JP2019160461A - 熱輻射光源 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウムからなる基材とを有する光学構造体を備え、特定の波長域の熱輻射光を安定して発生することが可能な熱輻射光源を提供する。【解決手段】シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材3と酸化マグネシウムからなる基材4とを有する光学構造体2を備えた熱輻射光源であって、エミッタ部材3と基材4との間に、エミッタ部材と基材とを分かつように酸化ハフニウム層が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、特定の波長域において大きい強度を有する光を発する熱輻射光源に関し、特に、シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウム結晶からなる基材とを有する光学構造体を備えた熱輻射光源に関する。
一般に、物体を加熱すると、物体を構成する物質及び物体の温度に応じたスペクトルを有する光が放出される熱輻射が発生する。上記熱輻射光源は、この熱輻射を利用して、広い波長スペクトルを有する光源を得るものであるが、近年、例えば、太陽光に含まれる広い波長域の中の特定の波長域(近赤外領域)の光のみが光電変換に寄与する太陽電池への応用を図るべく、広い波長スペクトルを有する熱輻射光ではなく、特定の波長域において大きい強度を有する熱輻射光が放出される熱輻射光源の開発が行われている。
特定の波長域の熱輻射光を放出する熱輻射光源としては、例えば、特許文献1に記載された熱輻射光源が提案されている。
特許文献1に記載された熱輻射光源は、真性半導体からなる部材に、この真性半導体のバンドギャップに対応する波長よりも短い波長の光に共振するように屈折率分布が形成されている光学構造を有する熱−光変換器を備えており、具体的に、真性半導体からなる部材にはシリコンを材料とする円柱状のロッドを採用し、真性半導体よりも屈折率が低い部分には、二酸化珪素を材料とする基体を採用している。
この従来の熱輻射光源によれば、当該熱−光変換器を加熱することにより、シリコンのバンド間吸収によるエネルギーの吸収が生じて、そのエネルギーに対応する熱輻射光の発光が生じる。このようにして生じた熱輻射光のスペクトルは、光学構造によって共振波長(950nm)付近をピークトップとする波長スペクトルとなる。このように、従来の熱輻射光源によれば、真性半導体としてシリコンを用いた場合、熱輻射光は、主にシリコン由来の近赤外領域において大きい強度を有するものとなる。
国際公開第2014/136671号
ところが、上記従来の熱輻射光源において熱−光変換器を加熱した場合、真性半導体たるシリコンだけでなく、基体を構成する二酸化珪素も併せて加熱されるため、シリコン由来の近赤外領域の波長の熱輻射光に加え、二酸化珪素由来の中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出も起こる。そのため、例えば、この熱輻射光源を太陽電池による発電に利用した場合、光電効果に寄与する近赤外領域の波長以外の熱輻射光のエネルギーは損失となる。
そこで、本願発明者は、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出が少ない基体(基材)の材料について鋭意研究を重ねた結果、酸化マグネシウム(MgO)結晶が基材の材料に適していることを見出した。
しかしながら、本願発明者が更に研究を重ねた結果、酸化マグネシウム結晶を基材として用い、この基材上にシリコンフォトニック結晶からなるロッドなどを直接形成した光学構造体を備える熱輻射光源には、次のような問題があることが明らかになった。
即ち、上記熱輻射光源には、光学構造体を加熱した際に、シリコンフォトニック結晶からなるロッドが酸化マグネシウム結晶からなる基材と溶け合ったような状態となることで、光学構造体がその構造を維持することができず崩壊し、その結果、特定の波長域の熱輻射光の放出が正常に起こらなくなるという問題がある。
