JP2019189187A - 走行軌道設計方法及び車両運動制御装置 - Google Patents

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山門 誠
Makoto Yamakado
山門  誠
狩野 芳郎
Yoshiro Kano
芳郎 狩野
正人 安部
Masato Abe
正人 安部
高橋絢也
Junya Takahashi
絢也 高橋
健太 前田
Kenta Maeda
健太 前田
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Abstract

【課題】従来の緩和曲線に、加減速を考慮するための解析的な考え方に基づく修正を加え、エキスパートドライバと同等な経路生成を行う。【解決手段】緩和曲線長を進む速度Vが小さくなるか、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が大きくなると、曲率κを大きい方向に変化させ、緩和曲線長を進む速度Vが大きくなるか、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が小さくなると、曲率κを大きい方向に変化させる。【選択図】図13

Description

本発明は、加減速を伴う走行に対する緩和曲線を設計する方法に関する。
近年自動運転の研究は活発化しており、スムーズなコーナリングが行えるように直線から曲線への接続のための緩和曲線に対して様々な経路生成法が提案されている。下記特許文献1においては、線形状の直線路と、円弧状の円弧曲線路と、前記直線路及び前記円弧曲線路間に存して緩やかに曲率が変化する緩和曲線路とを連ねてなる道路を走行する車両の運転技量を判定する運転技量判定装置であって、前記車両が前記道路を走行する際の走行距離及び旋回曲率を取得する取得部と、前記取得部により取得した旋回曲率を所定の走行区間において走行距離で積分する積分部と、前記積分部による積分値に基づいて前記車両の運転技量を判定する判定部と、を備えることを特徴とする運転技量判定装置が開示されている。
下記特許文献2においては、カーブ路における自車両の走行経路を生成する走行経路生成手段と、前記走行経路生成手段によって生成された走行経路を走行するように自車両を制御する車両制御手段と、を備えた運転支援装置において、自車両の横加速度の特性を前記カーブ路に対応した所定の2次以上の時間関数の横加速度特性で設定する横加速度特性設定手段を設け、前記走行経路生成手段は、前記設定された横加速度特性を積分することで、カーブ路における自車両の位置の時間的推移が5次以上の時間関数で表される曲線となるように前記走行経路を生成することを特徴とする運転支援装置が開示されている。
下記特許文献3においては、道路のカーブについて、曲率半径が時々刻々変化していくカーブ緩和曲線区間であるか曲率半径が変化しない真正カーブ区間であるかを判断する手段、カーブ緩和曲線がカーブ入口部であるときには先行車の曲率半径Rfの補正に用いる自車の曲率半径Rsを小さく補正し、カーブ出口部については、自車の曲率半径Rsをより大きく補正する手段を備えたことを特徴とする車線位置推定装置が開示されている。
特開2017−202725号公報 特開2015−114744号公報 特開2001−14597号公報
しかし、緩和曲線に対する様々な経路生成法は、車両が加減速を行わないことを前提としたクロソイド曲線のように、ドライバが自然に行う横方向の運動に連係した加減速が考慮されていない。したがって、この緩和曲線上で加減速を行った場合、乗り心地や、安全性の低下が懸念される。
加減速を考慮して経路生成を行う方法としては、実際に熟練ドライバが運転したときの運転操作、車両運動、車両座標を記憶しておき、それを読みだして再現するという考え方もある。しかしながら、あらゆるコースに対応するには莫大な数の詳細なデータが必要となる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エキスパートドライバと同等な経路生成と、安全性の向上と、乗り心地の向上などの効果を享受することができる走行軌道設計方法及び車両運動制御装置を得ることである。
上記課題を解決する本発明の走行軌道設計方法は、曲率半径小の円弧曲線Aと曲率半径大の円弧曲線Bを接続する緩和曲線の曲率κを、緩和曲線長を進む速度Vと、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)と、緩和曲線上を進んでいるときの加速度と、加速度の時間変化である加加速度とのいずれかに基づいて変化させる。具体的には、緩和曲線長を進む速度Vが小さくなるか、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が大きくなると、曲率κを大きい方向に変化させ、緩和曲線長を進む速度Vが大きくなるか、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が小さくなると、曲率κを大きい方向に変化させる。
本発明に係る走行軌道設計方法によれば、従来の緩和曲線に、加減速を考慮するための解析的な考え方に基づく修正を加え、エキスパートドライバと同等な経路生成、すなわち車両軌跡の定式化を行うことができる。また、この緩和曲線に従い自動運転車両を走行させることにより、エキスパートドライバと同様な安全性の向上と、乗り心地の向上などの効果を享受することができる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
