以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す平断面図である。また、図2は、図1のII−II線断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に設けられるフォグランプであって、ハウジングとしてのランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、光源20とこの光源20からの光を配光制御するための光学部材30とが収容された構成となっている。
なお、車両用灯具10としては、図1において、Xで示す方向が「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)である。
光源20は、車幅方向(すなわち左右方向)に延びる横長矩形状の発光面20aを有する白色発光ダイオードであって、その発光面20aを灯具正面方向(すなわち車両前方)へ向けた状態で、ヒートシンク機能を有する基板22を介してランプボディ12の後面壁12cに支持されている。
光学部材30は、光源20からの出射光を偏向制御するレンズ32と、このレンズ32を支持するレンズホルダ34とを備えた構成となっている。これらレンズ32およびレンズホルダ34は、いずれも透明樹脂製の部材であって、溶着や嵌合等によって一体化されている。
レンズ32は、光源20の前方側に配置されており、その光軸Axは発光面20aの下方近傍において灯具前後方向に延びている。このレンズ32は、前面が凸面状に形成されるとともに後面が平面状に形成されており、その左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜した状態で配置されている。そして、このレンズ32は、光源20からの出射光を、やや下向きで車幅方向に大きく拡がる光として灯具前方へ出射させ、これによりフォグランプ用配光パターンを形成するようになっている。
レンズホルダ34は、レンズ32の外周縁部を支持するリング状部材として構成されている。このレンズホルダ34は、その本体部分34Aがレンズ32の後面に沿って左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜しており、その左右両側部には1対の脚部34L、34Rが形成されている。
そして、この光学部材30は、左右1対の脚部34L、34Rにおいて、ランプボディ12に対して車幅方向(すなわち光軸Axと直交する水平方向)に延びる回動軸線Ax1回りに回動可能に支持されている。
これを実現するための具体的な構成は以下のとおりである。
すなわち、左右1対の脚部34L、34Rは、平面視においてレンズホルダ34の本体部分34Aの左右両側部から左右両方向へ突出した後、灯具後方へ向けて板状に延びるように形成されている。各脚部34L、34Rの後端部の外側面(すなわち光軸Axとは反対側に位置する側面)には、回動軸線Ax1上において外側へ突出する支点突起部34La、34Raが形成されている。
左右1対の脚部34L、34Rは、いずれも側面視においてレンズホルダ34の本体部分34Aから灯具後方へ向けて舌片状に延びるように形成されている。その際、レンズホルダ34の本体部分34Aが左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜しているのに伴って、右側の脚部34Rよりも左側の脚部34Lの方が長尺で形成されている。また、左右1対の支点突起部34La、34Raは、いずれも円錐台状に形成されるとともにその基端部が円柱状に形成されているが、その基端部は右側の支点突起部34Raよりも左側の支点突起部34Laの方が長くなっている。
そして、光学部材30は、そのレンズホルダ34における右側の脚部34Rの支点突起部34Raがランプボディ12の右側壁12aの内面に形成された凹陥部12a1に挿入されるとともに、その左側の脚部34Lの支点突起部34Laがランプボディ12の左側壁12bに形成された貫通孔12b1に挿入されることによって、ランプボディ12に対して回動軸線Ax1回りに回動可能に支持されるようになっている。なお、ランプボディ12の左側壁12bには、貫通孔12bを塞ぐための栓部材16が外面側から装着されている。
図3は図1の要部詳細図であり、図4は図2の要部詳細図である。
これらの図にも示すように、ランプボディ12は、その左後端部が後面壁12cから灯具後方側へ張り出す張出し部12dとして構成されている。この張出し部12dの下壁部には、光学部材30を回動軸線Ax1回りに回動させるための光軸調整ネジ40が、鉛直方向に延びる軸線Ax2回りに回転可能に支持されている。
この光軸調整ネジ40は、樹脂製の部材であって、その下端部から上端部へ向けて段階的に径が小さくなるように形成されており、その上端部にネジ部40aが形成されている。このネジ部40aはメートルネジで構成されている。そして、この光軸調整ネジ40は、そのネジ部40aを灯室内に露出させるとともに、その下端部を外部空間に露出させた状態で、その中間に位置する軸部40bにおいてランプボディ12に支持されている。
