JP2019192395A - 光照射装置 - Google Patents

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大作 田中
保文 川鍋
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【課題】照射領域の照度と均斉度とを両立し易くすること。【解決手段】光照射装置1は、照射器13と照射領域1Sとの間の波長選択フィルタ15に拡散部21が形成され、拡散部21は、紫外線ランプ10の延在方向である長手方向Yに延びる帯状に形成される。さらに、光照射装置1は、波長選択フィルタ15と照射領域1Sとの間に、拡散部21の拡散光を含む光を照射領域1Sに向けて反射する補助反射板14を有している。【選択図】図3

Description

本発明は、線状光源と、線状光源の光を反射する反射鏡とを有した光照射装置に関する。
従来、液晶パネルの製造工程においては、液晶パネルの基板を貼り合わせる光硬化樹脂を硬化させたり、液晶パネルの液晶配向特性を付加したりするために、光照射装置が用いられている。この種の光照射装置には、線状光源と、線状光源の下方に設けられた照射領域に向けて、線状光源の光を反射する反射板とを備えた照射器と、四角筒形状の補助反射板とを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−122207号公報
しかし、反射板や補助反射板の調整だけでは照射領域の均斉度に限界がある。特に、反射板の反射面を楕円反射面とした場合、照射器の照射光は距離が離れるに従って拡がるため、光照射装置直下の照度が相対的に低くなる中抜けの状態になり易い。また、照射領域には十分な照度を確保する必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、照射領域の照度と均斉度とを両立し易くすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、線状光源と、前記線状光源の下方に設けられた照射領域に向けて、前記線状光源の光を反射する反射鏡とを有した照射器を備え、前記線状光源の直射光と、前記反射鏡の反射光とで前記照射領域を照射する光照射装置において、前記光を拡散する拡散部が形成された光透過部材を備え、前記光透過部材は、前記照射器と前記照射領域との間に配置され、前記拡散部は、前記線状光源の延在方向に延びる帯状に形成され、前記光透過部材と前記照射領域との間に、前記拡散部の拡散光を含む光を前記照射領域に向けて反射する補助反射板を有することを特徴とする。
また、本発明は、上記光照射装置において、前記拡散部は、前記線状光源の延在方向に延びると共に、前記線状光源の短手方向に沿う断面において、前記線状光源から照射された光のうち前記反射鏡に向かわない光のみが入射する範囲に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記光照射装置において、前記反射鏡は、前記線状光源内に第1焦点を有する楕円反射面を有し、前記光透過部材の拡散部は、前記線状光源の延在方向に交差する前記反射鏡の開口の面内で、前記反射鏡の光軸を挟んだ両側に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記光照射装置において、前記楕円反射面は、前記線状光源及び前記光透過部材の間に第2焦点を有し、前記拡散部は、前記第2焦点よりも前記照射領域側に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、線状光源と、前記線状光源の下方に設けられた照射領域に向けて、前記線状光源の光を反射する反射鏡とを有した照射器を備え、前記線状光源の直射光と、前記反射鏡の反射光とで前記照射領域を照射する光照射装置において、前記光を拡散する拡散部が形成された光透過部材を備え、前記光透過部材は、前記照射器と前記照射領域との間に配置され、前記拡散部は、前記線状光源の延在方向に交差する方向に延びる帯状に形成され、前記光透過部材と前記照射領域との間に、前記拡散部の拡散光を含む光を前記照射領域に向けて反射する補助反射板を有することを特徴とする。
