JP2019149958A - 新規細菌及びそれを用いた植物の製造方法 - Google Patents

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Thuzar Win Khim
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Abstract

【課題】塩ストレスや高温ストレスにより引き起こされる数々の課題を解決するために、作物を改良してストレスに対する耐性を与える方法の提供。【解決手段】カブの可食部組織内部の切片から分離した、エチレン前駆体、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸を分解能を有するシュードモナス属に属する新規細菌、本菌株を植物に接触させる工程を含む、ストレスに対する耐性が向上した植物の製造方法、及び植物の生育および発芽を促進する方法の提供。【選択図】なし

Description

本発明は、シュードモナス属に属する新規細菌、それを植物に接触させる工程を含む、ストレスに対する耐性が向上した植物の製造方法、及び植物の発芽を促進する方法に関する。
塩分は、気候変化により地球規模の問題である。近年では、地球上で8億ヘクタール以上の地表が作物生産量を実質的に下げうる塩分レベルにある。また、地球温暖化にともなう高温ストレスによる作物の被害も増大している。塩ストレスや高温ストレスにより引き起こされる数々の課題を解決するために、作物を改良してストレスに対する耐性を与えることが研究されている。
作物のストレスに対する耐性を改良するための環境にやさしい試みの一つとして、植物の成長を促進する細菌(PGPB:plant growth promoting bacteria)の利用が知られている。PGPBは、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸(ACC)デアミナーゼ活性を有し、植物ホルモンであるエチレンの直前の前駆体、ACCを分解して、α−ケト酪酸とアンモニアにする細菌を含む。
本発明は、植物のストレス、特には塩ストレス、温度ストレス又は乾燥ストレスに対する耐性を向上させる効果に優れた細菌を探索することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究の末、シュードモナス属に属する細菌であって、配列番号1、2、3、および4と、それぞれ90%以上の同一性を有する塩基配列をゲノムDNAに含む細菌が、シュードモナス属に属する新種の細菌であることを見出した。また、本発明者らは、植物を発芽させる又は栽培する際に、本発明の細菌を植物に接触させることが有用であることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下である。
[1]シュードモナス属に属する細菌であって、配列番号1、2、3および4で示される塩基配列と、それぞれ90%以上の同一性を有する塩基配列をゲノムDNAに含む、細菌。
[2]受託番号が、NITE P−02593である、請求項1に記載の細菌。
[3]前記[1]又は[2]に記載の細菌を植物に接触させる工程を含む、ストレスに対する耐性が向上した植物の製造方法。
[4]ストレスが、塩ストレス、温度ストレス又は乾燥ストレスである、前記[3]記載の製造方法。
[5]前記[1]又は[2]に記載の細菌を植物に接触させる工程を含む、植物の発芽を促進する方法。
[6]植物が、トマト、シソ、ニンジン、イネ、コムギ、ホウレンソウ、キュウリ、ナス、トウモロコシ、コマツナ、タマネギ、イモ、タケノコ、レンコン、ゴボウ、ブロッコリー、アスパラ、オクラ、ピーマン、ゴーヤ、カボチャ、ダイズ、マメ、ゴマ、ラッカセイ、ハクサイ、ミズナ、シュンギク、キャベツ、レタス、ネギ、ショウガ、ニンニク、オオバ、ミョウガ、スプラウト、ニラ、ダイコン、キノコ、イチゴ、カキ、ナシ、ミカン、ブドウ、リンゴ、モモ、キク、チューリップ及びバラからなる群より選択される農作物である、前記[3]〜[5]のいずれか記載の方法。
本発明によれば、配列番号1、2、3および4で示される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列をゲノムDNAに含む新規細菌を植物に接触させることにより、ストレス、特には塩ストレス、温度ストレス又は乾燥ストレスに対する耐性が向上した植物が得られる。また、細菌を種子に接触させることにより、発芽が促進される。本発明の新規細菌が奏する効果は、公知のPGPBが奏する効果よりも、格別に優れる。
