以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
<ミリ波無線通信システムの概要>
本発明の実施形態について説明する前に、本発明の各実施形態に関連するミリ波無線通信システムの概要について説明する。
ミリ波無線通信システムは、電波の直進性が高く、通信範囲が比較的狭いミリ波(60GHz)帯を用いて高速にデータ伝送を行う無線通信システムである。ここでは、ミリ波無線通信システムが、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11adに準拠する無線通信システムであるものとして以下の説明を行う。なお、IEEE802.11adは、本実施形態に係るミリ波無線通信システムの一例である。
(ネットワーク構成)
IEEE802.11adに準拠するミリ波無線通信システムは、電波の直進性が高く、通信範囲が比較的狭いミリ波(60GHz)帯を使用して通信を行い、チャネル当たり2.16GHzの広帯域を利用することにより、高速なデータ通信を実現する。
また、ミリ波帯では、電波の伝搬損失が大きくなるので、ミリ波無線通信システムでは、アンテナ利得を大きくするため、電波のビーム方向を絞って電波の送受信を行うビームフォーミング技術が用いられる。そのため、ミリ波無線通信システムの通信部は、基本的に、複数の通信装置と同時に通信することは困難である。
そのため、ミリ波無線通信システムでは、無線多重方式として、従来の無線LAN(Local Area Network)システムで用いられているCSMA/CA方式に代えて、TDMA(Time Division Multiple Access)方式の通信プロトコルが用いられる。
ミリ波無線通信システムでは、AP(Access Point)と呼ばれるコーディネータ装置が、BSS(Basic Service Set)と呼ばれるネットワークセルを形成し、TDMAプロトコルにおけるタイムスロットの管理を行う。
図1、2は、一実施形態に係るミリ波無線通信システムについて説明するための図である。図1(a)は、ミリ波無線通信システムのネットワークセルであるBSS100を形成するAP110と、STA(Station)120とが、ミリ波無線通信130で通信を行う1対1のネットワーク構成の例を示している。図1(a)の例では、AP110が、TDMAプロトコルにおけるタイムスロットの管理を行い、例えば、所定の時間間隔でビーコンフレームを送信する。
図1(b)は、BSS100を形成するAP110と、複数のSTA120−1〜120−3とが、ミリ波無線通信130で通信を行うスター型のネットワーク構成の例を示している。図1(b)の例においても、AP110が、TDMAプロトコルにおけるタイムスロットの管理を行い、例えば、所定の時間間隔でビーコンフレームを送信する。
IEEE802.11adでは、図1(a)、(b)に示すネットワーク構成に加えて、図2(a)に示すように、PCPと呼ばれるコーディネータ装置によって形成されるPBSS(Personal Basic Service Set)200と呼ばれるネットワーク構成が定義されている。PBSS200では、STA120−1〜120−3は、PCP201を介して、他のSTAと通信することもできるし、PCP201を介さずに、他のSTAと通信することもできる。
(タイムスロットの構成)
図2(b)は、一実施形態に係るタイムスロットの例を示す図である。図2(b)は、AP110が管理するTDMAプロトコルにおけるタイムスロットの割り当てを示している。AP110が管理するTDMAプロトコルのタイムスロットは、図2(b)に示すように、BHI(Beacon Header Interval)と、DTI(Data Transfer Interval)とを含む。
BHIは、BTI(Beacon Transmission Interval)、A−BFT(Association Beamforming Training)、及びATI(Announcement Transmission Interval)を含む。
BTIは、AP110がビーコンフレームを送信する期間である。A−BFTは、ビームフォーミングのトレーニング期間である。ATIは、AP110と、STA120−1〜120−3との間で、管理情報、制御情報等を送受信するための期間である。
DTIは、CBAP(Contention Based Access Period)、及びSP(Service Period)を含む。
CBAPは、AP110と複数のSTA120とが競合して通信を行うために割り当てられる競合期間である。SPは、AP110と1つのSTA120との間で通信するために割り当てられる専用期間である。
AP110は、BTIにおいて、AP110が形成する複数のビームパターンであるアンテナセクタの数だけ、ビーコンフレームを送信する。一方、STA120−1〜120−3は、無指向アンテナもしくは準無指向アンテナに設定してAPから送信される全てのビーコンフレームを受信し、最も受信品質の良いアンテナセクタを示す情報を、AP110にフィードバックする。これにより、AP110は、各STA120−1〜120−3に対して、アンテナセクタを利用して、通信すれば良いかを把握することができる。
(ビームフォーミング)
ここでは、ビームフォーミング技術の一例として、SLS(Sector Level Sweep)について、概要のみ説明する。
SLSにはTXSS(Tx Sector Sweep)とRXSS(Rx Sector Sweep)との2種類がある。TXSSは、送信時に利用するアンテナセクタを決定するためのビームフォーミングトレーニングであり、RXSSは受信時に利用するアンテナセクタを決定するためのビームフォーミングトレーニングである。
図3は、一実施形態に係るビームフォーミングの例について説明するための図である。図3の例では、説明を容易にするため、AP110が形成する複数のビームパターンであるアンテナセクタのうち、セクタ1〜4の4つのアンテナセクタのみを示している。
TXSSにおいて、AP110は、アンテナ301から複数のビームパターン303の各セクタ(セクタ1〜4)を切り替えて、順次に所定のパケットを送信することにより、BSS300を形成している。一方、STA120は、アンテナ302を、無指向アンテナもしくは準無指向アンテナに設定して、AP110から送信されるパケットを受信し、最も受信品質の良いアンテナセクタを示す情報を、AP110にフィードバックする。
RXSSでは、上記TXSSと逆方向のビームフォーミングトレーニングシーケンスが実行され、TXSS、及びRXSSが完了すると、AP110とSTA120との間で、ミリ波無線通信による電波の送受信ができるようになる。
<システム構成>
続いて、本実施形態に係る通信システムの構成について説明する。
図4は、一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。通信システム400は、例えば、複数のホッピングノード401−1〜401−5、1つ以上のエッジノード402−1〜402−7、及び通信管理装置403を含む。なお、以下の説明の中で複数のホッピングノード401−1〜401−5のうち、任意のホッピングノードを示す場合、「ホッピングノード401」を用いる。また、1つ以上のエッジノード402−1〜402−7のうち、任意のエッジノードを示す場合、「エッジノード402」を用いる。
ホッピングノード(第1の通信装置)401は、ミリ波無線通信のAPとして機能する第1の通信部、ミリ波無線通信のSTAとして機能する第2の通信部、及び無線LAN通信を行う無線LAN通信部とを備える通信装置である。なお、ミリ波無線通信は、指向性を有する電波を用いてマルチホップ通信を行う無線通信の一例である。また、無線LAN通信は、第1の無線通信より通信範囲が広い第2の無線通信の一例である。
