JP2018016806A - カーボンナノチューブ複合膜 - Google Patents
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。
ができる。算術平均粗さは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値で表される。
カーボンナノチューブゴムペースト中の水分量を5%以下とするためには、真空加熱乾燥などの方法により、カーボンナノチューブに吸着した水分を除去することが好ましい。また、カーボンナノチューブの分散及びエラストマーの分散に用いる溶媒への水分の吸着並びに吸収を防ぐことが好ましい。カーボンナノチューブ及び溶媒への水分の吸着や吸収を防ぐためには、水分量の少ない不活性ガス雰囲気下でプレ分散工程を実施することが好ましい。
カーボンナノチューブ複合膜の成膜においては、膜中にカーボンナノチューブが均一に分布していること、並びに、膜厚を制御できることが重要である。カーボンナノチューブを膜中に均一に分布させるためには、カーボンナノチューブを溶媒中に均一に分散させることが必要であるが、カーボンナノチューブに吸着した水分量は分散性を低下させるため、水分量の抑制はカーボンナノチューブの分散にも重要である。成膜後の膜の残留水分量が5%以下であるとき、カーボンナノチューブの溶媒中への分散は、平坦な膜の形成に十分であると考えられる。また、膜中にカーボンナノチューブを均一に分布させるためには、成膜中の溶媒乾燥において、カーボンナノチューブの凝集を防ぐことも必要である。
成膜後のカーボンナノチューブ複合膜の表面の算術平均粗さは、膜厚にかかわらず膜厚の10〜50%であるが、エラストマーが軟化する温度で平坦なプレートで膜表面をプレスすることで、膜の算術平均粗さを膜厚の50%以下且つ5μm以下まで改善することができる。平坦化工程での膜の剥離防止には、カーボンナノチューブ複合膜と基板の密着性が、カーボンナノチューブ複合膜とプレス用のプレートとの密着性よりも十分に高いことが必要である。基板がシリコンもしくはポリイミドシートの場合、プレス用プレートへのPDMSコーティングが膜の剥離防止に効果がある。平坦化工程ではプレス用プレートの平坦性が重要である。剥離防止用PDMSコーティングによるプレス用プレートの平坦性の低下を防ぐには、PDMSをトルエンで希釈し薄膜化すること、もしくは粘性が低く硬度の高いPDMSを用いることが有効である。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の残留水分量は、カール・フィッシャー反応法により求めることができる。カーボンナノチューブ集合体はカール・フィッシャー反応法(三菱化学アナリテック製電量滴定方式微量水分測定装置CA−200型)で測定した。カーボンナノチューブ集合体を所定の条件(真空下、200℃に1時間保持)で乾燥後、乾燥窒素ガス気流中のグローブボックス内で、真空を解除してカーボンナノチューブ集合体を約30mg取り出し、水分計のガラスボート移す。ガラスボートは、気化装置に移動し、そこで150℃×2分間加熱され、その間に気化した水分は窒素ガスで運ばれて隣のカール・フィッシャー反応によりヨウ素と反応する。その時消費されたヨウ素と等しい量のヨウ素を発生させるために要した電気量により、水分量を検知する。後述する実施例においては、この方法により、乾燥前のカーボンナノチューブ集合体は、0.8重量%の水分を含有していた。乾燥後のカーボンナノチューブ集合体は、0.1重量%の水分に減少した。
波長633nmのラマン分光分析で、110±10cm-1、190±10cm-1、かつ200cm-1以上の領域のそれぞれにピークが観測されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合材料は、本発明の効果を得るのに好適である。カーボンナノチューブの構造は、ラマン分光分析法により評価が可能である。ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nmおよび633nmの波長を利用する。ラマンスペクトルの350cm-1以下の領域はラジアルブリージングモード(以下、RBMという)と呼ばれ、この領域に観測されるピークは、カーボンナノチューブの直径と相関がある。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、好ましくは0.01S/cm以上、より好ましくは0.1S/cm以上、さらいに好ましくは1S/cm以上の導電性を有することが好ましい。導電性の上限はとくにないが、炭素材料の導電性104S/cmを凌駕することはできない。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの導電率は1S/cm以上、より好ましくは10S/cm以上、さらに好ましくは50S/cm以上である。このような導電率を有するカーボンナノチューブことは、高導電性のカーボンナノチューブ複合膜を得るために好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの特性は、カーボンナノチューブ複合膜からカーボンナノチューブのみを抽出し、例えばバッキペーパーにして評価することができる。抽出は、溶媒を用いてエラストマーを溶解するなどの公知の手段を適宜用いることができる。
