このようなタービンでは、1段動翼をタービンから取り外す場合、例えば、上半の車室を取り外した後、1段動翼とロータとの固定を解除することにより1段動翼を取り外す作業が行われる。このような翼の取り外し作業においては、作業性を向上させることが求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、作業性の向上を図ることが可能な翼の取り外し方法及び支持リングを提供することを目的とする。
本発明に係る翼の取り外し方法は、周方向の長さが不均等な複数の支持部材により分割可能に構成される環状の支持リングのうち一部の前記支持部材を取り外す支持部材取り外し工程と、前記支持部材が取り外されることで形成されるスペースを介して翼を引き抜く翼引き抜き工程とを含む。
この構成によれば、複数の支持部材の周方向の長さが不均等であるため、例えば周方向の長さが相対的に短い支持部材を取り外すことで、支持部材の取り外し作業の作業性を向上させることができる。また、例えば周方向の長さが相対的に長い支持部材を取り外すことにより、そのスペースを介して翼を引き抜く場合、翼を通過させるスペースを大きく確保できるため、翼の引き抜き作業の作業性を向上させることができる。これにより、翼の取り外し作業における作業性の向上を図ることができる。
また、前記支持部材取り外し工程は、前記周方向の長さが最も短い前記支持部材を取り外してもよい。
従って、周方向の長さが最も短い支持部材を取り外すことにより、支持部材を取り外す際の負担が軽くなるため、作業性の向上を図ることができる。
また、前記周方向の長さが最も短い前記支持部材は、前記翼よりも前記周方向の長さが長くてもよい。
従って、支持部材を取り外すことにより、翼を通過させるスペースを十分に確保することができる。これにより、翼を引き抜く作業について作業性の向上を図ることができる。
また、前記支持リングは、タービンの車室の内部に配置され、前記支持部材取り外し工程及び前記翼引き抜き工程は、前記支持部材よりも鉛直方向の上方側に前記車室が取り付けられた状態で行ってもよい。
従って、車室の鉛直方向の上方側を取り外すことなく、支持部材取り外し工程及び翼引き抜き工程を行うため、作業性の向上を図ることができる。
また、前記支持部材取り外し工程は、複数の前記支持部材のうち鉛直方向の上方側に配置される前記支持部材を取り外してもよい。
従って、車室内において作業者が作業しやすい姿勢を確保できるため、作業性の向上を図ることができる。
また、前記支持部材は、1段静翼を支持し、前記翼は、1段動翼であってもよい。
従って、1段動翼を引き抜く場合、1段静翼を支持する支持部材を取り外す作業について、作業性の向上を図ることができる。
また、複数の前記支持部材は、前記周方向に隣り合う前記支持部材との間でシップラップ接合する第1突出部が前記周方向の両端に設けられた第1支持部材を有し、前記支持部材取り外し工程は、前記第1支持部材を取り外してもよい。
従って、第1支持部材を容易に分離することができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、前記第1突出部は、前記支持リングの中心軸の軸方向のうち前記翼が配置される側とは反対側に配置され、前記支持部材取り外し工程は、前記軸方向のうち前記翼が配置される側とは反対側に前記第1突出部が当該第1突出部に接合される前記支持部材から離れる方向に前記第1支持部材を移動させて取り外してもよい。
従って、第1支持部材を翼が配置される側とは反対側に容易に取り外すことができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、複数の前記支持部材は、前記周方向の一方の端部に隣り合う前記第1支持部材との間でシップラップ接合する第2突出部が設けられ、前記周方向の他方の端部に隣り合う前記支持部材との間をシールするシール板を嵌合するシール板嵌合部が設けられる第2支持部材を有してもよい。
従って、一方の端部においては取り外しやすい構成とし、他方の端部においてはシール性を確保しやすい構成とすることにより、分解容易性とシール性を両立させることができる。
また、前記支持部材取り外し工程は、前記第2支持部材を取り外してもよい。
従って、第2支持部材を取り外すことで、作業性の向上を図ることができる。
また、前記第2支持部材は、前記周方向に前記第1支持部材と隣り合って配置され、前記支持部材取り外し工程は、前記第1支持部材を取り外した後、前記第2支持部材を前記周方向に移動させて取り外してもよい。
従って、第1支持部材が取り外されて空いた状態のスペースを利用することで、第2支持部材を容易に取り外すことができる。
また、前記支持部材取り外し工程は、前記第2支持部材を前記支持リングの径方向の外側に移動させて取り外してもよい。
従って、支持リングの径方向の外側のスペースを利用して第2支持部材を取り外すことにより、作業性の向上を図ることができる。
