JP2019175717A - 発光画像表示機能付き衣類および無機elシート - Google Patents
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Abstract
【課題】衣類が元々持っている柔軟性を損なうことなく、無機ELシートにより発光画像の表示が可能であり、自在に折り畳んだりすることができ、さらに、水で洗濯することが可能な発光画像表示機能付き衣類を提供する。【解決手段】発光画像表示機能付き衣類は、衣類(10)の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシート(20)を有する。衣類の無機ELシートが設けられている部分は無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有する。無機ELシートの厚さは5μm以上50μm以下である。無機ELシートは、典型的には、衣類の表面から順に、絶縁層、背面電極、誘電体層、発光層、フレキシブル透明表面電極および透明絶縁層からなる。【選択図】図1
Description
この発明は、発光画像表示機能付き衣類および無機ELシートに関し、例えば、暗所において人が着ている衣類の表面に発光画像を表示して広告、宣伝等を行うのに適用して好適なものである。
従来、衣服の前面あるいは背面にシート状EL発光装置のシート部をマジックテープ(登録商標)にて設け、あるいは縫製、接着剤等により衣服に直接固着した広告用衣服が提案されている(特許文献1参照。)。この広告用衣服では、シート前面に広告内容等を透明インクでシルク印刷した透過性広告シート等を装着し、この広告用衣服を広告員が装着して、イベント会場あるいは人の密集する街頭等でキャンペーン活動することで、昼間のみならず、特に夜間においては、内照式看板に準ずる広告面での視覚効果をこの広告用衣服そのものが発揮するとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の広告用衣服は、シート状EL発光装置の厚さが1mm程度以上であると考えられ、このシート状EL発光装置が装着された部分の広告用衣服の柔軟性が低いことから着心地が悪いだけでなく、自在に折り畳んだりすることは困難であり、さらに、シート状EL発光装置が装着された状態で広告用衣服を水で洗濯可能とすること、すなわちウォッシャブルとすることは困難であった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、衣類が元々持っている柔軟性を損なうことなく、無機ELシートにより発光画像の表示が可能であり、自在に折り畳んだりすることができ、さらに、水で洗濯することが可能な発光画像表示機能付き衣類およびこの発光画像表示機能付き衣類に用いられる無機ELシートを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
衣類の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシートを有し、
上記衣類の上記無機ELシートが設けられている部分が上記衣類の上記無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有する発光画像表示機能付き衣類である。
衣類の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシートを有し、
上記衣類の上記無機ELシートが設けられている部分が上記衣類の上記無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有する発光画像表示機能付き衣類である。
この発光画像表示機能付き衣類においては、無機ELシートが画像の表示装置となる。無機ELシートは、この無機ELシートの発光層から面状に発する光によりこの無機ELシートに発光画像を表示することができる。この無機ELシートの大きさ、形状、衣類上の位置等は、衣類の表面のどの部位にどのような画像をどのようにして表示するかに応じて適宜選ばれる。無機ELシートの厚さは、衣類の無機ELシートが設けられている部分が衣類の無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有する範囲で必要に応じて選ばれるが、衣類が本来有する柔軟性が高い場合はその柔軟性を損なわないように一般的には小さく選ばれ、衣類が本来有する柔軟性が低い場合はある程度大きくても柔軟性を殆ど損なわないため厚さの許容範囲は大きい。無機ELシートの厚さは、衣類によっては、例えば100μm程度であってもよいが、衣類の柔軟性を極力損なわないようにする観点からは、一般的には、50μm以下、好適には30μm以下、より好適には20μm以下、さらに好適には15μm以下である。無機ELシートの厚さの下限は、発光が可能な限り特に存在しないが、一般的には5μm以上、より一般的には8μm以上である。