JP2019194173A - 腎障害の抑制におけるシラスタチンの利用 - Google Patents

腎障害の抑制におけるシラスタチンの利用 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題の一つは、ヨード系造影剤により誘発される腎障害の抑制剤を提供することである。【解決手段】シラスタチン又は薬学的に許容されるその塩を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、腎障害の抑制におけるシラスタチンの利用に関する。具体的には、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制剤に関する。
(造影剤)
X線造影技術は、病態把握や診療方針の決定などの臨床場面において極めて重要な意義を有するが、骨以外の軟部組織ではX線の減衰が小さいため、組織の描出は困難である。X線の減衰は物質密度に比例し、構成する元素の原子番号の3乗に比例することが知られており、経血管的に用いられる造影剤開発においては、ヨード化合物が着目されてきた。このようなヨード化合物を有効成分とする造影剤をヨード系造影剤と称する。
現在、水溶性の造影剤として用いられる物質は、いずれもトリヨードベンゼン環を基本骨格とする。同骨格を有する造影剤として、イオン性と非イオン性が存在するが、イオン性の造影剤は、同一ヨード量における浸透圧を高め、血管痛などの副作用を生じることが知られており、イオン性造影剤は血管内投与の適応は国内ではない。
浸透圧低減による安全性向上のため、非イオン性造影剤が開発されている。経血管的に用いられる非イオン性造影剤の代表例は、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロールなどである。これらの分子量はほぼ同じであり、単位量あたりのヨード含量もほぼ同一であることから、これらを用いた場合のX線の減衰(造影効果)はほぼ同程度と考えられる。さらに、単位ヨード量あたりの分子数を低下させるために、トリヨードベンゼン環を分子内に二つ有するダイマー型の造影剤、たとえばイオトロラン、イオジキサノールも開発され、等浸透圧性という物性が得られている。
造影剤による重大副作用として、造影剤腎症が知られている。そのため、腎症の発症や進行が懸念される。また、腎機能が既に低下している患者では使用が原則禁忌とされる場合があり、そのために使用が断念されることもある。
造影剤により誘発される腎障害の発生機序として、血管収縮による腎血流量の低下と腎髄質の低酸素状態、さらに活性酸素による傷害が想定されているため、抗酸化作用のあるN−アセチルシステインやスタチン、血管拡張作用や腎血流増加作用のあるhANPなどによる造影剤腎症発症予防効果が期待され、多くの臨床研究が行われてきたが、いずれも有効性が示されていない。
現在、造影剤により誘発される腎障害の予防法として推奨されている方法は、生理食塩水や重曹輸液などの等張性輸液製剤の、造影検査の前後における経静脈的投与のみである(非特許文献1)が、これは、高いエビデンスレベルで有効性が証明されている訳ではない。
(メガリン)
メガリン(Megalin)は、LRP−2(Low Density Lipoprotein (LDL)−receptor related protein 2)やgp330(Glycoprotein 330)とも呼ばれている細胞膜タンパク質であり、分子量が約600KDaの巨大な膜1回貫通型糖タンパク質である。
当該タンパク質はエンドサイトーシスレセプターとして機能しており、その細胞外領域に結合する物質(メガリンリガンド)を細胞内へ取り込む。哺乳動物においては、腎臓近位尿細管上皮細胞(主に、管腔側膜)、内耳の上皮細胞、精巣や神経外胚葉等でメガリンの発現が確認されている。腎臓近位尿細管上皮細胞においては、糸球体ろ過されたタンパク質や投与された薬剤等が、メガリンの細胞外領域と結合し、エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる(例えば、非特許文献2、3参照)。例えば、腎臓近位尿細管上皮細胞におけるメガリン介在性エンドサイトーシスは、生体内因子を腎臓近位尿細管に再吸収し、その因子の生体からの喪失を防ぐ機能がある。
腎障害の発症機序には様々な経路があるが、メガリンを介した再吸収機構もその一因として知られている。例えば、環状ペプチド系抗生物質であるポリミキシンBは、メガリンに結合後にエンドサイトーシスにより細胞内に取込まれることにより、細胞障害を生じさせることが示されている。また、ゲンタマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質は、メガリンに結合後にエンドサイトーシスにより細胞内に取込まれるが、メガリンリガンドであるリゾチーム、アプロチニン、又はチトクロームCを併用投与することにより当該アミノグリコシド系抗生物質による腎毒性を抑制する効果が得られることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
メガリンのリガンドが別の物質のキャリアーとして機能する物質である場合、当該キャリアーに結合した物質がメガリンを介して細胞内に吸収され、細胞障害や組織障害の原因となりうることが明らかとなっている。例えば、肝臓型脂肪酸結合タンパク(L−FABP)に結合した脂肪酸が腎毒性を示す可能性(非特許文献4)が示されている。すなわち、メガリンを介して腎臓障害を派生する物質としては、メガリンに直接結合して細胞内に吸収される物質と、メガリンのリガンドに付随して細胞内に吸収される物質とがある。
(シラスタチン)
シラスタチン(Cilastatin)は、腎臓近位尿細管刷子縁膜に存在する代謝酵素であるDHP−I(dehydropeptidase−I)に対して阻害活性を有する。カルバペネム系抗生物質イミペネムのDHP−Iによる失活を防ぐことを目的として、臨床上、シラスタチンがイミペネムと共に使用されている。
また、シラスタチンについては、様々な作用が報告されている。例えば、特許文献2には、シラスタチンを含む、メガリンを介して誘発される腎障害の抑制剤が記載されている。
特許文献3には、シラスタチンが幾つかの薬剤の腎毒性を減弱させることが報告されている。この文献においては、コレステロールラフトを介した細胞内への輸送経路を阻害することにより腎毒性を軽減させる可能性が示されている。当該薬剤には、特定の造影剤も含まれている(例えば、Table2参照)。
特開2003−261459号公報 WO2015/111666 米国特許第9216185号
日本腎臓学会・日本医学放射線学会・日本循環器学会 共同編集、腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン 2012、第50〜79ページ Marzoloら、Biological Research、2011年、第44巻、第89〜105ページ Christensenら、Nature Reviews Molecular Cell Biology、2002年、第3巻、第258〜268ページ Oyamaら、Laboratory Investigation、2005年、第85巻、第522〜第531ページ
細胞障害を引き起こすヨード系造影剤のメガリンへの結合を抑制すると、当該造影剤の細胞内への取り込みを抑制でき、腎臓における細胞障害の減弱につながることが期待できる。
本発明の目的は、造影剤により誘発される腎障害の抑制剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、シラスタチンがヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制に有効であることを見出した。
本発明は以下の態様を包含するが、それらに限定されない。
1.有効成分としてシラスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制剤(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く)。