本発明に係る支持リングは、静翼を支持する複数の支持部材により分割可能に構成された環状の支持リングであって、複数の前記支持部材は、周方向の長さが不均等である。
従って、周方向の長さが相対的に短い支持部材を取り外すことで、支持部材の取り外し作業の作業性を向上させることができる。また、周方向の長さが相対的に長い支持部材を取り外すことにより、広いスペースを確保することができる。
また、複数の前記支持部材は、隣り合う前記支持部材との間でシップラップ接合する突出部を有する前記支持部材と、隣り合う前記支持部材との間でシール板を嵌合するシール板嵌合部を有する前記支持部材とを有してもよい。
この場合、前記突出部は、前記周方向の長さが最も短い前記支持部材に設けられてもよい。
従って、周方向の長さが最も短い支持部材を容易に取り外すことができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、複数の前記支持部材は、前記周方向に隣り合う前記支持部材との間でシップラップ接合する第1突出部が前記周方向の両端に設けられた第1支持部材を有してもよい。
従って、第1支持部材を容易に分離することができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、前記第1支持部材は、前記周方向に隣り合う前記支持部材が前記支持リングの中心軸の軸方向及び前記支持リングの径方向へ移動することを規制する突起部を有してもよい。
従って、第1支持部材が取り外される前に、第1支持部材と周方向に隣り合う支持部材が取り外されることを防止できる。
また、複数の前記支持部材は、前記周方向の一方の端部に隣り合う前記支持部材との間でシップラップ接合する第2突出部が設けられ、前記周方向の他方の端部に前記シール板嵌合部が設けられる第2支持部材を有してもよい。
従って、第2支持部材を取り外すことで、作業性の向上を図ることができる。
本発明によれば、作業性の向上を図ることが可能な翼の取り外し方法及び支持リングを提供することができる。
以下、本発明に係るガスタービン、及び翼環部の製造方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係るガスタービン100の全体構成を表す概略図である。図1に示すように、ガスタービン100は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13とを備える。ガスタービン100は、不図示の発電機が連結され、当該発電機により発電可能となっている。
圧縮機11は、空気を取り込む吸気室20を有し、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配置されると共に、複数の静翼23と複数の動翼24が空気の流動方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配置されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。この圧縮機11は、吸気室20から取り込まれた空気を圧縮することで高温・高圧の圧縮空気を生成し、車室14に供給する。
燃焼器12は、圧縮機11で圧縮され車室14に溜められた高温・高圧の圧縮空気と燃料とが供給され、燃焼することで、燃焼ガスを生成する。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と複数の動翼28が燃焼ガスの流動方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配置されている。そして、このタービン車室26は、燃焼ガスの流れ方向の下流側に排気車室29を介して排気室30が配置されており、排気室30は、タービン13に連結する排気ディフューザ31を有している。このタービン13は、燃焼器12からの燃焼ガスにより駆動し、同軸上に連結された発電機(図示せず)を駆動する。
圧縮機11と燃焼器12とタービン13並びに排気室30の中心部を貫通するように、ロータ(回転軸)32が配置されている。ロータ32は、回転軸Cの軸回り方向(以下、「軸回り方向」と表記する)に回転可能である。具体的には、ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持されると共に、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持される。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定されている。また、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、吸気室20側の端部に発電機(図示せず)の駆動軸が連結されている。
そして、このガスタービン100は、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
