JP2019199932A - 構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】平面形状または立体形状である第1形態から、立体形状である第2形態に変形することが可能であり、かつ、第2形態の立体形状の保持性に優れる構造体を提供する。【解決手段】本発明の構造体100は、平面形状または立体形状である第1形態から、第1形態とは異なる形状であり、かつ、立体形状である第2形態に変形することが可能な構造体であって、複数の折り曲げ線部10を有し、かつ、温度に応じて折り曲げ線部10の可動性が変化する板状体(A)を備え、複数の折り曲げ線部10を折り曲げることによって、第1形態から第2形態に変形することが可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、構造体に関する。
複数の折り曲げ線部を折り曲げることによって立体形状に変形することが可能な構造体が知られている。
このような構造体に関する技術としては、例えば、特許文献1(特表2016−510368号公報)に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、複数の溝を折り曲げることによって、板状部材から立体的な覆いを作製する技術が開示されている。
特表2016−510368号公報
本発明者らは、平面形状または立体形状である第1形態から、立体形状である第2形態に変形することが可能である構造体において、第2形態の立体形状の保持性を良好にすることを検討した。
本発明によれば、以下に示す構造体が提供される。
[1]
平面形状または立体形状である第1形態から、第1形態とは異なる形状であり、かつ、立体形状である第2形態に変形することが可能な構造体であって、
複数の折り曲げ線部を有し、かつ、温度に応じて上記折り曲げ線部の可動性が変化する板状体(A)を備え、
上記複数の折り曲げ線部を折り曲げることによって、上記第1形態から上記第2形態に変形することが可能である構造体。
[2]
上記[1]に記載の構造体において、
当該構造体を上記第1形態から上記第2形態に変形したとき、
所定の温度よりも低い第1温度領域において上記第2形態の立体構造を維持でき、
上記所定の温度よりも高い第2温度領域において上記第2形態の立体構造を変形できる構造体。
[3]
上記[1]または[2]に記載の構造体において、
上記第2形態は内部に空間を有する構造体。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の構造体において、
上記板状体(A)は形状記憶シートにより構成されている構造体。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の構造体において、
上記板状体(A)は少なくとも−20℃超え100℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察される構造体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の構造体において、
動的粘弾性測定により求められる、上記板状体(A)の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度が少なくとも−20℃超え100℃以下の範囲に1つ以上あり、かつ、上記損失正接の極大値が0.3以上である構造体。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の構造体において、
動的粘弾性測定により求められる、上記板状体(A)の23℃における貯蔵弾性率が1MPa以上1000MPa以下である構造体。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の構造体において、
上記板状体(A)の少なくとも一方の面に、上記板状体(A)とは異なる部材(B)を有する構造体。
[9]
上記[8]に記載の構造体において、
上記折り曲げ線部上には、上記部材(B)が形成されていない構造体。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の構造体において、
上記板状体(A)は形状記憶ポリマーを含む構造体。
[11]
上記[10]に記載の構造体において、
上記形状記憶ポリマーは、ノルボルネン系形状記憶ポリマー、トランスポリイソプレン系形状記憶ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体系形状記憶ポリマー、ウレタン系形状記憶ポリマー、エステル系形状記憶ポリマー、スチレン系形状記憶ポリマー、オレフィン系形状記憶ポリマー、乳酸系形状記憶ポリマー、アクリル系形状記憶ポリマーおよびアミド系形状記憶ポリマーからなる群から選択される一種または二種以上を含む構造体。
[12]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の構造体において、
上記板状体(A)は4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む構造体。
[13]
上記[12]に記載の構造体において、
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体が4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位と4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを含む構造体。
[14]
上記[1]乃至[13]のいずれか一つに記載の構造体において、
当該構造体の厚みが0.1mm以上60mm以下の範囲である構造体。
本発明によれば、平面形状または立体形状である第1形態から、立体形状である第2形態に変形することが可能であり、かつ、第2形態の立体形状の保持性に優れる構造体を提供することができる。
