JP2019177046A - 視標呈示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことができる視標呈示装置を提供すること。【解決手段】視標呈示装置2は、外部と内部とを接続する開口部32を有する筐体3と、筐体3の内部に設けられ近用検査用の近用視表42を着脱可能に保持する近用視表保持部43と、を備える。近用視表42は、筐体3の外部から開口部32を通して交換可能とされてなる。【選択図】図2
Description
本発明は、検眼用の視表に付された視標を被検眼に向けて呈示する視標呈示装置に関する。
眼科医療の分野においては、自覚式による被検眼の視力検査として、視表に付されたランドルト環などの視標が被検眼から約5m程度離れた位置に呈示された状態で行われる遠用検査と、視標が被検眼から約30cm以上、50cm以下程度離れた位置に呈示された状態で行われる近用検査と、が存在する。
遠用検査が行われる場合には、例えば、反射ミラー、ハーフミラーおよび凹面鏡を含む視標呈示光学系が筐体内に配置された視標呈示装置が用いられる。このような視標呈示装置では、筐体内に配置された遠用検査用の視表から放射された光束は、反射ミラーによりハーフミラーに向けて反射され、ハーフミラーを透過して凹面鏡に導かれる。凹面鏡により反射された光束は、再びハーフミラーに導かれ、ハーフミラーにより被検眼に向けて反射される。ハーフミラーにより反射された光束は、被検眼から約5m程度離れた位置に虚像を形成する。そのため、このような視標呈示装置は、約5m程度の呈示距離を確保することが困難な場所であっても設置可能とされている。これにより、被検眼と視標呈示装置の前面との間の距離(ワーキングディスタンス)を短くすることができ、検眼に必要な空間を有効に利用することができる。
一方で、近用検査が行われる場合には、例えば、前述した視標呈示装置の自覚式検眼手段(レフラクターヘッド)に接続された近用検査用の視表が用いられる。すなわち、近用検査が行われる場合には、レフラクターヘッドに取り付けられた近点棒が被検眼の眼前に垂下することにより、近点棒に保持された近用検査用の視表が被検眼に向けて呈示される。近用検査用の視表は、被検眼から約30cm〜50cm程度離れた位置において近点棒に沿って移動可能とされている。
そのため、前述したような視標呈示装置では、被検眼と視標呈示装置の前面との間の距離は、近用検査用の視表を保持する近点棒の長さよりも長いことが必要である。一般的には、被検眼と視標呈示装置の前面との間の距離は、約1m程度である。これに対して、被検眼と視標呈示装置の前面との間の距離をさらに短くしたいという要望がある。
そこで、遠用検査用の視表の設置位置と同様に、近用検査用の視表を視標呈示装置の筐体側に設置することが一策として挙げられる。これによれば、レフラクターヘッドを用いずに、裸眼やトライアルフレームまたは実際の眼鏡を用いた近用検眼も可能となる。例えば、特許文献1および特許文献2には、視標ディスク板が視標検査装置本体の内部に設けられた視力検査装置が開示されている。しかし、近用検査用の視表が視標呈示装置の筐体内に設置されたままの状態では、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが困難な場合がある。
すなわち、近用検査用の視表が紙製である場合には、近用検査において、紙の視表に印刷された視標が被検者に呈示される。この場合には、視標は、紙の視表に印刷されているため、細かい部分においても鮮明である。そのため、紙の視表は、視力値1.5や視力値2.0などの検査に対応可能である。しかし、近用検査用の視表が紙製である場合には、視表に印刷された視標の種類や数が比較的少ないという課題がある。すなわち、被検者に呈示される視標の自由度が低く、視標の種類や数が制限されるという課題がある。
一方で、近用検査用の視表が液晶表示装置などの電子表示装置である場合には、電子表示装置の表示領域に表示された視標が被検者に呈示される。この場合には、近用検査用の視表が紙製である場合と比較して、被検者に呈示される視標の自由度が高く、視標の種類や数が多い。しかし、近用検査用の視表が電子表示装置である場合には、電子表示装置の解像度によっては、視力値2.0に対応する視標が鮮明に表示されない場合があるという課題がある。
このように、紙の視表および電子表示装置の視表のそれぞれにおいて、長所および短所が存在する。ここで、近用眼鏡を装用してスマートフォンやタブレットコンピュータなどの種々の端末装置を見ることが被検者の要望である場合において、紙の視表が筐体内に設置されていると、視標の種類や数が制限されるため、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが困難である。また、被検者の要望によっては、近用検査において視力値2.0に対応する視標を認識できなくともよい場合がある。一方で、近用眼鏡を装用して新聞紙面や書籍などに印刷された細かい文字等を見ることが被検者の要望である場合において、電子表示装置の視表が筐体内に設置されていると、視力値2.0に対応する視標が鮮明に表示されない場合があるため、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが困難である。また、電子表示装置に関する技術の進歩が早いため、視表として用いられている電子表示装置が最新の技術を搭載していない場合がある。この場合においても、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが困難である。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことができる視標呈示装置を提供することを目的とする。
前記課題は、本発明によれば、検眼用の視表に付された視標を被検眼に向けて呈示する視標呈示装置であって、外部と内部とを接続する開口部を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられ近用検査用の近用視表を着脱可能に保持する近用視表保持部と、を備え、前記近用視表は、前記筐体の前記外部から前記開口部を通して交換可能とされてなることを特徴とする視標呈示装置により解決される。
前記構成によれば、近用検査用の近用視表は、近用視表保持部に着脱可能に保持されているとともに、筐体の外部から開口部を通して交換可能とされている。そのため、検者は、被検者の要望に応じて、近用検査用の近用視表として紙の視表を筐体の開口部を通して近用視表保持部に装着したり、電子表示装置を筐体の開口部を通して近用視表保持部に装着したりすることができる。あるいは、近用検査用の近用視表として、新聞紙面や書籍などの印刷物を利用し筐体の開口部を通して近用視表保持部に装着したり、被検者が所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置を利用し筐体の開口部を通して近用視表保持部に装着したりすることができる。これにより、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが可能である。
