JP2019192219A - 財産管理能力判定装置、財産管理能力判定プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高齢者の経済活動に着目して、財産管理能力の低下を判定するための財産管理能力判定装置、財産管理能力判定プログラムおよび記録媒体を提供する。【解決手段】 記憶部1には、各自の年齢区分を含み、かつ、所定期間の各自の収入および支出を含む収支情報ならびに各自の貯蓄現在高を含む貯畜情報が記憶される。制御部2は、記憶部1に記憶された情報に基づいて教師データを作成し、入力部5から入力された、判定対象者の情報と教師データとに基づいて貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、高齢者の脳機能が低下し始めたことを早期に判定するための財産管理能力判定装置、財産管理能力判定プログラムおよび記録媒体に関する。本発明では、財産管理能力判定用の専用装置に限らず、本発明の機能を実現しているコンピュータを含めて、「財産管理能力判定装置」と表記している。
加齢とともに脳の神経細胞が減少し認知機能が低下することで「もの忘れ」、「思考力の低下」、「意欲の低下」などの症状が出ることが知られている。また、認知症の症状として、「記憶障害」、「判断力障害」、「実行機能障害」、「思考力の低下」などの脳の機能そのものの障害が起こることが知られている。認知症は、加齢とともに発症可能性が高まることも知られている。認知症の患者の場合、うつ症状となって、無気力になり、以前興味のあった物事にも無関心になることもある。
認知症を発症しているかどうか、認知症の疑いがあるかどうかなどは、医学的な診断基準に基づいて、医師が判断する。認知症には、原因によってアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など複数種類あり、早期に医師の診断を仰ぐことで、原因の特定、その後の治療などを適切に行うことができる。しかしながら、時間的困難性、経済的困難性および地理的困難性などの要因により、早期に医師の診断を受けるようなことは容易ではない。
認知症の早期発見を支援する技術として、例えば、特許文献1記載の認知症判定装置では、家庭用器具の操作履歴、操作者の睡眠時間、操作者の商品購入履歴などを取得し、取得した情報に基づいて認知症の可能性があるか否かを判定している。認知症の可能性があると判定した場合、その情報は、操作者の家族が所有する外部装置に送信される。
ところで、非特許文献1などによれば、脳機能の低下と高齢者の経済活動の低下とには、関連性があることが知られており、対処せずに放置すると脳機能の低下が進行し、認知症の発症などにより、日常生活にまで支障が生じる恐れがある。
特開2017−104289号公報
大庭輝、角谷快彦および成本迅、「認知機能の低下が家計の変化に及ぼす影響−JSTARデータを用いた2年間の縦断解析−」、日本老年行動科学会第20回大会抄録集、日本老年行動科学会、2017年11月26日
特許文献1の装置は、高齢の単身世帯などを対象に、日常生活における高齢者の生活行動を常時監視することを必須としており、監視用の機器を購入、設置しなければ判定することができない。
経済活動のうち財産管理能力の低下については、たとえば、高齢者を狙った詐欺被害や不必要なリフォームの発注による多額の支出もさることながら、不用意な支出による貯蓄の過度の取り崩しが続いて、高齢者世帯が、経済的困窮に陥る事態が生じかねない。このような事態に速やかに対応するためにも財産管理能力の低下およびこれに基づく脳機能の低下を早期にかつ容易に判定するための財産管理能力判定装置、財産管理能力判定プログラムおよび記録媒体が望まれている。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、高齢者の経済活動に着目して、財産管理能力の低下を判定するための財産管理能力判定装置、財産管理能力判定プログラムおよび記録媒体を提供することを目的としている。本発明では、財産管理能力の低下を判定するために、貯蓄取り崩しに着目している。適時、適切な金額だけ貯蓄取り崩しを行うことは、財産管理上問題とはならない。しかし、計画性のない、過度の貯蓄取り崩しには、その後の経済生活の困窮につながるリスク(以下では、「貯蓄取り崩しリスク」と表記)が有ると捉えている。
本発明は、財産管理能力判定装置において、
複数名の各自の年齢区分を含み、かつ、所定期間の各自の収入および支出を含む収支情報ならびに各自の貯蓄現在高を含む貯畜情報が記憶される記憶部と、
財産管理能力を判定する判定対象者の年齢および貯畜現在高を含む判定用情報を入力する入力部と、
前記入力部によって入力された判定用情報と、前記記憶部に記憶された前記収支情報および前記貯畜情報とに基づいて、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする財産管理能力判定装置である。
また本発明は、前記記憶部に、複数名の性別を示す性別情報がさらに記憶され、
前記収支情報における前記所定期間の支出が収入より大きいデータを分析対象データとし、前記収支情報および前記貯蓄現在高に基づいて、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータを抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出されたデータに基づいて、前記年齢区分ごとに貯畜現在高の最高額を選択し、貯畜現在高と年齢区分の代表年齢とを要素とする2次元空間において、前記代表年齢と前記最高額との相関性を定量的に決定する決定部と、
前記分析対象データに対して、前記決定部で決定された条件に基づく値を閾値とする閾値処理を行い、教師データの全体集合を作成し、次いで、前記全体集合から、前記所定期間の収入および支出ならびに貯畜現在高が、予め定める条件を満足する部分集合を作成する作成部と、をさらに備え、
前記入力部は、前記判定対象者の、性別、年齢および貯畜現在高を含む判定用情報を入力し、
前記判定部は、前記入力部によって入力された判定用情報と、前記代表年齢と前記最高額との相関性および前記教師データの前記部分集合とに基づいて判定することを特徴とする。
また本発明は、前記記憶部に、前記年齢区分ごとの平均余命がさらに記憶されることを特徴とする。
また本発明は、前記抽出部は、前記分析対象データのそれぞれに対して、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、Y=S/(O−I)で算出し、年数Yを平均余命Eで除算した値Pを算出し、値Pが、予め定める値m(m<1)未満であったときに、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすことを特徴とする。前記所定期間が1年である場合は、Iが前記所定期間の収入、Oが前記所定期間の支出と各々一致する。前記所定期間が1年でない場合は、Iを前記所定期間の収入から算出し、Oを前記所定期間の支出から算出する。
また本発明は、前記決定部は、線形回帰によって、前記最高額を目的変数、前記代表年齢を説明変数とする一次関数を決定することを特徴とする。
また本発明は、前記作成部は、前記2次元空間において、前記決定部で決定された一次関数を、全ての年齢区分で貯畜現在高が、関数値以下となるように縦軸方向に最小の平行移動量で移動させて得られた一次関数をシフト補正された一次関数として設定し、前記シフト補正された一次関数の関数値を閾値として分析対象データに対する閾値処理を行い、教師データの全体集合を作成し、前記全体集合から、前記所定期間の収入に対する支出の割合および貯蓄現在高に対する年間収入の割合が、予め定める条件を満足する部分集合を作成することを特徴とする。
また本発明は、前記複数名および前記判定対象者の世帯は、高齢単身世帯であることを特徴とする。また本発明は、前記複数名および前記判定対象者の世帯は、高齢二人世帯であることを特徴とする。
また本発明は、前記記憶部は、前記収支情報と、前記複数名それぞれの居住している住宅が、持家であるか借家であるかを示す住居所有情報と、を関連付けて記憶し、
前記抽出部は、持家の場合と借家の場合とに分けて貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータを抽出し、
前記決定部は、持家の場合と借家の場合とに分けて、前記相関性を定量的に決定し、
前記作成部は、持家の場合と借家の場合とに分けて、前記教師データの全体集合および部分集合を作成し、
前記入力部は、判定対象者の居住している住宅が、持家であるか借家であるかを示す判定用住居所有情報さらに入力し、
前記判定部は、前記入力部によって入力された判定用住居所有情報に応じて、持家の場合の教師データか借家の場合の教師データかを選択し、選択した教師データを用いて、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定することを特徴とする。
また本発明は、前記性別情報、前記収支情報および前記貯畜情報が予め登録された外部データベースから前記性別情報、前記収支情報および前記貯畜情報を取得する取得部をさらに備えることを特徴とする。
また本発明は、前記入力部が、前記判定用情報と関連付けてデータ通信による送信先のアカウント情報を入力し、
前記出力部が、前記判定結果を、前記判定用情報に関連付けられたアカウント情報に従って送信先に送信することを特徴とする。
また本発明は、コンピュータを上記の財産管理能力判定装置として機能させるための財産管理能力判定プログラムまたは財産管理能力判定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明によれば、財産管理能力を判定する判定対象者の年齢および貯蓄現在高を入力することで、これら入力された情報と、予め記憶されている年齢区分ごとの収支情報および貯畜情報から作成された教師データと、に基づいて、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定して結果が出力されるので、判定対象者の収支情報が不明であっても、財産管理能力の低下および脳機能が低下し始めたことを早期にかつ容易に判定することができる。