2.前記ヨード系造影剤が、3位及び/又は5位が置換基で置換されていてもよい一つ又は複数の2,4,6−トリヨードフェニル基を化学構造中に有する化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、1に記載の抑制剤。
3.前記ヨード系造影剤が、非イオン性である、1または2に記載の抑制剤。
4.前記ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、イオキサグル酸、イオトロクス酸、アミドトリゾ酸、イオタラム酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、1〜3のいずれかに記載の抑制剤。
5.前記ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオジキサノール、イオキサグル酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、1〜4のいずれかに記載の抑制剤。
6.注射剤の形態である、1〜5のいずれかに記載の抑制剤。
(A1)シラスタチン又はその薬学的に許容される塩の、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制における使用(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く)。
(A2)前記ヨード系造影剤が、3位及び/又は5位が置換基で置換されていてもよい一つ又は複数の2,4,6−トリヨードフェニル基を化学構造中に有する化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、A1に記載の使用。
(A3)前記ヨード系造影剤が、非イオン性である、A1またはA2に記載の使用。
(A4)前記ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、イオキサグル酸、イオトロクス酸、アミドトリゾ酸、イオタラム酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、A1〜A3のいずれかに記載の使用。
(A5)前記ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオジキサノール、イオキサグル酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、A1〜A4のいずれかに記載の使用。
(A6)シラスタチン又はその薬学的に許容される塩が注射剤の形態で使用される、A1〜A5のいずれかに記載の使用。
(B1)ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制のための方法であって、それを必要とする対象に、有効量のシラスタチン又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く)。
(B2)前記ヨード系造影剤が、3位及び/又は5位が置換基で置換されていてもよい一つ又は複数の2,4,6−トリヨードフェニル基を化学構造中に有する化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、B1に記載の方法。
(B3)前記ヨード系造影剤が、非イオン性である、B1又はB2に記載の方法。
(B4)前記物質ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、イオキサグル酸、イオトロクス酸、アミドトリゾ酸、イオタラム酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、B1〜B3のいずれかに記載の方法。
(B5)記物質ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオジキサノール、イオキサグル酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、B1〜B4のいずれかに記載の方法。
(B6)シラスタチン又はその薬学的に許容される塩が注射剤の形態で投与される、B1〜B5のいずれかに記載の方法。
本発明は、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く。)を抑制することができる。たとえば、ヨード系造影剤によりメガリンを介して誘発される細胞障害によって特徴づけられる腎障害、すなわちヨード系造影剤によりメガリンを介して誘発される腎障害を抑制することができる。そのうえ、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩は比較的安全に服用可能である。したがって、腎障害等の疾患を回避しつつ、ヨード系造影剤を使用することを可能とする。
本発明に関連して、ヨード系造影剤のメガリンを介した細胞内への吸収は、当該造影剤のメガリンへの直接的な結合でなく、何らかのキャリアーを介した結合によって生じることが見出されている。したがって、シラスタチンは、当該造影剤の間接的な結合を抑制し、それによって腎障害を抑制するものと考えられる。
なお、本明細書において腎障害に関して使用される「抑制する」との用語は、ヨード系造影剤によって生じる症状を全く発現させないこと、ヨード系造影剤のみを使用したときよりも症状を軽減すること、事前に存在していた症状によりヨード系造影剤の使用を断念していた場合にヨード系造影剤を使用可能とすることなどを意味し、前記「軽減」は、前記症状の程度を低減させること、及び前記症状を完全に消失させることを含む。本明細書では、疾患の症状を全く発現させないか、又は前記造影剤のみを使用したときの症状よりも軽減することを「予防」と称し、それは「抑制」に包含される。また、前記腎障害を「抑制する」ための医薬を「抑制剤」と称する場合がある。
ヨード系造影剤(イオメプロール)投与群と対照群での血清クレアチニン値を比較した図を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)投与後の腎障害組織の、腎障害マーカーであるKIM−1に対する抗体による免疫染色像を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)投与後の腎障害組織の、PAS染色像を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)投与後の、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウス(NDRG1−Cre)と対照マウスの腎組織のEMPAによるヨードマッピングの結果を示す。 ヨード系造影剤(イオヘキソール)投与後の、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウス(NDRG1−Cre)と対照マウスの腎組織のEMPAによるヨードマッピングの結果を示す。 ヨード系造影剤(イオパミドール)投与後の、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウス(NDRG1−Cre)と対照マウスの腎組織のEMPAによるヨードマッピングの結果を示す。 ヨード系造影剤(イオプロミド)投与後の、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウス(NDRG1−Cre)と対照マウスの腎組織のEMPAによるヨードマッピングの結果を示す。 ヨード系造影剤(イオベルソール)投与後の、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウス(NDRG1−Cre)と対照マウスの腎組織のEMPAによるヨードマッピングの結果を示す。 ヨード系造影剤(イオジキサノール)投与後の、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウス(NDRG1−Cre)と対照マウスの腎組織のEMPAによるヨードマッピングの結果を示す。 