JP2019173021A - カーボンナノチューブ複合膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】主表面の平坦性が高い、1mm以下のカーボンナノチューブ複合膜の提供。【解決手段】カーボンナノチューブ複合膜100は、カーボンナノチューブ10と、エラストマー30とを含み、0.01μm以上1mm以下の膜厚を備え、主表面の算術平均粗さが膜厚の50%以下、且つ5μm以下であり、前記カーボンナノチューブの配合量が0.001重量%以上40重量%以下である。又、残留水分量が5%以下である。前記カーボンナノチューブ複合膜が1S/cm以上の導電性を有するカーボンナノチューブを含み、かつ前記カーボンナノチューブ複合膜の導電性が0.01S/cm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブをエラストマー中に分散させたカーボンナノチューブ複合膜に関する。特に膜厚が100μm以下のカーボンナノチューブ複合薄膜に関する。
炭素原子のみで構成されるカーボンナノチューブは、電気的特性や熱伝導性、機械的性質の優れた材料である。カーボンナノチューブは、非常に軽量、且つ、極めて強靱であり、また、優れた弾性・復元性を有する材料である。このように優れた性質を有するカーボンナノチューブは、工業材料として、極めて魅力的、且つ重要な物質である。
ポリマーフォームおよびエラストマーに導電性フィラーを配合したカーボンナノチューブ複合材料や導電材料は、各種の用途、たとえば、電子商品、コンピュータ、医用機器などにおいて、電磁遮蔽および/または静電気放散をさせるためのガスケットやシールとして広く用いられている。過去においては、通常、金属やカーボンブラックなどの微粒子を用いることにより電気導電性を与えていた。電子部品の小型化と、プラスチック部品の利用が進むにつれて、特に民生用電子機器では、より高導電性を有するカーボンナノチューブ複合材料や導電材料が必要とされてきている。そこで、導電性に優れたカーボンナノチューブは、導電性フィラーとして注目されている。
例えば、中心部位から炭素繊維が三次元的(放射状)に延びているカーボンナノチューブをエラストマー中に配合すると、上記特定のカーボンナノチューブが、その三次元的な形状に由来し、エラストマー中で均一に分散する結果、エラストマー全体に連続的な導電路(導電パス)が形成され、導電性に優れる柔軟電極が実現されている(特許文献1)。
また、カーボンナノチューブ、イオン性液体、及びイオン性液体と混和性を有するゴムからなるカーボンナノチューブゴム組成物を含むカーボンナノチューブ複合材料や導電材料は、電子回路の構成材料として用いるのに十分な1S/cm以上の導電率と10%以上の伸長率を有し、フレキシブルエレクトロニクスの実現が可能となる伸長可能なエレクトロニクスデバイスに配線として用いられた(特許文献2)。
フレキシブルエレクトロニクスに応用するためには、基板上にカーボンナノチューブ複合材料の薄膜を形成し、フォトリソグラフィを用いてパターニングする必要がある。また、フレキシブルエレクトロニクスに応用可能なカーボンナノチューブ複合材料で薄膜を形成する場合、高い導電性を得るために、長いカーボンナノチューブを分散させる必要がある。しかし、長いカーボンナノチューブは薄膜を嵩高にし、主表面に凹凸ができてしまう。従来技術によるカーボンナノチューブ複合材料や導電材料では、100μm以下の薄膜を形成すると、その表面に凹凸が生じてしまい、レジストの塗布が困難であった。また、カーボンナノチューブ複合材料で導電層を形成しても、このような凹凸があることにより、導電性が不均一となり、エレクトロニクスデバイスの形成に要求される電気特性を満足することは困難であった。
特開2008−198425号公報 国際公開WO2009/102077
本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、主表面の平坦性が高い、1mm以下のカーボンナノチューブ複合膜を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態によると、カーボンナノチューブと、エラストマーとを含み、0.01μm以上1mm以下の膜厚を備え、主表面の算術平均粗さが膜厚の50%以下、及び/又は5μm以下であり、前記カーボンナノチューブの配合量が0.001重量%以上40重量%以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合膜が提供される。
前記カーボンナノチューブ複合膜は、残留水分量が5%以下である。
前記カーボンナノチューブ複合膜が1S/cm以上の導電性を有するカーボンナノチューブを含み、かつ前記カーボンナノチューブ複合膜の導電性が0.01S/cm以上である。
前記カーボンナノチューブ複合膜において、前記カーボンナノチューブの長さは、0.1μm以上である。
前記カーボンナノチューブ複合膜において、前記カーボンナノチューブの平均直径は、1nm以上30nm以下である。
前記カーボンナノチューブ複合膜において、前記カーボンナノチューブの蛍光X線を用いた分析による炭素純度が90重量%以上である。
前記カーボンナノチューブ複合膜において、前記エラストマーは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体から選ばれる一種以上を含有する。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、長い繊維状のカーボンナノチューブをエラストマーに分散させ、高い導電性を確保しつつ、0.01μm以上1mm以下の膜厚の薄膜とした場合にも、主表面の平坦性に優れた薄膜とすることができる。このような平坦性に優れた本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、フレキシブルエレクトロニクスに適用可能な導電膜に用いることができる。