緩和曲線を説明する図である。 弧長パラメータと曲率の関係を示す図である。 コーナー進入からの時間と曲率の関係を(a)一定速度の場合と(b)加減速を有する場合を比較して示した図である。 G-Vectoring制御(GVC)を適用した具体的な走行例を説明する図である。 操舵角、横加速度、横加加速度、式1を用いて計算した加減速指令、四輪の制動力、駆動力について時刻暦波形として示した図である。 減速しながらコーナー進入をした時の様態を示す図である。 横加速度に対する速度低下をG-Vectoring制御(GVC)ゲインCxyをパラメータとして示すグラフである。 同じ横加速度に対する速度低下が、どのような経路を通っても同じ値となることを示す図である。 クロソイド曲線走行時の計算条件を示す図である。 クロソイド曲線を一定速度で走行する場合とGVCを適用しクロソイド曲線を修正した曲線を走行する場合との曲率、車速、ヨーレイト、横加速度、横加加速度、前後加速度の時間変化、”g-g”ダイアグラム、車両軌跡を表す図である。 クロソイド曲線を一定速度で走る場合とGVCを適用しクロソイド曲線を修正した曲線を走行する場合との弧長パラメータに対する曲率変化を示した図である。 サイン半波長逓減曲線走行時の計算条件を示す図である。 サイン半波長逓減曲線を一定速度で走行する場合とGVCを適用しサイン半波長逓減曲線を修正した曲線を走行する場合との曲率、車速、ヨーレイト、横加速度、横加加速度、前後加速度の時間変化、”g-g”ダイアグラム、車両軌跡を表す図である。 サイン半波長逓減曲線を一定速度で走る場合とGVCを適用しサイン半波長逓減曲線を修正した曲線を走行する場合との弧長パラメータに対する曲率変化を示した図である。 本発明の緩和曲線設計法で設計された緩和曲線の利用方法を示す図である。 エキスパートドライバによる実験のコース概略図を示す図である。 エキスパートドライバを模擬するための計算条件を示す図である。 時速60km/hにおけるエキスパートドライバの運転と本発明による計算結果を比較する図である。 時速70km/hにおけるエキスパートドライバの運転と本発明による計算結果を比較する図である。 本発明の軌道生成方法を用いた車両運動制御装置を搭載した車両の構成図である。 第2実施形態における車両運動制御装置の構成図である。 第2実施形態の車両運動制御装置における演算フローチャートである。 自車両前方のコース形状を座標上の位置に変換した図である。 第3実施形態における車両運動制御装置の構成図である。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る車両運動制御装置の実施形態を説明するに先立ち、本発明の理解が容易になるよう、(1)緩和曲線と加減速、(2)横運動に連係した前後運動制御(G−Vectoring制御)の概要について説明する。
以下の説明においては、車両の重心点を原点とし、車両の前後方向をx、それに直角な方向(車両の横(左右)方向)をyとした場合、x方向の加速度を前後加速度、y方向の加速度を横加速度とする。前後加速度は、車両前方向を正、すなわち車両が前方向に対して進行している際、その速度を増加させる前後加速度を正とする。横加速度は、車両が前方向に対して進行している際、左回り(反時計回り)旋回時に発生する横加速度を正とし、逆方向を負とする。左回りの旋回半径を正とし、その逆数を車両走行曲率とする。同様に、目標軌道に関しても、左回りの旋回半径を正とし、その逆数を目標軌道曲率とする。
(1)緩和曲線と加減速
直線区間から曲線区間へ直接移行すると、走行する車両が急激なハンドル操作を要求されたり、突然大きな遠心力(or 横加速度)が作用するなど、乗り心地や安全性に悪影響を与える。とりわけ曲率半径の小さな急曲線への突然の移行は影響が大きい。図1に緩和曲線の例を示す。この例では直線区間から半径ρ=250mの円弧区間に接続する例を示している。
直線区間では半径ρは∞(無限大長)と見なすことができる。そして、緩和曲線区間を辿っていくにつれ漸次半径が減少し、円弧区間のρ=250mに向けて徐々に逓減していく。半径の逆数を曲率といい、通常κ(カッパ)という記号であらわす(数式(1))。
半径が徐々に減少するので、緩和曲線を辿っていくと曲率は増加していくことになる。道路設計や鉄道の線路設計においては、曲率κは単位長さを表す弧長パラメータsで表現される。図2は緩和曲線の曲率が弧長パラメータsに従い増加していく様態を示している。
図2では緩和曲線長sT進む間に曲率が0.004(=1/250)となっている。図2中の2本の緩和曲線はそれぞれ、クロソイド曲線とサイン半波長逓減曲線(半径は逓減する)を示している。
(クロソイド曲線)
クロソイド曲線は、弧長パラメータに対して直線的に曲率が増加するので、クロソイド係数をCとすると、
と表せる。クロソイド曲線は、「車両が一定速度での走行中に一定の速度でハンドルを操作したときの軌跡に相当する」ことが知られている。
(サイン半波長逓減曲線)
サイン半波長逓減曲線は、弧長パラメータに対して半波長の正弦波状の形状で曲率が増加するので、緩和曲線長をXとし、最終的に半径Rの円弧に接続すると以下のように表せる。
さて、図3に図2のような緩和曲線長sTの緩和曲線を(a)車両速度が一定(V=V0)の場合と、(b)車両が減速をしながら通過した場合(V=V(t))の、時間と速度、弧長パラメータの関係および横軸を時間軸とした場合の曲率変化を示す。
(a)の速度一定で走行する場合には、V0×tTVC=sTを満たすtTVC後に定常旋回を迎える。このときの車両横加速度GyVCは、
となる。したがって、緩和曲線走行中の平均車両横加加速度は、
となり、最終的な旋回曲率κを緩和曲線長sTで除したものを係数とし、初速度V0の3乗に乗算したものとなる。係数は道路形状設計時に決定されたとおりのものである。特に、クロソイド曲線の場合、常に横加加速度が一定となる。
これに対して(b)のように速度を変化させながら走行すると、
となる。速度低下ΔVの分だけ、横加速度が低下する。このため横加速度は当然小さくなる。また、緩和曲線走行中の平均車両横加加速度は、
ここで、緩和曲線長緩和曲線長sTだけ進むための時間tTVVは、
を満たす値で、当然、
となる。減速が無い場合に比べて横加速度、横加加速度とも低減されることがわかる。また、クロソイド曲線を走行したとしても速度が刻一刻変わるため横加加速度は、一定とはならず、減速の様態によって複雑に変化し、乗り心地の悪化が懸念される。
以上のように、減速をするとクロソイド曲線、あるいはサイン半波長逓減曲線などは、当初の狙い通りの乗り心地の確保が困難となる。しかしながら、横加速度、横加加速度の絶対値は、速度一定に比べて低減される。
