はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記する図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
図1は、一実施形態に係る表示装置10の構成を例示するブロック図である。図1を参照すると、表示装置10は、履歴情報生成部14、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、および、出力部18を備えている。
履歴情報生成部14は、対象(例えば図2、図3の分析対象システム200)に備えられた複数のセンサ(例えば図2、図3のセンサ21)の各々に対し値が異常であるセンサを異常センサと決定する。クラスタリング部15は、前記決定された異常センサを複数のグループ(例えば図4〜図6のグループ1〜3)のいずれかに属するようにクラスタリングする。クラスタ階層構造化部16は、前記複数のグループ間の階層(例えば図4)を決定する。出力部18は、前記異常センサに該異常センサが属するグループを区別可能なシンボル(例えば図6のマーカG1−1、G1−2、G2など)を対応付け、該シンボルを用いて前記異常センサをグループ同士の階層関係を示す情報と共に、ユーザに提示する。
かかる表示装置10によると、センサ値に基づいてセンサ履歴情報から得られたセンサのグループとそのグループの階層構造がユーザに提示される。このとき、複数のセンサは事象に応じてグループ分けされている。このため、本実施形態によれば、分析対象システムにおいて複数の事象が発生した場合、各事象を分離して、各事象に対応する情報を出力することができる。さらに、グループが階層構造化されることによって、1つの根本原因の事象によって連鎖的に引き起こされた事象が複数のグループとして得られていても、その因果関係をグループの階層構造として把握することができる。したがって、運用者はシステムの状況をより的確に把握することが可能となる。
以下では、「センサが出力するセンサ値の異常」および「異なるセンサが出力するセンサ値の関係(の異常)」を、それぞれ単に「センサの異常」および「センサ間の関係性(の異常)」ともいう。
<実施形態1>
次に、第1の実施形態に係る表示装置、表示方法、および、プログラムについて、図2ないし図9を参照しつつ説明する。
[構成]
最初に、図2を参照して本実施形態における表示装置の概略構成について説明する。図2は、本実施形態における表示装置100の概略構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、本実施形態における表示装置100は、対象となるシステム(以下「分析対象システム」という。)200の分析を行なう装置である。表示装置100は、履歴情報生成部14および出力部18を備えている。
履歴情報生成部14は、分析対象システム200に設けられた複数のセンサ21のそれぞれが出力したセンサ値の処理結果に基づいて、センサ21のそれぞれ、および、センサ21間の関係性それぞれの少なくともいずれか一方の履歴情報を生成する。なお、分析対象システム200に設けられたセンサ21の個数は、4個に限られない。出力部18は、生成された履歴情報とセンサ21間の因果関係情報に基づいて、各センサ21を1以上のグループとするクラスタ情報をユーザに提示する。ここで、クラスタ情報は、各グループに含まれるセンサ21を示す識別子と、グループ間の階層構造情報を含む。
各センサ21が出力したセンサ値は、分析対象システム200の構成要素から得られる各種の値である。例えば、センサ値として、分析対象システム200の構成要素に設けられたセンサ21を通して取得される計測値が挙げられる。かかる計測値として、例えば弁の開度、液面高さ、温度、流量、圧力、電流、電圧等が挙げられる。また、センサ値として、これらの計測値を用いて算出される推定値も挙げられる。さらに、センサ値として、分析対象システム200を所望の稼働状態に変更するために情報処理装置によって発せられる制御信号も挙げられる。
以上のように、本実施形態では、センサ値の処理結果に基づく履歴情報から得られたセンサ21のグループとそのグループの階層構造がユーザに提示される。このとき、複数のセンサ21は事象に応じてグループ分けされている。したがって、本実施形態によれば、分析対象システム200において、複数の事象が発生した場合、各事象を分離して、各事象に対応する情報を出力することができる。さらに、グループが階層構造化されることによって、1つの根本原因の事象によって連鎖的に引き起こされた事象が複数のグループとして得られていても、その因果関係をグループの階層構造として把握することができる。よって、運用者はより一層的確に分析対象システム200の状況を把握することが可能となる。
次に、図3を参照して、本実施形態における表示装置100の構成についてさらに具体的に説明する。図3は、本実施形態における表示装置100の具体的構成を例示するブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の表示装置100は、上述した履歴情報生成部14および出力部18に加えて、状態情報収集部11、分析モデル取得部12、異常判定部13、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、および、因果関係取得部17をさらに備えていてもよい。これらの各部については後述する。
また、図3に示すように、表示装置100は、ネットワークを介して、分析対象システム200に接続されている。表示装置100は、分析対象システム200のセンサ値から、分析対象システム200に発生した異常を分析し、分析結果および付加情報を出力する。なお、図3において、履歴情報生成部14、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、および、出力部18を囲む破線の矩形は、当該破線で囲まれた各機能ブロックが、異常判定部13が出力した情報に基づいて動作することを表す。
また、本実施形態において、分析対象システム200は、1つ以上の被分析装置20を含んでおり、各被分析装置20が分析の対象となる。分析対象システム200の一例としては、発電プラントシステムが挙げられる。この場合、被分析装置20として、例えば、タービン、給水加熱器、復水器などが挙げられる。また、被分析装置20には、例えば、配管、信号線などの装置間を接続する要素が含まれていてもよい。さらに、分析対象システム200は、上述の発電プラントシステムのようにシステム全体であってもよいし、あるシステムにおいてその一部の機能を実現するための部分であってもよい。さらに、ICT(Information and Communication Technology)システム、化学プラント、発電所、動力設備等、相互に影響を及ぼし合う要素から構成される纏まり、または、仕組みであってもよい。