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜100の模式図である。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造過程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造過程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造過程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜のプレスを示す模式図である。 本発明の一実施例に係るカーボンナノチューブ複合膜の主表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像であり、(a)は実施例を示し、(b)は比較例1を示す。 本発明の一実施例に係るカーボンナノチューブ複合膜の主表面のレーザー顕微鏡像であり、(a)は比較例2を示し、(b)は実施例を示す。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、カーボンナノチューブをエラストマー中に分散して形成した薄膜である。従来技術においては、高い導電性を得るために、長いカーボンナノチューブを分散させると、嵩高で表面に凹凸を有するような薄膜となり、エレクトロニクスデバイスの形成には適さない。本発明のカーボンナノチューブ複合膜は、後述するように優れた平坦性を備え、エレクトロニクスデバイスの導電層として用いることができるものである。図1は、本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜100の模式図であり、図1(a)は基板1上に配設したカーボンナノチューブ複合膜100の模式図であり、図1(b)はカーボンナノチューブ複合膜100の一部を切り取り、内部を露出させた図である。カーボンナノチューブ複合膜100において、カーボンナノチューブ10はエラストマー30に分散している。図1においては、一例として、基板1上にカーボンナノチューブ複合膜100を配設したものを示す。
なお、カーボンナノチューブ複合膜100の成膜に用いる基板1は、主表面の算術平均粗さが500nmよりも小さな平坦性が高い基板であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、サファイア、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン(PDMS)等のエレクトロニクスデバイスに一般に用いられるものでよい。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、0.01μm以上1mm以下の膜厚を備え、主表面の算術平均粗さが膜厚の50%以下、及び/又は5μm以下である。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、膜厚の下限が好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、上限が1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは70μm以下、更に好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。膜厚の下限は、CNTのバンドルサイズ以下では、平坦性と均一性を確保することが困難となる。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、膜表面の算術粗さが、好ましくは膜厚の20%以下もしくは2μm以下、更に好ましくは10%以下もしくは1μm以下、更に好ましくは5%以下もしくは0.5μm以下、更に好ましくは2%以下もしくは0.2μm以下、更に好ましくは1%以下もしくは0.1μm以下、更に好ましくは0.1%以下もしくは0.01μm以下である。膜の表面粗さにとくに下限はないが、膜表面の凹凸をCNTのバンドルサイズ、および、膜厚以下にすることは困難である。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、エレクトロニクスデバイスの導電層として実用的な範囲にある0.01μm以上1mm以下の膜厚に対して、主表面の算術平均粗さが膜厚の50%以下、且つ5μm以下の優れた平坦性を実現することができる。主表面の算術平均粗さが膜厚の50%または5μmを超えると、レジストの塗布が困難となり、導電層を形成しても導電性が不均一となるため、エレクトロニクスデバイスに要求される信頼性を確保するのは困難である。
ここで、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の主表面の算術平均粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡(AFM)の実測値からJIS B 0601-2001に基づいて、計算により求めることができる。算術平均粗さは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値で表される。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜において、カーボンナノチューブの長さは、0.5mm以上であり、より好ましくは1μm以上である。このようなカーボンナノチューブは、エラストマーに分散させると、カーボンナノチューブのネットワークを形成して、カーボンナノチューブ複合膜に優れた導電性を付与することができる。
また、カーボンナノチューブの配合量は、カーボンナノチューブ複合材料全体の重量を100重量%とした場合、0.001重量%以上40重量%以下である。下限は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、上限は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。カーボンナノチューブの配合量が70重量%を超えると、フレキシブルエレクトロニクスにおいて好ましい永久伸び及び弾性率が得られなくなる。カーボンナノチューブの配合量が0.001重量%未満ではエレクトロニクス用途において好ましい導電率が得られなくなる。このようなカーボンナノチューブ配向量は、平坦性の高いカーボンナノチューブ複合膜を得るために好ましい。
また、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜には、後述するように高純度で欠陥が殆ど無いカーボンナノチューブを好適に用いることができる。このような高品質のカーボンナノチューブを上述した配合量で用いて、上述した膜厚で形成する場合、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、残留水分量が5%以下であり、好ましくは1%以下であり、更に好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.2%以下であり、更に好ましくは0.1%以下であり、更に好ましくは0.01%以下である。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜を形成するには、後述するように、基材にカーボンナノチューブ複合材料を塗布して、乾燥工程により溶媒を除去する必要がある。残留水分量が5%を超える場合、カーボンナノチューブ同士を凝集させるため平坦化の妨げとなる。更に、エラストマーが固化するときに、カーボンナノチューブ複合材料に含まれる水分が水疱となり、乾燥工程において水分が蒸発すると、カーボンナノチューブ複合膜の主表面に凹凸ができてしまう。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、残留水分量が5%以下となるように、製造工程において、水分を制御することにより、主表面の算術平均粗さが膜厚の50%、且つ5μm以下の優れた平坦性を実現することができる。