また、本発明は、上記光照射装置において、前記拡散部は、前記光透過部材上の照度分布で合計照度が50%以上の範囲に設けられて照射領域の均斉度を10%以下にすることを特徴とする。
本発明によれば、照射器と照射領域との間の光透過部材を通過する光を拡散させて照射領域における照度分布を補うと共に、拡散部を限定して配置することで照度低下を抑制し、照射領域の照度と均斉度とを両立し易くなる。
本発明の第1実施形態に係る光照射装置の外観斜視図である。 光照射装置の内部構造を示す図である。 紫外線ランプの短手方向に沿う断面視で紫外線ランプからの光を周辺構成と共に示した図である。 比較例1を示す図である。 (A)は実施例1の照射領域を上方から見たときの照度分布図、(B)は比較例1の照射領域を上方から見たときの照度分布図、(C)は比較例2の照射領域を上方から見たときの照度分布図である。 (A)は比較例1の照射光を示す図、(B)は図6(A)のB−B断面の照度分布図、(C)は図6(A)のC−C断面の照度分布図、(D)は図6(A)のD−D断面の照度分布図である。 (A)は実施例2の照射領域を上方から見たときの照度分布図、(B)は実施例3の照射領域を上方から見たときの照度分布図である。 (A)は比較例3を示す図、(B)は比較例4を示す図である。 (A)は比較例3の照射領域を上方から見たときの照度分布図光透過部材、(B)は比較例4の照射領域を上方から見たときの照度分布図である。 (A)は波長選択フィルタを周辺構成と共に示した図、(B)は位置P1にある波長選択フィルタ上の照度分布図、(C)は位置P2にある波長選択フィルタ上の照度分布図である。 (A)は実施例4を示す図、(B)は比較例6を示す図である。 (A)は実施例5を示す図、(B)は比較例7を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る光照射装置1の外観斜視図である。図2は光照射装置1の内部構造を示す図である。
図1及び図2に示すように、光照射装置1は、線状光源である紫外線ランプ10と、紫外線ランプ10の下方に設けられた照射領域1S(図2)に向けて、紫外線ランプ10の光を反射する反射板12とを有した照射器13を備えている。さらに、光照射装置1は、照射器13と照射領域1Sとの間に配置される補助反射板14を備えている。
この光照射装置1は、照射領域1Sに設けられたワーク2の全域を均一な照度(すなわち良好な均斉度)で照射する器具に構成されている。
この照射器13の紫外線ランプ10には、直管型の高出力な1灯の紫外線ランプが用いられ、一つの線状光源によりワーク2を照射する構成となっている。図1中、符号Nは紫外線ランプ10の中心軸を示している。
図1、図2及び後述する各図において、符号Yは、紫外線ランプ10の長手方向を示し、符号Xは、水平面内で、紫外線ランプ10の長手方向Yに直交する短手方向を示している。
なお、紫外線ランプ10の長手方向Yは、光照射装置1の各部(反射板12、照射器13、補助反射板14)の長手方向と一致している。また、紫外線ランプ10の短手方向Xは、光照射装置1の各部(反射板12、照射器13、補助反射板14)の短手方向と一致している。
補助反射板14の上端である一端部14Aと反射板12との間には、固定枠14Wが設けられ、この固定枠14Wに波長選択フィルタ15が着脱自在に支持されている。
波長選択フィルタ15は、図2に示すように、ガラス製の基材15Aの上面に、特定波長の光だけを通過させる多層膜15Bを設けた構成であり、紫外線ランプ10の長手方向Yに延在する長板形状に形成される。本構成では、波長選択フィルタ15により、ワーク2に塗布された光硬化性樹脂の硬化に必要な特定波長の光だけを通過させる。つまり、波長選択フィルタ15は、ワーク2に照射する光が透過する光透過部材であり、特定波長の光だけを補助反射板14に入射させる光学フィルタである。なお、波長選択フィルタ15に代えて、他の光学特性を有する光学フィルタを配置してもよい。
ワーク2は、照射領域1Sの上面に配置されることによって、補助反射板14の下端である他端部14B側の開口(以下、「照射開口」と称し、符号16を付す)の直下に、隙間δをあけた位置に配置される。図1に示すように、ワーク2の平面視中央の長軸Cに沿った真上に紫外線ランプ10が延在する。