この光軸調整ネジ40の下端部には、ドライバー挿入穴40cが形成されており、このドライバー挿入穴40cに図示しないドライバーを挿入して操作することにより、光軸調整ネジ40を軸線Ax2回りに回転させ得るようになっている。この光軸調整ネジ40の軸部分40bには、灯室内の気密性を確保するためのOリング42が装着されている。
レンズホルダ34には、その左側部に灯具後方へ向けて延びる突起片34Bが形成されている。この突起片34Bは、左側の脚部34Lと同一鉛直面上において板状に延びるように形成されており、その後端縁は回動軸線Ax1よりも灯具後方側(光軸調整ネジ40よりもさらに灯具後方側)に位置している。
この突起片34Bは、側面視において、レンズホルダ34の本体部分34Aから回動軸線Ax1よりも灯具後方側の位置までの部分が、略U字状のスリット34aを介して左側の脚部34Lを囲むように形成されており、それよりも灯具後方側に位置する後部領域34Baが、光軸Axと同じ高さ位置において灯具後方へ向けて略一定の上下幅で延びるように形成されている。
この突起片34Bは、その外側面(光軸Axとは反対側に位置する側面)が単一平面状に形成されているが、その内側面には後部領域34Baの途中部分に段差が形成されており、これよりも灯具後方側に位置する部分は他の一般部分よりも薄肉になっている。そして、この薄肉になった部分の内側面には、光軸調整ネジ40と螺合するための複数本(具体的には3本)の溝部34Ba1が形成されている。なお、後部領域34Baの内側面において複数本の溝部34Ba1の上下両側に位置する部分は、溝部34Ba1の片側部分を延長させたような鉛直断面形状で形成されている。
光学部材30は、その光軸調整の基準位置となる回動基準位置にあるとき、複数本の溝部34Ba1が光軸Axと同じ高さ位置を中心にして光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合するようになっている。
図5は図3のV−V線断面図であり、図6は図3のVI−VI線断面図である。
これらの図に示すように、各溝部34Ba1は、略楔状の鉛直断面形状で灯具前後方向に延びるように形成されており、その上下幅は光軸調整ネジ40のネジ部40aのピッチと同じ値に設定されている。
突起片34Bの後部領域34Baは、その内側面の後端縁寄りの部分が平面視においてテーパー状に形成されており、これに伴い複数本の溝部34Ba1はその後端面が側面視においてジグザグ状に形成されている。
ランプボディ12の左側壁12bの内面は、滑らかな平面形状を維持したまま張出し部12dまで延びるように形成されているが、その後端部には突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40との螺合状態から離脱するのを防止するための離脱防止部12b2が形成されている。この離脱防止部12b2は、左側壁12bの内面における後端部の一部領域を他の一般部分よりも内面側に変位させて厚肉とすることにより、突起片34Bの後部領域34Baの外側面と近接する位置関係で形成されている。
具体的には、図6に示すように、この離脱防止部12b2は、該離脱防止部12b2と突起片34Bの後部領域34Baの外側面との隙間の寸法Aが、突起片34Bの後部領域34Baの溝部34Ba1と光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態での有効歯たけの寸法Bよりも小さい値(例えばA=0.2〜0.6×B程度の値)となるように形成されている。
また、図5に示すように、この離脱防止部12b2は、側面視において、光軸Axと同じ高さ位置を中心にして灯具前方へ向けて等脚台形状に延びるように形成されており、その前端縁は回動軸線Ax1の灯具後方近傍に位置している。その際、この離脱防止部12b2は、図6に示すように、その外周縁部が滑らかな曲面形状となるように形成されている。具体的には、この離脱防止部12b2の外周面は、左側壁12bの内面の面直方向に対して30〜45°程度傾斜した方向に延びる傾斜面で構成されており、かつ、この外周面と離脱防止部12b2の内側面との間の稜線部分には、R0.5〜1.0mm程度のコーナRが付与されている。
一方、突起片34Bにおける外側面とその上端面および下端面との間の稜線部分にも、R0.5〜1.0mm程度のコーナRが付与されている。
図5および6に示すように、ランプボディ12の左側壁12bの内面には、光学部材30が回動基準位置(すなわち図中実線で示す位置)から回動軸線Ax1回りに所定角度以上回動したとき、突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態から離脱するのを許容する上下1対の離脱許容部12b3、12b4が形成されている。