無機ELシートは、典型的には、衣類の表面から順に、絶縁層、背面電極、誘電体層、発光層、フレキシブル透明表面電極および透明絶縁層からなる。絶縁層は、透明であっても不透明であってもよく、各種プラスチックのほか、各種の無機絶縁体(例えば、SiO2 )等であってもよいが、好適にはフレキシブルなものが用いられる。背面電極は、例えば、炭素(C)、銀(Ag)等からなり、好適にはフレキシブルとなるように材料や厚さ等が選択される。誘電体層は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3 )等の強誘電体が用いられ、好適にはフレキシブルとなるように材料や厚さ等が選択される。発光層は、例えば、硫化亜鉛(ZnS)に銅(Cu)をドープした蛍光体を含むものであり、好適にはフレキシブルとなるように材料や厚さ等が選択される。フレキシブル透明表面電極は、最も好適には、十分な柔軟性を有し、かつ、可視光に対して透明な極薄の薄膜の金属、例えば銀(Ag)、導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、マイクロサイズのメッシュ構造を有するITO膜、カーボンナノチューブからなるシート状電極、グラフェン膜等からなり、必要に応じて選ばれる。透明絶縁層は、各種プラスチックのほか、各種の無機絶縁体(SiO2 等)等からなり、好適にはフレキシブルとなるように材料や厚さ等が選択される。透明絶縁層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ等の透明プスラチックが用いられる。
無機ELシートのEL発光回路は、例えば、電池を用いた電源とともに、例えば電源と一体化して無機ELシートの外部、例えばこの発光画像表示機能付き衣類を着用する人の体に装着するバンド等に取り付けられる。EL発光回路は、電池により供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路を含む。この場合、電源のオン/オフにより無機ELシートの発光を制御することができる。EL発光回路は、無機ELシート上に設けてもよい。この場合、このEL発光回路に加えて、外部から無線あるいは有線の通信により発光の制御が可能な発光制御装置が無機ELシート上に設けられることもある。発光制御装置は、外部から送られる信号により単に電源のオン/オフを行うものであってもよいし、電源のオン/オフを繰り返すことにより無機ELシートから発光画像を周期的あるいは非周期的に点滅させるものであってもよい。あるいは、発光層を互いに異なる発光波長で発光する複数の発光層に区分して互いに異なる領域に形成し、各発光層の上下のフレキシブル透明表面電極および背面電極を各発光層を互いに独立に駆動することができるように形成し、外部から送られる信号により発光制御装置によりこれらの発光層を互いに独立に駆動することで無機ELシート上に多色の発光画像を表示することができる。
無機ELシートは、衣類の表面に固定される。例えば、衣類の表面に接着、縫い付け、レーザー溶着、取り分けレーザースポット溶接、ホットメルトによる熱圧着またはこれらの組み合わせにより無機ELシートが衣類の表面に固定される。縫い付けあるいはレーザー溶着を行う場合、その部位は、無機ELシートを衣類の表面に一体に固定することができ、しかも無機ELシートに表示する画像を損なわない限り、特に限定されず、無機ELシートの外周部だけでなく、内部であってもよく、それらの両者であってもよい。
この発光画像表示機能付き衣類においては、好適には、例えば、無機ELシートの背面電極およびフレキシブル透明表面電極とEL発光回路とを接続する第1配線および第2配線の一部が、衣類の裏面にテープ等により貼り付けられる。例えば、EL発光回路が電源と一体化されて衣類の着用者のベルト等に取り付けられる場合には、使用者が衣類を着用した後にEL発光回路と第1配線および第2配線とが接続される。EL発光回路と第1配線および第2配線との接続はコネクタを用いて行うことができる。例えば、第1配線および第2配線の末端を衣類の肌に直接触れない部分、例えば衣類の末端等の衣類の裏面に取り付けられたマイクロUSBまたはミニUSBのメスにより構成するとともに、EL発光回路の出力端子にマイクロUSBケーブルまたはミニUSBケーブルのオスを挿入する。
この発光画像表示機能付き衣類は、衣類の無機ELシートが設けられている部分が衣類の無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有する結果として、衣類が元々洗濯可能なものである限り、洗濯時に水流により繰り返し乱雑に折り曲げられるのに耐えることができ、しかも無機ELシートは耐水性を有する結果、水で洗濯可能、言い換えるとウォッシャブルである。
この発光画像表示機能付き衣類は、基本的にはどのようなものであってもよいが、例えば、Tシャツ等のシャツ、ワイシャツ、ポロシャツ、ジャンパー、コート、ズボン、トレーニングウェア、ユニホーム等であり、素材は、綿、合成繊維(ポリエステル等)、絹、麻等である。
また、この発明は、
