JP2019166295A - 通気防水靴 - Google Patents

通気防水靴

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Abstract

【課題】アッパー裏材及びアッパー表材の間に、100〜200μm以下の薄い通気防水フィルムを挿入し、三者を接着するタイプの通気防水靴の欠点を改良する。【解決手段】アッパー表材及びアッパー裏材の間に、弾性繊維又は非弾性繊維を原糸として、厚さ約0.2〜3.0mmの範囲の布帛に形成され、布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない微孔、たとえば、約0.0004μm〜約600μmの微孔を多数穿孔した通気防水材を挿入する。【選択図】図4−6

Description

本発明は、通気防水靴に関する。より詳細には、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する通気防水靴に関する。
本発明は、いわゆる、広義での靴、即ち、足を包み、足を保護し、歩行、走行等各種運動を補助或いは向上させる履物を対象とし、そのデザイン、使用場所、用途、男女別、年齢別等に制約されない。また、材料に関しては、靴底[外底(アウトソール)、中底(ミッドソール)]は、天然、又は(EVAを含む)合成ゴム、ウレタンスポンジ等、アッパーは、天然皮革又は人工皮革、或いは各種繊維から製造された編織布又はそれらの複合材等を対象とする。従って、本発明では、形状、用途、デザイン、素材等に限定されることなく包括的に「靴」と総称する。
靴の主要部材にアッパーがある。アッパーは、足の甲全体を包み込む部品で、単一の素材で製造されているものではなく、靴の外装材としての「アッパー表材」、及び直接、又は靴下等各種衣料品を介して、靴の内部で足の甲と接触する「アッパー裏材」から成る少なくとも2枚の素材から構成されている。アッパーは、アッパー表材及びアッパー裏材になる原反を一緒にして、裁断パターンに従って打ち抜き型で打ち抜き、縫製して全体として1枚のアッパーに形成される。
アッパー表材或いはアッパー裏材になる材料には、各種天然皮革、人工皮革、織物・編物・不織布等各種繊維製品、或いは天然または合成ゴム、或いは各種合成樹脂の成形品から、製造しようとする靴の用途、或いは要求される性能等に応じて適宜選択される。特に、近年、ポリエステル繊維等の合成繊維を経編(タテアミ)によって3次元構造に編んだ、いわゆるダブルラッセル、或いはナイロンメッシュ等が、特にスポーツシューズ等のアッパー表材及びアッパー裏材の両に使用されてきている。上述したアッパー表材或いはアッパー裏材は、防水処理或いは撥水処理されていることが望ましい。
従来から靴は、主として、衝撃緩衝特性、安定性、防滑性、質量軽減等諸機能を付加する開発が行われてきた。その中で重要な開発課題の一つとして、靴内環境の改良がある。靴内環境改良とは、主として、靴の内部で発生した水蒸気を靴外に放出し、いわゆる「蒸れ」を防止又は軽減し、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する靴、即ち、通気防水靴が提案されている。
従来の通気防水靴の主流は、アッパー表材、及び直接又は靴下等を介して足に間接的に接触するアッパー裏材の少なくとも2層から成るアッパーの間に、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する「透湿・防水フィルム」を間挿させるタイプである。尚、用語「通気防水」は「透湿・防水」と同義である。
用語「フィルム」の厚さに関しては、学術的にも、また業界の規格でも、確定された定義はなく、「フィルム」と「シート」との明確な相違もない。いずれにしても、当業界では、100〜200μmの範囲を境界として、それよりも薄い膜体を「フィルム」、厚い膜体を「シート」と呼称しているので、本発明でもその慣例に従うものとする。
特許第5661046号公報 特許第5883788号公報 特許第5501441号公報
例示した特許文献1〜3は、いずれも発泡ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン或いはポリエステル等で製造された通気防水性フィルムをアッパー表材、及び直接又は靴下等を介して足に間接的に接触するアッパー裏材の少なくとも2層から成るアッパー構成体の間に間挿させ、アッパーの表材、及びアッパー裏の両方に接合するタイプである。ところで、通常、通気防水性フィルムとして使用されているポリテトラフルオロエチレンフィルムの引張強さ[kg/cm(ASTMD882〜61T)]は1.1〜2.8、破断伸び[%(ASTMD882〜61T)]は100〜350であり、ポリウレタンフィルムの引張強さ[kg/cm(ASTMD882〜61T)]は3.5〜6.3、破断伸び[%(ASTMD882〜61T)]は450〜650であり、ポリエチレンフィルムの引張強さ[kg/cm(ASTMD882〜61T)]は1.1〜4.3、破断伸び[%(ASTMD882〜61T)]は10〜650であり、ポリプロピレンフィルムの引張強さ[kg/cm(ASTMD882〜61T)]は3.2〜23.2、破断伸び[%(ASTMD882〜61T)]は50〜1,000であり、ポリエステルフィルムの引張強さ[kg/cm(ASTMD882〜61T)]は14〜24.6;28.1(Tタイプ)、破断伸び[%(ASTMD882〜61T)]は60〜165;50(Tタイプ)である。