従って、圧縮機11にて、吸気室20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。タービン13にて、燃焼器12で生成され尾筒12a(図2参照)を介して供給された高温・高圧の燃焼ガスGが、タービン13における複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。一方、燃焼ガスGは、運動エネルギーが排気室30の排気ディフューザ31により圧力に変換されて減速されてから大気に放出される。なお、圧縮機11で圧縮された一部の圧縮空気は、圧縮機11の中間段で抽気され、タービン車室26に供給される。タービン車室26に供給された抽気空気は、タービン車室空間26a(図2参照)に溜められ、タービン13側の高温部品等の冷却に使用される。
図2は、タービン13の支持リング40の近傍を示す断面図である。図1及び図2に示すように、タービン13は、上半(鉛直方向の上方側)と下半(鉛直方向の下方側)とに分割可能な円筒形状のタービン車室(車室)26を有する。タービン車室26は、燃焼ガスGの流動方向の下流側に円筒形状をなす排気車室29が連結される。排気車室29は、燃焼ガスGの流動方向の下流側に円筒形状をなす排気室30(排気ディフューザ31)が配置される。排気室30は、燃焼ガスGの流動方向の下流側に排気ダクト(図示せず)が設けられる。
図2に示すように、タービン車室26の内部には、支持リング40が配置される。支持リング40は、回転軸Cを中心として環状に形成される。支持リング40は、複数段の静翼27のうち1段静翼27aを支持する。支持リング40は、軸方向において1段動翼28aの上流側に配置される。1段動翼28aはロータに対して軸方向に移動することができる構造となっており、ロータには1段動翼28aが取り付けられる溝が軸方向に沿って設けられている。
図3は、支持リング40の一例を示す断面図である。図3に示すように、支持リング40は、ロータ32をカバーするカバー部材38のフランジ部38aに取り付けられる。支持リング40は、例えばボルト等の固定部材38bによりフランジ部38aに固定される。支持リング40には、1段動翼28a側に前シール部材48が取り付けられる。
支持リング40には、例えばボルト等の固定部材27bにより、1段静翼27aのシュラウド27sが固定される。当該固定部材27bを取り外すことにより、支持リング40から1段静翼27aが取り外し可能となる。図3では、1段静翼27aが取り外された状態を示している。なお、図3において、1段静翼27aが固定された状態を二点鎖線で示している。ただし、必ずしも固定部材27bを用いる必要は無く、固定部材27bの替わりに、1段静翼27aを支持する種々の手段を用いることで、支持リング40に1段静翼27aを支持させることができる。
図3に示すように、1段静翼27aが支持リング40から取り外された状態では、固定部材38bを取り外すことにより、支持リング40が回転軸Cの軸方向の上流側に取り外し可能となる。支持リング40が取り外されることにより、フランジ部38aの径方向の外側には、1段動翼28aを引き抜くためのスペースが形成される。
なお、1段動翼28aは、翼根部28sがディスク39に装着される。1段動翼28aは、例えば上流側に引き抜くことによりディスク39から取り外される。また、1段動翼28aは、例えば下流側に押し込むことによりディスク39に装着される。
図4は、支持リング40を回転軸Cの軸方向から見た場合の一例を示す図である。図4に示すように、支持リング40は、環状であり、中心軸が回転軸Cに一致した状態で配置される。以下、支持リング40の中心軸を回転軸Cと表記して説明する。支持リング40は、回転軸Cを中心とした周方向に並ぶ複数の支持部材50を有する。複数の支持部材50は、それぞれ上記の固定部材38bによりフランジ部38aに固定される。
複数の支持部材50は、例えば支持部材41、42、43、44、45、46から構成される。以下、複数の支持部材を区別しないで説明する場合には支持部材50と表記して説明し、複数の支持部材50を区別して説明する場合には、支持部材41、42、43、44、45、46、と異なる符号を付して説明する。
支持部材41、42、43は、周方向の長さが等しくなっている。支持部材41、42、43は、例えば周方向の長さが、それぞれ支持リング40全体の周長の4分の1の長さとなっている。支持部材44は、例えば周方向の長さが、支持リング40の全体の周長の8分の1の長さとなっている。つまり、支持部材44は、周方向において支持部材41、42、43の半分の長さとなっている。支持部材45、46は、複数の支持部材50の中で周方向の長さが最も短く形成されている。支持部材45、46は、例えば周方向の長さが、支持リング40の全体の周長の16分の1の長さとなっている。つまり、支持部材45、46は、周方向において、支持部材41、42、43の4分の1の長さであり、また、支持部材44の半分の長さである。このように、複数の支持部材50は、周方向の長さが不均等である。なお、各支持部材50は、1段動翼28aよりも周方向の長さが長く形成される。本実施形態において、支持部材41、44、45、46は、鉛直方向の上方側に配置される。また、支持部材42、43は、鉛直方向の下方側に配置される。なお、支持部材41、42、43、44、45、46の周方向における上記の長さ及び配置については一例であり、これに限定されない。