衣類の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシートを有する発光画像表示機能付き衣類に用いられる無機ELシートであって、
上記衣類の上記無機ELシートが設けられている部分が上記衣類の上記無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有し、
フレキシブル透明表面電極を有することを特徴とするものである。
衣類の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシートを有する発光画像表示機能付き衣類に用いられる無機ELシートであって、
上記衣類の上記無機ELシートが設けられている部分が上記衣類の上記無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有し、
フレキシブル透明表面電極を有することを特徴とするものである。
この無機ELシートの発明においては、上記以外のことは、その性質に反しない限り、上記の発光画像表示機能付き衣類の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、衣類の表面に設けられた無機ELシートに発光画像を表示することにより暗所において発光画像を視認することができるで、広告、宣伝等を行うことができる。しかも、衣類の無機ELシートが設けられている部分が衣類の無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有するため、衣類の本来の柔軟性を損なうことなく衣類に発光画像表示機能を持たせることができる。さらに、この発光画像表示機能付き衣類は、容易に水で洗濯可能に構成することができる。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。
〈第1の実施の形態〉
[発光画像表示機能付き衣類]
図1に発光画像表示機能付きTシャツを示す。図2に発光画像表示機能付きTシャツの後ろ半分を切除し、後ろから見た図を示す。図1および図2に示すように、この発光画像表示機能付きTシャツは、Tシャツ10の前面の中央部に無機ELシート20がTシャツ10と一体にかつ外側に発光可能に固定されている。Tシャツ10の無機ELシート20が設けられている部分10aはTシャツ10の無機ELシート20が設けられていない部分10bと同等の柔軟性を有する。無機ELシート20の厚さは、このような柔軟性の条件を満たす範囲で、Tシャツ10が本来有する柔軟性に応じて適宜選択することができるが、一般的には、5μm以上50μm以下である。
[発光画像表示機能付き衣類]
図1に発光画像表示機能付きTシャツを示す。図2に発光画像表示機能付きTシャツの後ろ半分を切除し、後ろから見た図を示す。図1および図2に示すように、この発光画像表示機能付きTシャツは、Tシャツ10の前面の中央部に無機ELシート20がTシャツ10と一体にかつ外側に発光可能に固定されている。Tシャツ10の無機ELシート20が設けられている部分10aはTシャツ10の無機ELシート20が設けられていない部分10bと同等の柔軟性を有する。無機ELシート20の厚さは、このような柔軟性の条件を満たす範囲で、Tシャツ10が本来有する柔軟性に応じて適宜選択することができるが、一般的には、5μm以上50μm以下である。
Tシャツ10の無機ELシート20が設けられている部分10aには開口11が形成されており、この開口11を通して無機ELシート20の表面電極および背面電極とそれぞれ接続された配線31、32が取り出されている。配線31、32は、Tシャツ10の裏面にTシャツ10と一体に固定されている。配線31、32をTシャツ10の裏面に固定するためには、例えば、配線31、32の上から透明または不透明または半透明のテープをTシャツ10の裏面に貼り付ける。配線31、32は、例えば、2本の銅線がビニールで被覆された配線ケーブルであるが、これに限定されるものではない。Tシャツ10の裏面の裾の直ぐ上の部分に配線31、32が接続されたコネクタ33が取り付けられている。コネクタ33には、無機ELシート20の外部に設けられるEL発光回路および電源を接続することができるようになっている。
図3および図4に、Tシャツ10の無機ELシート20が設けられている部分10aおよび無機ELシート20が設けられていない部分10bを拡大して示す。ここで、図3は平面図、図4は図3の4−4線に沿っての断面図である。無機ELシート20の表面に発光画像の一例(ABC)を示す。
Tシャツ10の表面に無機ELシート20を固定する具体的な方法について説明する。(1)接着
例えば、無機ELシート20の裏面に両面テープを貼り付け、両面テープ表面の剥離紙を剥がして粘着層をTシャツ10の表面に当てて接着する。無機ELシート20の裏面に両面テープを貼り付ける場所は全面であっても部分的であってもよいが、部分的に貼り付ける場合は、無機ELシート20をたるみを生じることなくTシャツ10の表面に貼り付けることができるようにできるだけ均等に貼り付ける。