本発明に係る実施形態の構造体の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の構造体の一例を模式的に示した平面図である。 本発明に係る実施形態の構造体の第2形態の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の構造体の第2形態の一例を模式的に示した斜視図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。数値範囲を示す「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
1.構造体
まず、本実施形態に係る構造体100について図1〜図4を例に取って説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の構造体100の一例を模式的に示した斜視図である。図2は、本発明に係る実施形態の構造体100の一例を模式的に示した平面図である。図3および4は、本発明に係る実施形態の構造体100の第2形態の一例を模式的に示した斜視図である。
本実施形態に係る構造体100は、平面形状または立体形状である第1形態から、第1形態とは異なる形状であり、かつ、立体形状である第2形態に変形することが可能な構造体であって、複数の折り曲げ線部10を有し、かつ、温度に応じて折り曲げ線部10の可動性が変化する板状体(A)を備え、複数の折り曲げ線部10を折り曲げることによって、第1形態から第2形態に変形することが可能である。
ここで、温度に応じて可動性が変化する板状体(A)とは、例えば、特定の温度領域を境にして、板状体(A)の弾性率や剛性等の機械的特性が大きく変化し、手動による折り曲げ性が変化する板状体(A)をいう。例えば、板状体(A)の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度付近の領域の前後において、板状体(A)の弾性率や剛性等の機械的特性が大きく変化する場合、温度に応じて可動性が変化するといえる。
本実施形態に係る構造体100によれば、例えば、図1や図2に示すような平面形状である第1形態の構造体100を、例えば、図3や図4に示すような立体形状である第2形態の構造体100に変形することができる。また、構造体100の第1形態は図1や図2に示すような平面形状に限定されず、立体形状であってもよい。すなわち、本実施形態に係る構造体100は、立体形状である第1形態から、第1形態とは異なる立体形状の第2形態に変形できるものであってもよい。立体形状の第2形態は特に限定されないが、例えば、内部に空間を有するものである。
前述したように、本発明者らは、平面形状または立体形状である第1形態から、立体形状である第2形態に変形することが可能である構造体において、第2形態の立体形状の保持性を良好にすることを検討した。
その結果、複数の折り曲げ線部10を有し、かつ、温度に応じて折り曲げ線部10の可動性が変化する板状体(A)を用いることによって、第2形態の立体形状の保持性を良好にできることを見出した。
本実施形態に係る構造体100は、例えば、折り曲げ線部10の可動性が大きい温度領域で、第1形態から第2形態に容易に変形させることが可能となり、折り曲げ線部10の可動性が小さい温度領域で、第2形態の立体形状を良好に保持させることが可能となる。
また、本実施形態に係る構造体100は、例えば、折り曲げ線部10の可動性の変化が大きい温度領域(例えば、後述する板状体(A)の損失正接(tanδ)の極大値が大きい温度領域)を有する場合、このような温度領域で第1形態から第2形態に変形させることによって、変形後の復元速度がより一層緩やかになるため、第2形態の立体形状を良好に保持させることが可能となる。
本実施形態に係る構造体100は、例えば、所定の温度よりも低い第1温度領域において第2形態の立体構造を維持でき、所定の温度よりも高い第2温度領域において第2形態の立体構造を変形できるものである。
所定の温度よりも高い第2温度領域にすることによって、折り曲げ線部10を容易に折り曲げることができ、その結果、第2形態の構造体100を容易に展開できたり、第1形態の構造体100を第2形態の構造体100に容易に変形させたりすることが可能になる。また、所定の温度よりも低い第1温度領域にすることによって、第2形態の立体構造の保持性を向上させることが可能となる。
ここで、上記所定の温度とは、例えば、板状体(A)のガラス転移温度である。
本実施形態に係る板状体(A)は少なくとも−20℃超え100℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察されることが好ましく、−15℃以上100℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察されることがより好ましく、0℃以上80℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察されることがさらに好ましく、10℃以上60℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察されることがさらにより好ましく、10℃以上50℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察されることがさらにより好ましく、10℃以上50℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ観察されることが特に好ましい。
上記範囲内において、ガラス転移温度が観察されることにより、より実用的な温度範囲において、板状体(A)の折り曲げ線部10の可動性を変化させることができる。
本実施形態に係る板状体(A)において、動的粘弾性の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度が少なくとも−20℃超え100℃以下の範囲に1つ以上あることが好ましく、−15℃以上100℃以下の範囲に1つ以上あることがより好ましく、0℃以上80℃以下の範囲に1つ以上あることがさらに好ましく、10℃以上60℃以下の範囲に1つ以上あることがさらにより好ましく、10℃以上50℃以下の範囲に1つ以上あることがさらにより好ましく、10℃以上50℃以下の範囲に1つあることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る板状体(A)において、上記損失正接の極大値は0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましく、1.5以上であることがさらにより好ましく、2.0以上であることが特に好ましい。そして本実施形態に係る板状体(A)において、上記損失正接の極大値は3.5以下であることが好ましく、3.2以下であることがより好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。