また本発明によれば、記憶部には、複数名の性別を示す性別情報、各自の年齢区分を含み、かつ、所定期間の各自の収入および支出を含む収支情報ならびに各自の貯蓄現在高を含む貯畜情報が記憶され、抽出部は、前記収支情報における前記所定期間の支出が収入より大きいデータを分析対象データとし、前記収支情報および前記貯蓄現在高に基づいて、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータを抽出する。決定部は、前記抽出部で抽出されたデータに基づいて、前記年齢区分ごとに貯畜現在高の最高額を選択し、貯畜現在高と年齢区分の代表年齢とを要素とする2次元空間において、前記代表年齢と前記最高額との相関性を定量的に決定する。作成部は、前記分析対象データに対して、前記決定部で決定された条件に基づく値を閾値とする閾値処理を行い、教師データの全体集合を作成し、次いで、前記全体集合から、前記所定期間の収入および支出ならびに貯畜現在高が、予め定める条件を満足する部分集合を作成する。入力部が、財産管理能力を判定する判定対象者の、性別、年齢および貯蓄現在高を含む判定用情報を入力すると、判定部が、前記入力部によって入力された判定用情報と、前記代表年齢と前記最高額との相関性および前記教師データの前記部分集合とに基づいて、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定し、出力部が、前記判定部の判定結果を出力する。
予め取得した所定期間の収入および支出ならびに貯畜現在高から教師データを作成し、これによって判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定して結果が出力されるので、判定対象者の収支情報が不明であっても、財産管理能力の低下および脳機能が低下し始めたことを早期にかつ容易に判定することができる。
また本発明によれば、前記記憶部に、前記年齢区分ごとの平均余命をさらに記憶することができる。これにより、平均余命を判定に用いることで判定精度を向上させることができる。
また本発明によれば、前記抽出部は、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、Y=S/(O−I)で算出し、年数Yを平均余命Eで除算した値Pを算出し、値Pが、予め定める値m(m<1)未満であったときに、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすことができる。前記所定期間が1年である場合は、Iが前記所定期間の収入、Oが前記所定期間の支出と各々一致する。前記所定期間が1年でない場合は、Iを前記所定期間の収入から算出し、Oを前記所定期間の支出から算出する。
また本発明によれば、前記決定部は、線形回帰によって、前記最高額を目的変数、前記代表年齢を説明変数とする一次関数を決定することができる。
また本発明によれば、前記作成部は、シフト補正された一次関数を設定し、前記シフト補正された一次関数の関数値として得られる貯畜現在高を閾値として分析対象データに対する閾値処理を行い、教師データの全体集合を作成することができる。
また本発明によれば、特に高齢単身世帯または高齢二人世帯を対象に判定することができる。
また本発明によれば、前記収支情報と、前記記憶部は、前記複数名それぞれの居住している住宅が、持家であるか借家であるかを示す住居所有情報と、を関連付けて記憶し、前記抽出部、前記決定部、前記作成部は、それぞれ持家の場合と借家の場合とに分けて処理を行う。入力部は、判定対象者の居住している住宅が、持家であるか借家であるかを示す判定用住居所有情報さらに入力し、前記判定部は、持家の場合の教師データか借家の場合の教師データかを選択し、選択した教師データを用いて判定する。これにより判定精度を向上させることができる。
また本発明によれば、取得部は、前記収支情報および前記貯畜情報を含む家計情報が予め登録された外部データベースから前記収支情報および前記貯畜情報を取得する。
取得部が、前記収支情報および前記貯畜情報を取得するので、前記収支情報および前記貯畜情報をダウンロードしたり、登録したりする作業が不要となる。
また本発明によれば、前記入力部が、前記判定用情報と関連付けてデータ通信による送信先のアカウント情報を入力し、前記出力部が、前記判定結果を、前記判定用情報に関連付けられたアカウント情報に従って送信先に送信する。
財産管理能力判定装置の設置場所から離れた遠隔地であっても、電子メールなどで判定結果を受け取ることができる。
また本発明によれば、コンピュータを上記の財産管理能力判定装置として機能させるための財産管理能力判定プログラムおよび財産管理能力判定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体で提供することができる。
本発明の消費能力判定装置100の構成を示すブロック図である。 本発明の消費能力判定装置100が実行する消費能力判定処理を示すフローチャートである。 送信処理を示すフローチャートである。 第1の変形例に係る消費能力判定処理を示すフローチャートである。 貯畜現在高と年齢区分代表値の散布図と前記一次関数を表す点線および前記シフト補正された一次関数を表す直線である。
図1は、本発明の財産管理能力判定装置100の構成を示すブロック図である。財産管理能力判定装置100は、記憶部1、制御部2、メモリ3、表示部4、入力部5および外部接続部6を含む。なお、図1のブロック図には、財産管理能力判定装置100の主な構成を記載しており、本実施形態の財産管理能力判定装置100がこれらの構成以外の他の構成を含んでいてもよい。また、抽出部、決定部、作成部、判定部および取得部は、いずれも記憶部1、制御部2およびメモリ3によって構成される。
本発明の財産管理能力判定装置100は、特に高齢者世帯において、世帯員である高齢者の財産管理能力の低下を判定するものである。この財産管理能力の低下は、脳機能の低下との関連性が高く、本発明の財産管理能力判定装置100によって、高齢者世帯の経済的困窮状態を早期に発見することができ、世帯員である高齢者が認知症を発症する可能性があることを早期に発見することができ、さらには、すでに認知症を発症している可能性についても発見することができる。
十分な収入が見込めない世帯では、収入を超える分の支出は、貯蓄から払い出すことになる。貯畜が0になると生活の継続が困難となる。特に高齢者世帯では、収入が限られており、増加する可能性は低い。これに対して、脳機能の低下によって財産管理能力が低下し、不必要な商品の重複購入など支出が増加する可能性は高くなる。収入が大幅に支出を超えるようになると、かなり短い年数、あるいは平均余命よりもかなり短い年数で貯畜が0となってしまう。本発明は、このような貯畜取り崩しのリスクが有ることを、高齢者世帯の経済状況から判定することを特徴としている。
本発明の財産管理能力判定装置100は、例えば、公的機関で公表された複数世帯の収入および支出、貯蓄現在高および世帯構成員の年齢区分を利用して、予め貯畜取り崩しのリスクが有る世帯についての教師データを作成しておき、財産管理能力の判定対象者の貯蓄現在高および年齢などが入力されると、教師データに基づいて、判定対象者が貯畜取り崩しのリスクが有るとみなすか否かを判定するものである。
記憶部1は、不揮発性の大容量の記憶装置、たとえばSSD(Solid State Drive)あるいはフラッシュメモリカードなどの半導体メモリ、またはHDD(Hard Disk Drive)などによって構成される。記憶部1は、制御部2によって実行されるプログラム、および制御部2がプログラムを実行するために必要な情報、財産管理能力判定装置100の動作に必要な情報を記憶する。記憶部1に記憶される情報は、制御部2によって書き込みおよび読み出しが行われる。
記憶部1は、少なくとも財産管理能力の判定に必要な情報を記憶している。必要な情報について、詳細は後述するが、所定期間における複数名の収入と支出、貯蓄現在高、年齢区分、および、必要に応じて平均余命などを含む情報である。所定期間は、特に限定されないが、たとえば、三カ月間、六カ月間、一年間などである。
制御部2は、たとえばCPU(中央演算処理装置)によって構成され、記憶部1に記憶される各種プログラムを実行することによって、財産管理能力判定装置100の動作を制御する。
メモリ3は、揮発性の半導体メモリを有し、各種動作プログラムを展開し、表示部4に表示する画像データ、財産管理能力判定装置100の動作に必要な演算結果およびフラグ情報など各種情報を一時的に記憶する。
表示部4は、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置によって構成される。表示部4は、制御部2が生成する画像データに基づいて画像を表示する。画像データの生成は、財産管理能力判定装置100に特化された専用の判定処理ソフトウェアによるもの、OS(Operating System)を利用する場合はOSによるもの、OS上で動作する各種アプリケーションによるものがあり、表示部4の仕様に応じて、表示部で表示可能な画像データが生成される。
具体的には、表示部4は、判定結果または判定結果に応じた各種メッセージなどをユーザに提示したり、財産管理能力判定装置100を操作するための操作メニュー、財産管理能力判定装置100の設定を入力、変更するための設定メニューなどを表示する。
入力部5は、キーボード、マウス、タッチパネルなどによって構成され、財産管理能力判定装置100のユーザによって操作されて、各種のデータを入力することができる。
