JP2019194560A - 温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラム - Google Patents

温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラム Download PDF

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敬之 西川
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充弘 松永
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Yuko Sakuma
結子 佐久間
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Abstract

【課題】低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができる温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラムを提供する。【解決手段】サーバ300は、室内気温、外気温及び空気調和機の消費電力を含むセンサデータの集合の中から、空気調和機が所定時間以上継続して稼働しているときの稼働期間に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出し、第1の部分集合の中から、複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出し、住宅の熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで断熱性能値及び熱容量を算出し、第2の部分集合ごとに算出した断熱性能値及び熱容量の中から、室内気温の予測値と実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定し、断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能評価指標を出力する。【選択図】図1

Description

本開示は、住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラムに関するものである。
従来、住宅の温熱性能を評価するための一般的な方法として、住宅の設計図書に基づき、使用されている建材などの情報に基づいて温熱性能を計算する方法と、現場での測定機器による計測結果に基づいて温熱性能を計算する方法とが存在する。しかし、前者の方法については、古い住宅などで設計図書が失われていると、温熱性能を評価することができなくなる。また、後者の方法については、計測に用いる測定機器にかかる費用コストが大きく、さらに、住宅を計測に適した環境にする必要があるため、居住者にかける負担が大きい。
上記の課題を解決する方法として、住宅内外に設置されたセンサによって計測された値から住宅の温熱性能を評価する方法が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
例えば、非特許文献1の技術では、室内の空気温度、室外の空気温度、空気調和機の吸込空気温度、及び空気調和機の吐出空気温度の各計測データに対してレスポンスファクタ法又はカルマンフィルタ法を適用することで、住宅の温熱性能として熱貫流率及び熱容量を算出している。
また、例えば、特許文献1の技術では、空気調和機が繰り返し取得する複数の温度情報に対して多変数最小二乗法を適用することで、住宅の温熱性能として熱容量及び熱貫流率を算出している。
特開2017−72298号公報
加藤貞政、谷口雄樹、岡建雄著、「家庭用熱負荷計算法の研究」、空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集、1995年
しかしながら、上記従来の技術では、居住者にかかる負担は解消されないおそれがあるとともに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができないおそれがあり、更なる改善が必要とされていた。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたもので、低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができる温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラムを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る温熱性能評価方法は、住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価装置における温熱性能評価方法であって、前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集し、前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出し、前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出し、前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出し、前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定し、前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力する。
本開示によれば、低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができる。
本開示の実施の形態1における温熱性能評価システムの構成を示す図である。 本開示の実施の形態1におけるセンサデータの一例を示す図である。 センサデータ蓄積部に蓄積されるセンサデータの集合と、第1のセンサデータ抽出部により抽出されるセンサデータの第1の部分集合と、第2のセンサデータ抽出部により抽出されるセンサデータの第2の部分集合との関係を示す図である。 本開示の実施の形態1において、複数の抽出対象期間を説明するための図である。 本開示の実施の形態1における空気調和機のCOP曲線の一例を示す図である。 センサデータに含まれる室内気温の実測値と、室内気温の予測値との一例を示す図である。 センサデータの第1の部分集合ごとの外皮平均熱貫流率と平均残差との関係の一例を示す図である。 本開示の実施の形態1のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第1のフローチャートである。 本開示の実施の形態1のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第2のフローチャートである。 本開示の実施の形態2における温熱性能評価システムの構成を示す図である。 本開示の実施の形態3における温熱性能評価システムの構成を示す図である。 本開示の実施の形態3のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第1のフローチャートである。 本開示の実施の形態3のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第2のフローチャートである。 本開示の実施の形態4における温熱性能評価システムの構成を示す図である。 本開示の実施の形態4における住宅地点情報の一例を示す図である。 本開示の実施の形態4における観測地点情報の一例を示す図である。 本開示の実施の形態4における気象情報の一例を示す図である。 本開示の実施の形態4のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第1のフローチャートである。 本開示の実施の形態4のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第2のフローチャートである。
(本開示の基礎となった知見)
非特許文献1の技術は、環境試験室内に建築された、実際には居住者の存在しない実験用住宅において効果が確認されたものである。そのため、実際に居住者が住宅内部で生活している状況下で取得された計測データを用いて、非特許文献1の技術による温熱性能評価が行われた場合に、適切な評価値が得られない可能性がある。適切な評価値が得られない場合には、住宅の環境を実験環境に近づける必要があり、居住者にかかる負担は解消されないおそれがある。
また、特許文献1の技術では、熱容量及び熱貫流率の値は、算出する毎に上書きして更新される。実際に居住者が住宅内部で生活している状況下で取得された複数の温度情報が、熱容量及び熱貫流率の算出に用いられる場合、複数の温度情報には、居住者がドア又は窓を開閉することによる住宅内の環境の変化、又は時刻ごとの日射量の変化などの外乱による影響が含まれる。そのため、算出結果の熱容量及び熱貫流率も外乱の影響で変動することになり、どの時点において算出された熱容量及び熱貫流率の値を、住宅の温熱性能の評価値とすればよいかの判断が困難である。
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る温熱性能評価方法は、住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価装置における温熱性能評価方法であって、前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集し、前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出し、前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出し、前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出し、前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定し、前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力する。
この構成によれば、居住者が実際に生活している住宅の室内気温、外気温及び空気調和機の消費電力を含むセンサデータが定期的に収集され、収集されたセンサデータを用いて断熱性能値及び熱容量が算出され、断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標が出力されるので、低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を評価することができる。また、住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで断熱性能値と熱容量とが第2の部分集合ごとに算出され、第2の部分集合ごとに算出された断熱性能値及び熱容量の中から、断熱性能値、熱容量及び熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量が特定され、特定された断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標が出力されるので、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記温熱性能評価指標の出力において、前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記第2の部分集合ごとに算出される前記平均残差のうち、前記平均残差の最小値から所定範囲内にある少なくとも1つの平均残差に対応する少なくとも1つの断熱性能値及び少なくとも1つの熱容量を抽出し、抽出した前記少なくとも1つの断熱性能値の平均値及び前記少なくとも1つの熱容量の平均値を、前記温熱性能評価指標として出力してもよい。
