JP2019190962A - 画像水平調整装置及びそのプログラム、並びに、図面生成システム - Google Patents
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Description
本発明に係る画像水平調整装置は、キュービックパノラマ画像上に箱状オブジェクトを設定し、その箱状オブジェクトを利用した調整計算により、カメラの姿勢及び位置を推定することができる。従って、本発明に係る画像水平調整装置は、計測機材を必要とすることがなく、キュービックパノラマ画像を撮影可能な空間であれば、容易に水平調整を行うことができる。
[図面生成システムの概要]
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態において、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
図1を参照し、本発明の実施形態に係る図面生成システム1の概要について説明する。
図1に示すように、図面生成システム1は、天井裏9などの屋内図面を生成するものであり、全天球カメラ10と、画像計測装置20と、図面生成装置40とを備える。
本実施形態では、図1に示すように、画像計測の対象となる画像計測対象空間が天井裏9であることとする。例えば、天井裏9には、室内との境界になる天井(底面)に、正方形の点検口90が設けられている。また、天井裏9には、奥側にL字状の配管91が配置され、中央右側に屋内設備92,93が隣接配置され、手前側の天面にも屋内設備94が配置されている。このように、天井裏9は、高さが十分でなく、配管91や屋内設備92〜95が配置されているため、計測機材の設置が困難である。さらに、天井裏9では、柱及び壁や天井の境界が、配管91や屋内設備92〜95に隠れてしまうので、基準線の代用も困難である。
また、図1では、天井裏9において、基準線として代用可能な境界のうち、全天球カメラ10から見て、配管91や屋内設備92〜95に隠れる箇所を破線で図示した。
また、図1では、天井裏9の下に位置する室内を一点鎖線で図示した。
その後、図面生成装置40は、画像計測装置20が生成した3次元モデルから天井裏9の図面を生成する。
全天球カメラ10は、天井裏9の全天球画像を撮影し、撮影した全天球画像を画像計測装置20に出力するものである。例えば、全天球カメラ10は、SDカード等の記録媒体を介して、又は、無線通信を用いて、全天球画像を画像計測装置20に出力する。
なお、図面生成システム1で利用可能なカメラは、キュービックパノラマ画像に変換可能な画像を撮影できるものであれば、全天球カメラ10に限定されない。
その後、画像計測装置20は、図示を省略した無線通信又は有線通信を介して、天井裏9の3次元モデルを図面生成装置40に出力する。
図4を参照し、画像計測装置20の構成について説明する。
図4に示すように、画像計測装置20は、キュービックパノラマ画像変換手段21と、画像計測手段22と、画像水平調整装置30とを備える。
以後、図5(a)〜(f)のように、キュービックパノラマ画像の各面を構成する画像のそれぞれを構成画像と呼ぶ。
本実施形態では、画像計測手段22は、水平調整されたキュービックパノラマ画像に計測点を設定し、その計測点を3次元計測(画像計測)する。具体的には、画像計測手段22は、各計測点を高さが既知の水平面上へ逆投影することで、水平面上の計測点の座標を3次元計測する。また、画像計測手段22は、計測済みの計測点の鉛直線上に位置する点をこの鉛直線に逆投影することで、計測点の高さ方向の座標を3次元計測する。そして、画像計測手段22は、水平面と高さ方向の座標を組み合わせて、各計測点の3次元座標を求める。
なお、3次元計測の詳細は、例えば、特開2015−125002号公報に記載されているため、これ以上の説明を省略する。
画像水平調整装置30は、図4に示すように、画像計測装置20に内蔵されており、パラメータ設定手段31と、初期値設定手段32と、調整計算手段33と、収束判定手段34と、水平調整手段35とを備える。
ここで、BOXオブジェクト及び基準線の設定について説明する。