複数のホッピングノード401−1〜401−5は、第1の通信部を用いて、ミリ波無線通信で互いに異なるサブネットワーク(BSS)を形成する。例えば、図4において、ホッピングノード401−1は、サブネットワーク406−1を形成し、ホッピングノード401−2は、サブネットワーク406−2を形成している。また、ホッピングノード401−3は、サブネットワーク406−3を形成しており、他のホッピングノードも、同様にサブネットワークを形成しているものとする。
また、ホッピングノード401は、第2の通信部を用いて、他のホッピングノードが形成するサブネットワークに接続することができる。図4の例では、ホッピングノード401−2は、第2の通信部(STA)を用いて、ホッピングノード401−1の第1の通信部(AP)が形成するサブネットワーク406−1に、ミリ波無線通信で接続することができる。また、ホッピングノード401−1は、第2の通信部(STA)により、ホッピングノード401−3の第1の通信部(AP)が形成するサブネットワーク406−3に、ミリ波無線通信で接続することができる。同様にして、ホッピングノード401−3は、第2の通信部(STA)により、ホッピングノード401−4の第1の通信部(AP)が形成するサブネットワークに、ミリ波無線通信で接続することができる。
さらに、複数のホッピングノード401−1〜401−5は、通信管理装置403と同じ無線LANネットワーク407に含まれ、無線LAN通信部を用いて、通信管理装置403と無線LAN通信を行うことができる。なお、無線LAN通信のアクセスポイントは、通信管理装置403であっても良いし、別のアクセスポイントを利用するものであっても良い。ここでは、通信管理装置403が無線LANのアクセスポイントの機能を有するものとして、以下の説明を行う。
エッジノード(第2の通信装置)402は、ミリ波無線通信のSTAとして機能する第3の通信部を備え、エッジノード402が形成する複数のサブネットワークのうち、1つのサブネットワークに接続する通信装置である。図4の例では、エッジノード402−1〜402−3は、第3の通信部(STA)を用いて、ホッピングノード401−1の第1の通信部(AP)が形成するサブネットワーク406−1に接続している。
好ましくは、エッジノード402は、無線LAN通信を行う無線LAN通信部をさらに有している。例えば、図4の破線404は、無線LAN通信による装置間の接続関係を示しており、エッジノード402−6は、無線LAN通信により、通信管理装置403と通信可能であることが示されている。同様に、複数のホッピングノード401−1〜401−5は、無線LAN通信により、通信管理装置403と通信可能であることが示されている。
なお、他のエッジノード402についても、無線LAN通信により、通信管理装置403と通信可能であることが望ましいが、必須ではない。
上記の構成において、各ホッピングノード401は、第2の通信部(STA)を用いて、ミリ波無線通信で周辺の通信装置の情報を収集し、収集した情報を、無線LAN通信で通信管理装置403に送信する。
通信管理装置(第3の通信装置)403は、各ホッピングノード401から、無線LAN通信で受信した情報を用いて、例えば、図4に実線405で示すような、ミリ波無線通信による装置間の接続関係を管理する。また、通信管理装置403は、ミリ波無線通信によるマルチホップ通信が行われるとき、装置間の接続関係に基づいてコンテンツデータ(データ)の通信経路を決定し、通信経路にあるホッピングノード401に、通信経路に関する指示を無線LAN通信で送信する。
ホッピングノード401は、通信管理装置403から無線LAN通信で通知された通信経路に関する指示に基づいて、ミリ波無線通信で受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信で他の通信装置に転送する。
このとき、ホッピングノード401は、第1の通信部(AP)と、第2の通信部(STA)との2つのミリ波無線通信部を用いてコンテンツデータを転送することにより、コンテンツデータの転送に要する遅延時間を短縮することができる。
<ハードウェア構成>
(ホッピングノードのハードウェア構成)
図5(a)は、ホッピングノード401のハードウェア構成の例を示している。ホッピングノード401は、例えば、CPU(Central Processing Unit)511、RAM(Read Only Memory)512、ROM(Read Only Memory)513、ストレージ部514、無線LAN通信装置515、ミリ波無線通信装置516−1、516−2、ランプ517、及びバス518等を有する。
CPU511は、ROM513やストレージ部514等に格納されたプログラムやデータをRAM512上に読み出し、処理を実行することで、ホッピングノード401の各機能を実現する演算装置である。RAM512は、CPU511のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM513は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
ストレージ部514は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュROM等のストレージデバイスであり、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
無線LAN通信装置515は、例えば、IEEE802.11a/b/g/n/ac等の規格に準拠した無線LAN通信を行うための無線通信デバイスであり、例えば、アンテナ、無線部、MAC(Media Access Control)部、及び通信制御部等を含む。
ミリ波無線通信装置516−1、516−2は、例えば、IEEE802.11ad等規格に準拠したミリ波無線通信を行うための無線通信デバイスであり、例えば、アンテナ、無線部、MAC部、及び通信制御部等を含む。
ランプ517は、例えば、ホッピングノード401の動作状態等を、色の変化や、点灯/点滅等により表示するための発光素子である。バス518は、上記各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
(エッジノードのハードウェア構成)
図5(b)は、エッジノード402のハードウェア構成の例を示している。エッジノード402は、例えば、CPU521、RAM522、ROM523、ストレージ部524、無線LAN通信装置525、ミリ波無線通信装置526、表示装置527、入力装置528、及びバス529等を有する。このうち、CPU521、RAM522、ROM523、ストレージ部524、無線LAN通信装置525、ミリ波無線通信装置526、バス529等の構成は、ホッピングノード401で説明した各部の構成と同様なので、ここでは説明を省略する。
表示装置527は、表示画面を表示する、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。入力装置528は、ユーザの入力操作を受付する、例えば、タッチパネルやキーボード等の入力デバイスである。
なお、図5に示すエッジノード402の構成は一例であり、エッジノード402は、無線LAN通信装置525を有していなくても良い。
(通信管理装置のハードウェア構成)
通信管理装置403は、一例として、図5(a)に示すホッピングノード401と同様のハードウェア構成を有する。例えば、周辺に通信管理装置403がないときに、ホッピングノード401のうちの1つが、通信管理装置403として起動する。この場合、通信管理装置403は、ホッピングノード401の1つとしてマルチホップ通信を行うものであっても良いし、専用の通信管理装置403として機能するものであっても良い。