この構成によれば、第2の部分集合ごとに算出した断熱性能値及び熱容量の中から、第2の部分集合ごとに算出される平均残差のうち、平均残差の最小値から所定範囲内にある少なくとも1つの平均残差に対応する少なくとも1つの断熱性能値及び少なくとも1つの熱容量が抽出され、抽出された少なくとも1つの断熱性能値の平均値及び少なくとも1つの熱容量の平均値が、温熱性能評価指標として出力されるので、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能をより高い精度で評価することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記複数の抽出対象期間は、前記空気調和機の稼働開始から、前記所定時間Tが経過するまでの第1の抽出対象期間と、前記空気調和機の稼働開始から、前記所定時間Tに所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第2の抽出対象期間と、前記空気調和機の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、前記所定時間Tが経過するまでの第3の抽出対象期間と、前記空気調和機の稼働開始から前記所定時間Tが経過した時点から、前記所定時間Tに前記所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第4の抽出対象期間と、を含んでもよく、前記所定時間T、前記所定時間T、前記所定時間T及び前記稼働期間Tは、T≧T+T+Tを満たしてもよい。
この構成によれば、空気調和機の稼働開始から、所定時間Tが経過するまでの第1の抽出対象期間で収集したセンサデータが抽出されるので、空気調和機が少なくとも所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータさえあれば、住宅の断熱性能値及び熱容量を算出することができる。また、空気調和機の稼働開始から、所定時間Tに所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第2の抽出対象期間で収集したセンサデータが抽出されるので、空気調和機が稼働を開始してから充分に時間が経過し、住宅の内部環境と外部環境とがより熱平衡に近い状態となっている可能性が高いときのセンサデータを使用して住宅の断熱性能値及び熱容量を算出することができる。また、空気調和機の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、所定時間Tが経過するまでの第3の抽出対象期間で収集したセンサデータが抽出されるので、空気調和機が稼働を開始した直後で、住宅の内部環境と外部環境とが熱平衡に達しない期間のセンサデータを除いて、住宅の断熱性能値及び熱容量を算出することができる。また、空気調和機の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、所定時間Tに所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第4の抽出対象期間で収集したセンサデータが抽出されるので、空気調和機が稼働を開始した直後で、住宅の内部環境と外部環境とが熱平衡に達しない期間のセンサデータを除き、かつ、空気調和機が稼働を開始してから充分に時間が経過し、住宅の内部環境と外部環境とが、より熱平衡に近い状態となっている可能性が高いときのセンサデータを使用して、住宅の断熱性能値及び熱容量を算出することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記断熱性能値は、外皮平均熱貫流率を含んでもよい。
この構成によれば、外皮平均熱貫流率を断熱性能値として用いて、住宅の温熱性能を評価することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記熱平衡式は、前記住宅内部の熱容量をC[J/K]とし、前記外皮平均熱貫流率をU[W/mK]とし、前記住宅の外皮表面積をA[m]とし、前記室内気温をθ[℃]とし、前記外気温をθ[℃]とし、前記住宅内部で発生する熱量をH[W]としたとき、下記の式(1)で表されてもよい。
この構成によれば、上記の式(1)に示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで断熱性能値と熱容量とを算出することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記熱平衡式は、前記住宅内部の熱容量をC[J/K]とし、前記外皮平均熱貫流率をU[W/mK]とし、前記住宅の外皮表面積をA[m]とし、前記室内気温をθ[℃]とし、前記外気温をθ[℃]とし、前記住宅内部で発生する熱量をH[W]とし、前記住宅の換気量をnV[m/s]とし、空気密度をρ[kg/m]とし、空気比熱をc[J/kgK]としたとき、下記の式(2)で表されてもよい。
この構成によれば、上記の式(2)に示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで、住宅内の換気による外乱に影響されない断熱性能値と熱容量とを算出することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記熱量Hは、前記センサデータに含まれる前記空気調和機の前記消費電力と、前記空気調和機の定格能力と、前記空気調和機の成績係数(COP:Coefficient of Performance)と前記空気調和機の前記定格能力に対する前記消費電力の割合を表す負荷率との関係を表すCOP曲線とを用いて算出されてもよい。
この構成によれば、空気調和機の定格能力とCOP曲線とは、空気調和機に応じて予め決められているので、センサデータに含まれる空気調和機の消費電力が収集されることにより、熱量Hを容易に算出することができ、熱量Hを用いて断熱性能値及び熱容量を算出することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記断熱性能値は、熱損失係数を含んでもよい。
この構成によれば、熱損失係数を断熱性能値として用いて、住宅の温熱性能を評価することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記第1の部分集合の抽出において、前記収集したセンサデータの集合から、前記空気調和機が前記所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、前記空気調和機が日射による影響のない時間帯に稼働しているときの前記稼働期間Tに収集されたセンサデータを前記第1の部分集合として抽出してもよい。
この構成によれば、収集したセンサデータの集合から、空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、空気調和機が日射による影響のない時間帯に稼働しているときの稼働期間Tに収集されたセンサデータが第1の部分集合として抽出されるので、住宅内の日射による外乱に影響されない断熱性能値及び熱容量を算出することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記日射による影響のない時間帯は、夜間の時間帯であってもよい。
この構成によれば、収集したセンサデータの集合から、空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、空気調和機が夜間の時間帯に稼働しているときの稼働期間Tに収集されたセンサデータが第1の部分集合として抽出されるので、住宅内の日射による外乱に影響されない断熱性能値及び熱容量を算出することができる。
また、上記の温熱性能評価方法において、前記日射による影響のない時間帯は、合計した日照時間が所定時間以下である時間帯であってもよい。
この構成によれば、収集したセンサデータの集合から、空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、空気調和機が、合計した日照時間が所定時間以下である時間帯に稼働しているときの稼働期間Tに収集されたセンサデータが第1の部分集合として抽出されるので、住宅内の日射による外乱に影響されない断熱性能値及び熱容量を算出することができる。
本開示の他の態様に係る温熱性能評価装置は、住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価装置であって、前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集する収集部と、前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出する第1の抽出部と、前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出する第2の抽出部と、前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出する算出部と、前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定する特定部と、前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力する出力部と、を備える。
この構成によれば、居住者が実際に生活している住宅の室内気温、外気温及び空気調和機の消費電力を含むセンサデータが定期的に収集され、収集されたセンサデータを用いて断熱性能値及び熱容量が算出され、断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標が出力されるので、低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を評価することができる。また、住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで断熱性能値と熱容量とが第2の部分集合ごとに算出され、第2の部分集合ごとに算出された断熱性能値及び熱容量の中から、断熱性能値、熱容量及び熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量が特定され、特定された断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標が出力されるので、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができる。