光学構造体を加熱した際に、シリコンフォトニック結晶中の珪素と基材の酸化マグネシウムとが高温下において反応することで、複合酸化物(例えば、フォルステライト(MgSiO))が形成される、或いはシリコンフォトニック結晶の表面が不均一に酸化され、酸化によって生成した二酸化珪素(SiO)と酸化マグネシウムとが反応することで、酸化マグネシウムからなる基材とシリコンフォトニック結晶との間に複合酸化物が形成される。そして、この複合酸化物の密度が珪素や二酸化珪素、酸化マグネシウムの密度よりも高いため、当該複合酸化物が形成されて珪素又は二酸化珪素と酸化マグネシウムとが相互に接近する方向に引き付けられることにより、上記のような問題が生じると推察される。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウムからなる基材とを有する光学構造体を備え、特定の波長域の熱輻射光の放出が安定して起こる熱輻射光源の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る熱輻射光源の特徴構成は、シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウム結晶からなる基材とを有する光学構造体を備えた熱輻射光源であって、
前記エミッタ部材と前記基材との間に、前記エミッタ部材と前記基材とを分かつように酸化ハフニウム層が形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、基材として酸化マグネシウムを用いることで、熱輻射光源を加熱した際に、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出を抑えることができる。
更に、上記特徴構成によれば、シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウムからなる基材との間に、二酸化珪素、珪素及び酸化マグネシウムと化合物を形成しない酸化ハフニウムからなる層が形成されており、この酸化ハフニウムからなる層が防壁となることで、エミッタ部材と基材との接触や、エミッタ部材の表面に形成された二酸化珪素と基材との接触が防止される。したがって、エミッタ部材と基材との間に複合酸化物が形成され難くなり、当該複合酸化物の形成に起因して生じる光学構造体の崩壊が防止されるため、近赤外領域の波長の熱輻射光の放出が安定して起こる。
また、本発明の熱輻射光源の更なる特徴構成は、エミッタ部材が、少なくとも酸化ハフニウム層が介在した状態で基材上に立設されたロッド状の部材である点にある。
上記特徴構成によれば、エミッタ部材表面に形成される二酸化珪素と基材との接触を防止して光学構造体の崩壊を抑えつつ、上記と同様に、近赤外領域の波長の熱輻射光の放出が安定して起こる。
更に、本発明に係る熱輻射光源の更なる特徴構成は、酸化ハフニウム層の厚みが好ましくは2〜200nm、より好ましくは11.2〜50nmである点にある。
ここで、本発明の熱輻射光源においては、基材として酸化マグネシウムを用いることにより、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光が放出されるのを抑えることができるが、酸化ハフニウム層の厚みが厚くなることに伴って、全熱輻射光に対する近赤外領域の波長の熱輻射光の割合(発光効率)が徐々に低下する。したがって、発光効率の低下をできる限り抑えるという観点から、酸化ハフニウム層の厚みの上限を規定することができる。
上記酸化ハフニウム層の厚みを200nm以下にすることで、酸化ハフニウム層が存在しない場合の発光効率と比較して、3%程度の低下に抑えることができ、50nm以下にすることで、1%程度の低下に抑えることができる。
一方、上述したように、シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材の表面には二酸化珪素が形成する可能性があり、二酸化珪素と酸化ハフニウムとは反応しないが、両者を高温下で接触させると、二酸化珪素中の珪素が酸化ハフニウム中に拡散し、酸化マグネシウムとの境界まで移動する場合がある。この場合、酸化ハフニウム層と酸化マグネシウム基材との境界に複合酸化物からなる層が形成され、この複合酸化物層の厚みが酸化ハフニウム層の厚みに対して所定の値を超えると、当該酸化ハフニウム層にクラック等が発生し、光学構造体の構造が崩壊して熱輻射光源の劣化が促進される。
したがって、酸化ハフニウム層の厚みの下限は、例えば、複合酸化物層の厚みが所定の厚みとなるまでの時間及び熱輻射光源の実用上の運転時間を考慮して規定することができ、酸化ハフニウム層の厚みが2nm以上であれば、複合酸化物層の厚みが酸化ハフニウム層の厚みと同じなるまでの時間が熱輻射光源の実用上の運転時間を超えるため好ましく、厚みが11.2nm以上であれば、複合酸化物の厚みが酸化ハフニウム層の厚みの20%となるまでの時間が実用上の運転時間を大きく超えるためより好ましい。
また、本発明の熱輻射光源の更なる特徴構成は、基材の厚みが0.1〜100μmである点にある。
ところで、酸化マグネシウムからなる基材の厚みが厚くなりすぎると、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光が増加するため、エネルギーの損失が大きくなる。
