以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。本実施形態の燃焼システムは、予混合燃焼を行う内燃機関(ガス機関、ガソリン機関など)の排気に含まれるメタンなどと、拡散燃焼を行う内燃機関(ディーゼル機関など)の排気に含まれる窒素酸化物の両者の低減を目指すものである。特に、多くの船舶では、推進力を得るための主機と、船内に供給する電力を発電するための補機を備えた燃焼システムが採用される。主機をディーゼル機関とし、補機をガス機関とした場合、補機から排出されるメタンと、主機から排出される窒素酸化物の両者を低減することが望まれている。
図1は、本発明に係る燃焼システム10の概略を示す模式図である。燃焼システム10は、3機の内燃機関、つまり第1内燃機関12、第2内燃機関14及び第3内燃機関16を含む。各内燃機関12,14,16は、シリンダと、シリンダ内を往復動するピストンを有する。シリンダとピストンは燃焼室を画定し、燃焼室内での燃料の燃焼によるシリンダ内の気体の膨張がピストンの運動に変換される。ピストンは、コネクティングロッドを介してクランク軸に接続され、ピストンの運動は、コネクティングロッドを介してクランク軸に伝達される。クランク軸が内燃機関12,14,16の出力軸となる。3機の内燃機関12,14,16のクランク軸はそれぞれ独立している。シリンダとピストンは、燃料の燃焼により得られた熱エネルギを運動エネルギに変換する作動要素であり、この明細書ではこのような要素を気筒と記す。そして、気筒は、そのピストンに接続するコネクティングロッドによってクランク軸に関連付けられる。
第1、第2及び第3内燃機関12,14,16のそれぞれに吸気管18,20,22と排気管24,26,28が設けられている。さらに、第1内燃機関12の排気管24から分岐し、第2内燃機関14の吸気管20に達する第1送気管30、及び第2内燃機関14の排気管26から分岐し、第3内燃機関16の吸気管22に達する第2送気管32が設けられている。排気管24と第1送気管30の分岐点には、第1切替手段である第1制御弁33が設けられている。第1制御弁33は、第2内燃機関14の吸気管20に送られる排気の量を調整する。余剰の排気は、排気管24を通して排出される。また、余剰の排気の少なくとも一部を第1内燃機関12の吸気管18に戻す配管を追加してもよい。第1制御弁33は、排気を排気管24を介して排出するか、第1送気管30を介して第2内燃機関14に送るかを切り替える弁であってもよい。排気管26と第2送気管32の分岐点には、第2切替手段である第2制御弁35が設けられている。第2制御弁35は、第3内燃機関16の吸気管22に送られる排気の量を調整する。余剰の排気は、排気管26を通して排出される。第2制御弁35は、排気を排気管26を介して排出するか、第2送気管32を介して第3内燃機関16に送るかを切り替える弁であってもよい。
第1内燃機関12は、予混合燃焼式の内燃機関であり、第2及び第3内燃機関14、16は、拡散燃焼式の内燃機関である。よって、第1内燃機関12の各気筒は予混合燃焼を行う1段目の気筒群(第1段気筒群)を構成し、第2内燃機関14の各気筒は1段目の気筒群の排気の少なくとも一部が供給され拡散燃焼を行う2段目の気筒群(第2段気筒群)を構成し、第3内燃機関16の各気筒は2段目の気筒群の排気の少なくとも一部が供給され拡散燃焼を行う3段目の気筒群(第3段気筒群)を構成する。予混合燃焼式の内燃機関は、例えば気体燃料を用いるガス機関、ガソリンやメタノールなど気化しやすい液体燃料を用いる機関である。ガス機関の燃料としては、例えばメタンガス(メタンとも言う)やメタンを主成分とする炭化水素ガスが挙げられる。また、COを含んでいてもよい。拡散燃焼式の内燃機関は、例えば軽油、重油などの液体燃料を用いるディーゼル機関である。第1内燃機関12の燃料を気体燃料とし、第2及び第3内燃機関14,16の燃料を液体燃料とすることができる。また、第3内燃機関16の燃料を第2内燃機関14の燃料よりも重質な液体燃料とすることができ、例えば第3内燃機関16の燃料を重油、第2内燃機関14の燃料を軽油とすることができる。また、第1〜第3内燃機関12,14,16の燃料を全て気体燃料とし、第1内燃機関12の各気筒は予混合燃焼、第2及び第3内燃機関14,16は拡散燃焼を行うものとすることができる。
予混合燃焼式の内燃機関は、排気に未燃燃料である炭化水素が含まれる。メタン又はメタンを含むガスを燃料とするガス機関では、未燃のメタンが多く含まれる。メタンは、温室効果が高い気体であり、現在、排出規制が強化されつつある。これに対して、拡散燃焼式の内燃機関では、排気中の未燃燃料が少なく、炭化水素、メタンの排出も少ない。
拡散燃焼式の内燃機関は燃焼温度が高くなるため、窒素酸化物が生成され、排気中の窒素酸化物が多くなる。これに対して、予混合燃焼式の内燃機関では、燃焼温度が比較的低いために、窒素酸化物の発生は抑えられる。
燃焼システム10においては、予混合燃焼式の内燃機関である第1内燃機関12の排気を拡散燃焼式の内燃機関である第2内燃機関14の吸気に混合し、第1内燃機関12の排気中の未燃燃料を第2内燃機関14内で燃焼させ、メタンや炭化水素を減少させる。また、排気は、含有する酸素が少ないため燃焼速度が抑えられて第2内燃機関14の気筒内の温度の上昇が抑えられる。これにより、窒素酸化物の発生が抑えられる。
第1内燃機関12の排気を第2内燃機関14に通すことで、排気中のメタン等を75〜95%減少させることができる。しかし、第2内燃機関14内でメタン等を完全に燃焼させることはできず、第2内燃機関14の排気中にメタン等が残存する。この残存するメタン等を更に燃焼させるため、第2内燃機関14の排気を第3内燃機関16の吸気に混合する。第3内燃機関16でもメタン等を75〜95%減少させることができる。このように、2段階でメタン等を燃焼させることで、メタン等の排出を大幅に削減することができる。1機の内燃機関でメタンが90%燃焼するとした場合、燃料中のメタンを100とすれば、第1内燃機関12の排気中のメタンは10、第2の内燃機関14の排気中のメタンは1、第3の内燃機関16の排気中のメタンは0.1となる。言い換えれば、第1内燃機関12の排気中のメタンを2機の内燃機関14,16を通すことで、百分の1に低減することができる。また、第3内燃機関16に排気を導入することにより、第3内燃機関16の各気筒内の温度上昇が抑えられ、窒素酸化物の発生が抑制される。また、排気を吸気に混合させることで、吸気の酸素濃度を低くすることにより窒素酸化物の生成の抑制を図っている。これは第2内燃機関14に排気を導入することにもあてはまり、窒素酸化物の発生が抑制される。
