JP2019172496A - 窒素含有炭素材料の製造方法 - Google Patents

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健生 市原
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Abstract

【課題】所定の細孔径の細孔を多数有する酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料の簡便な製造方法を提供すること。【解決手段】炭素原料と、窒素原料と、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物とを含有する前駆体を熱処理する工程を含む、窒素含有炭素材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、窒素含有炭素材料の製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池は、発電効率が高く、出力密度が高く、急速な起動停止が可能であり、小型軽量化が可能である、といった利点を持ち、携帯用電源、移動用電源、及び小型定置用発電機等への適用が期待されている。
固体高分子形燃料電池では、その正極で起こる酸素還元反応を促進するために、一般に白金又は白金合金が触媒として用いられる。しかし、白金の資源量が極めて少なく、また高価であるために白金の使用が実用化への大きな障壁となっている。そこで、白金等の貴金属を必要としない燃料電池用電極触媒として窒素を含有することによって酸素還元活性を発現した炭素材料(以下、「窒素含有炭素材料」という。)が注目を集めている。
例えば、特許文献1においては、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、銅フタロシアニン等の金属と窒素含有有機配位子とを有する遷移金属錯体と、フェノール樹脂の混合物を炭化して窒素含有炭素材料を合成し、これを燃料電池の電極触媒として用いることが提案されている。
また、特許文献2においては、細孔径20〜50nmの範囲の細孔は、反応物質である酸素が拡散しやすく、もう一つの反応物質であるプロトンを媒介するアイオノマーや水が浸透しやすいため、酸素還元反応に適した反応場であると考えられることから、20〜50nmの細孔を多数有する窒素含有炭素材料を合成し、これが高い酸素還元活性を示すことを報告している。特許文献2では、炭素原料と、窒素原料と、を含む前駆体を調製する前駆体調製工程、前記前駆体を不活性ガス雰囲気下で熱処理する第1の熱処理工程、第1の熱処理工程で得られたサンプルのナノ粒子を分散させたスラリーを得るスラリー調製工程、前記スラリーから溶媒を除去することで20〜50nmの細孔を形成させる細孔形成工程、並びに、前記細孔形成したサンプルをさらにアンモニアガス雰囲気下で熱処理する第2の熱処理工程により、酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料を製造している。
特開2012−101155号公報 特開2017−71541号公報
しかしながら、特許文献2の製造方法は煩雑であり、窒素含有炭素材料の生産性が低い。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の細孔径の細孔を多数有する酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、前駆体中に特定の亜鉛化合物を添加して熱処理することによって、細孔を多数有する酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料を簡便に製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]
炭素原料と、窒素原料と、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物とを含有する前駆体を熱処理する工程を含む、窒素含有炭素材料の製造方法。
[2]
前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛及び/又は金属亜鉛である、[1]に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
[3]
前記前駆体が、さらに遷移金属原料を含む、[1]又は[2]に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
[4]
前記遷移金属原料が、鉄及び/又はコバルトを含む化合物である、[3]に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
[5]
前記熱処理が、不活性ガス雰囲気下で実施される、[1]〜[4]のいずれかに記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
[6]
前記熱処理が、800〜1500℃で実施される工程を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
本発明によると、酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料の製造方法を提供することができる。