しかしながら、上記特徴構成によれば、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出を抑えることができるため、目的とする波長以外の熱輻射光が生じることによるエネルギーの損失も抑えられる。
また、本発明の熱輻射光源の更なる特徴構成は、前記光学構造体が800〜1500Kに加熱される点にある。
第1実施形態に係る熱輻射光源の構成図である。 異なる基板材料を用いた種々の熱輻射光源を加熱した際に発生する熱輻射光の波長と輻射率との関係を示すグラフである。 異なる基板材料を用いた種々の熱輻射光源を加熱した際に発生する熱輻射光の波長と輻射強度との関係を示すグラフである。 比較例の熱輻射光源を加熱した際のSEM画像である。 実施例1の熱輻射光源を加熱した際のSEM画像である。 実施例1の熱輻射光源を加熱した際に発生する熱輻射光の波長と輻射率との関係を示すグラフである。 寸法の異なる2つの熱輻射光源を加熱した際に発生する熱輻射光の波長と輻射強度との関係を示すグラフである。 別実施形態の一次元フォトニック結晶構造をもつ熱輻射光源の構成図である。 別実施形態の二次元フォトニック結晶構造をもつ熱輻射光源の構成図である。 別実施形態の二次元フォトニック結晶構造をもつ熱輻射光源の構成図である。 別実施形態の三次元フォトニック結晶構造をもつ熱輻射光源の構成図である。
以下、図面を参照して、一実施形態に係る熱輻射光源1について説明する。尚、図1は、熱輻射光源1の構造図である。
図1に示すように、一実施形態に係る熱輻射光源1は、シリコンフォトニック結晶からなる円柱状のロッド(「エミッタ部材」に相当)3と酸化マグネシウム結晶からなる基板(「基材」に相当)4とを有する光学構造体2を備えており、ロッド3と基板4との間に酸化ハフニウム層5が形成されている。
基板4は、透明な平板状部材であって、その一方面に酸化ハフニウム層5が形成され、酸化ハフニウム層5の表面にロッド3が接合されている。
一般的な熱輻射光源においては、基板4の材料として、酸化マグネシウムのほか二酸化珪素や酸化アルミニウムを用いる場合がある。しかしながら、二酸化珪素や酸化アルミニウムを用いた場合、酸化マグネシウムを用いた場合と比較して中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出が増加する。したがって、近赤外領域(例えば、約1.8μm付近)の波長の熱輻射光を効率よく放出するという観点からすると、二酸化珪素や酸化アルミニウムを基板4として用いた場合、目的とする波長以外の熱輻射光の放出が増えることによるエネルギーの損失が問題となる。そこで、本実施形態に係る熱輻射光源1では、基板4の材料として酸化マグネシウムを用いるようにしている。
また、基板4は、その厚みを可能な限り薄くすることが好ましく、また、厚みが100μmを超えると、当該基板4由来の中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出が増加する、即ち、目的とする波長以外の熱輻射光の放出が増えるため、エネルギーの損失が問題となる。したがって、基板4は、その厚みが0.1〜100μmであることが好ましく、厚みが0.1〜50μmであるとなお良い。
酸化ハフニウム層5は、イオンアシスト蒸着やイオンビームスパッタリングなどの手法を用いて基板4上に成膜することができる。尚、酸化ハフニウム層5は、以下の表1に示すように、その厚みが厚くなることに伴って、全熱輻射光に対する近赤外領域の波長の熱輻射光の割合(発光効率)が徐々に低下するため、発光効率の低下をできる限り抑えるという観点から、酸化ハフニウム層5の厚みは、200nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
一方、ロッド3の表面には、使用環境下に存在する残留酸素とロッド3中の珪素とが反応することによって二酸化珪素が形成する可能性がある。ここで、二酸化珪素と酸化ハフニウムとは反応しないが、両者を高温下で接触させると、二酸化珪素中の珪素が酸化ハフニウム層5中に拡散し、基板4との境界まで移動する場合がある。この場合、酸化ハフニウム層5と基板4との境界に複合酸化物からなる層が形成され、この複合酸化物層の厚みが酸化ハフニウム層5の厚みに対して所定の値を超えると、当該酸化ハフニウム層5にクラック等が発生し、光学構造体2の構造が崩壊して熱輻射光源1の劣化が促進される。