排気を吸気に混合する際の割合は、例えば10〜50%、好ましくは20〜40%、更に好ましくは25〜35%とすることができる。上流側の内燃機関の排気を全て下流側の内燃機関に送るためには、排気の混合率が適切な値となるように、各内燃機関を通過する気体の流量を定めることが必要になる。例えば、隣接する内燃機関の後段の機関の排気量を前段の機関の3倍とすれば、両者の内燃機関の回転速度を同一としたとき、排気の混合率を約30%とすることができる。また、同一排気量の内燃機関の場合であれば、後段の機関の回転速度を前段の機関の3倍とすることで排気の混合率を約30%とすることができる。
第1、第2及び第3内燃機関12,14,16は、気体燃料と液体燃料の双方を選択的に用いることができるデュアルフューエル機関であってよい。また、さらに気体燃料と液体燃料を同時に混合燃焼させることもできるデュアルフューエル機関であってもよい。また、燃焼状態が不安定になる条件においては、第1及び第2制御弁33,35の一方、又は双方を制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。
図2は、燃焼システム40の配管の構成例を示す模式図1である。燃焼システム40においては、3機の内燃機関42A,42B,42Cの吸排気系をつなぐことにより、内燃機関42Bと内燃機関42Cが2段目、3段目のいずれの機関となることができるシステムである。3機の内燃機関42A,42B,42Cのそれぞれのクランク軸は独立している。内燃機関42Aの各気筒は、第1の出力軸に関連付けられた第1の気筒組を構成し、内燃機関42Bの各気筒は、第2の出力軸に関連付けられた第2の気筒組を構成し、内燃機関42Cの各気筒は、第3の出力軸に関連付けられた第3の気筒組を構成する。内燃機関42Aは予混合燃焼で、42B,42Cは拡散燃焼に対応した機関である。内燃機関42B,42Cの吸排気管には、それぞれ制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cが設けられている。これらの制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cは、前述の第1及び第2制御弁33,35と同様の機能を有する。制御弁33−B,33−Cと送気管30BCは段切替手段を構成し、内燃機関42Aの排気の少なくとも一部が内燃機関42Bや42Cに送られるように動作でき、制御弁35−B,35−C,36−B,36−Cと送気管32−BC−1,32−BC−2は段切替手段を構成し、内燃機関42Bや42Cの排気の少なくとも一部が内燃機関42Bや42Cに送られるように動作することができる。制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cの動作を制御する運転設定手段46が設けられる。
1段目となる内燃機関では予混合燃焼を行い、2段目及び3段目の内燃機関では拡散燃焼を行う。また、1段目の内燃機関には気体燃料を供給し、2段目及び3段目となる内燃機関には液体燃料を供給することができ、また3段目の内燃機関に供給する燃料を2段目の内燃機関に供給する燃料よりも重質なものとすることができる。また、全ての内燃機関に気体燃料を供給するようにしてもよい。
図2に示す状態では、内燃機関42Aが1段目の機関となり、内燃機関42Bが2段目の機関となり、内燃機関42Cが3段目の機関となる。また、内燃機関42Aが予混合燃焼による運転を行い、内燃機関42B,42Cが拡散燃焼による運転を行う。したがって、内燃機関42Aの各気筒が予混合燃焼を行う1段目の気筒群(第1段気筒群)となり、内燃機関42Bの各気筒が1段目の気筒群の排気の少なくとも一部が供給され拡散燃焼を行う2段目の気筒群(第2段気筒群)となり、内燃機関42Cの各気筒が2段目の気筒群の排気の少なくとも一部が供給され拡散燃焼を行う3段目の気筒群(第3段気筒群)となる。
図3は、燃焼システム40の配管の構成例を示す模式図2である。図3に示す状態では、内燃機関42Aが1段目の機関となり、内燃機関42Cが2段目の機関となり、内燃機関42Bが3段目の機関となる。制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cの動作を変更することで、内燃機関42B,42Cの属する気筒群を変えることができる。制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cを、内燃機関42Aの排気が内燃機関42Cに、内燃機関42Cの排気が内燃機関42Bに送られるように動作させることで、内燃機関42Aが1段目の機関、内燃機関42Cが2段目の機関、内燃機関42Bが3段目の機関となる。
このように内燃機関42B,42Cの属する気筒群を変えることで、内燃機関42B,42Cの第2段気筒群として運転される時間及び第3段気筒群として運転される時間を、気筒ごとに均等化し、各内燃機関の劣化の進行をそろえることができる。具体的には、内燃機関42B,42Cの気筒が第2段気筒群として運転された時間、又は第3段気筒群として運転された時間を積算して記憶し、この時間が所定の時間に達したら、制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cを制御して、内燃機関42B,42Cの属する気筒群を変える運転時間管理手段48を設ける。
燃焼システム40においては、3機の内燃機関42A,42B,42Cは、同一諸元の機関であり、排気量は同一となる。したがって、吸気に対する排気の混合率は、機関の回転速度により調整するか、又は余剰の排気は排出するか、又はこれらを組み合わせて調整する。