本開示の他の態様に係る温熱性能評価プログラムは、住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価プログラムであって、前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集し、前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出し、前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出し、前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出し、前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定し、前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力するようにコンピュータを機能させる。
この構成によれば、居住者が実際に生活している住宅の室内気温、外気温及び空気調和機の消費電力を含むセンサデータが定期的に収集され、収集されたセンサデータを用いて断熱性能値及び熱容量が算出され、断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標が出力されるので、低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を評価することができる。また、住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで断熱性能値と熱容量とが第2の部分集合ごとに算出され、第2の部分集合ごとに算出された断熱性能値及び熱容量の中から、断熱性能値、熱容量及び熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量が特定され、特定された断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標が出力されるので、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができる。
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における温熱性能評価システムの構成を示す図である。本実施の形態1に係る温熱性能評価システムは、住宅100に設置されている空気調和機200と、住宅100の温熱性能を評価するサーバ300とを備える。空気調和機200とサーバ300とは、それぞれネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク400は、例えば、インターネットである。
空気調和機200は、室内の気温を冷やしたり暖めたりすることにより、室内の気温を調整する。空気調和機200は、室内機210と室外機220とを主な構成要素として備える。室内機210と室外機220との間で熱交換が行われることにより、住宅100内の室内気温が調整される。室内機210は、電力センサ211、室内気温センサ212、センサデータ生成部213及び通信部214を備える。室外機220は、外気温センサ221を備える。
電力センサ211は、空気調和機200が稼働しているときに消費している電力を計測する。
室内気温センサ212は、空気調和機200が設置されている住宅100の室内の気温を計測する。
外気温センサ221は、空気調和機200が設置されている住宅100の屋外の気温を計測する。
センサデータ生成部213は、電力センサ211、室内気温センサ212及び外気温センサ221によって計測された値を定期的に取得し、センサデータを生成する。
図2は、本開示の実施の形態1におけるセンサデータの一例を示す図である。図2に示すように、センサデータは、機器ID400、タイムスタンプ401、稼働状態402、室内気温403、外気温404及び消費電力405を有する。機器ID400は、空気調和機200を一意に特定するためのIDである。タイムスタンプ401は、センサデータ生成部213がセンサデータを生成した日時である。稼働状態402は、空気調和機200の電源がオンされているか又はオフされているかを表す。室内気温403は、室内気温センサ212の出力値である。外気温404は、外気温センサ221の出力値である。消費電力405は、電力センサ211の出力値である。なお、センサデータは、少なくとも機器ID400、タイムスタンプ401、稼働状態402、室内気温403、外気温404及び消費電力405を含んでいればよく、空気調和機200に搭載されている他の任意のセンサの出力値を含んでもよい。
通信部214は、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Bluetooth(登録商標)及び/又は携帯情報端末キャリアの通信網を利用して、外部機器へデータを送信するとともに、外部機器からデータを受信する。通信部214は、センサデータ生成部213によって生成されたセンサデータをサーバ300へ送信する。
サーバ300は、通信部310、メモリ320及びプロセッサ330を備える。メモリ320は、例えば、半導体メモリ又はハードディスクドライブであり、センサデータ蓄積部321及び温熱性能パラメータ記憶部322を備える。プロセッサ330は、第1のセンサデータ抽出部331、第2のセンサデータ抽出部332、温熱性能パラメータ算出部333、温熱性能パラメータ特定部334及び温熱性能評価部335を備える。
通信部310は、空気調和機200の通信部214と同様の機能を有し、有線LAN、無線LAN及び/又は携帯情報端末キャリアの通信網を利用して、外部機器へデータを送信するとともに、外部機器からデータを受信する。通信部310は、空気調和機200によって送信されたセンサデータを受信する。
通信部310は、住宅100の室内気温、住宅100の外気温及び住宅100内に配置された空気調和機200の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集する。通信部310は、受信したセンサデータをセンサデータ蓄積部321に記憶する。
以下、図3を参照しながら、センサデータ蓄積部321、第1のセンサデータ抽出部331及び第2のセンサデータ抽出部332の各機能について説明する。
図3は、センサデータ蓄積部321に蓄積されるセンサデータの集合と、第1のセンサデータ抽出部331により抽出されるセンサデータの第1の部分集合と、第2のセンサデータ抽出部332により抽出されるセンサデータの第2の部分集合との関係を示す図である。
センサデータ蓄積部321は、通信部310によって受信されたセンサデータを蓄積する。図3において、センサデータの集合Sは、センサデータ蓄積部321に蓄積されたセンサデータの集合を表している。
第1のセンサデータ抽出部331は、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合の機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照する。第1のセンサデータ抽出部331は、収集されたセンサデータの集合の中から、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集されたセンサデータを第1の部分集合として抽出する。図3において、センサデータの第1の部分集合Sは、センサデータの集合Sの中から第1のセンサデータ抽出部331によって抽出されたセンサデータの第1の部分集合を表している。
第2のセンサデータ抽出部332は、第1の部分集合の中から、稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集されたセンサデータを第2の部分集合として抽出する。第2のセンサデータ抽出部332は、第1のセンサデータ抽出部331によって抽出されたセンサデータの第1の部分集合の中から、抽出対象期間を変更しながら抽出対象期間ごとに収集されたセンサデータを第2の部分集合として抽出する。図3において、センサデータの第2の部分集合Si,jは、第1の部分集合Sの中から第2のセンサデータ抽出部332によって抽出されたセンサデータの第2の部分集合を表している。
以下、図4を参照しながら、第2のセンサデータ抽出部332が、第1のセンサデータ抽出部331によって抽出されたセンサデータの第1の部分集合Sの中から、抽出対象期間を変更しながら抽出対象期間ごとに収集されたセンサデータをセンサデータの第2の部分集合Si,jとして抽出する方法について説明する。
図4は、本開示の実施の形態1において、複数の抽出対象期間を説明するための図である。所定時間Tは、例えば、2時間である。空気調和機200の稼働期間Tは、例えば、3時間である。図4の各時刻は、センサデータが収集されたタイムスタンプ401の時刻を示す。センサデータは、空気調和機200から定期的に送信されるため、稼働期間T内において一定の時間間隔で収集される。図4では、センサデータは、10分間隔で収集されている。
複数の抽出対象期間は、空気調和機200の稼働開始から、所定時間Tが経過するまでの第1の抽出対象期間と、空気調和機200の稼働開始から、所定時間Tに所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第2の抽出対象期間と、空気調和機200の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、所定時間Tが経過するまでの第3の抽出対象期間と、空気調和機200の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、所定時間Tに所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第4の抽出対象期間とを含む。所定時間T、所定時間T所定時間T及び稼働期間Tは、T≧T+T+Tを満たす。
まず、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始から、所定時間Tが経過するまでの第1の抽出対象期間におけるタイムスタンプ401を有するセンサデータを抽出する。図4に示す例では、第2のセンサデータ抽出部332は、6時から8時までのセンサデータを抽出する。
第1の抽出対象期間のセンサデータが抽出されることにより、少なくとも所定時間T以上空気調和機200が稼働しているときのセンサデータさえあれば、住宅100の温熱性能パラメータを算出することが可能となる。
次に、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始から、所定時間T+所定時間Tが経過するまでの第2の抽出対象期間におけるタイムスタンプ401を有するセンサデータを抽出する。図4に示す例では、第2のセンサデータ抽出部332は、6時から8時30分までのセンサデータを抽出する。
第2の抽出対象期間のセンサデータが抽出されることにより、空気調和機200が稼働を開始してから充分に時間が経過し、住宅100の内部環境と外部環境とがより熱平衡に近い状態となっている可能性が高いときのセンサデータを使用して住宅の温熱性能パラメータを算出することが可能となる。そのため、より真値に近い住宅100の温熱性能パラメータが算出される。