例えば、無機ELシート20の裏面に両面テープを貼り付け、両面テープ表面の剥離紙を剥がして粘着層をTシャツ10の表面に当てて接着する。無機ELシート20の裏面に両面テープを貼り付ける場所は全面であっても部分的であってもよいが、部分的に貼り付ける場合は、無機ELシート20をたるみを生じることなくTシャツ10の表面に貼り付けることができるようにできるだけ均等に貼り付ける。
(2)縫い付け
図5Aに示すように、例えば、無機ELシート20をその辺に沿ってミシンなどにより糸40でTシャツ10の表面に縫い付ける。あるいは、図5Bに示すように、図5Aに示す例においてさらに、対角線に沿って40でTシャツ10の表面に無機ELシート20を縫い付ける。あるいは、図5Cに示すように、図5Aに示す例においてさらに、長辺および短辺をそれぞれ二等分する線に沿って糸40でTシャツ10の表面に無機ELシート20を縫い付ける。
図5Aに示すように、例えば、無機ELシート20をその辺に沿ってミシンなどにより糸40でTシャツ10の表面に縫い付ける。あるいは、図5Bに示すように、図5Aに示す例においてさらに、対角線に沿って40でTシャツ10の表面に無機ELシート20を縫い付ける。あるいは、図5Cに示すように、図5Aに示す例においてさらに、長辺および短辺をそれぞれ二等分する線に沿って糸40でTシャツ10の表面に無機ELシート20を縫い付ける。
(3)レーザー溶着
図5A〜Cに示す縫い付け線の代わりに、縫い付け線に対応する線に沿ってレーザー光によりスポット溶着を行うことで、Tシャツ10の表面に無機ELシート20を固定する。あるいは、図5Dに示すように、無機ELシート20に対してマトリクス状に縦横にレーザー光によるスポット溶着(図5D中、溶着点を・で示す)を行うことで、Tシャツ10の表面に無機ELシート20を縫い付ける。
図5A〜Cに示す縫い付け線の代わりに、縫い付け線に対応する線に沿ってレーザー光によりスポット溶着を行うことで、Tシャツ10の表面に無機ELシート20を固定する。あるいは、図5Dに示すように、無機ELシート20に対してマトリクス状に縦横にレーザー光によるスポット溶着(図5D中、溶着点を・で示す)を行うことで、Tシャツ10の表面に無機ELシート20を縫い付ける。
(4)ホットメルトによる熱圧着
ホットメルト接着剤を加熱溶融させて無機ELシート20の裏面に塗布し、その塗布面側をTシャツ10の表面に当てて圧着し、冷却することにより無機ELシート20をTシャツ10の表面に固定する。
ホットメルト接着剤を加熱溶融させて無機ELシート20の裏面に塗布し、その塗布面側をTシャツ10の表面に当てて圧着し、冷却することにより無機ELシート20をTシャツ10の表面に固定する。
図6は無機ELシート20の表面に垂直な断面図を示す。図6に示すように、無機ELシート20は、透明絶縁層21、フレキシブル透明表面電極22、発光層23、誘電体層24、背面電極25および絶縁層26が順に積層された構造を有する。Tシャツ10の表面に無機ELシート20が固定された状態では、Tシャツ10の表面から順に、絶縁層26、背面電極25、誘電体層24、発光層23、フレキシブル透明表面電極22、透明絶縁層21の順になっている。透明絶縁層21は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明材料からなる。フレキシブル透明表面電極22は、例えば、既に挙げた材料から選択されるが、好適には極薄のAg薄膜により形成される。発光層23は、硫化亜鉛(ZnS)に銅(Cu)などをドープした蛍光体を含み、発光波長に応じて設計される。誘電体層24は、例えば、BaTiO3 等からなる。背面電極25は、カーボン、Ag等からなる。好適には、絶縁層26、背面電極25、誘電体層24、発光層23、フレキシブル透明表面電極22および透明絶縁層21の全体が柔軟な透明フィルムによりラミネートされ、最外層は透明フィルムにより構成されている。従って、この場合、詳細には、無機ELシートの透明フィルムがTシャツ10の表面に密着している。
図6に示すように、無機ELシート20の駆動は、フレキシブル透明表面電極22および背面電極25からそれぞれ電極取り出し端子27、28を取り出し、これらの電極取り出し端子27、28の間に交流電源(インバータ)29により交流電圧を印加することにより行う。交流電圧は、例えば、AC100V/400Hzである。
[発光画像表示機能付き衣類の製造方法]
まず、Tシャツ10の前面に開口11を形成する。
まず、Tシャツ10の前面に開口11を形成する。
次に、予め用意した無機ELシート20の電極取り出し端子27、28に配線31、32を接続し、これらの配線31、32を開口11を通してTシャツ10の内部に引き出し、その状態でTシャツ10の前面に絶縁層26がTシャツ10の表面側に来るように無機ELシート20を固定する。無機ELシート20の固定は既に述べた方法により行うことができる。配線31、32の他端にはコネクタ33が取り付けられており、このコネクタ33をTシャツ10の裏面に固定する。