逆に言うと、速度が低下すると曲率を大きくなるように修正し、速度が上昇すると曲率を小さくなるように修正することにより、絶対値の低下を実現しながら、乗り心地のよい軌道を実現できる可能性がある。このような発見した課題と、対策の考案が本発明の骨子である。
本発明の経路生成は、道路設計など絶対座標系に固定された幾何学的なものに対してのものではない。すなわちA地点からB地点までの移動のようなマクロな経路ではない。自動運転のように道路幅の中である程度の自由度を持った状態で、どのようなラインで走行を行うかというためのものである(地点移動としては同じ位置に着くが、そこに至る微妙な経路が違う)。
自動運転のための経路として、上述のような横加速度、横加加速度の絶対値の低減というメリットを生かしつつ、かつ乗り心地が良い経路を作成するために、(任意の減速度ではなく)横運動に連係した加減速動作を考慮に入れた新たな緩和曲線について開示していく。
(2)横運動に連係した前後運動制御:G−Vectoring
G−Vectoringは、ハンドル操作による横運動に連係して自動的に加減速することにより、前輪と後輪の間に荷重移動を発生させて車両の操縦性と安定性の向上を図る方法である。下記数式(10)に示すように、加減速指令値(前後加速度指令値Gxc)は、基本的に横加加速度Gy_dotにゲインCxyを掛け、一次遅れを付与した値とする。数式(10)において、Gy:車両横加速度、Gy_dot:車両横加加速度、Cxy:ゲイン、T:一次遅れ時定数、s:ラプラス演算子、Gx_DC:横運動に連係しない加減速度指令である。G−Vectoringにより、エキスパートドライバの横と前後運動の連係制御ストラテジの一部を模擬することができ、車両の操縦性、安定性の向上が実現できることが確認されている。
Gx_DCは、横運動に連係していない減速度成分(オフセット)であり、前方にコーナーがある場合の予見的な減速、あるいは区間速度指令がある場合に必要となる項である。sgn(シグナム)項は、右コーナーと左コーナーの両方に対して上記の動作が得られるように設けた項である。具体的には、操舵開始のターンイン時に減速し、定常旋回になると(横加加速度がゼロとなるので)減速を停止し、操舵戻し開始のコーナー脱出時に加速する動作が実現できる。
数式(10)にしたがって車両を制御した場合、横軸に車両の前後加速度、縦軸に車両の横加速度をとるダイアグラムにおいて前後加速度と横加速度の合成加速度(Gと表記)を表記すると、時間の経過とともに曲線的な遷移をする(Vectoring)。したがって本制御手法は、「G−Vectoring制御」と呼ばれている。
図4は、G−Vectoring制御を適用した具体的な走行例を説明する図である。ここでは、コーナーへの進入と脱出をともなう一般的な走行シーンを想定している。図4に示す走行軌道は、直進路A、過渡区間B、定常旋回区間C、過渡区間D、直進区間Eを含む。図4において、ドライバは加減速操作をしないものとする。
図5は、操舵角、横加速度、横加加速度、数式(10)を用いて計算した加減速指令、四輪の制動力、駆動力について時刻暦波形として示した図である。後で詳細に説明するが、前外輪と前内輪、後外輪と後内輪は、左右(内外)それぞれ同じ値と成るように制動力、駆動力が配分されている。制駆動力とは各輪の車両前後方向に発生する力の総称である。制動力は車両を減速する向きの力であり、駆動力は車両を加速する向きの力と定義する。図4と図5においては、車両左旋回時に発生する横加速度Gyを正とし、車両前方進行方向の前後加速度Gxを正としている。また各車輪に発生する力は、駆動力を正、制動力を負としている。
まず直進路区間Aから車両がコーナーに進入する。過渡区間B(点1〜点3)においては、ドライバが徐々に操舵を切り増すにしたがって、車両の横加速度Gyが増加していく。横加加速度Gy_dotは、点2近辺の横加速度が増加している間、正の値をとることになる(横加速度増加が終了する3の時点ではゼロに戻る)。このとき、式1より、車両には横加速度Gyの増加にともなって減速指令が発生する(Gxcは負)。これにともない、前外、前内、後外、後内の各輪に対して、略同じ大きさの制動力(マイナス符号)が加わることになる。
車両が定常旋回区間C(点3〜点5)に入ると、ドライバは操舵の切り増しを止め、操舵角を一定に保つ。このとき、横加加速度Gy_dotは0となるので、前後加速度指令値Gxcは0となる。よって、各車輪の制動力、駆動力もゼロとなる。
過渡区間D(点5〜7)では、ドライバの操舵の切り戻し操作によって車両の横加速度Gyが減少していく。このとき車両の横加加速度Gy_dotは負であり、式1より車両には正の前後加速度指令値Gxc(加速指令)が発生する。これにともない、前外、前内、後外、後内の各輪に対して、略同じ大きさの駆動力(プラス符号)が加わることになる。
直進区間Eにおいては、横加加速度Gyが0となり横加加速度Gy_dotもゼロとなるので、加減速制御は実施されない。
以上のように、車両は操舵開始のターンイン時(点1)からクリッピングポイント(点3)にかけて減速し、定常円旋回中(点3〜点5)には減速を止め、操舵切戻し開始時(点5)からコーナー脱出時(点7)には加速する。このように、車両にG−Vectoring制御を適用すれば、ドライバは旋回のための操舵をするだけで、横運動に連係した加減速運動を実現することができる。
前後加速度を横軸、横加速度を縦軸にとり、図4〜図5において車両に発生している加速度様態をダイアグラム(“g−g”ダイヤグラム)に表すと、滑らかな曲線状(円を描くよう)に遷移する特徴的な運動になる。本発明の加減速指令は、このダイアグラムにおいて、時間の経過とともに曲線的な遷移をするように生成される。この曲線状の遷移は、左コーナーについては図4に示すように時計回りの遷移となり、右コーナーについてはこれをGx軸について反転した遷移経路となり、その遷移方向は半時計回りとなる。このように遷移することにより、前後加速度により車両に発生するピッチング運動と、横加速度により発生するロール運動が好適に連係し、ロールレイトとピッチレイトのピーク値が低減される。