また、燃焼状態が不安定になる条件においては、制御弁33−B,33−C,35−B,35−C,36−B,36−Cのいくつかを制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。
図4は、燃焼システム45の配管の構成例を示す模式図1である。燃焼システム45においては、3機の内燃機関42A,42B,42Cの吸排気系をつなぐことにより、どの内燃機関も1段目、2段目、3段目のいずれの機関となることができるシステムである。3機の内燃機関42A,42B,42Cのそれぞれのクランク軸は独立している。内燃機関42Aの各気筒は、第1の出力軸に関連付けられた第1の気筒組を構成し、内燃機関42Bの各気筒は、第2の出力軸に関連付けられた第2の気筒組を構成し、内燃機関42Cの各気筒は、第3の出力軸に関連付けられた第3の気筒組を構成する。3機の内燃機関42A,42B,42Cは、いずれも予混合燃焼と拡散燃焼に対応し、かつ液体燃料、気体燃料に対応したデュアルフューエル機関である。各内燃機関42A,42B,42Cの吸排気管には、それぞれ制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−C,35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cが設けられている。これらの制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−C,35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cは、前述の第1及び第2制御弁33,35と同様の機能を有する。制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−Cと送気管30−AB−1,30−BC−1,30−AB−2,30−BC−2は段切替手段を構成し、内燃機関42A,42B,42Cの内で第1段目に割り当てられた内燃機関の排気の少なくとも一部が第2段目に割り当てられた内燃機関に送られるように動作でき、制御弁35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cと送気管32−AB−1,32−BC−1,32−AB−2,32−BC−2は段切替手段を構成し、第2段目に割り当てられた内燃機関の排気の少なくとも一部が第3段目に割り当てられた内燃機関に送られるように動作することができる。制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−C,35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cの動作を制御する運転設定手段46が設けられる。
1段目となる内燃機関では予混合燃焼を行い、2段目及び3段目の内燃機関では拡散燃焼を行う。また、1段目の内燃機関には気体燃料を供給し、2段目及び3段目となる内燃機関には液体燃料を供給することができ、また3段目の内燃機関に供給する燃料を2段目の内燃機関に供給する燃料よりも重質なものとすることができる。また、全ての内燃機関に気体燃料を供給するようにしてもよい。
図4に示す状態では、制御弁33−B,33−C,34−A,34−Cが後段の内燃機関に排気が送られないように動作し、制御弁33−A,34−Bが内燃機関42Aの排気を内燃機関42Bに送るように動作し、制御弁35−A,35−C,36−A,36−Bが後段の内燃機関に排気が送られないように動作し、制御弁35−B,36−Cが内燃機関42Bの排気を内燃機関42Cに送るように動作している。この場合、内燃機関42Aが1段目の機関となり、内燃機関42Bが2段目の機関となり、内燃機関42Cが3段目の機関となる。また、内燃機関42Aが予混合燃焼による運転を行い、内燃機関42B,42Cが拡散燃焼による運転を行う。したがって、内燃機関42Aの各気筒が予混合燃焼を行う1段目の気筒群(第1段気筒群)となり、内燃機関42Bの各気筒が1段目の気筒群の排気の少なくとも一部が供給され拡散燃焼を行う2段目の気筒群(第2段気筒群)となり、内燃機関42Cの各気筒が2段目の気筒群の排気の少なくとも一部が供給され拡散燃焼を行う3段目の気筒群(第3段気筒群)となる。
図5は、燃焼システム45の配管の構成例を示す模式図2である。図5に示す状態では、内燃機関42Bが1段目の機関となり、内燃機関42Cが2段目の機関となり、内燃機関42Aが3段目の機関となる。制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−C,35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cの動作を変更することで、内燃機関42A,42B,42Cの属する気筒群を変えることができる。制御弁33−A,33−C,34−A,34−Bが後段の内燃機関に排気が送られないように動作させ、制御弁33−B,34−Cが内燃機関42Bの排気を内燃機関42Cに送るように動作させ、制御弁35−A,35−B,36−B,36−Cが後段の内燃機関に排気が送られないように動作させ、制御弁35−C,36−Aが内燃機関42Cの排気を内燃機関42Aに送るように動作させることで内燃機関42Bが1段目の機関、内燃機関42Cが2段目の機関、内燃機関42Aが3段目の機関となる。
図6は、燃焼システム45の配管の構成例を示す模式図3である。図6に示す状態では、内燃機関42Cが1段目の機関となり、内燃機関42Aが2段目の機関となり、内燃機関42Bが3段目の機関となる。制御弁33−A,33−B,34−B,34−Cが後段の内燃機関に排気が送られないように動作させ、制御弁33−C,34−Aが内燃機関42Cの排気を内燃機関42Aに送るように動作させ、制御弁35−B,35−C,36−A,36−Cが後段の内燃機関に排気が送られないように動作させ、制御弁35−A,36−Bが内燃機関42Aの排気を内燃機関42Bに送るように動作させることで内燃機関42Cが1段目の機関、内燃機関42Aが2段目の機関、内燃機関42Bが3段目の機関となる。