上側の離脱許容部12b3は、離脱防止部12b2に対して外面側に変位した側面部12b3aと、光軸Axから上方側に所定距離だけ離れた位置に形成された上面部12b3bとで構成されており、下側の離脱許容部12b4は、離脱防止部12b2に対して外面側に変位した側面部12b4aと、光軸Axから下方側に所定距離だけ離れた位置に形成された下面部12b4bとで構成されている。その際、各側面部12b3a、12b4aは、左側壁12bの内面の一般部分と面一で形成されている。また、上面部12b3bおよび下面部12b4bは、光学部材30が回動基準位置から通常の光軸調整角度範囲(すなわち図中2点鎖線で示す角度範囲(例えば±4°程度の範囲))を超えて所定角度以上(例えば±11°程度)回動したとき(すなわち図中破線で示す位置まで回動したとき)、その突起片34Bが当接する位置に形成されている。
各離脱許容部12b3、12b4の機能について説明すると以下のとおりである。
すなわち、光軸調整ネジ40の回転操作が過度に行われて、光学部材30が回動基準位置から必要以上に大きな角度まで回動すると、図5において破線で示すように、突起片34Bの後端部が離脱許容部12b3の上面部12b3bまたは下面部12b4bに当接して、それ以上の回動が規制される。この状態からさらに光軸調整ネジ40の回転操作が行われると、そのネジ部40aから受ける押圧力によって、図6において破線で示すように、突起片34Bは軸線Ax2から離れる方向(すなわち外面側)に変位しようとする。その際、各離脱許容部12b3、12b4の側面部12b3a、12b4aは離脱防止部12b2に対して外面側に変位しているので、突起片34Bは、その溝部34Ba1が光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態から離脱し、光軸調整ネジ40は空回りすることとなる。
なお、このように空回りするようになった状態においても、突起片34Bはその弾性力によって軸線Ax2に近づく方向に付勢されているので、光軸調整ネジ40を逆方向に回す回転操作が行われると、突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40のネジ部40aと再び螺合して、光学部材30は回動基準位置に近づく方向へ回動することとなる。
その際、離脱防止部12b2は、その外周面が傾斜面で構成されるとともにその内側面との間の稜線部分にはコーナRが付与されており、また、突起片34Bの稜線部分にもコーナRが付与されているので、突起片34Bの溝部34Ba1の、光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態からの離脱および復帰は極めて円滑に行われることとなる。
図7は、本実施形態において、光学部材30をランプボディ12に組み付ける際の様子を示す、図1と同様の図である。
同図に示すように、光学部材30を斜めにした状態で、その突起片34Bの後端部および左側の脚部34Lの支点突起部34Laをランプボディ12の左側壁12bの内面に当接させ、これらをそれぞれ弾性変形させる。この状態で、右側の脚部34Rをランプボディ12の内部に挿入して、この脚部34Rの支点突起部34Raをランプボディ12の右側壁12aの凹陥部12a1に挿入する。その後、光学部材30を、その支点突起部34Ra付近を中心にして図示矢印方向に回動させるようにして押し込み、これにより突起片34Bの後端部および脚部34Lの支点突起部34Laをランプボディ12の左側壁12bの内面に沿って灯具後方側へ移動させる。そして、突起片34Bの後端部を左側壁12bの内面の後端部に形成された離脱防止部12b2に乗り上げさせた後、脚部34Lの支点突起部34Laを左側壁12bの貫通孔12b1に挿入する。
これにより、光学部材30は、ランプボディ12に対して回動軸線Ax1回りに回動可能に支持された状態となる。このとき、突起片34Bは、その内側面に形成された複数の溝部34Ba1において光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合するとともに、その外側面がランプボディ12の離脱防止部12b2と近接した状態となる。
同図に2点鎖線で示すように、光学部材30の構成として、仮に突起片34Bと左側の脚部34Lとが一体的に形成されていたとすると、脚部34Lの支点突起部34Laがランプボディ12の左側壁12bの内面に当接したとき、突起片34Bは左側壁12bの内面から離れてしまい、その後端部が光軸調整ネジ40と干渉してしまうこととなる。しかしながら、本実施形態の光学部材30は、突起片34Bと左側の脚部34Lとが互いに独立して弾性変形する構成となっているので、このような不具合が生じてしまうことなく光学部材30の組付けが円滑に行われることとなる。