以下、図面を参照し、本発明による施工管理システムの実施の形態について、各実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、各実施例で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
<実施例1>
以下において、図1及び図2を参照しつつ、本実施例に係る施工管理システムの構成について説明する。ここで、図1は、本実施例に係る施工管理システムの全体構成を示す概略図である。また、図2は、本実施例に係る施工管理システムのサーバ及び当該サーバに接続された装置を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係る施工管理システムは、土木施工現場(以下、単に施工現場とも称する)における油圧ショベル等の重機1の位置情報、及びダンプトラック等の運搬機2の位置情報を所定の通信手段3を介して、サーバ4に送信することができる構成を有している。具体的に、重機1に設置された携帯端末5a及び運搬機2に設置された携帯端末5bが、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を構成する複数の測位衛星6からの電波を受信する。その後、当該電波受信した各携帯端末5a,5bは、通信基地局7を介して、当該電波を利用した演算によって得られる位置情報を、モバイル通信網を統合する通信会社8に送信する。また、通信会社8は、通信回線9を介して当該位置情報をサーバ4に送信する。
ここで、重機1とは、運搬機2に対して積込作業を行うことができる作業機械であり、積込作業以外にも複数の作業機能を備える機械である。また、携帯端末5a,5bとしては、重機1及び運搬機2の運転者が所持するスマートフォンを利用することができる。更に、携帯端末5a,5bとしては、スマートフォンのような持ち運びが前提となっている通信機器以外にも、シガレット電源に接続して使用できる設置型の通信機器を用いてもよい。
なお、本実施例においては、重機1及び運搬機2の位置情報を送信できればよいため、携帯端末5a,5bが他の高精度のセンサを有する必要はなく、比較的に簡易なGPSセンサを備えるだけの端末を携帯端末5a,5bとして用いることもできる。このような簡易なセンサのみの端末を使用することで、施工管理システム自体のコストを低減することができる。
そして、図1に示すように、本実施例に係る施工管理システムにおいては、土木施工現場の管理者が確認するための作業端末10が、土木施工現場の外部に設けられている。そして、作業端末10は、通信装置(図示せず)を備えているため、通信回線9を介してサーバ4と双方向に通信可能となっている。このため、作業端末10を操作する当該管理者は、通信回線9を介してサーバ4にアクセスし、土木施工現場の作業状態を作業端末10に表示させ、その内容を確認することができる。すなわち、作業端末10は、施工管理システムの表示部として機能することになる。ここで、作業端末10は、土木施工現場の作業状態を単に表示させるだけでなく、各種の演算及び作業等を行える一般的なコンピュータである。
なお、作業端末10は、土木施工現場の内部に設置された建屋内に設置されてもよく、又は管理者が所有する携帯端末であってもよい。特に、管理者が所有する携帯端末が作業端末10を兼ねることにより、管理者が他の場所等で作業している場合でも、管理者が選択する土木施工現場の作業状況を把握することが可能になる。
図2に示すように、サーバ4は、演算部12、第1記憶部13、第2記憶部14、ネットワークインターフェイス15、及び外部インターフェイス16を有している。
演算部12は、例えば、各種の演算処理を行う中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)から構成される。すなわち、演算部12は、サーバ4を統括して制御する制御装置として機能する。例えば、演算部12は、第1記憶部13に格納されたプログラムに従い、ネットワークインターフェイス15から入力された各種のデータに関する演算処理を行う。また、演算部12は、ネットワークインターフェイス15を制御し、通信回線9に対するサーバ4の通信制御も行うことになる。
第1記憶部13は、プログラム及び各種のデータを一時的に格納する一般的なメインメモリ(主記憶装置)である。具体的に、第1記憶部13は、演算部12が実行するプログラムを一時的に格納し、更にはサーバ4に入力された各種のデータ及び演算部12による演算結果を一時的に格納する。例えば、第1記憶部13は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)から構成される。なお、演算部12による演算結果とは、例えば、後述する重機1及び運搬機2の位置の判定結果、並びにこれらの位置推移を時系列で示すエリアチャートに関する結果である。
一方、第2記憶部14は、各種のデータを永久的に記憶する一般的なストレージ(補助記憶装置)である。具体的に、第2記憶部14は、演算部12による演算結果を永久的に格納する。例えば、第2記憶部14は、ハードディスクドライブ(HDD:hard disk drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:solid state drive)から構成される。
また、外部インターフェイス16には、表示装置であるディスプレイ17、及び入力装置であるキーボード18が接続されている。サーバ4の管理者は、キーボード18を操作することにより、サーバ4の利用及び保守点検をすることができる。また、当該管理者は、ディスプレイ17に利用状況及び保守点検状況等を表示させ、表示された出力情報を利用することができる。なお、外部インターフェイス16には、マウス等の他の入力装置が接続されてもよく、更にはプリンター等の出力装置が接続されてもよい。
このような構成から、本実施例に係る施工管理システムにおいては、サーバ4の演算部12が作業現場における作業端末10への表示プログラムを実行し、通信回線9を介してプログラムの演算結果を作業端末10に表示することになる。ここで、当該演算結果の作業端末10への表示方法は、Web方式による表示であってもよく、又は作業端末10に備わったプログラムの実行によるものであってもよい。
次に、図3乃至図5を参照しつつ、本実施例に係る施工管理システムにおける各種の判定、エリアチャートの作成及び判定結果の表示について説明する。ここで、図3は、本実施例における施工現場及び作業エリアを説明するための概略図である。また、図4は、本実施例に係る施工管理システムの機能ブロック図である。図5は、本実施例に係る施工管理システムにおけるエリアチャートの表示例である。