これにより、本実施形態に係る板状体(A)の可動性および形状記憶性の性能バランスをより良好にすることができる。ここで、損失正接の極大値が大きいほど、板状体(A)の粘性的な性質が強いことを意味する。
粘性的な性質が強い板状体(A)が、可動性および形状記憶性の性能バランスにより一層優れる理由は明らかではないが以下の理由が考えられる。
まず、粘性的な性質が強い板状体(A)は、変形する際に与えられる力学的エネルギーのより多くを熱エネルギーに変換でき、エネルギーをより多く吸収できるため、変形後の復元速度がより一層緩やかになると考えられる。その結果、板状体(A)が有する柔軟性を維持しながら、変形後の形状をより一層良好に保持できると考えられる。
すなわち、本実施形態に係る構造体100は、板状体(A)の損失正接の極大値が上記範囲内であると、例えば、板状体(A)の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度の付近の領域で第1形態から第2形態に変形させることによって、変形後の復元速度がより一層緩やかになるため、第1形態から第2形態への変形を可能にしながら、第2形態の立体形状を良好に保持させることが可能となる。
本実施形態において、例えば、(1)板状体(A)を構成するポリマーの種類や配合割合等を適切に調節することにより、上記損失正接の極大値を上記範囲内に制御することが可能である。
これらの中でも、例えば、板状体(A)を構成するポリマーとして、後述する形状記憶ポリマーや4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)を用いること、板状体(A)中の形状記憶ポリマーや4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)の配合割合を高めること等が、上記損失正接の極大値を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
ここで、動的粘弾性測定により求められる損失正接(tanδ)は、例えば、縦30mm×幅15mmの試験片に切り出し、チャック間距離20mm、測定周波数10Hz、歪量0.1%、昇温速度4℃/分、引張モードの条件で、固体粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
本実施形態に係る構造体100において、動的粘弾性測定により求められる、板状体(A)の23℃における貯蔵弾性率が1MPa以上1000MPa以下であることが好ましく、5MPa以上500MPa以下であることがより好ましく、10MPa以上100MPa以下であることがさらに好ましい。板状体(A)の23℃における貯蔵弾性率が上記範囲内であると、室温付近において、板状体(A)の可動性を良好にすることができ、その結果、構造体100を加熱せずに、室温付近等の実用的な温度範囲において、構造体100の第1形態から第2形態への変形をより容易におこなうことができる。
ここで、動的粘弾性測定により求められる、板状体(A)の23℃における貯蔵弾性率は、例えば、縦30mm×幅15mmの試験片に切り出し、チャック間距離20mm、測定周波数10Hz、歪量0.1%、昇温速度4℃/分、引張モードの条件で、固体粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
本実施形態に係る構造体100の厚みは特に限定されないが、例えば0.1mm以上60mm以下の範囲であり、好ましくは0.2mm以上30mm以下の範囲である。本実施形態に係る構造体100の厚みがこの範囲内であると、柔軟性、形状保持性、軽量性、機械的特性、取扱い性、外観、成形性等のバランスがより優れている。
本実施形態において、構造体100の厚みとは、折り曲げ線部10以外の部分の厚みである。
本実施形態に係る板状体(A)は形状記憶シートにより構成されていることが好ましい。ここで、形状記憶シートとは、外力を加えて変形しても、ある温度以上に加熱すると元の形状に回復する性質をもつシートである。そのため、板状体(A)に形状記憶シートを用いることによって、温度に応じて板状体(A)の折り曲げ線部10の可動性を変化させることができる。
形状記憶シートは、例えば、外力を加えて変形しても、ある温度以上に加熱すると元の形状に回復する性質をもつ形状記憶ポリマーを含む。
形状記憶ポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系形状記憶ポリマー、トランスポリイソプレン系形状記憶ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体系形状記憶ポリマー、ウレタン系形状記憶ポリマー、エステル系形状記憶ポリマー、スチレン系形状記憶ポリマー、オレフィン系形状記憶ポリマー、乳酸系形状記憶ポリマー、アクリル系形状記憶ポリマー、アミド系形状記憶ポリマーなどが挙げられる。
形状記憶ポリマーは一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る板状体(A)は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)を含むことが好ましい。これにより、板状体(A)の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度を室温付近(例えば、10℃以上40℃以下の範囲)にすることができるとともに、さらに損失正接の極大値を例えば0.5以上3.5以下の範囲に設定することができる。これにより、室温付近において、板状体(A)の可動性を容易にしつつ、変形後の復元速度がより一層緩やかになるため、室温付近等の実用的な温度範囲において、本実施形態に係る構造体100の可動性および形状保持性の性能バランスをより良好にすることができる。
