JP2019157205A - 油槽船原油タンクの防食方法および船舶 - Google Patents

油槽船原油タンクの防食方法および船舶 Download PDF

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Abstract

【課題】タンクの素材を変更することなく、油槽船原油タンク底部の腐食を抑制する油槽船原油タンクの防食方法および当該防食方法を行う装備を備えた船舶を提供する。【解決手段】油槽船の原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を注入することを特徴とする油槽船原油タンクの防食方法および当該防食方法を行う装備を備えた船舶である。防食方法には、タンク底部に溜まった残留液体に抗菌剤を添加してタンク内に吹き付ける方法と、タンク内に不活性ガスを充填した後にタンク内に抗菌剤を含有する液体を噴霧する方法とがある。【選択図】なし

Description

本発明は、油槽船原油タンクの防食方法および当該防食方法を行う装備を備えた船舶に関する。
油槽船の原油タンク(カーゴオイルタンク)の定期修繕時において、底部にピット状の局部腐食(以下適宜、「ピット腐食」と記載する。)が多数発生していることが見出され、問題となっている。ピット腐食は、数mmの深さの孔食であり、大型油槽船の場合、タンク底板の広範囲にわたって、数百から数千個発生する。この事象に対しては定期的に点検と塗装補修が繰り返し行なわれてきたが、時間的かつコスト的にも大きな負担となっており、抜本的な対策を講じることが求められている。
ピット腐食が発生する原因については、従来から多くの研究がなされてきた。タンク底部には、原油積載運航時に原油中に含有されている水分、砂利、高粘度油等が析出・沈殿して、スラッジと呼ばれる高比重高粘度の残渣が滞留している。当該スラッジは、海水中の塩分や原油中の硫黄分を含有することがある。そのため、スラッジ中の水分が塩分や硫黄分によって、酸性化して、鋼材の腐食を加速させると考えられる。
そこで、タンク底部の腐食環境下に曝されても良好な耐食性を発揮し得る鋼材が開発されている。例えば特許文献1には、C、Si、Mn、Cu、Ni、N、Ti、Nb、Mo、W、P、SおよびAlを所定量かつ特定の関係で含有する原油槽用鋼が開示されている。
特開2016−222983号公報
特許文献1に開示された鋼材の改質によって、ピット腐食をある程度抑制することが可能である。しかしながら、鋼材を改質する方法は、タンク全体の素材の変更を必要とするものであり、コスト面や製造時の加工性の点で、課題を有するものであった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、タンクの素材を変更することなく、油槽船原油タンク底部の腐食を抑制する油槽船原油タンクの防食方法および当該防食方法を行う装備を備えた船舶を提供することである。
本発明者は、ピット腐食が発生する原因について、さらなる検討を進めた。その結果、従来から検討されてきたスラッジ中の塩分や硫黄分に起因する腐食という現象以外に、微生物による腐食という現象が関与していることを見出した。本発明は、このような知見を基になされたものである。すなわち、本発明は、以下のような構成を有するものである。
(1)本発明の油槽船原油タンクの防食方法は、油槽船の原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を注入することを特徴としている。
(2)前記防食方法の1つは、前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンクの底部に溜まった残留液体を前記原油タンク外へ取り出す工程と、前記原油タンク外へ取り出された前記残留液体に抗菌剤を添加する工程と、前記原油タンク内に前記抗菌剤を含有する残留液体を吹き付ける工程とを有している。
(3)前記防食方法の他の1つは、前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に不活性ガスを充填する工程と、前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を噴霧する工程とを有している。
(4)前記防食方法は、前記抗菌剤が、硫酸塩還元菌またはメタン生成菌に対して抗菌作用を有することが好ましい。
(5)前記防食方法は、前記抗菌剤が銀系無機抗菌剤を含有することが好ましい。
(6)本発明の船舶は、原油タンクを有する船舶であって、前記原油タンクの底部に設けられ、前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンクの底部に溜まった残留液体を前記原油タンクの外部へ取り出す取り出し部と、前記原油タンクの外部に設けられ、取り出された前記残留液体に抗菌剤を添加する添加部と、前記原油タンク内に前記抗菌剤が添加された残留液体を吹き付ける吹き付け部と、前記取り出し部と前記添加部と前記吹き付け部とを連結するように配設された配管と、前記残留液体を前記配管内で循環させるポンプとを備えることを特徴としている。