図5は、図4におけるA−A断面矢視図である。図5に示すように、支持部材(第1支持部材)45は、周方向の両端にそれぞれ突出部(第1突出部)45a、45bを有している。突出部45aは、支持部材45と周方向の一方に隣り合う支持部材44側に配置される。突出部45bは、支持部材45と周方向の他方に隣り合う支持部材46側に配置される。突出部45a、45bは、支持部材45の周方向の両端部のうち、それぞれ軸方向の上流側半分の領域に設けられる。つまり、突出部45a、45bが設けられることにより、支持部材45は、周方向の両端部において軸方向の下流側半分が切り欠かれた状態となっている。
支持部材(第2支持部材)44は、周方向において支持部材45側の端部に突出部44aを有する。突出部44aは、支持部材44の当該端部のうち、軸方向の下流側半分の領域に設けられる。つまり、突出部44aが設けられることにより、支持部材44は、周方向の支持部材45側の端部において軸方向の上流側半分が切り欠かれた状態となっている。
本実施形態において、突出部45aと突出部44aとでは、周方向の寸法が等しくなっている。このように構成された支持部材45と支持部材44との間では、突出部45aと突出部44aとが噛み合った状態で接合される(シップラップ接合)。つまり、突出部45aと突出部44aとが突出方向に互いに重なった状態で接合される。シップラップ接合により、支持部材45と支持部材44との間においては、気体の漏れが抑制される。
また、支持部材44は、周方向において支持部材45とは反対側の端部にシール板嵌合部44cを有する。シール板嵌合部44cは、上記の支持部材45とは反対側で隣り合う支持部材43との間でシール板47を嵌合する。シール板嵌合部44cは、支持部材44の当該端部において軸方向の中央に配置され、周方向に沿って溝状に形成される。なお、支持部材43の端部においても同様に、シール板嵌合部43cが軸方向の中央に配置され、周方向に沿って溝状に形成される。
このように構成された支持部材44と支持部材43とは、1つのシール板47がシール板嵌合部44cとシール板嵌合部43cとに跨って挿入された状態で接合される。シール板47を介して接合されることにより、支持部材44と支持部材43との間においては、気体の漏れが抑制される。
また、支持部材(第2支持部材)46は、周方向において支持部材45側の端部に突出部46aを有する。突出部46aは、支持部材46の当該端部のうち、軸方向の下流側半分の領域に設けられる。つまり、突出部46aが設けられることにより、支持部材46は、周方向の支持部材45側の端部において軸方向の上流側半分が切り欠かれた状態となっている。
本実施形態において、突出部45bと突出部46aとでは、周方向の寸法が等しくなっている。このように構成された支持部材45と支持部材46との間では、突出部45bと突出部46aとが噛み合った状態でシップラップ接合される。シップラップ接合により、支持部材45と支持部材46との間においては、気体の漏れが抑制される。
また、支持部材46は、周方向において支持部材45とは反対側の端部にシール板嵌合部46cを有する。シール板嵌合部46cは、上記の支持部材45とは反対側で隣り合う支持部材41との間でシール板47を嵌合する。シール板嵌合部46cは、支持部材46の当該端部において軸方向の中央に配置され、周方向に沿って溝状に形成される。なお、支持部材41の端部においても同様に、シール板嵌合部41cが軸方向の中央に配置され、周方向に沿って溝状に形成される。
このように構成された支持部材46と支持部材41とは、1つのシール板47がシール板嵌合部46cとシール板嵌合部41cとに跨って挿入された状態で接合される。シール板47を介して接合されることにより、支持部材46と支持部材41との間においては、気体の漏れが抑制される。
なお、支持部材41と支持部材42との間、及び支持部材42と支持部材43との間については、シール板を介して接合されてもよいし、シップラップ接合により接合されてもよい。
支持部材45は、支持部材44側の端部では突出部45aが支持部材44の突出部44aの上流側に配置された状態でシップラップ接合されており、支持部材46側の端部では突出部45bが支持部材46の突出部46aの上流側に配置された状態でシップラップ接合されている。つまり、支持部材45は、周方向の両側に隣り合う支持部材44、46に対して軸方向の上流側に配置される。このため、支持部材45を固定する上記の固定部材38bのみを取り外した場合、支持部材45は、軸方向の上流側へ移動可能となる。この場合、支持部材45は、軸方向の上流側へ移動させることで取り外し可能となる。なお、突出部44a、突出部45a、45b及び突出部46aを径方向に平行に配置することにより、支持部材45を固定する上記の固定部材38bのみを取り外した場合、支持部材46は、径方向に移動可能となる。この場合、支持部材46は、径方向の外側に移動させることで取り外し可能となる。
