JP2019200089A - 穀物品質評価装置および穀物品質評価方法 - Google Patents

穀物品質評価装置および穀物品質評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】初期段階でのカビの着生の有無等、穀物の品質の良不良を簡便な構成で高速にしかも精度よく判断する装置および方法を提供する。【解決手段】本開示の一態様に係る穀物品質評価装置は、穀物またはマメ類である対象物に紫色励起光を照射しその蛍光スペクトルから品質の良不良を判定する穀物品質評価装置であって、蛍光スぺクトルにおける第1波長の強度(第1の蛍光強度)を測定する第1波長強度測定部101と、蛍光スぺクトルにおける第2波長の強度(第2の蛍光強度)を測定する第2波長強度測定部102と、第1の蛍光強度を第2の蛍光強度で正規化し正規化蛍光強度を出力する正規化部103と、標準値を供給する標準値供給部105と、正規化蛍光強度と標準値とを比較する比較部104と、比較部の出力より、対象物の品質を判定する判定部106を含む。【選択図】図2

Description

本開示は、穀類特にマメ類の品質の良不良を測定する穀物品質評価装置および穀物品質評価方法に関する。
穀物の保管における品質の保持は従来重要な問題となっている。特に、貯蔵性カビ類の着生によるカビ毒の発生問題は、摂取により健康を害する虞があり、検査方法も含め、対策が検討されてきた。以前より提案されている方法として、ダイズやアズキ等の穀物等を1粒ずつベルトコンベアで搬送し、穀物の色彩やX線画像に基づき良不良を判別する方法がある(特許文献1)。しかし色彩画像から判別する方法では、外見が健全でも穀物内部にカビが発生している状態、または既にカビ毒が蓄積している状態を正確に検出することができない。またX線を用いる場合は、安全確保のために装置が大型化かつ高額化せざるを得ない。
そこで、ロットごとに穀類のサンプルを培養用容器に移し替え、加速的にカビを発育させることにより、ロットごとにカビが顕在化する前の状態を把握する、といった方法が提案されている(特許文献2)。また、目視や光学的手段を用いずに、臭い等を検出することで、外見からは把握できない顕在化前のカビの着生を比較的短時間に把握する方法も過去提案されている(特許文献3、4)。
また、普通ソバの丸抜き種子に紫色レーザー励起光を照射し、その蛍光を分析することにより、タンパク質含有量と鮮度を測定することで、非破壊的に品質評価をする方法が提案されている(非特許文献1、特許文献5)。
特開平9−314068号公報 特開2011−103898号公報 特開平11−94821号公報 特開2001−183323号公報 特開2018−36150号公報
Boldbaatar ORGIL,INOUE Naoto,HAYASHI Taku,SEKINUMA Mikio and ORII Koji、"Comparison of seed quality evaluated by color, viscosity and fluorescence between Mongolian and Japanese common buckwheat", Proceeding of The 13th International Symposium on Buckwheat, pp.735−744, 2016.9.9
しかし、特許文献2の方法では、ロット単位でしか穀物の良不良を見分けることができず、しかもカビの発生が認められたロットについては、良品も含めすべて廃棄せざるを得ず、良品の収率の点で問題がある。また、特許文献3、4のように化学的手法を用いる場合、カビの検出に要する時間はその反応速度に依存するため、例えば特許文献1で示されたようなベルトコンベアを用いてリアルタイムに穀物の良不良を見分けることは困難と思われる。