図3から分かるように、本実施例において、施工現場100には2つの作業エリア110,120が存在している。作業エリア110においては、重機1及び運搬機2が作業を行うことになる。具体的に、作業エリア110においては、重機1が土砂の掘削を行い、重機1に対して所定の距離範囲内に近接した際に運搬機2へ積込みを行い、土採り作業が行われることになる。一方、作業エリア120においては、運搬機2が作業を行うことになる。具体的に、作業エリア110において土砂が積み込まれ運搬機2が、作業エリア120において土砂を降ろし、当該土砂を仮置きする作業が行われることになる。また、運搬機2は、作業エリア110と作業エリア120とにおける作業を繰り返し、作業エリア110と作業エリア120との間を複数回移動することになる。
そして、本実施例においては、サーバ4に入力される重機1及び運搬機2の位置情報から、重機1及び運搬機2が作業エリア110に存在していると判定されると、作業エリア110の作業内容である「土採り」が実施されているものと判定される。一方、サーバ4に入力される運搬機2の位置情報から、運搬機2が作業エリア120に存在していると判定されると、作業エリア110の作業内容である「土砂仮置き」が実施されているものと判定される。なお、これらの判定については、後述するフローにて詳細に説明する。
そして、上述した作業実施の有無の判定を実現するとともに、施工現場の管理者が当該施工現場の施工状況を容易に把握できるようにするために、本実施例に係る施工管理システムは、図4に示す各種の機能構成を備えている。具体的に、本実施例に係る施工管理システムは、データ入力部21、重機位置判定部22、運搬機位置判定部23、作業エリア設定部24、エリアチャート作成部25、及び作業結果表示部26を備えていることになる。
データ入力部21は、通信回線9を介して重機1の位置情報及びこれに対応した時刻情報を取得する。また、データ入力部21は、運搬機2の位置情報及びこれに対応した時刻情報も取得する。すなわち、データ入力部21はサーバ4のネットワークインターフェイス15及びこれを制御する演算部12に対応しており、演算部12によるネットワークインターフェイス15の制御により、データ入力部21の機能が実現されることになる。なお、各時刻情報については、独立した情報として取得することなく、各位置情報に付加させて取得してもよい。
重機位置判定部22は、データ入力部21に入力された重機1の位置情報及び時刻情報から、各時刻における重機1の位置を判定する。すなわち、重機位置判定部22は、サーバ4の演算部12に対応しており、第1記憶部13に格納されたプログラムの演算部12による実行により、重機位置判定部22による重機1の位置判定に係る機能が実現される。
運搬機位置判定部23は、データ入力部21に入力された運搬機2の位置情報及び時刻情報から、各時刻における運搬機2の位置を判定する。すなわち、運搬機位置判定部23は、サーバ4の演算部12に対応しており、第1記憶部13に格納されたプログラムの演算部12による実行により、運搬機位置判定部23による運搬機2の位置判定に係る機能が実現される。
作業エリア設定部24は、重機1又は運搬機2の少なくとも一方によって作業が実施される作業エリア、当該作業エリアにおける作業内容を設定する。本実施例においては、施工現場100内に作業エリア110及び作業エリア120が設定されるとともに、作業エリア110における作業が「土採り」に、作業エリア120における作業が「土砂仮置き」に設定される。これらの実際の設定は、施工現場の管理者が作業端末10を操作することにより、各種の設定内容が通信回線9及びネットワークインターフェイス15を介してサーバ4に入力され、演算部12が設定内容を第1記憶部13又は第2記憶部14に記憶されることによって行われている。すなわち、作業エリア設定部24は、サーバ4の演算部12、第1記憶部13、第2記憶部14、及びネットワークインターフェイス15に対応しており、これらのサーバ4の構成装置が機能することによって、作業エリア設定部24による各種の設定に係る機能が実現される。
エリアチャート作成部25は、作業エリア設定部24によって設定された作業エリアに関する設定情報と、重機位置判定部22によって判定された重機1の位置の判定結果に基づいて、重機1の位置推移(すなわち、位置の時系列変化)を当該作業エリアに関連する情報として表示する重機エリアチャート(作業機械エリアチャート)を作成する。具体的に、重機エリアチャートとは、図5の上段における重機1が位置する作業エリアを時系列に表示したものである。ここで、図5に示す場合において、重機1は、8時から12時までの時間帯、及び13時から17時までの時間帯において、作業エリア110に存在していることがわかる。なお、12時から13時までの時間帯は昼休みのため、更には17時以降については作業時間外のため、重機1に設けられた携帯端末5aの電源が切られていることにより、位置情報及び時刻情報がサーバ4に入力されず、作業エリアの表示がなされていない。
同様に、エリアチャート作成部25は、当該作業エリアに関する設定情報と、運搬機位置判定部23によって判定された運搬機2の位置の判定結果に基づいて、運搬機2の位置推移(すなわち、位置の時系列変化)を当該作業エリアに関連する情報として表示する運搬機エリアチャートを作成する。具体的に、運搬機エリアチャートとは、図5の下段における運搬機2が位置する作業エリアを時系列に表示したものである。ここで、図5に示す場合において、運搬機2は、8時、9時、10時、11時、13時、14時、15時、及び16時のそれぞれから30分間、作業エリア110に存在していることがわかる。また、8時40分、9時40分、10時40分、11時40分、13時40分、14時40分、15時40分、及び16時40分のそれぞれから約10分間、作業エリア120に存在していることがわかる。
なお、重機エリアチャートと同様に、12時から13時までの時間帯は昼休みのため、更には17時以降については作業時間外のため、運搬機2に設けられた携帯端末5bの電源が切られていることにより、位置情報及び時刻情報がサーバ4に入力されず、作業エリアの表示がなされていない。一方、上記電源が切られている時間帯以外における作業エリアの表示がない部分については、運搬機2が作業エリア110と作業エリア120の間(すなわち、設定範囲外のエリア)を移動している時間帯に該当する。
そして、エリアチャート作成部25は、図5に示すように、当該重機エリアチャート及び当該運搬機エリアチャートを並べて配置したエリアチャートを作成し、当該エリアチャートを第1記憶部13又は第2記憶部14に記録する。なお、当該エリアチャートの作成については、当該重機エリアチャート及び当該運搬機エリアチャートとなるフォームデータを事前に組み合わせ、当該エリアチャートとなるフォームを形成し、当該エリアチャートのフォーム内において、当該重機エリアチャート及び当該運搬機エリアチャートに該当する情報(後述する判定結果)を記録するようにしてもよい。