実施例1、比較例1、及び比較例2において作製された窒素含有炭素材料の細孔分布測定を行って得られた細孔径−対数微分細孔容積のグラフを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔窒素含有炭素材料の製造方法〕
本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、炭素原料と、窒素原料と、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物と、必要に応じて遷移金属原料と、を含む前駆体を、熱処理する工程を含む。
本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、具体的には、炭素原料と、窒素原料と、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物と、必要に応じて遷移金属原料と、を含む前駆体を調製する前駆体調製工程;前記前駆体を熱処理し窒素含有炭素材料を得る熱処理工程;を含む。本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、前記前駆体調製工程及び熱処理工程からなることが好ましい。
本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法では、前駆体中に平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物を含むことにより、熱処理中に亜鉛が気化して、細孔を多数有する酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料を簡便に製造できる。
〔前駆体調製工程〕
前駆体調製工程は、炭素原料、窒素原料及び平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物を複合化した前駆体、又は炭素原料、窒素原料、遷移金属原料及び平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物を複合化した前駆体を調製する工程である。本明細書において、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物を、単に「亜鉛化合物」ともいう。
(前駆体)
本実施形態における前駆体とは、炭素原料、窒素原料及び亜鉛化合物を複合化したものであっても、炭素原料、窒素原料、遷移金属原料及び亜鉛化合物を複合化したものであってもよい。前駆体は、必要に応じて他の成分も含むことができる。
ここで、「複合化」とは、炭素原料、窒素原料及び亜鉛化合物、又は、炭素原料、窒素原料、遷移金属原料及び亜鉛化合物が物理的に混合している状態であってもよく、炭素原料、窒素原料及び亜鉛化合物、又は、炭素原料、窒素原料、遷移金属原料及び亜鉛化合物が化学結合を形成している状態であってもよい。前駆体中の各原料は、それぞれが均一に分散していることが好ましい。
他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ホウ素及び/又はリンを含有する化合物等が挙げられる。
炭素原料、窒素原料、遷移金属原料及び亜鉛化合物は、それぞれ炭素原子、窒素原子、遷移金属原子、亜鉛原子を含有しているものであれば特に限定されず、一種類の化合物を複数の原子の原料としてもよく、ある原子の原料として複数の化合物を用いてもよい。
原料としては、例えば、炭素原子、窒素原子及び遷移金属原子を含有する金属フタロシアニンを炭素原料、窒素原料及び遷移金属原料としてもよく、炭素原子を含有するカーボンブラックと炭素原子及び窒素原子を含有するポリアニリンとを同時に用いて原料としてもよい。
(炭素原料)
炭素原料としては、特に限定されないが、例えば、有機化合物及び炭素材料が挙げられる。
有機化合物としては、窒素ガス流通下で、1000℃、1時間熱処理を施して得られる炭素材料の収率が1質量%以上である化合物が好ましい。
有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール、フラン、フラン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリチオフェン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、リグニン、ピッチ、ポリカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル及びポリメタクリル酸等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛、活性炭、アモルファスカーボン、カーボンブラック、石炭、木炭、コークス、カーボンナノチューブ、フラーレン及びグラフェン等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(窒素原料)
窒素原料としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する低分子の有機化合物、窒素原子を有する高分子の有機化合物を用いることができ、それらの2種以上の混合物であってもよい。