以上により、図1および図2に示す、目的とする発光画像表示機能付き衣類が製造される。
[発光画像表示機能付き衣類の使用方法]
まず、使用者が発光画像表示機能付きTシャツを着る。
まず、使用者が発光画像表示機能付きTシャツを着る。
次に、別途用意されたEL発光回路およびEL発光回路駆動用の交流電源(インバータ)の出力端子をコネクタ33に接続する。例えば、コネクタ33をミニUSBのメスにより構成し、EL発光回路およびEL発光回路駆動用の交流電源(インバータ)の出力端子をミニUSBケーブルのオスにより構成する場合は、ミニUSBケーブルのオスをミニUSBのメスに挿入する。これらのEL発光回路および交流電源は、例えば、使用者のベルト等に取り付けられたポケットに収納される。
無機ELシート20から画像を発光させる場合には、例えば、EL発光回路に取り付けられたスイッチを操作することにより電源を入れる。電源の投入により、例えば、図3に示すような発光画像が無機ELシート20上に表示される。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、Tシャツ10の表面に無機ELシート20を設けた発光画像表示機能付きTシャツを使用者が着用することにより、暗所において無機ELシート20に発光画像を表示することができ、それによって広告、宣伝等を行うことができる。しかも、衣類の無機ELシート20が設けられている部分の発光画像表示機能付きTシャツが無機ELシート20が設けられていない部分と同等の柔軟性を有するため、Tシャツ10の本来の柔軟性を損なうことなくTシャツ10に発光画像表示機能を持たせることができる。さらに、この発光画像表示機能付きTシャツは、容易に水で洗濯可能に構成することができ、ウォッシャブルとすることができる。また、この発光画像表示機能付きTシャツは、無機ELシート20の厚さが極めて小さいことにより重量が極めて小さいため、Tシャツ10に無機ELシート20を固定することによる重量増加が殆どなく、軽量に構成することができる。このため、使用者はTシャツ10を着用している場合と同様な着用感でこの発光画像表示機能付きTシャツを着用することができる。
〈第2の実施の形態〉
[発光画像表示機能付き衣類]
第2の実施の形態においては、無機ELシート20と一体に、例えば無機ELシート20上に、外部から通信、取り分け無線通信により発光の制御が可能な発光制御装置が設けられている。この発光制御装置は、例えば、開口11付近の無機ELシート20上に設けられるが、これに限定されるものではない。この場合、無機ELシート20の電極取り出し端子27、28はこの発光制御装置の二つの入力端子にそれぞれ接続され、この発光制御装置の二つの出力端子がそれぞれ配線31、32に接続される。この発光制御装置は受信装置を備えており、外部から送信される信号がこの受信装置により受信されると導通し、電極取り出し端子27、28と配線31、32とが導通し、それによってEL発光回路が作動して無機ELシート20が発光するようになっている。信号は、例えば、赤外線リモコンやスマートフォン等により外部から送ることができる。その他のことは第1の実施の形態による発光画像表示機能付き衣類と同様である。
[発光画像表示機能付き衣類]
第2の実施の形態においては、無機ELシート20と一体に、例えば無機ELシート20上に、外部から通信、取り分け無線通信により発光の制御が可能な発光制御装置が設けられている。この発光制御装置は、例えば、開口11付近の無機ELシート20上に設けられるが、これに限定されるものではない。この場合、無機ELシート20の電極取り出し端子27、28はこの発光制御装置の二つの入力端子にそれぞれ接続され、この発光制御装置の二つの出力端子がそれぞれ配線31、32に接続される。この発光制御装置は受信装置を備えており、外部から送信される信号がこの受信装置により受信されると導通し、電極取り出し端子27、28と配線31、32とが導通し、それによってEL発光回路が作動して無機ELシート20が発光するようになっている。信号は、例えば、赤外線リモコンやスマートフォン等により外部から送ることができる。その他のことは第1の実施の形態による発光画像表示機能付き衣類と同様である。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、外部から通信により無機ELシート20の発光を制御することができるという利点を得ることができる。
〈第3の実施の形態〉
[発光画像表示機能付き衣類]