このようなことから、エリアチャート作成部25は、サーバ4の演算部12に対応しており、第1記憶部13に格納されたプログラムの演算部12による実行により、エリアチャート作成部25による重機エリアチャート、運搬機エリアチャート、及びこれらを組み合わせたエリアチャートの作成に係る機能が実現される。
作業結果表示部26は、エリアチャート作成部25において作成されたエリアチャートを、施工現場の作業端末10に表示する。これらの実際の表示は、第1記憶部13に格納されたプログラムの演算部12による実行により、第1記憶部13又は第2記憶部14に記憶されたエリアチャートが、ネットワークインターフェイス15及び通信回線9を介して作業端末10に送信され、運搬機エリアチャート及び作業機械エリアチャートを上下に並べて配置され、管理者が各作業を容易に確認できる状態で行われる。すなわち、作業結果表示部26は、サーバ4の演算部12、第1記憶部13、第2記憶部14、及びネットワークインターフェイス15に対応しており、これらのサーバ4の構成装置が機能することによって、作業結果表示部26による各種の設定に係る機能が実現される。
本実施例においては、図5に示すような運搬機エリアチャート及び作業機械エリアチャートが上下に並べられた状態として、エリアチャートが作業端末10に表示されることになる。そして、施工現場の管理者は、図5に示されたエリアチャートにおいて、重機1が作業エリア110に存在する時間帯と、運搬機2が作業エリア110に存在する時間帯とが重なる時間帯において、作業エリア110の作業内容である「土採り」が行われたものと判断することができる。また、施工現場の管理者は、図5に示されたエリアチャートにおいて、運搬機2が作業エリア120に存在する時間帯において、作業エリア120の作業内容である「土砂仮置き」が行われたものと判断することができる。
なお、作業端末10へのエリアチャートの表示は、上述したようなサーバ4の演算部12によるプログラム実行により、Web形式で自動的に行われてもよい。また、作業端末10の作業者(施工現場の管理者)が作業端末10のプログラムを実行させ、通信手段3を介して最新の積込作業記録が取得されることにより、作業端末10へのエリアチャートの表示が行われてもよい。
次に、図6乃至図10を参照しつつ、本実施例に係る施工管理システムにおける施工管理処理について説明する。図6は、本実施例に係る施工管理システムによるエリアチャートの作成表示フローである。また、図7は、図6におけるステップS220のより具体的な判定処理フローであり、図8は、図6におけるステップS230のより具体的な判定処理フローである。また、図9は、図6におけるステップS240のより具体的な記録処理フローであり、図10は、図6におけるステップS250のより具体的な記録処理フローである。
先ず、エリアチャートの作成表示フローが開始されると、作業エリア及び当該作業エリアにおける作業内容が設定される。本実施例においては、施工現場100において、作業エリア110及び作業エリア120が設定されるとともに、作業エリア110に対して「土採り」の作業内容が設定され、作業エリア120に対して「土砂仮置き」の作業内容が設定される(図6:ステップS200)。これらの、設定は、上述したように、施工現場の管理者が作業端末10を操作し、サーバ4の演算部12が各設定及び記録を行うことになる。なお、サーバ4の演算部12が各設定及び記録については、施工現場の管理者による操作をトリガーとすることなく、例えば、前日の作業状況等を考慮して、サーバ4の演算部12によって自動的に設定されてもよい。
次に、重機1及び運搬機2のデータの入力が行われる(図7:ステップS210)。具体的には、通信手段3を介して、重機1に配置された携帯端末5aから位置情報P1(x1、y1、z1)及び位置情報P1の取得時の時刻情報(時刻t1)がサーバ4に入力される。また、通信手段3を介して、運搬機に配置された携帯端末5bから位置情報P2(x2、y2、z2)及び位置情報P2の取得時の時刻情報(時刻t2)がサーバ4に入力される。
次に、演算部12が入力された重機1の位置情報P1に基づいて、重機1の位置を判定する(図6:ステップS220)。より具体的な判定フローとして、先ず、ステップS200で設定した作業エリア110の範囲と、入力された位置情報P1とが比較され、重機1が作業エリア110内に存在するか否かが判定される(図7:ステップS221)。重機1が作業エリア110に存在する場合(ステップS221:Yes)、重機1の位置フラグF1が「作業エリア110」に設定される(図7:ステップS222)。
一方、重機1が作業エリア110に存在しない場合(ステップS221:No)、ステップS200で設定された作業エリア120の範囲と、入力された位置情報P1とが比較され、重機1が作業エリア120内に存在するか否かが判定される(図7:ステップS223)。重機1が作業エリア120に存在する場合(ステップS223:Yes)、重機1の位置フラグF1が「作業エリア120」に設定される(図7:ステップS224)。ここで、本実施例においては、重機1が作業エリア120に存在して作業することは想定されていないため、処理フローの簡素化の観点から、想定されない位置の判定(例えば、ステップS223及びステップS224)については、省略してもよい。
重機1が作業エリア120にも存在しない場合(ステップS223:No)、重機1は設定された作業エリア110,120に存在せず、他のエリアに存在するものとして、重機1の位置フラグF1がクリアされ、「0」に設定される(図7:ステップS225)。
重機1の位置判定が終了すると、演算部12が入力された運搬機2の位置情報P2に基づいて、運搬機2の位置が判定される(図6:ステップS230)。具体的には、重機1の位置判定フローと同様に、運搬機2が作業エリア110内に存在するか否か(図7:ステップS231)、運搬機2が作業エリア120内に存在するか否か(図7:ステップS233)、各作業エリアに対応した位置フラグF2の設定(図7:ステップS222,S234,S235)が行われる。なお、運搬機2の位置判定フローは、重機1の位置判定フローと同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、演算部12のプログラム実行により、重機1の位置判定結果がエリアチャートに記録され、当該記録された状態のエリアチャートが第1記憶部13又は第2記憶部14に記憶される(図6:ステップS240)。具体的な処理フローとして、先ず、重機1の位置フラグF1が「作業エリア110」に設定されているか否かが判定される(図9:ステップS241)。重機1の位置フラグF1が「作業エリア110」に設定されている場合(ステップS241:Yes)、重機1の今回の位置フラグF1が、重機1の前回の処理フローにおける位置フラグF1−1と同一であるか否かが判定される(図9:ステップS242)。ここで、本エリアチャートの作成表示フローは、後述する終了指示がない限り、繰り返して周期的(例えば、数秒間隔)に実行されるため、前回の位置フラグF1−1とは、1回前の処理周期にて設定された位置フラグのことである。
