらの平面形状では、可変翼が回動によって基準位置から離れるのに比例して、端面部の間隙が増加し、主流空気が翼を通過する際に生じる圧力損失も増加傾向にある。
また、ガスタービンの運用条件によっては、可変翼の流入角および流出角は一定とはならず、下流翼の流入角にも影響するため、運用範囲内での翼性能の維持は困難を極める。
そこで、本発明の目的は、翼スロート面積を調整可能な可動構造を有するタービン翼において、可動部の回動に伴う翼端面部の間隙変化および翼の流入・流出角変化を抑制可能で、圧力損失の少ない高性能なタービン翼を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、前縁と後縁と圧力面と負圧面とを有する翼部と、前記翼部の両端に連結されたエンドウォールを備えるタービン翼であって、前記翼部は、前縁と圧力面と負圧面とを有する翼形部と、前記翼形部に嵌合され、前記翼形部との嵌合面に沿って移動可能な翼後縁部と、を有し、前記タービン翼が周方向に複数配置されたタービンにおける前記翼部間の最小流路面積を前記翼後縁部の移動量に応じて調整することを特徴とする。
本発明によれば、翼スロート面積を調整可能な可動構造を有するタービン翼において、可動部の回動に伴う翼端面部の間隙変化および翼の流入・流出角変化を最小限に抑えることが可能となり、可変翼の採用による翼性能の低下を抑制することができる。また、様々な運転条件において、最適なスロート面積に調整することができる。
これにより、ガスタービン発電設備全体の発電効率向上を図ることができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において、同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
先ず、図1Aおよび図1Bを参照して、一般的な1軸式ガスタービンと本発明の適用対象となる2軸式ガスタービンについて説明する。図1Aは比較のために示す一般的な1軸式のガスタービンの構成を示しており、図1Bは可変タービン翼の適用例である2軸式のガスタービンの構成を示している。
図1Aに示すように、一般的な1軸式のガスタービンは、大気(空気)を吸気して高圧の圧縮空気に変換する圧縮機101と、燃料を供給し燃焼させることで、この圧縮空気を高温高圧ガスに変換する燃焼器102、圧縮機101と同軸で連結され、高温高圧ガスを運動(回転)エネルギに変換するタービン103、およびこの運動(回転)エネルギを電気エネルギに変換する発電機104を備えている。
図1Bに示すように、2軸式のガスタービンも1軸式と基本的な構成は略同じであるが、1軸式におけるタービン103の高圧段と低圧段がそれぞれ独立した軸で構成されていることが1軸式と異なる点である。2軸式において、タービンの高圧段は圧縮機101と同軸で連結された高圧タービン(ガスジェネレータタービン)105として構成され、タービンの低圧段は発電機104と同軸で連結された低圧タービン(パワータービン)106として構成される。
この様に、タービン部の高圧段と低圧段の軸を独立させることによって、高圧タービン105では、ガスタービンの運転条件に関係なく一定回転数での運転が可能であり、連結する圧縮機101のサージに対する裕度が確保できる。一方、低圧タービン106では、運転状態によって最適な回転数に調速できることから、運用範囲の拡大が可能であり、発電用や機械駆動用といった運用方法の異なる用途にも対応できる。
また、図1A,図1Bに共通して示される圧縮機101から主流空気と異なる経路でタービンとつながっている矢印107,108,109は、圧縮機101の抽気空気経路である。圧縮機101の最終段110および中圧段111から導入された抽気空気は、低圧段静翼を冷却するための静翼低圧冷却空気経路107、高圧段静翼を冷却するための静翼高圧冷却空気経路108、動翼を冷却するための動翼冷却空気経路109を経て、高圧タービン105および低圧タービン106の各々のタービン冷却部に冷却空気として供給される。
冷却部にて熱交換された各冷却空気は、図示しない各翼のフィルム冷却孔や後縁噴出孔などの冷却構造部から噴出し、タービン103(高圧タービン105および低圧タービン106)のガスパス中に排出されると共に、主流ガスと混合して、最終的には排気として大気中に放出される。
次に、本願発明の特徴を分かり易くするために、公知例(背景技術)である特許文献1から特許文献5について簡単に説明する。