本開示の一態様に係る発明は、上記課題に鑑み、初期段階でのカビの着生の有無等、穀物の品質の良不良を簡便な構成で高速にしかも精度よく判断する装置および方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る穀物品質評価装置は、穀物またはマメ類である対象物に紫色励起光を照射しその蛍光スペクトルから品質の良不良を判定する穀物品質評価装置であって、前記蛍光スぺクトルにおける第1波長の強度(第1の蛍光強度)を測定する第1波長強度測定部と、前記蛍光スぺクトルにおける第2波長の強度(第2の蛍光強度)を測定する第2波長強度測定部と、前記第1の蛍光強度を前記第2の蛍光強度で正規化して正規化蛍光強度を出力する正規化部と、標準値を供給する標準値供給部と、前記正規化蛍光強度と前記標準値とを比較する比較部と、前記比較部の出力より、前記対象物の品質を判定する判定部を含む。
前記励起光の波長は370nm〜435nmのいずれかの波長であってもよい。
前記第1波長は450nm〜550nmのいずれかの波長であってもよい。
前記第2波長は550nm〜700nmのいずれかの波長であってもよい。
前記正規化の演算は第1の蛍光強度を第2の蛍光強度で除することにより実行されてもよい。
第1の蛍光強度をXa、第2の蛍光強度をXb、正規化蛍光強度をXnormとしたとき、前記正規化の演算は下記式で表されてもよい。
前記判定部は、前記正規化蛍光強度が前記標準値よりも低い場合に、前記穀対象物が不良であると判断してもよい。
前記標準値供給部は、前記対象物の種類および/または産地に応じた前記標準値が保持されたデータベースを含んでもよい。
前記標準値供給部は、前記対象物の種類および/または産地に応じた前記標準値を、通信回線を介して取得する通信部を含んでもよい。
本開示の一態様に係る穀物品質評価方法は、穀物またはマメ類である対象物に紫色励起光を照射しその蛍光スペクトルから品質の良不良を判定する穀物品質評価方法であって、前記蛍光スペクトルにおける第1波長の強度(第1の蛍光強度)を測定するステップと、前記蛍光スペクトルにおける第2波長の強度(第2の蛍光強度)を測定するステップと、前記第1の蛍光強度を前記第2の蛍光強度で正規化して正規化蛍光強度を出力するステップと、標準値を供給するステップと、前記正規化蛍光強度と前記標準値とを比較するステップと、前記比較部の出力より、前記対象物の品質を判定するステップを含む。
前記正規化の演算は第1の蛍光強度を第2の蛍光強度で除することにより実行されてもよい。
第1の蛍光強度をXa、第2の蛍光強度をXb、正規化蛍光強度をXnormとしたとき、前記正規化の演算は下記式で表されてもよい。
前記判定ステップは、前記正規化蛍光強度が前記標準値よりも低い場合に、前記穀対象物が不良であると判断してもよい。
本開示の一態様によれば、穀類またはマメ類の一粒一粒に対し、外見上見分けにくい状態のカビ等による品質劣化であっても、蛍光分析により短時間でかつ精度よく判別することが可能となる。
本開示の一態様の穀物品質評価装置のブロック図 本開示の一態様の穀物品質評価装置における分光データ処理部のブロック図 本開示の一態様の穀物品質評価方法のフローチャート 実施例1(アオダイズ)における蛍光強度の測定結果のグラフおよび外観写真 実施例2(ダイズ)における蛍光強度の測定結果のグラフおよび外観写真 実施例3(ゼンコウジコムギ)における蛍光強度の測定結果のグラフおよび外観写真 比較例1(ゼンコウジコムギ)における蛍光強度の測定結果のグラフ 実施例4(ハナマメ)の外観写真 実施例4(ハナマメ)における蛍光強度の測定結果のグラフ 比較例2(ハナマメ)における蛍光強度の測定結果のグラフ 実施例5(アオダイズ)の正規化方法を用いた蛍光強度測定結果のグラフ