このように内燃機関42A,42B,42Cの属する気筒群を変えることで、各内燃機関の各気筒が第1段気筒群として運転される時間、第2段気筒群として運転される時間及び第3段気筒群として運転される時間を、気筒ごとに均等化し、各内燃機関の劣化の進行をそろえることができる。具体的には、各内燃機関42A,42B,42Cの気筒が第1段気筒群として運転された時間、又は第2段気筒群として運転された時間、又は第3段気筒群として運転された時間を積算して記憶し、この時間が所定の時間に達したら、制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−C,35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cを制御して、内燃機関42A,42B,42Cの属する気筒群を変える運転時間管理手段48を設ける。
燃焼システム45においては、3機の内燃機関42A,42B,42Cは、同一諸元の機関であり、排気量は同一となる。したがって、吸気に対する排気の混合率は、機関の回転速度により調整するか、又は余剰の排気は排出するか、又はこれらを組み合わせて調整する。
また、燃焼状態が不安定になる条件においては、制御弁33−A,33−B,33−C,34−A,34−B,34−C,35−A,35−B,35−C,36−A,36−B,36−Cのいくつかを制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。
図7は、本発明に係る燃焼システム50の概略を示す模式図である。燃焼システム50は、例えば船舶用の燃焼システムであり、プロペラを駆動する内燃機関(以下、主機と記す。)54と発電機を駆動する内燃機関(以下、補機と記す。)52を備える。補機52は、予混合燃焼式の内燃機関であり、燃料は気体燃料とすることができる。気体燃料は、メタン又はメタンを主成分としたガスとすることができる。図7において、補機52は6気筒機関であるが、気筒数はこれに限るものではない。補機52の各気筒のピストンは1つの出力軸に接続され、よってこれらの気筒は補機52の1つの出力軸に関連付けられ、第1の気筒組を構成している。
主機54は、拡散燃焼式の内燃機関であり、燃料は液体燃料とすることができ、より具体的には、軽油又は重油を燃料とするディーゼル機関とすることができる。また、軽油、重油のいずれにも対応できるディーゼル機関であってもよい。また、気体燃料を拡散燃焼にて燃焼させる内燃機関であってもよい。図7において、主機54は、6気筒機関として示しているが、4気筒、8気筒、12気筒、24気筒等、他の多気筒機関であってもよい。主機54の各気筒のピストンは、1つの出力軸に接続され、よってこれらの気筒は主機54の1つの出力軸に関連付けられ、第2の気筒組を構成している。主機54は6つの気筒56を有し、これらの気筒を区別するために、−1〜−6の枝番号を付ける。主機54の6つの気筒は、1番及び2番気筒56−1,56−2が第1主機気筒群を構成し、3番〜6番気筒56−3,56−4,56−5,56−6が第2主機気筒群を構成している。
燃焼システム50においては、補機52の排気の少なくとも一部が主機54の1番気筒56−1と2番気筒56−2で構成される第1主機気筒群の吸気に混合され、第1主機気筒群の排気の少なくとも一部が3番〜6番気筒56−3,56−4,56−5,56−6で構成される第2主機気筒群の吸気に混合されるように構成されている。したがって、補機52の各気筒が1段目の気筒群(第1段気筒群)を構成し、第1主機気筒群が2段目の気筒群(第2段気筒群)を構成し、第2主機気筒群が3段目の気筒群(第3段気筒群)を構成する。
補機52の排気管60から、第1主機気筒群の吸気管62に排気を送るための第1送気管64が分岐しており、補機52の排気管60と第1送気管64の分岐点には、第1切替手段である第1制御弁66が設けられている。第1制御弁66は、第1主機気筒群の吸気管62に送られる排気の量を調整する。余剰の排気は、排気管60を通して排出される。また、余剰の排気の少なくとも一部を補機52の吸気管(不図示)に戻すために配管及び弁を設けてもよい。第1制御弁66は、排気を排気管60を介して排出するか、第1送気管64を介して第1主機気筒群に送るかを切り替える弁であってもよい。
第1主機気筒群の排気管68から、第2主機気筒群の吸気管70に排気を送るための第2送気管72が分岐しており、第1主機気筒群の排気管68と第2送気管72の分岐点には、第2切替手段である第2制御弁74が設けられている。第2制御弁74は、第2主機気筒群の吸気管70に送られる排気の量を調整する。余剰の排気は、第1主機気筒群の排気管68を通して排出される。第2制御弁74は、排気を第1主機気筒群の排気管68を介して排出するか、第2送気管72を介して主機54の第2主機気筒群に送るかを切り替える弁であってもよい。
図8は、燃焼システム50の配管の構成例を示す模式図である。補機52の排気管60には、前述の第1制御弁66に相当する2つの第1制御弁66A,66Bが設けられている。第1制御弁66Aは、主機54の1番気筒56−1の吸気管62Aに接続される第1送気管64Aに排気を送ることができる。第1制御弁66Bは、主機54の2番気筒56−2の吸気管62Bに接続される第1送気管64Bに排気を送ることができる。
主機54の1番気筒56−1の排気管68A及び2番気筒56−2の排気管68Bには、前述の第2制御弁74に相当する第2制御弁74A,74Bが設けられている。第2制御弁74A,74Bは、3番〜6番気筒56−3,56−4,56−5,56−6に接続されている第2送気管72に排気を送ることができる。
