JP2019205016A - タイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置およびログ取得装置 - Google Patents

タイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置およびログ取得装置 Download PDF

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Abstract

【課題】時刻同期処理が完了する以前のログ記録についても、正しいタイムスタンプ値を付与することが出来るタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置を提供する。【解決手段】本発明は、通信部と、タイマと、ログ情報を保存するための記録部と、前記通信部を用いて基準時刻を保有した基準時刻保持装置と時刻同期処理を行い、時刻同期されたタイムスタンプを前記ログ情報に付与して記録する制御部を備えたタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、前記制御部は、装置が起動後の初めての時刻同期処理の完了以前に記録するログの記録情報には、前記タイマのタイマ値を元に時刻同期されていないタイムスタンプを仮付与し、時刻同期処理が完了後の何れかの時点で、時刻同期処理で得られた情報を用いて、前記仮付与したタイムスタンプを時刻同期されたタイムスタンプに修正し記録することを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、車両内の複数の装置で時刻を同期する機能を有したシステムに係り、タイムスタンプ付きのログ記録を行う制御装置およびログ取得装置に関する。
従来、図10に示すように車両内の複数の制御装置(ナビ901、走行支援装置902、エンジン903、ブレーキ904)の間を通信インタフェース経由で接続し、それらの制御装置に搭載したタイマの時刻を同期させ、ログを取得する際に同期したタイマの時刻を用いてタイムスタンプを付与することが知られている。
上記のように取得したタイムスタンプ付きのログを外部のログ取得装置114を用いてログを取得し、そのログを用いて複数の制御装置が連携したシステム全体での動作の分析を行っている。上記のタイムスタンプを付与したログの取得を行うシステムとしては、例えば特許文献1に記載されたデータ処理システムが提案されている。
また、図11に示すように複数の車両1001及び車両1002において、時刻を含む車両の情報をそれぞれの車両において記録し、例えば事故が起きた際に記録した自車両の
記録情報1003および相手車両の記録情報1004を用いて事故の解析を行うことが知られている。上記のシステムとしては、例えば特許文献2に記載された運転情報処理装置が提案されている。
これらのシステムにおいて、複数の機器または複数の車両にて取得したログにて動作の解析を行う場合には、各々のログに付与されたタイムスタンプに基づいて、ログに記録された事象を発生順にたどることで動作分析を行う。ただし、複数の装置あるいは複数の車両において記録したログのタイムスタンプの付き合わせを行う為に、それぞれの装置に備えたタイマの時刻がそろっている必要があり、その為に事前に装置間のタイマの時刻を揃える処理すなわち時刻同期処理を実施する。
例えば複数の車両にまたがるようなシステムの場合には、基準となる時刻を外部から、例えばGPS(Global Positioning System)電波あるいは標準周波数報時電波などを受信した上で、その受信した時刻に基づいて時刻同期処理を行う。つまり上記のような時刻同期処理を行った上で、ログを取得しタイムスタンプの付与を行っている。
特開2015-35158号公報 特許第3861811号公報
上記したシステムにおいては、タイムスタンプを付与したログを記録する為に、予め外部から基準となる時刻の受信処理や、装置間の通信にて時刻情報を配信することで時刻同期の処理を行う必要がある。また、GPSや標準周波数報時電波などの受信により時刻を受信する場合には分単位の時間を要する場合もあり、時刻を取得して装置間で時刻同期処理を完了するまでに相当の時間を要する。これらの処理が完了するまでの間は、ログの記録が開始できないあるいはログを記録した場合であっても正しいタイムスタンプを付与することが出来ないという課題がある。ひいてはそれらのログを用いた動作解析にも支障が生ずる。