以下、本開示の一態様に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に本開示の一態様に係る実施の形態(以下、本実施の形態)における穀物品質評価装置のブロック図を示す。図1において、1は紫色光源であり、紫色領域の波長の光(以下、励起光と称し、図中実線の矢印で示す)を発生する。励起光として短波長の光を用いることにより、対象物の表面のやや内側まで光を浸透させることができる。なお、本実施の形態において、紫色領域の波長とは370nm〜435nmであるとする。また、前記励起光はコヒーレント光であっても非コヒーレント光であってもよい。また、前記励起光は単一波長であってもよく、前記紫色領域内であれば、ある程度帯域幅を有するものであってもよい。
前記紫色光源1を発した励起光はファイバー2を通ってチャンバー3内の照射レンズ4に到達する。集光された励起光は試料台5に置かれた対象物6に照射される。試料台5は、例えば特許文献1に示されたようなベルトコンベアであってもよい。対象物6はコメ、オオムギ、コムギ、等の禾穀類であってもよく、ダイズ、アズキ、ハナマメ、等の菽穀類(いわゆるマメ類)であってもよい。
紫外領域の励起光を照射された対象物6は、水分、タンパク質、ビタミン類、クロロフィル、ポリフェノール、といった含有成分固有の波長の蛍光(図中点線の矢印で示す)を発する。前記蛍光は受光レンズ7、ファイバー8を通ってさらにロングパスフィルター9を通過する。ロングパスフィルター9はこの戻り光に混入する励起光成分をカットし、蛍光成分の波長のみを通過させる。ロングパスフィルター9の通過帯域は波長で400nm以上としてもよい。
ロングパスフィルター9を通過した蛍光成分はさらにファイバーを通ってマルチチャネル分光器10に到達する。マルチチャネル分光器10は前記蛍光成分のスペクトル(蛍光スペクトル)Xを測定する。蛍光スペクトルXは信号線を通って分光データ処理部11に送られる。
以下、分光データ処理部11の動作について説明する。図2は分光データ処理部11のブロック図である。図2において、第1波長強度測定部101は、蛍光スペクトルXのデータから第1波長における蛍光スペクトルの強度を測定し、蛍光強度Xa(第1の蛍光強度)として出力する。ここで第1波長は450nm〜550nmのいずれかの波長であってもよい。
上記第1波長の蛍光強度Xaは対象物6の、特に表面付近のタンパク質の量に関係すると考えられる。よって、タンパク質の含有量は穀類の種類や産地によって異なるが、カビの着生が始まった場合、変色などにより顕在化する前からカビの成長に伴ってタンパク質が消費されるので、この波長帯域の蛍光強度は相対的に低下する。
第2波長強度測定部102は蛍光スペクトルXのデータから、第2波長における蛍光スペクトルの強度を測定し、蛍光強度Xb(第2の蛍光強度)として出力する。前記第2波長は550nm〜700nmのいずれかの波長であってもよい。この第2波長の蛍光強度Xbは後述のように前記蛍光強度Xaを正規化するために用いられる。本実施の形態では対象物6は球状のマメ類などであり、レーザーの照射位置によって蛍光の強度も変化するため、カビによる影響を受けにくい波長の蛍光で正規化することにより、判定誤差を極力低減している。
なお、前記第1の波長および第2の波長は、それぞれ単一波長(例えば500nmと680nm)であってもよいが、一定の帯域を持つ蛍光を取得してもよい。この場合の蛍光強度は、前記帯域内の蛍光強度の積分値であってもよい。
標準値供給部105は標準値X0を供給する。この標準値供給部105は前記標準値をデータベース化したメモリまたはストレージを備えてもよいし、インターネット等の回線を介して外部から前記標準値を受信する通信デバイスを備えてもよい。
正規化部103は、蛍光強度Xaを蛍光強度Xbで正規化し正規化蛍光強度Xnormを出力する。比較部104は、正規化蛍光強度Xnormと標準値X0を比較演算し、その結果を比較値ΔXとして出力する。判定部106は、前記ΔXから、後述のように対象物6の良不良、特にカビに起因する対象物6の品質劣化を判定する。