支持部材44は、支持部材45側の端部では突出部44aが支持部材45の突出部45aの下流側に配置された状態でシップラップ接合されており、支持部材43側の端部ではシール板47を介して接合される。このため、支持部材44を固定する上記の固定部材38bのみを取り外した場合、支持部材44は、突出部45a及びシール板47により、軸方向の上流側への移動が規制される。なお、突出部44a、突出部45a及びシール板47を径方向に平行に配置することにより、支持部材44を固定する上記の固定部材38bのみを取り外した場合、支持部材44は、径方向に移動可能となる。この場合、支持部材44は、径方向の外側に移動させることで取り外し可能となる。
支持部材46は、支持部材45側の端部では突出部46aが支持部材45の突出部45bの下流側に配置された状態でシップラップ接合されており、支持部材41側の端部ではシール板47を介して接合される。このため、支持部材46を固定する上記の固定部材38bのみを取り外した場合、支持部材46は、突出部45b及びシール板47により、軸方向の上流側への移動が規制される。なお、突出部46a、突出部45b及びシール板47を径方向に平行に配置することにより、支持部材46を固定する上記の固定部材38bのみを取り外した場合、支持部材46は、径方向に移動可能となる。この場合、支持部材46は、径方向の外側に移動させることで取り外し可能となる。
次に、本実施形態に係る翼の取り外し方法を説明する。図6は、本実施形態に係る翼の取り外し方法の一例を示すフローチャートである。図7から図10は、本実施形態に係る翼の取り外し方法の一工程を示す工程図である。本実施形態では、1段動翼28aを軸方向の上流側から取り外す場合を例に挙げて説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る翼の取り外し方法は、支持部材取り外し工程(以下のステップS10、S20、S30)と、翼引き抜き工程(以下のステップS40)とを含む。
支持部材取り外し工程では、まず、タービン車室26の上半が下半に取り付けられた状態で、燃焼器12を取り外し(ステップS10)、1段静翼27aを取り外す(ステップS20)。その後に、第1支持部材である支持部材45を支持リング40から取り外す(ステップS30)。ステップS30では、支持部材45を固定する固定部材38bを取り外す。これにより、支持部材45が軸方向の上流側に移動可能となる。その後、図7に示すように、支持部材45を軸方向の上流側に移動させることにより、支持部材45が支持リング40から取り外される。支持リング40の一部である支持部材45が取り外されることにより、当該支持部材45が取り付けられていた部分には、スペースP1が形成される。このように、周方向の両側に隣り合う支持部材44、46に対して軸方向の上流側に配置される支持部材45を最初に取り外すことで、支持部材の取り外し作業の効率化を図ることができる。なお、これらの工程は、タービン車室26の上半が下半から取り外された状態であっても行うことができる。
支持部材45を取り外した後、第2支持部材である支持部材46をシール板47から抜き取る(ステップS40)。ステップS40では、支持部材46を固定する固定部材38bを取り外した後、図8に示すように、スペースP1側に向けて、支持部材46を周方向に移動させる。この移動により、シール板47がシール板嵌合部46cから抜き出され、支持部材46が支持部材41から取り外される。これにより、支持部材46が軸方向の上流側に移動可能となる。
支持部材46をシール板47から抜き出した後、支持部材46を軸方向の上流側に取り出す(ステップS50)。ステップS50では、図9に示すように、ステップS40においてシール板47から抜き出された支持部材46をそのまま軸方向の上流側に引き出す。これにより、支持部材45及び支持部材46が取り付けられていた部分にスペースP2が形成される。このようにして、支持部材取り外し工程が完了する。
支持部材取り外し工程では、周方向の長さが最も短い支持部材45、46を取り外すようにする。これにより、取り外し作業における負担が低減される。また、取り外し対象となる支持部材45、46については、例えばタービン車室26を取り付けたまま当該タービン車室内で取り外し作業が可能な重量の閾値以内(例えば20kg以下)となるように周方向の長さを設定することができる。この場合、タービン車室26を取り外すことなく支持部材取り外し工程を行うことができるため、タービン車室26を取り外してから支持部材を取り外す場合に比べて、作業時間を大幅に短縮できる。また、支持部材取り外し工程では、複数の支持部材50のうち鉛直方向の上方側に配置される支持部材45、46を取り外す。この場合、タービン車室26内において作業者が作業しやすい姿勢を確保できる。