外部接続部6は、財産管理能力判定装置100と外部装置とを接続するためのインターフェイスである。たとえば、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの半導体メモリを読み取りおよび書き込みするスロット、データ通信を行うための通信装置などである。通信装置は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、判定処理に必要なデータを取得するために、所定のデータベースサーバなどにアクセスする。なお、通信装置の通信方式は、有線通信であっても無線通信であってもよい。
以下では、財産管理能力判定装置100が実行する判定処理について説明する。財産管理能力判定処理は、以下の5つの処理からなる。財産管理能力判定装置100は、これら5つの処理に応じた処理プログラムを実行する。
(A)情報取得処理
(B)抽出処理
(C)決定処理
(D)作成処理
(E)判定処理
(F)出力処理
ここで、(A)〜(D)は予め教師データ作成するための処理、(E)及び(F)は判定対象者に対する処理である。
(A)情報取得処理
判定処理で使用する教師データを作成するために、まずは、複数名の各自の年齢区分、および、必要に応じて該年齢区分ごとの平均余命、性別を示す性別情報などを含み、かつ、所定期間の各自の収入および支出を含む収支情報ならびに各自の貯蓄現在高を含む貯畜情報などの各種情報を取得する。これらの情報は、公的機関や民間団体などが提供する各種データベースなどを使用して取得することができる。たとえば、総務省統計局が提供するデータベースには、「家計調査」「全国消費実態調査」「基準消費者物価指数」「生命表」などの調査結果が蓄積されており、総務省統計局のインターネットサイトにアクセスすることで、制御部2は、外部接続部6によって教師データを作成するための各種情報を電子データで取得することができる。また、民間企業が運営する調査会社などもこれらの情報を提供しており、制御部2は、外部接続部6によってインターネットサイトにアクセスすることで、教師データを作成するための情報を電子データで取得することができる。あるいは、教師データを作成するために、判定サービスを提供しようとするサービス提供者などが独自にアンケート調査を行って取得したデータを基に作成したデータベースを利用することもできる。あるいは、教師データを作成するために、上記の各種データベースに登録されているデータ(以下、「実データ」という場合がある)を基に、乱数を用いて実データを統計的に近似したデータ(以下、「近似データ」という場合がある)からなるデータベースを作成して利用することもできる。
情報取得処理における財産管理能力判定装置100の動作は、制御部2が、記憶部1に予め記憶されたプログラム(ブラウザプログラム、ダウンロードプログラムなど)を実行し、外部接続部6を介してネットワーク上のデータベースから収支情報等の各種情報の電子データをダウンロードし、記憶部1に記憶する。このような財産管理能力判定装置100の動作は、取得対象となる情報の電子データのURL(Uniform Resource Locator)および記憶部1における電子データの記憶先などを予め指定しておくことで、ユーザの操作無しで実行させることもできる。または、制御部2が、記憶部1に予め記憶されたデータ入力プログラムを実行し、ユーザが入力部5を操作することで、入力された情報を含む情報の電子データを記憶部1に記憶する。入力された情報を含む情報の電子データが各種データベースの実データからなる情報の場合、その実データを基に、乱数を用いて実データを統計的に近似した近似データに変換した電子データを記録部1に記録することもできる。この場合も、教師データを作成するために、各種データベースの実データを基に、乱数を用いて実データを統計的に近似した近似データからなるデータベースから収支情報等の各種情報の電子データをダウンロードし、記憶部1に記憶することと同じく、本発明適用の一形態である。
(B)抽出処理
情報取得処理によって取得した情報のうち、教師データを作成するための分析対象データとしては、所定期間の支出が収入より大きいデータを用いる。また、貯蓄現在高が0円よりも多いデータを用いる。収入が支出より大きい場合は、少なくとも貯畜が減少することはなく、貯畜が増加する可能性もあるので、そもそも貯蓄取り崩しリスクが無いとみなせる。また、貯蓄現在高が0円の場合は、すでに経済的困窮状態にあると考えられる。分析対象データとして含めることも可能であるが、本実施形態では、これを含めずに、貯蓄現在高が0円よりも多いデータを用いている。抽出処理では、分析対象データから、収支情報および貯蓄情報に基づいて、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータを抽出する。
貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、年齢区分代表値に対応する平均余命Eで除算して得られた値Pが、予め定める値m(m<1)未満である場合には、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなす。貯蓄現在高が尽きるまで(ゼロとなるまで)の年数Yは、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、Y=S/(O−I)で算出できる。このP(=Y/E)が予め定める値m未満の場合、早々に貯蓄現在高が尽きてしまうことになるので、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすことができる。また、平均余命Eを用いることで判定精度は高くなるが、年数Yで貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定することもできる。その場合、予め所定年数を設定しておき、年数Yと所定年数との比較処理を行い、年数Yが所定年数未満の場合に貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすことができる。
抽出処理における財産管理能力判定装置100の動作は、制御部2が、情報取得処理で所得し、記憶部1に記憶された情報を参照し、記憶部1に記憶された演算プログラムを実行し、年数Yおよび、必要に応じて値Pを算出するための演算式に従って、必要に応じて値Pを算出し、さらに記憶部1に記憶された比較処理プログラムを実行し、値Pと値mとの比較処理を行い、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされる抽出データが、分析対象データのうちのいずれのデータであるかを示す情報または抽出データ自体を記憶部1に記憶する。
(C)決定処理
決定処理は、抽出処理によって抽出されたデータに基づいて、代表年齢と貯畜現在高の最高額との相関性を決定する。代表年齢は、年齢区分において代表となる1つの年齢であって、年齢区分に含まれる年齢であればいずれであってもよい。例えば、年齢区分における最小値であってもよく、最大値であってもよい。また、年齢区分における中央値などであってもよい。ただし、各年齢区分において、代表年齢となる値は揃えるのが好ましい。例えば、いずれの年齢区分においても、代表年齢は、最小値に揃えるのが好ましい。代表年齢を最小値とすることで、実年齢よりも高齢として取り扱われることがなくなり、貯蓄取り崩しリスクを過小に評価してしまうことがないので好ましい。
まず、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされた抽出データにおいて、年齢区分ごとに貯畜現在高の最高額を決定する。抽出データのうち、年齢区分に年齢が含まれる各データを参照し、1または複数の貯蓄現在高を集める。集めた貯蓄現在高から最高額を決定する。これにより、年齢区分ごとに1つの最高額が決定される。
年齢区分ごとの代表年齢と年齢区分ごとの貯畜現在高の最高額とは1対1の関係にある。貯畜現在高と代表年齢とを要素とする2次元空間を設定し、この2次元空間に、1対1の関係にある代表年齢と最高額とをプロットする。なお、本実施形態では、貯蓄現在高を縦軸、代表年齢を横軸とする2次元空間を設定する。このような2次元空間におけるプロットに基づいて、年齢と最高額との相関性を定量的に決定する。この決定方法については、回帰分析、IF-Thenルールなどのプロダクションルールなど公知の方法で決定することができる。本実施形態では、例えば、線形回帰によって、最高額を目的変数、代表年齢を説明変数とする一次関数として決定する。
決定処理における財産管理能力判定装置100の動作は、制御部2が、抽出処理で抽出したデータを参照し、記憶部1に記憶された、例えば、回帰分析プログラムを実行し、代表年齢と貯畜現在高の最高額との相関性を示す関数を記憶部1に記憶する。
(D)作成処理
作成処理では、分析対象データから教師データを作成する。作成すべき教師データは、判定対象者の性別情報、収支情報および貯畜情報に対して、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定するためのデータである。教師データは、まず全体集合を作成し、ついで、全体集合から部分集合を作成する。
教師データの全体集合Aは、決定処理で決定した関数などを利用して作成することができる。以下に、教師データの全体集合Aの作成について具体例を説明するが、本発明は、本具体例に限定されるものではない。本具体例では、決定処理において、すでに、線形回帰による一次関数が得られているものとする。この一次関数に年齢区分の代表年齢を代入してられる値Sth0を後述するリスク判定処理で用いる。この一次関数を縦軸の方向に平行移動して、すべての年齢区分において貯蓄現在高が関数値SMAX以下となるように最小の移動量で平行移動した一次関数をシフト補正された一次関数として決定する。
シフト補正された一次関数は、各年齢区分の代表年齢に対応する貯畜現在高の閾値Sthを表している。シフト補正された一次関数に代表年齢を代入することで、その代表年齢における閾値Sthが得られる。分析対象データそれぞれについて、年齢情報に基づく年齢が属する年齢区分を決定し、決定した年齢区分の代表年齢をシフト補正された一次関数に代入して貯畜現在高の閾値Sthを決定する。年齢情報に関連付けられた貯畜現在高と、閾値Sthとを比較して貯畜現在高が、閾値Sth以下であれば、その分析対象データは、教師データとされる。このようなシフト補正された一次関数を用いた閾値処理を全ての分析対象データに対して行い、教師データの全体集合Aを作成する。