今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が同一(F1=F1−1)である場合(ステップS242:Yes)、エリアチャートの重機エリアチャートの部分に、前回の時刻t1−1から今回の時刻t1までの位置が「作業エリア110」に設定される(ステップS243)。すなわち、今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が同一であることから、時刻t1−1から時刻t1までの間、重機1が作業エリア110に存在していたと判定される。そして、当該判定結果として重機エリアチャートの時刻t1−1から時刻t1までの間に「作業エリア110」を表示するような設定が行われる。
一方、今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が同一でない場合(ステップS242:No)、エリアチャートの重機エリアチャートの部分に、今回の時刻t1における位置が「作業エリア110」に設定される(ステップS244)。すなわち、今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が異なるため、時刻t1−1から時刻t1までの間に重機1が移動し、時刻t1において作業エリア110に存在していたものと判定される。そして、当該判定結果として重機エリアチャートの時刻t1における位置を「作業エリア110」として表示するような設定が行われる。
次に、重機1の位置フラグF1が「作業エリア110」に設定されていない場合(ステップS241:No)、重機1の位置フラグF1が「作業エリア120」に設定されているか否かが更に判定される(図9:ステップS245)。重機1の位置フラグF1が「作業エリア120」に設定されている場合(ステップS245:Yes)、重機1の今回の位置フラグF1が、重機1の前回の処理フローにおける位置フラグF1−1と同一であるか否かが判定される(図9:ステップS246)。
今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が同一(F1=F1−1)である場合(ステップS246:Yes)、エリアチャートの重機エリアチャートの部分に、前回の時刻t1−1から今回の時刻t1までの位置が「作業エリア120」に設定される(ステップS247)。すなわち、今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が同一であることから、時刻t1−1から時刻t1までの間、重機1が作業エリア120に存在していたものと判定される。そして、当該判定結果として重機エリアチャートの時刻t1−1から時刻t1までの間に「作業エリア120」を表示するような設定が行われる。
一方、今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が同一でない場合(ステップS246:No)、エリアチャートの重機エリアチャートの部分に、今回の時刻t1における位置が「作業エリア120」に設定される(ステップS248)。すなわち、今回の位置フラグF1と前回の位置フラグF1−1が異なるため、時刻t1−1から時刻t1までの間に重機1が移動し、時刻t1において作業エリア120に存在していたものと判定される。そして、当該判定結果として重機エリアチャートの時刻t1における位置を「作業エリア120」として表示するような設定が行われる。
重機1の位置フラグF1が「作業エリア120」としても設定されていない場合(ステップS245:No)、及びステップS243,S244,S247,S248の処理後に、位置フラグF−1に今回の位置フラグF1の値が設定される(図9:ステップS249)。すなわち、ステップS249においては、次回の処理フローにおいて今回の位置フラグF1を使用できるように、今回の位置フラグF1を1つ前の位置フラグとして設定しなおされている。
なお、本実施例においては、重機1が作業エリア120に存在して作業することは想定されていないため、処理フローの簡素化の観点から、想定されない位置の判定(例えば、ステップS245〜S248)については、省略してもよい。
重機1の判定結果が重機エリアチャートに記録されると、演算部12のプログラム実行により、運搬機2の位置判定結果がエリアチャートに記録され、当該記録された状態のエリアチャートが第1記憶部13又は第2記憶部14に記憶される(図6:ステップS250)。具体的には、重機1の判定結果をエリアチャートに記録する場合と同様に、位置フラグF2が作業エリア110か否か(図10:ステップS251)、位置フラグF2が作業エリア120か否か(図10:ステップS255)、前回の位置フラグF2との比較(図10:ステップS252,S256)、運搬機エリアチャート内への作業エリアの設定(図10:ステップS253,S254,S257,S258)、及び今回の位置フラグF2を1つ前の位置フラグに再設定(図10:ステップS259)が行われる。なお、運搬機2の判定結果の記録フローは、重機1の記録フローと同様であるため、詳細な説明は省略する。
運搬機2の判定結果が運搬機エリアチャートに記録されると、重機エリアチャート及び運搬機エリアチャートからなるエリアチャートの更新が完了し、更新されたエリアチャート(図5に示す状態)が作業端末10に表示される(図5:ステップS260)。その後、本作成表示フローの終了指示がない場合(ステップS270:No)には、ステップS210に戻り作成表示フローが繰り返される。なお、繰り返しの周期については、施工現場100の状況、各作業エリア間の距離、並びに重機1及び運搬機2の性能等の各種の条件によって適宜変更することができる。
以上のように、本実施例に係る施工管理システムにおいては、重機1の位置を作業エリアに関連する情報として表示した重機エリアチャートと、運搬機2の位置を作業エリアに関連する情報として表示した運搬機エリアチャートとを並べて配置したエリアチャートを作成し、当該エリアチャートを施工現場の管理者に向けて表示している。このため、施工現場の管理者は、当該エリアチャートから重機1及び運搬機2による作業内容を容易に把握することができる。そして、施工現場の管理者は、把握した作業内容から施工現場全体の作業管理及び最適化を図ることも可能になる。
例えば、施工現場の管理者は、一日の作業が終了した時点において、更新されたエリアチャートを確認することにより、その日の作業計画と運搬機2による運搬回数を比較し、予定通りの回数の作業が行われているかを容易に判断することができる。また、運搬機エリアチャートに表示された2つの作業エリアの間隔から、2つの作業エリアの移動時間を容易に把握することができ、運搬機2の障害及び運搬機2が走行する道路状況の障害等が発生している可能性を容易に見出すことができる。
