態様及び実施形態は、概して光学システム及び方法に関し、特にスペクトルイメージングシステム及び方法に関する。具体的には、様々な態様及び実施形態は、フォーカルプレーンに近接したファブリーペロー干渉計を含むイメージングシステムに関し、ファブリーペロー干渉計は、フォーカルプレーンに置かれた(1つ以上の)イメージングセンサ上に入射電磁エネルギーを集束させるように構成される。様々な態様及び実施形態によれば、電気光学検出器FPAの収集効率を改善するように設計された、フォーカルプレーンアレイ(FPA)に近接したファブリーペロー干渉計を含む装置を製造及び使用するシステム及び方法が提供され、FPAのアクティブ領域は、2次元アレイピクセルセンサを有する。FPA検出器ピクセルの上方に配置されたファブリーペロー干渉計が、収集効率を効果的に高め、それにより、受動的な電気光学/赤外線(EO/IR)レシーバの検出感度を向上させるとともに、イメージングシステムのサイズを減少させる。
一実施形態によれば、干渉計システムは、基板と該基板上に配置されたピクセルの2次元アレイとを有する光検出器と、該光検出器に近接して配置された干渉計であり、当該干渉計と上記光検出器との間に光学素子はなく、当該干渉計は、上記基板に近接して位置し、且つ上記ピクセルの2次元アレイの上を延在した第1のプレートと、上記第1のプレートから離間された第2のプレートであり、上記第1のプレートと当該第2のプレートとが、それらの間に光学ギャップを画成する、第2のプレートと、上記第1のプレートと上記第2のプレートとの間に位置する少なくとも1つの作動(アクチュエート)可能なスペーサであり、上記第1のプレート及び上記第2のプレートを互いに離間させるとともに、上記光学ギャップの厚さを選択的に変えるように構成された少なくとも1つの作動可能なスペーサとを含む、干渉計とを含む。
一例において、上記光検出器は、フォーカルプレーンアレイ検出器である。
一例において、当該干渉計システムは更に、上記第1のプレート及び上記第2のプレートの内表面に配設された反射コーティングを含む。
一例において、当該干渉計システムは更に、上記光学ギャップの上記厚さを選択的に変えるために上記スペーサを作動させるように構成された微小電気機械システムアクチュエータを含む。
一例において、上記少なくとも1つのスペーサは圧電材料を含む。この圧電材料は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、及びランタンをドープされたチタン酸ジルコン酸鉛、のうちの少なくとも1つを含み得る。
一例において、上記少なくとも1つのスペーサは、上記第1のプレートのエッジと上記第2のプレートのエッジとの間に位置する。
一例において、上記少なくとも1つのスペーサは、上記光学ギャップの外部に位置する。
他の一実施形態によれば、ソリッドステート干渉計システムは、基板と該基板上に配置されたピクセルの2次元アレイとを有する光検出器と、上記光検出器に近接して配置された干渉計であり、当該干渉計と上記光検出器との間に光学素子はなく、当該干渉計は、上記ピクセルの2次元アレイの上に堆積された第1の層であり、その上に入射する光放射線を反射するように構成された第1の層と、上記第1の層の上に堆積された作動可能スペーサ層であり、電子的に可変の厚さを持つ作動可能スペーサ層と、上記作動可能スペーサ層の上面の上に配置された第1の反射コーティングであり、上記第1の層で反射された上記光放射線を反射するように構成された第1の反射コーティングとを含む、干渉計とを含む。
一例において、上記光検出器は、フォーカルプレーンアレイ検出器である。
一例において、上記第1の層は、上記作動可能スペーサに面する上記第1の層の表面に配置された、第2の反射コーティングを含む。
一例において、当該ソリッドステート干渉計システムは更に、上記第1の反射コーティングの上に堆積された第2の層を有する。
一例において、上記作動可能スペーサ層は圧電材料を含む。この圧電材料は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、及びランタンをドープされたチタン酸ジルコン酸鉛、のうちの少なくとも1つを含み得る。
一例において、当該ソリッドステート干渉計システムは更に、上記光検出器と通信する光学トレインを含む。