カーボンナノチューブが長いほど、サイズの大きいバンドルを形成し易く、平坦化が困難であり、カーボンナノチューブを膜中に均一に分布させることも困難である。また、カーボンナノチューブの含有量が大きいほど、平坦化は困難である。本発明においては、カーボンナノチューブの隙間をエラストマーで埋める形で平坦性を確保している。また、カーボンナノチューブ複合膜の膜厚が厚いほど、成膜直後の膜の粗さは大きくなる。したがって、カーボンナノチューブ複合膜の主表面の平坦性は、膜厚がカーボンナノチューブのバンドルサイズに近づくほど難しくなる。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜を製造するには、これらの課題を克服する必要があり、以下のような解決手段によって、高い平坦性を実現することができる。
〔カーボンナノチューブゴムペースト作製工程〕
カーボンナノチューブゴムペースト中の水分量を5%以下とするためには、真空加熱乾燥などの方法により、カーボンナノチューブに吸着した水分を除去することが好ましい。また、カーボンナノチューブの分散及びエラストマーの分散に用いる溶媒への水分の吸着並びに吸収を防ぐことが好ましい。カーボンナノチューブ及び溶媒への水分の吸着や吸収を防ぐためには、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下でプレ分散工程を実施することが好ましい。
〔カーボンナノチューブ複合膜の成膜〕
カーボンナノチューブ複合膜の成膜においては、膜中にカーボンナノチューブが均一に分布していること、並びに、膜厚を制御できることが重要である。カーボンナノチューブを膜中に均一に分布させるためには、カーボンナノチューブを溶媒中に均一に分散させることが必要であるが、カーボンナノチューブに吸着した水分量は分散性を低下させるため、水分量の抑制はカーボンナノチューブの分散にも重要である。成膜後の膜の残留水分量が5%以下であるとき、カーボンナノチューブの溶媒中への分散は、平坦な膜の形成に十分であると考えられる。また、膜中にカーボンナノチューブを均一に分布させるためには、成膜中の溶媒乾燥において、カーボンナノチューブの凝集を防ぐことも必要である。
カーボンナノチューブがエラストマーに分散した溶液をスプレーコート法で塗布する場合には、スプレー塗布量が多すぎると溶媒が乾く前にカーボンナノチューブの凝集が起こる。凝集防止に効果があるのは、スプレー量の最適化でスプレー液滴を基板に均一に塗布することと、基板を加熱することで溶媒の蒸発を促進することである。例えば、カーボンナノチューブ濃度が2重量%、5重量%、8重量%、12重量%の場合、100℃に加熱したシリコン基板にスプレー量が50μL〜200μLで塗布することで、カーボンナノチューブが均一に分散したカーボンナノチューブ複合膜を作製することができる。
スプレーコート法では任意の基板上にカーボンナノチューブ複合膜を成膜することが可能であり、スプレー圧やスプレー量の調整により基板と溶媒との濡れ性の影響を最小限に抑制が可能である。本発明において、例えば、シリコン、サファイア、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン(PDMS)等の基板上にカーボンナノチューブ濃度が2重量%、8重量%、12重量%のカーボンナノチューブ複合膜を得ることができる。
スプレーコート法はスプレー回数で膜厚制御できるため、50μm以下の薄膜の膜厚制御に適している。また膜厚制御の精度は、スプレーコートでの塗布量とカーボンナノチューブのエラストマーペーストの溶媒濃度に依存する。スピンコート法で塗布する場合、カーボンナノチューブとエラストマーの質量の違いによりかかる遠心力に差があるため、カーボンナノチューブとエラストマーは分離がおこり易く、カーボンナノチューブを膜中に均一に分散させることが難しい。また、スピンコート法では基板と溶媒との濡れ性の影響を抑制するのが困難である。
キャスト法で塗布する場合、ビーカーやシャーレ等の容器内で溶媒を乾燥させるが、容器を旋回させることでカーボンナノチューブの分布を均一にさせること、及び膜厚分布を均一にすることができる。キャスト法による成膜では膜厚は溶媒量で制御される。原理的には50μm以下の膜の成膜も可能であり、且つ数ミクロンの精度で膜厚の制御も可能であるが、実際には溶媒の乾燥量の見積もりが困難である。このため従来技術で作製された膜の厚さは50μm以上であった。キャスト法により成膜した膜の平坦性は膜厚が50〜100μmのときに算術粗さで5〜20μmとなり、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜に比して粗くなっていた。
〔カーボンナノチューブ複合膜の平坦化〕
成膜後のカーボンナノチューブ複合膜の表面の算術平均粗さは、膜厚にかかわらず膜厚の10〜50%であるが、エラストマーが軟化する温度で平坦なプレートで膜表面をプレスすることで、膜の算術平均粗さを膜厚の50%以下且つ5μm以下まで改善することができる。平坦化工程での膜の剥離防止には、カーボンナノチューブ複合膜と基板の密着性が、カーボンナノチューブ複合膜とプレス用のプレートとの密着性よりも十分に高いことが必要である。基板がシリコンもしくはポリイミドシートの場合、プレス用プレートへのPDMSコーティングが膜の剥離防止に効果がある。平坦化工程ではプレス用プレートの平坦性が重要である。剥離防止用PDMSコーティングによるプレス用プレートの平坦性の低下を防ぐには、PDMSをトルエンで希釈し薄膜化すること、もしくは粘性が低く硬度の高いPDMSを用いることが有効である。
カーボンナノチューブの含有量が多いほど導電率が高くなり、エレクトロニクス配線材として使用する場合は有利だが、平坦化は困難になる。成膜直後の表面粗さは膜厚が厚いほど大きくなるが、カーボンナノチューブの凝集サイズと膜厚が近い条件では平坦化が困難であり、平坦化の難易度は薄い膜ほど高い。