図1は、実施例2におけるマルチローカス遺伝子分析の結果を示す。 図2は、実施例3におけるトマトの生育とエチレン発生についての本発明の効果を示す。 図3は、実施例4におけるイネの生育についての本発明の効果を示す。 図4は、実施例6におけるシソ及びトマトの発芽率についての本発明の効果を示す。
本発明は、シュードモナス属に属する細菌であって、配列番号1、2、3および4で示される塩基配列と、それぞれ90%以上の同一性を有する塩基配列をゲノムDNAに含む新規細菌(以下、細菌Xともいう)に関する。細菌XはrRNA遺伝子(rDNA)として配列番号1に示される核酸配列、DNA gyrase beta-subunit遺伝子(gyrB)として配列番号2に示される核酸配列、RNA polymerase sigma 70 subunit遺伝子(rpoD)として配列番号3に示される核酸配列、およびRNA polymerase beta-subunit遺伝子(rpoB)として配列番号4に示される核酸配列を有している。この4遺伝子塩基配列に基づくマルチローカス遺伝子解析(Multi-locus sequence analysis: MLSA)および菌学的性質によれば、当該細菌はシュードモナス属に属する新種の細菌であることが判明した。配列番号1、2、3および4で示される塩基配列をゲノムDNAに含む細菌は、2017年12月14日に受託番号NITE P−02593にて独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託されている。この細菌は、保存性に優れ、少なくとも10cfu/ml、好ましくは少なくとも10cfu、より好ましくは少なくとも10cfu/mlの懸濁液とすることにより、本発明の効果を奏することができる。
本発明の細菌Xは、配列番号1、2、3および4で示される塩基配列と、それぞれ90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは100%の同一性を有する塩基配列をゲノムDNAに含んでよい。
本発明の細菌Xは、その特徴として、運動性を有するグラム陰性桿菌であり、円形コロニーを形成し、表1に示す菌学的性質を有する。ACCデアミナーゼ活性を有してよい。
本発明の微生物を培養する方法は特に限定されず、好気的条件下での一般的な培養条件で、例えばシュードモナス属に属する微生物が生育できる培地を使用することができる。なかでも、唯一の窒素源としてACCを含有する培地を用いて培養することにより、これらの化合物を資化するのに馴染んだ菌を育成することができ、植物のストレス耐性の向上に有用な菌の取得が容易になる。
本発明は、細菌Xを植物に接触させる工程を含む、ストレスに対する耐性が向上した植物の製造方法に関する。
本発明の方法によれば、ストレス、例えば塩ストレス、温度ストレス又は乾燥ストレスに対する耐性が向上した植物が得られる。塩ストレスや高温ストレスは、植物を衰弱させ、結果として乾燥ストレスに対する耐性を低減させる。塩ストレスや高温ストレスに対する耐性が向上した植物は、乾燥ストレスにも耐えうる。
また、本発明は、細菌Xを植物に接触させる工程を含む、植物の発芽を促進する方法に関する。
本発明の方法を適用する植物としては、例えばトマト、シソ、ニンジン、イネ、コムギ、ホウレンソウ、キュウリ、ナス、トウモロコシ、コマツナ、タマネギ、イモ、タケノコ、レンコン、ゴボウ、ブロッコリー、アスパラ、オクラ、ピーマン、ゴーヤ、カボチャ、ダイズ、マメ、ゴマ、ラッカセイ、ハクサイ、ミズナ、シュンギク、キャベツ、レタス、ネギ、ショウガ、ニンニク、オオバ、ミョウガ、スプラウト、ニラ、ダイコン、キノコ、イチゴ、カキ、ナシ、ミカン、ブドウ、リンゴ、モモ、キク、チューリップ及びバラからなる群より選択される農作物が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法における、細菌Xを植物に接触させる工程としては、例えば細菌Xの懸濁液を植物にそのまま又は水などで希釈して塗布する、接種する又は灌水する、植物の培土に加える、種子を浸して発芽させるといった方法がありえるが、これらに限定されない。
細菌Xは、シュードモナス属に適した培地及び培養条件により増殖させることができるが、例えばTSB培地を用いて28℃で振盪培養することができ、その後、当業者により適度な濃度に調製することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
新規微生物の単離