よって、酸化ハフニウム層5の厚みの下限は、例えば、複合酸化物層の厚みが所定の厚みとなるまでの時間及び熱輻射光源1の実用上の運転時間(およそ1500時間)を考慮して規定することができる。以下の表2は、酸化ハフニウム層5の厚みと、MgSiO層(複合酸化物層)の厚みが酸化ハフニウム層5の厚みの20%となるまでの時間と、複合酸化物層の厚みが酸化ハフニウム層5の厚みと同じになるまでの時間をまとめたものである。尚、複合酸化物層が所定の厚みとなるまでの時間は、1000℃におけるSiO−HfO間のSiの拡散定数を2.5×10−18cm/sとして、フィックの第一法則を利用して算出した。表2にから分かるように、酸化ハフニウム層5の厚みが2nm以上であれば、複合酸化物層の厚みが酸化ハフニウム層5の厚みと同じなるまでの時間が熱輻射光源1の実用上の運転時間を超えるため好ましく、厚みが11.2nm以上であれば、複合酸化物の厚みが酸化ハフニウム層5の厚みの20%となるまでの時間が実用上の運転時間を大きく超えるためより好ましい。
したがって、酸化ハフニウム層5は、その厚みが2〜200nmであることが好ましく、4〜200nmであることがより好ましく、5〜200nmであることが更に好ましく、11.2〜50nmであることが更に好ましい。
ロッド3は、酸化ハフニウム層5の表面から突出するように立設されたロッド状(円柱状)の部材であり、例えば、LPCVD法を用いて基板4上にシリコン膜を成膜した後、電子線描画法によってシリコン膜上に所定パターンのマスクを形成し、マスク開口部を通してシリコン膜をドライエッチングすることによって作製できる。尚、ロッド3の材料となるシリコンフォトニック結晶としては、シリコンや炭化珪素を例示することができる。
この熱輻射光源1においては、例えば、微小金属構造体を基板4に配置し、当該微小金属構造体に電流を流してこれを熱エネルギーに変換し、微小金属構造体で変換された熱エネルギーが、基板4を介して熱伝導によりロッド3に供給される。そして、ロッド3は、供給された熱エネルギーを近赤外領域の波長に制御された熱輻射光に変換する。尚、基板4及びロッド3は、これらの耐久温度等を考慮すると、微小金属構造体で変換された熱エネルギーによって800〜1500Kに加熱されることが好ましい。
本例の熱輻射光源1では、基板4に酸化マグネシウムを用いていることで、二酸化珪素や酸化アルミニウムを基板4に用いた場合と比較して、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出が抑えられ、近赤外領域の波長の熱輻射光が選択的に放出されるような状態になる。したがって、近赤外領域の波長以外の熱輻射光が放出されることによるエネルギーの損失を抑えることができる。
また、熱輻射光源1においては、ロッド3と基板4との間に酸化ハフニウム層5が形成されている。そのため、光学構造体2が800〜1500Kに加熱された際に、酸化ハフニウム層5が防壁となることで、ロッド3中の珪素と基板4を構成する酸化マグネシウムとの接触、或いは、ロッド3表面に形成される二酸化珪素と基板4を構成する酸化マグネシウムとの接触が防止される。したがって、本実施形態に係る熱輻射光源1によれば、ロッド3と基板4との間における複合酸化物の形成が抑制され、この複合酸化物が形成することで生じる光学構造体2の崩壊が抑えられるため、近赤外領域の波長の熱輻射光の放出が安定して起こる。
以下、本発明に係る熱輻射光源の性能について、種々の試験結果を基に説明する。
本願発明者は、異なる基板材料を用いた複数の熱輻射光源を評価することで、近赤外領域の波長の熱輻射光を効率よく放出する熱輻射光源の基板として最適な材料を選定した。
(1)高温(800〜1500K)における安定性が高いこと、(2)シリコンと反応し難いこと、(3)赤外透明性が高いことという観点から熱輻射光源の基板材料の候補として二酸化珪素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムを抽出した上で、これらを基板材料に用いた熱輻射光源について評価した。
具体的に、厚み50μmの二酸化珪素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムからなる各基板上に、直径360nm、高さ800nmの円柱状のシリコンロッドを格子定数が700nmとなるように正方格子状に配置した光学構造体を備えた熱輻射光源を作製し、これを1400Kに加熱して、その際に発生した熱輻射光を観察した。図2は、観察された熱輻射光の波長と輻射率との関係を示すグラフであるが、輻射率は、キルヒホッフの法則により光吸収率と等しいため、光吸収率で算出している。また、図3は、観察された熱輻射光の波長と輻射強度との関係を示すグラフであり、輻射強度は、基板に対して鉛直方向の熱輻射光を半球積分した値である。尚、図2及び図3において、二酸化珪素は一点鎖線、酸化アルミニウムは点線、酸化マグネシウムは実線で表した。