腎特異的メガリン部分ノックアウトマウス(apoE−Cre)に、ヨード系造影剤(イオメプロール)を投与した後に得られた、腎臓の抗メガリン抗体による免疫組織染色像を示す。矢頭(△)がメガリン発現部分を示し、矢印がメガリン発現のない部分を示す。 腎特異的メガリン部分ノックアウトマウス(apoE−Cre)に、ヨード系造影剤(イオメプロール)を投与した後に得られた、腎臓の抗KIM−1抗体による免疫組織染色像を示す。矢頭(△)がメガリン発現部分を示し、矢印がメガリン発現のない部分を示す。 図7Aと図7Bを合成した画像を示す。 マウスへヨード系造影剤(イオメプロール)とシラスタチンを投与した実験と、対照としてヨード系造影剤(イオメプロール)と生理食塩水を投与した実験における、腎組織のEMPAによる窒素(N)及びヨード(I)マッピングの結果を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)とシラスタチン投与マウス群と、ヨード系造影剤(イオメプロール)と生理食塩水投与群の、EMPA法による窒素含量に対するヨード含量の比率(I/N比)を示す。 ヨード系造影剤(イオヘキソール)とシラスタチン投与マウス群と、ヨード系造影剤(イオヘキソール)と生理食塩水投与群の、EMPA法による窒素含量に対するヨード含量の比率(I/N比)を示す。 ヨード系造影剤(イオベルソール)とシラスタチン投与マウス群と、ヨード系造影剤(イオベルソール)と生理食塩水投与群の、EMPA法による窒素含量に対するヨード含量の比率(I/N比)を示す。 ヨード系造影剤(イオジキサノール)とシラスタチン投与マウス群と、ヨード系造影剤(イオジキサノール)と生理食塩水投与群の、EMPA法による窒素含量に対するヨード含量の比率(I/N比)を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)とシラスタチンを投与した群と、対照としてヨード系造影剤(イオメプロール)と生理食塩水を投与した群の、尿中へのKIM−1の排泄量の比較を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)を投与後、血清クレアチニン値が上昇した動物についての抗KIM−1抗体による腎免疫染色像を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)とシラスタチンを投与した群と、対照としてヨード系造影剤(イオメプロール)と生理食塩水を投与した群の、抗KIM−1抗体による腎免疫染色強度(スコア化)の比較を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)を投与後、血清クレアチニン値が上昇した動物についての腎PAS染色像を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)結合磁性ビーズと腎臓タンパク質を反応させ、結合物をWB法(抗メガリン抗体使用)で解析した像を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)結合磁性ビーズとキャリアータンパク質とを結合させ、結合特異性をWB法で解析結果を示す。 ヨード系造影剤(イオメプロール)結合磁性ビーズとキャリアータンパク質との反応に対するヨード系造影剤(イオメプロール)とシラスタチンの影響を、WB法で解析した結果を示す。 ヨード系造影剤(イオベルソール)結合磁性ビーズとキャリアータンパク質との反応に対するヨード系造影剤(イオベルソール)とシラスタチンの影響を、WB法で解析した結果を示す。 ヨード系造影剤(イオジキサノール)結合磁性ビーズとキャリアータンパク質との反応に対するヨード系造影剤(イオジキサノール)とシラスタチンの影響を、WB法で解析した結果を示す。 ヨード系造影剤(イオプロミド)結合磁性ビーズとキャリアータンパク質との反応に対するヨード系造影剤(イオプロミド)とシラスタチンの影響を、WB法で解析した結果を示す。 ヨード系造影剤(イオヘキソール)結合磁性ビーズとキャリアータンパク質との反応に対するヨード系造影剤(イオヘキソール)とシラスタチンの影響を、WB法で解析した結果を示す。 水晶振動子マイクロバランス法における、シラシタチン存在下又は非存在下で、メガリンを固定化した水晶チップ(対照:BSA固定化チップ)に、キャリアータンパク質を添加した場合の周波数の経時変化を示す。
(シラスタチン)
本発明においてはシラスタチン又はその薬学的に許容される塩を用いる。
シラスタチンは、(Z)−7−[[(R)−2−Amino−2−carboxyethyl]thio]−2−[[[(S)−2,2−dimethylcyclopropyl]carbonyl]amino]−2−heptenoic acidのことである。確認的に記載するが、シラスタチンが水和物を生成する場合には、水和物を用いる場合も本発明の範囲に含まれる。
シラスタチンの薬学的に許容される塩の例は、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩;亜鉛塩、アルミニウム塩;有機アミン塩、例えばコリン塩、エタノールアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジベンジルアミン塩、フェネチルベンジルアミン塩、プロカイン塩、モルホリン塩、ピリジン塩、ピペリジン塩、ピペラジン塩、N−エチルピペリジン塩;アンモニウム塩;塩基性アミノ酸塩、例えばリジン塩、アルギニン塩;等が挙げられる。特に好ましい塩は、シラスタチンナトリウムである。確認的に記載するが、薬学的に許容される塩の範囲には、塩水和物も含まれる。
シラスタチン又はその薬学的に許容される塩は、例えば市販品を用いるか、又はそれ自体公知の方法若しくは公知の方法に準じる方法によって製造・入手することができる。
シラスタチンは、メガリンの細胞外領域に結合する。シラスタチン又はその薬学的に許容される塩は、ヨード系造影剤のメガリンへの間接的な結合と細胞内への取り込みを抑制できる。
(ヨード系造影剤)
本発明においては、ヨード系造影剤により誘発される腎障害を、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩によって抑制する。ヨード系造影剤は、3位及び/又は5位が置換基で置換されていてもよい一つ又は複数の(好ましくは一つ、二つ、又は三つの、より好ましくは一つ又は二つの、より好ましくは一つの)2,4,6−トリヨードフェニル基を化学構造中に有する化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩から選択される。ヨード系造影剤は、好ましくは非イオン性である。ここで、非イオン性の造影剤とは、イオン性の官能基を有さない造影剤を意味する。典型的なイオン性官能基はカルボキシル基である。非イオン性のヨード系造影剤の例は、イオキシラン、イオパミドール、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、及びそれらの薬学的に許容される塩である。ヨード系造影剤は、好ましくは、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、イオキサグル酸、イオトロクス酸、アミドトリゾ酸、イオタラム酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択され、より好ましくは、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、イオキサグル酸、イオトロクス酸、アミドトリゾ酸、イオタラム酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択され、より好ましくは、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオジキサノール、イオキサグル酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。好ましいヨード系造影剤の別の例は、イオメプロール、イオヘキソール及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。確認的に記載するが、ヨード系造影剤の遊離体が水和物を生成する場合には、水和物を用いる場合も本発明の範囲に含まれる。