被分析装置20のそれぞれにおいて、各被分析装置20に設けられたセンサ21は、所定のタイミングごとにセンサ値を計測し、計測したセンサ値を表示装置100に送信する。また、本実施形態においてセンサ21は、通常の計測機器のようにハードウェアとしての実体があるものに限定されない。すなわち、センサ21はソフトウェア、制御信号の出力元なども含み、これを一括りとして「センサ」と呼ぶ。
「センサ値」は、センサ21から得られる値である。センサ値の例としては、弁の開度、液面高さ、温度、流量、圧力、電流、電圧等、設備に設置された計測機器によって計測される計測値が挙げられる。センサ値の他の例としては、計測値から算出される推定値、制御信号の値等も挙げられる。以下では、各センサ値は、整数や小数といった数値で表されるものとする。なお、図3においては、1つの被分析装置20に対して1つのセンサ21が設けられている。ただし、1つの被分析装置20に設けられるセンサ21の数は特に限定されない。また、センサ値に異常が生じる場合として、センサ21の計測対象において異常が生じた場合のみならず、センサ21自体に異常(故障)が生じた場合も考えられる。
また、本実施形態では、各被分析装置20から得られるセンサ値に対応するセンサ21ごとに、1つのデータ項目が割り当てられるものとする。また、各被分析装置20から同一と見なされるタイミングで収集されたセンサ値の集合を、「状態情報」と表記する。また、状態情報に含まれるセンサ値に対応するデータ項目の集合を「データ項目群」と表記する。
つまり、本実施形態では、状態情報は、複数のデータ項目によって構成される。ここで、「同一と見なされるタイミングで収集される」とは、各被分析装置20で同一時刻または所定範囲内の時刻に計測されることであってもよい。また、「同一と見なされるタイミングで収集される」とは、表示装置100による一連の収集処理によって収集されることであってもよい。
また、本実施形態では、被分析装置20と表示装置100との間に、被分析装置20が取得したセンサ値を記憶する記憶装置(図3において非図示)が設けられていてもよい。かかる記憶装置として、例えば、データサーバ、DCS(Distributed Control System)、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)、プロセスコンピュータ等が挙げられる。また、かかる構成を採用する場合、被分析装置20は、任意のタイミングでセンサ値を取得し、取得したセンサ値を記憶装置に記憶させる。そして、表示装置100は、記憶装置に記憶されているセンサ値を所定タイミングで読み出すことになる。
ここで、表示装置100の各機能ブロックの詳細について説明する。まず、状態情報収集部11は、分析対象システム200から状態情報を収集する。分析モデル取得部12は、分析対象システム200の分析モデルを取得する。因果関係取得部17は、センサ21間の因果関係情報(すなわち、複数のセンサ21が出力するセンサ値間の因果関係を示す情報)を取得する。
「分析モデル」は、複数のセンサ21それぞれのセンサ値に応じて各センサ21が正常および異常のいずれであるかの判断や、各センサ21がどの程度異常になっているかを示す異常度の算出に用いられるモデルであり、分析対象システム200の状態情報を構成する複数のデータ項目の全部または一部に基づいて構築されている。分析モデルは、状態情報収集部11が収集した状態情報が入力されると、センサ21ごとに正常および異常の判定を行い、異常度の算出を行うために用いられる。
また、分析モデルは、複数のモデルの集合であってもよい。分析モデルが複数のモデルの集合である場合、センサ21ごとの正常または異常の判定の結果は、重複していてもよい。さらに、分析モデル内で重複しているセンサ21ごとの正常または異常の判定の結果は、一貫していなくてもよい。分析モデルは、分析対象システム200について得られた状態情報の時系列に基づいて構築されていてもよい。
さらに、本実施形態では、分析モデルは、表示装置100の記憶装置(図3において非図示)に格納されていてもよいし、外部から入力されてもよい。前者の場合、分析モデル取得部12は、記憶装置から分析モデルを取得する。一方、後者の場合、分析モデル取得部12は、キーボード等の入力装置、ネットワーク、記録媒体などを介して外部から分析モデルを取得する。
因果関係情報は、複数のセンサ21間の因果関係を示す情報であり、分析対象システム200の状態情報を構成する複数のデータ項目の全部または一部に対して提供され、グループに階層構造を付与するために用いられる。因果関係情報は、センサ21間の因果関係の有無を示す識別子を含んでいてもよい。かかる識別子として、4種類の因果関係を識別可能なものを用いることができる。具体的には、因果関係がないことを示すもの(1種類)、2つのセンサ21間に双方向で因果関係があることを示すもの(1種類)、2つのセンサ21間のうちの1つから他方への因果関係があることを示すもの(センサ21を原因と結果に対応するものに交互に入れ替えて2種類)を用いることができる。
また、因果関係情報は、状態情報収集部11が取得した状態情報の時系列から推定してもよいし、状態情報の時系列に依存しない外部情報から推定してもよい。
前者の場合、因果関係取得部17は、状態情報収集部11が取得した状態情報の時系列からセンサ21間の因果関係を推定するために、例えば一般的なデータ分析技術を用いる。この方法には、2つの時系列データの時間差を変化させながら、相互相関関数を算出して推定する方法や、移動エントロピー(Transfer Entropy)を用いる方法や、2つのセンサ21間の関係性を回帰式で推定し、その回帰式の係数の時間遅れから推定する方法や、Cross Mappingを用いる方法等がある。因果関係の推定に用いる状態情報の時系列は、例えば、クラスタリングを実行する際にユーザが指定してもよいし、予め設定しておいたルールに基づいて決定してもよい。予め設定しておいたルールに基づいて因果関係を推定するのに用いる状態情報の時系列を決定する場合、例えば、クラスタリングを実行する時点から、運用者が予め定めた期間遡った時点までとしてもよい。また、クラスタリングを実行する時点から、異常判定部13が所定数のセンサ21について異常と判断した時刻までとしてもよい。さらに、クラスタリングを実行する時点から、異常判定部13が所定数のセンサ21について異常と判断した時刻からさらに予め定めた期間だけ遡った時点までとしてもよい。
一方、後者の場合、因果関係取得部17は、例えば専門家が有する知識や、システム動作に関連する方程式から、センサ21間の因果関係を推定してもよい。