然しながら、前記通気防水性フィルムは、厚さが15μm〜70μmと非常に薄い。従って、これらのフィルム自体を単品で使用する場合は簡単に亀裂が入ることはないが、アッパー表材及びアッパー裏材に固着された場合、通気防水性フィルムはそれらの動き或いは形状変化に完全には追随することができず、変形また破断することがある。特に、バスケット、サッカー、ラグビー等激しい運動、或いはジョギング、マラソン等長時間の運動に使用するスポーツシューズの場合、アッパー表材及び/又はアッパー裏材に負荷される力は、縦方向及び横方向の単純な2方向以外に、瞬間的な停止或いは方向転換等による予期しない負荷がアッパー表材及び/又はアッパー裏材にかかることがある。このような場合、通気防水性フィルムの伸び率或いは弾力性は、アッパー表材及び/又はアッパー裏材のそれらと異なるので、アッパー表材、アッパー裏材及び通気防水性フィルムの三者の中で最も薄い通気防水性フィルムに亀裂が入るか又は破断することがある。
従って、本発明が解決しようとする課題は、アッパーの表材、及び直接、又は靴下等を介して足に間接的に接触するアッパー裏材の少なくとも2層から構成されるアッパーの間に、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する通気防水フィルムを間挿させるタイプの従来の通気防水靴の欠点を改良することである。
本発明が解決しようとするより具体的な課題は、アッパー表材、及び直接、又は靴下等を介して足の甲に間接的に接触するアッパー裏材の少なくとも2層から成るアッパー構成体の間に挿入されて、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する新規な通気防水材であって、アッパー表材、及び直接、又は靴下等を介して足の甲に間接的に接触するアッパー裏材の両方に接合されていても、バスケット、サッカー、ラグビー等激しい運動、或いはジョギング、マラソン等長時間の運動に使用しても、アッパー表材及びアッパー裏材の変形に追随することによって、靴に、縦方向及び横方向の単純な2方向以外に、瞬間的な停止或いは方向転換等による予期しない負荷が掛かっても、亀裂が入ったり、又は破断しない通気防水靴用の通気防水材を提供することである。
本発明が解決しようとするより具体的な別の課題は、アッパー表材、及び直接、又は靴下等を介して足の甲に間接的に接触するアッパー裏材の少なくとも2層から成るアッパー構成体の間に挿入されて、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する新規な通気防水材であって、少なくともアッパー裏材と同じ程度の厚さと弾力性を備えている通気防水材を提供することである。
本発明が解決しようとする更に具体的な課題は、以下逐次明らかにされる。
本発明者は、アッパー裏材及びアッパー表材の間に、100〜200μm以下の薄い通気防水フィルムを挿入し、アッパー裏材及びアッパー表材の両方に接着した従来のタイプの通気防水靴は、通気防水フィルムの厚さが、アッパー裏材及びアッパー表材に比べてあまりにも薄いために、靴の履用者の激しい運動によるアッパー裏材或いはアッパー表材の変形に追随できず、靴の使用態様によっては、フィルムの特定の箇所に応力が集中し、フィルムの断裂或いは破断を引き起こすことを確認した。
従って、課題を解決するための手段は、アッパー裏材及びアッパー表材の少なくとも2層から構成されたアッパーを備えた靴の前記アッパー裏材及びアッパー表材の間に、通気防水材を挿入し、前記アッパー裏材及びアッパー表材の両方に固着して、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する通気防水靴であって、前記通気防水材として、前記アッパー裏材及びアッパー表材の厚さと同じ程度の厚さ及び弾力性を有し、その幅方向の全面に、靴の履用時に発生する水蒸気の直径より大きく、雨その他が発生源の水滴の直径より小さな微孔が多数形成された通気防水材を使用することである。