この制御は、数式(10)に示すとおり、一次遅れ項と左右の運動に対する符号関数を省略して考えると、車両横加加速度にゲインCxyを掛け合わせた値を前後加速度指令としている。したがって、ゲインCxyを大きくすることにより、横加加速度が同一であっても、減速度あるいは加速度を大きくすることができる。
(3)GVCを適用した車両の旋回様態
GVCの原理上、初速度と横運動が発生した状態での速度差が横加速度に比例するという特性を持っている。図6に示すように、直進走行から旋回半径Rcの定常旋回へ移行する間の緩和区間Bの減速を考える。直進中の車両が、時刻t1に速度V1で旋回を開始し、G-Vectoring制御によって減速する。定常旋回に達した時刻t2のとき、速度がV2まで低下し、横加速度はGy2まで増加したとする。ここでは、簡単のため、左旋回を前提とし、また数式(10)の1次遅れの項を省略して、次式によって前後加速度指令値を求めることとする。
まず減速前後で変化する速度差ΔV( = V1 - V2 )を調べることにする。前後加速度指令値Gxcを忠実に制御できたと仮定し、またタイヤの転がり抵抗や空気抵抗などの走行抵抗による加速度を無視すれば、緩和区間前後の速度差ΔVは、次式のように前後加速度指令値Gxcの時間積分から求めることができる。
旋回始時t = t1の横加速度Gy1はゼロであるから、速度差ΔVは次式のように導出され、「ゲインCxyと定常旋回の横加速度Gy2の積」というシンプルな形で定式化できる。
定常横加速度Gy2とゲインCxyに対する速度差ΔVの変化を図7に示す。減速制御によって低下する速度ΔVは、横加速度Gy2とゲインCxyに比例することが分かる。数式(11)と図7は、速度差ΔVが減速中の走行軌跡や旋回半径Rcなどに依存しないことも示している。例えば図8に示すように、ゲインCxy = 0.5で制御され、定常時の横加速度がGy2 = 3m/s2に収束するような旋回であれば、図6で例示する全条件で速度差ΔVが一律1.5m/sとなる。
ただし、数式(10)は走行抵抗を考慮していないため、トータルの速度差については走行抵抗による減速分を加算する必要がある。また、数式(9)において1次遅れ要素を省略した影響についても、微小のため実用上は問題が少ない。
さて、時刻t2のときの曲率をκ(t2)、このときの速度をV(t2)=V1-ΔV(t2) 、ヨーレイトをr(t2)とし、微小な横すべり角変化を無視すると、数式(11)を適用して、
となる。初速度V1、GVCゲインCxy、 GVC走行時のヨーレイトr(t2)が決まると、GVC走行時の速度V(t2)が決まる。また、良く知られているように、このときは以下の関係がある。
数式(14)と(15)により、GVCを適用した車両においては、緩和曲線上のある通過点の瞬間的な曲率κと通過車両速度Vとヨーレイトrの3つの変数間に、2つの拘束条件をもたせることができる。
(4)GVCを適用した車両に対する経路設計
数式(14)、(15)の関係に加え、例えば時間関数としての曲率κ0(t)を決定することを考えてみる。いま、クロソイド曲線について、数式(2)を参考にして、V1速度一定でこの緩和曲線を通過するとしてクロソイド係数をCとすると、
となり、同様にサイン半波長逓減曲線について式(3)を参考にすると、数式(3A)のようになる。
これらの曲線を汎用的な表記κ0(t)とすると、それに従ってGVC適用車両の通過車両速度VGVC(t)とヨーレイトrGVC(t)を決めることができる。
とすると、符号に注意して
この式からCxyとκ0(t)がゼロではないという条件下で、VGVC(t)、rGVC(t)を求めると、
となる。よって、GVCを適用した車両の絶対座標系での目標経路X、Yを数式(20)、(21)を用いて決定することができる。
ただしX0、Y0は初期位置で、θGVC(t)は、初期ヨー角をθ0としたヨー角であり、数式(22)で計算できる。
本実施例では、曲率の時間変化を一定速度で種々の緩和曲線を辿るという条件での曲率時間変化に合致させるという条件で目標経路(GVCを適用した車両の緩和曲線)を設計したが、数式(14)、(15)に対して、ヨーレイトの時間変化を合わせる、あるいは横加速度を合わせるなどしても、同等なロジックで目標経路を計算することができる。
目標経路X、Yから離散的に曲率を求めるためには、離散サンプリングΔt毎のXY平面上の座標(XGVC[i]、YGVC[i])に対し、
として、X方向、Y方向の移動速度(X’[i]、Y’[i])、移動加速度(X’’[i]、Y’’[i])を算出し、各時間の瞬時経路曲率κ[i]を求めることができる。
以上のように、従来の公知例においては直線から曲率半径Rへと進入するための緩和曲線の曲率κは、数式(2)、(3)に示すように、弧長パラメータs、乃至または緩和曲線長Xに基づき、速度一定を前提として幾何学的に設計されているのに対し、本発明においては、緩和曲線のXY座標、あるいは曲率が、横運動に連係した加減速に基づいて緩和曲線上を辿る速度、加速度に基づいて変化する、動的な緩和曲線の設計方法と特徴づけることができる。また前後加速度を横加加速度に基づいて作成、速度変化させることで、加加速度に基づいた緩和曲線の設計をすることができる。
本実施形態における走行軌道設計方法は、加減速を伴う走行に対する緩和曲線の走行軌道を設計する走行軌道設計方法であって、曲率半径小の円弧曲線Aと曲率半径大の円弧曲線Bを接続する緩和曲線の曲率κを、緩和曲線長を進む速度Vと、単位緩和曲線長s進むのに要する時間tと、緩和曲線上を進んでいるときの加速度と、加速度の時間変化である加加速度とのいずれかに基づいて変化させることを特徴としている。
例えば、緩和曲線長を進む速度Vが小さくなるか、または、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が大きくなるに応じて、緩和曲線の曲率κを大きい方向に変化させる。そして、緩和曲線長を進む速度Vが大きくなるか、または、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が小さくなるに応じて、緩和曲線の曲率κを小さい方向に変化させる。