図2に可変翼を搭載した可変サイクルガスタービンの代表的な公知例である特許文献1の構成を示す。特許文献1の可変翼構造は、図2に示すように、内周および外周の端壁121,122(以下EW:End Wallと称する)より切り離された別構造体の翼部123と、翼部123の径方向両端部から延在する可動軸124で構成されている。
ここで、可動軸124は、EW121,122およびタービンケーシング(以下CSG:Casingと称する)125と係合する位置で軸支され、所定角度に翼部123を回転させることで、スロート面積を調整可能な構造となっている。また、CSG125外部には、可変量を制御するアクチュエータ126が備えられ、制御信号を受信したアクチュエータ126の作動量は、可変翼列外周に配置された大径のリング127に回転角度量として伝達し、リング127から可動軸124まで延在したアームレバー128を介して可変角度量に変換される。
上記の構造を採用することで、スロート面積は調整可能であるが、可動部によって形成される間隙部129での漏れや逆流、翼部123とEW121,122が別構造に起因する熱伸びや摺動等の摩耗、冷却構造の有無および翼の強度低下等、可変翼構造特有の課題があり、可変構造採用においては、スロート面積が調整可能なメリットと上記のようなデメリットのバランスを十分に吟味する必要がある。
スロート面積を調整する他の構造例として、特許文献2から特許文献5のような構造が挙げられる。
特許文献2では、翼を上流側の固定翼と下流側の可動翼で構成し、可動翼を周方向に任意の距離回転移動させることでスロート幅を変更している。本構造は、特許文献1の構造とは異なり、翼の可動対象を翼後縁近傍のみに限定していることを特徴としている。全翼を可動させる構造と比較して、可動に伴う翼性能低下の抑制および漏れ・間隙の濡れ縁長さを短くとることができ、また、固定翼部による内周部材の保持が可能である。
また、特許文献3では、翼の上流背側部が翼周方向に可動する構造となっており、この可動量によって上流背側部と対面の翼下流腹側部とのスロート面積を変更することを特徴としている。本構造は特許文献2と同様に翼の一部のみを可動させる構造だが、可動部が偏心軸を用いた往復移動構造であり、翼圧力面のプロファイルの変形が無いため、翼の流入・流出角の変化によるインシデンス損失の低減が可能である。
また、特許文献4では、可動構造を翼ではなくEW(端壁)に採用した例であり、EWを径方向ガスパス側に押し出すことでスロート面積を調整している。EW可動による翼プロファイルの変形が無いため、特許文献3と同様に、可変構造に伴うインシデンス損失を低減できる。
また、特許文献5は、翼と外周EW(端壁)をそれぞれ固定部材と移動部材に分割し、移動部材を軸方向に相対移動させることで、翼と外周EWにかけて形成されたスリット状の吸込開口より翼に付着した水滴を回収する構造である。本構造は、翼部とEW(端壁)が一体構造になった移動部材であることと、蒸気タービンのエロージョン対策として、スリット開口部を可動させて翼に付着した水滴の除去を目的としていることが特徴である。
以上説明したように、多様なタービン翼可変構造が存在している。
次に、図3および図4を参照して、一般的なタービン静翼の構造を説明する。図4は図3のタービン翼の断面図である。一般的なタービン翼1は、翼前縁2、翼後縁3、圧力面4、負圧面5、内周エンドウォール6、外周エンドウォール7、および冷却空気の供給を目的とした翼内部の冷却流路8を有しており、それぞれ一体成型されている。
続いて、図5から図8を参照して、実施例1のタービン翼とその動作(作用)について説明する。
図3および図4に示す一般的なタービン翼の翼構造に対して、本実施例では図5に示すように、翼後縁3と翼後縁近傍の圧力面4と負圧面5を含む任意の領域が翼形部1から切り離された別構造体となっている。ここで、説明の便宜上、切り離された別構造体を翼後縁部11、もう一方の翼部を翼形部12と称する。
この翼形部12と翼後縁部11の切り離された断面形状の基本的な構造例は、図5の翼断面図からも明らかなように、翼形部12は凹形状、翼後縁部11は翼形部12の凹形状の溝部に収まる板状に形成されており、翼後縁部11を翼形部12の凹部に嵌合すると、切断面に所定の隙間13が形成され、概ね図4のタービン翼と同様の輪郭が形成される。