窒素原子を有する低分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する数平均分子量1000未満の有機化合物が挙げられる。
窒素原子を有する低分子の有機化合物としては、具体的には、ジアミノマレオニトリル、フタロシアニン、ポルフィリン、1,10−フェナントロリン、メラミン、アクリロニトリル、ピロール、ピリジン、ビニルピリジン、アニリン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、キノキサリン、ピラゾール、モルホリン、ヒドラジン、ヒドラジド、尿素、サレン、トリアジン及びシアヌル酸等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
窒素原子を有する高分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する数平均分子量1000以上の有機化合物が挙げられる。窒素原子を有する高分子の有機化合物としては、具体的には、アズルミン酸、ジアミノマレオニトリル重合体、メラミン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−ポリメタクリル酸共重合体、ポリピロール、ポリビニルピロール、ポリビニルピリジン、ポリアニリン、ポリベンゾイミダゾ−ル、ポリイミド、ポリアミド、キチン、キトサン、ポリアミノ酸、絹、毛、核酸、DNA、RNA、ポリウレタン、ポリアミドアミン、ポリカルボジイミド、ポリビスマレイミド及びポリアミノビスマレイミド等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態に用いる窒素含有炭素材料は、このような窒素原料を用いて製造することにより、原子比(N/C)を調整することができる。
このなかでも、窒素原料及び炭素原料としては、1,10−フェナントロリンを含むことが好ましく、1,10−フェナントロリン及びフェノール樹脂を含むことがより好ましい。1,10−フェナントロリン及びフェノール樹脂を含むことにより、窒素含有炭素材料の酸素還元活性と収率がより向上する傾向にある。
(遷移金属原料)
遷移金属原料としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属塩、遷移金属錯体を用いることができ、それらの2種類以上の混合物であってもよい。
遷移金属としては、特に限定されないが、例えば、Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Cr等が挙げられ、Fe,Co,Cuが好ましく、Fe,Coがより好ましく、Feがさらに好ましい。
遷移金属塩としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸化物、硫酸化物、リン酸化物、酢酸化物、シアン化物等が挙げられる。
遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属のアセチルアセトン錯体、シクロペンタジエニル錯体、フタロシアニン錯体、ポルフィリン錯体、フェナントロリン錯体等が挙げられる。
本実施形態の製造方法により製造される窒素含有炭素材料は、このような遷移金属を含むことにより、酸素還元活性がより向上する傾向にある。
鉄(Fe)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(II)四水和物、塩化鉄(III)、塩化鉄(III)六水和物、臭化鉄(II)、臭化鉄(II)六水和物、臭化鉄(III)、臭化鉄(III)六水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸アンモニウム、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸ナトリウム一水和物、硝酸鉄(II)六水和物、硝酸鉄(III)九水和物、チオシアン酸鉄(III)、炭酸鉄(II)、炭酸鉄(II)一水和物、ヘキサクロロ鉄(III)酸メチルアンモニウム、テトラクロロ鉄(II)酸テトラメチルアンモニウム、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸カリウム二水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム鉄(III)水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物、アンミンペンタシアノ鉄(II)酸ナトリウム三水和物、アクアペンタシアノ鉄(II)酸ナトリウム七水和物、チオシアン酸鉄(II)三水和物、酢酸鉄、シュウ酸鉄(III)五水和物、シュウ酸鉄(II)二水和物、クエン酸鉄(III)三水和物、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)四水和物、硫酸鉄(III)、硫酸鉄(III)九水和物、テトラクロロ鉄(II)酸アンモニウム、過塩素酸鉄(II)六水和物、過塩素酸鉄(III)六水和物、アクアペンタフルオロ鉄(III)酸カリウム、硫酸カリウム鉄(III)十二水和物、ビス(スルファト)鉄(II)二アンモニウム六水和物、トリス(硫酸)鉄(III)酸ナトリウム三水和物、リン酸鉄(III)二水和物、リン酸鉄(II)八水和物、硫酸鉄(II)七水和物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物である。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