また、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が緩和曲線の曲率κの絶対値の増加に応じて増加し、単位緩和曲線長s進むのに要する時間t(V=s/t)が緩和曲線の曲率κの絶対値の減少に応じて減少する。そして、緩和曲線長を進む速度Vが緩和曲線の曲率κの絶対値の増加に応じて減少し、緩和曲線長を進む速度Vが緩和曲線の曲率κの絶対値の減少に応じて増加する。
以下では、数式(16)〜(24)の関係式を用い、クロソイド曲線、サイン半波長逓減曲線を一定速度V1で走行した時のベースの時間関数κ0(t)として(式(2A)、式(3A)を利用)、 GVCを適用した場合の目標経路、またその時の運動を設計し、本発明の具体性を示す。
(ベースがクロソイド曲線の場合)
図9に示すパラメータに基づいて計算を実施した。図10内の曲率は横軸を時間とした曲率の時間変化を示す図である(一定速、GVCとも同じ時間関数)。また、その他のグラフは、一定速(20[m/s])で走行した状況(Const_V)と、初速度20[m/s]GVCを適用した車両の運動、軌跡状況である。一定速では5[s]で半径40[m]の定常円旋回を始め、緩和曲線長は20[m/s]×5[s]=100[m]となる。GVC適用でも5[s]で定常円旋回を始めるが、図11に示すように緩和長は約75[m]となり短縮される。また、GVC適用ではヨーレイト、横加速度ともに低減され、軌跡も内側に入ることが見て取れる。
一定速でクロソイド曲線上を走行した状況に比べると、GVCを適用し修正した修正クロソイド曲線を走行した状況では、車両速度が低下していき、これに伴い図11に示すように元々のクロソイド曲線の曲率(時間関数ではなく、弧長パラメータsに関しての曲率)を大きくなる方向に修正されていることがわかる。図11に示すように元々のクロソイド曲線の曲率が緩和曲線を50m進んだ地点で0.0125[1/m]であるのに対し、GVCを適用し修正した修正クロソイド曲線では、0.0154[1/m]となっている。
本実施例では省略するが、円弧からクロソイド曲線を緩和曲線として直線に戻る場合には、曲率の絶対値が減少していく。これに伴い数式(18)に従い車両速度が上昇していく。そして、同一点から曲率が減少する場合、元々のクロソイド曲線の曲率(時間関数ではなく、弧長パラメータsに関しての曲率)は小さくなる方向に修正される。
しかしながらクロソイド曲線を用いた場合、曲率の増加開始点(0[s])と増加終了点(5[s])では、曲率変化率がゼロではないため、横加加速度は不連続となり、GVCによる唐突な減速が発生することになる。
(ベースがサイン半波長逓減曲線の場合)
図12に示すパラメータに基づいて計算を実施した。結果を図13に示す。また、図14に示すように、GVC適用の緩和曲線長は約75[m]となり、未適用の緩和曲線長の約100[m]と比較してGVC適用の方が短縮される。また、GVC適用ではヨーレイト、横加速度ともに低減され、軌跡も内側に入ることが見て取れる。
一定速でサイン半波長逓減曲線上を走行した状況に比べると、GVCを適用し修正した修正サイン半波長逓減曲線を走行した状況では、車両速度が低下していき、これに伴い図11に示すように元々のクロソイド曲線の曲率(時間関数ではなく、弧長パラメータsに関しての曲率)を大きくなる方向に修正されていることがわかる。図11に示すように元々のサイン半波長逓減曲線の曲率が緩和曲線を50m進んだ地点で0.0125[1/m]であるのに対し、GVCを適用し修正したサイン半波長逓減曲線では、0.0157[1/m]となっている。
本実施例では省略するが、円弧からサイン半波長逓減曲線を緩和曲線として直線に戻る場合には、曲率の絶対値が減少していく。これに伴い数式(18)に従い車両速度が上昇していく。そして、同一点から曲率が減少する場合、元々のサイン半波長逓減曲線の曲率(時間関数ではなく、弧長パラメータsに関しての曲率)は小さくなる方向に修正される。
サイン半波長逓減曲線の場合、曲率の増加開始点(0[s])と増加終了点(5[s])では、曲率変化率がゼロとなる。このため横加加速度も滑らかな遷移となり、GVCを適用した場合にも図13中の”g-g”ダイアグラムに示すように連続性のある前後と横の加速度連係を実現することができる。
GVC適用軌道の場合、ヨーレイト、横加速度が低減でき、かつ緩和曲線長を低減することができる。その結果、目標経路が速度一定の設定曲線よりも内側に入ることができる。これは目標軌道としてはある意味使いにくい特性と思われる。しかしながら、例えば図15のような適用方法も考えられる。図15は、図13のGVC適用の目標経路をx軸方向(進入方向)に9[m]移動させた図である。図中の線上のプロットは曲率が0.025となる、t=5[s]となった座標である。図のGVC目標経路の終点(t=10[s]、(X,Y)=(78,72)の点)は、速度一定の設定曲線よりも旋回内向きとなっているため、設定曲線に接続する場合、ハンドルを戻す方向である。したがって、ハンドル切り始めが9[m]だけコーナーの奥に入っても、目標コースに接続できる可能性がある。
次に、本発明の計算手法とエキスパートドライバの車両軌跡と運動状態との比較検証を行い、定式化の有用性について開示する。
(エキスパートドライバの走行試験概要)
図16に設定したコースの概形を示す。カーブの入口から出口に至る方向転換の角度は90[deg]とし、コーナー頂点での半径は40[m]とした。車線幅は、コース全域の幅を直接設定するのではなく、コーナーの入口付近と出口付近の走行軌道に横方向の余裕を与えた。具体的には、カーブ区間は内側車線にマーカを設定し、コーナー入口側と出口側の直線区間については、外側の車線を直線区間に延長する形でマーカを設定した。また両者の間隔は車幅(約2[m])より広くなるよう、コーナー内側に沿って走行する軌道の円弧を形成する円と、コーナー前後の直線路を走行する際の軌道との間にある距離(オフセット)を設定した。これにより、コーナー内側の車線端から直線外側の車線端までの距離が広い分だけ、走行軌道に横方向の自由度が生じる。この横方向の自由度が運転に及ぼす影響を調べるために、オフセットを4[m]とした。