本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)としては、例えば、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位(c1)と、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位(c2)とを含む4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(c)が挙げられる。
ここで、本実施形態において、「炭素原子数2〜20のα−オレフィン」は特に断らない限り4−メチル−1−ペンテンを含まないことを意味する。
本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(c)は、板状体(A)の柔軟性をより向上させる観点から、構成単位(c1)と構成単位(c2)との合計を100モル%としたとき、構成単位(c1)の含有量が10モル%以上90モル%以下であり、構成単位(c2)の含有量が10モル%以上90モル%以下であることが好ましい。
また、本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(c)は、板状体(A)の柔軟性や機械的特性等をより良好にする観点から、構成単位(c1)と構成単位(c2)との合計を100モル%としたとき、構成単位(c1)の含有量が30モル%以上90モル%以下であり、構成単位(c2)の含有量が10モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、構成単位(c1)の含有量が50モル%以上90モル%以下であり、構成単位(c2)の含有量が10モル%以上50モル%以下であることがさらに好ましく、構成単位(c1)の含有量が60モル%以上90モル%以下であり、構成単位(c2)の含有量が10モル%以上40モル%以下であることがさらにより好ましく、構成単位(c1)の含有量が65モル%以上90モル%以下であり、構成単位(c2)の含有量が10モル%以上35モル%以下であることが特に好ましい。
本実施形態において、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(c)に用いられる炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、直鎖状又は分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、官能基化ビニル化合物等が挙げられ、直鎖状のα−オレフィンが好ましい。
直鎖状α−オレフィンの炭素原子数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜3である。直鎖状α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられ、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンから選択される一種または二種以上が好ましく、エチレンおよびプロピレンから選択される少なくとも一種がより好ましい。
分岐状のα−オレフィンの炭素原子数は、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜15である。分岐状のα−オレフィンとしては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン等が挙げられる。
環状オレフィンの炭素原子数は、好ましくは5〜15である。環状オレフィンとしては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のモノ又はポリアルキルスチレン等が挙げられる。
共役ジエンの炭素原子数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン等が挙げられる。
官能基化ビニル化合物としては、例えば、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、(メタ)アクリル酸、プロピオン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸およびその酸無水物や酸ハライド、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミン等の不飽和アミン、(2,7−オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物、不飽和エポキシ化合物、エチレン性不飽和シラン化合物等が挙げられる。
上記水酸基含有オレフィンとしては、例えば、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状の末端水酸基化α−オレフィン等が挙げられる。
上記ハロゲン化オレフィンとしては、例えば、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状のハロゲン化α−オレフィン等が挙げられる。
これらの炭素原子数2〜20のα−オレフィンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でもエチレン、プロピレンが好適であるが、プロピレンを使用すると、柔軟性等をより良好にできる点で特に好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(c)は、本発明の目的を損なわない範囲で、構成単位(c1)と構成単位(c2)以外の構成単位を含んでいてもよい。その他の構成としては、非共役ポリエン由来の構成単位が挙げられる。
非共役ポリエンとしては、炭素原子数が好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の直鎖状、分岐状又は環状のジエン、各種のノルボルネン、ノルボルナジエン等が挙げられる。これらの中でも、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体の135℃のデカリン中での極限粘度[η]は、板状体(A)の柔軟性や機械的強度をより良好にする観点から、0.01〜5.0dL/gであることが好ましく、0.1〜4.0dL/gであることがより好ましく、0.5〜3.0dL/gであることがさらに好ましく、1.0〜2.8dL/gであることが特に好ましい。