次に、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、所定時間Tが経過するまでの第3の抽出対象期間におけるタイムスタンプ401を有するセンサデータを抽出する。空気調和機200の稼働開始から所定時間Tが経過するまでの期間からは、センサデータは抽出されない。図4に示す例では、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始時刻である6時から30分が経過した後、6時30分から8時30分までのセンサデータを抽出する。このとき、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始時刻である6時から、稼働開始から所定時間Tが経過した時刻である6時30分までのセンサデータを抽出しない。
第3の抽出対象期間のセンサデータが抽出されることにより、空気調和機200が稼働を開始した直後で、住宅100の内部環境と外部環境とが熱平衡に達しない期間のセンサデータを除いて、住宅100の温熱性能パラメータを算出することが可能となる。そのため、より真値に近い住宅100の温熱性能パラメータが算出される。
次に、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、所定時間T+所定時間Tが経過するまでの第4の抽出対象期間におけるタイムスタンプ401を有するセンサデータを抽出する。図4に示す例では、第2のセンサデータ抽出部332は、空気調和機200の稼働開始時刻である6時から30分が経過した後、6時30分から9時までのセンサデータを抽出する。
第4の抽出対象期間のセンサデータが抽出されることにより、空気調和機200が稼働を開始した直後で、住宅100の内部環境と外部環境とが熱平衡に達しない期間のセンサデータを除き、かつ、空気調和機200が稼働を開始してから充分に時間が経過し、住宅100の内部環境と外部環境とが、より熱平衡に近い状態となっている可能性が高いときのセンサデータを使用して、住宅100の温熱性能パラメータを算出することが可能となる。そのため、より真値に近い住宅100の温熱性能パラメータが算出される。
なお、所定時間T及び所定時間Tは、T+T+T≦Tを満たす限りにおいて任意の時間であってもよい。そのため、センサデータの第1の部分集合Sの中から第2のセンサデータ抽出部332によって抽出されるセンサデータの第2の部分集合Si,jの個数も任意の数となる。また、T=T、T+T=T、及びT+T=Tであってもよい。
一般に、住宅100の内部環境と外部環境とが熱平衡状態であるときに収集されたセンサデータが用いられることで、算出される住宅100の温熱性能パラメータはより真値に近くなることが期待できる。空気調和機200が稼働を開始してから長時間が経過した時点でのセンサデータほど、より熱平衡に近い状態のときに計測された室内気温、外気温及び消費電力を含んでいる可能性が高い。しかしながら、実際に居住者が生活している住宅100においては、空気調和機200が稼働している間に、住宅100内での居住者によるドア又は窓の開閉などの様々な外乱が発生し得る。そのため、空気調和機200が稼働を開始してから長時間が経過した時点でのセンサデータが、必ずしも熱平衡状態に近い状態で計測された室内気温、外気温及び消費電力を含んでいるとは言えない。そこで、第2のセンサデータ抽出部332は、第1のセンサデータ抽出部331によって抽出された、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときに収集されたセンサデータの第1の部分集合Sの中から、抽出対象期間を変更しながら抽出対象期間ごとに収集されたセンサデータの第2の部分集合Si,jを抽出する。これにより、後述する温熱性能パラメータ算出部333において複数の温熱性能パラメータの候補が算出され、後述する温熱性能パラメータ特定部334において複数の温熱性能パラメータの候補の中から、最も確からしい温熱性能パラメータが選択される。
なお、第2のセンサデータ抽出部332において実施されるセンサデータの抽出は、第1のセンサデータ抽出部331において、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているとして抽出された全ての第1の部分集合Sに対して実施される。
温熱性能パラメータ算出部333は、住宅100の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで住宅100の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを第2の部分集合ごとに算出する。
温熱性能パラメータ算出部333は、第2のセンサデータ抽出部332によって抽出されたセンサデータの第2の部分集合Si,jを用いて、住宅100の温熱性能パラメータを算出する。住宅100の温熱性能パラメータは、住宅100の断熱性能値と熱容量とを含む。断熱性能値は、例えば、外皮平均熱貫流率である。
以下、温熱性能パラメータ算出部333が、住宅100の温熱性能パラメータを算出する手順について説明する。
温熱性能パラメータ算出部333は、住宅100の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで住宅100の温熱性能パラメータを算出する。熱平衡式は、単位時間を1秒として、住宅100内部の熱容量をC[J/K]とし、住宅100の外皮平均熱貫流率をU[W/mK]とし、住宅100の外皮表面積をA[m]とし、室内気温をθ[℃]とし、外気温をθ[℃]とし、住宅100内部で発生する熱量をH[W]としたとき、下記の式(3)で表される。
上記の式(3)は、単位時間をセンサデータの取得間隔とした場合においても成立する。
また、熱量Hは、センサデータに含まれる空気調和機200の消費電力と、空気調和機200の定格能力と、空気調和機200の成績係数(COP:Coefficient of Performance)と空気調和機200の定格能力に対する消費電力の割合を表す負荷率との関係を表すCOP曲線とを用いて算出される。
式(3)に示す熱平衡式より、センサデータの第2の部分集合Si,jの中のk−1番目のセンサデータとk番目のセンサデータとの取得間隔をΔtとし、住宅100内部の熱容量をC[J/K]とし、k−1番目のセンサデータに含まれる室内気温をθr(k−1)とし、k−1番目のセンサデータに含まれる外気温をθa(k−1)とし、k番目のセンサデータに含まれる室内気温をθrkとし、取得間隔Δt内に住宅100内部で発生する熱量をHΔtとし、外皮平均熱貫流率をUとすると、下記の式(4)が得られる。
熱量HΔtは、k−1番目のセンサデータを取得した時刻に発生した熱量Hk−1から、k番目のセンサデータを取得した時刻に発生した熱量Hまでを積算した値である。ここで、取得間隔Δtに発生する熱量HΔtは、空気調和機200によって住宅100内部に供給される熱量とみなし、k−1番目のセンサデータに含まれる消費電力Pk−1と、k番目のセンサデータに含まれる消費電力Pと、空気調和機200の定格能力と、空気調和機200の成績係数と空気調和機200の定格能力に対する消費電力の割合を表す負荷率との関係を表すCOP曲線とに基づいて算出される。
図5は、本開示の実施の形態1における空気調和機200のCOP曲線の一例を示す図である。図5において、縦軸は、成績計数(COP)を示し、横軸は、負荷率を示す。成績係数は、空気調和機200の供給熱量/消費電力によって算出され、負荷率は、空気調和機200の消費電力/定格能力によって算出される。また、定格能力は、空気調和機200ごとに一定の値である。そのため、温熱性能パラメータ算出部333は、空気調和機200の消費電力と空気調和機200の定格能力とにより負荷率を算出し、算出した負荷率とCOP曲線とにより成績係数を特定し、特定した成績係数と消費電力とにより空気調和機200の供給熱量を算出する。
上記の式(4)を変形すると、下記の式(5)が得られる。
温熱性能パラメータ算出部333は、上記の式(5)に対してカルマンフィルタ法を適用することにより、パラメータ1/C及びUA/Cを算出することが可能となる。温熱性能パラメータ算出部333は、算出したパラメータ1/Cの逆数を住宅100の熱容量Cとして算出し、算出したパラメータUA/Cと、算出した住宅100の熱容量Cと、住宅100の外皮表面積Aとにより、住宅100の外皮平均熱貫流率Uを算出する。住宅100の外皮表面積Aとしては、住宅100の設計図書が入手可能な場合は設計図書に記載の外皮表面積が用いられ、設計図書が入手できない場合は住宅100の間取り又は階数などから推定される外皮表面積が用いられてもよい。メモリ320は、住宅100の外皮表面積Aを予め記憶している。例えば、不図示の端末が、ユーザによる外皮表面積Aの入力を受け付け、入力された外皮表面積Aをサーバ300へ送信してもよい。
また、メモリ320は、空気調和機200の定格能力と、COP曲線とを予め記憶している。定格能力及びCOP曲線は、例えば、空気調和機200を製造するメーカから取得される。また、不図示の端末が、ユーザによる定格能力及びCOP曲線の入力を受け付け、入力された定格能力及びCOP曲線をサーバ300へ送信してもよい。
温熱性能パラメータ特定部334は、センサデータの第2の部分集合Si,jごとに温熱性能パラメータ算出部333が算出する住宅100の温熱性能パラメータの中から最も確からしい温熱性能パラメータを選択し、センサデータの第1の部分集合Sから算出される住宅100の温熱性能パラメータとして特定する。温熱性能パラメータ特定部334は、第2の部分集合ごとに算出した断熱性能値及び熱容量の中から、断熱性能値、熱容量及び熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定する。
以下、温熱性能パラメータ特定部334が、センサデータの第2の部分集合Si,jごとに算出される住宅100の温熱性能パラメータの中から最も確からしい温熱性能パラメータを特定する手順について説明する。
上記の式(5)に対してカルマンフィルタ法を適用し、住宅100の温熱性能パラメータとして熱容量C及び外皮平均熱貫流率Uが算出されると、式(5)より、k−1番目のセンサデータに含まれる室内気温θr(k−1)及び外気温θa(k−1)を用いて、k番目の室内気温の予測値θrk(θrkの上に^)を算出することが可能となる。
図6は、センサデータに含まれる室内気温の実測値と、室内気温の予測値との一例を示す図である。室内気温の予測値は、温熱性能パラメータ算出部333によって算出された温熱性能パラメータと、過去のセンサデータに含まれる室内気温及び外気温の実測値とを式(5)に代入することによって得られる。
温熱性能パラメータ特定部334は、センサデータの第2の部分集合Si,jごとに住宅100の温熱性能パラメータとして算出された熱容量Ci,j及び外皮平均熱貫流率UAi,jと、温熱性能パラメータの算出に用いたセンサデータとを用いて室内気温を予測する。そして、温熱性能パラメータ特定部334は、センサデータごとに、室内気温の予測値と室内気温の実測値との残差θrk−θrk(θrkの上に^)の2乗を計算し、センサデータの第2の部分集合Si,j内で2乗した残差の平均値の平方根を平均残差δi,jとして計算する。センサデータの第2の部分集合Si,jごとの熱容量Ci,j、外皮平均熱貫流率UAi,j及び平均残差δi,jが算出されると、温熱性能パラメータ特定部334は、平均残差δi,jが最も小さくなるときの熱容量Ci,j及び外皮平均熱貫流率UAi,jを、センサデータの第1の部分集合Sから算出される住宅100の熱容量Cおよび外皮平均熱貫流率UAiとして特定する。
