JP2019189472A - 管ガラスの製造方法および管ガラス - Google Patents

管ガラスの製造方法および管ガラス Download PDF

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Abstract

【課題】切断工程における管ガラスの切断面の品位を向上させる。【解決手段】管ガラスの製造方法における切断工程は、レーザ照射工程と、応力付与工程と、を備える。レーザ照射工程では、複数のレーザ光L1〜L4における照射開始位置SP1〜SP4が管ガラスG1の円周方向において異なる位置に設定される。【選択図】図3

Description

本発明は、切断工程を含む管ガラスの製造方法、および管ガラスに関する。
例えば医療用のアンプルや照明用の蛍光管などに用いられる管ガラスは、ダンナー法やダウンドロー法など種々の手法により成形されている。以下、ダンナー法を例にとってその概要を説明する。
ダンナー法で管ガラスを製造する場合、まずマッフル炉内に配置された回転可能なスリーブに溶融ガラスを供給する。供給された溶融ガラスは、回転するスリーブに巻き付きながら管状となる。そして、この管状となった溶融ガラスをスリーブの先端から管引き装置(牽引装置)で引張り出すことで、管ガラスが連続的に成形される。然る後、成形された管ガラス(連続管ガラス)を切断装置で所要の長さに切断することで、所定長さ寸法の管ガラス製品を得る(例えば、特許文献1を参照)。
また、連続管ガラスの切断方法として、連続的に搬送される連続管ガラスの外周面に切断刃を接触させることで、当該外周面に擦り傷を形成すると共に、この擦り傷に熱衝撃を加えることにより、連続管ガラスを切断する方法が一般的に採用されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許文献2に開示される方法は、連続管ガラスを搬送しながら比較的高速に切断することができ、生産ラインに容易に組み込むことができる。しかしながら、連続管ガラスの外周面に形成した擦り傷を熱衝撃により進展させることから、クラックの起点となる擦り傷の形状を安定させることが難しい。このため、管ガラスの破断面(切断面)は粗くなる。したがって、同文献の方法では、破断面を平坦に仕上げるために追加の切断加工を必要とし、工数の増加を招いていた。また、この方法では、切断工程で生じたガラス粉が切断後の管ガラスの内周面に付着することから、洗浄工程も必要となる。
特許文献3には、ガラス粉の発生を防止でき、かつ連続管ガラスを高速に切断する方法が開示される。この方法では、連続管ガラスの内部にレーザ光を照射し、その照射領域に生じる多光子吸収によって当該連続管ガラスの内部にクラックを発生させる。連続管ガラスには応力が付与されており、クラックは、当該応力の作用により、連続管ガラスの内部において円周方向に進展する。
以下、この切断方法における、レーザ光の照射方法及びクラックの進展の態様について、図11及び図12を参照しながら詳細に説明する。
図11に示すように、長手方向に沿って搬送される連続管ガラスG1の内部に、レーザ光Lの焦点Fを合わせ、この焦点Fが連続管ガラスG1の円周方向に沿って照射開始位置SPから照射終了位置EPまで移動するように、レーザ光Lを走査する。これにより、図12に示すように、連続管ガラスG1の内部におけるレーザ光Lの照射領域には、一又は複数のクラックを含む内部クラック領域C1が形成される。
連続管ガラスG1は、曲げ力が付与された状態で搬送されている。このため、内部クラック領域C1に含まれるクラックは、連続管ガラスG1に付与される応力によって、連続管ガラスG1の円周方向に進展する。図12において、クラックが進展する領域を「クラック進展領域」といい、符号C2a,C2bで示す。クラック進展領域C2a,C2bは、照射開始位置SP側から進展する第一クラック進展領域C2aと、照射終了位置EP側から進展する第二クラック進展領域C2bとからなる。
図12に示すように、第一クラック進展領域C2aと、第二クラック進展領域C2bとが、半径方向において内部クラック領域C1とは反対の合流位置CPに到達することで、連続管ガラスG1が切断される。