さらに、本実施形態では、因果関係情報は、表示装置100の記憶装置(図3において非図示)に格納されていてもよいし、外部から入力されてもよい。前者の場合、因果関係取得部17は、記憶装置から因果関係情報を取得する。一方、後者の場合、因果関係取得部17は、キーボード等の入力装置、ネットワーク、記録媒体などを介して外部から因果関係情報を取得する。
異常判定部13は、収集された状態情報に対して、分析モデル取得部12によって取得された分析モデルを適用することにより、センサ21それぞれ、および、センサ21間の関係性のそれぞれの少なくともいずれか一方について判定や算出を行ない、その結果を出力する。
本実施形態では、履歴情報生成部14は、所定の期間において異常判定部13が出力した結果から、履歴情報を生成する。履歴情報は、所定の期間における、分析モデルに含まれるセンサ21またはセンサ21間の関係性の異常または正常(すなわち、個々のセンサ21が出力するデータの異常/正常、または、異なるセンサ21が出力するセンサ値の関係の異常/正常)に関する時系列データを含んでいる。具体的には、履歴情報は、センサ21のデータ項目またはデータ項目の組み合わせの識別子と、データ項目またはデータ項目の組み合わせごとに時系列に沿って取得された正常または異常の判定結果(時系列データ)とを含む。ここで、分析モデルによっては、履歴情報に含まれるセンサ21のデータ項目またはデータ項目の組み合わせの識別子は重複することがある。
また、履歴情報は、例えば、次の(1)〜(3)の時系列データを1以上含む。
(1)「正常または異常の判定結果の時系列データ」
履歴情報は、例えば、判定されたデータの時刻ごと、または、判定されたデータの属する状態情報の時刻ごとに、そのデータの判定結果である正常または異常を示す情報を保持するデータを含む。また、例えば1つのセンサ21に対して複数の正常または異常の判定結果が得られる場合、それらを統計処理して、1つのセンサ21に対する正常または異常の判定結果の時系列データが生成されるようにしてもよい。例えば、このような処理には、各時刻の多数決で決定する場合や、各時刻の判定結果の集計値について閾値を設定し、集計値と閾値との大小関係と判定結果を予めルール化しておいて決定する場合等がある。他の処理としては、センサ21を点とし、センサ21間の関係性(例えば、後述の相関モデル)を線とするグラフ構造に対して、センサ21間の関係性の正常または異常の判定結果を情報として付与したグラフパターンから、センサ21の正常または異常の判定結果を算出するものがある。このような処理の算出対象は、ある一時刻の判定結果であってもよいし、特定の期間を対象とした判定結果であってもよい。
(2)「正常または異常の判定結果から生成した特徴量の時系列データ」
例えば、特徴量の時系列データは、正常または異常が連続して発生した期間の長さに関する情報を含む。また、特徴量の時系列データは、例えば、正常または異常が所定期間において連続的または非連続的に発生した回数を含んでいてもよい。さらに、特徴量の時系列データは、例えば、発生した期間の合計に関する情報を含んでいてもよい。
(3)「センサ値が異常である度合を示す異常度の時系列データ」
センサ21の異常度の時系列データは、センサ21が異常である度合を推定した値を含む。また、センサ21の異常度の時系列データは、例えば、所定時刻におけるセンサ値の予測と実測のかい離(予測と実測の差、予測と実測の誤差割合)に関する情報を含んでもよい。さらに、センサ21の異常度の時系列データは、例えば、多変量統計的プロセス管理におけるQ統計量またはT2統計量への寄与量を含んでもよい。
また、本実施形態では、履歴情報生成部14は、履歴情報を生成するために必要な情報を、上述した異常判定部13だけでなく、分析モデル取得部12から取得してもよい。
クラスタリング部15は、生成された履歴情報に基づいて、複数のセンサ21のそれぞれを1以上のグループにクラスタリングする。クラスタリング部15は、例えば、履歴情報に含まれる、上述した所定の期間における時系列データに基づいて、分析モデルに含まれるセンサ21を1以上のグループにクラスタリングする。
クラスタリング部15は、まず、クラスタリングアルゴリズムによって、データ項目またはデータ項目の組み合わせをグループのメンバに割り当てる。グループのメンバとして、データ項目の組み合わせ(センサ21間の関係性に相当)が含まれる場合、クラスタリング部15はデータ項目の組み合わせに統計処理を適用して、異常に関係するデータ項目を推定し、グループのメンバがデータ項目のみで構成されるようにする。
クラスタリング部15は、Isingモデルクラスタリング、k-means、x-means、NMF(Non-negative Matrix Factorization)、Convolutive-NMF、affinity propagationなどのデータマイニングで用いられるクラスタリングアルゴリズムを用いて、データ項目またはデータ項目の組み合わせをクラスタリングしてもよい。
また、履歴情報に含まれる、上述した所定の期間における時系列データは、各時刻において1次元の特徴量(スカラ値、例えば異常の継続時間)が定義されたものであってもよい。この場合、クラスタリング部15は、上述したデータマイニングで用いられるクラスタリングのアルゴリズムに加えて、データマイニングで用いられる変化点検知または時系列セグメンテーションのアルゴリズムを用いることもできる。なお、他の例において、履歴情報に含まれる特徴量は1次元に限定されない。
また、クラスタリング部15は、クラスタリングの結果を逐次利用して、複数回クラスタリングを実行してもよい。
異常に関係するデータ項目の推定のために、データ項目の組み合わせに施される統計処理として、例えば、グラフパターンマイニングの手法を用いてもよい。具体的には、センサ21を点とし、センサ21間の関係性(例えば、後述の相関モデル)を線とするグラフ構造に対して、センサ21間の関係性の正常または異常の判定結果を情報として付与したグラフパターンから、センサ21の正常または異常の判定結果を算出してもよい。
さらに、クラスタリング部15は、クラスタ情報としてグループごとの異常開始時刻を推定する。グループごとの異常開始時刻は、データ項目やデータ項目の組み合わせをクラスタリングした際に、各グループに割り当てられたそれらの履歴情報から推定される。例えば、各グループに含まれるデータ項目やデータ項目の組み合わせのうちの1つが初めて異常と判別された時刻を、異常の開始時刻とする。他の例では、各グループに含まれるデータ項目やデータ項目の組み合わせのうちの1つが継続的に異常であると判別された時刻を、異常の開始時刻とする。
クラスタ階層構造化部16は、因果関係取得部17が取得したセンサ21間の因果関係情報と、グループごとの異常開始時刻に基づいて、クラスタリング部15が生成したグループに階層構造を与える。