(7)本発明の船舶は、原油タンクを有する船舶であって、前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に不活性ガスを充填する充填部と、前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を噴霧する噴霧部とを備えることを特徴としている。
本発明の油槽船原油タンクの防食方法および船舶は、タンクの素材を変更することなく、油槽船原油タンク底部の腐食を抑制することができる。
ピット腐食の状況を示す写真1である。 ピット腐食の状況を示す写真2である。 第1実施形態の防食方法と船舶の構成を示す概念図である。 第2実施形態の防食方法と船舶の構成を示す概念図である。
本発明の実施形態について、以下詳細に説明する。但し、以下に記載する実施形態は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
油槽船原油タンク(以下適宜、「タンク」と記載する。)の底部には、原油中に含有されている水分、砂利、高粘度油等が析出・沈殿して、スラッジと呼ばれる高比重高粘度の残渣が存在している。油槽船は、通常、積込港でタンク内に原油を積み込み、積出港で原油を積み出すという工程を繰り返し行なう。その間、タンク底部に溜まったスラッジが船外に排出されることはない。
タンク内の定期修繕は、2〜3年に1回程度の頻度で行なわれる。定期修繕の際には、タンク内の原油をすべて取り出して、内部を洗浄した後に、タンク内に作業員が入って、清掃作業が行なわれる。そのときに、作業員によってタンクの底部に溜まったスラッジを外部へ取り出す作業(スラッジ揚げ)が行なわれる。
このスラッジ揚げ後のタンク底部を点検したところ、数mmの深さのピット腐食が多数存在することが確認された。
本発明者は、ピット腐食の発生状況を子細に観察した。図1と図2は、異なる場所におけるピット腐食の状況を示す写真である。図中Aで示した箇所がピット腐食の部分である。ピット腐食は、表面が溶けたような形状であり、タコつぼ状に孔が形成されていた。ピット腐食の発生箇所については、熱履歴の異なる溶接部等に偏向することもなく、規則性は特に無かった。
そこで、本発明者は、11か所のピット腐食の付近から液体試料およびスラッジの固体試料を採取して、以下の分析を行った。
ピット腐食付近の液体試料のpHは中性〜弱酸性であった。また、ピット腐食付近の固体試料をエネルギー分散型X線分析(EDX)で元素分析したところ、主としてFe、C、O、Sが検出された。FeとCは鋼材の炭素鋼に由来するものであり、OとSは、それぞれ腐食によって生成した酸化鉄、硫化鉄に由来するものと推定された。
鉄鋼が細菌によって腐食されるという現象は既に公知のものである。鉄鋼を腐食させる細菌としては、硫酸還元菌、メタン生成菌、鉄酸化菌、硫黄酸化菌等が知られている。ピット腐食が発生した状況は、タンク底部の大量のスラッジが堆積した内部であり、嫌気性環境と考えられる。そこで、これらの細菌の中で、嫌気性菌である硫酸還元菌とメタン生成菌を分析対象として分析を進めた。
11か所の液体試料および固体試料に対して、PCR法(Polymerase Chain Reaction法)による細菌の定性分析を実施した。検出対象の遺伝子として、硫酸還元菌(SRB)のdsr遺伝子、メタン生成菌(MPB)のmcrA遺伝子をそれぞれ用いた。その結果を表1に示した。
表1から分かるように、11か所の試料のうち、10か所の試料で硫酸還元菌(SRB)の遺伝子増幅が、8か所の試料でメタン生成菌(MPB)の遺伝子増幅がそれぞれ確認された。すなわち、ピット腐食付近には硫酸塩還元菌またはメタン生成菌が存在していること、そしてピット腐食にはこれらの細菌が関与している可能性があることが示された。なお、試料No.2-7は、参照試料として用いた海水の結果である。
次に、硫酸塩還元菌またはメタン生成菌の存在が確認された10か所の試料について、リアルタイムPCR法によって遺伝子を増幅させて、細菌数の定量分析を実施した。増幅の結果得られた細菌数は、試料中に存在していた細菌数にほぼ比例するとみなすことができる。その結果を表2に示した。なお、遺伝子数単位には、copy、copiesが用いられ、液体試料(w)ではcopies/mL、固体試料(s)ではcopies/gとした。
表2から分かるように、5種の全ての液体試料(試料No.1-1、1-3、2-1、2-3、2-5)の硫酸還元菌の個数は、参照試料である海水試料No.2-7の個数の1.6倍〜132倍に増加していた。また3種の液体試料(試料No.1-3、2-3、2-5)のメタン生成菌の個数は、参照試料である海水試料No.2-7の個数の2.1倍〜218倍に増加していた。すなわち、ピット腐食付近においては海水中に比べて、硫酸塩還元菌およびメタン生成菌が大幅に増加していた。すなわち、ピット腐食は、ピット付近で局部的に大幅に増加した硫酸塩還元菌またはメタン生成菌に因るものと考えることができる。