好ましくは、前記筐体に対して回転可能に軸支され、前記開口部を開閉可能な蓋部をさらに備えたことを特徴とする。
前記構成によれば、埃や塵が筐体の開口部を通して筐体内に進入することを抑えることができる。これにより、埃や塵が近用視表に付着することを抑えることができる。
好ましくは、前記筐体の前記内部に設けられた遠用検査用の遠用視表と、前記筐体の前記内部に設けられ前記遠用視表から放射された光束を前記筐体の前記内部に配置された光学系を介して前記被検眼に呈示する視標呈示光学系と、をさらに備え、前記近用視表保持部は、前記光束の光路内において前記近用視表を保持することを特徴とする。
前記構成によれば、近用視表保持部は、遠用視表から放射され視標呈示光学系を進行する光束の光路内に配置され、近用視表を保持する。そのため、近用視表は、遠用視表から放射された光束の光路内に配置される。そのため、近用視表から放射された光束の光路は、遠用視表から放射された光束の一部と重複する。これにより、筐体の小型化を図ることができ、検眼に必要な空間を有効に利用することができる。
好ましくは、前記視標呈示光学系の光軸に沿った方向において前記近用視表保持部の前側および後側の少なくともいずれかに設けられ、前記近用視表保持部に保持された前記近用視表を保護する窓部をさらに備えたことを特徴とする。
前記構成によれば、埃や塵が近用視表に付着することを抑えることができる。
好ましくは、前記筐体の前記内部に設けられた遠用検査用の遠用視表と、前記筐体の前記内部に設けられ前記遠用視表から放射された前記光束を前記筐体の前記内部に配置された光学系を介して前記被検眼に呈示する視標呈示光学系と、をさらに備え、前記近用視表保持部は、前記光束の光路の外側において前記近用視表を保持することを特徴とする。
前記構成によれば、近用視表保持部は、遠用視表から放射され視標呈示光学系を進行する光束の光路の外側に配置され、近用視表を保持する。そのため、近用視表は、遠用視表から放射された光束の光路の外側に配置される。そのため、遠用検査が行われる際に、遠用視表から放射された光束の光路の外側に近用視表を退避させなくともよい。そのため、近用視表保持部の構造および近用視表保持部を移動させる駆動部などの構造を簡易化することができる。
好ましくは、前記視標を記憶する記憶部を有する制御装置をさらに備え、前記近用視表は、前記制御装置から送信された信号に基づいて前記視標を表示する電子表示装置であり、前記制御装置は、所定のアプリケーションを動作可能な前記電子表示装置に対して前記記憶部に記憶された前記視標を表示させる制御を実行することを特徴とする。
前記構成によれば、制御装置が所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置に視標を表示させる制御を実行するため、検眼専用の電子表示装置を使用しなくともよく、所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置を近用視表として利用することができる。そのため、被検者が所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置を近用視表として利用することができる。これにより、近用眼鏡の実際の使用環境により一層合わせた近用検査を行うことが可能である。
好ましくは、前記近用視表保持部は、前記電子表示装置の表示領域よりも狭い開口領域の外側において前記電子表示装置から放射された光束を遮蔽する遮光領域を有するマスクを有し、前記制御装置は、前記電子表示装置が前記近用視表保持部に保持された後に、前記マスクの前記開口領域に対する前記表示領域の位置ずれおよび回転ずれを補正する制御を実行することを特徴とする。
前記構成によれば、制御装置は、電子表示装置が近用視表保持部に保持された後に、マスクの開口領域に対する電子表示装置の表示領域の位置ずれを補正する制御を実行するため、電子表示装置の表示領域の中心がマスクの開口領域の中心からずれた状態で電子表示装置が近用視表保持部に保持された場合であっても、マスクの開口領域の中心に視標を表示させることができる。また、制御装置は、電子表示装置が近用視表保持部に保持された後に、マスクの開口領域に対する電子表示装置の表示領域の回転ずれを補正する制御を実行するため、電子表示装置の表示領域がマスクの開口領域に対して傾いた状態で電子表示装置が近用視表保持部に保持された場合であっても、マスクの開口領域に対する傾きが抑えられた視標を表示させることができる。
本発明によれば、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことができる視標表示装置を提供することができる。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る視標呈示装置を表す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る視標呈示装置を表す断面図である。
図3は、本実施形態に係る視標呈示装置の要部構成を表すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る視標呈示装置を表す断面図である。
図3は、本実施形態に係る視標呈示装置の要部構成を表すブロック図である。
本実施形態に係る視標呈示装置2は、検眼用の視表に付された視標を被検眼Eに向けて呈示する装置であり、筐体3と、近用視表42を保持する近用視表保持部43と、を備える。視標呈示装置2は、筐体3の開口部32を開閉可能な蓋部33と、遠用視表41と、近用視表42と、視標呈示光学系5と、制御装置7と、第1窓部45と、第2窓部46と、検眼テーブル9と、さらに備えていてもよい。近用視表保持部43と、遠用視表41と、近用視表42と、視標呈示光学系5と、制御装置7と、第1窓部45と、第2窓部46と、は筐体3の内部に設けられている。
図1に表したように、検眼テーブル9は、支柱91と、自覚式検眼手段(レフラクターヘッド)92と、照明ユニット93と、を有する。支柱91は、鉛直方向Yの軸を中心として回転可能に設けられている。自覚式検眼手段92および照明ユニット93は、支柱91に支持されている。自覚式検眼手段92は、視表呈示装置2の筐体3に取り付けられ、被検眼の前面に対して挿脱可能に構成されていても良い。
筐体3は、近用視表保持部43と、近用視表42と、遠用視表41と、視標呈示光学系5と、制御装置7と、第1窓部45と、第2窓部46と、を内部に収容し、被検者Jと対向する位置に設けられたウインドウWを有する。ウインドウWは、ポリアクリルレート樹脂(PMMA)などの透光性樹脂により形成され、約2mm程度の厚さを有する。本実施形態に係る視標呈示装置2では、近用視表42が筐体3の内部に設けられるため、被検者Jの被検眼Eの角膜頂点と、筐体3の前面と、の間の距離(ワーキングディスタンス)WDは、近用視表の呈示距離よりも短く設定可能とされている。また、本実施形態に係る視標呈示装置2では、ウインドウWの前面は、筐体3の前面の一例である。