特開2013−159532号公報 特開2013−129546号公報 特開2017−7926号公報
特許文献3に開示される切断方法では、連続管ガラスG1の内部において単一のレーザ光Lを照射開始位置SPから照射終了位置EPまで一方向に走査する。この場合、内部クラック領域C1の範囲が短いため、第一クラック進展領域C2aと、第二クラック進展領域C2bとの進展方向にずれが生じ、図13に示すように、照射開始位置SP側から進行する第一クラック進展領域C2aと、照射終了位置EP側から進行する第二クラック進展領域C2bとが合流位置CPにおいて一致しない場合があった。したがって、この方法では、連続管ガラスG1の切断面に、各クラック進展領域C2a,C2bの不一致による凹凸(段差)が生じることとなり、製造される管ガラスの端面品位の低下を招くおそれがあった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、切断工程における管ガラスの切断面の品位を向上させることを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、切断工程を備える、管ガラスの製造方法において、前記切断工程は、前記管ガラスの内部に焦点を合わせて複数のレーザ光を照射開始位置から走査し、多光子吸収によるクラックを形成するレーザ照射工程と、前記クラックが前記管ガラスの円周方向に進展するように前記管ガラスに応力を付与する応力付与工程と、を備え、前記レーザ照射工程では、前記複数のレーザ光における前記照射開始位置が前記管ガラスの前記円周方向において異なる位置に設定されることを特徴とする。
上記のように、本発明では管ガラスの内部に対して複数のレーザ光を照射する。この場合において、各レーザ光の照射開始位置を異ならせ、当該照射開始位置から各レーザ光を走査することで、管ガラスの内部において多光子吸収によるクラックを広範囲に形成できる。広範囲に形成されたクラックを応力付与工程により進展させることで、各クラックの進展方向のずれを可及的に小さくできる。これにより、切断工程後における管ガラスの端面(切断面)に過大な段差が発生することを防止でき、当該端面を高品位なものにできる。
前記レーザ照射工程では、前記複数のレーザ光の各々の走査範囲は、前記管ガラスの前記円周方向において離間して設定されることが望ましい。各レーザ光の走査範囲が重複している場合、当該重複部分に多光子吸収によるクラックが集中的に形成されることになり、当該重複部分からの円周方向及び半径方向へのクラックの進展度合いが他の部分(非重複部分)のクラックの進展度合いと比較して速くなることが考えられる。このため、クラックの進展の不均衡を可及的に低減するために、各照射開始位置は勿論のこと、各レーザ光の各走査範囲は、離間されることが望ましい。
また、前記レーザ照射工程では、前記複数のレーザ光の各々の走査範囲は、前記管ガラスの中心に対して点対称に設定されることが望ましい。複数のレーザ光を管ガラスの中心に対して対称的に走査することで、各走査範囲に発生したクラックを管ガラスの円周方向に均等に進展させることが可能になる。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、端面に複数のレーザ照射痕を有する管ガラスであって、前記端面の円周方向における前記複数のレーザ照射痕の長さの和が、前記端面の円周長さの30%以上95%以下であることを特徴とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、端面に複数のレーザ照射痕を有する管ガラスであって、前記複数のレーザ照射痕は、前記端面の円周方向に離間して形成されることを特徴とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、端面に複数のレーザ照射痕を有する管ガラスであって、前記端面の最大段差が500μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、切断工程における管ガラスの切断面の品位を向上させることが可能になる。