図17に示すパラメータをそれぞれ用い、図18に進入速度60[km/h]の計算結果と実測値の比較を、図19に進入速度75[km/h]の計算結果と実測値の比較を示す。速度に関わらず加減速を行わないことを前提としたサイン半波長逓減曲線をベースにした計算に対し、本発明の修正手法を適用することにより、より精度よくエキスパートドライバの軌跡、運動様態を再現できることが確認できた。
なお、本実施例ではコーナー進入時のみに議論を絞ったが、本発明は数式(11)で省略したSignum(シグナム:符号)項を取り扱うことにより、コーナー脱出時についても対応が可能であることは言うまでもない。
本発明は、「アウト、イン、アウト」のような経路設計の概念に、良く知られている「スローイン、ファストアウト」の概念を初めて連携したものと位置付けでき、エキスパートドライバのような自動運転を実現するための基盤技術となりうる(この軌跡に基づきドライバモデルを構築すればよい)。
以上の説明において、車両は横加加速度に応じて前後加速度を制御することを説明したが、横加加速度以外の横運動に応じて同様の制御を実施することもできる。例えば横加加速度に代えて車両のヨーレイトに応じて同様の制御を実施することもできる。曲率がヨーレイトと速度の積であるという拘束条件に、横運動に連係して速度が決定できる拘束条件を加えることにより、変数3つ(ヨーレイト、曲率、速度)に対し、拘束条件を2つ設けることが本発明の骨子となるところである。すなわち、時間関数として上記のうちの1つの変数を決定すると、他の変数も決定できるということである。
<第2実施形態>
以下、図20〜図25を用いて、本発明の第2実施形態による車両運動制御装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図20、21を用いて、本発明の軌道生成方法を用いた車両運動制御装置を搭載した車両および車両運動制御装置の構成について説明する。
図20は、本発明の軌道生成方法を用いた車両運動制御装置を搭載した車両の構成図を示したものである。
本実施形態の車両運動制御装置1は、車両20に搭載されるものであり、車両運動状態情報を取得するセンサ(加速度センサ2、ジャイロセンサ3、車輪速センサ8)、ドライバ操作情報を取得するセンサ(操舵角センサ5、ブレーキペダルセンサ17、アクセルペダルセンサ18)および自車両走行路情報を取得するセンサ(コース形状取得センサ6、自車両位置検出センサ9、外界情報検出センサ)から得られる情報に基づいて、車両運動制御に必要な演算を行い、演算結果に基づいて、車両に発生する前後加速度および/もしくは横加速度を制御可能なアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ11、駆動アクチュエータ13、舵角制御アクチュエータ16)の駆動制御を行う各制御ユニット(ブレーキ制御ユニット10、駆動トルク制御ユニット12、舵角制御ユニット15)に通信バスライン14を通じて送信する。
ここで、車両運動状態情報を取得するセンサとして、車両速度、前後加速度、横加速度、ヨーレイトを取得できるセンサ、もしくは手段であればよく、上記センサ構成に限定するものではない。例えばグローバルポジショニングシステム(GPS)により得られる位置情報を微分することで車両速度を取得してもよい。またカメラのような画像取得センサを用いて車両のヨーレイト、前後加速度、横加速度を取得してもよい。また車両運動制御装置1が直接センサの入力を持たなくともよい。例えば別な制御ユニット(例えばブレーキ制御ユニット10)から通信バスライン14を通じて必要な情報を取得してもよい。
ドライバ操作情報を取得するセンサとして、ドライバによるステアリングホイール4の操作量、図示していないブレーキペダルおよびアクセルペダルの操作量を取得できればよく、上述の車両運動状態情報の取得同様、車両運動制御装置1が直接センサの入力を持たなくともよい。例えば別な制御ユニット(例えばブレーキ制御ユニット10)から通信バスライン14を通じて必要な情報を取得してもよい。
自車両走行路情報を取得するセンサとして、グローバルポジショニングシステム(GPS)を自車両位置検出センサ9として用い、外界情報検出センサとして、カメラやレーダ等、自車両周辺の障害物を検出し、走行可能な領域を検出可能なセンサを用い、コース形状取得センサ6として、ナビゲーションシステムのような自車両の走行経路情報を取得できるものを利用できる。ここで自車両走行路情報を取得するセンサとして、自車両の進行方向におけるコース形状および走行可能領域が取得できる手段であればよく、これらセンサに限定するものではない。例えばデータセンタや路上に設置された道路情報を送信する機器との通信により自車両前方のコース形状を取得する方法であっても、カメラのような撮像手段により自車両前方もしくは周囲、またはその両方の画像を取得し、自車両前方のコース形状を取得する方法であってもよい。またこれら手段のいずれか、もしくはその組み合わせにより自車両進行方向のコース形状を演算するユニットから通信バスライン14を通じて取得する方法であってもよい。
車両に発生する前後加速度を制御可能な加減速アクチュエータは、タイヤ7と路面間に発生する力を制御することで車両に発生する前後加速度を制御可能なアクチュエータであり、例えば、燃焼状態を制御することでタイヤ7にかかる制駆動トルクを制御し、車両に前後加速度を制御可能な燃焼エンジン、もしくは電流を制御することでタイヤ7にかかる制駆動トルクを制御し、車両に前後加速度を制御可能な電動モータ、もしくは動力を各車輪に伝達する際の変速比を変えることで前後加速度を制御可能な変速機、もしくは各車輪のブレーキパッドにブレーキディスクを押しつけることで前後加速度を発生させる摩擦ブレーキといった、前後加速度を制御可能な加減速アクチュエータを適用することができる。