以上、前記第1波長強度測定部101、第2波長強度測定部102、正規化部103、比較部104、標準値供給部105、判定部106は半導体などのハードウェアであってもよいし、マイクロコードやプログラムで構築されたソフトウェアモジュールであってもよい。
コントローラ100は、上記手順を実行するためのプロセッサである。例えば、図3に示されるように、蛍光スペクトルXにおける蛍光強度Xaを測定するステップ(S1001)と、前記蛍光スペクトルXにおける蛍光強度Xbを測定するステップ(S1002)と、蛍光強度Xaを蛍光強度Xbから正規化蛍光強度Xnormを演算して出力するステップ(S1003)と、標準値X0を供給するステップ(S1004)と、正規化蛍光強度Xnormと標準値X0とを比較演算し、比較値ΔXを出力するステップ(S1005)と、比較値ΔXから対象物6の品質を判定し、結果をYとして出力するステップ(S1006)を実行する。
なお、前記比較部104またはステップS1005における比較演算は差分をとるものであってもよく、比率を演算するものであってもよい。差分演算の場合、判定部106の前記ΔXから対象物6の良不良を判別する方法として、例えば2値判定でもよい。つまり、ΔX≧0であるならば良品、ΔX<0ならば不良品と判断する。また、適当な正値をvとして、ΔX≧vであるならば良品、ΔX≦−vであるならば不良品、−v<X<vの場合は要再判定とし、他の方法(例えば特許文献3、4に記載の化学的分析法)に回す、といったいわゆる3値判定を用いてもよい。
前記2値判定の場合、判定部106は対象物6の品質の判断結果をY=0/1(良品/不良品)でリアルタイムに出力する。そこで、この判断結果Yを、例えば、アクチュエータに供給し、不良品と判定された対象物6をベルトコンベアから弾き出すようにそのアクチュエータを制御してもよい。このように本実施の形態によれば、穀類またはマメ類の一粒一粒にレーザーを照射し、正規化蛍光強度を測定し、標準値と比較することにより、迅速に不良品を特定することができ、その結果リアルタイムで不良品を分離することが可能となる。
以下、対象物6として、実際にアオダイズ、ダイズ、ゼンコウジコムギ、ハナマメの良不良サンプルを用いた場合の実験結果を、以下、実施例として説明する。
(実施例1)
本実施例においては、対象物6としてアオダイズ(あやみどり)の良品と不良品を用い、それぞれの群(n=5)における蛍光スペクトルを測定した。ここで、紫色光源は波長405nmのレーザーを用いた。またマルチチャネル分光器10としてPMA−11(浜松ホトニクス(株))を用いた。良品および不良品の群におけるスペクトラムの平均値を図4(a)に、各群における個々のサンプルの正規化蛍光強度Xnormを図4(b)に示す。本実施例では、第1波長と第2波長は、それぞれ500nm、650nmとした。また、本実施例では、正規化処理は単純に第1の蛍光強度(Xa)を第2の蛍光強度(Xb)で除することにより行った。正規化処理はこの方法に限られるものではなく、蛍光スペクトルの絶対強度の変化を吸収できるものであればよい。
図4(c)に対象物であるダイズの外観を撮影した写真を示す。図4(c)において、上段5粒が良品のダイズ群、下段5粒が不良品(紫斑病菌のカビが着生)のダイズ群である。なお、蛍光スペクトルを測定する際は、斑紋を避けてレーザーを照射した。なおこの斑紋はカビに対して持つアオダイズ固有の動的抵抗性により表面近くの組織が変色したものと考えられる。良品と不良品のそれぞれの群の5サンプルの正規化蛍光強度の平均、分散、およびt検定結果を表1に示す。
良品と不良品(それぞれn=5の標本群)はp<0.05で有意差が認められる。
本実施例では、2値判定で良品と不良品を識別する場合、標準値X0を良品の正規化蛍光強度Xbの平均値(13.35057)付近に設定すると、殆どの不良品をほぼ確実に特定し除去することができる。ただしその一方で良品の半数が落ちることになる。だが、従来のロットごとに取捨選択する方法(特許文献2など)と比べると、良品の収率は遥かに向上する。また、上述のような多値判定を用いることにより、段階的な品質評価を行うこともできる。