筐体3の後部38には、筐体3の外部と筐体3の内部とを接続する開口部32が設けられている。検者等は、筐体3の開口部32を通して、近用視表42を近用視表保持部43に取り付けたり、近用視表42を近用視表保持部43から外したりすることができる。つまり、近用視表42は、筐体3の開口部32を通して交換可能とされている。筐体3の開口部32の近傍には、蓋部33が設けられている。蓋部33は、筐体3に対して回転可能に軸支され、筐体3の開口部32を開閉可能である。図2に表した視標呈示装置2では、蓋部33は、水平方向X(図1参照)の軸を中心として回転可能とされている。但し、蓋部33の回転軸は、水平方向Xの軸には限定されず、鉛直方向Y(図1参照)の軸であってもよい。
近用視表保持部43は、筐体3の内部に設けられ、近用視表42を着脱可能に保持する。図2に表した視標呈示装置2では、近用視表保持部43は、遠用視表41から放射された光束の光路内において近用視表42を保持する。近用視表保持部43の詳細については、図面を参照しながら後述する。
近用視表42は、近用検査用の視表であり、被検眼Eに対して視標を呈示する。例えば、近用視表42は、液晶表示装置などの電子表示装置として近用視表保持部43に保持され、表示画面421にランドルト環などの視標を表示することができる。表示画面421は、近用視表42のうちで画像を表示する部分や領域に相当し、本発明の「表示領域」の一例である。近用視表42は、液晶表示装置に限定されるわけではなく、他の表示デバイスであってもよく、視標パターンを描画したガラス板や紙により形成されていてもよい。また、近用視表42は、ランドルト環などの検眼用の視標が付された視表や、ランドルト環などの検眼用の視標を表示可能な電子表示装置に限定されるわけではなく、新聞紙面や書籍などの印刷物や、被検者Jが所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置であってもよい。前述したように、近用視表42は、筐体3の開口部32を通して交換可能とされている。
遠用視表41は、遠用検査用の視表であり、被検眼Eに対して視標を呈示する。例えば、遠用視表41は、液晶表示装置などの電子表示装置として筐体3の内部に配置され、表示画面411にランドルト環などの視標を表示することができる。表示画面411は、遠用視表41のうちで画像を表示する部分や領域に相当し、本発明の「表示領域」の一例である。遠用視表41は、液晶表示装置に限定されるわけではなく、他の表示デバイスであってもよく、視標パターンを描画したガラス板や紙により形成されていてもよい。
視標呈示光学系5は、筐体3の内部に設けられ、遠用視表41および近用視表42から放射された光束を筐体3の内部に配置された光学系を介して被検眼Eに呈示する。視標呈示光学系5は、第1反射ミラー51と、凸レンズ系52と、第2反射ミラー53と、を有する。第1反射ミラー51は、遠用視表41から放射された光束を凸レンズ系52に向けて反射する。凸レンズ系52は、第1反射ミラー51により反射された光束を屈折させ虚像を形成する。つまり、視標呈示光学系5は、遠用視表41から放射された光束を被検眼Eに呈示する。なお、遠用視表41の表示画面411は、凸レンズ系52と、凸レンズ系52の焦点521と、の間に配置されている。また、凸レンズ系52は、図2に表した1つの平凸レンズには限定されず、複数のレンズを有していてもよい。
遠用検査が行われる場合には、第2反射ミラー53は、凸レンズ系52を透過した光束を被検眼Eに向けて反射し、被検眼Eの角膜頂点の前方の所定距離の遠用呈示位置531に虚像を呈示する。このとき、例えば、近用視表42を保持した近用視表保持部43は、近用視表保持駆動部44(図4参照)から伝達された駆動力を受けて移動し、遠用視表41から放射された光束の光路の外側に退避している。なお、近用視表保持部43は、近用視表42を保持していない場合であって、光透光性部材で形成されていたり、光束が通過する開口部などを有していたりする場合には、必ずしも遠用視表41から放射された光束の光路の外側に退避しなくともよい。この場合には、近用視表保持駆動部44は、必ずしも設けられていなくともよい。被検眼Eの角膜頂点と、遠用呈示位置531と、の間の距離は、約5m程度である。
近用検査が行われる場合には、第2反射ミラー53は、近用視表42から放射された光束を反射し被検眼Eに呈示する。図2に表したように、近用視表42は、凸レンズ系52の光出射側に設けられている。そのため、近用視表42から放射された光束は、第1反射ミラー51により反射されたり、凸レンズ系52を透過したりすることはない。但し、本実施形態の視標呈示光学系5の構成は、一例であり、これだけに限定されるわけではない。
第1窓部45は、第1反射ミラー51により反射され第2反射ミラー53に導かれる光束の光軸LA1(図2参照)に沿った方向において、凸レンズ系52と、近用視表保持部43と、の間に設けられている。つまり、第1窓部45は、光軸LA1に沿った方向において近用視表保持部43の前側(光入射側)に設けられている。第2窓部46は、光軸LA1に沿った方向において近用視表保持部43の後側(光出射側)に設けられている。これにより、近用視表保持部43は、光軸LA1の方向に沿ってみたときに、第1窓部45と第2窓部46との間に挟まれている。第1窓部45および第2窓部46は、近用視表保持部43に保持された近用視表42を保護し、埃や塵が近用視表42に付着することを抑える。なお、近用視表42を保護する窓部については、第1窓部45および第2窓部46の両方が設けられていてもよく、第1窓部45および第2窓部46のいずれか一方が設けられていてもよい。
図3に表したように、制御装置7は、演算部71と、記憶部72と、表示画像処理部73と、を有する。演算部71は、例えばCPU(Central Processing Unit)などであり、プログラムの起動や、信号の制御処理や、演算や、各駆動部の駆動制御などを実行する。すなわち、演算部71は、視標呈示装置2の全体の制御を行う。記憶部72には、例えば、表示画像処理のためのシーケンスプログラムや、近用視表保持部43に保持された近用視表42のキャリブレーションのためのシーケンスプログラムや、演算プログラムなどが格納されている。記憶部72としては、例えば、筐体3に内蔵された半導体メモリなどが挙げられる。あるいは、記憶部72としては、視標呈示装置2に接続可能なCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、ハードディスク、メモリカードなどの種々の記憶媒体が挙げられる。
表示画像処理部73は、表示画像解析部74と、表示画像形成部75と、を有し、遠用視表41の表示画面411および近用視表42の表示画面421に表示された画像に対して各種の画像解析を実行したり、遠用視表41の表示画面411および近用視表42の表示画面421に表示させる画像に対して各種の画像処理を実行したりする。表示画像処理部73が各種の処理を実行する場合には、遠用視表41および近用視表42は、制御装置7から送信された信号に基づいて画像を表示する電子表示装置である。図3に関する以下の説明では、表示画像処理部73が近用視表42に対して実行する処理を例に挙げて説明する。なお、表示画像処理部73が近用視表42に対して実行する処理は、遠用視表41に対して適用可能である。