温熱性能評価部335は、センサデータの第1の部分集合Sごとに温熱性能パラメータ特定部334によって特定された熱容量C、外皮平均熱貫流率UAi及び平均残差δを用いて、住宅100の温熱性能を評価する。温熱性能評価部335は、温熱性能パラメータ特定部334によって特定された断熱性能値及び熱容量に基づいて、住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力する。すなわち、温熱性能評価部335は、第2の部分集合ごとに算出された断熱性能値及び熱容量の中から、第2の部分集合ごとに算出される平均残差のうち、平均残差の最小値から所定範囲内にある少なくとも1つの平均残差に対応する少なくとも1つの断熱性能値及び少なくとも1つの熱容量を抽出し、抽出した少なくとも1つの断熱性能値の平均値及び少なくとも1つの熱容量の平均値を、温熱性能評価指標として出力する。
以下、図7を参照しながら、温熱性能評価部335が、温熱性能パラメータ特定部334によってセンサデータの第1の部分集合Sごとに特定された熱容量C、外皮平均熱貫流率UAi及び平均残差δを用いて、住宅100の温熱性能を評価する方法について説明する。
図7は、センサデータの第1の部分集合Sごとの外皮平均熱貫流率UAiと平均残差δとの関係の一例を示す図である。図7において、横軸は、センサデータの第1の部分集合Sごとに特定される住宅温熱性能パラメータの一つである外皮平均熱貫流率UAiを表し、縦軸は、センサデータの第1の部分集合Sごとに算出される平均残差δを表す。図7では、平均残差δに対応する外皮平均熱貫流率UAiを表している。
図7に示されるように、実際に居住者が生活している環境下において取得されたセンサデータから算出される住宅100の温熱性能パラメータにはばらつきが含まれる。これは、センサデータに含まれる室内気温又は空気調和機200の消費電力に、住宅100内での居住者によるドア又は窓の開閉などの活動又は時刻ごとに変化する日射量などの外乱による影響が含まれるためである。温熱性能評価部335は、平均残差δの中の最小値を基準とし、平均残差δの最小値から所定の範囲以内の平均残差δに対応する外皮平均熱貫流率UAi(図7における黒丸で表される点)を、最も確からしい温熱性能パラメータの集合として抽出し、抽出した外皮平均熱貫流率UAiの集合の平均値を住宅100における外皮平均熱貫流率Uとして算出する。なお、所定の範囲は、例えば、0.1である。
なお、ここでは、住宅100の温熱性能パラメータとして外皮平均熱貫流率Uの評価方法について説明したが、熱容量Cの評価方法についても同様である。すなわち、温熱性能評価部335は、平均残差δの中の最小値を基準とし、平均残差δの最小値から所定の範囲以内の平均残差δに対応する熱容量Cを、最も確からしい温熱性能パラメータの集合として抽出し、抽出した熱容量Cの集合の平均値を住宅100における熱容量Cとして算出する。
温熱性能パラメータ記憶部322は、温熱性能評価部335によって評価された住宅100の外皮平均熱貫流率U及び熱容量Cを記憶する。
以上、本実施の形態1における温熱性能評価システムの構成について説明した。次に、上記温熱性能評価システムのサーバ300において、住宅100の温熱性能を評価する温熱性能評価処理の具体的な手順について、図8及び図9のフローチャートを参照して説明する。
図8は、本開示の実施の形態1のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第1のフローチャートであり、図9は、本開示の実施の形態1のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第2のフローチャートである。
まず、第1のセンサデータ抽出部331は、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在するか否かを判断する(ステップS1)。ここで、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在しないと判断された場合(ステップS1でNO)、温熱性能評価処理は終了となる。
一方、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在すると判断された場合(ステップS1でYES)、第1のセンサデータ抽出部331は、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間Tに収集されたセンサデータの第1の部分集合Sを抽出する(ステップS2)。第1のセンサデータ抽出部331は、抽出したセンサデータの第1の部分集合Sを第2のセンサデータ抽出部332へ出力する。
次に、第2のセンサデータ抽出部332は、第1のセンサデータ抽出部331から取得したセンサデータの第1の部分集合Sから、複数の抽出対象期間のうち1の抽出対象期間で収集したセンサデータの第2の部分集合Si,jを抽出する(ステップS3)。第2のセンサデータ抽出部332は、抽出したセンサデータの第2の部分集合Si,jを温熱性能パラメータ算出部333へ出力する。
次に、温熱性能パラメータ算出部333は、第2のセンサデータ抽出部332から取得したセンサデータの第2の部分集合Si,jに対してカルマンフィルタ法を適用し、住宅100の温熱性能パラメータとして外皮平均熱貫流率UAi,j及び熱容量Ci,jを算出する(ステップS4)。温熱性能パラメータ算出部333は、センサデータの第2の部分集合Si,jと共に、算出した外皮平均熱貫流率UAi,j及び熱容量Ci,jを温熱性能パラメータ特定部334へ出力する。
次に、温熱性能パラメータ特定部334は、温熱性能パラメータ算出部333から取得した外皮平均熱貫流率UAi,j、熱容量Ci,j及びセンサデータの第2の部分集合Si,jを用いて、上記の式(5)より、室内気温の予測値を算出する(ステップS5)。
次に、温熱性能パラメータ特定部334は、室内気温の予測値と、センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差δi,jを算出する(ステップS6)。温熱性能パラメータ特定部334は、算出した平均残差δi,jを、外皮平均熱貫流率UAi,j及び熱容量Ci,jと併せてメモリ320に保持する。
次に、第2のセンサデータ抽出部332は、ステップS3で用いた抽出対象期間とは異なる他の抽出対象期間が存在するか否かを判断する(ステップS7)。ここで、他の抽出対象期間が存在すると判断された場合(ステップS7でYES)、ステップS3に処理が戻り、第2のセンサデータ抽出部332は、他の抽出対象期間で収集したセンサデータの第2の部分集合Si,jを抽出する。そして、再度ステップS4〜ステップS6の処理が実行され、外皮平均熱貫流率UAi,j、熱容量Ci,j及び平均残差δi,jが算出される。
一方、他の抽出対象期間が存在しないと判断された場合(ステップS7でNO)、温熱性能パラメータ特定部334は、複数の抽出対象期間ごとに算出された外皮平均熱貫流率UAi,j及び熱容量Ci,jの中から、平均残差δi,jが最小になるときの外皮平均熱貫流率UAi,j及び熱容量Ci,jを、第1の部分集合Sの外皮平均熱貫流率UAi及び熱容量Cとして特定する(ステップS8)。温熱性能パラメータ特定部334は、特定した外皮平均熱貫流率UAi及び熱容量Cを温熱性能評価部335へ出力するとともに、平均残差δi,jの最小値を、第1の部分集合Sの平均残差δとして温熱性能評価部335へ出力する。
次に、第1のセンサデータ抽出部331は、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの中に、ステップS2で抽出したセンサデータの第1の部分集合とは異なる他の第1の部分集合が存在するか否かを判断する(ステップS9)。ここで、他の第1の部分集合が存在すると判断された場合(ステップS9でYES)、ステップS2に処理が戻り、第1のセンサデータ抽出部331は、他の稼働期間Tに収集されたセンサデータの他の第1の部分集合Sを抽出する。そして、ステップS3〜ステップS8の処理が実行され、他の第1の部分集合の外皮平均熱貫流率UAi、熱容量C及び平均残差δが特定される。
一方、他の第1の部分集合が存在しないと判断された場合(ステップS9でNO)、温熱性能評価部335は、温熱性能パラメータ特定部334から取得した第1の部分集合ごとに特定された外皮平均熱貫流率UAi及び熱容量Cの中から、平均残差δの最小値から所定の範囲内にある少なくとも1の平均残差δに対応する少なくとも1の外皮平均熱貫流率UAi及び少なくとも1の熱容量Cを抽出する(ステップS10)。
次に、温熱性能評価部335は、抽出した少なくとも1の外皮平均熱貫流率UAiの平均値及び少なくとも1の熱容量Cの平均値を算出する(ステップS11)。
次に、温熱性能評価部335は、算出した少なくとも1の外皮平均熱貫流率UAiの平均値及び少なくとも1の熱容量Cの平均値を、住宅100における外皮平均熱貫流率U及び熱容量Cとして温熱性能パラメータ記憶部322に記憶する。
以上で、サーバ300による温熱性能評価処理は完了となる。
以上、本実施の形態1における温熱性能評価システムにより、住宅100の温熱性能指標として外皮平均熱貫流率U及び熱容量Cを算出する具体的な手順について説明した。本実施の形態1における温熱性能評価システムは、居住者が実際に生活している状況下において自動的に収集されるセンサデータを用いることで、居住者に費用コストと負担とをかけずに住宅100の温熱性能を評価することが可能となる。
なお、本実施の形態1において、空気調和機200は、サーバ300のセンサデータ蓄積部321、温熱性能パラメータ記憶部322、第1のセンサデータ抽出部331、第2のセンサデータ抽出部332、温熱性能パラメータ算出部333、温熱性能パラメータ特定部334及び温熱性能評価部335を備えてもよい。この場合、サーバ300は不要となる。
また、本実施の形態1では、温熱性能評価部335は、第2の部分集合ごとに算出された断熱性能値及び熱容量の中から、第2の部分集合ごとに算出される平均残差のうち、平均残差の最小値から所定範囲内にある少なくとも1つの平均残差に対応する少なくとも1つの断熱性能値及び少なくとも1つの熱容量を抽出し、抽出した少なくとも1つの断熱性能値の平均値及び少なくとも1つの熱容量の平均値を、温熱性能評価指標としているが、本開示は特にこれに限定されない。温熱性能評価部335は、温熱性能パラメータ特定部334によって特定された、第2の部分集合ごとに算出された平均残差のうちの最少の平均残差に対応する断熱性能値及び熱容量を、温熱性能評価指標としてもよい。
また、温熱性能評価部335は、第2の部分集合ごとに算出された断熱性能値及び熱容量の中から、第2の部分集合ごとに算出される平均残差のうち、平均残差の最小値から順に所定数の平均残差に対応する所定数の断熱性能値及び所定数の熱容量を抽出し、抽出した所定数の断熱性能値の平均値及び所定数の熱容量の平均値を、温熱性能評価指標としてもよい。