クラスタ階層構造化部16は、グループ間に因果関係があると推定した場合、そのグループ間に対して因果の方向に基づく階層構造を与える。一方、クラスタ階層構造化部16は、いずれのグループに対しても因果関係が認められなかったグループについては、階層構造を付与しない。
クラスタ階層構造化部16は、グループ間における因果の方向を、グループごとの異常開始時刻に基づいて推定する。具体的には、クラスタ階層構造化部16は異常開始時刻が早いグループから異常開始時刻が遅いグループに向かう方向を因果の方向とする。
クラスタ階層構造化部16は、推定した因果の方向に沿う因果関係の数を、すべてまたは一部の2つのグループ間で集計し、その集計値に基づいてグループ間の因果関係を判定する。クラスタ階層構造化部16は、判定条件として、例えば、集計値が予め設定しておいた数以上であるという条件を用いてもよい。また、クラスタ階層構造化部16は、判定条件として、集計値を2つのグループのメンバ間の組み合わせの数で割った値が予め設定しておいた数以上であるという条件を用いてもよい。
出力部18は、例えば、図4に示すように、クラスタリング部15によるクラスタリングで得られたセンサ21のグループと、クラスタ階層構造化部16による演算で得られた階層構造を、ユーザ(例えば、運用者)またはシステムに提示する。また、出力部18は、例えば、図5に示すように、センサ21のグループごとに異常の発生が疑われる時間の範囲を推定した結果を、さらに出力してもよい。なお、図4および図5は、それぞれ、本実施形態における表示装置100による出力結果の一例を示すものにすぎず、出力結果は図示の態様に限定されない。
さらに、本実施形態では、出力部18は、グループに加えて、注目するグループに属するセンサ21の所定の時刻における異常度、その統計値、または、その再計算値を出力してもよい。なお、出力部18によるセンサ21のグループの提示方法は、これらの方法に限定されない。
また、出力部18は、センサ21のグループを、センサ名のリスト形式で提示してもよい。さらに、出力部18は、図6に示すように、階層構造で結びついたグループの集合と階層構造を識別可能なマーカ(識別子)としてシステム構成図上に提示してもよい。後者の場合、すなわち、センサ21のグループを、階層構造で結びついたグループの集合と階層構造を識別可能なマーカとしてシステム構成図上に提示する場合、出力部18は、マーカの階層構造に対応する部分が異常の発生が疑われる時間の順序を示すようにしてもよい。また、出力部18は階層構造を持たないグループと、階層構造を持つグループを区別できるようにマーカを構成してもよい。
図6は、本実施形態における表示装置100による出力結果の一例を示す図である。なお、図6に示す分析対象システムは、発電プラントシステムである。また、図6において、G1−1、G1−2、およびG2のGの直後の番号は、階層化されたグループの集合に付与された番号である。一方、ハイフン(−)に続く番号は、グループの集合内での階層に付与された番号である。また、ラベルにおけるハイフンの有無は、階層構造の有無を示す。なお、出力部18は、階層構造の有無を示す表現方法として、文字列に限られず、色や形状等の他の表現方法を用いてもよい。図6においては、これら2種類の数字の組み合わせたラベルによって、グループと階層構造を識別可能なマーカを構成している。なお、出力部18は、階層構造で結びついたグループの集合と階層構造を識別可能にする際に用いる表現方法として、文字列に限られず、色や形状等の他の表現方法を用いてもよい。また、グループの集合や階層構造の単独の表現方法も、図示の態様に制限されない。さらに、階層の数は2層に限定されず、さらに多層の構造を有していてもよい。
また、出力部18は、階層構造で結びついたグループの集合と階層構造の一部のみを強調して提示してもよい。
さらに、出力部18は、階層構造で結びついたグループの集合と階層構造の一部のみを提示してもよい。
また、出力部18は、階層構造で結びついたグループの集合を、異常の発生が疑われる時間の順序に従って、表示するグループの集合を切り替えて提示してもよい。このとき、出力部18は、完全に表示を切り替える代わりに、強調するグループの集合を切り替えてもよい。さらに、出力部18は、かかる切り替えを所定の時間間隔で自動的に行ってもよい。また、出力部18は、この切り替えを含む一連の表示を所定回数、または、ユーザの操作があるまで繰り返してもよい。
さらに、出力部18は、階層構造で結びついたグループの集合の一部のグループを表示してもよい。このとき、出力部18は完全に表示を切り替える代わりに、強調するグループの集合またはグループを切り替えてもよい。
また、出力部18は、階層構造で結びついたグループの集合を、異常の発生が疑われる時間の順序に従って、表示するグループの集合を切り替えて提示してもよい。このとき、出力部18は完全に表示を切り替える代わりに、強調するグループの集合を切り替えてもよい。さらに、出力部18は、かかる切り替えをユーザの操作に応じて実行してもよいし、所定の時間間隔で自動的に切り替えてもよい。また、出力部18はかかる切り替えを含む一連の表示を所定回数、または、ユーザの操作があるまで繰り返してもよい。
さらに、出力部18は、グループ内の因果関係情報と、グループ間の因果関係情報の少なくともいずれか一方を提示してもよい。出力部18は、両方を切り替えて表示する際、この切り替えをユーザの操作に応じて実行してもよいし、所定の時間間隔で自動的に切り替えてもよい。また、出力部18は、かかる切り替えを含む一連の表示を所定回数、または、ユーザの操作があるまで繰り返してもよい。さらに、出力部18は、グループ内の因果関係情報とグループ間の因果関係情報を、異なる表現方法を用いて表示してもよい。例えば、出力部18は、グループ間の因果関係情報を、グループに割り当てられるラベルによって表現し、一方、グループ内の因果関係情報を、図7に示すように原因となるセンサ21から結果となるセンサ21への矢印として表現してもよい。
さらに、出力部18は、図8に示すように、システムや装置に関する異常度指標(異常度合いを示す)の時系列データを、各グループの異常開始時間に対応する時間帯に、各グループのシンボルを付与して出力してもよい。このように出力することによって、異常度合いと、異常状態の遷移を一括して把握できるため、ユーザは効率良く分析対象システム200の状況を把握することができる。
さらに、出力部18は、センサ21のグループまたはグループの集合に含まれるセンサ21の物理量の種別の割合、およびセンサ21のグループに含まれるセンサ21の系統の割合を、パイチャートまたはリストとして提示してもよい。なお、「系統」とは、機能的なシステムの構成単位を示す。「系統」は、予め運用者によって指定してもよい。
[動作]