支持部材取り外し工程が完了した後、翼引き抜き工程では、支持部材45、46が取り外されることで形成されるスペースP2を介して1段動翼28aを引き抜く(ステップS60)。ステップS60では、図10に示すように、支持リング40の上流側から、スペースP2を通過させて1段動翼28aを上流側に引き抜く。これにより、1段動翼28aが取り外される。
翼引き抜き工程では、支持部材50が取り外されることで形成されるスペースを介して1段動翼28aを引き抜く。そのため、支持部材取り外し工程において周方向の長さが相対的に長い支持部材50を取り外すことにより、1段動翼28aを通過させるスペースを大きく確保できる。例えば、支持部材取り外し工程では、支持部材45を取り外した後、第2支持部材として、周方向の長さが相対的に長い支持部材44をスペースP1側に移動させて取り外してもよい。この場合、例えば支持部材46を取り外す場合に比べて、翼引き抜き工程において、1段動翼28aが取り外しやすくなる。
以上のように、本実施形態に係る翼の取り外し方法は、周方向の長さが不均等な複数の支持部材50により分割可能に構成される環状の支持リング40のうち一部の支持部材45、46を取り外す支持部材取り外し工程(S30、S40、S50)と、支持部材45、46が取り外されることで形成されるスペースP2を介して1段動翼28aを引き抜く翼引き抜き工程とを含む。
この構成によれば、複数の支持部材50の周方向の長さが不均等であるため、例えば周方向の長さが相対的に短い支持部材45、46を取り外すことで、支持部材50の取り外し作業の作業性を向上させることができる。また、例えば周方向の長さが相対的に長い支持部材44等を取り外すことにより、そのスペースを介して1段動翼28aを引き抜く場合、1段動翼28aを通過させるスペースを大きく確保できるため、1段動翼28aの引き抜き作業の作業性を向上させることができる。これにより、1段動翼28aの取り外し作業における作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、支持部材取り外し工程は、周方向の長さが最も短い支持部材45、46を取り外す。この構成では、周方向の長さが最も短い支持部材45、46を取り外すことにより、支持部材45、46を取り外す際の負担が軽くなるため、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、周方向の長さが最も短い支持部材45、46は、1段動翼28aよりも周方向の長さが長い。この構成では、支持部材45、46を取り外すことにより、1段動翼28aを通過させるスペースを十分に確保することができる。これにより、1段動翼28aを引き抜く作業について作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、支持リング40は、タービン車室26の内部に配置され、支持部材取り外し工程及び翼引き抜き工程は、タービン車室26の上半が取り付けられた状態で行う。つまり、支持リング40(支持部材)よりも鉛直方向の上方側にタービン車室26が取り付けられた状態で行う。この場合、タービン車室26の上半を取り外すことなく、支持部材取り外し工程及び翼引き抜き工程を行うため、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、支持部材取り外し工程は、複数の支持部材50のうち鉛直方向の上方側に配置される支持部材(例えば、支持部材44、45、46)を取り外す。この場合、タービン車室26内において作業者が作業しやすい姿勢を確保できるため、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、支持部材50は、1段静翼27aを支持し、引き抜き対象となる翼は1段動翼28aである。この場合、1段動翼28aを引き抜く場合、1段静翼27aを支持する支持部材50を取り外す作業について、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、複数の支持部材50は、周方向に隣り合う支持部材44、46との間でシップラップ接合する突出部45a、45bが周方向の両端に設けられた支持部材45を有し、支持部材取り外し工程は、支持部材45を取り外す。この場合、支持部材45を容易に分離することができるため、作業性の向上を図ることができる。また、突出部45a、45bが、周方向の長さが最も短い支持部材45に設けられることにより、支持部材45を容易に取り外すことができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、突出部45a、45bは、回転軸Cの軸方向のうち1段動翼28aが配置される側とは反対側に配置され、支持部材取り外し工程は、回転軸Cの軸方向のうち1段動翼28aが配置される側とは反対側に、つまり上流側に支持部材45を移動させて取り外す。