表示画像解析部74は、画面サイズ算出部741と、画素ピッチ算出部742と、中央画素位置特定部743と、回転角算出部744と、を有し、近用視表42の表示画面421に表示された画像に対して各種の画像解析を実行する。画面サイズ算出部741は、近用視表保持部43に保持された近用視表42のキャリブレーションを実行することにより、近用視表42の表示画面421のサイズを算出する。近用視表42のキャリブレーションの詳細については、後述する。画素ピッチ算出部742は、近用視表保持部43に保持された近用視表42のキャリブレーションを実行することにより、近用視表42の表示画面421の画素ピッチを算出する。中央画素位置特定部743は、近用視表保持部43に保持された近用視表42のキャリブレーションを実行することにより、近用視表42の表示画面421の画素のうち近用視表保持部43のマスク432の開口領域434(図5(a)および図5(b)参照)の中央位置に相当する画素を特定する。回転角算出部744は、近用視表保持部43に保持された近用視表42のキャリブレーションを実行することにより、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角(傾き角)を算出する。
表示画像形成部75は、視標サイズ変更部751と、視標位置変更部752と、視標回転角変更部753と、を有し、近用視表42の表示画面421に表示させる画像に対して各種の画像処理を実行する。視標サイズ変更部751は、表示画像解析部74の解析結果に基づいて、近用視表42の表示画面421に表示させる視標の像の大きさを変更する。「視標の像の大きさ」としては、例えば、ランドルト環などの視標の像高が挙げられる。視標位置変更部752は、表示画像解析部74の解析結果に基づいて、近用視表42の表示画面421における視標の表示位置を変更する。視標回転角変更部753は、表示画像解析部74の解析結果に基づいて、近用視表42の表示画面421における視標の表示回転角を変更する。
図3に表したように、筐体3の内部には、近用視表保持駆動部44がさらに設けられていてもよい。近用視表保持駆動部44は、制御装置7から送信された信号に基づいて、近用視表保持部43を移動させる。例えば、近用視表保持駆動部44は、モータなどのアクチュエータと、歯車やベルトなどの伝動部材と、を有する。近用視表保持駆動部44は、遠用視表41から放射された光束の光路の外側に近用視表保持部43を退避させたり、光軸LA1の方向に沿って近用視表保持部43を移動させたりする。近用視表保持駆動部44は、光軸LA1の方向に沿って近用視表保持部43を移動させることにより、近用視表42の表示画面421に表示された視標の呈示距離を変更することができる。
図3に表したように、本実施形態に係る視標呈示装置2は、ユーザインタフェース8をさらに備えていてもよい。ユーザインタフェース8は、操作部81と、表示部82と、報知部83と、を有する。操作部81は、筐体3の外部などに設けられた各種のボタンやキーなどを有し、各種のボタンやキーなどに対して操作された内容に関する信号を制御装置7に送信する。表示部82は、液晶表示装置などを有し、カメラにより撮影された被検眼Eの画像を表示することができる。操作部81および表示部82は、別個のデバイスとして設けられていなくともよく、タッチパネルなどのように、操作機能と表示機能とが一体化されたデバイスであってもよい。報知部83は、制御装置7から送信された信号に基づいて、音声や光による報知を実行する。報知部83としては、スピーカおよび発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などが挙げられる。
ここで、近用視表が視標呈示装置の筐体内に設置されたままの状態では、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが困難な場合がある。例えば、近用視表が紙製である場合には、近用視表に印刷された視標の種類や数が比較的少ない。すなわち、被検者に呈示される視標の自由度が低く、視標の種類や数が制限される。一方で、近用視表が電子表示装置である場合には、電子表示装置の解像度によっては、視力値2.0に対応する視標が鮮明に表示されない場合がある。また、近用眼鏡の装用目的や近用眼鏡に対する要望は、被検者によって異なっている。例えば、近用眼鏡を装用してスマートフォンやタブレットコンピュータなどの種々の端末装置を見ることが被検者の要望である場合がある。あるいは、近用眼鏡を装用して新聞紙面や書籍などに印刷された細かい文字等を見ることが被検者の要望である場合がある。あるいは、電子表示装置に関する技術の進歩が早いため、近用視表として用いられている電子表示装置が最新の技術を搭載していない場合がある。このような場合において、近用視表が視標呈示装置の筐体内に設置されたままの状態では、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが困難である。
これに対して、本実施形態に係る視標呈示装置2では、近用視表42は、近用視表保持部43に着脱可能に保持されているとともに、筐体3の外部から開口部32を通して交換可能とされている。そのため、検者は、被検者Jの要望に応じて、近用視表42として紙の視表を筐体3の開口部32を通して近用視表保持部43に装着したり、電子表示装置を筐体3の開口部32を通して近用視表保持部43に装着したりすることができる。あるいは、近用視表42として、新聞紙面や書籍などの印刷物を利用し筐体3の開口部32を通して近用視表保持部43に装着したり、被検者Jが所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置を利用し筐体3の開口部32を通して近用視表保持部43に装着したりすることができる。これにより、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことが可能である。
また、前述したように、蓋部33は、筐体3に対して回転可能に軸支され、筐体3の開口部32を開閉可能である。そのため、埃や塵が筐体3の開口部32を通して筐体3内に進入することを抑えることができる。これにより、埃や塵が近用視表42に付着することを抑えることができる。
また、図2に表したように、近用視表保持部43は、遠用視表41から放射された光束の光路内に配置され、近用視表42を保持する。そのため、近用視表42は、遠用視表41から放射された光束の光路内に配置される。そのため、近用視表42から放射された光束の光路は、遠用視表41から放射された光束の一部と重複する。これにより、筐体3の小型化を図ることができ、検眼に必要な空間L0を短く、省スペース化することができる。
次に、本実施形態の変形例に係る視標呈示装置について説明する。
なお、本変形例に係る視標呈示装置2Aの構成要素が、図1〜図3に関して前述した本実施形態に係る視標呈示装置2の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
なお、本変形例に係る視標呈示装置2Aの構成要素が、図1〜図3に関して前述した本実施形態に係る視標呈示装置2の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図4は、本実施形態の変形例に係る視標呈示装置を表す断面図である。