前記化合物の薬学的に許容される塩の例としては、前記化合物がカルボキシル基を有する場合には、当該カルボキシル基における塩基付加塩であり、前記化合物がアミノ基、イミノ基若しくは塩基性の複素環基等の塩基性窒素原子を有する場合には、当該窒素原子における酸付加塩を挙げることができる。
前記塩基付加塩の例としては、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩;亜鉛塩、アルミニウム塩;アンモニウム塩;有機アミン塩、例えばメグルミン塩、コリン塩、エタノールアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピリジン塩、ピペリジン塩、ピペラジン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩が挙げられ、
これらの内の二つ以上の組合せであってもよい。
前記酸付加塩の例としては、無機酸塩、例えば硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩;有機酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩;スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩が挙げられ、これらの内の二つ以上の組合せであってもよい。
確認的に記載するが、薬学的に許容される塩の範囲には、塩水和物も含まれる。
ヨード系造影剤は、例えば市販品を用いるか、又はそれ自体公知の方法若しくは公知の方法に準じる方法によって製造・入手することができる。
(抑制剤)
一態様において、本発明は、有効成分としてシラスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制剤である。具体的なヨード系造影剤や、好ましいヨード系造影剤は、上記したとおりである。
当該腎障害は、ヨード系造影剤によってメガリンを介して誘発され得る。メガリンの生体内における主要な発現部位は、腎臓近位尿細管上皮細胞(主に、管腔側膜)であるため、シラスタチン又はその薬学的に許容され得る塩は、ヨード系造影剤により、メガリンを介して誘発される近位尿細管上皮細胞障害やそれに派生する腎障害を抑制するために(即ち、抑制剤として)有用である。
ヨード系造影剤によって誘発される腎障害には、造影剤(性)腎症、造影剤(性)腎障害、造影剤(性)腎炎、造影剤(性)腎不全、造影剤(性)腎臓病、薬剤(性)腎症、薬剤(性)腎障害、薬剤(性)腎炎、薬剤(性)腎不全、薬剤(性)腎臓病、急性腎症、急性腎障害、急性腎炎、急性腎不全、急性腎臓病、慢性腎症、慢性腎障害、慢性腎炎、慢性腎不全、慢性腎臓病、尿細管(性)腎症、尿細管(性)腎障害、尿細管(性)腎炎、尿細管(性)腎不全、尿細管(性)腎臓病、尿細管間質(性)腎症、尿細管間質(性)腎障害、尿細管間質(性)腎炎、尿細管間質(性)腎不全、尿細管間質(性)腎臓病、閉塞性腎症、閉塞性腎障害、閉塞性腎炎、閉塞性腎不全、閉塞性腎臓病、急性腎炎症候群、急速進行性腎炎症候群、慢性腎炎症候群、ネフローゼ症候群、腎血管れん縮、急性尿細管壊死が含まれる。本発明は、薬剤性腎障害を除く疾患又は症状の抑制にも有用である。
好ましい態様において、本発明の抑制剤は、イミペネムを含まない。
(有効成分の量)
本発明の抑制剤の投与量は、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩を、ヨード系造影剤により誘発される腎障害を抑制するのに有効な量で提供できる量であればよい。腎障害の場合、成人に対するシラスタチン又はその塩の1日当たりの投与量の例は、1.0〜2.0g、又は1.0〜1.5gである。このような投与量となるよう、当該抑制剤を、1回で、又は数回に分けて投与することができる。また、隔日投与、隔々日投与などの間歇投与等の投与方法も用いることができる。
ヨード系造影剤は、シラスタチン又はその薬学的に許容され得る塩と併用され得る。その場合、弊用されるヨード系造影剤の治療単位は、特に限定されないが、公知文献などにより当業者が必要に応じて決定することができる。例えば、一般名が「イオメプロール」である造影剤を含む製品であるブラッコ・エーザイ株式会社の「イオメロン(登録商標)」の添付文書には、その使用量が以下の通りに示されている。
(剤型)
本発明の抑制剤の形態は、特に限定されないが、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、チュアブル剤等の固形剤、溶液剤、シロップ剤等の液剤、注射剤、又はスプレー剤等の形態とすることができる。好ましい形態は、注射剤である。
本発明の抑制剤は、製剤上の必要に応じて、薬学的に許容され得る担体を含んでもよい。担体としては、例えば、賦形剤、溶剤が挙げられる。本発明の抑制剤に含まれてもよいさらなる成分の例は、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、キレート剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、着色剤である。
賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール等の糖類;でんぷん類;結晶セルロース等のセルロース類等の有機系賦形剤;リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、カオリン等の無機系賦形剤等が挙げられる。溶剤としては、精製水、生理的食塩水等が挙げられる。結合剤としては、α化デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、D−マンニトール、トレハロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。pH調整剤としては、塩酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、化学修飾されたセルロースやデンプン類、アルギン酸等が挙げられる。キレート剤としては、エデト酸カルシウム2ナトリウム水和物、エデト酸カルシウムナトリウム水和物などが挙げられる。溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤あるいは乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類;ポリソルベート類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、グリセリン、尿素等が挙げられる。安定化剤としては、ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナトリウム、その他のアミノ酸類等が挙げられる。無痛化剤としては、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プロカイン等が挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
本発明の抑制剤中のシラスタチン又はその薬学的に許容され得る塩の含有量は特に限定されないが、その例は、0.001〜100質量%、0.001〜99.9質量%、又は0.01〜90質量%である。