別の一例として、通信管理装置403は、例えば、図5(a)のCPU511、RAM512、ROM513、ストレージ部514、無線LAN通信装置515、及びバス518等を有するコンピュータのハードウェア構成を有する。この場合、通信管理装置403は、専用の通信管理装置403として機能する。
<機能構成>
続いて、各通信装置の機能構成について説明する。
(ホッピングノードの機能構成)
図6は、第1の実施形態に係るホッピングノードの機能構成の例を示す図である。ホッピングノード(第1の通信装置)401は、無線LAN通信部601、ミリ波無線通信部(AP)602、ミリ波無線通信部(STA)603、記憶部604等を有する。また、ホッピングノード401は、通信リンク状態測定部611、情報収集部612、データ転送部613、切断判定部614、エッジノード管理部615、情報転送部616、及びキャッシュ処理部617等を有する。さらに、ホッピングノード401は、情報送信部621、情報受信部622、登録要求部623等を有する。
無線LAN通信部(第5の通信部)601は、例えば、図5(a)の無線LAN通信装置515、及び図5(a)のCPU511で実行されるプログラム等によって実現される。無線LAN通信部601は、ホッピングノード401を無線LANネットワーク407に接続し、通信管理装置403と無線LAN通信を行う。
ミリ波無線通信部(AP)602は、例えば、図5(a)のミリ波無線通信装置516−1、及び図5(a)のCPU511で実行されるプログラム等によって実現される。ミリ波無線通信部(AP)602は、ミリ波無線通信のAP(アクセスポイント)として機能し、ミリ波無線通信のサブネットワークを形成する。また、ミリ波無線通信部(AP)602は、形成したサブネットワークに接続するミリ波無線通信のSTAと、ミリ波無線通信でデータの送受信を行う。なお、ミリ波無線通信部(AP)602は第1の通信部の一例である。
ミリ波無線通信部(STA)603は、例えば、図5(a)のミリ波無線通信装置516−2、及び図5(a)のCPU511で実行されるプログラム等によって実現される。ミリ波無線通信部(STA)603は、ミリ波無線通信のSTA(ステーション)として機能し、他のホッピングノードが形成するミリ波無線通信のサブネットワークに接続する。また、ミリ波無線通信部(STA)603は、サブネットワークを形成する他のホッピングノード401と、ミリ波無線通信でデータの送受信を行う。なお、ミリ波無線通信部(STA)603は第2の通信部の一例である。
記憶部604は、例えば、図5(a)のRAM512、ストレージ部514、及び図5(a)のCPU511で実行されるプログラム等によって実現され、例えば、ミリ波無線通信で受信したデータを一時的に記憶するバッファとして機能する。また、記憶部604は、通信管理装置403から通知されるアクセスポイント情報や、ミリ波無線通信部(AP)602が形成するサブネットワークに接続するエッジノード402の情報等、様々な情報を記憶する。
通信リンク状態測定部611は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現される。通信リンク状態測定部611は、例えば、ミリ波無線通信部(AP)602、及びミリ波無線通信部(STA)603と通信可能なホッピングノード401、及びエッジノード402の通信リンク状態を測定する。通信リンク状態には、例えば、受信信号強度、スループット値、パケットロス率等の情報が含まれる。
情報収集部612は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、ミリ波無線通信で周辺の他の無線通信端末(ホッピングノード401、エッジノード402)をスキャン(検索)して情報を収集する。
例えば、情報収集部612は、通信リンク状態測定部611を用いて、ホッピングノード401の周辺にある他のホッピングノードの識別情報(ホッピングノード番号等)、及び通信リンク状態等の情報を取得する。また、情報収集部612は、通信リンク状態測定部611を用いて、ホッピングノード401の周辺にあるエッジノードの識別情報、及び通信リンク状態等の情報を取得する。
なお、情報収集部612が収集した情報は、例えば、情報送信部621により、無線LAN通信で通信管理装置403に送信される。
データ転送部613は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラム等によって実現される。データ転送部613は、無線LAN通信で通信管理装置403から通知される通信経路に関する指示に基づいて、ミリ波無線通信(第1の無線通信)で受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信で他の通信装置に転送する。
好ましくは、データ転送部613は、ミリ波無線通信部(STA)603でコンテンツデータを受信した場合、ミリ波無線通信部(AP)602を用いて、受信したコンテンツデータを他の通信装置(ホッピングノード401、エッジノード402)に転送する。
また、データ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602でコンテンツデータを受信した場合、ミリ波無線通信部(STA)603又はミリ波無線通信部(AP)602を用いて、受信したコンテンツデータを他の通信装置に転送する。
切断判定部614は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、通信リンク状態測定部611が測定する通信リンク状態に基づいて、ミリ波無線通信の切断を判定する。
切断判定部614によってミリ波無線通信が切断したと判定された場合、ホッピングノード401は、ミリ波無線通信で周辺にある他の通信装置をスキャンしたスキャン結果を含む切断通知を通信管理装置403に通知する。また、ホッピングノード401は、通信管理装置403から通知される他のホッピングノード401に、ミリ波無線通信で接続する。
エッジノード管理部615は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、ミリ波無線通信部(AP)602が形成するサブネットワークに接続するエッジノード402の管理を行う。例えば、エッジノード管理部615は、ミリ波無線通信部(AP)602が形成するサブネットワークに接続したエッジノード402を、ホッピングノード401に登録し、登録したエッジノード402にIPアドレス等を通知する。
情報転送部616は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、エッジノード402と、通信管理装置403との間で送受信される情報の中継を行う。
例えば、情報転送部616は、エッジノード402からの要求に応じて、ミリ波無線通信でエッジノード402から受信した情報を、無線LAN通信で通信管理装置403に転送する。また、情報転送部616は、通信管理装置403からの要求に応じて、無線LAN通信で通信管理装置403から受信した情報を、ミリ波無線通信でエッジノード402に転送する。これにより、エッジノード402は、例えば、無線LAN通信装置525を有していない場合であっても、情報転送部616を介して、通信管理装置403と通信することができる。
キャッシュ処理部617は、ホッピングノード401が第1の無線通信で受信したコンテンツデータの一部、又は全部を、記憶部604に一時的に記憶して管理するキャッシュ処理を行う。また、キャッシュ処理部617は、第1の無線通信、又は第2の無線通信を介して接続された他の通信装置からの要求に応じて、記憶部604に記憶したキャッシュデータ(コンテンツデータの一部、又は全部)を、要求元の通信装置に提供する。
