JP2019151877A - 二酸化炭素の還元方法および二酸化炭素還元装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】CO2の新たな還元技術を提供する。【解決手段】CO2の還元方法は、金属イオンの還元体とCO2とを接触させ、還元体の酸化により前記CO2を還元することを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、COの還元方法およびCO還元装置に関する。
近年、Power to Gasと呼ばれるエネルギー利用技術が注目されている。Power to Gas技術とは、風力や太陽光等を用いる再生可能エネルギー発電の電力を用いて、二酸化炭素(CO)をメタン等の有用物に転換する技術である。COは安価であり、また温室効果ガスでもあるため、COから有用物を得ることは非常に有益である。
再生可能エネルギー由来の電気を用いてCOを有用物に転換する方法として、従来、以下の2つの方法が研究されてきた。第1の従来方法は、水の電気分解により水素を生成し、得られた水素とCOとを高温高圧条件下におき、サバティエ反応によりメタンを生成する方法である。第2の従来方法は、COを直接電気分解して、メタンやエタンを生成する方法である(例えば、非特許文献1,2参照)。
Yoshio HORI, Katsuhei KIKUCHI, and Shin SUZUKI、"PRODUCTION OF CO AND CO4 IN ELECTORCHEMICAL REDUCTION OF CO2 AT METAL ELECTRODES IN AQUEOUS HYDROGENCARBONATE SOLUTION"、CHEMISTRY LETTERS, pp. 1695-1698, (1985) Sayoko Shironita, Ko Karasuda, Kazutaka Sato, and Minoru Umeda、"Methanol generation by CO2 reduction at a PteRu/C electrocatalyst using a membrane electrode assembly"、Journal of Power Sources, 240 (2013) 404-410
しかしながら、第1の従来方法は、水を電解分解する第1段階と、COを還元してメタンを生成する第2段階とで構成される。よって、各段階の設備が必要である。また、サバティエ反応は高温高圧下で起こるため、厳しい反応条件に耐え得る設備が必要である。したがって、第1の従来方法はコストが高いという課題があった。また、第1の従来方法におけるエネルギー効率は、第1の工程および第2の工程それぞれが70%であり、全体で約50%であった。
また、第2の従来方法は、一段階でCOからメタン等を生成することができる。したがって、第1の従来方法よりも簡素な設備で済むため、コスト面では有利である。しかしながら、COの直接還元反応には高電圧の印加が必要である。このため、エネルギー効率が低く、40%に届かない程度であった。このエネルギー効率の低さから、第2の従来方法は現時点で実用化に至っていない。
本発明者らは、COの還元方法について鋭意研究を重ねた結果、第1の従来方法が抱えるコスト面の課題と、第2の従来方法が抱えるエネルギー効率面の課題とを解決し得る、COの新たな還元技術に想到した。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、COの新たな還元技術を提供することにある。
本発明のある態様は、COの還元方法である。当該方法は、金属イオンの還元体とCOとを接触させ、前記還元体の酸化により前記COを還元することを含む。
本発明の他の態様は、CO還元装置である。当該装置は、金属イオンの還元体とCOとを接触させ、還元体の酸化によりCOを還元する反応部と、反応部にCOを供給するCO供給部と、金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により還元体を生成する固体高分子形電解ユニットと、を備える。
本発明によれば、COの新たな還元技術を提供することができる。
実施の形態に係るCO還元装置の模式図である。 実施例1〜15における有用物の生成率を示す図である。 実施例9で得られた生成物のHPLCチャートである。 実施例9で得られた生成物のNMRチャートである。 実施例9で得られた生成物のGC−MSチャートである。 実施例16〜21における有用物の生成率を示す図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、同一の部材であっても、各図面間で縮尺等が若干相違する場合もあり得る。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
本実施の形態に係るCOの還元方法は、金属イオンの還元体とCOとを接触させ、還元体の酸化によりCOを還元することを含む。COの還元に用いる金属イオンは、COの還元反応における標準電極電位(vs.SHE.)よりも低い標準電極電位(vs.SHE.)を有する。金属イオンの還元体は、好ましくは2価のバナジウムイオン、2価のバナジウムイオンの錯体、2価の鉄イオンの錯体、3価のチタンイオン、および3価のチタンイオンの錯体からなる群から選択される少なくとも1つである。
COの還元に好適な金属イオンの酸化還元反応と、標準電極電位(標準還元電位)とは、以下の通りである。なお、「ox」は配位子を意味する。配位子としては、シュウ酸、グルコン酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、一酸化炭素、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が例示される。
2+⇔V3++e : −0.26V vs.SHE.