本発明の目的は、時刻同期が完了する前に記録したログにおいても正しいタイムスタンプを付与することを実現した、タイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置およびログ取得装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、車両に搭載される機器と通信する為の通信部と、前記車両に搭載されるタイマと、前記車両に搭載されるログ情報を保存するための記録部と、前記通信部を用いて基準時刻を保有した基準時刻保持装置と時刻同期処理を行い、時刻同期されたタイムスタンプを前記ログ情報に付与して記録する制御部を備えたタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、前記制御部は、装置が起動後の初めての時刻同期処理の完了以前に記録するログの記録情報には、前記タイマのタイマ値を元に時刻同期されていないタイムスタンプを仮付与し、時刻同期処理が完了後の何れかの時点で、時刻同期処理で得られた情報を用いて、前記仮付与したタイムスタンプを時刻同期されたタイムスタンプに修正し記録することを特徴とする。
本発明によれば、時刻同期処理が完了する以前であっても、ログに正しいタイムスタンプを付与して記録を行う制御装置、あるいは正しいタイムスタンプが付与されたログの取得装置を提供することが出来る。それによって、それらの制御装置で取得されたログを用いた解析が容易になる。
実施例1の制御装置の構成図 実施例1のタイムスタンプ算出処理の説明図 実施例1のレート偏差算出処理の説明図 実施例1の動作の説明図 実施例1のログ記録内容の説明図 実施例1のタイムスタンプ修正処理の説明図 実施例1のログ取得装置にて取得するログ内容の説明図 実施例2の伝送遅延時間算出処理の説明図 実施例2のタイムスタンプ修正処理の説明図 車両内のシステムの構成図 ログ記録を利用する状況の説明図
以下本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
図1〜図7は実施例1の説明図である。図1は制御装置の構成図である。図2はタイムスタンプ算出処理の説明図、図3はレート偏差算出処理の説明図である。図4は動作の説明図、図5はログ記録内容の説明図である。図6はタイムスタンプ修正処理の説明図、図7はログ取得装置にて取得するログ内容の説明図である。
実施例1は、時刻同期処理よりも以前に付与されたタイムスタンプを、時刻同期処理で取得したパラメータを用いて修正を行う場合の例である。
まず図1を用いて実施例1の制御装置の構成を説明する。この図1にて示す各種の制御装置は、図10に示したように車両内に設置された制御装置の代表的な構成図を示すものである。制御装置の構成は、車両101と、車両内に設置された第一制御装置102と、時刻信号を受信する為のアンテナ103と、受信した信号から時刻情報を取得する時刻取得部104と、第一制御装置の時刻同期処理の制御を行う制御部105と、通信インタフェース106と、前記通信インタフェース106が接続された通信バス107と、第二制御装置108と、通信インタフェース109と、第二制御装置の時刻同期処理およびログ取得処理を制御する制御部110と、自装置にて備えるローカルタイマ111と、ログ記録部112と、第二制御装置と同等の構成から成る第三制御装置113と、車両の外部から接続して第二制御装置108あるいは第三制御装置113に記録されたログを取得する為のログ取得装置114と、通信インタフェース115と、ログ取得装置の制御部116と、取得したログを格納するログ蓄積部117から構成されている。
図1に示した構成では、第一制御装置102が時刻同期の基準となるマスターとなり、第二制御装置108及び第三制御装置113は自身の時刻をマスターの時刻に合わせるスレーブの役割を持っている。第一制御装置102の時刻取得部104としては例えば、GPSの受信器や標準周波数報時電波の受信器であって、受信した時点での標準時刻を取得する。更に時刻取得部104はその内部にタイマを備え、取得した標準時刻を内部のタイマに設定し、一旦設定後は内部タイマが自律的に時を刻む。制御部105からの時刻の取得要求があった場合には、内部タイマを元に時刻情報を出力する。またGPS等からの標準時刻の受信は定期的に行い、その都度内部タイマの値を更新する。さらに第一制御装置102は時刻取得部104の時刻を、制御部105の制御により、通信インタフェース106を介して取得した時刻情報を配信することで時刻同期の処理を行う。