第3の実施の形態においては、無機ELシート20の発光層23が、フレキシブル透明表面電極22上の互いに異なる領域に形成された互いに発光波長が異なる複数の発光層により形成されている。これらの複数の発光層は、互いに独立に駆動することができるようにそれぞれ一対の電極が形成されている。具体的には、例えば、フレキシブル透明表面電極22を共通電極とし、背面電極25を各発光層毎に互いに分離して形成する。そして、フレキシブル透明表面電極22から電極取り出し端子を取り出し、各発光層上の背面電極25から電極取り出し端子を取り出す。この場合、フレキシブル透明表面電極22からの電極取り出し端子は、無機ELシート20と一体に、例えば無機ELシート20上に設けられた発光制御装置の一つの入力端子に接続され、各発光層上の背面電極25からの電極取り出し端子はそれぞれ発光制御装置の互いに異なる入力端子に接続されている。この発光制御装置の二つの出力端子がそれぞれ配線31、32に接続される。この発光制御装置は受信装置を備えており、この外部から送信される信号がこの受信装置により受信されると導通し、選択された一組の電極取り出し端子と配線31、32とが導通し、それによって選択された一組の電極取り出し端子に挟まれた発光層が発光し、無機ELシート20が発光するようになっている。その他のことは第1の実施の形態による発光画像表示機能付き衣類と同様である。
[発光画像表示機能付き衣類]
第3の実施の形態においては、無機ELシート20の発光層23が、フレキシブル透明表面電極22上の互いに異なる領域に形成された互いに発光波長が異なる複数の発光層により形成されている。これらの複数の発光層は、互いに独立に駆動することができるようにそれぞれ一対の電極が形成されている。具体的には、例えば、フレキシブル透明表面電極22を共通電極とし、背面電極25を各発光層毎に互いに分離して形成する。そして、フレキシブル透明表面電極22から電極取り出し端子を取り出し、各発光層上の背面電極25から電極取り出し端子を取り出す。この場合、フレキシブル透明表面電極22からの電極取り出し端子は、無機ELシート20と一体に、例えば無機ELシート20上に設けられた発光制御装置の一つの入力端子に接続され、各発光層上の背面電極25からの電極取り出し端子はそれぞれ発光制御装置の互いに異なる入力端子に接続されている。この発光制御装置の二つの出力端子がそれぞれ配線31、32に接続される。この発光制御装置は受信装置を備えており、この外部から送信される信号がこの受信装置により受信されると導通し、選択された一組の電極取り出し端子と配線31、32とが導通し、それによって選択された一組の電極取り出し端子に挟まれた発光層が発光し、無機ELシート20が発光するようになっている。その他のことは第1の実施の形態による発光画像表示機能付き衣類と同様である。
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、外部から通信により無機ELシート20の発光を制御することができ、必要に応じて多色の発光画像を表示することができるという利点を得ることができる。
実施例
無機ELシート20として厚さが約12μmで大きさが約20cm×約15cmの長方形のものを用いた。無機ELシート20の全体はPETフィルムによりラミネートされている。無機ELシート20のフレキシブル透明表面電極22としてフレキシブル性に優れたAg薄膜を用いた。発光層23は複数の発光層により形成した。無機ELシート20を市販の両面テープによりTシャツ10の前面の中央部に接着した。Tシャツ10の生地は綿80%、ポリエステル80%のもので薄手のものである。
無機ELシート20として厚さが約12μmで大きさが約20cm×約15cmの長方形のものを用いた。無機ELシート20の全体はPETフィルムによりラミネートされている。無機ELシート20のフレキシブル透明表面電極22としてフレキシブル性に優れたAg薄膜を用いた。発光層23は複数の発光層により形成した。無機ELシート20を市販の両面テープによりTシャツ10の前面の中央部に接着した。Tシャツ10の生地は綿80%、ポリエステル80%のもので薄手のものである。
図7Aは、Tシャツ10の前面の中央部に無機ELシート20を接着した発光画像表示機能付きTシャツを正面から撮影した写真、図7Bは同じく斜め横から撮影した写真である。図7AおよびBの状態では無機ELシート20はオフしており、発光していない。図7Cは、Tシャツ10の無機ELシート20が接着された部分およびその付近を拡大して示す。図7Cより、無機ELシート20がTシャツ10の表面に隙間なく密着していることが分かる。
図8は、無機ELシート20をオンとし、無機ELシート20を発光させた状態を示す。
図9AおよびBは、無機ELシート20から発光した状態において、Tシャツ10の無機ELシート20が接着された部分を両手で持ってくしゃくしゃにした状態を示す。図9AおよびBより、Tシャツ10の無機ELシート20が接着された部分は、無機ELシート20が接着されていない部分と同様な柔軟性を有しており、無機ELシート20を接着することによりTシャツ10の柔軟性が損なわれていないことが分かる。
〈無機ELシート20と発光回路および電源との接続の形態〉
ここで、無機ELシート20と発光回路および電源との接続の形態を類型化して説明する。
ここで、無機ELシート20と発光回路および電源との接続の形態を類型化して説明する。
・ケース1