本発明の抑制剤が注射剤である場合、前記注射剤の形態は、有効成分などが予め溶解された形態であってもよく、用時溶解される固体形態であってもよい。これらの注射液は、液全体の質量を基準として、例えば、0.001〜10質量%、0.01〜5質量%、又は0.1〜1質量%のシラスタチン又はその薬学的に許容され得る塩を有効成分として含むことが好ましい。抑制剤が用時溶解される固体形態である場合には、当該抑制剤中のシラスタチン又はその薬学的に許容され得る塩の含有量の例は、0.001〜100質量%、0.001〜99.9質量%、又は0.01〜90質量%である。注射剤とする場合の適当な溶剤又は希釈剤としては、通常用いられるものを用いればよいが、例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、ブドウ糖水溶液、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注射用)、静脈内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム等の水溶液)、電解質溶液(点滴静注及び静脈内注射用)のような水性媒体、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのような有機媒体、又はこれらの混合物が挙げられる。
(方法及び使用)
本発明の抑制剤は、別の側面では、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩の、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制における使用である(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く)。具体的なヨード系造影剤、好ましいヨード系造影剤、好ましい腎障害は、上記したとおりである。当該使用は、さらに、有効量のヨード系造影剤の投与と組み合わせてもよい。ヨード系造影剤は、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩と同時に、別々に又は時間間隔をおいて投与することができる。例えば、ヨード系造影剤は、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩の投与と同時、その投与前、もしくはその投与後に投与してもよいし、又はそれらの二つ以上を組合せてもよい。
また、本発明の抑制剤は、別の側面では、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制のための方法であって、それを必要とする対象に、有効量のシラスタチン又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く)。具体的なヨード系造影剤、好ましいヨード系造影剤、好ましい腎障害は、上記したとおりである。当該方法は、さらに、有効量のヨード系造影剤を当該対象に投与することを含んでもよい。ヨード系造影剤は、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩と同時に、別々に又は時間間隔をおいて投与することができる。例えば、ヨード系造影剤は、シラスタチン又はその薬学的に許容される塩の投与と同時、その投与前、もしくはその投与後に投与してもよいし、又はそれらの二つ以上を組合せてもよい。
前記併用投与において、個々の成分又は薬剤は、分割された又は単一の製剤で投与することができる。
好ましい態様において、本発明の方法及び使用は、イミペネムの投与を含まない。
本明細書において、「ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制が必要な対象」とは、腎障害の症状を有するか、有するリスクのある対象、およびヨード系造影剤投与前に当該症状が存在し、造影剤の投与が禁忌とされる対象などを意味する。当該対象は、好ましくは哺乳動物、たとえば、ヒト;マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、サル、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ロバ、イヌ、ネコ等の家畜;又は他の実験動物であり、特にヒトが好ましい。
シラスタチン又はその薬学的に許容される塩とヨード系造影剤の投与量は、本発明の抑制剤に関して上記したとおりである。
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、例えば「1.0〜2.0g」は、それら下限値及び上限値を含む。
以下に実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用されたヨード系造影剤の内、イオメプロールは日本薬局方イオメプロール注射液(「イオメロン(登録商標)350」(ブラッコ・エーザイ株式会社))、イオヘキソールは日本薬局方イオヘキソール注射液(「オムニパーク(登録商標)350」(第一三共株式会社))、イオパミドールは日本薬局方イオパミドール注射液(「イオパミロン(登録商標)370」(バイエル薬品株式会社))、イオジキサノールはイオジキサノール注「ビジパーク(登録商標)320」(第一三共株式会社)、イオベルソールはイオベルソール注射液「オプチレイ(登録商標)350」(富士製薬工業株式会社)、イオプロミドはイオプロミド注射液(「イオプロミド370注「FRI」」(富士フィルムRIファーマ株式会社/輸入先:バイエル薬品株式会社))であった。また、使用されたシラシタチンは、シラスタチンナトリウム(シグマアルドリッチ(SIGMA−ALDRICH)ジャパン株式会社)であった。
使用した動物種は、C57BL/6J(雄性9−12週齢、Charles River Laboratories International)、腎特異的メガリン完全ノックアウトマウスNdrg1−CreERT2/+ megalin lox/lox(雄性12週齢)(以下、「NDRG1−Cre」とも記載する)、腎特異的メガリン部分ノックアウトマウスApoE cre、megalin lox/lox(雄性12週齢)(以下、「apoE−Cre」とも記載する)のいずれかであった。
(参考例1)
マウス造影剤腎症モデルを作成した。
方法
C57BL/6Jマウス(雄性9−12週齢、Charles River Laboratories International)の左腎を摘出し、その14日後に右腎茎を30分間結紮し、その後再灌流を行った。イオメプロール投与群では、再灌流開始24時間後にイオメプロール200μLを静脈より投与した。対照群では、イオメプロールの代わりに生理食塩水200μLを尾静脈より投与した。それぞれの群の動物を、投与の48時間後に解剖し、評価した。
解剖前の24時間は代謝ケージを使用して蓄尿を行い、解剖時には下大静脈から血液を採取後、右腎を摘出した。採取した血液を、室温、800gで30分間遠心し、血清を分離、回収した。得られた尿・血清は、解析まで−80℃で保存した。
腎障害を生化学的に評価するため、血清中のクレアチニン(Cr)と尿素窒素(MN)、および尿中のCrとβ−D−N−アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)を測定した。血清MN、Crの測定はオリエンタル酵母工業株式会社へ、尿中のNAG、Crの測定は株式会社SRLへ依頼した。
また、組織学的評価を行うため、上記の摘出した右腎から、腎茎の部分を含む3mm厚の切片を作成し、それを4%paraformaldehyde phosphate bufferで固定後、マイクロトーム(REM−710;Yamato Kohki Industrial Co.,Ltd.)で4μm厚に薄切し、得られた薄片をPeriodic acid−Shiff(PAS)染色と腎障害マーカーKidney Innjury Molecule−1(KIM−1)の免疫染色とを行った。免疫染色ではVECTASTAIN Elite ABC Kit(VECTOR LABORATO
RIES社)を用いた。
結果
結果を図1−3に示す。イオメプロール投与群(Iomeprol)の血清Crは、対照群(NS)に比して、有意(t検定)な上昇を認めた(図1)。また、組織学的には、近位尿細管上皮細胞のS1、S2セグメントを中心に広範にKIM−1の発現を認めた(図2囲み部分)。また、PAS染色においても空胞の形成が認められた(図3矢印)。