一方第二制御装置108のローカルタイマ111は、例えば装置が起動した時点から計時を開始し自律的に時を刻むものであって、制御部110からの要求に応じてその時点のタイマ値を出力する。第一制御装置102から送信された時刻情報は、通信インタフェース109を介して受信され、制御部110ではその受信した時刻情報とローカルタイマ111を用いてタイムスタンプを生成し、ログ記録部112にログの記録を行う。
なお、制御装置が起動後のローカルタイマ111は、起動時から計時を開始するものであっても、例えば別途保存された以前のタイマ値を読み込みその値から続けて計時するようなものであってもどちらでも構わない。また、通信バス107としては、CAN(Controller Area Network)やEthernet、あるいはFlexRayなどの車両内の機器の通信バスである。
次に図2〜図4を用いて、第二制御装置108における時刻同期されたタイムスタンプの生成手順について説明する。なお、一般的な時刻同期の処理手順としてはIEEE Std 802.1AS規格やIEE Std 1588規格などがあり、以下の説明はこれらの処理手順と類似の処理手順となっている。
まず、第一制御装置102の制御部105は、時刻同期の開始を示すSycnメッセージ201を送信し、さらにそのメッセージを送信した時点の時刻T1を時刻取得部104から取得する。また第二制御装置108では前記のSyncメッセージ201を受信した時点のローカルタイマ111のタイマ値T2を記録する。次に第一制御装置102は先ほどSyncメッセージを送信した時点の時刻T1の値を、Followupメッセージ202に格納して送信する。第二制御装置108では受信したFollowupメッセージに格納されたT1の値を取得し記録する。配信された時刻T1の値や、受信したタイマの時刻T2の値は、図4に示すように、時刻同期処理の履歴として記録する。上記のSyncメッセージおよびFollowupメッセージの送信は繰返し行い、その都度最新の時刻がマスター側からスレーブ側に配信される。
一旦SyncメッセージおよびFollowupメッセージの受信が行われた以降に、第二制御装置108にてログの記録が発生しタイムスタンプの付与が必要となった際に、その制御部110はその時点のタイムスタンプ値を以下のように算出する。
まずログの記録が発生した時点でのローカルタイマ111からタイマ値T3を取得する。さらに図4に示す時刻同期履歴から直近に受信があった履歴情報を用いて、このタイマ値T3とT2の差分(T3−T2)を算出する。これにより、先にSyncメッセージを受信した時点からの経過時間が求められる。ただしこの経過時間はローカルタイマ111で計測された時間である為、ローカルタイマ111の時間の進み方が、本来の時間の進み方よりも早いあるいは遅い場合がある。その為、タイマの時間の進み方を補正する為の係数、すなわちレート偏差R(詳細は後述)を乗じる。この補正後の経過時間を配信された時刻T1に加算することで、タイムスタンプの値を求める。すなわち、以下の式によりログの記録が発生した時点のタイムスタンプの値を算出する。なお上述のように計算に用いる配信時刻T1、及び受信時のタイマ値T2はログ記録が発生する以前の最も直近の配信時刻を用いる。
タイムスタンプ時刻TL=配信時刻T1+(経過時間(T3−T2)×レート偏差R) …式1
上記の式1においてレート偏差Rは、タイマの時間の進み方を補正する為の係数であるがその求め方について以下に説明する。ローカルタイマ111はその時計の進み方が、ママスター側の進み方と必ずしも一致しない。そこで、そのローカルタイマの進み方に対するマスター側の進み方の比率を表したものがレート偏差Rである。
図3はレート偏差Rを算出する手順の説明図であり、同図を用いてその手順について述べる。既に図2において説明した時刻の配信と同様にして、第一制御装置はSyncメッセージ301を送信し、さらにそのメッセージを送信した時点の時刻T1aを後続するFollowupメッセージ302に格納して送信する。一方第二制御装置では、Syncメッセージを受信した時点でのローカルタイマ111のタイマ値T2aと、後続するFollowup302に格納されたT1aの値を、図4に示す時刻同期履歴の例えば履歴情報401として記録する。同図に示す例では初めに受けたT1aの値が00時10分0.000秒であり、T2aの値が60秒だった場合の例を示している。