次に、本実施形態における表示装置100の動作について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態における表示装置100の動作を例示するフロー図である。以下の説明では、図2および図3を適宜参酌する。また、本実施形態では、表示装置100を動作させることによって、表示方法が実施される。したがって、本実施形態に係る表示方法は、以下の表示装置100の動作によって説明される。
ここでは一例として、分析モデル取得部12は分析モデルを予め取得しているものとする。また、因果関係取得部17はセンサ21間の因果関係情報を予め取得しているものとする。
図9に示すように、状態情報収集部11は、分析対象システム200から、所定期間における状態情報を収集する(ステップS1)。
次に、異常判定部13は、分析モデル取得部12によって予め取得されている分析モデルを用いて、状態情報に含まれるセンサ値を時刻ごとに判定する(ステップS2)。一例として、異常判定部13はセンサ21またはセンサ21間の関係性が正常または異常のいずれに属するかを時刻ごとに判定する。他の例として、異常判定部13はセンサ21またはセンサ21間の関係性の異常度を時刻ごとに判定する。
次に、履歴情報生成部14は、異常判定部13によるセンサ21またはセンサ21間の関係性の判定結果から、履歴情報を生成する(ステップS3)。具体的には、履歴情報生成部14は、異常判定部13によるセンサ21またはセンサ21間の関係性の正常または異常の判定結果を時系列に沿って取得し、時系列に沿って取得した判定結果(すなわち、時系列データ)を履歴情報とする。
次に、クラスタリング部15は、ステップS3で生成された履歴情報に基づいて、分析モデルに含まれるセンサ21を1以上のグループにクラスタリングする(ステップS4)。具体的には、クラスタリング部15は、履歴情報に含まれる、所定の期間におけるセンサ21ごとの異常または正常に関する時系列データに基づいて、上述のクラスタリング手法を用いて、各センサ21をクラスタリングする。
次に、クラスタ階層構造化部16は、因果関係取得部17から取得したセンサ21間の因果関係情報に基づいて、ステップS4で生成されたグループを階層構造化する(ステップS5)。
次に、出力部18は、ステップS4によるクラスタリングで得られたセンサ21のグループと、ステップS5で得られたその階層構造を、ユーザ(例えば、運用者)、システム等に提示する(ステップS6)。
以上で、表示装置100における処理は終了する。また、所定期間の経過後に、分析対象システム200から状態情報が出力されると、表示装置100は再度ステップS1〜S6を実行する。
[効果]
以上のように、本実施形態では、表示装置100は、複数の事象が含まれる場合であっても、クラスタリングによって事象を分離することができる。このため、表示装置100では、事象ごとに情報を出力することが可能となる。さらに、グループが階層構造化されることによって、1つの根本原因の事象によって連鎖的に引き起こされた事象が複数のグループとして得られていても、その因果関係をグループの階層構造として把握できるため、運用者はより的確に分析対象システム200の状況を把握することができる。
つまり、本実施形態では、分析モデルに含まれる全センサ21の異常または正常に関する時系列データに基づいて、センサ21がクラスタリングされるため、異常または正常に関する時系列の変化ごとに、センサ21がクラスタリングされる。したがって、複数種類の異常が連続して発生し、異常の種類ごとに発生時刻が異なっていた場合であっても、各センサ21は、異常の種類ごとに分けられた状態となる。この結果、ユーザは、異常の種類ごとに情報を得ることができる。また、本実施形態によると、仮に1つの根本原因の事象によって連鎖的に引き起こされた事象が複数のグループとして得られていても、それらの因果関係をグループの階層構造として把握できる。したがって、運用者は分析対象システム200の状況をより的確に把握することができる。
続いて、本実施形態における変形例について以下に説明する。なお、以下においては、上述した第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
<変形例1>
変形例1においては、履歴情報生成部14は、センサ21ごとに、各センサ21が異常であると判定された時間の長さを特定し、特定した時間の長さを履歴情報とする。変形例1においては、履歴情報は、センサ21のデータ項目の識別子と、センサ21が異常と判定された時間の長さとを含む。また、履歴情報生成部14は、所定の期間における個々のセンサ21が異常と判定された割合を求め、求めた割合に所定の期間を乗算することによって、センサ21が異常と判定された時間の長さを特定してもよい。他の方法として、履歴情報生成部14は、所定の期間における個々のセンサ21が異常と判定された期間を合計することによって、センサ21が異常と判定された時間の長さを特定してもよい。さらに他の方法として、履歴情報生成部14は、所定の期間における個々のセンサ21が異常と判定された回数、または、正常から異常に遷移した回数を合計することによって、センサ21が異常と判定された時間の長さを特定してもよい。
ここで、各センサ21が異常であると判定された時間の長さも、異常または正常に関する時系列情報である。したがって、変形例1を採用した場合にも、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、センサ21が異常であると判定された時間の長さは、1次元のデータであるため、変形例1によると、クラスタリング部15は上述の第1の実施形態よりも少ない計算リソースによってクラスタリングの計算を実行することができる。
<変形例2>
変形例2においては、履歴情報生成部14は、センサ21ごとに、各センサ21が継続的に異常と判定された時間の長さを特定し、特定した時間の長さを、履歴情報とする。変形例2においては、履歴情報は、センサ21のデータ項目またはデータ項目の組み合わせの識別子と、所定の期間における、最新の時刻を終点としてセンサ21が継続的に異常と判定された時間(以下「継続異常時間」という。)の長さとを含む。
また、履歴情報生成部14は、統計的な処理を用いて、継続異常時間の長さを算出してもよい。これは、センサデータがセンサノイズまたは外乱で揺らぐ場合、異常の程度が低く、正常または異常の判定が正常と異常との間を揺らぐ場合があるためである。
具体的には、履歴情報生成部14は、まず、所定の期間を複数の期間に分割し、分割した期間ごとに、異常と判定された時間の割合が所定の閾値より大きいかどうかを判定する。そして、履歴情報生成部14は、所定の期間の最新の時刻を終点として、判定の結果が連続して異常となっている複数の分割期間群を特定し、特定した分割期間群の長さを、継続異常時間の長さとする。なお、所定の期間において、センサ21ごと、センサ21間の関係性ごとの正常または異常の判定の結果の重複は、許可されていてもよいし、許可されなくてもよい。