本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体のASTM D 1505(水中置換法)に従って測定された密度は、好ましくは0.810〜0.850g/cm、より好ましくは0.820〜0.850g/cm、さらに好ましくは0.830〜0.850g/cmである。
本実施形態に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体は種々の方法により製造することができる。例えば、マグネシウム担持型チタン触媒;国際公開第01/53369号、国際公開第01/027124号、特開平03−193796号公報、および特開平02−41303号公報等に記載のメタロセン触媒;国際公開第2011/055803号に記載されるメタロセン化合物を含有するオレフィン重合触媒等の公知の触媒を用いて製造することができる。
本実施形態に係る板状体(A)中の4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)および形状記憶ポリマーから選択される少なくとも一種の重合体の含有量は特に限定されないが、板状体(A)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下、さらにより好ましくは98質量%以下、特に好ましくは97質量%以下である。
これにより、柔軟性、形状記憶性、軽量性、機械的特性、取扱い性、外観、成形性等のバランスにより優れた構造体100を得ることができる。
本実施形態に係る板状体(A)は、必要に応じて、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、脂肪酸金属塩、軟化剤、分散剤、着色剤、滑剤、天然油、合成油、ワックス等の添加剤を配合してもよい。
これらの中でも、特に、可塑剤、軟化剤、天然油および合成油は、本実施形態に係る板状体(A)の固体粘弾性の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度および損失正接の極大値を調整するために、種類および添加量を制御して用いてもよい。
本実施形態に係る構造体100において、種々の機能を付与する観点から、板状体(A)の少なくとも一方の面に、板状体(A)とは異なる部材(B)を有することが好ましく、板状体(A)の両面に、板状体(A)とは異なる部材(B)を有することがより好ましい。
また、本実施形態に係る構造体100において、機械的強度を向上させる観点から、板状体(A)の少なくとも一方の面に、板状体(A)よりも剛性が高い部材(B)を有することが好ましく、板状体(A)の両面に、板状体(A)よりも剛性が高い部材(B)を有することがより好ましい。
板状体(A)とは異なる部材(B)としては特に限定されないが、例えば、織布、不織布、合成繊維、人工皮革、合成皮革、天然皮革、毛皮、金属、炭素材、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、高分子発泡体、メッシュ構造体(経編繊維、ダブルラッセルメッシュ、3次元スプリング構造体等)、繊維強化プラスチック、紙、木材、ガラス、石材、セラミック等が挙げられる。これらの部材は一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は充填材を含んでいてもよい。
本実施形態に係る構造体100が部材(B)を有する場合、折り曲げ線部10上には、部材(B)が形成されていないことが好ましい。これにより、折り曲げ線部10の可動性を良好に保つことができる。
本実施形態に係る部材(B)の厚みは特に限定されないが、例えば0.01mm以上50mm以下の範囲であり、好ましくは0.1mm以上25mm以下の範囲である。
また、本実施形態に係る板状体(A)の厚みは特に限定されないが、構造体100が部材(B)を備えない場合、例えば0.1mm以上60mm以下の範囲であり、好ましくは0.2mm以上30mm以下の範囲であり、構造体100が部材(B)を備える場合、例えば0.05mm以上10mm以下の範囲であり、好ましくは0.1mm以上5mm以下の範囲であり、さらに好ましくは0.5mm以上3mm以下の範囲である。
本実施形態において、板状体(A)の厚みとは、折り曲げ線部10以外の部分の厚みである。
2.構造体の製造方法
本実施形態に係る構造体100における板状体(A)は、例えば、公知の方法に基づいて、4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)および形状記憶ポリマーから選択される少なくとも一種の重合体を主成分として含む樹脂組成物(P)を板状に成形することにより得ることができる。
成形装置および成形条件としては特に限定されず、従来公知の成形装置および成形条件を採用することができるが、押出成形装置により成形することが好ましい。
本実施形態に係る板状体(A)の成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形(フィルム・シート押出、異型押出、繊維押出、ストランド押出、ネット押出等)、真空成形、ブロー成形、プレス成形、圧空成形、カレンダー成形、ビーズ成形、バッチ発泡、モールドプリント法等の公知の熱成形方法を用いることができる。
本実施形態に係る板状体(A)として、好ましくは押出成形体である。
また、本実施形態に係る板状体(A)は発泡体であってもよい。板状体(A)を発泡させる場合は、成形の際に発泡剤を用いることができる。成形の際に用いる発泡剤としては、化学発泡剤、物理発泡剤が挙げられる。
化学発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、各種カルボン酸塩、水素化ホウ素ナトリウム、アゾジカルボンアミド、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソブチロニトリル、パラトルエンスルホニルヒドラジド、重曹クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