これら例示的な態様及び実施形態の更なる他の態様、実施形態、及び利点が、以下にて詳細に説明される。ここに開示される実施形態は、ここに開示される原理のうちの少なくとも1つと一貫したやり方で他の実施形態と組み合わされることができ、“実施形態”、“一部の実施形態”、“代替実施形態”、“様々な実施形態”、“一実施形態”、又はこれらに類するものへの言及は、必ずしも相互に排他的なものではなく、記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを指し示すことを意図したものである。ここにこれらの用語が複数現れることは、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。
態様及び実施形態は、概して電磁放射線の検出のための装置及び方法に関し、特に、光放射線のイメージング及び/又はスペクトル分析のための装置及び方法に関する。特には光センサである電磁放射線センサの設計においては、感度を有するコンパクトなシステムを提供するために、しばしば、様々な設計検討事項が考慮に入れられる。熱赤外線用途のスペクトルイメージングシステムに関連するサイズ、重量、電力、及びコストを低減するには、関連付けられるデュワー又はその他の冷却チャンバのサイズと必要な冷却電力を最小化するように、冷却を要するコンポーネントの数を最小化することが有利である。上述のように、従来のファブリーペロー干渉計は、イメージング検出器が置かれるフォーカルプレーンから空間的に離隔され、干渉計とフォーカルプレーンとの間に位置付けられる結像光学系を必要とする。さらに、それらのイメージングシステムは典型的に、像を作り出すために、例えば、“インセクトアイ(昆虫の眼)”アレイといった小型レンズ(レンズレット)アレイ及び中継光学系などの追加の光学素子を必要とする。これらのコンポーネントは物理的に大きい傾向がある。従って、従来システムは、高性能のために相当なデュワーを必要とするか又は冷却されないままであるかの何れかであり、有意な性能低下をもたらす。
態様及び実施形態は、フォーカルプレーンアレイに近接して位置付けられる非常に小型で低熱質量の干渉計を作製することによってこれらの欠点を回避するコンパクトなイメージングデバイスを提供することに向けられる。特に、詳細に後述するように、特定の実施形態は、赤外線フォーカルプレーンアレイ(FPA)検出器に近接して位置付けられるファブリーペロー干渉計を含む。この構成は、更に後述するように、従来のイメージングシステムと比較して、例えばサイズ、重量、耐久性、及びコストに関して、利点を提供し得る。例えば、ファブリーペロー干渉計を赤外線フォーカルプレーンアレイ検出器に近接配置することは、なおも焦点の合った像を生成しながら、補助的な光学系を不要にする。故に、より詳細に後述するように、態様及び実施形態は、関連付けられる赤外線フォーカルプレーンアレイ検出器に合う大きさにされたデュワー内に収まるのに十分なコンパクトであるとともに、例えば1つ以上の電磁放射源を有する光学トレイン又は1つ以上のミラーを有する光学トレインといった適切な前方光学系(フォアオプティクス)に適合した、スペクトル選択性のデバイスを提供する。
さらに、ファブリーペロー干渉計に必要とされる平行度を下げるためにも、ファブリーペロー干渉計をFPAに近接して位置付けることは有利である。典型的なイメージングシステムは、ファブリーペロー干渉計がアレイから遠く離されるときに、検出器アレイによって知覚される歪みを低減するために、ファブリーペロー干渉計における高い度合いの局所平行性及び平坦性を要求し得るソリッドステート検出器アレイを有する。対照的に、個々の検出器ピクセルの2次元アレイを有するFPA検出器を干渉計の近傍で使用することは、システムが小領域で高い平行度を示すことを可能にする。さらに、そのようなFPAセンサにおいて、焦点合わせのための機構が使用されない場合、電磁放射線を結像させることは、個々の検出器ピクセル間の格子ギャップにおいて無駄になるであろう。従って、特定の例は、有利には、FPAセンサに、該FPAに近接配置されたファブリーペロー干渉計を提供することで、収集効率を高め、センサの検出感度を向上させ、また、ハイパースペクトルイメージングでの使用を可能にする。