また、温熱性能評価部335によって算出された断熱性能値(外皮平均熱貫流率)及び熱容量は、例えば、住宅100の断熱工事施工前の温熱性能評価、及び断熱工事施工後の住宅100の温熱性能評価に用いられる。また、空気調和機200の運転内容が、温熱性能評価部335によって算出された断熱性能値(外皮平均熱貫流率)及び熱容量に応じて最適化されてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態1において評価される住宅100の温熱性能パラメータは、換気又は日射などの外乱を含めた値として算出される。すなわち、算出された温熱性能パラメータは、住宅100内の換気の状況又は日射の状況など、居住者の実際の生活状況が反映された値となっている。そのため、実施の形態1において求められる温熱性能パラメータを用いることで、例えば居住者の実際の生活状況に即して空気調和機200の制御内容を最適化することなどが可能となる。
一方で、住宅100内の換気の状況又は日射の状況などの外乱に影響されない温熱性能パラメータが必要となる場合もある。本開示の実施の形態2においては、住宅100内の換気による外乱に影響されない温熱性能パラメータを算出するため、温熱性能パラメータ算出部における住宅100の温熱性能パラメータの算出方法が、実施の形態1とは異なる。
図10は、本開示の実施の形態2における温熱性能評価システムの構成を示す図である。本実施の形態2に係る温熱性能評価システムは、住宅100に設置されている空気調和機200と、住宅100の温熱性能を評価するサーバ300Aとを備える。空気調和機200とサーバ300Aとは、それぞれネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。空気調和機200は、室内機210と室外機220とを主な構成要素として備える。室内機210は、電力センサ211、室内気温センサ212、センサデータ生成部213及び通信部214を備える。室外機220は、外気温センサ221を備える。サーバ300Aは、通信部310、メモリ320及びプロセッサ330Aを備える。メモリ320は、センサデータ蓄積部321及び温熱性能パラメータ記憶部322を備える。プロセッサ330Aは、第1のセンサデータ抽出部331、第2のセンサデータ抽出部332、温熱性能パラメータ算出部333A、温熱性能パラメータ特定部334及び温熱性能評価部335を備える。
以下、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1と差異のある部分についてのみ説明する。
本実施の形態2における住宅100の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式は、上記の式(3)で表される熱平衡式に対し、換気による熱移動を表す項を加えることで表現される。本実施の形態2における熱平衡式は、単位時間を1秒(1s)として、住宅100内部の熱容量をC[J/K]とし、住宅100の外皮平均熱貫流率をU[W/mK]とし、住宅100の外皮表面積をA[m]とし、室内気温をθ[℃]とし、外気温をθ[℃]とし、住宅100内部で発生する熱量をH[W]とし、住宅100の換気量をnV[m/s]とし、空気密度をρ[kg/m]とし、空気比熱をc[J/kgK]としたとき、下記の式(6)で表される。
上記の式(6)は、単位時間をセンサデータの取得間隔とした場合においても成立する。
本実施の形態2における温熱性能パラメータ算出部333Aは、実施の形態1における式(3)から式(4)の導出と、式(4)から式(5)への変形と同様の処理を式(6)に対して適用する。温熱性能パラメータ算出部333Aは、上記の式(6)に示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することによって住宅100の温熱性能パラメータを算出する。本実施の形態2における温熱性能評価システムの、サーバ300Aによる住宅100の温熱性能評価処理の具体的な手順については、実施の形態1において図8及び図9のフローチャートを用いて説明した手順と同様である。
以上のように、本実施の形態2の温熱性能評価システムは、換気による熱移動を考慮した住宅100の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式を用いることで、換気による外乱に影響されない温熱性能パラメータを算出することが可能となる。
(実施の形態3)
本開示の実施の形態3においては、住宅100内の日射による外乱に影響されない温熱性能パラメータを算出するため、第1のセンサデータ抽出部331におけるセンサデータの抽出方法が、実施の形態1とは異なる。
図11は、本開示の実施の形態3における温熱性能評価システムの構成を示す図である。本実施の形態3に係る温熱性能評価システムは、住宅100に設置されている空気調和機200と、住宅100の温熱性能を評価するサーバ300Bとを備える。空気調和機200とサーバ300Bとは、それぞれネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。空気調和機200は、室内機210と室外機220とを主な構成要素として備える。室内機210は、電力センサ211、室内気温センサ212、センサデータ生成部213及び通信部214を備える。室外機220は、外気温センサ221を備える。サーバ300Bは、通信部310、メモリ320及びプロセッサ330Bを備える。メモリ320は、センサデータ蓄積部321及び温熱性能パラメータ記憶部322を備える。プロセッサ330Bは、第1のセンサデータ抽出部331B、第2のセンサデータ抽出部332、温熱性能パラメータ算出部333、温熱性能パラメータ特定部334及び温熱性能評価部335を備える。
以下、本実施の形態3において、実施の形態1と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1と差異のある部分についてのみ説明する。
第1のセンサデータ抽出部331Bは、収集したセンサデータの集合から、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、空気調和機200が日射による影響のない時間帯に稼働しているときの稼働期間Tに収集されたセンサデータを第1の部分集合として抽出する。日射による影響のない時間帯は、夜間の時間帯である。
実施の形態3における第1のセンサデータ抽出部331Bは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合の中から、機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働し、かつ夜間に稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集されたセンサデータを第1の部分集合として抽出する。
なお、夜間は、例えば、日の入り時刻から日の出時刻までの時間帯である。メモリ320は、日の入り時刻及び日の出時刻を予め記憶してもよい。また、夜間は、例えば、午後7時から午前5時までの予め決められた固定の時間帯であってもよい。
以下、本実施の形態3の温熱性能評価システムのサーバ300Bにおいて、住宅100の温熱性能を評価する温熱性能評価処理の具体的な手順について、図12及び図13のフローチャートを参照して説明する。
図12は、本開示の実施の形態3のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第1のフローチャートであり、図13は、本開示の実施の形態3のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第2のフローチャートである。
まず、第1のセンサデータ抽出部331Bは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、空気調和機200が夜間に所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在するか否かを判断する(ステップS21)。ここで、空気調和機200が夜間に所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在しないと判断された場合(ステップS21でNO)、温熱性能評価処理は終了となる。
一方、空気調和機200が夜間に所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在すると判断された場合(ステップS21でYES)、第1のセンサデータ抽出部331Bは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、空気調和機200が夜間に所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間Tに収集されたセンサデータの第1の部分集合Sを抽出する(ステップS22)。第1のセンサデータ抽出部331Bは、抽出したセンサデータの第1の部分集合Sを第2のセンサデータ抽出部332へ出力する。
ステップS23〜ステップS28の処理は、実施の形態1の図8のステップS3〜ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、第1のセンサデータ抽出部331Bは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの中に、空気調和機200が夜間に所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、ステップS22で抽出したセンサデータの第1の部分集合とは異なる他の第1の部分集合が存在するか否かを判断する(ステップS29)。ここで、他の第1の部分集合が存在すると判断された場合(ステップS29でYES)、ステップS22に処理が戻り、第1のセンサデータ抽出部331Bは、他の稼働期間Tに収集されたセンサデータの他の第1の部分集合Sを抽出する。そして、ステップS24〜ステップS28の処理が実行され、他の第1の部分集合の外皮平均熱貫流率UAi、熱容量C及び平均残差δが算出される。
一方、他の第1の部分集合が存在しないと判断された場合(ステップS29でNO)、ステップS30に処理が移行する。
ステップS30〜ステップS32の処理は、実施の形態1の図9のステップS10〜ステップS12の処理と同じであるので、説明を省略する。
以上のように、本実施の形態3の温熱性能評価システムは、日射による影響のない夜間に空気調和機200が所定時間以上継続して稼働しているときに収集されたセンサデータを用いることで、日射による外乱に影響されない住宅100の温熱性能パラメータを算出することが可能となる。
(実施の形態4)
実施の形態3においては、日射による影響のない夜間に空気調和機200が稼働しているときに収集されたセンサデータを用いることで、日射による外乱に影響されない住宅100の温熱性能パラメータを算出している。しかし、居住者によっては、夜間に空気調和機200を利用しない場合がある。この場合、サーバは、住宅100の温熱性能評価に必要なセンサデータを取得することができない。そこで、本実施の形態4においては、センサデータを抽出する際に気象情報が考慮されることで、日射による外乱に影響されない温熱性能パラメータが算出される。