図3は、紫外線ランプ10の短手方向Xに沿う断面視で紫外線ランプ10からの光を周辺構成と共に示した図である。なお、図3には、波長選択フィルタ15を、実線で示す実施例1の位置、二点鎖線で示す実施例2及び3の位置においた場合をそれぞれ示している。各実施例1〜3については後述する。
この光照射装置1は、図3に示すように、紫外線ランプ10の直射光(図3に示す直射光K1、K2等)と、反射板12の反射光(図3に示す反射光K3、K4等)と、補助反射板14の反射光(図3に示す反射光K5等)とを照射領域1Sに向けて照射する。
なお、直射光K1、K2は、紫外線ランプ10の短手方向Xに沿う断面視で、紫外線ランプ10から照射された光のうち反射板12に向かわない光(直接、波長選択フィルタ15に入射する光)である。
ここで、紫外線ランプ10の直射光のみによってワーク2を照射した場合、ワーク2の長軸Cを含む近傍の照度分布には、紫外線ランプ10の輝度分布が略直接的に反映される。
この光照射装置1では、紫外線ランプ10から放射されワーク2を外れる光を反射板12、及び補助反射板14で反射することによって、ワーク2表面における紫外線ランプ10の直射光の照度分布を補い、照射領域1Sの均斉度を所定値(本構成では10%)以下にできる。
均斉度は以下の式によって算出される。
均斉度=(最大照度−最小照度)/(最大照度+最小照度)*100)
この種の光照射装置1は、ワーク2に塗布された紫外線硬化剤を一括で処理しなければならないため、ワーク2内の均斉度が低い状態で照射すると照度不足による硬化不良や、過剰照射による品質低下が発生する可能性がある。そのため、可能な限り均斉度を良くすることが望まれる。
反射板12は、紫外線ランプ10の長手方向Yに延び、紫外線ランプ10を上方から包囲するように楕円反射面を有する楕円反射鏡に形成されている。
紫外線ランプ10は、図3に示すように、その中心軸Nが反射板12の第1焦点F1に配置されることによって反射板12の第2焦点F2で紫外線ランプ10の放射光が集光する。この第2焦点F2は、紫外線ランプ10の下方、かつ照射開口16の上方に位置し、第2焦点F2の集光光が拡がりながら照射光として照射される。
図2及び図3中、符号L1は、反射板12の光軸である。
上記反射光K3は、反射板12における光軸L1の片側領域(右側領域に相当)で反射した光のうち最も光軸L1に近い位置で反射した光を示している。また、上記反射光K4は、反射板12における光軸L1の片側領域で反射した光のうち最も光軸L1から離れた位置で反射した光を示している。
つまり、紫外線ランプ10から光軸L1の片側領域に向けて放射された光は、反射板12で反射されることによって、反射光K3と反射光K4との間の領域(図3中、ハッチングを付した領域)に渡って出射される。
補助反射板14は、固定枠14Wとワーク2との間に設けられ、照射領域1Sの外に漏れる光を照射領域1Sに向けて反射することで、照射領域1Sの照度を向上させる。
より具体的には、補助反射板14は、図1に示すように、紫外線ランプ10の長手方向Yに間隔を空けて対面する一対の端板14Tと、紫外線ランプ10の長手方向Yと直交する短手方向Xに間隔を空けて対面する一対の側板14Sとを有し、その内壁面が反射面として構成される。一対の側板14Sは、紫外線ランプ10の長手方向に延びる反射面を構成し、一対の端板14Tは、側板14Sの両端にて上記長手方向と略直交する方向に延びる反射面を構成している。
係る構成の下、一対の端板14T及び側板14Sは、紫外線ランプ10及び反射板12の照射だけでは照度が不足する領域に向けて紫外線ランプ10の光を反射し、端板14T及び側板14S近傍の領域の照度を向上させる。これによって、照射領域1Sの照度を向上させ、かつ、端板14T及び側板14S近傍の照度不足を補うことができる。
ところで、反射板12や補助反射板14の調整だけでは照射領域1Sの均斉度に限界がある。そこで、本構成では、図2に示すように、波長選択フィルタ15に光を拡散する帯状の拡散部21(図2及び以降の図において、中、塗りつぶした部分に相当)を設けることによって、この波長選択フィルタ15を透過する光の一部を拡散させ、照射領域1Sの均斉度を10%以下にしている。