コバルト(Co)塩としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、硝酸コバルト(II)六水和物、フッ化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、臭化コバルト(II)六水和物、炭酸コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)三水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、酢酸コバルト(III)、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(II)六水和物、テトラクロロコバルト(II)酸セシウム、ヘキサフルオロコバルト(III)酸カリウム、ヨウ化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)六水和物、ヘキサニトロコバルト(III)酸カリウム、リン酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)八水和物、硫酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)七水和物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)六水和物である。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ニッケル(Ni)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)六水和物、臭化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)六水和物等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
銅(Cu)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化銅(II)、塩化銅(II)二水和物、臭化銅(II)、硝酸銅(II)二水和物等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
マンガン(Mn)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化マンガン(II)、臭化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)四水和物等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
クロム(Cr)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化クロム(III)、臭化クロム(III)、硝酸クロム(III)九水和物等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
前駆体中の遷移金属原子の含有量は、前駆体の全量に対し、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.03質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜3質量%である。前駆体中の遷移金属原子の含有量が上記範囲内であることにより、窒素含有炭素材料の酸素還元活性がより向上する傾向にある。
(亜鉛化合物)
本実施形態の製造方法における前駆体は、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物を含む。平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物を含むことにより、得られる窒素含有炭素材料に2〜100nmの細孔が形成される。その詳細な理由は明らかではないが、後述する熱処理の間に、まずは亜鉛化合物の周囲の炭素原料及び又は窒素原料が炭素化し、続いて亜鉛化合物が還元されて金属亜鉛となり、さらに金属亜鉛が気化することにより細孔が形成されるものと推察される。したがって、目的とする細孔径に近い粒子径を持ち、熱処理中に金属亜鉛になりやすい亜鉛化合物を好ましく用いることができる。
そのような亜鉛化合物として、例えば、酸化亜鉛、金属亜鉛等が好適に挙げられる。酸化亜鉛及び金属亜鉛は、ナノ粒子であることが好ましい。酸化亜鉛及び金属亜鉛の平均粒子径は、2〜100nmであり、好ましくは10〜90nmであり、より好ましくは20〜80nmである。
本明細書における亜鉛化合物の平均粒子径とは、BET法から求めた比表面積から換算された値である。平均粒子径は、具体的には、亜鉛化合物を単一の粒子径をもつ球と仮定し、BET表面積S(m2/g)、亜鉛化合物の比重ρ(g/cm3)から、以下の式により算出した値である。
平均粒子径=6000/Sρ