水分量が5%以下に調整されたカーボンナノチューブ複合膜については、例えば、カーボンナノチューブ濃度が2重量%、5重量%、8重量%のとき、膜厚が5μm〜25μmの範囲で、算術平均粗さ膜厚の50%以下且つ5μm以下の平坦性を実現できることを確認している。またカーボンナノチューブ濃度が10重量%以上の場合、表面に膜厚が1μm以上のエラストマーもしくはカーボンナノチューブ濃度が2重量%以下の低カーボンナノチューブ濃度のカーボンナノチューブ複合膜を塗布することで、25μm以下の膜において膜厚の50%以下且つ5μm以下の算術平均粗さの実現が可能である。
[水分量の測定]
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の残留水分量は、カール・フィッシャー反応法により求めることができる。カーボンナノチューブ集合体はカール・フィッシャー反応法(三菱化学アナリテック製電量滴定方式微量水分測定装置CA−200型)で測定した。カーボンナノチューブ集合体を所定の条件(真空下、200℃に1時間保持)で乾燥後、乾燥窒素ガス気流中のグローブボックス内で、真空を解除してカーボンナノチューブ集合体を約30mg取り出し、水分計のガラスボート移す。ガラスボートは、気化装置に移動し、そこで150℃×2分間加熱され、その間に気化した水分は窒素ガスで運ばれて隣のカール・フィッシャー反応によりヨウ素と反応する。その時消費されたヨウ素と等しい量のヨウ素を発生させるために要した電気量により、水分量を検知する。後述する実施例においては、この方法により、乾燥前のカーボンナノチューブ集合体は、0.8重量%の水分を含有していた。乾燥後のカーボンナノチューブ集合体は、0.1重量%の水分に減少した。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、以下に述べる特性を有するカーボンナノチューブをエラストマーに分散したものであり、カーボンナノチューブ複合膜からカーボンナノチューブのみを抽出し、バッキペーパーにして評価することができる。
[ラマンスペクトル]
波長633nmのラマン分光分析で、110±10cm-1、190±10cm-1、かつ200cm-1以上の領域のそれぞれにピークが観測されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合材料は、本発明の効果を得るのに好適である。カーボンナノチューブの構造は、ラマン分光分析法により評価が可能である。ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nmおよび633nmの波長を利用する。ラマンスペクトルの350cm-1以下の領域はラジアルブリージングモード(以下、RBMという)と呼ばれ、この領域に観測されるピークは、カーボンナノチューブの直径と相関がある。
本発明に係わるカーボンナノチューブ、及びカーボンナノチューブ複合膜は、波長633nmのラマン分光分析で、110±10cm-1、190±10cm-1、及び200cm-1以上の領域のそれぞれにピークが観測され、幅広い波長範囲に渡ってピークを有する。上記以外にも、さらに好ましくは、135±10cm-1、250±10cm-1、280±10cm-1、にピークを有することが好ましい。すなわち、このようなラマンピークを有するカーボンナノチューブは、大きく異なる直径を有するカーボンナノチューブから構成されるため、大きく異なる直径を有するカーボンナノチューブはカーボンナノチューブ間を最密にパッキングすることができず、カーボンナノチューブ間の相互作用が比較的弱く、極めて良好な分散性を示す。そのため、超音波などで、カーボンナノチューブを切断せずとも、カーボンナノチューブをエラストマーに容易に分散させることができるので、カーボンナノチューブが本来持っている特性を十分にエラストマーに付与することができる。すなわち、係るカーボンナノチューブをエラストマーに分散させると、カーボンナノチューブに与える損傷を最小限に抑えることができるため、少ないカーボンナノチューブの配合量で、高い導電性を有するカーボンナノチューブ複合膜を得ることができる。
ラマン分光分析の波数は測定条件によって変動することがあるため、ここで規定する波数は波数±10cm-1の範囲で規定するものとする。上記で例えば200cm-1ちょうどにピークがある場合、190±10cm-1および200cm-1以上のいずれの範囲にも入る。このような場合は、190±10cm-1および200cm-1以上の両方の範囲にピークが存在すると考える。なお、後続の考えに従ってラマンスペクトルのピークとカーボンナノチューブの直径との相関によりピークの帰属を考える場合は、他のピークとの関係で、いずれか一方の範囲のみに帰属すると解釈できる場合もある。例えば既に190±10cm-1にピークが存在し、さらに200cm-1にピークが存在し、200cm-1以上に200cm-1以外にピークが存在しない場合は200cm-1のピークは200cm-1以上のピークと解釈することができる。
[カーボンナノチューブ複合膜の導電性]
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、好ましくは0.01S/cm以上、より好ましくは0.1S/cm以上、さらいに好ましくは1S/cm以上の導電性を有することが好ましい。導電性の上限はとくにないが、炭素材料の導電性104S/cmを凌駕することはできない。
[カーボンナノチューブの導電性]
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの導電率は1S/cm以上、より好ましくは10S/cm以上、さらに好ましくは50S/cm以上である。このような導電率を有するカーボンナノチューブことは、高導電性のカーボンナノチューブ複合膜を得るために好ましい。
[カーボンナノチューブの特性]