更に、施工現場の管理者は、作業時間中において、更新されたエリアチャートを確認することにより、作業の遅延、障害の有無を判断することができ、当該遅延又は障害に対応させて、追加の運搬機の投入等の対策を行うことができる。
そして、本実施例に係る施工管理システムにおいては、重機1及び運搬機2の位置情報及び時刻情報を取得のみによってエリアチャートが作成されるため、比較的に簡素な構成によって施工現場を大局的に観測するシステムを構築することができ、システム自体の簡素化及びコスト低減も図ることができる。
<実施例2>
上述した実施例1においては、1台の重機1及び1台の運搬機2に関する作業の管理及び把握を想定していたが、施工現場によって複数台の重機及び複数台の運搬機が使用される場合もある。また、上述した実施例1においては、一定の囲まれた空間である1つの施工現場100において2つの作業エリアが設定されていたが、一般の運搬道路によって結ばれた複数の作業エリアを含むように施工現場が構成される場合もある。このような場合を想定した施工管理システムを実施例2として、図11乃至図15を参照しつつ、以下に説明する。
ここで、図11は、本実施例に係る施工管理システムの全体構成を示す概略図である。また、図12は、本実施例における施工現場及び作業エリアを説明するための概略図である。また、図13は、本実施例に係る施工管理システムの機能ブロック図である。更に、図14は、本実施例に係る施工管理システムにおけるエリアチャートの表示例である。そして、図15は、本実施例に係る施工管理システムによるエリアチャートの作成表示フローである。なお、実施例1と同一内容については、その説明を省略する。
図11に示すように、本実施例に係る施工管理システムは、土木施工現場における2台重機1a1,1a2の位置情報及び時刻情報、並びに複数台の運搬機2a1〜2an(nは任意の数)の位置情報及び時刻情報を所定の通信手段3を介して、サーバ4に送信することができる構成を有している。すなわち、実施例1と更なる異なる点として、重機1a1,1a2の各車両に独立した携帯端末5a1,5a2が配置されるとともに、運搬機2a1〜2anの各車両に、独立した携帯端末5b1〜5bnが配置されている。
また、図12に示すように、本実施例においては、3つの互いに離れた作業エリア130,140,150が存在している。そして、3つの作業エリア130,140,150は、一般の運搬道路160によって結ばれている。
ここで、作業エリア130においては、堤防を構築するような盛土に関する作業が行われる。また、作業エリア140においては、盛土作業に用いる土砂を掘削して搬出する土採りに関する作業が行われる。更に、作業エリア150においては、作業エリア140において堀削った土砂の内、盛土に適さないような排土(例えば、瓦礫)を捨てる作業が行われる。本実施例においては、作業エリア140において重機1a2によって土砂が積み込まれた各運搬機が、運搬道路160を走行して作業エリア130に到達し、作業エリア130において土砂を降ろし、重機1a1が当該土砂を盛土して堤防を構築する作業計画が想定されている。一方、作業エリア140において盛土に適さないと判断された排土は、重機1a1によって他の運搬機に積み込まれ、排土が積み込まれた運搬機が、運搬道路160を走行して作業エリア150に到達し、作業エリア150において排土を降ろす作業計画が想定されている。
そして、本実施例においては、サーバ4に入力される重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anの位置情報から、重機のいずれか及び運搬機のいずれかが作業エリア130に存在していると判定されると、作業エリア130の作業内容である「盛土」が実施されているものと判定される。また、サーバ4に入力される重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anの位置情報から、重機のいずれか及び運搬機のいずれかが作業エリア140に存在していると判定されると、作業エリア140の作業内容である「土採り」が実施されているものと判定される。更に、サーバ4に入力される運搬機2a1〜2anの位置情報から、運搬機のいずれかが作業エリア150に存在していると判定されると、作業エリア150の作業内容である「排土」が実施されているものと判定される。なお、これらの判定については、後述するフローにて詳細に説明する。
次に、図13に示すように、本実施例に係る施工管理システムは、データ入力部21、重機位置判定部22、運搬機位置判定部23、作業エリア設定部24、エリアチャート作成部25、及び作業結果表示部26に加えて、更にID管理部(識別情報管理部)27を備えている。ID管理部27は、重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anに付されている識別情報を管理する。例えば、ID管理部27は、重機1a1,1a2に設けられた携帯端末5a1,5a2、及び運搬機2a1〜2anに設けられた携帯端末5b1〜5bnの発信番号(スマートフォンであれば電話番号)を取得し、各発信番号に対応させて各重機に重機IDを設定するとともに、各運搬機に運搬機IDを設定する。また、ID管理部27は、データ入力部21に入力される各データである位置情報及び時刻情報を、重機ID又は運搬機IDごとに振り分けて管理する。
すなわち、データ入力部21には、重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anから区別されることなく各データが入力されるが、ID管理部27は、当該各データを重機1a1,1a2又は運搬機2a1〜2anに対応させて、重機ID又は運搬機IDごとに区別して管理する機能である。このため、ID管理部27は、サーバ4のネットワークインターフェイス15、これを制御する演算部12、及び各IDと各携帯端末の発信番号を紐づけて記録する第2記憶部14に対応しており、演算部12によるネットワークインターフェイス15の制御、及び第2記憶部14へのデータ保存により、ID管理部27の機能が実現されることになる。
そして、重機位置判定部22、運搬機位置判定部23、及びエリアチャート作成部25は、各重機ID又は各運搬機IDに対応させて(すなわち、各識別情報に基づき)、重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anのそれぞれに対して各判定及び処理を行う。また、エリアチャート作成部25は、対象となる全ての重機の重機エリアチャート、及び対象となる全ての運搬機の運搬機エリアチャートを作成し、これらを結合して並べた状態のエリアチャートを完成する。例えば、図14に示すように、8時から17時までの間において、各重機及び各運搬機の位置が作業エリア130,140,150によって表示されることになる。