パラメータ設定手段31は、図6に示すように、キュービックパノラマ画像変換手段21が変換したキュービックパノラマ画像を表示手段24に表示する。すると、計測員は、操作手段23を操作して、図7に示すように、キュービックパノラマ画像上にBOXオブジェクトObjを設定する。図7では、天井裏9の一部しか表示手段24に表示されていないので、BOXオブジェクトObjの一部しか設定できない。そこで、計測員は、キュービックパノラマ画像を回転させ、BOXオブジェクトObjの残りの部分を設定すればよい。このとき、計測員は、キュービックパノラマ画像に表示された天井裏9とBOXオブジェクトObjとの四隅(端点P1〜P4)を一致させて、天井裏9の形状を表すようにBOXオブジェクトObjを設定するとよい。
なお、図7では、BOXオブジェクトObj及び基準線Blを太線で図示し、BOXオブジェクトObjの端点P(P1〜P4)を図示した。
なお、パラメータ設定手段31は、図8のBOXオブジェクト設定画面又は図9の基準線設定画面で補助線が1本も設定されていない場合、その旨のメッセージを表示し、計測員に補助線の設定を促すことが好ましい。
初期値設定手段32は、パラメータ設定手段31で設定されたBOXオブジェクトについて、調整計算に必要な初期値を設定するものである。本実施形態では、パラメータ設定手段31は、計測員から初期値の設定(入力)を受け付けて、計測員が設定した初期値を調整計算手段33に出力する。
例えば、BOXオブジェクトの初期値としては、ローカル座標系におけるBOXオブジェクトの各端点の座標(X,Y,Z)、BOXオブジェクトの寸法W,D,H、キュービックパノラマ画像の回転角(全天球カメラ10の姿勢)θ,φ,κがあげられる。
BOXオブジェクト調整計算基礎式とは、BOXオブジェクトの端点の座標が反映された基礎式のことである。また、補助線調整計算基礎式とは、補助線の長さを拘束条件とした基礎式のことである。
収束条件を満たさない場合、収束判定手段34は、調整計算手段33に全天球カメラ10の姿勢及び位置の再計算を指令する。
収束条件を満たす場合、収束判定手段34は、推定結果として、調整計算手段33から入力された全天球カメラ10の姿勢及び位置を水平調整手段35に出力する。
以下、調整計算の前提となる座標系の定義、BOXオブジェクト調整計算基礎式、補助線調整計算基礎式、非線形最小二乗法による解法を順に説明する。
ローカル座標系は、画像計測対象空間の座標系であり、X−Y−Zで表す。図10(a)に示すように、ローカル座標系は、Z軸方向が天井裏9の鉛直方向と一致し、X−Y平面が天井裏9の底面(水平面)と平行になる。
全天球カメラ座標系(カメラ座標系)は、全天球カメラ10の位置(光学主点)を原点とする座標系であり、x−y−zで表す。全天球カメラ座標系は、全天球カメラ10の傾きをそのまま表し、z軸方向が全天球カメラ10の上方となる。つまり、全天球カメラ座標系は、ローカル座標系の原点を全天球カメラ10の視点高さまで上げたうえ、ローカル座標系に全天球カメラ10の傾きを与えたものとなる。
全天球画像座標系は、全天球カメラ座標系に配置されたキュービックパノラマ画像面上の座標系であり、xi−yi−ziで表す。つまり、キュービックパノラマ画像上のある1点の座標は、全天球画像座標系で(xi,yi,zi)となる。なお、添え字iは、キュービックパノラマ画像の前面や右面などの各構成画像を表す(1≦i≦6)。
BOXオブジェクトは、直方体状の箱型であり、8個の端点を有する。BOXオブジェクトの長手方向の長さをW、短手方向の長さをD、高さをHとする。また、BOXオブジェクトの底面の1点をローカル座標系の原点Oとする。この場合、BOXオブジェクトの各端点の座標は、ローカル座標系において、(0,0,0)、(W,0,0)、(W,D,0)、(0,D,0)、(0,0,H)、(W,0,H)、(0,D,H)、(W,D,H)で表される。
ローカル座標系において、全天球カメラ10の視点位置Cの座標(XC,YC,ZC)は、全天球カメラ座標系の原点に対応する。また、全天球カメラ10の視点位置Cの座標(XC,YC,ZC)は、式(1)にx=0、y=0、z=0を代入することで、以下の式(3)で算出できる。