本発明で使用する通気防水材は、各種弾性繊維を原糸として「布帛」状に製造される。尚、本発明で使用する用語「布帛」は、JIS繊維用語(JIS L 0206 1284)で定義する「シート状の繊維製品」の意味で、広義では、織物、編み物(メリヤス)、ラッセルレース、ラッセルネット、組み物、トーションレース、リバーレー、羊毛フェルト、ニードルパンチ不織布、水流パンチ不織布、ケミカル不織布、スパンボンド等を包含する。本発明で使用する織物の組織としては、平織で織った伸縮性(ストレッチ)のあるものが好ましく、また、よこ編の一種であるゴム編が伸縮性に富んでいて好ましい。
本発明で使用する通気防水材を製造する弾性繊維としては、ポリウレタン系弾性繊維(スパンデックス)、アクリロニトリル(10〜50%)とブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからのブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン、ポリメチレンテレフタレート等が好ましい。特に、スパンデックスは、他の繊維と少量複合させて使用しても優れた伸縮性を発揮するので、本発明で好ましく使用される。スパンデ
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て上市されている。
本発明で使用する通気防水材は、前述した弾性繊維を原糸として使用して製造する以外に非弾性繊維を原糸としても製造することができる。即ち、本来非弾性のポリエステル繊維、ポリアミド繊維、或いはナイロン等のフィラメント糸に撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性或いは嵩高性を付与し、さらに弾力性がある布帛にして通気防水材として使用することができる。
本発明の通気防水靴においては、アッパーを構成する表材及び裏材の厚さ、並びに通気防水材の厚さが重要である。本発明では、アッパー表材の厚さは、約0.2〜約5.0mmの範囲が好ましい。また、アッパー裏材の厚さは、約0.2〜約5.0mmの範囲が好ましい。また、通気防水材の厚さは、約0.2〜3.0mmの範囲が好ましい。通気防水材の厚さが約0.2〜3.0mmの範囲にあれば、アッパー表材及び裏材の間に挿入して製造された通気防水靴は、厚さが15μm〜70μmと、アッパー表材及び裏材の厚さに比べて非常に薄い通気防水性フィルムを使用する従来の通気防水靴のように、靴の履用者の激しい運動によるアッパー裏材或いはアッパー表材の変形に十分追随できず、亀裂或いは断裂することはない。
本発明で特に好ましいアッパー表材及び裏材としては、防水ナイロンメッシュ、例えば、厚さ0.2mmの薄手のナイロンメッシュ、或いは厚さ5.0mmの厚手のダブルラッセルが例示される。また、本発明で特に好ましい通気防水材は、厚さ0.2mm〜3.0mmの防水スパンデックス、防水ナイロンメッシュが例示される。なお、本発明で特に好ましい通気防水材の構成、製造法等は後述する。
ところで、靴の履用中に靴の内部で発生し、いわゆる蒸れの原因となる水蒸気の直径は約0.0004μmと言われている。また、水滴の直径は約100〜600μmと言われている。従って、上述した弾力性の繊維を原糸として製造した各種の布帛に通気防水機能を付与するには、布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない微孔、たとえば、約0.0004μm〜約600μmの微孔を多数穿孔することが好ましい。
さらに、本発明で使用する通気防水材を製造するに当っては、原糸の段階で撥水加工を施すか、或いは布帛に編織した段階で撥水加工を施すことが好ましい。撥水加工としては、ろう、油、アルミニウム化合物等を付着させる「一次撥水加工」、シリコン樹脂、過フッ素系化合物、いわゆるスコッチガードと原糸を化学結合させる「耐久撥水加工」等各種の技術が確立されているので、製造しようとする通気防水靴の用途、特性等諸条件を勘案して選択することが好ましい。
従って、本発明は下記の各項に記載した手段によって解決される。
1.靴の主要部材としてのアッパー表材及びアッパー裏材の間に、通気防水材を挿入し、前記アッパー表材及びアッパー裏材に接着されて成る通気防水靴において、前記通気防水材は、弾性繊維又は非弾性繊維を原糸として布帛に形成され、布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない微孔を多数形成する。
2.前記1項において、前記弾性繊維は、ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリル(10〜50%)とブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからのブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択される。
