JP2019184514A - 光ファイバの損失測定方法、otdr測定装置、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバの損失の不均一性をより精度よく測定する。【解決手段】OTDR測定装置の固有の非線形性を示し、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを算出する補正値算出ステップと、測定対象となる光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定する実測ステップと、実測ステップによって得られたデータのうち、光パワーについての情報を、前記補正情報Icを用いて補正する補正ステップと、を有する、光ファイバの損失測定方法。【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバの損失測定方法、OTDR測定装置、およびプログラムに関する。
光ファイバの損失測定方法として、特許文献1が開示するようなOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)法が知られている。OTDR法は、光ファイバの長手方向における損失の分布を測定する際に一般的に用いられている。これは、OTDR法によれば、光ファイバの接続点や断線などの局所的な損失の変動を測定可能なためである。
OTDR法では、長手方向における任意の2点について、当該2点間の後方散乱光パワーの差を当該2点間の距離で割ることにより、当該2点間における光ファイバの損失を計算することができる。この計算方法を一定区間内における全データに適用し、最小二乗近似(LSA:Least Squares Approximation)直線を求め、このLSA直線の傾きを損失値とすることが一般的である。
OTDR法では、長手方向における任意の2点について、当該2点間の後方散乱光パワーの差を当該2点間の距離で割ることにより、当該2点間における光ファイバの損失を計算することができる。この計算方法を一定区間内における全データに適用し、最小二乗近似(LSA:Least Squares Approximation)直線を求め、このLSA直線の傾きを損失値とすることが一般的である。
また、光ファイバでは、損失が長手方向で均一であることも求められる。損失の不均一性を評価する方法としては、非特許文献1および非特許文献2に示す方法が知られている。
非特許文献1では、光ファイバの長手方向における損失の変動を評価するために、一定区間の損失のLSAを求め、これを長手方向にスライドさせて、全長にわたる区間損失を求める「スライド・ウィンドウ法」が提案されている。
非特許文献2では、全長のLSA直線の上下に、同じ傾きで切片を変えた直線を引き、その範囲に測定データが収まっているかを判定する「トラム・トラック法」が提案されている。
非特許文献1では、光ファイバの長手方向における損失の変動を評価するために、一定区間の損失のLSAを求め、これを長手方向にスライドさせて、全長にわたる区間損失を求める「スライド・ウィンドウ法」が提案されている。
非特許文献2では、全長のLSA直線の上下に、同じ傾きで切片を変えた直線を引き、その範囲に測定データが収まっているかを判定する「トラム・トラック法」が提案されている。
IEC 62033 Attenuation Uniformity in Optical Fibers
PHOTON KINETICS社製 8000 and 8000i OTDR USER’S GUIDE
近年では、より精度よく光ファイバの損失の不均一性を測定することが求められている。
本発明はこのような事情を考慮してなされ、光ファイバの損失の不均一性をより精度よく測定することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る光ファイバの損失測定方法は、OTDR測定装置の固有の非線形性を示し、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを算出する補正値算出ステップと、測定対象となる光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定する実測ステップと、前記実測ステップによって得られたデータのうち、光パワーについての情報を、前記補正情報Icを用いて補正する補正ステップと、を有する。
ここで、前記補正値算出ステップにおいて、前記光ファイバと異なる基準ファイバを前記OTDR測定装置によって測定した結果を用いることで、前記補正情報Icを算出してもよい。
また、前記補正値算出ステップにおいて、前記光ファイバと異なる複数の光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定した結果を平均させることで、前記補正情報Icを算出してもよい。