図14は、本開示の実施の形態4における温熱性能評価システムの構成を示す図である。本実施の形態4に係る温熱性能評価システムは、住宅100に設置されている空気調和機200と、住宅100の温熱性能を評価するサーバ300Cと、気象情報を提供する気象情報提供サーバ500とを備える。空気調和機200とサーバ300Cとは、それぞれネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。また、気象情報提供サーバ500とサーバ300Cとは、それぞれネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。空気調和機200は、室内機210と室外機220とを主な構成要素として備える。室内機210は、電力センサ211、室内気温センサ212、センサデータ生成部213及び通信部214を備える。室外機220は、外気温センサ221を備える。サーバ300Cは、通信部310C、メモリ320C及びプロセッサ330Cを備える。メモリ320Cは、センサデータ蓄積部321、温熱性能パラメータ記憶部322、地点情報記憶部323及び気象情報記憶部324を備える。プロセッサ330Cは、第1のセンサデータ抽出部331C、第2のセンサデータ抽出部332、温熱性能パラメータ算出部333、温熱性能パラメータ特定部334及び温熱性能評価部335を備える。
以下、本実施の形態4において、実施の形態1と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1と差異のある部分についてのみ説明する。
気象情報提供サーバ500は、定期的に気象情報をサーバ300Cへ送信する。気象情報は、例えば、複数の観測地点の日照時間を示す情報である。日照時間は、前の観測時点から次の観測時点までの合計日照時間(秒)である。
地点情報記憶部323は、住宅100の存在している地点に関する住宅地点情報と、気象情報の観測地点に関する観測所地点情報とを記憶する。
図15は、本開示の実施の形態4における住宅地点情報の一例を示す図である。図15に示すように、住宅地点情報は、機器ID1200、緯度1201及び経度1202を有する。機器ID1200は、住宅100に設置されている空気調和機200を一意に特定するためのIDである。緯度1201及び経度1202は、住宅100の存在している地点の位置を表す。
住宅地点情報は、事前に居住者の所有するスマートフォンなどの情報機器端末から取得される。情報機器端末は、緯度及び経度を計測するGPS(Global Positioning System)受信機を備える。情報機器端末は、住宅100においてGPS受信機によって計測された緯度及び経度を機器IDとともにサーバ300Cへ送信してもよい。機器IDは、例えば、居住者によって入力される。通信部310Cは、情報機器端末によって送信された機器ID、緯度及び経度を受信し、受信した機器ID、緯度及び経度を地点情報記憶部323に記憶する。
なお、情報機器端末は、空気調和機200の機器ID及び住宅100の住所の居住者による入力を受け付けてもよい。そして、情報機器端末は、入力された住所を緯度及び経度に変換し、機器ID、緯度及び経度をサーバ300Cへ送信してもよい。
図16は、本開示の実施の形態4における観測地点情報の一例を示す図である。図16に示すように、観測地点情報は、観測地点ID1203、緯度1204及び経度1205を有する。観測地点ID1203は、気象情報の観測地点を特定するためのIDである。緯度1204及び経度1205は、気象情報の観測地点の位置を表す。なお、図15及び図16では、住宅地点及び観測地点の位置は、緯度及び経度により表されるが、都道府県名、市町村区名又は郵便番号等により表されてもよい。
観測地点情報は、気象情報提供サーバ500から取得される。気象情報提供サーバ500は、観測地点情報をサーバ300Cへ送信する。通信部310Cは、気象情報提供サーバ500によって送信された観測地点情報を受信し、受信した観測地点情報を地点情報記憶部323に記憶する。
気象情報記憶部324は、過去に観測された気象情報を記憶する。
図17は、本開示の実施の形態4における気象情報の一例を示す図である。図17に示すように、気象情報は、観測地点ID1300、タイムスタンプ1301及び日照時間1302を有する。観測地点ID1300は、気象情報を観測している地点を特定するためのIDである。タイムスタンプ1301は、気象情報が観測された年月日及び時刻である。日照時間1302は、観測地点において、前の観測時点から次の観測時点までの合計日照時間(秒)である。
例えば、図17において、タイムスタンプが「2018/01/09 14:10:00」であるときの日照時間は「60秒」であり、当該日照時間は、2018年1月9日の14時00分00秒から2018年1月9日の14時10分00秒までの間の合計日射時間が60秒であったことを示す。なお、気象情報は、観測地点ID1300、タイムスタンプ1301及び日照時間1302を含んでいればよく、例えば外気温などの任意の気象に関する情報を含んでもよい。また、気象情報は、日照時間1302に代わり、雲量など、日照の有無を推定可能な情報を含んでもよい。
第1のセンサデータ抽出部331Cは、収集したセンサデータの集合から、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、空気調和機200が日射による影響のない時間帯に稼働しているときの稼働期間Tに収集されたセンサデータを第1の部分集合として抽出する。日射による影響のない時間帯は、合計した日照時間が所定時間以下である時間帯である。
実施の形態4における第1のセンサデータ抽出部331Cは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合の中から、機器ID400、タイムスタンプ401および稼働状態402を参照し、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集されたセンサデータを第1の部分集合として抽出する。
続いて、第1のセンサデータ抽出部331Cは、地点情報記憶部323から取得した住宅地点情報に含まれる機器ID1200と、抽出したセンサデータの第1の部分集合に含まれる機器ID400とから、住宅100の存在している地点の緯度1201及び経度1202を取得する。次に、第1のセンサデータ抽出部331Cは、地点情報記憶部323から取得した観測地点情報に含まれる緯度1204及び経度1205を参照し、住宅100の最寄りの観測地点の観測地点ID1203を取得する。その後、第1のセンサデータ抽出部331Cは、取得した観測地点ID1203と、抽出したセンサデータの第1の部分集合のタイムスタンプ401とに基づき、稼働期間Tに住宅100の最寄りの観測地点で観測された気象情報を気象情報記憶部324から取得する。第1のセンサデータ抽出部331Cは、取得した気象情報に含まれる日照時間1302を参照し、稼働期間T内の合計日照時間が所定時間以下であるときの抽出したセンサデータの第1の部分集合を、住宅100の温熱性能パラメータの算出に用いる第1の部分集合として採用する。
以下、本実施の形態4の温熱性能評価システムのサーバ300Cにおいて、住宅100の温熱性能を評価する温熱性能評価処理の具体的な手順について、図18及び図19のフローチャートを参照して説明する。
図18は、本開示の実施の形態4のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第1のフローチャートであり、図19は、本開示の実施の形態4のサーバによる温熱性能評価処理を説明するための第2のフローチャートである。
まず、第1のセンサデータ抽出部331Cは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在するかを判断する(ステップS41)。ここで、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在しないと判断された場合(ステップS41でNO)、温熱性能評価処理は終了となる。
一方、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときのセンサデータが存在すると判断された場合(ステップS41でYES)、第1のセンサデータ抽出部331Cは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータと、地点情報記憶部323に記憶されている住宅地点情報及び観測地点情報と、気象情報記憶部324に記憶されている気象情報とを参照し、空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T内の日照時間を取得する(ステップS42)。
次に、第1のセンサデータ抽出部331Cは、稼働期間T内の合計日照時間が所定時間以下であるか否かを判断する(ステップS43)。ここで、稼働期間T内の合計日照時間が所定時間より長いと判断された場合(ステップS43でNO)、ステップS51に処理が移行する。
一方、稼働期間T内の合計日照時間が所定時間以下であると判断された場合(ステップS43でYES)、第1のセンサデータ抽出部331Cは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの機器ID400、タイムスタンプ401及び稼働状態402を参照し、合計日照時間が所定時間以下であり、かつ空気調和機200が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間Tに収集されたセンサデータの第1の部分集合Sを抽出する(ステップS44)。第1のセンサデータ抽出部331Cは、抽出したセンサデータの第1の部分集合Sを第2のセンサデータ抽出部332へと出力する。
ステップS45〜ステップS50の処理は、実施の形態1の図8のステップS3〜ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、第1のセンサデータ抽出部331Cは、センサデータ蓄積部321に蓄積されているセンサデータの集合Sの中に、ステップS44で抽出したセンサデータの第1の部分集合とは異なる他の第1の部分集合が存在するか否かを判断する(ステップS51)。ここで、他の第1の部分集合が存在すると判断された場合(ステップS51でYES)、ステップS42に処理が戻り、第1のセンサデータ抽出部331は、他の稼働期間T内の日照時間を取得する。そして、ステップS43〜ステップS50の処理が実行され、他の稼働期間T内の合計日照時間が所定時間以下である他の第1の部分集合の外皮平均熱貫流率UAi、熱容量C及び平均残差δが特定される。
一方、他の第1の部分集合が存在しないと判断された場合(ステップS51でNO)、ステップS52に処理が移行する。
ステップS52〜ステップS54の処理は、実施の形態1の図9のステップS10〜ステップS12の処理と同じであるので、説明を省略する。
以上のように、本実施の形態4の温熱性能評価システムは、曇天時又は雨天時などの日射による外乱の影響が少なく、かつ空気調和機200が所定時間以上継続して稼働しているときに収集されたセンサデータを用いることで、夜間に空気調和機200を利用することのない居住者が住む住宅100においても、日射による外乱に影響されにくい住宅100の温熱性能パラメータを算出することが可能となる。