SyncメッセージおよびFollowupメッセージは繰返し行われ、上記と同様にSyncメッセージ303、Followupメッセージ304が送信され、受信した第二制御装置側で1回目と同様に送信時刻T1bと受信時刻T2bを履歴情報402として記録する。
2回目以降にSyncメッセージ、Followupメッセージが受信された場合に、第二制御装置側では、前回の配信時刻と今回の配信時刻の差すなわち経過時間(T1b−T1a)を計算する。さらに、前回の受信時刻と今回の差すなわちローカルタイマの経過時間(T2b−T2a)を計算し、以下の計算式にてレート偏差Rを求める。
レート偏差R=経過時間(T1b−T1a)÷経過時間(T2b−T2a) …式2
例えば図4に示す例では、履歴情報402の記録時に、履歴情報401を用い配信時刻の経過時間を計算する。同図に示す例では、配信時刻の経過時間は(10分20.000秒−10分0.000秒)より経過時間は20.0000秒となる。またローカルタイマの経過時間は(79.980秒−60.000秒)より19.980秒となる。さらにこれらの比であるレート偏差は(20.0000秒÷19.980秒)より1.001すなわち100.1%となる。つまり第二制御装置のローカルタイマが1秒進む間に、基準となる時刻は1.001秒進んでいることを示している。したがってこのレート偏差をローカルタイマの経過時間に積算することで、基準となる時刻の経過時間に換算することができる。上記のレート偏差は時刻同期のメッセージを受信する都度に計算を行い、タイムスタンプ値を求める際には常に最新の値を用いるものである。
次に図5を用いて第二制御装置におけるログへのタイムスタンプの付与の動作について説明する。
同図はログの記録内容の一例を示すもので501aないし505aはタイムスタンプの修正前の記録内容を示し、501bないし505bはタイムスタンプ修正後の記録内容を示している。また記録する内容としてはタイムスタンプの値、タイムスタンプの種別、タイムスタンプの修正の要否、ログの記録情報から成っている。
同図において501aは一回目の時刻同期のメッセージを受信する以前に発生したログである。この場合タイムスタンプの値として、ローカルタイマ111のタイマ値を暫定で記録し、タイマスタンプの種別としてローカル時刻であることを同時に記録する。またこのタイムスタンプ値は時刻同期処理完了後に修正が必要となる為、修正要否情報として修正が必要である旨を記録する。
次に502aは時刻同期のSyncメッセージを受信した際のログである。タイムスタンプ値としてはFollowupメッセ時にて受信した時刻値を記録し、タイムスタンプ値としては時刻同期済みの時刻であることを記録する。またタイムスタンプの修正は不要であるため、修正要否情報として不要である旨を記録する。
503aは一回目の時刻同期メッセージ受信後のログである。この時点ではレート偏差がまだ一度も計算されていないため、ログ記録501aの場合と同様にタイムスタンプ値としてローカルタイマの値を記録する。その他の項目についてもログ記憶501aと同様に記録する。
504aは2回目の時刻同期のSyncメッセージを受信した際のログであり、ログ記録502aと同様に記録を行う。
505aは時刻同期完了しレート偏差の計算も終了後のログ記録であり、2回目の時刻同期メッセージで受信した配信時刻と、その際に計算されたレート偏差を元に図2に示した手順にてタイムスタンプ値を計算して記録する。タイムスタンプ値としては時刻同期済みの時刻であることを記録する。またタイムスタンプの修正は不要であるため、修正要否情報として不要である旨を記録する。
続いて、タイムスタンプの修正動作について説明する。ログ記録501a、503aは上記したように時刻同期が完了する以前のログである為、一時的にローカルタイマの値をタイムスタンプとして記録してある為その修正を行う。
まず図6を用いて、時刻同期のメッセージを受信する以前のログ記録のタイムスタンプの時刻算出手順について説明する。既に図2にて説明したのと同様にして、第一制御装置102から一回目のSyncメッセージ601、及びFollowupメッセージ602が送信され、受信した第二制御装置108では、送信時刻T1cと受信時のローカルタイマ111の値T2cを図4に示す時刻同期履歴として記録する。