前駆体中の亜鉛化合物の含有量は、前駆体を構成する材料の合計量に対し、好ましくは1質量%〜90質量%であり、より好ましくは3質量%〜80質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜70質量%である。前駆体中の亜鉛化合物の含有量が上記範囲内であることにより、窒素含有炭素材料の細孔径及び細孔容積を適切な範囲に調整することができる。
また、用いる炭素原料及び窒素原料によって、熱処理工程によって得られる窒素含有炭素材料中の窒素含有量が異なるため、窒素含有炭素材料の窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が所望の範囲になるよう、炭素原料と窒素原料との比率を調整することが好ましい。
原子比(N/C)は、原子比(N/C)の高い窒素原料を用いる及び/又は前駆体中の窒素原料の比率を上げることにより、大きくするように制御することができ、原子比(N/C)の低い窒素原料を用いる及び/又は前駆体中の窒素原料の比率を下げることにより、小さくするように制御することができる。
窒素原料、炭素原料、遷移金属原料及び亜鉛化合物の複合化の方法としては、特に限定されないが、各原料を溶媒に溶かした後に蒸発乾固する方法、各原料をボールミル等で物理混合する方法等が挙げられる。
また、各原料を溶媒に溶かす複合化方法としては、特に限定されないが、例えば、一つの溶媒に全ての原料を溶解させてもよく、それぞれ異なる溶媒に各原料を溶解させた後に各溶媒を混合してもよい。
溶媒としては、特に限定されず、例えば、各原料の溶解度が高い溶媒を適宜選択すればよい。溶媒は、1種類の溶液単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔熱処理工程〕
熱処理工程は、炭素原料と、窒素原料と、亜鉛化合物と、を含む前駆体を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る工程である。
熱処理工程は、一段階の熱処理であってもよく、二段階以上の熱処理であってもよい。また、熱処理工程を二段階以上で行う場合は、その間に他の工程を組み込んでもよい。特に、後述する平均粒子径調整工程を実施する場合は、前記前駆体を熱処理して亜鉛を残したまま炭化する第1の熱処理工程と、前記第1の熱処理工程で得られたサンプルの平均粒子径を調整する平均粒子径調整工程と、前記平均粒子径を調整したサンプルをさらに高温で熱処理して亜鉛を除去する第2の熱処理工程と、をこの順番で行うことが好ましい。
熱処理工程では、前記前駆体を不活性ガス雰囲気下で熱処理することが好ましい。上記不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、希ガス、真空等を用いることができる。
二段階の熱処理を実施する場合、例えば、第1の熱処理工程の熱処理温度は、好ましくは300〜800℃であり、より好ましくは350〜750℃であり、さらに好ましくは400〜700℃である。熱処理温度がこの範囲であることにより、サンプル中に亜鉛を残したまま炭化することができる。また、第2の熱処理工程の熱処理温度は、好ましくは800〜1500℃であり、より好ましくは850〜1400℃であり、さらに好ましくは900〜1300℃である。熱処理温度が800℃以上であることにより、亜鉛が除去されて目的とする細孔が十分に形成され、また、熱処理温度が1500℃以下であることにより、高い酸素還元活性を示す傾向にある。
不活性ガス雰囲気下における熱処理時間は、好ましくは5分〜20時間であり、より好ましくは10分〜10時間であり、さらに好ましくは20分〜5時間である。熱処理時間が5分以上であることにより、前駆体の炭素化が十分に進行し、亜鉛が十分に除去される傾向にある。また、熱処理時間が20時間以下であることにより、最終的に得られる窒素含有炭素材料の酸素還元活性が高くになる傾向にある。
(遷移金属除去工程)
不活性ガス雰囲気下における熱処理工程の前後に、塩酸や硫酸等を用いて遷移金属の一部を除去してもよい。特に、熱処理によって表面に遷移金属粒子が生成する場合には、酸素還元活性の高い窒素含有炭素材料を得る観点から、該熱処理工程後に遷移金属粒子を除去することが好ましい。遷移金属粒子のできやすさは遷移金属の種類、濃度、分散性、又は熱処理温度等によって変化する。また、遷移金属粒子の除去率を高めるために、熱処理工程と遷移金属除去工程とを繰り返し行うことも好ましい。
〔平均粒子径調整工程〕
窒素含有炭素材料の平均粒子径は、体積平均粒子径であって、電極触媒としての活性と電極内の物質輸送との観点から、1nm以上100μm以下であることが好ましく、5nm以上10μm以下であることがより好ましく、10nm以上1μm以下であることがさらに好ましい。
窒素含有炭素材料の平均粒子径を調整する方法は特に限定されず、前駆体調製工程において前駆体の平均粒子径を制御してもよく、熱処理工程後の窒素含有炭素材料を粉砕して調整してもよい。前駆体調製工程において前駆体の平均粒子径を制御する場合は、特に限定されないが、例えば、炭素原料、窒素原料及び任意で遷移金属原料を含む溶液をスプレードライヤーにて造粒する方法や、重合によって微粒子を得る方法を用いることができる。また、粉砕方法としては、特に限定されないが、例えば、前駆体又は窒素含有炭素材料を、乾式ボールミル、乾式ジェットミル、湿式ビーズミル、湿式ジェットミル等にて粉砕する方法が挙げられる。
〔窒素含有炭素材料〕