以上の構成により、翼後縁部11が翼形部12と接する面に沿って滑動(摺動)し、翼表面上の作動流体(主流ガス32)の流れ方向14へ翼後縁部11を移動させることが可能であり、翼のスロート幅(スロート面積)15を調整することができる。
図6に本実施例の可動部構造21を示す。図中の符号22は固定翼、符号23は可動翼、符号24は可動軸、符号25はリング、符号26はアクチュエータである。
本実施例のタービン翼の動作は、外部制御信号によりアクチュエータ26から所定の変位量27がリング25に伝わり、リング25に伝えられた変位量27が可動軸24に伝達して可動翼23が滑動(摺動)する構成となっている。
ここで、アクチュエータ26およびリング25の一構造例は、図6に示すように、油圧シリンダ等のアクチュエータ26による軸方向の変位量27によって、リング25は軸方向へ直線移動し、可動軸24との接続部で軸方向への直線移動を可動翼23(翼後縁部)の滑動方向移動14に変換するスライダ構造となっている。可動軸24とアクチュエータ26の連結部は、リング、平板、ベルト、チェーン、レバーなどの部品を組み合わせて構成することができる。
なお、上記の説明では、本実施例の必要最小限の構成を示しているが、製品開発においては、机上の発明案を実機適用する際には、その対象に応じて追加構造の適用や製作上の公差への対策が必要となることもあり、発明を実現させるために、請求の制約範囲内で想定し得る多様な構造を検討するのが常である。
図7を用いて、翼形部12および翼後縁部11間の隙間13に関する対策例を説明する。
図5に示す本実施例のタービン翼の構成では、翼後縁部11と翼形部12の滑動面(摺動面)31には隙間13が形成されるため、主流ガス32の冷却流路8内への侵入や冷却空気33の漏れ出しが懸念される。そこで、図7に示すように、冷却空気33を意図的に隙間13から主流ガスパス34に噴出す構造とし、主流ガス32の冷却流路8内への侵入を抑制する。
冷却流路8から噴出した冷却空気33によって翼表面35と主流ガス32の間に冷却空気33の膜を形成し、翼後縁部11のメタル温度低減を図ることが可能となる。また、冷却空気33が隙間13を通過すことによる対流冷却効果も見込まれるため、翼形部12と翼後縁部11の滑動面(摺動面)31のメタル温度も低減可能である。
なお、より高い冷却効果やリーク空気量を制御(排出)する目的で、冷却溝36や冷却孔37、ピンやリブなどの乱流促進体38、切り欠き、多孔質体、突起部を翼形部12と翼後縁部11の滑動面(摺動面)31間に形成することも可能である。乱流促進体38や突起部は、冷却流路8内の冷却空気に乱流を発生させる目的で設置する。
また、滑動面(摺動面)31は、冷却空気33が主流ガスパス34へ噴出す構造とは反対に、翼形部12と翼後縁部11の滑動面(摺動面)31間にラビリンス等のシール39や突起部を設け、主流ガス32の冷却流路8内への侵入の抑制および冷却空気33の漏れだしを抑制することを目的とした構造とすることもできる。
翼形部12と翼後縁部11の分割構造に関する変形例を図8に示す。図5に示すタービン翼では、翼後縁部11に圧力面4および負圧面5の一部領域の両方を含んでいる。つまり、翼後縁部11の圧力面側または負圧面側のいずれか一方の面を覆う翼形部12の面積が、翼後縁部11の他方の面を覆う翼形部12の面積よりも広く形成されている。
図8では、翼後縁部11が翼後縁3と翼後縁3近傍の圧力面4および負圧面5のどちらか一方を含む構造であり、翼のスロート幅(スロート面積)15の調整や図7に示す冷却構造およびシール構造など設計条件に応じて構造を選択することができる。
なお、上記の構成に加えて、翼後縁部11を翼形部12よりも熱膨張係数の高い材質で形成し、翼後縁部11の熱膨張により最小流路面積を調整する機能を付加的に持たせることも可能である。
図9を参照して、実施例2のタービン翼とその動作(作用)について説明する。図9は、本実施例のタービン翼の可動構造を示す図であり、その動作(作用)を概念的に示している。
図5に示すように、実施例1では翼後縁部11は板状であるが、本実施例のタービン翼では、翼後縁部11が圧力面4側に凹んだ曲がり板40の形状である点において実施例1と異なっている。