補助線調整計算基礎式は、2つの端点の座標(xi1,yi1,zi1)、(xi2,yi2,zi2)の差から計算されるベクトルに関する直交変換式である。両端点の縮尺変数をλ(λ1,λ2)とし、ローカル座標系で両端点のベクトルを(vX vY vZ)とすると、補助線調整計算基礎式は、以下の式(9)で表される。なお、添え字Tは転置行列を表し、縮尺変数λ=L/lとする。
なお、補助線の長さSが与えられておらず、何れの端点も壁面等に接していない場合、S,λ1,λ2の3つが未知変数となるため、拘束条件とならない。
非線形最小二乗法による解法としては、全ての未知変数について連立して調整計算する手法(以後、第1解法)と、未知変数と関係式を減らしてから調整計算する手法(以後、第2解法)の2つが考えられる。
なお、収束条件は、任意に設定可能である。例えば、収束条件は、正値Δが予め設定された回数以上更新されなくなった場合、調整計算を終了するという条件であってもよい。
水平調整手段35は、収束判定手段34から入力された推定結果(全天球カメラ10の姿勢及び位置)を用いて、水平調整を行うものである。例えば、水平調整手段35は、収束判定手段34から入力された全天球カメラ10の姿勢θ,φ,κに合わせて、キュービックパノラマ画像を回転させる。このとき、水平調整手段35は、収束判定手段34から入力された全天球カメラ10の位置xO,yO,zOに応じて、キュービックパノラマ画像を移動させてもよい。そして、水平調整手段35は、回転後のキュービックパノラマ画像を画像計測手段22に出力する。
図11を参照し、画像水平調整装置30の構成について説明する(適宜図4参照)。
図11に示すように、パラメータ設定手段31は、BOXオブジェクトの設定を行う。具体的には、パラメータ設定手段31は、キュービックパノラマ画像を表示手段24に表示し、計測員がBOXオブジェクトを設定する。また、パラメータ設定手段31は、計測員の操作に応じて、図8のBOXオブジェクト設定画面を表示し、計測員がBOXオブジェクトの辺を補助線として設定する(ステップS1)。
なお、ステップS1においてBOXオブジェクトに補助線が設定されている場合、このステップS2の処理は必須でない。
調整計算手段33は、ステップS2で設定したBOXオブジェクト及びBOXオブジェクトの補助線について、BOXオブジェクト調整計算基礎式及び補助線調整計算基礎式を非線形最小二乗法で解くことで、全天球カメラ10の姿勢及び位置を計算する(ステップS4)。
収束条件を満たさない場合(ステップS5でNo)、画像水平調整装置30は、ステップS4の処理に戻る。
収束条件を満たす場合(ステップS5でYes)、画像水平調整装置30は、ステップS6の処理に進む。
このように、画像水平調整装置30は、収束条件を満たすまで、ステップS4の調整計算を繰り返す。
基準線が設定されている場合(ステップS6でYes)、画像水平調整装置30は、ステップS7の処理に進む。
調整計算手段33は、ステップS3で設定した基準線を加え、BOXオブジェクト調整計算基礎式及び補助線調整計算基礎式を非線形最小二乗法で解くことで、全天球カメラ10の姿勢及び位置を計算する(ステップS7)。
収束条件を満たさない場合(ステップS8でNo)、画像水平調整装置30は、ステップS7の処理に戻る。
収束条件を満たす場合(ステップS8でYes)、画像水平調整装置30は、ステップS9の処理に進む。
このように、画像水平調整装置30は、収束条件を満たすまで、ステップS7の調整計算を繰り返す。
以上のように、画像水平調整装置30は、キュービックパノラマ画像上にBOXオブジェクトを設定し、そのBOXオブジェクトを利用した調整計算により、全天球カメラ10の姿勢及び位置を推定することができる。従って、画像水平調整装置30は、計測機材を必要とすることがなく、キュービックパノラマ画像を撮影可能な空間であれば、容易に水平調整を行うことができる。
さらに、画像水平調整装置30は、天井裏9のような画像計測対象空間全体にBOXオブジェクトを設定するので、局所的な画像歪の影響を受けにくく、推定誤差を抑制することがきる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した実施形態では、初期値を手動で設定することとして説明したが、既知の手法により初期値を計算してもよい。