製造装置の側面図である。 切断装置の側面図である。 内部クラック領域形成装置の正面図である。 レーザ光の照射態様を示す連続管ガラスの斜視図である。 レーザ光の照射態様を示す連続管ガラスの平面図である。 照射開始位置からのレーザ光の走査態様を示す連続管ガラスの断面図である。 照射終了位置までレーザ光を照射した場合における連続管ガラスの断面図である。 クラックが進展する過程を示す連続管ガラスの断面図である。 図8のIX−IX線断面図である。 切断工程終了時における管ガラスの断面図である。 管ガラスの従来の製造方法を示す連続管ガラスの斜視図である。 管ガラスの従来の製造方法を示す連続管ガラスの断面図である。 図12のXIII−XIII線断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1乃至図10は、本発明に係る管ガラスの製造方法及び製造装置の一実施形態を示す。
図1に示すように、製造装置1は、ダンナー法によって連続管ガラスG1を成形し、この連続管ガラスG1を切断して所定長さの管ガラスG2を製造する。
製造装置1は、ガラス溶融炉2と、スリーブ3と、スリーブ3を回転駆動する駆動装置4と、スリーブ3を収容するマッフル炉5と、アニーラ6と、連続管ガラスG1を管引き成形する管引き装置7と、連続管ガラスG1を切断する切断装置8と、連続管ガラスG1を切断して得た管ガラスG2を搬送する搬送装置9とを主に備える。
なお、本実施形態において、XYZ座標系は固定側の座標系であり、本実施形態では、X軸及びY軸を含む平面を水平面、Z軸に沿った方向を鉛直方向(Z軸の正の側を天、負の側を地)としている。また、xyz座標系は移動側の座標系(連続管ガラスG1上の座標系)であり、固定側のXYZ座標系と同じく、x軸及びy軸を含む平面を水平面、z軸に沿った方向を鉛直方向としている。
ガラス溶融炉2は、ガラス原料を溶融して溶融ガラスMを生成する。ガラス溶融炉2は、溶融ガラスMを、マッフル炉5内のスリーブ3の上部に供給する。
スリーブ3は耐火物により円筒状に形成される。スリーブ3は部分的にテーパ状をなし、テーパ状部分の小径側端部3aが斜め下方に向くように配置されている。スリーブ3は、シャフト10を介して駆動装置4と連結されている。駆動装置4は、スリーブ3を回転駆動させることで、当該スリーブ3上に供給された溶融ガラスMを円筒状に巻回して、小径側端部3aの側から管状に引出し成形する。
マッフル炉5は、ガラス溶融炉2の下方に配置される。マッフル炉5は耐火物により構成される。そして、スリーブ3は、マッフル炉5内に収容される。アニーラ6は、マッフル炉5の下流側に配置される。アニーラ6は、管状に引出し成形された溶融ガラスMを徐冷する。管状に成形された溶融ガラスMは、アニーラ6を通過することにより、連続管ガラスG1となる。
管引き装置7は、アニーラ6の下流側に配置される。管引き装置7は、アニーラ6を通過した連続管ガラスG1を一定の速度で牽引し、切断装置8に向けて搬送する。管引き装置7は、図示しない一対の搬送ベルトで連続管ガラスG1の上部と下部とを挟持しつつ下流方向へ牽引して管引きすることで、所定の外径寸法に整えられた連続管ガラスG1を切断装置8に供給する。
切断装置8は、連続管ガラスG1を切断して、所定の長さ寸法を有する管ガラスG2を形成する。なお、本実施形態における管ガラスG2の厚みは、例えば0.5〜2.0mmとされるが、この範囲に限定されるものではない。
図1乃至図3に示すように、切断装置8は、連続管ガラスG1の内部にクラックを発生させる複数の内部クラック領域形成装置11a〜11dと、内部クラック領域形成装置11a〜11dによって形成されたクラックを進展させるクラック進展装置12と、連続管ガラスG1を支持する支持部13とを備える。
各内部クラック領域形成装置11a〜11dは、連続管ガラスG1の円周方向の一部に、後述する図6に示すような一又は複数のクラックを含む内部クラック領域C1a〜C1dを形成する。
本実施形態では、四台の内部クラック領域形成装置11a〜11dを備える切断装置8を例示するが、内部クラック領域形成装置11a〜11dの数は、これに限定されるものではない。内部クラック領域形成装置11a〜11dは、連続管ガラスG1の周囲に配置される、第一内部クラック領域形成装置11a、第二内部クラック領域形成装置11b、第三内部クラック領域形成装置11c、及び第四内部クラック領域形成装置11dを含む。