情報送信部621は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信部601を用いて、情報を通信管理装置403に送信する。例えば、情報送信部621は、情報収集部612が収集した周辺の無線通信端末の情報や、ミリ波無線通信が切断したことを示す切断通知等を、無線LAN通信で通信管理装置403に送信する。
情報受信部622は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信部601を用いて、通信管理装置403から送信される情報を受信する。例えば、情報受信部622は、無線LAN通信で通信管理装置403から通知される、通信経路に関する指示等の制御情報を受信する。
登録要求部623は、例えば、図5(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現される。登録要求部623は、例えば、起動時等に、情報収集部612が収集した周辺の無線通信端末の情報を含む通信システム400への登録要求を、無線LAN通信で送信する。
(エッジノードの機能構成)
図7は、一実施形態に係るエッジノードの機能構成の例を示す図である。エッジノード402は、ミリ波無線通信部(STA)701、データ送信部702、データ受信部703、表示制御部704、操作受付部705、及び記憶部706等を有する。
好ましくは、エッジノード402は、無線LAN通信部711、情報送信部712、及び情報受信部713等を有する。
ミリ波無線通信部(STA)701は、例えば、図5(b)のミリ波無線通信装置526、及び図5(b)のCPU521で実行されるプログラム等によって実現され、ミリ波無線通信のSTAとして、ミリ波無線通信のサブネットワークに接続する。なお、ミリ波無線通信部(STA)701は、ミリ波無線通信(第1の無線通信)を行う第3の通信部の一例である。
データ送信部702は、例えば、図5(b)のCPU521で実行されるプログラムによって実現され、映像データ、音声データ、ファイル等のコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)701を用いて、ミリ波無線通信で送信する。
データ受信部703は、例えば、図5(b)のCPU521で実行されるプログラムによって実現され、ミリ波無線通信部(STA)701を用いて、ミリ波無線通信でコンテンツデータを受信する。
表示制御部704は、例えば、図5(b)のCPU521で実行されるプログラムによって実現され、図5(b)の表示装置527に、操作画面や、データ受信部703
が受信した映像データによる映像等を表示させる。
操作受付部705は、例えば、図5(b)のCPU521で実行されるプログラムによって実現され、図5(b)の入力装置528等に対するユーザの入力操作等を受付する。
記憶部706は、例えば、データ受信部703が受信したコンテンツデータを記憶する。
無線LAN通信部711は、例えば、図5(b)の無線LAN通信装置525、及び図5(b)のCPU521で実行されるプログラム等によって実現され、無線LAN通信で通信管理装置403等と通信を行う。
情報送信部712は、例えば、図5(b)のCPU521で実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信部711を用いて、無線LAN通信で情報を通信管理装置403等に送信する。例えば、エッジノード402は、マルチホップ通信によるデータの送信を要求する要求情報等を、情報送信部712を用いて、通信管理装置403に送信する。
情報受信部713は、例えば、図5(b)のCPU521で実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信部711を用いて、無線LAN通信で通信管理装置403から通知される制御情報等を受信する。
(通信管理装置の機能構成)
通信管理装置(第3の通信装置)403は、無線LAN通信部801、情報取得部802、通信経路管理部803、制御情報送信部804、ホッピングノード管理部805、エッジノード管理部806、及び記憶部807等を有する。
無線LAN通信部(第4の通信部)801は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラム、及び無線LAN装置等によって実現され、無線LAN通信で、ホッピングノード401、エッジノード402等と通信を行う。
情報取得部(取得部)802は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信で、複数のホッピングノード401から、情報を取得する。
例えば、情報取得部802は、所定の時間間隔等で(定期的に)、無線LAN通信で、情報の取得を要求するスキャン要求を複数のホッピングノード401に送信し、複数のホッピングノード401から送信される周辺の通信装置の情報を取得する。
通信経路管理部803は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信で情報取得部802が取得した情報に基づいて、マルチホップ通信でコンテンツデータを転送する通信経路を管理する。
例えば、通信経路管理部803は、情報取得部802が取得した情報を用いて、図4に実線405で示すような、ミリ波無線通信による装置間の接続関係を特定(又は決定)し、特定(又は決定)した接続関係に基づいて、マルチホップ通信の通信経路を決定する。
制御情報送信部804は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラムによって実現され、無線LAN通信で、ホッピングノード401等に制御情報を送信する。
ホッピングノード管理部805は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラムによって実現され、情報取得部802が取得した情報に基づいて、通信システム400に登録されているホッピングノード401の情報を管理する。
好ましくは、ホッピングノード管理部805は、各ホッピングノード401が形成するサブネットワークに接続可能な他のホッピングノード401の数、及びエッジノード402の数を設定可能である。また、ホッピングノード管理部805は、各ホッピングノード401が形成するサブネットワークに接続するホッピングノード401、及びエッジノード402の数が、設定された数を超えないように制御する。
エッジノード管理部806は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラムによって実現され、情報取得部802が取得した情報に基づいて、通信システム400に含まれるエッジノード402の情報を管理する。
記憶部807は、通信管理装置403が備えるCPUで実行されるプログラム、及びストレージ部、RAM等によって実現される。記憶部807は、例えば、通信経路管理部803が管理する通信経路や、情報取得部802が取得した情報等の様々な情報を記憶する。
[第1の実施形態]
(ネットワーク構成)
図9、10は、第1の実施形態に係るネットワーク構成の例を示す図である。
図9は、送信元のエッジノード402から、他のエッジノード402b〜402g、及びホッピングノード401a〜401eに、コンテンツデータを送信する場合における通信システム400のネットワーク構成の一例を示している。