次に、これらの全体集合Aから部分集合を作成する。部分集合は、全体集合Aのうち、収入および支出ならびに貯畜現在高が、予め定める条件を満足するデータの集合である。予め定める条件は、特に限定されず、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定できるものであればよい。
本実施形態では、例えば、以下のような2条件を設定する。
(条件1)所定期間の収入に対する支出の割合がk(k>1)倍以上
(条件2)貯畜現在高が年間収入のl(0<l<1)倍以下
収入に対する支出過多が貯蓄取り崩しリスクの生じる直接の原因となるものと考えられ、条件1は、これを表している。収入に対して貯蓄現在高が少ないと、支出過剰傾向があると推測され、貯蓄取り崩しリスクの生じる可能性が高いと考えられ、条件2は、これを表している。前記所定期間が1年でない場合は、年間収入を前記所定期間の収入から算出する。条件1を満足する集合を集合Bk、条件2を満足する集合を集合Clとする。教師データの部分集合として下記式で表される2つの部分集合を定義する。
Figure 2019192219
本実施形態の作成処理では、全体集合である教師データA、部分集合である教師データD,Dが作成される。作成された各教師データは、記憶部1に記憶される。
作成処理における財産管理能力判定装置100の動作は、制御部2が、決定処理で決定した関数などを参照し、記憶部1に記憶された処理プログラムを実行し、予め定める条件に応じて関数のシフト補正などを施す。さらに制御部2が、記憶部1に記憶された閾値処理プログラムなどを実行し、教師データを作成し、記憶部1に記憶する。
(E)判定処理
判定処理は、さらに以下の処理からなる。財産管理能力判定装置100は、これら2つの処理を順次実行する。
(E−1)対象情報入力処理
(E−2)リスク判定処理
(E−1)対象情報入力処理
財産管理能力を判定したい判定対象者について、当該判定対象者の性別、年齢および貯畜現在高を含む判定用情報を、ユーザが入力部5を操作することで入力する。入力された判定用情報は、記憶部1に記憶される。なお、判定対象者の所定期間における収入をさらに入力するようにしてもよい。また、ここで入力される判定用情報の所定期間は、作成処理などの所定期間と同じ期間であることが好ましい。
判定用情報については、判定対象者が、自身の各種収入の合計額を予め記録しておいて「収入」として入力すればよい。各種収入については、例えば、給与所得の場合は、源泉徴収票の記載内容、給与明細の記載内容またはその合算などを記録しておけばよい。年齢は、判定対象者自身が知っているか、生年月日から算出できる。貯畜現在高も銀行の預金口座などを確認すればよい。また、判定対象者の貯蓄現在高を、1つまたは2つ以上の特定の金融機関における判定対象者の金融資産総額と、判定対象者の貯蓄現在高に占める当該金融機関の金融資産総額の比率、を用いて算定してもよい。
対象情報入力処理における財産管理能力判定装置100の動作は、制御部2が、記憶部1に予め記憶されたデータ入力プログラムを実行し、ユーザが入力部5を操作することで、判定用情報が入力され、記憶部1に記憶される。
(E−2)リスク判定処理
制御部2は、情報入力処理で入力された判定用情報および教師データを記憶部1から読み出し、入力された判定用情報と、教師データの全体集合および部分集合とに基づいて、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定する。まず、貯蓄現在高が年齢区分ごとに決まる前記値Sth0以上であれば、貯蓄取り崩しリスク無しとみなすと1次判定する。そして、貯蓄現在高が年齢区分ごとに決まる前記値Sth0未満の場合に、以下の2次判定を行う。判定用情報の貯畜現在高と、教師データDの各貯畜現在高との距離をそれぞれ算出し、距離が近い順に上位3つのデータを抽出する。抽出した3つのデータのうち、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yが最も短い年数を、推定年数Yestとする。一方、判定用情報の年齢から、年齢が属する年齢区分を決定し、その年齢区分の代表年齢に基づいて、判定のための平均余命を決定してもよい。推定年数Yestと平均余命Eとから値Pest(=Yest/E)を算出し、Pest<m(m<1)であれば、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすと判定してもよい。Pest≧mであれば、貯蓄取り崩しリスクが無いとみなすと判定してもよい。また、推定年数Yestが所定の年数未満の場合に、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすと判定してもよい。推定年数Yestが所定の年数以上の場合に、貯蓄取り崩しリスクが無いとみなすと判定してもよい。
貯蓄取り崩しリスクが有る場合は、経済的に日常生活が困難となるというリスクに加え、その原因として判定対象者の脳機能が低下していることを判定することも可能となっている。脳機能の低下により、財産管理機能が低下し、貯蓄現在高を認知できなかったり、過剰な支出を引き起こすなどして、結果的に貯畜取り崩しリスクが高くなるものと考えられる。
判定対象者のデータと教師データDのデータとの距離の算出について、算出方法は特に限定されないが、たとえば、ユークリッド距離として算出することができる。
なお、上記では、距離が近い順に上位3つのデータを抽出しているが、上位4つ以上のデータを抽出してもよい。
リスク判定処理における財産管理能力判定装置100の動作は、制御部2が、記憶部1に予め記憶された判定処理プログラムを実行し、例えば、判定結果がPest<mか否かに従い、判定結果Yまたは判定結果Nを記憶部1に記憶する。
以上のように、制御部2が、対象情報入力処理およびリスク判定処理を順次実行することで、財産管理能力判定装置100は、判定結果を記憶部1に記憶して判定処理を完了する。
(F)出力処理
出力処理は、さらに以下の処理からなる。財産管理能力判定装置100は、これら2つの処理のいずれかまたは複数を実行する。
(F−1)出力処理
(F−2)送信処理
(F−1)出力処理
出力処理は、財産管理能力判定装置100を、判定対象者またはその家族などが直接操作するかまたは、医療機関、金融機関または役所などの公共施設に設置し、相談に訪れた人を判定対象者として、オペレータが財産管理能力判定装置100を操作するような使用状態で有効である。すなわち、判定対象者またはその家族などの少なくとも関係者が財産管理能力判定装置100の判定結果を直接受け取るような使用状態において有効である。
制御部2は、判定処理が終了すると、記憶部1に記憶された判定結果を参照し、判定結果に応じた文字列または画像を表示部4に画面表示する。表示する文字列または画像は、記憶部1に、各判定結果と関連付けて記憶されていてもよく、制御部2が判定結果に応じて生成してもよい。
判定結果Yは、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすとの判定結果であるので、近い将来、判定対象者の世帯が、経済的困窮に陥る事態となる可能性が高く、さらには、判定対象者の脳機能が低下し始めている可能性が高く、認知症を発症する可能性があることを示す文字列または画像を表示部4に画面表示する。たとえば、「貯畜額の確認や支出額の見直しを行って下さい。また、脳機能が低下している疑いがあります。将来的に認知症が発症する可能性もあります。医師に相談してください。」など少なくとも経済的困窮のおそれ、脳機能の低下、認知症発症の可能性について警告し、財産管理の見直し、医療機関での診断を促す旨のメッセージを文字列または画像によって表示部4に表示する。
なお、このような警告メッセージは、表示部4への表示に限らず、財産管理能力判定装置100が公知のスピーカなどを備えることで、音声によって出力してもよく、財産管理能力判定装置100が公知の印字装置(プリンタ)などを備えることで、印字によって出力してもよい。
(E−2)送信処理
送信処理は、財産管理能力判定装置100を、判定対象者またはその家族などが直接操作できず、財産管理能力の判定をサービスとして提供するサービス提供者が財産管理能力判定装置100を操作するような使用状態で有効である。すなわち、判定対象者またはその家族などの少なくとも関係者が財産管理能力判定装置100の判定結果を直接受け取ることができないような使用状態において有効である。
制御部2は、判定処理が終了すると、記憶部1に記憶された判定結果を参照し、判定結果に応じた文字列または画像を、データ通信によって、予め定める送信先に送信する。送信する文字列または画像による警告メッセージついては、(F−1)出力処理と同様である。
送信は、例えば、電子メールによるもの、ショートメッセージによるもの、SNS(ソーシャルネットワークシステム)を利用するものなどで実現できる。送信先は、例えば、メールアドレス、電話番号、SNSアカウントなどによって特定される。いずれも送信先を予め登録しておくことにより、判定結果を、財産管理能力判定装置100から離れた遠隔地の人に対しても通知することができる。送信先は、判定用情報とともに入力し、記憶部1には、送信先と判定用収支情報とが関連付けて記憶される。
リスク判定処理が終了した時点で、制御部2は、記憶部1を参照し、当該リスク判定処理の対象となった判定用情報に、送信先が関連付けられているかどうかを確認する。送信先が関連付けられていれば、制御部2は、外部接続部6のデータ通信機能を利用して警告メッセージを送信先に送信する。