各内部クラック領域形成装置11a〜11dは、レーザ発振器(第一レーザ発振器乃至第四レーザ発振器)14a〜14dと、出力調整部(第一出力調整部乃至第四出力調整部)15a〜15dと、スキャナ(第一スキャナ乃至第四スキャナ)16a〜16dとを個別に備える。
各レーザ発振器14a〜14dは、所定のパルス幅を有するレーザ光L1〜L4(例えばピコ秒パルスレーザ光又はサブピコ秒パルスレーザ光)を出力調整部15a〜15dに向かって放射する。本実施形態において、各レーザ発振器14a〜14dは、例えばグリーンレーザ光を放出するが、レーザ光L1〜L4の種別はこれに限定されない。
各出力調整部15a〜15dは、例えばアッテネータ(光減衰器)により構成されており、各レーザ光L1〜L4の出力条件が同一となるように調整する機能を有する。
各スキャナ16a〜16dは、各出力調整部15a〜15dを経由して入射した各レーザ光L1〜L4を連続管ガラスG1に対して走査する。各スキャナ16a〜16dは、例えばガルバノスキャナにより構成されるが、この構成に限定されるものではない。
クラック進展装置12は、内部クラック領域C1a〜C1d中のクラックが進展するのを助長する応力を連続管ガラスG1に発生させて、当該クラックを連続管ガラスG1の全周にわたって進展させる。
図2に示すように、クラック進展装置12は、曲げ力付与部17を備える。曲げ力付与部17は、連続管ガラスG1の上下方向における上部及び下部を挟持する複数のローラ18を含む。複数のローラ18による連続管ガラスG1の支持(挟持)位置は、連続管ガラスG1の中心軸線X1が下流側に向かうにつれて所定の曲率で湾曲するように設定されている。
支持部13は、連続管ガラスG1の長手方向に沿って所定の間隔で配置される複数のローラ又はローラ対により構成される(図1参照)。支持部13は、アニーラ6から引出された連続管ガラスG1を、搬送方向(X軸方向)の下流側へと案内する。なお、図2では、支持部13の記載を省略している。
搬送装置9は、ベルトコンベア又はローラコンベアにより構成されるが、この構成に限定されるものではない。搬送装置9は、連続管ガラスG1の搬送方向(X軸方向)と交差する方向(例えばY軸方向)に沿って管ガラスG2を搬送する。
以下、上記構成の製造装置1を使用して管ガラスG2を製造する方法について説明する。
まず、図1に示すように、ガラス溶融炉2で生成された溶融ガラスMが、マッフル炉5内の、回転駆動されているスリーブ3上に供給される。溶融ガラスMは、スリーブ3により管状に構成された後、アニーラ6で徐冷され、連続管ガラスG1となってアニーラ6から引出される。連続管ガラスG1は、管引き装置7を経由して切断装置8に送られる。その後、切断装置8により、連続管ガラスG1を切断して管ガラスG2を形成する切断工程が実行される。
切断工程では、連続管ガラスG1は、曲げ力付与部17に係る複数のローラ18間を通過する。このとき、連続管ガラスG1には、曲げ力が付与される。連続管ガラスG1は、図2における上側が凸となるように、所定の曲率で湾曲する。以上により、連続管ガラスG1には、曲げ応力が付与される。
上記のように連続管ガラスG1に曲げ応力が付与された状態で、内部クラック領域形成装置11a〜11dによるレーザ照射工程が実行される。レーザ照射工程では、各レーザ発振器14a〜14dから放出された各レーザ光L1〜L4は、各出力調整部15a〜15dによって、同一の出力条件(パルス幅、出力)に調整された後、各スキャナ16a〜16dに入射する。
各スキャナ16a〜16dは、連続管ガラスG1の内部に設定される照射開始位置SP1〜SP4に各焦点F1〜F4が合うにように、連続管ガラスG1に向かって各レーザ光L1〜L4を照射する。
各スキャナ16a〜16dは、連続管ガラスG1の内部において、照射開始位置SP1〜SP4から円周方向に離れた位置に設定される照射終了位置EP1〜EP4に向かって各レーザ光L1〜L4を走査する。
図3は、各スキャナ16a〜16dによる各レーザ光L1〜L4の走査範囲を示す。