以上の生化学的・組織学的な評価から、造影剤腎症のモデルを完成できたことを確認した。
(参考例2)
腎特異的完全メガリンノックアウトマウスNDRG1−Creとその対照マウス(非誘導)を用いて、造影剤(ヨード)の近位尿細管上皮細胞への吸収がメガリン依存性であることを、電子線マイクロアナライザ、Electron probe microanalyzer(EPMA)により検証した。
EPMAは、電子線を対象物に照射する事により発生する各元素に特有の特性X線の波長と強度から、構成元素を分析する電子マイクロプローブ(EMP)装置の一つであり、EMPで解析することで切片に含まれるヨードを評価できる(Norbyら、Scanning Microsc、1990年、第4巻、第651〜666ページ)。造影剤は生体内で代謝を受けないことが分かっており、ヨード量分布を解析することで造影剤そのものの挙動を検証することが可能である。
腎組織切片などの生体試料の分析には「薄膜の定量法」が応用できる。EPMA解析において、同じ条件で電子線照射、X線検出を行うとした場合以下の関係が成り立つ。
Ix=KNx
Ix:X−ray intensity(X線強度)
Nx:原子数
K: 装置によって定まる定数
対象試料に電子線を照射した際に発生するX線強度は、存在する原子の数に比例するため、X線の強度を比較することで、原子数も間接的に比較することが可能である。
方法
NDRG1−Creおよび対照マウスに対して、造影剤としてイオメプロール、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオベルソール、イオジキサノールまたは生理食塩水200μLを尾静脈より投与し、その3時間後に腎臓を摘出した。右腎を解析に使用するため、腎茎の部分を含む3mm厚の切片を作成、それをOCTコンパウンドに包埋し、液体窒素で凍結固定し、−80℃で保存した。
次いで、保存した切片をクライオスタット(CM1850;Leica社)で4μm厚に薄切し、得られた切片をカーボン台に貼付け、一晩凍結乾燥を行った。
作成した組織切片中の皮質部分の378μmのエリアをEPMA(EPMA 1610;Shimadzu Ltd、Kyoto、Japan)で分析し、造影剤の構造に含まれるヨードをマッピングした。
結果
結果を図4−9に示す。イオメプロール、イオヘキソール、イオパミドール、イオプロミド、イオベルソール、イオジキサノールの造影剤を投与した対照マウスの腎臓の切片においては、いずれも高濃度にヨードが検出されたが(図4−9中の対照の結果を示す図では高濃度を示す明るい部分が多い)、NDRG1−Creの腎臓の切片においては対照と比してヨードの検出量が低下していた(図4−9中のNDRG1−Creの結果を示す図では低濃度を示す暗い部分が多い)。
この実験によって、造影剤の取り込みはメガリン依存性であることが確認できた。
(参考例3)
腎特異的部分ノックアウトマウス(apoE−Cre)を用いて、参考例1と同様の造影剤腎症モデルを作成し、造影剤による腎障害発生へのメガリンの関与を検証した。
方法
前記ノックアウトマウスの左腎を摘出し、その14日後、右腎茎を30分間結紮し、再灌流を行った。再灌流開始24時間後にイオメプロール200μL又は生理食塩水を尾静脈より投与した。
投与48時間後に各動物から右腎を摘出し、腎茎の部分を含む3mm厚の切片を作成し、4%paraformaldehyde phosphate bufferで固定後、マイクロトーム(REM−710;Yamato Kohki Industrial
Co.,Ltd.)で4μm厚に薄切し、抗メガリン抗体と抗KIM−1抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。染色された切片をSlow Fade Gold Antifade Reagent(Life Technologies)で封入し、蛍光顕微鏡(BZ−9000;Keyence)を用いて観察した。特に、近位尿細管S1、S2セグメントでのメガリンの発現、KIM−1の発現を検証した。
結果
結果を図10A−10Cに示す。図10Aが抗メガリン抗体染色結果(メガリン発現部位の染色)、図10Bが抗KIM−1抗体染色結果(KIM−1発現部位の染色)、図10CがA、Bを合成した画像を示す。メガリンが発現している近位尿細管上皮細胞を矢頭、メガリンの発現がない近位尿細管上皮細胞を矢印で表示した。メガリンと障害マーカーKIM−1の発現部位は一致しており、メガリンが発現している近位尿細管上皮細胞に特異的にKIM−1の発現が認められた。
以上から、造影剤による近位尿細管上皮細胞の障害はメガリン依存性であることが分か
った。
(実施例1)
マウス近位尿細管上皮細胞へのメガリン依存性の造影剤(ヨード)の取り込みが、シラスタチン投与により抑制できるかを、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて検証した。
方法
C57BL/6Jマウスを下記の通り群分けし、下記の薬剤を尾静脈投与した。
a)シラスタチン同時投与群:イオメプロール、イオヘキソール、イオベルソール、又はイオジキサノール100μL+シラスタチン400mg/kg(200μL)
b)生理食塩水同時投与群:イオメプロール、イオヘキソール、イオベルソール、又はイオジキサノール100μL+生理食塩水200μL
試料作製、操作法の詳細は参考例3に準じた。
EPMAによる生体試料における元素の定量法
「薄膜の定量法」においては、単純なX線強度は、細胞成分の分布のばらつき、組織切片の厚さの影響を受けて変動することから、それらの精密かつ定量的な比較は難しい。
EPMAによる生体試料測定において、試料中の窒素(N)は細胞蛋白の主成分であることから、窒素の分布は、組織切片の細胞成分の分布と一致し、細胞成分の分布のばらつき、組織切片の厚さを考慮する際の内部標準として使用できることが報告されている(Tanakaら、BMJ Open、2014年、第4巻、e004407;Moriyamaら、Am J Respir Crit Care Med、2007年、第176巻、第70−77ページ)。
従って、薄膜生体試料の一定の面積における、ヨード(I)と窒素(N)のX線強度の比率(I/N)をとることで、試料間のヨード(I)を相対的に定量比較できる。
X−ray count ratio=(X−ray count of Iodi
ne/単位面積)/(X−ray count of Nitrogen/(単位面積))
この原理を利用し、一定面積に含まれるヨードの相対定量と比較を行った。
結果
a)シラスタチン同時投与群では、b)生理食塩水同時投与群に比べてEMPAによるヨードの検出の低下を認めた(図11)。また、皮質エリアを含む1980μmを解析し、500μmのエリア7箇所を皮質エリアから重なりのないよう選択し、7箇所のエリアのI/N X−rayratio平均値を算出し、その値を1個体あたりのI/N X−ray ratioとし、a)、b)各群6個体ずつで定量比較を行った。その結果、a)シラスタチン同時投与群では、b)生理食塩水同時投与群に比べて有意(t検定)にI/N X−rayratioが低い結果となった(図12−15)。即ち、シラスタチン併用マウスでは、解析した切片の皮質の細胞に含まれるヨードが少ないことが分かった。
以上のことから、シラスタチンは、解析対象とした皮質部分の大半を占める近位尿細管上皮細胞への造影剤の取り込みを抑制していると考えられた。参考例2の結果も併せて、シラシスタチンによる造影剤の取り込み抑制は、メガリンへの拮抗作用によるものであることが示された。
(実施例2)
シラスタチンによる腎障害抑制効果を確認するため、C57BL/6Jマウスにヨード系造影剤とシラスタチンを同時投与し、その結果を解析した。
方法
C57BL/6Jマウスの左腎を摘出して14日後、右腎茎を30分間結紮し、その後再灌流を行った。再灌流後24時間に、下記の通りに試験動物を群分けし、下記の薬剤を尾静脈投与した。
a)シラスタチン(CS)同時投与群:イオメプロール(CM)200μL+シラスタチン(CS)400mg/kg(100μL)