TiO2++2H+e⇔Ti3++HO : 0.10V vs.SHE.
[Fe(ox)]⇔[Fe(ox)]+e : 0.05V vs.SHE.
また、主なCOの還元反応は、以下の通りである。
CO+8H+8e⇔CH+2HO : 0.17V vs.SHE.
CO+6H+6e⇔CHOH+HO : 0.02V vs.SHE.
2CO+12H+12e⇔COH+3HO : 0.08V vs.SHE.
CO+2H+2e⇔HCOOH : −0.17V vs.SHE.
2CO+8H+8e⇔CHCOOH+2HO : 0.10V vs.SHE.
2CO 2−+4H+2e⇔(COO+2HO : 0.48V vs.SHE.
2CO 2−+14H+10e⇔(CHOH)+4HO : 0.22V vs.SHE.
目的とするCOの還元体が得られるCOの還元反応に対し、当該還元反応の標準電極電位よりも低い標準電極電位を有する金属イオンを組み合わせることで、目的とするCOの還元体、すなわち有用物をより確実に生成することができる。
また、本実施の形態のCOの還元方法は、金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により還元体を生成することを含む。例えば、電解還元セルの酸化極(正極、アノード)に水を供給し、還元極(負極、カソード)に金属イオンの酸化体を供給する。そして、電解還元セルに電圧を印加し、金属イオンの酸化体を還元することで、金属イオンの還元体を生成する。
図1は、実施の形態に係るCO還元装置の模式図である。CO還元装置1は主な構成として、固体高分子形電解ユニット2と、CO供給部4と、反応部6と、電源8とを備える。
固体高分子形電解ユニット2は、金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により還元体を生成する装置であり、電気化学セル10を有する。なお、図1には1つの電気化学セル10を図示しているが、固体高分子形電解ユニット2は、複数の電気化学セル10が積層された構造であってもよい。
固体高分子形電解ユニット2は、従来公知の構造で実現することができる。電気化学セル10は主な構成として、電解質膜12と、還元極14と、酸化極16とを備える。電解質膜12、還元極14および酸化極16により膜電極接合体が構成される。電解質膜12は、プロトン伝導性を有する材料(アイオノマー)で形成される。電解質膜12は、プロトンを選択的に伝導する一方で、還元極14と酸化極16との間で物質が混合したり拡散したりすることを抑制する。プロトン伝導性を有する材料としては、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマーが挙げられる。電解質膜12の厚さは、例えば5〜300μmである。
還元極14は、電解質膜12の一方の側に設けられる。本実施の形態では、還元極14は電解質膜12の一方の主表面に接するように設けられている。還元極14は、還元室(カソード室)に還元電極が収容された構造を有する。還元電極は、金属イオンの酸化体に電子を付加して、金属イオンの還元体を生成する。還元電極としては、例えばカーボンペーパー、カーボンフェルト、チタンフェルト等を用いることができる。還元電極の厚さは、例えば10〜500μmである。
還元極14には、図示しない金属イオン貯蔵槽が接続される。例えば、金属イオンは、金属イオンを含有する溶液の形態で金属イオン貯蔵槽に収容される。このような溶液としては、金属イオンの硫酸溶液、硝酸溶液、水溶液等が例示される。還元極14と金属イオン貯蔵槽との間には、循環流路が設けられる。金属イオンを含有する溶液は循環流路を介して、金属イオン貯蔵槽から還元極14に供給され、還元極14から金属イオン貯蔵槽に戻される。
酸化極16は、電解質膜12の他方の側、すなわち還元極14とは反対側に設けられる。本実施の形態では、酸化極16は電解質膜12の他方の主表面に接するように設けられている。酸化極16は、酸化室(アノード室)に酸化触媒層が収容された構造を有する。酸化触媒層は、水を酸化してプロトンを生成するための酸化触媒を含む。酸化触媒としては、例えばRu、Rh、Pd、Ir、Pt及びこれらの少なくとも1つを含む合金からなる群から選択される金属粒子を用いることができる。
酸化極16は、酸化触媒を担持する基材を有してもよい。基材は、電解に必要な電流を流す上で十分な電気伝導性を有する。基材としては、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、Wなどの金属、あるいはこれらを主成分とする合金などで構成される。また、基材は、エキスパンドメッシュ、金属繊維の織物メッシュなどの多孔体であることが好ましい。
酸化極16は、酸化触媒層を支持する支持体を有する。支持体は、電解質膜12とは反対側の酸化触媒層の表面に接し、酸化触媒層を支持する。酸化触媒層は、支持体によって電解質膜12に押し付けられる。支持体は、例えば板状の弾性多孔体で構成される。