図2に示すように、シリコンロッドに由来する近赤外領域(特に1.8μmよりも短波長側)の波長の熱輻射光に関しては、基板の違いによる輻射率の大きな変化は見られない。一方、中〜遠赤外領域においては、基板が二酸化珪素の場合には4μmよりも長波長側、酸化アルミニウムの場合には5μmよりも長波長側でそれぞれ輻射率が高くなっているのに対し、基板が酸化マグネシウムである場合には9μm付近から輻射率が若干強くなっている。
また、図3に示すように、1400K付近の黒体輻射のピークは2μm程度であり、二酸化珪素や酸化アルミニウムを基板として用いた場合には、輻射強度が大きくなる4〜5μm付近において輻射強度が黒体輻射のピーク強度の35%程度となるのに対し、酸化マグネシウムを基板として用いた場合には、輻射強度が大きくなる8μm付近においても輻射強度が黒体輻射のピーク強度の5%程度に抑えられている。
これらの結果から明らかなように、熱輻射光源の基板の材料として酸化マグネシウムを用いることにより、二酸化珪素や酸化アルミニウムを用いた場合と比較して、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出が抑えられ、全熱輻射光に占める近赤外領域の波長の熱輻射光の割合を高くすることができる。尚、酸化マグネシウムの厚みが10mmの時に、50μmの二酸化珪素や酸化アルミニウムの輻射強度と同等程度となる。
また、本願発明者は、酸化ハフニウム層の有無により熱輻射光源の性能がどのように変化するかを確認するために、酸化ハフニウム層が形成された光学構造体を備える熱輻射光源(実施例1)と酸化ハフニウム層が形成されていない光学構造体を備える熱輻射光源(比較例)を、それぞれ1atmのアルゴン雰囲気下において1400Kに加熱し、発生した熱輻射光の輻射率の変化及び光学構造体の構造の変化を観察した。
尚、実施例1の光学構造体は、酸化マグネシウム基板上に酸化ハフニウム層が形成され、この酸化ハフニウム層上にシリコンロッドが形成されたものであり、イオンビームスパッタリング法により厚み30nmの酸化ハフニウム層を酸化マグネシウム基板上に形成し、更に、酸化ハフニウム層の表面にLPCVD法を用いてシリコン膜を形成し、シリコン膜を電子線描画法及びドライエッチング法を用いて所定パターンにエッチングして作製した。また、実施例1の光学構造体において、酸化マグネシウム基板は、その厚みが50μmであり、シリコンロッドは、直径300nm、高さ500nmの円柱状であり、格子定数が600nmとなるように正方格子状に配置されている。
一方、比較例の光学構造体は、酸化マグネシウム基板上にシリコンロッドが形成されたものであり、酸化マグネシウム基板上にLPCVD法を用いてシリコン膜を形成し、このシリコン膜を上記と同様に所定パターンにエッチングして作製した。また、比較例の光学構造体において、酸化マグネシウム基板は、その厚みが50μmであり、シリコンロッドは、直径200nm、高さ500nmの円柱状であり、格子定数が600nmとなるように正方格子状に配置されている。
比較例に係る熱輻射光源を加熱すると、1000K付近から輻射率が急激に変化したため、その際の光学構造体の状態をSEM画像により観察したところ、図4に示すように、基板とシリコンロッドとが溶け合ったような状態となって光学構造体の構造が崩壊していることが確認できた。
これに対して、実施例1に係る熱輻射光源を加熱した場合には、輻射率の急激な変化は確認されず、光学構造体の状態をSEM画像により観察したところ、図5に示すように、光学構造体は、その構造が崩壊することなく維持されていることが確認できた。
このことから明らかなように、基板とシリコンロッドとの間にこれらを分かつように酸化ハフニウム層を形成することによって光学構造体の崩壊を防止することができる。
また、図6は、熱輻射光の波長と輻射率との関係を示したグラフであり、同図中の実線は実施例1の熱輻射光源を1400Kに加熱した際の実際のスペクトルであり、点線は1400Kにおける消衰係数を用いて算出した理論上のスペクトルである。同図に示すように、実際のスペクトルと理論上のスペクトルとはほぼ一致する。
更に、図7には、寸法の異なる2つの熱輻射光源(実施例2及び3)を1400Kに加熱した際の熱輻射光の波長と輻射強度との関係を示したグラフである。尚、実施例2における光学構造体は、厚み50μmの酸化マグネシウム基板上に、厚み30nmの酸化ハフニウム層を形成し、この酸化ハフニウム層上に直径300nm、高さ500nmのシリコンロッドを格子定数が600nmとなるように正方格子状に配置したものである。また、実施例3における光学構造体は、厚み10μmの酸化マグネシウム基板上に、厚み30nmの酸化ハフニウム層を形成し、この酸化ハフニウム層上に直径360nm、高さ800nmのシリコンロッドを格子定数が700nmとなるように正方格子状に配置したものである。図7において、実施例2は実線で表し、実施例3は点線で表した。