以上であり、更に好ましくは98重量%以上である。このような高純度のカーボンナノチューブは優れた導電性を有し、エレクトロニクスデバイスの導電層として好適である。なお、炭素純度とは、カーボンナノチューブの重量の何パーセントが炭素で構成されているかを示し、本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの炭素純度は、蛍光X線による元素分析から求める。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるエラストマーは、エラストマーが好ましい。エラストマーは、優れた変形能を有するため好ましい。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に適用可能なエラストマーとしては、柔軟性、導電性、耐久性の点で、例えば、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)から選ばれる一種以上が挙げられる。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるエラストマーは、上記の群より選ばれる一種以上を架橋しても良い。
(III)および(IV)において、xはそれぞれ1〜4の整数である。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜は高導電性を備え、主表面の高い平坦性を有するためエレクトロニクスデバイスの導電層として用いることができ、例えば、アクチュエータ、センサー、トランスデューサ等の電子機器や、太陽電池、有機EL等に用いることができる。
以下に、本発明のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法について説明する。本発明のカーボンナノチューブ複合膜は、上述の特性を有するカーボンナノチューブをエラストマー中に分散させ、基板に塗布して溶媒を除去することにより得ることができる。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブは、上述した特性を備えるものであればよく、公知の製造方法により得ることができる。本発明者らは、例えば、特願2011−191502にその製造方法を開示している。
図2は、本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造過程を示すフローチャートである。剥離したカーボンナノチューブ集合体に乾燥工程を実施する(S101)。本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブは大きく異なる複数の直径を有するカーボンナノチューブから構成されるため、大気中に保存、搬送時に、カーボンナノチューブの間に容易に大気中の水分を吸着する。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜は、主表面の算術平均粗さを50%以下、且つ5μm以下とするために、残留水分量を5%以下にすることが好ましい。このため、カーボンナノチューブ集合体の乾燥工程は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜に製造工程においては必須の工程である。また、このように水分が吸着した状態では、水の表面張力により、カーボンナノチューブ同士がくっついているため、カーボンナノチューブが非常にほどけにくくなり、エラストマー中での良好な分散性が得られない。そこで、分散工程の前にカーボンナノチューブの乾燥工程を実施することで、カーボンナノチューブに含まれる水分を除去し、分散媒への分散性を高めることが好ましい。乾燥工程には、例えば、加熱乾燥や真空乾燥を用いることができ、加熱真空乾燥は好適である。
調製したカーボンナノチューブ複合材料は、公知の成膜方法により成膜することができる。例えば、印刷法、スプレーコート法、スピンコート法等を用いることができる。中でも、0.01μm以上1mm以下の膜厚を備えた本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜を成膜する場合、比較的大きな面積に薄く、且つ均一に成膜可能なスプレーコートを好適に用いることができる。
長いカーボンナノチューブを分散させたカーボンナノチューブ複合材料を用いるため、成膜したカーボンナノチューブ複合膜は、嵩高で、主表面の平坦性が十分ではない。本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の製造においては、さらに平坦化工程を実施する。図4は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜の平坦化工程を示すフロー図である。
本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いるカーボンナノチューブの分散媒及びエラストマーの溶解に用いる溶媒としては、エラストマーを溶解可能な有機溶媒であればよく、用いるエラストマーにより適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン、アセトン、四塩化炭素等を用いることができる。特に、本発明のカーボンナノチューブ複合膜に用いる溶媒として、フッ素ゴム及びシリコーンゴムを含む多くのゴムが可溶であり、カーボンナノチューブの良溶媒であるメチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)が好ましい。