3.前記2項において、ポリウレタン系弾性繊維はスパンデックスである。
4.前記1項において、非弾性繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロン等のフィラメント糸から成る群から選択される。
5.前記4項において、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、或いはナイロン等のフィラメント糸は、撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性を付与する。
6.前記1〜5項のいずれか1項において、前記アッパー表材の厚さは約0.2〜約5.0mmの範囲、前記アッパー裏材の厚さは約0.2〜約5.0mmの範囲、及び前記通気防水材の厚さは約0.2〜3.0mmの範囲とする。
7.前記1〜6項のいずれか1項において、原糸の状態で予め又は布帛の状態で防水処理又は撥水処理を施す。
本発明の通気防水靴は、主として、下記に例示する効果をあげる。
1.通気防水材として、スパンデックス等各種弾性繊維又は非弾性繊維を所定の方法で伸縮性を付与した繊維を原糸として布帛に成形し、布帛の厚さ方向の全面に水蒸気は通過させ、水滴は通過させない微孔を多数穿孔してあるので、従来の発泡ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン或いはポリエステル等で製造された透湿・防水性フィルムに比べて引張強度、伸び率等各種機械的強度が優れていて、且つ同一条件、同一測定方法で測定して、透湿効果を最大差約20%向上させる。
2.本発明で使用する通気防水材の厚さは、0.2〜3.0mmの範囲であるので、厚さが15μm〜70μmと非常に薄い従来の透湿・防水フィルムに比べて強靭で耐久性がある。従って、アッパー表材及びアッパー裏材に固着された場合、それらの動き或いは形状変化に完全に追随し、特に、縦方向及び横方向の単純な2方向以外に、瞬間的な停止或いは方向転換等による予期しない負荷がかかるバスケット、サッカー、ラグビー等激しい運動、或いはジョギング、マラソン等長時間の運動に使用するスポーツシューズであっても、厚さが15μm〜70μmと非常に薄い従来の透湿・防水フィルムのように亀裂が入ったり又は破断することがない。
本発明で使用する通気防水材の通気防水作用を説明する概念図。 本発明の一実施態様による通気防水靴の主要部を示す断面図。 靴内相対湿度を測定するために温湿度センサーを配置する位置を示す左足の斜視図。(尚、右足は図3の鏡像関係にある)。 モニター▲1▼による、本発明の通気防水靴と、透湿・防水フィルムを使用した従来の通気防水靴の通気効果(靴内の湿度変化)を比較したグラフ。 モニター▲2▼による、本発明の通気防水靴と、透湿・防水フィルムを使用した従来の通気防水靴の通気効果(靴内の湿度変化)を比較したグラフ。 モニター▲3▼による、本発明の通気防水靴と、透湿・防水フィルムを使用した従来の通気防水靴の通気効果(靴内の湿度変化)を比較したグラフ。 モニター▲4▼による、本発明の通気防水靴と、透湿・防水フィルムを使用した従来の通気防水靴の通気効果(靴内の湿度変化)を比較したグラフ。 モニター▲5▼による、本発明の通気防水靴と、透湿・防水フィルムを使用した従来の通気防水靴の通気効果(靴内の湿度変化)を比較したグラフ。 モニター▲1▼〜▲5▼の試験結果の統計的平均値を示すグラフ。
通気防水材の製造
ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)として東レ・オペロンテックスの「
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たポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)を原糸として、厚さ1.0mmの本発明で使用する通気防水材を製造した。図1は、通気防水材の組織構造と、通気防水材が水蒸気を通過させ、水滴を通過させない機能を概念的に示した拡大図である。図1において、1はポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)の横糸、2はポリウレタン弾性繊維縦糸である。ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)1とポリウレタン弾性繊維2は交差して空間3を形成している。空間3の径は、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない範囲、例えば、0.0004μm〜約600μmの微孔である。直径が大きな球4は水滴、小さな球5は水蒸気である。図1は、直径が大きな球4である水滴は前記空間3を通過せず、小さな球5である水蒸気は前記空間3を通過している状態を概念的に示している。尚、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない範囲の微孔は、環境の温度、湿度、気圧、測定方法等諸条件によって左右されるので、0.0004μm〜約600μmは臨界的数値ではなく、あくまでも、目安としての例示である。