また、分割期間における判定に用いる所定の閾値は、ユーザによる任意の数値の付与によって設定されていてもよい。また、正常または異常の揺らぎがランダムであると仮定した際の分割期間の長さにおけるポアソン分布の信頼区間に基づいて、所定の閾値を設定してもよい。
また、履歴情報生成部14は、所定の長さよりも短い間隔で一時的に正常となった後、再度異常となった場合、正常となった期間を無視する(すなわち異常とみなす)ようにしてもよい。かかる方法であっても、有効な継続異常時間を算出することが可能な場合もある。
かかる継続異常時間も、異常または正常に関する時系列データである。したがって、変形例2を採用した場合にも、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、継続異常時間は、1次元のデータであるため、変形例2においても、変形例1と同様に、クラスタリング部15は、少ない計算リソースによってクラスタリングの計算を実行することができる。さらに、変形例2では、継続異常時間に基づいてセンサ21がクラスタリングされるため、正常または異常の判定における揺らぎが考慮されたクラスタリングが行なわれる。このため、変形例2によれば、より正確なセンサ21のグループを提示することが可能となる。
<変形例3>
変形例3においては、履歴情報の算出対象を2つのセンサ21間の関係性のみに限定する。すなわち、データ項目の組み合わせを2つのセンサ21の組み合わせに限定する。これは、第1の実施形態の特別な場合に相当する。したがって、変形例3では、分析モデル取得部12によって取得される分析モデルが、上述の第1の実施形態とは相違する。
変形例3では、分析モデル取得部12は、分析モデルとして、1以上の相関モデルの集合を取得する。相関モデルは、所定の1以上のセンサ21のセンサ値を入力すると、所定のセンサ値を推定できるように構成されている。相関モデルは、特定のセンサ値を、そのデータ項目以外のセンサ値を1つ以上用いて推定する回帰式と、その推定誤差の許容範囲とを含む。
異常判定部13は、収集された状態情報に対して、相関モデルを適用することにより、センサ21ごとに、すなわち、相関モデルごとに、正常または異常を判定し、判定結果を出力する。
変形例3では、履歴情報生成部14は、相関モデルが異常であると継続的に出力した時間の長さを特定し、特定した時間の長さを履歴情報として作成する。履歴情報は、所定の期間の最新の時刻を終点として相関モデルが継続的に異常と判定した時間の長さを含む。具体的には、履歴情報は、相関モデルの識別子、相関モデルに含まれるデータ項目、所定の期間の最新の時刻を終点として相関モデルが継続的に異常と判定した時間(以下「相関モデル異常継続時間」という。)の長さを含む。
また、履歴情報生成部14は、統計的な処理を用いて、相関モデル異常継続時間の長さを算出してもよい。これは、センサデータがセンサノイズまたは外乱で揺らぐ場合、異常の程度が低く、正常または異常の判定が正常と異常との間を揺らぐ場合があるからである。さらに、履歴情報生成部14は、履歴情報を生成するために必要な情報を、分析モデル取得部12および異常判定部13から取得してもよい。
具体的には、履歴情報生成部14は、まず、所定の期間を複数の期間に分割し、分割した期間ごとに、異常と判定された時間の割合が所定の閾値より大きいかどうかを判定する。そして、履歴情報生成部14は、所定の期間の最新の時刻を終点として、判定の結果が連続して異常となっている複数の分割期間群を特定し、特定した分割期間群の長さを相関モデル継続異常時間の長さとする。なお、所定の期間において、センサ21ごとの正常または異常の判定の結果の重複は、許可されていてもよいし、許可されなくてもよい。
また、分割期間における判定に用いる所定の閾値は、ユーザによる任意の数値の付与によって設定されていてもよいし、正常または異常の揺らぎがランダムであると仮定した際の分割した期間の長さにおけるポアソン分布の信頼区間に基づいて設定されていてもよい。
変形例3では、クラスタリング部15は、所定の期間における、分析モデルに含まれる全相関モデルの異常または正常に関する時系列データに基づいて、センサ21を1以上のグループにクラスタリングする。
具体的には、クラスタリング部15は、まず、所定の期間における、分析モデルに含まれる全相関モデルの異常または正常に関する時系列データに基づいて、分析モデルに含まれる各相関モデルを1以上のグループにクラスタリングする。続いて、クラスタリング部15は、相関モデルのクラスタリング結果に基づき、各センサ21をクラスタリングする。
クラスタリング部15は、例えば、センサ21ごとに、各グループで相関モデルに含まれて出現する回数をカウントし、各センサ21を、それが出現する回数が最も多いグループに割り当てる。このとき、回数が同値のグループがあれば、センサ21は同値のグループそれぞれに重複して割り当てられてもよいし、所定のルールに基づいていずれか1つのグループに割り当てられてもよい。
また、変形例3において、クラスタリング部15は、Isingモデルクラスタリング、k-means、x-means、NMF(Non-negative Matrix Factorization)、Convolutive-NMF、affinity propagation等、データマイニングで用いられるクラスタリングのアルゴリズムを用いて、相関モデルをクラスタリングしてもよい。
また、例えば、所定の期間における、全相関モデルの異常または正常に関する時系列データは、時間に対する1次元の特徴量(例えば、異常の継続時間など)でもよい。この場合、クラスタリング部15は、データマイニングで用いられるクラスタリングのアルゴリズムに加えて、データマイニングで用いられる変化点検知または時系列セグメンテーションのアルゴリズムを用いてもよい。
<変形例4>
変形例4においては、クラスタ階層構造化部16は、グループの異常開始時間が最も近いグループ間のみについて階層化を実施する。このように構成することで、グループの階層構造が分岐を伴わないため、出力結果の複雑化を抑制することができる。
<プログラム>
本実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、図9に示すステップS1〜S6を実行させる。かかるプログラムをコンピュータにインストールして実行することによって、本実施形態における表示装置100および表示方法を実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、状態情報収集部11、分析モデル取得部12、異常判定部13、履歴情報生成部14、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、因果関係取得部17、および、出力部18として機能しつつ処理を行なう。