本実施例のように、翼後縁部11を曲がり板40の形状にすることで、曲率が大きい翼形への適用や可動翼23の軸方向移動量を直線移動形状より少なくすることが可能である。翼形部12と翼後縁部11との嵌合面は円弧状の曲面を有しており、翼後縁部11は、翼形部12と翼後縁部11の嵌合面に沿って曲面と同心円方向に移動する。曲がり板40を滑動(摺動)させるための移動には、図9に例示するようにアームレバー41や偏心軸42構造を用いた回転軸移動による可動を採用することができる。
図10Aから図10Cを参照して、実施例3のタービン翼とその動作(作用)について説明する。図10Aから図10Cは、翼後縁部11と内周側エンドウォール6,外周側エンドウォール7部の滑動面(摺動面)31の形状例である。
図10Aは、翼後縁部11の径方向端部とエンドウォール6,7の滑動面(摺動面)31周りの作動流体の流れ損失を低減する目的でフィレット43を形成した例である。
一方、図10Bは、エンドウォール6,7表面上の翼後縁部11が滑動(摺動)する範囲の輪郭形状に任意の深さだけ穿孔したエンドウォール6,7構造である。翼後縁部11は、穿孔した深さに応じて径方向に任意の長さだけ延長可能であり、翼後縁部11のエンドウォール6,7に埋設させた穿孔部44は、翼後縁部11可動方向への動作以外の拘束を受ける。
また、図10Cは、エンドウォール6,7表面に係合する可動軸24の輪郭形状に基づいて穿孔した穴45を有する例である。
図11および図12を参照して、実施例4のタービン翼とその動作(作用)について説明する。本実施例は、冷却空気供給構造に関する実施例である。
図6の可動部構造では、可動翼23の可動軸24は中実軸として図示しているが、図11に示す本実施例の可動部構造は、可動軸24を中空軸として冷却流路51を形成し、外周側ケーシング52から供給される冷却空気33を可動翼23内周端部と嵌合する内周側構成部品53や翼後縁部11に形成された翼後縁冷却構造部54に供給する例である。
図12は可動翼23または可動軸24の可動量に追従して作動するよう、エンドウォール6,7端面に取付けられた流量調整カバー55を有する構造である。流量調整カバー55の作動量に応じて、翼内部の冷却流路8に冷却空気33を供給する量を調整できる。
例えば、ガスタービン発電設備の定格負荷時は流量調整カバー55を有する翼と無い翼で同じ冷却空気33の供給量とし(A’=A)、部分負荷時には流量調整カバー55の位置を変えることで流量調整カバー55を有する翼における冷却空気33の供給量を抑制する。(A’<A)
図13から図16を参照して、実施例5のタービン翼とその動作(作用)について説明する。本実施例は、可変翼の可動構造に関する実施例である。
図6の可動部構造は本発明の一実施形態であり、可動軸24からアクチュエータ26までの伝達方法には種々の方法が考えられる。
図13に示す構造例は、基本的な構成は前述の図6と同じアクチュエータ26とリング25であるが、アクチュエータ26の変位伝達方向が翼後縁部11の滑動方向14と同じ方向となるように配置した構造である。アクチュエータ26、リング25または平板60、可動軸24、翼後縁部11の全可動部材を同一方向に移動可能である。
図14Aおよび図14Bは、アクチュエータ26によってガスタービンの軸方向に変位量を与えられたリング25または平板60と可動軸24にスライダ機構を適用した例である。
図14Aでは、リング25または平板60を軸方向に移動可能な1つ目のスライダ、可動翼23を可変翼の滑動範囲で移動可能な2つ目のスライダに見立て、両スライダ間で可動軸24がリング24または平板60と干渉する周方向範囲にスロット61を形成することで、2つのスライダ間を伝達可能とするスコッチ・ヨーク機構を取り入れた構造である。
図14Bでは、図14Aのリング25または平板60の移動方向と可動軸24の滑動範囲を変更した構成例であり、可動軸24の滑動方向を決定するスロット61の形状を周方向より任意(所定)の角度傾けることで、リング25または平板60の移動方向を軸方向・周方向間の任意(所定)の角度に選定することを可能とし、設計の自由度を広げることができる。
図15は、図13から図14Bに示すようなリング25または平板60に軸方向の変位を与えるためにカム62を用いた構成例である。本構造では、紙面垂直方向より図15のカム62にアクチュエータ26から回転変位量を伝達する軸63が嵌合される。
回転変位量が与えられたカム62は、隣接するリング25または平板60と軸方向上流側または下流側の側面と接する位置に配置され、回転変位量を前記側面から伝達することでガスタービンの軸方向への直線変位量に変換することが可能である。軸方向への直線変位量を与えられたリング25または平板60から可動軸24への伝達構造は図13から図14Bに示す通りである。