上記の時刻同期メッセージが配信される以前に発生したログのタイムスタンプ値は以下のように算出する。まずログに記録されたローカルタイマ値T4cと、その後に発生した時刻同期メッセージ受信時のローカルタイマ値を図4の時刻同期履歴を用いて、このタイマ値の差分(T2c−T4c)すなわち時刻同期メッセージの受信時点からの遡行時間算出する。さらにこの遡行時間にレート偏差を積算し基準となる時刻の時間の遡行量に換算する。この時用いるレート偏差の値は2回目の時刻同期メッセージの受信時に算出した値を用いる。そしてこの補正後の遡行時間を、配信された時刻から減算することでタイムスタンプの値を求めることが出来る。すなわち、以下の式により時刻同期メッセージを受信する以前のタイムスタンプの値を算出する。
時刻同期完了以前のタイムスタンプ時刻TLc=配信時刻T1c−(遡行時間(T2c−T4c)×レート偏差R) …式3
例えば図5に示したログを例に説明を行う。この例では第二制御装置108の制御部110は、2回目の時刻同期メッセージを受信しレート偏差の計算が完了し、タイムスタンプの修正に必要なパラメータが用意できた後に、ログ記録の内で修正要とされているログ記録501a、およびログ記録503aを抽出し修正を行う。
ログ記録501aはそのタイムスタンプ値(30.000秒)と、図4の時刻同期履歴に記録された履歴情報401より一回目の時刻同期メッセージを受信した際のローカルタイマ値(60.000秒)より遡行時間(60.000秒−30.000秒)として30.000秒を算出する。更にその遡行時間に2回目の時刻同期の履歴情報402よりその際のレート偏差100.1%を積算(30.000×1.001)し30.030秒を得る。最後に履歴情報401より第一回目の配信時刻(00時10分0.000秒)から上記の積算値(30.030秒)を減算して、タイムスタンプ値として00時9分29.970秒を得る。この得られたタイムスタンプ値を新たな値として、修正されたログ情報501bを記録する。
また、ログ記録503aは既に一回目の時刻同期メッセージの受信後であり、レート偏差が未計算の時のログであるため、レート偏差の値のみを2回目の時刻同期メッセージの受信時に計算した値を用いて、タイムススタンプの補正を行う。つまりタイムスタンプ値(70.000秒)と図4の時刻同期履歴に記録された履歴情報401より一回目の時刻同期メッセージを受信した際のローカルタイマ値(60.000秒)から経過時間(70.000秒−60.000秒)として10.000秒を算出する。更にその経過時間に2回目の時刻同期の履歴情報402よりその際のレート偏差100.1%を積算(10.000×1.001)し10.010秒を得る。最後に履歴情報401より第一回目の配信時刻(00時10分0.000秒)から上記の積算値(10.010秒)を加算して、タイムスタンプ値として00時10分10.010秒を得る。この得られたタイムスタンプ値を新たな値として、修正されたログ情報503bを記録する。これらの修正済みのログ記録にはタイムスタンプ種別として修正後の時刻を示す情報を付加し、また修正要否情報としては修正済みを示す情報を付加する。
なおログ記録503aの修正は上記の説明では一回目の時刻同期メッセージの受信時の配信時刻からの経過時間を加算する手順にて説明を行ったが、2回目の時刻同期メッセージの配信時刻からの遡行時間を減算する手順で行っても、同一の値が算出可能である。
上記したように第二制御装置108のログ記録部112に記録されたログ記録は、車両の外部から接続したログ取得装置114によりその内容を読み出される。また第三制御装置113に記録されたログ記録も同様に読みだされ、ログ取得装置114のログ蓄積部117に蓄積される。これら蓄積されたログを用いて、各制御装置間のタイムスタンプ情報を付き合わせて解析することで、装置間の連携動作の解析が可能となる。
図7にログ取得装置114のログ蓄積部117に格納した、第二制御装置108のログ内容を示す。各制御装置から取得しログ蓄積部117に格納する内容としては、装置種別1101、タイムスタンプ1102、タイムスタンプ種別1103、ログの記録情報1104等から成る。第三制御装置113のログ内容についても上記と同様の内容で蓄積される。タイムスタンプ種別1103は、ログに付与されたタイムスタンプが修正された時刻情報であるか否かを示す情報である。既に述べたようにタイムスタンプの修正は、そのログが記録された時点よりも以降の時刻同期情報を用いて行っているため、本来のタイムスタンプの算出に比較して、わずかながらも時刻値の精度が劣る可能性がある。そこで、このタイムスタンプ種別1103にて修正後の時刻であることを示すことによって、修正されたタイムスタンプとそうで無いものでその時刻精度の違いを表すことができる。それによって、これらのログのタイムスタンプを元に複数の装置間の連携動作の解析を行う場合に、事象の発生順序の正確さの違いを念頭に置いた上で、解析者がログの分析を行うことが可能となる。