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されるようにしてもよい。この場合、例えば、各コンピュータが、それぞれ、状態情報収集部11、分析モデル取得部12、異常判定部13、履歴情報生成部14、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、因果関係取得部17、および、出力部18のいずれかとして機能してもよい。
さらに、本実施形態におけるプログラムは、表示装置100を実現するコンピュータの記憶装置に格納され、コンピュータのCPUに読み出されて実行される。この場合、プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供されてもよいし、ネットワークを介して提供されてもよい。
<実施形態2>
次に、第2の実施形態に係る表示装置、表示方法、および、プログラムについて、図10および図11を参照して説明する。
[構成]
まず、図10を参照して第2の実施形態における表示装置の構成について説明する。図10は、本実施形態における表示装置300の具体的構成を例示するブロック図である。
図10に示すように、本実施形態における表示装置300は、図2および図3に示した第1の実施形態における表示装置100とは相違し、異常検知部19を備えている。これ以外の点については、表示装置300は、表示装置100と同様の構成を有する。以下、本実施形態と第1の実施形態との差異点を中心に説明する。
異常検知部19は、状態情報収集部11によって収集された状態情報に基づいて、分析対象システム200、被分析装置20、または、センサ21の異常を検知する。具体的には、異常検知部19は、状態情報に含まれるセンサ値を所定の異常検出条件に照合し、センサ値が異常検出条件を満たす場合、異常を検知する。
また、本実施形態において、異常検出条件は、特定のセンサ21のセンサ値、センサ値の増減幅などを用いて、さらには、これらを組み合わせることによって設定される。また、異常検出条件は、分析モデルに設定されている異常検知条件であってもよい。
本実施形態では、履歴情報生成部14は、異常検知部19によって異常が検知された時点に基づいて、履歴情報を生成する。例えば、履歴情報の生成の対象期間は、異常が検知された時点を基準とした過去の所定期間としてもよい。所定期間の長さはユーザによって任意に指定されていてもよい。また、所定期間の始点は、分析モデルを用いて分析された、異常が発生した期間における最も古い時刻であってもよいし、直前のクラスタリングが実行された時点であってもよい。また、所定期間の終点は、異常が検知された時点を所定の期間だけ短縮した時点や所定の期間だけ延長した時点など、所定の調整によって前後させた時点としてもよい。
因果関係取得部17は、状態情報収集部11が取得した状態情報の時系列から因果関係情報を推定してもよいし、状態情報の時系列に依存しない外部情報から因果関係情報を取得してもよい。
前者の場合、因果関係取得部17は、状態情報収集部11が取得した状態情報の時系列からセンサ21間の因果関係を推定するために、例えば一般的なデータ分析技術を用いてもよい。この方法として、2つの時系列データの時間差を変化させながら、相互相関関数を算出して推定する方法や、移動エントロピー(Transfer Entropy)を用いる方法や、2つのセンサ21間の関係性を回帰式で推定し、その回帰式の係数の時間遅れから推定する方法や、Cross Mappingを用いる方法などがある。因果関係を推定に用いる状態情報の時系列は、例えば、クラスタリングを実行する際にユーザが指定してもよいし、予め設定しておいたルールに基づいて決定してもよい。予め設定しておいたルールに基づいて因果関係を推定に用いる状態情報の時系列を決定する場合、例えば、クラスタリングを実行する時点から、運用者が予め定めた期間遡った時点までとしてもよい。また、クラスタリングを実行する時点から、異常判定部13が所定数のセンサ21について異常と判断した時刻までとしてもよい。さらに、クラスタリングを実行する時点から、異常判定部13が所定数のセンサ21について異常と判断した時刻からさらに予め定めた期間だけ遡った時点までとしてもよい。また、異常検知部19が異常を検知した時刻を基準として、予め定めたルールに基づき設定される期間であってもよい。
一方、後者の場合、因果関係取得部17は、例えば専門家が有する知識や、システム動作に関連する方程式からセンサ21間の因果関係を推定してもよい。
[動作]
次に、本実施形態における表示装置300の動作について、図11を参照説明する。図11は、本実施形態における表示装置300の動作を例示するフロー図である。以下の説明においては、図10を適宜参酌する。本実施形態では、表示装置300を動作させることによって、表示方法が実施される。したがって、本実施形態に係る表示方法は、以下の表示装置300の動作によって説明される。
ここでは、前提として、分析モデル取得部12は、分析モデルを予め取得しているものとする。
図11に示すように、状態情報収集部11は、分析対象システム200から、所定期間における状態情報を収集する(ステップS11)。
次に、異常検知部19は、ステップS11で収集された状態情報に基づいて、異常の検知を実行し、異常を検知できたかどうかを判定する(ステップS12)。判定の結果、異常が検知されていない場合(ステップS12のNo)、所定期間の経過後に、再度、ステップS11が実行される。
一方、判定の結果、異常が検知されている場合(ステップS12のYes)、異常判定部13は、分析モデル取得部12によって予め取得されている分析モデルに状態情報を適用し、センサ21ごとに、各時刻における正常または異常を判定する(ステップS13)。
次に、履歴情報生成部14は、ステップS12によって異常が検知された時点を基準とした過去の所定期間について、異常判定部13によるセンサ21またはセンサ21間の関係性の正常または異常の判定結果から、履歴情報を生成する(ステップS14)。
次に、クラスタリング部15は、ステップS14で生成された履歴情報に基づいて、分析モデルに含まれるセンサ21を1以上のグループにクラスタリングする(ステップS15)。
次に、クラスタ階層構造化部16は、因果関係取得部17から取得したセンサ21間の因果関係情報に基づいて、ステップS15で生成されたグループを階層構造化する(ステップS16)。
次に、出力部18は、ステップS15によるクラスタリングで得られたセンサ21のグループと、ステップS16で得られたグループの階層構造をユーザ(例えば、運用者)、システム等に提示する(ステップS17)。
以上で、表示装置300における処理は終了する。また、所定期間の経過後に、分析対象システム200から状態情報が出力されると、表示装置300は再度図11のステップS11〜S17を実行する。
[効果]