また、警告メッセージにはさらに、判定方法、判定結果、推奨する検査項目・検査機関リストなどを組み合わせて送信先に送信してもよい。判定方法は、本発明の財産管理能力判定装置100が行っている判定処理についての説明である。判定結果は、例えば、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを含んでおり、何年後に貯畜がゼロになってしまうかを具体的に理解できる。また、脳機能の低下への対応のために推奨する検査項目・検査機関リストは、医療機関において、受診すべき検査項目および受診可能な検査機関のリストであり、これらを示すことで、早期発見のために受診を促す。送信先を登録するときに、判定対象者の居住地住所を登録しておくことで、登録された住所の周辺の検査機関を検索してリスト化することが可能である。
図2は、本発明の財産管理能力判定装置100が実行する財産管理能力判定処理を示すフローチャートである。財産管理能力判定装置100の電源をオンする、財産管理能力判定処理の開始指示を入力するなどによって本フローを開始する。
ステップA1では、制御部2は、教師データ作成のための各種情報(性別情報、収支情報、貯蓄情報)を、予めURLなどが指定、登録されたデータベースあるいは外部記憶装置に保存されたデータベースから外部接続部6を介して取得する。取得する情報には、少なくとも、収支情報、期間情報を含む。取得した情報は、一時的に記憶してもよく、記憶部1に記憶してもよい。
ステップA2で、制御部2が、例えば、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、年齢区分代表値に対応する平均余命Eで除算して得られた値P(=Y/E)がm(m<1)未満であるデータを抽出する。ステップA3で、制御部2が、抽出されたデータから年齢と最高額との相関性を定量的に決定する。ステップA4で、制御部2が、教師データを作成する。
ステップA5では、入力部5が操作され、判定対象者の性別、年齢および貯蓄情報が入力される。ステップA6では、制御部2が、教師データを参照し、貯蓄現在高が尽きるまでの推定年数Yestを決定し、例えば、年齢区分の代表年齢を用いてP=Yest/Eを算出してm未満であるか否かを判定する。また、判定結果については、判定後、出力処理または送信処理によって判定対象者またはその関係者に対して報知すればよい。
ステップA7では、判定対象者に関する情報の入力が、全て完了したかどうかを判断し、完了していなければ、ステップA5に戻って次の判定対象者の情報が入力される。完了していれば、財産管理能力判定処理を終了する。
図3は、送信処理を示すフローチャートである。本フローは、図2のステップA6の判定直後に開始すればよい。ステップS1では、記憶部1を参照し、入力された判定用情報に、送信先が関連付けられているかどうかを確認する。関連付けられていれば、ステップS2に進み、関連付けられてなければ、送信処理を終了する。
ステップS3では、制御部2が、判定結果に応じた文字列または画像を生成する。ステップS4では、外部接続部6を介して判定用収支情報に関連付けられた送信先に、判定結果を送信して、送信処理を終了する。
(第1の変形例)
世帯の世帯員に関する情報をさらに付加することで、より判定精度を向上させることができる。以下では、本発明の財産管理能力判定装置100の判定対象者の世帯が、高齢単身世帯である場合で説明する。これは、脳機能低下の可能性および認知症発症の可能性が相対的に高く、経済的困窮状態となると元の状態に戻るのが難しく、財産管理能力判定を行う意義がより強い世帯が、高齢単身世帯だからである。高齢単身世帯は、世帯員が単身の高齢者(例えば、65歳以上)である世帯をいう。
さらに収支情報と関連付ける情報としては、世帯員の単身高齢者の性別を示す性別情報、世帯の居住している住宅が持家であるか借家であるかを示す住居所有情報がある。記憶部1に収支情報を記憶するときに、制御部2は、収支情報に対して、期間情報、性別情報および住居所有情報をそれぞれ関連付けて記憶すればよい。
単身高齢者が、女性の場合と男性の場合とでは、世帯の財産管理傾向が異なり、また、住宅が持家の場合と借家の場合とでも、異なることがわかった。財産管理傾向が異なると、例えば支出が大幅に収入を超えたり、貯蓄額が比較的少ないことになり、性別情報や住居所有情報を考慮しない場合、取得した情報のばらつきが比較的大きくなって、作成される教師データの変動も大きくなる。
上記の情報をさらに付加した場合、男女別に、教師データが作成され、持家である場合と借家である場合とで個別に教師データが作成され、記憶部1に記憶される。判定用情報にも性別、住居所有情報が含まれ、これらに応じた教師データが選択されて判定が行われる。
図4は、第1の変形例に係る財産管理能力判定処理を示すフローチャートである。財産管理能力判定装置100の電源をオンする、財産管理能力判定処理の開始指示を入力するなどによって本フローを開始する。
ステップB1では、制御部2は、教師データ作成のための各種情報(性別情報、収支情報、貯蓄情報)を、予めURLなどが指定、登録されたデータベースあるいは外部記憶装置に保存されたデータベースから外部接続部6を介して取得する。取得する情報には、少なくとも、収支情報、性別情報、世帯の住居が持家か借家かを示す住居所有情報を含む。取得した情報は、一時的に記憶してもよく、記憶部1に記憶してもよい。
ステップB2で、制御部2が、男女別、持家借家別に、例えば、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、年齢区分代表値に対応する平均余命Eで除算して得られた値P(=Y/E)がm(m<1)未満であるデータを抽出する。ステップB3で、制御部2が、男女別、持家借家別に、抽出されたデータから年齢と最高額との相関性を定量的に決定する。ステップB4で、制御部2が、男女別、持家借家別に教師データを作成する。
ステップB5では、入力部5が操作され、判定対象者の性別および貯蓄情報が入力される。ステップB6では、制御部2が、男女別、持家借家別に、教師データを参照し、貯蓄現在高が尽きるまでの推定年数Yestを決定し、例えば、年齢区分の代表年齢を用いてP=Yest/Eを算出してm未満であるか否かを判定する。また、判定結果については、判定後、出力処理または送信処理によって判定対象者またはその関係者に対して報知すればよい。
ステップB7では、判定対象者の世帯に関する情報の入力が、全て完了したかどうかを判断し、完了していなければ、ステップB5に戻って次の判定対象者の世帯の情報が入力される。完了していれば、財産管理能力判定処理を終了する。
(第2の変形例)
上記では、判定用情報を1回入力するだけで判定処理を行い、財産管理能力を判定している。しかしながら、脳機能の低下や認知症の発症とは異なる理由で、所定期間の支出が大きく収入を超える場合も想定される。そこで、判定処理の変形例として、同一者の世帯に対して、一定の期間を空けて判定処理を複数回行い、経時的な変化に基づいて判定結果を出力する。例えば、2回以上連続でP<mとなった場合に、経済状態の悪化、脳機能低下の可能性、認知症発症の可能性があるものとする。
以下では、具体例に基づいて本発明を詳細に説明する。
情報取得処理で取得する収支情報としては、例えば以下のような情報を用いることができる。なお、以下の情報は、本発明を説明するための一例として使用したものであって、これらに限定されない。また、判定を行おうとする時点で最新の情報を取得することが好ましい。
[1] 総務省:平成16年全国消費実態調査 全国特定世帯編報告書掲載表 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000000640074&cycleCode=0&requestSender=search、
[2] 総務省:平成11年全国消費実態調査 全国 高齢者世帯編 報告書掲載表 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000000640007&cycleCode=0&requestSender=search、
[3] 総務省:平成6年全国消費実態調査 全国 高齢者世帯編 報告書掲載表 http://www.e-stat.go.jp/SG1/toukeidb/ GH07010101Forward.do
[4] 独立行政法人 統計センター:匿名データの利用http://www.nstac.go.jp/services/anonymity-zensho.html
を分析に使用した。[4]は、[1], [2], [3]に基づいて、独立行政法人統計センターが作成した匿名データである。このデータには、例えば世帯員の年齢区分、収入・支出の金額、穀類・魚介類・肉類等の食料品の支出額など、各世帯の詳細な家計調査項目が、1994年には1919項目、1999年には1752項目、2004年には1780項目がそれぞれ収録されている。その中で、本件発明者らは、65歳以上の単身世帯の男女別のデータを分析対象とした。該当者数は、1994年が男性171名・女性957名、1999年が男性229名・女性1133名、2004年が男性317名・女性1385名である。
1994年・1999年・2004年の各年に関して、65歳以上の高齢者単身世帯の各収支状況のデータ数を表1に示す。ここでは、「支出>収入」の列は年間支出が年間収入を超えているデータ数を表し、「支出≦収入」の列は年間支出が年間収入を以下であるデータ数を表している。
Figure 2019192219
年間収入が年間支出以上(「支出≦収入」)の場合、貯蓄現在高が減少することは考えにくいので、分析対象から外した。年間支出が年間収入を超え、かつ、貯蓄現在高が0円の場合は、すでに経済的困窮状態となっているので、分析対象から外した。その結果、「支出>収入」でかつ貯蓄現在高が0円より多いデータ(1994年:男性41名、女性338名、1999年:男性55名・女性390名、2004年:男性75名・女性485名)を分析対象データとした。
本例では、厚生労働省が発表した1994年・1999年・2004年の平均余命
[5] 「簡易生命表 平成6年」,厚生省大臣官房統計情報部/編,厚生統計協会,pp.14-17,1995.