図9において、各ホッピングノード401a〜401eは、ミリ波無線通信部(AP)602を用いて、ミリ波無線通信のサブネットワークを形成している。また、各通信装置(ホッピングノード401、エッジノード402)間の実線は、ミリ波無線通信によるマルチホップ通信の通信経路の一例を示している。
図9に示すような通信システム400において、通信管理装置403は、例えば、次のような管理を行う。
通信管理装置403は、各ホッピングノード401から、無線LAN通信で送信されるミリ波無線通信のスキャン結果に基づいて、各ホッピングノード401に接続先のホッピングノード401を、無線LAN通信で指示する。これにより、通信管理装置403は、例えば、図9に実線で示すような木構造のマルチホップ通信の通信経路を形成する。
好ましくは、このとき、通信管理装置403は、マルチホップ通信の通信経路上で、隣り合うホッピングノード401で同一の周波数チャネルを使用しないように、各ホッピングノード401に使用するチャネルを指示する。これにより、例えば、ホッピングノード401間の電波干渉の影響を低減させることができる。
また、通信管理装置403は、各ホッピングノード401が形成するサブネットワークに接続する他のホッピングノード401の数、及びエッジノード402の数を調整する。
ホッピングノード401が形成するミリ波無線通信のサブネットワークは、無線LAN等のサブネットワークと比較して接続可能な通信装置(ホッピングノード401、エッジノード402)の数が少ない。そのため、例えば、1つのホッピングノード401に接続するエッジノード402の数が多いと、当該ホッピングノード401接続できる他のホッピングノード401の数が少なくなり、通信経路の自由度が低下する恐れがある。
そこで、通信管理装置403は、例えば、管理者等の操作により、各ホッピングノード401に接続可能なエッジノード数、及び他のホッピングノード401の数を設定可能になっている。なお、ホッピングノード管理部805は、例えば、各ホッピングノード401から送信されるスキャン結果等に含まれる、ホッピングノード401のMACアドレス、又はIPアドレス等により、ホッピングノード401とエッジノード402を区別することができる。
例えば、管理者等により、ホッピングノード401に接続可能な全ての通信装置の数が「8」、ホッピングノード401の数が「3」、エッジノード402の数が「5」に設定されたものとする。この設定情報は、通信管理装置403から各ホッピングノード401に無線LAN通信で通知され、各ホッピングノード401は、自装置に接続するホッピングノード401、及びエッジノード402の数が上限値を超えないように制御を行う。例えば、ホッピングノード401は、接続済のエッジノード402の数が「5」である状態で、他のエッジノード402から接続要求を受付すると、他のエッジノード402の接続を拒否する。
図9に示すネットワーク構成において、送信元のエッジノード402aが、他の通信装置にコンテンツデータを送信する場合、送信元のエッジノード402aは、無線LAN通信で、通信管理装置403にコンテンツデータの送信を要求する送信要求を送信する。
通信管理装置403は、送信元のエッジノード402aからの送信要求を受付すると、図9に実線で示すようなマルチホップ通信の通信経路と、図9に矢印で示すデータ送信方向を決定する。また、通信管理装置403は、無線LAN通信で、各ホッピングノード401a〜401eにコンテンツデータの転送先を通知すると共に、送信元のエッジノード402aにコンテンツデータの送信先のホッピングノード401を指示する。
これにより、送信元のエッジノード402aから送信されたコンテンツデータが、例えば、図9に矢印で示すデータ送信方向に順次に転送され、エッジノード402b〜402g、及びホッピングノード401a〜401eにコンテンツデータが送信される。
図10は、送信元のエッジノード402eから、他の通信装置(エッジノード402、及びホッピングノード401)にコンテンツデータを送信する場合のネットワーク構成の例を示している。この場合も同様に、通信管理装置403は、送信元のエッジノード402eからの送信要求に応じて、マルチホップ通信の通信経路と、データ送信方向を決定し、各ホッピングノード401a〜401eに、コンテンツデータの転送先を指示する。これにより、送信元のエッジノード402eから送信されたコンテンツデータが、図10に示すデータ送信方向に順次に転送され、エッジノード402a〜402d、402f、402g、及びホッピングノード401a〜401eにコンテンツデータが送信される。
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る通信制御方法の処理の流れについて説明する。
(データ送信処理1)
図11は、第1の実施形態に係るデータ送信処理の例を示すシーケンス図(1)である。この処理は、図9に示すネットワーク構成において、送信元のエッジノード402aから、他の通信装置にコンテンツデータを送信する場合における通信システム400の処理の一例を示している。
なお、図11に示す処理の開始時点において、通信管理装置403は、無線LAN通信を用いて、各ホッピングノード401にコンテンツデータの転送先を通知済であり、送信元のエッジノード402aには、コンテンツデータの送信先を通知済であるものとする。
ステップS1101において、送信元のエッジノード402aは、通信管理装置403から通知された送信先のホッピングノード401aに、コンテンツデータを送信する。
ステップS1102において、ホッピングノード401aのミリ波無線通信部(AP)602は、送信元のエッジノード402からコンテンツデータを受信し、キャッシュ処理部617は、受信したコンテンツデータを記憶部604にキャッシュ(一時保存)する。
キャッシュ処理部617が、受信したコンテンツデータをキャッシュすることにより、ホッピングノード401は、例えば、転送先の通信装置と通信が途切れても、通信が再接続されたときに、コンテンツデータを転送先の通信装置に転送することができる。
また、ホッピングノード401は、追加で接続されたエッジノード402に対して、キャッシュしたコンテンツデータを提供する機能を有していても良い。このような機能を有することから、データをアプリケーション層で処理する必要があるため、各ホッピングノード401はIPルーティング機能を持たない。
さらに、キャッシュ処理部617は、記憶部604にキャッシュしたコンテンツデータを、他の通信装置からの要求により、提供、又は削除する機能を有する。例えば、キャッシュ処理部617は、無線LAN通信による、他のホッピングノード401や、エッジノード402等からの要求に応じて、キャッシュしたコンテンツデータを提供する、又コンテンツデータを削除する機能を有する。
例えば、エッジノード402は、選択するホッピングノード401を選択する際に、各ホッピングノード401がキャッシュしているコンテンツデータの情報を取得し、取得したいコンテンツデータをキャッシュしているホッピングノード401に接続する。これにより、エッジノード402は、ホッピングノード401に接続したときに、取得したいコンテンツデータを取得することができる。
また、キャッシュされたコンテンツデータが、例えば、ペーパーレス会議の資料等である場合、会議の終了時刻や、ユーザの操作等により、キャッシュされたコンテンツデータを削除することにより、データの漏洩を防止することができる。
好ましくは、キャッシュ処理部617は、マルチホップ通信で通信するデータがTCP(Transmission Control Protocol)データの場合に、ミリ波無線通信部(AP)602、又はミリ波無線通信部(STA)603が受信したデータをキャッシュする。