酸化極16には、図示しないアノード液貯蔵槽が接続される。アノード液貯蔵槽には、アノード液が収容される。アノード液としては、イオン交換水、純水、あるいはこれらに硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の酸を加えた水溶液等が例示される。酸化極16とアノード液貯蔵槽との間には、循環流路が設けられる。アノード液は、循環流路を介して、アノード液貯蔵槽から酸化極16に供給され、酸化極16からアノード液貯蔵槽に戻される。
電源8は、固体高分子形電解ユニット2に所定の電圧を印加する装置である。電源8の正極出力端子は、酸化極16に接続される。電源8の負極出力端子は、還元極14に接続される。これにより、電気化学セル10の酸化極16と還元極14との間に所定の電圧が印加される。電力源は、好ましくは太陽光、風力、水力、地熱発電等で得られる再生可能エネルギーであるが、特にこれに限定されない。
電源8から還元極14と酸化極16との間に所定の電圧が印加されると、電気化学セル10では以下の電極反応が起こる。以下では、金属イオンの一例としてバナジウムイオンを挙げる。
<酸化極16での電極反応>
2HO→O+4H+4e
<還元極14での電極反応>
3++e→V2+
<全反応>
4V3++2HO→4V2++4H+O
すなわち、酸化極16での電極反応と、還元極14での電極反応とが並行して進行する。そして、酸化極16における水の電気分解により生じたプロトン(H)が、電解質膜12を介して還元極14に移動する。また、水の電気分解により生じた電子(e)が外部の導線を介して還元極14に供給される。酸化極16で生成された酸素ガスは、アノード液貯蔵槽に送られる。酸素ガスは、アノード液貯蔵槽において分離され、系外に取り出されて任意の用途に用いられる。なお、酸化極16には、アノード液に代えて水素ガスが供給されてもよい。この場合、酸化極16は、水素ガスからプロトンと電子を生成する。酸化極16に水素ガスが供給される場合、酸化極16を参照電極の代わりとして用いることができる。
還元極14では、金属イオンの酸化体(V3+)と電子とが反応して、還元体(V2+)が生成される。生成された金属イオンの還元体は、金属イオン供給路18を経由して、反応部6に供給される。
CO供給部4は、反応部6にCOを供給する。CO供給部4は、従来公知の各種ポンプや自然流下式装置等を用いて、COを反応部6に移送する。COは、COガスやCOガスを溶存させた溶液の形態で反応部6に供給される。またCOは、炭酸水素イオンや炭酸イオンの状態で反応部6に供給されてもよい。
反応部6は、固体高分子形電解ユニット2から供給される金属イオンの還元体と、CO供給部4から供給されるCOとを接触させる。反応部6は、いわゆるケミカルタンクであり、反応部6に金属イオンの還元体とCOとが投入されて両者が接触する。これにより、金属イオンの還元体が酸化し、この還元体の酸化によりCOが還元される。COが還元された結果、有用物としてメタン、メタノール、ギ酸、エタン、エタノール、エチレングリコール、酢酸、グリコール酸、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、一酸化炭素および水素等が得られる。COの還元反応は、常温常圧下で進行させることができる。
好ましくは、COの還元方法は、金属イオンの還元体を含有する溶液中で、還元体とCOとを接触させることを含む。つまり、金属イオンを含む溶液を電気化学セル10に循環させて金属イオンの酸化体から還元体を生成し、続いて当該液体を反応部6に供給して金属イオンの還元体とCOと接触させる。これにより、金属イオンの還元体の大量合成が可能となり、ひいてはCOの還元体の大量合成が可能となる。図1に示す例では、V2+を含有する硫酸溶液が反応部6に供給されている。そして、反応部6においてV2+が酸化してV3+となり、COから有用物としてのエタノールが生成されている。
好ましくは、COの還元方法は、COの還元反応の反応場を形成する導電性物質を、金属イオンの還元体を含有する溶液に添加することを含む。導電性物質としては、導電性カーボンや、Au,Cu,Pt,Fe,Ir,Ag,Sn,Pb,Bi,Pd,Cs,Zn,Ga,In,Osからなる群から選択される少なくとも一種の金属が例示される。ただし、Ptは電解還元反応において水素生成の際の過電圧が小さい金属である。このような金属の場合、COの還元よりも水素ガスの生成が優先され得る。このため、COを選択的に還元するためには、水素生成の過電圧が大きい金属種を選択することがより好ましい。このような金属としては、Au,Cu,Ag,Cs,Zn,Ga,In,Snが例示される。
これらの導電性物質は、粒子、シート等の形態で溶液に添加される。導電性物質は、金属イオン供給路18、反応部6および電気化学セル10の少なくとも1箇所で、溶液に添加される。つまり、CO還元装置1は、金属イオン供給路18、反応部6および電気化学セル10の少なくとも1箇所に接続される、導電性物質供給部20を有する。図1には、反応部6に接続された導電性物質供給部20が図示されている。導電性物質の添加、補充の容易性を考慮すると、導電性物質供給部20は反応部6に接続されることが好ましい。導電性物質供給部20は、従来公知の各種ポンプや自然流下式装置等で構成することができる。