なお、この標準値X0であるが、対象物6の種類や産地によって適宜変更してもよい。例えば、ロットごとに目視などで選別したある程度の数の良不良のサンプルを用いて予め測定して得た標準値X0を予め標準値供給部105内にデータベース化しておいてもよい。また、標準値供給部105は通信部を有していて、アオダイズの種類や産地に応じた標準値X0を外部のサーバーやクラウドから通信回線を介して適宜取得してもよい。
(実施例2)
本実施例では対象物6としてダイズ(ナカセンナリ)良:n=5、不良:n=5を用い、実施例1と同じ実験条件で蛍光スペクトル分析を行った。図5にその結果を示す。良品および不良品の群におけるスペクトラムの平均値を図5(a)に、各群における個々のサンプルの正規化蛍光強度Xbを図5(b)に示す。また対象物のダイズの外観を撮影した写真を図5(c)に示す。図5(c)において、左側が良品のダイズ群、右側が不良品(カビが着生)のダイズ群である。なお、不良品の蛍光スペクトルを測定する際は、変色した部分を避けてレーザーを照射した。
図5(b)に示された良品及び不良品のサンプルのそれぞれの平均値、分散値、およびt検定結果を表2に示す。

一見、統計上の有意差は認められないが、これは、図5(b)に示されるように、外見上のカビの有無により判断された良品サンプルの中に、カビ以外の理由でタンパク質含有量が低下しその結果正規化蛍光強度が突出して低く出た個体があったためと考えられる。この場合も標準値を良品の平均値より少し上(正規化蛍光強度で9.5付近)に設定すれば、カビ以外によるものも含め不良品をほぼ確実に除去することができる。
(実施例3)
本実施例では対象物6としてゼンコウジムギ(良:n=5、不良:n=5)を用いた。実験条件は実施例1と同様であるが、本実施例においては、ムギの溝が無い側にレーザー光を照射して蛍光分析を行った。実験結果を図6(a)、(b)に、サンプルの外観写真を図6(c)(上段が良品、下段が不良品)に、それぞれ示す。また、図6(b)に示された良品及び不良品のサンプルのそれぞれの平均値、分散値、t検定結果を表3に示す。

両サンプルの間に有意差(p<0.05)が認められるが、不良品の分散が大きいため、良品の平均値を標準値X0として二値判定した場合、良品と判断された中に不良品も若干混じるおそれがある。ただし、従来の方式(例えば特許文献1、2)と比べて不良の発見率の飛躍的向上が見込まれることは確かである。
(比較例1)
本比較例では、実施例3で用いたゼンコウジムギの溝有り側にレーザーを照射して蛍光分析を行った。図7(a)、(b)にその結果を示す。不良品のサンプルの中に突出して蛍光強度の高い個体があったため(同図(a))、スペクトルの平均値を押し上げている(同図(b))。この突出サンプルを除外したとしても良品と不良品の正規化蛍光強度Xbの平均値に差は無く、本実施の形態の構成および方法では両者を判別することは困難である。
このように溝有り側では、タンパク質消耗による蛍光強度の低下が溝の影響により出にくいので、本実施の形態の構成および方法を用いて品質評価を行う場合、溝有り側と溝無し側とを区別する必要がある。例えば、溝の有無はCCDカメラでも判別できるので、カメラ画像から溝有りと判断された場合、その判別結果をアクチュエータにフィードバックして、瞬時に表裏反転させ、常に溝無し面にレーザーが照射されるようにしてもよい。また、溝有り側と判定された対象物8を一旦試料台5(ベルトコンベア等)から弾き飛ばして、改めて品質評価工程に入れるようにしてもよい。
(実施例4)
本実施例では対象物6としてハナマメを用いた。図8に対象物6の外観の写真を示す。図8において、4個のサンプルは、それぞれ左から順に、良品、中間品、不良品、カビ繁殖品である。図9に前記良品、中間品および不良品のハナマメ(それぞれn=1)の黒色部分にレーザーを当てたときの蛍光スペクトラムを示す。図9より明らかなように、本実施例では良品と不良品との差が顕著に現れている。