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具10は、ランプボディ12(ハウジング)に対して光学部材30を車幅方向(灯具前後方向と交差する第1方向)に延びる回動軸線Ax1回りに回動させるための光軸調整ネジ40が、鉛直方向(灯具前後方向および第1方向と交差する第2方向)に延びるように配置された状態でランプボディ12に支持された構成となっているが、光学部材30の左端部(第1方向の端部)には灯具後方へ向けて延びる突起片34Bが形成されており、この突起片34Bの回動軸線Ax1よりも灯具後方側に位置する後部領域34Baの内側面には光軸調整ネジ40と螺合する溝部34Ba1が形成されており、またランプボディ12には、突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態から離脱するのを防止するための離脱防止部12b2が、突起片34Bの後部領域34Baの外側面と近接する位置関係で形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、ランプボディ12に離脱防止部12b2が形成されていることにより、光学部材30の構成として、従来のように1対の突起片を備えた構成としなくても、突起片34Bの溝部34Ba1と光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態を維持することができる。そしてこれにより、車両振動等によって突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態から離脱してしまうのを未然に防止することができる。
したがって、灯具組付けの際、単一の突起片34Bをその溝部34Ba1において光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合させるだけで足り、これにより灯具組付けの自由度を高めることができるので、車両用灯具10の組付作業性を高めることができる。
このように本実施形態によれば、光源20からの光を光学部材30によって配光制御するように構成された車両用灯具10において、光学部材30がランプボディ12に対して回動し得る構成となっている場合であっても、その組付作業性を高めることができる。
また本実施形態のように、突起片34Bを単一化することにより、光学部材30の軽量化および省スペース化を図ることができる。
本実施形態においては、光学部材30の左端部に灯具後方へ向けて延びる脚部34Lが形成されており、この脚部34Lの外側面における回動軸線Ax1上の位置に、ランプボディ12との係合により光学部材30を回動軸線Ax1回りに回動可能に支持するための支点突起部34Laが形成されているので、灯具組付けの際、突起片34Bおよび脚部34Lの各々をランプボディ12の左側壁12bの内面に当接させることにより互いに独立して弾性変形させることが可能となる。そしてこれにより、突起片34Bの溝部34Baを光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合させる作業と、脚部34Lの支点突起部34Laをランプボディ12の貫通孔12b1に挿入して係合させる作業とが円滑に行われるようにすることができる。
その際、本実施形態においては、脚部34Lが灯具後方へ向けて舌片状に形成されており、また、突起片34Bが車幅方向に関して脚部34Lと同一位置において脚部34Lを囲むように形成されているので、車両用灯具10の必要左右幅を最小限に抑えた上で、突起片34Bおよび脚部34Lをそれぞれ安定的に弾性変形させることが可能となる。
さらに本実施形態においては、ランプボディ12に、光学部材30が回動基準位置から所定角度以上回動したとき、突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態から離脱するのを許容する離脱許容部12b3、12b4が形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、光軸調整ネジ40の回転操作が過度に行われたような場合には、光学部材30が回動基準位置から必要以上に大きな角度まで回動してしまうこととなるが、光学部材30が回動基準位置から所定角度以上回動したとき、突起片34Bの溝部34Ba1を光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態から離脱させることにより、光軸調整ネジ40を空回りさせることができる。そしてこれにより、光学部材30の回動量を適正な角度範囲内に抑えることができ、かつ、突起片34Bの溝部34Ba1や光軸調整ネジ40のネジ部40aがその螺合部分において不用意に損傷してしまうのを未然に防止することができる。
上記実施形態においては、突起片34Bの後部領域34Baに3本の溝部34Ba1が形成されているものとして説明したが、2本以下あるいは4本以上の溝部34Ba1が形成された構成とすることも可能である。
上記実施形態においては、光学部材30として、レンズ32がレンズホルダ34に支持された構成となっているものとして説明したが、レンズ32とレンズホルダ34とが単一の部材として構成されたものとすることも可能である。
上記実施形態においては、光源20が基板22を介してランプボディ12の後面壁12cに支持されているものとして説明したが、光源20が基板22を介してソケットに支持された構成とした上で、そのソケットがランプボディ12の後面壁12cに対して着脱可能に装着された構成とすることも可能である。
上記実施形態においては、光学部材30を支持するハウジングがランプボディ12であるものとして説明したが、それ以外の灯具構成部材(例えばランプボディ12に支持されたフレーム部材等)を採用することも可能である。