例えば、本発明に係る画像水平調整装置は、未知変数と関係式を減らしてから解いてもよい(第2解法)。具体的には、式(12)を補助線調整計算基礎式である式(10)に代入すると、以下の式(23)が得られる。そして、式(23)をテーラー展開し、θなどの未知変数毎にまとめればよい。
10 全天球カメラ
20 画像計測装置
21 キュービックパノラマ画像変換手段
22 画像計測手段
30 画像水平調整装置
31 パラメータ設定手段
32 初期値設定手段
33 調整計算手段
34 収束判定手段
35 水平調整手段
40 図面生成装置
Claims (7)
- 画像計測の対象となる画像計測対象空間を撮影したカメラの姿勢及び位置を推定し、水平調整を行う画像水平調整装置であって、
キュービックパノラマ画像において、前記画像計測対象空間の形状を表す箱状オブジェクト、及び、所定の補助線を設定するパラメータ設定手段と、
前記箱状オブジェクトの端点の座標が反映された箱状オブジェクト調整計算基礎式、及び、前記補助線の長さを拘束条件とした補助線調整計算基礎式を非線形最小二乗法で解くことで、前記カメラの姿勢及び位置を計算する調整計算手段と、
前記調整計算手段で計算されたカメラの姿勢及び位置が予め設定された収束条件を満たすか否かを判定し、前記収束条件を満たさない場合、前記調整計算手段に前記カメラの姿勢及び位置の再計算を指令し、前記収束条件を満たす場合、前記調整計算手段で計算されたカメラの姿勢及び位置を出力する収束判定手段と、
前記収束判定手段が出力したカメラの姿勢及び位置を用いて、水平調整を行う水平調整手段と、
を備えることを特徴とする画像水平調整装置。 - 前記調整計算手段は、
前記キュービックパノラマ画像を構成する各画像の回転角を表す回転行列M、及び、前記カメラの焦点距離fが含まれる式(A)を用いて、前記パラメータ設定手段で設定された箱状オブジェクトの端点の座標(u,-f,v)を画像座標系における前記端点の座標(xi,yi,zi)に変換し、
- 前記パラメータ設定手段は、前記箱状オブジェクトの辺、又は、前記キュービックパノラマ画像上の任意の基準線の少なくとも一方を前記補助線として設定し、
前記調整計算手段は、前記基準線が設定された場合、設定された前記基準線の長さを拘束条件とした前記補助線調整計算基礎式を非線形最小二乗法で解くことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像水平調整装置。 - 前記収束判定手段は、前記収束条件として、前記カメラの姿勢及び位置がゼロを基準とした所定範囲内に収まるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像水平調整装置。
- 前記画像計測対象空間は、手動の水平調整が困難な狭隘空間であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の画像水平調整装置。
- コンピュータを、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像水平調整装置として機能させるためのプログラム。
- 画像計測の対象となる画像計測対象空間を撮影するカメラと、画像計測により前記画像計測対象空間の3次元モデルを生成する画像計測装置と、前記画像計測装置が生成した3次元モデルから前記画像計測対象空間の図面を生成する図面生成装置と、を備える図面生成システムであって、
前記画像計測装置は、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像水平調整装置と、
前記画像水平調整装置が水平調整したキュービックパノラマ画像を画像計測することで、前記画像計測対象空間の3次元モデルを生成する画像計測手段と、
を備えることを特徴とする図面生成システム。
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