車両運動制御装置1は、記憶領域、および演算処理能力、および信号の入出力手段を有する演算装置を備えており、車両運動状態情報、ドライバ操作情報、自車両走行路情報により得られた情報から車両に発生させる前後加速度指令値を演算し、前後加速度指令値となる前後加速度を発生し得る加減速アクチュエータを前後加速度発生手段として、加減速アクチュエータの駆動制御器へ前後加速度指令値を送る。また、車両運動状態情報、ドライバ操作情報、自車両走行路情報により得られた情報から車両に発生させる横運動指令値を演算し、横運動を発生し得る舵角制御アクチュエータを旋回運動発生手段として、舵角制御アクチュエータの駆動制御器へ舵角制御指令値を送る。
ここで、送る信号は前後加速度そのものではなく、加減速アクチュエータによって前後加速度指令値を実現し得る信号であればよい。同様に舵角そのものではなく、舵角制御アクチュエータにより、舵角指令値を実現し得る信号であればよい。
例えば、加減速アクチュエータが燃焼エンジンである場合、前後加速度指令値を実現し得る制駆動トルク指令値を駆動トルク制御ユニット12へ送る。また駆動トルク制御ユニット12を介さず、前後加速度指令値を実現する燃焼エンジンの駆動信号を、燃焼エンジンの制御アクチュエータに直接送ってもよい。また油圧によりブレーキパッドをブレーキディスクに押し付ける油圧式摩擦ブレーキを用いる場合、前後加速度指令値を実現する油圧指令値をブレーキ制御ユニット10へ送る。また、ブレーキ制御ユニット10を介さず、前後加速度指令値を実現する油圧式摩擦ブレーキ駆動アクチュエータの駆動信号を油圧式摩擦ブレーキ駆動アクチュエータに直接送ってもよい。
また、前後加速度指令値を実現する際に、前後加速度指令値に応じて駆動制御を行う加減速アクチュエータを変更してもよい。
例えば、燃焼エンジンと油圧式摩擦ブレーキを加減速アクチュエータとして持つ場合、前後加速度指令値が燃焼エンジンの制駆動トルク制御により実現できる範囲であれば、燃焼エンジンを駆動制御し、前後加速度指令値が、燃焼エンジンの制駆動トルク制御で実現できない範囲の負の値である場合、燃焼エンジンと合わせて油圧式摩擦ブレーキを駆動制御する。また電動モータと燃焼エンジンを加減速アクチュエータとして持つ場合、前後加速度の時間変化が大きい場合は電動モータの駆動制御し、小さい場合は燃焼エンジンを駆動制御するようにしてもよい。また通常時は前後加速度指令値を電動モータにより駆動制御し、バッテリーの状態等により電動モータにより前後加速度指令を実現できない場合、他の加減速アクチュエータ(燃焼エンジン、油圧式摩擦ブレーキ等)を駆動制御するようにしてもよい。
また通信バスライン14として、信号によって異なる通信バスラインおよび通信プロトコルを用いてもよい。例えば大容量のデータをやり取りする必要のある自車両走行路情報を取得するセンサとの通信にイーサネットを用い、各アクチュエータとの通信にはController Area Networkを用いる構成であってもよい。
図21は、本発明の実施形態による車両運動制御装置1の構成図を示したものである。
車両運動制御装置1は、目標軌道作成部1aと、車両運動状態取得部1bと、車両運動制御演算部1cと、制御指令送信部1dとを備える。
目標軌道作成部1aでは、コース形状外界情報である自車両走行路情報、および車両運動状態情報から目標軌道および走行可能領域を取得し、本発明の走行軌道設計方法に基づいて目標軌道および目標速度を設定する(走行軌道作成部)。
車両運動状態取得部1bでは、車両運動状態情報から車両の運動状態(走行速度、旋回状態、ドライバ操作量)を取得する。
車両運動制御演算部1cでは、目標軌道作成部1aおよび車両運動状態取得部1bにより得られた情報に基づいて、速度制御による前後加速度指令値、もしくは速度制御による前後加速度指令値と舵角制御による舵角指令値の両方を演算し、制御指令送信部1dに送る。
車両運動制御演算部1dでは、車両運動制御演算部1cにより作成された前後加速度指令値、もしくは前後加速度指令値と舵角指令値の両方に基づいて、前後加速度および/もしくはタイヤ実舵角を制御可能なアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ10、駆動アクチュエータ13、舵角制御アクチュエータ16)の駆動制御を行う各制御ユニット(ブレーキ制御ユニット10、駆動トルク制御ユニット12、舵角制御ユニット15)に駆動指令値を送る。
図22は、第2の実施形態の車両運動制御装置1における演算フローチャートを示したものである。
S000では、外界情報、自車両前方のコース形状、車両運動状態取得を取得する。ここでコース形状は、図23に示すように車両重心位置を原点とし、車両速度ベクトルの方向を正としたXv軸、それと直行するYv軸を取った座標上のノード点位置データNPn(Xvn、Yvn)として変換される。nは最も車両に近い点を0とし、自車両進行方向に向かって1、2・・・、nmaxと増加する整数である。またnmaxは取得可能なノード点位置データ番号nの最大値である。またNP0のYv軸成分であるYv0は、車両の横方向偏差となる。
S100では、外界情報、コース形状、車両運動状態からノード点位置における走行可能範囲、および車速制御範囲といった各種の情報を演算する。具体的には、周辺の障害物や路端といった走行不可エリアに進入することなく、走行可能な領域を継続的に走行するための走行可能領域および車速制御範囲を設定する。
S200では、コース形状および車両運動状態から上述の第1実施形態に示した走行軌道設計方法により、目標走行軌道、および目標速度を演算する。
S300では、演算された目標走行軌道、目標車速が制御可能範囲内か否かを判定する。ここで制御可能範囲外と判定された場合、S400に進み、制御可能範囲内と判定された場合、S500へと進む。
S400では、目標走行軌道、目標車速が走行可能範囲内となるよう目標走行軌道および目標速度の演算パラメータを変更する。第1実施形態で示した走行経路設計方法により目標走行軌道および目標速度を演算する場合、横加加速度に基づいた前後加速度制御の制御ゲインCxy、もしくは横運動に連係しない前後加速度成分Gx_DC、もしくはその両方を変更することで、旋回開始から定常旋回に至るまでの速度変化、旋回開始時の速度を変更することで、目標走行軌道を調整する。