拡散部21は、波長選択フィルタ15の基材15Aにおける紫外線ランプ10と反対側の面に、光拡散性を付与する所定の処理を施すことによって形成される。本構成では、所定の処理として、拡散部21とする領域を細かい凹凸を有するフロスト面に加工するフロスト加工が適用される。なお、フロスト加工に限定されず、拡散性を有するフィルムを装着する方法、又は微少でランダムなレンズアレイを設ける等の拡散効果を付与する他の方法を適用してもよい。
この拡散部21は、波長選択フィルタ15における紫外線ランプ10と反対側の面に形成されるので、基材15Aの上面に設けられた多層膜15Bに何ら加工を行うことなく、拡散部21を設けることができる。したがって、多層膜15Bによって所望の波長選択特性を得ながら、拡散部21によって所望の拡散効果を得ることができ、各光学特性の変更も容易である。
なお、所望の光学特性が得られる範囲で、拡散部21を紫外線ランプ10側の面に設け、多層膜15Bを紫外線ランプ10と反対側の面に設ける等の変更をしてもよい。
本構成において、拡散部21は、紫外線ランプ10の長手方向Yに交差する反射板12の開口の面内で、反射板12の光軸L1を挟んだ両側に設けられ、紫外線ランプ10の長手方向Yに延びる帯状に形成され、図3に示すように、紫外線ランプ10から照射された光のうち反射板12に向かわない直射光(直射光K2等)が入射し、かつ反射光K3、K4が入射しない範囲に設けられている。
より具体的には、拡散部21は、反射光K3と反射光K4との間の領域(図4中、ハッチングを付した領域に相当)よりも光軸L1の反対側の領域にて長手方向Yに延在し、かつ、光軸L1に対して同距離を空けて左右一対で設けられている。これにより、拡散部21には、紫外線ランプ10の短手方向Xに沿う断面において、反射板12で反射された反射光(以下、反射光K3−K4と言う)が入射せず、光軸L1から同距離だけ離れた箇所で波長選択フィルタ15を通過する直射光(直射光K2等)が長手方向Yに渡って拡散することになる。
次に、本発明の実施例を比較例とともに説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1は、図3に示すように、反射板12の第2焦点F2よりも下方に波長選択フィルタ15が配置され、この波長選択フィルタ15における反射光K4近傍に拡散部21を設けている。
図4は比較例1を示している。比較例1は、拡散部21が設けられていない点を除いて実施例1と同じである。また、図示は省略するが、波長選択フィルタ15の全面に拡散部21を形成したものを比較例2とした。なお、比較例2は、波長選択フィルタ15の全面に拡散部21を形成した点を除いて実施例1と同じである。
図5(A)は実施例1の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図、図5(B)は比較例1の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図、図5(C)は比較例2の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図である。
図5(A)に示すように、実施例1では、照射領域1Sの全体がほぼ一定の照度となり、紫外線ランプ10直下の照度が相対的に低くなる中抜けの照度分布が回避されていることが明らかである。
つまり、反射光K3−K4を拡散させない一方で、直射光(直射光K2等)だけを拡散させたことによって、紫外線ランプ10直下の照度が向上し、周囲の照度との差が小さくなった。
実施例1では、拡散部21が設けられない比較例1の平均照度を100%とした場合の相対値で平均照度96.5%であり、均斉度6.1%であり、平均照度及び均斉度の両方について良好な結果が得られた。他の実施例及び比較例についても、平均照度は比較例1の平均照度を100%とした場合の相対値で示す。
前掲図3に示すように、実施例1では、波長選択フィルタ15における反射光K4近傍に拡散部21を形成している。実施例1の拡散部21をさらに外側(光軸L1の反対側)に離した場合を検討したところ、実施例1よりも均斉度が低下した。つまり、拡散部21の位置を、紫外線ランプ10の短手方向Xに沿う断面において直射光K2が入射し、かつ反射光K3−K4が入射しない範囲内で適宜に微調整することによって、均斉度を10%以下に収めることが好ましい。