本実施形態の製造方法によって製造される窒素含有炭素材料は、Barrett−Joyner−Halenda法による細孔径分布測定において、対数微分細孔容積が最大となる細孔径が、2〜100nmの範囲内にある細孔を有することが好ましい。
細孔径は、5〜75nmであることがより好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましい。細孔径2〜100nmの範囲の細孔容積としては0.10cc/g以上であることが好ましく、0.20cc/g以上であることがより好ましく、0.30cc/g以上であることがさらに好ましい。上記の細孔容積の上限値は、特に制限されないが、通常3cc/g以下である。このような細孔を有することにより、高い酸素還元活性を示す傾向にある。高い酸素還元活性を示す理由は明らかではないが、細孔径2〜100nmの範囲の細孔は、反応物質である酸素が拡散しやすく、もう一つの反応物質であるプロトンを媒介するアイオノマーや水が浸透しやすいため、酸素還元反応に適した反応場となり、酸素還元活性が向上すると考えられる。
(原子比(N/C))
窒素含有炭素材料における、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)は、好ましくは0.005〜0.300であり、より好ましくは0.010〜0.200であり、さらに好ましくは0.020〜0.150である。
原子比(N/C)が上記範囲内であることにより、酸素還元活性がより高くなる傾向にある。
原子比(N/C)は、後述する窒素含有炭素材料の製造方法において、炭素原料と窒素原料との比率を調整することにより、制御することができる。
原子比(N/C)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(遷移金属)
窒素含有炭素材料は、遷移金属をさらに含むことが好ましい。窒素含有炭素材料は、遷移金属を含むことによって、高い酸素還元活性が発揮される傾向にある。遷移金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Fe,Co,Ni,Cu,Mn,及びCrが挙げられ、好ましくは、Fe,Co,及びCuであり、より好ましくはFe及びCoである。これらの遷移金属原子は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
窒素含有炭素材料における遷移金属原子の含有率は、それぞれの原子について、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.3〜15質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10質量%、よりさらに好ましくは0.5〜3.0質量%である。
遷移金属原子の含有率が上記範囲内であることにより、酸素還元活性がより高くなる傾向にある。
遷移金属原子の含有率は、遷移金属原料の配合量を調整することにより制御することができる。
遷移金属原子の含有率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(Zn)
本実施形態の製造方法によって製造される窒素含有炭素材料は、製造の際に使用される亜鉛化合物に由来するZnを含んでいてもよい。
窒素含有炭素材料におけるZnの含有率は、特に制限されず、通常0〜20質量%であればよく、0〜15質量%であってもよく、0〜10質量%であってもよく、0〜3.0質量%以下であってもよい。
〔燃料電池〕
窒素含有炭素材料は、固体高分子形燃料電池やアニオン交換膜形燃料電池、直接メタノール形燃料電池等の正極に用いることができる。燃料電池の構造は特に限定されないが、主に膜電極接合体(MEA)と正極セパレータと負極セパレータとからなる。
〔MEAの製法〕
MEAの製造方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。例えば、触媒層(正極触媒層、負極触媒層を総称して触媒層という。)の構成成分を溶媒中に分散させたインクを負極側、正極側の両方用意し、高分子電解質膜の片方の主面ともう片方の主面にそれぞれ塗布して乾燥させ、乾燥後にマイクロポーラス層付きガス拡散層を圧着する方法が挙げられる。また、前記インクをポリテトラフルオロエチレン等のフィルムに塗布及び乾燥し、負極側と正極側で高分子電解質膜を挟んで熱圧着した後に両側の該フィルムを剥がし、マイクロポーラス層付きガス拡散層を圧着する方法が挙げられる。また、前記インクをマイクロポーラス層付きガス拡散層に塗布及び乾燥し、負極側と正極側で高分子電解質膜を挟んで熱圧着する方法が挙げられる。
〔負極の製法〕
負極触媒層の電極触媒としては、特に限定されないが、例えば、白金微粒子をカーボンブラックに担持した触媒、白金ルテニウム合金の微粒子をカーボンブラックに担持した触媒等の燃料電池の一般的な負極の電極触媒を用いることができる。高分子電解質としてはナフィオン分散液を好ましく用いることができる。溶媒としては、例えば、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等)及びその混合物を好ましく用いることができる。
(高分子電解質重量)/(触媒重量)の比率は、0.1〜2が好ましく、0.2〜1がより好ましく、0.3〜0.8がさらに好ましい。溶媒と固形分の比率は特に限定されず、用いる塗布装置に適した粘度に調整することが好ましい。塗布装置は特に限定されず、例えば、バーコーター、スプレーコーター、スクリーンプリンター等の一般的な方法を用いることができる。