また、キャッシュ処理部617がキャッシュ処理を行うか否かは、管理者やユーザ等によって設定可能であることが望ましい。
ステップS1103において、ホッピングノード401aのデータ転送部613は、ミリ波無線通信で受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信でホッピングノード401bに転送する。
図9の例では、ホッピングノード401aのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602で受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401bに転送する。
このように、各ホッピングノード401は、一方のミリ波無線通信部で受信したコンテンツデータを、他方のミリ波無線通信部を用いて、他のホッピングノード401に転送することにより、転送に要する遅延時間を短縮することができる。
ステップS1104において、ホッピングノード401bのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1105、S1106において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401c、及びエッジノード402b〜402dに転送する。
なお、データ転送部613は、1つ以上のホッピングノード401と、1つ以上のエッジノード402にコンテンツデータを転送するとき、1つ以上のホッピングノード401に優先してコンテンツデータを転送する。これにより、例えば、図11において、ホッピングノード401bによるエッジノード402へのコンテンツデータの転送処理と、ホッピングノード401cにおけるコンテンツデータの処理とを、並行して実行することができるようになる。
例えば、ステップS1105において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401cに転送する。
ステップ1106において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、コンテンツデータを、ミリ波無線通信部(AP)602を用いて、エッジノード402b、402c、402dに、順次に送信する。
また、別の一例として、ステップS1105のデータ転送処理と、ステップS1106のデータ転送処理は、2つのミリ波無線通信部を用いて、並行して実行されるものであっても良い。
ステップS1107において、ホッピングノード401cのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1108において、ホッピングノード401cのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401dに転送する。
ステップS1109において、ホッピングノード401dのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1110において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401eに転送する。
ステップS1111において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、コンテンツデータを、ミリ波無線通信部(AP)602を用いて、エッジノード402e、402fに、順次に送信する。
ステップS1112において、ホッピングノード401eのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1113において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、コンテンツデータを、ミリ波無線通信部(AP)602を用いて、エッジノード402gに送信する。
上記の処理により、送信元のエッジノード402aから送信されたコンテンツデータが、通信システム400に含まれるホッピングノード401a〜401e、及びエッジノード402b〜402gの各々に送信される。
(データ送信処理2)
図12は、第1の実施形態に係るデータ送信処理の例を示すシーケンス図(2)である。この処理は、図11に示すデータ送信処理のステップS1113において、ホッピングノード401eが、エッジノード402gへのコンテンツデータの転送に失敗したときの処理の例を示している。
なお、図12に示す処理のうち、ステップS1101〜S1112の処理は、図11に示す処理と同様なので、ここでは、図11に示す処理との相違点を中心に説明を行う。
ステップS1113において、ホッピングノード401eは、例えば、エッジノード402gとのミリ波無線通信が一時的に切断したこと等により、エッジノード402gへのコンテンツデータの送信に失敗したものとする。
この場合、例えば、ステップS1201において、エッジノード402gが、ホッピングノード401eにミリ波無線通信で再接続すると、ステップS1202、S1203の処理が実行される。
ステップS1202において、ホッピングノード401eのデータ転送部613は、エッジノード402gとの間で、キャッシュ処理部617がキャッシュしているコンテンツデータのうち、未送信のコンテンツデータを確認する。
ステップS1203において、ホッピングノード401eのデータ転送部613は、キャッシュ処理部617がキャッシュしているコンテンツデータのうち、未送信のコンテンツデータを、エッジノード402gに送信する。
なお、上記の処理は一例であり、ホッピングノード401は、自装置にミリ波無線通信で接続したエッジノード402からの要求に応じて、キャッシュ処理部617がキャッシュしているコンテンツデータをエッジノード402に提供するものであっても良い。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、ホッピングノード401が、エッジノード402に転送するコンテンツデータが、分割して利用可能な複数の画像データを含む所定の形式のファイルである場合の処理の例について説明する。
<機能構成>
図13は、第2の実施形態に係るホッピングノード401の機能構成の例を示す図である。図13に示すように、第2の実施形態に係るホッピングノード401は、図6に示す第1の実施形態に係るホッピングノード401の機能構成に加えて、データ変換部1301を有している。なお、第2の実施形態に係るエッジノード402、及び通信管理装置403の機能構成は、第1の実施形態と同様である。
データ変換部1301は、例えば、図6(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現され、データ転送部613がエッジノード402に転送するコンテンツデータが所定の形式のファイルである場合、コンテンツデータの変換を行う。
例えば、データ変換部1301は、コンテンツデータが、ユーザにとって分割して閲覧可能な所定の形式のファイル(例えば、PDF、パワーポイント等のファイル)である場合、そのファイルをページ毎の画像データに変換する。
また、データ転送部613は、コンテンツデータを他のホッピングノード401に転送した後、データ変換部1301が変換した画像データを、順次に各エッジノード402に転送する。
これにより、エッジノード402を利用するユーザは、全てのコンテンツデータの受信を待たずに各ページの画像データを順次に受け取れるため、より早く表示、閲覧を開始することができるようになる。なお、その他の機能構成は、第1の実施形態と同様で良い。
<処理の流れ>
続いて、第2の実施形態に係る通信制御方法の処理の流れについて説明する。
(データ送信処理)