図5(B)に示すように、比較例1では、紫外線ランプ10直下に相当する領域AR1の照度が低くなる中抜けの照度分布となり、比較的高い平均照度が得られるものの、均斉度は10%以下にならない。
図5(C)に示すように、比較例2では、紫外線ランプ10の全ての光K1〜K5が拡散されるので、良好な均斉度が得られた。しかし、比較例2では、最大照度及び最小照度が低下し、相対的に低い平均照度77.8%となった。
図6(A)は比較例1の照射光を示す図、図6(B)は図6(A)のB−B断面の照度分布図、図6(C)は図6(A)のC−C断面の照度分布図、図6(D)は図6(A)のD−D断面の照度分布図である。図6(B)〜図6(D)において縦軸が照度であり、横軸が、反射板12の光軸L1の位置を零としたX方向の位置である。
比較例1では、線状光源である紫外線ランプ10の直射光、及び楕円反射面を有する反射板12の反射光の照度分布が、各断面に直接反映される。図6(B)では、照度が相対的に高い領域LHが1つであり、図6(B)〜図6(D)では、照度が相対的に高い領域LHが2つである。つまり、紫外線ランプ10からの照射距離が長くなるにつれ、照度が相対的に高い領域LHは1つから2つへと変化する。そして、2つの領域LHの間に照度が相対的に低い領域LLが発生してしまう。
これに対し、実施例1では、反射板12の光軸L1を挟んだ両側に拡散部21が追加されるので、各拡散部21によって波長選択フィルタ15を通過する直射光(直射光K2等)が長手方向Yに渡って拡散され、上記したように比較例1と比べて均斉度が改善する。
図7(A)は実施例2の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図、図7(B)は実施例3の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図である。ここで、実施例2では、前掲図3に示したように、波長選択フィルタ15を、反射板12の第2焦点F2の位置に配置し、実施例3は、波長選択フィルタ15を、反射板12の第2焦点F2よりも上に配置している。
実施例2及び3では、波長選択フィルタ15の位置の違いに起因して、実施例1の場合よりも反射光の範囲(図4中、反射光K3、K4の間のハッチングを付した領域)が狭まることを考慮し、図3に示すように、左右の拡散部21を光軸L1寄りに配置している点も実施例1と異なる。
図7(A)及び図7(B)に示すように、実施例2及び3のいずれにおいても、紫外線ランプ10直下の照度が低くなる中抜けの照度分布が抑制された。実施例2及び3の平均照度はそれぞれ95.0%及び92.6%であり、均斉度はそれぞれ7.0%及び7.3%であり、平均照度及び均斉度のいずれも良好な結果が得られた。
実施例1〜3を比較すると、平均照度及び均斉度の結果は、実施例1、実施例2、実施例3の順で良好であった。このことから、平均照度及び均斉度の観点からは、拡散部21の位置は反射板12の第2焦点F2よりも下方が最も好ましく、次に第2焦点F2の位置が好ましく、その次に第2焦点F2よりも上方が好ましいと判断できる。
図8(A)は比較例3を示す図、図8(B)は比較例4を示す図である。
図8(A)に示すように、比較例3は、波長選択フィルタ15を第2焦点F2よりも下方の位置(つまり、実施例1と同じ位置)とし、波長選択フィルタ15の中央領域(紫外線ランプ10直下に相当)に拡散部21を設けている。より具体的には、比較例3は、拡散部21を、実施例1の左右一対の拡散部21の間に相当する領域に設けている。このため、比較例3は、反射板12の反射光K3、K4を拡散させる。
図8(B)に示すように、比較例4は、波長選択フィルタ15の左右の領域に、拡散部21を追加した点が比較例3と異なる。より具体的には、比較例4は、実施例1の拡散部21が形成されていない領域を、拡散部21にした構成である。
図9(A)は比較例3の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図、図9(B)は比較例4の照射領域1Sを上方から見たときの照度分布図である。