なお上記したタイムスタンプの修正は、例えば図5を用いた説明の場合には、2回目の時刻同期メッセージを受信しレート偏差の計算が完了した際に実施するように説明をおこなった。ただし、この修正は必ずしもその時点で実施する必要は無く、修正に必要な情報が得られた後であれば何時行ってもかまわない。
例えば、このタイムスタンプの修正処理を、ログ取得装置114からのログ読出しの際に行っても良い。その場合には制御装置が通常動作中にタイムスタンプの修正の為に処理負荷が上昇することを避けることができるため、装置の電力消費を抑える効果や処理の安定性を損なわないという効果が期待できる。あるいは、ログ情報だけでなく図4に示した時刻同期履歴の情報をログ取得装置114側で読出し、タイムスタンプの修正処理をログ取得装置側で行ってもかまわない。この場合であっても上記と同様に制御装置側の処理負荷を低減する効果が得られる。
上記した実施例ではレート偏差の値を、時刻同期メッセージを第二制御装置にて受信するごとにその経過時間をもとに計算するように説明を行ったが、必ずしも毎回実施する必要は無く、複数回の受信ごとにその際の複数回の受信に要した経過時間を元に計算を行ってもかまわない。またレート偏差の値を第二制御装置にて算出する場合を例に説明を行ったが、このレート偏差の値を事前に測定し固定の値として保持しておき、その値を用いてもかまわない。その場合には2回目の時刻同期メッセージの受信を待つことなく、タイムスタンプの付与が可能となるため、例えば図5のログ記録503aのタイムスタンプ値は、ローカルタイマ値を記録することなく、その記録当初から正しいタイムスタンプの記録が可能である。
さらに、ローカルタイマ111の計時精度が十分に高いものであってその影響が無視できるレベルの場合には、レート偏差は必ずしも考慮する必要は無い。その場合には上記した各算出の手順においてレート偏差Rの値を100%(1.000…)として計算するのと同等の処理となる。
また、上記した例では時刻同期以前のログに付与する仮のタイムスタンプとして、ローカルタイマ111のタイマ値として説明を行ったが、この値は必ずしもローカルタイマの値そのものである必要はなく、タイマ値に何らかの変換処理を行った値であっても良く、時刻同期完了後に正しいタイムスタンプに修正が可能となるようなものであればかまわない。
以上説明したように本実施例では、1回目の時刻同期メッセージを受信する以前のログであっても、一旦ローカルタイマのタイマ値を記録し時刻同期メッセージの受信後にその情報を用いてタイムスタンプの修正が可能となり、時刻同期以前のログの活用性が向上する。
次に実施例2を図8、図9を用いて説明する。なお、同一の機能を有する部分に関しては説明を省略する。実施例2は図1に示した制御装置におけるタイムスタンプの付与に際して、時刻同期メッセージの配信に要する伝送遅延時間を加えて補正を行う場合の例である。実施例2は伝送遅延の補正を行う以外の点については実施例1に示したものと同様の動作を行うものである。また車両内の通信バス107として遅延時間の測定を行うものの例として、例えばEthernet等がある。
まず図8を用いて伝送遅延時間の測定手順について説明する。第二制御装置108は遅延時間を測定する為の要求であるDelayReqメッセージ701を送信し、更にその送信時のローカルタイマ111のタイマ値T5を記録する。そのメッセージを受信した第一制御装置102ではDelayReqメッセージ701を受信した時刻T6を格納した応答メッセージDelayRes702を返信する。さらに、その返信時刻T7を格納したDelayRes_Followupメッセージ703を送信する。第二制御装置108ではDelayResメッセージ702を受信した際のローカルタイマのタイマ値T8を記録する。さらに後続するDelayRes_Followupメッセージ703を受信し、格納された時刻T7を取得する。