S500では、車両運動制御量の演算が行われる。ここでは、車両運動制御量として、前後加速度指令値、横加速度指令値に基づいて、各アクチュエータの制御指令値が演算される。例えば、燃焼エンジンを用いて前後加速度を制御し、電動パワーステアリングを用いてヨーモーメントを制御する場合、前後加速度を車両に発生させる制駆動トルク指令値を燃焼エンジンの制御コントローラに送り、横加速度を車両に発生させる舵角指令値を電動パワーステアリングの制御コントローラに送る。
以上のように、本実施形態では、本発明にて作成された目標走行軌道に基づいた車両運動制御を実現することができる。
<第3実施形態>
以下、図24を用いて、本発明の第3実施形態による車両運動制御装置の構成及び動作について説明する。
図24は車両運動制御装置1’の構成図を示す。車両運動制御装置1’は、記憶領域、および演算処理能力、および信号の入出力手段を有する複数の演算装置を備えており、コース形状、外界情報、自車両位置情報、および車両運動状態情報から目標軌道、目標車速を作成する軌道演算装置1’Aと目標軌道、目標速度および車両運動状態情報から車両に発生させる横運動指令値、もしくは横運動指令と前後加速度指令値の両方を演算し、前後加速度指令値となる前後加速度を発生し得る加減速アクチュエータを前後加速度発生手段として、加減速アクチュエータの駆動制御器へ前後加速度指令値を送り、車両に発生させる横運動指令値を発生し得る舵角制御アクチュエータを旋回運動発生手段として、舵角制御アクチュエータの駆動制御器へ舵角制御指令値を送る走行制御演算装置1’Bを備える。
軌道演算装置1’Aはコース形状、外界情報、自車両位置情報、および車両運動状態情報から本実施形態1に示した方法で目標軌道と目標車速を作成する。
軌道演算装置1’Bは目標軌道、目標車速を実現するために車両に発生させる横運動指令値、もしくは横運動指令と前後加速度指令値の両方を演算し、前後加速度指令値となる前後加速度を発生し得る加減速アクチュエータを前後加速度発生手段として、加減速アクチュエータの駆動制御器へ前後加速度指令値を送り、車両に発生させる横運動指令値を発生し得る舵角制御アクチュエータを旋回運動発生手段として、舵角制御アクチュエータの駆動制御器へ舵角制御指令値を送る。
以上のように、本実施形態に示した目標軌道と目標車速を演算可能な軌道演算装置から目標軌道と目標車速を走行制御演算装置に送ることで、走行制御演算装置側の演算負荷低減ができ、また軌道演算装置を他の走行制御演算装置と組み合わせた制御も実現できる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1: 車両運動制御装置
2: 加速度センサ
3: ジャイロセンサ
4: ステアリングホイール
5: 操舵角センサ
6: コース形状取得センサ
7: タイヤ
8: 車輪速センサ
9: 自車両位置検出センサ
10: ブレーキ制御ユニット
11: ブレーキアクチュエータ
12: 駆動トルク制御ユニット
13: 駆動アクチュエータ
14: 通信バスライン
15: 舵角制御ユニット
16: 舵角制御アクチュエータ
17: ブレーキペダルセンサ
18: アクセルペダルセンサ
19: 外界情報取得センサ
20: 車両

Claims (6)

  1. 加減速を伴う走行に対する緩和曲線の走行軌道を設計する走行軌道設計方法であって、
    曲率半径小の円弧曲線Aと曲率半径大の円弧曲線Bを接続する緩和曲線の曲率κを、緩和曲線長を進む速度Vと、単位緩和曲線長s進むのに要する時間tと、緩和曲線上を進んでいるときの加速度と、加速度の時間変化である加加速度とのいずれかに基づいて変化させることを特徴とする走行軌道設計方法。
  2. 前記緩和曲線長を進む速度Vが小さくなるか、または、前記単位緩和曲線長s進むのに要する時間tが大きくなるに応じて、前記緩和曲線の曲率κを大きい方向に変化させることを特徴とする請求項1に記載の走行軌道設計方法。
  3. 前記緩和曲線長を進む速度Vが大きくなるか、または、前記単位緩和曲線長s進むのに要する時間tが小さくなるに応じて、前記緩和曲線の曲率κを小さい方向に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の走行軌道設計方法。
  4. 前記単位緩和曲線長s進むのに要する時間tが前記緩和曲線の曲率κの絶対値の増加に応じて増加し、
    前記単位緩和曲線長s進むのに要する時間tが前記緩和曲線の曲率κの絶対値の減少に応じて減少することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の走行軌道設計方法。
  5. 前記緩和曲線長を進む速度Vが前記緩和曲線の曲率κの絶対値の増加に応じて減少し、
    前記緩和曲線長を進む速度Vが前記緩和曲線の曲率κの絶対値の減少に応じて増加することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の走行軌道設計方法。
  6. 車両の操舵と加減速を制御する車両運動制御装置であって、
    前記車両の目標とする走行軌道を作成する走行軌道作成部と、
    前記走行軌道にしたがって前記車両の操舵角と加減速度を演算する車両運動制御演算部と、
    を備え、
    前記走行軌道作成部は、曲率半径小の円弧曲線Aと曲率半径大の円弧曲線Bを接続する緩和曲線の曲率κを、緩和曲線長を進む速度Vと、単位緩和曲線長s進むのに要する時間tと、緩和曲線上を進んでいるときの加速度と、加速度の時間変化である加加速度とのいずれかに基づいて変化させて、加減速を伴う走行に対する緩和曲線の走行軌道を作成する
    ことを特徴とする車両運動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022190910A1 (ja) 2021-03-11 2022-09-15 日立Astemo株式会社 車両制御装置、車両制御方法、目標軌道算出方法、及び車両

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