アッパーの製造
アッパー表材として、市販の厚さ2.0mmの防水ダブルラッセルを使用し、アッパー裏材として厚さ1.0mmの防水ダブルラッセルを使用した。前述した通気防水材を、前記アッパー表材とアッパー裏材の間に挿入し、両者を接着して、所定の方法で型により打ち抜いて、縫製して、アッパーを製造した。
通気防水靴の製造
図2は、前述したアッパーを使用して所定の方法で製造した靴の主要部を示す断面図である。本発明の通気防水靴は、アッパー表材6とアッパー裏材7の間に前述した通気防水材8接合された構造となっている。アッパー表材6、通気防水材8およびアッパー裏材7が相互に接着されて一体化されたアッパーは、中底10と靴底11の、ほぼ中央部まで挿入されて、相互に接合され一体化されている。
靴内相対湿度の測定
実施例で製造した本発明の通気防水靴(以下「本発明靴」という)及び厚さが15μm〜70μmの薄い透湿・防水フィルムを使用した従来の通気防水靴(以下「従来靴」という)の靴内相対湿度を測定した。▲1▼〜▲5▼の5名のモニターのそれぞれの左足に従来靴を、右足に本発明靴を装着させた。装着すると同時に、前甲外側内部の足とアッパー裏材との間に靴内相対湿度を測定するための温湿度センサーを挿入した。図3は、温湿度センサーを配置した位置12を示す左足の斜視図である(尚、右足は図3の鏡像関係にある)。
図4−1〜5は、本発明の靴と、従来靴の靴内の相対湿度変化を比較したグラフである。
図4−1は、モニター▲1▼の試験結果を示すグラフ、図4−2は、モニター▲2▼の試験結果を示すグラフ、図4−3は、モニター▲3▼の試験結果を示すグラフ、図4−4は、モニター▲4▼の試験結果を示すグラフ、図4−5は、モニター▲5▼の試験結果を示すグラフ、及び図4−6は、モニター▲1▼〜▲5▼の試験結果の統計的平均値を示すグラフである。各グラフにおいて縦軸は相対湿度(%)、横軸は時間(分)、及び直線は本発明靴の靴内相対湿度変化、点線は従来靴の靴内相対湿度を示す。
図4−1に示したように、モニター▲1▼の場合、本発明靴による通気防水靴の靴内相対湿度(直線)は、測定開始から直ちに50%から60%に上昇し、その後、測定終了の80分間に亘って、経時的に60%以内に推移していることが理解される。他方、従来靴(点線)は、測定開始から約10分間で50%から約75%に上昇し、更に約30分間から、測定終了の80分まで80〜90%の間を推移している。測定終了の80分間後には、それぞれの最大差は32%になっていること、即ち本発明靴の靴内相対湿度は、従来靴に比べて32%低いことが理解される。
図4−2に示したように、モニター▲2▼の場合、本発明靴の靴内相対湿度(直線)は、測定開始から約30分間で約60%になり、約30分間〜約50分間で、70%近傍に上昇し、測定終了の80分間まで、その値で推移した。従来靴(点線)は、測定開始から約50分間で60〜80%に上昇し、測定終了の80分間まで、約85%に上昇した。80分間後には、それぞれの最大差は17%になっていること、即ち本発明靴の靴内相対湿度は、従来靴に比べて17%低いことが理解される。
図4−3に示したように、モニター▲3▼の場合、本発明靴の靴内相対湿度(直線)は、50%と60%の間で推移しているが、従来靴(点線)の場合、55%〜約77%の間で上昇し、80分間後には、それぞれの最大差は18%になっていること、即ち本発明靴の靴内相対湿度は、従来靴に比べて18%低いことが理解される。
図4−4に示したように、モニター▲4▼の場合、本発明による通気防水靴の靴内相対湿度(直線)は、測定から60分間までは、60%〜70%の間で推移し、60分間以降〜80分間までは、70%を少し超えている。他方、従来靴(点線)の場合、測定開始から80分まで70〜90%近傍にまで上昇し、80分間後には、それぞれの最大差は20%になっていること、即ち本発明による通気防水靴の靴内相対湿度は、従来靴に比べて20%低いことが理解される。
図4−5に示したように、モニター▲5▼の場合、本発明による通気防水靴の靴内相対湿度(直線)は、測定開始から40分間までは、70%〜63%に降下し、40分間〜80分間までは約62%を推移している。他方、従来靴(点線)の場合、測定開始から約40分間までは、70%から約85%に上昇し、更に80分間までは、85〜90%近傍を推移していて、80分間後では、それぞれの最大差は27%になっていること、即ち本発明による通気防水靴の靴内相対湿度は、従来靴に比べて27%低いことが理解される。
図4−6は、モニター▲1▼〜▲5▼の試験結果の統計的平均値を示すグラフである。