図16に示す構造例は、可動軸24とアクチュエータ26の移動方向が直交する構成例である。可動軸24と接続するリング25またはアームレバー41の先端と、アクチュエータ軸先端部64が直交し、任意(所定)の角度で滑動する形状を有することを特徴とする。本構造では、アクチュエータ26より与えられる径方向変位量が任意(所定)の角度での滑動によってリング25またはアームレバー41(平板60)に伝達されることで、翼後縁部11の滑動方向14への変位量に変換され、可変翼の可動量を調整することができる。
なお、図13から図16に示した構造例の他、アクチュエータ26とリング25の変位量伝達構造を、偏心軸やレバーといった回動による伝達で制御する方法や、スライダ・クランク機構やカムを用いた機構、バネ弾性体やトーションバー等に変更した構成も採用可能である。
以上、挙げられた各実施形態は、本発明の特定の形態の説明を容易にするものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記説明した実施例において、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定される必要はなく、実施例の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
例えば、本発明のタービン可変翼は、翼後縁部を主流流れ方向に滑動させ、接合面に冷却構造を設けることにより、翼部材の冷却とともに可変翼列間のスロート面積を効果的に調整できる。したがって、タービン翼部に他の冷却構造を設けることなく、タービン翼を構成することが可能となる。例えば、このタービン可変翼がガスタービン静翼の場合、翼面に従来設けられていたフィルム孔や後縁対流冷却構造を省略して構成することも可能となる。
1…タービン翼、2…(翼)前縁、3…(翼)後縁、4…圧力面、5…負圧面、6…内周側エンドウォール、7…外周側エンドウォール、8…冷却流路、11…翼後縁部、12…翼形部、13…隙間(間隙)、14…作動流体の流れ方向(翼後縁部の滑動方向)、15…スロート幅(スロート面積)、21…可動部構造、22…固定翼、23…可動翼、24…可動軸、25…リング、26…アクチュエータ、27…(軸方向の)変位量、31…滑動面(摺動面)、32…主流ガス、33…冷却空気、34…主流ガスパス、35…翼表面、36…冷却溝、37…冷却孔、38…乱流促進体、39…シール、40…曲がり板、41…アームレバー、42…偏心軸、43…フィレット、44…穿孔部、45…穴、51…冷却流路、52…外周側ケーシング、53…内周側構成部品、54…翼後縁冷却構造部、55…流量調整カバー、60…平板、61…スロット、62…カム、63…軸(カム中心軸)、64…アクチュエータ軸先端部、101…圧縮機、102…燃焼器、103…タービン、104…発電機、105…高圧タービン、106…低圧タービン、107…静翼低圧冷却空気経路、108…静翼高圧冷却空気経路、109…動翼冷却空気経路、110…(圧縮機の)最終段、111…(圧縮機の)中圧段、121…内周側端壁、122…外周側端壁、123…翼部、124…可動軸、125…タービンケーシング、126…アクチュエータ、127…リング、128…アームレバー、129…間隙部。
Claims (15)
- 前縁と後縁と圧力面と負圧面とを有する翼部と、前記翼部の両端に連結されたエンドウォールを備えるタービン翼であって、
前記翼部は、前縁と圧力面と負圧面とを有する翼形部と、
前記翼形部に嵌合され、前記翼形部との嵌合面に沿って移動可能な翼後縁部と、を有し、
前記タービン翼が周方向に複数配置されたタービンにおける前記翼部間の最小流路面積を前記翼後縁部の移動量に応じて調整することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記翼形部内に冷却空気を流通させる冷却流路を備え、
前記嵌合面に、前記冷却流路から冷却空気を排出する溝または切り欠き、多孔質体のいずれかを有することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記翼形部内に冷却空気を流通させる冷却流路を備え、