物理発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、または二酸化炭素と窒素の混合物等が挙げられ、いずれもガス状、液状または超臨界状態のいずれでも供給することが可能である。
化学発泡剤は成形機に投入する前に樹脂組成物と配合して均一に混合することが好ましい。
また、物理発泡剤として二酸化炭素を使用する場合は、樹脂組成物が成形機内で混練、可塑化された状態になった後、直接成形機内へ注入することが好ましい。
樹脂組成物(P)の発泡倍率は特に限定されず、得られる板状体(A)の諸物性を考慮して適宜決定することができる。
本実施形態に係る樹脂組成物(P)の調製方法は特に限定されないが、樹脂組成物(P)は、例えば、各成分をドライブレンド、タンブラーミキサー、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、高速二軸押出機、熱ロール等により混合または溶融・混練することにより調製することができる。
本実施形態に係る板状体(A)への折り曲げ線部10の形成方法は特に限定されないが、例えば、板状体(A)に溝を設けることによって、折り曲げ線部10を形成することができる。また、本実施形態に係る構造体100が部材(B)を有する場合、部材(B)と、隣接する部材(B)との間に間隔を設けることによって、折り曲げ線部10を形成することができる。すなわち、部材(B)と部材(B)との間の間隔が折り曲げ線部10となる。
本実施形態に係る板状体(A)上に部材(B)を形成する方法は各種公知の方法が適用可能である。
例えば、板状体(A)に対し、部材(B)を積層し、必要に応じてプレス等により加熱圧着、または溶着することにより板状体(A)上に部材(B)を形成することができる。
また、板状体(A)と部材(B)との間に接着剤を付与し、次いで、板状体(A)と部材(B)とを接着剤を介して接合することにより、板状体(A)上に部材(B)を形成することもできる。
接着剤としては、SBR系溶剤接着剤や、EVA、石油樹脂、またはEVAと石油樹脂との混合物等からなるホットメルト接着剤を好適に用いることができる。
3.構造体の用途
本実施形態に係る構造体100は、例えば、自動車部品、鉄道部品、航空機部品、船舶部品、自転車部品等のモビリティー用品;電子機器;家庭用電気機器;オーディオ機器;カメラ用品;精密機器;ゲーム機器;VR機器;土木部品、建築部品、建築材等の土木・建築用品;家具、寝具等の家財道具;台所用品、トイレタリー、文具等の日用品;アウトドア用品、リュック等のレジャー用品;園芸等の農業用品;アパレル用品、シューズ用品、アクセサリー・携帯用小物雑貨等の装飾製品;医療用品、ヘルスケア用品等の医療関係用品;スポーツ品等のスポーツ分野の用品;書籍、玩具等の教育・玩具用品;包装用品等の包装関係用品;洗顔・メイク用品等の化粧品関係の用品;LED照明等の電灯用品;水産用品等の養殖用品;チャイルドシート等の安全用品;音楽用品;ペット用品;釣用品等に用いることができる。
より具体的には、モビリティー用品としては、例えば、ハンドル、サドル、シフトレバー、バンパー、シート、シートベルト、ヘッドレスト、アームレスト、ドアトリム、インストルメントパネル、各種サポーター(ネックサポーター、ランバーサポーター)、各種クッション類、制振材等が挙げられる。
電子機器としては、例えば、スマートフォンのカバー、パソコンのカバー、時計バンド、パソコンのマウス、フレキシブルな固定用品、フレキシブルライト等が挙げられる。
家庭用電気機器としては、例えば、洗濯機、一眼レフのグリップ等が挙げられる。
オーディオ機器としては、例えば、制振材、防振材、防音材、遮音材、スピーカー等が挙げられる。
カメラ用品としては、例えば、カメラ、放送用のカメラグリップ等が挙げられる。
精密機器としては、例えば、フレキシブルタッチパネル、フレキシブルリモコン等が挙げられる。
ゲーム機器としては、例えば、コントローラー等が挙げられる。
VR機器としては、例えば、VR機器と目の接触部分に用いられる部材、VR用のリモコン等が挙げられる。
土木・建築用品としては、例えば、制振材、防振材、防音材、遮音材、シール材、クッション材等が挙げられる。
家具としては、例えば、椅子、座椅子、腰痛用座椅子、肘掛け、クッション・ソファの緩衝材、重量物や家具の荷重がかかる部分のすき間埋め材、地震等の転倒防止対策用品、ソファー、制振材、防振材等が挙げられる。
寝具としては、例えば、椅子、マット、ベッド、布団、枕、クッション、座布団、ハンモック、枕カバー、枕のクッション材、マットレス、湯タンポ等が挙げられる。特に、水洗いできる寝具が挙げられる。
台所用品としては、例えば、まな板、包丁等調理器具のグリップ、弁当箱、水筒、コップ、皿、箸、お猪口、ワインクーラー、ワインバッグ、各種保冷・保温用バッグ、飲料用ジョッキ、コースター、鍋、鍋敷き、電子レンジ用調理器具、冷凍・冷蔵庫内の収納用品(仕切り板、勘合部を有する軟質密閉容器等)、蒸し器、テーブルクロス、ランチョンマット、ジョッキ等が挙げられる。
トイレタリー用品としては、例えば、紙おむつ、歯ブラシ、パッキン、ガスケット、シール材、カイロ、入浴時に用いるバス用品(特に、貯蔵弾性率の温度依存性が利用できる用品、すなわち、低温では硬く、高温では柔らかくなる特性を利用できる用品等)等が挙げられる。このような入浴時に用いるバス用品としては、例えば、アカスリ用グローブの表皮材、座椅子、マット、フェイスローラーのローラー部材、立体形状を有する身体表面へのツボ押し用品等が挙げられる。
文具としては、例えば、ペングリップ、手帳、ノート表紙、ブックカバー等が挙げられる。
その他の日用品としては、例えば、時計バンド、温度計、ファッションドールの緩衝材、各種グリップ(ペンシル、歯ブラシ)、各種カバー類(使い捨てカイロ、手帳、ノート類カバー、洋式トイレの座椅子)、ヘルメットの緩衝材、暗幕、スマートフォン等が挙げられる。
アウトドア用品としては、例えば、アスレチック用品、ネット類、テント、椅子、折り畳み椅子、食器、まな板、ハンモック等が挙げられる。
農業・園芸用品としては、例えば、接木のサポーター、パッキン、ガスケット、シール材、バケツ、ジョウロ等が挙げられる。