燃焼システム50においては、予混合燃焼式の内燃機関である補機52の排気を拡散燃焼式の内燃機関である第1主機気筒群(気筒56−1,56−2)の吸気に混合し、補機52の排気中の未燃燃料を第1主機気筒群の気筒56−1,56−2内で燃焼させ、メタンや炭化水素を減少させる。したがって、補機52の各気筒が1段目の気筒群(第1段気筒群)を構成し、第1主機気筒群が2段目の気筒群(第2段気筒群)を構成する。また、排気は、含有する酸素が少ないため、燃焼速度が抑えられ、気筒内の温度上昇が抑えられる。また、排気を吸気に混合させることで、吸気の酸素濃度を低くすることにより窒素酸化物の生成が抑制される。これにより、第1主機気筒群における窒素酸化物の発生が抑えられる。
補機52の排気を第1主機気筒群(気筒56−1,56−2)に通すことで、排気中のメタン等を75〜95%減少させることができる。しかし、第1主機気筒群の気筒56−1,56−2内でメタン等を完全に燃焼させることはできず、第1主機気筒群の排気中にメタン等が残存する。この残存するメタン等を更に燃焼させるため、第1主機気筒群の排気を第2主機気筒群の吸気に混合する。したがって、第1主機気筒群が2段目の気筒群(第2段気筒群)を構成し、第2主機気筒群が3段目の気筒群(第3段気筒群)を構成する。第2主機気筒群でもメタン等を75〜95%減少させることができる。このように、2段階でメタン等を燃焼させることで、メタン等の排出を大幅に削減することができる。1段でメタンが90%燃焼するとした場合、燃料中のメタンを100とすれば、補機52の排気中のメタンは10、主機54の第1主機気筒群の排気中のメタンは1、第2主機気筒群の排気中のメタンは0.1となる。言い換えれば、補機52の排気中のメタンを、主機54内で2段階で燃焼させることで、百分の1に低減することができる。また、第2主機気筒群に排気を導入することにより、第2主機気筒群の各気筒内の温度上昇が抑えられ、窒素酸化物の発生が抑制される。
排気を吸気に混合する際の割合は、例えば10〜50%、好ましくは20〜40%、更に好ましくは25〜35%とすることができる。通常の船舶の補機と主機の出力の比は1:10であり、排気流量の比も1:10となる。補機の排気を全て主機の吸気に混合しても混合割合はせいぜい10%にしかならないが、前述のように補機52の排気を主機54の第1主機気筒群(気筒56−1,56−2)に混合して、第1主機気筒群(気筒56−1,56−2)の排気を第2主機気筒群(気筒56−3,56−4,56−5,56−6)の吸気に混合する場合、約30%の混合割合を達成することが可能となる。燃焼システム50において、主機54を通過する気体の流量を補機52の流量の12倍とすることで、主機54の第1主機気筒群の流量が補機52の3倍となり、第1主機気筒群における排気の混合率を約30%とすることができる。機関を通過する気体の流量は、排気量と回転速度により定まるので、常用回転速度における補機52と主機54の排気流量の比を1:12とし、細かな調整は、回転速度により行うようにすることができる。
これに対し、主機54の第1主機気筒群と第2主機気筒群のそれぞれを通過する気体の流量比は、それぞれの排気量の比で定まる。主機54の各気筒は共通の出力軸に接続されているため、回転速度は同一であり、機関を通過する気体の流量比は排気量の比で定まり、固定値となる。したがって、排気の混合率を排気量の比からずらすように調整をするためには、余剰の排気を第1段気筒群の排気管68(68A,68B)から排出することが必要になる。燃焼システム50において、第1主機気筒群には2つの気筒が属し、第2主機気筒群には4つの気筒が属するから、第2主機気筒群の排気量は第1主機気筒群の2倍である。第1主機気筒群の排気の全量を第2主機気筒群の吸気に混合すれば、排気の混合率は約50%となる。混合率をより小さくするためには、第1主機気筒群の排気の一部を第2主機気筒群に供給せずに排気するようにする。主機に8気筒機関を採用した場合には、第1主機気筒群の気筒数を2、第2主機気筒群の気筒数を6とすることができる。この場合、第2主機気筒群の排気量は第1主機気筒群の3倍となり、排気の全量を第2主機気筒群の吸気に混合すれば、混合率は約30%となる。主機54の気筒数は、6気筒、8気筒に限らず、他の気筒数とすることもできる。
主機54に供給される燃料は、第2主機気筒群の気筒56−3,56−4,56−5,56−6に、第1主機気筒群の気筒56−1,56−2よりも重質な燃料を供給するようにできる。例えば、1番及び2番気筒56−1,56−2には軽油を供給し、3番〜6番気筒56−3,56−4,56−5,56−6には価格が安い重油を供給することができる。
また、燃焼状態が不安定になる条件、例えば舶用機関の場合、荒天時においては、第1制御弁66A,66Bと、第2制御弁74A,74Bの一方、又は双方を制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。例えば、荒天情報を受信する海象状況検出手段76を設け、荒天情報を受信したら第1制御弁66、第2制御弁74の一方又は双方を制御する。荒天情報は、例えば船舶の揺れに基づく信号を受信してもよく、船員などの操作者の操作による信号を受信してもよい。
図9は、燃焼システム80の配管の構成例を示す模式図である。燃焼システム80は、前述の燃焼システム50と同様、船舶用の燃焼システムを想定している。燃焼システム80の補機52は、燃焼システム50の補機と同一である。燃焼システム80の主機54は、液体燃料、気体燃料の双方に対応可能で、また予混合燃焼、拡散燃焼の双方に対応可能な、いわゆるデュアルフューエル機関である。特に、気筒ごとに燃料、燃焼方式を選択することができる。6つの気筒56のそれぞれに対応して、補機52の排気を第1送気管82を介して吸気管84に送るための第1切替手段である第1制御弁86が設けられ、各気筒56の排気を第2送気管88に送るための第2制御弁90が設けられ、さらに、第2送気管88から排気を吸気管84に送るための第3制御弁92が設けられている。第2制御弁90及び第3制御弁92は前述の第2切替手段と同様の機能を有する。また、第1〜第3制御弁の動作を制御する運転設定手段46が設けられている。第1送気管82、吸気管84、第1、第2及び第3制御弁86,90,92については、必要に応じて、6つの気筒56に対応して枝番号−1〜−6を付して説明する(図9においては、全て枝番を付している)。また、第1及び第2制御弁86,90は、流量が調整可能な弁であっても、オンオフを切り替える弁であってもよい。