図4−6に示すように、本発明靴の靴内相対湿度(直線)は、測定開始から80分間まで、60%近傍を推移している。他方、従来靴(点線)の場合、測定開始から約40分間までは、60%から約80%に上昇し、更に80分間までは、80〜85%まで上昇していることが理解される。80分間後の、それぞれの最大差は21.8%になっていること、即ち本発明靴の靴内相対湿度は、従来靴に比べて平均で21.8%低いことが理解される。
前述したように、本発明による通気防水靴は、通気防水材として、スパンデックス等各種弾性繊維又は非弾性繊維を所定の方法で伸縮性を付与した繊維を原糸として厚さ約0.2〜3.0mmの範囲の布帛に成形し、布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない微孔、たとえば、約0.0004μm〜約600μmの微孔を多数穿孔してあるので、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン或いはポリエステル等で製造された透湿防水性フィルムを使用した従来の通気防水靴と比べて、同一条件、同一の使用態様で、透湿効果を最大差で約32%、平均で約21.8%向上させることができ、また、厚さが15μm〜70μmと非常に薄い従来の透湿・防水フィルムに比べて強靭で耐久性がある。従って、アッパー表材及びアッパー裏材に固着された場合、それらの動き或いは形状変化に完全に追随し、特に、縦方向及び横方向の単純な2方向以外に、瞬間的な停止或いは方向転換等による予期しない負荷がかかるバスケット、サッカー、ラグビー等激しい運動、或いはジョギング、マラソン等長時間の運動に使用するスポーツシューズに使用しても、厚さが15μm〜70μmと非常に薄い従来の透湿・防水フィルムのように亀裂が入たり又は破断することがない。従って、スポーツシューズは、もとより、通常のビジネスシューズ、ジョギングシューズ、日常履用シューズ等広範なシューズに利用可能性がある。
1 ポリウレタン弾性繊維横糸
2 ポリウレタン弾性繊維縦糸
3 ポリウレタン弾性繊維横糸1とポリウレタン弾性繊維縦糸2が交差して形成する空間
4 水滴
5 水蒸気
6 アッパー表材
7 アッパー裏材
8 通気防水材
9 インソール
10 中底
11 本底
12 靴内相対湿度を測定するために温湿度センサーを配置する靴内の位置に対応する靴外の位置

Claims (7)

  1. 靴の主要部材としてのアッパー表材及びアッパー裏材の間に、通気防水材を挿入し、前記アッパー表材及びアッパー裏材に接着されて成る通気防水靴において、前記通気防水材は、弾性繊維又は非弾性繊維を原糸として布帛に形成され、布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない微孔が多数穿孔されていることを特徴とする通気防水靴。
  2. 前記弾性繊維は、ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリル(10〜50%)とブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからのブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載した通気防水靴。
  3. 前記ポリウレタン系弾性繊維はスパンデックスであることを特徴とする、請求項2に記載した通気防水靴。
  4. 前記非弾性繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロン等のフィラメント糸から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載した通気防水靴。
  5. 前記ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、或いはナイロン等のフィラメント糸は、撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性が付与されることを特徴とする、請求項4に記載した通気防水靴。
  6. 前記アッパー表材の厚さは約0.2〜約5.0mmの範囲、前記アッパー裏材の厚さは約0.2〜約5.0mmの範囲、及び前記通気防水材の厚さは約0.2〜3.0mmの範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載した通気防水靴。
  7. 前記原糸は原糸の状態で予め、又は布帛の状態で防水処理又は撥水処理を施されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載した通気防水靴。
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