典型的なファブリーペロー干渉計は、干渉計の自由スペクトル領域(free spectral range;FSR)の圧電走査の技術を使用することがある。しかしながら、より詳細に後述するように、特定の実施形態は、光学的に透明な圧電材料の薄膜を使用して、必要とされる距離を走査し得る。この距離は、例えば、約10μmと約20μmとの間であり得る。ファブリーペロー干渉計の通過帯域波長は、ミラー間の距離を調節することによって制御されることができる。走査式ファブリーペロー干渉計とともに使用される例示的な方法は、2つの反射プレートのうちの一方を機械的に移動させるものである。特定の例において、必要な機械的走査距離は電磁放射線波長のオーダーにあるので、圧電アクチュエータによってこの走査を行うことができる。圧電走査は、低速走査モードと高速走査モードとの双方を可能にするとともに、プレート位置の指標として走査電圧を直接的に使用することを可能にする。加えて、更に後述するように、ピエゾスタックの駆動電圧を自動又は手動で調節することによって、最終的な調節を容易に行うことができる。
理解されるべきことには、本発明は、適用において、以下の記載に説明され又は図面に図示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではない。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、様々なやり方で実施あるいは実行されることが可能である。また、ここで使用される言葉遣い及び用語は、記述目的でのものであり、限定するものとして見なされるべきでない。ここでの、“含む”、“有する”、“持つ”、“含有する”、“伴う”及びこれらの変形の使用は、その後に挙げられる品目及びそれらの均等物並びに更なる品目を含む意味である。
図1を参照するに、特定の実施形態に従った電磁放射線センサ100の一例の一部が、全体として100で指し示されて、断面図にて示されている。電磁放射線センサ100は、共通基板110及び検出器ピクセル111を有するフォーカルプレーンアレイ(FPA)と、第1及び第2のプレート101、102、及び光学スペーサ106、107を有する干渉計とを有している。一実施形態において、干渉計120はファブリーペロー干渉計である。一例において、FPAセンサシステム110を形成するために、共通基板110上に例えば数千といった複数の検出器ピクセル111がともに形成され得る。例えば、一部の実施形態において、FPAセンサシステムは、1040×720アレイの検出器ピクセル111を含み得るが、如何なるサイズのアレイが使用されてもよい。複数の検出器ピクセル111は、例えば、基板110の表面上に配置され又は基板110に埋め込まれ得る。基板110は、検出器ピクセル111の支持を提供し得る。
電磁放射線センサ100の実施形態は、特定の波長又は帯域の電磁放射線108、109を検出するため、及び/又はこの特定の波長又は帯域の電磁放射線108、109を用いて対象物を撮像するために使用され得る。一実施形態において、電磁放射線108、109は赤外電磁放射線とし得る。上述のように、特定の実施形態によれば、FPAセンサ100は、関心ある波長範囲又は波長帯の入射電磁放射線の焦点を合わせるように構成された検出器ピクセル111のアレイを含む。電磁放射線検出器素子110は、関心ある特定の波長の電磁放射線に曝されることに応答して信号を生成し、そして、電磁放射線センサ内の1つ以上の電磁放射線検出器素子からの信号から、画像が構築され得る。
電磁センサ100にて使用されるファブリーペロー干渉計は薄いことが望ましいとし得る。この設計目標を達成することに伴う幾つかの課題が存在する。例えば、更に後述するように、干渉計の窓厚さ、スペーサ厚さ、及び検出器ピクセル間隔が、追加の光学素子を必要とせずにピクセルクロストークを最小化するのに十分な小ささにされることがある。スペーサを作動(アクチュエート)させることによってスペクトル走査を遂行することで、干渉計120がチューナブル帯域通過フィルタとして機能することが好ましいことがある。略全ての光子を検出器ピクセルの上に導くことによって達成される高い収集効率は、望ましくは、ファブリーペロー干渉計の光学ギャップ105内の吸収に起因する光子の損失によって損なわれない。
ここに開示される電磁放射線センサ100の設計の態様及び実施形態は、限定的なデュワーの中に収まるのに十分なコンパクトでありながら、多くのFPAアレイセンサでの使用に望まれる性能を達成することができる。