各レーザ光L1〜L4の走査範囲は、照射開始位置SP1〜SP4から照射終了位置EP1〜EP4までの範囲である。各レーザ光L1〜L4の各照射開始位置SP1〜SP4は、連続管ガラスG1の円周方向において異なる位置に設定される。本実施形態では、各照射開始位置SP1〜SP4は、連続管ガラスG1の円周方向に沿って等間隔となるように設定されている。同様に、各レーザ光L1〜L4の各照射終了位置EP1〜EP4は連続管ガラスG1の円周方向において異なる位置に設定される。各照射終了位置EP1〜EP4は、連続管ガラスG1の円周方向に沿って等間隔となるように設定されることが望ましい。
また、各レーザ光L1〜L4の各走査範囲は、連続管ガラスG1の中心(断面視における中心軸線X1)に対して点対称となるように設定されることが望ましい。すなわち、各照射開始位置SP1〜SP4から各照射終了位置EP1〜EP4までの距離は、相等しく設定されることが望ましい。また、各走査範囲は、相互に重複しないように連続管ガラスG1の円周方向において等間隔で離間されている。各レーザ光L1〜4Lの走査範囲が重複している場合、当該重複部分に多光子吸収によるクラックが集中的に形成されることになり、当該重複部分からのクラックの進展度合いが他の部分(非重複部分)のクラックの進展度合いと比較して速くなることが考えられる。このため、クラックの進展の不均衡を可及的に低減するために、各照射開始位置SP1〜SP4は勿論のこと、各レーザ光L1〜4Lの各走査範囲は、離間されることが望ましい。
図3に示すように、第一スキャナ16aによって走査される第一レーザ光L1は、照射開始位置SP1から照射終了位置EP1に向かって時計回りにその焦点F1を移動させる。第一レーザ光L1の焦点F1は、連続管ガラスG1の内部において、その円周方向に沿う円弧軌道を描くように走査される。
第二スキャナ16bによって走査される第二レーザ光L2は、第一レーザ光L1の照射終了位置EP1から離れた位置に設定される照射開始位置SP2にその焦点F2を合わせるように照射される。第二レーザ光L2の焦点F2は、照射開始位置SP2から照射終了位置EP2に向かって時計回りに円弧軌道を描くように走査される。
第三スキャナ16cによって走査される第三レーザ光L3は、第二レーザ光L2の照射終了位置EP2から離れた位置に設定される照射開始位置SP3にその焦点F3を合わせるように照射される。第三レーザ光L3の焦点F3は、照射開始位置SP3から照射終了位置EP3に向かって時計回りに円弧軌道を描くように走査される。
第四スキャナ16dによって走査される第四レーザ光L4は、第三レーザ光L3の照射終了位置EP3から離れた位置に設定される照射開始位置SP4に焦点F4を合わせるように照射される。第四レーザ光L4の焦点F4は、照射開始位置SP4から照射終了位置EP4に向かって時計回りに円弧軌道を描くように走査される。第四レーザ光L4の照射終了位置EP4は、第一レーザ光L1の照射開始位置SP1から離れた位置に設定されている。
図4は、移動する連続管ガラスG1を基準とする座標系(同図に示すxyz座標系)で見た場合における各レーザ光L1〜L4の走査軌跡を示す。各スキャナ16a〜16dは、連続管ガラスG1の中心軸線X1に直交する仮想断面X2に焦点F1〜F4が含まれるように、連続管ガラスG1の円周方向に沿って各レーザ光L1〜L4を走査できる。
図5は、固定側を基準とするXYZ座標系で見た場合における第一レーザ光L1及び第二レーザ光L2の走査軌跡を示す平面図である。同図に示すように、中心軸線X1に沿った搬送方向に沿って、連続管ガラスG1が所定距離dだけ移動する間に、第一レーザ光L1は、中心軸線X1に対して角度θ1を為す方向に沿って照射開始位置SP1から照射終了位置EP1へと走査される。同様に、第二レーザ光L2は、中心軸線X1に対して角度θ2を為す方向に沿って照射開始位置SP2から照射終了位置EP2へと走査される。第一レーザ光L1の角度θ1と第二レーザ光L2の角度θ2とは等しく設定されることが望ましい。図示していないが、第三レーザ光L3及び第四レーザ光L4についても、第一レーザ光L1の角度θ1及び第二レーザ光L2の角度θ2と等しい角度で、照射開始位置SP3,SP4から照射終了位置EP3,EP4へと走査される。