それぞれ6個の第1、第2及び第3制御弁86,90,92を制御することにより6つの気筒56のいずれもが、補機52の排気が供給される第1主機気筒群の気筒として動作することができ、また主機54の排気が供給される第2主機気筒群の気筒として機能することができる。したがって、補機52の各気筒が1段目の気筒群(第1段気筒群)を構成し、第1主機気筒群が2段目の気筒群(第2段気筒群)を構成し、第2主機気筒群が3段目の気筒群(第3段気筒群)を構成する。各気筒が、第1主機気筒群と第2主機気筒群のいずれで動作するかは、運転設定手段46による第1〜第3制御弁86,90,92の制御、及び各気筒への燃料供給制御、燃焼制御により定まる。補機52の排気が、1番及び2番気筒56−1,56−2に導入されるように第1制御弁86−1,86−2を制御し、これらの気筒の排気が第2送気管88に送られるように第2制御弁90−1,90−2を制御し、さらに第3制御弁92−1,92−2を閉じる。これにより、1番及び2番気筒56−1,56−2が第1主機気筒群の気筒として動作する。このとき、3番〜6番気筒56−3,56−4,56−5,56−6には補機52からの排気が導入されないように第1制御弁86−3〜86−6を制御し、これらの気筒からの排気が第2送気管88に送られないように第2制御弁90−3〜90−6を制御し、さらに第3制御弁92−3〜92−6を開く。これにより、残余の3番〜6番気筒56−3〜56−6が第2主機気筒群の気筒として動作する。この状態は、吸排気の流れに関して、図8に示した燃焼システム50と同じになる。
第1、第2及び第3制御弁86,90,92の状態を変えれば、第1主機気筒群に属する気筒と、第2主機気筒群に属する気筒を自由に選択することができる。例えば、3番及び4番気筒56−3,56−4を第1主機気筒群の気筒とし、残りの気筒56−1,56−2,56−5,56−6を第2主機気筒群の気筒とすることができる。また、隣接しない気筒、例えば1番と6番気筒56−1,56−6を第1主機気筒群の気筒とし、残りの気筒56−2〜56−5を第2主機気筒群の気筒とすることができる。排気管60、第1制御弁86及び第1送気管82が、補機52の気筒から主機54の一部の気筒に切り替え可能に選択的に送る選択送気手段として機能する。また、第2制御弁90、第2送気管88及び第3制御弁92が、主機54の選択された気筒の排気を主機54の残余の気筒に送る第2選択送気手段として機能する。
第2主機気筒群の気筒には、第1主機気筒群の気筒より重質の液体燃料を供給することができる。例えば、第1主機気筒群の気筒に軽油を、第2主機気筒群の気筒に重油を供給するようにできる。他の気筒に排気を供給する第1主機気筒群において、比較的排気が清浄になる軽質な燃料を用いることで、第2主機気筒群のカーボンなどによる汚れを抑制することができる。また、第1主機気筒群を低硫黄燃料とし、第2主機気筒群を価格の安い高硫黄燃料とすることができる。この例としても、例えば第1主機気筒群の気筒に軽油を、第2主機気筒群の気筒に重油を供給するようにできる。他の気筒に排気を供給する第1主機気筒群において、低硫黄燃料である軽質な燃料を用いることで、第2主機気筒群の硫酸腐食を抑制することができる。
軽質燃料と、重質燃料では、カーボンなどの付着による汚れの進行の程度が異なる。燃焼システム80では、各気筒が第1主機気筒群として動作する時間、第2主機気筒群として動作する時間を、各気筒間で均等となるように制御して、劣化の進行をそろえるようにすることができる。具体的には、主機54の各気筒56について第1主機気筒群の気筒として運転された時間、又は第2主機気筒群の気筒として運転された時間を積算して記憶し、この時間が所定の時間に達したら、各第1、第2及び第3制御弁86,90,92を制御して、各気筒56が属する主機気筒群の変更を行う運転時間管理手段48を設ける。
燃焼システム80の主機54の気筒数は、6気筒に限らず、他の気筒数とすることができる。
また、燃焼状態が不安定になる条件、例えば荒天時においては、第1制御弁86及び第2制御弁90の一方、又は双方を制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。例えば、前述の海象状況検出手段76を設け、受信した荒天情報に基づき第1制御弁86及び第2制御弁90の一方、又は双方を制御する。
図10は、本発明に係る燃焼システム100の概略を示す模式図である。燃焼システム100は、1機の内燃機関102を有し、内燃機関102の作動要素、つまり気筒が、その機能により3つの群に分けられている。1段目の気筒群(第1段気筒群)の排気の少なくとも一部が2段目の気筒群(第2段気筒群)に供給され、2段目の気筒群の排気の少なくとも一部が3段目の気筒群(第3段気筒群)に供給される。また、内燃機関102の各気筒のピストンが1つのクランク軸に接続され、よって各気筒が1つの出力軸に関連付けられている。複数の内燃機関でなく、1つの内燃機関で構成することが可能で、この場合排気を吸気に混合する割合の変動を小さくすることが可能で制御が簡単にできる。
燃焼システム100において、第1段気筒群は予混合燃焼を行う気筒により構成され、第2段及び第3段気筒群は拡散燃焼を行う気筒により構成される。また、第1段気筒群の気筒に供給される燃料は、気体燃料とすることができ、第2段及び第3段気筒群の気筒に供給される燃料は液体燃料とすることができる。また、第3段気筒群の気筒に供給される液体燃料を、第2段気筒群の気筒に供給される液体燃料よりも重質な液体燃料とすることができる。例えば、第2段気筒群の気筒に供給される液体燃料を軽油とし、第3段気筒群に供給される燃料を価格の安い重油とすることができる。さらに、全ての気筒に気体燃料を供給するようにしてもよい。
内燃機関102は、6つの気筒104を有する。これらの気筒を区別するために、−1〜−6の枝番号を付ける。内燃機関102の6つの気筒は、1番気筒104−1が第1段気筒群を構成し、2番及び3番気筒104−2,104−3が第2段気筒群を構成し、4番〜6番気筒104−4,104−5,104−6が第3段気筒群を構成している。