前記嵌合面に、前記冷却流路内の冷却空気に乱流を発生させる乱流促進体または突起部、前記冷却流路からの冷却空気の流出または前記冷却流路内への冷却空気の流入を抑制するシール部のいずれかを有することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記翼後縁部の圧力面側または負圧面側のいずれか一方の面を覆う前記翼形部の面積が、前記翼後縁部の他方の面を覆う前記翼形部の面積よりも広いことを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記嵌合面は円弧状の曲面を有し、
前記翼後縁部は、前記嵌合面に沿って前記曲面と同心円方向に移動することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記翼形部および前記翼後縁部の前記エンドウォールとの接合部はフィレット形状であることを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記エンドウォールは、前記翼後縁部の全てまたは一部が挿入される開孔を有し、
前記翼後縁部は、前記開孔の輪郭形状に沿って移動することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記翼後縁部は、外周側端面または軸方向上流側端面に可動軸を有し、
制御信号に応じたアクチュエータ動力を前記可動軸に伝達させ、前記翼後縁部の移動量を調整することを特徴とするタービン翼。 - 請求項8に記載のタービン翼であって、
前記可動軸と前記アクチュエータの連結部は、リング、平板、ベルト、チェーン、レバーのいずれかの部品を組み合わせて構成されることを特徴とするタービン翼。 - 請求項8に記載のタービン翼であって、
前記タービンの軸方向、前記タービンの周方向、前記翼後縁部の曲面と同心円方向のいずれかに前記可動軸を移動させることで前記翼後縁部の移動量を調整することを特徴とするタービン翼。 - 請求項8に記載のタービン翼であって、
前記可動軸と前記アクチュエータの連結部は、スライダ・クランク機構、カム・偏心軸およびトーションバーを用いる駆動機構、スコッチ・ヨーク機構、バネ弾性体を用いる駆動機構のいずれかで構成されることを特徴とするタービン翼。 - 請求項2に記載のタービン翼であって、
前記翼後縁部は、外周側端面または軸方向上流側端面に可動軸を有し、
前記可動軸は、前記冷却流路内への冷却空気の流入量を制御するカバーを備えることを特徴とするタービン翼。 - 請求項8に記載のタービン翼であって、
前記翼形部内に冷却空気を流通させる冷却流路を備え、
前記可動軸は、中空軸であり、
前記可動軸を介して、前記冷却流路内へ冷却空気を供給することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1に記載のタービン翼であって、
前記翼後縁部は前記翼形部よりも熱膨張係数の高い材質で形成され、
前記翼後縁部の熱膨張により前記最小流路面積を調整することを特徴とするタービン翼。 - 請求項1から14のいずれか1項に記載のタービン翼を備えたガスタービン。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111376149A (zh) * | 2020-03-31 | 2020-07-07 | 中国航发动力股份有限公司 | 一种导向叶片加工方法 |
CN113806854A (zh) * | 2020-06-12 | 2021-12-17 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 涡轮叶片气膜孔孔内换热计算方法 |
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2018
- 2018-06-04 JP JP2018106561A patent/JP2019210841A/ja active Pending
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CN113944515B (zh) * | 2021-10-20 | 2023-05-05 | 中国航发四川燃气涡轮研究院 | 前缘劈缝冷却的涡轮叶片 |
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