[6] 平成11年簡易生命表 日本人の平均余命 https://www.mhlw.go.jp/www1/toukei/h11-ablif_8/life-1.html
[7] 平成16年簡易生命表 日本人の平均余命 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life04/1.html
を用いて評価した。
各年齢区分のうち、最も若い年齢(最小値)を「年齢区分代表値」と定義する。例えば、65〜69歳の区分では65歳、70〜74歳の区分では70歳、75〜79歳の区分では75歳、80〜84歳の区分では80歳、85歳以上の区分では85歳が、それぞれの年齢区分代表値である。各年齢区分の年齢区分代表値を設定して平均余命を定める。また、平均余命としては、小数点第1位で四捨五入した値を用いた。各年齢区分に対する平均余命を表2に示す。
Figure 2019192219
各分析対象データにおける貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、Y=S/(O−I)で算出した。さらに、その全国消費実態調査を実施した年における年齢区分代表値に対応する平均余命EでYを除算して得られた値Pが0.1未満である場合には、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなす。
分析対象データを、家賃を支払っている「借家」と、家賃を支払っていない「持家」に分類した。住居所有情報が借家であるデータ数は、1994年で男性11、女性104、1999年で男性24、女性105、2004年で男性26、女性122であった。このうち、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされる、借家であるデータ数は、1994年で男性2(18.2%)、女性13(12.5%)、1999年で男性3(12.5%)、女性20(19.0%)、2004年で男性6(23.1%)、女性21(17.2%)であった。また、住居所有情報が持家であるデータ数は、1994年で男性30、女性234、1999年で男性31、女性275、2004年で男性49、女性363であった。このうち、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされる、持家のデータ数は、1994年で男性3(10.0%)、女性25(10.7%)、1999年で男性2(6.45%)、女性29(10.5%)、2004年で男性8(16.3%)、女性32(8.82%)であった。
分析対象データが、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータであるか否かを表3に示す。貯蓄取り崩しリスクの項で、“R”は「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされたデータ数、“N”は「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされなかったデータ数、を示している。
Figure 2019192219
表3に示すように、「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされた割合は、表3の(c)と(f)の3年分で比較すると、男性、女性で、各々、24/171 (14.0%)、140/1203(11.6%)であり、男性が高かった。また、世帯の住居が借家と持家でも差がある。表3に示すように、「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされた割合は、男性の場合、表3の(a)と(b)の3年分で比較すると、借家と持家が各々、11/61 (18.0%)、13/110(11.8%)で、借家の方が高かった。女性の場合、表3の(d)と(e)の3年分で比較すると、借家と持家が各々、54/331 (16.3%)、86/872(9.9%)で、借家の方が高かった。男性と女性で「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされた割合に差異があることは予想できるが、世帯の住居が借家と持家で「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされた割合に差異があることは自明ではない。このため、本件発明を実施するに際し、住居所有情報で持家と借家とを区別することは、精度向上の点で有効である。
上記の分析対象のデータから、教師データを作成するために、まずは、貯蓄現在高が、当該データの属性である年齢に対する年齢区分代表値における閾値Sth以下のデータの集合を集合Aとした。さらに、下記条件1および条件2を考慮した。
・条件1:年間収入に対する年間支出が1.2倍以上
・条件2:貯蓄現在高が年間収入の0.1倍以下
条件1を満たす分析対象のデータの集合を集合B、条件2を満たす分析対象のデータの集合を集合Cとする。条件1の「1.2倍以上」、条件2の「0.1倍以下」は、いずれも一例であって、これ以外の値であってもよい。
前述の部分集合における教師データDおよび教師データDについて、本例のデータ数を表4(男性)および表5(女性)に示す。
Figure 2019192219
Figure 2019192219
ここで、本例における貯蓄現在高の2つの閾値Sth0およびSthについて説明する。まず、平均余命に対して財産現在高が十分であるかを検討するに際しては、貯蓄取り崩しリスクを過小に評価することを避けるため、実年齢より高齢と判断することがないよう、前述の通り、年齢区分代表値Arepを、年齢区分における最小値として設定する。ここで、女性・借家の場合を例として用いながら説明する。女性・借家のArepと、その年齢区分(単位:歳)で、分析対象のデータにおいて「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」とされたデータの貯蓄現在高(単位:万円)の最大値SMAXを表6に示す。
Figure 2019192219
またArepとSMAXの散布図を図5に示す。そして、図5に回帰直線Rlを点線で表記した。表6では、各年齢区分代表値においてRlで得られた図5の縦軸の値を予測値Sth0と表記している。ここで、教師データの全体集合Aを「Rlを縦軸の方向に平行移動して、すべての年齢区分において貯蓄現在高がSMAX以下となる最小の平行移動量で定義される直線(以下、「Rl’」と表記)の貯蓄現在高以下」となる集合と定義する。図5における実線が、Rl’に当たる。この直線は、表6における予測誤差の最大値(274.8)だけ、回帰直線Rl(点線)を縦軸の上方向に平行移動させて得られる。ここで、各年齢区分代表値におけるRl’の値を、各年齢区分代表値における閾値Sthと定義する(表6)。男性、女性の各年齢区分のSMAX, Sth0, Sthを、各々、表7,表8に示す。
Figure 2019192219
Figure 2019192219
次に、上記で用いた分析対象データを判定対象者のデータとして用いて、本件発明の精度検証を行った。まず、1次判定として、貯蓄現在高がSth0以上のデータに関しては、「貯蓄取り崩しリスク無しとみなす」と判定する。1次判定で、「貯蓄取り崩しリスク無しとみなす」と判定されたデータは、その時点で判定終了となり、判定対象者のデータのうち、判定終了とならなかったデータが2次判定に供される。そして、1次判定結果を、表9のように区分する。表9での「1次判定区分」の欄では、精度検証の際に用いた表記(「検出漏れ1」、「リスク無し1」)とそれらの内容を説明している。ここで、判定対象者のデータについて、PY/E_estの値が取得できるのは、本発明の精度検証のために、データベースの分析対象データを判定対象者のデータとして用いているからである。実際に本発明を適用する際には、判定対象者のPY/E_estの値は用いる必要がない。
Figure 2019192219
次に、2次判定を行う。判定対象者のデータに対して、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yestを推定する。貯蓄現在高がSth0未満の判定対象者のデータに対して、貯蓄現在高に関して、距離が近い順に上位3つのデータを教師データDから抽出する。この際、各判定対象者の判定において、教師データDに判定対象者のデータが含まれていれば、その判定対象者のデータを距離測定対象外とする。本例において、距離の算出は、ユークリッド距離を用いた。その3つのデータの貯蓄現在高が尽きるまでの期間のうち、最短期間を推定期間Yestとして定める。さらに、判定対象者のデータのYestを、そのデータを取得した全国消費実態調査の実施年における年齢区分代表値に対応する平均余命で除算して得られた値PY/E_estを算出する。PY/E_est<0.1の場合、「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」と判定する。そして、2次判定結果を、表10のように区分する。表10での「2次判定区分」の欄では、精度検証の際に用いた表記(「検出正答」、「検出誤答」、「検出漏れ2」、「リスク無し2」)とそれらの内容を説明している。ここで、判定対象者のデータについて、PY/E_estの実際の値が取得できるのは、本件発明の精度検証のために、データベースの分析対象データを判定対象者のデータとして用いているからである。実際に本発明を適用する際には、判定対象者のPY/E_estの実際の値は用いる必要がない。
Figure 2019192219
上記算出方法を適用するためには、少なくとも教師データDが3つのデータを必要とする。表4,表5で示したように、年齢区分によっては教師データDとして作成されたデータ数が2つ以下である場合もある。この時、上記算出方法を適用することができない。そこで、教師データDのデータ数が2つ以下の年齢区分に関しては、1つ上と1つ下の年齢区分のデータを併合することにより適用することができる。例えば、男性・借家の場合を例にすると、表4(a)(男性・借家)で示すように70〜74歳の区分では教師データDのデータ数は2つである。この場合は、65〜69歳の区分の3つのデータと75〜79歳の区分の5つのデータとを併合して合計10のデータを用いればよい。また、80〜84歳の区分では教師データDは1つであるが、85歳以上は該当データがない。この場合は、75〜79歳の区分の5つのデータと併合すればよい。
ここで、下記に示す、検出正答率、検出漏れ率、判定正答率を算出する。
・検出正答率P:検出正答のデータ数と検出誤答のデータ数との和に対する検出正答のデータ数の割合(%)
・検出漏れ率P:実際の「貯蓄取り崩しリスク有りとみなされた」データのうち、検出漏れ1と検出漏れ2のデータの合計数の割合(%)
・判定正答率PRJ:判定対象の全データ数に対する、検出正答およびリスク無し1(表9)とリスク無し2(表10)のデータ数の総和の割合(%)
上記のように判定を行った結果を、男性に関しては表11に、女性に関しては表12にそれぞれ示す。男女の検出正答率P・判定正答率PRJに関して、男性・借家はP=66.7%、PRJ=90.2%、男性・持家はP=60.0%、PRJ=90.9%、女性・借家はP=53.2%、PRJ=85.5%、女性・持家はP=34.8%、PRJ=83.9%であった。
Figure 2019192219
Figure 2019192219