第1段気筒群(気筒104−1)の排気管106から、第2段気筒群(気筒104−2,104−3)の吸気管108に排気を送るための第1送気管110が分岐しており、排気管106と吸気管108の分岐点には、第1切替手段である第1制御弁112が設けられている。第1制御弁112は、第2段気筒群に送られる排気の量を調節する。余剰の排気は、排気管106を通して排出される。また、余剰の排気の少なくとも一部を第1段気筒群の吸気管に戻してもよい。第1制御弁112は、排気を、排気管106を介して排出するか、第1送気管110を介して第2段気筒群に送るかを切り替える弁であってもよい。
内燃機関102の第2段気筒群(気筒104−2,104−3)の排気管114から、第3段気筒群(気筒104−4,104−5,104−6)の吸気管116に排気を送るための第2送気管118が分岐しており、第2段気筒群の排気管114と第2送気管118の分岐点には、第2切替手段である第2制御弁120が設けられている。第2制御弁120は、第3段気筒群の吸気管116に送られる排気の量を調整する。余剰の排気は、第2段気筒群の排気管114を通して排出される。第2制御弁120は、排気を第2段気筒群の排気管114を介して排出するか、第2送気管118を介して第3段気筒群に送るかを切り替える弁であってもよい。
図11は、燃焼システム100の配管の構成例を示す模式図である。6つの気筒104のそれぞれに対応して、吸気管122及び排気管124が設けられている。吸気管122及び排気管124について、必要に応じて、6つの気筒104に対応して枝番号−1〜−6を付して説明する(図11においては、全て枝番を付している)。第2段気筒群に属する2番及び3番気筒104−2,104−3に対応する吸気管122−2,122−3は、図10に示した吸気管108に相当し、第3段気筒群に属する4番〜6番気筒104−4〜104−6の吸気管122−4〜122−6は、図10に示した吸気管116に相当する。また、第1段気筒群に属する1番気筒104−1に対応する排気管124−1は、図10に示した排気管106に相当し、第2段気筒群に属する2番及び3番気筒104−2,104−3に対応する排気管124−2,124−3は、図10に示した排気管114に相当する。
1番気筒104−1の排気管124−1には、この気筒の排気を第1送気管110を介して2番及び3番気筒104−2,104−3の吸気管122−2,122−3に送るための第1制御弁112が設けられている。また、2番及び3番気筒104−2,104−3の排気管124−2,124−3には、これらの気筒の排気を第2送気管118を介して4番〜6番気筒104−4〜104−6の吸気管122−4〜122−6に送るための第2制御弁120A,120Bが設けられている。図11に示す第1制御弁112は図10に示す第1制御弁112に、図11に示す第2制御弁120A,120Bは図10に示す第2制御弁120に相当する。
燃焼システム100においては、予混合燃焼式の第1段気筒群(気筒104−1)の排気の少なくとも一部を拡散燃焼式の第2段気筒群(気筒104−2,104−3)の吸気に混合し、第1段気筒群の排気中の未燃燃料を第2段気筒群の気筒内で燃焼させ、メタンや炭化水素を減少させる。また、排気は、含有する酸素が少ないため、燃焼速度が抑えられ、気筒内の温度上昇が抑えられる。また、排気を吸気に混合させることで、吸気の酸素濃度を低くすることにより窒素酸化物の生成が抑制される。これにより、窒素酸化物の発生が抑えられる。
第1段気筒群の排気を第2段気筒群に通すことで、排気中のメタン等を75〜95%減少させることができる。しかし、第2段気筒群の気筒104−2,104−3内でメタン等を完全に燃焼させることはできず、第2段気筒群の排気中にメタン等が残存する。この残存するメタン等を更に燃焼させるため、第2段気筒群の排気の少なくとも一部を第3段気筒群の吸気に混合する。第3段気筒群でもメタン等を75〜95%減少させることができる。このように、2段階でメタン等を燃焼させることで、メタン等の排出を大幅に削減することができる。1段でメタンが90%燃焼するとした場合、燃料中のメタンを100とすれば、第1段気筒群の排気中のメタンは10、第2段気筒群の排気中のメタンは1、第3段気筒群の排気中のメタンは0.1となる。言い換えれば、第1段気筒群の排気中のメタンを、2段階で燃焼させることで、百分の1に低減することができる。また、第3段気筒群の吸気に排気を導入することにより、第3段気筒群の各気筒内の温度上昇が抑えられ、窒素酸化物の発生が抑制される。また、排気を吸気に混合させることで、吸気の酸素濃度を低くすることにより窒素酸化物の生成が抑制される。
燃焼システム100の第1段、第2段及び第3段気筒群にそれぞれ属する各気筒104、特にそのピストンは、共通の出力軸、つまりクランク軸に接続されている。したがって、各気筒104の回転速度は同じになる。このため、第1段気筒群の排気の全量を第2段気筒群の吸気に混合する排気の混合率は約50%となる。同様に、第3段気筒群の排気の混合率は約66%となる。混合率を下げる場合には、排気の一部を次段の気筒群に送らず、排出するようにする。内燃機関102の気筒数は、6気筒に限らず、他の気筒数とすることができる。
燃焼状態が不安定になる条件においては、第1制御弁112及び第2制御弁120,120A,120Bの一方、又は双方を制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。