b)生理食塩水(NS)同時投与群:イオメプロール(CM)200μL+NS100μL
各群において、薬剤投与後48時間後に血液および尿を採取し、血清Cr、血清ΜN、血清シスタチンC、および尿Cr、尿中NAG、尿中KIM−1を測定した。さらに右腎を摘出し、KIM−1免疫染色、PAS染色により右腎の組織学的評価を行った。評価用組織作成のための操作、測定、組織染色方法の詳細は参考例1に準じた。血清シスタチンC、尿中KIM−1の測定は、オリエンタル酵母工業株式会社へ依頼した。
また、免疫染色の染色強度については、Zhangらの方法(Kidney Int、2008年、第73巻、第608〜614ページ参照)にもとづいて、以下の基準でスコア化した。
0:染色像を認めない
0.5±:非萎縮尿細管の管腔側表面に沿って巣状に、明瞭だが弱い顆粒状の染色像を認める
1+:非萎縮尿細管の管腔側表面を完全に取り囲む明瞭だが弱い顆粒状の染色像を認める
2+:非萎縮尿細管の管腔側表面を完全に取り囲む中等強度の顆粒状の染色像を認めかつ、細胞間接着部分にも染色像が及ぶ
3+:非萎縮尿細管の管腔側表面を完全に取り囲む強く大きな顆粒状の染色を認めかつ、細胞間接着部分にも染色像が及ぶ
結果
造影剤腎症の発症の基準として、ガイドライン(非特許文献1)に倣った「血清クレアチニンのベースラインより25%以上の上昇」との基準に加え、造影剤による影響を確実に評価するため、「組織観察で近位尿細管S1、S2セグメントにKIM−1の発現を認めた個体」との基準を設け、これらの基準を満たすものを、造影剤腎症を発症したものと判断した。
結果を図16−19に示す。
上記基準によると、造影剤腎症を発生した割合は、b)生理食塩水同時投与群では27%、a)シラスタチン同時投与群ではゼロであった。また、尿中KIM−1量は、a)シラスタチン同時投与群で、b)生理食塩水同時投与群に対して有意(t検定)に上昇が抑制されていた(図16)。
組織のKIM−1の発現に関して、メガリンの発現が多いS1、S2セグメントが含まれる皮質外層に限定して評価を行った。b)生理食塩水投与群で血清クレアチニンが上昇した個体群においては、S1、S2セグメントを中心に広範にKIM−1の発現を認められた(図17囲み部分)。一方、染色強度のスコア比較では、シラスタチン併用投与例では、KIM−1の発現は有意(t検定)に低かった(図18)。また、生理食塩水投与群で血清クレアチニンが上昇した前記同個体では、同じくS1、S2セグメントを中心に、PAS染色により近位尿細管上皮細胞の空胞形成を認めた(図19矢印)。
以上より、シラスタチンは造影剤による腎障害を抑制する効果を持つことが分かった。参考例の結果も併せて、シラスタチンの造影剤による腎障害の抑制効果は、メガリン拮抗作用によるものであると分かった。
(参考例4)
ヨード系造影剤とメガリンとの直接の結合性を、造影剤固相化磁気ビーズを用いて検証した。
方法
1)ウエスタンブロット(WB)法試料の調製
1−1.ヨード系造影剤結合磁気ビーズの作成
グリシジルメタクリレート被覆磁気ビーズ(FG beads(登録商標)/粒経0.2μm:多摩川精機株式会社製)にヨード系造影剤の原末を用事溶解し、表面カルボキシル基と造影剤水酸基を化学結合させて、造影剤固相化ビーズを作成した。
イオメプロールはBOC Science社から購入した。
イオメプロールを0mM、3mM、10mMの仕込み濃度で化学結合により固相化した。イオメプロール固相化ビーズの作製は多摩川精機株式会社へ依頼した。
1−2.Brush Border Protein(BBP)の調製
Orlandoらの方法(1992年 Proc Natl Acad Sci、第89巻、第698−6702ページ)に従い、Sprague−Dawley(SD)ラットの腎臓皮質部分を擦りつぶして懸濁液を調製し、その蛋白濃度1mg/mLに調整し、BBP液を得た。
1−3.WB試料調製
0mM、10mMの固相化磁気ビーズ各5mgを、200μLの100mM KCLバッファー(20mM HEPES−NaOH(pH7.9)、100mM KCl、1mM MgCl、0.2mM CaCl、0.2mMEDTA、10%(v/v)glycerol、0.1%NP−40、1mMDTT、0.2mMPMSF)中で分散・洗浄した。
洗浄後のビーズにBBP液を200μL加え、4℃で4時間インキュベート後、磁気分離を行い、上清を除去し、200μLの100mM KCLバッファーによる分散・洗浄を3回繰り返した。その後、30μLの1M KCLバッファー(2.5M KCl 18mL、水7mL、2×100mM KClバッファー25mLを混合し、使用前に1M
DTT溶液50μL、1M PMSF溶液を10μLを添加したもの)を加え、5分間氷上でインキュベートした。磁気分離による上清を電気泳動サンプルバッファー(0.25M Tris−HCl(pH6.8)、0.02%BPB、8%SDS、40%glycerol、20%、2−メルカプトエタノール)を加えて加熱処理し、塩溶出サンプルを得た。さらに磁気分離後のビーズに電気泳動サンプルバッファーを加え98℃で5分間加熱し、磁気分離により上清を得た。この上清を加熱溶出サンプルとした。
2)抗メガリン抗体を用いたウエスタンブロットによる解析
塩溶出サンプルと、加熱溶出サンプルについて、4〜15パーセントのグラディエントゲル(バイオ・ラッド社製)を用いて還元条件のSDS電気泳動を実施、展開物をpolyvinylidene fluoride(PVDF)膜にトランスファーした。5%BSA含有緩衝液でブロッキング後、抗メガリン抗体(C25;Deら、Diabetes、2017年、第66巻、第1391〜1401ページ参照)8μg/mLの濃度で室温2時間反応させた。HRP標識 抗マウスIgG(DAKO社製)1μg/mLで1時間反応後、メガリンに相当するタンパク質バンドの有無を確認した。
結果
WB解析の結果、対照としたBBP試料で見られたメガリンのバンドは、BBPとヨード系造影剤結合ビーズの反応後の溶出液物中には検出されなかった(図20囲み部分)。
このことから、ヨード系造影剤はメガリンと直接結合しないことが分かった。
参考例2などにおいてヨード系造影剤の細胞への取り込みはメガリン依存性であったことから、ヨード系造影剤とメガリンは直接結合せず、ヨード系造影剤はキャリアー物質を介してメガリンと結合する可能性が示唆された。
(参考例5)
メガリンリガンドに関する報告情報等を参考に、ヨード系造影剤のキャリアーとなり得る物質を選定した。具体的には、メガリンリガンドの中から、糸球体で濾過され、腎臓の近位尿細管上皮細胞でメガリンを介して再吸収されることが知られているタンパク質を一つ選択した。
当該タンパク質とヨード系造影剤の結合特異性を、造影剤固相化磁気ビーズを用い、以下の方法で検証した。
方法
1)WB法試料の調製
参考例4で調製した0mM・3mM・10mM造影剤固相化ビーズ5mgを、参考例4に記載の方法にしたがって分散・洗浄した。次いで、当該タンパク質(LifeSpan
BioSciences,Inc製)を100mM KCLで溶解し、25ng/μL
の濃度の溶液を調製した。上記のビーズを当該溶液200μL中に分散し、4℃で4時間反応させた。その後、参考例4に記載の方法に準じて加熱溶出サンプルを調製した。
2)抗体を用いたウエスタンブロットによる解析
試料の電気泳動、WB法は参考例4に準じた。当該タンパク質に対する抗体(Bioss社のポリクローナル抗体)を2μg/mLの濃度で室温で2時間反応させた。
結果
結果を図21に示す。ヨード系造影剤のビーズ上の固相化濃度が高くなるほど、加熱溶出サンプル由来の当該タンパク質の分子量に対応するバンドの強さも増強していた。したがって、当該タンパク質とビーズ上の造影剤とが特異的に結合したことが示された。
(実施例3)
実施例2の結果から、キャリアー物質とメガリンの結合、ヨード系造影剤とキャリアー物質の結合、またはその両方がシラスタチンにより阻害されるものと推定された。
ヨード系造影剤(イオメプロール、イオベルソール、イオジキサノール、イオプロミド、又はイオヘキソール)結合ビーズと、参考例5において使用されたタンパク質(キャリアー)との結合特異性と、シラスタチンによる結合阻害の可能性を検証した。