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの特性は、カーボンナノチューブ複合膜からカーボンナノチューブのみを抽出し、例えばバッキペーパーにして評価することができる。抽出は、溶媒を用いてエラストマーを溶解するなどの公知の手段を適宜用いることができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの平均直径は、1nm以上30nm以下の範囲であり、好ましくは1nm以上10nm以下の範囲である。平均直径が小さすぎると、凝集性が強すぎて分散しない。逆に平均直径が大きすぎると、カーボンナノチューブが硬くなるため、エラストマー中で嵩高な網目構造を形成するため好ましくない。なお、本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの平均直径は、エラストマーに分散させる前のカーボンナノチューブ配向集合体の透過電子顕微鏡(以下、TEMという)画像から一本一本のカーボンナノチューブの外径、すなわち直径を計測してヒストグラムを作成し、このヒストグラムから求める。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの蛍光X線を用いた分析による炭素純度が90重量%以上であることが好ましく、より好ましくは95重量%以上であり、更に好ましくは98重量%以上である。このような高純度のカーボンナノチューブは優れた導電性を有し、エレクトロニクスデバイスの導電層として好適である。なお、炭素純度とは、カーボンナノチューブの重量の何パーセントが炭素で構成されているかを示し、本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの炭素純度は、蛍光X線による元素分析から求める。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブは、共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで1560cm-1以上1600cm-1以下の範囲内での最大のピーク強度をG、1310cm-1以上1350cm-1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、G/D比が3以上あることが好ましい。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブは、グラフェンシートの欠陥が少ないほど品質がよく、導電性が向上するため、好ましい。このグラフェンシートの欠陥は、ラマン分光分析法により評価が可能である。ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nmおよび633nmの波長を利用する。ラマンスペクトルにおいて、1590cm-1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm-1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来するDバンドと呼ばれる。カーボンナノチューブの品質を測定するために、ラマン分光分析によるGバンドとDバンドの高さ比(G/D比)が用いられる。このG/D比が高いカーボンナノチューブほど、グラファイト化度が高く、高品質である。ここでラマンG/D比を評価するときは、波長532nmを用いる。G/D比は高いほど良いが、3以上であればカーボンナノチューブ複合膜に含まれるカーボンナノチューブは十分に導電性が高く、高電気導電性のカーボンナノチューブ複合膜を得るのに好ましい。G/D比は、好ましくは4以上200以下であり、さらに好ましくは5以上150以下である。またカーボンナノチューブのような固体のラマン分光分析法は、サンプリングによってばらつくことがある。そこで少なくとも3カ所、別の場所をラマン分光分析し、その相加平均をとるものとする。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブが好ましい。単層カーボンナノチューブは優れた変形能を有し、カーボンナノチューブ複合膜の主表面の高い平坦性を得ることができる。
[エラストマー]
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるエラストマーは、エラストマーが好ましい。エラストマーは、優れた変形能を有するため好ましい。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に適用可能なエラストマーとしては、柔軟性、導電性、耐久性の点で、例えば、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)から選ばれる一種以上が挙げられる。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるエラストマーは、上記の群より選ばれる一種以上を架橋しても良い。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるエラストマーはとしては、特にフッ素ゴムが好ましい。フッ素ゴムは、カーボンナノチューブとの分散性が高く、カーボンナノチューブ複合膜の高い導電性と、平坦性の両方を同時に実現することが可能となり、特に好ましい。
架橋剤としては、上記のエラストマーの種類に応じて異なるが、例えば、イソシアネート基含有架橋剤(イソシアネート、ブロックイソシアネート等)、硫黄含有架橋剤(硫黄等)、過酸化物架橋剤(パーオキサイド等)、ヒドロシリル基含有架橋剤(ヒドロシリル硬化剤)、メラミン等の尿素樹脂、エポキシ硬化剤、ポリアミン硬化剤や、紫外線や電子線等のエネルギーによってラジカルを発生する光架橋剤等が挙げられる。これらは単独または二種以上で用いてもよい。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜において、エラストマーへのカーボンナノチューブの分散性を向上させるために、イオン液体を用いることもできる。本発明のカーボンナノチューブ複合膜には、公知のイオン液体を利用可能であるが、例えば、本発明者らが特開2010−097794号公報において開示した下記の一般式(I)〜(IV)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン、第4級アンモニウムイオン)と、アニオン(X-)より成るものが挙げられる。
上記の式(I)〜(IV)において、R1は炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基を示し、式(I)においてR2は炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基または水素原子を示す。式(I)において、R1とR2は同一ではないことが好ましい。式(III)および(IV)において、xはそれぞれ1〜4の整数である。
なお、本発明のカーボンナノチューブ複合膜には、上述の成分以外に、例えば、イオン導電剤(界面活性剤、アンモニウム塩、無機塩)、可塑剤、オイル、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、難燃剤、着色剤等を適宜用いてもよい。
[カーボンナノチューブ複合材料の用途]