本具体例に係る視標呈示装置2Aでは、近用視表保持部43は、第2反射ミラー53により反射され被検眼Eに導かれる光束の光軸LA2の方向(光軸方向Z)に沿ってみたときに、第2反射ミラー53からみてウインドウWとは反対側(第2反射ミラー53の反射面の後側)に設けられている。そのため、近用視表保持部43は、近用視表保持部43は、遠用視表41から放射された光束の光路の外側において近用視表42を保持する。
本具体例に係る視標呈示装置2Aでは、近用視表保持部43は、第2反射ミラー53により反射され被検眼Eに導かれる光束の光軸LA2の方向(光軸方向Z)に沿ってみたときに、第2反射ミラー53からみてウインドウWとは反対側(第2反射ミラー53の反射面の後側)に設けられている。そのため、近用視表保持部43は、近用視表保持部43は、遠用視表41から放射された光束の光路の外側において近用視表42を保持する。
近用視表保持駆動部44は、制御装置7から送信された信号に基づいて、光軸方向Zに沿って近用視表保持部43を移動させる。近用視表保持駆動部44は、光軸方向Zに沿って近用視表保持部43を移動させることにより、近用視表42の表示画面421に表示された視標の呈示距離を変更することができる。
筐体3Aの上部39には、筐体3Aの外部と筐体3Aの内部とを接続する開口部32が設けられている。検者等は、筐体3Aの開口部32を通して、近用視表42を近用視表保持部43に取り付けたり、近用視表42を近用視表保持部43から外したりすることができる。つまり、近用視表42は、筐体3Aの開口部32を通して交換可能とされている。筐体3Aの開口部32の近傍には、蓋部33が設けられている。蓋部33は、筐体3Aに対して回転可能に軸支され、筐体3Aの開口部32を開閉可能である。図4に表した視標呈示装置2Aでは、蓋部33は、水平方向X(図1参照)の軸を中心として回転可能とされている。但し、蓋部33の回転軸は、水平方向Xの軸には限定されず、光軸方向Zの軸であってもよい。その他の構造は、図1〜図3に関して前述した視標呈示装置2の構造と同様である。
本具体例によれば、近用視表保持部43は、遠用視表41から放射された光束の光路の外側に配置され、近用視表42を保持する。そのため、近用視表42は、遠用視表41から放射された光束の光路の外側に配置される。そのため、遠用検査が行われる際に、遠用視表41から放射された光束の光路の外側に近用視表42を退避させなくともよい。そのため、近用視表保持部43の構造および近用視表保持駆動部44などの構造を簡易化することができる。
次に、本実施形態の近用視表保持部43の構造、および近用視表42のキャリブレーションを、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態の近用視表保持部を表す図である。
なお、図5(a)は、近用視表42の光出射側から眺めた平面図である。図5(b)は、図5(a)に表した切断面A−Aにおける断面図である。また、近用視表42が電子表示装置である場合を例に挙げて説明する。
図5は、本実施形態の近用視表保持部を表す図である。
なお、図5(a)は、近用視表42の光出射側から眺めた平面図である。図5(b)は、図5(a)に表した切断面A−Aにおける断面図である。また、近用視表42が電子表示装置である場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の近用視表保持部43は、枠体431と、マスク432と、を有する。枠体431は、近用視表42を内部に収容し保持する。枠体431は、近用視表42を固定することなく、近用視表42が外れないように近用視表42を保持する。これにより、検者は、筐体3の開口部32を通して近用視表42を容易に交換することができる。なお、枠体431は、近用視表42が外れないように近用視表42を保持する限りにおいて、近用視表42の全周を覆っていなくともよい。
マスク432は、近用視表42の光出射側に配置され、枠体431に対して着脱可能に取り付けられている。図5(a)に表したように、マスク432の中央部には、近用視表42の表示画面421よりも狭い矩形形状の開口領域434が設けられている。図5(a)に表したマスク432において、開口領域434の横方向の長さD1および縦方向の長さD2は、既知である。マスク432の開口領域434の外側には、遮光領域433が設けられている。遮光領域433は、近用視表42から放射された光束の一部を遮蔽し、近用視表42の表示範囲を制限する。つまり、近用視表42から放射されマスク432の遮光領域433により遮蔽された光束は、被検眼Eには到達しない。近用視表42の表示画面421の大きさに応じて、開口領域434のサイズ(横方向の長さD1および縦方向の長さD2)が互いに異なる複数のマスク432が用意されていてもよい。
制御装置7は、所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置としての近用視表42に対して、記憶部72に記憶された視標を表示させる制御を実行することができる。近用視表42は、視標呈示装置2専用の電子表示装置であってもよく、被検者Jが所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置であってもよい。これにより、近用眼鏡の実際の使用環境により一層合わせた近用検査を行うことが可能である。
制御装置7の表示画像形成部75は、例えば、「非接触通信」とも呼ばれるBluetooth(登録商標)や赤外線通信やワイヤレスLAN(ローカルエリアネットワーク)通信等の「近距離無線通信」を用いて、近用視表42の表示画面421に表示させる視標を変更することができる。あるいは、制御装置7の表示画像形成部75は、近用視表42に接続されたケーブルを介して近用視表42の表示画面421に表示させる視標を変更してもよい。
ここで、近用視表42は、視標呈示装置2専用の電子表示装置であったり、被検者Jが所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置であったりする。そのため、近用視表42の表示画面421のサイズおよび画素ピッチは未知であり、近用検査ごとに異なることがある。そのため、制御装置7が近用視表42の表示画面421に一定の視標を表示させただけでは、近用視表42の表示画面421のサイズおよび画素ピッチに応じて視標の大きさが異なることがある。また、近用視表42は、近用視表保持部43に対して予め固定されているわけではない。そのため、近用視表42が近用視表保持部43に装着された状態に応じて、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の位置ずれおよび回転ずれが生ずることがある。この詳細について、図面を参照してさらに説明する。
図6は、近用視表の表示画面が比較的大きい場合の補正前の状態を表す平面図である。
図7は、近用視表の表示画面が比較的小さい場合の補正前の状態を表す平面図である。
図8は、近用視表の表示画面が比較的大きい場合の補正後の状態を表す平面図である。
図9は、近用視表の表示画面が比較的小さい場合の補正後の状態を表す平面図である。