COと金属イオンの混合溶液に導電性物質を添加すると、金属イオンの消費量を増加させることができる。つまり、導電性物質を介して金属イオンの還元体からCOへの電子の受け渡しを行うことができるため、金属イオンの酸化反応とCOの還元反応とを促進することができる。この結果、有用物の生成率を高めることができる。
また好ましくは、COの還元方法は、金属イオンを含有する溶液のpHを調整する塩基性物質を、当該溶液に添加することを含む。塩基性物質としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム等が例示される。塩基性物質は、金属イオン供給路18、反応部6および電気化学セル10の少なくとも1箇所で、溶液に添加される。つまり、CO還元装置1は、金属イオン供給路18、反応部6および電気化学セル10の少なくとも1箇所に接続される、塩基性物質供給部22を有する。図1には、反応部6に接続された塩基性物質供給部22が図示されている。塩基性物質の添加、補充の容易性を考慮すると、塩基性物質供給部22は反応部6に接続されることが好ましい。塩基性物質供給部22は、従来公知の各種ポンプや自然流下式装置等で構成することができる。
COと金属イオンの混合溶液に塩基性物質を添加することで、溶液のpHを高めることができる。これにより、溶液中でCOを炭酸水素イオンや炭酸イオンに変化させることができるため、COの溶存量を増加させることができる。この結果、金属イオンとCOとの反応が促進し、有用物の生成率が高まる。また、溶液への塩基性物質の添加により、有用物のさらなる還元反応を進行させて、エタノール等を生成することができる。
また好ましくは、COの還元方法は、COに電子を供与する電子供与体(ルイス塩基)を溶液に添加することを含む。電子供与体としては、ピリジン、2,2’−ビピリジン、トリメチルホスフィン、モノエタノールアミン等が例示される。電子供与体は、金属イオン供給路18、反応部6および電気化学セル10の少なくとも1箇所で、溶液に添加される。つまり、CO還元装置1は、金属イオン供給路18、反応部6および電気化学セル10の少なくとも1箇所に接続される、電子供与体供給部24を有する。図1には、反応部6に接続された電子供与体供給部24が図示されている。電子供与体の添加、補充の容易性を考慮すると、電子供与体供給部24は反応部6に接続されることが好ましい。電子供与体供給部24は、従来公知の各種ポンプや自然流下式装置等で構成することができる。
例えば、電子供与体がピリジンである場合、以下の式(1)および式(2)の反応が起こり、COのCが求核攻撃を受ける。これにより、COは、不安定化して反応性が向上する。この結果、有用物の生成率を高めることができる。
Figure 2019151877
以上説明したように、本実施の形態に係るCOの還元方法は、金属イオンの還元体とCOとを接触させ、還元体の酸化によりCOを還元することを含む。還元性の金属イオンを用いることで、反応部6において金属イオンとCOとを接触させるだけで、COを還元して有用物を得ることができる。つまり、COを温和な条件下で還元することが可能であり、サバティエ反応で必要とされる高温高圧条件を必要としない。このため、サバティエ反応を用いてCOから有用物を生成する第1の従来方法に比べて、設備投資を抑えることができる。
また、温和な反応条件で有用物を得ることができる。また、60%以上のエネルギー効率を実現することもできる。つまり、第1の従来方法やCOを直接電解する第2の従来方法に比べて、高いエネルギー効率でCOから有用物を生成することができる。したがって、本実施の形態によれば、コストとエネルギー効率とのバランスが取れた新たなCOの還元方法を提供することができる。
また、本実施の形態の還元方法は、金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により金属イオンの還元体を生成することを含む。これにより、金属イオンの還元体の生成に、従来の水電解装置を利用することができる。また、還元電極として非金属電極を用いることができる。非金属電極は、電源8の出力変動によって溶出することがない。したがって、固体高分子形電解ユニット2は、金属電極に比べて電源8の出力変動に対して高い耐久性を有する。このため、出力変動が大きい再生可能エネルギーを、特別の対策を施すことなく電源8に用いることができる。
したがって、本実施の形態に係るCOの還元方法および還元装置によれば、再生可能エネルギーを利用したCOからの有用物生成をより簡単に実現することができる。これにより、COフリーな燃料、電力、都市ガス等の実現を図ることができる。また、生成された有用物は、既存の輸送ルートで輸送することができる。このため、太陽光発電システムや風力発電システム等の大規模な再生可能エネルギー生成システムを世界の適地に設置し、これにより得られる再生可能エネルギーを、輸送に適したCOの還元体に変換して国内に輸送し、国内でエネルギーを消費するシステムを構築することができる。