図9(A)及び図9(B)に示すように、比較例3及び比較例4のいずれも、紫外線ランプ10直下に相当する領域AR1の照度が低くなる中抜けの照度分布となった。比較例3及び4の平均照度はそれぞれ79.1%及び78.4%であり、均斉度はそれぞれ17.2%及び13.8%であり、平均照度及び均斉度の両方について良好な結果は得られなかった。
また、発明者等は、波長選択フィルタ15に拡散部21を設ける構成に代えて、紫外線ランプ10の表面の一部を拡散面にした場合の平均照度及び均斉度についてシミュレーションした。
紫外線ランプ10の全面を拡散面にした場合、平均照度76.0%、及び均斉度16.5%であった。また、紫外線ランプ10の上半分(照射領域1Sの反対側の面)を拡散面にした場合、平均照度85.6%、及び均斉度19.8%であった。また、紫外線ランプ10の下半分(照射領域1S側の面)を拡散面にした場合、平均照度87.5%、及び均斉度12.8%となった。これらはいずれも均斉度が10%以上であり、良好な結果が得られなかった。
以上説明したように、本実施形の形態では、図2に示したように、照射器13と照射領域1Sとの間の波長選択フィルタ15に拡散部21が形成され、拡散部21は、紫外線ランプ10の延在方向である長手方向Yに延びる帯状に形成されるので、図3に示したように、波長選択フィルタ15を透過する光の一部(直射光K2等)を拡散させて照射領域1Sにおける照度分布を補うと共に、拡散部21を限定して配置することで照度低下を抑制することができる。さらに、波長選択フィルタ15と照射領域1Sとの間に、拡散部21の拡散光を含む光を照射領域1Sに向けて反射する補助反射板14を有するので、照射領域1Sの照度をより向上させたり、均斉度をより向上させたりし易くなる。これらにより、照射領域1Sの均斉度を向上させ、かつ、照度低下を抑制し、照射領域1Sの照度と均斉度とを両立し易くなる。
しかも、拡散部21は、図3に示したように、紫外線ランプ10の長手方向Yに延びることに加え、紫外線ランプ10の短手方向Xに沿う断面において、紫外線ランプ10から照射された光のうち、楕円反射鏡に形成された反射板12に向かわない光(直射光K2等)のみが入射する範囲に設けられるので、直射光だけを拡散して照度分布を補うことができる。拡散対象が直視光だけなので、拡散部21の配置は反射板12の楕円形状から容易に判断できる、といったメリットが得られる。
また、反射板12は、紫外線ランプ10内に第1焦点F1を有する楕円反射面を有し、拡散部21は、紫外線ランプ10の延在方向である長手方向Yに交差する反射板12の開口の面内で、反射板12の光軸L1を挟んだ両側に設けられている。これにより、光軸L1を基準に対称の照度分布を実現でき、光軸L1を基準にした対称位置に生じる照度分布を効率良く補うことができる。したがって、照射領域1Sの照度と均斉度とをより両立し易くなる。
さらに、拡散部21は、紫外線ランプ10及び波長選択フィルタ15の間に位置する反射板12の第2焦点F2よりも照射領域1S側に設けられるので、実施例1〜3の比較結果に示すように、平均照度及び均斉度の観点からより有利になる。
また、拡散部21を、光学フィルタである波長選択フィルタ15に設けるので、拡散部21を配置するための部材を別途設ける必要がない。また、拡散部21は、波長選択フィルタ15における紫外線ランプ10と反対側の面に、光拡散性を付与する所定の処理を施した部分であるので、簡易に拡散部21を設けることができ、波長選択フィルタ15を通過する光を効率良く拡散可能である。
なお、拡散部21を設ける部材は、波長選択フィルタ15に限定されず、照射器13と照射領域1Sとの間に配置される任意の光透過部材を適用可能である。この光透過部材は、ワーク2に照射する光が透過する機能を少なくとも有すればよく、例えば、波長選択フィルタ15以外も含む光学フィルタ、この種の光学フィルタとは別に配置されるガラス製の板材でもよく、形状も板形状に限定しなくてもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態の光照射装置1は、拡散部21を、紫外線ランプ10の延在方向に交差する方向である短手方向Xに延びる帯状に形成することによって、照射領域1Sの均斉度を10%以下にする点が第1実施形態と異なる。