上記実施形態においては、車両用灯具10が、フォグランプであるものとして説明したが、これ以外の灯具(例えばヘッドランプ等)として構成することも可能である。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
図8(a)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図4と同様の図であり、図8(b)は、図8(a)のb−b線断面図である。
これらの図に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、ランプボディ112の張出し部112dの構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例のランプボディ112は、その張出し部112dの下壁部が、光軸調整ネジ40の灯具後方側に位置する後側支持部112d1と、光軸調整ネジ40の前方側に位置する前側支持部112d2とに分離された構成となっている。
光軸調整ネジ40は、軸部40bの上端部が上方側へ向けてテーパー状に形成されており、ネジ部40aの下端部も上方側へ向けてテーパー状に形成されている。そして、これらの間に位置する軸部40bの最上端部は、小径のネック部40b1として構成されている。
後側支持部112d1は、その前面が側面視において光軸調整ネジ40の軸部40bの外形形状に沿って延びるように形成されているが、その上端部は平面視においてネック部40b1の半径よりも大きい曲率半径の円弧形状を有している。そして、この後側支持部112d1の上端部は、回動軸線Ax1の灯具後方位置ではネック部40b1と係合しているが、左右両側に離れるに従ってその係合幅が徐々に小さくなり、左右両端部では係合しなくなっている。
一方、前側支持部112d2は、回動軸線Ax1の前方において、ネジ部40aの外径寸法よりも狭い左右幅でかつこの左右幅よりも狭い前後幅で、上方へ向けて延びる突起片として構成されている。この前側支持部112d2は、その後面が側面視において光軸調整ネジ40の軸部40bの外形形状に沿って延びるように形成されており、その上端部においてネック部40b1と係合している。
そして本変形例においては、光軸調整ネジ40をランプボディ112の張出し部112dに対して下方から挿入したとき、前側支持部112d2が前方側へ撓むことによって、後側支持部112d1の上端部が光軸調整ネジ40のネック部40b1と係合した後、前側支持部112d2の上端部が光軸調整ネジ40のネック部40b1と係合するようになっている。
本変形例の構成を採用することにより、ランプボディ112の張出し部112dに対して光軸調整ネジ40を容易に組み付けることが可能となり、かつ、その組付け完了後は、ランプボディ112による光軸調整ネジ40の支持が確実に行われるようにすることが可能となる。
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
図9は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図4と同様の図である。
同図に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、光学部材230の構成が上記実施形態の場合と一部異なっており、これに伴いランプボディ212の構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の光学部材230も、レンズ232ならびにレンズホルダ234の本体部分234Aおよび脚部234L等の構成については上記実施形態の場合と同様であるが、突起片234Bの構成が上記実施形態の場合と異なっている。
具体的には、本変形例の突起片234Bは、脚部234Lの下方において灯具後方へ向けて延びるように形成されている。
この突起片234Bは、脚部234Lと同一鉛直面上において板状に延びるように形成されており、その後端縁は光軸調整ネジ40よりも灯具後方側に位置している。
この突起片234Bは、側面視において、レンズホルダ234の本体部分234Aから回動軸線Ax1よりも灯具後方側の位置までの部分が、灯具後方へ向けて先細りとなるように形成されており、それよりも灯具後方側に位置する後部領域234Baが、さらに狭い上下幅でかつ略一定の上下幅で形成されている。
この突起片234Bの外側面は、単一平面状に形成されているが、その内側面には、光軸調整ネジ40と螺合するための複数本(具体的には3本)の溝部234Ba1が形成されている。
本変形例においては、突起片234Bが脚部234Lの下方に配置されているのに対応して、ランプボディ212の張出し部212dおよび光軸調整ネジ40の配置が上記実施形態の場合よりも下方に変位している。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
そして、本変形例の構成を採用することにより、レンズホルダ234の成形を容易に行うことができる。