また、本実施の形態において、金属イオンの標準電極電位(vs.SHE.)は、COの還元反応における標準電極電位(vs.SHE.)よりも低い。また、好ましくは、金属イオンの還元体は、2価のバナジウムイオン、2価のバナジウムイオンの錯体、2価の鉄イオンの錯体、3価のチタンイオン、および3価のチタンイオンの錯体からなる群から選択される少なくとも1つである。これらにより、より確実にCOを還元して有用物を生成することができる。
また、好ましくは、金属イオンの還元体を含有する溶液中で、還元体とCOとを接触させることを含む。また、好ましくは、COの還元反応の反応場を形成する導電性物質を溶液に添加することを含む。また、好ましくは、溶液のpHを調整する塩基性物質を溶液に添加することを含む。また、好ましくは、COに電子を供与する電子供与体を溶液に添加することを含む。これらにより、有用物の生成率を高めることができる。あるいは、COの還元体をさらに還元させることができる。
また、本実施の形態に係るCO還元装置は、金属イオンの還元体とCOとを接触させ、還元体の酸化によりCOを還元する反応部6と、反応部6にCOを供給するCO供給部4と、金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により還元体を生成する固体高分子形電解ユニット2と、を備える。これにより、コストとエネルギー効率とのバランスが取れた新たなCOの還元技術を提供することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
<酸化硫酸バナジウム溶液の調製>
酸化硫酸バナジウム(IV)n水和物(試薬特級、和光純薬工業社製)に硫酸(試薬特級、和光純薬工業社製)を加え、イオン交換水で硫酸イオン濃度が4Mとなるよう調製した。バナジウムイオン濃度は1.7Mとした。
<金属イオンの還元体の作製>
面積100cm(10cm×10cm)、厚さ50μmの固体高分子電解質膜(製品名:ナフィオン(登録商標)212、デュポン社製)を用意した。そして、面積25cm(5cm×5cm)のカーボン電極拡散層(製品名:GDL−10AA、SGLカーボン社製)を固体高分子電解質膜の還元極側に配置した。また、Ir担持チタン電極拡散層を固体高分子電解質膜の酸化極側に配置した。Ir担持チタン電極拡散層は、チタンメッシュにIrを担持させることで作製した。これらを、一対のセパレータで挟み込み、電解セル(固体高分子形電解ユニット)を作製した。一対のセパレータは、還元極側に配置されるカーボンセパレータと、酸化極側に配置されるチタンセパレータとからなる。カーボンセパレータは金属イオン溶液の流路を兼ね、チタンセパレータはアノード液の流路を兼ねる。
電解セルの還元極側に、調製した酸化硫酸バナジウム溶液を30mL/分で流通させた。また、酸化極側に1M希硫酸を30mL/分で流通させた。そして、電解セルに所定の電圧を印加して、定電位電解を実施した。還元極側には加湿Nを5mL/分で流通させ、これにより還元極への酸素混入を防止した。還元極側に流通させた酸化硫酸バナジウム溶液中の4価のバナジウムイオン(V4+)がすべて2価のバナジウムイオン(V2+)に還元される電気量に相当する電圧を印加した。電位測定によってV2+が全バナジウムイオンに対して99.9%以上となったことを確認して、電解を完了させた。得られたV2+溶液を、N雰囲気下にてガラス瓶に保存した。
<COの還元反応>
容量29mLのガラス容器に、調製したV2+溶液を5mL採取した。この作業は、N雰囲気のグローブボックス中で、マイクロピペットを用いて行った。金属付ブチルゴムキャップ(セプタム付クリンプキャップ(20mm)、GL Sciences社製)をガラス容器に取り付け、系内を密閉した。密閉したガラス容器をグローブボックスから取り出し、ニードルをゴムキャップに刺した。そして、炭酸ガス(巴商会社製)を500mL/分で5分間流通させた。これにより、系内の気相を炭酸ガス(CO)に置換した。
<生成物の同定および測定>
2+とCOとを接触させた状態で、ガラス容器を25℃の恒温槽内で2週間静置した。その後、高速液体クロマトグラフ(HPLC)(製品名:Prominence(登録商標)、島津製作所社製)、核磁気共鳴測定装置(NMR)(製品名:DD2−600、Agilent Technologies社製)、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)(製品名:JMS−T100 GCV、JEOL社製)を用いて、反応溶液中の生成物を同定した。また、その結果から、反応溶液中の生成物の収率を算出した。生成物の収率、言い換えれば有用物の生成率は、以下の式(1)に基づいて算出した。結果を図2に示す。
生成率(%)=(生成物の物質量×反応電子数)/V2+の物質量×100 (1)