なお、図6〜図9に関する説明では、視標425がランドルト環である場合を例に挙げる。
図7は、近用視表の表示画面が比較的小さい場合の補正前の状態を表す平面図である。
図8は、近用視表の表示画面が比較的大きい場合の補正後の状態を表す平面図である。
図9は、近用視表の表示画面が比較的小さい場合の補正後の状態を表す平面図である。
なお、図6〜図9に関する説明では、視標425がランドルト環である場合を例に挙げる。
図6に表したように、同じ画像(ランドルト環)を表示した場合、近用視表42Aの表示画面421が比較的大きい場合には、表示画像処理部73が表示画像処理を実行する前では、表示画面421に表示される視標425は、比較的大きい。一方で、図7に表したように、近用視表42Bの表示画面421が比較的小さい場合には、表示画像処理部73が表示画像処理を実行する前では、表示画面421に表示される視標425は、比較的小さい。つまり、図6に表した視標425の像の高さY1は、図7に表した視標425の像の高さY2よりも高い。このままの状態では、正確な近用検査を行うことができなかったり、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことができなかったりする場合がある。
これに対して、本実施形態に係る視標呈示装置2では、視標サイズ変更部751は、画面サイズ算出部741により算出された近用視表42Aの表示画面421のサイズと、画素ピッチ算出部742により算出された近用視表42Aの表示画面421の画素ピッチと、に基づいて、近用視表42Aの表示画面421に表示させる視標425の像の大きさを補正する制御を実行する。具体的には、視標サイズ変更部751は、図6に表した視標425の像の高さY1を図8に表した視標425の像の高さY3に変更する。つまり、視標サイズ変更部751は、図6に表した視標425の像の大きさを小さくする補正を実行する。
また、視標サイズ変更部751は、画面サイズ算出部741により算出された近用視表42Bの表示画面421のサイズと、画素ピッチ算出部742により算出された近用視表42Bの表示画面421の画素ピッチと、に基づいて、近用視表42Bの表示画面421に表示させる視標425の像の大きさを補正する制御を実行する。具体的には、視標サイズ変更部751は、図7に表した視標425の像の高さY2を図9に表した視標425の像の高さY3に変更する。つまり、視標サイズ変更部751は、図7に表した視標425の像の大きさを大きくする補正を実行する。図8に表した視標425の像の高さY3は、図9に表した視標425の像の高さY3と同じである。
これによれば、近用視表42A、42Bの表示画面421のサイズが異なる場合であっても、視標サイズ変更部751は、視標425の像の大きさを制御し、視標425の視角を一定に保持することができる。そのため、正確な近用検査を行うことができるとともに近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことができる。
図10は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の位置ずれを補正する前の状態を表す平面図である。
図11は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の回転ずれを補正する前の状態を表す平面図である。
図12は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の位置ずれを補正した後の状態を表す平面図である。
図13は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の回転ずれを補正した後の状態を表す平面図である。
なお、図10〜図13に関する説明では、視標425がランドルト環である場合を例に挙げる。
図11は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の回転ずれを補正する前の状態を表す平面図である。
図12は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の位置ずれを補正した後の状態を表す平面図である。
図13は、マスクの開口領域に対する近用視表の表示画面の回転ずれを補正した後の状態を表す平面図である。
なお、図10〜図13に関する説明では、視標425がランドルト環である場合を例に挙げる。
近用視表42は、近用視表保持部43に対して予め固定されているわけではない。そのため、図10に表したように、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の位置ずれが生ずることがある。具体的には、視標425の中心426は、近用視表42の表示画面421の中心に一致している一方で、マスク432の開口領域434の中心435からずれていることがある。また、図11に表したように、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転ずれが生ずることがある。具体的には、視標425がマスク432の開口領域434の少なくともいずれかの辺に対して傾斜していることがある。このままの状態では、正確な近用検査を行うことができなかったり、近用眼鏡の実際の使用環境に合わせた近用検査を行うことができなかったりする場合がある。
これに対して、本実施形態に係る視標呈示装置2では、視標位置変更部752は、中央画素位置特定部743により特定されたマスク432の開口領域434の中心435の位置に相当する画素に基づいて、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の位置ずれを補正する制御を実行する。具体的には、視標位置変更部752は、マスク432の開口領域434の中心435の位置に相当する画素に、視標425の中心426に相当する画素を一致させる制御を実行する。
また、視標回転角変更部753は、回転角算出部744により算出されたマスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角(傾き角)に基づいて、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転ずれを補正する制御を実行する。具体的には、視標回転角変更部753は、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角をゼロに設定する制御を実行する。
これによれば、近用視表42の表示画面421の中心がマスク432の開口領域434の中心435からずれた状態で近用視表42が近用視表保持部43に保持された場合であっても、マスク432の開口領域434の中心435に視標425を表示させることができる。また、近用視表42の表示画面421がマスク432の開口領域434に対して傾いた状態で近用視表42が近用視表保持部43に保持された場合であっても、マスク432の開口領域434に対する傾きが抑えられた視標425を表示させることができる。
図14は、本実施形態の近用視表のキャリブレーションの動作例を表すフローチャートである。