農家圃場より採取したカブの可食部を表面殺菌し、組織内部の切片を菌の分離源とした。組織切片を、イオン交換水にリン酸二水素カリウム4g、リン酸水素二ナトリウム6g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2g、グルコース2.0g、グルコン酸2.0g、クエン酸2.0g、硫酸第一鉄・7水和物1mg、ホウ酸10μg、硫酸マンガン・1水和物11.19μg、硫酸亜鉛・7水和物124.6μg、硫酸銅・5水和物78.22μg、モリブデン酸10μg、寒天15gを溶解し1リットルとしてオートクレーブ滅菌した培地に、ACC(別滅菌)を3.0mMになるように添加して固化した寒天培地上に30分置床し、切片を取り除いた後28℃にて7日間培養した。寒天培地上に出現したコロニーを釣菌し、上記の培地で画線培養を数回行い、ACCを資化し生育する菌を純化した。
単離した菌株は、PCR法によりACCデアミナーゼ合成酵素遺伝子の有無を確認し、遺伝子断片の増幅が確認された菌株を選抜した。また、分離した菌株をリョクトウに接種し、ACC添加によるリョクトウ茎の生長阻害および肥大生長を軽減する作用を指標として、これらの能力が高い菌株を選抜した。選抜した菌株のACCデアミナーゼ活性は、Penrose and Glickの方法(Penrose DM and Glick BR, 2003, Methods for isolating and characterizing ACC deaminase-containing plant growth-promoting rhizobacteria. Physiol. Plant 118, 10-15)により確認した。これらの条件で菌を選抜した結果、ACCの分解能力に優れた菌を取得し、細菌Xとした。
実施例2
新規微生物の分類
実施例1で単離した細菌Xの菌学的性質を特定するとともに遺伝子の解析により、細菌Xの分類を試みた。
先ず、細菌Xの菌学的性質を以下のように特定した。普通寒天(Nutrient agar)平板培地上において淡黄色の円形コロニーが観察され、周縁部は全縁を示した。細胞形態は桿菌であり、グラム染色性は陰性を示した。生理・生化学的性状試験の結果を表1に示す。なお、表1において、+は反応が陽性、−は反応が陰性を示す。生理・生化学的性状から、細菌XはPseudomonas属に帰属すると考えられたが、性状が完全に一致する種は見当たらなかった。
次に、細菌Xの遺伝子解析を次のように行った。すなわち、Mulet らの方法(Mulet M, Lalucat J, and Garcia-Valdes E. 2010, DNA-sequence-based analysis of the Pseudomonas species. Environ Microbiol., 12, 1513-1530; Mulet M, Gomilab M, Scottaa C, Sancheza D, Lalucat J, and Garcia-Valdes E. 2012, Concordance between whole-cell matrix-assisted laser-desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry and multilocas sequence analysis approaches in species discrimination within genus Pseudomonas. Syst. Appl. Microbiol., 35, 455-464)に従い、rRNA遺伝子、DNA gyrase beta-subunit遺伝子(gyrB)、RNA polymerase sigma 70 subunit遺伝子(rpoD)、RNA polymerase beta-subunit遺伝子(rpoB)の4遺伝子塩基配列に基づくマルチローカス遺伝子分析により、帰属分類群を推した。細菌XのrRNA遺伝子、DNA gyrase beta-subunit遺伝子(gyrB)、RNA polymerase sigma 70 subunit遺伝子(rpoD)、RNA polymerase beta-subunit遺伝子(rpoB)の塩基配列を、それぞれ配列番号1、2、3および4に示す。4遺伝子を用いた分子系統樹を図1に示す。マルチローカス遺伝子分析の結果、細菌XはPseudomonas jesseniiと最も近縁であると考えられたが、両者の間には距離があるため、異なる種であると推定された。