本発明の第2の態様に係るOTDR測定装置は、OTDR測定に用いるパルス光を出射するパルス発生器と、前記パルス発生器に接続され、測定対象となる光ファイバに入射された前記パルス光の後方散乱光を、前記パルス光から分岐させる方向性結合器と、前記後方散乱光から前記光ファイバの損失を測定する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを記憶し、前記補正情報Icを用いて、前記光ファイバの測定結果を補正する。
本発明の第3の態様に係るプログラムは、OTDR測定装置の固有の非線形性を示し、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを算出する補正値算出ステップと、測定対象となる光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定する実測ステップと、前記実測ステップによって得られたデータのうち、光パワーについての情報を、前記補正情報Icを用いて補正する補正ステップと、をコンピュータに実行させる。
本発明の上記態様によれば、光ファイバの損失の不均一性をより精度よく測定することができる。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る光ファイバの損失測定方法について説明する。本実施形態では、図1に示すようなOTDR測定装置10を用いて、光ファイバ12の損失を測定する。
図1に示すように、OTDR測定装置10は、パルス発生器1と、方向性結合器2と、増幅器3と、信号処理部4と、表示部5と、を備えている。OTDR測定装置10は、バッファファイバ11を介して測定対象である光ファイバ12に接続される。OTDR測定装置10は、OTDR法を用いて、光ファイバ12の光の伝送損失を測定するように構成されている。なお、バッファファイバ11は必須ではなく、測定対象である光ファイバ12を直接OTDR測定装置10に接続してもよい。
以下、第1実施形態に係る光ファイバの損失測定方法について説明する。本実施形態では、図1に示すようなOTDR測定装置10を用いて、光ファイバ12の損失を測定する。
図1に示すように、OTDR測定装置10は、パルス発生器1と、方向性結合器2と、増幅器3と、信号処理部4と、表示部5と、を備えている。OTDR測定装置10は、バッファファイバ11を介して測定対象である光ファイバ12に接続される。OTDR測定装置10は、OTDR法を用いて、光ファイバ12の光の伝送損失を測定するように構成されている。なお、バッファファイバ11は必須ではなく、測定対象である光ファイバ12を直接OTDR測定装置10に接続してもよい。
パルス発生器1は、光ファイバ12の損失を測定するためのパルス光L1を出射する。パルス発生器1が出射したパルス光L1は、方向性結合器2を介してバッファファイバ11および光ファイバ12に入射する。光ファイバ12に入射したパルス光L1の後方散乱光(BS:BackScattering)L2は、方向性結合器2によってパルス光L1から分岐させられて、増幅器3に向けて伝搬される。増幅器3によって増幅された後方散乱光L2は、信号処理部4によって測定および処理される。信号処理部4による処理結果は、表示部5に表示される。
ここで本願発明者らは、このようなOTDR法を用いたOTDR測定装置10において、光ファイバ12の長手方向における損失の不均一性を測定した際に、装置ごとに測定結果の差(機差)があることに着目した。例えば、ある装置(PHOTON KINETICS社製 8000)では、装置の非線形性として、1dBに対し、±0.01dB(±1%)のずれが許容されている。一般的な光ファイバの損失値は、波長1.31μmで約0.34dB/kmである。そのため、±1%のずれを許容すると、実際の損失値に対して±0.0034dB/kmの誤差が生じ得ることとなり、その偏差は最大で0.007dB/kmにもなってしまう。このため、低損失な光ファイバを製造するうえで、全長に渡って損失を保証しようとすると、損失値の規格を0.003dB/km以上厳しくする必要があり、歩留りの悪化につながる。
本願発明者らは、OTDR測定装置が持つ光学系または電気系に起因する、装置固有の非線形性が、損失値の不均一性の測定結果が装置ごとにばらつく主要な要因であることを見出した。そこで、損失値が既知のファイバをOTDR測定装置で測定し、既知の損失値とOTDR測定装置による測定値とを比較することで、装置固有の非線形性を求める方法を見出した。これにより、光ファイバの損失値の不均一性を高精度に測定することができる。以下、装置固有の非線形性を求める方法について、より詳細に説明する。
(補正値算出ステップ)