図14に表したフローチャートの説明では、所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置としての近用視表42が近用視表保持部43に装着された場合を例に挙げる。
図14に表したフローチャートの説明では、所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置としての近用視表42が近用視表保持部43に装着された場合を例に挙げる。
まず、検者が筐体3の開口部32を通して近用視表42を近用視表保持部43に装着し、キャリブレーションモードを選択する。例えば、キャリブレーションモードの選択は、検者による操作部81に対する操作に基づいて行われる。キャリブレーションモードが選択されると、ステップS11において、制御装置7は、近用視表42の表示画面421に3つ以上のアイコン422(図5(a)〜図13参照)を表示させる。図5(a)〜図13に表した例では、4つのアイコン422が近用視表42の表示画面421に表示されている。図14に表したフローチャートの説明では、4つのアイコン422が近用視表42の表示画面421に表示された場合を例に挙げる。
ステップS11において、4つのアイコン422が表示される位置(画素)は、任意であってもよい。近用視表42の表示画面421の中心画素からみて4つのアイコン422のそれぞれが表示される画素が既知である場合には、表示画像解析部74は、後の処理において4つのアイコン422のそれぞれの移動量(移動画素)を算出することができる。つまり、制御装置7は、近用視表42のキャリブレーションにおいて、4つのアイコン422のそれぞれの移動量を利用することができる。
続いて、検者は、ウインドウWを通して近用視表42を目視しつつ、カーソルキーやタッチパネルやリモコンなどの操作部81を利用して、4つのアイコン422の位置をマスク432の開口領域434の規定位置に合わせる。図5(a)に表したように、例えば、規定位置としては、マスク432の開口領域434の四隅の位置が挙げられる。アイコン422の移動は、近用視表42の表示画面の画素ピッチにより行われる。検者は、4つのアイコン422の位置をマスク432の開口領域434の規定位置に合わせると、「アイコン位置合わせ完了」の指示を操作部81の操作により行う。
ステップS12において、制御装置7は、「アイコン位置合わせ完了」の指示があったか否かを判断する。「アイコン位置合わせ完了」の指示がない場合には(ステップS12:NO)、引き続き、検者は、4つのアイコン422の位置をマスク432の開口領域434の規定位置に合わせる。一方で、「アイコン位置合わせ完了」の指示があった場合には(ステップS12:YES)、ステップS13において、画面サイズ算出部741は、4つのアイコン422の移動量に基づいて近用視表42の表示画面421のサイズを算出する。あるいは、画面サイズ算出部741は、4つのアイコン422の相対的な位置関係に基づいて近用視表42の表示画面421のサイズを算出してもよい。また、ステップS13において、画素ピッチ算出部742は、4つのアイコン422の移動量に基づいて近用視表42の表示画面421の画素ピッチを算出する。あるいは、画素ピッチ算出部742は、4つのアイコン422の相対的な位置関係に基づいて近用視表42の表示画面421の画素ピッチを算出してもよい。また、ステップS13において、中央画素位置特定部743は、4つのアイコン422の移動量に基づいてマスク432の開口領域434の中心435の位置に相当する画素を特定する。あるいは、中央画素位置特定部743は、4つのアイコン422の相対的な位置関係に基づいてマスク432の開口領域434の中心435の位置に相当する画素を特定してもよい。また、ステップS13において、回転角算出部744は、4つのアイコン422の移動量に基づいてマスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角を算出する。あるいは、回転角算出部744は、4つのアイコン422の相対的な位置関係に基づいてマスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角を算出してもよい。
続いて、ステップS14において、制御装置7は、画面サイズ算出部741により算出された近用視表42の表示画面421のサイズと、画素ピッチ算出部742により算出された近用視表42の表示画面421の画素ピッチと、に基づいて、視標425の表示分解能を達成できるか否かを判断する。すなわち、近用視表42の表示画面421のサイズおよび画素ピッチによっては、視力値2.0に対応する視標425が鮮明に表示されない場合がある。例えば、視力値2.0に対応するランドルト環の隙間が鮮明に表示されない場合がある。
視標425の表示分解能が達成されない場合には(ステップS14:NO)、ステップS16において、制御装置7は、報知部83を制御することにより、表示分解能が達成されないことを音声や光により報知する。一方で、視標425の表示分解能が達成される場合には(ステップS14:YES)、ステップS15において、視標サイズ変更部751は、画面サイズ算出部741により算出された近用視表42の表示画面421のサイズと、画素ピッチ算出部742により算出された近用視表42の表示画面421の画素ピッチと、に基づいて、近用視表42の表示画面421に表示させる視標425の像の大きさを変更する。また、ステップS15において、視標位置変更部752は、中央画素位置特定部743により特定されたマスク432の開口領域434の中心435の位置に相当する画素に基づいて、視標425の位置を変更する。具体的には、視標位置変更部752は、マスク432の開口領域434の中心435の位置に相当する画素に、視標425の中心426に相当する画素を一致させる。また、ステップS15において、視標回転角変更部753は、回転角算出部744により算出されたマスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角に基づいて、マスク432の開口領域434に対する視標425の傾きを変更する。具体的には、視標回転角変更部753は、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転角をゼロに設定することにより、マスク432の開口領域434に対する視標425の回転角をゼロに設定する。そして、ステップS15において、制御装置7は、視標425の大きさ、位置、および回転量を変更する処理を行った上で、視標425を近用視表42の表示画面421に表示させる。これにより、近用視表42のキャリブレーションが終了する。
図14に表したフローチャートの動作例によれば、制御装置7は、電子表示装置としての近用視表42が近用視表保持部43に保持された後に、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の位置ずれを補正する制御を実行する。そのため、近用視表42の表示画面421の中心がマスク432の開口領域434の中心435からずれた状態で近用視表42が近用視表保持部43に保持された場合であっても、マスク432の開口領域434の中心435に視標425を表示させることができる。また、制御装置7は、電子表示装置としての近用視表42が近用視表保持部43に保持された後に、マスク432の開口領域434に対する近用視表42の表示画面421の回転ずれを補正する制御を実行する。そのため、近用視表42の表示画面421がマスク432の開口領域434に対して傾いた状態で近用視表42が近用視表保持部43に保持された場合であっても、マスク432の開口領域434に対する傾きが抑えられた視標425を表示させることができる。