そこで、4遺伝子を用いたマルチローカス遺伝子分析により最も近縁と考えられたPseudomonas jesseniiの基準株(ATCC700870)を取り寄せ、基準株と細菌XとのDNA-DNAハイブリッド形成試験を行い、種の異同を決定した。3回のDNA-DNAハイブリッド形成試験の平均値を表2に示す。3回の試験による相同値の平均は、細菌の同種の定義とされる70%以下の値を示したことから、細菌XとPseudomonas jesseniiは、互いに別種であると結論づけられた。
以上の検討結果から、細菌Xは従来公知のPseudomonas属の微生物には分類されない新種の微生物として同定することができた。なお、細菌Xは2017年12月14日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号NITE P−02593として寄託した。
実施例3
受託番号NITE P−02593にて受託されている細菌を使用した。この細菌は、カブの内部組織から単離され、ACCデアミナーゼ活性を有する。
トマトの栽培
トマト種子(Solanum lycopersicum;品種:桃太郎)をタキイ種苗株式会社(日本、京都)から購入し、80%エタノールで1分間、次に2%次亜塩素酸ナトリウムで5分間処理し、そして無菌水で5回洗浄して表面を無菌化した。種子をムラシゲスクーグ培地にまき、28℃で8日間おいて発芽させた。
細菌は、トリプシン大豆ブロス(TSB)にて28℃で暗室で、24時間150rpmの振動を与えて増殖させた。培地を6℃にて、100×100rpmで10分間遠心分離し、無菌水で2回洗浄して、600nmで光学密度0.4の希釈にして、約10細胞個/mlの細菌懸濁液とした。
7日齢の実生を2時間、上記細菌懸濁液又は無菌水100mlに浸した。次に、実生を園芸用培土(げんきくんシリーズ;片倉コープアグリ株式会社;日本、東京)3000gを入れた3Lプラスチックポット(直径20cm)に移植した。培土は、1kgあたりに窒素260mg、リン3900mg及びカリウム200mgを含んでいた。温度を28℃/20℃(昼/夜)に調整した温室で、自然光にて栽培した。各ポットには、2日に一回、水やりをした。ポットに移植してから1週間後に、上記細菌懸濁液1mlを植物の周囲の培養土に与えた。
NaCl処理
ポットに移植してから3週間後に、植物に水道水(0mM NaCl)又は75mM NaClを1ポットあたり500ml灌水し、21日間栽培した。
成長パラメータの測定
葉の面積を、自動葉面積計(AAM−8;林電工株式会社;日本、東京)にて測定した。また、シュートの長さを測定し、シュート及び根の新鮮重量を測定した。葉及び茎については、80℃で48時間乾燥し、乾燥重量も測定した。
結果を、表3に示す。この結果より、細菌Xの接種により塩ストレスによる生育低下が大幅に改善され、塩を添加しない植物の生育と同等になることが明らかになった。
葉の水分含量も測定した。先から三番目の三つ葉から直径127mmの花盤を採取して、試料とした。花盤の新鮮重量をすぐに測定したのち、蒸留水をいれたガラスバイアルにうつして、暗室で4℃にて5時間おいた。試料を取出し、かるく水分を取り除き、腫脹重量を測定した。70℃で48時間乾燥した後に乾燥重量を測定した。
葉の水分含量を、以下の式により算出した。
クロロフィル含量、ガス交換及び非光化学的消光も測定した。上部の最も広がった葉のクロロフィル含量を、SPAD(Spoil plant analysis development)分析器(コニカミノルタジャパン株式会社;日本、東京)を用いて測定した。
正味の光合成速度、気孔伝導度及び蒸散速度は、持ち運び可能なオープンフローガス交換システム(LI−6400;Li−Cor;米国)を用いて、温室にて午前8時半から11時半に最上部の葉で測定した。
結果を表4に示す。細菌Xは、塩ストレス下においても葉の水分含量を高く維持し、クロロフィル含量を増大させ、光合成速度を高く維持する顕著な効果が認められた。
植物地上部のイオン含量測定については、乾燥試料20mgを濃硝酸で消化し、100℃にて3〜4時間おき、1時間室温においたのち蒸留水で10ml容量にした。植物分解液のミネラルをプラズマ質量分析計(ICP−MS,Agilent 7700X、米国)で測定した。結果を表5に示す。なお、表に示した数値の単位は、‘mg/植物地上部’である。細菌Xを接種することにより、塩ストレスによるリン、カリウム、鉄、銅の吸収低下が改善し、マンガン、亜鉛の吸収が増加し、植物の栄養状態が良好となる。