なおも図1を参照するに、第1及び第2のプレート101、102は、それらの間に光学ギャップ105を置いて薄いファブリーペロー干渉計を形成する2つの平行なプレートと見なされ得る。光学ギャップ内の入射光は、これらのプレートでの多重反射を経験し、波長、層の厚さ、及びプレートの微細構造に依存する透過特性及び反射特性の双方がもたらされる。第1及び第2のプレート101、102の反射性は、それぞれ、反射コーティング103及び104によって与えられ得る。反射コーティング103、104は、第1及び第2のプレート101、102の内表面に設けられる。さらに、第1のプレート101の外面は、反射防止コーティング(図示せず)を有していてもよい。第1のプレート101の外面上の反射防止コーティングは、到来する電磁放射線をフィルタリングするように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、第1のプレート101及び第2のプレート102は、電磁放射線をフィルタリングするように構成され得る。例えば、第1のプレート101及び第2のプレート102は、特定の波長の電磁放射線を阻止するとともに、他の波長の電磁放射線が通り抜けることを可能にするように構成され得る。
少なくとも1つの実施形態において、干渉計120のキャビティは、光学ギャップ105によって形成される。光学ギャップ105内の放射線は、光学的に一様な媒体内でのように伝播及び屈折する。表面での法線入射の場合、対応する透過波及び反射波は、垂直に伝播する平面波である。しかしながら、第1のプレート101及び第2のプレート102の内部では、電磁放射線は表面のモードによって表される。第1のプレート101及び第2のプレート102の反射率は、これら2つのプレートからの反射が正確に逆位相であり且つ双方のプレートの反射率がほぼ同じであるときに、ほぼゼロまで低下されることができる。第1のプレート101及び第2のプレート102の反射率は、反射コーティング103、104によって決定され得る。第1のプレート101及び第2のプレート102の反射が正確に逆位相であり、且つ双方のプレートの反射率がほぼ同じであるとき、光学ギャップ105の透過率は100%に近くなる。一部の実施形態において、光学ギャップ105は、光学的に透明な材料を有し得る。他の実施形態において、光学ギャップ105の光学特性は均一であり得るが、他の実施形態では光学ギャップ105の光学特性は均一でない。好ましくは、光学ギャップ105のサイズは、検出器ピクセル111のアレイを横切って起こる拡散が非常に少ないようなものである。
一実施形態において、光学ギャップ105は、追加的に反射防止(AR)機能を提供し得る材料を有していてもよい。また、一部の実施形態において、透過放射線は同じ表面を何度も通り抜け、そして、同じ層を一度通り抜けるのと比較して、光学位相遅延が強くなる。これらの効果の双方が、すなわち、反射防止特性による挿入損失の低減、及び透過における振幅の増大の双方が、電磁放射線センサ100の実施形態の設計において利用され得る。
一部の実施形態において、第1のプレート101のエッジと第2のプレート102のエッジとの間に、電気的に可変のエタロンスペーサ106及び107が配置される。電気的可変エタロンスペーサ106及び107は、干渉計を“チューニングする”ために使用され得る。スペーサ106及び107は、第1のプレート101及び第2のプレート102を直線状の均一な位置に保つ。可動ミラーに適した張力を生成して維持することができる。スペーサ106及び107は光学的に活性ではない。一部の実施形態において、スペーサ106及び107は環帯(アニュラス)であってもよい。
一実施形態において、電気的可変エタロンスペーサ106及び107は圧電材料を有する。例えば、スペーサ106及び107は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、及びランタンをドープされたチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)のうちの少なくとも1つとし得る。
一部の実施形態において、電気的可変エタロンスペーサ106及び107は、圧電アクチュエータによって作動され得る。他の実施形態において、電気的可変エタロンスペーサ106及び107は、電気アクチュエータによって作動されてもよい。更なる他の実施形態において、電気的可変エタロンスペーサ106及び107は、機械的アクチュエータによって作動されてもよい。特定の従来の干渉計システムでは、特に、個々の干渉計が個々の検出器ピクセルに付随しているシステムでは、必要とされる(1つ以上の)干渉計プレートの動きを生じさせるために微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータが使用されている。しかしながら、対照的に、特定の実施形態によれば、電気的可変エタロンスペーサ106及び107は、MEMSアクチュエータによって作動されるのでない。何故なら、個々の1つのピクセルのみに付随するのではなく、検出器ピクセルのアレイ全体にわたって延在し得るものであるファブリーペロー干渉計プレートのサイズが、MEMSアクチュエータを使用するには大きすぎるからである。代わりに、特定の例では、上述のように圧電アクチュエータを使用することができる。