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
図10(a)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図3と同様の図である。
図10(a)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、光学部材330の構成が上記実施形態の場合と一部異なっており、これに伴いランプボディ312の構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の光学部材330は、その突起片334Bの後部領域334Bが他の一般部分に比して大きい左右幅で形成されている。そして、この後部領域334Bは、ランプボディ312の離脱防止部312b2からの押圧力によって弾性変形し得るように構成されている。
具体的には、本変形例の突起片334Bは、その後部領域334Baが平面視において灯具前後方向に長い筒状構造を有しており、その右側壁部334BaRの内側面(すなわち軸線Ax2寄りの側面)に光軸調整ネジ40と螺合するための複数本の溝部334Ba1が形成された構成となっている。
この後部領域334Baの左側壁部334BaLは、右側壁部334BaRよりも薄肉で形成されており、その後端部は右側壁部334BaRへ向けて湾曲するように形成されている。その際、この後部領域334Baは、その左側壁部334BaLの外側面が後部領域334Ba以外の他の一般部分の外側面と面一で形成されている。
本変形例のランプボディ312は、その基本的な構成については上記実施形態の場合と同様であるが、突起片334Bの後部領域334Baの左右幅が大きくなっているのに伴い、その張出し部312dの左右幅が上記実施形態の場合よりも大きくなっている。
そして本変形例においては、突起片334Bの溝部334Ba1と光軸調整ネジ40のネジ部40aとが螺合した状態において、ランプボディ312の離脱防止部312b2と突起片334Bの後部領域334Baにおける左側壁部334BaLの外側面とが接触するようになっている。
本変形例の光学部材330は、その突起片334Bの後部領域334Bがランプボディ312の離脱防止部312b2から右方向(すなわち軸線Ax2寄りの方向)への押圧力を受けると、その左側壁部334BaLの後端部が弾性変形して離脱防止部312b2との接触状態を維持するようになっている。
本変形例の構成を採用することにより、離脱防止部312b2を突起片334Bの後部領域334Baの外側面と接触する位置関係で形成した場合においても、光軸調整ネジ40を操作する際に過大な負荷が生じてしまうのを未然に防止することができる。そしてこれにより、光軸調整ネジ40の操作性を確保した上で、突起片334Bの溝部334Ba1と光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態を確実に維持することができる。
また本変形例においては、光学部材330とランプボディ312との組付誤差等によって、突起片334Bの後部領域334Baがランプボディ312の離脱防止部312b2と干渉してしまったような場合においても、その左側壁部334BaLの後端部が弾性変形することによって離脱防止部312b2との接触状態を維持することが可能となる。
次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。
図10(b)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図10(a)と同様の図である。
図10(b)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第3変形例の場合と同様であるが、光学部材430の構成が上記第3変形例の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の光学部材430は、その突起片434Bの後部領域434Baが、平面視において灯具前後方向に長い筒状構造の一部が欠けた構成を有しており、その右側壁部434BaRの内側面に光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合するための複数本の溝部434Ba1が形成された構成となっている。
この後部領域434Baの左側壁部434BaLは、右側壁部434BaRよりも薄肉で形成されている。そして、この左側壁部434BaLは、その後端部が右側壁部434BaRへ向けて湾曲するように形成されており、その前部領域が切り欠かれた構成となっている。
本変形例の光学部材430も、その突起片434Bの後部領域434Baがランプボディ312の離脱防止部312b2からの押圧力によって弾性変形し得る構成となっている。
本変形例の光学部材430も、突起片434Bの後部領域434Baがランプボディ312の離脱防止部312b2から右方向への押圧力を受けると、その左側壁部434BaLの後端部が弾性変形して離脱防止部312b2との接触状態を維持するようになっている。