図12は、燃焼システム130の配管の構成例を示す模式図である。燃焼システム130の内燃機関102は、液体燃料、気体燃料の双方に対応可能で、また予混合燃焼、拡散燃焼の双方に対応可能ないわゆるデュアルフューエル機関である。特に、気筒ごとに燃料、燃焼方式を選択することができる。6つの気筒104のそれぞれに対応して、当該気筒の排気を第1送気管110を介して吸気管122に送るための第1制御弁112が設けられ、各気筒104の排気を第2送気管118に送るための第2制御弁120が設けられている。さらに、第1送気管110から排気を吸気管122に送るための第3制御弁132が設けられ、第2送気管118から排気を吸気管122に送るための第4制御弁134が設けられている。また、第1〜第4制御弁の動作を制御する運転設定手段46が設けられている。吸気管122、排気管124、第1、第2、第3及び第4制御弁112,120,132,134については、必要に応じて、6つの気筒104に対応して枝番号−1〜−6を付して説明する(図12においては、全て枝番を付している)。また、第1及び第2制御弁112,120は、流量が調整可能な弁であっても、開、閉を切り替える弁であってもよい。第3及び第4制御弁132,134は、開、閉を切り替える弁であっても、流量が調整可能な弁であってもよい。
第1〜第4制御弁112,120,132,134の制御により6つの気筒104のいずれもが、第1段気筒群の気筒として動作することができ、また第1段気筒群の排気が供給される第2段気筒群の気筒として動作することができ、さらに第2段気筒群の排気が供給される第3段気筒群として動作することができる。各気筒が、第1段気筒群、第2段気筒群及び第3段気筒群のいずれの気筒群として動作するかは、運転設定手段46による第1〜第4制御弁112,120,132,134の制御、及び各気筒への燃料供給制御、燃焼制御により定まる。なおここでは、第1制御弁112と第3制御弁132は前述の第1切替手段と同様の機能を有する。また、第2制御弁120と第4制御弁134は前述の第2切替手段と同様の機能を有する。
1番気筒104−1の排気が、第1送気管110に送られるように第1制御弁112−1を制御し、第2送気管118に送られないように第2制御弁120−1を制御する。排気が、第1送気管110から吸気管122−2,122−3に送られるように第3制御弁132−2,132−3を開き、残りの吸気管122−1,122−4,122−5,122−6に送られないように残りの第3制御弁132−1,132−4,132−5,132−6を閉じる。これにより、1番気筒104−1の排気が2番及び3番気筒104−2,104−3に供給される。
2番及び3番気筒104−2,104−3の排気が、第2送気管118に送られ、第1送気管110には送られないように第1制御弁112−2,112−3及び第2制御弁120−2,120−3を制御する。排気が、第2送気管118から吸気管122−4,122−5,122−6に送られるように第4制御弁134−4,134−5,134−6を開き、残りの吸気管122−1,122−2,122−3に送られないように第4制御弁134−1,134−2,134−3を閉じる。これにより、2番及び3番気筒104−2,104−3の排気が4番〜6番気筒104−4,104−5,104−6に供給される。
これにより、1番気筒104−1が第1段気筒群、2番及び3番気筒104−2,104−3が第2段気筒群、4番、5番及び6番気筒104−4,104−5,104−6が第3段気筒群として動作する。この状態は、吸排気の流れに関して図11に示した燃焼システム100と同じになる。
第1〜第4制御弁112,120,132,134の状態を変えれば、第1段、第2段及び第3段気筒群に属する気筒を自由に選択することができる。例えば、2番気筒104−2を第1段気筒群の気筒とし、3番及び4番気筒104−3,104−4を第2段気筒群の気筒とし、5番、6番及び1番気筒104−5,104−6,104−1を第3段気筒群とすることができる。ある気筒について、その気筒に対応する第1制御弁112を排気が第1送気管110に流れるように制御し、第3制御弁132及び第4制御弁134を閉じれば、この気筒が第1段気筒群の気筒となる。つまり、第1、第3及び第4制御弁112,132,134が、第1段気筒群として運転される気筒を選択する気筒選択手段として機能する。また、第1制御弁112、第1送気管110及び第3制御弁132が第1段気筒群からの排気を第2段気筒群の気筒に切り替え可能に選択的に送る選択送気手段として機能する。さらに、第2制御弁120、第2送気管118及び第4制御弁134が第2段気筒群からの排気を第3段気筒群の気筒に切り替え可能に選択的に送る選択送気手段として機能する。
第1段気筒群の気筒には気体燃料を、第2段気筒群には液体燃料を、そして第3段気筒群の気筒には、第2段気筒群の気筒より重質の液体燃料を供給することができる。例えば、第1段気筒群の気筒には気体燃料を、第2段気筒群の気筒に軽油を、第3段気筒群の気筒に重油を供給するようにできる。他の気筒に排気を供給する第2段気筒群において、比較的排気が清浄になる軽質な燃料を用いることで、第3段気筒群のカーボンなどによる汚れを抑制することができる。また、第2段気筒群を低硫黄燃料とし、第3段気筒群を価格の安い高硫黄燃料とすることができる。この例としても、例えば第2段気筒群の気筒に軽油を、第3段気筒群の気筒に重油を供給するようにできる。他の気筒に排気を供給する第2段気筒群において、低硫黄燃料である軽質な燃料を用いることで、第3段気筒群の硫酸腐食を抑制することができる。
軽質燃料と、重質燃料では、カーボンなどの付着による汚れの進行の程度が異なる。燃焼システム130では、各気筒が第1段気筒群として動作する時間、第2段気筒群として動作する時間、第3段気筒群として動作する時間を、各気筒間で均等となるように制御して、劣化の進行をそろえるようにすることができる。こうすることにより各気筒の整備期間を等しくできる。具体的には、内燃機関102の各気筒104について第1段気筒群の気筒として運転された時間、第2段気筒群の気筒として運転された時間、及び第3段気筒群として運転された時間を積算して記憶し、この時間が所定の時間に達したら、各第1、第2、第3及び第4制御弁112,120,132,134を制御して、各気筒104が属する気筒群の変更を行う運転時間管理手段48を設ける。
燃焼状態が不安定になる条件においては、第1〜第4制御弁112,120,132,134のいくつかを制御して、後段の内燃機関に排気が送られないようにすることができる。こうすることにより内燃機関の安全運転が可能となる。