補正値算出ステップでは、OTDR測定装置10の固有の非線形性を、受光パワーαに応じた補正値ΔBS(α)の形式で算出する。本明細書では、受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)を補正情報Icという。第1実施形態の補正値算出ステップは、基準ファイバ準備ステップと、基準ファイバ測定ステップと、処理ステップと、変換ステップと、を有する。
以下、各ステップについて説明する。
補正値算出ステップでは、OTDR測定装置10の固有の非線形性を、受光パワーαに応じた補正値ΔBS(α)の形式で算出する。本明細書では、受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)を補正情報Icという。第1実施形態の補正値算出ステップは、基準ファイバ準備ステップと、基準ファイバ測定ステップと、処理ステップと、変換ステップと、を有する。
以下、各ステップについて説明する。
(基準ファイバ準備ステップ)
まず、基準ファイバ準備ステップを行う。基準ファイバ準備ステップでは、長さが比較的短く、損失およびMFD(モードフィールド径:Mode Field Diameter)が長手方向で安定している基準ファイバを用意する。そして、基準ファイバの損失値を、カットバック法などを用いて求める。本明細書では、基準ファイバ準備ステップで得られた基準ファイバの損失値を、基準測定値aという。基準測定値aの単位は、[dB/km]である。
まず、基準ファイバ準備ステップを行う。基準ファイバ準備ステップでは、長さが比較的短く、損失およびMFD(モードフィールド径:Mode Field Diameter)が長手方向で安定している基準ファイバを用意する。そして、基準ファイバの損失値を、カットバック法などを用いて求める。本明細書では、基準ファイバ準備ステップで得られた基準ファイバの損失値を、基準測定値aという。基準測定値aの単位は、[dB/km]である。
(基準ファイバ測定ステップ)
次に、基準ファイバ測定ステップを行う。基準ファイバ測定ステップでは、OTDR測定装置10で、基準ファイバの損失を測定する。このとき、OTDR測定装置10と基準ファイバとの間にバッファファイバ11を接続する。OTDR測定装置10によって測定された基準ファイバの損失値を、固有測定値BS(z)という。固有測定値BS(z)は、基準ファイバの長手方向における位置zの関数である。固有測定値BS(z)の単位は[dB]である。
次に、基準ファイバ測定ステップを行う。基準ファイバ測定ステップでは、OTDR測定装置10で、基準ファイバの損失を測定する。このとき、OTDR測定装置10と基準ファイバとの間にバッファファイバ11を接続する。OTDR測定装置10によって測定された基準ファイバの損失値を、固有測定値BS(z)という。固有測定値BS(z)は、基準ファイバの長手方向における位置zの関数である。固有測定値BS(z)の単位は[dB]である。
(処理ステップ)
次に、処理ステップを行う。処理ステップでは、先述の基準測定値aおよび固有測定値BS(z)を用いて、位置zに対応したOTDR測定装置10固有の非線形性を求める。
まず、OTDR測定値の最小二乗近似直線(LSA直線)を以下の数式(1)のように表す。
LSA(z)=−a×z+b …(1)
次に、処理ステップを行う。処理ステップでは、先述の基準測定値aおよび固有測定値BS(z)を用いて、位置zに対応したOTDR測定装置10固有の非線形性を求める。
まず、OTDR測定値の最小二乗近似直線(LSA直線)を以下の数式(1)のように表す。
LSA(z)=−a×z+b …(1)
そして、BS(z)とLSA(z)との偏差を、ΔBS(z)とする。つまり、ΔBS(z)は以下の数式(2)により表される。
ΔBS(z)=BS(z)−LSA(z) …(2)
そして、基準ファイバの全長をLとするとき、z=0からz=Lまでの間におけるΔBS(z)の二乗和が最小となるように、bの値を求める。これにより、bの値が一意に決定される。
ΔBS(z)=BS(z)−LSA(z) …(2)
そして、基準ファイバの全長をLとするとき、z=0からz=Lまでの間におけるΔBS(z)の二乗和が最小となるように、bの値を求める。これにより、bの値が一意に決定される。
次に、数式(1)および数式(2)から得られる以下の数式(3)に、上記のようにして算出されたbの値を代入する。
ΔBS(z)=BS(z)+a×z−b …(3)
このようにして得られるΔBS(z)は、OTDR測定装置10固有の非線形性の情報を有している。
ΔBS(z)=BS(z)+a×z−b …(3)
このようにして得られるΔBS(z)は、OTDR測定装置10固有の非線形性の情報を有している。
(変換ステップ)
次に、変換ステップを行う。変換ステップでは、処理ステップで求めたΔBS(z)を、OTDR測定装置10で受光される後方散乱光L2の受光パワーαに応じた補正値の形式に変換する。
まず、LSA(z)=αを満たす、(z、α)の組み合わせを、基準ファイバの全長に渡って算出する。LSA(z)は、数式(1)に示す通り、zに関する1次式であるため、あるzの値に対して、αの値は一意に決めることができる。つまり、図2に示すようなα=LSA(z)で表される直線が、一意に定まる。