図14は、第2の実施形態に係るデータ送信処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、図9に示すネットワーク構成において、送信元のエッジノード402aから、他の通信装置に、前述した所定の形式のファイルを送信する場合における通信システム400の処理一例を示している。
なお、図14に示す処理の開始時点において、通信管理装置403は、無線LAN通信を用いて、各ホッピングノード401にコンテンツデータの転送先を通知済であり、送信元のエッジノード402aには、コンテンツデータの送信先を通知済であるものとする。
ステップS1401において、送信元のエッジノード402aは、通信管理装置403から通知された送信先のホッピングノード401aに、コンテンツデータを送信する。
ステップS1402において、ホッピングノード401aのミリ波無線通信部(AP)602は、送信元のエッジノード402からコンテンツデータを受信し、キャッシュ処理部617は、受信したコンテンツデータを記憶部604にキャッシュ(一時保存)する。
ステップS1403において、ホッピングノード401aのデータ転送部613は、ミリ波無線通信で受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信でホッピングノード401bに転送する。
ステップS1404において、ホッピングノード401bのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1405において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401cに転送する。
ここで、コンテンツデータが、分割して利用可能な複数の画像データを含む所定の形式のファイルである場合、ホッピングノード401bは、ステップS1406、S1407の処理を実行する。一方、コンテンツデータが所定の形式のファイルでない場合、ホッピングノード401bは、例えば、図11のステップS1106の処理を実行する。
ステップS1406において、ホッピングノード401bのデータ変換部1301は、分割して利用可能な複数の画像データを含む所定の形式のファイルであるコンテンツデータを、複数の画像データに順次に変換する。
ステップS1407において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、データ変換部1301によって変換された画像データを、順次にエッジノード402b、402c、402dに送信する。
好ましくは、データ転送部613は、データ変換部1301によって1つの画像データが生成される毎に、エッジノード402b、402c、402dに順次に画像データを転送する。
ステップS1408において、ホッピングノード401cのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1409において、ホッピングノード401cのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401dに転送する。
ステップS1410において、ホッピングノード401dのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1411において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、ミリ波無線通信部(STA)603を用いて、ホッピングノード401eに転送する。
ステップS1412において、ホッピングノード401dのデータ変換部1301は、分割して利用可能な複数の画像データを含む所定の形式のファイルであるコンテンツデータを、複数の画像データに順次に変換する。
ステップS1413において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、データ変換部1301によって変換された画像データを、順次にエッジノード402e、402fに送信する。
ステップS1414において、ホッピングノード401eのキャッシュ処理部617は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータを、記憶部604にキャッシュする。
ステップS1415において、ホッピングノード401gのデータ変換部1301は、分割して利用可能な複数の画像データを含む所定の形式のファイルであるコンテンツデータを、複数の画像データに順次に変換する。
ステップS1416において、ホッピングノード401gのデータ転送部613は、データ変換部1301によって変換された画像データを、順次にエッジノード402gに送信する。
上記の処理により、エッジノード402b〜402gを利用するユーザは、全てのコンテンツデータの受信を待たずに各ページの画像データを順次に受け取れるため、より早く表示、閲覧を開始することができるようになる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、送信元のエッジノード402aから、他の通信装置(ホッピングノード401a〜401e、エッジノード402b〜402g)に、ストリームデータ(例えば、画面ミラーリングデータ等)を配信する場合の処理の例について説明する。
<機能構成>
図15は、第3の実施形態に係るホッピングノードの機能構成の例を示す図である。図15に示すように、第3の実施形態に係るホッピングノード401は、図6に示す第1の実施形態に係るホッピングノード401の機能構成に加えて、アドレス変換部1501を有している。なお、第3の実施形態に係るエッジノード402、及び通信管理装置403の機能構成は、第1の実施形態と同様である。
アドレス変換部1501は、例えば、図6(a)のCPU511で実行されるプログラムによって実現される。アドレス変換部1501は、コンテンツデータの宛先IPアドレスがマルチキャストアドレス、又はブロードバンドアドレスである場合、コンテンツデータの宛先MACアドレスを、転送先の通信装置のMACアドレスに変換する。
一般的に、ストリームデータの送信には、マルチキャストアドレス(MACアドレス、IPアドレス)や、ブロードキャストアドレスが用いられるが、ミリ波無線の電波は強い指向性を有するため、ブロードキャスト及びマルチキャストが使用できない。
そこで、アドレス変換部1501は、コンテンツデータの宛先IPアドレスがマルチキャストアドレス、又はブロードバンドアドレスである場合、宛先MACアドレスを、転送先のホッピングノード401、又はエッジノード402のMACアドレスに変換する。これにより、ホッピングノード401は、転送先のホッピングノード401、エッジノード402の各々に、コンテンツデータを送信することができるようになる。
ただし、このとき、アドレス変換部1501は、宛先IPアドレスは変換せず、IPマルチキャストアドレス(又はブロードバンドアドレス)を維持する。これにより、例えば、映像や音声等の異なる種類のストリームデータを、IPマルチキャストアドレスを使い分けることにより、一斉に配信することができるようになる。また、これにより、転送先の通信装置に、コンテンツデータがマルチキャスト、又はブロードバンドで送信されていることを知らせることができる。
<処理の流れ>
(ホッピングノードの転送処理)
図16は、第3の実施形態に係るホッピングノードの転送処理の例を示すフローチャートである。
ステップS1601において、ホッピングノード401は、ミリ波無線通信でコンテンツデータを受信すると、ステップS1602以降の処理を実行する。
ステップS1602において、ホッピングノード401のアドレス変換部1501は、コンテンツデータの宛先IPアドレスを確認する。