第2実施形態の実施例を説明する前に、波長選択フィルタ15上の照度分布を例示する。
図10は波長選択フィルタ15上の照度分布の説明に供する図であり、図10(A)は波長選択フィルタ15を周辺構成と共に示した図、図10(B)は位置P1にある波長選択フィルタ15上の照度分布図、図10(C)は位置P2にある波長選択フィルタ15上の照度分布図である。図10(B)及び図10(C)において縦軸が、反射板12の光軸L1の位置を零としたX方向の位置を示し、横軸がY方向の位置を示す。図中、符号LH1が最も照度が高い領域であり、符号LH2が次に照度が高い領域であり、符号LH3が次に照度が高い領域である。
図11(A)は第2実施形態の実施例(以下、実施例4)を示す図、図11(B)は比較例(以下、比較例6)を示す図である。実施例4及び比較例6は、波長選択フィルタ15が位置P1にあり、拡散部21の領域を、ハッチングを付して示している。
実施例4は、紫外線ランプ10の長手方向Yに間隔を空けて4つの拡散部21を設けることによって、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度が60%の範囲に拡散部21を設けている。
また、比較例6は、紫外線ランプ10の長手方向Yの両端部に拡散部21を設けることによって、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度が35%の範囲に拡散部21を設けている。
実施例4では、図11(A)に示すように、平均照度85.3%、及び均斉度7.2%であった。全面に拡散部21を形成した比較例2では平均照度77.8%であるので、実施4では、比較例2と比較しても平均照度及び均斉度の両方について良好な結果が得られた。
これに対し、比較例6では、図11(B)に示すように、平均照度93.8%、及び均斉度13.4%であり、均斉度については良好な結果が得られなかった。
なお、比較例6と同様に、紫外線ランプ10の長手方向Yの両端部に拡散部21を設けたパターンであっても、両側から拡散部21の領域を均等に増やし、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度が50%の範囲に拡散部21を設けると、平均照度86.0%、及び均斉度10.0%となり、平均照度及び均斉度の両方について良好な結果が得られた。
図12(A)は第2実施形態の実施例(以下、実施例5)を示す図、図12(B)は比較例(以下、比較例7)を示す図である。実施例5及び比較例7は、波長選択フィルタ15が位置P2にあり、拡散部21の領域を、ハッチングを付して示している。
実施例5は、紫外線ランプ10の長手方向Yに間隔を空けて4つの拡散部21を設けることによって、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度50%の範囲に拡散部21を設けている。
また、比較例6は、紫外線ランプ10の長手方向Yの中央に拡散部21を設けることによって、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度が22%の範囲に拡散部21を設けている。
実施例5では、図12(A)に示すように、平均照度86.8%、及び均斉度7.6%であり、平均照度及び均斉度の両方について良好な結果が得られた。
これに対し、比較例7では、図12(B)に示すように、平均照度93.3%、及び均斉度11.6%であり、均斉度については良好な結果が得られなかった。
発明者等が調べたところ、実施例4、実施例5、及び比較例6等と同様のパターンに限定されず、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度50%以上の範囲に拡散部21を設けることによって、拡散部21を設けない場合(比較例1に相当)と比べて均斉度が向上し、照射領域1Sの均斉度を所定値以下(例えば10%以下)にできた。この場合、均斉度を所定値以下(例えば10%以下)にする範囲で、拡散部21の幅や位置を調整することによって、照射領域1Sの照度を確保することが好ましい。これによって、照射領域1Sの照度と均斉度とを両立可能になる。