次に、変換ステップを行う。変換ステップでは、処理ステップで求めたΔBS(z)を、OTDR測定装置10で受光される後方散乱光L2の受光パワーαに応じた補正値の形式に変換する。
まず、LSA(z)=αを満たす、(z、α)の組み合わせを、基準ファイバの全長に渡って算出する。LSA(z)は、数式(1)に示す通り、zに関する1次式であるため、あるzの値に対して、αの値は一意に決めることができる。つまり、図2に示すようなα=LSA(z)で表される直線が、一意に定まる。
次に、上記のように求めた(z、α)の組み合わせを用いて、ΔBS(z)をαの関数(ΔBS(α))に変換する。これにより、OTDR測定装置10固有の非線形性の情報が、位置z[km]の関数から受光パワーα[dB]の関数に変換される。つまり、図3に示すような、受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)を求めることができる。このΔBS(α)が、受光パワーαに対応する、OTDR測定装置10固有の非線形性を示す補正情報Icとなる。
なお、基準ファイバの長さが、測定対象となる光ファイバ12の長さに比べて短いと、測定対象となる光ファイバ12の測定値を補正するために必要なαの数値範囲が不十分となる場合がある。この場合には、バッファファイバ11の長さを調整し、上記した基準ファイバ測定ステップ、処理ステップ、および変換ステップを繰り返すとよい。これにより、任意のαの数値範囲におけるΔBS(α)を得ることができる。
表1には、上記の方法により得られた補正情報Icの一例が示されている。表1の例では、補正の対象となる受光パワーαの範囲を10dB以上20dB以下とし、αの刻み幅を0.02dBとしている。この場合、補正情報Icは、501行×2列のマトリックスとなる。なお、αの刻み幅は適宜変更してもよい。
(記憶ステップ)
次に、記憶ステップを行う。記憶ステップでは、マトリックス形式の補正情報Icを、記憶部に記憶させる。記憶部は、図1に示す信号処理部4に設けられていてもよいし、OTDR測定装置10の他の部位に設けられていてもよい。あるいは、OTDR測定装置10がシステムの一部である場合には、当該システムの一部に記憶部が設けられていてもよい。
次に、記憶ステップを行う。記憶ステップでは、マトリックス形式の補正情報Icを、記憶部に記憶させる。記憶部は、図1に示す信号処理部4に設けられていてもよいし、OTDR測定装置10の他の部位に設けられていてもよい。あるいは、OTDR測定装置10がシステムの一部である場合には、当該システムの一部に記憶部が設けられていてもよい。
(実測ステップ)
次に、実測ステップを行う。実測ステップでは、測定対象となる光ファイバ12を、OTDR測定装置10を用いてOTDR法により測定する。測定結果としては、往復時間および受光パワーが対となった情報が得られる。往復時間は光ファイバ12の長手方向における位置に換算することができる。従って、この換算を行うことで、位置と受光パワーとが対となった情報(データ)を得ることができる。
次に、実測ステップを行う。実測ステップでは、測定対象となる光ファイバ12を、OTDR測定装置10を用いてOTDR法により測定する。測定結果としては、往復時間および受光パワーが対となった情報が得られる。往復時間は光ファイバ12の長手方向における位置に換算することができる。従って、この換算を行うことで、位置と受光パワーとが対となった情報(データ)を得ることができる。
(補正ステップ)
次に、補正ステップを行う。補正ステップでは、実測ステップで得られた、位置および受光パワーが対となったデータのうち、受光パワーについての情報を、補正情報Icを用いて補正する。
このような補正を行った上で光ファイバの損失値を求めることで、OTDR測定装置10固有の非線形性が除去され、光ファイバの損失の不均一性を高精度に測定することができる。
次に、補正ステップを行う。補正ステップでは、実測ステップで得られた、位置および受光パワーが対となったデータのうち、受光パワーについての情報を、補正情報Icを用いて補正する。
このような補正を行った上で光ファイバの損失値を求めることで、OTDR測定装置10固有の非線形性が除去され、光ファイバの損失の不均一性を高精度に測定することができる。
このような補正を行うことにより、理論的には、OTDR測定装置10ごとの測定ばらつきを0にすることが可能であり、例えば光ファイバを製造する際の歩留り向上に大きく貢献することができる。実際には、補正しきれない測定ノイズが発生するため、測定ばらつきを0にすることはできないが、例えば複数回、繰返し測定を行うことにより、測定ノイズをキャンセルすることも可能である。それでも消えない長手方向における損失変動は、光ファイバの実質的な損失値の不均一性であると考えられる。