いずれの場合も、判定正答率は80%を超えていた。次に、男性・持家、女性・借家、女性・持家に関しては、上記2次判定を改訂することで、検出正答率の向上を試みた。上記1次判定後に新たな2次判定を行う。改良1として、貯蓄現在高がSth0未満の判定対象者のデータに対して、教師データD,Dの中から貯蓄現在高が近い順に上位3つのデータを抽出する。この際、各判定対象者の判定において、教師データDまたはDに判定対象者のデータが含まれていれば、その判定対象者のデータを距離測定対象外とする。ここで、教師データDが過半数である場合(抽出されたデータが2つ以上)、貯蓄現在高が近い順に上位3つのデータを教師データDから改めて抽出し、その3つのデータの貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yのうち、最小期間を推定期間Yestとして定める。さらに、判定対象者のデータのYestを、そのデータを取得した全国消費実態調査の実施年における年齢区分代表値に対応する平均余命で除算して得られた値PY/E_estを算出する。PY/E_est<0.1の場合、「貯蓄取り崩しリスク有りとみなす」と判定する。他方、教師データDが過半数である場合、「貯蓄取り崩しリスク無しとみなす」と判定する。
改良2として、判定対象者の判定用情報として所定期間における収入をさらに用い、改良1で貯蓄現在高を要素とする1次元空間を用いる代わりに、貯蓄現在高と収入とを要素とする2次元空間を用いる。まず、貯蓄現在高がSth0未満の判定対象者のデータに対して、貯蓄現在高と収入とからなる2次元空間において、教師データD,Dの中から距離が近い順に上位3つのデータを抽出する。データを抽出以降も、改良1で貯蓄現在高を要素とする1次元空間を用いる代わりに、貯蓄現在高と収入とからなる2次元空間を用いる。それ以外は、改良1と同様である。
改良1の判定結果を、男性に関しては表13に、女性に関しては表14にそれぞれ示す。男性・借家はP=62.5%、PRJ=88.5%、男性・持家はP=55.6%、PRJ=89.1%、女性・借家はP=67.7%、PRJ=90.3%、女性・持家はP=36.5%、PRJ=86.2%であった。改良2の判定結果を、男性に関しては表15に、女性に関しては表16にそれぞれ示す。男女の検出正答率P・判定正答率PRJに関して、男性・借家はP=66.7%、PRJ=90.2%、男性・持家はP=45.5%、PRJ=87.3%、女性・借家はP=46.6%、PRJ=82.5%、女性・持家はP=44.5%、PRJ=88.6%であった。
Figure 2019192219
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改良1と改良前の検出正答率および判定正答率の結果を比較すると、男性は改良前の方が良好な結果であるが、女性は改良1の方が良好な結果であった。他方、改良2と改良前の検出正答率および判定正答率の結果を比較すると、男性は改良前と同じ結果であるが、女性は借家では改良前の方が良好な結果であり、持家では改良2の方が良好な結果であった。改良1と改良2の検出正答率および判定正答率の結果を比較すると、男性・持家および女性・借家の場合は、改良1の方が良好な結果であり、男性・借家および女性・持家では、改良2の方が良好な結果であった。
上記では、高齢単身世帯について説明したが、本発明の財産管理能力判定装置100は、夫婦が共に65歳以上の高齢二人世帯を判定対象とすることもできる。情報取得処理で取得する情報としては、例えば上記の高齢単身世帯と同じ情報を用いることができる。65歳以上の夫婦2人の世帯のうち、世帯主が女性の世帯数(1994年:20、1999年:39、2004年:44、計:103)が、世帯主が男性の世帯数(1994年:2607、1999年:3840、2004年:5081、計:11528)よりも非常に少なかった。そこで、65歳以上の夫婦二人世帯のうち、世帯主が男性のデータを分析対象データとした。1994年・1999年・2004年の各年に関して、夫婦が共に65歳以上の二人世帯の各収支状況のデータ数を表17に示す。ここでは、「支出>収入」の列は年間支出が年間収入を超えているデータ数を表し、「支出≦収入」の列は年間支出が年間収入を以下であるデータ数を表している。
Figure 2019192219
単身世帯と同様に、年間収入が年間支出以上(「支出≦収入」)の場合、貯蓄現在高が減少することは考えにくいので、分析対象から外した。年間支出が年間収入を超え、かつ、貯蓄現在高が0円の場合も分析対象から外した。その結果、「支出>収入」でかつ貯蓄現在高が0円より多いデータを分析対象データした。このデータを「二人世帯の分析対象のデータ」と記す。
次に、各世帯の年齢区分の算出方法について説明する。ここでは、表2に示した各世帯の世帯主(男性)の年齢区分代表値と配偶者(女性)の年齢区分代表値を平均して、その値が該当する年齢に対応する年齢区分の年齢区分代表値を、各世帯の年齢区分代表値として使用する。例えば、ある世帯の世帯主(男性)の年齢区分が70〜74歳(年齢区分代表値:70歳)、配偶者(女性)の年齢区分が65〜69歳(年齢区分代表値:65歳)の2人世帯を例にすると、年齢区分代表値の平均値は67.5歳である。この値は、年齢区分として65〜69歳に対応するため、この世帯の年齢区分代表値は65歳である。各世帯の年齢区分を表18に示す。
Figure 2019192219
また、各世帯の平均余命の算出方法について説明する。年齢区分と同様に、ある年の二人世帯に関して、その世帯の世帯主(男性)の年齢区分に対応する平均余命と配偶者(女性)の年齢区分に対応する平均余命を平均して、その値を各世帯の平均余命として使用する。例えば、1999年のある二人世帯の世帯主(男性)の年齢区分が70〜74歳(平均余命:13年)、配偶者(女性)の年齢区分が65〜69歳(平均余命:22年)の2人世帯を例にすると、この世帯の平均余命は17.5年となる。
さらに、各二人世帯の分析対象データにおける貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、そのデータの全国消費実態調査を実施した年における年齢区分代表値に対応する平均余命で除算して得られた値Pが0.3未満であれば、貯蓄取り崩しリスク有りとみなす。
二人世帯の分析対象データを、「借家」のデータと、「持家」のデータとに分類した。借家のデータ数は、1994年が78、1999年が96、2004年が132であった。このうち、「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされる借家のデータ数は、1994年が24(30.8%)、1999年が24(25.0%)、2004年が29(22.0%)であった。持家のデータ数は、1994年が445、1999年が613、2004年が1003である。このうち、「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされる持家のデータ数は、1994年が86(19.3%)、1999年が119(19.4%)、2004年が202(20.1%)であった。二人世帯の分析対象データが「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされるか否かを表19に示す。貯蓄取り崩しリスクの項で、“R”は「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされたデータ数、“N”は「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされなかったデータ数を示している。
Figure 2019192219
表19の(a)と(b)の3年分で比較すると、「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされる割合は、借家と持家とで、各々、77/306(25.2%)、407/2061(19.7%)と、住居が借家の方が高かった。このため、本件発明を実施するに際し、住居所有情報で持家と借家とを区別することは、精度向上の点で有効である。
二人世帯においても上記の単身世帯と同様に教師データDおよび教師データDを作成した。単身世帯と異なるのは、条件1において、年間収入に対する年間支出が1.15倍以上としている点のみである。教師データDおよび教師データDについて、本例のデータ数を表20に示す。また、年齢区分代表値Arep、最大値SMAX、閾値Sth0およびSthについて表21に示す。
Figure 2019192219
Figure 2019192219
次に、上記で用いた分析対象データを判定対象者のデータとして、本件発明の精度検証を行った。まず、1次判定として、貯蓄現在高がSth0以上のデータに関しては、「貯蓄取り崩しリスク無しとみなす」と判定する。そして、1次判定結果を、表22のように区分する。
Figure 2019192219
次に単身世帯と同様に2次判定を行った。なお、改良1について、教師データDのデータ数が過半数であった場合には、単身世帯では、貯蓄取り崩しリスク無しとみなすと判定するが、上記二人世帯においては、貯蓄現在高が近い順に上位3つのデータを教師データDから改めて抽出し、その3つのデータの貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yのうち、最小期間を推定期間Yestとして定める。それ以外の取扱いは単身世帯での改良1と同じとする。2次判定結果を表23に示すように区分し、判定結果を表24に示す。検出正答率P・判定正答率PRJは、借家ではP=47.7%、PRJ=73.5%、持家ではP=38.0%、PRJ=74.4%であった。
Figure 2019192219
Figure 2019192219
上記では、年齢区分ごとの平均余命を用いた場合について説明したが、本発明の財産管理能力判定装置100は、年齢区分ごとの平均余命を用いない場合に対しても適用とすることができる。情報取得処理で取得する情報としては、例えば上記の高齢単身世帯と同じ情報を用いることができる。以下では、65歳以上の年齢の単身女性で居住区分が持家を例に、説明する。そして、1994年・1999年・2004年の各年に関して、貯蓄現在高が0円より多く、かつ、年間支出が年間収入を超えているデータを分析対象とした。1994年・1999年・2004年の各年に関して、65歳以上の年齢の単身女性で居住区分が持家の世帯の各収支状況のデータ数を表25に示す。ここでは、「支出>収入」の列は年間支出が年間収入を超えているデータ数を表し、「支出≦収入」の列は年間支出が年間収入を以下であるデータ数を表している。
Figure 2019192219
各分析対象データにおける貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、Y=S/(O−I)で算出した。そして、Yが所定年数2.0(年)未満である場合には、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなす。当該データ数は、1994年で234、1999年で275、2004年で363であった。このうち、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータ数は、1994年で26(11.1%)、1999年で31(11.3%)、2004年で38(10.5%)であった。当該世帯の分析対象データが「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされるか否かを表26に示す。貯蓄取り崩しリスクの項で、“R”は「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされたデータ数、“N”は「貯蓄取り崩しリスク有り」とみなされなかったデータ数を示している。