アパレル用品としては、例えば、服、肌着、下着類(例えば、ブラジャーパッド、肩パッド、補正用下着等)、帽子、ベルト、ランドセルのライニング、名刺入れ、メガネ等が挙げられる。
シューズ用品としては、例えば、各種インソール、靴の内張り材、各種機材、靴、靴ひも等が挙げられる。
アパレル用品やシューズ用品は、洗濯や洗濯後の屋外での乾燥によっても、黄変しにくいため、好適に用いることができる。
アクセサリー・携帯用小物雑貨としては、例えば、ブレスレット、アンクレット、ネックレス、ミサンガ、腕輪、財布、名刺ホルダー、各種小物入れケース、メガネ、鞄の芯材、メガネの鼻あて、メガネの耳あて部等が挙げられる。
医療用品としては、例えば、サポーター、ギブス、包帯、傷テープ等の各種医療用基材テープ、ストレス緩和用品、精神安定用品、集中力向上用品、義手・義足のアタッチメント部分等が挙げられる。さらに通気性を向上させる目的で、機械式ポンチ、ニードル、レーザーパーフォレーション等の公知の孔あけ加工技術により、表裏に連通した多孔を設けてもよい。
ヘルスケア用品・介護用品としては、例えば、骨盤矯正バンド、腰痛用座椅子、健康器具、トレーニングジム用品、握力を鍛える球状のハンドエクササイザー、磁気ネックレス、緩衝材、各種サポーター(肘、ひざ、ヒップ含む、着圧サポーター)、フェイスラインベルト、いびき抑制用フェイスベルト、ウェスト用ラップ、骨盤ベルト、ネックレス、腕輪、眼鏡、ボケ防止用品、マグネットループ、ストレス解消グッズ、車いす(いす部分、持ち手)等が挙げられる。
スポーツ用品としては、例えば、スポーツウェア、各種グリップ用テープ(野球バット、テニスラケット、バトミントンラケット、ゴルフクラブ等)、スキー、スノーボード靴の内張部材、グローブ、各種プロテクター(サッカー用脛当て、格闘技用防具)、クラブ、スキー、スノーボード、各種目のプロテクター、各種目のネット等が挙げられる。
教養・教育用材料としては、例えば、絵本、地図等が挙げられる。
書籍としては、例えば、絵本等が挙げられる。
玩具としては、例えば、ファッションドール、ぬいぐるみ等の緩衝材、お面、ガチャガチャ玩具に内包する柔軟な玩具等が挙げられる。
包装用品としては、例えば、ヒートシール可能な各種食品用包装材、医療用包装材、テープ、結束バンド、紐等の各種産業用梱包用材料、緩衝材、梱包材等が挙げられる。
洗顔・メイク用品としては、例えば、化粧用パフ、顔パック、ファンデーションテープ等が挙げられる。
電灯分野用品としては、例えば、フレキシブルライド等のLED照明等が挙げられる。
水産用品としては、例えば、養殖用シート、暗幕等が挙げられる。
音楽用品としては、例えば、イヤホンのゴム部分等が挙げられる。
ペット用品としては、例えば、シート、首輪、玩具等が挙げられる。
釣用品としては、釣竿のグリップ、釣り用のグローブ、ルアー、網、網の周辺の芯材等が挙げられる。
さらに粘着層を付与して各種粘着テープとして用いることもできる。
本実施形態に係る板状体(A)は、柔軟性、形状記憶性、形状追従性、応力緩和性の性能バランスに優れるため、使用する際に人体表面に直接または間接的に接する可能性がある部材に適用した場合に人体に係る負荷を低減することができる。そのため、本実施形態に係る板状体(A)は、人体表面に直接または間接的に接する可能性がある部材に特に好適に用いることができる。
本実施形態に係る板状体(A)は、人体表面に作用したとき、柔軟かつ短時間で立体的な形状に追従し易いことから、体圧分散性(体圧分布の均一性)に優れるメリットをもつと考えられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.測定方法
(1)動的粘弾性
板状体(A)を短冊状に切り出し、試験片とした。次いで、固体粘弾性測定装置(TA Instruments社製RSAIII)を用いて、試料幅15mm、チャック間距離20mm、測定周波数10Hz、歪量0.1%、昇温速度4℃/分、引張モードの条件で温度範囲−40℃〜60℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定した。得られたグラフから、ガラス転移温度、損失正接(tanδ)の極大値を示す温度、そのtanδの極大値および23℃における貯蔵弾性率をそれぞれ求めた。
(2)4−メチル−1−ペンテン系重合体の極限粘度[η]
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。
(3)4−メチル−1−ペンテン系重合体の組成
4−メチル−1−ペンテン系重合体中の4−メチル−1−ペンテンおよびα−オレフィンの含有量は13C−NMRにより定量した。
(4)4−メチル−1−ペンテン系重合体の密度
ASTM D 1505(水中置換法)に従って、ALFA MIRAGE社電子比重計MD−300Sを用い、水中と空気中で測定された各試料の重量から算出した。
2.原料
実施例および比較例で用いた原料について以下に示す。
(1)4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)
4−メチル−1−ペンテン系重合体1:4−メチル−1−ペンテンとプロピレンとの共重合体(4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量:72モル%、プロピレン由来の構成単位の含有量:28モル%、135℃のデカリン中での極限粘度[η]:1.5dL/g、ASTM D 1505(水中置換法)に従って測定された密度:0.84g/cm
(2)市販のウレタンレザーシート
厚み:0.1mm
[実施例1]
成形機としては、単軸押出成形機、Tダイ、冷却ロール、二酸化炭素供給装置および引取機からなる装置を用いた。4−メチル−1−ペンテン系重合体1を単軸押出成形機のシリンダー内で溶融・混練しながら、二酸化炭素供給装置から押出成形機のシリンダーの途中に二酸化炭素を注入し、次いで、Tダイからシート状に押出した。押し出された発泡シートは、冷却ロールで冷却して、引取機を用いて引き取ることによって、板状体(A)を得た。
次いで、目的とする立体構造を形成するようにあらかじめ設計された部材(B)を、SBR系溶剤接着剤を用いて板状体(A)に接合した。部材(B)は、部材(B)(三井化学東セロ(株)製パロニア(登録商標)、ポリプロピレン製発泡シート)の原反シートから切り出した。板状体(A)と部材(B)との接合時は、板状体(A)の折り曲げ線部上に部材(B)が重ならないように設置した。