図2を参照するに、特定の実施形態に従った例示的な電磁放射線センサの一部が、全体として200で指し示されて、断面図にて示されている。図2は、共通基板110と検出器ピクセル111とを有するFPAセンサシステムに近接したファブリーペロー干渉計220を示している。一部の実施形態において、第1のプレート101及び第2のプレート102のエッジ間に代えて、光学ギャップ105の外部に、電気的可変エタロンスペーサ206及び207が配置される。電気的可変エタロンスペーサ206及び207は、干渉計を“チューニングする”ために使用され得る。スペーサ206及び207は、第1のプレート101及び第2のプレート102を直線状の均一な位置に保つ。可動ミラーに適した張力を生成して維持することができる。スペーサ206及び207は光学的に活性ではない。一部の実施形態において、スペーサ206及び207は環帯(アニュラス)であってもよい。
図3を参照するに、特定の実施形態に従った例示的な電磁放射線センサの一部が、全体として300で指し示されて、断面図にて示されている。図3は、共通基板110と検出器ピクセル111とを有するFPAセンサシステムに近接したファブリーペロー干渉計320を有するソリッドステート干渉計システムの一例を示している。一部の実施形態において、第1のプレート101及び第2のプレート102のエッジ間又は光学ギャップ105の外部に代えて、光学ギャップ105内に電気的可変エタロンスペーサ306が配置される。電気的可変エタロンスペーサ306は、検出器ピクセル111を有する共通基板110の上を延在し得る。一部の実施形態において、電気的可変エタロンスペーサ306は、光学ギャップ105を完全に充たし得る。電気的可変エタロンスペーサ306は、干渉計を“チューニングする”ために使用され得る。電気的可変エタロンスペーサ306は、第1のプレート101及び第2のプレート102を直線状の均一な位置に保つ。可動ミラーに適した張力を生成して維持することができる。スペーサ306は光学的に活性ではない。
電気的可変エタロンスペーサ306は、例えばスパッタリング堆積プロセスなどの堆積プロセスによって形成され得る。堆積プロセスは、冷却による蒸気の直接的な凝固を有していてもよい。一部の実施形態において、電気的可変エタロンスペーサ306は圧電結晶とし得る。圧電結晶は、スペクトル選択性デバイスが平坦であり且つ振動の影響を受けにくいような厚さを有し得る。
一部の実施形態において、ソリッドステート干渉計システムの第2のプレート102は、オプションであってもよく、可変エタロンスペーサ306の上面に直に堆積された反射コーティングによって置き換えてもよい。この実施形態において、第1のプレート101は、検出器ピクセル111を有する共通基板110の上に堆積され得る。第1のプレート101は、検出器ピクセル111を有する共通基板110の実質的に全体にわたって延在し得る。第1のプレート101は、検出器ピクセル111を有する共通基板110の完全に全体にわたって延在してもよい。第1のプレート101上に反射コーティング103が堆積され得る。反射コーティング103上に電気的可変スペーサ306が堆積され得る。電気的可変エタロンスペーサ306上に反射コーティング104が堆積され得る。オプションで、反射コーティング104上に第2のプレート102が堆積され得る。結果として得られたシステムは、ソリッドステート干渉計システムを提供する。
ソリッドステート干渉計システムは、固体状態でない要素を含む干渉計システムに対する利点を有し得る。例えば、ソリッドステート干渉計システムは、例えばエタロンスペーサ及びプレートなどの個々の素子のアライメントを必要としない。加えて、ソリッドステート干渉計システムは、固体の状態で素子間の空間が除去されているので、固体状態でない要素を含む干渉計システムよりもコンパクトになり得る。