図10Aはケース1の接続形態を示す。ケース1は第1の実施の形態に対応する。図10Aに示すように、ケース1では、無機ELシート20から配線ケーブル50(配線31、32に相当)を取り出す。配線ケーブル50の末端にはコネクタ60が取り付けられている。一方、発光回路、電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化して分離型ユニット70とし、発光回路に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット70とを接続する。
図10Aはケース1の接続形態を示す。ケース1は第1の実施の形態に対応する。図10Aに示すように、ケース1では、無機ELシート20から配線ケーブル50(配線31、32に相当)を取り出す。配線ケーブル50の末端にはコネクタ60が取り付けられている。一方、発光回路、電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化して分離型ユニット70とし、発光回路に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット70とを接続する。
・ケース2
図10Bはケース1の接続形態を示す。図10Bに示すように、ケース2では、無機ELシート20の末端に直接コネクタ60を取り付け、発光回路、電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化した分離型ユニット70の発光回路に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット70とを接続する。
図10Bはケース1の接続形態を示す。図10Bに示すように、ケース2では、無機ELシート20の末端に直接コネクタ60を取り付け、発光回路、電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化した分離型ユニット70の発光回路に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット70とを接続する。
・ケース3
図10Cはケース3の接続形態を示す。図10Cに示すように、ケース3では、無機ELシート20の末端に直接コネクタ60を取り付ける。発光回路は無機ELシート20上に設ける。電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化して分離型ユニット100とする。分離型ユニット100に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット100とを接続する。
図10Cはケース3の接続形態を示す。図10Cに示すように、ケース3では、無機ELシート20の末端に直接コネクタ60を取り付ける。発光回路は無機ELシート20上に設ける。電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化して分離型ユニット100とする。分離型ユニット100に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット100とを接続する。
・ケース4
図10Dはケース4の接続形態を示す。図10Dに示すように、ケース4では、無機ELシート20から配線ケーブル50を取り出す。配線ケーブル50の末端にはコネクタ60が取り付けられている。発光回路は無機ELシート20上に設ける。電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化して分離型ユニット100とする。分離型ユニット100に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット100とを接続する。
図10Dはケース4の接続形態を示す。図10Dに示すように、ケース4では、無機ELシート20から配線ケーブル50を取り出す。配線ケーブル50の末端にはコネクタ60が取り付けられている。発光回路は無機ELシート20上に設ける。電池(電源)およびスイッチ(SW)を一体化して分離型ユニット100とする。分離型ユニット100に接続されたケーブル80の末端に取り付けられたコネクタ90をコネクタ60と接続することで無機ELシート20と分離型ユニット100とを接続する。
・ケース5
図10Eはケース5の接続形態を示す。図10Eに示すように、ケース5では、無機ELシート20上に発光回路、電池(電源)およびスイッチ(SW)を搭載する。無機ELシート20の駆動は、外部より遠隔でスマートフォン等のモバイル端末110による通信により無機ELシート20上のスイッチ(SW)を制御することにより行う(リモートアクセス)。
図10Eはケース5の接続形態を示す。図10Eに示すように、ケース5では、無機ELシート20上に発光回路、電池(電源)およびスイッチ(SW)を搭載する。無機ELシート20の駆動は、外部より遠隔でスマートフォン等のモバイル端末110による通信により無機ELシート20上のスイッチ(SW)を制御することにより行う(リモートアクセス)。