本発明のカーボンナノチューブ複合膜は高導電性を備え、主表面の高い平坦性を有するためエレクトロニクスデバイスの導電層として用いることができ、例えば、アクチュエータ、センサー、トランスデューサ等の電子機器や、太陽電池、有機EL等に用いることができる。
[製造方法]
以下に、本発明のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法について説明する。本発明のカーボンナノチューブ複合膜は、上述の特性を有するカーボンナノチューブをエラストマー中に分散させ、基板に塗布して溶媒を除去することにより得ることができる。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブは、上述した特性を備えるものであればよく、公知の製造方法により得ることができる。本発明者らは、例えば、特願2011−191502にその製造方法を開示している。
〔カーボンナノチューブの分散〕
図2は、本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造過程を示すフローチャートである。剥離したカーボンナノチューブ集合体に乾燥工程を実施する(S101)。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブは大きく異なる複数の直径を有するカーボンナノチューブから構成されるため、大気中に保存、搬送時に、カーボンナノチューブの間に容易に大気中の水分を吸着する。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、主表面の算術平均粗さを50%以下、且つ5μm以下とするために、残留水分量を5%以下にすることが好ましい。このため、カーボンナノチューブ集合体の乾燥工程は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜に製造工程においては必須の工程である。また、このように水分が吸着した状態では、水の表面張力により、カーボンナノチューブ同士がくっついているため、カーボンナノチューブが非常にほどけにくくなり、エラストマー中での良好な分散性が得られない。そこで、分散工程の前にカーボンナノチューブの乾燥工程を実施することで、カーボンナノチューブに含まれる水分を除去し、分散媒への分散性を高めることが好ましい。乾燥工程には、例えば、加熱乾燥や真空乾燥を用いることができ、加熱真空乾燥は好適である。
分級したカーボンナノチューブ集合体は、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下で有機溶媒と混合する(S103)。このとき、カーボンナノチューブの分散性を向上させるためにイオン液体を添加してもよい。ここで、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下とは、0.1ppm以下の水分を含む不活性ガスで満たした環境であり、不活性ガスとしては窒素やアルゴン等を用いることができる。
次の分散工程の前に、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下でプレ分散工程を実施することが好ましい(S105)。プレ分散工程とは、溶媒中にカーボンナノチューブ集合体を攪拌して分散させる工程である。本発明のカーボンナノチューブ複合材料に用いるカーボンナノチューブは、後述するように、ジェットミルを用いた分散方法が好ましいが、プレ分散工程を実施することにより、ジェットミルにカーボンナノチューブが詰まるのを防止するとともに、カーボンナノチューブの分散性を高めることができる。プレ分散工程には、撹拌子を用いることが好ましい。
プレ分散工程を施したカーボンナノチューブ集合体の分散液に分散工程を施す(S107)。カーボンナノチューブ集合体の分散液への分散工程には、剪断応力によりカーボンナノチューブを分散させる方法が好ましく、ジェットミルを用いるのが好ましい。特に、湿式ジェットミルを好適に用いることができる。湿式ジェットミルは、溶媒中の混合物を高速流として、耐圧容器内に密閉状態で配置されたノズルから圧送するものである。耐圧容器内で対向流同士の衝突、容器壁との衝突、高速流によって生じる乱流、剪断流などによりカーボンナノチューブを分散させる。湿式ジェットミルとして、例えば、株式会社常光のナノジェットパル(JN10、JN100、JN1000)を用いた場合、分散工程における処理圧力は、10MPa以上150MPa以下の範囲内の値が好ましい。分散工程は、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、装置の規模から、湿度を低く制御した大気中で行なってもよい。
このように分散させたカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブの優れた電気的特性や熱伝導性、機械的性質を維持しつつ、分散性が高く、安定した分散液を提供することができる。
次に、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下でエラストマーを溶媒と混合し(S111)、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下でエラストマーを溶媒に溶解させる(S113)。このように水分量の少ない環境下で準備したエラストマー溶液をカーボンナノチューブ分散液に添加して、十分に攪拌し、エラストマー中にカーボンナノチューブを分散させる(S121)。上述したように、本発明のカーボンナノチューブ複合膜においては、カーボンナノチューブ複合膜全体の質量を100重量%とした場合、0.001重量%以上40重量%以下である。好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下となるように、カーボンナノチューブ分散液とエラストマー溶液とを混合することが好ましい。
十分に混合した溶液を、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下で、所定の濃度に濃縮または溶媒で希釈して調製する(S123)。調製したカーボンナノチューブ複合材料は、すぐに成膜工程に用いることが好ましいが、保管する場合は水分量の少ない不活性ガス雰囲気下とする。本発明に係るカーボンナノチューブの分散工程は、水分の不活性条件で行うことにより、カーボンナノチューブ複合材料への水分の混入を抑制して、平坦性の高いカーボンナノチューブ複合膜を形成することができる。
[カーボンナノチューブ複合膜の成膜]