なお、実施の形態1〜4では、空気調和機200が有する電力センサ211、室内気温センサ212及び外気温センサ221の計測値を、空気調和機200が有するセンサデータ生成部213が取得してセンサデータを生成し、通信部214を介してサーバに送信する構成としているが、空気調和機200は、電力センサ211、室内気温センサ212、外気温センサ221、センサデータ生成部213及び通信部214を必ずしも有しなくてもよい。
例えば、室内気温センサ212及び外気温センサ221がそれぞれ空気調和機200とは独立して住宅100内外に存在してもよく、住宅100内の分電盤が空気調和機200の消費電力を計測する電力センサ211を有してもよく、ゲートウェイ機器が通信部214及びセンサデータ生成部213を有して室内気温センサ212、外気温センサ221及び電力センサ211の出力値を取得してセンサデータを生成するセンサデータ生成部213と、センサデータをサーバ300に送信する通信部214とを有してもよい。また、室内気温センサ212、外気温センサ221及び電力センサ211が個別にネットワーク400を介してサーバに出力値を送信してもよく、サーバ300が、室内気温センサ212、外気温センサ221及び電力センサ211によって個別に送信された各出力値からセンサデータを生成するセンサデータ生成部213を有してもよい。
また、実施の形態1〜4では、住宅100外に設置されたサーバ300,300A,300B,300Cが、センサデータ蓄積部321、第1のセンサデータ抽出部331,331B,331C、第2のセンサデータ抽出部332、温熱性能パラメータ算出部333,333A、温熱性能パラメータ特定部334、温熱性能評価部335、センサデータ蓄積部321、温熱性能パラメータ記憶部322、地点情報記憶部323及び気象情報記憶部324を有しているが、住宅100内に設置されたサーバ又は空気調和機200が、これらの構成要素を有してもよい。
また、本実施の形態1〜4では、外皮平均熱貫流率が、断熱性能値の一例として用いられているが、熱損失係数(Q値)が、断熱性能値の一例として用いられてもよい。熱損失係数は、外皮平均熱貫流率を算出する際に用いる外皮表面積を床面積に替えることで、外皮平均熱貫流率と同様に算出可能である。
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
本開示に係る温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラムは、低コストかつ居住者に負担をかけずに、居住者が実際に生活している住宅の温熱性能を正確に評価することができるので、住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価方法、温熱性能評価装置及び温熱性能評価プログラムとして有用である。
100 住宅
200 空気調和機
210 室内機
211 電力センサ
212 室内気温センサ
213 センサデータ生成部
214 通信部
220 室外機
221 外気温センサ
300,300A,300B,300C サーバ
310,310C 通信部
320,320C メモリ
321 センサデータ蓄積部
322 温熱性能パラメータ記憶部
323 地点情報記憶部
324 気象情報記憶部
330,330A,330B,330C プロセッサ
331,331B,331C 第1のセンサデータ抽出部
332 第2のセンサデータ抽出部
333,333A 温熱性能パラメータ算出部
334 温熱性能パラメータ特定部
335 温熱性能評価部
400 ネットワーク
500 気象情報提供サーバ

Claims (13)

  1. 住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価装置における温熱性能評価方法であって、
    前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集し、
    前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出し、
    前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出し、
    前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出し、
    前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定し、
    前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力する、
    温熱性能評価方法。
  2. 前記温熱性能評価指標の出力において、前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記第2の部分集合ごとに算出される前記平均残差のうち、前記平均残差の最小値から所定範囲内にある少なくとも1つの平均残差に対応する少なくとも1つの断熱性能値及び少なくとも1つの熱容量を抽出し、抽出した前記少なくとも1つの断熱性能値の平均値及び前記少なくとも1つの熱容量の平均値を、前記温熱性能評価指標として出力する、
    請求項1に記載の温熱性能評価方法。
  3. 前記複数の抽出対象期間は、
    前記空気調和機の稼働開始から、前記所定時間Tが経過するまでの第1の抽出対象期間と、
    前記空気調和機の稼働開始から、前記所定時間Tに所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第2の抽出対象期間と、
    前記空気調和機の稼働開始から所定時間Tが経過した時点から、前記所定時間Tが経過するまでの第3の抽出対象期間と、
    前記空気調和機の稼働開始から前記所定時間Tが経過した時点から、前記所定時間Tに前記所定時間Tを加算した時間が経過するまでの第4の抽出対象期間と、
    を含み、
    前記所定時間T、前記所定時間T、前記所定時間T及び前記稼働期間Tは、T≧T+T+Tを満たす、
    請求項1又は2に記載の温熱性能評価方法。
  4. 前記断熱性能値は、外皮平均熱貫流率を含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の温熱性能評価方法。
  5. 前記熱平衡式は、前記住宅内部の熱容量をC[J/K]とし、前記外皮平均熱貫流率をU[W/mK]とし、前記住宅の外皮表面積をA[m]とし、前記室内気温をθ[℃]とし、前記外気温をθ[℃]とし、前記住宅内部で発生する熱量をH[W]としたとき、下記の式(1)で表される、
    請求項4に記載の温熱性能評価方法。
  6. 前記熱平衡式は、前記住宅内部の熱容量をC[J/K]とし、前記外皮平均熱貫流率をU[W/mK]とし、前記住宅の外皮表面積をA[m]とし、前記室内気温をθ[℃]とし、前記外気温をθ[℃]とし、前記住宅内部で発生する熱量をH[W]とし、前記住宅の換気量をnV[m/s]とし、空気密度をρ[kg/m]とし、空気比熱をc[J/kgK]としたとき、下記の式(2)で表される、
    請求項4に記載の温熱性能評価方法。
  7. 前記熱量Hは、前記センサデータに含まれる前記空気調和機の前記消費電力と、前記空気調和機の定格能力と、前記空気調和機の成績係数(COP:Coefficient of Performance)と前記空気調和機の前記定格能力に対する前記消費電力の割合を表す負荷率との関係を表すCOP曲線とを用いて算出される、
    請求項5又は6に記載の温熱性能評価方法。
  8. 前記断熱性能値は、熱損失係数を含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の温熱性能評価方法。
  9. 前記第1の部分集合の抽出において、前記収集したセンサデータの集合から、前記空気調和機が前記所定時間T以上継続して稼働しており、かつ、前記空気調和機が日射による影響のない時間帯に稼働しているときの前記稼働期間Tに収集されたセンサデータを前記第1の部分集合として抽出する、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の温熱性能評価方法。
  10. 前記日射による影響のない時間帯は、夜間の時間帯である、
    請求項9に記載の温熱性能評価方法。
  11. 前記日射による影響のない時間帯は、合計した日照時間が所定時間以下である時間帯である、
    請求項9に記載の温熱性能評価方法。
  12. 住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価装置であって、
    前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集する収集部と、
    前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出する第1の抽出部と、
    前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出する第2の抽出部と、
    前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出する算出部と、
    前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定する特定部と、
    前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力する出力部と、
    を備える温熱性能評価装置。
  13. 住宅の温熱性能を評価する温熱性能評価プログラムであって、
    前記住宅の室内気温、前記住宅の外気温及び前記住宅内に配置された空気調和機の消費電力を含むセンサデータを定期的に収集し、
    前記収集したセンサデータの集合の中から、前記空気調和機が所定時間T以上継続して稼働しているときの稼働開始から稼働終了までの稼働期間T(T≧T)に収集したセンサデータを第1の部分集合として抽出し、
    前記第1の部分集合の中から、前記稼働期間T内であり、かつ互いに異なる複数の抽出対象期間のそれぞれで収集したセンサデータを第2の部分集合として抽出し、
    前記住宅の内部環境と外部環境との間の熱収支を示す熱平衡式に対してカルマンフィルタ法を適用することで前記住宅の断熱性能を示す断熱性能値と熱容量とを前記第2の部分集合ごとに算出し、
    前記第2の部分集合ごとに算出した前記断熱性能値及び前記熱容量の中から、前記断熱性能値、前記熱容量及び前記熱平衡式から算出される室内気温の予測値と、前記センサデータに含まれる室内気温の実測値との平均残差が最も小さくなるときの断熱性能値及び熱容量を特定し、
    前記特定した断熱性能値及び熱容量に基づいて、前記住宅の温熱性能を評価するための温熱性能評価指標を出力するようにコンピュータを機能させる、
    温熱性能評価プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022009637A1 (ja) * 2020-07-10 2022-01-13 パナソニックIpマネジメント株式会社 建築物評価方法、建築物評価装置、及び、プログラム

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