以上説明したように、本実施形態では、測定対象となる光ファイバ12とは異なる基準ファイバをOTDR測定装置10で測定することで、OTDR測定装置10固有の非線形性を予め求める。そして、OTDR測定装置10固有の非線形性は、測定される受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)のマトリックス(補正情報Ic)の形態で記憶する。測定対象となる光ファイバ12を測定した後、測定された受光パワーαに対して、対応する補正値ΔBS(α)を加減することにより、測定器固有の非線形性が除去される。従って、光ファイバ12が持つ本来の損失を高精度に測定することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態では、補正値算出ステップが平均ステップを有する点が、第1実施形態と異なる。平均ステップでは、複数のファイバの測定結果を平均させることで、補正情報Icを求める。以下、より詳しく説明する。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態では、補正値算出ステップが平均ステップを有する点が、第1実施形態と異なる。平均ステップでは、複数のファイバの測定結果を平均させることで、補正情報Icを求める。以下、より詳しく説明する。
(平均ステップ)
まず、OTDR測定装置10を用いて、あるファイバiの位置zにおける損失値BSi(z)を測定する。
次に、BSi(z)の最小二乗近似直線LSAi(z)を求める(図4参照)。
次に、あるファイバiの損失値の非線形特性ΔBSi(z)を、下記数式(4)によって求める(図4参照)。
ΔBSi(z)=BSi(z)−LSAi(z) …(4)
なお、図4において、ΔBSi(z)の縦軸の縮尺は、BSi(z)およびLSAi(z)に対して拡大されている。
このようにして得られたΔBSi(z)は、OTDR測定装置10固有の非線形性特性に、長手方向におけるファイバiの損失変動が加わった状態である。
まず、OTDR測定装置10を用いて、あるファイバiの位置zにおける損失値BSi(z)を測定する。
次に、BSi(z)の最小二乗近似直線LSAi(z)を求める(図4参照)。
次に、あるファイバiの損失値の非線形特性ΔBSi(z)を、下記数式(4)によって求める(図4参照)。
ΔBSi(z)=BSi(z)−LSAi(z) …(4)
なお、図4において、ΔBSi(z)の縦軸の縮尺は、BSi(z)およびLSAi(z)に対して拡大されている。
このようにして得られたΔBSi(z)は、OTDR測定装置10固有の非線形性特性に、長手方向におけるファイバiの損失変動が加わった状態である。
次に、LSAi(z)=αを満たす(z、α)の組み合わせを、ファイバiの全長にわたって算出する。LSAi(z)は、BSi(z)の最小二乗近似直線であるため、あるzに対して、αを一意に決めることができる。
次に、上記のように求めた(z,α)の組み合わせを用いて、zの関数であるΔBSi(z)を、受光パワーαの関数であるΔBSi(α)に変換する。この変換により、受光パワーα[dB]に対応した非線形特性の情報が得られる。つまり、図5に示すような、あるファイバiについての受光パワーαに対する補正値ΔBSi(α)を求めることができる。
このようにして得られたΔBSi(α)も、ΔBSi(z)と同様に、OTDR測定装置10固有の非線形性特性に、長手方向におけるファイバiの損失変動が加わった状態である。
このようにして得られたΔBSi(α)も、ΔBSi(z)と同様に、OTDR測定装置10固有の非線形性特性に、長手方向におけるファイバiの損失変動が加わった状態である。
次に、複数のファイバについて上記手順を実施し、それぞれについてΔBSi(α)を求める。図6には、4つのファイバについて、それぞれの受光パワーαおよびΔBSi(α)の関係を算出したグラフを示している。
そして、同一のαの値について、複数の光ファイバについてのΔBSi(α)の平均をとり、受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)を求める。図7の例では、図6に示す4つのデータを平均させたグラフを示している。この受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)が、補正情報Icとなる。
そして、同一のαの値について、複数の光ファイバについてのΔBSi(α)の平均をとり、受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)を求める。図7の例では、図6に示す4つのデータを平均させたグラフを示している。この受光パワーαに対する補正値ΔBS(α)が、補正情報Icとなる。