カーボンナノチューブ集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、実施例1の製造条件では、典型値として、長さが100μm、平均直径が3.0nmである。
カーボンナノチューブ集合体の炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より求めた。基板から剥離したカーボンナノチューブ集合体を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素の重量パーセントは99.98%、鉄の重量パーセントは0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。この結果から、炭素純度は99.98%と計測された。
実施例1により得られたカーボンナノチューブ集合体のラマンスペクトルを計測した。鋭いGバンドピークが1590cm-1近傍で観察され、これより本発明のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブにグラファイト結晶構造が存在することが分かる。
得られたカーボンナノチューブ集合体は、真空ポンプを用いて配向したカーボンナノチューブ集合体を吸引し基材501から剥離して、フィルターに付着したカーボンナノチューブ集合体を回収した。その際、配向したカーボンナノチューブ集合体は分散して、塊状のカーボンナノチューブ集合体を得た。
本実施例においては、エラストマーとしてフッ素ゴム(ダイキン工業社製、Daiel-G912)を用いた。フッ素ゴムは、アルゴン雰囲気下で、MIBK(シグマアルドリッチジャパン社製)と混合し、2日間で溶解させた。カーボンナノチューブ複合材料全体の質量を100重量%とした場合、カーボンナノチューブ含量が8%となるように、カーボンナノチューブ分散液150mlをフッ素ゴム溶液50mlに添加し、スターラーを用い、約300rpm条件下で、室温で16時間攪拌し全量が50ml程度になるまで濃縮した。得られたカーボンナノチューブ複合材料には、単相カーボンナノチューブ100mg、MIBK100cc、フッ素ゴム1150mgが含まれる。
十分に混合した溶液を100℃に加熱したシリコン基板に50〜200μlずつスプレー塗布した。加熱乾燥によりカーボンナノチューブ複合材料中の溶媒を除去して、成膜した。スプレーコート及び加熱乾燥を40回繰り返して膜厚が15μmのカーボンナノチューブ複合膜を得た。その後さらに150℃で5時間乾燥させた。
カーボンナノチューブ複合膜を、PDMSをコートしたシリコン基板でプレスし、150℃に加熱した。プレスしたまま室温まで降温させて、平坦化し、実施例のカーボンナノチューブ複合膜を得た。得られた本実施例のカーボンナノチューブ複合膜の水分量を上述したカール・フィッシャー反応法により測定した。本実施例のカーボンナノチューブ複合膜の水分量は、0.065%であった。
比較例1として、実施例のような水分制御下ではなく、大気中で調製したカーボンナノチューブを用いて、大気中で分散、成膜したカーボンナノチューブ複合膜を作製した。比較例1のカーボンナノチューブ複合膜の水分量は、0.300%であった。
比較例2として、成膜後、平坦化工程を実施していないカーボンナノチューブ複合膜を準備した。図7は、本実施例に係るカーボンナノチューブ複合膜の主表面のレーザー顕微鏡像である。図7(a)は比較例2を示し、図8(b)は実施例1を示す。平坦化していない比較例2では主表面の凹凸が大きいことがわかる。一方、実施例1のカーボンナノチューブ複合膜では、主表面の凹凸は有意に抑制されている。また、AFMを用いて表面を測定し、主表面の算術平均粗さを求めた。比較例2では主表面の算術平均粗さが1.5μmであったのに対して、実施例1のカーボンナノチューブ複合膜では、主表面の算術平均粗さは0.17μmと平坦性が高いことが明らかとなった。なお、図示しないが、他の実施例においても同様の結果が得られた。
Claims (6)
- 導電性フィラーと、エラストマーとを備える導電性ペーストであり、
前記導電性フィラーは、カーボンナノチューブを備え、前記カーボンナノチューブは、前記導電性ペーストに対する配合量が0.001重量%以上15重量%以下を備え、かつ前記導電性ペーストの残留水分量は5重量%以下を備えることを特徴とする導電性ペースト。 - 前記カーボンナノチューブは、長さが1μm以上であり、平均直径が1nm以上30nm以下、G/D比が3以上、且つ導電率が1S/cm以上を備えることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
- 前記エラストマーは、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンープロピレン―ジエン三元共重合体(EPDM)
のいずれか1つを備えることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。 - 前記導電性ペーストは、導電率が0.01S/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
- 請求項1乃至4の何れか一に記載の導電性ペーストを基材上に設けて作られた膜を備えることを特徴とする構造物。
- 前記膜は、0.01μm以上1mm以下の膜厚を備え、かつ主表面の算術平均粗さが膜厚の50%以下、及び又は5μm以下を備えることを特徴とする請求項5に記載の構造物。
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