(実施例2)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、導電性を有しないブチルゴム樹脂片1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例3)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、導電性を有しないパイレックス(登録商標)ガラス片1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例4)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、導電性を有しないテフロン(登録商標)粉末片(PTFEパウダー、三井・デュポンフロロケミカル社製)1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例5)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、導電性を有するケッチェンブラック(登録商標)(商品名:ケッチェンブラック(登録商標)EC600JD、ライオン社製)0.1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例6)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、導電性を有するメソポーラスカーボン(商品名:クノーベル(登録商標)MH−10、東洋炭素社製)0.1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例7)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、金粉末(TAU−050、平均粒径0.5μm、アズワン社製)0.1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例8)
グローブボックス中でガラス容器を密閉する前に、銅粉末(1.02703.0250、平均粒径<63μm、アズワン社製)0.1gを反応溶液に添加した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例9)
2週間静置した後の反応溶液に炭酸カリウム(試薬特級、純正化学社製)0.015molを添加して反応溶液のpHを7程度まで上げ、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。なお、炭酸カリウムはイオン交換水に溶解させた水溶液として反応溶液に添加してもよい。
(実施例10)
2週間静置した後の反応溶液に炭酸水素カリウム(試薬特級、純正化学社製)0.03molを添加して反応溶液のpHを7程度まで上げ、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。なお、炭酸水素カリウムはイオン交換水に溶解させた水溶液として反応溶液に添加してもよい。
(実施例11)
2週間静置した後の反応溶液に水酸化ナトリウム(試薬特級、純正化学社製)0.03molを添加して反応溶液のpHを7程度まで上げ、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。なお、水酸化ナトリウムはイオン交換水に溶解させた水溶液として反応溶液に添加してもよい。
(実施例12)
2週間静置した後の反応溶液にピリジン(試薬特級、林純薬工業社製)0.035molを添加し、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。ピリジンは、COの活性化剤、つまり電子供与体として添加した。
(実施例13)
2週間静置した後の反応溶液にトリメチルホスフィン(有機合成用、和光純薬工業社製)0.035molを添加し、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。トリメチルホスフィンは、COの活性化剤として添加した。
(実施例14)
2週間静置した後の反応溶液に炭酸カリウム(試薬特級、純正化学社製)0.015molとピリジン(アルドリッチ社製)0.005molとを添加し、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
(実施例15)
2週間静置した後の反応溶液に炭酸カリウム(試薬特級、純正化学社製)0.015molとトリメチルホスフィン(有機合成用、和光純薬工業社製)0.005molとを添加し、その後に2週間静置した点を除いて、実施例1と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図2に示す。
図2は、実施例1〜15における有用物の生成率を示す図である。図2に示すように、実施例1から、金属イオンの還元体とCOとを接触させることで、COの還元反応が起こること、つまり有用物を生成できることが確認された。また。実施例1〜4から、非導電性のブチルゴム、ガラス、PTFEを反応溶液に添加しても、COの還元反応の進行に寄与しないことが確認された。なお、本発明者らは、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の導電性を有しない他の物質についても、還元反応に寄与しないことを確認している。