このように、発明者等の検討によれば、波長選択フィルタ15に設ける拡散部21が、紫外線ランプ10の延在方向に交差する方向である短手方向Xに延び、かつ、波長選択フィルタ15上の照度分布で合計照度が50%以上の範囲に設けられて照射領域1Sの均斉度を10%以下にすることによっても、照射領域1Sの照度と均斉度とを両立可能であった。
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、拡散部21は、紫外線ランプ10の長手方向Y、及び、短手方向Xに少なくともいずれかに延びる帯状に形成されていればよく、長手方向Yに延びる拡散部21と、短手方向Xに延びる拡散部21の両方を設けるようにしてもよい。
また、波長選択フィルタ15に加えて、他の光学フィルタを有する二段フィルタ構成、又は三段以上のフィルタ構成にしてもよい。
また、光照射装置1が補助反射板14を有する場合を例示したが、十分な照度及び均斉度が得られる場合は補助反射板14を省略してもよい。
また、光照射装置1の光源に、2本以上の直管型ランプを、各々の管軸を同軸に直列に並べ構成したものを用いてもよい。また、LED等の発光素子を配列した光源を用いてもよい。
1 光照射装置
1S 照射領域
2 ワーク
10 紫外線ランプ(線状光源)
12 反射板(反射鏡)
13 照射器
14 補助反射板
15 波長選択フィルタ(光学フィルタ、光透過部材)
16 照射開口
21 拡散部
F1 第1焦点
F2 第2焦点
K1、K2 直射光
K3、K4、K5 反射光
L1 反射板の光軸
N 紫外線ランプの中心軸
X 紫外線ランプの短手方向
Y 紫外線ランプの長手方向

Claims (6)

  1. 線状光源と、
    前記線状光源の下方に設けられた照射領域に向けて、前記線状光源の光を反射する反射鏡とを有した照射器を備え、
    前記線状光源の直射光と、前記反射鏡の反射光とで前記照射領域を照射する光照射装置において、
    前記光を拡散する拡散部が形成された光透過部材を備え、
    前記光透過部材は、前記照射器と前記照射領域との間に配置され、
    前記拡散部は、前記線状光源の延在方向に延びる帯状に形成され、
    前記光透過部材と前記照射領域との間に、前記拡散部の拡散光を含む光を前記照射領域に向けて反射する補助反射板を有する
    ことを特徴とする光照射装置。
  2. 前記拡散部は、前記線状光源の延在方向に延びると共に、前記線状光源の短手方向に沿う断面において、前記線状光源から照射された光のうち前記反射鏡に向かわない光のみが入射する範囲に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記反射鏡は、前記線状光源内に第1焦点を有する楕円反射面を有し、
    前記光透過部材の拡散部は、
    前記線状光源の延在方向に交差する前記反射鏡の開口の面内で、前記反射鏡の光軸を挟んだ両側に設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
  4. 前記楕円反射面は、前記線状光源及び前記光透過部材の間に第2焦点を有し、
    前記拡散部は、前記第2焦点よりも前記照射領域側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光照射装置。
  5. 線状光源と、
    前記線状光源の下方に設けられた照射領域に向けて、前記線状光源の光を反射する反射鏡とを有した照射器を備え、
    前記線状光源の直射光と、前記反射鏡の反射光とで前記照射領域を照射する光照射装置において、
    前記光を拡散する拡散部が形成された光透過部材を備え、
    前記光透過部材は、前記照射器と前記照射領域との間に配置され、
    前記拡散部は、前記線状光源の延在方向に交差する方向に延びる帯状に形成され、
    前記光透過部材と前記照射領域との間に、前記拡散部の拡散光を含む光を前記照射領域に向けて反射する補助反射板を有する
    ことを特徴とする光照射装置。
  6. 前記拡散部は、前記光透過部材上の照度分布で合計照度が50%以上の範囲に設けられて照射領域の均斉度を10%以下にすることを特徴とする請求項5に記載の光照射装置。
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