なお、前記したEDXによる元素分析で、検出されたSは、硫酸塩還元菌の活動によって生成する硫化水素に起因するものと考えることができる。
硫酸塩還元菌およびメタン生成菌は、スラッジ中の水中に生存しているものと推定される。タンク内の定期修繕が次回行なわれるまでの長期にわたって、スラッジ中に生存する細菌によってタンク底部の腐食が進行するものと推定される。
以上の知見を基に、腐食に関わっている細菌を殺菌し得る抗菌剤を油槽船のタンクの内表面に付与することが、ピット腐食の抑制に有効であることを見出した。すなわち、本実施形態のタンクの防食方法は、油槽船の原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を注入することである。本実施形態のタンクの防食方法には、第1実施形態と第2実施形態がある。以下、各実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態の防食方法と船舶の構成を示す概念図である。第1実施形態の船舶10は、タンク11を有する船舶10であって、タンク11から原油を取り出す原油取り出し部(不図示)と、タンク11の底部に設けられ、タンク11の底部に溜まった残留液体19を前記原油タンクの外部へ取り出す取り出し部12を備えている。また、第1実施形態の船舶10は、タンク11の外部に設けられ、取り出された残留液体19に抗菌剤を添加する添加部15と、抗菌剤が添加された残留液体19をタンク11内に吹き付ける吹き付け部18を備えている。また、第1実施形態の船舶10は、取り出し部12と添加部15と吹き付け部18とを連結するように配設された配管16、17と、残留液体19を配管内で循環させるポンプ13とを備えている。ここで、残留液体19とは、循環させることが可能な液体であって、前記したスラッジ中に含有される流動性の液体成分および原油の一部を含有している。また、循環を容易にするために、適切な溶剤を添加してもよい。
第1実施形態の防食方法について、以下、工程に分けて説明する。
(原油タンクから原油を取り出す工程)
船舶10は、複数のタンク11を備えている。個々のタンク11は器壁で仕切られて独立しているが、基本的な構造は共通している。以下の説明は特定のタンク11について説明するが、他のタンク11においても同様である。
積出港において、タンク11から原油取り出し部(不図示)を通過して原油が取り出される。取り出された原油は地上の貯蔵タンクまで搬送される。原油が取り出された後のタンク11の底部には、残留液体19が溜まっている。
(原油タンクの底部に溜まった残留液体を原油タンク外へ取り出す工程)
取り出し部12は、タンク11の底部に設置されて、残留液体19を吸引して、タンク11外へ取り出す機能を有している。
(原油タンク外へ取り出された残留液体に抗菌剤を添加する工程)
取り出し部12からタンク11外へ取り出された残留液体19は、配管を通って、ポンプ13に送られる。残留液体19はその後、ポンプ13から配管16を通って送出される。配管16の途中には、配管16の中の残留液体19に抗菌剤を添加する添加部15が設けられている。抗菌剤は、抗菌剤溶液のタンク(不図示)から抗菌剤溶液用ポンプ14によって添加部15を通って、配管16内に注入される。
(抗菌剤が含まれる残留液体を原油タンク内に吹き付ける工程)
抗菌剤を添加された残留液体19は、配管16を通って、各タンク11へと分岐する配管17を通り、タンク11内に設置された吹き付け部18によってタンク11内に吹き付けられる。吹き付けは、タンクの器壁に向かって吹き付けてもよいし、タンクの底部に向かって吹き付けてもよい。抗菌剤を含有する残留液体19はタンク11内の器壁を伝ってタンク11の底部へと降りていき、タンク11の底部の内表面に抗菌剤が付与される。
以上の工程を行うことによって、タンク11内に抗菌剤を含有する液体を注入することができる。上記のタンク11の底部から残留液体19を取り出して、抗菌剤を添加した後にタンク11内に戻すという操作は、連続的に行なって、残留液体19を繰り返し循環させることができる。残留液体19を繰り返し循環させることにより、タンク11の内表面への抗菌剤の付与をより徹底して行なうことができる。また、残留液体19を繰り返し循環させることにより、タンク11内の器壁の洗浄を行うこともできる。
<第1実施形態の変形例>