方法
1)造影剤による競合実験試料の調製
100mM KCLバッファー(参考例4に記載のもの)と参考例5で使用したタンパク質を用いて以下の溶液を作成し、4℃で2時間反応させた。造影剤として、イオメプロール原末(BOC Science社;78649−41−9)を用いた。
a)25ng/μLの当該タンパク質、0mMの造影剤を含有する溶液
b)25ng/μLの当該タンパク質、10mMの造影剤を含有する溶液
c)25ng/μLの当該タンパク質、25mM の造影剤を含有する溶液
d)25ng/μLの当該タンパク質、50mM の造影剤を含有する溶液
次に、参考例4に記載の方法に従って分散・洗浄して得られた5mgの0mMまたは10mM造影剤固相化ビーズに、上記溶液を加え、4℃4時間反応させた。溶液とビーズの組合せは以下のとおりであった。
a)溶液+0mM造影剤固相化ビーズ(対照)
a)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
b)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
c)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
d)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
その後、参考例4の方法に準じて処理を行い、各反応液から加熱溶出サンプルを調製した。
2)シラスタチンによる競合実験試料の調製
100mM KCLバッファー(参考例4に記載のもの)を用いて以下の溶液を作成し、4℃2時間反応させた。
a’)25ng/μLの当該タンパク質と0mMのシラスタチンを含有する溶液
b’)25ng/μLの当該タンパク質と10mMのシラスタチンを含有する溶液
c’)25ng/μLの当該タンパク質と25mMのシラスタチンを含有する溶液
d’)25ng/μLの当該タンパク質と50mMのシラスタチンを含有する溶液
次に、参考例4の方法に従って分散・洗浄して得られた5mgの0mMまたは10mM造影剤固相化ビーズに、上記溶液を加え、4℃4時間反応させた。溶液とビーズの組合せは以下のとおりであった。
a’)溶液+0mM造影剤固相化ビーズ(対照)
a’)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
b’)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
c’)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
d’)溶液+10mM造影剤固相化ビーズ
その後、参考例4の方法に準じて処理を行い、各反応液から加熱溶出サンプルを調製した。
3)抗体を用いたWB法による解析
1)と2)で得られた加熱溶出サンプルの各々について、参考例5の方法に従ってWB法を行った。
また、他の造影剤である、イオヘキソール原末(東京化成工業;I0903)、イオプロミド原末(シグマアルドリッチ;1344804−400)、イオジキサノール原末(The United State Pharmacopecial Convention,Inc;1343517)、イオベルソール原末(Toronto Research Chemicals Inc;1737000)を用いて、1)〜3)と同様の実験を行った。ただし、一部の濃度に関する試験を省略した。
結果
結果を図22−26に示す。ヨード系造影剤の共存下で当該タンパク質のバンドは減弱していることから、造影剤結合ビーズへのタンパク質の結合量は、ヨード系造影剤によって減少したと考えられる。当該タンパク質はヨード系造影剤と特異的に結合することが明らかとなり、当該タンパク質はヨード造影剤のキャリアーであることがわかった。
また、シラスタチンの共存下でも当該タンパク質のバンドは減弱しており、シラスタチンはヨード系造影剤と当該タンパク質との結合を阻害することが明らかとなった。
(実施例4)
メガリンと参考例5において使用されたタンパク質(キャリアー)との結合特異性と、シラスタチンによる結合阻害の可能性を、水晶振動子マイクロバランス法(QCM法)を用いて検証した。
方法
Orlandoらの方法に従いSprague−Dawleyラット(SDラット)腎臓より精製したメガリンタンパクを水晶上に固定化した。具体的には、Immobilization Kit for AFFINIX(登録商標、株式会社イニシアム製)を用いて、前記キットにおいて推奨されているプロトコールに従い、前記キットの付属のBuffer Aにより62.5μg/mLになるように調製したメガリンタンパク溶液を、ホルダーに設置した水晶にのせて固定化した。
メガリンタンパクを固定化した水晶を、測定機器AFFINIX(登録商標)Q8(株式会社イニシアム製)に設置し、周波数が安定したことを確認した後、参考例5で用いたタンパク質のリコンビナント品(1.5μg)を注入(いずれも総注入量)し、周波数を経時的に測定した。より詳細には、200μLのバッファーの入った水面に入れたメガリンタンパク固定化水晶に、当該タンパク質を注入し、周波数を測定した。メガリンの代わりにウシ血清アルブミン(BSA)をメガリンと同量固相化した水晶を対照として同様に測定し、当該タンパク質のメガリンに対する特異的な結合能を解析した。
また、予めバッファーに1mgのシラスタチンを注入し、メガリンタンパクを固定化させた水晶を測定機器に設置、周波数が安定したことを確認した後、1.5μgの当該タンパク質を注入し、周波数を経時的に測定することで、当該タンパク質のメガリンへの結合に対するシラスタチンによる拮抗作用を解析した。対照についても同様の実験を行った。
結果
結果を図27に示す。当該タンパク質を注入後に周波数が明らかに低下しており、当該タンパク質のメガリンへの結合が確認された。
また、予めシラスタチンを注入することにより当該タンパク質注入時の周波数変化は軽減しており、当該タンパク質のメガリンタンパクへの結合が、シラスタチンにより阻害されることがわかった。
実施例3の結果と併せて、当該タンパク質とメガリンの結合およびヨード造影剤と当該タンパク質の結合の両方がシラスタチンにより阻害されることが判明した。
これにより、ヨード造影剤の細胞内への取り込みによる細胞障害及びそれにより派生する腎障害はシラスタチンにより抑性される得ることが分かった。
本発明により、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. 有効成分としてシラスタチン又はその薬学的に許容される塩を含む、ヨード系造影剤によって誘発される腎障害の抑制剤(ただし、前記ヨード系造影剤がイオパミドールである場合を除く)。
  2. 前記ヨード系造影剤が、3位及び/又は5位が置換基で置換されていてもよい一つ又は複数の2,4,6−トリヨードフェニル基を化学構造中に有する化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項1に記載の抑制剤。
  3. 前記ヨード系造影剤が、非イオン性である、請求項1または2に記載の抑制剤。
  4. 前記ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオトロラン、イオジキサノール、イオキサグル酸、イオトロクス酸、アミドトリゾ酸、イオタラム酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の抑制剤。
  5. 前記ヨード系造影剤が、イオキシラン、イオプロミド、イオヘキソール、イオベルソール、イオメプロール、イオジキサノール、イオキサグル酸、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の抑制剤。
  6. 注射剤の形態である、請求項1〜5のいずれかに記載の抑制剤。
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