このように、本実施形態では、測定対象の光ファイバ12と異なる複数の光ファイバをOTDR測定装置10によって測定した結果を平均させることで、複数の光ファイバの長手方向における損失変動をキャンセルし、OTDR測定装置10固有の非線形性特性を抽出することができる。このようにして得られた補正情報Icを用いることで、光ファイバ12が持つ本来の損失を高精度に測定することが可能となる。
次に、具体的な実施例を用いて、上記実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
本実施例では、前記第1実施形態による補正方法の効果を確認した。ここでは、長手方向における損失値の変動を表す指標として、ISLD(Interval Slide Loss Deviation)を用いた。また、ISLDを算出するために、以下のようにスライド区間および区間スライドロスを定義した。スライド区間とは、光ファイバを長手方向で区切る任意の長さである。区間スライドロスとは、スライド区間ごとの損失を長手方向において一定間隔でスライドさせて計算したものである。
ISLDとは、区間スライドロスの最大値と最小値との差である。ISLDの値が小さいほど、光ファイバの損失の不均一性がより高精度に評価されている傾向がある。
本実施例では、前記第1実施形態による補正方法の効果を確認した。ここでは、長手方向における損失値の変動を表す指標として、ISLD(Interval Slide Loss Deviation)を用いた。また、ISLDを算出するために、以下のようにスライド区間および区間スライドロスを定義した。スライド区間とは、光ファイバを長手方向で区切る任意の長さである。区間スライドロスとは、スライド区間ごとの損失を長手方向において一定間隔でスライドさせて計算したものである。
ISLDとは、区間スライドロスの最大値と最小値との差である。ISLDの値が小さいほど、光ファイバの損失の不均一性がより高精度に評価されている傾向がある。
本実施例では、測定対象となる光ファイバの長さを50kmとし、スライド区間を2kmとした。また、補正情報Icに含まれる受光パワーαの範囲を10〜20dBとし、αの刻み幅を0.02dBとした。
上記条件のもと、PHOTON KINETICS社製8000を用いて従来通りの測定を行ったところ、ISLDの値が0.006dB/kmとなった。これに対して、第1実施形態の方法を適用したところ、ISLDの値が0.002dB/kmとなった。
また、Hewlett-Packard社製OTDR HP8147を用いて従来通りの測定を行ったところ、ISLDの値が0.010dB/kmとなった。これに対して、第1実施形態の方法を適用したところ、ISLDの値が0.003dB/kmとなった。
このように、第1実施形態の方法を適用することで従来の方法よりもISLDの値が小さくなり、より高精度な測定を行うことができた。
上記条件のもと、PHOTON KINETICS社製8000を用いて従来通りの測定を行ったところ、ISLDの値が0.006dB/kmとなった。これに対して、第1実施形態の方法を適用したところ、ISLDの値が0.002dB/kmとなった。
また、Hewlett-Packard社製OTDR HP8147を用いて従来通りの測定を行ったところ、ISLDの値が0.010dB/kmとなった。これに対して、第1実施形態の方法を適用したところ、ISLDの値が0.003dB/kmとなった。
このように、第1実施形態の方法を適用することで従来の方法よりもISLDの値が小さくなり、より高精度な測定を行うことができた。
なお、実施例1では、補正位置αの範囲を10〜20dBとしたが、測定するファイバ長や測定波長に応じたダイナミックレンジに対応して、αの範囲を適宜変更してもよい。
また、実施例1ではαの刻み幅を0.02dBとしたが、より細かく(例えば0.001dB〜0.01dB)したり、より粗く(例えば0.1〜0.5dB)したりしても、補正効果を得ることは可能である。
また、実施例1ではαの刻み幅を0.02dBとしたが、より細かく(例えば0.001dB〜0.01dB)したり、より粗く(例えば0.1〜0.5dB)したりしても、補正効果を得ることは可能である。
(実施例2)
実施例2では、αの刻み幅が補正効果(ISLD)に与える影響について検証した。より詳しくは、αの刻み幅を0.001dBから2.0dBまで変化させたときの、ISLDの値を比較した。その結果を下記表2に示す。
実施例2では、αの刻み幅が補正効果(ISLD)に与える影響について検証した。より詳しくは、αの刻み幅を0.001dBから2.0dBまで変化させたときの、ISLDの値を比較した。その結果を下記表2に示す。
表2に示すように、αの刻み幅が小さいほど、ISLDの値が小さくなり、高い補正効果が得られることがわかった。このため、αの刻み幅は、例えば1.0dB以下とすることが好ましい。αの刻み幅を1.0dB以下とすることで、ISLDの値を例えば0.0025dB/km以下とすることができる(表2参照)。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態における基準ファイバ測定ステップにおいて、バッファファイバ11に代えて減衰器を用いてもよい。あるいは、バッファファイバ11に曲げを加えて、パワーレベルを変化させてもよい。