第二制御装置108では、これらの時刻T5ないし時刻T8の値を用いて以下のように伝送遅延時間を算出する。まず、第二制御装置108側でDelayReqメッセージを送信してから、DelayResメッセージを受信するまでの経過時間、すなわちタイマ値T8とT5の差分(T8−T5)を計算する。ただしこの経過時間はローカルタイマ111で計測された時間である為、その進み方を補正する為にレート偏差Rを乗じて、基準となる時刻の経過時間に換算する。なお、レート偏差Rの値は、図3を用いて既に説明したのと同様の手順にて、SyncメッセージおよびFollowupメッセージを複数回受信し、その間の第一制御装置102側での経過時間と第二制御装置108側での経過時間の比より算出している。また第一制御装置102でのDelayReqメッセージを受信してからDelayResメッセージを送信するまでの経過時間として、時刻T7とT6の差分(T7−T6)を計算する。これら第二制御装置108側での経過時間と、第一制御装置102側での経過時間の差が、DelayReqメッセージとRelayResメッセージの往復に要した遅延時間となる。最後に往復の遅延時間を2で割ることで伝送延時間を求める。すなわち以下の式により、通信バス107を介したメッセージの伝達時の伝送遅延時間TDを算出する。
伝送遅延時間TD=((レート偏差R×(T8−T5))―(T7−T6))÷2 …式4
次に、時刻同期メッセージが配信される以前に発生したログのタイムスタンプ値の修正方法について図9を用いて説明する。修正方法としては、配信された時刻に伝送遅延時間を加算することで、伝送遅延の補正を行った配信時刻を得るものである。具体的には、既に述べた例と同様に第一制御装置102はSyncメッセージ801を送信し、更に継続して前記メッセージの送信時刻T1dを後続するFollowupメッセージ802に格納して送信する。第二制御装置108ではそのSyncメッセージを801受信した際のローカルタイマ111の値T2dを記録するとともに、Followupメッセージ802に格納された時刻T1dを取得する。ただし、この時刻T1dの配信時に伝送遅延時間TDの時間を要しているため、その分の時間を加算する。すなわち伝送遅延時間を加算した時刻(T1d+TD)を配信された時刻とみなして、タイムスタンプ時刻の算出を行う。Syncメッセージ801以前に発生したログに記録されたローカルタイマ値T4dと、その後に発生した時刻同期メッセージ受信時のローカルタイマ値の差分(T2d−T4d)すなわち時刻同期メッセージの受信時点からの遡行時間算出する。さらにこの遡行時間にレート偏差を積算し基準となる時刻の時間の遡行量に換算する。そしてこの補正後の遡行時間を、上記の補正された配信時刻(T1d+TD)から減算することでタイムスタンプの値を求めることが出来る。すなわち、以下の式により時刻同期メッセージを受信する以前のタイムスタンプの値TLdを算出する。
時刻同期完了以前のタイムスタンプ時刻TLd=配信時刻T1+伝送遅延TD−(遡行時間(T2d−T4d)×レート偏差R) …式5
上記のタイムスタンプの修正処理は、遅延時間TDの算出、レート偏差Rの算出およびマスター側からの時刻の配信が行われ、修正に必要な情報がそろった時点あるいはそれ以降のどこかの時点で行う。
また、修正が不要なタイムスタンプについては、同様に式1に示したタイムスタンプ時刻の計算に用いる配信時刻T1を、伝送遅延を加算した値(T1+TD)に置き換えることで算出が可能である。
上記した実施例では、伝送遅延時間をDelayReq、RelayRes、DelayRes_Followup各メッセージを用いて算出を行ったが、予め別の手段でこの伝送遅延時間を測定したうえで記録しておき、その事前の記録値を用いてもかまわない。
また、レート偏差の算出はSyncメッセージおよびFollowupメッセージを複数回受信し、その間の第一制御装置側での経過時間と第二制御装置側での経過時間の比を算出を行うように説明したが、これに用いる通信メッセージはDelayResメッセージおよびDelayRes_Folloupメッセージで代用することも可能である。
また実施例1と同様に、タイムスタンプの修正処理は必要な情報が揃った後であれば、必ずしもその時点で行う必要は無く、外部からのログの読出し時に実施しても、またログを読みだした先のログ取得装置で行っても良く、それによって制御装置の負荷を低減することができる。さらにログ取得装置が読み出すログの内容として、タイムスタンプ値が修正されたものか否かを示す情報を付加することで、ログ解析者に対してタイムスタンプの正確さに関しての情報を提供することが出来る点も同様である。
以上説明したように本実施例では、時刻同期処理が行われる以前のログであっても正しいタイムスタンプを付与することができ、さらに伝送遅延時間を加味することでより精度の高いタイムスタンプの付加が可能となりログの活用性が向上する。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101:車両