また、実施例5,6から、導電性を有するカーボンを反応溶液に添加すると、COの還元反応が促進されることが確認された。実施例5,6で用いたカーボンは、一般に触媒活性が低い。このことから、反応溶液中のカーボンが導電場(反応場)として働き、これによりV2+からCOへの電子供与サイトが拡張した結果、COの還元反応が促進されたと考えられる。本発明者らは、アセチレンブラックや黒鉛化カーボン等の他の導電性カーボンについても、還元反応が促進されることを確認している。
また、実施例7,8から、導電性を有するAu,Cuを反応溶液に添加すると、COの還元反応がより促進されることが確認された。Au,Cuは、カーボンに比べて触媒活性が高い。このことから、反応溶液中のAu,Cuが導電場として働くとともに、還元反応の触媒としても機能することで、COの還元反応がより促進されたと考えられる。Au,Cuの結果から、導電性を有し且つCOの還元反応に対して触媒活性を有する他の金属、具体的にはPt,Fe,Ir,Ag,Sn,Pb,Bi,Pd,Cs,Zn,Ga,In,Osについても、同様の結果が得られるといえる。
また、実施例9〜11から、炭酸カリウム等の塩基性物質を添加して反応溶液のpHを高めることで、COの還元反応が促進されることが確認された。これは、反応溶液のpHを高めることで、反応溶液に接するCOがバイカーボネート(HCO )やカーボネート(CO 2−)となって反応溶液に溶けやすくなったためと考えられる。本発明者らは、炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム等の他の塩基性物質についても、還元反応が促進されることを確認している。
また、実施例12,13から、ピリジン等の電子供与体を反応溶液に添加することで、COの還元反応が促進されることが確認された。これは、ピリジン等の求核作用によってCOの分子内に分極が起こり、COの反応性が高まったためと考えられる。本発明者らは、2,2’−ビピリジンやモノエタノールアミン等の他の電子供与体についても、還元反応が促進されることを確認している。
また、実施例14,15から、塩基性物質と電子供与体とを反応溶液に添加することで、それぞれ単独で添加する場合に比べてCOの還元反応がより促進されることが確認された。つまり、塩基性物質による還元反応の促進と、電子供与体による還元反応の促進とは、同時に実施可能であることが確認された。
<生成物の同定>
各実施例で得られた生成物について、HPLC、NMR測定およびGC−MSにより分析した結果、メタン、メタノール、ギ酸、エタン、エタノール、エチレングリコール、酢酸、グリコール酸、グリオキサール、グリオキシル酸、シュウ酸、一酸化炭素および水素等の有用物が生成物として確認された。
代表として、実施例9で得られた生成物をHPLC、NMR測定およびGC−MSにより同定した結果を図3〜5に示す。図3は、実施例9で得られた生成物のHPLCチャートである。図4は、実施例9で得られた生成物のNMRチャートである。図5は、実施例9で得られた生成物のGC−MSチャートである。
図3に示すように、HPLCにおいて、エタノールのリテンションタイム(r.t.=30分)にピークが観測された。また、NMR測定において、エタノールのCH、CHに帰属するピークが観測された。また、GC−MSにおけるm/zがエタノールのフラグメントパターンと一致した。実施例9における生成物のエタノール選択率は、ほぼ100%であった。従来、エタノールは、水電解により生成した水素とCOとを触媒反応させて合成していた。この方法では、エタノールの収率はあまり高くなかった。これに対し、金属イオンの還元体とCOとを塩基性物質を含む溶液中で接触させることで、高い収率でエタノールを合成できることが確認された。
(実施例16)
<硫酸鉄溶液の調製>
硫酸鉄(III)n水和物(試薬特級、和光純薬工業社製)にグルコン酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬工業社製)を加え、イオン交換水で鉄イオン濃度が0.5Mとなるよう調製した。このとき、Fe3+に対してグルコン酸が等モル配位するよう調製した。
<金属イオンの還元体の作製>
以下の相違点を除いて、実施例1と同様に電解還元を行い、グルコン酸が配位した2価の鉄イオン錯体溶液を調製した。実施例1との相違点として、イオン交換水で2.5Mに調製した水酸化ナトリウム(試薬特級、和光純薬工業社製)の水溶液を用意し、80℃に加熱した。この水溶液に固体高分子電解質膜を1時間浸漬して、プロトンからNaへカチオン交換した。また、電解セルの還元極側に硫酸鉄溶液を流通させ、酸化極側に1M水酸化ナトリウム水溶液を流通させた。
<COの還元反応>
2+溶液に代えてFe2+グルコン酸錯体溶液を用いた点を除いて、実施例1と同様にCOの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図6に示す。
(実施例17)
Fe2+グルコン酸錯体溶液に金粉末(TAU−050、平均粒径0.5μm、アズワン0.1gを添加した点を除いて、実施例16と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図6に示す。
(実施例18)