Figure 2019192219
当該世帯において教師データDおよび教師データDを作成した。教師データDおよび教師データDについて、本例のデータ数を表27に示す。また、年齢区分代表値Arep、最大値SMAX、閾値Sth0およびSthについて表28に示す。そして、1次判定結果を、表29のように区分する。ここで、判定対象者のデータについて、Yの値が取得できるのは、本件発明の精度検証のために、データベースの分析対象データを判定対象者のデータとして用いているからである。
Figure 2019192219
Figure 2019192219
Figure 2019192219
次に2次判定を行った。2次判定結果を、表30のように区分し、判定結果を表31に示す。検出正答率P・判定正答率PRJは、本発明改良前で、P=34.0%、PRJ=81.5%、改良1で、P=36.9%、PRJ=84.9%、改良2で、P=40.2%、PRJ=86.1%、であった。いずれの場合も、判定正答率は80%を超えていた。相対的には、改良2が一番良い結果で、改良1が二番目に良い結果であった。

Figure 2019192219
Figure 2019192219
上記では、独立行政法人統計センターが作成した匿名データ(実データ)を取得して用いる実施形態について説明したが、本発明の他の実施形態として、財産管理能力判定装置100は、乱数を用いて実データを統計的に近似した近似データからなるデータベースから情報を取得して用いることができる。情報取得処理で取得する情報として、例えば、上記の匿名データのうち、65歳以上の単身女性で居住区分が持家である分析対象データを、乱数を用いて統計的に近似した近似データからなるデータベースの情報を用いることができる。
乱数データの作成方法について例を用いて説明する。上記匿名データにおいて、1994年・1999年・2004年の各年に関して、貯蓄現在高が0円より多く、かつ、年間支出が年間収入を超えている匿名データのうち、65歳以上の単身女性で居住区分が持家である分析対象データについて、年間収入、年間支出、貯蓄現在高からなる3つのデータの各平均と分散共分散行列を用いて決定される多変量正規分布を用いて乱数データをN個作成する。その際、「年間収入<年間支出」かつ「年間収入>0かつ年間支出>0かつ貯蓄現在高>0」を満たす乱数データをカウントしつつ作成し、ちょうどN個の乱数データを確保できた時点で生成を終了すればよい。
上記乱数データには、年間収入、年間支出、貯蓄現在高の3つの属性しか与えられていない。そこで、各乱数データにおいて、年間収入、年間支出、貯蓄現在高を要素とする3次元ベクトル空間においてユークリッド距離が最も近い匿名データの年齢区分、平均余命を、それぞれの乱数データの年齢区分、平均余命として設定する。これにより、各乱数データには、年間収入、年間支出、貯蓄現在高、に加えて新たに年齢区分および平均余命の属性が設定されることになる。乱数データの年齢区分ごとのデータ数を表32に示す。この場合、乱数データの総数Nが、65歳以上の年齢の単身女性で居住区分が持家の匿名データの総数と一致するように乱数データを作成した。そして、作成された乱数データを分析対象データとして使用した。

Figure 2019192219
各分析対象データにおける貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、Y=S/(O−I)で算出した。さらに、分析対象データに設定された平均余命EでYを除算して得られた値Pが0.1未満である場合には、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなす。
上記分析対象データにおいて教師データDおよび教師データDを作成した。教師データDおよび教師データDについて、本例のデータ数を表33に示す。また、年齢区分代表値Arep、貯蓄現在高の最大値SMAX、閾値Sth0およびSthについて表34に示す。そして、前述の実施形態と同様に1次判定を行った。1次判定結果を、表35のように区分する。ここで、判定対象者のデータについて、Yの値が取得できるのは、本件発明の精度検証のために、データベースの分析対象データを判定対象者のデータとして用いているからである。

Figure 2019192219
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次に前述の実施形態と同様に2次判定を行った。2次判定結果を、表36のように区分し、判定結果を表37に示す。検出正答率P・判定正答率PRJは、本発明改良前で、P=38.9%、PRJ=86.1%であり、改良1で、P=40.3%、PRJ=87.0%であり、改良2で、P=42.6%、PRJ=87.8%であった。いずれの場合も、判定正答率は80%を超えていた。相対的には、改良2が一番目に良好な結果であり、改良1が二番目に良好な結果であった。

Figure 2019192219
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1 記憶部
2 制御部
3 メモリ
4 表示部
5 入力部
6 外部接続部
100 財産管理能力判定装置

Claims (13)

  1. 財産管理能力判定装置において、
    複数名の各自の年齢区分を含み、かつ、所定期間の各自の収入および支出を含む収支情報ならびに各自の貯蓄現在高を含む貯畜情報が記憶される記憶部と、
    財産管理能力を判定する判定対象者の年齢および貯畜現在高を含む判定用情報を入力する入力部と、
    前記入力部によって入力された判定用情報と、前記記憶部に記憶された前記収支情報および前記貯畜情報とに基づいて、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする財産管理能力判定装置。
  2. 前記記憶部に、複数名の性別を示す性別情報がさらに記憶され、
    前記収支情報における前記所定期間の支出が収入より大きいデータを分析対象データとし、前記収支情報および前記貯蓄現在高に基づいて、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータを抽出する抽出部と、
    前記抽出部で抽出されたデータに基づいて、前記年齢区分ごとに貯畜現在高の最高額を選択し、貯畜現在高と年齢区分の代表年齢とを要素とする2次元空間において、前記代表年齢と前記最高額との相関性を定量的に決定する決定部と、
    前記分析対象データに対して、前記決定部で決定された条件に基づく値を閾値とする閾値処理を行い、教師データの全体集合を作成し、次いで、前記全体集合から、前記所定期間の収入および支出ならびに貯畜現在高が、予め定める条件を満足する部分集合を作成する作成部と、をさらに備え、
    前記入力部は、前記判定対象者の、性別、年齢および貯畜現在高を含む判定用情報を入力し、
    前記判定部は、前記入力部によって入力された判定用情報と、前記代表年齢と前記最高額との相関性および前記教師データの前記部分集合とに基づいて判定することを特徴とする請求項1記載の財産管理能力判定装置。
  3. 前記記憶部に、前記年齢区分ごとの平均余命がさらに記憶されることを特徴とする請求項2記載の財産管理能力判定装置。
  4. 前記抽出部は、前記分析対象データのそれぞれに対して、貯蓄現在高をS、年間収入をI、年間支出をOとしたとき、貯蓄現在高が尽きるまでの年数Yを、Y=S/(O−I)で算出し、年数Yを平均余命Eで除算した値Pを算出し、値Pが、予め定める値m(m<1)未満であったときに、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすことを特徴とする請求項3記載の財産管理能力判定装置。
  5. 前記決定部は、線形回帰によって、前記最高額を目的変数、前記代表年齢を説明変数とする一次関数を決定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置。
  6. 前記作成部は、前記2次元空間において、前記決定部で決定された一次関数を、全ての年齢区分で貯畜現在高が、関数値以下となるように縦軸方向に最小の平行移動量で移動させて得られる一次関数を、シフト補正された一次関数として設定し、前記シフト補正された一次関数の関数値を閾値として分析対象データに対する閾値処理を行い、教師データの全体集合を作成し、前記全体集合から、前記所定期間の収入に対する支出の割合および貯蓄現在高に対する年間収入の割合が、予め定める条件を満足する部分集合を作成することを特徴とする請求項5記載の財産管理能力判定装置。
  7. 前記複数名および前記判定対象者の世帯は、高齢単身世帯であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置。
  8. 前記複数名および前記判定対象者の世帯は、高齢二人世帯であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置。
  9. 前記記憶部は、前記収支情報と、前記複数名それぞれの居住している住宅が、持家であるか借家であるかを示す住居所有情報と、を関連付けて記憶し、
    前記抽出部は、持家の場合と借家の場合とに分けて貯蓄取り崩しリスクが有るとみなされるデータを抽出し、
    前記決定部は、持家の場合と借家の場合とに分けて、前記相関性を定量的に決定し、
    前記作成部は、持家の場合と借家の場合とに分けて、前記教師データの全体集合および部分集合を作成し、
    前記入力部は、判定対象者の居住している住宅が、持家であるか借家であるかを示す判定用住居所有情報さらに入力し、
    前記判定部は、前記入力部によって入力された判定用住居所有情報に応じて、持家の場合の教師データか借家の場合の教師データかを選択し、選択した教師データを用いて、判定対象者に、貯蓄取り崩しリスクが有るとみなすか否かを判定することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置。
  10. 前記性別情報、前記収支情報および前記貯畜情報が予め登録された外部データベースから前記性別情報、前記収支情報および前記貯畜情報を取得する取得部をさらに備えることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置。
  11. 前記入力部は、前記判定用情報と関連付けてデータ通信による送信先のアカウント情報を入力し、
    前記出力部は、前記判定結果を、前記判定用情報に関連付けられたアカウント情報に従って送信先に送信することを特徴とする請求項2〜10のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置。
  12. コンピュータを請求項1〜11のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置として機能させるための財産管理能力判定プログラム。
  13. コンピュータを請求項1〜11のいずれか1つに記載の財産管理能力判定装置として機能させるための財産管理能力判定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2022162068A (ja) * 2019-10-21 2022-10-21 株式会社三洋物産 遊技機

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