この場合、支持部材45を上流側に容易に取り外すことができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、複数の支持部材50は、周方向の一方の端部に隣り合う支持部材45との間でシップラップ接合する突出部44a、46aが設けられ、周方向の他方の端部に隣り合う支持部材43、41との間をシールするシール板47を嵌合するシール板嵌合部44c、46cが設けられる支持部材44、46を有する。この場合、支持部材44、46の一方の端部においては取り外しやすい構成であり、他方の端部においては確実に接合される。また、支持部材取り外し工程において、支持部材44、46を取り外す際に、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、支持部材44、46は、周方向に支持部材45と隣り合って配置され、支持部材取り外し工程は、支持部材45を取り外した後、支持部材44、46を周方向に移動させて取り外す。この場合、支持部材44、46が取り外されて空いた状態のスペースを利用することで、支持部材44、46を容易に取り外すことができる。
また、本実施形態において、支持リング40は、1段静翼27aを支持する複数の支持部材50により分割可能に構成された環状の支持リング40であって、複数の支持部材50は、周方向の長さが不均等である。この場合、支持リング40を分解する場合には、周方向の長さが相対的に短い支持部材50を取り外すことで、作業性の向上を図ることができる。また、周方向の長さが相対的に長い支持部材50を取り外すことにより、広いスペースを確保することができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、支持部材45と支持部材44、46との間は、突出部45aと突出部44aとが噛み合い、突出部45bと突出部46aとが噛み合った状態でシップラップ接合された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。図11は、変形例に係る支持リング140の一例を示す断面図である。図11に示すように、支持部材145の突出部145aと支持部材144の突出部144aとの間、また、支持部材145の突出部145bと支持部材146の突出部146aとの間に、軸方向及び径方向に平行なシール板148が嵌合された構成であってもよい。これにより、支持部材145と支持部材144との間、また、支持部材145と支持部材146との間で気体の漏れが抑制される。また、シール板148が軸方向及び径方向に平行であるため、支持部材145を軸方向の上流側に取り外す際に干渉せず、支持部材145を円滑に取り外すことができる。
また、上記実施形態では、突出部45a、45bが径方向の全体に亘って設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。図12は、変形例に係る支持リング240を軸方向の上流側から見た場合の一例を示す図である。図12に示すように、支持リング240では、支持部材245は、径方向の中央部に突出部245a、245bが設けられ、径方向の両端部には突出部245a、245bが設けられない構成である。また、周方向について支持部材245に隣り合う支持部材244、246は、突出部245a、245bとの間でシップラップ接合する凹部244b、246bを有する。凹部244b、246bは、それぞれ支持部材244、246の径方向の中央部に設けられる。この構成により、支持部材244、246は、軸方向及び径方向へ移動することが規制される。このように、支持部材245は、周方向に隣り合う支持部材244、246が軸方向及び径方向へ移動することを規制する突起部を有していてもよい。この場合、突出部245a、245bが、当該突起部として設けられてもよい。この構成により、支持部材245が取り外される前に、支持部材244、246が取り外されることを防止できる。なお、図12に示す突出部245a、245bの位置は一例であり、これに限定されない。例えば支持部材において、径方向の外側端部に突出部が設けられた構成であってもよい。
また、上記実施形態では、第1支持部材である支持部材45を取り外した後、第2支持部材である支持部材46を取り外し、その後、1段動翼28aを引き抜く場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、支持部材45を取り外した後、支持部材46を取り外すことなく、スペースP1から1段動翼28aを引き抜いてもよい。
また、最初に支持部材46を径方向の外側に取り外した後、支持部材45を取り外し、その後、スペースP2から1段動翼28aを引き抜いてもよい。また、最初に支持部材46を径方向の外側に取り外した後、支持部材45を取り外すことなく、支持部材46が配置されていたスペースを介して1段動翼28aを引き抜いてもよい。この場合、支持リング40の径方向の外側のスペースを利用して支持部材46を取り外すことにより、作業性の向上を図ることができる。