以上のように、本実施形態における表示装置300によると、第1の実施形態の表示装置100と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、異常検知が行なわれるため、履歴情報が生成される期間が自動的に設定される。したがって、本実施形態によると、運用者によるシステム運用時の負荷を大幅に軽減することが可能となる。
<プログラム>
本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図11に示すステップS11〜S17を実行させる。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における表示装置300と表示方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、状態情報収集部11、分析モデル取得部12、異常判定部13、履歴情報生成部14、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、因果関係取得部17、出力部18、および、異常検知部19として機能して処理を行なう。
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されるようにしてもよい。この場合、例えば、各コンピュータが、それぞれ、状態情報収集部11、分析モデル取得部12、異常判定部13、履歴情報生成部14、クラスタリング部15、クラスタ階層構造化部16、因果関係取得部17、出力部18、および、異常検知部19のいずれかとして機能してもよい。
さらに、本実施形態におけるプログラムは、表示装置300を実現するコンピュータの記憶装置に格納され、コンピュータのCPUに読み出されて実行されるようにしてもよい。この場合、プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供されてもよいし、ネットワークを介して提供されてもよい。
ところで、上述した第1および第2の実施形態は、分析対象システム200が発電プラントシステムである場合について説明したが、本発明では、分析対象システム200はこれに限定されない。分析対象システム200としては、IT(Information Technology)システム、プラントシステム、構造物、輸送機器等も挙げられる。これらの場合でも、表示装置100(または300)は、分析対象システムの状態を示す情報に含まれるデータの種目をデータ項目として、データ項目をクラスタリングすることが可能である。
さらに、上述した第1および第2の実施形態では、表示装置100(または300)の各機能ブロックが、記憶装置またはROM(Read Only Memory)に記憶されたコンピュータ・プログラムを実行するCPUによって実現される例を中心に説明した。ただし、本発明はこれに限定されない。本発明において、表示装置100(または300)は、各機能ブロックの全部が専用のハードウェアにより実現されてもよいし、機能ブロックの一部がハードウェアで実現され、残部がソフトウェアで実現されてもよい。
また、本発明では、上述した第1および第2の実施形態を適宜組合せて実施してもよい。さらに、本発明は上述した各実施形態に限定されず、様々な態様で実施することが可能である。
(物理構成)
ここで、第1および第2の実施形態におけるプログラムを実行することによって、表示装置を実現するコンピュータについて、図12を参照して説明する。図12は、第1および第2の実施形態における表示装置100、300を実現するコンピュータを一例として示すブロック図である。
図12を参照すると、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111、メインメモリ112、記憶装置113、入力インターフェイス114、表示コントローラ115、データリーダ/ライタ116、および、通信インターフェイス117を備えている。これらの各部は、バス121を介して互いにデータ通信可能に接続される。
CPU111は、記憶装置113に格納された、第1または第2の実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定の順序で実行して各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、第1または第2の実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)の他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、または、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
以上のように、上記実施形態によれば、分析対象となるシステムにおいて、複数種類の異常が発生した場合に、種類に応じて異常を分離して、種類ごとの情報の出力を可能にすることができる。本発明は、一例として、システムの異常診断の用途に好適に適用することができる。
なお、本発明において、下記の形態が可能である。
[形態1]
上記第1の態様に係る表示方法のとおりである。
[形態2]
前記複数のグループ間の階層は、前記複数のグループに属する異常センサの間の因果関係に基づいて決定される、
形態1に記載の表示方法。
[形態3]
前記複数のグループ間の因果関係は、前記複数のグループに属する異常センサの間の因果関係に基づいて決定される、
形態2に記載の表示方法。
[形態4]
前記シンボルは、該シンボルに対応する異常センサが属するグループで推定される異常開始時刻の先後を識別可能である、
形態1ないし3のいずれか一に記載の表示方法。
[形態5]
前記ユーザに提示するステップにおいて、各グループで推定される異常時刻の範囲を示す情報をさらにユーザに提示する、
形態1ないし4のいずれか一に記載の表示方法。
[形態6]
前記ユーザに提示するステップにおいて、前記対象を示す図に重畳して前記シンボルをユーザに提示する、
形態1ないし5のいずれか一に記載の表示方法。
[形態7]
前記複数のグループの階層関係を示す情報と、各グループに属する異常センサ間の因果関係を示す情報の少なくともいずれか一方を表示するステップを含む、
形態1ないし6のいずれか一に記載の表示方法。
[形態8]
前記対象の異常度の時系列データを、各グループが異常を示す時間帯に各グループを示す情報を付与して表示するステップを含む、
形態1ないし7のいずれか一に記載の表示方法。
[形態9]
上記第2の態様に係る表示装置のとおりである。
[形態10]
上記第3の態様に係るプログラムのとおりである。
なお、上記特許文献の全開示内容は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。