(比較例2)
一方、実施例4のハナマメの有色部分に紫色レーザー光を照射したときの蛍光スペクトラムを図10に示す。スペクトル全域において、良品>中間品>不良品の差が顕著に現れている。しかし、良品のハナマメの蛍光強度は波長600nm〜700nmが持ち上がっており、第2波長をこの範囲に設定した場合、正規化蛍光強度Xbを押し下げることになり、その結果誤判定を生じるおそれがある。そこで、ハナマメの品質評価を行う場合、有色部での蛍光測定を避けるか、600nm〜700nmの範囲外に第2波長を設定したほうがよい。
ハナマメの有色部の蛍光スペクトルが波長600nm〜700nmで盛り上がっている理由の一つとして、有色部(良品では桃色)に元来含まれる色素が影響している可能性があげられる。そこで、有色部を避けてレーザーを照射するか、その色のスペクトルの影響を受けにくく、しかも第1波長からできるだけ離れた波長を第2波長として設定することが好ましい。後者についてはハナマメに限らず有色の穀類の品質評価を行う場合にも当てはまる。
(実施例5)
本実施例では正規化の演算を単純な除算(Xa/Xb)ではなく、下記の式を用いて行う。
本実施の形態では、短波長領域の蛍光強度Xaに比べて長波長領域の蛍光強度Xbのレベルが一桁近く低いので、量子化ノイズその他のノイズの影響により誤差が拡大しやすい。上記式(1)を用いればXb<<Xaであっても分子分母はほぼ等しく、ノイズの影響を受けにくくすることができる。一例として実施例1で測定した蛍光スペクトラムデータに対して式(1)で表される正規化演算を施した場合のアオダイズ(あやみどり)の蛍光分析結果を図11に示す。
以上の実施例によれば、対象物であるアオダイズ、ダイズ、ゼンコウジコムギ、ハナマメの一粒一粒に紫色レーザー光を照射し、その蛍光スペクトルの正規化強度を求めることにより、外見上見分けにくい状態のカビによる品質劣化であっても、極めて短時間でかつ精度よく判別することが可能となる。
なお、本実施の形態では、前記対象物の特にカビの着生していないポイントにレーザー光を照射し、その蛍光分析を行ったが。本発明はこれに限定されない。例えば、対象物片面全体に紫色レーザー光を照射して、照射面全体の2次元蛍光分布から、評価に好ましい任意のポイントを選択して蛍光分析を行ってもよい。具体的には、前記2次元蛍光分布をCCDカメラで撮像した後に、任意のポイントにおけるRGB画素出力から簡易的に(例えばR強度/G強度を演算して)正規化蛍光強度を求めてもよい。また、対象物片面全体に紫色レーザー光を照射する方法として、ビームエキスパンダー等でビーム系を拡げてもよいし、MEMS等でビームを高速にスキャンしてもよい。
また、本実施の形態では、対象物6から発せられた蛍光は受光レンズ7で集められ、光ファイバー8を通して、ロングパスフィルター9およびマルチチャネル分光器10に到達する構成を採ったが、蛍光スペクトラムが計測できる構成であればこの構成に限定されることはない。例えば、受光レンズ7の直後にロングパスフィルター9とマルチチャネル分光器10の受光センサ部またはCCDセンサを設けたものであってもよい。
本発明は、穀類の保存状態、特にカビの着生の有無を高速に検出する検査方法もしくは装置、あるいは不良と判断された穀粒を即時篩い分ける選別方法もしくはこの方法を組み込んだ装置として利用することができる。また、この装置は小型化およびローコスト化が容易であり、小規模な生産業者もしくは販売業者あるいは個人でも所有することが可能になる。
1 紫色光源
2、8 光ファイバー
3 チャンバー
4 照射レンズ
5 試料台
6 対象物
7 受光レンズ
9 ロングパスフィルター
10 マルチチャネル分光器
11 分光データ処理部
100 コントローラ
101 第1波長強度測定部
102 第2波長強度測定部
103 正規化部
104 比較部
105 標準値供給部