また、前記第1、第2実施形態で説明した光ファイバの損失測定方法を、コンピュータに実行させてもよい。この場合、プログラムは、OTDR測定装置の固有の非線形性を示し、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを算出する補正値算出ステップと、測定対象となる光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定する実測ステップと、実測ステップによって得られたデータのうち、光パワーについての情報を、前記補正情報Icを用いて補正する補正ステップと、をコンピュータに実行させてもよい。
また、OTDR測定装置10が、前記第1、第2実施形態で説明した光ファイバの損失測定方法を行うように構成されていてもよい。この場合、OTDR測定装置10が、OTDR測定に用いるパルス光を出射するパルス発生器1と、パルス発生器1に接続され、測定対象となる光ファイバ12に入射されたパルス光L1の後方散乱光L2を、パルス光L1から分岐させる方向性結合器2と、後方散乱光L2から光ファイバ12の損失を測定する信号処理部4と、を備え、信号処理部4は、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを記憶し、補正情報Icを用いて、光ファイバの測定結果を補正してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…パルス発生器 2…方向性結合器 4…信号処理部 10…OTDR測定装置 11…バッファファイバ
Claims (5)
- OTDR測定装置の固有の非線形性を示し、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを算出する補正値算出ステップと、
測定対象となる光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定する実測ステップと、
前記実測ステップによって得られたデータのうち、光パワーについての情報を、前記補正情報Icを用いて補正する補正ステップと、を有する、光ファイバの損失測定方法。 - 前記補正値算出ステップにおいて、前記光ファイバと異なる基準ファイバを前記OTDR測定装置によって測定した結果を用いることで、前記補正情報Icを算出する、請求項1に記載の光ファイバの損失測定方法。
- 前記補正値算出ステップにおいて、前記光ファイバと異なる複数の光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定した結果を平均させることで、前記補正情報Icを算出する、請求項1に記載の光ファイバの損失測定方法。
- OTDR測定に用いるパルス光を出射するパルス発生器と、
前記パルス発生器に接続され、測定対象となる光ファイバに入射された前記パルス光の後方散乱光を、前記パルス光から分岐させる方向性結合器と、
前記後方散乱光から前記光ファイバの損失を測定する信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを記憶し、前記補正情報Icを用いて、前記光ファイバの測定結果を補正する、OTDR測定装置。 - OTDR測定装置の固有の非線形性を示し、パワーαに応じた補正値ΔBS(α)である補正情報Icを算出する補正値算出ステップと、
測定対象となる光ファイバを前記OTDR測定装置によって測定する実測ステップと、
前記実測ステップによって得られたデータのうち、光パワーについての情報を、前記補正情報Icを用いて補正する補正ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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CN114459735A (zh) * | 2020-11-10 | 2022-05-10 | 许继集团有限公司 | 一种全光纤电流互感器光路损耗测试系统及测试方法 |
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2018
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CN114459735B (zh) * | 2020-11-10 | 2024-03-15 | 许继集团有限公司 | 一种全光纤电流互感器光路损耗测试系统及测试方法 |
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