図7から分かるように、実施例2と実施例3とでは、近赤外領域の波長の熱輻射光及び中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光のいずれについても輻射強度が変化している。近赤外領域の波長の熱輻射光の輻射強度の違いに関しては、シリコンロッドの寸法及び配置に起因していると考えられ、シリコンロッドの寸法を大きくしたり、密度が高くなるように配置したりすることで、輻射強度を高くできると考えられる。
一方、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の輻射強度の違いに関しては、酸化マグネシウム基板の厚みに起因していると考えられ、中〜遠赤外領域の波長の熱輻射光の放出を抑え、近赤外領域の波長の熱輻射光を効率よく放出できるようにするためには、酸化マグネシウム基板の厚みを、シリコンロッドを支持するのに必要な強度を確保した上で、できる限り薄くすることが重要であると分かる。
〔別実施形態〕
〔1〕
上記実施形態では、熱輻射光源1の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、基板4上に酸化ハフニウム層5を形成し、酸化ハフニウム層5上にロッド3を形成する態様を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、基板4と酸化ハフニウム層5との間に一又は二以上の層が介在していても良い。
〔2〕
また、上記実施形態では、エミッタ部材としてロッド3を採用した光学構造体2を例にとって説明したが、本発明における光学構造体はこれに限られるものではない。エミッタ部材と基材との間に両者を分かつように酸化ハフニウム層が形成され、当該酸化ハフニウム層が防壁となって、エミッタ部材又はエミッタ部材表面に形成される二酸化珪素と基材との接触が防止されるような光学構造体であれば、特に限定されるものではなく、エミッタ部材と基材とを一次元、二次元又は三次元的に任意に組み合わせたものが含まれる。
具体的に、構造例を図8,図9,図10及び図11に示す。一次元フォトニック結晶としては、図8のように、酸化マグネシウム基板4上に酸化ハフニウム層5を形成し、シリコン7と任意の誘電体6が任意の総数積層された構造が挙げられる。二次元フォトニック結晶としては、図1のように酸化マグネシウム基板4上に酸化ハフニウム層5を形成し、シリコンのロッド3が周期的に並んだ構造、図9のように酸化マグネシウム基板4上に酸化ハフニウム層5を形成し、シリコン7に空孔8が周期的に形成されたもの、図10のように酸化マグネシウム基板4上に酸化ハフニウム層5を形成し、シリコン7がラインアンドスペース状に並んだものなどが挙げられる。三次元フォトニック結晶としては、図11のように酸化マグネシウム基板4上に酸化ハフニウム層5を形成し、シリコン7が酸化ハフニウム層5を介して三次元状に並んだ構造が挙げられる。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウムからなる基材とを有する光学構造体を備え、特定の波長域の熱輻射光を安定して放出することが可能な熱輻射光源に利用できる。
1 熱輻射光源
2 光学構造体
3 ロッド
4 基板
5 酸化ハフニウム層
7 シリコン
6 誘電体
8 空孔

Claims (6)

  1. シリコンフォトニック結晶からなるエミッタ部材と酸化マグネシウム結晶からなる基材とを有する光学構造体を備えた熱輻射光源であって、
    前記エミッタ部材と前記基材との間に、前記エミッタ部材と前記基材とを分かつように酸化ハフニウム層が形成されている熱輻射光源。
  2. 前記エミッタ部材は、少なくとも前記酸化ハフニウム層が介在した状態で前記基材上に立設されたロッド状の部材である請求項1に記載の熱輻射光源。
  3. 前記酸化ハフニウム層は、その厚みが2〜200nmである請求項1又は2に記載の熱輻射光源。
  4. 前記酸化ハフニウム層は、その厚みが11.2〜50nmである請求項1〜3の何れか一項に記載の熱輻射光源。
  5. 前記基材は、その厚みが0.1〜100μmである請求項1〜4の何れか一項に記載の熱輻射光源。
  6. 前記光学構造体が800〜1500Kに加熱される請求項1〜5の何れか一項に記載の熱輻射光源。
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