各レーザ光L1〜L4を照射した領域には、多光子吸収により、一又は複数のクラックが含まれる内部クラック領域(第一内部クラック領域乃至第四内部クラック領域)C1a〜C1dが形成される。図6に示すように、各内部クラック領域C1a〜C1dは、各レーザ光L1〜L4に走査方向に沿って、連続管ガラスG1の円周方向において同じ方向(時計回り)に進行する。
図7に示すように、各焦点F1〜F4が照射終了位置EP1〜EP4まで移動すると、内部クラック領域形成装置11a〜11dは、各レーザ光L1〜L4の照射を終了する。連続管ガラスG1の内部には、所定長さを有する複数の内部クラック領域C1a〜C1dが円周方向に離間して帯状又は線状に形成される。この場合において、連続管ガラスG1の円周方向における各内部クラック領域C1a〜C1dの長さは相等しくなることが望ましい。
さらに、切断工程では、連続管ガラスG1の内部に作用する応力の作用により、内部クラック領域C1a〜C1d中のクラックが円周方向及び半径方向に進展する。以下、各内部クラック領域C1a〜C1dから進展するクラックの領域C2a〜C2dを「クラック進展領域」(第一クラック進展領域乃至第四クラック進展領域)という。
図8に示すように、各クラック進展領域C2a〜C2dは、円周方向に沿って同じ速度で拡大し続ける。最終的に、各クラック進展領域C2a〜C2dは、各内部クラック領域C1a〜C1dの間に設定される各合流位置CPに同時に到達する。このとき、図9に示すように、各合流位置CPにおいて、第一クラック進展領域C2aと、第二クラック進展領域C2bとは、連続管ガラスG1の長手方向における位置ずれを生じることなく一致し、或いは位置ずれを可及的に小さくした状態で合流できる。同様に、第二クラック進展領域C2bと第三クラック進展領域C2c、第三クラック進展領域C2cと第四クラック進展領域C2d、及び第四クラック進展領域C2dと第一クラック進展領域C2aに関しても、各合流位置CPにおいて位置ずれを生じることなく一致し、或いは位置ずれを可及的に小さくした状態で合流できる。
図10に示すように、各クラック進展領域C2a〜C2dが相互に繋がり、連結クラックC2となると、連続管ガラスG1が切断される。この切断により、所定長さを有する管ガラスG2が形成される。製造された管ガラスG2は、搬送装置9によって所定の方向に順次搬送される(搬送工程)。
製造された管ガラスG2の端面には、内部クラック領域C1a〜C1dが、複数のレーザ照射痕IM1〜IM4(図10参照)として残存することとなる。複数のレーザ照射痕IM1〜IM4は、管ガラスG2の端面の円周方向において重ならないように相互に等間隔で離れた位置に形成されている。この場合において、管ガラスG2に係る端面の円周方向における複数のレーザ照射痕の長さ(円弧の長さ)の和は、管ガラスG2の端面(外周面)の円周長さの30〜95%であることが好ましく、より好ましくは、50〜90%である。
以上説明した本実施形態に係る管ガラスG2の製造方法によれば、レーザ照射工程において、複数のレーザ光L1〜L4の照射開始位置SP1〜SP4を、連続管ガラスG1の円周方向において異なる位置(相互に離間した位置)に設定し、各照射開始位置SP1〜SP4から各レーザ光L1〜L4を走査することで、連続管ガラスG1の内部に複数の内部クラック領域C1a〜C1dを形成できる。内部クラック領域C1a〜C1dは、同一平面上(仮想断面X2上)に形成され、これら内部クラック領域C1a〜C1d間の距離は、単一レーザ光で走査して形成された内部クラック領域の両端間の距離よりも短いことから、各クラックが連続管ガラスG1の円周方向に進展する場合に、進展の方向を規制するガイド部として機能する。したがって、各内部クラック領域C1a〜C1dを連続管ガラスG1の内部において広範囲に形成することで、各クラック進展領域C2a〜C2dにおけるクラックの進展の方向を安定させ、かつクラックの進展度合いを均等化できる。しかも、単一のレーザ光を走査する場合と比較して、連続管ガラスG1に付与する応力を可及的に低下させて切断工程を実行できる。