したがって、本変形例の構成を採用した場合においても、上記第3変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
次に、上記実施形態の第5変形例について説明する。
図10(c)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図10(a)と同様の図である。
図10(c)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第3変形例の場合と同様であるが、光学部材530の構成が上記第3変形例の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の光学部材530は、その突起片534Bの後部領域534Baが、平面視において灯具前後方向に長い筒状構造の一部が欠けた構成を有しており、その右側壁部534BaRの内側面に光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合するための複数本の溝部534Ba1が形成された構成となっている。
この後部領域534Baは、左側壁部534BaLが右側壁部534BaRよりも薄肉で形成されており、その後端部において左側壁部534BaLと右側壁部534BaRとが切り離された構成となっている。左側壁部534BaLの後端部は、その外側面が灯具後方へ向けて湾曲した表面形状を有している。
本変形例の光学部材530も、突起片534Bの後部領域534Baがランプボディ312の離脱防止部312b2から右方向への押圧力を受けると、その左側壁部534BaLの後端部が弾性変形して離脱防止部312b2との接触状態を維持するようになっている。
したがって、本変形例の構成を採用した場合においても、上記第3変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
次に、上記実施形態の第6変形例について説明する。
図11(a)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図6と略同様の図である。
図11(a)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、ランプボディ612の左側壁612bの内面に形成された離脱防止部612b2の形状が上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の離脱防止部612b2も、上記実施形態の離脱防止部12b2と同様、灯具前方へ向けて等脚台形状に延びるように形成されているが、その外周縁部が上記実施形態の離脱防止部12b2の外周縁部のように滑らかな曲面形状で形成されていない点で上記実施形態の場合と異なっている。
具体的には、この離脱防止部612b2の外周面は、上記実施形態の場合と同様の傾斜面で構成されているが、この外周面と離脱防止部612b2の内側面との間の稜線部分にコーナRは付与されておらず、いわゆるピン角(すなわち角張った形状)で形成されている。
なお、ランプボディ612の左側壁612bの内面に形成された上下1対の離脱許容部612b3、612b4の構成については、上記実施形態の場合と同様である。
本変形例の構成を採用した場合においても、突起片34Bの稜線部分にはコーナRが付与されているので、突起片34Bの溝部34Ba1の、光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態からの離脱および復帰が円滑に行われるようにすることができる。
次に、上記実施形態の第7変形例について説明する。
図11(b)は、本変形例に係る車両用灯具の要部を示す、図6と略同様の図である。
図11(b)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、ランプボディ712の左側壁712bの内面に形成された離脱防止部712b2の形状が上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の離脱防止部712b2も、上記実施形態の離脱防止部12b2と同様、灯具前方へ向けて等脚台形状に延びるように形成されているが、その外周縁部の形状が上記実施形態の場合と異なっている。
具体的には、この離脱防止部712b2の外周面は、ランプボディ712の左側壁712bの内面から垂直に立ち上がる垂直面で構成されており、かつ、この外周面と離脱防止部712b2の内側面との間の稜線部分はピン角で形成されている。
なお、ランプボディ712の左側壁712bの内面に形成された上下1対の離脱許容部712b3、712b4の構成については、上記実施形態の場合と同様である。
本変形例の構成を採用した場合においても、突起片34Bの稜線部分にはコーナRが付与されているので、突起片34Bの溝部34Ba1の、光軸調整ネジ40のネジ部40aとの螺合状態からの離脱および復帰が円滑に行われるようにすることができる。
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。