トマト実生からのエチレン放散は、Madhaiyan et al.,のプロトコル(Madhaiyan, M., Poonguzhali, S., Ryu, J., Sa, T.M. 2006, Regulation of ethylene levels in canola (Brassica campestris) by 1-aminocyclopropane-1-carboxylate deaminase-containing Methylobacterium fujisawaense. Planta 224, 268-278)を改変しておこなった。トマト種子(Solanum lycopersicum L.)を80%エタノールで1分間、2%NaOClで5分間処理し、そして無菌水で5回洗浄して表面を無菌化した。上記の方法により調製した菌を種子に接種し、対照区は菌非接種として種子を育苗トレイにまいた。植物は温度28℃/20℃に調製した温室で、自然光にて栽培した。発芽から8日目に、200mM NaCl又は水道水にて2時間灌水した。トマト実生をぬきとり、食塩水又は水で、根を傷つけないように注意深く洗浄して培土を落とし、直接40mlガラスバイアル内においた。ガラスバイアルを30分間あけたままにして空気を追い出し、そののち4時間密封したのち、上部から内部気体試料を得た。1ミリリットルの試料をガスクロマトグラフ(GC−2014;島津製作所;日本、京都)にて測定し、エチレンを定量した。各処理につき、4重検定とした。結果を図2に示す。細菌Xを接種した植物では、塩ストレスによるエチレンの発生が顕著に低減することが明らかになった。
実施例4
イネの栽培
光学密度が0.3である、本願発明の細菌懸濁液を用意した。細菌を無菌的に発芽したイネ(品種:日本晴)の根に接触させ、ポットに移植後43日で、成長を確認した。対照は、根を滅菌したイオン交換水に浸した。細菌Xを接触させて栽培したイネは、対照よりも明らかに成長が促進されて丈が長かった。また、地上部及び地下部ともに、対照よりも新鮮重量が増大していた。結果を、図3に示す。
実施例5
イネの高温ストレス耐性
光学密度が0.3である、本願発明の細菌懸濁液を用意し、育苗したイネ(コシヒカリ)の根に30分間接触させ、ポットに移植した。菌非接種の対照は、根を滅菌したイオン交換水に浸した。ポットに移植したイネは、ガラス温室で28日間栽培した後、一部のイネを40℃のインキュベーターに移し、2日間の高温処理を行った。常温処理のイネは、そのままガラス温室に維持した。高温処理を終えたイネは、ガラス温室に戻し13日間栽培した後生育を調査した。結果を表6に示す。なお、表に示した数値は、対照および細菌X接種の常温処理区の値を100にしたときの高温処理区の相対値を表す。細菌Xを接触させたイネでは、高温処理によるイネの茎数および根の新鮮重の低下が軽減され、高温ストレスに対する耐性が向上したことが示された。
実施例6
シソ及びトマトにおける発芽率
発芽の条件は、実施例3と同様とした。本願発明の菌懸濁液をシソ種子及びトマト種子に接触させ、寒天培地に播種し発芽率を調べた。シソについては4日目から15日目までの発芽率を、トマトについては2日目から5日目までの発芽率を調べた。結果を、図4に示す。細菌Xを接触させた種子では、発芽率の上昇が観察された。
これらの実施例から、細菌Xは、塩ストレスや高温ストレスによる負の効果を和らげることが示された。また、細菌Xには、植物の生育や発芽を促進させる効果があることが示された。

Claims (6)

  1. シュードモナス属に属する細菌であって、配列番号1、2、3および4で示される塩基配列と、それぞれ90%以上の同一性を有する塩基配列をゲノムDNAに含む、細菌。
  2. 受託番号が、NITE P−02593である、請求項1に記載の細菌。
  3. 請求項1又は2に記載の細菌を植物に接触させる工程を含む、ストレスに対する耐性が向上した植物の製造方法。
  4. ストレスが、塩ストレス、温度ストレス又は乾燥ストレスである、請求項3記載の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の細菌を植物に接触させる工程を含む、植物の生育および発芽を促進する方法。
  6. 植物が、トマト、シソ、ニンジン、イネ、コムギ、ホウレンソウ、キュウリ、ナス、トウモロコシ、コマツナ、タマネギ、イモ、タケノコ、レンコン、ゴボウ、ブロッコリー、アスパラ、オクラ、ピーマン、ゴーヤ、カボチャ、ダイズ、マメ、ゴマ、ラッカセイ、ハクサイ、ミズナ、シュンギク、キャベツ、レタス、ネギ、ショウガ、ニンニク、オオバ、ミョウガ、スプラウト、ニラ、ダイコン、キノコ、イチゴ、カキ、ナシ、ミカン、ブドウ、リンゴ、モモ、キク、チューリップ及びバラからなる群より選択される農作物である、請求項3〜5のいずれか一項記載の方法。
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