抗菌剤溶液のタンク(不図示)、抗菌剤溶液用ポンプ14、残留液体19を配管内で循環させるポンプ13および配管16は、それらのすべてまたは一部が船舶10内ではなく、船舶10外に設置されていてもよい。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の防食方法と船舶の構成を示す概念図である。第2実施形態の船舶20は、タンク21を有する船舶20であって、タンク21から原油を取り出す原油取り出し部(不図示)と、原油が取り出されたタンク21内に不活性ガスを充填する充填部(不図示)と、抗菌剤を含有する液体をタンク21内に噴霧する噴霧部を備えている。前記噴霧部は、不活性ガス発生装置22と、不活性ガスに圧力を付与してタンク21内に噴出させるポンプ23と、不活性ガスに抗菌剤を添加する添加部25と、スプレー部28と、配管26、27とから構成されている。充填部と噴霧部とは、後記するように、必要に応じて、設備を共用することができる。
第2実施形態の防食方法について、以下、工程に分けて説明する。
(原油タンクから原油を取り出す工程)
前記の第1実施形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
(原油タンク内に不活性ガスを充填する工程)
タンク21から原油を取り出した後、タンク21内には可燃性のガスが残存している可能性がある。タンク21内に可燃性のガスが残存していると、次工程で抗菌剤を含有する液体を噴霧する際に、静電気の発生等によって爆発事故が発生する懸念がある。そのため、タンク21内を不燃性の不活性ガスで置換し、充填しておくことが必要である。タンク21内に不活性ガスを充填する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、次工程で用いる不活性ガス発生装置22と、不活性ガスに圧力を付与してタンク21内に噴出させるポンプ23と、スプレー部28とを用いて、タンク21内の可燃性のガスを不活性ガスで置換してもよい。不活性ガスは、酸素濃度が5%以下のガスが好ましく、1%以下のガスがより好ましい。
(原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を噴霧する工程)
不活性ガス発生装置22から不活性ガスが供給される。不活性ガスは、ポンプ23に送出されて、タンク21内に噴出させることができる程度に圧力が付与される。圧力を付与された不活性ガスは、ポンプ23から配管26に排出される。配管26の途中には、配管26の中の不活性ガスに抗菌剤を添加する添加部25が設けられている。抗菌剤は、抗菌剤を含有する液体のタンク(不図示)から抗菌剤溶液用ポンプ24によって添加部25を通って、配管26内に注入される。抗菌剤を含有する液体は、抗菌剤以外に、適切な溶剤、洗浄剤等を含有していてもよい。
抗菌剤を添加された不活性ガスは、配管26を通って、各タンク21へと分岐する配管27を通り、タンク21内に設置されたスプレー部28によってタンク21内に吹き付けられる。抗菌剤を含有する液体は、霧状となって、タンク21の内表面に付与される。
以上の工程を行うことによって、タンク21内に抗菌剤を含有する液体を注入することができる。必要に応じて、噴霧する工程の時間を長くしたり、以上の工程を繰り返し行うことによって、タンク21の内表面への抗菌剤の付与をより徹底して行なうことができる。
<第2実施形態の変形例>
抗菌剤を含有する液体のタンク(不図示)、抗菌剤溶液用ポンプ24、ポンプ23、不活性ガス発生装置22および配管26は、それらのすべてまたは一部が船舶20内ではなく、船舶20外に設置されていてもよい。不活性ガス発生装置22は必須の設備ではない。例えば、不活性ガスとして、動力用エンジンの排気ガスをスクラバーを介して使用する場合は、不活性ガス発生装置22を設置する必要はない。また、タンク21内に噴出させるポンプ23は、ポンプの代わりに、ファンであってもよい。
(抗菌剤)
抗菌剤としては、硫酸塩還元菌またはメタン生成菌、さらには両方の細菌に対して抗菌作用を有する抗菌剤が有効である。抗菌剤を含有する液体に使用される抗菌剤は、有機系と無機系に分類することができる。有機系の抗菌剤には、有機臭素系、有機窒素系、有機硫黄系、有機銅系、有機塩素系、有機リン系等の種類がある。有機系の抗菌剤としては、イミダゾール系、ベンズイミダゾール系、トリハロメチルチオ系、ニトリル系、チアゾリン系、イソチアゾリン系、フェニルピロール系、アニリノピリミジン系、ピリジナミン系、オキサゾリジンジオン系、ベンゾイミダゾール系、ジェトフェンカルブ系 、ジカルボキシイミド系 、酸アミド系、ジメトモルフ系、ストロビルリン系、グアニジン系、キノキサリン系、アミノピリミジン系、ヒドロキシアニリド系、アミドキシム系、カーバメート系、フェニル尿素系、シアノイマダゾール系、シアノアセトアミド系、ピリミジン系、第四アンモニウム塩系等の抗菌剤が挙げられる。抗菌剤には、必要に応じて抗生物質と呼ばれる抗菌スペクトルの限定された化合物や、呼吸や細胞分裂などの代謝系を特異的に阻害する化合物を用いることもできる。また、これらを混合して使用することもできる。無機系の抗菌剤としては、硫黄系、銀系、亜鉛系、銅系、炭酸水素系等の抗菌剤が挙げられ、これらを混合して使用することもできる。また、有機系の抗菌剤と無機系の抗菌剤を混合して使用することもできる。