また、制御装置7が所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置としての近用視表42に視標425を表示させる制御を実行する。そのため、検眼専用の電子表示装置を使用しなくともよく、所定のアプリケーションを動作可能な電子表示装置を近用視表42として利用することができる。そのため、被検者Jが所有しているスマートフォンやタブレットコンピュータなどの端末装置を近用視表42として利用することができる。これにより、近用眼鏡の実際の使用環境により一層合わせた近用検査を行うことが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
2、2A・・・視標呈示装置、 3、3A・・・筐体、 5・・・視標呈示光学系、 7・・・制御装置、 8・・・ユーザインタフェース、 9・・・検眼テーブル、 32・・・開口部、 33・・・蓋部、 38・・・後部、 39・・・上部、 41・・・遠用視表、 42、42A、42B・・・近用視表、 43・・・近用視表保持部、 44・・・近用視表保持駆動部、 45・・・第1窓部、 46・・・第2窓部、 51・・・第1反射ミラー、 52・・・凸レンズ系、 53・・・第2反射ミラー、 71・・・演算部、 72・・・記憶部、 73・・・表示画像処理部、 74・・・表示画像解析部、 75・・・表示画像形成部、 81・・・操作部、 82・・・表示部、 83・・・報知部、 91・・・支柱、 92・・・自覚式検眼手段(レフラクターヘッド)、 93・・・照明ユニット、 411、421・・・表示画面、 422・・・アイコン、 425・・・視標、 426・・・中心、 431・・・枠体、 432・・・マスク、 433・・・遮光領域、 434・・・開口領域、 435・・・中心、 521・・・焦点、 531・・・遠用呈示位置、 741・・・画面サイズ算出部、 742・・・画素ピッチ算出部、 743・・・中央画素位置特定部、 744・・・回転角算出部、 751・・・視標サイズ変更部、 752・・・視標位置変更部、 753・・・視標回転角変更部、 E・・・被検眼、 E0・・・特徴点、 J・・・被検者、 L0・・・空間、 LA1、LA2・・・光軸、 W・・・ウインドウ、 X・・・水平方向、 Y・・・鉛直方向、 Z・・・光軸方向
Claims (7)
- 検眼用の視表に付された視標を被検眼に向けて呈示する視標呈示装置であって、
外部と内部とを接続する開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ近用検査用の近用視表を着脱可能に保持する近用視表保持部と、
を備え、
前記近用視表は、前記筐体の前記外部から前記開口部を通して交換可能とされてなることを特徴とする視標呈示装置。 - 前記筐体に対して回転可能に軸支され、前記開口部を開閉可能な蓋部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の視標呈示装置。
- 前記筐体の前記内部に設けられた遠用検査用の遠用視表と、
前記筐体の前記内部に設けられ前記遠用視表から放射された光束を前記筐体の前記内部に配置された光学系を介して前記被検眼に呈示する視標呈示光学系と、
をさらに備え、
前記近用視表保持部は、前記光束の光路内において前記近用視表を保持することを特徴とする請求項1または2に記載の視標呈示装置。 - 前記視標呈示光学系の光軸に沿った方向において前記近用視表保持部の前側および後側の少なくともいずれかに設けられ、前記近用視表保持部に保持された前記近用視表を保護する窓部をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の視標呈示装置。
- 前記筐体の前記内部に設けられた遠用検査用の遠用視表と、
前記筐体の前記内部に設けられ前記遠用視表から放射された前記光束を前記筐体の前記内部に配置された光学系を介して前記被検眼に呈示する視標呈示光学系と、
をさらに備え、
前記近用視表保持部は、前記光束の光路の外側において前記近用視表を保持することを特徴とする請求項1または2に記載の視標呈示装置。 - 前記視標を記憶する記憶部を有する制御装置をさらに備え、
前記近用視表は、前記制御装置から送信された信号に基づいて前記視標を表示する電子表示装置であり、
前記制御装置は、所定のアプリケーションを動作可能な前記電子表示装置に対して前記記憶部に記憶された前記視標を表示させる制御を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の視標呈示装置。 - 前記近用視表保持部は、前記電子表示装置の表示領域よりも狭い開口領域の外側において前記電子表示装置から放射された光束を遮蔽する遮光領域を有するマスクを有し、
前記制御装置は、前記電子表示装置が前記近用視表保持部に保持された後に、前記マスクの前記開口領域に対する前記表示領域の位置ずれおよび回転ずれを補正する制御を実行することを特徴とする請求項6に記載の視標呈示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018068851A JP2019177046A (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | 視標呈示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018068851A JP2019177046A (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | 視標呈示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019177046A true JP2019177046A (ja) | 2019-10-17 |
Family
ID=68276883
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018068851A Pending JP2019177046A (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | 視標呈示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019177046A (ja) |
-
2018
- 2018-03-30 JP JP2018068851A patent/JP2019177046A/ja active Pending
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