本実施形態のようにクラック進展領域C2a〜C2dを均等に進展させて形成された連続管ガラスG1の切断面は、大きな段差が形成されることのない高品位なものとなる。具体的には、管ガラスG2の端面の最大凹凸(最大段差)を、500μm以下にすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、連続管ガラスG1を切断して管ガラスG2を製造する方法を例示したが、これに限らず、本発明は、所定の長さの管ガラスを切断して、複数の管ガラスを製造する場合にも適用できる。
上記の実施形態では、複数のレーザ光L1〜L4の走査範囲が重ならないように離間させていたが、本発明はこれに限定されず、各レーザ光L1〜L4の走査範囲が相互に重なるように設定されてもよい。すなわち、例えば第一レーザ光L1の照射終了位置EP1を、第二レーザ光L2の照射開始位置SP2に一致させてもよい。
上記の実施形態では、複数の内部クラック領域形成装置11a〜11dがレーザ発振器14a〜14dを個別に備えた切断装置8を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば一台のレーザ発振器から放出されたレーザ光をスプリッタにより分光し、分光した複数のレーザ光を複数のスキャナによって連続管ガラスG1の内部に照射してもよい。
上記の実施形態では、各レーザ光L1〜L4の各焦点F1〜F4が円弧軌道を描くように走査される例を示したが、これに限らず、各焦点F1〜F4は、直線軌道を描くように走査されてもよい。
上記の実施形態では、切断工程において、複数のレーザ光L1〜L4を同一の方向(時計回り)に走査させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数のレーザ光L1〜L4のうち、一部のレーザ光を連続管ガラスG1の円周方向において時計回りに走査し、他のレーザ光を反時計回りに走査してもよい。
F1 焦点
F2 焦点
F3 焦点
F4 焦点
G1 連続管ガラス
G2 管ガラス
IM1 レーザ照射痕
IM2 レーザ照射痕
IM3 レーザ照射痕
IM4 レーザ照射痕
L1 第一レーザ光
L2 第二レーザ光
L3 第三レーザ光
L4 第四レーザ光
SP1 照射開始位置
SP2 照射開始位置
SP3 照射開始位置
SP4 照射開始位置
X1 連続管ガラスの中心軸線(中心)

Claims (6)

  1. 切断工程を備える、管ガラスの製造方法において、
    前記切断工程は、前記管ガラスの内部に焦点を合わせて複数のレーザ光を照射開始位置から走査し、多光子吸収によるクラックを形成するレーザ照射工程と、前記クラックが前記管ガラスの円周方向に進展するように前記管ガラスに応力を付与する応力付与工程と、を備え、
    前記レーザ照射工程では、前記複数のレーザ光における前記照射開始位置が前記管ガラスの前記円周方向において異なる位置に設定されることを特徴とする管ガラスの製造方法。
  2. 前記レーザ照射工程では、前記複数のレーザ光の各々の走査範囲は、前記管ガラスの前記円周方向において離間して設定される請求項1に記載の管ガラスの製造方法。
  3. 前記レーザ照射工程では、前記複数のレーザ光の各々の走査範囲は、前記管ガラスの中心に対して点対称に設定される請求項1又は2に記載の管ガラスの製造方法。
  4. 端面に複数のレーザ照射痕を有する管ガラスであって、
    前記端面の円周方向における前記複数のレーザ照射痕の長さの和が、前記端面の円周長さの30%以上95%以下であることを特徴とする管ガラス。
  5. 端面に複数のレーザ照射痕を有する管ガラスであって、
    前記複数のレーザ照射痕は、前記端面の円周方向において離間して形成されることを特徴とする管ガラス。
  6. 端面に複数のレーザ照射痕を有する管ガラスであって、
    前記端面の最大段差が500μm以下であることを特徴とする管ガラス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024090021A1 (ja) * 2022-10-28 2024-05-02 ニプロ株式会社 管状体切断装置及び管状体切断方法

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