調製したカーボンナノチューブ複合材料は、公知の成膜方法により成膜することができる。例えば、印刷法、スプレーコート法、スピンコート法等を用いることができる。中でも、0.01μm以上1mm以下の膜厚を備えた本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜を成膜する場合、比較的大きな面積に薄く、且つ均一に成膜可能なスプレーコートを好適に用いることができる。
スプレーコートにより成膜する場合は、例えば、以下の工程により成膜することができる。図3は、スプレーコート法によるカーボンナノチューブ複合膜の成膜工程を示すフロー図である。スプレーコートする基板を溶媒が揮発する温度に加熱する(S201)。加熱した基板面に調製したカーボンナノチューブ複合材料をスプレー塗布する(S203)。加熱乾燥によりカーボンナノチューブ複合材料中の溶媒を除去して、成膜する(S205)。所望の厚さになるまで、スプレー塗布及び加熱乾燥の工程を繰り返す。これらの成膜工程は、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、装置の規模から、湿度を低く制御した大気中で行なってもよい。大気中で成膜した場合には、カーボンナノチューブ複合膜は、さらに加熱乾燥することが好ましい(S207)。成膜工程において、十分に水分を除去し、混入させないことが重要である。なお、成膜に用いる基板は、主表面の算術平均粗さが500nmよりも小さな平坦性が高い基板であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、サファイア、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン(PDMS)等のエレクトロニクスデバイスに一般に用いられるものでよい。
[カーボンナノチューブ複合膜の平坦化]
長いカーボンナノチューブを分散させたカーボンナノチューブ複合材料を用いるため、成膜したカーボンナノチューブ複合膜は、嵩高で、主表面の平坦性が十分ではない。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造においては、さらに平坦化工程を実施する。図4は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の平坦化工程を示すフロー図である。
カーボンナノチューブ複合膜を、加熱機構を備えたプレス機を用いてプレスする(S301)。図5は、カーボンナノチューブ複合膜100のプレスを示す模式図である。基板1上に形成膜されたカーボンナノチューブ複合膜100の主表面を、別の基板7でプレスする。基板7は、主表面の算術平均粗さが500nmよりも小さな平坦性が高い基板であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、サファイア等のエレクトロニクスデバイスに一般に用いられるものでよい。また、基板7がカーボンナノチューブ複合膜100を高温・高圧条件でプレスするため、基板7のカーボンナノチューブ複合膜100と接触する面には、カーボンナノチューブ複合膜100の付着を防止するための付着防止層9を形成しておくことが好ましい。付着防止層9には、カーボンナノチューブ複合膜100に用いるエラストマーとの親和性が低い材料を用いることが好ましく、例えば、ジメチルポリシロキサン(PDMS)を好適に用いることができる
プレスしたカーボンナノチューブ複合膜100を、加熱機構によりエラストマーの軟化点以上の温度に加熱する(S303)。これにより、カーボンナノチューブ複合膜100のマトリクスであるエラストマーが軟化し、嵩高なカーボンナノチューブごと圧縮される。プレスした状態で、室温まで高温し、エラストマーを固化させる(S305)。この平坦化工程により、カーボンナノチューブ複合膜100の主表面も算術平均粗さが膜厚の50%以下、且つ5μm以下に平坦化することができる。
[溶媒]
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの分散媒及びエラストマーの溶解に用いる溶媒としては、エラストマーを溶解可能な有機溶媒であればよく、用いるエラストマーにより適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン、アセトン、四塩化炭素等を用いることができる。特に、本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いる溶媒として、フッ素ゴム及びシリコーンゴムを含む多くのゴムが可溶であり、カーボンナノチューブの良溶媒であるメチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)が好ましい。
分散剤をカーボンナノチューブ分散液に添加してもよい。分散剤は、カーボンナノチューブの分散能や分散安定化能等を向上させるのに役立つ。
このようにして、高導電性を備え、平坦性に優れた本発明のカーボンナノチューブ複合膜を製造することができる。製造された本発明のカーボンナノチューブ複合膜は、エレクトロニクスデバイスの導電層として利用することができ、例えば、アクチュエータ、センサー、トランスデューサ等の電子機器や、太陽電池、有機EL等に用いる場合は、それぞれの用途に適した加工を更に施すことができる。用途ごとの加工方法については、公知の技術により適宜選択可能であるため、詳細な説明は省略する。
〔実施例で製造されるカーボンナノチューブの特性〕
カーボンナノチューブ集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、実施例1の製造条件では、典型値として、長さが100μm、平均直径が3.0nmである。
[カーボンナノチューブ集合体の純度]
カーボンナノチューブ集合体の炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より求めた。基板から剥離したカーボンナノチューブ集合体を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素の重量パーセントは99.98%、鉄の重量パーセントは0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。この結果から、炭素純度は99.98%と計測された。
[カーボンナノチューブ集合体のラマンスペクトル評価]
実施例1により得られたカーボンナノチューブ集合体のラマンスペクトルを計測した。鋭いGバンドピークが1590cm-1近傍で観察され、これより本発明のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブにグラファイト結晶構造が存在することが分かる。