〔正極の製法〕
窒素含有炭素材料は正極触媒として用いることができる。高分子電解質としてはナフィオン分散液を好ましく用いることができる。溶媒としては、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等)及びその混合物を好ましく用いることができる。(高分子電解質重量)/(触媒重量)の比率は、0.1〜5が好ましく、0.2〜3がより好ましく、0.3〜2がさらに好ましい。溶媒と固形分の比率は特に限定されず、用いる塗布装置に適した粘度に調整することが好ましい。塗布装置は特に限定されず、例えば、バーコーター、スプレーコーター、スクリーンプリンター等の一般的な方法を用いることができる。
〔用途〕
上述の窒素含有炭素材料は、固体高分子形燃料電池やアニオン交換膜形燃料電池、直接メタノール形燃料電池等の正極触媒として用いることができる。
以下に実施例等を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本実施形態として実施することができ、係る変更は本発明の範囲に包含される。
各物性の分析方法は以下のとおりとした。
(細孔径分布測定)
JIS Z8831−2「粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性−第2部:ガス吸着によるメソ細孔及びマクロ細孔の測定方法」に従って、吸着ガスに窒素を用い、BJH法にて実施例及び比較例で得られた窒素含有炭素材料の各細孔径での細孔容積を測定した。細孔径−対数微分細孔容積のグラフから対数微分細孔容積が最大となる細孔径を決定した。
(原子比N/C)
JIS M8819「石炭類及びコークス類−機器分析装置による元素分析方法」に従って実施例及び比較例で得られた窒素含有炭素材料中の炭素及び窒素の質量濃度を測定した。これを原子比に換算したものをN/Cとした。
測定装置にはヤナコテクニカルサイエンス製のCHNコーダーMT−6を使用した。
(遷移金属及び亜鉛の含有率)
実施例及び比較例で得られた窒素含有炭素材料を、空気流通下900℃で1時間熱処理して炭素及び窒素を焼き飛ばし、残渣を王水に溶解させてICP発光分光分析することによって窒素含有炭素材料中の遷移金属及び亜鉛の含有率を測定した。
測定装置にはエスアイアイ・ナノテクノロジー製のSPS3520UV−DDを使用した。
(酸素還元活性測定)
実施例及び比較例で用いた、電極作製法及び回転電極法によるリニアスイープボルタンメトリーの測定(北斗電工の回転リングディスク電極装置「HR−301」、ポテンショスタット「HZ−5000」を使用。)は、以下のとおり行った。
まず、バイアル瓶に、実施例又は比較例で作製した窒素含有炭素材料5mgを秤取し、そこに、ガラスビーズをスパチュラ一杯、5質量%ナフィオン分散液(シグマアルドリッチジャパン製)を50μL、並びにイオン交換水及びエタノールをそれぞれ150μLずつ添加し、それらの混合物に20分間超音波を照射してスラリーを作製した。
このスラリーを4μL秤取し、回転電極のガラス状炭素上(0.2828cm2)に塗布し、真空乾燥した。乾燥後の回転電極を作用極とし、可逆水素電極(RHE)を参照極として、炭素電極を対極とした。0.5M硫酸を電解液とし、その電解液にまず窒素を30分間バブリングした後、掃引速度5mV/s、回転速度1500rpmで1.1Vから0Vまで掃引してボルタモグラムを得た。
続いて酸素を30分間バブリングした後、先ほどと同条件でボルタモグラムを得た。酸素下のボルタモグラムと窒素下のボルタモグラムの差分が酸素還元電流である。当該電気化学測定において、0.8Vでの酸素還元電流の絶対値が大きい(還元電流はマイナスの値となる)ほど、窒素含有炭素材料の酸素還元活性が高いと判定した。
[実施例1]
<前駆体調製工程>
1Lのナス型フラスコに1,10−フェナントロリン6g、フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製、レヂトップPSK−2320)6g、塩化鉄(II)0.082g、酸化亜鉛(平均粒子径50nm)12g及びメタノール400ccを加え、室温で20分間撹拌した。その後、60℃の水浴中にて、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥させて前駆体を得た。
なお、平均粒子径は、BET法から求めた比表面積から換算された値である。具体的には、平均粒子径d(nm)は、酸化亜鉛を単一の粒子径をもつ球と仮定し、BET表面積S(m2/g)、酸化亜鉛の比重ρ(g/cm3)から、以下の式により算出した。
d=6000/Sρ
<第1の熱処理工程>
調製した前駆体5.0gをアルミナボートに載置し、それをボックス炉に収容した。炉内を大気圧、1NL/minの窒素流通下で60分間かけて室温から500℃まで昇温し、500℃のまま1時間保持することで4.4gのサンプルを得た。
<平均粒子径調整工程>
上記第1の熱処理工程のサンプルを遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)製のPulverisette−5を使用)にて直径10mmのジルコニアボールを用いて乾式粉砕することにより、平均粒子径を1μmに調整したサンプルを得た。