グルコン酸ナトリウムを添加せず、配位子を持たないFe2+溶液を調製した点を除いて、実施例16と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図6に示す。
(実施例19)
錯体を持たないFe2+溶液に金粉末(TAU−050、平均粒径0.5μm、アズワン社製)0.1gを添加した点を除いて、実施例18と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図6に示す。
(実施例20)
<硫酸チタニル溶液の調製>
硫酸チタニル(IV)n水和物(キシダ化学社製)に硫酸(試薬特級、和光純薬工業社製)を加え、イオン交換水で硫酸イオン濃度が4Mとなるよう調製した。チタンイオン濃度は1Mとした。
<金属イオンの還元体の作製>
電解セルの還元極側に硫酸チタニル溶液を流通させた点を除いて、実施例1と同様に電解還元を行い、3価のチタンイオン溶液を調製した。
<COの還元反応>
2+溶液に代えてTi3+溶液を用いた点を除いて、実施例1と同様にCOの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図6に示す。
(実施例21)
Ti3+溶液に金粉末(TAU−050、平均粒径0.5μm、アズワン社製)0.1gを添加した点を除いて、実施例20と同様に金属イオンの還元体を作製し、COの還元反応を進行させ、生成物の収率を算出した。結果を図6に示す。
図6は、実施例16〜21における有用物の生成率を示す図である。なお、図6では、参考として実施例1,7における有用物の生成率も図示している。図6に示すように、実施例1,16,20から、V2+だけでなくFe2+の錯体やTi3+でも、COから有用物を生成できることが確認された。また、実施例16,18から、Fe2+は錯体でなければ、還元反応を十分に進行させられないことが確認された。
これは、鉄イオンは2価/3価の標準電極電位が0.77V vs.SHE.と高く、したがってFe2+は還元力が小さいが、Fe2+の錯体ではグルコン酸等の配位により安定化し、これにより標準電極電位が下がって還元力が大きくなったためである。つまり、これらの実施例から、金属イオンの標準電極電位がCOの還元反応における標準電極電位よりも低ければ、金属イオン種によらずCOの還元反応を進行させられることが確認された。本発明者らは、2価のバナジウムイオンの錯体および3価のチタンイオンの錯体についても、有用物を生成できることを確認している。
また、実施例7,17,21から、Fe2+の錯体やTi3+の場合でも、導電性を有するAuを反応溶液に添加することでV2+の場合と同様の効果が得られることが確認された。つまり、金属イオン種によらず、導電性物質の添加によりCOの還元反応を促進できることが確認された。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
実施の形態で説明した構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
1 CO還元装置、 2 固体高分子形電解ユニット、 4 CO供給部、 6 反応部、 8 電源、 10 電気化学セル、 12 電解質膜、 14 還元極、 16 酸化極。

Claims (9)

  1. 金属イオンの還元体とCOとを接触させ、前記還元体の酸化により前記COを還元することを特徴とするCOの還元方法。
  2. 前記金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により前記還元体を生成することを含む請求項1に記載の還元方法。
  3. 前記金属イオンの標準電極電位(vs.SHE.)は、COの還元反応における標準電極電位(vs.SHE.)よりも低い請求項1または2に記載の還元方法。
  4. 前記還元体は、2価のバナジウムイオン、2価のバナジウムイオンの錯体、2価の鉄イオンの錯体、3価のチタンイオン、および3価のチタンイオンの錯体からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の還元方法。
  5. 前記還元体を含有する溶液中で、前記還元体と前記COとを接触させることを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の還元方法。
  6. 前記COの還元反応の反応場を形成する導電性物質を前記溶液に添加することを含む請求項5に記載の還元方法。
  7. 前記溶液のpHを調整する塩基性物質を前記溶液に添加することを含む請求項5または6に記載の還元方法。
  8. 前記COに電子を供与する電子供与体を前記溶液に添加することを含む請求項5乃至7のいずれか1項に記載の還元方法。
  9. 金属イオンの還元体とCOとを接触させ、前記還元体の酸化により前記COを還元する反応部と、
    前記反応部に前記COを供給するCO供給部と、
    前記金属イオンの酸化体から電気化学還元反応により前記還元体を生成する固体高分子形電解ユニットと、
    を備えることを特徴とするCO還元装置。
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