上記の手順により、図1に示す構造体100を作製した(板状体(A)の厚み:1mm、部材(B)の厚み:5mm)。ここで、板状体(A)の各特性は以下の通りである。
ガラス転移温度:28℃
損失正接(tanδ)の極大値を示す温度:28℃
損失正接の極大値:2.7
23℃における貯蔵弾性率:27MPa
次いで、得られた第1形態の構造体100について、室温で、折り曲げ線部10を折り曲げることによって、図4に示す第2形態である立体形状の構造体100に変形させた。得られた第2形態の構造体100は、4℃(冷蔵庫内)において、24時間経過しても、その立体形状を維持していた。また、得られた第2形態の構造体100は、室温においても、第1形態の構造体100への戻りは緩やかで10秒経過しても第1形態には戻らず、立体形状をある程度維持していた。
すなわち、本実施形態に係る構造体100は、平面形状または立体形状である第1形態から、立体形状である第2形態に変形することが可能であり、かつ、第2形態の立体形状の保持性に優れていた。
[比較例1]
実施例1で使用した板状体(A)の代わりに、上記ウレタンレザーシートを用いた以外は実施例1と同様にして構造体を得た。ここで、ウレタンレザーシートの各特性は以下の通りである。
ガラス転移温度:−20℃
損失正接(tanδ)の極大値を示す温度:−20℃
損失正接の極大値:0.2
23℃における貯蔵弾性率:150MPa
次いで、得られた第1形態の構造体について、室温で、折り曲げ線部を折り曲げることによって、図4に示す第2形態である立体形状の構造体に変形させた。得られた第2形態の構造体は、その立体形状はすぐに展開され、第1形態に戻ってしまった。
すなわち、比較例1の構造体は、第2形態の立体形状の保持性に劣っていた。
10 折り曲げ線部
100 構造体

Claims (14)

  1. 平面形状または立体形状である第1形態から、第1形態とは異なる形状であり、かつ、立体形状である第2形態に変形することが可能な構造体であって、
    複数の折り曲げ線部を有し、かつ、温度に応じて前記折り曲げ線部の可動性が変化する板状体(A)を備え、
    前記複数の折り曲げ線部を折り曲げることによって、前記第1形態から前記第2形態に変形することが可能である構造体。
  2. 請求項1に記載の構造体において、
    当該構造体を前記第1形態から前記第2形態に変形したとき、
    所定の温度よりも低い第1温度領域において前記第2形態の立体構造を維持でき、
    前記所定の温度よりも高い第2温度領域において前記第2形態の立体構造を変形できる構造体。
  3. 請求項1または2に記載の構造体において、
    前記第2形態は内部に空間を有する構造体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構造体において、
    前記板状体(A)は形状記憶シートにより構成されている構造体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構造体において、
    前記板状体(A)は少なくとも−20℃超え100℃以下の範囲にガラス転移温度が1つ以上観察される構造体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の構造体において、
    動的粘弾性測定により求められる、前記板状体(A)の損失正接(tanδ)の極大値を示す温度が少なくとも−20℃超え100℃以下の範囲に1つ以上あり、かつ、前記損失正接の極大値が0.3以上である構造体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の構造体において、
    動的粘弾性測定により求められる、前記板状体(A)の23℃における貯蔵弾性率が1MPa以上1000MPa以下である構造体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の構造体において、
    前記板状体(A)の少なくとも一方の面に、前記板状体(A)とは異なる部材(B)を有する構造体。
  9. 請求項8に記載の構造体において、
    前記折り曲げ線部上には、前記部材(B)が形成されていない構造体。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の構造体において、
    前記板状体(A)は形状記憶ポリマーを含む構造体。
  11. 請求項10に記載の構造体において、
    前記形状記憶ポリマーは、ノルボルネン系形状記憶ポリマー、トランスポリイソプレン系形状記憶ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体系形状記憶ポリマー、ウレタン系形状記憶ポリマー、エステル系形状記憶ポリマー、スチレン系形状記憶ポリマー、オレフィン系形状記憶ポリマー、乳酸系形状記憶ポリマー、アクリル系形状記憶ポリマーおよびアミド系形状記憶ポリマーからなる群から選択される一種または二種以上を含む構造体。
  12. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の構造体において、
    前記板状体(A)は4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む構造体。
  13. 請求項12に記載の構造体において、
    前記4−メチル−1−ペンテン系重合体が4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位と4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを含む構造体。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の構造体において、
    当該構造体の厚みが0.1mm以上60mm以下の範囲である構造体。
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