<第2の熱処理工程>
上記の平均粒子径を調整したサンプル2.1gを石英ボートに載置し、それを内径36mmの石英管状炉に収容した。炉内を大気圧、1NL/minの窒素流通下で60分間かけて室温から950℃まで昇温し、950℃のまま1時間保持することで0.42gのサンプルを得た。
<物性評価>
前述の方法にて、細孔分布測定、N/C測定、遷移金属及び亜鉛の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1及び図1に示す。
[実施例2]
第2の熱処理工程の熱処理温度を1050℃にしたこと以外は、実施例1と同じ方法により窒素含有炭素材料を合成した。物性評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
<前駆体調製工程>
酸化亜鉛を添加しないこと以外は、実施例1と同じ方法で前駆体を調製した。
<第1の熱処理工程>
調製した前駆体12gをアルミナボートに載置し、それをボックス炉に収容した。炉内を大気圧、1NL/minの窒素流通下で60分間かけて室温から800℃まで昇温し、800℃のまま1時間保持することで4.6gのサンプルを得た。
<平均粒子径調整工程>
実施例1と同じ方法で実施した。
<第2の熱処理工程>
上記の平均粒子径を調整したサンプル1gを石英ボートに載置し、それを内径36mmの石英管状炉に収容した。炉内を大気圧、1.2NL/minのアンモニアガス流通下で60分間かけて室温から975℃まで昇温し、975℃のまま30分間保持することで0.44gのサンプルを得た。
<物性評価>
前述の方法にて、細孔分布測定、N/C測定、遷移金属及び亜鉛の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1及び図1に示す。図1から、酸化亜鉛の添加によって2〜100nmの細孔が形成されていることがわかった。
[比較例2]
前駆体調製工程において、酸化亜鉛のかわりにビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)を24g添加したこと以外は、実施例1と同じ方法で窒素含有炭素材料を合成した。物性評価の結果を表1及び図1に示す。図1のとおり2〜100nmの細孔が形成されていなかった。ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)はメタノールに可溶であり、前駆体中に分子状で分散してしまうため、2〜100nmの細孔の鋳型としては機能しないと考えられる。
[参考例1]
平均粒子径調整工程と第2の熱処理工程の間に、下記スラリー調製工程と細孔形成工程を実施したこと以外は、比較例1と同様の方法で窒素含有炭素材料を製造した。なお、この製造方法は特許文献2に記載の方法と同様である。物性評価の結果を表1に示す。細孔径及び酸素還元活性について、実施例1,2及び比較例1との比較から、酸化亜鉛の添加は特許文献2の製造方法と同様の効果を有し、かつより簡便な製造方法であることがわかった。
<スラリー調製工程>
比較例1の平均粒子調整工程で得られたサンプルをビーズミル(寿工業(株)製のウルトラアペックスミルを使用)にてさらに湿式粉砕した。具体的には比較例1の平均粒子調整工程で得られたサンプル10g、イオン交換水300mL、エタノール300mLからなるスラリーを直径0.3mmのジルコニアビーズで粉砕し平均粒子径300nmの窒素含有炭素材料を含むスラリーを得た。
<細孔形成工程:凝集剤−濾過−加熱乾燥>
上記のスラリー調製工程で得られたスラリー250gに、水を550g加えマグネチックスターラーで5分撹拌した。次に0.1Mの希塩酸を10g添加し、5分撹拌後、撹拌を止めて1晩静置した。孔径1μmのPTFE製メンブレンフィルターで減圧濾過し、フィルター上の残渣を80℃で真空乾燥した。得られた窒素含有炭素材料は板状であるため、メノウ乳鉢で解砕した。
本発明の窒素含有炭素材料は、燃料電池用電極材料として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 炭素原料と、窒素原料と、平均粒子径2〜100nmの亜鉛化合物とを含有する前駆体を熱処理する工程を含む、窒素含有炭素材料の製造方法。
  2. 前記亜鉛化合物が、酸化亜鉛及び/又は金属亜鉛である、請求項1に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
  3. 前記前駆体が、さらに遷移金属原料を含む、請求項1又は2に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
  4. 前記遷移金属原料が、鉄及び/又はコバルトを含む化合物である、請求項3に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
  5. 前記熱処理が、不活性ガス雰囲気下で実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
  6. 前記熱処理が、800〜1500℃で実施される工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
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