また欠陥構造などに由来するDバンドピークが1340cm-1近傍で観察されているため、カーボンナノチューブに有意な欠陥が含まれていることを示している。複数の単層カーボンナノチューブに起因するRBMモードが低波長側(100〜300cm-1)に観察されたことから、このグラファイト層が単層カーボンナノチューブであることが分かる。G/D比は8.6であった。
[カーボンナノチューブの分散]
得られたカーボンナノチューブ集合体は、真空ポンプを用いて配向したカーボンナノチューブ集合体を吸引し基材501から剥離して、フィルターに付着したカーボンナノチューブ集合体を回収した。その際、配向したカーボンナノチューブ集合体は分散して、塊状のカーボンナノチューブ集合体を得た。
分級したカーボンナノチューブ集合体を100mg正確に計量し、100mlフラスコ(3つ口:真空用、温度調節用)に投入して、真空下で200℃に達してから24時間保持し、乾燥させた。乾燥が終了後、加熱・真空処理状態のまま、分散媒MIBK(メチルイソブチルケトン)(シグマアルドリッチジャパン社製)20mlを注入しカーボンナノチューブ集合体が大気に触れることを防いだ(乾燥工程)。
さらに、水分量0.1ppm以下、アルゴン雰囲気下で、MIBK(シグマアルドリッチジャパン社製)と、イオン液体を追加して300mlとする。そのビーカーに撹拌子を入れて、ビーカーをアルミ箔で封印し、MIBKが揮発しないようにして、600RPMで、24時間スターラーで常温撹拌した。
分散工程には、湿式ジェットミル(常光社製ナノジェットパル(登録商標)JN10)を用い、200μmの流路を60MPaの圧力で通過させてカーボンナノチューブ集合体をMIBKに分散させ、重量濃度0.033wt%のカーボンナノチューブ分散液を得た。分散工程は大気中で行った。
[カーボンナノチューブゴムペースト作製工程]
本実施例においては、エラストマーとしてフッ素ゴム(ダイキン工業社製、Daiel-G912)を用いた。フッ素ゴムは、アルゴン雰囲気下で、MIBK(シグマアルドリッチジャパン社製)と混合し、2日間で溶解させた。カーボンナノチューブ複合材料全体の質量を100重量%とした場合、カーボンナノチューブ含量が8%となるように、カーボンナノチューブ分散液150mlをフッ素ゴム溶液50mlに添加し、スターラーを用い、約300rpm条件下で、室温で16時間攪拌し全量が50ml程度になるまで濃縮した。得られたカーボンナノチューブ複合材料には、単相カーボンナノチューブ100mg、MIBK100cc、フッ素ゴム1150mgが含まれる。
他の実施例として、カーボンナノチューブ含量が2、8、12重量%であるカーボンナノチューブ複合膜を作製した。
[カーボンナノチューブ複合膜成膜工程]
十分に混合した溶液を100℃に加熱したシリコン基板に50〜200μlずつスプレー塗布した。加熱乾燥によりカーボンナノチューブ複合材料中の溶媒を除去して、成膜した。スプレーコート及び加熱乾燥を40回繰り返して膜厚が15μmのカーボンナノチューブ複合膜を得た。その後さらに150℃で5時間乾燥させた。
[平坦化工程]
カーボンナノチューブ複合膜を、PDMSをコートしたシリコン基板でプレスし、150℃に加熱した。プレスしたまま室温まで降温させて、平坦化し、実施例のカーボンナノチューブ複合膜を得た。得られた本実施例のカーボンナノチューブ複合膜の水分量を上述したカール・フィッシャー反応法により測定した。本実施例のカーボンナノチューブ複合膜の水分量は、0.065%であった。
(比較例1)
比較例1として、実施例のような水分制御下ではなく、大気中で調製したカーボンナノチューブを用いて、大気中で分散、成膜したカーボンナノチューブ複合膜を作製した。比較例1のカーボンナノチューブ複合膜の水分量は、0.300%であった。
図6は、本実施例に係るカーボンナノチューブ複合膜の主表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図6(a)は実施例1を示し、図6(b)は比較例1を示す。比較例1においては、カーボンナノチューブ複合膜に含まれた水分が蒸発した水泡状の凹凸が観察される。一方、実施例1のカーボンナノチューブ複合膜では、そのような凹凸は観察されず、平坦性が確保されていることがわかる。なお、図示しないが、他の実施例においても同様の結果が得られた。
(比較例2)
比較例2として、成膜後、平坦化工程を実施していないカーボンナノチューブ複合膜を準備した。図7は、本実施例に係るカーボンナノチューブ複合膜の主表面のレーザー顕微鏡像である。図7(a)は比較例2を示し、図8(b)は実施例1を示す。平坦化していない比較例2では主表面の凹凸が大きいことがわかる。一方、実施例1のカーボンナノチューブ複合膜では、主表面の凹凸は有意に抑制されている。また、AFMを用いて表面を測定し、主表面の算術平均粗さを求めた。比較例2では主表面の算術平均粗さが1.5μmであったのに対して、実施例1のカーボンナノチューブ複合膜では、主表面の算術平均粗さは0.17μmと平坦性が高いことが明らかとなった。なお、図示しないが、他の実施例においても同様の結果が得られた。
以上の実施例から、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は主表面の平坦性が従来に比して有意に高いことが明らかとなった。
1 基板、7 基板、9 付着防止層、10 カーボンナノチューブ、30 エラストマー、100 カーボンナノチューブ複合膜

Claims (4)

  1. 主表面の算術平均粗さが膜厚の50%以下及び5μm以下であるカーボンナノチューブ複合膜を基板上に成膜するために使用されるペーストであって、
    前記ペーストは、長さが1μm以上であるカーボンナノチューブを備えることを特徴とするペースト。
  2. 主表面の算術平均粗さが5μm以下であるカーボンナノチューブ複合膜を基板上に成膜するために使用されるペーストであって、
    前記ペーストは、長さが1μm以上であるカーボンナノチューブを備えることを特徴とするペースト。
  3. 前記ペーストは、エラストマーをさらに備え、
    前記カーボンナノチューブは、前記ペーストに対する配合量が0.001重量%以上15重量%以下を備え、かつ前記ペーストの残留水分量は5重量%以下を備えることを特徴とする請求項1に記載のペースト。
  4. 前記カーボンナノチューブは、平均直径が1nm以上30nm以下、G/D比が3以上、且つ導電率が1S/cm以上を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のペースト。
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