図14に示すように、本実施例においては、重機1a1の重機エリアチャートが最上部に時系列で表示され、重機1a2の重機エリアチャートが最下部に時系列で表示されている。また、当該2つの重機エリアチャートの間に、運搬機2a1〜2anのそれぞれに対応した運搬機エリアチャートが時系列で表示されている。ここで、図14に示す場合において、重機1a1は、8時から12時までの時間帯、及び13時から17時までの時間帯において、作業エリア130に存在していることがわかる。また、重機1a2は、8時から12時までの時間帯、及び13時から17時までの時間帯において、作業エリア140に存在していることがわかる。
同様に、図14に示す場合において、運搬機2a1,2a2は、作業エリア140と作業エリア130において、交互に存在していることがわかる。すなわち、運搬機2a1,2a2は、作業エリア140において作業(土採り)した後に、運搬道路160を走行して作業エリア130に到着して作業(盛土)を行い、これらの作業を8時から17時の間において繰り返していることが把握できる。また、運搬機2anは、所定の時間帯において、作業エリア140、作業エリア150、作業エリア130、作業エリア140、及び作業エリア150に存在していることがわかる。すなわち、運搬機2anは、作業エリア140において作業(排土の土採り)した後に、運搬道路160を走行して作業エリア150に到着して作業(排土)を行う作業を午前及び午後に1回ずつ行っていることが把握できる。更に、午前に作業エリア140において土採りを行い、運搬道路160を走行して午後に作業エリア130に到着して盛土を行っていることも把握できる。
次に、図15を参照しつつ、本実施例に係る施工管理システムにおける施工管理処理について説明する。本実施例におけるエリアチャートの作成表示フローにおいては、実施例1の場合と比較して、IDに関する処理が追加されている。
先ず、実施例1と同様に、作業エリア及び作業内容の設定が行われる(図15:ステップS200a)。本実施例においては、作業エリア130に「盛土」の作業内容が設定され、作業エリア140に「土採り」の作業内容が設定され、作業エリア150に「排土」の作業内容が設定される。
次に、重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anのデータの入力が行われる(図15:ステップS210a)。具体的には、通信手段3を介して、重機1a1,1a2に配置された携帯端末5a1,5a2から位置情報P1a1(x1a1、y1a1、z1a1),P1a2(x1a2、y1a2、z1a2)及び当該位置情報の取得時の時刻情報(時刻t1a1,t1a2)がサーバ4に入力される。また、通信手段3を介して、運搬機2a1〜2anに配置された携帯端末5b1〜5bnから位置情報P2a1(x2a1、y2a1、z2a1)〜P2an(x2an、y2an、z2an)、及び当該位置情報の取得時の時刻情報(時刻t2a1〜t2a2)がサーバ4に入力される。
次に、実施例1のステップS220及びステップS230と同様に、重機1a1,1a2の各位置の判定が行われ(ステップS220a)、続いて運搬機2a1〜2anの各位置の判定が行われる(ステップS230a)。そして、実施例1のステップS240及びステップS250と同様に、重機1a1,1a2の判定結果がエリアチャートに記録され(ステップS240a)、続いて運搬機2a1〜2anの判定結果がエリアチャートに記録される(ステップS250a)。
そして、上記各ステップを経て重機エリアチャート及び運搬機エリアチャートからなるエリアチャートの更新が完了すると、実施例1のステップS260と同様に、更新されたエリアチャート(図14に示す状態)が作業端末10に表示される(ステップS260a)。その後、本作成表示フローの終了指示がない場合(ステップS270a:No)には、ステップS210aに戻り作成表示フローが繰り返される。なお、繰り返しの周期については、実施例1と同様に、施工現場の状況、各作業エリア間の距離、並びに重機及び運搬機の性能等の各種の条件によって適宜変更することができる。
以上のように、本実施例に係る施工管理システムにおいては、重機1a1,1a2の各位置を作業エリアに関連する情報として表示した2つの重機エリアチャートと、運搬機2a1〜2anのの各位置を作業エリアに関連する情報として表示したn個の運搬機エリアチャートとを並べて配置したエリアチャートを作成し、当該エリアチャートを施工現場の管理者に向けて表示している。このため、施工現場の管理者は、当該エリアチャートから重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anによる作業内容を容易に把握することができる。そして、施工現場の管理者は、把握した作業内容から施工現場全体の作業管理及び最適化を図ることも可能になる。
また、本実施例に係る施工管理システムにおいても、実施例1と同様に、各種の遅延又は障害の発生を容易に見つけ出すことができ、当該遅延又は障害に対応させて、追加の運搬機の投入等の対策を行うことができる。更に、実施例1と同様に、比較的に簡素な構成によって施工現場を大局的に観測するシステムを構築することができ、システム自体の簡素化及びコスト低減も図ることもできる。
<実施例3>
実施例1及び実施例2においては、重機及び運搬機の位置の判定結果であるエリアチャートを確認する施工現場の管理者が、重機及び運搬機の作業状況を読み取ることになっていたが、サーバ4側において当該エリアチャートを分析し、作業状況をより容易に把握できるような結果を表示するとともに、作業計画の変更を行うことも可能である。このような場合が想定された施工管理システムを実施例3として、図16乃至図23を参照しつつ、以下に説明する。
ここで、図16は、本実施例に係る施工管理システムの機能ブロック図である。また、図17及び図18はエリアチャートの分析を説明するための説明図である。更に、図19は本実施例に係る施工管理システムによる判定分析フローであり、図20は図19のステップS280のより具体的な設定フローであり、図21は図19のステップS290のより具体的な分析フローであり、図22は図19のステップS300のより具体的な作業計画変更フローである。そして、図23は本実施例に係る施工管理システムにおける作業記録の表示例である。なお、実施例1及び実施例2と同一内容については、その説明を省略する。
先ず、本実施例においても、実施例2の図11及び図12に示された施工現場及び当該施工現場における作業が想定されている。なお、本実施例においては、説明の便宜上の観点から、運搬機の台数を3台(n=3)とした場合とする。
一方で、本実施例においては、作業計画を設定するとともに、当該作業計画を変更するか否かの判断が、エリアチャートの分析結果に基づいて行われる。このような機能を実現するため、図16に示すように、本実施例に係る施工管理システムは、データ入力部21、重機位置判定部22、運搬機位置判定部23、作業エリア設定部24、エリアチャート作成部25、作業結果表示部26、及びID管理部27に加えて、作業計画設定部28、エリアチャート分析部29、及び作業計画変更部30を備えている。