106 判定部

Claims (13)

  1. 穀物またはマメ類である対象物に紫色励起光を照射しその蛍光スペクトルから品質の良不良を判定する穀物品質評価装置であって、
    前記蛍光スぺクトルにおける第1波長の強度(第1の蛍光強度)を測定する第1波長強度測定部と、
    前記蛍光スぺクトルにおける第2波長の強度(第2の蛍光強度)を測定する第2波長強度測定部と、
    前記第1の蛍光強度を前記第2の蛍光強度で正規化して正規化蛍光強度を出力する正規化部と、
    標準値を供給する標準値供給部と、
    前記正規化蛍光強度と前記標準値とを比較する比較部と、
    前記比較部の出力より、前記対象物の品質を判定する判定部を含む、穀物品質評価装置。
  2. 前記励起光の波長は370nm〜435nmのいずれかの波長であることを特徴とする請求項1に記載の穀物品質評価装置。
  3. 前記第1波長は450nm〜550nmのいずれかの波長であることを特徴とする請求項1または2記載の穀物品質評価装置。
  4. 前記第2波長は550nm〜700nmのいずれかの波長であることを特徴とする請求項1または2記載の穀物品質評価装置。
  5. 前記正規化の演算は第1の蛍光強度を第2の蛍光強度で除することにより実施されることを特徴とする請求項1に記載の穀物品質評価装置。
  6. 第1の蛍光強度をXa、第2の蛍光強度をXb、正規化蛍光強度をXnormとしたとき、前記正規化の演算は下記式で表されることを特徴とする請求項1に記載の穀物品質評価装置。
  7. 前記判定部は、前記正規化蛍光強度が前記標準値よりも低い場合に、前記穀対象物が不良であると判断する、請求項1〜6のいずれかに記載の穀物品質評価装置。
  8. 前記標準値供給部は、前記対象物の種類および/または産地に応じた前記標準値が保持されたデータベースを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の穀物品質評価装置。
  9. 前記標準値供給部は、前記対象物の種類および/または産地に応じた前記標準値を、通信回線を介して取得する通信部を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の穀物品質評価装置。
  10. 穀物またはマメ類である対象物に紫色励起光を照射しその蛍光スペクトルから品質の良不良を判定する穀物品質評価方法であって、
    前記蛍光スペクトルにおける第1波長の強度(第1の蛍光強度)を測定するステップと、
    前記蛍光スペクトルにおける第2波長の強度(第2の蛍光強度)を測定するステップと、
    前記第1の蛍光強度を前記第2の蛍光強度で正規化して正規化蛍光強度を出力するステップと、
    標準値を供給するステップと、
    前記正規化蛍光強度と前記標準値とを比較するステップと、
    前記比較部の出力より、前記対象物の品質を判定するステップを含む、穀物品質評価方法。
  11. 前記正規化の演算は第1の蛍光強度を第2の蛍光強度で除することにより実施されることを特徴とする請求項10に記載の穀物品質評価方法。
  12. 第1の蛍光強度をXa、第2の蛍光強度をXb、正規化蛍光強度をXnormとしたとき、前記正規化の演算は下記式で表されることを特徴とする請求項1に記載の穀物品質評価方法。
  13. 前記判定ステップは、前記正規化蛍光強度が前記標準値よりも低い場合に、前記穀対象物が不良であると判断する、請求項10に記載の穀物品質評価方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102472798B1 (ko) * 2021-06-25 2022-12-05 주식회사 리하베스트 부산물에 대한 검사 처리를 수행하는 이물 균 관리 장치

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