これらの抗菌剤の中では、銀系の無機系抗菌剤が、抗菌性が強いため好ましい。銀系の無機系抗菌剤としては、銀を担持した無機系担体の抗菌剤が、耐熱性、取扱性に優れ、銀の溶出量が少なく、持続性にも優れているため好ましい。無機系担体としては、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、ガラス、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
これらの抗菌剤を使用するにあたり、水相と油相が混在する油槽中において、抗菌剤を適切に細菌に対して作用させる必要がある。そのため、必要に応じて界面活性剤を抗菌剤とともに使用することもできる。その際に用いられる界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系、ソルビタン系、シリコン系等の非イオン性のもの、ナフチルメタンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン性のもの、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン性のもの等を用いることができる。
ピット腐食は、タンク底部のスラッジ中の細菌によって引き起こされることから、抗菌剤を含有する液体をタンクの底面全体または底面の一部に付与することが有効である。タンク内の底部にスラッジが存在するときは、タンク内の定期修繕の際に、タンク内のスラッジを外部へ排出した後に、本実施形態の防食方法を行なうことが好ましい。抗菌剤を含有する液体をタンク内に付与する作業は、ピット腐食の生成の状況を確認しつつ、適切な量を付与することが好ましい。
本実施形態の防食方法は、油槽船の原油タンクに限らず、浮体式貯蔵積出設備(FPSO、FSO)等の設備においても有効である。
10、20:船舶
11、21:タンク
12:取り出し部
22:不活性ガス発生装置
13、23:ポンプ
14、24:ポンプ
15、25:添加部
16、26:配管
17、27:配管
18:吹き付け部
28:スプレー部

Claims (7)

  1. 油槽船の原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を注入することを特徴とする油槽船原油タンクの防食方法。
  2. 前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンクの底部に溜まった残留液体を前記原油タンク外へ取り出す工程と、
    前記原油タンク外へ取り出された前記残留液体に抗菌剤を添加する工程と、
    前記原油タンク内に前記抗菌剤を含有する残留液体を吹き付ける工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の油槽船原油タンクの防食方法。
  3. 前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に不活性ガスを充填する工程と、
    前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を噴霧する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の油槽船原油タンクの防食方法。
  4. 前記抗菌剤が、硫酸塩還元菌またはメタン生成菌に対して抗菌作用を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油槽船原油タンクの防食方法。
  5. 前記抗菌剤が、銀系無機抗菌剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の油槽船原油タンクの防食方法。
  6. 原油タンクを有する船舶であって、
    前記原油タンクの底部に設けられ、前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンクの底部に溜まった残留液体を前記原油タンクの外部へ取り出す取り出し部と、
    前記原油タンクの外部に設けられ、取り出された前記残留液体に抗菌剤を添加する添加部と、
    前記原油タンク内に前記抗菌剤が添加された残留液体を吹き付ける吹き付け部と、
    前記取り出し部と前記添加部と前記吹き付け部とを連結するように配設された配管と、
    前記残留液体を前記配管内で循環させるポンプと、
    を備えることを特徴とする船舶。
  7. 原油タンクを有する船舶であって、
    前記原油タンクから原油を取り出した後に、前記原油タンク内に不活性ガスを充填する充填部と、
    前記原油タンク内に抗菌剤を含有する液体を噴霧する噴霧部と、
    を備えることを特徴とする船舶。
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