図10A〜Eにおいては、無機ELシート20上に、発光画像の一例として楕円の中にJapanが表示されている。
以上、この発明の一実施の形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構成、形状、材料、方法などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成、形状、材料、方法などを用いてもよい。
10…Tシャツ、20…無機ELシート、21…透明絶縁層、22…フレキシブル透明表面電極、23…発光層、24…誘電体層、25…背面電極、26…絶縁層、29…交流電源、30、60、90…コネクタ、40…糸、50…配線ケーブル、70…分離型ユニット70
Claims (10)
- 衣類の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシートを有し、
上記衣類の上記無機ELシートが設けられている部分が上記衣類の上記無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有する発光画像表示機能付き衣類。 - 上記無機ELシートの厚さが50μm以下である請求項1記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 上記無機ELシートは上記衣類の表面に固定されている請求項1または2記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 上記無機ELシートは上記衣類の表面に接着、縫い付け、レーザー溶着、ホットメルトによる熱圧着またはこれらの組み合わせにより固定されている請求項3記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 上記無機ELシートは、上記衣類の表面から順に、絶縁層、背面電極、誘電体層、発光層、フレキシブル透明表面電極および透明絶縁層からなる請求項1〜4のいずれか一項記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 上記フレキシブル透明表面電極は金属からなる請求項5記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 上記無機ELシート上に外部から通信により発光の制御が可能な発光制御装置が設けられている請求項1〜6のいずれか一項記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 上記発光制御装置はEL発光回路と一体に設けられている請求項7記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 洗濯可能に構成されている請求項1〜8のいずれか一項記載の発光画像表示機能付き衣類。
- 衣類の表面にこの衣類と一体に設けられた一つまたは複数の無機ELシートを有する発光画像表示機能付き衣類に用いられる無機ELシートであって、
上記衣類の上記無機ELシートが設けられている部分が上記衣類の上記無機ELシートが設けられていない部分と同等の柔軟性を有し、
フレキシブル透明表面電極を有することを特徴とする無機ELシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018063407A JP2019175717A (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | 発光画像表示機能付き衣類および無機elシート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018063407A JP2019175717A (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | 発光画像表示機能付き衣類および無機elシート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019175717A true JP2019175717A (ja) | 2019-10-10 |
Family
ID=68169586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018063407A Pending JP2019175717A (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | 発光画像表示機能付き衣類および無機elシート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019175717A (ja) |
-
2018
- 2018-03-29 JP JP2018063407A patent/JP2019175717A/ja active Pending
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