図4は、本発明の一実施形態に従った、光学トレインと光学的に接続している電磁放射線センサ400を例示している。電磁放射線センサ400は、上述した実施形態のうちの何れかとし得る。本発明の1つの目的は、適切な前方光学系(フォアオプティクス)に適合した、スペクトル選択性のデバイスを提供することである。前方光学系412は、1つ以上の電磁放射線源を有し得る。前方光学系412は、1つ以上の光学素子を有し得る。例えば、前方光学系412は、1つ以上のミラーを有し得る。前方光学系412は、電磁放射線をフィルタリングするように構成された1つ以上の光学フィルタを有していてもよい。
本発明に従った電磁放射線センサ及び干渉計は、光領域内の任意の放射線に関する使用に合わせて設計されることができる。例えば、干渉計は、可視電磁放射線、紫外線(UV)、近赤外線(NIR)、及び赤外線(IR)に関する使用に合わせて設計され得る。必要なのは、動作波長に対して光学的に透明なミラー構造及び基板の材料を選択することだけである。
シミュレーション例及び結果
図5は、本発明に従ったフォーカルプレーンアレイと近接したファブリーペロー干渉計を有する例示的なイメージングシステムのスペクトル応答を例示している。スペクトル応答は、異なる波長の光放射線に対する光センサの感度を記述する。スペクトル感度は、信号の波長の関数としての、電磁放射線の相対的な検出効率である。約8.6μmの走査距離でイメージングシステムを動作させた。試験した電磁放射線は、およそ8μmからおよそ12μmの波長範囲を有する熱赤外電磁放射線とした。図5は、上述のパラメータについての、エタロン単独のスペクトル透過率のモデリング結果を示している。検出器のスペクトル応答に、エタロンのスペクトル透過率を乗算することで、正味のシステムスペクトル応答が計算される。最大吸光度の波長が各ピークの上に示される。図5にて見て取れるように、各ピークが略等しい感度を表している。
バンドギャップは、ギャップサイズに依存する何らかの波長領域であり得る。可視電磁放射線、UV放射線、NIR、及びIRを含め、使用される異なるスペクトルからも、同様のスペクトル応答パターンが得られることになると期待される。しかしながら、熱赤外線スペクトルは、高度の冷却を必要とするので、これらの中で、このイメージング機能を実行するのが最も困難なスペクトルである。
当業者が理解するはずのことには、ここに記載されたパラメータ及び構成は例示的なものであり、実際のパラメータ及び/又は構成は、開示されたシステム及び技術が使用される具体的な用途に依存することになる。当業者はまた、開示された特定の実施形態に均等なものを認識するはずであり、又は日常的な実験を用いて解明することができるはずである。例えば、当業者が認識し得ることには、本開示に従ったシステム及びそのコンポーネントは、ネットワーク又はシステムを更に有していてもよいし、あるいはイメージングシステムのコンポーネントであってもよい。故に、理解されるべきことには、ここに記載された実施形態は単なる例として提示されており、添付の請求項の範囲及びそれに均等な範囲の中で、開示された実施形態は、具体的に記載されたものとは別の方法で実施され得る。本システム及び方法は、ここに記載された個々の特徴、システム、又は方法の各々に関する。さらに、そのような特徴、システム又は方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム又は方法の組合せも、本開示の範囲内に含まれる。ここに開示された方法のステップは、例示された順序で実行されてもよいし、別の順序で実行されてもよく、また、方法は、追加のアクト又は代わりのアクトを含んでいてもよいし、例示されたアクトのうちの1つ以上を省略して実行されてもよい。
また、理解されるべきことには、当業者には様々な改変、変更、及び改良が容易に浮かぶであろう。そのような改変、変更、及び改良は、この開示の一部であることが意図され、また、本開示の精神及び範囲の中にあることが意図される。また、既存の設備を改良して、ここに記載された方法及びシステムの何れか1つ以上の態様を利用したり組み込んだりし得る。故に、一部の例において、これらのシステムは、例えば、ここに開示された波長範囲の到来電磁放射線に少なくとも部分的に応答してファブリーペローミラーの位置が制御される方法及びシステムを用いて、フォーカルプレーンアレイに近接したファブリーペロー干渉計を有するように、既存のシステムを接続又は設定することを伴い得る。従って、以上の説明及び図面は単に例によるものである。さらに、図の描写は、特に図示された表現に本開示を限定するものではない。
本開示の例示的な実施形態を開示してきたが、それらには、以下の請求項に記載される開示の精神及び範囲並びにその均等範囲を逸脱することなく、数多くの変更、付加、及び削除が為され得る。