102:第一制御装置
103:アンテナ
104:時刻取得部
105:制御部
106:通信インタフェース
107:通信バス
108:第二制御装置
109:通信インタフェース
110:制御部
111:ローカルタイマ
112:ログ記録部
113:第三制御装置
114:ログ取得装置
115:通信インタフェース
116:制御部
117:ログ蓄積部

Claims (6)

  1. 車両に搭載される機器と通信する為の通信部と、
    前記車両に搭載されるタイマと、
    前記車両に搭載されるログ情報を保存するための記録部と、
    前記通信部を用いて基準時刻を保有した基準時刻保持装置と時刻同期処理を行い、時刻同期されたタイムスタンプを前記ログ情報に付与して記録する制御部を備えたタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、
    前記制御部は、装置が起動後の初めての時刻同期処理の完了以前に記録するログの記録情報には、前記タイマのタイマ値を元に時刻同期されていないタイムスタンプを仮付与し、
    時刻同期処理が完了後の何れかの時点で、時刻同期処理で得られた情報を用いて、前記仮付与したタイムスタンプを時刻同期されたタイムスタンプに修正し記録することを特徴とするタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置。
  2. 請求項1に記載のタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、
    前記制御部は、前記基準時刻保持装置から時刻同期処理にて受信した基準時刻を元に時刻同期処理を行うものであって、
    前記基準時刻保持装置から基準時刻を受信する際の転送遅延時間と、
    前記基準時刻保持装置と前記タイマとの時間の進み方の差の、
    いずれか一方あるいは双方の情報をもとに、タイムスタンプの修正を行うことを特徴とするタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載のタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、
    前記制御部は、外部に接続したログ取得装置からのログ呼び出し時に、前記タイムスタンプの修正を行うことを特徴とするタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、
    前記制御部は、外部に接続したログの取得装置へログの記録情報とタイムスタンプ情報とを送信するものであって、
    前記タイムスタンプ情報にタイムスタンプが修正されたものか否かを示すタイムスタンプ種別情報を付加して送信することを特徴するタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置。
  5. 車両に搭載される機器と通信する為の通信部と、
    前記車両に搭載されるタイマと、
    前記車両に搭載されるログ情報を保存するための記録部と、
    前記通信部を用いて基準時刻を保有した基準時刻保持装置と時刻同期処理を行い、時刻同期されたタイムスタンプを前記ログ情報に付与して記録する制御部を備えたタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置において、
    前記制御部は、装置が起動後の初めての時刻同期処理の完了以前に記録するログの記録情報には、前記タイマのタイマ値を元に時刻同期されていないタイムスタンプを仮付与し、
    さらに仮付与したタイムスタンプの修正に必要となる情報を時刻同期履歴情報として記録し、
    外部に接続されたログ取得装置へログ記録情報とともに前記時刻同期履歴情報を送信することを特徴とするタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置。
  6. 請求項5に記載のタイムスタンプ付きログ記録を行う制御装置に接続し、
    前記制御装置内に記録されたログ記録情報を取得するログ取得装置であって、
    ログ記録情報とともに時刻同期履歴情報を前記制御装置より取得し、
    前記制御装置から取得した前記時刻同期履歴情報を用いて、ログ記録情報に仮付与されたタイムスタンプの修正を行うことを特徴とするログ取得装置。
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