ステップS1603において、コンテンツデータの宛先IPアドレスが、マルチキャストアドレス、又はブロードキャストアドレスである場合、アドレス変換部1501は、処理をステップS1604に移行させる。一方、コンテンツデータの宛先IPアドレスが、マルチキャストアドレス、又はブロードキャストアドレスでない場合、アドレス変換部1501は、処理をステップS1607に移行させる。
ステップS1604に移行すると、アドレス変換部1501は、転送先の通信装置(ホッピングノード401、又はエッジノード402)のMACアドレスを取得する。例えば、ホッピングノード401は、ミリ波無線通信部(AP)602が形成するサブネットワークに、他の通信装置が接続したとき等に、他の通信装置のMACアドレスを取得して記憶部604に記憶しておく。これにより、アドレス変換部1501は、転送先の通信装置のMACアドレスを、記憶部604から取得することができる。
ステップS1605において、アドレス変換部1501は、転送先の各通信装置に送信するコンテンツデータの宛先MACアドレスを、各通信装置のMACアドレスに変換する。
ステップS1606において、ホッピングノード401のデータ転送部613は、アドレス変換部1501がMACアドレスを変換したコンテンツデータを、転送先の各通信装置(ホッピングノード401、エッジノード402)に送信する。
(データ送信処理)
図17は、第3の実施形態に係るデータ送信処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、図9に示すネットワーク構成において、送信元のエッジノード402aから他の通信装置に、映像データや音声データ等のストリームデータをマルチキャスト送信、又はブロードキャスト送信する場合における通信システム400の処理の例を示している。
なお、図17に示す処理の開始時点において、通信管理装置403は、無線LAN通信を用いて、各ホッピングノード401にコンテンツデータの転送先を通知済であり、送信元のエッジノード402aには、コンテンツデータの送信先を通知済であるものとする。
ステップS1701において、送信元のエッジノード402aは、通信管理装置403から通知された送信先のホッピングノード401aに、コンテンツデータを送信する。ここでは、一例として、送信元のエッジノード402aが、映像データや音声データ等のストリームデータを、他の通信装置(ホッピングノード401a〜401e、エッジノード402b〜402g)にマルチキャスト送信するものとして、以下の説明を行う。
ステップS1702において、ホッピングノード401aのアドレス変換部1501は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータに対して、図16のステップS1602〜S1605に示すようなアドレス変換処理を実行する。これにより、コンテンツデータの宛先MACアドレスが、転送先のホッピングノード401bのMACアドレスに変更される。
なお、映像データや音声データ等のストリームデータを転送する際には、ホッピングノード401aは、キャッシュ処理を行わなくても良い。
ステップS1703において、ホッピングノード401aのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、ホッピングノード401bに送信する。
ステップS1702において、ホッピングノード401aのアドレス変換部1501は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータに対して、前述したアドレス変換処理を実行する。
これにより、ホッピングノード401cに送信されるコンテンツデータの宛先MACアドレスが、ホッピングノード401cのMACアドレスに変更される。また、エッジノード402b、402c、402dに送信されるコンテンツデータの宛先MACアドレスが、それぞれ、エッジノード402b、402c、402dのMACアドレスに変換される。
ステップS1705において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、ホッピングノード401cに送信する。
ステップS1706において、ホッピングノード401bのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、順次にエッジノード402b、402c、402dに送信する。
ステップS1707において、ホッピングノード401cのアドレス変換部1501は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータに対して、前述したアドレス変換処理を実行する。
ステップS1708において、ホッピングノード401cのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、ホッピングノード401dに送信する。
ステップS1709において、ホッピングノード401dのアドレス変換部1501は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータに対して、前述したアドレス変換処理を実行する。
ステップS1710において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、ホッピングノード401eに送信する。
ステップS1711において、ホッピングノード401dのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、順次にエッジノード402e、402fに送信する。
ステップS1712において、ホッピングノード401eのアドレス変換部1501は、ミリ波無線通信部(AP)602が受信したコンテンツデータに対して、前述したアドレス変換処理を実行する。
ステップS1713において、ホッピングノード401eのデータ転送部613は、アドレス変換部1501によって、宛先MACアドレスが変換されたコンテンツデータを、エッジノード402gに送信する。
上記の処理により、送信元のエッジノード402aから、他の通信装置(ホッピングノード401a〜401e、エッジノード402b〜402g)に、映像データや音声データ等のストリームデータを配信することができる。
[補足]
なお、第1〜3の実施形態は互いに組合せて実施することができる。
例えば、ホッピングノード401は、ミリ波無線通信で受信したコンテンツデータが、TCPデータである場合、受信したコンテンツデータを記憶部604にキャッシュして管理する。さらに、ホッピングノード401は、受信したコンテンツデータが分割して利用可能な複数の画像データを含む所定の形式のファイルである場合、エッジノード402に送信するコンテンツデータを複数の画像データに変換して、エッジノード402に送信する。
一方、ホッピングノード401は、受信したコンテンツデータが、UDPデータであり、宛先IPアドレスがマルチキャストアドレス、又はブロードキャストアドレスである場合、コンテンツデータの宛先MACアドレスをユニキャストアドレスに変換する。
上記の処理により、第1〜3の実施形態を組合せて実行することができる。
以上、本発明の実施形態によれば、指向性を有する電波を用いてマルチホップ通信を行う通信システム400において、コンテンツデータを、複数の通信装置の間でリアルタイムに共有することができるようになる。
なお、コンテンツデータは、通信システム400が、マルチホップ通信で伝送するデータの一例である。通信システム400が、マルチホップ通信で伝送するデータは、例えば、制御データ、管理データ、試験用データ等のコンテンツデータ以外のデータであっても良い。