作業計画設定部28は、重機1a1,1a2及び運搬機2a1〜2anによる作業計画を設定する。例えば、盛土作業の回数及びその量、排土作業の回数及びその量を、1日又は半日単位で設定することができる。これらの実際の設定は、施工現場の管理者が作業端末10を操作することにより、各種の設定内容が通信回線9及びネットワークインターフェイス15を介してサーバ4に入力され、演算部12が設定内容を第1記憶部13又は第2記憶部14に記憶されることによって行われている。すなわち、作業計画設定部28は、サーバ4の演算部12、第1記憶部13、第2記憶部14、及びネットワークインターフェイス15に対応しており、これらのサーバ4の構成装置が機能することによって、作業計画設定部28による各種の設定に係る機能が実現される。
エリアチャート分析部29は、エリアチャート作成部25によって作成された運搬機エリアチャート及び作業機械エリアチャート(すなわち、並べて表示された状態のエリアチャート)に基づいて、作業エリア設定部24において設定された作業内容の実施有無を分析する。また、エリアチャート分析部29は、当該分析結果を時間経過に対応させた作業内容チャートを作成する。このため、エリアチャート分析部29は、サーバ4の演算部12に対応しており、第1記憶部13に格納されたプログラムの演算部12による実行により、エリアチャート分析部29による分析及び作業内容チャートの作成に係る機能が実現される。
ここで、作業内容チャートとは、図17(b)によって示される、作業エリアごとに作業内容が実施されているか否かを時系列で表示したグラフである。当該作業内容チャートの作成方法(すなわち、エリアチャートの分析方法)としては、先ず、図17(a)において示したエリアチャートにおいて、重機と運搬機が同一作業エリアに存在している部分(時間帯)が抽出され、作業エリアごとに抽出された時間帯が表示される。すなわち、本実施例においては、図17(a)に示すように、運搬機2a1の運搬機エリアチャートにおけるAで囲まれた部分と、重機1a2の重機エリアチャートにおけるA’で囲まれた部分が重複していることから、8時過ぎから8時半過ぎにかけて重機1a2と運搬機2a1が作業エリア140に存在していると判断でき、重複部分が作業内容チャートの作業エリア140(土砂搬出)の時系列においてA’’で囲まれた部分として表示されている。同様に、他の時間帯における、重機1a2の重機エリアチャートと運搬機2a1〜2a3の運搬機エリアチャートとの重複部分も抽出され、作業エリア140の時系列において表示されている。
また、本実施例においては、図17(a)に示すように、運搬機2a1の運搬機エリアチャートにおけるBで囲まれた部分と、重機1a1の重機エリアチャートにおけるB’で囲まれた部分が重複していることから、9時過ぎから9時半過ぎにかけて重機1a1と運搬機2a1が作業エリア130に存在していると判断でき、重複部分が作業内容チャートの作業エリア130(盛土用土砂搬入)の時系列においてB’’で囲まれた部分として表示されている。同様に、他の時間帯における、重機1a1の重機エリアチャートと運搬機2a1〜2a3の運搬機エリアチャートとの重複部分も抽出され、作業エリア130の時系列において表示されている。
これらのことを換言すると、エリアチャート分析部29は、作業エリア毎に重機と運搬機の位置の論理積を演算し、作業エリア130における盛土、又は作業エリア140における土採りの作業が行われているか否かを分析していることになる。
更に、作業エリア150においては、重機が作業する必要がない排土の作業が設定されていることから、運搬機が存在していれば排土の作業が実施されていると推定でき、運搬機エリアチャートにおける作業エリア150の表示が、作業エリア150における作業の表示としてそのまま表示される。本実施例においては、運搬機2a3が作業エリア150に存在している部分(10時から10時半までの時間帯、及び15時半から16時までの時間帯)が、作業内容チャートの作業エリア150(不要な土など排土)の時系列において表示されている。
このことを換言すると、エリアチャート分析部29は、重機が存在する予定のない作業エリア150においては、運搬機の位置のみによって、作業エリア150における排土の作業が行われているか否かを分析していることになる。
このような作業エリアチャートが作成されると、運搬機の移動を鑑みて、各作業エリアの関連性が抽出されることになる。具体的には、運搬機2a1は8時過ぎから8時半過ぎまでは作業エリア140に存在しており、その後の9時過ぎから9時半過ぎまで作業エリア130に存在していることから、作業エリア140の時系列においてA’’で囲まれた部分と、作業エリア130の時系列においてB’’で囲まれた部分とが対応していると判断できる。このため、図17(b)における矢印Cで示すように、A’’の時間帯において作業エリア140にて採土・搬出された土砂が、B’’の時間帯において作業エリア130にて搬入されて盛土されていることが分析されている。同様に、他の時間帯における、作業も関連づけることができ(図17(b)において矢印で示す)、各作業内容の流れが分析されている。
以上のことから、エリアチャート分析部29は、運搬機エリアチャート及び作業機械エリアチャートとの重複表示部分の有無に基づいて、設定された作業内容の実施有無を判定していることになる。すなわち、当該重複表示部分によって規定されている作業エリアチャートは、各作業エリア及び各作業内容の進捗の形で表示されることになり、当該進捗が分析されていることになる。
また、エリアチャート分析部29は、運搬機エリアチャートにおける所定の作業エリアから他の作業エリアへの移動時間に基づいて、作業状況の分析も行っている。具体的に、図18に示すように、各運搬機の作業エリア130から作業エリア140までの移動時間が算出され、当該移動時間から運搬機の運行上における障害が発生しているか否かが分析されている。本実施例においては、運搬機2a3の移動時間Δt1(図18のEで示す部分)は、運搬機2a1の移動時間Δt2(図18のFで示す部分)及び運搬機2a2の移動時間Δt0(図18のGで示す部分)と比較して長くなっている。このため、運搬機2a3の運行については何等かの障害が発生したいたと分析でき、更には運搬機2a1の移動時間Δt2が運搬機2a2の移動時間Δt0と同等であることから、当該障害が一時的なものとも分析することができる。
作業計画変更部30は、作業計画設定部28によって設定された作業計画と、エリアチャート分析部29によって作成された作業内容チャートを比較し、作業計画の変更を行うか否かを判定するとともに、変更内容を決定する。このため、作業計画変更部30は、サーバ4の演算部12に対応しており、第1記憶部13に格納されたプログラムの演算部12による実行により、作業計画変更部30による判定及び変更実施に係る機能が実現される。例えば、図18に示す運搬機2a3の移動時間Δt1から分析された運行障害が解消されていないと分析された場合、作業計画変更部30は運行コースの変更等の作業計画の変更を行うことになる。
次に、図19を参照しつつ、本実施例に係る施工管理システムにおける施工管理処理について説明する。ここで、本実施例における処理フローにおいては、実施例2の場合と比較して、作業計画の設定(ステップS280)、エリアチャートの分析(ステップS290)、作業計画の変更(ステップS300)が追加されており、ステップS200b,S210b,S220b,S230b,S240b,S250bについては、同一内容である。また、作業結果の表示(ステップS310)は、実施例2のステップ260aに対応し、作業終了確認(ステップS320)は、実施例2のステップ270aに対応している。このため、以下においては、ステップS280、ステップS290、ステップS300について詳細に説明する。
作業エリア及び作業内容の設定(図19:ステップS200b)が完了すると、作業計画が設定される(図19:ステップS280)。具体的には、図20のステップS2800に示すように、作業エリア130における、本日(作業日)の盛土作業量計画値がGm3に設定される。また、設定された盛土作業量計画値に基づいて、盛土搬入回数計画値がN回に設定される。ここで、盛土搬入回数計画値は、N=G/G0の数式から算出される。なお、G0は、運搬機の基準積載量である。更に、作業日の午前の盛土搬入回数計画値がM回に設定され、作業日の午後の盛土搬入回数計画値がK回(K=N−M)に設定される。そして、作業エリア150における、本日の排土回数計画値がS回に設定される。
これらの各計画値は、施工現場の管理者によって適宜決定されてもよく、前日の作業実績に応じて自動的に決定されてもよい。また、本実施例においては、作業内容が盛土及び排土であるため、上記のような盛土搬入回数計画値及び排土回数計画値が設定されることになるが、作業内容に応じて設定内容は適宜変更されることになる。
次に、エリアチャートが更新されると、当該エリアチャートの分析が行われる(図19:ステップS290)。具体的には、上述したような作業エリアチャートの作成方法及び分析方法により、重機及び運搬機のエリアマップ(すなわち、重機エリアチャート及び運搬機エリアチャート)が作業エリアごとのエリアマップによって分析される。そして、当該分析結果が第1記憶部13又は第2記憶部14に記録され、更には作業端末10に作業エリアチャートや、障害の発生状況等の分析結果が表示される(図21:ステップS2910)。
続いて、作業エリアチャートに基づいて、作業内容毎に集計が行われる(図21:ステップS2920)。図17(b)に示す作業状況においては、作業エリア130における午前の盛土搬入回数が4回、午後の盛土搬入回数が5回、総盛土搬入回数が9回と集計される。また、作業エリア140における午前の盛土搬出回数が6回、午後の盛土搬出回数が5回、総盛土搬出回数が11回と集計される。更に、作業エリア150における午前の排土回数が1回、午後の排土回数が1回、総排土回数が2回と集計される。
作業内容毎に集計が完了すると、エリアチャートの分析結果から作業計画を変更するか否かの判定処理が行われる(図19:ステップS300)。例えば、本実施例においては、午前における作業状況を観測及び分析し、その結果に応じて午後の作業計画を見直す方法がとられている。
具体的には、先ず、午前中の盛土搬入回数が計画通りであるか判定する(図22:ステップS3010)。すなわち、午前中の盛土搬入回数Pが計画値mと等しいか否かを判定する。午前中の盛土搬入回数Pが計画値m以上である場合、作業計画を変更しないことになる(図22:ステップS3020,S3030)。なお、午前中の盛土搬入回数Pが計画値mよりも多い場合には、ステップS3030において午後の盛土搬入回数を減らすような作業計画の変更を行ってもよい。
一方、午前中の盛土搬入回数Pが計画値m未満である場合、運搬機の追加手配が行われる(図22:ステップS3040)。当該追加手配については、追加手配の必要性を作業端末10に表示することにより、施工現場の管理者が行うようにしてもよく、サーバ4の演算部12によって自動的に行われてもよい。
ステップS3020,S3030,S3040の処理が終了すると、作業エリア間の交通支障の有無が判定される(図22:ステップS3050)。具体的には、作業エリア間の移動時間Δtがあらかじめ設定された範囲内(Δtmin≦Δt≦Δtmax)であり、且つその状態が継続しているか否かが判定される。その後、交通支障がなければ作業計画が変更されず(図22:ステップS3060)、交通支障があれば作業計画が変更される(図22:ステップS3070)。例えば、図18の状況においては、Δt1が通常の時間であるΔt0よりも長いものの、Δt2がΔt0に戻っているため、交通支障はないものと判定されることになる。
なお、上記作業計画の変更有無の判定手法については、上述した盛土搬入回数や、交通支障の有無によらず、判定の際において施工現場における課題をどのように設定するかにより、判定基準を適宜変更することが可能である。
作業計画の変更に関する判定処理が終了すると、エリアチャートの分析結果から作業結果が、通信手段3を介して作業端末10に表示される(図19:ステップS310)。具体的には、図23に示すように、作業エリアごとに作業の内容、作業時間、作業回数、作業土量が表示されることになる。なお、作業時間、作業回数、作業土量については、上述したエリアチャートの分析ステップ(S290)において行われることになる。
以上のように、本実施例に係る施工管理システムにおいては、作成されたエリアチャートがサーバ4の演算部12によって自動的に分析され、当該分析結果が施工現場の管理者に提供されることになる。これにより、施工現場の管理者は、施工現場における作業状況をより容易に把握することができ、更には作業内容から施工現場全体の作業状況の最適化を早期に図ることも可能になる。
また、本実施例に係る施工管理システムにおいては、サーバ4の演算部12によって作業計画の変更有無が判定されるため、施工現場の管理者の負担が軽減されるとともに、施工現場における障害の早期解消が図ることが可能になる。
なお、本実施例における分析及び作業計画の変更に関する内容は、実施例1のような1台の重機及び1台の運搬機が作業する施工現場においても適用することができる。すなわち、実施例1の施工管理システムに対して、実施例3における分析及び作業計画の変更に関する処理を追加してもよい。
また、上述したいずれの実施例においても、携帯端末が重機及び運搬機に設置されていることが想定されていたが、施工現場の作業者に対しても携帯端末を所持させ、当該作業者の位置情報を含めた形でエリアチャートを作成してもよい。これにより、重機及び運搬機に加えて作業者を含めた状況の作業管理が可能になる。